説明

非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤

式(I)のヘテロ芳香族化合物(式中、R、R、R、R、及びRは本明細書に定義)は、HIV逆転写酵素阻害剤である。式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、HIV逆転写酵素の阻害、HIV感染の予防と治療、及びAIDSの予防、AIDSの発症又は進行の遅延及びAIDSの治療に有用である。該化合物及びそれらの塩は、医薬組成物の成分として使用し、他の抗ウイルス剤、免疫調節剤、抗生物質、又はワクチンと組み合わせて使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種の3−(置換若しくは未置換の芳香族及び脂肪族ヒドロカルビルオキシ)−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−ピリジン−2(1H)−オン化合物、並びにHIV逆転写酵素の阻害、HIV感染とHIV複製の予防、HIV感染とHIV複製の治療、AIDSの予防、AIDSの治療、及びAIDSの発症及び/又は進行の遅延のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と呼称されるレトロウイルス、取り分けHIV1型(HIV−1)及び2型(HIV−2)として知られる株は、病因学的に、後天性免疫不全症候群(AIDS=エイズ)として知られる免疫抑制性疾患に関連付けられてきた。HIV血清反応陽性の個々人は、当初は無症候であるが、典型的にはAIDS関連複合体(ACR)を生じ、引き続きAIDSを発症する。罹患した個々人は重篤な免疫抑制を示し、それが患者を著しく衰弱させ、最終的には致命的な日和見感染に感染し易くする。宿主細胞によるHIVの複製には、宿主細胞のDNAにウイルスゲノムを組み込ませることが必要である。HIVはレトロウイルスであるため、HIV複製のサイクルには、逆転写酵素(RT)として知られる酵素を介して、ウイルスのRNAゲノムをDNAに転写する必要がある。
【0003】
逆転写酵素は3種の既知の酵素機能を有する:該酵素は、RNA−依存性DNAポリメラーゼとして、リボヌクレアーゼとして、及びDNA−依存性DNAポリメラーゼとして作用する。RNA−依存性DNAポリメラーゼとしてのその役割において、RTはウイルスRNAの一本鎖DNAコピーを転写する。リボヌクレアゼとしてのRTは、原ウイルスRNAを破壊し、生産されたばかりのDNAを原RNAから解放する。また、DNA−依存性DNAポリメラーゼとしてのRTは、第一のDNA鎖を鋳型として用いて、第二の相補性DNA鎖を作製する。この二本の鎖は二本鎖DNAを形成し、このDNAがインテグラーゼ酵素により宿主細胞のゲノムに組み込まれる。
【0004】
HIV RTの酵素機能を阻害する化合物は、感染された細胞においてHIVを阻害することが知られている。これらの化合物は、ヒトのHIV感染の予防又は治療に有用である。HIV感染とAIDSの治療に使用認可されている化合物のうち、RT阻害剤は、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、d4T、3TC、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、アバカビル、エムトリシタビン、及びテノホビルである。
【0005】
前記薬物のそれぞれがHIV感染とAIDSの治療に有効であるが、さらなるRT阻害剤を含め、さらにHIV抗ウイルス薬を開発する必要性が残されている。取り分け問題となるのは、既知の阻害剤に耐性である突然変異HIV株の出現である。AIDSを治療するためにRT阻害剤を使用すると、当該阻害剤に感受性の劣るウイルスに導いてしまう。この耐性は一般にpol遺伝子の逆転写酵素セグメントに生じる突然変異の結果である。HIV感染を予防するために抗ウイルス化合物を連用すると、必然的に、HIVの新しい耐性株が発生することとなる。従って、突然変異HIV株に対して有効な新しいRT阻害剤について、取り分け必要性がある。
【0006】
以下の参照文献は、当該背景技術として対象となるものである:
クレモら(Clemo et al.,J.Chem.Soc.1954,pp.2693−2702)は、4−オキソ−3−(2−ピリジル)ピリドコリン系のある種の誘導体を開示しており、取り分け、6−メチル−6’−フェノキシ−2,2’−メチレンジピリジンを開示している。
【0007】
スゥイーニイら(Sweeney et al.,Bioorganic & Medicinal Chem.Letters 2008,vol.18,pp.4348−4351)は、HIV逆転写酵素の非ヌクレオシド阻害剤であることが判明した一連のトリアゾリノン類を開示している。
【0008】
国際特許出願WO2001/034578は、抗ヘリコバクター・ピロリ菌活性を有するある種の置換アゾール類(例えば、ある種のイミダゾール類及びベンゾイミダゾール類など)を開示している。取り分け、WO’578は、1−[(3−メチル−4−フェノキシ−2−ピリジニル)メチル]−1H−ベンゾイミダゾール(40ページの化合物91参照)を開示している。
【0009】
WO2004/085406及び対応する米国特許US7189718は、逆転写酵素阻害剤としてある種のベンジルピリダジノン類を開示している。
【0010】
WO2005/102989及び対応するUS7166738は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤であるある種のN−フェニル 2−フェニルアセトアミド類を開示している。
【0011】
WO2006/067587は、逆転写酵素のモジュレーターであるある種のビアリールエーテル誘導体を開示している。
【0012】
WO2007/045572及びWO2007/045573は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤であるある種の2−(2−フェノキシフェニル) N−フェニルアセトアミド類を開示している。
【0013】
WO2008/076225は、HIV逆転写酵素阻害剤としてある種のインダゾール類、ベンゾトリアゾール類、及び関連する二環式化合物を開示している。
【0014】
WO2009/067166は、ある種のアリールオキシ−、シクロアルキルオキシ−、及びヘテロシクリルオキシ−ピリジン類、並びに関連化合物を開示している。該化合物は、例えば、HIVによる感染の治療に適するHIV逆転写酵素阻害剤である。開示された化合物としては、ある種の3−(3,5−ジ置換フェノキシ)−1−(1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イルメチル)−4−(置換)ピリジン−2(1H)−オンがある。
【0015】
US2004/0192704は、ある種の3−(フェノキシ)ベンジル置換5員のトリアゾロン類、オキサジアゾロン類、及びチアジアゾロン類を開示している。該化合物は、HIVが仲介する疾患の治療又は予防に有用な非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤であると記載されている。
【0016】
US2007/0021442及びWO2007/015812は、ある種の置換芳香族を開示している。該化合物は、例えば、HIVによる感染の治療に適するHIV逆転写酵素の阻害剤である。
【発明の概要】
【0017】
発明の要旨
本発明は、ある種の3−(置換若しくは未置換のフェノキシ)−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−ピリジン−2(1H)−オン化合物、並びにHIV逆転写酵素の阻害、HIVによる感染の予防、HIVによる感染の治療、AIDS及び/又はARCの発症若しくは進行の予防、治療、及び遅延におけるそれらの使用に関する。より詳しくは、本発明は式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、
は、C1−10アルキル、CycA、又はAryAであり;
CycAは、C3−8シクロアルキルであり;ここで、シクロアルキルは1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、当該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、OH、O−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、又はO−C1−6ハロアルキルであり;
【0020】
AryAは、合計1個ないし6個の置換基により置換されていてもよいアリールであり;ここで、
(i)0個ないし6個の置換基が、それぞれ独立して:
(1)C1−6アルキル;
(2)C1−6ハロアルキル;
(3)1個ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(4)C2−6アルケニル;
(5)1個ないし3個の置換基で置換されたC2−6アルケニル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(6)C2−6アルキニル;
(7)1個ないし3個の置換基で置換されたC2−6アルキニル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又は(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(8)O−C1−6アルキル;
(9)O−C1−6ハロアルキル:
(10)OH;
(11)ハロゲン;
(12)CN;
(13)NO
(14)N(R)R
(15)C(O)N(R)R
(16)C(O)R
(17)C(O)−C1−6ハロアルキル;
(18)C(O)OR
(19)OC(O)N(R)R
(20)SR
(21)S(O)R
(22)S(O)
(23)S(O)N(R)R
(24)N(R)S(O)
(25)N(R)S(O)N(R)R
(26)N(R)C(O)R
(27)N(R)C(O)N(R)R
(28)N(R)C(O)−C(O)N(R)R;又は
(29)N(R)COであり、及び
【0021】
(ii)0個ないし2個の置換基が、それぞれ独立して:
(1)CycQ;
(2)AryQ;
(3)HetQ;
(4)HetR;
(5)J−CycQ;
(6)J−AryQ;
(7)J−HetQ;
(8)J−HetR;
(9)CycQ、AryQ、HetQ、HetR、J−CycQ、J−AryQ、J−HetQ、又はJ−HetRにより置換されたC1−6アルキル;
(10)CycQ、AryQ、HetQ、HetR、J−CycQ、J−AryQ、J−HetQ、又はJ−HetRにより置換されたC2−6アルケニル;又は
(11)CycQ、AryQ、HetQ、HetR、J−CycQ、J−AryQ、J−HetQ、又はJ−HetRにより置換されたC2−6アルキニルであり;
【0022】
各CycQは独立して、C3−8シクロアルキル又はC5−8シクロアルケニルであり、ここで、シクロアルキル又はシクロアルケニルは1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、OH、O−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、又はO−C1−6ハロアルキルであり;
【0023】
各AryQは独立して、フェニル又はナフチルであり、ここで、フェニル又はナフチルは1個ないし5個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、CN、NO、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、SO、SON(R)R、又はSON(R)C(O)Rであり;
【0024】
各HetQは独立して、1個ないし4個の置換基により置換されていてもよいヘテロアリールであり、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SO、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)COであり;
【0025】
各HetRは独立して、少なくとも1個の炭素原子及びN、O、及びSから独立して選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む4員ないし7員の飽和若しくは不飽和の非芳香族複素環(例えば、モノ不飽和複素環)であり、ここで、各SはS(O)若しくはS(O)に酸化されていてもよく、ここで、飽和若しくは不飽和の複素環は1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、CN、C1−6アルキル、OH、オキソ、O−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6ハロアルキル、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、又はSOであり;
【0026】
各Jは独立して;
(i)O;
(ii)S;
(iii)S(O);
(iv)S(O)
(v)O−C1−6アルキレン;
(vi)S−C1−6アルキレン;
(vii)S(O)−C1−6アルキレン;
(viii)S(O)−C1−6アルキレン;
(ix)N(R);又は
(x)N(R)−C1−6アルキレンであり;
【0027】
及びRはそれぞれ独立して;
(1)H;
(2)C1−6アルキル;
(3)C1−6ハロアルキル;
(4)1個ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(5)O−C1−6アルキル(ここで、該アルキルがOH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、又はS(O)N(R)Rにより置換されていてもよい);
(6)O−C1−6ハロアルキル;
(7)ハロゲン;
(8)CN;
(9)NO
(10)N(R)R
(11)C(O)N(R)R
(12)C(O)R
(13)C(O)−C1−6ハロアルキル;
(14)C(O)OR
(15)OC(O)R
(16)OC(O)N(R)R
(17)SR
(18)S(O)R
(19)S(O)
(20)S(O)N(R)R
(21)N(R)S(O)
(22)N(R)S(O)N(R)R
(23)N(R)C(O)R
(24)N(R)C(O)N(R)R
(25)N(R)C(O)−C(O)N(R)R
(26)N(R)CO
(27)N(R)R
(28)C(O)N(R)R
(29)OC(O)N(R)R
(30)S(O)N(R)R
(31)N(R)S(O)N(R)R
(32)N(R)C(O)N(R)R
(33)N(R)C(O)−C(O)N(R)R
(34)C3−8シクロアルキル;
(35)O−C3−8シクロアルキル;
(36)AryX;又は
(37)HetX;
(ここで、AryXは、独立して、AryQと同じ定義であり、またHetXは、独立して、HetQと同じ定義である)であり;
【0028】
は、H、C1−6アルキル、AryZ、HetZ、ハロゲン、CN、又はC1−6フルオロアルキルであり;
AryZは、独立して、AryQと同じ定義であり;
HetZは、独立して、HetQと同じ定義であり;
は、H又はC1−6アルキルであり;
【0029】
各アリールは、独立して、(i)フェニル、(ii)少なくとも1個の環が芳香族である9員若しくは10員の二環式縮合炭素環系、又は(iii)少なくとも1個の環が芳香族である11員ないし14員の三環式縮合炭素環系であり;
【0030】
各ヘテロアリールは、独立して、(i)N、O、及びSから独立して選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員の芳香族複素環(ここで、各Nはオキシドの形状であってもよい)又は(ii)N、O、及びSから独立して選択される1個ないし6個のヘテロ原子を含む9員若しくは10員の二環式縮合複素環系(式中、該環の一方又は双方が1個以上のヘテロ原子を含み、少なくとも1個の環が芳香性であり、各Nはオキシドの形状であってもよく、また芳香性ではない環内の各Sは、S(O)又はS(O)であってもよい)であり;
【0031】
各Rは、独立して、H又はC1−6アルキルであり;
各Rは、独立して、H又はC1−6アルキルであり;そして
及びRの各対は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、R及びRが結合するNに加えてさらに1個のヘテロ原子を含んでいてもよい4員ないし7員の飽和若しくは不飽和の非芳香環(例えば、モノ不飽和環)(ここで、さらなるヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、該環は1個若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、C1−6アルキル、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)R、又はS(O)であり;また、該環中の選択肢としてのSは、S(O)又はS(O)の形状であってもよい)である]の化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する。
【0032】
本発明はまた、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物をも包含する。さらに、本発明は、AIDSの治療、AIDSの発症若しくは進行の遅延、AIDSの予防、HIVによる感染の予防、及びHIVによる感染の治療のために、式(I)で示される化合物を使用する方法を包含する。
【0033】
本発明のその他の実施態様、態様、分類、下位分類、及び特徴は、以下の記述、実施例、及び添付の請求項にさらに記載されているか、又はそれらから明瞭であろう。
【0034】
発明の詳細な記載
上記の式(I)で示される化合物、及びその薬学的に許容される塩は、HIV逆転写酵素阻害剤である。該化合物は、HIV逆転写酵素の阻害に、またHIV複製の阻害に、インビトロ及びインビボで有用である。さらに詳しくは、式(I)で示される化合物は、HIV逆転写酵素のポリメラーゼ機能を阻害する。下記実施例9に記載するアッセイ法で本発明の代表的な化合物について試験すると、式(I)で示される化合物は、HIV−1逆転写酵素のRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を阻害することが分かる。本発明の代表的な化合物(例えば、実施例1ないし8の化合物参照)はまた、薬物耐性型のHIV(例えば、HIV−1の突然変異株で、その逆転写酵素はリジン103→アスパラギン(K103N)及び/又はチロシン181→システイン(Y181C)に突然変異を有する)に対して活性を示し、従って、現在承認されている抗ウイルス療法に対して、交差耐性の低下を示し得る。
【0035】
本発明の第一の実施態様(或いは、本明細書においては“実施態様E1”という)は、式(I)で示される化合物(或いは、またより簡潔に、“化合物I”という)、又はその薬学的に許容される塩である;式中、各CycQは、独立して、C3−8シクロアルキルであり、その場合のシクロアルキルは1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルである;また式(I)における他のすべての変数は、当初に定義したとおりである(すなわち、発明の概要にて定義)。
【0036】
本発明の第二の実施態様(実施態様E2)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、各CycQは、独立して、C3−7シクロアルキルである;その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルである;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。
【0037】
本発明の第三の実施態様(実施態様E3)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、各CycQは、独立して、C3−7シクロアルキルである;その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、Cl、Br、F、CH、OH、OCH、CF、又はOCFである;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。
【0038】
本発明の第四の実施態様(実施態様E4)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryQは、フェニル又はナフチルである;その場合のフェニル又はナフチルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、CN、NO、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、OH、O−C1−4アルキル、O−C1−4ハロアルキル、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、SO、SON(R)R、又はSON(R)C(O)Rである;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE3のいずれか1項に定義したとおりである。本実施態様の一態様において、AryQの一部であるR又はRは、H又はC1−4アルキルである。下記に示すように、式(I)中の変数が一度ならず出現する場合、各出現におけるその定義は、他の出現での定義から独立している;従って、この態様におけるAryQについてのR及びRの定義は、式(I)において他の場所で出現するR及びRの定義からは独立しており、その定義には当てはまらない。
【0039】
本発明の第五の実施態様(実施態様E5)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryQは、フェニルである;その場合のフェニルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、Cl、Br、F、CN、CH、CF、OH、OCH、OCF、NH、N(H)CH、N(CH、C(O)NH、C(O)N(H)CH、C(O)N(CH、C(O)CH、C(O)CF、COCH、S(O)CH、又はSONHである;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE3のいずれか1項に定義したとおりである。
【0040】
本発明の第六の実施態様(実施態様E6)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryQは、フェニルである;その場合のフェニルは1個又は2個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、Cl、Br、F、CN、CH、CF、OH、OCH、又はOCFである;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE3のいずれか1項に定義したとおりである。
【0041】
本発明の第七の実施態様(実施態様E7)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetQは、それぞれがN、O、及びSから独立して選択される総計1個ないし4個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員の芳香族複素環である;ここで、芳香族複素環は1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)OH;
(6)C(O)R
(7)CO;又は
(8)SOである;
また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE6のいずれか1項に定義したとおりである。実施態様E7の一態様において、該芳香族複素環は、1個ないし4個のN原子、ゼロ若しくは1個のO原子、及びゼロ個若しくは1個のS原子から独立して選択される総計1個ないし4個のヘテロ原子を含む。本実施態様の別の態様においては、HetQの一部であるR又はRのいずれかが、H又はC1−4アルキルである。本実施態様のさらに別の態様においては、該芳香族複素環が1個ないし4個のN原子、ゼロ若しくは1個のゼロ原子、及びゼロ個若しくは1個のS原子から独立して選択される総計1個ないし4個のヘテロ原子を含む;またHetQの一部であるR又はRのいずれかは、H又はC1−4アルキルである。
【0042】
本発明の第八の実施態様(実施態様E8)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetQは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルからなる群より選択される芳香族複素環である;この場合の芳香族複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、該置換基のそれぞれは独立して、C1−4アルキルである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE6のいずれか1項に定義したとおりである。
【0043】
本発明の第九の実施態様(実施態様E9)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetRは、N原子を含み、さらにN、O、及びSから選択される1個のヘテロ原子を含み得る4員ないし7員の飽和複素環である;式中、(i)該複素環は1個のN原子を介して該化合物の残りの部分に結合しており;(ii)選択肢としてのS原子は、S(O)又はS(O)に酸化されていてもよく;そして(iii)該複素環は、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して:
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)オキソ;
(6)C(O)R
(7)CO;又は
(8)SOである;
また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE8のいずれか1項に定義したとおりである。
【0044】
本発明の第十の実施態様(実施態様E10)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetRは、
【0045】
【化2】

