説明

電線搬送装置及び電線搬送方法

【課題】無端ベルトの復路側の空のパレットを削減して、設備投資の軽減や駆動モータの負荷の軽減を可能とする。
【解決手段】凹凸を有するメインの無端ベルト2と、複数の電線クランプ5を有してメインの無端ベルトの往路側3に歯合する複数のパレット6と、メインの無端ベルトの復路側4に沿って配置され、メインの無端ベルトよりも高速で移動可能なサブの搬送手段7と、サブの搬送手段に設けられ、往路側から復路側に移動したパレット61を確保して搬送手段で移動させて復路の終端側に移載する移載手段22とを備える電線搬送装置1を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端末を把持する電線クランプを有する複数のパレットを無端ベルトで端末処理工程等に搬送する電線搬送装置及び電線搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無端ベルトで電線等を搬送するために、種々の搬送装置及び搬送方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図6(a)(b)に示す如く、横長の無端ベルト61の複数の歯部62にパレット63の凹部64を係合させ、パレット63には、電線65を把持する電線クランプ66を立設すると共に両側面にローラ67を設け、ローラ67を搬送フレーム68のガイド溝(レール)69に移動自在に係合させた電線搬送装置が記載されている。電線65はU字状に曲げられて各端末を各電線クランプ66で把持された状態で、電線皮剥き工程や端子圧着工程等に搬送される。
【0004】
また、参考として、特許文献2には、電線ではないがカードを一方の無端ベルトと他方のベルトとの間に挟んで搬送すべく、一方の無端ベルトを他方のベルトで押圧して凹状に変形させた搬送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3341804号公報
【特許文献2】特開平7−114623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の図6の電線搬送装置にあっては、無端ベルト61の上側(往路側)と下側(復路側)とにそれぞれ複数のパレット63を密接させて等ピッチで配置しており、無端ベルト61の上側(往路側)では各パレット63の電線クランプ66で電線65を搬送するが、下側(復路側)では何も搬送しない空(カラ)の状態となるので、工程数(ベルト長)によっては、空搬送のパレット数が多大となり、無駄な設備投資を強いられると共に、搬送用の駆動モータの負荷が増大するといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記した点に鑑み、無端ベルトの復路側の空のパレットを削減して、設備投資の軽減や駆動モータの負荷の軽減を可能とする電線搬送装置及び電線搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電線搬送装置は、凹凸を有するメインの無端ベルトと、複数の電線クランプを有して該メインの無端ベルトの往路側に歯合する複数のパレットと、該メインの無端ベルトの復路側に沿って配置され、該メインの無端ベルトよりも高速で移動可能なサブの搬送手段と、該サブの搬送手段に設けられ、該往路側から該復路側に移動したパレットを確保して該搬送手段で移動させて該復路の終端側に移載する移載手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成により、メインの無端ベルトの回動で無端ベルトの往路に沿って各パレットが電線端末処理工程である電線皮剥き工程や端子圧着工程やコネクタハウジングへの端子挿入工程等に順次間欠搬送され、電線端末処理を終えた空(カラ)のパレットが復路側に移動し、復路の始端(前端)側で移載手段で確保されてサブの搬送手段に移載され、サブの搬送手段で移載手段ごと空のパレットがメインの無端ベルトの復路の終端側に高速搬送されて復路の終端側に移載される。移載手段は空のパレットを解放した後に復路の始端側に復帰する。例えばパレットはその小ローラを環状のガイド部にスライド係合させて位置決め兼落下防止させることが好ましい。
【0010】
請求項2に係る電線搬送装置は、請求項1記載の電線搬送装置において、前記メインの無端ベルトの前記復路側が、前後の短い真直部と、該短い真直部に続く前後の傾斜部と、該前後の傾斜部に続く長い真直部とで成り、前記パレットが前側の傾斜部で環状のガイド部から離脱して後側の短い真直部に移載されることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、メインの無端ベルトの往路から復路に移動した空のパレットが環状のガイド部に沿って無端ベルトの復路の前側(始端側)の傾斜部の始端において短い真直部の延長方向に移動して復路から離脱し、移載手段で確保されてサブの搬送手段で後側の傾斜部に続く短い真直部に移載される。
