説明

頭付き棒状部品の整列供給装置

【課題】簡単な構成で頭付き棒状部品の大小にかかわらず、繋ぎ個所で確実に部品の受け渡しを可能にした頭付き棒状部品の整列供給装置を得る。
【解決手段】振動式のボールフィーダ10と、これから供給される頭付き棒状部品を支持した状態で搬送するベルト搬送ユニット20とからなる部品供給機において、ボールフィーダ10の排出端13に脚部3を下にした状態で頭部2の座面を支持するフィーダレール14を配置し、これの直線状となったレール先端に後端の上面が一致するとともに後端の上面角部を中心に所定角度だけ揺動可能な仲介レール30を配置し、仲介レール30の先端にベルト搬送ユニット20を設けた頭付き棒状部品の整列供給装置であるので、ベルト搬送ユニットへ頭付き棒状部品を供給する受け渡し個所における頭付き棒状部品の飛び跳ねや転倒が解消され、稼働率が向上した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ、リベット、ピンあるいはボルト等の頭付き棒状部品を連続供給するボールフィーダから頭部の座面が支持されて脚部を下にした状態で受けて整列供給するベルト搬送ユニットとからなる部品供給機であって、ボールフィーダからベルト搬送ユニットに部品を飛散することなく受け渡しする整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ、リベット、ピンあるいはボルト等の頭付き棒状部品を整列供給する場合、図5に示すようなパーツフィーダがよく使用されている。これは、特開平10−236625号公報に示すように、ボールフィーダ110とその送出端部113の溝から送出された部品(図示せず)を直線状のトラック120によってこれの前方へ供給されるようになっている。この直線状のトラック120は振動体121により直進駆動力が与えられるようになっており、これにより部品は頭部座面で支えられて脚部を下にした状態で前方へ整列供給されるようになっている。しかしながら、このトラック上においてセンサにより寸法や形状について部品の良品不良品を判定しようとしても部品がこのトラックを移動中に常時振動しているため、トラック上での良否判定が不可能で、このトラックの前方に判定するための装置を新たに設置する必要があることから装置全体が大きくて高価になっていた。
【0003】
これを解消するために、ねじ、リベット、ピンあるいはボルト等の頭付き棒状部品の製造においては、これら部品の頭部を支持して吊り下げ状態で整列供給しながら搬送し、この搬送中に部品の長さ、頭部高さ及び形状等の良品不良品を即座に判定する機構が採用されている。具体的には図6に示すような構成となっており、これは振動式ボールフィーダ210で整列供給される頭付き棒状部品をその排出端(図示せず)から振動体(図示せず)により直進駆動される直進フィーダ230に移し、これにより頭部座面を支持しながら脚部を下にした状態で整列供給させ、続いて、この直進フィーダ230から細くて断面が丸い一対の循環ベルト221を中心線を挟んで両側に配置したベルト搬送ユニット220に移し、この間において部品(ねじ)の頭部座面を一対の循環ベルト221で支えて脚部を下にした状態で搬送するようになっており、この搬送中に部品の良否の判定を行うようになっている。そして、この直進フィーダの先端形状は図7に示すように、例えば、ベルト搬送ユニットの中心線上に部品が詰まることなく移ることができるように尖り先形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−236625号公報
【特許文献2】特開2000−247422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、頭付き棒状部品の良品不良品の判定においては、部品が一対の循環ベルトで整列搬送されている状態で部品の搬送を停止することなく連続搬送状態において即座に良否判定を行う必要から、ボールフィーダから整列供給される部品を直接ベルト搬送ユニットに渡すようにすれば何らの問題も生じないが、現実にはこのベルト搬送ユニットをボールフィーダのシュート先端に設けようとしてもベルト搬送ユニットがボールフィーダの本体に接触するので、取付が不可能となっている。