【0046】
(Vは、独立して、H、C1−3アルキル、C(O)−C1−3アルキル、C(O)−O−C1−3アルキル、又はS(O)−C1−3アルキルであり;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE8のいずれか1項に定義したとおりである)
からなる群より選択される飽和の複素環である。本実施態様の一態様において、Vは独立して、H、CH、C(O)CH、C(O)OCH、又はS(O)CHである。本実施態様の別の態様において、Vは、CH、C(O)CH、C(O)OCH、又はS(O)CHである。本実施態様のさらに別の態様において、VはCHである。
【0047】
本発明の第十一の実施態様(実施態様E11)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;ここで、各Jは、独立して:
(i)O;
(ii)S;
(iii)S(O);
(iv)S(O)
(v)O−(CH1−4
(vi)S−(CH1−4
(vii)S(O)−(CH1−4
(viii)S(O)−(CH1−4
(ix)N(R);又は
(x)N(R)−(CH1−4
であり;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE10のいずれか1項に定義したとおりである。
【0048】
本発明の第十二の実施態様(実施態様E12)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、各Jは、独立して:
(i)O;
(ii)S,
(iii)S(O);
(iv)S(O)
(v)OCH
(vi)SCH
(vii)S(O)CH
(viii)S(O)CH
(ix)N(R);又は
(x)N(R)CH
であり;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE10のいずれか1項に定義したとおりである。
【0049】
本発明の第十三の実施態様(実施態様E13)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryAは、フェニル又はナフチルである;その場合のフェニル又はナフチルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル;
(3)C2−4アルケニル;
(4)CNで置換されたC2−4アルケニル;
(5)O−C1−4アルキル;
(6)O−C1−4ハロアルキル;
(7)OH;
(8)ハロゲン;
(9)CN;
(10)NO
(11)N(R)R
(12)C(O)N(R)R
(13)C(O)R
(14)CO
(15)SR
(16)S(O)R
(17)SO
(18)SON(R)R
(19)SON(R)C(O)R;又は
(20)CycQ(ただし、置換基CycQは2個を超えないものとする)(式中、各CycQはC3−7シクロアルキルであり、その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基のそれぞれは独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルである;また式(I)における他のすべての変数は、当初に定義したとおりである)
である。本実施態様の一態様においては、AryAの一部であるR又はRのいずれかが、H又はC1−4アルキルである。
【0050】
本発明の第十四の実施態様(実施態様E14)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryAは、フェニルである;その場合のフェニルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)ハロゲン;
(5)CN;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)CycQ(ただし、置換基CycQは1個を超えないものとし、またその場合のCycQはC3−7シクロアルキルである)
であり;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。実施態様E14の一態様において、C1−4ハロアルキル置換基は、C1−4フルオロアルキルである;すなわち、1個ないし3個の置換基は、それぞれ独立して、(1)C1−4アルキル、(2)C1−4フルオロアルキル、(3)O−C1−4アルキル、(4)ハロゲン、(5)CN、(6)S−C1−4アルキル、又は(7)CycQ(ただし、置換基CycQは1個を超えないものとし、またその場合のCycQはC3−7シクロアルキルである)である。
【0051】
本発明の第十五の実施態様(実施態様E15)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryAは、フェニルである;その場合のフェニルは1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、
(1)CH
(2)CF
(3)CHF
(4)CHCF
(5)OCH
(6)Cl;
(7)Br;
(8)F;
(9)CN;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピル(ただし、置換基シクロプロピルは1個を超えないものとする)
であり;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。
【0052】
本発明の第十六の実施態様(実施態様E16)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryAは、2個の置換基を有するフェニルである;該置換基の一方はフェニル環の3位に位置し、他方はフェニル環の5位に位置する;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。実施態様E16の一態様において、AryAのフェニル環上の2個の置換基は、実施態様E13の置換基リストから独立して選択される。本実施態様の別の態様において、AryAのフェニル環上の2個の置換基は、実施態様E14の置換基リストから独立して選択される。本実施態様のさらに別の態様において、AryAのフェニル環上の2個の置換基は、実施態様E15の置換基リストから独立して選択される。
【0053】
本発明の第十七の実施態様(実施態様E17)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryAは、
【0054】
【化3】

【0055】
(式中、X及びXはそれぞれ独立して、
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)C2−4アルケニル;
(5)CNで置換されたC2−4アルケニル;
(6)OH;
(7)O−C1−4アルキル;
(8)O−C1−4ハロアルキル;
(9)ハロゲン;
(10)CN;
(11)NO
(12)N(R)R
(13)C(O)N(R)R
(14)C(O)R
(15)CO
(16)SR
(17)S(O)R
(18)SO
(19)SON(R)R
(20)SON(R)C(O)R;又は
(21)CycQ(式中、各CycQはC3−7シクロアルキルであり、その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルである)
であり;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。
【0056】
本発明の第十八の実施態様(実施態様E18)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryAは、3−クロロ−5−シアノフェニルである;また他のすべての変数は、当初に定義したとおりである。
【0057】
本発明の第十九の実施態様(実施態様E19)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryXは独立して、実施態様E4にて示したAryQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0058】
本発明の第二十の実施態様(実施態様E20)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryXは独立して、実施態様E5にて示したAryQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0059】
本発明の第二十一の実施態様(実施態様E21)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryXは独立して、実施態様E6にて示したAryQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0060】
本発明の第二十二の実施態様(実施態様E22)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetXは独立して、実施態様E7にて示したHetQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0061】
本発明の第二十三の実施態様(実施態様E23)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetXは独立して、実施態様E8にて示したHetQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0062】
本発明の第二十四の実施態様(実施態様E24)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryZは独立して、実施態様E4にて示したAryQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0063】
本発明の第二十五の実施態様(実施態様E25)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryZは独立して、実施態様E5にて示したAryQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0064】
本発明の第二十六の実施態様(実施態様E26)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、AryZは独立して、実施態様E6にて示したAryQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0065】
本発明の第二十七の実施態様(実施態様E27)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetZは独立して、実施態様E7にて示したHetQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0066】
本発明の第二十八の実施態様(実施態様E28)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、HetZは独立して、実施態様E8にて示したHetQと同じ定義を有する;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0067】
本発明の第二十九の実施態様(実施態様E29)は、式(I)で示される化合物、又は薬学的に許容されるその塩であり;式中、R及びRはそれぞれ独立して、
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)CHOH;
(5)CHO−C1−4アルキル;
(6)CHCN;
(7)CHN(R)R
(8)CHC(O)N(R)R
(9)CHC(O)R
(10)CHCO
(11)CHS(O)
(12)O−C1−4アルキル;
(13)O−C1−4ハロアルキル;
(14)ハロゲン;
(15)CN;
(16)NO
(17)N(R)R
(18)C(O)N(R)R
(19)C(O)R
(20)C(O)−C1−4ハロアルキル;
(21)C(O)OR
(22)SR
(23)S(O)
(24)
【0068】
【化4】

【0069】
(25)
【0070】
【化5】

【0071】
(26)
【0072】
【化6】

【0073】
(27)
【0074】
【化7】

【0075】
(28)
【0076】
【化8】

【0077】
(29)
【0078】
【化9】

【0079】
(30)
【0080】
【化10】

【0081】
(31)
【0082】
【化11】

【0083】
(32)
【0084】
【化12】

【0085】
(33)
【0086】
【化13】

【0087】
(34)
【0088】
【化14】

【0089】
(35)
【0090】
【化15】

【0091】
(36)C3−7シクロアルキル
(Vは、H、CH、C(O)CH、C(O)OCH、又はS(O)CHであり;Rは、H、C1−4アルキル、Cl、Br、F、CN、又はC1−4フルオロアルキルである)
である;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1項に定義したとおりである。
【0092】
本発明の第三十の実施態様(実施態様E30)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは、
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル:
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4ハロアルキル;
(5)ハロゲン;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)C3−7シクロアルキルであり;
は、
(1)H,
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)O−C1−4アルキル;
(5)O−C1−4ハロアルキル;
(6)ハロゲン;
(7)S−C1−4アルキル;又は
(8)C3−7シクロアルキルであり;
は、Hである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1項に定義したとおりである。
【0093】
本発明の第三十一の実施態様(実施態様E31)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは:
(1)C1−4アルキル;
(2)O−C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)Cl;
(6)Br;
(7)F;
(8)S−C1−4アルキル;又は
(9)C3−6シクロアルキルであり;そして
は:
(1)C1−4アルキル;
(2)O−C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)Cl;
(6)Br;
(7)F;
(8)S−C1−4アルキル;又は
(9)C3−6シクロアルキルであり;
は、Hである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1項に定義したとおりである。
【0094】
本発明の第三十二の実施態様(実施態様E32)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは:
(1)CH
(2)CF
(3)CFCH
(4)CHCF
(5)OCH
(6)OCF
(7)Cl;
(8)Br;
(9)F;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピルであり、そして
は:
(1)H;
(2)CH
(3)CF
(4)CFCH
(5)CHCF
(6)OCH
(7)OCF
(8)Cl;
(9)Br;
(10)F;
(11)SCH;又は
(12)シクロプロピルであり、
は、Hである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1項に定義したとおりである。
【0095】
本発明の第三十三の実施態様(実施態様E33)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは:
(1)CH
(2)CF
(3)CFCH
(4)CHCF
(5)OCH
(6)OCF
(7)Cl;
(8)Br;
(9)F;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピルであり、また
は:
(1)H;
(2)Cl;
(3)Br;又は
(4)Fであり、
は、Hである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1項に定義したとおりである。実施態様E33の一態様において、RはHである。
【0096】
本発明の第三十四の実施態様(実施態様E34)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは、CF、Cl、又はBrであり;Rは、H、Cl、Br、又はFであり;Rは、Hである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は実施態様E1ないしE18のいずれか1項に定義したとおりである。実施態様E34の一態様において、RはHである。
【0097】
本発明の第三十五の実施態様(実施態様E35)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは、H又はC1−4アルキルである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記の実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0098】
本発明の第三十六の実施態様(実施態様E36)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは、H又はC1−3アルキルである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記の実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0099】
本発明の第三十七の実施態様(実施態様E37)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、Rは、H、CH、又はCHCHである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記の実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0100】
本発明の第三十八の実施態様(実施態様E38)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、R及びRは、それぞれ独立して、H又はC1−4アルキルである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記の実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0101】
本発明の第三十九の実施態様(実施態様E39)は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩であり;式中、R及びRは、それぞれ独立して、H又はC1−3アルキルである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記の実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0102】
本発明の第四十の実施態様(実施態様E40)は、式(I)で示される化合物、又は薬学的に許容されるその塩であり;式中、R及びRは、それぞれ独立して、H又はCHである;また、他のすべての変数は、当初に定義したとおりであるか、又は前記の実施態様のいずれか1項に定義したとおりである。
【0103】
本発明の第一分類の化合物(あるいは、本明細書では“分類C1”という)は、式(II):
【0104】
【化16】