【0012】
請求項3に係る電線搬送装置は、請求項1又は2記載の電線搬送装置において、前記サブの搬送手段がサブの無端ベルトであり、前記移載手段が、前記パレットを把持するチャック部材であることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、メインの無端ベルトの復路の始端側でチャック部材が空のパレットを把持し、サブの無端ベルトの回動でチャック部材が空のパレットと共に復路の終端側に移動し、空のパレットの凹凸がメインの無端ベルトの凹凸に係合して復路の終端側に移載され、同時にチャック部材の把持が解除されて空のパレットが解放される。
【0014】
請求項4に係る電線搬送方法は、電線を把持した複数のパレットをメインの無端ベルトの往路に沿って搬送し、該往路から復路に移動したパレットを移載手段で確保してサブの搬送手段で該復路の終端側に該メインの無端ベルトよりも高速で移動させて該復路の終端側に移載することを特徴とする。
【0015】
上記構成により、メインの無端ベルトの回動で無端ベルトの往路に沿って各パレットが電線端末処理工程である電線皮剥き工程や端子圧着工程やコネクタハウジングへの端子挿入工程等に順次間欠搬送され、電線端末処理を終えた空(カラ)のパレットが復路側に移動し、復路の始端(前端)側で移載手段で確保されてサブの搬送手段に移載され、サブの搬送手段で移載手段ごと空のパレットがメインの無端ベルトの復路の終端側に高速搬送されて復路の終端側に移載される。移載手段は空のパレットを解放した後に復路の始端側に復帰する。例えばパレットはその小ローラを環状のガイド部にスライド係合させて位置決め兼落下防止させることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、メインの無端ベルトの復路側で空のパレットを移載手段で確保してサブの搬送手段で搬送することで、無端ベルトの復路側の空のパレットを削減することができ、パレット数の削減によって設備投資の軽減や駆動モータの負荷の軽減(小型化)を実現することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、メインの無端ベルトの復路の前側(始端側)の傾斜部でパレットをスムーズ且つ確実に離脱させ、後側の傾斜部に続く短い真直部にパレットをスムーズ且つ確実に移載させることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、チャック部材で空のパレットを把持してメインの無端ベルトの復路の終端側に確実に搬送することができる。また、サブの無端ベルトを用いて空のパレットの搬送速度を高めると共に、サブの搬送手段を低コスト化することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、メインの無端ベルトの復路側で空のパレットを移載手段で確保してサブの搬送手段で搬送することで、無端ベルトの復路側の空のパレットを削減することができ、パレット数の削減によって設備投資の軽減や駆動モータの負荷の軽減(小型化)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る電線搬送装置及び電線搬送方法の一実施形態を示す正面図である。
【図2】同じく電線搬送装置を示す、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】図2(b)のA部拡大図である。
【図4】電線搬送装置のサブの無端ベルトにおける前側のパレット移載工程を示す、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図5】電線搬送装置のサブの無端ベルトにおける後側のパレット移載工程を示す、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】従来の電線搬送装置の一形態の要部を示す、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図4は、本発明に係る電線搬送装置及び電線搬送方法の一実施形態を示すものである。
【0022】
図1の如く、この電線搬送装置1及び電線搬送方法は、メインの無端ベルト2の上側のベルト部分(往路)3に、電線クランプ5を有する複数のパレット6を配置し、メインの無端ベルト2の下側のベルト部分(復路)4に沿ってサブの無端ベルト(搬送手段)7を配置し、メインの無端ベルト2の前端(終端)2a側で下向きに折り返されたパレット61をサブの無端ベルト7で受け取ってメインの無端ベルト2の後端(始端)2b寄りの部分まで搬送して、メインの無端ベルト2に移し替えるものである。
