説明

非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤およびその製造方法

【課題】非水系防食塗料に添加するための粉末状垂れ防止剤であって、比較的低温での分散であっても優れた垂れ防止効果を発揮し、塗料の貯蔵安定性を害することがなく、また、有害な有機溶剤が含まれていない非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤は、水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物(水素添加ヒマシ油脂肪酸と脂肪族モノカルボン酸の混合割合は、モル比で10:0〜2:8の範囲である)とジアミンとの縮合反応により得られるジアマイド化合物(A)と、炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上とジアミンとの縮合反応により得られる(A)以外のジアマイド化合物(B)と、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を含み、上記ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして、ジアマイド化合物(A)を40〜90重量%、ジアマイド化合物(B)を0〜50重量%、およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を10〜60重量%含有する。本発明の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤は、(A)、(B)および(C)を加熱して融解させ、均一に混合した後に冷却し、冷却物を微粉砕することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系防食塗料に少量添加することによって、塗装時における垂れを防止するが可能な、非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗料組成物を被塗面に高膜厚に塗装したり、垂直面に塗装する際の垂れを防止するために、塗料組成物に、塗装時の高せん断速度領域では流動し易く、塗着後の低せん断速度領域では流動し難くする垂れ防止剤(レオロジーコントロール剤、チキソトロピック剤、揺変性付与剤または粘性調整剤などと呼ばれる場合がある)が添加されている。
【0003】
従来は、非水系塗料用の垂れ防止剤としてモンモリナイトの誘導体、重合油、水素添加ヒマシ油、乳化性ポリエチレンワックス、ポリエステル系重合物、ポリアマイド系重合物、ジアマイド化合物などが知られている。
【0004】
例えば特許文献1では、水素添加ヒマシ油脂肪酸または水素添加ヒマシ油脂肪酸を少なくとも30モルパーセント含む有機酸混合物とアミンとの反応から得られるアマイドワックスと、乳化性ポリエチレンワックスとを併用して用いた場合、微細に分割された固体粒子を含む非水流体系において垂れ防止性が改善されることが開示されている。併用方法は、両者を個々に添加する方法でも、混合物、共融物の形で同時に添加する方法でも良く、またその形状も粉状でも非水媒体中に分散した形でも良いが、両者を同時に非水媒体中に分散したものが練合分散機械および練合分散温度を選ばない点で実用上最も優れた方法であると述べている。
【0005】
特許文献2では、ポリオールとポリカルボン酸との反応から得られ、その末端部に少なくとも2個の活性水素部分を有するポリエステル系重合物が、塗料を含む非水組成物に抗垂れ性を付与することが開示されている。
【0006】
特許文献3では、ヒドロキシステアリン酸とプライマリージアミン及びジカルボン酸から得られるオリゴマー状ポリアマイドと、水素添加ヒマシ油の粉末状組成物が、非水系コーティング材の流動特性を改善し、垂れ防止性を付与することが開示されている。また特許文献4では、炭素数2〜6を有する脂肪族プライマリージアミンと12−ヒドロキシステアリン酸及び脂肪族ジカルボン酸とを反応して得られるポリアマイドワックスを微粉砕し、有機溶媒中で膨潤させた組成物が非水系塗料に対し優れた垂れ止め性を付与することが開示されている。さらに特許文献5では、ヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族カルボン酸及びジアミンを縮合させた低分子量アマイド化合物と、同種の該カルボン酸、同種の該ジアミン及びカルボキシル基含有ポリマーを縮合させた高分子量アマイド化合物とを含有する微粒子を有機溶媒中で膨潤させた組成物が、非水系塗料に対し垂れ防止性を付与することが開示されている。
【0007】
特許文献6では、水素添加ヒマシ油脂肪酸及び直鎖飽和脂肪酸の混合物とキシリレンジアミンを反応させて得られるジアマイド化合物が、有機ビヒクルに対し垂れ防止性を付与することが開示されている。
【0008】
特許文献7では、12−ヒドロキシステアリン酸及びヒマシ油脂肪酸とポリアミン類との反応生成物と、ポリイソシアネート類とを反応させて得られるウレタン変性アマイド化合物が、非水系塗料の塗膜の垂れを抑えることが開示されている。
【0009】
さらに特許文献8では、炭素数3〜4を有する直鎖飽和脂肪酸と12−ヒドロキシステアリン酸との混合物とプライマリージアミンとを反応させて得られる脂肪酸アマイド、及び炭素数6〜22を有する直鎖飽和脂肪酸と12−ヒドロキシステアリン酸の混合物とプライマリージアミンとを反応させて得られる脂肪酸アマイドからなる組成物が、非水系塗料の垂れ防止剤、特に重防食塗料に優れた効果のある垂れ防止剤であることが開示されている。
