説明

靴擦れ防止パッド

【課題】足に容易に着脱でき、靴擦れ、たこ、魚の目を防止することができ、外反母趾に伴う痛みを緩和することができる靴擦れ防止パッドを提供する。
【解決手段】透明のシリコン樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂によって薄い略台形状等のパッドを形成し、裏面を粘着面とすることで、足の甲やかかとに容易に着脱できる構成とした。また、パッドと同じ大きさの底面部と両端を固着することで筒状とし、粘着面がなくとも足にはめて固定できる構成とした。また、カバーソックスの指側とかかと側にパッドを固着することで、靴下を履くような感覚で足にはめて固定できる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に接着させ、あるいは足を覆うことにより靴擦れ、たこ、魚の目等を防止するパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
新しい靴や足の形状に合わない靴を履くと、外反母趾や靴擦れが起きてしまう。とりわけ女性はヒールが高く先が細い靴を履く機会が多いため、親指が小指側に曲がってしまう外反母趾や、特に指の中腹表面が靴と擦れてたこになってしまうことが多かった。
【0003】
靴擦れなどの足の問題を解決するため、すでにいくつかの製品が開発されている。例えば図1に示すようにポリウレタン樹脂性の小さな楕円形のパッドを靴擦れが起きやすい足(L)の部位に対応する靴(S)の内側に貼り付けて装着し、靴擦れを防止するパッド(31)が製品化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記のポリウレタン樹脂性楕円形パッドでは、靴との接着範囲が狭く、すぐに外れてしまうという問題があった。また、足先全体のうち、狭い部分しか保護できず、かつ靴擦れを起こす部位に対応する靴の部分に正確に貼ることができず、靴擦れを起こす部位に正確に用いることが困難であった。
さらにこのパッドを靴の内側に貼ることで、靴の中での足のバランスが崩れてしまい、足の別の部分に靴擦れを起こしてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、着脱容易であり外れにくく、靴擦れやたこ、魚の目ができやすい足の部位を広範囲にわたって保護し、外反母趾に罹患している人の痛みを緩和する靴擦れ防止パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明に係る靴擦れ防止パッドは、可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄い略台形状のパッドであって、縦幅は足の親指の爪下から親指の付け根までの長さであり、横幅は足の親指側の側面から小指側の側面までの長さとすることを要旨とする。
【0007】
また、本発明に係る靴擦れ防止パッドは、上記構成においてさらに、パッドの裏面に粘着剤が塗布されており、粘着面が形成されていることを要旨とする。
【0008】
また、本発明に係る靴擦れ防止パッドは、上記構成においてさらに、布帛からなる薄い略台形の底面部を有し、パッドと底面部の左右両端部がそれぞれ固着され、パッドと底面部によって筒状に形成されることを要旨とする。
【0009】
また、本発明に係る靴擦れ防止パッドは、可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄いパッドであって、平面視で左右両端辺は外側へ湾曲しており、上端辺は内側へ湾曲しており、下端辺は外側へ湾曲しており、横幅は足の外側くるぶし下部から内側くるぶし下部までを覆うことができる長さとし、パッドの裏面を粘着面としたことを要旨とする。
【0010】
また、本発明に係る靴擦れ防止パッドは、可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄い略台形状の指側パッド本体部と、可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄い略楕円形状のかかと側パッド本体部と、布帛からなるカバーソックスとからなり、カバーソックス指側一端の内側に指側パッド本体部が取り付けられ、かかと側一端の内側にかかと側パッド本体部が取り付けられたことを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係る靴擦れ防止パッドは、上記構成において、カバーソックスかかと側一端に紐状部材を取り付け、該紐状部材を足首に括りつけることを可能としたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る靴擦れ防止パッドによると、親指の付け根部分、小指の付け根部分、指の中腹、甲、かかと側面、アキレス腱下部など靴擦れやたこになりやすい部分を広範囲に覆うことで靴擦れやたこを防止することができ、かつ外反母趾に伴う足の痛みを緩和することができる。また、パッドの裏面を粘着面とすることで、パッドを足の所定部位(皮膚又は靴下等)に接着した場合に粘着面が広範囲にわたり、従来のように靴側ではなく足側に貼り付け可能であるため、パッドを確実に接着することができ、ずれたり外れたりすることを防止できる。また、足の部位を広範囲に覆うことからパッドを使用しても靴の中で足のバランスが崩れることがなく、別の部分に靴擦れができることはない。
