説明

電解用フッ素系陽イオン交換膜

【課題】塩化アルカリ水溶液の電解に用いられ、長期にわたって優れた電気化学的性質と機械強度を保持しつつ、水酸化アルカリを高純度で生成可能な含フッ素系陽イオン交換膜の提供。
【解決手段】イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材からなり、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を持ち、突出部分の高さの平均が20〜150μm,分布密度が20〜1500個/cm2等の特徴を有する電解用イオン交換膜及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解用イオン交換膜、更に詳しくは、塩化アルカリ水溶液の電解に使用され、電気化学的性質及び機械的強度を保持しながら安定した電解性能、特にイオン交換によって得られる水酸化アルカリ中の不純物を低減し品質を向上させることが可能な電解用陽イオン交換膜及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素イオン交換膜は耐熱性、耐薬品性などが優れていることから、塩化アルカリの電解による塩素と水酸化アルカリの製造のための電解用イオン交換膜をはじめとして、オゾン発生用、燃料電池、水電解、塩酸電解などの電解用隔膜として、各種用途に広く使用され、更に新しい用途が広がりつつある。
【0003】
これらの中で、塩化アルカリの電解による塩素と水酸化アルカリの製造は、近年、イオン交換膜法が主流となっており、ここで用いられるイオン交換膜には、高い電流効率と低い電解電圧、取扱い時や電解時に損傷しない程度の膜強度と同時に、製造する水酸化アルカリ中に含まれる不純物、特に塩化アルカリの低濃度化も要求されている。かかる要求を満たすため、種々の提案がなされており、電気抵抗は高いが高電流効率を示すカルボン酸基を持つ含フッ素樹脂からなる層及び低い電気抵抗を有するスルホン酸基を持つ含フッ素樹脂からなる層の複層構造を有する含フッ素イオン交換膜が有用であり、現在の主流となっていることは周知である。
【0004】
また、膜の含水率を増して電気抵抗を下げるために種々の提案がなされているが、カルボン酸基を有する層のイオン交換容量を増すと電流効率が低下し、同時に水酸化アルカリ中の不純物も増加する問題点がある。また、スルホン酸基を有する層のイオン交換容量を増して電気抵抗を下げようとした場合には、やはり生成する水酸化アルカリ中の不純物が増加し、更に膜の強度低下が顕著になる問題点が発生する。
最近では、特許文献1及び特許文献2などには、膜の構成をより多層化し、それぞれの層の含水率を規定したものがあり、電解電圧低減と膜強度の改善を図った提案がなされているが、この場合、陽極側に面する層の含水率が高すぎるとやはり強度低下が認められるばかりでなく、生成する水酸化アルカリ中の不純物濃度も増加する。
【0005】
一方、膜強度を改良する方法としては、例えば、特許文献3にある通り、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの含フッ素重合体からなる織布などの多孔性基材を膜中に挿入することは、やはり周知の通りである。
更に、特許文献4のように、膜の形状において、PTFEなどからなる織布を陽極面側に突出させることで膜強度を改善する方法も開示されているが、この方法では、織布による突出部分によって囲まれた部分ができるため、電解条件や電解槽の構造によっては膜の陽極表面での塩化アルカリ水溶液の供給性が低下し、生成する水酸化アルカリ中の不純物が増大する。このため、安定した品質の水酸化アルカリを得ることはできない。
【0006】
また、膜の陽極面側の形状を改善する方法において、特許文献5には突起部を持つプレスロールの形状を膜に転写して溝加工を行なう方法、特許文献6には膜表面に織布を埋め込んだ後に引き剥がすことで溝加工を施す方法が開示されているが、これらの製造方法によって得られたイオン交換膜は、予め膜内に埋め込まれたPTFEなどからなる多孔性基材が溝加工を施す膜の表面とは反対側に押し上げられ、実質的に多孔性基材上の樹脂の厚みが薄くなることから、膜の強度低下に繋がる。イオン交換膜は、電解中にあらゆる方向からの応力を受けているため、PTFEなどからなる多孔性基材の方向とは異なる方向、例えば、多孔性基材に対して45度方向の応力に対しては、これらの製造方法で得られたイオン交換膜の強度は大幅に低下し、長期にわたって安定した電解性能を得ることはできない。更に、これらの製造方法によって得られるイオン交換膜では、陽極と膜表面との間の塩化アルカリ水溶液の供給性を改善するためには不十分であり、生成する水酸化アルカリ中の不純物を低減させることはできない。
【0007】
水酸化アルカリ中に不純物、特に塩化アルカリが多量に含まれる場合、水酸化アルカリの用途であるレーヨン、パルプ、紙、化学薬品など高純度製品を必要とする用途には適さないため、生成する水酸化アルカリの不純物濃度低減が切に求められていた。
【特許文献1】特開昭63−113029号公報
