説明

電荷貯蔵材料、電極活物質、電極及び電池

【課題】溶媒への溶解性が小さく高容量で充放電を繰り返しても容量低下の少ない良好なサイクル特性を有する電池を作製できる電荷貯蔵材料、該電荷貯蔵材料からなる電極活物質、該電極活物質を含む電極、及び該電極を含む電池を提供すること。
【解決手段】式(1)で示されるチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料。


(R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の1価炭化水素基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のヘテロアリール基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキルチオ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のモノアルキルアミノ基、又は各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキル基であるジアルキルアミノ基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料、該電荷貯蔵材料からなる電極活物質、該電極活物質を含む電極、及び該電極を含む電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパソコン等の携帯用電子機器の市場拡大に伴い、エネルギー密度が大きく長寿命の二次電池が要求されているようになってきた。このような電池として、単電池での電圧が高いリチウムイオン電池が挙げられる。リチウムイオン電池は、非水溶液系の電解液を用いることによって3V以上の高い電圧を得ることができる。しかしながら、従来のリチウムイオン電池は正極及び負極材料の質量当たりの容量が小さい。例えばコバルト酸リチウムを含む正極を持つ電池では、その理論容量は274mAh/gであるが実際に利用できる容量は6割の160mAh/g程度である。
【0003】
また、軽量薄膜、フレキシブル化可能等の特長から、有機電荷貯蔵材料を二次電池における活物質として用いた電池が提案されている。有機電荷貯蔵材料としては、ニトロキシラジカル基を含有する化合物(非特許文献1、特許文献1)がよく用いられるが、キノイド系材料(特許文献2、3、4)等についても報告がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−117852号公報
【特許文献2】特開2010−44882号公報
【特許文献3】特開2010−55923号公報
【特許文献4】特開2010−80343号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Chem. Phys. Lett., vol. 359, pp. 351-354, 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ニトロキシラジカル系電荷貯蔵材料を電極活物質として用いた電池は、無機系電極活物質を用いたそれと比較して容量が大きく劣っており、キノイド系材料等の低分子化合物は、一般に電解液への溶出が生じやすくサイクル性が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、種々溶媒への溶解性が小さく、高容量で充放電を繰り返しても容量低下の少ない良好なサイクル特性を有する電池を作製できる電荷貯蔵材料、該電荷貯蔵材料からなる電極活物質、該電極活物質を含む電極、及び該電極を含む電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料が剛直な分子骨格を有するため溶媒への溶解性が低いことを見出すとともに、これを電極活物質として用いた場合、高サイクル性を有する高性能な電池を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
1.下記式(1)で示されるチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料、
【化1】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の1価炭化水素基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のヘテロアリール基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキルチオ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のモノアルキルアミノ基、又は各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキル基であるジアルキルアミノ基を表す。)
2.前記R1〜R4が、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基である1の電荷貯蔵材料、
3.1又は2の電荷貯蔵材料からなる電極活物質、
4.3の電極活物質及び溶媒を含む電極スラリー、
5.4の電極活物質を含む薄膜、
6.5の電極スラリーから作製される薄膜、
7.5又は6の薄膜を含む電極、
8.保護膜で被覆されている7の電極、
9.保護膜が、ポリアルキレンオキサイド及びイオン伝導性塩を含む8の電極、
10.7〜9のいずれかの電極を含む電池
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物は、剛直な分子骨格を持つため溶媒への溶解性が小さく、耐熱性にも優れ、発生するアニオンラジカルがベンゾジチオフェン環及びシアノイミノ基によって安定化されるために電気化学的安定性が高く、電荷貯蔵材料として有用である。また、2電子還元が進行して安定なジアニオンが形成されるため、これを電池の電極活物質として使用した場合、高安定性と高容量化が両立される。更に、ポリアルキレンオキシド系材料及びイオン伝導性塩とともに複合膜を形成し、あるいはポリアルキレンオキシド系材料及びイオン伝導性塩を含む積層膜で電極を被覆することによって、更に電極の耐久性を向上させることができる。よって、上記チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物を用いれば、充放電を繰り返しても容量低下が少なく良好なサイクル特性を有する電池を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例3で作製したビーカーセルの模式図である。
【図2】実施例3で作製した薄膜電極のサイクリックボルタモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
なお、本明細書中、「n−」はノルマルを、「i−」はイソを、「s−」はセカンダリーを、「t−」はターシャリーを、「c−」はシクロを、「o−」はオルトを、「m−」はメタを、「p−」はパラを意味する。
【0013】
本発明に係るチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物は、下記式(1)で示される。
【化2】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の1価炭化水素基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のヘテロアリール基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキルチオ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のモノアルキルアミノ基、又は各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキル基であるジアルキルアミノ基を表す。)
【0014】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記炭素数1〜12の1価炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。
【0015】
上記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基、1−メチル−c−プロピル基、2−メチル−c−プロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、c−ペンチル基、1−メチル−c−ブチル基、2−メチル−c−ブチル基、3−メチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−プロピル基、2,3−ジメチル−c−プロピル基、1−エチル−c−プロピル基、2−エチル−c−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、c−ヘキシル基、1−メチル−c−ペンチル基、2−メチル−c−ペンチル基、3−メチル−c−ペンチル基、1−エチル−c−ブチル基、2−エチル−c−ブチル基、3−エチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−ブチル基、1,3−ジメチル−c−ブチル基、2,2−ジメチル−c−ブチル基、2,3−ジメチル−c−ブチル基、2,4−ジメチル−c−ブチル基、3,3−ジメチル−c−ブチル基、1−n−プロピル−c−プロピル基、2−n−プロピル−c−プロピル基、1−i−プロピル−c−プロピル基、2−i−プロピル−c−プロピル基、1,2,2−トリメチル−c−プロピル基、1,2,3−トリメチル−c−プロピル基、2,2,3−トリメチル−c−プロピル基、1−エチル−2−メチル−c−プロピル基、2−エチル−1−メチル−c−プロピル基、2−エチル−2−メチル−c−プロピル基、2−エチル−3−メチル−c−プロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0016】
