説明

風に遇って快速降温冷却の化学繊維及び該繊維を含有する織物

【課題】本発明は、風に遇って快速降温冷却の化学繊維及び該繊維を含有する織物を提供する。
【解決手段】前記化学繊維は、通常の化学繊維と総重量の0.1重量%〜4重量%を占めるナノ構造体とを含み、前記ナノ構造体は、300nm〜8,000nmの微粒子を含有し、前記微粒子は、主にZn、Al、Ca、Na、P、La又はこれらの混合物を含有する。本発明は、通常の化学繊維に300nm〜8,000nmの微粒子ナノ構造体を加えたため、本発明の化学繊維は、風にあった後、快速降温冷却の予想外な効果を達成し、しかも、本発明は、先行技術の冷却繊維に対して、製造コストが低く、製造工程が簡単で、工業化生産に容易等のメリットを有し、同時に、本発明は、優れた新型冷却繊維織物を製造でき、夏の室内外運動、トレーニング及び室外の作業等の条件下に応用しても、温度を下げて涼しくする効果を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学繊維、特に、風に遇って快速降温冷却の化学繊維及び該繊維を含有する織物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に、降温織物の早期製造は、特許文献1〜4などのような熱交換器及び電力輸送伝熱流体を主とし、これらの技術案は、特殊な作業環境のみに応用できるため、日常の服装の応用に適応できない。
【0003】
また、管路を用いる以外では、中間層をデザインして管路の複雑な分布を簡略化し、通気且つ非通水と通水層の多層化を介して、二層間に特定の構造の連関性空間を存在させ、空間中に温度又は湿度の差異による気流を存在させ、体温を下げる効果を達成している。例えば、特許文献5〜10などに開示された技術案のように、気流に良好な流通を付与して散熱効果を生じさせているが、多層構造のデザインが比較的複雑である。更に、多層構造の中間層に、大量な水分を含有可能な水吸収材料を導入して、力を増加することが提案されている。全体的な降温程度については、例えば、特許文献11〜15などに開示された技術案のように、通気層を介して水蒸気を中間層に出入りさせて、よりよい冷却効果を達成している。
【0004】
類似の方法は、水や散熱性を有するような相変化材料を特定の袋や管状空間に封じるもので、例えば、特許文献16〜20などに開示された技術案のように、防水性且つ非通気性材料を用いて水又は相変化材料を封じて、液体散熱材料の流失を避けるが、長時間の使用において、外界の摩擦と圧力の作用により、水が漏れる問題が依然として存在し、相変化材料の使用は、長時間効果を保持できず、相変化材料を固体相に回復してから、降温の作用を再び付与している。また、高伝熱性の金属繊維を利用して編むと、長時間冷却作用の織物を製造することができるが、特許文献21のような、金属繊維のコストが高く且つ柔軟性が低いため、この類の織物の実用性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5062424号明細書
【特許文献2】米国特許第5092129号明細書
【特許文献3】米国特許第5263336号明細書
【特許文献4】米国特許第4738119号明細書
【特許文献5】米国特許第4342203号明細書
【特許文献6】国際公開第2007/088431号パンフレット
【特許文献7】特許第4209809号公報
【特許文献8】米国公開第2007−050878号公報
【特許文献9】米国公開第2006−201178号公報
【特許文献10】特許第4209807号公報
【特許文献11】米国公開第2003−2008831号公報
【特許文献12】国際公開第01/08883号パンフレット
【特許文献13】MXPA01013376号
【特許文献14】米国特許第6516624号明細書
【特許文献15】米国特許第6134714号明細書
【特許文献16】米国公開第2006−276089号公報
【特許文献17】米国公開第2006−064147号公報
【特許文献18】米国公開第2005−284416号公報
【特許文献19】米国特許第6134714号明細書
【特許文献20】米国特許第5415222号明細書
【特許文献21】伊国第1251745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記先行技術の欠陥を克服し、製造が簡単、コストが低く、産業化を実施しやすい風に遇って快速降温冷却の化学繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するため、本発明は、次の技術案を用いる。
【0008】
通常の化学繊維と総重量の0.1重量%〜4重量%を占めるナノ構造体とを含み、前記ナノ構造体は、300nm〜8,000nmの微粒子を含有し、前記微粒子は、主にZn、Al、Ca、Na、P、La又はこれらの混合物を含有する風に遇って快速降温冷却の化学繊維である。
