説明

顆粒状顔料調製物

【課題】上述の不利な点を有せず、溶媒を大部分除いた顆粒よりもバインダー系中で著しく大きな溶解速度を有する、固体粒子状の発効顔料組成物を提供すること
【解決手段】1又は2以上の樹脂、1又は2以上の発効顔料、及び場合によって添加物を含む、顆粒状の顔料調製物において、この顆粒は、20℃で0.001〜40hPaの蒸気圧を有する、3〜10重量%の水又は溶媒又は溶媒混合物を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1又は2以上の樹脂、1又は2以上の発効顔料、及び適当なら添加物を含む顆粒状の顔料調製物に関し、この顆粒は、20℃で0.001〜40hPa(ヘクトパスカル)の蒸気圧を有する水又は溶媒又は溶媒混合物を3〜10重量%含んでいることが特徴である。
【背景技術】
【0002】
工業的な方法では、顔料は大抵乾燥粉体状では使用されない。何故なら、そのような粉体は仕事場の安全と云う観点から高度の規制を招くダスト(粉塵)を生成するからである。さらに、粉体をプラスチック、ベースコート系などに導入する際、多くの場合顔料の粉の凝集がみられる。それぞれのマトリックス中での顔料の均質な分布は、達成不能とは云えないまでも多くの場合困難である。製剤中で真珠光沢顔料に典型的な光沢効果を得るためには、バインダー中でこの真珠光沢顔料粒子の極めて均一な分布と配向性が必要である。
【0003】
使用に際して、顔料顆粒は粉状の顔料調製物よりもダストによる害が著しく減少し、流動性がよくなることが特徴であり、したがってますます関心を集めている。顔料を樹脂でさらに処理すると、顔料の性能を大きく向上させる。
【0004】
ヨーロッパ特許EP0134676B1は、有機バインダー媒体と金属顔料を有機の液体媒体と一緒に混合することによってペーストを製造する、ダストの生成しない金属顔料組成物の製造方法を開示している。この製法の最後に、有機液体媒体を凝集性のペーストから除去し、得られた固形物を粒子に分割する。
【0005】
さらにヨーロッパ特許EP0803552B1に、真珠光沢顔料、バインダー、及び適当な場合には添加物も含む溶媒フリー、流動性のよい顆粒が特許請求されている。その中で記載されている顆粒は、印刷インク用前駆物質として特に好適である。
【0006】
しかしながら、製造工程中で溶媒が殆んど除かれた従来法の顆粒は、印刷インク中に再度溶解させることが比較的困難であり、及び/又は分散させるのに困難を生じる。製造しようとする製剤中で真珠光沢顔料と顆粒を均質化するには機械的な力を必要とし、この機械的力が真珠光沢顔料の薄片を砕いてしまい、それにより顔料の光学性質に逆効果を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ヨーロッパ特許EP0134676B1
【特許文献2】ヨーロッパ特許EP0803552B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の不利な点を有せず、溶媒を大部分除いた顆粒よりもバインダー系中で著しく大きな溶解速度を有する、固体粒子状の発効顔料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚いたことに、例えば真珠光沢顔料、樹脂及び適当なら添加物などの樹脂と発効顔料を含む顆粒の印刷インク又は塗料物質中への溶解速度が、この顆粒を完全には溶媒−フリーとせずに、ある厳密に規定された量の溶媒をなお残留させている場合に、著しく増進され得ることがわかった。
【0010】
本発明はしたがって、顔料組成物が、室温で不揮発性の溶媒を顆粒を基準として、3〜10重量%含むことを特徴とする、発効顔料、樹脂及び、適当なら添加物を含む固体粒子状の顔料製剤を提供する。選択される溶媒又は溶媒混合物は、20℃で0.001〜40hPaの蒸気圧を有するように選ばれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の顆粒は、攪拌によってバインダー系に混合する時の溶解速度が大きいことが特徴である。それ故、顆粒を溶解するのに要する機械的な力が少いので製造しようとする製剤の、あとの均質化が容易となる。水溶性のバインダー系中への泡の導入と、特に粗い顔料フラクションの破砕の危険性が著しく減少する。上述の溶媒含量(<3重量%)以下で、特に溶媒含有−又は照射硬化増量剤中の顆粒の溶媒和又は溶解度が大きく減少する現象が起る。さらに、顆粒中の溶媒含量の精密な計量が顔料粒子のより良好な湿潤化をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の顆粒はダストの発生がなく、流動性であり、市販バインダー系への混合速度が従来の顆粒よりも著しく速やかであり、前記システム中で相互溶解性である。特にこの生成物は水溶性の、溶媒含有−又は溶媒を含まない印刷インクや塗料系と相溶性である。この顆粒を使用して製造したインクや塗料物質はグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセットオーバープリントワニス(OPV)用ならびに工業塗料及び自動車塗料分野の各種塗料系用にも好適である。これらはプラスチックの着色用にも好適である。
【0013】
本発明の顔料顆粒は60重量%、好ましくは70〜90重量%、特に80〜90重量%の発効顔料を含んでいる。特に好ましいのは80重量%を超える含量の発効顔料を有する顔料調製物である。重量%は常に顆粒基準とする。
【0014】
ここで云う発効顔料とは真珠光沢顔料、金属性発効顔料、透明及び不透明層を有する多層顔料、ホログラフィック顔料、BiOCl及びLCP(液晶ポリマー)顔料を指す。
【0015】
特に好ましいのは薄片形、透明又は半透明の基体をベースとする真珠光沢顔料を含む顆粒である。好適な基体の例は、天然又は合成の雲母又は別種の硅酸塩物質のようなフィロシリケート、タルク、絹雲母、カオリン及びSiO、ガラス、TiO、グラファイト及びAl薄片である。薄片−形基体の例は、Ce、亜酸化チタン、チタンオキシニトリド、擬板チタン石のような希土類金属硫化物で;TiO(ルチル又はアナターゼ)、Fe、Fe、SnO、ZrO、SiO、Al、Cr、ZnO、CuO、NiO、Ce及び他の金属酸化物のような着色又は無色の金属酸化物で;単独又は混合物で、均一な1つの層又は連続層(多層顔料)に被覆したものである。真珠光沢顔料は、例えば以下のドイツ特許及び特許出願で公知であり:1467468、1959998、2009566、2214454、2215191、2244298、2313331、2522572、3137808、3137809、3151343、3151354、3151355、3211602、3235017及びP3842330:例えばMerck KGaA,Darmstadt,GermanyからIriodin(登録商標)のブランド名で市場入手可能である。雲母をベースとする多層顔料は、例えばMerck KGaA又はEM IndustriesによってTimiron(登録商標)Splendid Copper,Timiron(登録商標)Splendid Gold,Timiron(登録商標)Splendid Green,Iriodin(登録商標)Solargold又はDichrona(登録商標)Splendidのブランド名で販売されている。特に好ましいのは、TiO−SiO−TiOの層順序を有する雲母をベースとする多層顔料である。