上記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニル基、1−c−ペンテニル基、2−c−ペンテニル基、3−c−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、1−n−ブチルエテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、2−n−プロピル−2−プロペニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−4−ペンテニル基、3−エチル−3−ブテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−2−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4−メチル−4−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニル基、1−s−ブチルエテニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニル基、1−i−ブチルエテニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニル基、2−i−プロピル−2−プロペニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、1−n−プロピル−1−プロペニル基、1−n−プロピル−2−プロペニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−エチル−3−ブテニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル基、1−t−ブチルエテニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−2−プロペニル基、1−メチル−2−c−ペンテニル基、1−メチル−3−c−ペンテニル基、2−メチル−1−c−ペンテニル基、2−メチル−2−c−ペンテニル基、2−メチル−3−c−ペンテニル基、2−メチル−4−c−ペンテニル基、2−メチル−5−c−ペンテニル基、2−メチレン−c−ペンチル基、3−メチル−1−c−ペンテニル基、3−メチル−2−c−ペンテニル基、3−メチル−3−c−ペンテニル基、3−メチル−4−c−ペンテニル基、3−メチル−5−c−ペンテニル基、3−メチレン−c−ペンチル基、1−c−ヘキセニル基、2−c−ヘキセニル基、3−c−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0017】
上記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、2−エチル−2−プロピニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−メチル−2−ペンチニル基、1−メチル−3−ペンチニル基、1−メチル−4−ペンチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、2−メチル−4−ペンチニル基、3−メチル−1−ペンチニル基、3−メチル−4−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、4−メチル−2−ペンチニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基、1,1−ジメチル−3−ブチニル基、1,2−ジメチル−3−ブチニル基、2,2−ジメチル−3−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、1−エチル−2−ブチニル基、1−エチル−3−ブチニル基、1−n−プロピル−2−プロピニル基、2−エチル−3−ブチニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0018】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0019】
また、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のヘテロアリール基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基等が挙げられる。
【0020】
上記炭素数1〜12のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基、1−メチル−c−プロポキシ基、2−メチル−c−プロポキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、c−ペンチルオキシ基、1−メチル−c−ブトキシ基、2−メチル−c−ブトキシ基、3−メチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−プロポキシ基、2,3−ジメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−c−プロポキシ基、2−エチル−c−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基、c−ヘキシルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルオキシ基、2−メチル−c−ペンチルオキシ基、3−メチル−c−ペンチルオキシ基、1−エチル−c−ブトキシ基、2−エチル−c−ブトキシ基、3−エチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−ブトキシ基、1,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,2−ジメチル−c−ブトキシ基、2,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,4−ジメチル−c−ブトキシ基、3,3−ジメチル−c−ブトキシ基、1−n−プロピル−c−プロポキシ基、2−n−プロピル−c−プロポキシ基、1−i−プロピル−c−プロポキシ基、2−i−プロピル−c−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−c−プロポキシ基、1,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、2,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−1−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−3−メチル−c−プロポキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
上記炭素数1〜12のアルキルチオ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、c−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、c−ブチルチオ基、1−メチル−c−プロピルチオ基、2−メチル−c−プロピルチオ基、n−ペンチルチオ基、1−メチル−n−ブチルチオ基、2−メチル−n−ブチルチオ基、3−メチル−n−ブチルチオ基、1,1−ジメチル−n−プロピルチオ基、1,2−ジメチル−n−プロピルチオ基、2,2−ジメチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−n−プロピルチオ基、c−ペンチルチオ基、1−メチル−c−ブチルチオ基、2−メチル−c−ブチルチオ基、3−メチル−c−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−c−プロピルチオ基、2,3−ジメチル−c−プロピルチオ基、1−エチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−c−プロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、1−メチル−n−ペンチルチオ基、2−メチル−n−ペンチルチオ基、3−メチル−n−ペンチルチオ基、4−メチル−n−ペンチルチオ基、1,1−ジメチル−n−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−n−ブチルチオ基、1,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−n−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、1−エチル−n−ブチルチオ基、2−エチル−n−ブチルチオ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルチオ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルチオ基、c−ヘキシルチオ基、1−メチル−c−ペンチルチオ基、2−メチル−c−ペンチルチオ基、3−メチル−c−ペンチルチオ基、1−エチル−c−ブチルチオ基、2−エチル−c−ブチルチオ基、3−エチル−c−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−c−ブチルチオ基、1,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,4−ジメチル−c−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、1−n−プロピル−c−プロピルチオ基、2−n−プロピル−c−プロピルチオ基、1−i−プロピル−c−プロピルチオ基、2−i−プロピル−c−プロピルチオ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルチオ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルチオ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルチオ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ドデシルチオ基等が挙げられる。
【0022】