また、この接触を解消するためにボールフィーダの中心から遠い位置にボールフィーダのシュートの端部が位置するようにした場合、振動式ボールフィーダにはボールフィーダの中心からある距離(A)及び(B)(図3を参照)で囲まれる範囲からシュートの先端が離れると、このフィーダの先端部分には部品を供給する振動が正確に伝達されなくなり、部品の供給が不安定になるので到底これを採用することができなかった。更に、これを解消するために、部品を多量に貯留するボールフィーダで部品を整列供給するシュートの先端に直進フィーダを配置し、これを介してベルト搬送ユニットに部品を供給するようにしたものもあるが、直進フィーダのレールとベルト搬送ユニットとの間の受け渡しの調整に熟練性を必要としている。しかも、この調整が不十分であったり、頭付き棒状部品が小さいと、この繋ぎ個所において詰まりが生じたりしていた。その上、頭付き棒状部品の流れ速度を変更しようとしても直進フィーダのレール角度の変更ができず、直進フィーダのレールとベルト搬送ユニットの繋ぎ個所で部品の飛び跳ねや転倒が発生する等の諸々の課題を有している。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解消するとともに簡単な構成で頭付き棒状部品の大小にかかわらず、繋ぎ個所で確実に部品の受け渡しを可能にした頭付き棒状部品の整列供給装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、振動式のボールフィーダ10と、このボールフィーダ10から供給される頭付き棒状部品をこの頭部2の座面を支持し脚部3を下にした状態で搬送するベルト搬送ユニット20とからなる部品供給機において、ボールフィーダ10の排出端13に脚部3を下にした状態で頭部2の座面を支持するフィーダレール14を配置し、このフィーダレール14の直線状となったレール先端に後端の上面が前記フィーダレール14の直線状部分の上面と一致するとともにこの後端の上面角部を中心に所定角度揺動可能な仲介レール30を配置し、この仲介レール30の先端に接近して前記ベルト搬送ユニット20を設けた頭付き棒状部品の整列供給装置を提供することで達成される。
【0008】
前記発明において、仲介レールはその上面と同一若しくはこれより低い位置に滑走面34aを有し且つ先端がこれより前方へ突出してベルト搬送ユニット20を構成する循環ベルト21の上面に接近するよう配置された厚みの薄い板状のレールプレート34を固定した構成であるから、頭付き棒状部品がベルト搬送ユニットに頭部の座面で支持されて脚部を下にした状態で詰まることなく搬送される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、振動式のボールフィーダの排出端に接続されているフィーダレールの先端に簡単な構成の仲介レールを配置して既存のベルト搬送ユニットを設けるだけで頭付き棒状部品をボールフィーダからベルト搬送ユニットに確実に供給することができる。また、ボールフィーダから整列供給される頭付き棒状部品の形状やサイズに合わせて仲介レールの傾斜角度を調整できるので、ベルト搬送ユニットへ頭付き棒状部品を供給する受け渡し個所における頭付き棒状部品の飛び跳ねや転倒が解消された。更に、仲介レールの一部上面に薄い板状のレールプレート固定し、これの先端をベルト搬送ユニットの循環ベルト上面に突出させて固定しているので、受け渡し個所における部品の流れが滑らかになり、詰まりや飛散が解消されて稼働率が向上した。しかも、ボールフィーダからのフィーダレールの直線状の先端とベルト搬送ユニットとの位置合わせや微調整が容易になり、段取り調整時間が短縮されるとともに機械の部品点数が減少し、機械が安価に提供可能になる等の特有の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部拡大正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す要部拡大平面図である。
【図3】部品供給機を組み合わせた部品選別機の全体平面図である。
【図4】図3の一部を示す正面図である。
【図5】一般的なボールフィーダと直進フィーダとの組合せを示す正面図である。
【図6】本発明の従来例を示す平面図である。