【0010】
しかしながら、非水系防食塗料、特に人や環境に対して有害性があると指摘されている有機溶剤の含有量を減らした非水系ハイソリッド型重防食塗料、あるいは該有機溶剤を含有しない非水系無溶剤型重防食塗料に従来の技術で得られる垂れ防止剤を添加した場合、垂れ防止効果が不十分である、垂れ防止剤中の有機溶剤が問題になる、垂れ防止効果に対して分散温度の影響が大きい、塗料の貯蔵安定性が悪い、等の問題があり、これらの問題を解決した垂れ防止剤が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭51−48464号公報
【特許文献2】特開2010−242099号公報
【特許文献3】特開昭51−2750号公報
【特許文献4】特開平5−271585号公報
【特許文献5】特開2008−260834号公報
【特許文献6】特開昭60−223876号公報
【特許文献7】特開2008−115199号公報
【特許文献8】特開昭63−235381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、非水系防食塗料、特に人や環境に対して有害な有機溶剤の含有量が少ない非水系ハイソリッド型重防食塗料、あるいはそのような有機溶剤を含有しない非水系無溶剤型重防食塗料に添加するための粉末状垂れ防止剤であって、比較的低温での分散であっても優れた垂れ防止効果を発揮し、塗料の貯蔵安定性を害することがなく、また有害な有機溶剤かつ含まれていない非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するべく様々な検討を重ねた結果、非水系防食塗料、特に人や環境に対して有害な有機溶剤の含有量が少ない非水系重防食塗料において好適に使用できる非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤並びにその製造方法を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明によれば、水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物(水素添加ヒマシ油脂肪酸と脂肪族モノカルボン酸の混合割合は、モル比で10:0〜2:8の範囲である)とジアミンとの縮合反応により得られるジアマイド化合物(A)と、炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上とジアミンとの縮合反応により得られる(A)以外のジアマイド化合物(B)と、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を含み、上記ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして、ジアマイド化合物(A)を40〜90重量%、ジアマイド化合物(B)を0〜50重量%、およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を10〜60重量%含有することを特徴とする非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤が提供される。
【0015】
上記の垂れ防止剤において、ジアミンは、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンであることが好ましい。
【0016】
上記の垂れ防止剤において、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)は、酸化ポリエチレンワックス(酸価が3〜70 mg KOH/g)、酸化エチレン−プロピレン共重合体ワックス(酸価が3〜70 mg KOH/g)またはエチレン−アクリル酸共重合体ワックス(酸価が5〜180 mg KOH/g)であることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、また、ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を加熱して融解させ、均一に混合した後に冷却し、冷却物を微粉砕することにより、上記各々の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を得る方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤は、非水系防食塗料、特に人や環境に対して有害性が指摘されている有機溶剤の量を減らした非水系重防食塗料に添加した場合、従来の非水系塗料用垂れ防止剤では満足な結果を得ることができなかった場合においても、有害な有機溶剤の増加を伴うことなく、優れた垂れ防止効果と貯蔵安定性の良い塗料を提供することができる。
【0019】