上記炭素数1〜12のモノアルキルアミノ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、c−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、c−ブチルアミノ基、1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−メチル−c−プロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、1−メチル−n−ブチルアミノ基、2−メチル−n−ブチルアミノ基、3−メチル−n−ブチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、2,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−n−プロピルアミノ基、c−ペンチルアミノ基、1−メチル−c−ブチルアミノ基、2−メチル−c−ブチルアミノ基、3−メチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−プロピルアミノ基、2,3−ジメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−c−プロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、1−メチル−n−ペンチルアミノ基、2−メチル−n−ペンチルアミノ基、3−メチル−n−ペンチルアミノ基、4−メチル−n−ペンチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1−エチル−n−ブチルアミノ基、2−エチル−n−ブチルアミノ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミノ基、c−ヘキシルアミノ基、1−メチル−c−ペンチルアミノ基、2−メチル−c−ペンチルアミノ基、3−メチル−c−ペンチルアミノ基、1−エチル−c−ブチルアミノ基、2−エチル−c−ブチルアミノ基、3−エチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,4−ジメチル−c−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、1−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等が挙げられる。
【0023】
上記各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜12のジアルキルアミノ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジ−c−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−i−ブチルアミノ基、ジ−s−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−c−ブチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(4−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−1−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,4−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−3−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−ノニルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジ−n−ドデシルアミノ基等が挙げられる。
【0024】
上記の基の中でも、R1〜R4としては、容量、電気伝導性の向上を考慮すると、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基等が好ましい。これらの中でも、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等が好ましい。より好ましくは、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等である。
【0025】
また、R1〜R4で示される基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜11のアルコキシ基、炭素数1〜11のハロアルコキシ基、炭素数1〜11のアルキルチオ基、炭素数1〜11のモノアルキルアミノ基、各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜11のジアルキルアミノ基、グリシドキシ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数3〜11のアルケニルカルボニル基、炭素数3〜11のアルキニルカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数3〜11のアルケニルカルボニルオキシ基、炭素数3〜11のアルキニルカルボニルオキシ基、炭素数3〜11のアリール基、ハロゲン化アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン化ヘテロアリール基等が挙げられる。ただし、上記置換基を有する場合、R1〜R4における炭素総数の上限は、それぞれ12である。
【0026】
上記炭素数1〜11のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基、1−メチル−c−プロポキシ基、2−メチル−c−プロポキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、c−ペンチルオキシ基、1−メチル−c−ブトキシ基、2−メチル−c−ブトキシ基、3−メチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−プロポキシ基、2,3−ジメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−c−プロポキシ基、2−エチル−c−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基、c−ヘキシルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルオキシ基、2−メチル−c−ペンチルオキシ基、3−メチル−c−ペンチルオキシ基、1−エチル−c−ブトキシ基、2−エチル−c−ブトキシ基、3−エチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−ブトキシ基、1,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,2−ジメチル−c−ブトキシ基、2,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,4−ジメチル−c−ブトキシ基、3,3−ジメチル−c−ブトキシ基、1−n−プロピル−c−プロポキシ基、2−n−プロピル−c−プロポキシ基、1−i−プロピル−c−プロポキシ基、2−i−プロピル−c−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−c−プロポキシ基、1,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、2,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−1−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−3−メチル−c−プロポキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
上記炭素数1〜11のハロアルコキシ基としては、例えば、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ基、3−ブロモ−2−メチルプロポキシ基、4−ブロモブトキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0028】
上記炭素数1〜11のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、c−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、c−ブチルチオ基、1−メチル−c−プロピルチオ基、2−メチル−c−プロピルチオ基、n−ペンチルチオ基、1−メチル−n−ブチルチオ基、2−メチル−n−ブチルチオ基、3−メチル−n−ブチルチオ基、1,1−ジメチル−n−プロピルチオ基、1,2−ジメチル−n−プロピルチオ基、2,2−ジメチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−n−プロピルチオ基、c−ペンチルチオ基、1−メチル−c−ブチルチオ基、2−メチル−c−ブチルチオ基、3−メチル−c−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−c−プロピルチオ基、2,3−ジメチル−c−プロピルチオ基、1−エチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−c−プロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、1−メチル−n−ペンチルチオ基、2−メチル−n−ペンチルチオ基、3−メチル−n−ペンチルチオ基、4−メチル−n−ペンチルチオ基、1,1−ジメチル−n−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−n−ブチルチオ基、1,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−n−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−n−ブチルチオ基、1−エチル−n−ブチルチオ基、2−エチル−n−ブチルチオ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルチオ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルチオ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルチオ基、c−ヘキシルチオ基、1−メチル−c−ペンチルチオ基、2−メチル−c−ペンチルチオ基、3−メチル−c−ペンチルチオ基、1−エチル−c−ブチルチオ基、2−エチル−c−ブチルチオ基、3−エチル−c−ブチルチオ基、1,2−ジメチル−c−ブチルチオ基、1,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、2,4−ジメチル−c−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−c−ブチルチオ基、1−n−プロピル−c−プロピルチオ基、2−n−プロピル−c−プロピルチオ基、1−i−プロピル−c−プロピルチオ基、2−i−プロピル−c−プロピルチオ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルチオ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルチオ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルチオ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルチオ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基等が挙げられる。