【0009】
総重量の2重量%〜4重量%を占める300nm〜2,000nmの微粒子を含有することが好ましい。
【0010】
前記微粒子は、更に、30重量%〜60重量%のZn、10重量%〜20重量%のAl、並びに20重量%〜60重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有する。
【0011】
総重量の1重量%〜2重量%を占める2,000nm〜5,000nmの微粒子を含有することが好ましい。
【0012】
前記微粒子は、更に、45重量%〜60重量%のZn、15重量%〜20重量%のAl、並びに20重量%〜40重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有する。
【0013】
総重量の0.1重量%〜1重量%を占める5,000nm〜8,000nmの微粒子を含有することが好ましい。
【0014】
前記微粒子は、更に、30重量%〜45重量%のSi、10重量%〜15重量%のAl、並びに40重量%〜60重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有する。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、風に遇って快速降温冷却の織物を提供し、該織物は、少なくとも部分的に上記任意の一種類の化学繊維を含有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のメリットとは、次の通りである。
【0017】
本発明は、通常の化学繊維に300nm〜8,000nmの微粒子ナノ構造体を加えたため、本発明の化学繊維は、風に遭った際、快速降温冷却の予想外な効果を達成し、しかも、本発明は、先行技術の冷却繊維に対して、製造コストが低く、製造工程が簡単で、工業化生産に容易等のメリットを有し、同時に、本発明は、優れた新型冷却繊維織物を製造でき、夏の室内外運動、トレーニング及び室外の作業等の条件下に応用しても、温度を下げて涼しくする効果を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施例1の化学繊維の風に遇って快速降温冷却効果の測定結果を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2の化学繊維の風に遇って快速降温冷却効果の測定結果を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例3の化学繊維の風に遇って快速降温冷却効果の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施例1]
本発明の風に遇って快速降温冷却の化学繊維は、通常の化学繊維と総重量の0.1重量%〜4重量%を占めるナノ構造体とを含み、例えば、ナノ構造体は、前記化学繊維の総重量の2重量%を占め、本発明に記載の前記ナノ構造体は、300nm〜8,000nmの微粒子を含有し、前記微粒子は、主に、Zn、Al、Ca、Na、P、La又はこれらの混合物を含有し、一般的に、本発明の前記微粒子は、任意の一種類又はその中の何種類の混合物であってもよく、またはこれらは任意割合での混合物であってもよい。本実施例において、本発明の前記化学繊維が通常の化学繊維以外、総重量の約2重量%〜4重量%の300nm〜2,000nmの微粒子を含有する。前記微粒子は、30重量%〜60重量%のZn、10重量%〜20重量%のAl、並びに20重量%〜60重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有し、その中のCa、Na、P及びLaは、任意の割合で、混合してもよい。
【0020】
本実施例のナノ構造体を含有する化学繊維の風に遇って快速降温冷却効果は、次の測定実験を参照する。
測定単位:日本化学繊維検査協会(Japan Synthetic Textile Inspection Institute Foundation)、
サンプル受付日付け:2009年12月11日、
測定報告日付け:2009年12月21日、
測定証明書番号:TH−09−035052−2(大阪−7190)、
測定サンプル:
サンプル1:処理後の繊維
サンプル2:未処理の繊維(対照サンプル)
計2つのサンプル
測定項目1:吸水、吸熱試験(一回目、N=1)
【0021】
具体的な測定方法:
a)70℃の乾燥機に測定待ちのサンプルを2時間乾燥した。
b)測定室内の温度を35℃に設定した。
c)測定室内に、予め使用の装置を放置した。
d)温度と湿度を調整した測定待ちのサンプルを2回折り、中心位置にピペットマンで0.5mL蒸留水を加え、そして、センサを直接測定待ちのサンプルの中心部位に入れ、センサと測定待ちのサンプルを緊密に接触させるよう、クリップでそれらを挟み、経時の温度変化を記録し、その結果を下記の表に示す。
【0022】
【表1】