【0105】
[式中、
及びXは、それぞれ独立して:
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)C2−4アルケニル;
(5)CNで置換されたC2−4アルケニル;
(6)OH;
(7)O−C1−4アルキル;
(8)O−C1−4ハロアルキル;
(9)ハロゲン;
(10)CN;
(11)NO
(12)N(R)R
(13)C(O)N(R)R
(14)C(O)R
(15)CO
(16)SR
(17)S(O)R;,
(18)SO
(19)SON(R)R
(20)SON(R)C(O)R;又は
(21)CycQ;であり(ここで、
各CycQは、C3−7シクロアルキルであり、その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルである)であり;
【0106】
及びRは、それぞれ独立して、:
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)CHOH;
(5)CHO−C1−4アルキル;
(6)CHCN;
(7)CHN(R)R
(8)CHC(O)N(R)R
(9)CHC(O)R
(10)CHCO
(11)CHS(O)
(12)O−C1−4アルキル;
(13)O−C1−4ハロアルキル;
(14)ハロゲン;
(15)CN;
(16)NO
(17)N(R)R
(18)C(O)N(R)R
(19)C(O)R
(20)C(O)−C1−4ハロアルキル;
(21)C(O)OR
(22)SR
(23)S(O)
【0107】
(24)
【0108】
【化17】

【0109】
(25)
【0110】
【化18】

【0111】
(26)
【0112】
【化19】

【0113】
(27)
【0114】
【化20】

【0115】
(28)
【0116】
【化21】

【0117】
(29)
【0118】
【化22】

【0119】
(30)
【0120】
【化23】

【0121】
(31)
【0122】
【化24】

【0123】
(32)
【0124】
【化25】

【0125】
(33)
【0126】
【化26】

【0127】
(34)
【0128】
【化27】

【0129】
(35)
【0130】
【化28】

【0131】
(36)C3−7シクロアルキルであり;
各Vは、独立して、H、CH、C(O)CH、C(O)OCH、又はS(O)CHであり;
は、H又はC1−4アルキルであり;
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキルであり;また、
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキルである]で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する。
【0132】
第一分類の第一下位分類(あるいは、本明細書では“下位分類C1−S1”という)は、式(II)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する;式中、
及びXは、それぞれ独立して:
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)ハロゲン;
(5)CN;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)CycQであり;
(ただし、
(i)置換基CycQは1個を超えず、またCycQはC3−7シクロアルキルであり;
(ii)X及びXの少なくとも一方はH以外である)であり;
【0133】
は:
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4ハロアルキル;
(5)ハロゲン;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)C3−7シクロアルキルである;
【0134】
は:
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)O−C1−4アルキル;
(5)O−C1−4ハロアルキル;
(6)ハロゲン;
(7)S−C1−4アルキル;又は
(8)C3−7シクロアルキルであり;また
【0135】
は、H又はC1−3アルキルである。下位分類C1−S1の特徴として、C1−4ハロアルキルの存在する場合、すべてがC1−4フルオロアルキルと置き換えられる;O−C1−4ハロアルキルが存在する場合、すべてがO−C1−4フルオロアルキルと置き換えられる;また、他のすべての変数は、下位分類C1−S1に初めに定義したとおりである。
【0136】
第一分類の第二下位分類(下位分類C1−S2)は、式(II)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する;式中、
及びXは、それぞれ独立して:
(1)Cl;
(2)Br;
(3)F;
(4)CN;
(5)CH
(6)CHF
(7)CF
(8)OCH
(9)SCH又は
(10)シクロプロピル(ただし、置換基シクロプロピルは1個を超えず)である;
【0137】
は:
(1)CH
(2)CF
(3)CFCH
(4)CHCF
(5)OCH
(6)OCF
(7)Cl;
(8)Br;
(9)F;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピルであり;
【0138】
は:
(1)H;
(2)CH
(3)CF
(4)CFCH
(5)CHCF
(6)OCH
(7)OCF
(8)Cl;
(9)Br;
(10)F;
(11)SCH;又は
(12)シクロプロピルである;また
は、H、CH、又はCHCHである。
【0139】
本発明の第二分類の化合物(分類C2)は、式(III):
【0140】
【化29】

【0141】
[式中、変数は分類C1にて定義したとおりである]で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する。
【0142】
第二分類の第一下位分類(下位分類C2−S1)は、式(III)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する(式中、変数は下位分類C1−S1にて定義したとおりである)。
【0143】
第二分類の第二下位分類(下位分類C2−S2)は、式(III)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する(式中、変数は下位分類C1−S2にて定義したとおりである)。
【0144】
第二分類の第三下位分類(下位分類C2−S3)は、式(III)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する(式中、Rは、H、Cl、Br、又はFであり;他の変数は分類C2に定義したとおりである)。この下位分類の特徴として、RはHである。この下位分類の別の特徴として、RはCH又はCHCHである。この下位分類のさらに別の特徴として、RはHであり、RはCH又はCHCHである。
【0145】
第二分類の第四下位分類(下位分類C2−S4)は、式(III)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する(式中、Rは、H、Cl、Br、又はFであり;他の変数は分類C2−S1に定義したとおりである)。この下位分類の特徴として、RはHである。この下位分類の別の特徴として、RはCH又はCHCHである。この下位分類のさらに別の特徴として、RはHであり、RはCH又はCHCHである。
【0146】
第二分類の第五下位分類(下位分類C2−S5)は、式(III)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩を包含する(式中、Rは、H、Cl、Br、又はFであり;他の変数は分類C2−S2に定義したとおりである)。この下位分類の特徴として、RはHである。この下位分類の別の特徴として、RはCH又はCHCHである。この下位分類のさらに別の特徴として、RはHであり、RはCH又はCHCHである。
【0147】
本発明の第四十一の実施態様(実施態様E41)は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であり、その場合の化合物は、実施例1ないし8に示す標題化合物からなる群より選択される。
【0148】
本発明の第四十二の実施態様(実施態様E42)は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であり、当初定義したとおりのもの、又は前記の実施態様、態様、分類、下位分類、若しくは特徴のいずれかに定義したとおりのものであって、その場合の化合物又はその塩は実質的に純粋な形状である。本明細書にて使用する場合、“実質的に純粋”とは、式(I)で示される化合物又はその塩を含有する産物(例えば、該化合物又は塩を生成する反応混合物から単離される産物)が、適切には、少なくとも約60重量%の該化合物又は塩から成り立つこと、典型的には、少なくとも約70重量%、好ましくは、少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%(例えば、約90重量%ないし99重量%)、さらにより好ましくは、少なくとも約95重量%(例えば、約95重量%ないし99重量%、又は約98重量%ないし100重量%)、及び最も好ましくは、少なくとも約99重量%(例えば、100重量%)の該化合物又は塩から成り立つことを意味する。該化合物又は塩の純度レベルは、標準的な分析法、例えば、薄層クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、及び/又は質量分析法などにより決定し得る。1種を超える分析法を採用し、その方法で決定された純度レベルに実験的有意差を生じるならば、最高の純度レベルを示す方法が基準となる。純度100%の化合物又は塩は、標準的分析方法で定量した場合に、検出可能な不純物を含まないものである。1つ以上の不斉中心を有し、立体異性体の混合物として存在し得る本発明化合物については、実質的に純粋な化合物が、立体異性体の実質的に純粋な混合物であるか、あるいは実質的に純粋な個々のジアステレオマー若しくはエナンチオマーであり得る。
【0149】
本発明はまた、式(I)で示される化合物のプロドラッグをも包含する。“プロドラッグ”という用語は、式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩の誘導体をいい、インビボにて化合物(I)に変換されるものである。式(I)で示される化合物のプロドラッグは、該化合物自体に比較して、溶解性、吸収性、及び/又は親油性が増強され、その結果、生物学的利用能及び有効性を高めることができる。プロドラッグのインビボ変換は、酵素触媒化学反応、代謝性化学反応、及び/又は自然発生的化学反応(例えば、加溶媒分解)の結果であり得る。例えば、化合物がヒドロキシ基をもつ場合、プロドラッグは、エステル(−O(CO)R)、炭酸エステル(−OC(O)OR)、リン酸エステル(−O−P(=O)(OH))、又はエーテル(−OR)などのヒドロキシ基の誘導体であり得る。他の例は以下のとおりである:式(I)で示される化合物がカルボン酸基を含む場合、プロドラッグはエステル又はアミドであってよく、また式(I)で示される化合物が一級アミノ基又は誘導化し得る別の適切な窒素を含む場合、プロドラッグは、アミド、カルバメート、尿素、イミン、又はマンニッヒ塩基であり得る。化合物(I)中の1個以上の官能基は、そのプロドラッグを調製するために誘導化し得る。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための常套の手法については、例えば、「プロドラッグの設計」(Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,Elsevier,1985;J.J.Hale et al.,J.Med.Chem.2000,vol.43,pp.1234−1241;C.S.Larsen and J.Ostergaard);“プロドラッグの設計と応用”(”Design and application of prodrugs”in:Textbook of Drug Design and Discovery,3rd edition,edited by C.S.Larsen,2002,pp.410−458);及び「最新薬物代謝」(Beaumont et al.,Current Drug Metabolism 2003,vol.4,pp.461−458);これらの文献はそれぞれその全文を参照により本明細書の一部とする。
【0150】
本発明のその他の実施態様は以下のとおりである:
(a)式(I)で示される上記定義の化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩の有効量、及び薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
【0151】
(b)式(I)で示される上記定義の化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩の有効量、及び薬学的に許容される担体を組み合わせること(例えば、混合すること)により調製される生成物を含有してなる医薬組成物。
【0152】
(c)さらに、HIV抗ウイルス剤、免疫調節剤、及び抗感染症剤からなる群より選択される抗HIV剤の有効量を含有してなる(a)又は(b)の医薬組成物。
【0153】
(d)該抗HIV剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される抗ウイルス剤である(c)の医薬組成物。
【0154】
(e)(i)上記定義の式(I)で示される化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩、及び(ii)HIV抗ウイルス剤、免疫調節剤、及び抗感染症剤からなる群より選択される抗HIV剤の組み合わせであって、化合物(I)及び抗HIV剤が、HIV逆転写酵素の阻害に、HIVによる感染の治療若しくは予防に、又はAIDSの治療、予防、若しくはその発症若しくは進行の遅延に有効な組み合わせとする量でそれぞれ使用される組み合わせ。
【0155】
(f)該抗HIV剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される抗ウイルス剤である(e)の組み合わせ。
【0156】
(g)それを必要とする患者に、式(I)で示される化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む患者のHIV逆転写酵素を阻害する方法。
【0157】
(h)それを必要とする患者に、式(I)で示される化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする患者のHIV(例えば、HIV−1)による感染を予防又は治療する方法。
【0158】
(i)HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種の他の抗ウイルス剤の有効量と組み合わせて式(I)の化合物を投与する(h)の方法。
【0159】
(j)式(I)で示される化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩の有効量を患者に投与することを特徴とするそれを必要とする患者のAIDSの予防、治療、又は発症若しくは進行を遅延する方法。
【0160】
(k)HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種の他の抗ウイルス剤の有効量と組み合わせて該化合物を投与する(j)の方法。
【0161】
(l)(a)、(b)、(c)、若しくは(d)の医薬組成物又は(e)若しくは(f)の組み合わせを必要な患者に投与することを含む患者におけるHIV逆転写酵素の阻害方法。
【0162】
(m)(a)、(b)、(c)、若しくは(d)の医薬組成物又は(e)若しくは(f)の組み合わせを必要な患者に投与することを含む患者におけるHIV(例えば、HIV−1)による感染の予防又は治療方法。
【0163】
(n)(a)、(b)、(c)、若しくは(d)の医薬組成物又は(e)若しくは(f)の組み合わせを必要な患者に投与することを含む患者におけるAIDSの予防、治療、又は発症若しくは進行の遅延方法。
【0164】
本発明はまた、(a)治療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医薬、(c)HIV逆転写酵素の阻害、(d)HIVによる感染の治療若しくは予防、又は(e)AIDSの治療、予防、又はその発症若しくは進行の遅延;における(i)使用、(ii)そのための医薬としての使用、又は(iii)そのための医薬の調製における使用;のための式(I)で示される化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩をも包含する。これらの用途において、本発明化合物は、選択肢として、HIV抗ウイルス剤、抗感染症剤、及び免疫調節剤から選択される1種以上の抗HIV剤と組み合わせて使用することができる。
【0165】
本発明のさらなる実施態様は、上記(a)〜(n)に示した医薬組成物、組み合わせ、及び方法、並びに前段で示した(i)(a)〜(e)ないし(iii)(a)〜(e)の用途を包含し、その場合にそこで使用される本発明化合物は、上記の実施態様、態様、分類、下位分類、又は特徴の一つである化合物である。これらの実施態様などのすべてにおいて、該化合物は、選択肢として、プロドラッグ又は薬学的に許容される塩の形状で使用し得る。
【0166】
本発明のさらなる実施態様は、前段に示した医薬組成物、組み合わせ、方法、及び用途のそれぞれを包含し、その場合のそこで使用される本発明化合物又はその塩は、実質的に純粋である。式(I)で示される化合物又はそのプロドラッグ若しくは塩、及び薬学的に許容される担体、及び選択肢として1種以上の賦形剤を含んでなる医薬組成物に関して、“実質的に純粋”という用語は、式(I)で示される化合物又はそのプロドラッグ若しくは塩それ自体に関するものであると理解される。
【0167】
本発明のなおさらなる実施態様は、上記(a)〜(n)に示した医薬組成物、組み合わせ、及び方法、並びに上記で示した(i)(a)〜(e)ないし(iii)(a)〜(e)の用途を包含し、その場合の対象となるHIVはHIV−1である。従って、例えば、医薬組成物(d)において、式(I)で示される化合物はHIV−1に対して有効な量で使用し、抗HIV剤はHIV−1プロテアーゼ阻害剤、HIV−1逆転写酵素阻害剤、HIV−1インテグラーゼ阻害剤、HIV−1融合阻害剤、及びHIV−1侵入阻害剤からなる群より選択されるHIV−1抗ウイルス剤である。
【0168】
本明細書にて使用する場合、“アルキル”という用語は、特定範囲の炭素原子数を有する一価の直鎖若しくは分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基をいう。従って、例えば、“C1−6アルキル”(又は“C−Cアルキル”とは、ヘキシルアルキル及びペンチルアルキル異性体のいずれか、並びにn−、iso−、sec−及びt−ブチル、n−及びiso−プロピル、エチル、及びメチルをいう。別の例として、“C1−4アルキル”は、n−、iso−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル、及びメチルをいう。
【0169】
“アルケニル”という用語は、1個の炭素−炭素二重結合を含み、特定範囲の炭素原子数を有する一価の直鎖若しくは分枝鎖の脂肪族炭化水素基をいう。従って、例えば、“C2−6アルケニル(又は“C−Cアルケニル”)は、ヘキセニル及びペンテニル異性体のすべて、並びに1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、及びエテニル(又はビニル)をいう。本発明に関わる対象のアルケニルの一分類は、式―CH=CH−(CH1−3CHのアルケニルである。
【0170】
“アルキニル”という用語は、1個の炭素−炭素三重結合を含み、特定範囲の炭素原子数を有する一価の直鎖若しくは分枝鎖の脂肪族炭化水素基をいう。従って、例えば、“C2−6アルキニル(又は“C−Cアルキニル”)は、ヘキシニル及びペンチニル異性体のすべて、並びに1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、及びエチニルをいう。
【0171】
“アルキレン”という用語は、特定範囲の炭素原子数を有する二価の直鎖若しくは分枝鎖の脂肪族炭化水素基をいう。従って、例えば、“−C1−6アルキレン−”とは、CないしCの直鎖若しくは分枝アルキレンのいずれかをいい、また“−C1−4アルキレン−”とは、CないしCの直鎖若しくは分枝アルキレンのいずれかをいう。本発明に関わる対象のアルキレンの一分類は、−(CH1−6−であり、また特定対象の下位分類は、−(CH1−4−、−(CH2−4−、−(CH1−3−、−(CH2−3−、−(CH1−2−、及び−CH−である。対象となる別の下位分類は、−CH−、−CH(CH)−、及び−C(CH−からなる群より選択されるアルキレンである。
【0172】
“シクロアルキル”という用語は、特定範囲の炭素原子数を有するアルカンの単環式環をいう。従って、例えば、“C3−8シクロアルキル”(又は“C−Cシクロアルキル”)は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルをいう。
【0173】
“シクロアルケニル”という用語は、特定範囲の炭素原子数を有するアルケンの単環式環をいう。従って、例えば、“C5−8シクロアルケニル”(又は“C−Cシクロアルケニル”)は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びシクロオクテニルである。
【0174】
“ハロゲン”(又は“ハロ”)という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素をいう(あるいは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードという)。
【0175】
“ハロアルキル”という用語は、1個以上の水素原子がハロゲン(すなわち、F、Cl、Br及び/又はI)と置き換わっている上記定義のアルキル基をいう。従って、例えば、“C1−6ハロアルキル”(又は“C−Cハロアルキル)は、1個以上のハロゲン置換基を有する上記定義のCないしCの直鎖又は分枝のアルキル基をいう。“フルオロアルキル”という用語は、ハロゲン置換基がフルオロに限定されること以外、同様の意味を有する。適切なフルオロアルキルは、一連の(CH0−4CF(すなわち、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピルなど)を包含する。特定対象のフルオロアルキルはCFである。
【0176】
用語“C(O)”は、カルボニルをいう。用語“S(O)”及び“SO”は、それぞれスルホニルをいう。用語“S(O)”はスルフィニルをいう。
【0177】
化学基中の開結合の末端のアスタリスク(“*”)は、該化合物の残余の部分への基の結合点を意味する。
【0178】
“アリール”という用語は、(i)フェニル、(ii)9員若しくは10員の二環式縮合炭素環系であって、少なくともその1個の環が芳香族である環系、及び(iii)11員ないし14員の三環式縮合炭素環系であって、少なくともその1個の環が芳香族である環系をいう。適切なアリールとは、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル(テトラリニル)、インデニル、アントラセニル、及びフルオレニルである。本発明に関する対象となるアリールの分類は、フェニル及びナフチルである。特定対象のアリールはフェニルである。
【0179】
“ヘテロアリール”という用語は、(i)N、O、及びSから独立して選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員の芳香族複素環(式中、各Nは選択肢としてオキシドの形状であってもよい);(ii)9員若しくは10員の二環式縮合環系(縮合環系(ii)は、N、O、及びSから独立して選択される1個ないし6個のヘテロ原子を含み、その場合の縮合環系の各環はゼロ若しくは1個以上のヘテロ原子を含み、少なくとも1個の環が芳香性であり、各Nが選択肢としてオキシドの形状であってもよく、また芳香性ではない環の各Sは選択肢としてS(O)若しくはS(O)であってもよい)をいう。適当な5員及び6員の芳香族複素環は、例えば、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、チエニル、
フラニル、 イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル(すなわち、1,2,3−トリアゾリル又は1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(すなわち、1,2,3−、1,2,4−、1,2,5−(フラザニル)、又は1,3,4−異性体)、オキサトリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、及びチアジアゾリルである。適当な9員及び10員の二環式縮合複素環系は、例えば、ベンゾフラニル、インドリル、インダゾリル、ナフチリジニル、イソベンゾフラニル、ベンゾピペリジニル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、クロメニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリル、ベンゾジオキソリル(例えば、ベンゾ−1,3−ジオキソリル:
【0180】
【化30】