【0016】
特に好ましい顔料顆粒は、TiO−、Fe−、又はTiO/Fe−被覆雲母、Al又はSiO薄片である。SiO薄片は例えばWO 93/08237(湿式化学コーチング)又はDE−A 196 14 637(CVD法)に記載のように被覆できる。Al薄片は例えばEP 0 763 573 A1で公知である。1又は2種以上の希土類金属硫化物で被覆した薄片形の基体が、例えばDE−A 198 10 317に開示されている。
【0017】
金属性の発効顔料、特に水溶性用途用にEckartによってブランド名Rotovario Aqua(登録商標)又はStapa Hydroxal(登録商標)で販売されているような水性系ならびに溶媒含有系用に改質したアルミニウムフレークも好適であり、さらにまた特に公開明細書EP 0 681 009 A1、EP 0 632 110 A1、EP 0 634 458 A1からのものを含むBASFのVariocrom(登録商標)及びPaliocrom(登録商標)顔料、さらにはまたLCP(液晶ポリマー)顔料も好適である。BASFの好適な発効顔料の例はVariocrom ED 1478、Variocrom ED 1479及びVariocrom ED 1480である。さらに、同様に好適なのは、当業者公知のすべてのホログラフィック顔料及びまた金属層を有する薄片形の顔料である。この種の顔料は、数あるなかで、例えばFlexによって、Chromaflair Red/Gold 000、Chromaflair Gold/Silver 080、Chromaflair Green/Purple 190及びChromaflair Silver/Green 060のブランド名で販売されている。約11〜13μmの粒子サイズを有するChromaflair顔料は、不透明なアルミニウムコアと、得られた顔料の後程の干渉色を生じさせるいろいろな厚さの弗化マグネシウム層とからなる。さらに、半透明のクロム層が最外層として使用される。
【0018】
本発明の顔料顆粒は1又は2以上の発効顔料を含んでいてもよい。多くの場合、少くとも2種の異なる発効顔料を使用することによって特別な色彩効果と光沢効果を得ることが可能である。好ましい顔料顆粒は、1又は2、さもなければ3種の発効顔料、特に雲母及び/又はSiO薄片をベースとする発効顔料を含む。発効顔料と有機又は無機顔料との10重量%(顆粒基準)までの混合も可能であり、この場合顔料の合計量は、顆粒基準で90重量%を超えてはならない。混合により色彩変化を全く目標どうりに設定することができる。特に、分散状態の1又は2以上の染料及び/又は有機顔料の添加により特別な色彩効果が得られる。製品を確認させ得る物質や粒子(トレーサー)を加えることも可能である。
【0019】
本発明の顆粒は必須成分として、顔料顆粒基準で4.5〜30重量%、好ましくは4.5〜25重量%、特に好ましくは4.5〜20重量%量の樹脂又は樹脂混合物を含む。使用する樹脂又は樹脂混合物の酸価は、好ましくは90〜350、特に好ましくは120〜280、最も好ましくは150〜270である。
【0020】
好適な樹脂には、当業者に公知であって天然、半合成及び完全合成の樹脂又は樹脂混合物のすべてが含まれ、発効顔料がその中に広く使用される。特にここでは以下の樹脂を挙げることができる:ケトン樹脂、アルデヒド樹脂、セルロース及びアルキルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースアセトブチレート、硝酸セルロースのようなセルロース誘導体;ロジン、ポリアクリレート又はポリメタクリレート樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリテルペン、ポリビニル、ポリ塩化ビニル及びポリビニルピロリドン樹脂;ポリスチレン、ポリオレフィン、エポキシ樹脂;ポリウレタン、尿素、芳香族ホルムアルデヒド樹脂;カルバミン酸、スルホンアミド及びスルホポリエステル。
【0021】
使用する樹脂が改質ロジン、特にスチレン−及び/又はマレイン酸改質ロジン、ケトン及びアルデヒド樹脂、セルロース及び/又はセルロース誘導体、スルホポリエステル、スチレン改質マレイン酸塩、ポリアクリレート樹脂又はポリメタクリレート樹脂、及びスチレン改質ポリアクリレート樹脂を含む場合に、本発明顆粒の分散性ならびに再分散性が特に良好であることがわかった。
【0022】
特に好ましいのはマレイン酸−及びフマル酸−改質ロジンのようなカルボキシル基を持っているロジンである。改質ロジンは広く市場入手可能であり、例えばKraemerによってErkamarのブランド名で販売されている。例えばMortonによってMorezのブランド名で販売されているスチレン−改質ポリアクリレート樹脂も好ましい。
【0023】
本発明顆粒の重要な成分は、本発明顆粒中に重量%で3%、最高10重量%までの量で存在する溶媒又は溶媒混合物である。この顆粒は、顆粒を基準として好ましくは3〜7.5重量%、特に好ましくは3〜5.0重量%の溶媒を含む。顆粒中の溶媒成分は、いかなる場合でも使用する樹脂系相応に適合しなければならない。製造には水及びすべての非揮発性有機溶媒も使用可能である。好適な溶媒の例は芳香族溶媒、例えばトルエン、石油スピリット、キシレン、鉱油、植物油;プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル;又はエチレングリコール及びプロピレングリコール又はポリエーテルジオールのようなジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールのような2〜6の炭素原子数を有する脂肪族トリオール及びテトラオール;アルコール、ケトン、エステル、及び他の種類の化合物からの他のすべての溶媒、又は上述の溶媒の2又は3種の混合物である。
【0024】
特に好ましいのは沸点が>35℃、特に>70℃の溶媒である。中程度又は高い粘度の溶媒を使用するのが好ましい。水と混合しやすい溶媒が特に好ましい。調製(製造)の間中、溶媒成分が、20℃で0.001〜40hPa、好ましくは0.001〜30hPaの蒸気圧を有する少なくとも1つの溶媒又は溶媒混合物を含むことが肝要である。
【0025】
特に好ましい溶媒は水、ポリアルキレングリコール、グリコールエーテル、ジオール、2〜6個の炭素原子を有する脂肪族トリオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール又は上述の溶媒の2又は3種の混合物である。好適な溶媒の蒸気圧は当業者なら容易に測定することができ、あるいはHandbook of Chemistry and Physics, 71st Edition, 1990−1991, David R.Lide, CRC Press, chapter 6−48で調べることができる。
【0026】
