説明

食品の包装方法

【課題】設備コストの高騰や設置スペースの制限の原因となるクリーンルームを導入しなくても、殺菌後の食品に雑菌類を付着させることなく該食品を密閉包装することのできる食品の包装方法を提供することを課題という。
【解決手段】上面が開放した容器本体に食品を収容した殺菌後の食品入容器を密閉する食品の包装方法であって、前記食品入容器における容器本体の開放部分を通気性を有する気体透過性フィルムで覆った一次加工済食品入容器を加熱殺菌中又は加熱殺菌した後に、該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にし、該陽圧状態の一次加工済食品入容器における気体透過性フィルムの少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性材を積層し、前記一次加工済食品入容器内を密閉するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を殺菌した後に密閉包装するための食品の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市場に流通する容器入りの食品は、衛生上の観点から雑菌等の進入を防止すべく密閉包装されている。すなわち、市場に流通する食品は、上面が開放した容器本体に収容された状態で加熱殺菌された後に、クリーンルーム(無菌室)内で容器本体の開放部分を蓋体で密閉されることによって包装されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、前記容器入りの食品は、腐敗等の原因となる雑菌の付着や進入が防止された衛生上万全な状態で包装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−9937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記クリーンルームは、高性能な清浄装置等の各種機器を必要とするため、設備コストが高くなる上に、前記各種機器を設置する広大なスペースが必要となる。そのため、従来の食品の包装方法(クリーンルームを必要とする食品の包装方法)では、コスト面やスペースの制限から、容易に導入できない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、設備コストの高騰や設置スペースの制限の原因となるクリーンルームを導入しなくても、殺菌後の食品に雑菌類を付着させることなく該食品を密閉包装することのできる食品の包装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る食品の包装方法は、上面が開放した容器本体に食品を収容した殺菌後の食品入容器を密閉する食品の包装方法であって、前記食品入容器における容器本体の開放部分を通気性を有する気体透過性フィルムで覆った一次加工済食品入容器を加熱殺菌中又は加熱殺菌した後に、該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にし、該陽圧状態の一次加工済食品入容器における気体透過性フィルムの少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性材を積層し、前記一次加工済食品入容器内を密閉するようにしたことを特徴とする。
【0007】
上記構成の食品の包装方法によれば、前記食品入容器における容器本体の開放部分を通気性を有する気体透過性フィルムで覆った一次加工済食品入容器を加熱殺菌中又は加熱殺菌した後に、該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にするため、容器本体の開放部分を覆った気体透過性フィルムに対して外向きの圧力が作用し、容器本体の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態になる。
【0008】
そして、前記食品の包装方法は、陽圧状態の一次加工済食品入容器における気体透過性フィルムの少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性材を積層し、前記一次加工済食品入容器内を密閉するようにしているため、容器本体の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態で、気体透過性フィルムの通気性が気密性材によって滅却されることになる。
【0009】
これにより、前記食品の包装方法は、周囲に雑菌類や塵類等が飛散している又は飛散している可能性のある常態の空間(通常の空間)であっても、容器本体の開放部分を覆った気体透過性フィルムから雑菌を進入させることなく容器本体の開放部分を完全に密閉する(食品を密閉包装する)ことができる。
【0010】
本発明の一態様として、加圧気体を前記気体透過性フィルムを介して一次加工済食品入容器の内部に導入して該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にしてもよい。