【0181】

【0182】
ベンゾピペリジニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾトリアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、インダゾリル、インドリニル、イソインドリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、及び2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシニル(すなわち、
【0183】
【化31】

【0184】

【0185】
である。
本発明の範囲内の4員ないし7員の飽和複素環の例(例えば、HetRの定義を参照)は、例えば、アゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、チアジナニル、チアゼパニル、アゼパニル、ジアゼパニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、及びジオキサニルである。本発明の範囲内の4員ないし7員の不飽和非芳香族複素環の例は、前文にリストアップした飽和複素環に相当するモノ不飽和複素環であって、その単結合が二重結合と置き換わった環式環である(例えば、炭素−炭素単結合が炭素−炭素二重結合と置き換わっている)。
【0186】
本発明での使用に適する特定の環及び環系が、前段にリストアップしたものに限定されるものではないことは理解される。これらの環及び環系は単に代表例であるにすぎない。
【0187】
特定の文脈において、特に別意の定義がない限り、本明細書に記載した種々の環式環及び環系は、いずれもが該化合物の残余部に対して、任意の環原子(すなわち任意の炭素原子又は任意のヘテロ原子)で結合し得るが、ただし、その結合は化学的に可能なものであり、安定な化合物が得られる場合である。
【0188】
特に別意の定義がない限り、本明細書にて引用される範囲はすべて包括的である。例えば、“1個ないし4個のヘテロ原子”を含むと記載された芳香族複素環は、該環が1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含み得ることを意味する。また、本明細書に引用される範囲は、その範囲内に、その範囲内のすべての下位範囲を包含することも理解すべきである。従って、例えば、“1個ないし4個のヘテロ原子”を含むと記載された複素環は、その態様として、2個ないし4個のヘテロ原子、3個若しくは4個のヘテロ原子、1個ないし3個のヘテロ原子、2個若しくは3個のヘテロ原子、1個若しくは2個のヘテロ原子、1個のヘテロ原子、2個のヘテロ原子、3個のヘテロ原子、及び4個のヘテロ原子を含む複素環を包含するものとする。別の例として、“1個ないし6個の置換基”により置換されていてもよいと記載されたアリール又はヘテロアリールは、その態様として、1個ないし6個の置換基、2個ないし6個置換基、3個ないし6個の置換基、4個ないし6個の置換基、5個ないし6個の置換基、6個の置換基、1個ないし5個の置換基、2個ないし5個の置換基、3個ないし5個の置換基、4個ないし5個の置換基、5個の置換基、1個ないし4個の置換基、2個ないし4個の置換基、3個ないし4個の置換基、4個の置換基、1個ないし3個の置換基、2個ないし3個の置換基、3個の置換基、1個ないし2個の置換基、2個の置換基、及び1個の置換基により置換されたアリール又はヘテロアリールを包含するものとする。
【0189】
何らかの構成要件において、又は式(I)において、又は本発明化合物を描出及び記載する何らかの他の式において、ある変数(例えば、R又はR)が1度なら出現する場合、出現ごとのその定義は、すべての他の出現でのその定義からは独立したものである。また、置換基及び/又は変数の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0190】
特に別意の定義がない限り、命名された置換基による置換は、環(例えば、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール)中のいずれの原子上でも可能である;ただし、かかる環上の置換が化学的に可能であり、また安定な化合物を生じるものとする。
【0191】
当業者も認めるように、本発明化合物の一部のものは、互変異性体として存在し得る。これらの化合物の互変異性体はすべて、個々に単離されて、あるいは混合物としてのいずれであって、本発明の範囲内のものである。例えば、オキソ(=O)置換基が芳香族複素環上で可能であり、ケト−エノール互変異性が可能となる場合、該置換基は実際上、その全部又は一部が、ここに例示するように、ヒドロキシの形状で存在し得ることが理解される:
【0192】
【化32】

【0193】
“安定な”化合物とは、調製し、単離し得る化合物であり、その構造と性質が、本明細書に記載した目的(例えば、患者への治療若しくは予防のための投与)に該化合物の使用を可能とするに十分な期間中、未変化であるか、又は実質的に未変化のままとさせ得る化合物である。本発明化合物は、式(I)により包含される安定な化合物に限定される。
【0194】
置換基及び置換基パターンの選択の結果として、本発明の特定化合物は不斉中心を持ち得、立体異性体の混合物として、又は個々のジアステレオマー若しくはエナンチオマーとして存在し得る。これら化合物の異性体形状はすべて、個々にであれ、又は混合物であれ、本発明の範囲内のものである。
【0195】
式(I)で示される化合物の原子は、それらの自然の同位体存在量を示すか、又はその原子の1種以上は、同じ原子番号を有しはするが、自然界に優先的に見出される原子質量若しくは質量数と異なる原子質量若しくは質量数を有する特定の同位体として人工的に濃縮し得る。本発明は一般式(I)で示される化合物の適切な同位体変化量すべてを包含するものとする。例えば、水素(H)の異なる同位体型は、プロチウム(H)及びジュウテリウム(H)である。プロチウムは自然界に見出される主要な水素同位体である。ジュウテリウムの濃縮は、ある種の治療上の利点、例えば、インビボの半減期の増大、又は用量要件の減少などをもたらすか、又は生物学的サンプルの特性化のための標準品として有用な化合物を提供し得る。一般式(I)内の同位体濃縮化合物は、当業者周知の常套の技法により、又は本明細書のスキーム及び実施例に記載の方法と同様の方法により、適切な同位体濃縮剤及び/又は中間体を用いて、不当な実験を実施することなしに調製可能である。
【0196】
本発明方法は、HIV逆転写酵素(例えば、野生型HIV−1及び/又はその突然変異株)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染の予防又は治療、及びAIDSなどの結果として生じる病的症状の予防、治療又は発症若しくは進行の遅延における本発明化合物の使用を含む。AIDSの予防、AIDSの治療、AIDSの発症若しくは進行の遅延、又はHIVによる感染の治療若しくは予防は、限定されるものではないが、HIV感染の広範囲の状態(AIDS、ARC(AIDS関連複合体)、共に症候性及び無症状、及びHIVに対する事実上の接触若しくは潜在的な接触)の治療を含むと定義される:例えば、本発明は、輸血、体液交換、咬傷、事故による穿刺、又は外科手術に際しての患者血液への接触などにより、過去にHIVに接触したことが疑われた後に、HIV感染を処置するために使用し得る。別の例示として、本発明は、HIVに感染した妊婦から未出生児にHIVが伝染するのを防止するために、又は子供に授乳(すなわち、乳房からの授乳)するHIV感染女性から子供に伝染するのを防止すために、有効量の化合物(I)又はそのプロドラッグ又は薬学的に許容される塩を投与することでも使用し得る。
【0197】
該化合物は薬学的に許容される塩の形状で投与することができる。“薬学的に許容される塩”という用語は、親化合物の有効性を有し、生物学的に若しくはその他の点で不所望な点を有しない(例えば、その受容者に毒性又はその他の有害作用を示さない)塩をいう。適切な塩には、例えば、本発明化合物の溶液と、薬学的に許容される酸(例えば、塩酸、硫酸、酢酸、又は安息香酸)の溶液とを混合することにより形成し得る酸付加塩がある。本発明にて採用される化合物が酸性部分(例えば、−COOH又はフェノール性基)を担持する場合、適切なその薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩)、及び四級アンモニウム塩などの適当な有機リガンドとで形成される塩であってもよい。また、酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、薬学的に許容されるエステルを使用して、該化合物の溶解性又は加水分解特性を修飾することもできる。
【0198】
式(I)で示される化合物に関しての“投与”という用語及びその変化形(例えば、化合物を“投与する”)は、治療又は予防の必要な個体に、該化合物又は該化合物のプロドラッグを提供することを意味する。化合物又はそのプロドラッグが一種以上の他の活性剤(例えば、HIV感染又はAIDSの治療又は予防に有用な抗ウイルス剤)と組み合わせて提供する場合、“投与”及びその変化形は、それぞれ、該化合物又はプロドラッグ及び他の薬剤を同時に、又は異なる時間に提供することを含むと理解される。組み合わせ薬剤を同時に投与する場合、それらを単一の組成物として一緒に投与するか、又は別々に投与してもよい。
【0199】
本明細書にて使用する場合、“組成物”という用語は、特定の成分を含有してなる生成物、並びに直接的、間接的に特定の成分を組み合わせて生じる生成物をも包含するものとする。
【0200】
医薬組成物への包接に適する成分は、薬学的に許容される成分であり、該成分が互いに適合性であって、その受容者に悪影響を及ぼしてはならないことを意味する。
【0201】
本明細書にて使用する場合、“患者”という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトをいい、治療、観察又は実験の対象である。
【0202】
本明細書にて使用する場合、“有効量”という用語は、研究者、獣医師、医師、又はその他の臨床医が探究する組織、全身、動物又はヒトにおいて生物学的若しくは医学的応答を引き出す活性化合物又は医薬製剤の量を意味する。一実施態様において、有効量とは、治療を受けた疾患又は症状の症候を寛解する“治療的に有効な量”である。別の実施態様において、有効量とは、予防すべき疾患又は症状の症候を予防する“予防的に有効な量”である。この用語はまた、本明細書においては、HIV逆転写酵素(野生型及び/又はその突然変異株)を阻害し、それによって求める応答を惹起するために充分な活性化合物の量(すなわち、“阻害有効量”)でもある。活性化合物(すなわち、有効成分)を塩として投与する場合、有効成分の量への言及は該化合物の遊離の形状(すなわち、非塩形状)についてのものである。
【0203】
本発明方法(すなわち、HIV逆転写酵素の阻害、HIV感染の治療若しくは予防、又はAIDSの治療若しくは予防、又はAIDSの発症若しくは進行の遅延)において、式(I)で示される化合物は、塩又はプロドラッグの形状であってもよく、活性薬剤と該薬剤の作用点との接触を生じる何らかの手段により投与し得る。それらは個々の治療剤として、又は治療剤の組み合わせとして、薬剤同士を結合して使用するために利用可能な任意の常套手段によって投与することができる。それらは単独でも投与し得るが、一般的には選択した投与経路及び標準的薬剤学の慣習に基づいて選択される医薬担体と共に投与する。本発明化合物は、例えば、該化合物の有効量及び常套の非毒性の薬学的に許容される担体、佐剤及び媒体を含有する医薬組成物の単位投与形状で、経口的に、非経口的に(皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、又は点滴法を包含する)、吸入スプレーにより、又は直腸経由で投与し得る。経口投与に適する液状製剤(例えば、懸濁液、シロップ、エリキシルなど)は、当該技術分野で既知の技法に従って調製可能であり、水、グリコール、油類、アルコールなどの通常の媒体のいずれかを使用し得る。経口投与に適する固形製剤(例えば、粉末、ピル、カプセル、及び錠剤)は、当該技術分野で既知の技法に従って調製可能であり、デンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの固形添加剤を使用することができる。非経口組成物は当該技術分野で既知の技法に従って調製可能であり、一般的に、担体としての無菌水、及び選択肢として、可溶化助剤などの他の成分を使用することができる。注射用溶液は当該技術分野で既知の方法に従って調製可能であるが、その場合の担体は、食塩水、グルコース溶液、又は食塩とグルコースの混合物を含む溶液を含んでなる。さらに、本発明にて使用する医薬組成物の調製での使用に適する方法、及び当該組成物での使用に適する成分についての記載は、レミントンの薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,edited by A.R.Gennaro,Mack Publishing Co.,1990)及びレミントンの薬剤学の科学と実際(Remington−The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Lippincott Williams & Wilkins,2005)に提供されている。
【0204】
式(I)で示される化合物は、1日につき哺乳動物(例:ヒト)体重1kgあたり、0.001ないし1000mg/kgの用量範囲で、単回投与又は分割投与で経口投与することができる。好適な投与範囲の一例は、1日につき体重1kgあたり、0.01ないし500mg/kgの経口単回投与若しくは分割投与である。別の好適な投与範囲は、1日につき体重1kgあたり、0.1ないし100mg/kgの経口単回投与若しくは分割投与である。経口投与の場合、組成物は有効成分1.0ないし500ミリグラムを含有する錠剤又はカプセル剤の形状で提供し得るが、特に、治療すべき患者の症候に応じて投与量を調節するために、有効成分を1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、及び500ミリグラムとする。特定患者に対する特定の投与レベルと投与頻度は変更し得るものであり、様々な因子、例えば、使用する特定化合物の活性、当該化合物の代謝安定性と作用の継続性、年齢、体重、一般的体調、性別、食餌、投与方式と時間、排泄速度、薬物併用、特定症状の重篤度、及び治療を受ける宿主などにより左右される。
【0205】
上記に示したように、本発明は式(I)で示される化合物を1種以上の抗HIV剤と共に使用することに関する。抗HIV剤は、HIV逆転写酵素若しくはHIV複製若しくは感染に必要な別の酵素の阻害、HIV感染の治療若しくは予防、及び/又はAIDSの治療、予防又は発症若しくは進行の遅延に直接又は間接的に有効な薬剤である。抗HIV剤はHIV感染若しくはAIDS及び/又はそれに起因するか若しくはそれと関連する疾患若しくは症状の治療、予防、若しくは発症若しくは進行の遅延に有効であることが理解される。例えば、本発明化合物は、HIV抗ウイルス剤、免疫調節剤、抗感染症剤、又はHIV感染若しくはAIDSの治療に有用なワクチンから選択される1種以上の抗HIV剤の有効量と組み合わせて、接触前及び/又は接触後の時期に関わらず、有効に投与し得る。本発明化合物と組み合わせての使用に適するHIV抗ウイルス剤としては、例えば、以下の表Aに掲載したものがある:
【0206】
【表A−1】