【図7】もう一つの従来例を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について最良の実施の形態を図1乃至図4に基づき説明する。図3及び図4において、10は頭付き棒状部品の一例であるねじ1を多量に貯留し、これが振動駆動されると、ボールフィーダ本体11の螺旋シュート12上においてねじ1を徐々に整列供給するボールフィーダである。このボールフィーダ10の排出端13には頭部2の座面が支持されて脚部3を下にした状態で整列供給するようボールフィーダ本体11の外周に沿い湾曲し、先端部が直線状となったフィーダレール14が設けてあり、これの先端前方には頭部2を上に脚部3を下にした状態でねじ1の頭部座面を支持しながら前方へ搬送するベルト搬送ユニット20が配置されている。このベルト搬送ユニット20はフィーダレール14の中心線延長線を挟んで両側に直線状に配置された一対の二本の循環ベルト21とこの循環ベルト21を夫々同一速度で循環移動させるように配置されたプーリ22とから構成されている。一方、この循環ベルト21はねじ1の脚部3が嵌る程度の間隔を有して平行となっており、これら循環ベルト21は細くて断面が丸形状に形成されている。尚、この断面形状は丸以外四角形形状であってもよく、ねじの頭部座面を支えることができれば形状が特に限定されるものではない。
【0012】
また、このベルト搬送ユニット20にはこれに沿いねじの頭部2、脚部3の形状あるいは寸法等の外観の良否を判定するセンサ23が必要数だけ設けてあり、このベルト搬送ユニット20での搬送時に必要な判定項目に相当する良否判定を行うようになっている。このベルト搬送ユニットの前方には前記良否判定センサ23からの信号を受けた制御部(図示せず)の出力信号により良品、不良品に振り分けられたねじを案内する良品排出路24、不良品排出路25が夫々設けてあり、これによりねじ1の良品不良品の選別が行われる選別機の構成となっている。
【0013】
これらボールフィーダ10とベルト搬送ユニット20との間には整列供給されてきた頭付き棒状部品としてのねじ1を前記ベルト搬送ユニット20を構成する平行に配置された一対の循環ベルト21に頭部2の座面が支持されるように渡す仲介レール30が配置してあり、図1及び図2に示すように、この仲介レール30の後端は前記ボールフィーダ10の排出端13に位置するとともに脚部3を下にした状態で頭部2の座面を支持するよう先端部分が直線状となったフィーダレール14の先端部上面に一致するようにその上面と同一若しくはこれより僅かに低い位置となっている。この仲介レール30は前記後端の上面角部(イ)を中心に所定角度だけ上下方向に揺動可能となっており、この角度を変更することによりねじ1の大小あるいは脚部3の長短によるねじ1の流れが調整可能になっている。一方、この仲介レール30の先端は前記ベルト搬送ユニット20の循環ベルト21の上面に接近するよう可能な限り薄くすることで、仲介レール30に接近してベルト搬送ユニット20を設けることができる。
【0014】
この仲介レール30の後部には取付プレート31が固定してあり、この取付プレート31にはこれを貫通するボルト33の脚部径より大きい幅でしかも水平方向に長い長穴32が形成されている。この取付プレート31はフィーダレールに前記長穴32を貫通してボルト33を締め付けることにより固定されており、仲介レール30の取付角度調整はこのボルト33を緩めて取付プレート31の長穴32の範囲だけ動かして調整するようになっている。
【0015】
また、この仲介レール30にはこれの先端を薄くする以外に例えば、その上面と同一若しくはこれより低い位置に滑走面34aを有し且つ先端がこれより前方へ突出してベルト搬送ユニット20を構成する循環ベルト21の上面に接近するよう配置された厚みの薄い板状のレールプレート34を固定する構成としてもよい。これは、頭部座面で支えられながら供給されるねじ1がこの継ぎ目で引っかかることなしに供給されるようにするためであって、このレールプレート34により正確で安定したねじ1の滑らかな受け渡しが得られるようになる。
【0016】
更に、前記振動式のボールフィーダ10のフィーダレール14と仲介レール30との接合位置は、ボールフィーダ10のボールフィーダ本体11が振動体(図示せず)による振動駆動によりボール15内に貯留されているねじ1を排出端13へ供給するようになっているので、この振動が最適に加わる範囲を調査したところ、具体的には図3において例えば、ボール15の径が300mmの場合、距離(A)は中心から約70mmで、距離(B)は約180mmが夫々限界であり、この距離(A)及び(B)はボール15の径に比例していることがわかった。このことことから前記接合位置はボールフィーダ本体11の中心からの距離(A)、(B)で囲まれる範囲が最適な接合位置であることが明確になった。