さらに本パッドを無色透明とすることで、一見してパッドを着けていることが分からず、外観を損なわずに靴擦れを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る底面部を有し円筒状とした靴擦れ防止パッドによると、足の先にはめることで容易に装着することができ、親指及び小指の付け根部分や甲の靴擦れを防止することができる。この場合、パッド本体に粘着層を設けても設けなくてもよく、設けない場合でも樹脂の若干の伸縮性からずれることなく、より抵抗なく足指部にパッドを装着することができる。
また、足の裏の指側が底部クッションで保護されるため、たこや魚の目の防止も可能となる。
【0014】
また、本発明に係るカバーソックスの指側とかかと側にパッドを取り付けた靴擦れ防止パッドによると、靴下を履くような感覚でカバーソックスの開口に足を通すだけで指側及びかかと側にパッドを簡単に装着することができる。指側及びかかと側のパッドの裏側に粘着面を設けても設けなくてもよく、粘着面を設けると、よりパッドがずれたり外れたりしない状態でパッドを装着することができる。
また、足の裏全面が布帛で保護されるため、足裏全体にわたり、たこや魚の目ができることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術の靴擦れ防止パッドを示す参考斜視図である。
【図2】(a)は第1の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの形態を示す参考斜視図であり、(b)は該パッドの使用状態を示す参考平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの使用状態を示す参考側面図である。
【図4】第2の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの形態を示す参考斜視図である。
【図5】(a)は第3の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの形態を示す参考斜視図であり、(b)は該パッドの使用状態を示す参考斜視図であり、(c)は該パッドの変形例の形態を示す参考斜視図である。
【図6】第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの平面図である。
【図7】第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの側面図である。
【図8】第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの使用状態を示す参考側面図である。
【図9】第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの変形例の使用状態を示す参考側面図である。
【図10】第3の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの変形例の使用状態を示す参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る靴擦れ防止パッドは、主に足の甲の部分を保護するための略矩形状又は略台形状等のパッド、及び足のかかと部分を保護するための略矩形状又は略楕円形状等のパッドからなる。また、足の甲の部分を保護するための略矩形状パッドにおいて筒状にして足先に嵌めることで、甲及び足裏の部分を保護する形状としてもよい。
【0017】
本発明に係る靴擦れ防止パッドに用いる素材は種々のものが考えられるが、足の甲およびかかとを保護するパッドにはシリコンやポリウレタンといった熱硬化性樹脂や、スチレン系エラストマーといった熱可塑性樹脂が可撓性、耐久性、弾力性に優れており好ましい。その他、可撓性や弾力性に優れていればどのような素材でもよく、例えばポリエチレンなどの柔軟な熱可塑性フィルム、ゴム、織物、成形された不織布などを用いてもよい。
また、筒状にして足先に嵌めて用いるタイプのパッドに関しては、足の甲側はシリコンやポリウレタン等の樹脂とし、足の裏側は綿や毛糸等の繊維素材、あるいはそれらの繊維素材内部にクッションを設けたものとすることが、履き心地がよく、足から発生する汗を吸収しやすいため好ましい。