【0207】
【表A−2】

【0208】
本発明化合物と抗HIV剤との組み合わせの範囲は、表Aに掲載したHIV抗ウイルス剤に限定されるものではないが、原則として、AIDSの治療又は予防に有用な医薬組成物との組み合わせも含むということが理解される。HIV抗ウイルス剤と他の薬剤は、一般に、当該技術分野にて報告されているように、それらの常套の投与範囲と投与計画で、それらを組み合わせて使用する;例えば、投与量は医師用机上手引書各版(Physicians’Desk Reference、例えば第63版(2009)及びそれ以前の版)に記載されている。これらの組み合わせにおける本発明化合物の投与量範囲は、上記の範囲と同じであってよい。
【0209】
本発明化合物はまた、抗ウイルス性化合物のスクリーニングアッセイ法の設定及び実施にも有用である。例えば、本発明化合物は酵素突然変異体を単離するために有用であり、より強力な抗ウイルス性化合物をスクリーニングするための優れた手段である。さらに、本発明化合物は、例えば、競合阻害により、HIV逆転写酵素に対する他の抗ウイルス剤の結合部位を確立又は決定する上で有用である。従って、本発明化合物はこれらを目的として販売すべき商業製品である。
【0210】
本明細書にて使用される略号は以下のとおりである:
【0211】
【化33−1】

【0212】
【化33−2】

【0213】
本発明化合物は、以下の反応スキーム及び実施例、又はその変法に従い、容易に入手し得る出発原料、試薬及び常套の合成手法を用いて、容易に調製し得る。これらの反応においては、それ自体当業者周知の変法を使用することも可能であるが、その詳細については言及しない。さらに、本発明化合物の他の調製方法についても、以下の反応スキーム及び実施例に照らして、当業者にとっては容易に明らかであろう。特にそれ以外の指示がない限り、変数はすべて上記定義のとおりである。
【0214】
スキームIは、式(I)で示される化合物の調製方法を示すものであり、式中では、ヒドロキシピリジン(I−1)をクロロトリアゾリノン(I−2)でアルキル化して(I−3)とし、これをハロゲン化アルキル(例:ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)で選択的にアルキル化して、所望の(I−4)を得る。
【0215】
【化34】

【0216】
スキームIIは、本発明化合物への別途ルートを示し、式中では、フルオロヒドロキシピリジン(II−1)をクロロトリアゾリノン(II−2)でアルキル化してアルキル化生成物(II−3)とし、これについて適当なヒドキシアレン(II−4)を用いる求核芳香族置換(SAr)により所望の(II−5)に変換することができる。
【0217】
【化35】

【0218】
式(I−1)で示されるヒドロキシピリジン(スキームI)は、スキームIIIに従って調製し得るが、式中、ピリジン(III−1)(商品として入手し得る2−クロロ−3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジンなど)及びヒドロキシアレン(II−4)間のSAr反応は、クロロピリジン(III−2)を生じ得るが、このものは塩基性条件下で加水分解を受け、ヒドロキシピリジン(I−1)を得る。
【0219】
【化36】

【0220】
式(I−1)で示されるヒドロキシピリジンの別の調製法をスキームIVに例示するが、式中、商品として入手し得る2−クロロ−3−フルオロ−4−ニトロピリドン−N−オキシド(IV−1)と適切なヒドロキシアレン(II−4)とのSArカップリング反応は、N−オキシド(IV−2)を生じ、これが先ずジハロゲン化物(IV−3)に変換され、次いで加水分解されてヒドロキシピリジン(IV−4)を与える。さらに、ヒドロキシピリジン(IV−4)の誘導化が、PdL触媒(ここで、Lはトリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン又はキサントフォスなどのリガンドである)を用いるスチレ(Stille)カップリング又はボロン酸カップリングなど、遷移金属触媒カップリング法を介して、可能であり、ヒドロキシピリジン(IV−5)を形成するか、又はアミノ化化学によりヒドロキシピリジン(IV−6)(式中、RはN(R)Rである)を形成する。
【0221】
【化37】

【0222】
スキームVは、ヒドロキシピリジンの5位におけるブロム化反応と、引き続くPdL(ここで、LはスキームIVに定義)によるスチレ若しくはボロン酸カップリングなどの遷移金属触媒化学を経由して置換基を導入し、ヒドロキシピリジン(V−3)を形成するか、あるいはアミノ化化学を経由して置換基を導入し、ヒドロキシピリジン(V−4)を形成する工程を描出する(式中、RはN(R)Rである)。
【0223】
【化38】

【0224】
スキーム(IV)に示すように、フルオロヒドロキシピリジン(II−1)(スキームII)は、商品として入手し得る3−フルオロピリジン(VI−1)から、N−オキシドの形成と河野ら(Konno et al.,Heterocycles 1986,vol.24,p.2169)記載の転移反応を経由して入手し得る。
【0225】
【化39】

【0226】
以下の実施例は本発明とその実施を説明するためのみのものである。本実施例は本発明の範囲又はその趣旨を限定しようとするものではない。
実施例中の “室温”という用語は、一般に約20℃ないし約26℃の範囲にある雰囲気温度をいう。
【実施例1】
【0227】
3−クロロ−5−({1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(1−1)
【0228】
【化40】

【0229】
工程1(a):3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(1−2)
【0230】
【化41】

【0231】
NMP(15mL)中の、3−ブロモ−5−クロロフェノール(3.74g;18.0mmol)、2−クロロ−3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(3.00g;15.0mmol)及びKCO(2.49g;18.0mmol)の混合物を120℃で1時間加熱し、次いで、室温に冷却した。次いで、この混合物をEtOAc(250mL)で希釈し、HO:食塩水(1:1、3×250mL)で洗浄した。有機抽出液を乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(120gカラム;トルエンでロード;ヘキサン/CHCl(100:0ないし0:100)、40分間)により精製して、標題化合物(1−2)を白色固体として得た。混合フラクションを再精製し、追加の標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.55(d,J=5.0Hz,1H);7.64(d,J=5.0Hz,1H);7.30(s,1H);6.88(s,1H);6.77(s,1H)。
【0232】
工程1(b):3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(1−3)
【0233】
【化42】

【0234】
t−BuOH(36mL)中の3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(1−2;3.48g;8.99mmol)の懸濁液に、KOH(1.51g;27.0mmol)
を加え、その混合物を75℃で一夜加熱した;その時点で、黄色の油状固体が溶液から析出し、LCMS分析では変換が完結していることを示した。この混合物を室温に冷却し、約50mLの飽和NHCl水溶液を添加して中和した。混合物をHO(50mL)で希釈し、次いで、EtOAc(2×100mL)で抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(120gカラム;ドライロード;CHCl/MeOH(100:0ないし90:10)、40分間)により精製して、標題化合物(1−3)を綿毛状白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ12.69(s,1H);7.59(d,J=6.9Hz,1H);7.43(t,J=1.7Hz,1H);7.20(t,J=1.9Hz,1H);7.13(t,J=2.0Hz,1H);6.48(d,J=6.9Hz,1H)。
【0235】
工程1(c):3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)
【0236】
【化43】

【0237】
NMP(29mL)中の3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(1−3;3.25g;8.82mmol)の懸濁液に、CuCN(7.90g;88mmol)を加え、その混合物を175℃に5時間加熱し、次いで室温まで徐々に冷却した。換気装置の換気を強くして、氷酢酸(100mL)を加え、次いで、EtOAc(100mL)を加え、その混合物をセライトで濾過した(EtOAcですすぎ)。濾液をHO:食塩水(1:1、3×200mL)で洗い、次いで、有機抽出液を乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(120gカラム;ドライロード;CHCl/MeOH(100:0ないし90:10)、40分間)により精製し、次いで、誘導した固体をEtO中で粉砕して(生成物と共に溶出された残余のNMPを除去するため)、標題化合物(1−4)を得た。 H NMR(400MHz,DMSO):δ12.71(s,1H);7.75(s,1H);7.63−7.57(m,2H);7.54(s,1H);6.49(d,J=6.9Hz,1H)。
【0238】
工程1(d):5−(クロロメチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(1−5)
【0239】
【化44】

【0240】
標題化合物は文献{Cowden,C.J.;Wilson,R.D.;Bishop,B.C.;Cottrell,I.F.;Davies,A.J.;Dolling,U.−H.Tetrahedron Lett.2000,41,8661}の記載に従って調製した。
【0241】
工程1(e):3−クロロ−5−({2−オキソ−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(1−6)
【0242】
【化45】

【0243】
DMF(32mL)中の、3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4;2.00g;6.36mmol)、5−(クロロメチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(1−5;0.849g;6.36mmol)及びKCO(0.878g;6.36mmol)の懸濁液を室温で2時間撹拌した;その時点で、LCMS分析は、変換が完結していることを示した。この混合物をMe−THF(200mL)で希釈し、HO:食塩水:飽和NHCl水溶液(1:1:1、150mL)で洗い、次いでさらに、HO:食塩水(1:1、2×150mL)で洗浄した。水性フラクションをさらにMe−THF(150mL)で抽出し、次いで、併合した有機抽出液を乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(80gカラム;ドライロード;EtOAc/EtOH(100:0ないし90:10)、25分間)により精製し、標題化合物(1−6)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.46(s,1H);11.39(s,1H);7.93(d,J=7.3Hz,1H);7.76(s,1H);7.58(s,1H);7.51(s,1H);6.67(d,J=7.3Hz,1H);5.02(s,2H)。
【0244】
工程1(f):3−クロロ−5−({1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(1−1)
DMF(58mL)中の、3−クロロ−5−({2−オキソ−1−[(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(1−6;2.37g;5.76mmol)及びKCO(0.796g;5.76mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いで、ヨウ化メチル(0.360mL;5.76mmol)を加えた。この混合物を室温に戻し、90分間撹拌した;その時点で、LCMS分析は、変換が>95%であることを示し、所望生成物のLCAP純度が約75%であって、残余は未反応の出発原料とビス−メチル化産物であった。この混合物をMe−THF(200mL)で希釈し、HO:食塩水(1:1、3×200mL)で洗った。水性フラクションをさらにMe−THF(200mL)で抽出し、次いで、併合した有機抽出液をを乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。得られる白色固体を先にEtOAc(100ml)中、次いで、THF(50mL)中で粉砕し、(乾燥後に)標題化合物(1−1)を>95%LCAPで得た。LCAPで>99%の純度が、プレップLCMS(Max−RP、100×30mmカラム;30〜60%CH3CN/0.6%水性HCOOH、8.3分間;25mL/分)を用いて可能である。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.69(s,1H);7.88(d,J=7.3Hz,1H);7.75(s,1H);7.62(s,1H);7.54(s,1H);6.67(d,J=7.3Hz,1H);5.17(s,2H);3.11(s,3H)。
[実施例1A]
【0245】
3−クロロ−5−({1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(1−1)
【0246】
【化46】

【0247】
工程1A:2−クロロ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(1A−2)
【0248】
【化47】

【0249】
NMP(1.5L)中の、3−クロロ−1−ヨードフェノール(208g;816.0mmol)、2−クロロ−3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(155g;777.0mmol)及びKCO(161g;1165.0mmol)の混合物を2.5時間、60℃で保持し、次いで、2日間室温に放置した。次いで、混合物を60℃に3時間再加熱し、次いで、室温に冷却した。次いで、混合物をEtOAc(4L)で希釈し、水(2L)+食塩水(1L)で洗浄した。併合した有機物を半食塩水(500mL)で2回、次いで、食塩水(500mL)で洗い、MgSOで乾燥し、濃縮して粗生成物(1A−2)を得た。H NMR(500MHz,DMSO)δ8.67(d,J=5.0Hz,1H),7.98(d,J=5.0Hz,1H),7.63−7.62(m,1H),7.42−7.40(m,1H),7.22(t,J=2.1Hz,1H)。
【0250】
工程1A(b):2−クロロ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(1A−3)
【0251】
【化48】