【0011】
このようにすれば、一次加工済食品入容器は、内部に導入された加圧気体の圧力により、容器本体の開放部分を覆った気体透過性フィルムに対して外向きの圧力が作用し、容器本体の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態になる。
【0012】
従って、前記食品の包装方法は、内部に導入した加圧気体の作用で陽圧状態になった一次加工済食品入容器における気体透過性フィルムの少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性材を積層することで、容器本体の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態で、容器本体の開放部分を完全に密閉する(食品を密閉包装する)ことができる。
【0013】
本発明の他態様として、前記容器本体の開放部分が前記気体透過性フィルムで覆われた一次加工済食品入容器を加熱することによって、該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にしてもよい。
【0014】
このように、前記容器本体の開放部分が前記気体透過性フィルムで覆われた一次加工済食品入容器を加熱すると、内部の気体又は水分が膨張することになり、該一次加工済食品入容器の内部が陽圧状態になる。これにより、前記一次加工済食品入容器は、容器本体の開放部分を覆った気体透過性フィルムに対して外向きの圧力が作用し、容器本体の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態になる。
【0015】
従って、前記食品の包装方法は、内部の気体又は水分の膨張によって陽圧状態になった一次加工済食品入容器における気体透過性フィルムの少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性材を積層することで、容器本体の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態で、容器本体の開放部分を完全に密閉する(食品を密閉包装する)ことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る食品の包装方法は、設備コストの高騰や設置スペースの制限の原因となるクリーンルームを導入しなくても、殺菌後の食品に雑菌類を付着させることなく該食品を密閉包装することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一実施形態に係る食品の包装方法で食品に対して殺菌包装を行った食品入密閉容器の概略分解断面図を示す。
【図2】同実施形態に係る食品の包装方法に使用される食品入容器の容器本体の開放部分を気体透過性フィルムで覆った一次加工済食品入容器を示す。
【図3】同実施形態に係る食品の包装方法の説明図であって、(a)は、一次加工済食品入容器の内部に加圧空気を導入している状態を示し、(b)は、一次加工済食品入容器の内部を陽圧にした状態を示し、(c)は、一次加工済食品入容器における容器本体の開放部分を覆う気体透過性フィルム上に気密性フィルムを貼り付けた状態を示す。
【図4】本発明の第二実施形態に係る食品の包装方法の説明図であって、(a)は、一次加工済食品入容器の内部を陽圧にした状態を示し、(b)は、一次加工済食品入容器における容器本体の開放部分を覆う気体透過性フィルム上に気密性フィルムを貼り付けた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第一実施形態に係る食品の包装方法について添付図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態に係る食品の包装方法で食品を殺菌し且つ密閉包装した食品入密閉容器について図1を参照して説明する。なお、図1において、以下に説明する食品入密閉容器1の各構成(後述する容器本体10、気体透過性フィルム11、及び気密性フィルム12)を明確に示すべく分解した状態で示しているが、食品を殺菌して密閉包装した実際の食品入密閉容器1の各構成(容器本体10、気体透過性フィルム11、及び気密性フィルム12)は、それぞれ密接して積層された状態になっている。
【0019】
前記食品入密閉容器1は、図1に示す如く、上面が開放した容器本体10に食品F…を収容した食品入容器1Aと、通気性を有し、該食品入容器1Aにおける容器本体10の開放部分を覆う気体透過性フィルム11と、該気体透過性フィルム11に貼り付けられた気密性材としての気密性フィルム12とを備える。
【0020】
前記食品入容器1Aは、予め成形された容器本体10に食品F…を収容したもので、前記容器本体10は、平板状に形成された底部100と、該底部100の周縁から上方に延びる周壁部101と、該周壁部101の先端から外方に向けて延出するフランジ部102とを備えている。
【0021】