本発明の粉末状垂れ防止剤は、非水系のエポキシ樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、塩化ゴム系塗料、タールエポキシ樹脂塗料、タールウレタン樹脂塗料、ノンタールエポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、フタル酸樹脂系塗料およびフェノール樹脂系塗料などの防食塗料において垂れ防止効果が認められ、特に無機系顔料の配合量が多く、人や環境に対して有害性があると指摘されている有機溶剤の含有量が少ないハイソリッド型エポキシ樹脂塗料や無溶剤型エポキシ樹脂塗料に添加した場合には、比較的低温度の分散条件において、従来の技術では達成できなかった優れた垂れ防止効果を発揮し、塗料の貯蔵安定性に悪影響をほとんど与えない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、前記したとおり、水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物(水素添加ヒマシ油脂肪酸と脂肪族モノカルボン酸の混合割合は、モル比で10:0〜2:8の範囲である)とジアミンとの縮合反応により得られるジアマイド化合物(A)と、炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上とジアミンとの縮合反応により得られる(A)以外のジアマイド化合物(B)と、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を含み、上記ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして、ジアマイド化合物(A)を40〜90重量%、ジアマイド化合物(B)を0〜50重量%、およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を10〜60重量%含有することを特徴とする非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤およびその製造方法に関するものである。
以下、このような本発明を実施するために必要な具体的な要件につき、詳細に説明する。
【0021】
1.非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤組成物
1−1.ジアマイド化合物(A)
ジアマイド化合物(A)(以下、成分(A)ともいう)は、ヒマシ油に触媒を用いて水素添加し、実質的に不飽和結合が無くなった水素添加ヒマシ油を加水分解して得られる水素添加ヒマシ油脂肪酸とジアミンとの縮合反応により、または、水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物とジアミンとの縮合反応により、得られる。
【0022】
水素添加ヒマシ油脂肪酸は、12−ヒドロキシステアリン酸を主成分としており、その他にステアリン酸や不飽和脂肪酸などを含む複雑な混合物であることが一般的である。市場に流通している12−ヒドロキシステアリン酸と呼ばれる商品は、組成上は水素添加ヒマシ油脂肪酸と同じであり、水素添加ヒマシ油脂肪酸は市場から容易に入手可能である。
【0023】
水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の例として酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いても混合物で用いてもよい。また、オレイン酸やリシノール酸などの不飽和脂肪族モノカルボン酸や分岐脂肪族モノカルボン酸も用いることができるが、全脂肪酸中の含有量が多くなると本発明の組成物の粉砕性が悪くなる可能性があるため、粉砕性を阻害しない範囲で用いることが望ましい。
【0024】
水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物における各成分の混合比率は10:0〜2:8のモル比の範囲である。水素添加ヒマシ油脂肪酸の混合割合が2割未満になった場合には垂れ防止効果が低下する。
【0025】
ジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができるが、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンが好ましい。これらのジアミンは1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
本発明の組成物における上記成分(A)として、水素添加ヒマシ油脂肪酸とジアミンとの縮合反応で得られるジアマイド化合物(A’)を単独で用いてもよいし、水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との前記モル比での混合物とジアミンとの縮合反応により得られるジアマイド化合物(A”)を単独で用いてもよいが、ジアマイド化合物(A’)とジアマイド化合物(A”)の両方が含有されていてもよい。
【0027】
成分(A)は、本発明の組成物中で最も垂れ防止効果に寄与する成分である。成分(A)含有範囲は、ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして40〜90重量%であり、好ましくは50〜80重量%である。成分(A)の含有量が40重量%未満および90重量%を超えた場合には垂れ防止性が低下する。
【0028】
1−2.ジアマイド化合物(B)
ジアマイド化合物(B)(以下、成分(B)ともいう)は、炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上とジアミンとの縮合反応により得られるが、上述したジアマイド化合物(A)はジアマイド化合物(B)には含まれない。
【0029】
炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の例としては、ジアマイド化合物(A)の場合と同様に酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等を挙げることができるが、これら以外にジアマイド化合物(A)の場合と重複しない範囲で水素添加ヒマシ油脂肪酸を使用することもできる。脂肪族モノカルボン酸はそれぞれ単独で用いても混合物で用いてもよい。また、オレイン酸やリシノール酸などの不飽和脂肪族モノカルボン酸や分岐脂肪族モノカルボン酸も用いることができるが、全脂肪酸中の含有量が多くなると本発明の組成物の粉砕性が悪くなる可能性があるため、粉砕性を阻害しない範囲で用いることが望ましい。
【0030】
ジアミンの例としては、ジアマイド化合物(A)の場合と同様に、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができるが、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンが好ましい。これらのジアミンは1種のみで用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
ジアマイド化合物(B)を配合する目的は、ジアマイド化合物(A)とカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)との相溶性を向上させること、本発明による組成物の粉砕性を向上させること、および低温分散時における粉末状垂れ防止剤の膨潤性を向上させること等であるが、アマイド結合を持っているので垂れ防止効果も幾分かは期待できる。これらの目的と、ジアマイド化合物(A)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)による垂れ防止効果との関係により、ジアマイド化合物(B)の含有範囲は、ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして0〜50重量%であり、好ましくは0〜40重量%である。成分(B)の含有量が50重量%を超えた場合には垂れ防止性が低下する。
本発明の組成物において、上記成分(B)は1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0032】
1−3.カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)
本発明に用いられるカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)(以下、成分(C)ともいう)は、カルボキシル基を持つポリオレフィンワックスであれば特に限定されない。
【0033】
上記成分(C)の例としては、ポリエチレンワックスを酸素等と接触させて得られる酸化ポリエチレンワックス、エチレン−プロピレン共重合体ワックスを酸素等と接触させて得られる酸化エチレン−プロピレン共重合体ワックス、ポリプロピレンワックスを酸素等と接触させて得られる酸化ポリプロピレンワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン−メタクリル酸共重合体ワックス、エチレン−無水マレイン酸共重合体ワックスの加水分解物、プロピレン−無水マレイン酸共重合体ワックスの加水分解物等を挙げることができるが、酸化ポリエチレンワックス(酸価が3〜70 mg KOH/g)、酸化エチレン−プロピレン共重合体ワックス(酸価が3〜70 mg KOH/g)またはエチレン−アクリル酸共重合体ワックス(酸価が5〜180 mg KOH/g)が特に好ましい。
本発明の組成物において、上記成分(C)は1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0034】
成分(C)が酸化ポリオレフィンワックスの場合、酸価は2〜80 mg KOH/g の範囲であることが好ましく、軟化点は85〜130℃の範囲であることが好ましい。市販品としてはハネウェル社製のA-Cポリエチレンおよび三井化学社製の三井ハイワックスなどが挙げられる。
【0035】
成分(C)がエチレン−アクリル酸共重合体ワックスの場合、酸価は5〜200 mg KOH/g の範囲であることが好ましい。具体的にはハネウェル社製のA-C 580およびA-C 5120などの市販品が挙げられる。
【0036】
成分(C)がエチレン−エチレン性不飽和ジカルボン酸共重合体ワックスの場合、酸価は5〜200 mg KOH/g の範囲であることが好ましい。具体的にはハネウェル社製のA-C 575AおよびA-C 907Aなどの市販品を加水分解したものが挙げられる。
【0037】
成分(C)は、塗料中で無機顔料などの粉末状物質に吸着することにより構造を形成するが、主としてジアマイド化合物(A)による強力な網目構造との相乗効果により垂れ防止性に寄与しているものと考えられる。成分(C)の含有範囲は、ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして10〜60重量%であるが、好ましくは15〜40重量%である。成分(C)の含有量が10重量%未満では、最適膨潤温度の上昇、垂れ防止性の低下または塗料の貯蔵安定性の低下などの問題が発生し、60重量%を超えると垂れ防止剤の粉砕性の低下および垂れ防止性の低下などの問題が発生する。
【0038】
1−4.その他の成分
本発明の組成物は、ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして、成分(A)を40〜90重量%、成分(B)を0〜50重量%、および成分(C)を10〜60重量%含有するが、各成分が上記重量%の範囲内から外れない場合においては、他の垂れ防止剤成分である水素添加ヒマシ油、ポリアマイド系重合物またはポリエステル系重合物などの1種以上をさらに含むことができる。