【0029】
上記炭素数1〜11のモノアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、c−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、c−ブチルアミノ基、1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−メチル−c−プロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、1−メチル−n−ブチルアミノ基、2−メチル−n−ブチルアミノ基、3−メチル−n−ブチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、2,2−ジメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−n−プロピルアミノ基、c−ペンチルアミノ基、1−メチル−c−ブチルアミノ基、2−メチル−c−ブチルアミノ基、3−メチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−プロピルアミノ基、2,3−ジメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−c−プロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、1−メチル−n−ペンチルアミノ基、2−メチル−n−ペンチルアミノ基、3−メチル−n−ペンチルアミノ基、4−メチル−n−ペンチルアミノ基、1,1−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−n−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−n−ブチルアミノ基、1−エチル−n−ブチルアミノ基、2−エチル−n−ブチルアミノ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルアミノ基、c−ヘキシルアミノ基、1−メチル−c−ペンチルアミノ基、2−メチル−c−ペンチルアミノ基、3−メチル−c−ペンチルアミノ基、1−エチル−c−ブチルアミノ基、2−エチル−c−ブチルアミノ基、3−エチル−c−ブチルアミノ基、1,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、2,4−ジメチル−c−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−c−ブチルアミノ基、1−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−n−プロピル−c−プロピルアミノ基、1−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、2−i−プロピル−c−プロピルアミノ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルアミノ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルアミノ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルアミノ基等が挙げられる。
【0030】
上記各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜11のジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジ−c−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−i−ブチルアミノ基、ジ−s−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、ジ−c−ブチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ペンチルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(4−メチル−n−ペンチル)アミノ基、ジ−(1,1−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−n−ブチル)アミノ基、ジ−(1,1,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−1−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−n−プロピル)アミノ基、ジ−c−ヘキシルアミノ基、ジ−(1−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(2−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(3−メチル−c−ペンチル)アミノ基、ジ−(1−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3−エチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,2−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(2,4−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(3,3−ジメチル−c−ブチル)アミノ基、ジ−(1−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−n−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−i−プロピル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,2−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2,2,3−トリメチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(1−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−1−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−2−メチル−c−プロピル)アミノ基、ジ−(2−エチル−3−メチル−c−プロピル)アミノ基等が挙げられる。
【0031】
上記炭素数2〜11のアルキルカルボニル基としては、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、c−プロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、c−ブチルカルボニル基、1−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−メチル−c−プロピルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、1−メチル−n−ブチルカルボニル基、2−メチル−n−ブチルカルボニル基、3−メチル−n−ブチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−n−プロピルカルボニル基、c−ペンチルカルボニル基、1−メチル−c−ブチルカルボニル基、2−メチル−c−ブチルカルボニル基、3−メチル−c−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−c−プロピルカルボニル基、2,3−ジメチル−c−プロピルカルボニル基、1−エチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−c−プロピルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−n−ペンチルカルボニル基、2−メチル−n−ペンチルカルボニル基、3−メチル−n−ペンチルカルボニル基、4−メチル−n−ペンチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1−エチル−n−ブチルカルボニル基、2−エチル−n−ブチルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニル基、c−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−c−ペンチルカルボニル基、2−メチル−c−ペンチルカルボニル基、3−メチル−c−ペンチルカルボニル基、1−エチル−c−ブチルカルボニル基、2−エチル−c−ブチルカルボニル基、3−エチル−c−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、2,4−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−c−ブチルカルボニル基、1−n−プロピル−c−プロピルカルボニル基、2−n−プロピル−c−プロピルカルボニル基、1−i−プロピル−c−プロピルカルボニル基、2−i−プロピル−c−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニル基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルカルボニル基等が挙げられる。
【0032】