【0023】
メインの無端ベルト2の上側のベルト部分3は前後のプーリ10,11の間で水平に真直に配置され、下側のベルト部分4は、前後の各プーリ10,11から水平に短く続く短い真直部分4a,4bと、短い真直部分4a,4bから上向きに傾斜して短く続く傾斜部分4c,4dと、前後の傾斜部分4c,4dの間で水平に続く長い真直部分4eとで成る。前後の傾斜部分4c,4dは前後上下の各一対の小径なガイドプーリ12で支持されている。前後の大径なプーリ10,11の何れか一方はモータで駆動される駆動プーリであり、何れか他方は回転自在に軸支されたガイドプーリである。メインの無端ベルト2はタイミングベルトである。
【0024】
上側の真直なベルト部分3には複数のパレット6が前後端を当接させて等ピッチで配置され、前後の大径なプーリ10,11に沿う半円状のベルト部分には各二つのパレット6が配置され、前後の下側の短い真直なベルト部分4a,4bには二つの各パレット61〜64が前後端を当接させて配置されている。各パレット6には、複数の電線クランプ5が立設されると共に、左右の側面(図1で正面及び背面)に前後各一対の回動自在な小ローラ13が設けられている。
【0025】
小ローラ13は、搬送フレーム14(図3)に設けられた既存のガイド溝(ガイド部)15(図3)に沿って移動する。ガイド溝15はメインの無端ローラ2よりも一回り大きな上下の平行な真直部と前後の半円部とで成る。
【0026】
サブの無端ベルト7はメインの無端ベルト2の下側に配置され、サブの無端ベルト7の上側の真直なベルト部分8はメインの下側のベルト部分4の前後の短い真直部分4a,4bの下側に隣接して位置し、上側のベルト部分8と平行に下側の真直なベルト部分9が位置し、前端のプーリ16はメインの前端のプーリ10の後半部の下側に位置し、後端のプーリ17はメインの後端のプーリ11よりも後方に位置してサブの駆動モータ18と駆動ベルト19を介して駆動される。
【0027】
メインの上側のベルト部分3は矢印Aの如く前進し、メインの下側のベルト部分4はサブの上側のベルト部分8と同じく矢印Bの如く後退する。メインの各プーリ10,11は図1で半時計回りに回転し、サブの各プーリ16,17はパレット搬送時に時計回りに回転する。サブの無端ベルト7はパレット回収専用路であり、メインの無端ベルト2よりも高速で移動する。図1でサブの無端ベルト7に沿う前から二番目のパレット61がメインの無端ベルト2からサブの無端ベルト7に移載され、図1で後から二番目のパレット64がサブの無端ベルト7からメインの無端ベルト2に移載される。
【0028】
図2の例ではサブの無端ベルト7のプーリ16,17の位置を図1の例とは相違させているが、その他の構成は図1と同様である。図2(a)(平面図)の如く、メインの無端ベルト2の幅方向の一側方(左側)にサブの無端ベルト7が隣接して配置されている。前後のプーリ16,17の各中心軸20は装置フレームの縦板部21に軸受けされている。
【0029】
図2(a)(b)の如く、サブの無端ベルト7の上側のベルト部分8に、パレット6を把持するチャック部材(移載手段)22が設けられ、チャック部材22はサブの無端ベルト7を幅方向に横断し、チャック部材22の先端22aはメインの無端ベルト2の下側に位置している。チャック部材22は固定部23に連結され、固定部23がサブの無端ベルト7の上側のベルト部分8に固定されている。サブの無端ベルト7は駆動モータ18(図1)の正逆回転で進退駆動される。
【0030】
図2(b)の前端のプーリ10の近くの前側のパレット62はサブの無端ベルト7に移載される前のもの、後側のパレット61は移載された時点のものである。図2(a)では各パレット6の図示を省略している。図2(b)でメインの無端ベルト2の後端側に位置する部材は後述するストッパ部材33である。
【0031】
図3(図2(b)のC部拡大図)の如く、メインの無端ベルト2の前端下側の短い真直なベルト部分4aの後端(終端)に前側(送り方向後側)のパレット62が位置し、その後側(送り方向前側すなわち先頭)のパレット61が前側のパレット62で押されて短い真直なベルト部分4aから離脱してフリーになり、両パレット61,62の前後の各小ローラ13は搬送フレーム14の水平で真直なガイド溝15にスライド自在に係合して落下を防止され、後側のパレット61は前側のパレット62で後方(パレット搬送方向)に押された状態でストッパ部材26に当接して停止している。図3で矢印Dはメインの無端ベルト2の前端側におけるパレット6の送り方向を示す。