特に好ましいのはポリアルキレングリコール、トルエン(29hPa)、キシレン(10hPa)、1,2−エタンジオール(0.053hPa)、1,2,3−ヘキサントリオール(0.01hPa)、1,2,3−プロパントリオール(0.001hPa)、及び水(23hPa)である。水はさらに溶解したソルビトール又は尿素を含んでもよい。好ましいポリアルキレングリコールはポリエチレングリコール(0.1hPa)及びエチレングリコールモノブチルエーテル(0.8hPa)である(各ケース括弧内に示した20℃の蒸気圧はHandbook of Chemistry and Physicsからのもの)。
【0027】
この顆粒はさらに他の成分として1又は2以上の中和剤を含むことが好ましい。特に好適な中和剤は、尿素、尿素誘導体、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールのようなアミノアルコール、KOH又はNaOHのようなアルカリ金属水酸化物、アミンのように塗料分野で一般的な塩基であり、水性用途用の顆粒の場合は、アミンは非揮発性か又は室温で低揮発性の低分子量有機アミンであることが好ましい。
【0028】
一般に、本発明の顔料顆粒は、この顔料顆粒を基準として0.05〜10重量%、好ましくは1〜7重量%、特に好ましくは1.5〜5重量%の中和剤を含む。
【0029】
本発明の、顆粒はさらに新しい成分として0.05〜10重量%、好ましくは0.05〜6重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%の改質剤(変成剤)を含むことができる。使用する改質剤は特にポリアルキレン酸化物又はポリアルキレン酸化物誘導体であり、その目的は顆粒の強度ならびに相互溶解性を高めることである。
【0030】
必要ならば、例えば繊維又は球状の粒子のような大きな粒子の形で再分散剤を加えると、本発明方法にしたがって処理される発効顔料が立体斥力の結果として互いに表面に位置するのが相当程度まで妨げられ、したがって強力な接着力を発揮するのが妨げられる。この効果は、本発明の顆粒がより安定であり、この顆粒をペンキ、印刷インク又は塗料系中に導入後発効顔料がゆっくりと(場合によっては非常にゆっくりと)沈降すること、沈降した堆積物がどんな場合も固くないこと、したがって再攪拌に当って何ら問題が起らないことである。
【0031】
再分散剤は好ましくは顆粒基準で0〜5重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%の量で使用される。当業者に既知の繊維長さが0.1〜20μmのすべての有機又は無機繊維が使用できる。好適な粒子は、特に例えばポリエチレン、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリアミド、セルロース繊維、好ましくはシリコン化合物を含む無機繊維、ガラス繊維及びまた特に改質イソシアネートとモノ−又はジ−アミンとの縮合生成物などのすべての合成繊維である。ジ−ウレア誘導体及びウレタン基を含んでいるアミノ尿素をも含むこれらの縮合生成物はチキソトロピー剤として公知であり、その作動性やブラッシング性を改善するためバインダーと一緒にペンキや塗料物質に加えられる。
【0032】
例えばヨーロッパ特許EP 0 198 519及びOrganic Coatings: Science and Technology, A.Heenriga, P.J.G.von Hemsbergen, pp.201−222, New York 1983に記載のように、当業者に公知のすべてのジ−ウレア誘導体及びウレタン化合物を再分散剤として使用することも可能である。
【0033】
特に好適な球状物質は中空のガラス、ワックス又はビニル樹脂製のポリマービーズ、ナイロン、シリコーン、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリスチレン、及び例えばTiO、SiO又はZrOのような無機物質である。中空のビーズを使用するのが好ましいが、0.05〜150μmの粒子サイズを有する中空でないビーズを使用することも好ましい。本発明顆粒には中空のガラス、ワックス又はポリマービーズを使用することが特に好ましい。
【0034】
粒子サイズ範囲が3〜10μmのSiOをベースとする球状の粒子は、例えば、高性能液体クロマトグラフィ用の材料として知られており、例えば商標名LiChrospherとしてMerck KGaA,Darmstadt、FRGによって販売されている。このような物質は好ましくはモノ分散の形すなわち実質的に均一粒子サイズを有する形で使用される。SiO、TiO又はZrOをベースとするこのタイプのモノ分散球状粒子は既知である。例えばモノ分散SiOはEP 0 216 278 B1にしたがって調製することができる。中空ガラスビーズは、例えば商品名Q−CELで PQ Corporation, USAにより、又はScotchliteの名で 3M, Frankfurt, FRGによって販売されている。
【0035】
加えて、本発明の顆粒は、例えば別の官能基、あるいは飽和又は不飽和の脂肪酸又はフルオロ表面活性剤も含むことができるアルキルシランのような表面活性物質を含んでいてもよい。式(C2n+1)Si(OC2m+1[但しnは1〜30、mは1〜10である]のシラン化合物を表面活性物質として使用するのが特に好ましい。好適なシラン化合物の例はn−ヘキシルデシルトリエトキシシラン及びn−オクチル−デシルトリエトキシシラン(Degussa AG, FrankfurtのSi 116及びSi 118)であり、また相応するフルオロアルキルシランも好適である。
【0036】
表面活性物質として例えばカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノレン酸のような飽和及び不飽和の脂肪酸及び脂肪酸の混合物も使用可能である。
【0037】
表面活性剤はまたシラン、脂肪酸及び/又は表面活性剤の混合物も含むことができる。顆粒は、顔料を基準として0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%の表面活性物質を含んでいてもよい。
【0038】
顆粒の調製には、顔料、樹脂及び/又は樹脂混合物、及び添加物(存在する場合)を溶媒と一緒に混合する。調製初期の溶媒の割合は20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%である。顆粒の調製中、樹脂及び/又は樹脂混合物及び所望によっては添加物を顔料に加える前に溶媒を前混合するのが好ましい。これにより顔料と造粒に必要な物質との間に強力な接触が生じ、同時に顔料表面をより均一に被覆することができる。次いでこの混合物を静かに均質化させる。
【0039】
好ましくは、顔料は最初の装入物として導入し、樹脂及び、もしこの段階で望ましいのであれば、改質材を含む溶媒と攪拌して先ずペーストとなし、次いで溶媒と添加物からなる新しい溶液を加える。
【0040】
顆粒の製造中又は製造後に、別の慣用添加物をこの顔料調製物に加えることができる。添加物の例は消泡剤、湿潤剤、抗沈降剤、レベリング剤、乳化剤、乾燥剤又はチキソトロピー剤である。これらのものは塗料工業では慣用の補助剤であり、本発明の顆粒中には0〜10重量%の量で存在してもよい。ここでは特にこはく酸塩誘導体をあげる。その例はHenkelよりHydropalat875のブランド名で販売されているものである。
【0041】