上記炭素数3〜11のアルケニルカルボニル基としては、例えば、エテニルカルボニル基、1−プロペニルカルボニル基、2−プロペニルカルボニル基、1−メチル−1−エテニルカルボニル基、1−ブテニルカルボニル基、2−ブテニルカルボニル基、3−ブテニルカルボニル基、2−メチル−1−プロペニルカルボニル基、2−メチル−2−プロペニルカルボニル基、1−エチルエテニルカルボニル基、1−メチル−1−プロペニルカルボニル基、1−メチル−2−プロペニルカルボニル基、1−ペンテニルカルボニル基、2−ペンテニルカルボニル基、3−ペンテニルカルボニル基、4−ペンテニルカルボニル基、1−n−プロピルエテニルカルボニル基、1−メチル−1−ブテニルカルボニル基、1−メチル−2−ブテニルカルボニル基、1−メチル−3−ブテニルカルボニル基、2−エチル−2−プロペニルカルボニル基、2−メチル−1−ブテニルカルボニル基、2−メチル−2−ブテニルカルボニル基、2−メチル−3−ブテニルカルボニル基、3−メチル−1−ブテニルカルボニル基、3−メチル−2−ブテニルカルボニル基、3−メチル−3−ブテニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニルカルボニル基、1−i−プロピルエテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニルカルボニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニルカルボニル基、1−c−ペンテニルカルボニル基、2−c−ペンテニルカルボニル基、3−c−ペンテニルカルボニル基、1−ヘキセニルカルボニル基、2−ヘキセニルカルボニル基、3−ヘキセニルカルボニル基、4−ヘキセニルカルボニル基、5−ヘキセニルカルボニル基、1−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、1−n−ブチルエテニルカルボニル基、2−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、2−n−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、3−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、3−エチル−3−ブテニルカルボニル基、4−メチル−1−ペンテニルカルボニル基、4−メチル−2−ペンテニルカルボニル基、4−メチル−3−ペンテニルカルボニル基、4−メチル−4−ペンテニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニルカルボニル基、1−s−ブチルエテニルカルボニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、1−i−ブチルエテニルカルボニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニル基、2−i−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニル基、1−エチル−1−ブテニルカルボニル基、1−エチル−2−ブテニルカルボニル基、1−エチル−3−ブテニルカルボニル基、1−n−プロピル−1−プロペニルカルボニル基、1−n−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、2−エチル−1−ブテニルカルボニル基、2−エチル−2−ブテニルカルボニル基、2−エチル−3−ブテニルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルカルボニル基、1−t−ブチルエテニルカルボニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニルカルボニル基、1−i−プロピル−1−プロペニルカルボニル基、1−i−プロピル−2−プロペニルカルボニル基、1−メチル−2−c−ペンテニルカルボニル基、1−メチル−3−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−1−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−2−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−3−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−4−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチル−5−c−ペンテニルカルボニル基、2−メチレン−c−ペンチルカルボニル基、3−メチル−1−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−2−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−3−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−4−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチル−5−c−ペンテニルカルボニル基、3−メチレン−c−ペンチルカルボニル基、1−c−ヘキセニルカルボニル基、2−c−ヘキセニルカルボニル基、3−c−ヘキセニルカルボニル基等が挙げられる。
【0033】
上記炭素数3〜11のアルキニルカルボニル基としては、例えば、エチニルカルボニル基、1−プロピニルカルボニル基、2−プロピニルカルボニル基、1−ブチニルカルボニル基、2−ブチニルカルボニル基、3−ブチニルカルボニル基、1−メチル−2−プロピニルカルボニル基、1−ペンチニルカルボニル基、2−ペンチニルカルボニル基、3−ペンチニルカルボニル基、4−ペンチニルカルボニル基、1−メチル−2−ブチニルカルボニル基、1−メチル−3−ブチニルカルボニル基、2−メチル−3−ブチニルカルボニル基、3−メチル−1−ブチニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニルカルボニル基、2−エチル−2−プロピニルカルボニル基、1−ヘキシニルカルボニル基、2−ヘキシニルカルボニル基、3−ヘキシニルカルボニル基、4−ヘキシニルカルボニル基、5−ヘキシニルカルボニル基、1−メチル−2−ペンチニルカルボニル基、1−メチル−3−ペンチニルカルボニル基、1−メチル−4−ペンチニルカルボニル基、2−メチル−3−ペンチニルカルボニル基、2−メチル−4−ペンチニルカルボニル基、3−メチル−1−ペンチニルカルボニル基、3−メチル−4−ペンチニルカルボニル基、4−メチル−1−ペンチニルカルボニル基、4−メチル−2−ペンチニルカルボニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニルカルボニル基、1,1−ジメチル−3−ブチニルカルボニル基、1,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニル基、2,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニルカルボニル基、1−エチル−2−ブチニルカルボニル基、1−エチル−3−ブチニルカルボニル基、1−n−プロピル−2−プロピニルカルボニル基、2−エチル−3−ブチニルカルボニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニルカルボニル基等が挙げられる。
【0034】
上記炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、c−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、i−ブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、c−ブチルカルボニルオキシ基、1−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、c−ペンチルカルボニルオキシ基、1−メチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、3−メチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−n−ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニルオキシ基、c−ヘキシルカルボニルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルカルボニルオキシ基、2−メチル−c−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−c−ペンチルカルボニルオキシ基、1−エチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2−エチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、3−エチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、2,4−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−c−ブチルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−n−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1−i−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−i−プロピル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2−トリメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2,2,3−トリメチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−1−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基、2−エチル−3−メチル−c−プロピルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