前記気体透過性フィルム11は、多孔質フィルムで構成されている。すなわち、気体透過性フィルム11は、樹脂フィルムに対して気体(加圧空気や、蒸気等)が通過可能な微孔110,110…が多数穿設されたものである。該気体透過性フィルム11は、容器本体10のフランジ部102の外形及び外寸と対応して形成されている。すなわち、該気体透過性フィルム11は、外周縁部を容器本体10のフランジ部102の上面に重ね合わせた状態で、容器本体10の開放部分を覆うことのできる平面形状及びサイズが設定されている。
【0022】
そして、前記気体透過性フィルム11は、容器本体10のフランジ部102の上面に貼り付けられている。本実施形態に係る気体透過性フィルム11は、上述の如く、容器本体10のフランジ部102の外形及び外寸と対応して形成されているため、フランジ部102の上面全面に対して外周端部全周が気密に貼り付けられる。該気体透過性フィルム11は、接着剤や接着テープ等の接着手段によって容器本体10のフランジ部102の上面に貼り付けてもよいが、気体透過性フィルム11自体をフランジ部102に対して直接溶着(ヒートシール)してもよい。
【0023】
前記気密性フィルム12は、気体の通過を抑制又は防止できる程度の気密性を有する樹脂フィルムで構成されている。そして、気密性フィルム12は、容器本体10のフランジ部102の外形及び外寸と対応して形成されている。すなわち、本実施形態に係る気密性フィルム12は、気体透過性フィルム11と同様に、外周縁部を容器本体10のフランジ部102の上面に重ね合わせた状態で、容器本体10の開放部分を覆うことのできる平面形状及びサイズが設定されている。
【0024】
そして、前記気密性フィルム12は、気体透過性フィルム11の上面に貼り付けられている。本実施形態に係る気密性フィルム12は、上述の如く、容器本体10のフランジ部102の外形及び外寸と対応して形成されているため、外周端部全周が気体透過性フィルム11の上面の外周端部全周に対して気密に貼り付けられる。該気密性フィルム12は、接着剤や接着テープ等の接着手段によって気体透過性フィルム11に貼り付けてもよいが、気密性フィルム12自体を気体透過性フィルム11に対して直接溶着(ヒートシール)してもよい。
【0025】
本実施形態に係る食品入密閉容器1は、以上の通りであり、続いて、食品の包装方法について説明する。なお、本実施形態に係る食品の包装方法では、食品入密閉容器1の前段のものを殺菌及び密閉処理の対象としている。すなわち、本実施形態に係る食品の包装方法は、図2に示す如く、食品入容器1Aにおける容器本体10の開放部分を気体透過性フィルム11で覆う一次的な加工(処理)を行ったもの(以下、一次加工済食品入容器という)1Bを殺菌及び密閉処理の対象としている。
【0026】
本実施形態に係る食品の包装方法は、一次加工済食品入容器1Bを加熱殺菌した後に、該一次加工済食品入容器1Bの内部を陽圧状態にする。そして、前記食品の包装方法は、該陽圧状態の一次加工済食品入容器1Bにおける気体透過性フィルム11の少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性フィルム12を貼り付けることで前記一次加工済食品入容器1B内を密閉する。
【0027】
具体的に説明すると、本実施形態に係る食品の包装方法は、一次加工済食品入容器1Bを形成した後に、該一次加工済食品入容器1Bの加熱殺菌を行う。しかる後に、前記一次加工済容器1Bの内部(容器本体10と気体透過性フィルム11とで画定された空間)Dを陽圧状態にする。
【0028】
本実施形態における食品の包装方法は、図3(a)に示す如く、一次加工済容器1Bの内部空間Dに気体透過性フィルム11を介して加圧空気Aを導入することによって、一次加工済容器1Bの内部空間Dを陽圧状態にする。また、本実施形態に係る食品の包装方法では、微小な微孔110,110…に加圧空気Aを通過させることになるため、所定の時間をかけて加圧空気Aを一次加工済容器1Bの内部空間Dに導入することになる。
【0029】
これにより、前記一次加工済食品入容器1Bは、図3(b)に示す如く、内部空間Dに導入された加圧空気Aの圧力によって、気体透過性フィルム11に対して内部空間Dから外向きの圧力が作用した状態になる。なお、本実施形態に係る気体透過性フィルム11は、上記の構成の説明において、特に言及しなかったが、加圧空気Aからの圧力が加わることによって破損しない強度で形成される必要がある。また、前記気体透過性フィルム11は、加圧空気Aからの圧力が加わることによって容器本体10から外れることのないようにフランジ部102の上面に貼り付けられる必要がある。
【0030】
これにより、前記一次加工済容器1Bは、容器本体10の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム11)に飛散物(雑菌類や塵類等)が近づきにくい状態になる。そして、前記一次加工済食品入容器1Bは、図3(c)に示す如く、内部空間Dに導入された加圧空気Aの作用で内部空間Dが陽圧状態になっている間に一次加工済容器1Bにおける気体透過性フィルム11の少なくとも開放部分を含んだ領域に気密性フィルム12を貼り付ける。本実施形態に係る一次加工済容器1Bは、上述のように、加圧空気Aを内部空間Dに導入しているため、該加圧空気Aが前記微孔110…を通過して内部空間Dから徐々に抜け出ていくことになる。