顆粒を調製するには、湿り気のある顔料調製物を、錠剤化、ブリケット化、ペレット化、造粒、噴霧造粒、又は流動床造粒のような当業者公知以外の別の方法によって圧縮粒子の形に押出し又は圧縮し、次いで厳密に制御した条件の下で乾燥する。乾燥操作の過程では顆粒の溶媒含有量を連続的に測定する。乾燥方法は、使用する溶媒によって60〜150℃、好ましくは60〜120℃の温度で行われ、適当ならば減圧下、好ましくは80〜100ミリバールで行うことができる。乾燥時間は、乾燥しようとする調製物のバッチ大きさ、乾燥工程の処理量、及び使用する溶媒によって異なるが、一般に0.5〜24時間、好ましくは1〜18時間である。顆粒の残留溶媒含有量が10重量%で3重量%となった直後に乾燥を停止する。最後に必要なら顆粒を分級する。
【0042】
ここで使用する“顆粒”と云う用語は、ペレット、チップ、ブリケット、タブレットなどのような中空でない粒子のすべての可能な形態を包含するものとする。顆粒の粒子サイズは0.1〜150mm、好ましくは0.1〜20mm、特に好ましくは0.1〜6mmの範囲にある。
【0043】
調製過程での残留溶媒水分含量の測定は、赤外線ベースで作動するSartorius MA30水分分析計を使用して行う。計器の較正後、水分を測定する。さらに溶解度を高める物質を測定しようとする場合は、分析しようとする物質が前に較正した温度以上で水と一緒に排出されるので、これは差動秤量の原理にしたがって行われる。あとにはポリマー性物質/樹脂及び発効顔料部分のみが残留する。
【0044】
前記Sartorius MA30湿分分析計を使用して水分を測定する場合、結果を求めるため以下のパラメータが選ばれる:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 135〜160℃
時間設定: 12〜20分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
本発明の顆粒は多種多様の用途に使用できる。これらの顆粒は好ましくは印刷、特にオーバープリントバーニッシング、オフセットオーバープリントバーニッシング、グラビア、フレキソ及びスクリーン印刷分野の塗料系に使用される。特に好ましくは、顆粒は塗料物質用の前駆物質としてすべての望ましい基体物質に使用され、基体物質の例は、鉄、鋼、アルミニウム、銅、青銅、プラスチック、黄銅及び金属ホイルなどの金属;またガラス、セラミック及びコンクリート、及び例えば家具などの木材、クレー、織布、紙、例えばプラスチックコンテナ、フィルム又はボードなどの包装材料であり、あるいは装飾及び/又は保護目的用の別の材料にも使用される。さらに、本発明の顆粒はセキュリティの特徴をつくり出す製剤中に好適である。
【0045】
したがって、本発明はまた本発明の顆粒をペンキ、印刷インク、セキュリティ用印刷インク、塗料物質、粉体塗料物質、工業用及び自動車用塗料のような塗料などの製剤中への使用、プラスチック及び化粧品中への使用を提供するものである。
【0046】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、限定するものではない。
【実施例】
【0047】
実施例1
1.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水260.0gを最初の装入物として導入し、72gのRokramar2150造粒用樹脂(Kraemer社の改質ロジン)を4−パドル攪拌機によって混合する。次いで25%アンモニア溶液17gを徐々に加え、この混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000(Merck KGaA社の)を攪拌しながら加え、5分間攪拌を続ける。
1.2 顆粒の調製
顆粒を調製するには十分な混合を実現しなければならない。Eirich R02ミキサーによって1kg規模で混合物を調製する。
607gのIriodin(登録商標)231(Merck KGaA,Germanyからの粒子サイズが5〜25μmのTiO/雲母 顔料)をミキサー容器中に入れ、実施例1.1からの造粒溶液393gをゆっくり加える。混合物を均質に混合する。この湿った混合物をEirichからのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を残留水分含量が3重量%未満にならぬようにして80〜120℃で0.5〜4時間、流動床乾燥器中で乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ず第1にメッシュサイズが2mmの篩を通過させてその粗い画分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級することにより細かい画分と分離する。乾燥工程中の顆粒の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を求めるため、以下のパラメータを選んだ:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 160℃
時間設定: 20分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
生成物は耐磨耗性であり、寸法が安定(dimentionally stable)しており、さらに例えば慣用の、溶媒を含まない、フリーラジカルでUV−硬化するHartmann DruckfarbenからのRayoflexエキステンダーワニス、Hartmann Druckfarbenからの11HF60(UVワニス)、及びHartmann Druckfarbenからの溶媒含有エキステンダーワニス、Haptobond CT105(エタノールを溶媒としてニトロセルロースをベースとする)と相互に溶解し得る。このようにして調製した顆粒はまた攪拌により前記印刷インク系に混入するとき高い溶解速度を示す。
【0048】
実施例2
2.1 造粒溶液の調製
脱イオン水256.4gを50℃で最初の装入物として導入し、Morez300造粒用樹脂(Morton社のポリアクリレート樹脂)66gを4−パドル攪拌機によって混合する。次いで36.6gの75%2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液を徐々に加え、混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら加え、300rpmで5分間攪拌を続ける。
2.2 顆粒の調製
597gのIriodin(登録商標)231(Merck KGaAからの粒子径5〜25μmのTiO/雲母 顔料)をミキサー容器中に入れ、403gの造粒溶液を徐々に加える。この混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichからのTR 01造粒プレート上で造粒する。この湿り気のある造粒混合物を流動床乾燥器中80〜120℃で0.5〜4時間、残留湿分含量が3重量%未満にならぬようにして乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズ2mmの篩を通して粗粒子分を分離し、次いで400μm篩を使用して分級することにより細粒子分と分離した。乾燥工程中の顆粒の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を見出すため次のパラメータを選んだ:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 135℃