上記炭素数3〜11のアルケニルカルボニルオキシ基としては、例えば、エテニルカルボニルオキシ基、1−プロペニルカルボニルオキシ基、2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−エテニルカルボニルオキシ基、1−ブテニルカルボニルオキシ基、2−ブテニルカルボニルオキシ基、3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−エチルエテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピルエテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−i−プロピルエテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−ヘキセニルカルボニルオキシ基、2−ヘキセニルカルボニルオキシ基、3−ヘキセニルカルボニルオキシ基、4−ヘキセニルカルボニルオキシ基、5−ヘキセニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−n−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−n−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−エチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−1−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−2−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−3−ペンテニルカルボニルオキシ基、4−メチル−4−ペンテニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−s−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1−i−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、2−i−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1−エチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、1−エチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、2−エチル−1−ブテニルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−ブテニルカルボニルオキシ基、2−エチル−3−ブテニルカルボニルオキシ基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−t−ブチルエテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−i−プロピル−1−プロペニルカルボニルオキシ基、1−i−プロピル−2−プロペニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−1−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−4−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチル−5−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、2−メチレン−c−ペンチルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−2−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−3−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−4−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチル−5−c−ペンテニルカルボニルオキシ基、3−メチレン−c−ペンチルカルボニルオキシ基、1−c−ヘキセニルカルボニルオキシ基、2−c−ヘキセニルカルボニルオキシ基、3−c−ヘキセニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
上記炭素数3〜11のアルキニルカルボニルオキシ基としては、例えば、エチニルカルボニルオキシ基、1−プロピニルカルボニルオキシ基、2−プロピニルカルボニルオキシ基、1−ブチニルカルボニルオキシ基、2−ブチニルカルボニルオキシ基、3−ブチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、1−ペンチニルカルボニルオキシ基、2−ペンチニルカルボニルオキシ基、3−ペンチニルカルボニルオキシ基、4−ペンチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ブチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ブチニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、2−エチル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、1−ヘキシニルカルボニルオキシ基、2−ヘキシニルカルボニルオキシ基、3−ヘキシニルカルボニルオキシ基、4−ヘキシニルカルボニルオキシ基、5−ヘキシニルカルボニルオキシ基、1−メチル−2−ペンチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−3−ペンチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−4−ペンチニルカルボニルオキシ基、2−メチル−3−ペンチニルカルボニルオキシ基、2−メチル−4−ペンチニルカルボニルオキシ基、3−メチル−1−ペンチニルカルボニルオキシ基、3−メチル−4−ペンチニルカルボニルオキシ基、4−メチル−1−ペンチニルカルボニルオキシ基、4−メチル−2−ペンチニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−2−ブチニルカルボニルオキシ基、1,1−ジメチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、1,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、2,2−ジメチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、3,3−ジメチル−1−ブチニルカルボニルオキシ基、1−エチル−2−ブチニルカルボニルオキシ基、1−エチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、1−n−プロピル−2−プロピニルカルボニルオキシ基、2−エチル−3−ブチニルカルボニルオキシ基、1−メチル−1−エチル−2−プロピニル基、1−i−プロピル−2−プロピニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
上記炭素数3〜11のアリール基、ハロゲン化アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン化ヘテロアリール基としては、例えば、フェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フリル基、クロロフリル基、フルオロフリル基、チエニル基、クロロチエニル基、フルオロチエニル基、ピロリル基、クロロピロリル基、フルオロピロリル基、イミダゾリル基、クロロイミダゾリル基、フルオロイミダゾリル基等が挙げられる。
【0038】
上記式(1)で示されるチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物の具体例としては、下記式で示されるもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
上記式(1)で示されるチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物は、従来公知の方法で合成することができる。
具体的には、例えば、上記式(1)において、R1とR3とが同一かつR2とR4とが同一の場合、下記スキームに示される一連の反応にて製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
【化10】

(式中、R1及びR2は上記の通り。Rは任意のアルキル基を示す。)
【0047】
即ち、チオフェンカルボン酸とジアルキルアミンを反応させて、チオフェンアミドを合成する。次に、上記チオフェンアミドとn−ブチルリチウムを反応させて、チオフェン縮環ベンゾキノンを合成する。最後に、チオフェン縮環ベンゾキノンとトリメチルシリルカルボジイミドを反応させることで、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物を合成できる。
【0048】
また、上記式(1)において、R1とR3及び/又はR2とR4とが異なる場合、下記スキームに示される一連の反応にて製造することができるが、これに限定されるものではない。
【化11】

(式中、R1〜R4は上記の通り。Rは任意のアルキル基を示す。)
【0049】
本発明の電荷貯蔵材料は、上記式(1)で示されるチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる。電荷貯蔵材料とは電荷を貯蔵することができる材料のことであり、これは、例えば、電池の電極活物質として有用である。
【0050】
本発明の電池は、上記チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料を電極活物質として用いることに特徴があり、その他の電池素子の構成部材は従来公知のものから適宜選択して用いればよい。
【0051】
一例として、二次電池について説明する。
二次電池は、一般的に、正極層と、負極層と、正極層と負極層の間に配されるセパレータ層と、これら全てを含む電池素子内部に充填される電解液とから構成される。正極層及び負極層は、集電体である基板上に、電極活物質と、必要に応じて電極層の導電性向上のために炭素等からなる導電助剤と、更に必要に応じて成膜均一性向上、イオン伝導性向上、電解液への溶出抑制等のためにバインダーとを含む薄膜を形成することで構成される。電解液は、イオン伝導の本体である塩からなる電解質と溶媒等とから構成される。
この正極層又は負極層の電極活物質として、上記チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物が用いられる。
上記電極活物質を正極層、負極層のいずれの電極層に使用するかは特に限定されるものではなく、相対する電極の電位の貴、卑によって決定される。また、両極ともに上記電極活物質を使用してもよい。
【0052】
二次電池の形態、電極活物質や電解液の種類は特に限定されるものではなく、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、マンガン電池、空気電池等のいずれの形態を用いてもよい。ラミネート方法や生産方法についても特に限定されるものではない。
【0053】
上記電極層は、上記チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物、溶媒、必要に応じて導電助剤、バインダー、従来公知の他の電極活物質等を混合して電極スラリーを調製し、これを用いて基板上に薄膜を形成することで作製することができる。