【特許文献2】特開昭63−8425号公報
【特許文献3】特開平3−217427号公報
【特許文献4】特開平4−308096号公報
【特許文献5】特開昭60−39184号公報
【特許文献6】特開平6−279600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の技術では達成し得ない、塩化アルカリ水溶液の電解に使用され、長期にわたって電気化学的性質及び機械的強度を保持しながら安定した電解性能、特にイオン交換によって得られる水酸化アルカリ中の不純物を低減し品質を向上させることが可能な電解用イオン交換膜及びその製造方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生成する水酸化アルカリ中の不純物は陽極側から膜内に浸入した陰イオンが陽イオンとイオン対を形成し、陰極液に不純物として溶け込むことで発生することを突き止め、またこの現象は、膜の陽極側表面の塩化アルカリ水溶液の供給性が不足した場合に顕著になることを発見し、本発明に至った。
【0010】
更に詳しく説明すると、本発明者らは、様々なメーカーの電解槽や様々な運転条件で使用されたイオン交換膜を解析した結果、イオン交換膜と密着する面積の大きい陽極や電解の電流密度が高い場合、あるいは、電解槽の陰極とイオン交換膜の陰極側表面が接触しているゼロギャップ式電解槽で運転されたイオン交換膜の一部には、電解槽の陽極形状に沿ってイオン交換膜中に微細な発泡が生じており、性能評価の結果、水酸化アルカリ中の不純物が増大している事実を発見した。
【0011】
この原因が、電解槽の陽極とイオン交換膜の陽極面が密着している部分では、陽極室の塩化アルカリ水溶液の供給性が不足し、塩化アルカリ水溶液の濃度が低下するために、イオン交換膜中に微細な発泡が生じると考え、これを解決するためにイオン交換膜の陽極面側の形状を種々検討した結果、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記の通りである。
1.イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材とからなり、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を持つことを特徴とする電解用イオン交換膜。
2.膜の陽極表面から膜の陽極面側の突出した部分の頂点までを測定した高さの平均が20μm〜150μmであることを特徴とする1.に記載の電解用イオン交換膜。
3.膜の陽極面側の突出した部分の分布密度が20個/cm〜1500個/cmであることを特徴とする1.または2.に記載の電解用イオン交換膜。
4.膜の陽極面側の突出した部分の合計面積が1cmあたり0.01cm〜0.6cmであることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の電解用イオン交換膜。
5.膜の陽極面側の突出した部分が不連続であること特徴とする1.から4.のいずれかに記載の電解用イオン交換膜。
6.イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材とを積層する際に、陽極面側にエンボス処理をした離型紙を密着せしめ、離型紙表面のエンボス形状を転写することで、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を得ることを特徴とする電解用イオン交換膜の製造方法。
7.離型紙を介して減圧にすることにより該離型紙を密着させることを特徴とする、6.に記載の電解用イオン交換膜の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の含フッ素系陽イオン交換膜は、塩化アルカリ水溶液の電解において、電気化学的性質及び機械的強度を保持しつつ、得られる水酸化アルカリ中の不純物を低減し長期にわたって高品質の水酸化アルカリを製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、具体的に説明する。
本発明は、イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材とからなり、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を持つことを特徴とする電解用イオン交換膜である。
本発明では、上記のごとく、膜の陽極面側にあるイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分の高さは、膜の陽極表面から突出した部分の頂点までの高さの平均が、好ましくは20μm〜150μm、より好ましくは20μm〜120μmであり、陽極面側に突出した部分の分布密度が、好ましくは20個/cm〜1500個/cm、より好ましくは50個/cm〜1200個/cmであり、膜の陽極面側の突出した部分の合計面積が1cmあたり0.01cm〜0.6cmであることが好ましい。このような膜の形状により、膜の機械強度や電気化学的性質を損なうことなく電解時の陽極表面での塩化アルカリ水溶液の供給性が著しく向上し、電解によって得られる水酸化アルカリ中の不純物が大幅に低減されることは予想外のことである。