【0039】
2.非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤の製造方法
本発明の粉末状垂れ防止剤は、特許文献1の実施例1−4に記載されているようなアマイド化合物と乳化性ポリエチレンワックスとを混合粉砕する方法とは異なり、ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を加熱して融解させ、撹拌することにより均一に混合し、冷却後に適切な粉砕機を用いて微粉砕する方法により得られる。以下により詳細に説明する。
【0040】
本発明の製造方法は、水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物(水素添加ヒマシ油脂肪酸と脂肪族モノカルボン酸の混合割合は、モル比で10:0〜2:8の範囲である)とジアミンとを反応させてジアマイド化合物(A)を生成させるジアマイド合成工程(S1)と、炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上とジアミンとを反応させてジアマイド化合物(B)を生成させるジアマイド合成工程(S2)と、これらジアマイド化合物(A)およびジアマイド化合物(B)とカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)とを加熱して融解させ、撹拌することにより均一に混合する混合工程と、冷却後に適切な粉砕機を用いて微粉砕する粉砕工程とを含んでいる。
【0041】
上記ジアマイド合成工程(S1)およびジアマイド合成工程(S2)における反応条件は特に限定されないが、例えば、上記記載の脂肪族モノカルボン酸の2モル当量とジアミンの1モル当量とを、無溶媒または縮合反応で発生する水を容易に除去する目的で適当な有機溶媒を用いて、150〜220℃に加熱しながら2〜10時間反応させることによりジアマイド化合物(A)およびジアマイド化合物(B)を得ることができる。
【0042】
ジアマイド化合物(A)およびジアマイド化合物(B)とカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)とを加熱して融解させ、撹拌することにより均一に混合する混合工程は、以下の方法により行うことができる。
〔1〕成分(A)、成分(B)および成分(C)を容器に入れ、外部から加熱することにより全成分を融解させ、撹拌を行って均一に混合する方法。
〔2〕成分(A)、成分(B)および成分(C)中の1成分を容器に入れ、外部から加熱することにより融解させ、他の2成分を追加して全ての成分を融解させた後、撹拌を行って均一にする方法。この方法は、ジアマイド合成工程(S1)またはジアマイド合成工程(S2)の合成終了時に、融解状態となっている成分(A)または成分(B)に他の2成分を追加して全ての成分を融解させた後、撹拌を行って均一にする方法を含んでいる。
〔3〕成分(A)、成分(B)および成分(C)中の2成分を容器に入れ、外部から加熱することにより融解させ、他の1成分を追加して全ての成分を融解させた後、撹拌を行って均一にする方法。本発明の組成物が成分(B)を含有しない場合、〔3〕の方法は適用されない。
【0043】
成分(A)、成分(B)および成分(C)を融解させる温度は特に限定されないが、撹拌効率および混合物の冷却方法の観点から140〜180℃が好ましい。
【0044】
混合工程において成分(A)、成分(B)および成分(C)からなる組成物は均一となる必要があるが、完全に相溶して透明状態になることが必須条件ではない。本発明の粉末状垂れ防止剤は、分離状態が激しくて不均一とならない限りは、均一な分散状態であっても期待される効果を発揮する。
【0045】
上記混合工程で均一となった成分(A)、成分(B)および成分(C)からなる組成物を冷却固化する方法は限定されないが、例えば、ベルトフレーカーのような冷却装置を用いて冷却することにより、フレーク状の固形物とすることができる。このフレーク状固形物の形状は、次の工程である粉砕工程に適している。
【0046】
粉砕工程において、フレーク状固形物を微粉末状の垂れ防止剤とするには、通常はピン式粉砕機やハンマーミル粉砕機のような機械式粉砕機を用いて粗い粉末状物質とし、次いでジェットミル粉砕機のような気流式粉砕機を用いて微細な粉末状物質にする方法が用いられる。垂れ防止効果および塗料の貯蔵安定性を考慮すると、粉末状垂れ防止剤の平均粒子径は5〜30ミクロンの範囲が好ましく、5〜20ミクロンの範囲がより好ましい。平均粒子径が5ミクロン未満である場合には粉砕効率が低下する傾向が認められ、40ミクロンを超える場合には垂れ防止効果の低下および塗料の貯蔵安定性が悪くなる傾向が認められる。
【実施例】
【0047】
以下、アマイド合成実施例、配合実施例、配合比較例、及び試験実施例により本発明をさらに具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例中の「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0048】
ジアマイド化合物(A)および(B)の製造
アマイド合成実施例1
攪拌装置、冷却管、および温度計を備えた内容量が1リットルの4つ口フラスコに水素添加ヒマシ油脂肪酸622部(2.0モル)を計量し、加熱して100℃とした。次に加熱して融解させたヘキサメチレンジアミン116部(1.0モル)を徐々に加えて攪拌し、その後175℃まで緩やかに加熱して脱水反応を行った。4時間反応することによりジアマイド化合物(A)として合成アマイドA−1を得た。