上記薄膜の形成方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の各種方法を用いることができる。例えば、上記チオフェン縮環ジシアノキノンジイミン化合物を含む材料を有機溶媒に溶解又は懸濁したワニスを用いたオフセット印刷、スクリーン印刷等の各種印刷法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、インクジェット法等が挙げられる。
【0054】
上記電極層に用いられる基板としては、例えば、白金、金、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、リチウム等の金属基板、これらの金属の任意の組み合わせからなる合金基板、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)等の酸化物基板、又はグラッシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンフェルト等の炭素基板等が挙げられる。
【0055】
上記導電助剤としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等の炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子等が挙げられる。上記導電助剤は単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0056】
上記バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、又はこれらの任意の組み合わせからなる共重合体やブレンドポリマー等が挙げられる。
【0057】
上記電極スラリー用溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0058】
本発明の電極活物質を正極層に使用する場合、負極層内に含まれる負極活物質としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等の炭素材料、金属リチウム、Li−Al、Li−Si、Li−Sn等のリチウム合金、チタン酸リチウム、シリコン(Si)、SiO、SiO2、Si−SiO2複合体、スズ(Sn)、SnO、SnO2、PbO、PbO2、GeO、GeO2、WO2、MoO2,Fe23、Nb25、TiO2、Li4Ti512、Li2Ti37等が挙げられる。
【0059】
本発明の電極活物質を負極層に使用する場合、正極層内に含まれる正極活物質としては、ニトロキシラジカル基を含有する化合物、有機硫黄ポリマー、キノンポリマー、キノイド系材料、ジオン系材料、ルベアン酸系材料等の有機電極活物質、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiNi0.5Mn0.52、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、Fe2(SO43、LiMnSiO4、V25等の無機電極活物質等が挙げられる。
なお、正極を空気極とし、空気電池として用いてもよい。その場合、正極層内に含まれる酸化還元補助材として、酸化マンガン等の無機材料、TEMPOポリマー等のニトロキシラジカル材料を使用してもよい。
【0060】
また、容量向上、充放電速度向上等の目的のために、上記チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物と他の電極活物質とを併用してもよい。上記他の電極活物質としては、従来公知のものでよく、例えば、上記の有機電極活物質及び無機電極活物質等が挙げられる。
【0061】
上記電極活物質を含む薄膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜1000μm程度、より好ましくは1〜100μm程度である。
【0062】
また、上記電極層に含まれる電極活物質の溶出を更に抑制するため、電極活物質を含む薄膜に更にポリアルキレンオキサイド及びイオン伝導性塩を含ませてもよく、又は電極を保護膜で被覆してもよい。上記保護膜は、ポリアルキレンオキサイド及びイオン伝導性塩を含むことが好ましい。
ポリアルキレンオキサイドとしては、特に限定されないが、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等が好ましい。
上記ポリアルキレンオキサイドの数平均分子量は、300,000〜900,000が好ましく、500,000〜700,000がより好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0063】
また、上記イオン伝導性塩としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムトリフルオロメタンスルホナート(LiCF3SO3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等が挙げられる。イオン伝導性塩は、ポリアルキレンオキサイド100質量部に対し、5〜50質量部含まれることが好ましい。
【0064】
上記保護膜は、例えば、電極活物質を含む薄膜を形成した基板上に、ディップ法等の方法でポリアルキレンオキサイド、イオン伝導性塩及び溶媒を含む組成物を塗布し、40〜60℃で30〜120分間乾燥させて形成できる。
上記溶媒としては、アセトニトリル、ジクロロメタン等が好ましい。
上記保護膜の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは10〜1,000μm程度、より好ましくは50〜500μm程度である。
【0065】
上記セパレータ層に使用される材料としては、例えば、多孔質ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。
【0066】
上記電解液を構成する電解質としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiN(C25SO22、LiAsF6、LiSbF6、LiAlF4、LiGaF4、LiInF4、LiClO4、LiN(CF3SO22、LiCF3SO3、LiSiF6、LiN(CF3SO2)(C49SO2)等のリチウム塩、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ化物塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ化物塩及び過塩素酸塩、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物等が挙げられる。
【0067】
また、ポリエチレンオキサイド系材料、Li2S−P25等のチオリシコン系材料や、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、フッ化ビニリデン等のモノマーを重合又は共重合して得られる高分子化合物等の固体電解質を用いてもよい。
【0068】
上記電解液を構成する溶媒は、電池を構成する物質に対して腐食や分解を生じさせて性能を劣化させるものでなく、上記電解質を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、非水系の溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類等が用いられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0069】
上記チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物を含む電池は、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料を電極活物質として用いることで、一般的な二次電池と比較して高速充放電、高容量、高サイクル性を有することができる。
【実施例】
【0070】
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、1H−NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置(ECX−300、日本電子(株)製、溶媒CDCl3、内標TMS)を、マススペクトルは、MALDI−TOFMS分析計(Voyger DE PRO、アプライドバイオシステムズ社製)を、元素分析は、元素分析装置(JM10 MICRO CODER、(株)ジェイ・サイエンス・ラボ製)を用いて測定した。
【0071】
[合成例1]チオフェン縮環ジシアノキノンジイミンの合成
下記スキームに従って、チオフェン縮環ジシアノキノンジイミン(4)を合成した。
【化12】

(式中、Meはメチル基、Buはブチル基を示す。)
【0072】
[1]N,N−ジメチル−3−チオフェンアミド(2)の合成
300mLナスフラスコ中で、3−チオフェンカルボン酸(1)15.0g(0.12mol、1eq、東京化成工業(株)製)、ジメチルアミン塩酸塩(11.2g、1.2eq)及びジメチルアミノピリジン401mg(3.28mmol、0.025eq)を、ジクロロメタン200mLに溶解した後、1−エチル−3−(3,3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩22.5g(0.12mol、1.0eq)を加え、室温で3時間反応させた。反応後、反応液にトリエチルアミン45mLを加え、生成した白色固体をろ過して除去した。エバポレーターにてジクロロメタンを減圧留去した後、酢酸エチルを留出溶媒としたシリカゲルカラムによる精製を行った。精製画分から溶媒を減圧留去し、無色透明オイル状のN,N−ジメチル−3−チオフェンアミド(2)15.4g(99mmol)を得た(収率85%)。
1H−NMRの測定結果を以下に示す。
N,N−ジメチル−3−チオフェンアミド(2)の分析値
1H-NMR(CDCl3, 300MHz, ppm): δ = 7.53(dd,1H), 7.32(q,1H), 7.22(dd,1H), 3.09(s,6H)
【0073】
[2]チオフェン縮環ベンゾキノン(3)の合成
窒素雰囲気下、300mL四つ口ナスフラスコ中で、N,N−ジメチル−3−チオフェンアミド(2)15.1g(97mmol)を、ジエチルエーテル150mLに溶解した後、−65℃に冷却した。−65℃を保ったままn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6M)61mL(97mmol、1.0eq)を加え、室温まで昇温し、その温度で2時間反応させた。反応後、反応液に飽和塩化ナトリウム水溶液60mLを加え、生成した黄色固体をろ別した。得られた黄色固体は、テトラヒドロフラン/アセトニトリル(1/1(v/v))を溶媒として用いて再結晶によって精製した。黄色固体のチオフェン縮環ベンゾキノン(3)6.8g(30.7mmol)を得た(収率63%)。