【0018】
また、足の甲及びかかとに用いる略矩形状等のパッドに関しては、足に接着させた際に簡単に外れないようにするため、パッドの裏面を粘着面とすることが好ましい。粘着面は皮膚に接着した際に容易に外れないようになっていればどのようなものでもよいが、例えば弱い粘着剤を塗布することが考えられる。繰り返し着脱でき、かつ皮膚がかぶれるなどの害が発生しない粘着剤を用いるとよい。具体的には感圧粘着剤(PSA)が難粘着物質にもよく粘着し、耐水性、再粘着性に優れており好ましい。感圧粘着剤を塗布する方法としては拭きつけ、熱融合、搾り塗り、プレス塗り等が挙げられる。
【0019】
足の甲を保護するタイプのパッドは、足の親指側側面から小指側側面までをカバーすることができる大きさとすることが好ましい。足の甲の部分を保護するのみでは、側面にできる靴擦れを防止することができず、かつ外反母趾に伴う痛みを緩和することができないためである。側面まで保護することで、親指・小指近辺の側面が靴と接触することを防止でき、側面の靴擦れの防止や外反母趾に伴う痛みの緩和が可能となる。
また、足のかかとを保護するタイプのパッドは、かかとの後ろ側のみならず、かかとの側面までをカバーすることができる大きさとすることが好ましい。通常靴擦れはアキレス腱下部に多く起きるが、人によってはかかと側面に靴擦れが起きる場合もある。そのため、かかと側面までパッドで覆うことで、かかと側面部分の靴擦れも防止することができるのである。
【0020】
また、カバーソックスの前方に足の甲を保護するパッドを取り付け、後方にかかとを保護するパッドを取り付けた態様としてもよい。このようにすると、カバーソックスの開口部に足を入れることで、容易に足の甲を保護するパッドとかかとを保護するパッドとを装着することができる。
この態様の場合、カバーソックスは主に足の裏側と接触することから、少なくともこの表面は布帛など履き心地のよい素材で形成することが好ましい。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明に係る靴擦れ防止パッドの好ましい第1の実施形態について、図2(a)(b)及び図3を参照しながら説明する。本実施形態に係るパッドは主に足の甲に装着し、足の甲及び両側面部の靴擦れを防止し、かつ外反母趾に伴う痛みを緩和するものである。図2(a)は本発明に係る第1の実施形態の靴擦れ防止パッドの形態を示す参考斜視図であり、(b)は使用状態を示す参考平面図であり、図3は使用状態を示す参考側面図である。(1)は第1の実施形態に係る靴擦れ防止パッド、(2)は折り曲げ部、(B)は親指の付け根、(L)は足である。
【0022】
図2(a)に示す通り、本実施形態に係る靴擦れ防止パッド(1)は平面視で略台形状となっている。つまり足の甲に装着した場合、つま先側の横幅のほうが、かかと側の横幅よりも若干短くなっている。図3に示すように、人の足の甲は傾斜しており、つま先側よりもかかと側の方が高い位置にある。そのため、パッドを台形状とすることにより、パッドを足の両側面に装着した際につま先側からかかと側の側面部を過不足なく覆うことができるのである。
【0023】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッドの素材は透明のシリコン樹脂からなる。パッドの厚さに関しては、厚すぎると可撓性がなくなってしまい、自由に曲げることができなくなる。一方、薄すぎると弾力性がなくなってしまい、足と靴との接触部位を適切に保護することができなくなってしまう。したがって、パッドの厚さは1mmから5mmが好ましく、さらには1mmから2mmが最も好ましい。
【0024】
また、パッドの裏面全体には感圧粘着剤(PSA)が塗布されている。感圧粘着剤はシリコン樹脂に対する粘着力が高く、耐水性、再粘着性に優れている。そのため、感圧粘着剤を塗布したパッドが汚れてしまった場合、パッドを水洗いすることによって粘着力が弱くなることなく再利用ができる。
なお、上述のとおり靴擦れ防止パッドの素材は透明のシリコン樹脂に限定するものではなく、ポリウレタン樹脂やスチレン系エラストマー樹脂、ポリエチレンなどの柔軟な熱可塑性フィルム、ゴム、織物、成形された不織布などを用いてもよい。色は装着部位が見えてしまっても目立たない透明色とすることが好ましいが、着色してもよい。また、パッドの裏面に感圧粘着剤を塗布する方法以外にも、両面シールを張り、粘着力が弱まるとシール自体を取り替えることとしてもよい。以下の実施例に関しても同様である。
以上のとおりパッドの裏面には広範囲にわたって粘着面が形成されており、足の甲及び両側面に貼った場合に容易にずれたり外れたりすることがなくなる。