【0031】
このように、気体透過性フィルム11の上面に対して気密性フィルム12を貼り付けると、気密性フィルム12が気体透過性フィルム11の通気性を滅却した状態(微孔110…を密閉した状態)になり、一次加工済食品入容器1Bにおける容器本体10の開放部分と対応する領域が完全に密閉されることになる。これにより、容器本体10に収容された食品F…が殺菌され且つ密閉包装されたもの(食品入密閉容器1)が形成される。
【0032】
そして、前記食品入密閉容器1は、二次殺菌された後に、前記食品入密閉容器1に完全包装(例えば、食品入密閉容器1の全体を覆うような包装)され、流通過程におかれる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る食品の包装方法は、陽圧状態の一次加工済食品入容器1Bにおける気体透過性フィルム11の少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性フィルム12を貼り付けることで、一次加工済食品入容器1Bの内部空間Dを密閉するようにしているため、容器本体10の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム11)に飛散物が近づきにくい状態で、気体透過性フィルム11の通気性が気密性フィルム12によって滅却されることになる。
【0034】
これにより、前記食品の包装方法は、周囲に飛散物が飛散している又は飛散している可能性のある常態の空間(通常の空間)であっても、容器本体10の開放部分を覆った気体透過性フィルム11から雑菌を進入させることなく容器本体10の開放部分を完全に密閉する(食品を密閉包装する)ことができる。従って、本実施形態に係る食品の包装方法は、設備コストの高騰や設置スペースの制限の原因となるクリーンルームを導入しなくても、殺菌後の食品F…に雑菌類を付着させることなく該食品F…を密閉包装することができる。
【0035】
次に、本発明の第二実施形態に係る食品の包装方法について添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係る食品の包装方法においては、第一実施形態の一次加工済食品入容器1Bと同一のものを殺菌及び密閉処理の対象としている。そのため、本実施形態では、殺菌及び密閉処理の対象となるもの(一次加工済食品入容器1B)については、第一実施形態と同一名称及び同一符号を付して説明を割愛する。
【0036】
本実施形態に係る食品の包装方法は、一次加工済食品入容器1Bを形成した後に、該一次加工済食品入容器1Bの加熱殺菌を行う。そして、前記一次加工済容器1Bを加熱することで内部空間Dに存在する気体又は水分を膨張させて、該内部空間Dを陽圧状態にする。これにより、前記一次加工済食品入容器1Bは、内部空間Dの圧力によって、気体透過性フィルム11に対して内部空間Dから外向きの圧力が作用した状態になる。
【0037】
本実施形態における食品の包装方法は、図4(a)、及び図4(b)に示す如く、前記一次加工済容器1Bを加熱する熱源プレートPが採用されている。そのため、本実施形態に係る食品の包装方法は、一次加工済容器1Bを熱源プレートP上に載置して加熱することで内部空間Dに存在する気体又は水分が膨張させて、該内部空間Dを陽圧状態にする。これにより、前記一次加工済食品入容器1Bは、図4(b)に示す如く、気体透過性フィルム11に対して内部空間Dから外向きの圧力が作用した状態になる。従って、前記一次加工済食品入容器1Bは、容器本体10の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム11)に飛散物が近づきにくい状態になる。
【0038】
そして、前記一次加工済食品入容器1Bは、図4(b)に示す如く、内部空間D内に存在する気体又は水分が膨張することで陽圧状態になった一次加工済容器1Bにおける気体透過性フィルム11の少なくとも前記開放部分を含んだ領域に前記気密性フィルム12を貼り付ける。
【0039】
このように、気体透過性フィルム11の上面に対して気密性フィルム12を貼り付けると、気密性フィルム12が気体透過性フィルム11の通気性を滅却した状態(微孔110…を密閉した状態)になり、一次加工済食品入容器1Bにおける容器本体10の開放部分と対応する領域が完全に密閉されることになる。これにより、容器本体10に収容された食品F…が殺菌され且つ密閉包装されたもの(食品入密閉容器1)が形成される。
【0040】