【0049】
アマイド合成実施例2〜4
アマイド合成実施例1と同様の方法を用いて表1の配合比率で合成を行い、ジアマイド化合物(A)として合成アマイドA−2〜3およびジアマイド化合物(B)として合成アマイドB−1を得た。
【0050】
【表1】

【0051】
非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤の製造
配合実施例1
内容量が0.5リットルの容器に合成アマイドA−1を120部、合成アマイドB−1を40部およびエチレン−アクリル酸共重合物A-C 5120(ハネウェル社製、酸価:120)を40部計量し、180℃に加熱して混合した。得られた混合物を冷却後、粗粉砕および研究用コンパクトジェットミル(装置名「CO-JET SYSTEMα MARK III」、株式会社セイシン企業社製)を用いて微粉砕することにより、平均粒径が10μmである非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を得た。
【0052】
配合実施例2〜13
配合実施例1と同様の方法を用いて表2の配合比率で各成分を混合し、非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を得た。
【0053】
配合比較例14、16〜17
配合実施例1と同様の方法を用いて表2の配合比率で各成分を混合し、非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を得た。
【0054】
配合比較例15
内容量が0.5リットルの容器に合成アマイドA−1を60部および酸化ポリエチレンA-C 629(ハネウェル社製、酸価:16、軟化点:101℃)を140部計量し、180℃に加熱して混合した。得られた混合物を冷却後に粗粉砕し、研究用コンパクトジェットミルを用いて微粉砕を試みたが、粉砕性が悪いため、非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を得ることが出来なかった。
【0055】
【表2】

【0056】
非水系無溶剤型エポキシ樹脂塗料を用いた試験
試験実施例1
〔塗料配合〕
表3に記載した配合の非水系無溶剤型エポキシ樹脂塗料組成物を用いて、非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤(以下においては添加剤とも言う)の性能試験を行った。
【0057】
【表3】

【0058】
〔塗料の作製方法〕
内容量が1リットルの容器にビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828を168部、反応性希釈剤SY−40Mを24部、非反応性希釈剤ネシレスEPX−L2を48部、ベンジルアルコールを48部、硫酸バリウムBAを160部、タルク#1を160部、ネフェリンサイアナイトMINEX7を136部および酸化チタンR−820を56部仕込んだ。内容物をカウレスディゾルバー(装置名「T.K.オートホモミキサー」、羽根の直径6cm、プライミクス株式会社製)で攪拌(1000rpm×2分間)し、添加剤4部を加えてさらに撹拌(4000rpm×20分間)した。得られた分散物の100部を量り取り、変性ポリアミンであるサンマイドX−4150を10.9部加え、均一になるように撹拌して非水系無溶剤型エポキシ樹脂塗料を作製した。
【0059】
〔塗料の粘度およびTI値〕
上記に記載した塗料について、B型粘度計を用いて25℃における60rpmの粘度(P:ポイズ、以下同様)と6rpmの粘度(P)を測定し、TI値(チキソトロピックインデックス)は6rpmにおける粘度を60rpmにおける粘度で除して算出した。
【0060】
〔垂れ防止性の評価〕
サグテスター(「垂れ試験器」 太佑機材株式会社製)を用いて垂れ試験紙(「全黒測定紙」 太佑機材株式会社製)に塗料を100ミクロン間隔の厚さで塗布し、この試験紙を薄い塗膜帯が上方になるように垂直に立てて常温で風乾後、初めて各塗膜間の間隔を超えて垂れ下がることにより下方の塗膜帯に接触した部分が認められる塗膜厚の一段薄い塗膜圧を判定して垂れ防止性とした。初期評価の結果を表4に示す。
【0061】
【表4】

【0062】
〔貯蔵安定性の評価〕
主剤と添加剤の分散物を密栓して50℃の恒温槽の中に2週間保存した後、再び垂れ防止性を上記と同様の方法で評価した。貯蔵安定性試験後の評価結果を表4に示す。
【0063】
表4の結果から明らかなように、本発明の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を添加した非水系無溶剤型エポキシ樹脂塗料は、垂れ防止剤を添加しない塗料(ブランク)と比較して垂直面での垂れ防止性が優れており、配合比較例の添加剤を添加した塗料と比較して50℃における貯蔵安定性が良好であることが確認された。
【0064】
非水系ハイソリッド型エポキシ樹脂塗料を用いた試験
試験実施例2
〔塗料配合〕
表5に記載した配合の非水系ハイソリッド型エポキシ樹脂塗料組成物を用いて、非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤の性能試験を行った。
【0065】
【表5】

【0066】
〔塗料の作製方法〕