【0025】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッドは図2(b)に示すように、縦幅は親指の爪のすぐ下側から親指の付け根(B)が隠れる部分までを覆うことができる大きさとし、横幅は図3に示すように足の両側面までを覆うことができる大きさとしている。具体的にパッドの縦幅は、3cmから7cm程度が好ましく、横幅は、10cmから15cm程度が好ましい。パッドを使用する際も、親指の爪の下側から親指の付け根が隠れるように、内側側面から外側側面にかけて装着する。また、本パッドはハサミやカッターなどで容易に切断することができる。従って、使用者が足の大きさや形に合うようにパッドを切ることで、パッドの大きさや形状を自分で調整することができる。
これにより親指の付け根部分や指の中腹を弾力性のある樹脂で保護することができ、靴擦れ、たこを防止でき、外反母趾に伴う痛みを緩和できる。また、足の甲の傾斜が大きい、又は小指の付け根が膨らんでいる人がおり、足の甲や小指側に靴擦れを起こす人もいる。本パッドでは足の甲及び小指側側面も樹脂で覆うため、これらの部分の靴擦れを防止することもできる。
【0026】
なお、パッドの左右両端側が容易に折り曲がるように、左端及び右端から中心部に1〜2cmの位置に足の長手方向に切り込みを入れる、あるいは樹脂が薄い部分を作ることとしてもよい(折り曲げ部(2))。
パッドは肌に直接貼り付けても構わないし、靴下等を履いてその上から所定の部位に貼り付けてもよい。
【実施例2】
【0027】
以下、本発明に係る靴擦れ防止パッドの好ましい第2の実施形態について、図4を参照しながら説明する。本実施形態に係るパッドは主に実施例1で説明したパッドにおいて、下側におよそ同じ大きさの底面部を設け、全体を筒状としたパッドに関するものである。
図4は本発明に係る第2の実施形態の靴擦れ防止パッドの形態を示す参考斜視図である。(3)は第2の実施形態の筒状靴擦れ防止パッド、(4)はパッド本体部、(5)は底面部である。
【0028】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッド(3)の本体部(4)に関しては、実施例1で説明したパッド(1)と同様のものである。略台形状であり、透明のシリコン樹脂からなる。
本パッドでは、本体部の下側に略同じ大きさの布製の底面部(5)を備えており、本体部及び底面部の左右両端が固着されている。上下端は固着されていないことから本実施形態に係るパッドは筒状となる。
本実施形態に係るパッドの底面部は、間にクッションを挟んだ綿により構成されている。綿生地は伸縮性があるため足にフィットしやすく、かつ吸水性が高いため足から出る汗を吸収しやすい。そのため長時間足の裏に接触していても不快になりにくい。さらに綿の生地の間にクッションを挟んでおり、弾力性に優れた構造としている。そのため、歩いた場合に底面部と接触する足の裏側はクッションによって保護され、たこや魚の目を防止できるのである。
なお、底面部に用いる布帛はこれに限定するものではなく、ある程度伸縮性があり、かつ弾力があればどのようなものでもよい。例えば麻、絹等の繊維あるいは合成繊維で形成することが考えられる。また、厚い布帛を用いることによりクッションを挟まなくとも足の裏を保護できる。
【0029】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッドは、樹脂からなる本体部が足の甲及び両側面に、かつクッション入りの布帛からなる底面部が足の裏側にくるように足先をパッドに通して用いる。本体部の位置は上述の通り、親指の爪のやや下側から親指の付け根までを覆うようにして用いることが好ましい。
本パッドは、足先の周囲を覆うことになり、パッドが横側や上側に外れる心配がなくなる。そのため、実施例1のパッドのように、本体部裏側に粘着面を設ける必要がなくなる。人によっては粘着面を直接肌に接触させることに不快感を覚えるかもしれないが、本実施形態のパッドでは粘着面がなくとも足先に固定することができるため、より万人に使いやすくなる。例えば本パッドを足に通し、その上から靴下等を履くことで、パッドがずれたり外れたりすることがなくなる。
なお、本実施形態のパッドは粘着面がないほうが装着感がよいと考えられるが、本体部裏側に粘着面を設けてもよく、粘着面がある場合は本体部を足の甲からずれないようにより強固に接着させることができる。
【実施例3】
【0030】
以下、本発明に係る靴擦れ防止パッドの好ましい第3の実施形態について、図5(a)(b)(c)及び図10を参照しながら説明する。本実施形態に係るパッドは主に足のかかとに装着し、アキレス腱下部及びかかと側面の靴擦れを防止するものである。
図5(a)は本発明に係る第3の実施形態の靴擦れ防止パッドの形態を示す参考斜視図であり、(b)は使用状態を示す参考斜視図であり、(c)は変形例の形態を示す参考斜視図であり、図10は第3の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの変形例の使用状態を示す参考斜視図である。(6)(7)はかかと用靴擦れ防止パッド、(A)はくるぶし、(T)はアキレス腱下部である。