1H−NMRの測定結果を以下に示す。
チオフェン縮環ベンゾキノン(3)の分析値
1H-NMR(CDCl3, 300MHz, ppm): δ = 7.66(m,4H)
【0074】
[3]チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)の合成
窒素雰囲気下、300mL四つ口ナスフラスコ中で、チオフェン縮環ベンゾキノン(3)4.0g(18.1mmol)及びトリメチルシリルカルボジイミド18.6g(99.8mmol、5.5eq、東京化成工業(株)製)を、ジクロロエタン100mLに溶解した後、四塩化チタン/ジクロロメタン溶液(1.0M)91mL(91.0mmol、5.0eq、Aldrich社製)を加え、60℃で5時間反応させた。反応後、反応液にメタノール60mLを加え、生成した赤色固体をろ別した。得られた赤色固体を熱アセトニトリルで洗浄後、クロロホルムにてソックスレー抽出を行った。クロロホルムから析出した赤色固体を、o−ジクロロベンゼンを溶媒として再結晶精製を行い、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)4.1g(15.2mmol)を得た(収率84%)。
元素分析、質量分析の測定結果を以下に示す。
チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)の分析値
元素分析(found) C 53.44, H 1.53, N 20.15 %, (calcd) C 53.72, H 1.50, N 20.88 %
Mass: m/z = 267.2(found), 268.0(calcd),
【0075】
[合成例2]ジシアノアントラキノンジイミンの合成
下記スキームに従って、ジシアノアントラキノンジイミン(6)を合成した。
【化13】

【0076】
窒素雰囲気下、300mLナスフラスコ中で、アントラキノン(5)(東京化成工業(株)製)2.01g(9.61mmol)をジクロロエタン120mLに溶解した後、四塩化チタン/ジクロロメタン溶液(1.0M)24.0mL(24.0mmol,2.5eq,Aldrich社製)を加え、室温で20分激しく攪拌した。得られた懸濁液に室温でトリメチルシリルカルボジイミド10.8g(48.0mmol,5.0eq,東京化成工業(株)製)を加え、室温で5分攪拌した後、60℃オイルバス中で100分攪拌した。放冷後、反応液を0℃まで冷却し、シリカゲル20gを加えた。激しく攪拌した後、得られたスラリーをシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)(シリカゲル50g,留出溶媒ジクロロエタン)にて精製した。TLCのRf値0.31(展開溶媒ジクロロエタン)付近の主成分を集め減圧下濃縮乾固した後、アセトニトリル200mLを加え、80℃まで加熱溶解した後に室温まで冷却して再結晶した。析出した黄色結晶を濾取し、濾物を減圧下乾燥してジシアノアントラキノンジイミン(6)1.46g(5.70mmol,収率59%)を得た。
ジシアノアントラキノンジイミン(6)の分析値
1H-NMR(CDCl3, 300MHz, ppm): δ = 7.89(m,4H), 8.8(br,4H)
【0077】
[実施例1]チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)の溶解性試験
バイアル瓶に合成例1で合成したチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)(T−DCNQI)1mgを入れ、その後溶媒1mLを加えた。溶媒としては、アセトニトリル、炭酸プロピレン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、メタノール、塩化メチレン、ジメチルホルムアミドを使用した。チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミンの溶解は、目視にて確認した。
【0078】
[比較例1]ジシアノアントラキノンジイミン(6)の溶解性試験
チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミンに代えて合成例2で合成したジシアノアントラキノンジイミン(6)(Anth−DCNQI)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で溶解性試験を実施した。
【0079】
実施例1及び比較例1の溶解性試験の結果を表1に示す。溶解しなかったものを○、着色するが溶け残ったものを△、溶解したものを×とした。
【0080】
【表1】

【0081】
表1に示されるように、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミンは比較例1のジシアノアントラキノンジイミンと比較して種々の溶媒への溶解性が小さくなっており、電解液への溶け出しが抑制される。
【0082】
[実施例2、比較例2]チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)の熱分析
チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)及びジシアノアントラキノンジイミン(6)について、示差熱・熱重量同時測定(TG/DTA)行った。測定には(株)リガク製ThermoplusTG8120を用いた。
熱分析の結果より求められた5%重量減温度を表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
表2に示されるように、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミンはアントラキノンジイミンと比較して5%重量減温度が100℃以上向上した。このため、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミンは耐熱性に優れた電極活物質として機能するといえる。
【0085】
[実施例3]チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)を用いた薄膜電極のCV測定
実施例1で合成したチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)10mgに、導電補助材としてアセチレンブラック粉末30mg及びDMSO320mgに溶解させたポリフッ化ビニリデン樹脂バインダー10mgを加え、メノウ乳鉢を用いて混練した。20分程混合して得られた混合体を白金基板上に塗布し、これを50℃で24時間加熱真空乾燥して薄膜電極を得た。
次に、ポリエチレンオキサイド1.83g(Mn=600,000、Aldrich社製)及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)0.66gをアセトニトリル25mLに溶解させ、作製した薄膜電極上に塗布し、これを40℃で3時間加熱乾燥し、保護膜を作製した。
【0086】
次に得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1.0mol/LのLiTFSIのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート溶液を使用した。なお、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合比は、体積比でエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3とした。
【0087】
上記薄膜電極を作用極11に、白金電極を対極12に、Ag/Ag+電極を参照極13に用い、これらをビーカー10内に設置し、この中に上記と同様の電解液14を加えて、図1に示すようなビーカーセル1を作製した。
【0088】
このビーカーセルを用いてCV測定を行った結果、チオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン(4)を用いて作製した薄膜電極は、図2に示すように、−0.34、−0.55Vに2段階の還元波を示した。掃引回数の増加に伴い、活性物質の電解液中への溶出が原因と考えられるピーク電流値の減衰が生じるが、5周掃引後においては79%の容量が保持されていた。なお、容量は電流値を積算して算出した。
【符号の説明】
【0089】
1 ビーカーセル
10 ビーカー
11 作用極
12 対極
13 参照極
14 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるチオフェン縮環ジシアノベンゾキノンジイミン化合物からなる電荷貯蔵材料。
【化1】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換の1価炭化水素基、炭素数3〜12の置換もしくは非置換のヘテロアリール基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルコキシ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキルチオ基、炭素数1〜12の置換もしくは非置換のモノアルキルアミノ基、又は各々のアルキル基がそれぞれ独立に炭素数1〜12の置換もしくは非置換のアルキル基であるジアルキルアミノ基を表す。)
【請求項2】
前記R1〜R4が、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基である請求項1記載の電荷貯蔵材料。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電荷貯蔵材料からなる電極活物質。
【請求項4】
請求項3記載の電極活物質及び溶媒を含む電極スラリー。
【請求項5】
請求項4記載の電極活物質を含む薄膜。
【請求項6】
請求項5記載の電極スラリーから作製される薄膜。
【請求項7】
請求項5又は6記載の薄膜を含む電極。
【請求項8】
保護膜で被覆されている請求項7記載の電極。
【請求項9】
保護膜が、ポリアルキレンオキサイド及びイオン伝導性塩を含む請求項8記載の電極。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項記載の電極を含む電池。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−20710(P2013−20710A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150721(P2011−150721)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】