【0252】
t−BuOH(1L)中の3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)−2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(1A−2;421g、970mmol)の懸濁液に、KOH(272g、4850mmol)を加え、その混合物を75℃で1時間加熱した;その時点で、HPLC分析は、変換が>95%であることを示た。t−BuOHを蒸発させ、混合物を水(7mL/g、2.4L)で希釈し、次いで、0℃まで冷却し、その後、pH5となるまで12N−HCl(約240mL)を加えた。この混合物を次いでEtOAc(20mL/g,6.5L)で抽出し、EtOAc(1×5mL/g,1.5L)で逆抽出し、水/食塩水(1:1、10mL/g、3.2L)1回、食塩水(10mL/g、3.2L)で1回洗い、MgSOで乾燥し、濾過、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をMTBE(2.25L、7mL/g)に懸濁し、懸濁液にヘキサン(1L、3mL/g)を10分間で加え、その混合物を室温で30分間熟成させた。生成物をブフナーで濾過し、MTBE/ヘキサン(1:2、2mL/g=640mL)、次いでヘキサン(640ml)ですすぎ、フリットで乾燥して(1A−3)を得た。H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ11.52(s,1H);7.63(d,J=7.01Hz,1H);7.50−7.48(m,1H);7.34−7.32(m,1H);7.09−7.07(m,1H);6.48(d,J=7.01Hz,1H)。
【0253】
工程1A(c):3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)
【0254】
【化49】

【0255】
DMF(914mL)中の3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(1A−3;190g;457mmol)の溶液に、Nを20分間吹き込むことにより脱気し、その後にCuCN(73.7g;823mmol)を加えて、その混合物をさらに5分間脱気した。次いで、この混合物を120℃で17時間加熱し、次いで、室温まで冷却して、MeTHF(6L)とアンモニウム緩衝液(NHCl飽和/水/30%NHOH=4:3:1)に分配した。有機層を2Lの緩衝液、1Lの緩衝液、及び1Lの食塩水で洗い、次いで、MgSOで乾燥して、濃縮した。粗固形物を次いで還流MeCN(2.2L)中で45分間撹拌し、次いで、浴中で1時間を要して室温に冷却し、30分間熟成させ、次いで、濾過し、冷却したMeCN(2×400mL)ですすいだ。固形物をN雰囲気下、フリットで60時間乾燥し、標題化合物(1−4)を得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ12.71(s,1H);7.75(s,1H);7.63−7.57(m,2H);7.54(s,1H);6.49(d,J=6.9Hz,1H)。
【0256】
工程1A(d)及び1A(e)
標題化合物(1−1)は、次いで、実施例1で述べた工程1(d)及び1(e)に記載した方法と同様の方法で、化合物(1−4)から調製した。
【実施例2】
【0257】
3−クロロ−5−({1−[(4−エチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(2−1)
【0258】
【化50】

【0259】
標題化合物は、実施例に記載した手法を用いて調製したが、その場合、工程1(f)にて使用したヨードメタンはヨードエタンと置き換えた。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.68(s,1H);7.92(d,J=7.3Hz,1H);7.76(s,1H);7.60(s,1H);7.52(s,1H);6.69(d,J=7.3Hz,1H);5.20(s,2H);3.65−3.56(m,2H);1.11(t,J=7.1Hz,3H)。
【実施例3】
【0260】
3−クロロ−5−({4−クロロ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(3−1)
【0261】
【化51】

【0262】
工程3(a):3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−2−クロロ−4−ニトロピリジン 1−オキシド(3−2)
【0263】
【化52】

【0264】
THF/DMF(3:1、23mL)中の、3−ブロモ−5−クロロフェノール(1.32g;6.35mmol)、2−クロロ−3−フルオロ−4−ニトロピリドン−N−オキシド(1.11g;5.78mmol)及びKCO(0.798g;5.78mmol)の懸濁液を室温で5時間撹拌した。THFを減圧下で除去し、次いで、混合物を飽和NaHCO水溶液で希釈し、EtOAcで3回抽出した。併合した有機抽出液を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。得られる残差をEtO中で粉砕し、そのままの使用に十分な純度の褐色固体として、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,MeOD):δ8.57(d,J=7.5Hz,1H);8.21(d,J=7.5Hz,1H);7.43(s,1H);7.26(s,1H);7.16(s,1H)。
【0265】
工程3(b):3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−2,4−ジクロロピリジン(3−3)
【0266】
【化53】

【0267】
AcOH(37mL)中の3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−2−クロロ−4−ニトロピリジン 1−オキシド(3−2;1.41g;3.71mmol)の懸濁液を60℃に加熱し、次いで、塩化アセチル(2.64mL;37.1mmol)を加えた。60℃で60分後、混合物を室温に冷却し、減圧下でAcOHを除去した。残差を飽和NaHCO水溶液で希釈し、EtOAcで3回抽出した。併合した有機抽出液を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。得られる橙色油をCHCl(37mL)で希釈し、0℃に冷却し、次いで、PCl(4.87mL;55.7mmol)を加えた。この混合物を一夜60℃に加熱し、次いで室温に冷却し、水層がアルカリ性となるまで、飽和NaHCO水を注意深く添加して反応停止させた。この混合物をCHClで3回抽出し、次いで、併合した抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮して、そのままでの使用に充分な純度の白色固体として標題化合物を得た。H NMR(400MHz,MeOD):δ8.32(d,J=5.3Hz,1H);7.68(d,J=5.3Hz,1H);7.38(s,1H);7.02(s,1H);6.95−6.90(m,1H)。
【0268】
工程3(c):3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−4−クロロピリジン−2−オール(3−4)
【0269】
【化54】

【0270】
t−BuOH(1.0mL)中の3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−2,4−ジクロロピリジン(3−3;81mg;0.23mmol)の溶液に、KOH(39mg;0.69mmol)を加え、その混合物を一夜、75℃に加熱した。室温に冷却した後、混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相を食塩水で洗い、乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(4gカラム;ドライロード;ヘキサン/EtOAc(100:0ないし20:80))により精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ12.86(s,1H);7.27−7.23(m,2H);7.02(s,1H);6.91(s,1H);6.45(d,J=7.1Hz,1H)。
【0271】
工程3(d):3−クロロ−5−[(4−クロロ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]ベンゾニトリル(3−5)
【0272】
【化55】

【0273】
DMF中の3−(3−ブロモ−5−クロロフェノキシ)−4−クロロピリジン−2−オール(3−4;205mg;0.612mmol)の溶液をNで5分間脱気し、次いで、Zn(CN)(71.9mg;0.612mmol)及びPd(PPh(106mg;0.092mmol)を加えた。この混合物を90℃に2時間で加熱し、次いで、室温に冷却した。混合物をEtOAcと水で希釈し、所望の化合物の沈殿を得て、これを濾取した。さらに、水、EtOAc、CHCl、及びMeOHで洗浄し、標題化合物を白色固体として得た。H NMR(400MHz,MeOD):δ7.52(s,1H);7.43(d,J=7.1Hz,1H);7.29(s,1H);7.27(s,1H);6.58(d,J=7.1Hz,1H)。
【0274】
工程3(e)及び(f):3−クロロ−5−({4−クロロ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(3−1)
標題化合物は、工程1(e)及び(f)を改変したものを用い、工程1(e)の3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)を3−クロロ−5−[(4−クロロ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]ベンゾニトリル(3−5)と置き換えて調製した。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.66(s,1H);7.72(t,J=3.5Hz,2H);7.53(s,1H);7.44(s,1H);6.62(d,J=7.5Hz,1H);5.10(s,2H);3.11(s,3H)。
【実施例4】
【0275】
3−({4−ブロモ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)−5−クロロベンゾニトリル(4−1)
【0276】
【化56】

【0277】
工程4(a):3−クロロ−5−ヨード−フェノール(4−2)
【0278】
【化57】

【0279】
ヘキサン(70mL)中の1−クロロ−3−ヨードベンゼン(5.00g;21.0mmol)の溶液にNを5分間吹き込んだ。ビス−(ピナコラト)ボラン(6.39g;25.2mmol)、ジ−μ−メトキソ−ビス−(1,5−シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)(0.208g;0.315mmol)及び4,4−ジ−tert−ブチル−2,2−ジピリジル(0.169g;0.629mmol)を加え、反応液を一夜室温で撹拌した。減圧下でヘキサンを除去し、次いで、残渣をアセトン(70mL)で再希釈し、水(70mL)中のオクソン(Oxone;登録商標;すなわち、ペルオキシ一硫酸カリウム)(12.9g;21.0mmol)を加えた。10分間撹拌した後、5%NaSO水溶液を加えて反応を停止させ、生成物をEtOで3回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(ヘキサン:EtOAc=100:0ないし70:30)により精製して、標題化合物を褐色油として得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.29(s,1H);7.13(s,1H);6.89−6.80(m,1H);5.91(s,1H)。
【0280】
工程4(b):2−クロロ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)−4−ニトロピリジン 1−オキシド(4−3)
【0281】
【化58】

【0282】
THF(79mL)中の、3−クロロ−5−ヨード−フェノール(4−2;5.00g;19.7mmol)、2−クロロ−3−フルオロ−4−ニトロピリドン−N−オキシド(3.67g;19.1mmol)及びKCO(2.72g;19.7mmol)の懸濁液を室温で一夜撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、次いで、飽和NaHCO水溶液で希釈し、CHClで抽出した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をEtO中で粉砕し、そのままの使用に充分な純度の黄色固体として標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.40(d,J=7.4Hz,1H);8.04(d,J=7.4Hz,1H);7.54(s,1H);7.12(s,1H);6.88(t,J=2.0Hz,1H)。
【0283】
工程4(c):2,4−ジブロモ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)ピリジン(4−4)
【0284】
【化59】

【0285】
AcOH(23mL)中の2−クロロ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)−4−ニトロピリジン 1−オキシド(4−3;3.00g;7.03mmol)の懸濁液を80℃に加熱し、次いで、臭化アセチル(5.19mL;70.3mmol)を加えた。60℃で4時間維持した後、混合物を室温に冷却し、AcOHを減圧下で除去した。残渣を飽和NaHCO水溶液で希釈し、CHClで3回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をCHCl(23mL)で希釈し、次いで、PBr(9.94mL;105mmol)を加えた。混合物を一夜80℃に加熱し、次いで、室温に冷却し、氷上に注入し、1M−NaOH(aq)をゆっくりと加えて中和した。混合物をCHClで3回抽出し、濁りのある有機層を得た。減圧下で溶媒を除去(乾燥ではない)し、得られた固体をCHCl中で粉砕した。濾液を減圧下で濃縮し、ISCOコンビフラッシュ(ヘキサン:EtOAc=100:0ないし80:20)により精製して追加の固体を得た;これを粉砕した物質と併合して標題化合物とした。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.27(d,J=5.3Hz,1H);7.74(d,J=5.3Hz,1H);7.50(s,1H);7.09(s,1H);6.81(t,J=2.0Hz,1H).
【0286】
工程4(d):4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)ピリジン−2−オール(4−5)
【0287】
【化60】

【0288】
t−BuOH(23mL)中の二臭化物(2.75g;5.62mmol)の溶液に、KOH(0.946g;16.9mmol)を加えて、その混合物を一夜75℃に加熱した;混合物は所望の生成物とその2−ブロモ−4−ヒドロキシ異性体の混合物であることを示した。この混合物を飽和NaHCO水溶液で希釈し、EtOAcで3回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。得られた固体をMeOH中で粉砕し、標題化合物を白色固体として得た。H NMR(400MHz,MeOD):δ7.48(t,J=1.5Hz,1H);7.33(d,J=7.1Hz,1H);7.20(t,J=1.7Hz,1H);6.94(t,J=2.0Hz,1H);6.70(d,J=7.1Hz,1H)。
【0289】
工程4(e):3−[(4−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(4−6)
【0290】
【化61】

【0291】
DMF中の4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−ヨードフェノキシ)ピリジン−2−オール(4−5;1.72g;4.03mmol)の溶液に、Nを5分間吹き込んだ。シアン化亜鉛(II)(0.284g;2.42mmol)及びPd(PPh(0.466g;0.403mmol)を加え、その混合物を一夜40℃に加熱した。室温に冷却した後、混合物を飽和NaHCO水溶液で希釈し、CHClで3回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。得られた固体を水中、MeOH中、EtO中で順次粉砕し、標題化合物を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ12.33(s,1H);7.73(s,1H);7.51(s,1H);7.44(s,1H);7.36(d,J=7.1Hz,1H);6.56(d,J=7.0Hz,1H)。
【0292】
工程4(f)及び(g):3−({4−ブロモ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)−5−クロロベンゾニトリル(4−1)
標題化合物は、工程1(e)及び(f)を改変したものを用い、工程1(e)の3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)を3−[(4−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(4−6)と置き換えて調製した。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.66(s,1H);7.74(s,1H);7.65(d,J=7.5Hz,1H);7.53(s,1H);7.43(s,1H);6.73(d,J=7.4Hz,1H);5.10(s,2H);3.11(s,3H)。
【実施例5】
【0293】
3−クロロ−5−({4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(5−1)
【0294】
【化62】

【0295】
工程5(a):3−クロロ−5−{[4−(1−エトキシエテニル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(5−2)
【0296】
【化63】

【0297】
DMF(4mL)中の、3−[(4−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(4−6;300mg;0.922mmol)及びトリブチル(1−エトキシビニル)スズ(832mg;2.30mmol)の溶液をNで5分間脱気した。Pd(PPh(53mg;0.046mmol)を加え、その混合物を一夜80℃に加熱した。室温に冷却した後、水性KF(2.3M、5mL)を加え、得られた沈殿を濾去し、EtOAcで洗った。相分離した後、水相をさらにEtOAcで抽出し、次いで併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(ヘキサン:EtOAc=100:0ないし0:100)により精製して、残余のトリフェニルホスフィンオキシドの混入した標題化合物を得た;このものはさらに精製することなくそのまま使用した。H NMR(400MHz,MeOD):δ7.45(s,1H);7.40(d,J=6.9Hz,1H);7.19(s,1H);7.17(s,1H);6.58(d,J=5.8Hz,1H);4.66(d,J=2.9Hz,1H);4.52(d,J=2.9Hz,1H);3.78(dd,J=14.0,7.0Hz,2H);1.17−1.09(m,3H)。
【0298】
工程5(b):3−[(4−アセチル−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(5−3)
【0299】
【化64】

【0300】
アセトン(2.5mL)中の3−クロロ−5−{[4−(1−エトキシエテニル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(5−2;157mg;O=PPh含有)の溶液に、1.0mLの10%HCl水を加え、その混合物を2日間撹拌した。減圧下でアセトンを除去し、次いで、その混合物を水で希釈し、CHClで3回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。Et2O中で粉砕して、標題化合物を白色固体として得た。H NMR(400MHz,MeOD):δ7.53(s,1H);7.45(d,J=6.9Hz,1H);7.34(s,1H);7.31(s,1H);6.58(d,J=6.9Hz,1H);2.51(s,3H)。
【0301】
工程5(c):3−クロロ−5−{[4−(1,1−ジフルオロエチル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(5−4)
【0302】
【化65】