【0015】
また、本発明における膜の陽極面側でイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分は不連続であることが好ましく、この形状により電解時に十分な塩化アルカリ水溶液の供給性が得られる。ここで不連続であるとは、膜表面の狭い範囲において、突出した部分が連続壁状に繋がり、閉ざされた陽極表面がないことを意味し、突出した部分が連続壁状に繋がっていても、閉ざされた陽極表面のないスジ状または線状の突出した部分は不連続であると定義される。即ち、スジ状または線状のイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分が膜表面の陽極面側にある場合、陽極表面での塩化アルカリ溶液の適度な供給性が得られ、生成する水酸化アルカリ中の不純物を低減可能である。好ましくは、突出した部分の形状は、円錐状、三角錐状、四角錐状などの多角錐状、半球状、ドーム状、円柱状、三角柱、四角柱などの多角柱状などであり、これらの形状の中から少なくとも1つ以上が選択されることが好ましく、2つ以上の形状の混合状態であっても構わない。
【0016】
更に、イオン交換膜の陽極面側のポリマーのみからなる突出した部分の大きさについては、該突出部分の陽極側表面上での底辺の長さが、隣接する2つの突出した部分間の距離よりも小さいことが好ましい。この観察は、膜の断面を薄膜に切り出し、光学顕微鏡にて40倍の倍率で観察し、膜の陽極側表面にベースラインを引いて、そのベースライン上で突出した部分の底辺の長さと、隣接する突出部分間の距離を求めて比較することが可能である。
【0017】
本発明で使用される多孔性基材は、膜の強度及び寸法安定性を付与する目的のものであり、膜中に存在することが必須である。かかる多孔性基材は長期にわたる耐熱性、耐薬品性が必要であることから、フッ素系重合体から成る繊維によるものであることが好ましい。これらの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、トリフルオロクロルエチレン−エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン重合体(PVDF)などがあるが、特にポリテトラフルオロエチレンから成る繊維を用いることが好ましい。
【0018】
本発明で使用される多孔性基材は、その糸径が好ましくは20〜300デニール、より好ましくは50〜250デニール、織り密度が好ましくは5〜50本/インチである。多孔性基材の形状としては、織布、不織布または編布などが用いられるが、織布の形態であることが好ましい。また、織布の厚みは、好ましくは30〜250μm、より好ましくは30〜150μmのものが使用される。
多孔性基材の織布または編布はモノフィラメント、マルチフィラメントまたは、これらのヤーン、スリットヤーンなどが使用され、織り方は平織り、絡み織り、編織り、コード織り、シャーサッカなど種々の織り方が使用される。
【0019】
また、開口率としては好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上90%以下である。開口率は、イオン交換膜としての電気化学的性質の観点から30%以上、また、膜の機械的強度の観点から90%以下が好ましい。
これら種々の多孔性基材の中でも、特に好ましい形態としては、例えば、PTFEから成る高強度多孔質シートをテープ状にスリットしたテープヤーン、もしくは、PTFEから成る高度に配向したモノフィラメントの50〜300デニールを使用し、織り密度が10〜50本/インチの平織り構成からなり、更にその厚みは50〜100μmの範囲でかつその開口率は60%以上であることが好ましい。更に、織布には膜の製造工程において、多孔性基材の目ズレを防止する目的で、通常犠牲芯材と呼ばれる補助繊維を含んでも良い。この補助繊維は膜の製造工程もしくは電解環境下において溶解性を有するものであり、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース及びポリアミドなどが用いられる。この場合の補助繊維の混織量は、好ましくは織布または編布全体の10〜80wt%、より好ましくは30〜70wt%である。
【0020】
本発明において用いられる含フッ素重合体とは、フッ素化炭化水素の主鎖からなり、ペンダント側鎖として、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基を有し、かつ溶融加工が可能な重合体を表す。
【0021】
次に、このような含フッ素重合体の一般的な製造方法の例について説明する。
該含フッ素重合体は、第1群より選ばれる少なくとも1種の単量体と、第2及び/または第3群より選ばれる少なくとも1種の単量体を共重合することにより製造することができる。