上記測定結果の温度−時間の関係曲線を、図1に示す。
【0023】
前記日本化学繊維検査協会(Japan Synthetic Textile Inspection Institute Foundation)の上記測定結果及び表1と図1から、本発明の風に遇って快速降温冷却の化学繊維は、同一の温度及び湿度の条件下において、通常の化学繊維より、顕著及び予想外の更なる快速降温冷却効果を有することがわかる。
【0024】
[実施例2]
本実施例と上記実施例との差異点とは、本実施例の化学繊維が、総重量の約1重量%〜2重量%を占める2,000nm〜5,000nmの微粒子を含有することである。前記微粒子は、45重量%〜60重量%のZn、15重量%〜20重量%のAl、並びに20重量%〜40重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有し、その中のCa、Na、P及びLaは、任意の割合で、混合してもよい。
【0025】
本実施例のナノ構造体を含有する化学繊維の風に遇って快速降温冷却効果は、次の測定実験を参照する。
測定項目2:吸水、吸熱試験(二回目、N=2)
【0026】
【表2】

上記測定結果の温度−時間の関係曲線を、図2に示す。
【0027】
前記日本化学繊維検査協会の上記の更なる測定結果及び表2と図2から、本発明の風に遇って快速降温冷却の化学繊維は、同一の温度及び湿度の条件下において、通常の化学繊維より、依然として顕著及び予想外の更なる快速降温効果を有することがわかる。
【0028】
[実施例3]
本実施例と上記実施例との差異点は、本実施例の化学繊維は、総重量の約0.1重量%〜1重量%を占める5,000nm〜8,000nmの微粒子を含有することである。前記微粒子は、30重量%〜45重量%のSi、10重量%〜15重量%のAl、並びに40重量%〜60重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有し、その中のCa、Na、P及びLaは、任意の割合で、混合してもよい。
【0029】
本実施例のナノ構造体を含有する化学繊維の風に遇って快速降温冷却効果は、次の測定実験を参照する。
測定項目3:発熱/冷却接触感
【0030】
測定方法及び測定結果を下記の表に示す。
実験室の測定待ちのサンプルの測定結果を次のように証明した。
【0031】
【表3】

本実施例の測定吸熱量の経時変化関係曲線を、図3に示す。
【0032】
前記日本化学繊維検査協会の上記方法の測定結果及び表3と図3から、本発明の風に遇って快速降温冷却の化学繊維は、同一の温度及び湿度の条件下において、通常の化学繊維より、顕著及び予想外の更なる快速降温冷却効果を有し、また、更に本発明の化学繊維が予想外の降温効果を導くことがわかる。
【0033】
また、本発明のもう1つの目的は、風に遇って快速降温冷却の織物を提供することにあり、例えば、編み物、織物製品、該織物において、少なくとも一部に前記化学繊維を含有し、当然、全て本発明の風に遇って快速降温冷却の化学繊維を用いて製造してもよい。
【0034】
当然ながら、当業者は、本発明の風に遇って快速降温冷却の化学繊維及び該繊維を含有する織物を用いて、各種類の織物材料、織物製品及び各種類の繊維材料を構成することができる。
【0035】
上記実施例は、本発明の説明用のみに提供し、本発明に対する制限ではなく、当業者は、本発明の範囲を逸脱しない状況において、各種の変化と変形することができる。よって、同等の全ての技術案も本発明の保護範囲に該当し、本発明の特許保護範囲は、各請求項に限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の化学繊維と総重量の0.1重量%〜4重量%を占めるナノ構造体とを含み、前記ナノ構造体は、300nm〜8,000nmの微粒子を含有し、前記微粒子は、主にZn、Al、Ca、Na、P、La又はこれらの混合物を含有することを特徴とする風に遇って快速降温冷却の化学繊維。
【請求項2】
総重量の2重量%〜4重量%を占める300nm〜2,000nmの微粒子を含有する請求項1に記載の化学繊維。
【請求項3】
微粒子は、30重量%〜60重量%のZn、10重量%〜20重量%のAl、並びに20重量%〜60重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有する請求項2に記載の化学繊維。
【請求項4】
総重量の1重量%〜2重量%を占める2,000nm〜5,000nmの微粒子を含有する請求項1に記載の化学繊維。
【請求項5】
微粒子は、45重量%〜60重量%のZn、15重量%〜20重量%のAl、並びに20重量%〜40重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有する請求項4に記載の化学繊維。
【請求項6】
総重量の0.1重量%〜1重量%を占める5,000nm〜8,000nmの微粒子を含有する請求項1に記載の化学繊維。
【請求項7】
微粒子は、30重量%〜45重量%のSi、10重量%〜15重量%のAl、並びに40重量%〜60重量%のCa、Na、P及びLaの混合物を含有する請求項6に記載の化学繊維。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の化学繊維を含有することを特徴とする風に遇って快速降温冷却の織物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505373(P2013−505373A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530097(P2012−530097)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001426
【国際公開番号】WO2012/012920
【国際公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【出願人】(512066820)
【Fターム(参考)】