【0017】
このような構成において、所定サイズのねじ1を供給する場合、あらかじめこのねじ1に合った流れが得られるように仲介レール30の取付角度を所定角度の範囲で調整する。この調整はフィーダレール14に一方が仲介レール30と一体となっている取付プレート31の他端を一旦可動自在となるようボルト33を緩め、仲介レール30の後端上面角部がフィーダレール14の先端と一致するように保ちながら仲介レール30の取付角度を設定する。このようにして角度調整した後、緩めたボルト33を再締め付けることで調整が完了する。
【0018】
このようにしてねじ1の流れを最適状態となるよう調整してから作業開始の信号が入ると、ボールフィーダ10のボール15に多量に貯留されているねじ1は徐々にボールフィーダ10の排出端13側に移動する。この後、ねじ1は図1及び図2に示すように、フィーダレール14に頭部座面が支持されながら脚部を下にした状態で整列供給される。そして、ねじ1は仲介レール30に入るが、この仲介レール30には前記ボールフィーダ10の振動が僅かに加わり、しかも、所定角度傾斜しているので、前方の循環ベルト21上に安定して供給される。
【0019】
また、仲介レール30まではボールフィーダ10の振動によりねじ1は供給されており、この振動は前記の説明で明らかなように、フィーダレール14の先端部は前記距離(A)、(B)の範囲内に位置していることから常時ねじ1を前方へ供給することが可能となっている。このため、連続整列供給されているねじ1は続けて仲介レール30に入り、頭部2を上に、脚部3を下にした状態でベルト搬送ユニット20に送られる。この供給状態において、何らかの原因で仲介レール30でのねじ1の供給が阻害された場合は、例えば、ねじ1の詰まり、飛散等があれば、作業を停止させてからボルト33を緩めて再度角度調整を行うことでこのような問題が解消される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、ねじ、リベット、ピンあるいはボルト等の頭付き棒状部品の供給において、ボールフィーダ10とベルト搬送ユニット20との間を繋ぐ仲介レール30を有する頭付き棒状部品の整列供給装置であって、部品の形状良否選別において簡単な構成で部品の安定した供給を可能にしており、そのため、機械の低コスト化を進めることができ、省力化機器への利用が期待される。
【符号の説明】
【0021】
1 ねじ
2 頭部
3 脚部
10 ボールフィーダ
11 ボールフィーダ本体
12 螺旋シュート
13 排出端
14 フィーダレール
15 ボール
20 ベルト搬送ユニット
21 循環ベルト
22 プーリ
23 センサ
24 良品排出路
25 不良品排出路
30 仲介レール
31 取付プレート
32 長穴
33 ボルト
34 レールプレート
34a 滑走面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式のボールフィーダ(10)と、このボールフィーダから供給される頭付き棒状部品をこの頭部(2)の座面を支持し脚部(3)を下にした状態で搬送するベルト搬送ユニット(20)とからなる部品供給機において、ボールフィーダの排出端(13)に脚部を下にした状態で頭部の座面を支持するフィーダレール(14)を配置し、このフィーダレールの直線状となったレール先端部に後端の上面が前記フィーダレールの直線状部分の上面と一致するとともにこの後端の上面角部を中心に所定角度揺動可能な仲介レール(30)を配置し、この仲介レールの先端に接近して前記ベルト搬送ユニットを設けたことを特徴とする頭付き棒状部品の整列供給装置。
【請求項2】
仲介レールはその上面と同一若しくはこれより低い位置に滑走面(34a)を有し且つ先端がこれより前方へ突出してベルト搬送ユニットを構成する循環ベルト(21)の上面に接近するよう配置された厚みの薄い板状のレールプレート(34)を固定した構成であることを特徴とする請求項1記載の頭付き棒状部品の整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−201702(P2011−201702A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73265(P2010−73265)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】