時間設定: 12分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
得られた顆粒はおよそ4±0.5重量%の残留湿分を有し、かつ、耐磨耗性であり、寸法が安定しており、相互溶解性であり、さらにまたWeilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081に容易に溶解する。
【0049】
実施例3
3.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水256.4gを最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒用樹脂を4−パドル攪拌機によって混合する。次いで75%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液36.6gを徐々に加え、この混合物を造粒用樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら加え、300rpmで5分間攪拌を続ける。
3.2 顆粒の調製
597gのIriodin(登録商標)103(Merck KGaA,Darmstadt,Germanyの粒子サイズが10〜60μmのTiO/雲母 顔料)を導入し、403gの造粒溶液を徐々に加える。300〜500rpmの速さで、MK ChemicalskからのSolcolor Green(CI PG 7)顔料調合物19.5gを同様に加える。この混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿った造粒混合物を流動床乾燥器中で残留湿分が3重量%以下にならないようにして80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。これにより興味のある色彩性質を有する緑がかった真珠光沢の顆粒が得られる。このようにして製造された顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級することにより細粒部分と分離する。
生成物は4±0.5重量%の残留湿分を有しており、耐磨耗性、寸法安定性、相互溶解性であり、さらにまたWeilburger Lackfabrikからの通常のオフセットオーバープリントワニス350081に容易に溶解する。
【0050】
実施例4
4.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水256.4gを最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒樹脂を4−パドル攪拌機によって混合する。次いで36.6gの75%2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液を徐々に加え、この混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら加え、続いて300rpmで5分間攪拌する。
4.2 顆粒の調製
597gのIriodin(登録商標)103をミキサー容器中に入れ、403gの造粒溶液を徐々に加える。300〜500rpmの速さで、MK ChemicalsからのSolcolor Yellow(CI PY 83)顔料調合物19.5gをさらに加える。この混合物を均質に混合する。
湿った混合物をEirichのTR 01造粒板上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を流動床乾燥器中で残留湿分が3重量%未満にならないようにして80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。これにより興味深い彩色性質を有する黄色を帯びた真珠光沢の顆粒が得られる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μmの篩を使用して分級することにより細粒部分と分離する。
この顆粒は4±1重量%の残留湿分を有しており、耐磨耗性、寸法安定性、相溶性があり、さらにWeilburger Lackfabrik社の通常の水溶性オフセットオーバープリントワニス350081に容易に溶ける。
【0051】
実施例5
5.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水256.4gを最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒樹脂(Mortonからのポリアクリレート樹脂)を4−パドル攪拌機によって混合する。次いで36.6gの75%2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液を徐々に加え、この混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら加え、続いて300rpmで5分間攪拌する。
5.2 顆粒の調製
顆粒を調製するには十分な混合を確保しなければならない。Eirich R02ミキサーによって1kg規模で混合物を製造する。BASF AGからのPaliocrom(登録商標)Gold L2002の597gをミキサー容器中に入れ、403gの造粒溶液を徐々に加える。この混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を残留湿分が3重量%未満にならないようにして80〜120℃で0.5〜4時間流動床乾燥器中で乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ず2mmのメッシュサイズの篩を通してその粗粒部分と分離し、次いで400μmの篩を使用して分級することにより細粒部分と分離する。
乾燥工程中の顆粒の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を見出すため以下のパラメータを選んだ:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 135℃
時間設定: 12分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
得られた顆粒はおよそ5±0.5重量%の残留湿分を有し、かつ、耐磨耗性、寸法安定性で相溶性であり、さらにWeilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081に容易に溶ける。
【0052】
実施例6
6.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水260.0gを最初の装入物として導入し、72gのRokramar2150造粒樹脂(Kraemer社の改質ロジン)をパドル攪拌機によって混合する。次いで25%アンモニア溶液17gを徐々に加え、この混合物を造粒樹脂が完全に溶けるまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000(Merck KGaAからの)を攪拌しながら加え、続いて5分間攪拌する。
6.2 顆粒の調製
顆粒を調製するには十分な混合を保証しなければならない。Eirich R02ミキサーによって1kg規模で混合物を製造する。607gのColorstream(登録商標)Autumn Mystery(Merck KGaA,Germanyからの粒子サイズが5〜40μmのFeを被覆したSiO薄片)をミキサー容器中に入れ、実施例6.1の造粒溶液393gを徐々に加える。混合物を均質に混合する。この湿った混合物をEirichのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を残留湿分量が3重量%未満にならないようにして80〜120℃で0.5〜4時間流動床乾燥器中で乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級することにより細粒部分と分離する。
製品は耐磨耗性、寸法安定性であり、さらに例えば慣用の、溶媒を含まない、フリーラジカルでUV−硬化するHartmann DruckfarbenからのRayoflexエキステンダーワニス、11HF60(UVワニス)、及びHartmann Druckfarbenからの溶媒−含有エキステンダーワニス、Haptobond CT105(エタノールを溶媒としたニトロセルロースをベースとする)と相溶性である。このようにして調製された顆粒はまた前記印刷インク系中に攪拌によって混合するとき高い溶解速度を示す。
【0053】
実施例7
7.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水256.4gを最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒樹脂(Mortonからのポリアクリレート樹脂)を4−パドル攪拌機で混合する。次いで36.6gの75%2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液を徐々に加え、混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら造粒溶液に加え、続いて300rpmで5分間攪拌する。
7.2 顆粒の調製
Flexからの597gのChromaflair Silver/Green060発効顔料(MgF層及びCr外層を有する、11〜13μmの粒子サイズのアルミニウム基体)をミキサー容器中に入れ、403gの実施例7.1からの造粒溶液を徐々に加える。混合物を混合して均質にする。湿った混合物をEirichのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿りのある造粒混合物を、流動床乾燥器中で残留湿分が3重量%未満にならないようにして、80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。このようにして調製された顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分を分離し、次いで400μm篩を使用して分級により細粒部分と分離する。乾燥工程中の顆粒の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を求めるため次のパラメータを選んだ:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 135℃
時間設定: 12分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
得られた顆粒はおよそ4±0.5重量%の残留湿分を有し、耐磨耗性、寸法安定性、相溶性であって、またWeilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081に容易に溶ける。
【0054】
実施例8
8.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水256.4gを最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒樹脂(Mortonからのポリアクリレート樹脂)を4−パドル攪拌機によって混入する。次いで36.6gの75%2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液を徐々に加え、この混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら造粒溶液に加え、続いて300rpmで5分間攪拌する。
8.2 顆粒の調製
BASF AGからのVariocrom ED1478の597gをミキサー容器に入れ、403gの造粒溶液を徐々に加える。混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿った造粒混合物を、残留湿分が3重量%未満にならないように、流動床乾燥器中で80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級により細粒部分と分離する。
乾燥工程中の顆粒の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を求めるため、次のパラメータを選んだ:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 135℃
時間設定: 12分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
得られた顆粒はおよそ4±0.5重量%の残留湿分を有し、耐磨耗性、寸法安定性、相互溶解性であって、さらにWeilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081中に容易に溶解する。
【0055】
実施例9
9.1 造粒溶液の調製
50℃の脱イオン水256.4gを最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒樹脂(Mortonからのポリアクリレート樹脂)を4−パドル攪拌機によって300rpmで1分以内に混合する。次いで75%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液36.6gを徐々に加え、混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら造粒溶液に加え、続いて300rpmで5分間攪拌する。
9.2 顆粒の調製
597gのEckartからの610 0 010 Non−Leafing Silver(アクリルベース)(粒子径D50=8μmのアルミニウム発効顔料)をミキサー容器中に入れ、次いで403gの造粒溶液を徐々に加える。この混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichからのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を、残留湿分が3重量%未満にならないように、流動床乾燥器中で80〜120℃、0.5〜4時間乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級により細粒部分を分離する。