【0031】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッドは、素材は実施例1で説明した靴擦れ防止パッドと同じである。すなわち、透明のシリコン樹脂からなり、かつ裏面全体に感圧粘着剤による粘着面が設けられている。
しかしながら形態及び用いる場所が異なっている。本実施形態のパッドは図5(a)に示すように、本体が湾曲しており、かつ左右両端は外側に湾曲して膨らんでいる。
横幅は外側くるぶし(A)の下側からアキレス腱下部(T)を通り、内側くるぶしの下側までを覆うことができる長さとし、5cmから15cm程度とすることが好ましい。縦幅はアキレス腱下部からかかと下側までを覆うことができる長さとし、3cmから8cm程度とすることが好ましい。また、本パッドはハサミやカッターなどで容易に切断することができるため、使用者が足の大きさや形に合うようにパッドを切ることで、パッドの大きさや形状を自分で調整することができる。
【0032】
本パッドを使用する際は、図5(b)に示すように、外側くるぶしの下側からアキレス腱下部を通り、内側くるぶしの下側までを覆うようにパッドを装着する。パッドの両端部は外側に湾曲しているため、かかと両側面を覆うことができる。
人によって、あるいは靴によってはアキレス腱下部のみならず、かかと側面も靴擦れを起こす場合がある。本実施形態に係る靴擦れ防止パッドによると、くるぶしの下側まで樹脂で覆うことができるため、かかと側面部分の靴擦れまで防止することができる。
また、本パッドの縦幅を大きくとることで、より高い範囲までアキレス腱下部の靴擦れを防止することが可能となる。ただし、くるぶし部分が覆われていない履物を履いた場合、パッドの縦幅を大きくとると、くるぶし部分のパッドが外から見えてしまい外観上好ましくなくなってしまう。そのため、くるぶし部分にはパッドがかからない形態とすることが好ましい。例えば図10に示すようにパッドの上端をくるぶしの下側の湾曲したラインに沿って切断した形態とすることが考えられる。
なお、パッドの裏面は粘着面となっているため、皮膚あるいは靴下等に貼り付けた場合にずれたり外れたりすることはない。
【0033】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッドは上記に限定するものではなく、その他の形態も考えられる。変形例として、図5(c)に示すように、上下両端をそれぞれ内側に湾曲させ、左右両端をそれぞれ外側に湾曲させてもよい。このようにすると、アキレス腱下部を覆う面積が少なくなり、人によっては装着感がよくなる。
【実施例4】
【0034】
以下、本発明に係る靴擦れ防止パッドの好ましい第4の実施形態について説明する。本実施形態は、主に実施例1、2及び実施例3で説明したパッドを併用して用いる態様に関する。
【0035】
実施例1、2では足先に装着することによって、外反母趾に伴う痛みの緩和及び親指付け根近辺、甲、小指付け根近辺の靴擦れ、及び足裏のたこや魚の目を防止するパッドについて説明した。実施例3ではアキレス腱下部からかかと両側面にかけて装着することによって、アキレス腱下部及びかかと側面近辺の靴擦れを防止するパッドについて説明した。
これらは着用者の足の状態や好み等に応じて一方のみを利用してもよいが、実施例1、2のパッドと実施例3のパッドとを同時に装着してもよい。
【0036】
両方のパッドを併用することで、足の親指付け根近辺、甲、小指付け根近辺、かかと両側面、足の裏、アキレス腱下部といった靴擦れやたこの出来やすい足の部位をすべて保護することができ、かつ外反母趾に伴う痛みも緩和することができる。
【実施例5】
【0037】
以下、本発明に係る靴擦れ防止パッドの好ましい第5の実施形態について、図6から図8を参照しながら説明する。図6は本発明に係る第5の実施形態の靴擦れ防止パッドの平面図であり、図7は該パッドの側面図であり、図8は該パッドの使用状態を示す参考側面図である。本実施形態に係るパッドは、カバーソックスに指の付け根近辺と甲を保護する指側パッド本体部とかかと近辺を保護するかかと側パッド本体部を取り付けた靴下状のパッドである。(8)は第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッド、(9)は指側パッド本体部、(10)はかかと側パッド本体部、(11)はカバーソックス、(12)は側面部、(13)は指側パッド端部、(14)はかかと側パッド下端部、(15)は凹みである。
【0038】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッド(8)は、図6〜8に示すように、カバーソックス(11)と、シリコン樹脂からなる薄い略台形状の指側パッド本体部(9)と、シリコン樹脂からなる薄い略楕円形状のかかと側パッド本体部(10)とからなる。