【0032】
各パレット6は、従来同様にメインの無端ベルト2の表面に等ピッチで複数設けられた歯部(図示せず)に歯合する中央の凹部27と、歯部の間の凹部(図示せず)に歯合する前後の凸部28とを底面29に有している。
【0033】
ガイド溝15は、メインの無端ベルト2の左右両側に位置する垂直な板状の搬送フレーム14に横長環状に設けられている(図3では下側の一部のガイド溝15のみを示している)。下側のガイド溝15は下側のベルト部分4の短い真直部4aの下側に平行に位置し、短い真直部4aに続く傾斜部4cは下側のガイド溝15から斜め上方に離間しつつ長い真直部4eに続いている。
【0034】
前側の傾斜部4cはパレット6と前側の短い真直部4aとの歯合をスムーズに解除させ(パレット6を前側の短い真直部4aからスムーズに離脱させ)、後側の傾斜部4dはパレット6と後側の短い真直部4bとの歯合をスムーズに行わせる(サブの無端ベルト7から後側の短い真直部4bへのパレット6の移載をスムーズに行わせる)。
【0035】
ストッパ部材26は、下側のベルト部分4の傾斜部4cの後方に隣接して配置され、前側の水平な軸部30を支点に上下に回動自在であり、前部下端にストッパ本体としてのV字溝26aを有し、V字溝26aに後側のパレット61の後側の小ローラ13を係合させて、メインの無端ベルト2からフリーになったパレット61を停止させる。ストッパ部材26はV字溝26aの前後に傾斜面26bを有し、前側の傾斜面26bに沿って小ローラ13が摺接しつつストッパ部材26を上向きに押し上げて、V字溝26aがストッパ部材26の自重又は不図示のばねの付勢力で小ローラ13に係合する。
【0036】
本例の各パレット6は八つの電線クランプ5を有しているが、電線クランプ5の数は偶数個で適宜設定される。偶数個の電線クランプ5は、U字状に折り返された不図示の各電線の両端末をパレット6単位で把持する。
【0037】
図4(a)(b)の如く、ストッパ部材26(図3)で停止したパレット61をチャック部材22で把持し、その状態でサブの無端ベルト7が回転してチャック部材22がパレット61を把持したままメインの無端ベルト2の矢印Bの如く前端側に高速で移動させる(搬送する)。サブの無端ベルト7の移動時間は、メインの無端ベルト2において一つのパレット6が電線端末の処理(検尺、切断、皮剥き、端子圧着、圧着検査、コネクタハウジングへの端子挿入等)を行いつつ一ピッチ移動するに要する時間と同等ないしそれよりも短く設定される。メインの無端ベルト2は各工程毎に停止してパレット6を間欠搬送する。
【0038】
図4(b)の如く、チャック部材22はサブの無端ベルト7を境に右側に位置し、左側の水平なエアシリンダ24のロッド24aに連結されている。チャック部材22は、例えば上下一対の水平なチャック本体(符号22で代用)と、チャック本体を開閉するエア式の開閉シリンダ(図示せず)とで成る。エア式の開閉シリンダを閉じ方向に付勢されたばね部材で代用する(開き動作はチャック本体22をパレット6に押し付けて行う)ことも可能である。
【0039】
チャック部材22が矢印Eの如くエアシリンダ24のロッド24aの伸長動作で右方に突出して後側(先頭)のパレット61の前半の水平な板部31を把持し、その状態で矢印Bの如くパレット61と共に後方に移動して、図1,図2(b)のメインの無端ベルト2の後端下側の短い真直なベルト部分4bにパレット61を移載する。
【0040】
パレット61の小ローラ13(図3)は常にガイド溝15に係合し、パレット61の凹凸部28,29がベルト部分4bの凹凸部に係合する。チャック部材22はパレット61の把持を解除し、エアシリンダ24の圧縮動作と引張コイルばね32の付勢力でロッド24aの圧縮方向に迅速に復元する。
【0041】
チャック部材22で把持されたパレット61がメインの無端ベルト2の後端下側の短い真直なベルト部分4bに搬送された際に、図5(a)(b)の如く、矩形棒状のフックであるパレット押圧部材25が水平なエアシリンダ34の伸長方向の押し力でパレット61(符号64で説明する)の前端に押し当てられてパレット64を後方(搬送方向)に押圧する。パレット64の後端(先端)の凸部28は短い真直なベルト部分4bの凹部に歯合し、その状態でチャック部材22がパレット64を解放してサブの上側のベルト部分8の前進動作で前方へ復帰する。
【0042】
パレット押圧部材25がパレット64の前端を押圧し、その状態でメインの無端ベルト2が回転し、パレット64の凸部28と凹部29が下側の短い真直なベルト部分4bの不図示の凸部と凹部にスムーズ且つ確実に係合して、パレット64がメインの無端ベルト2にスムーズに且つ確実に移載される。パレット64がメインの無端ベルト2に沿って移動した後、パレット押圧部材25がエアシリンダ34の圧縮動作で前方に復帰する。この際、パレット押圧部材25の従動突起25aが内向きテーパ状のラチェット溝35に逃げて、パレット64への干渉負荷が防止される。