【0056】
乾燥工程中の顆粒の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を見出すため以下のパラメータを選んだ:
最初のサンプル量: 4〜5gの未粉砕物質
温度: 135℃
時間設定: 12分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
得られた顆粒は、およそ4±0.5重量%の残留湿分を有し、耐磨耗性、寸法安定性、相互溶解性であって、Weilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081中にもよく溶ける。
【0057】
実施例10
10.1 造粒液の調製
260.0gの脱イオン水を50℃で最初の装入物として導入し、72gのRokramar2150造粒樹脂(Kraemer社の改質ロジン)を4−パドルスターラーによって混入する。次いで17gの25%アンモニア溶液を徐々に添加し、この混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000(Merck KGaAから)を攪拌しながら加え、5分間攪拌し続ける。
10.2 顆粒の調製
Merck KGaA又はEM Industriesからの607gのTimiron(登録商標)Splendid Gold(SiO及びTiO層を交互に有する雲母をベースとする多層顔料で粒子サイズが10〜60μmのもの)をミキサー容器に入れ、実施例10.1の造粒溶液393gを徐々に加える。この混合物を均質に混合する。この湿った混合物をEirichからのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を流動床乾燥器中で、残留湿分が3重量%未満にならないようにして、80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分を分離し、次いで400μmの篩を使用して分級することにより細粒部分と分離する。乾燥工程中の溶媒含量をSartorius MA30湿分分析計を使用して連続的に測定する。結果を求めるため次のパラメータを選択した:
最初のサンプル量: 未粉砕物質4〜5g
温度: 160℃
時間設定: 20分
結果の表示: 0〜100%(溶媒含量)
生成物は耐磨耗性であって寸法安定性であり、さらに例えば慣用の、溶媒を含まない、フリーラジカルでUV−硬化するHartmann DruckfarbenからのRayoflexエキステンダーワニス、11HF60(UVワニス)と相溶性であり、またHartmann Druckfarbenからの溶媒含有エキステンダーワニス、Haptobond CT105(エタノールを溶媒としニトロセルロースをベースとする)とも相溶性である。このようにして調製した顆粒は、前記印刷インクシステム中に攪拌して混入するときは同様に高い溶解速度を示す。
【0058】
実施例11
11.1 造粒溶液の調製
Eastek1300(スルホポリエステルの水中30%分散体、pH=6;密度:1.08g/cm;MFT:12℃)の231.1gを最初の装入物として導入し、次いで144.3gの脱イオン水を4−パドルスターラーを使用して攪拌導入する。この溶液を発効顔料顆粒調製のための造粒溶液として使用する。
11.2 顆粒の調製
624.6gのMerck KGaAからのIriodin(登録商標)231をミキシング容器中に入れ、次いで実施例11.1の造粒溶液375.4gを徐々に加える。この混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichからのTR 01造粒プレート上で造粒する。この湿った造粒混合物を残留湿分が3重量%未満にならないようにして80〜120℃、0.5〜4時間流動床乾燥器中で乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズ2mmの篩を通して粗粒部分を分離し、次いで400μm篩を使用して分級により細粒部分と分離する。
得られた顆粒は耐磨耗性、寸法安定性かつ相溶性であり、またWeilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081中に容易に溶ける。
【0059】
実施例12:塗料
以下のものからなる調製物:
・実施例1の3.00%顔料顆粒
・1.50% Monastral green 6Y spec.(Zenecaから)
・0.50% Cappoxyt yellow 4214(Cappelleから)
・0.03% FW200顔料ブラック(Degussaから)
・0.40% dollar aluminium Alpate 7620 NS(Alcan Toyo Europeから)
・残り:19%固形分を有するベースコート物質(アクリレート−メラミン)及び稀釈剤混合物。
【0060】
実施例13:プラスチック
1kgのポリスチレン顆粒を5gの接着剤とともにタンブラーミキサ中で均一に湿らせる。次いで実施例6の顆粒42gを加えてこれらの成分を2分間混合する。この顆粒を射出成型機中、標準的な条件で加工して4×3×0.5cmサイズの小さな段形プレートを得る。このステッププレートの光沢は顕著である。
【0061】
実施例14(比較)
乾燥顆粒と概略4重量%の溶媒を含む顆粒のグラビア印刷インク中へ溶解速度の比較:
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
実施例15:
15.1 造粒溶液の調製
260.0gの脱イオン水を50℃で最初の装入物とし導入し、次いで72gのRokramar2150造粒樹脂(Kraemerからの改質ロジン)を4−パドルスターラーによって混入する。次いで17gの25%アンモニア溶液を徐々に加え、混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000(Merck KGaAから)を攪拌しながら加え、続いて5分間攪拌する。
15.2 顆粒の調製
607gのIriodin(登録商標)305 Solargold(Merck KGaAからの粒子径が10〜60μmの、TiO/Fe及びSiO層を有する雲母をベースとする多層顔料)をミキサー容器に入れて実施例15.1からの造粒溶液393gを徐々に加える。この混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichからのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿り気のある造粒混合物を流動床乾燥器中で残留湿分が3重量%未満にならぬように80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。このようにして調製した顆粒は先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級して細粒部分と分離する。