【0039】
カバーソックス(11)は縦幅約19cmから28cm、横幅約7cmから12cm程度のソックスであり、上側には足を通すための開口が長手方向に大きく設けられている。開口周囲には伸縮性のあるゴムを通してあり、開口部が足にフィットするようになっている。カバーソックス周囲の側面部(12)の高さは任意であるが、側面部の高さがあまりに高くなってしまうと、履き口が大きい靴やハイヒール等を履いた場合に足の左右から側面部分が見えてしまい、外観が好ましくなくなってしまう。一方、あまりに低くなってしまうと、カバーソックスがうまく足にはまらず、カバーソックスが足からずれたり外れたりしてしまう。従ってカバーソックスの側面部の高さは1cmから3cmの範囲とすることが好ましい。
【0040】
指側パッド本体部及びかかと側パッド本体部の裏面には粘着面を設けても設けなくてもよい。粘着面を設けた場合はパッド自体を足に接着することができる。そのためカバーソックスの底面部分及びソックス前後にパッドと固着できる部分があれば、カバーソックスの側面部はなくともよい。ソックス側面部がない態様とすることで、素足に直接本パッドを接着し、サンダル等側面がない履物を履いた場合にソックス側面部が見えないため、外観上好ましくなる。
【0041】
カバーソックスの素材は伸縮性があり、ある程度弾力性があればどのようなものでもよいが、履き心地がよいことを考えると、綿・麻・絹・合成繊維などの布帛とすることが好ましい。本実施形態に係るカバーソックスでは綿生地を用いている。綿生地は伸縮性があるため、カバーソックスが足よりも多少小さくとも、足をカバーソックスにはめた際に側面部が足の周囲を囲う形で縮み、足にフィットする。
なお、カバーソックスの全部あるいは一部の生地の間にクッションを挟むこととしてもよい。このようにすると、布帛により弾力性が備わり、足の裏面や側部を靴擦れやたこ、魚の目などから保護することができる。
【0042】
指側パッド本体部(9)は薄い平面視略台形状のシリコン樹脂からなり、カバーソックスの内側前方に両端部(13)が固着される。形状は実施例1で示したパッドと同じものでもよく、親指の爪の下側から親指の付け根まで(B)の幅を覆うことができる大きさとすればよい。
【0043】
かかと側パッド本体部(10)は薄い略楕円形状のシリコン樹脂からなり、カバーソックスの内側後方に下端部(14)が固着される。本実施形態に係るかかと側パッド本体部では図6に示すとおり上側中央近辺に凹み(15)を形成し、アキレス腱下部にフィットするようにしている。また、左右両端は図7に示すように前方(指側)に湾曲するように形成しており、かかと側面部分がすっぽりと覆われるようにしている。
なお、指側パッド本体部及びかかと側パッド本体部は外観上透明であることが好ましいが、その他の色でもよい。また、該かかと側パッド本体部の形状はこれに限定するものではない。かかと側面とアキレス腱下部(T)を覆うことができればどのような形状でもよく、例えば実施例3で説明したかかと用靴擦れ防止パッド(6)(7)に係る形状としてもよいし、凹み(15)を設けなくともよい。
【0044】
本実施形態に係る靴擦れ防止パッド(8)を使用する際は、図8に示すようにまず足の指先をカバーソックス開口部分から内側前方へと入れ、次にかかと側パッド本体部を手で少し後方へずらした上でかかとを開口部後方に入れ、かかと側パッド本体部をかかとに装着させるとよい。
このようにすることで、靴下を履くような簡単な感覚でパッドを装着でき、親指付け根、小指付け根、甲、かかと両側面、アキレス腱下部など靴擦れを生じやすい部位をすべて保護することができ、かつ外反母趾に伴う痛みの緩和もできる。また、綿生地からなるカバーソックスが足の裏面全体を覆っていることから、足の裏面にできるたこや魚の目の防止にもなる。さらにカバーソックスが足の側面を覆っていることから、パッドを足の部位に固定することができ、足を動かした際にもパッドがずれたり外れたりすることがなくなる。
直接素足のまま装着してもよいし、靴下等を履いた上から装着してもよい。
【0045】
なお、カバーソックスの底面や側面部(12)はどのような形状でもよいが、例えば刺繍又はレースを施したり上端部にフリルを入れるなど意匠の面から工夫をしてもよい。こうすることで、側面部分をわざと見えるように履くことでよりオシャレを楽しむこともできる。
【0046】
以下、本実施形態に係る靴擦れ防止パッドの変形例について図9を参照して説明する。図9は第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッドの変形例の使用状態を示す参考側面図である。(16)は紐状部材である。
【0047】
本変形例にかかるパッドでは、図9に示すようにカバーソックス(11)のかかと側端部に紐状部材(16)が2本取り付けられている。紐状部材は紐状のものならどのようなものでもよく、綿、麻、絹、ゴム、ナイロン等の素材が考えられる。また、その本数も2本に限定されるものではなく、1本あるいは3本以上でもよい。
紐状部材を取り付けたことで、本実施形態に係る靴擦れ防止パッドを足に装着した後、かかと近辺から延びる紐状部材を足首に巻き付け括ることができる。これによりカバーソックスを紐状部材によって足首に強固に装着することができるため、走るなど足を大きく動かした場合でもカバーソックスが足からずれたり外れたりすることがなくなる。
さらにパッドの裏側を粘着面とすることで、パッドを足や靴下にずれたり外れたりしないように接着させることができ、紐状部材によってソックスを足に固定することで、パッド及びソックスをより強固に足に装着させることができる。
【実施例6】
【0048】
その他、実施例1から5では靴擦れ防止パッドの使用形態に関して説明したが、実際に販売等行う場合は、所定の形状に加工せず、裏面を粘着面とした透明のシリコン樹脂基板として販売等をしてもよい。例えば矩形状の基板を販売し、図2(a)や図5(a)(c)で示されるパッドの形状に関する説明書を添付すれば、購入者が自分の足のサイズや形状に合わせて切り取ってパッドを作ることができる。
【0049】
なお、上記各実施形態の記述は本発明をこれに限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。また、人によって足の横幅や縦幅、甲の傾斜等は違うため、上記各実施形態で説明したパッドにつき、男性用・女性用、あるいはSサイズ・Mサイズ・Lサイズなど大きさを任意に選択できるようにするとよい。
【符号の説明】
【0050】
1 第1の実施形態の靴擦れ防止パッド
2 折り曲げ部
3 第2の実施形態の筒状靴擦れ防止パッド
4 パッド本体部
5 底面部
6 かかと用靴擦れ防止パッド
7 かかと用靴擦れ防止パッド
8 第5の実施形態に係る靴擦れ防止パッド
9 指側パッド本体部
10 かかと側パッド本体部
11 カバーソックス
12 側面部
13 指側パッド端部
14 かかと側パッド下端部
15 凹み
16 紐状部材
31 従来技術に係る靴擦れ防止パッド

A くるぶし
B 親指の付け根
L 足
S 靴
T アキレス腱下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄い略台形状のパッドであって、
縦幅は足の親指の爪下から親指の付け根までの長さであり、
横幅は足の親指側の側面から小指側の側面までの長さとすることを特徴とする靴擦れ防止パッド。
【請求項2】
パッドの裏面に粘着剤が塗布されており、粘着面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴擦れ防止パッド。
【請求項3】
布帛からなる薄い略台形の底面部を有し、パッドと底面部の左右両端部がそれぞれ固着され、パッドと底面部によって筒状に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の靴擦れ防止パッド。
【請求項4】
可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄いパッドであって、
平面視で左右両端辺は外側へ湾曲しており、上端辺は内側へ湾曲しており、下端辺は外側へ湾曲しており、
横幅は足の外側くるぶし下部から内側くるぶし下部までを覆うことができる長さとし、
パッドの裏面を粘着面としたことを特徴とする靴擦れ防止パッド。
【請求項5】
可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄い略台形状の指側パッド本体部と、
可撓性のある熱硬化性又は熱可塑性の樹脂からなる薄い略楕円形状のかかと側パッド本体部と、
布帛からなるカバーソックスとからなり、
カバーソックス指側一端の内側に指側パッド本体部が取り付けられ、かかと側一端の内側にかかと側パッド本体部が取り付けられたことを特徴とする靴擦れ防止パッド。
【請求項6】
カバーソックスかかと側一端に紐状部材を取り付け、該紐状部材を足首に括りつけることを可能としたことを特徴とする請求項5に記載の靴擦れ防止パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−115341(P2012−115341A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265792(P2010−265792)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【特許番号】特許第4856273号(P4856273)
【特許公報発行日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(310023863)
【Fターム(参考)】