【0303】
CHCl(1.4mL)中の3−[(4−アセチル−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(5−3;102mg;0.353mmol)の溶液に、DAST(233μL;1.77mmol)を加え、混合物を室温で撹拌した。4時間目、24時間目、及び32時間目にさらに等量のDASTを加え、48時間撹拌を続けた;この時点で、LCMS分析は変換が完結していることを示した。飽和NaHCO水溶液を注意深く加えて反応を停止させ、次いで、生成物をCHClで3回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮して、標題化合物を得た;これをさらに精製することなくそのまま使用した。
【0304】
工程5(d)及び(e): 3−クロロ−5−({4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(5−1)
標題化合物は、工程1(e)及び(f)を改変したものを用い、工程1(e)の3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)を3−クロロ−5−{[4−(1,1−ジフルオロエチル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(5−4)と置き換えて調製した。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.68(s,1H);7.80(d,J=7.3Hz,1H);7.72(t,J=1.5Hz,1H);7.51(dd,J=2.4,1.3Hz,1H);7.41(t,J=2.1Hz,1H);6.51(d,J=7.3Hz,1H);5.15(s,2H);3.12(s,3H);1.95(t,J=19.4Hz,3H)。
【実施例6】
【0305】
3−({5−ブロモ−4−クロロ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)−5−クロロベンゾニトリル(6−1)
【0306】
【化66】

【0307】
工程6(a):3−[(5−ブロモ−4−クロロ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(6−2)
【0308】
【化67】

【0309】
アセトニトリル(30mL)中の3−[(4−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(4−6;1.5g、5.34mmol)の懸濁液に、NBS(1.5g、8.43mmol)を加えた。この混合物を室温で2〜3時間、LCMS分析が変換の完結を示すまで撹拌した。水(20mL)を加え、固形物を集め、水、MeOH及びEtOで順次洗い、そのままでの使用に充分な純度の淡黄色固体として臭化物を得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ12.67(s,1H);7.92(s,1H);7.74(s,1H);7.61(s,1H);7.57(s,1H)。
【0310】
工程6(b)及び(c)3:3−({5−ブロモ−4−クロロ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)−5−クロロベンゾニトリル(6−1)
標題化合物は、工程1(e)及び(f)を改変したものを用い、工程1(e)の3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)を3−[(5−ブロモ−4−クロロ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(6−2)と置き換えて調製した。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.70(s,1H);8.26(s,1H);7.76(s,1H);7.64(s,1H);7.57(t,J=2.0Hz,1H);5.12(s,2H);3.13(s,3H)。
【実施例7】
【0311】
3−({5−ブロモ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)−5−クロロベンゾニトリル(7−1)
【0312】
【化68】

【0313】
工程7(a):3−{[5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−5−クロロベンゾニトリル(7−2)
【0314】
【化69】

【0315】
アセトニトリル(30mL)中の3−[(4−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)オキシ]−5−クロロベンゾニトリル(4−6;1.30g、4.13mmol)の懸濁液に、NBS(0.800g、4.49mmol)を加えた。混合物を室温で2〜3時間、LCMS分析が変換の完結を示すまで撹拌した。水(20mL)を加え、固形物を集め、水、MeOH及びEtOで順次洗い、そのままでの使用に充分な純度の淡黄色固体として臭化物を得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ12.94(s,1H);7.95(s,1H);7.74(s,1H);7.67(s,1H);7.63(s,1H)。
【0316】
工程7(b)及び(c):3−({5−ブロモ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)−5−クロロベンゾニトリル(7−1)
標題化合物は、工程1(e)及び(f)を改変したものを用い、工程1(e)の3−クロロ−5−{[2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}ベンゾニトリル(1−4)を3−{[5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−5−クロロベンゾニトリル(7−2)と置き換えて調製した。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.73(s,1H);8.25(s,1H);7.76(d,J=1.7Hz,1H);7.71−7.69(m,1H);7.66−7.64(m,1H);5.14(s,2H);3.11(s,3H)。
【実施例8】
【0317】
3−(ジフルオロメチル)−5−({1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(8−1)
【0318】
【化70】

【0319】
工程8(a):5−[(ベンジルオキシ)メチル]−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(8−2)
【0320】
【化71】

【0321】
THF中のN−メチルヒドラジンカルボキサミド(3.13g;35.1mmol;Can.J.Chem.1951,29,478)の溶液に、塩化ベンジルオキシアセチル(5.45mL;35.1mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、次いで、5M−NaOH(aq)(7.38mL;36.9mmol)を加えて、その混合物を2時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、未精製の2−[(ベンジルオキシ)アセチル]−N−メチルヒドラジンカルボキサミドを2M−NaOH(aq)(60mL)に溶かし、この混合物を一夜95℃に加熱した。室温に冷却した後、6M−HCl水を滴下添加することにより混合物を中和した。水で希釈した後、水層をEtOAcで2回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(ヘキサン:EtOAc=80:20ないし0:100)により精製して、標題化合物を得た。H NMR(500MHz,CDCl):δ10.03(s,1H);7.43−7.34(m,5H);4.57(s,2H);4.47(s,2H);3.35(s,3H)。
【0322】
工程8(b):5−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(8−3)
【0323】
【化72】

【0324】
EtOH(84mL)中の5−[(ベンジルオキシ)メチル]−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(8−2;4.20g;19.2mmol)の懸濁液に、Pd(OH)(20wt%;2.02g;2.87mmol)を加え、その混合物を室温で一夜撹拌した。ソルカ・フロック(Solka Floc)で濾過、減圧濃縮して、そのままの使用に充分な純度の標題化合物2.33g(18.1mmol;94%)を得た。H NMR(500MHz,DMSO):δ11.53(s,1H);5.51(t,J=5.7Hz,1H);4.33(d,J=5.8Hz,2H);3.17(s,3H)。
【0325】
工程8(c):5−(クロロメチル)−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(8−4)
【0326】
【化73】

【0327】
CHCN(47mL)中の5−(ヒドロキシメチル)−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(8−3;2.33g;18.0mmol)の懸濁液に、塩化チオニル(1.52mL;20.7mmol)を加え、その混合物を室温で5時間撹拌した。減圧下で濃縮後、得られた残渣をヘキサン中で粉砕し、標題化合物を白色固体として得た。H NMR(500MHz,DMSO):δ11.87(s,1H);4.75(s,2H);3.21(s,3H)。
【0328】
工程8(d);3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(8−5)
【0329】
【化74】

【0330】
CHCl(10mL)中の3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(5.00g;30.3mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いで、メチルトリオキソレニウム(VII)(0.062g;0.249mmol)及び過酸化水素(30%;6.2mL;61mmol)を加え、その混合物を室温に加温した。2時間撹拌した後、MnO(5mg)を加えて反応を停止させ、さらに30分間撹拌した。さらにCHClを加えて希釈した後、混合物をソルカ・フロックで濾過し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン 1−オキシドをそのままでの使用に充分な純度で得た。このN−オキシド(3.70g;20.4mmol)を水素化ボンベ中の無水トリフルオロ酢酸(21.6mL;153mmol)に溶かし、85℃に15時間で加熱した。0℃に冷却した後、水を加え、次いで、pH9となるまで固形KCOを加えた。水性フラクションをEtOAcとMe−THFで抽出し、併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュ(ヘキサン:EtOAc=70:30ないし0:100)により精製して、標題化合物をピンク固体として得た。H NMR(400MHz,アセトン):δ11.48(s,1H);7.55(d,J=7.1Hz,1H);6.39(t,J=6.2Hz,1H)。
【0331】
工程8(e):3−(ジフルオロメチル)ベンゾニトリル(8−6)
【0332】
【化75】

【0333】
CHCl(38mL)中の3−シアノベンズアルデヒド(1.00g;7.63mmol)の溶液に、DAST(1.01mL;7.63mmol)を加え、その混合物を室温で1時間撹拌した。1N−HCl水で反応を停止させ、CHClで2回抽出した。併合した有機抽出液を乾燥し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュにより精製して、標題化合物を黄色油として得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ8.09(s,1H);8.05(d,J=7.8Hz,1H);7.94(d,J=7.9Hz,1H);7.80−7.71(m,1H);7.12(t,J=55.4Hz,1H)。
【0334】
工程8(e):3−(ジフルオロメチル)−5−ヒドロキシベンゾニトリル(8−7)
【0335】
【化76】

【0336】
標題化合物は、工程4(a)を改変したものを用い、1−クロロ−3−ヨードベンゼンを3−(ジフルオロメチル)ベンゾニトリル(8−9)に置き換え、溶媒としてのヘキサンをMTBEに置き換えて調製した。H NMR(400MHz,DMSO):δ10.69(s,1H);7.46(s,1H);7.32(s,1H);7.26(s,1H);7.02(t,J=55.4Hz,1H)。
【0337】
工程8(f):3−フルオロ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(8−8)
【0338】
【化77】

【0339】
ジオキサン(1.7mL)中の3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−オール(8−5;50mg;0.34mmol)の溶液に、KCO(51mg;0.373mmol)を加え、その混合物を5分間撹拌した。次いで、5−(クロロメチル)−4−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(8−4;68mg;0.373mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を水で希釈し、CHClで抽出した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。ISCOコンビフラッシュにより精製して、標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):δ10.14(s,1H);8.11(d,J=5.2Hz,1H);7.18(t,J=4.7Hz,1H);5.40(s,2H);3.41(s,3H)。
【0340】
工程8(g):3−(ジフルオロメチル)−5−({1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−2−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)ベンゾニトリル(8−1)
3−フルオロ−1−[(4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(8−8;30mg;0.103mmol)、3−(ジフルオロメチル)−5−ヒドロキシベンゾニトリル(8−7;34.7mg;0.205mmol)及びKCO(28.4mg;0.205mmol)からなる混合物を75℃に加熱し、一夜撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水で希釈し、CHClで抽出した。併合した有機抽出液を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。質量分析指向HPLCにより精製し、標題化合物2.1mg(0.0048mmol;4.6%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ11.70(s,1H);7.90(d,J=7.3Hz,1H);7.80(d,J=8.5Hz,2H);7.57(s,1H);7.05(t,J=55.2Hz,1H);6.69(d,J=7.3Hz,1H);5.17(s,2H);3.10(s,3H)。
【実施例9】
【0341】
HIV逆転写酵素阻害についてのECLアッセイ
HIV逆転写酵素のインビトロ阻害を本発明化合物により定量するアッセイは、以下のように実施した:HIV−1 RT酵素(0.1nM)をアッセイバッファー(50mMトリス−HCl、pH7.8、1mMジチオトレイトール、6mM−MgCl、80mM−KCl、0.025%CHAPS、0.1mM−EGTA)中の阻害剤又はDMSO(10%)と併合し、その混合物をマイクロタイタープレート(コーニング・コースター#3365)中、室温で30分間プレインキュベートした。反応混合物(50μL)をプライマー−鋳型基質(5nM最終濃度)及びdNTP(0.6μM−dNTP、20nM−ルテニウム−dUTP)の組み合わせで反応開始させた。ヘテロ二量体核酸基質は、DNAプライマービオチニル化−pD500(インテグレイテッドDNAテクノロジーズから入手)をt500(インビトロ転写により創出された500ヌクレオチドのRNA鋳型;参照文献 Shaw−Reid et al.,J.Biol.Chem.,278:2777−2780)にアニールすることにより生成させた。37℃で90分間インキュベートした後、PBS中の、0.05M−EDTA、0.7%BSA、0.07%トゥイーン−20及び0.017%アジ化ナトリウムを含有するクエンチングバッファー(60μL)により反応停止させた。10分間のインキュベーションの後、停止した反応液を、予め5%ブロッカーA(MSDから)で1時間ブロックしたメソスケールディスカバリー(MSD)アビジン標準プレートに移した。次いで、プレートを室温に1時間放置し、その後、1ウエルあたり200μLのPBSで3回洗浄する。1×読み取りバッファーT(MSD)150μLを加え、セクター・イメージャー6000(MSD)でプレートを読み取る。本発明の代表的化合物は、本アッセイ法において、逆転写酵素の酵素阻害を示す。例えば、上記実施例1〜8に示した標題化合物について本アッセイ法にて試験した結果、100nMで、下記表Bに示すパーセント阻害値を有することが判明した。
【0342】
【表B−1】

【0343】
【表B−2】

【0344】
【実施例10】
【0345】
HIV複製阻害についてのアッセイ
T−リンパ系細胞の急性HIV−1感染阻害についてのアッセイ(あるいは、本明細書では“塗沫アッセイ”という)は、文献(Vacca,J.P.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1994,91:4096)記載の方法に従って実施した。本発明の代表的化合物は、野生型HIV−1を用いるアッセイにおいて、HIV複製の阻害を示す。例えば、実施例1ないし8に示した化合物は、表Cに示すCIC95値を有することが判明した。該化合物については、K103N及びY181C突然変異体を含むHIV株を用い、該アッセイ法の変法を用いても試験したが、すべての事例において、野生型に対し20倍未満シフトすることが判明した。
【0346】
【表C】