第1群の単量体としては、フッ化ビニル化合物である。例えば、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロルトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、テトラフルオロエチレンなどの少なくとも1種であり、特にアルカリ電解用膜として使用される場合に、望ましくは水素を含まないパーフルオロ単量体であるテトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレンの中より選ばれるのが好ましい。
【0022】
第2群の単量体としては、カルボン酸型イオン交換基に変換し得る官能基を有するビニル化合物である。一般的には、CF2=CF(OCF2CYF)s−O(CZF)t−COORで表される単量体が用いられる。ここで、s=0〜2、t=1〜12の整数、Y及びZはFまたはCFを表し、Rは低級アルキル基を表す。
好ましい単量体としては、CF2=CFO(CF2CYFO)n−(CF2)m−COORで表される化合物である。ここで、n=0〜2、m=1〜4の整数、Y=FまたはCF、R=CH、CH、CHを表す。
【0023】
特に該重合体をアルカリ電解用膜として用いた場合には、パーフルオロ化合物が好ましいが、R(低級アルキル基)のみは官能基がイオン交換基に加水分解される時点で失われるために、パーフルオロ型である必要はない。
このような好ましい単量体としては、例えば、CF2=CFOCF2−CF(CF3)−O−CF2COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF2)O(CF2)2COOCH3
CF2=CF[OCF2−CF(CF3)]2O(CF2)2COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF3)3COOCH3
CF2=CFO(CF2)2COOCH3、CF2=CFO(CF2)3COOCH3などがある。
【0024】
第3群の単量体としては、スルホン型イオン交換基に変換し得る官能基を有するビニル化合物である。好適な化合物の一般式は、CF2=CFO−X−CF2−SO2Fで表され、ここで、Xは種々のパーフルオロ基が選択される。
具体例としては、CF2=CFOCF2CF2SO2F、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F、CF2=CF(CF2)2SO2F、CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]2CF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF2OCF3)OCF2CF2SO2F、などがあり、これらの中でも特に好適なものとしては、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO2F及び
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fである。
【0025】
これら単量体の共重合体は、フッ化エチレンの単独及び共重合に対して開発された重合法、特にテトラフルオロエチレンに対して用いられる一般的な重合方法によって製造することができる。例えば、非水性法においては、パーフルオロ炭化水素、クロルフルオロカーボン等の不活性な液体を溶媒とし、パーフルオロカーボンパーオキサイドまたはアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で、温度0〜200℃、圧力0.1〜20MPaで行うことができる。
【0026】
共重合するに当たり、前記3つの群より選ばれる単量体の種類及び割合は、フッ素化重合体に希望する官能基の種類及び量によって選択決定される。
例えば、カルボン酸エステル官能基のみを含有する重合体を要求する場合、第1群及び第2群の単量体より、それぞれ少なくとも1種を選択して共重合せしめれば良い。
また、スルホニルフルオライド官能基のみを含有する重合体を要求する場合、第1群及び第3群の単量体より、それぞれ少なくとも1種を選択して共重合せしめれば良い。
更に、カルボン酸エステル、スルホニルフルオライドの2種の官能基を共有する重合体を要求する場合には、第1群、第2群及び第3群の単量体よりそれぞれ少なくとも1種を選択して共重合せしめれば良いことになる。
【0027】
この場合、第1群及び第2群よりなる共重合体と第1群及び第3群よりなる共重合体を別々に重合し、後に混合することによっても目的のフッ素化重合体を得ることができる。また、各単量体の混合割合は、単位重合体当たりに要求される官能基の量を増やす場合、第2群、第3群より選ばれる単量体の割合を増加させれば良い。
一般的には、全官能基の量が交換基に転化された後、好ましくは0.5〜2.0mg当量/g乾燥樹脂、より好ましくは0.6〜1.5mg当量/g乾燥樹脂のイオン交換容量の範囲で用いられる。
【0028】
本発明のイオン交換膜の製造方法は、
イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材とを積層する際に、陽極面側にエンボス処理をした離型紙を密着せしめ、離型紙表面のエンボス形状を転写することで、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を得ることを特徴とする電解用イオン交換膜の製造方法である。
【0029】
ここで、フィルム及び多孔性基材を一体化する際に使用する離型紙には、本発明の目的である、膜の陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を設けるために、予め目的とする形状のエンボス加工を施しておく。離型紙へのエンボス加工方法は、例えば、予め、目的とする突出形状の加工を表面に施した加熱金属ロールに離型紙を密着させ、加工温度が好ましくは20〜120℃、より好ましくは25〜80℃、加熱金属ロールに離型紙を押し付ける樹脂製プレッシャーロールの線圧が好ましくは500N/cm以上、より好ましくは600〜2000N/cm、加工速度を好ましくは50m/分以下、より好ましくは40m/分以下の条件で行うことにより得られる。使用する離型紙の坪量は比較的広い範囲のものが使用可能であるが、ハンドリング性や耐熱性の観点から、50〜400g/mのものが好ましい。
【0030】
また、転写を行なう際には、該離型紙を介して減圧にすることにより該離型紙を密着させる方法が、膜の機械的強度の保持から好ましい。
尚、離型紙に予め加工したエンボス形状を膜の陽極面に転写する際には、転写を確実に行なうため、膜表面の温度が180℃以上300℃以下で行なうことが好ましい。
また、離型紙は、透気度が0.03MPa以下、好ましくは0.025MPa以下である離型紙を用いて、減圧下で加工することが、より膜と離型紙との密着性を上げるため、離型紙に予め加工したエンボス形状を正確に転写できるためより好ましい。
尚、離型紙の透気度の測定は、空気マイクロメーター型試験器にて、JAPAN TAPPI No.5−1:2000の規格に準じて測定した。
【0031】
エンボスの形状は、離型紙へのエンボス加工に用いる金属ロールの表面形状が転写されるため、いかようにも加工が可能である。
本発明の目的を達成するためには、円錐状、三角錐状、四角錐状などの多角錐状、半球状、ドーム状、円柱状、三角柱、四角柱などの多角柱状、スジ状、線状など種々の形状が選択可能である。
また、エンボスの深さは、イオン交換膜の一体化の際に、膜の陽極面側にそのまま転写されるため、前述の通り20〜150μmが好ましく、更に好ましくは20〜120μmである。更に、エンボスの分布密度は、20〜1500個/cmであることが好ましく、更に好ましくは50〜1200個/cm、エンボスの合計面積は、1cmあたり0.01cm〜0.6cmであることが好ましい。
【0032】
この離型紙を用いて前述のような膜を製造した場合、膜の陽極面側には、イオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分が形成され、電解時、陽極との密着性が緩和されることで、陽極の塩化アルカリ溶液が膜の陽極表面に十分に供給され、本発明の目的を達成することが可能である。
ここで、離型紙に加工されるエンボスは、不連続であることが好ましく、格子状のような密閉された形状である場合、膜の陽極表面に転写された際、突出した部分に囲まれた部分ができるため、電解時の塩化アルカリ溶液の十分な供給性を得ることは困難である。
尚、離型紙に加工されるエンボスの配置は、本発明に記載のエンボスの分布密度や深さの範囲を超えない限り、規則正しく配列されていても、ランダム状に配置されていても構わない。
【0033】
特に好ましい方法としては、陰極側に位置するカルボン酸エステル官能基を含有する含フッ素重合体(第1層)とスルホニルフルオライド官能基を有する含フッ素重合体(第2層)を共押出し法によってフィルム化し、これとは別にスルホニルフルオライド官能基を有する含フッ素重合体(第3層)を予め単独でフィルム化し、加熱源及び真空源を有し、その表面に多数の細孔を有する平板またはドラム上に透気性を有する耐熱性の離型紙を介して、第3層フィルム、多孔性基材、第2/第1層複合フィルムの順に積層して、各ポリマーが溶融する温度下で減圧により各層間の空気を除去しながら一体化する方法である。ここで、第1層と第2層とを共押出しすることは界面の接着強度を高めることに寄与しており、また、減圧下で一体化する方法は、加圧プレス法に比べて多孔性基材上の第3層の厚みが大きくなる特徴を有している。更に、多孔性基材が膜の内面に固定されているため、膜の機械的強度が十分に保持できる性能を有している。
【0034】
尚、イオン交換膜の電気的性能を高める目的で、第1層と第2層との間にカルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する第4の層を介在せしめることや、第2層そのものをカルボン酸エステル官能基とスルホニルフルオライド官能基の両方を含有する層に置き換えることも可能である。この場合、カルボン酸エステル官能基を含有する重合体とスルホニルフルオライド官能基を含有する重合体を別々に製造した後に混合する方法でも、また、カルボン酸エステル官能基を持つ単量体とスルホニルフルオライド官能基を持つ単量体の両者を共重合したものであっても使用することができる。第4層を膜の構成として挿入する場合には、第1層と第4層との共押出しフィルムを成形し、第3層と第4層はこれとは別に単独でフィルム化し、前述の方法で積層しても良いし、第1層/第4層/第2層の3層を一度に共押し出しでフィルム化しても良い。
【0035】
尚、第1層の厚みは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜30μm、第2の層は膜の強度を支配する層であるため、好ましくは30〜120μm、より好ましくは40〜100μm、また第3層は15〜50μが好ましい。更に、上記の第4層を介在せしめる場合には、イオン交換膜の加水分解前の合計厚みを、好ましくは200μm以下、より好ましくは50〜180μmの範囲になるよう適宜調整する。膜厚みは、膜の機械的強度の観点から、50μm以上、電解時の電解抵抗の観点から180μm以下が特に好ましい。
【0036】
前述の通り、電解用イオン交換膜は低電圧であることが要求されているが、その手段のひとつとして、カルボン酸基を含有するフッ素樹脂からなる層とスルホン酸基を含有するフッ素樹脂からなる層の厚みを薄くすることが採用されている。この場合、膜強度に関しては、膜の厚みに比例して膜強度が低下すると言う問題がある。膜強度の低下を防ぐ目的で、PTFEなどからなる多孔性基材を膜内に埋め込む方法が取られているが、多孔性基材のあるイオン交換膜では、この多孔性基材の周辺が最も樹脂層が薄くなる部分となり、膜強度に強く影響している。
【0037】
従って、イオン交換膜の強度を低下させないためには、多孔性基材の周辺の樹脂層の厚みを薄くしない製造方法が有効であるが、プレスロールの突出部を膜表面に転写する方法や織布を膜表面に埋め込んだ後に引き剥がす溝加工方法では、膜内の多孔性基材が膜の反対側に押し上げられるため、多孔性基材周辺の樹脂層が薄くなってしまい、膜の強度を低下させるため好ましくない。
【0038】
本発明に記載の予め離型紙に施したエンボスを膜の表面に転写する方法は多孔性基材の周辺の樹脂層を薄くすることなくイオン交換膜の陽極面側に含フッ素系樹脂のみからなる不連続の突出部を設けることができ、膜の強度を低下させずに膜の陽極面側の形状改善が可能となる。また、本発明に記載の製造方法では、溶融した含フッ素ポリマーが直接ロールに接触することがないため、例えば金属ロールなどを用いて突出部の加工を行なったとしても金属ロールの腐食を防ぐことが可能である。更に、本発明の製造方法によって膜の陽極面側表面に設けられた突出部は小さくかつ不連続であるため、電解槽の陽極と膜表面との接触部分が少なくなり塩化アルカリの十分な供給性が得られ、生成する水酸化アルカリ中の不純物を大幅に低減できる画期的な製造方法である。
【0039】
本発明の膜は必要に応じて陰極表面及び陽極表面にガス付着防止のための無機物のコーティング層を有していても構わない。該コーティング層は、例えば、無機酸化物の微細粒子をバインダーポリマー溶液に分散した液をスプレーにより塗布する方法がある。
本発明の含フッ素系陽イオン交換膜は、種々の電解に使用できるが、ここでは、代表例として塩化アルカリ水溶液の電解に使用する場合について説明する。電解の条件については既知の条件が採用可能である。例えば、陽極室に2.5〜5.5規定(N)の塩化アルカリ水溶液を供給し、陰極室には水または希釈した水酸化アルカリ水溶液を供給し、電解温度が50〜120℃、電流密度が5〜100A/dmの条件で電解される。
【0040】
本発明の含フッ素系陽イオン交換膜が使用される電解槽は、上記の構成を有する限りにおいて、単極式でも複極式でも良い。また電解槽を構成する材料としては、例えば、陽極室には塩化アルカリ及び塩素に耐性のあるものとしてチタンが好ましく、陰極室には水酸化アルカリおよび水素に耐性のあるニッケルなどが用いられる。電極の配置については、本発明の含フッ素系陽イオン交換膜と陽極との間に適当な間隔をつけて配置しても良いが、本発明の場合、陽極とイオン交換膜が接触して配置されていても何ら問題なく目的を達成できる。また、陰極は一般的にはイオン交換膜と適当な間隔を以って配置されているが、この間隔がない接触型の電解槽(ゼロギャップ式電解槽)であっても本発明の効果を損なうものではない。
【0041】
次に、実施例及び参考例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び参考例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例及び参考例における電解は、エキスパンドメタル陰極/多孔板(4mmΦ×6ピッチ、開孔率40%)陽極の1dm自己循環型電解セルにて、陽極側に塩化ナトリウム水溶液205g/リットルに調整しつつ供給し、陰極側の苛性ソーダ濃度を32重量%に保ちつつ、60A/dmの電流密度で、温度を90℃に設定し、電解槽の陰極側の液圧と陽極側の液圧との差圧を陰極側の液圧が8.8kPaだけ高い条件にて7日間行った。
【0043】
[実施例1]
多孔性基材としてポリテオラフルオロエチレン(PTFE)製100デニールのテープヤーンに900回/mの撚りをかけ糸状としたものと、補助繊維(犠牲糸)の経糸として30デニール、6フィラメントのポリエチレンテレフタレート(PET)を200回/mの撚りをかけたもの、緯糸として35デニール、8フィラメントのPET製の糸に10回/mの撚りをかけたものを準備し、これらの糸をPTFE糸が24本/インチ、犠牲糸がPTFEに対して4倍の64本/インチとなるよう交互配列で平織りして厚み100μmの織布を得た。得られた織布を加熱された金属ロールで圧着し織布の厚みを70μmに調製した。このとき、PTFE糸のみの開口率は75%であった。
【0044】
次に、CF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOCH3との共重合体でイオン交換容量が0.85mg当量/g乾燥樹脂のポリマー(A)、CF2=CF2とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fとの共重合体でイオン交換容量が0.95mg当量/g乾燥樹脂のポリマー(B)、及びポリマー(B)と同じ構造でイオン交換容量が1.05mg当量/g乾燥樹脂のポリマー(C)を得た。これらのポリマーを使用し、共押出しTダイ法にて、ポリマー(A)層の厚みが25μm、ポリマー(B)層の厚みが75μmの2層フィルム(a)を得た。また、単層Tダイ法にてポリマー(C)の厚み25μmのフィルム(b)を得た。
【0045】
次に、表面に半球状で、その高さの平均値が150μm、突起の分布密度が約250個/cmの突起を有する40℃に加熱された金属製ロールに、樹脂製のプレッシャーロールの線圧1000N/cm、加工速度10m/分で坪量127g/mの離型紙を加工処理した。
ここで、用いた加工処理前の離型紙の透気度は、空気マイクロメーター型試験器にて、JAPAN TAPPI No.5−1:2000の規格に準じて測定した値が、0.005MPaのものを用いた。
【0046】
ここで得られた各種材料を、内部に加熱源及び真空源を有し、その表面に微細孔を有するドラム上に、離型紙、フィルム(b)、多孔性基材、フィルム(a)の順に積層し加熱減圧着した後、離型紙を取り除くことで複合膜を得た。このときの加工温度は225℃、減圧度は0.022MPaであった。
得られた膜を表面観察した結果、陽極面側のフィルム(b)には、高さの平均値が60μmの半球状のイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分が250個/cm、該突出部分の合計面積が1cmあたり0.2cmで形成されていることを確認した。
【0047】
尚、該突出部分の高さの観察は、膜の断面を薄膜に切り出し、光学顕微鏡を用いて40倍の倍率で確認した。結果は該突出部分の平均の高さを用いた。また、膜の陽極側表面の該突出部分の分布密度及び合計面積は、走査型電子顕微鏡を用いて50倍の倍率で確認して求めた。
【0048】
次に、得られた複合膜を90℃で1時間加水分解した後、水洗、乾燥した。更に、ポリマー(C)の酸型ポリマーの5重量%エタノール溶液に、1次粒子径0.02μmの酸化ジルコニウムを20重量%加え、分散させた懸濁液を調合し、この懸濁液を上記複合膜の両面にスプレー法により噴霧し、0.5mg/cmのガス開放性被膜を形成させた。
【0049】
上記のようにして得られた含フッ素系陽イオン交換膜について、引張強度、引張伸度、及び電解性能を評価した。引張強度及び引張伸度の測定は、膜内に埋め込んだ多孔性基材に対して45度方向で幅1cmのサンプルを作成し、チャック間距離50mm、引張り速度100mm/分の条件で、JIS K6732に準じて行った。電解はフィルム(b)が陽極側に向けて配置された前述の電解槽で、60A/dmの電流密度で、温度を90℃に設定して7日間行った。測定した項目は、電解電圧、電流効率、生成する苛性ソーダ中の塩化ナトリウム量であり、それぞれ、電解開始後2日目と7日目の測定値で電解の安定性を評価した。生成した苛性ソーダ中の塩化ナトリウム量(NaCl/50%-NaOH)は、苛性ソーダ中の塩化ナトリウムの塩化物イオンをチオシアン酸水銀と反応させてチオシアン酸イオンを遊離し、該チオシアン酸イオンを鉄(III)イオンと反応させることによって生じるチオシアン酸鉄(III)の呈色の強度測定から得られた値を苛性ソーダ水溶液の濃度が50重量%の場合に換算して求めた。
【0050】
結果は、他の実施例及び参考例とともに表1に示した。引張強度、引張伸度は電解に十分耐え得る値を示していた。また、電解開始後2日目と7日目で電解性能の低下が小さく、苛性ソーダ中の塩化ナトリウム量は極微量であり、電解開始後7日目であっても著しい増加は認められず、安定した電解性能であることを示した。
【0051】
[実施例2]
離型紙のエンボス加工処理において、樹脂製のプレッシャーロールの線圧を650N/cmとし、実施例1と同様の方法にて陽極面側のイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分の平均高さが35μm、突出した部分の分布密度が250個/cm、該突出部分の合計面積が1cmあたり0.15cmの複合膜を作製し、実施例1と同じ条件で電解を行った。結果は同じく表1に示したが、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0052】
[実施例3]
離型紙のエンボス加工処理において、樹脂製のプレッシャーロールの線圧を1800N/cmとし、イオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分の平均高さが110μm、該突出部分の合計面積が1cmあたり0.4cmである以外は実施例1と同様に複合膜を作製し、評価を行った。結果は表1に示した。
やはり、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0053】
[実施例4]
表面に四角錘状で、その高さの平均値が150μm、突起の分布密度が約1000個/cmの突起を有する40℃に加熱された金属製ロールに、樹脂製のプレッシャーロールの線圧900N/cm、加工速度10m/分で得られた坪量127g/mの離型紙を用いてエンボス加工した以外は実施例1と同様に複合膜を作製し、評価を行なった。
用いた加工処理前の離型紙の透気度は、空気マイクロメーター型試験器にて、JAPAN TAPPI No.5−1:2000の規格に準じて測定した値が、0.005MPaのものを用いた。
【0054】
このときのイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分の平均高さは60μm、該突出部分の合計面積が1cmあたり0.1cm、突出した部分の密度が1000個/cm2であることを確認した。結果は表1に示した。やはり、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
【0055】
[比較例1]
エンボス処理をしていない離型紙を用いて、実施例1と同様に複合膜を作製し、評価を行った。陽極側表面の観察を行ったところ、実施例のような突出した部分は見られなかった。結果は表1に示したが、引張試験で確認した機械的強度は良好であったものの、電解性能のうち、電流効率の低下が大きく、また苛性ソーダ中の塩化ナトリウムの量は電解開始後2日目でも高く、7日目では著しく増加していた。
【0056】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の含フッ素系陽イオン交換膜は、塩化アルカリ水溶液の電解において、優れた電気化学的性質と機械強度を保持しながら生成する水酸化アルカリ中の不純物を低減させ、品質の高い水酸化アルカリを提供すると共に、長期にわたって安定した電解性能を発揮でき、電解コスト削減、高純度水酸化アルカリの提供に大きく貢献できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材からなり、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を持つことを特徴とする電解用イオン交換膜。
【請求項2】
膜の陽極表面から膜の陽極面側の突出した部分の頂点までを測定した高さの平均が20μm〜150μmであることを特徴とする請求項1に記載の電解用イオン交換膜。
【請求項3】
膜の陽極面側の突出した部分の分布密度が20個/cm〜1500個/cmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電解用イオン交換膜。
【請求項4】
膜の陽極面側の突出した部分の合計面積が1cmあたり0.01cm〜0.6cmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電解用イオン交換膜。
【請求項5】
膜の陽極面側の突出した部分が不連続であること特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電解用イオン交換膜。
【請求項6】
イオン交換基を有する含フッ素重合体と多孔性基材とを積層する際に、陽極面側にエンボス処理をした離型紙を密着せしめ、離型紙表面のエンボス形状を転写することで、陽極面側にイオン交換基を有するポリマーのみからなる突出した部分を得ることを特徴とする電解用イオン交換膜の製造方法。
【請求項7】
離型紙を介して減圧にすることにより該離型紙を密着させることを特徴とする、請求項6に記載の電解用イオン交換膜の製造方法。

【公開番号】特開2006−45671(P2006−45671A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198656(P2005−198656)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)