生成物は耐磨耗性、寸法安定性であり、さらに例えば慣用の、溶媒を含まない、フリーラジカルでUV−硬化するHartmann DruckfarbenからのRayoflexエキステンダーワニス、11HF60(UVワニス)と、及びHartmann Druckfarbenからの溶媒含有エキステンダーワニスHaptobond CT105(エタノールを溶媒とするニトロセルロースをベースとする)とも相互溶解する。このようにして調製した顆粒はまた、前記印刷インクシステムに攪拌して混入するとき高い溶解速度を示す。
【0066】
実施例16:
16.1 造粒溶液の調製
256.4gの脱イオン水を50℃で最初の装入物として導入し、66gのMorez300造粒樹脂(Mortonからのポリアクリレート樹脂)を4−パドルスターラーによって混入する。次いで36.6gの75%2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール溶液を徐々に加え、次いで混合物を造粒樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。その後、44gのポリエチレングリコール1000を攪拌しながら造粒溶液に加え、続いて300rpmで5分間攪拌する。
16.2 顆粒の調製
597gのIriodin(登録商標)305 Solargoldをミキサー容器中に入れ、403gの造粒溶液を徐々に加える。混合物を均質に混合する。湿った混合物をEirichのTR 01造粒プレート上で造粒する。湿った造粒混合物を、残留湿分が3重量%未満にならないように、流動床乾燥器中で80〜120℃で0.5〜4時間乾燥させる。このようにして調製した顆粒を先ずメッシュサイズが2mmの篩を通して粗粒部分と分離し、次いで400μm篩を使用して分級によって細粒部分と分離する。
得られた顆粒は耐磨耗性、寸法安定性、相互溶解性であり、またWeilburger Lackfabrikからの水溶性オフセットオーバープリントワニス350081中に容易に溶解する。
【0067】
実施例17:
溶媒をベースとする用途のための顆粒状の顔料調製物を有するマニキュア液
【0068】
【表4】

【0069】
供給源:
Merck KGaA
International Lacquers S.A.。
【0070】

調製:
マニキュア液ベースを導入して顔料顆粒を攪拌しながら加える。30分間膨潤するままにし、次いで1000rpmで10分間攪拌する。このような調製法で顆粒は問題なく混入できる。
【0071】
実施例18:
水をベースとする用途のための顆粒状顔料調製物を有するシャワーゲル(Shower gel)
【0072】
【表5】

【0073】
調製:
A相用に、攪拌しながら顔料顆粒を水中に混入する。混入は問題なく、水の添加後顆粒が直ちに溶解する。Keltrol T を攪拌しながら徐々に分散させ、溶解するまで攪拌する。全成分が均質に分布するまでゆっくり攪拌しながらB相とC相を続いて加える。pHを6.0〜6.5に調節する。
供給源:
(1)Merck KGaA
(2)Kelco
(3)Cognis GmbH
(4)Haarmann & Reimer GmbH

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂又は樹脂混合物、60重量%以上の1種以上の発効顔料、及び適当なら添加物を含む顆粒状の顔料調製物であって、
前記顔料組成物からなる顆粒が、0.001〜40hPa(20℃)の蒸気圧を有する水又は溶媒又は溶媒混合物を3〜10重量%含む
ことを特徴とする顆粒状顔料調製物。
【請求項2】
前記溶媒が水、ポリアルキレングリコール、グリコールエーテル、ジオール、2〜6の炭素原子数を有する脂肪族トリオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール又は前記溶媒の2又は3種の混合物であることを特徴とする、請求項1記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項3】
前記顆粒が該顆粒をベースとして、4.5〜30重量%の樹脂又は樹脂混合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項4】
前記樹脂がアルデヒド又はケトン樹脂、改質樹脂、セルロース、セルロース誘導体、スルフォポリエスエル、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂又はスチレン−改質ポリアクリレート樹脂であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項5】
前記樹脂又は樹脂混合物が90〜350の酸価を有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項6】
前記発効顔料が真珠光沢顔料、金属性発効顔料、透明、又は透明及び不透明の層を有する多層顔料、ホログラフ顔料、BiOCl又はLCP(液晶ポリマー)顔料であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項7】
前記真珠光沢顔料が雲母、SiO、ガラス、TiO、又はAl薄片をベースとすることを特徴とする、請求項6記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項8】
前記真珠光沢顔料が、TiO、Fe、又はTiO/Feで被覆した雲母、Al又はSiO薄片であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項9】
前記多層顔料がTiO−SiO−TiOで被覆した雲母薄片であることを特徴とする、請求項6に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項10】
前記顆粒が、顆粒基準で0.05〜10重量%の中和剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項11】
前記顆粒が、顆粒を基準として0.05〜10重量%の改質剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項12】
顆粒が、追加成分として消泡剤、表面活性物質、湿潤剤、抗沈降剤、レベリング剤、乾燥剤及び/又はチキソトロピー剤を含むことを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の顆粒状顔料調製物。
【請求項13】
塗料、ワニス、粉体塗料物質、印刷インク、セキュリティ用印刷インクのような製剤中、プラスチック及び化粧品中に請求項1記載の顆粒を使用すること。

【公開番号】特開2013−100533(P2013−100533A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12377(P2013−12377)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2002−526991(P2002−526991)の分割
【原出願日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】