【0043】
パレット押圧部材25は引張コイルばね36で常時引っ込み方向(内向き)に付勢され、従動突起25aはガイドブロック37の水平なガイド面37aに摺接して、エアシリンダ34の水平なロッド34aの圧縮動作に伴って引張コイルばね36の付勢力でガイド面からテーパ状のラチェット溝35に案内される。
【0044】
矢印B方向にチャック部材22でパレット64が搬送され、次いで矢印F方向にパレット押圧部材25が突出して、矢印G方向にパレット64に押し当たり、次いで矢印H方向にチャック22が引っ込んでパレット64を開放し、矢印D方向にベルト2が回転する。ストッパ部材33は前側のストッパ部材26と同様に軸を支点に回動し、矩形溝33a内にパレット64のローラ13を係合させてパレット64の前方への戻りを阻止する。
【0045】
なお、上記実施形態においては、チャック部材22でパレット6を把持して移動させたが、チャック部材22に代えてソレノイド等で進退可能なピン(図示せず)を用い、ピンをパレット6の孔部(図示せず)に進入係合させてパレット6をガイド溝15に沿って移動させ、メインの無端ベルト2に移載した後、ピンを圧縮してサブの無端ベルト7で前進復帰させることも可能である。また、ガイド溝15に代えてガイドレール等を用いることも可能である。
【0046】
また、上記実施形態においては、サブの無端ベルト7に対するパレット6の移載のために、下側のガイド溝15を真直に形成し、メインの下側のベルト部分4を前側の後上がりの傾斜部4cと後側の後下がりの傾斜部4dとで上向きに凸状に迂回(変形)させたが、例えば下側のガイド溝15を不図示の前側の後下がりの傾斜部と後側の後上がりの傾斜部とで下向きに凹状に迂回(変形)させ、メインの下側のベルト部分4を真直に形成することも可能である。
【0047】
また、上記実施形態においては、メインの無端ベルト2に対してサブの無端ベルト7を用いたが、サブの無端ベルト7に代えて不図示の水平なボールねじでスライダを進退させるリニアガイド等を用い、スライダにチャック部材22を配設することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る電線搬送装置及び電線搬送方法は、ワイヤハーネスの製造過程における電線の端末の皮剥きや端子圧着等の工程に電線を無端ベルトで連続的に搬送する際に、電線クランプを有するパレットの数を削減して、設備費用を低減させると共にベルト駆動モータの負荷を軽減させるために利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 電線搬送装置
2 メインの無端ベルト
3 上側のベルト部分(往路)
4 下側のベルト部分(復路)
4a,4b 短い真直部
4c,4d 傾斜部
4e 長い真直部
5 電線クランプ
6,61 パレット
7 サブの無端ベルト(搬送手段)
15 ガイド溝(ガイド部)
22 チャック部材(移載手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸を有するメインの無端ベルトと、複数の電線クランプを有して該メインの無端ベルトの往路側に歯合する複数のパレットと、該メインの無端ベルトの復路側に沿って配置され、該メインの無端ベルトよりも高速で移動可能なサブの搬送手段と、該サブの搬送手段に設けられ、該往路側から該復路側に移動したパレットを確保して該搬送手段で移動させて該復路の終端側に移載する移載手段とを備えることを特徴とする電線搬送装置。
【請求項2】
前記メインの無端ベルトの前記復路側が、前後の短い真直部と、該短い真直部に続く前後の傾斜部と、該前後の傾斜部に続く長い真直部とで成り、前記パレットが前側の傾斜部で環状のガイド部から離脱して後側の短い真直部に移載されることを特徴とする請求項1記載の電線搬送装置。
【請求項3】
前記サブの搬送手段がサブの無端ベルトであり、前記移載手段が、前記パレットを把持するチャック部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の電線搬送装置。
【請求項4】
電線を把持した複数のパレットをメインの無端ベルトの往路に沿って搬送し、該往路から復路に移動したパレットを移載手段で確保してサブの搬送手段で該復路の終端側に該メインの無端ベルトよりも高速で移動させて該復路の終端側に移載することを特徴とする電線搬送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate