説明

顔認証装置、顔認証方法及びプログラム

【課題】認証を行う操作モードに応じてその認証にかかる厳密さを変更することを可能とする。
【解決手段】顔認証装置は、撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、取得された撮像画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、予め登録されたユーザの顔画像を参照して、顔画像と検出された顔との類似度を算出する類似度算出手段と、認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を算出された類似度が上回る場合に、受け付けられた操作モードの認証を成功とする認証手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、顔認証装置、顔認証方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS(Point Of Sale)端末等の情報処理装置では、デジタルカメラ等で撮像された画像からユーザ(オペレータ)の顔を認識し、予め登録されたオペレータの顔画像と比較して、ログイン等の認証を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来技術では、商品登録、点検、精算等の複数の操作モードごとに、認証の厳密さを変更することができなかった。例えば、点検、精算等の店長が主に用いる操作モードでは、一般店員が商品登録の際に用いる操作モードに対して、予め登録されたオペレータの顔画像に対する類似度合いを厳密に求め、セキュリティを高めたいという要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、実施形態の顔認証装置は、撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、前記取得された撮像画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、予め登録されたユーザの顔画像を参照して、当該顔画像と前記検出された顔との類似度を算出する類似度算出手段と、認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とする認証手段とを備える。
【0005】
また、実施形態の顔認証方法は、顔認証装置における顔認証方法であって、撮像部が撮像した撮像画像を取得するステップと、前記取得された撮像画像から人物の顔を検出するステップと、予め登録されたユーザの顔画像を参照して、当該顔画像と前記検出された顔との類似度を算出するステップと、認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とするステップとを含む。
【0006】
また、実施形態のプログラムは、コンピュータを、撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、前記取得された撮像画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、予め登録されたユーザの顔画像を参照して、当該顔画像と前記検出された顔との類似度を算出する類似度算出手段と、認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とする認証手段として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態にかかる顔認証装置の一例であるチェックアウトシステムを示す斜視図である。
【図2】図2は、POS端末及び商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。
【図4】図4は、認証用ファイルのデータ構成を例示する概念図である。
【図5】図5は、CPUで実現される機能構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、チェックアウトシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、チェックアウトシステムを例に実施形態にかかる顔認証装置、顔認証方法及びプログラムを図面を参照して説明する。チェックアウトシステムは、一取引にかかる商品の登録、精算を行うPOS端末と、商品に添付された商品コードなどを読み取る商品読取装置とを有する構成であり、店舗システムの一例である。実施形態は、飲食店やスーパーマーケット等の店舗に導入されたチェックアウトシステムへの適用例である。
【0009】
図1は、実施形態にかかる顔認証装置の一例であるチェックアウトシステム1を示す斜視図である。図1に示すように、チェックアウトシステム1は、一取引にかかる商品の登録、精算を行うPOS端末11を備える。POS端末11は、チェックアウト台51上のドロワ21上面に載置されている。ドロワ21は、POS端末11によって開放動作の制御を受ける。POS端末11の上面には、オペレータ(店員)によって押下操作されるキーボード22が配置されている。キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側には、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23が設けられている。表示デバイス23は、その表示面23aに情報を表示する。表示面23aには、タッチパネル26が積層されている。表示デバイス23よりもさらに奥側には、顧客用表示デバイス24が回転自在に立設されている。顧客用表示デバイス24は、その表示面24aに情報を表示する。なお、図1に示す顧客用表示デバイス24は、表示面24aを図1中手前側に向けているが、表示面24aが図1中奥側に向くように顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客用表示デバイス24は顧客に向けて情報を表示する。
【0010】
POS端末11が載置されているチェックアウト台51とL字を形成するようにして、横長テーブル状のカウンタ台151が配置されている。カウンタ台151の上面には、荷受面152が形成されている。荷受面152には、商品Aを収納する買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、顧客によって持ち込まれる第1の買物カゴ153aと、第1の買物カゴ153aから商品読取装置101を挟んだ位置に位置付けられる第2の買物カゴ153bとに分けて考えることができる。
【0011】
カウンタ台151の荷受面152には、POS端末11とデータ送受信自在に接続された商品読取装置101が設置されている。商品読取装置101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、表示・操作部104が取り付けられている。表示・操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータから見て表示・操作部104の裏面左奥側には、顧客に向けて設けられる表示装置であり、顧客に対して情報を表示するための顧客用表示デバイス109が設置されている。顧客用表示デバイス109の表示面には、顧客用タッチパネル109aが積層されている。
【0012】
チェックアウトシステム1では、操作部としてのキーボード22、107の操作、例えばテンキー22dやモードキー(図示しない)の操作により、オペレータより操作モードを受け付ける。ここで、操作モードは、チェックアウトシステム1における商品登録、点検、精算等の業務処理ごとの動作モードであり、顧客によって持ち込まれた商品を登録する商品登録モード、売り上げの点検を行う点検モード、売り上げの精算を行う精算モード等がある。チェックアウトシステム1では、操作モードをオペレータより受け付けた場合、読取窓103の奥側に配置された撮像部164(図2参照)でオペレータを撮像した画像をもとに、オペレータの顔認証を行う(詳細は後述する)。次いで、チェックアウトシステム1は、オペレータの顔認証に成功した場合に、受け付けた操作モードによる処理を実行する。例えば、購入する商品Aを入れた第1の買物カゴ153aが顧客によって持ち込まれた場合、オペレータは、キーボード22、107を操作して商品登録の操作モードでの顔認証を行った後に、商品Aの登録を行う。
【0013】
顧客によって持ち込まれた第1の買物カゴ153aには、一取引にかかる商品Aが収納されている。商品Aは、オペレータの手によって第2の買物カゴ153bへと移動される。この移動過程で、商品Aは商品読取装置101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103の奥側に配置された撮像部164(図2参照)は商品Aを撮像する。商品読取装置101では、撮像部164により撮像された画像に商品Aが含まれることを検出した場合、その撮像された画像をPOS端末11へ出力する。POS端末11では、商品Aの各々について、商品Aの売上登録にかかる情報と、その商品Aの画像とが関連付けられたPLU(Price Look Up)ファイルF1(詳細は後述する)を参照して、出力された画像の少なくとも一部の領域と類似する商品Aの画像を検出する。次いで、POS端末11では、検出された商品Aの画像と関連する売上登録にかかる情報をもとに、商品Aの売上を登録する。
【0014】
図2は、POS端末11及び商品読取装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU61(Central Processing Unit)に、ROM62(Read Only Memory)とRAM63(Random Access Memory)とがバス接続されて構成されている。
【0015】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0016】
キーボード22は、「1」、「2」、「3」…等の数字や「×」という乗算の演算子が上面に表示されているテンキー22d、仮締めキー22e、及び締めキー22fを含む。キーボード22は、テンキー22d、仮締めキー22e、及び締めキー22fによるオペレータの操作入力をCPU61へ出力する。
【0017】
POS端末11のCPU61には、HDD64(Hard Disk Drive)が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により順次実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、認証処理や、商品販売データ処理用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて予め格納されているPLUファイルF1や認証用ファイルF2である。
【0018】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品Aの各々について、商品Aの売上登録にかかる情報と、その商品Aの画像との関連付けが設定されたファイルである。図3は、PLUファイルF1のデータ構成を例示する概念図である。図3に示すように、PLUファイルF1は、商品Aにユニークに割り当てられた商品ID(Identification Data)ごとに、その商品Aが属する商品分類、商品名、単価などの商品に関する情報と、その商品を撮像した商品画像とを格納する。商品読取装置101により売上登録を行う商品Aが読み取られた場合、POS端末11は、PLUファイルF1を参照して類似する商品画像を検出することで売上登録を行う商品Aを特定し、その特定された商品Aの商品ID、商品分類、商品名、単価などの売上登録にかかる情報を、売上マスタファイル(図示しない)などに記録して売上登録を行う。
【0019】
認証用ファイルF2は、チェックアウトシステム1を利用するオペレータを認証する際に参照されるファイルであり、オペレータの顔画像が予め登録されている。図4は、認証用ファイルF2のデータ構成を例示する概念図である。図4に示すように、認証用ファイルF2は、チェックアウトシステム1を利用するオペレータにユニークに割り当てられた従業員ID(Identification Data)ごとに、そのオペレータの氏名や役職等のオペレータの属性を示す情報とともに、オペレータの顔を撮像した顔データを格納している。チェックアウトシステム1では、この認証用ファイルF2に格納された顔データと撮像部164で撮像した人物の顔とを比較して、オペレータの顔認証を行う。
【0020】
図2に戻り、POS端末11のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、POS端末11に配信されるPLUファイルF1や認証用ファイルF2が格納されている。
【0021】
POS端末11のCPU61には、商品読取装置101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。したがって、接続インターフェース65は、商品読取装置101に接続している。また、POS端末11のCPU61には、レシートなどに印字を行うプリンタ66が接続されている。POS端末11は、CPU61の制御のもと、一取引の取引内容(精算金額や付与されたポイント)等をレシートに印字する。
【0022】
商品読取装置101も、マイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、CPU161にROM162とRAM163とがバス接続されて構成されている。ROM162には、CPU161によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU161には、撮像部164、音声出力部165が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像部164、音声出力部165は、CPU161によって動作が制御される。表示・操作部104は接続インターフェース176を介してPOS端末11に接続されている。表示・操作部104はPOS端末11のCPU61によって動作が制御される。
【0023】
撮像部164は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであり、CPU161の制御の下で読取窓103からの撮像を行う。例えば撮像部164では30fps(frames per second)の動画像の撮像を行う。撮像部164が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像はRAM163に保存される。音声出力部165は、予め設定された警告音などを発生するための音声回路とスピーカなどである。音声出力部165は、CPU161の制御の下で警告音などの音声による報知を行う。
【0024】
さらに、CPU161には、POS端末11の接続インターフェース65に接続して、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。CPU161の制御の下、商品読取装置101の撮像部164によって撮像された画像は、接続インターフェース175を介して出力され、接続インターフェース65を介してPOS端末11に入力される。
【0025】
次に、CPU161、61がプログラムを順次実行することで実現される機能部について、図5を参照して説明する。図5は、CPU161、61で実現される機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、CPU161は、プログラムを順次実行することにより、撮像画像取込部1611、検出部1612、画像出力部1613としての機能を備える。同様に、CPU61は、類似度算出部611、認証部612としての機能を備える。
【0026】
撮像画像取込部1611は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。撮像画像取込部1611は、撮像動作開始後に撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像を順次取り込む。撮像画像取込部1611によるフレーム画像の取り込みは、RAM163に保存された順に行われる。
【0027】
検出部1612は、撮像画像取込部1611により取り込まれたフレーム画像に含まれる人物の顔や商品をパターンマッチング技術などを用いて検出する。具体的には、取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線などを抽出する。次いで、抽出された輪郭線から人物の顔を構成する目、口、耳、鼻等の所定の要素を、予め設定されたマッチング用データとの比較で認識することで、人物の顔を検出する。なお、操作モードが商品の登録を行う商品登録モードである場合には、直近のフレーム画像から抽出された輪郭線と、今回のフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較し、変更があった部分、すなわち、売上登録のために読取窓103に向けられた商品の写り込みを検出する。
【0028】
なお、商品や人物の顔の検出は、画像における特徴量として色合いや表面の凸凹状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体の認識する一般物体認識(generic object recognition)の技術を用いてもよい。この一般物体認識については次の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
【0029】
画像出力部1613は、撮像画像取込部1611が取り込んだフレーム画像を接続インターフェース175を介してPOS端末11へ出力する。画像出力部1613は撮像画像取込部1611が取り込んだフレーム画像を逐次POS端末11へ出力してもよいが、本実施形態では、検出部1612により商品や人物の顔が検出されたフレーム画像をPOS端末11へ出力するものとする。
【0030】
類似度算出部611は、PLUファイルF1に登録された商品の画像や、認証用ファイルF2に登録されたオペレータの顔画像を参照し、商品や人物の顔が検出されて画像出力部1613より出力されるフレーム画像との間の類似度合いを示す類似度を算出する。具体的には、商品読取装置101から出力された画像の少なくとも一部の領域と類似する画像を、パターンマッチング技術などを用いて検出する。このパターンマッチング技術は、二つの画像を比較して行う、公知の類似画像検索技術を用いるものとする。次いで、商品読取装置101から出力された画像の一部の領域と類似する画像との類似度を、類似点の数、類似点同士の差分、類似する領域の大きさなどをもとに算出する。ここで、認証用ファイルF2に登録されたオペレータの顔画像を参照して算出したオペレータの顔に関する類似度は、類似度算出部611に出力され、類似度算出部611における認証に用いられる。商品登録の操作モード時において、PLUファイルF1に登録された商品の画像を参照して算出した商品画像に関する類似度は、上述した売上登録の処理に用いられる。なお、類似度算出部611は、商品読取装置101から出力された画像、及び認証用ファイルF2に登録されたオペレータの顔画像から顔の要素である目、口、鼻、耳、髪型、装飾品、顔色などを検出し、その検出した顔の要素ごとに上述した類似度の算出を行ってもよい。顔の要素の検出については、上述した輪郭線からの検出や、一般物体認識などで行うものとする。
【0031】
認証部612は、類似度算出部611により算出されたオペレータの顔に関する類似度が、予め設定された閾値を上回るか否かをもとに、ユーザの認証を行う。具体的には、オペレータの顔に関する類似度が予め設定された閾値を上回る場合に、ユーザの認証に成功したものとする。認証部612において認証を行うための閾値は、ROM62やHDD64に設定情報として記憶され、上述した操作モードごとに異なる値が設定されている。具体的には、店長などの管理者が主に用いる点検、精算等の操作モードには、一般店員が主に用いる商品登録の操作モードよりも高い値の閾値が設定されている。
【0032】
キーボード22、107によりオペレータから操作モードの受け付けがあった場合、認証部612は、受け付けられた操作モードに対応した閾値を、ROM62やHDD64に記憶された設定情報より読み出して設定する。次いで、認証部612は、類似度算出部611により算出されたオペレータの顔に関する類似度が、操作モードに対応した閾値を上回るか否かを判定する。オペレータの顔に関する類似度が操作モードに対応した閾値を上回る場合、認証部612は、オペレータから受け付けがあった操作モードについての認証に成功したものとする。この操作モードについての認証の成功に従い、チェックアウトシステム1では、オペレータから受け付けられた操作モードでの処理が行われることとなる。
【0033】
このように、チェックアウトシステム1では、受け付けられた操作モードに対応してオペレータの顔認証にかかる閾値が設定されることから、商品登録、点検、精算等の複数の操作モードごとに、認証の厳密さを変更することが可能となる。例えば、点検、精算等の店長が主に用いる操作モードでは、一般店員が商品登録の際に用いる操作モードに対して、予め登録されたオペレータの顔画像に対する類似度合いを厳密に求め、セキュリティを高めることができる。
【0034】
ROM62やHDD64に設定情報として記憶される閾値は、目、口、鼻、耳、髪型、装飾品、顔色等の顔の要素ごとに異なる値が設定されてもよい。具体的には、目、口、鼻、耳については、経時での変化が小さいことから、経時での変化が大きい髪型、装飾品、顔色よりも高い値の閾値が設定される。認証部612は、類似度算出部611により顔の要素ごとに算出された類似度の各々が、顔の要素ごとの閾値の各々を上回る場合に、認証に成功したものとする。このように、チェックアウトシステム1では、目、口、鼻、耳、髪型、装飾品、顔色等の顔の要素ごとに、認証に用いる閾値を設定することで、経時での変化が大きい要素については低い閾値とするなどして、誤認証とされることを防止できる。
【0035】
次に、チェックアウトシステム1の動作について詳細に説明する。図6は、チェックアウトシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0036】
先ず、商品読取装置101側の動作について説明する。図6に示すように、電源の投入などに応じて処理が開始されると、撮像画像取込部1611は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164による撮像を開始する(S1)。次いで、撮像画像取込部1611は、撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像(撮像画像)を取り込む(S2)。次いで、検出部1612は、撮像画像取込部1611が取り込んだフレーム画像から人物の顔の検出を行う(S3)。次いで、画像出力部1613は、検出部1612により人物の顔が検出されたフレーム画像をPOS端末11へ出力する(S4)。
【0037】
次いで、CPU161は、POS端末11から処理の終了通知などにより、業務終了の有無を判定する(S5)。業務を継続する場合(S5:NO)、CPU161は、S2へ処理を戻して処理を継続させる。業務を終了する場合(S5:YES)、撮像画像取込部1611は、撮像部164に撮像オフ信号を出力して撮像部164による撮像を終了し(S6)、処理を終了する。
【0038】
次に、POS端末11側の動作について説明する。図6に示すように、電源の投入などに応じて処理が開始されると、CPU61は、オペレータから操作モードを受け付けてログイン認証を促すログイン画面を表示デバイス106に表示する(S11)。次いで、CPU61は、キーボード22、107により、操作モードをオペレータから受け付ける(S12)。
【0039】
次いで、CPU61は、人物の顔が検出されたフレーム画像を商品読取装置101より受信する(S13)。次いで、類似度算出部611は、パターンマッチング技術などにより、受信したフレーム画像からオペレータの顔画像に類似する顔を認識する(S14)。次いで、類似度算出部611は、認証用ファイルF2に登録されたオペレータの顔画像を参照し、認識した顔と登録されたオペレータの顔画像との間の類似度を算出する(S15)。
【0040】
次いで、認証部612は、オペレータから受け付けた操作モードをもとに、ROM62やHDD64に記憶された設定情報を参照して、その操作モードに対応した閾値を設定する(S16)。次いで、認証部612は、類似度算出部611により算出された類似度が操作モードに対応して設定した閾値を超えている(上回る)か否かを判定する(S17)。
【0041】
類似度が操作モードに対応して設定した閾値を超えていない場合(S17:NO)、認証に失敗したことから、CPU61は、認証用ファイルF2にオペレータとしての登録がなされていない未登録者であり、認証に失敗していること報知する。この認証に失敗していることの報知は、表示デバイス106等への表示出力(例えばログイン画面におけるポップアップ表示)や、音声出力部165からの警告音声の出力などで行われてよい。
【0042】
類似度が操作モードに対応して設定した閾値を超えている場合(S17:YES)、認証部612は、オペレータから受け付けがあった操作モードについての認証に成功したものとし、その操作モードでのログインが行われる(S19)。S19以後のチェックアウトシステム1では、オペレータから受け付けられた操作モードでの処理が行われることとなる。
【0043】
次いで、CPU61は、キーボード22の業務の終了操作などによる業務終了の有無を判定する(S20)。業務を継続する場合(S20:NO)、CPU61は、オペレータから受け付けられた操作モードでの処理を継続して行う。業務を終了する場合(S20:YES)、CPU61は、商品読取装置101に終了通知を送信し(S21)、処理を終了する。
【0044】
なお、本実施形態のPOS端末11、商品読取装置101で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のPOS端末11、商品読取装置101で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0045】
さらに、本実施形態のPOS端末11、商品読取装置101で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末11、商品読取装置101で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0046】
本実施形態のPOS端末11、商品読取装置101で実行されるプログラムは、上述した各部(類似度算出部611、認証部612、撮像画像取込部1611、検出部1612、画像出力部1613)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0047】
1…チェックアウトシステム、11…POS端末、21…ドロワ、22…キーボード、22d…テンキー、22e…仮締めキー、22f…締めキー、23…表示デバイス、23a…表示面、24…顧客用表示デバイス、24a…表示面、25…通信インターフェース、26…タッチパネル、51…チェックアウト台、60…マイクロコンピュータ、61…CPU、62…ROM、63…RAM、64…HDD、65…接続インターフェース、66…プリンタ、101…商品読取装置、102…ハウジング、103…読取窓、104…表示・操作部、105…タッチパネル、106…表示デバイス、107…キーボード、108…カード読取溝、109…顧客用表示デバイス、109a…顧客用タッチパネル、151…カウンタ台、152…荷受面、153…買物カゴ、153a…第1の買物カゴ、153b…第2の買物カゴ、160…マイクロコンピュータ、161…CPU、162…ROM、163…RAM、164…撮像部、165…音声出力部、175…接続インターフェース、176…接続インターフェース、1611…撮像画像取込部、1612…検出部、1613…画像出力部、611…類似度算出部、612…認証部、A…商品、F1…PLUファイル、F2…認証用ファイル、PR…プログラム、SC…ストアコンピュータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特許第4115329号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、
前記取得された撮像画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、
予め登録されたユーザの顔画像を参照して、当該顔画像と前記検出された顔との類似度を算出する類似度算出手段と、
認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とする認証手段と、
を備える顔認証装置。
【請求項2】
前記類似度算出手段は、顔の要素ごとに前記類似度を算出し、
前記閾値は、前記顔の要素ごとに異なる値が設定され、
前記認証手段は、前記算出された顔の要素ごとの類似度の各々が、前記受け付けられた操作モードに対応して設定された前記顔の要素ごとの閾値の各々を上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とする、
請求項1に記載の顔認証装置。
【請求項3】
前記顔の要素は、目、口、鼻、耳、髪型、装飾品、顔色の中の少なくとも一つであり、
目、口、鼻、耳の閾値は、髪型、装飾品、顔色の閾値よりも高い値が設定される、
請求項2に記載の顔認証装置。
【請求項4】
前記認証手段は、前記受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回らずに、前記受け付けられた操作モードの認証に失敗した場合に、当該認証が失敗したことをユーザに報知する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の顔認証装置。
【請求項5】
顔認証装置における顔認証方法であって、
撮像部が撮像した撮像画像を取得するステップと、
前記取得された撮像画像から人物の顔を検出するステップと、
予め登録されたユーザの顔画像を参照して、当該顔画像と前記検出された顔との類似度を算出するステップと、
認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とするステップと、
を含む顔認証方法。
【請求項6】
コンピュータを、
撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得手段と、
前記取得された撮像画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、
予め登録されたユーザの顔画像を参照して、当該顔画像と前記検出された顔との類似度を算出する類似度算出手段と、
認証を行う操作モードごとに予め設定された閾値をもとに、操作部により受け付けられた操作モードに対応して設定された閾値を前記算出された類似度が上回る場合に、当該受け付けられた操作モードの認証を成功とする認証手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45300(P2013−45300A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182997(P2011−182997)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】