【0347】
【実施例11】
【0348】
細胞毒性
細胞毒性は、塗沫アッセイ法において各ウエルにおける細胞の顕微鏡下検査により判定したが、その場合、熟練した分析者が、各培養物について以下の形態学的変化を対照の培養物と比較して観察した:pH不均衡、細胞の異常性、細胞分裂停止性、細胞壊死性、又は結晶化(すなわち、該化合物がウエル中で不溶であるか、又は結晶を形成する)。本発明の代表的化合物は、塗沫アッセイ法におけるCIC95値又はそれ以上の濃度で、これらのアッセイで検討した最高用量まで細胞毒性を示すことはなかった。例えば、実施例1ないし8の標題化合物は、125nMまで細胞毒性を示さなかった。
【0349】
上述の明細事項は、本発明の原理原則を教示するものであるが、以下の特許請求の範囲内に入る通常の変更、改造、及び/又は修飾は、その説明を目的とする例示と共に、すべて本発明の実施に包含される。本明細書にて引用されたすべての文献、特許、及び特許出願は、その全文が、本開示に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、C1−10アルキル、CycA、又はAryAであり;
CycAは、C3−8シクロアルキルであり;ここで、シクロアルキルは1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、当該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、OH、O−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、又はO−C1−6ハロアルキルであり;
AryAは、合計1個ないし6個の置換基により置換されていてもよいアリールであり;ここで、
(i)0個ないし6個の置換基が、それぞれ独立して:
(1)C1−6アルキル;
(2)C1−6ハロアルキル;
(3)1個ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(4)C2−6アルケニル;
(5)1個ないし3個の置換基で置換されたC2−6アルケニル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(6)C2−6アルキニル;
(7)1個ないし3個の置換基で置換されたC2−6アルキニル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又は(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(8)O−C1−6アルキル;
(9)O−C1−6ハロアルキル:
(10)OH;
(11)ハロゲン;
(12)CN;
(13)NO
(14)N(R)R
(15)C(O)N(R)R
(16)C(O)R
(17)C(O)−C1−6ハロアルキル;
(18)C(O)OR
(19)OC(O)N(R)R
(20)SR
(21)S(O)R
(22)S(O)
(23)S(O)N(R)R
(24)N(R)S(O)
(25)N(R)S(O)N(R)R
(26)N(R)C(O)R
(27)N(R)C(O)N(R)R
(28)N(R)C(O)−C(O)N(R)R;又は
(29)N(R)COであり;及び
(ii)0個ないし2個の置換基が、それぞれ独立して:
(1)CycQ;
(2)AryQ;
(3)HetQ;
(4)HetR;
(5)J−CycQ;
(6)J−AryQ;
(7)J−HetQ;
(8)J−HetR;
(9)CycQ、AryQ、HetQ、HetR、J−CycQ、J−AryQ、J−HetQ、又はJ−HetRにより置換されたC1−6アルキル;
(10)CycQ、AryQ、HetQ、HetR、J−CycQ、J−AryQ、J−HetQ、又はJ−HetRにより置換されたC2−6アルケニル;又は
(11)CycQ、AryQ、HetQ、HetR、J−CycQ、J−AryQ、J−HetQ、又はJ−HetRにより置換されたC2−6アルキニルであり;
各CycQは独立して、C3−8シクロアルキル又はC5−8シクロアルケニルであり、ここで、シクロアルキル又はシクロアルケニルは1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、OH、O−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、又はO−C1−6ハロアルキルであり;
各AryQは独立して、フェニル又はナフチルであり、ここで、フェニル又はナフチルは1個ないし5個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、CN、NO、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、SO、SON(R)R、又はSON(R)C(O)Rであり;
各HetQは独立して、1個ないし4個の置換基により置換されていてもよいヘテロアリールであり、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SO、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)COであり;
各HetRは独立して、少なくとも1個の炭素原子及びN、O、及びSから独立して選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む4員ないし7員の飽和若しくは不飽和の非芳香族複素環であり、その場合の各SはS(O)若しくはS(O)に酸化されていてもよく、ここで、飽和若しくは不飽和の複素環は1個ないし4個の置換基により置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、CN、C1−6アルキル、OH、オキソ、O−C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6ハロアルキル、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、又はSOであり;
各Jは独立して:
(i)O;
(ii)S;
(iii)S(O);
(iv)S(O)
(v)O−C1−6アルキレン;
(vi)S−C1−6アルキレン;
(vii)S(O)−C1−6アルキレン;
(viii)S(O)−C1−6アルキレン;
(ix)N(R);又は
(x)N(R)−C1−6アルキレンであり;
及びRはそれぞれ独立して:
(1)H;
(2)C1−6アルキル;
(3)C1−6ハロアルキル;
(4)1個ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル(ここで、該置換基のそれぞれが独立して、OH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、NO、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、S(O)N(R)R、N(R)C(O)R、N(R)CO、N(R)S(O)、N(R)S(O)N(R)R、OC(O)N(R)R、N(R)C(O)N(R)R、又はN(R)C(O)C(O)N(R)Rである);
(5)O−C1−6アルキル(ここで、該アルキルがOH、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、CN、N(R)R、C(O)N(R)R、C(O)R、CO、SR、S(O)R、S(O)、又はS(O)N(R)Rにより置換されていてもよい);
(6)O−C1−6ハロアルキル;
(7)ハロゲン;
(8)CN;
(9)NO
(10)N(R)R
(11)C(O)N(R)R
(12)C(O)R
(13)C(O)−C1−6ハロアルキル;
(14)C(O)OR
(15)OC(O)R
(16)OC(O)N(R)R
(17)SR
(18)S(O)R
(19)S(O)
(20)S(O)N(R)R
(21)N(R)S(O)
(22)N(R)S(O)N(R)R
(23)N(R)C(O)R
(24)N(R)C(O)N(R)R
(25)N(R)C(O)−C(O)N(R)R
(26)N(R)CO
(27)N(R)R
(28)C(O)N(R)R
(29)OC(O)N(R)R
(30)S(O)N(R)R
(31)N(R)S(O)N(R)R
(32)N(R)C(O)N(R)R
(33)N(R)C(O)−C(O)N(R)R
(34)C3−8シクロアルキル;
(35)O−C3−8シクロアルキル;
(36)AryX;又は
(37)HetX;
(ここで、AryXは、独立して、AryQと同じ定義であり、またHetXは、独立して、HetQと同じ定義である)であり;
は、H、C1−6アルキル、AryZ、HetZ、ハロゲン、CN、又はC1−6フルオロアルキルであり;
AryZは、独立して、AryQと同じ定義であり;
HetZは、独立して、HetQと同じ定義であり;
は、H又はC1−6アルキルであり;
各アリールは、独立して、(i)フェニル、(ii)少なくとも1個の環が芳香族である9員若しくは10員の二環式縮合炭素環系、又は(iii)少なくとも1個の環が芳香族である11員ないし14員の三環式縮合炭素環系であり;
各ヘテロアリールは、独立して、(i)N、O、及びSから独立して選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む5員若しくは6員の芳香族複素環(式中、各Nはオキシドの形状であってもよい)又は(ii)N、O、及びSから独立して選択される1個ないし6個のヘテロ原子を含む9員若しくは10員の二環式縮合複素環系(式中、該環の一方又は双方が1個以上のヘテロ原子を含み、少なくとも1個の環が芳香性であり、各Nはオキシドの形状であってもよく、また芳香性ではない環内の各Sは、S(O)又はS(O)であってもよい)であり;
各Rは、独立して、H又はC1−6アルキルであり;
各Rは、独立して、H又はC1−6アルキルであり;そして、
及びRの各対は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、R及びRが結合するNに加えてさらに1個のヘテロ原子を含んでいてもよい4員ないし7員の飽和若しくは不飽和の非芳香環(ここで、さらなるヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され、該環は1個若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、該置換基はそれぞれ独立して、C1−6アルキル、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R)R、又はS(O)であり;また、該環中の選択肢としてのSは、S(O)又はS(O)の形状であってもよい)である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
AryAが、フェニル又はナフチルであり、その場合のフェニル又はナフチルが1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基がそれぞれ独立して:
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル;
(3)C2−4アルケニル;
(4)CNで置換されたC2−4アルケニル;
(5)O−C1−4アルキル;
(6)O−C1−4ハロアルキル;
(7)OH;
(8)ハロゲン;
(9)CN;
(10)NO
(11)N(R)R
(12)C(O)N(R)R
(13)C(O)R
(14)CO
(15)SR
(16)S(O)R
(17)SO
(18)SON(R)R
(19)SON(R)C(O)R;又は
(20)CycQ(ただし、置換基CycQは2個を超えないものとする)(式中、各CycQはC3−7シクロアルキルであり、その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基のそれぞれは独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルであり;また、AryAの一部であるR又はRのいずれかは、H又はC1−4アルキルである);
である請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
AryAが、フェニルであり;その場合のフェニルが1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基がそれぞれ独立して、
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)ハロゲン;
(5)CN;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)CycQ(ただし、置換基CycQは1個を超えないものとし、またその場合のCycQはC3−7シクロアルキルである)
である請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
該フェニルが1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、該置換基がそれぞれ独立して、
(1)CH
(2)CF
(3)CHF
(4)CHCF
(5)OCH
(6)Cl;
(7)Br;
(8)F;
(9)CN;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピル(ただし、置換基シクロプロピルは1個を超えないものとする)
である請求項3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
該フェニルが3,5−ジ−置換フェニルである請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
該3,5−ジ−置換フェニルが3−クロロ−5−シアノフェニルである請求項5に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
及びRがそれぞれ独立して、
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)CHOH;
(5)CHO−C1−4アルキル;
(6)CHCN;
(7)CHN(R)R
(8)CHC(O)N(R)R
(9)CHC(O)R
(10)CHCO
(11)CHS(O)
(12)O−C1−4アルキル;
(13)O−C1−4ハロアルキル;
(14)ハロゲン;
(15)CN;
(16)NO
(17)N(R)R
(18)C(O)N(R)R
(19)C(O)R
(20)C(O)−C1−4ハロアルキル;
(21)C(O)OR
(22)SR
(23)S(O)
(24)
【化2】

(25)
【化3】

(26)
【化4】

(27)
【化5】

(28)
【化6】

(29)
【化7】

(30)
【化8】

(31)
【化9】

(32)
【化10】

(33)
【化11】

(34)
【化12】

(35)
【化13】

(36)C3−7シクロアルキル;
(Vは、H、CH、C(O)CH、C(O)OCH、又はS(O)CHであり;Rは、H、C1−4アルキル、Cl、Br、F、CN、又はC1−4フルオロアルキルである)
である請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4ハロアルキル:
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4ハロアルキル;
(5)ハロゲン;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)C3−7シクロアルキルであり;
が、
(1)H,
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)O−C1−4アルキル;
(5)O−C1−4ハロアルキル;
(6)ハロゲン;
(7)S−C1−4アルキル;又は
(8)C3−7シクロアルキルであり;
が、Hである
請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が:
(1)C1−4アルキル;
(2)O−C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)Cl;
(6)Br;
(7)F;
(8)S−C1−4アルキル;又は
(9)C3−9シクロアルキルであり;そして
が:
(1)C1−4アルキル;
(2)O−C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)Cl;
(6)Br;
(7)F;
(8)S−C1−4アルキル;又は
(9)C3−9シクロアルキルである
請求項8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が:
(1)CH
(2)CF
(3)CFCH
(4)CHCF
(5)OCH
(6)OCF
(7)Cl;
(8)Br;
(9)F;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピルであり、そして
が:
(1)H;
(2)CH
(3)CF
(4)CFCH
(5)CHCF
(6)OCH
(7)OCF
(8)Cl;
(9)Br;
(10)F;
(11)SCH;又は
(12)シクロプロピルである
請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、H、Cl、Br、又はFである請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、
(1)CF3;
(3)Cl;又は
(5)Brである
請求項11に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、H又はC1−4アルキルである請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、H又はC1−3アルキルである請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
が、H、CH、又はCHCHである請求項14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
式(II):
【化14】

[式中、
及びXは、それぞれ独立して:
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)C2−4アルケニル;
(5)CNで置換されたC2−4アルケニル;
(6)OH;
(7)O−C1−4アルキル;
(8)O−C1−4ハロアルキル;
(9)ハロゲン;
(10)CN;
(11)NO
(12)N(R)R
(13)C(O)N(R)R
(14)C(O)R
(15)CO
(16)SR
(17)S(O)R;,
(18)SO
(19)SON(R)R
(20)SON(R)C(O)R;又は
(21)CycQ(ここで、各CycQは、C3−7シクロアルキルであり、その場合のシクロアルキルは1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、OH、O−C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、又はO−C1−4ハロアルキルである)であり、
及びRは、それぞれ独立して:
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)CHOH;
(5)CHO−C1−4アルキル;
(6)CHCN;
(7)CHN(R)R
(8)CHC(O)N(R)R
(9)CHC(O)R
(10)CHCO
(11)CHS(O)
(12)O−C1−4アルキル;
(13)O−C1−4ハロアルキル;
(14)ハロゲン;
(15)CN;
(16)NO
(17)N(R)R
(18)C(O)N(R)R
(19)C(O)R
(20)C(O)−C1−4ハロアルキル;
(21)C(O)OR
(22)SR
(23)S(O)
(24)
【化15】

(25)
【化16】

(26)
【化17】

(27)
【化18】

(28)
【化19】

(29)
【化20】

(30)
【化21】

(31)
【化22】

(32)
【化23】

(33)
【化24】

(34)
【化25】

(35)
【化26】

(36)C3−7シクロアルキルであり;
各Vは、独立して、H、CH、C(O)CH、C(O)OCH、又はS(O)CHであり;
は、H又はC1−4アルキルであり;
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキルであり;また、
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキルである]
の化合物である請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
及びXが、それぞれ独立して:
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)ハロゲン;
(5)CN;
(6)S−C1−4アルキル又は
(7)CycQ
(ただし、
(i)置換基CycQは1個を超えず、またCycQはC3−7シクロアルキルであり;
(ii)X及びXの少なくとも一方はH以外である)であり;
が:
(1)C1−4アルキル;
(2)C1−4フルオロアルキル;
(3)O−C1−4アルキル;
(4)O−C1−4フルオロアルキル;
(5)ハロゲン;
(6)S−C1−4アルキル;又は
(7)C3−7シクロアルキル;であり;
が:
(1)H;
(2)C1−4アルキル;
(3)C1−4ハロアルキル;
(4)O−C1−4アルキル;
(5)O−C1−4フルオロアルキル;
(6)ハロゲン;
(7)S−C1−4アルキル;又は
(8)C3−7シクロアルキルであり;また、
が、H又はC1−3アルキルである
請求項16に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
及びXが、それぞれ独立して:
(1)Cl;
(2)Br;
(3)F;
(4)CN;
(5)CH
(6)CHF
(7)CF
(8)OCH
(9)SCH又は
(10)シクロプロピル(ただし、置換基シクロプロピルは1個を超えず)であり;
が:
(1)CH
(2)CF
(3)CFCH
(4)CHCF
(5)OCH
(6)OCF
(7)Cl;
(8)Br;
(9)F;
(10)SCH;又は
(11)シクロプロピルであり;
が:
(1)H;
(2)CH
(3)CF
(4)CFCH
(5)CHCF
(6)OCH
(7)OCF
(8)Cl;
(9)Br;
(10)F;
(11)SCH;又は
(12)シクロプロピルであり;また
が、H、CH、又はCHCHである
請求項17に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
該化合物が、式(III):
【化27】

で示される化合物である請求項18に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
が、H、Cl、Br、又はFである請求項19に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
が、CH又はCHCHである請求項20に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
がHである請求項21に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
該化合物が、
【化28】

からなる群より選択される請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
請求項1ないし23のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量、及び薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
【請求項25】
請求項1ないし23のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量をそれの必要な患者に投与することを含むHIV感染を予防若しくは治療するための、又は患者のAIDSの発症を予防、治療、又は遅延させるための方法。
【請求項26】
HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される第二のHIV抗ウイルス剤を患者に投与することをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
HIVによる感染の予防又は治療のための、又はそれの必要な患者のAIDSの発症を予防、治療、若しくは遅延させるための医薬の調製に使用するための請求項1ないし23のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【公表番号】特表2013−510800(P2013−510800A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538161(P2012−538161)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【国際出願番号】PCT/CA2011/000320
【国際公開番号】WO2011/120133
【国際公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(305042057)メルク カナダ インコーポレイテッド (99)
【氏名又は名称原語表記】MERCK CANADA INC.
【Fターム(参考)】