内容量が1リットルの容器にビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828を320部、非反応性希釈剤ネシレスEPX−L2を40部、タルク#1を280部、酸化チタンR−820を80部、キシレンを40部およびn−ブタノールを40部仕込んだ。内容物をカウレスディゾルバー(装置名「T.K.オートホモミキサー」、羽根の直径6cm、プライミクス株式会社製)で攪拌(1000rpm×2分間)し、添加剤8部を加えてさらに撹拌(2000rpm×20分間)した。得られた分散物の80部を量り取り、アミノアミド樹脂バーサミド140を16部、キシレンを2部およびn−ブタノールを2部加え、均一になるように撹拌して非水系ハイソリッド型エポキシ樹脂塗料を作製した。
【0067】
〔塗料の粘度およびTI値〕
上記に記載した塗料について、B型粘度計を用いて25℃における60rpmの粘度が20ポイズとなるように希釈剤(キシレン/メチルアミルケトン(MAK)/n−ブタノール=1/1/1)を加えて調整し、さらに6rpmの粘度(P)を測定することによりTI値を算出した。
【0068】
〔垂れ防止性の評価〕
サグテスター(「垂れ試験器」 太佑機材株式会社製)を用いて垂れ試験紙(「全黒測定紙」 太佑機材株式会社製)に調製した塗料を50ミクロンまたは100ミクロン間隔の厚さで塗布し、この試験紙を薄い塗膜帯が上方になるように垂直に立てて常温で風乾後、初めて各塗膜間の間隔を超えて垂れ下がることにより下方の塗膜帯に接触した部分が認められる塗膜厚の一段薄い塗膜圧を判定して垂れ防止性とした。評価の結果を表6に示す。
【0069】
【表6】

【0070】
〔貯蔵安定性の評価〕
主剤と添加剤の分散物を密栓して50℃の恒温槽の中に2週間保存した後、再び垂れ防止性を上記と同様の方法で評価した。貯蔵安定性試験後の評価結果を表6に示す。
【0071】
表6の結果から明らかなように、本発明の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を添加した非水系ハイソリッド型エポキシ樹脂塗料は、垂れ防止剤を添加しない塗料(ブランク)と比較して垂直面での垂れ防止性が優れており、配合比較例の添加剤を添加した塗料と比較して50℃における貯蔵安定性が良好であることが確認された。
【0072】
以上の結果から明らかなように、本発明のジアマイド化合物/カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス混合物を基本的成分とする非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤は、非水系防食塗料に添加した場合、優れた垂れ防止効果を発揮し、貯蔵安定性においても優れていることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素添加ヒマシ油脂肪酸と水素添加ヒマシ油脂肪酸以外の炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上との混合物(水素添加ヒマシ油脂肪酸と脂肪族モノカルボン酸の混合割合は、モル比で10:0〜2:8の範囲である)とジアミンとの縮合反応により得られるジアマイド化合物(A)と、炭素数が2〜22である脂肪族モノカルボン酸の1種以上とジアミンとの縮合反応により得られる(A)以外のジアマイド化合物(B)と、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を含み、上記ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)の合計重量を基準にして、ジアマイド化合物(A)を40〜90重量%、ジアマイド化合物(B)を0〜50重量%、およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を10〜60重量%含有することを特徴とする非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤。
【請求項2】
ジアミンが、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンまたはキシリレンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤。
【請求項3】
カルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)が、酸化ポリエチレンワックス(酸価が3〜70 mg KOH/g)、酸化エチレン−プロピレン共重合体ワックス(酸価が3〜70 mg KOH/g)またはエチレン−アクリル酸共重合体ワックス(酸価が5〜180 mg KOH/g)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤。
【請求項4】
ジアマイド化合物(A)、ジアマイド化合物(B)およびカルボキシル基含有ポリオレフィンワックス(C)を加熱して融解させ、均一に混合した後に冷却し、冷却物を微粉砕することにより請求項1に記載の非水系防食塗料用粉末状垂れ防止剤を得る方法。

【公開番号】特開2013−49761(P2013−49761A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187665(P2011−187665)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000225854)楠本化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】