そして、前記食品入密閉容器1は、二次殺菌された後に、完全包装(例えば、食品入密閉容器1の全体を覆うような包装)され、流通過程におかれる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る食品の包装方法は、陽圧状態の一次加工済食品入容器1Bにおける気体透過性フィルム11の少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性フィルム12を貼り付けることで、一次加工済食品入容器1Bの内部空間Dを密閉するようにしているため、容器本体10の開放部分(該開放部分を覆った気体透過性フィルム11)に飛散物が近づきにくい状態で、気体透過性フィルム11の通気性が気密性フィルム12によって滅却されることになる。
【0042】
これにより、前記食品の包装方法は、周囲に飛散物が飛散している又は飛散している可能性のある常態の空間(通常の空間)であっても、容器本体10の開放部分を覆った気体透過性フィルム11から雑菌を進入させることなく容器本体10の開放部分を完全に密閉する(食品を密閉包装する)ことができる。従って、本実施形態に係る食品の包装方法は、設備コストの高騰や設置スペースの制限の原因となるクリーンルームを導入しなくても、殺菌後の食品F…に飛散物を付着させることなく該食品F…を密閉包装することができる。
【0043】
なお、本発明の食品の包装方法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
上記第一実施形態、及び第二実施形態において、気密性フィルム12は、外周端部全周が気体透過性フィルム11の上面の外周端部全周に対して気密に貼り付けられていたが、これに限定されるものではなく、例えば、気密性フィルム12を気体透過性フィルム11の上面の全体に対して気密に貼り付けるようにしてもよい。
【0045】
また、上記第一実施形態、及び第二実施形態において、気体透過性フィルム11の上面に気密性材としての気密性フィルム12を貼り付けることによって気体透過性フィルム11の通気性を滅却して密閉するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、気体透過性フィルム11の上面に液体状の気密性材を塗布することによって前記微孔110を密閉するようにしてもよい。
【0046】
また、上記第一実施形態、及び第二実施形態において、気密性材としての気密性フィルム12の平面形状及びサイズを気体透過性フィルム11と同様に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記気密性フィルム12は、外周が容器本体10の上面における開放部分と略同じ大きさに形成してもよい。すなわち、気密性材12は、少なくとも雑菌類が通過する経路となり得る容器本体10の開放部分と対応する領域に積層されればよい。
【0047】
また、上記第一実施形態、及び第二実施形態においては、一次加工済食品入容器1Bの食品F…に対する殺菌を主眼に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、食品F…の殺菌とともに該食品F…を加熱調理するようにしてもよい。
【0048】
また、上記第一実施形態、及び第二実施形態において、特に言及しなかったが、気体透過性フィルム11に穿設された微孔110,110…の数は、一次加工済食品入容器1Bの内部空間Dの気体が抜けにくい数に設定されている。
【0049】
また、上記第一実施形態、及び第二実施形態においては、前記気密性フィルム12を気体の通過を抑制又は防止できる程度の気密性を有する樹脂フィルムで構成していたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記気密性フィルム12を気体の通過を抑制又は防止できる程度の気密性を有していれば、アルミフィルムで構成してもよい。
【0050】
また、上記第一実施形態において、一次加工済食品入容器1Bは、加熱殺菌した後に、内部を陽圧状態にされていたが、これに限定されるものではなく、例えば、加熱殺菌中の熱によって一次加工済食品入容器1Bの内部を陽圧状態にしてもよい。
【0051】
また、上記第一実施形態において、一次加工済食品入容器1Bの内部空間Dに加圧空気Aを導入することで、該内部空間Dを陽圧状態にしていたが、これに限定されるものではなく、例えば、一次加工済食品入容器1Bの内部空間Dに蒸気を導入することで、該内部空間Dを陽圧状態にするようにしてもよい。
【0052】
また、上記第二実施形態において、特に言及しなかったが、前記気体透過性フィルム11は、内部空間D内に存在する気体又は水分の膨張圧によって破損しない強度で形成される必要がある。また、前記気体透過性フィルム11は、内部空間D内に存在する気体又は水分の膨張圧によって、容器本体10から外れることのないようにフランジ部102の上面に貼り付けられる必要がある。
【0053】
また、上記第二実施形態において、一次加工済食品入容器1Bを熱源プレートP上に載置して加熱することによって、内部空間Dを陽圧状態にしていたが、これに限定されるものではなく、例えば、容器本体10の底部に熱源プレートPを埋め込んでもよい。
【0054】
また、上記第一実施形態では、加熱殺菌を行なった後に一次加工済容器1Bの内部空間Dに気体透過性フィルム11を介して加圧空気Aを導入することで該内部空間Dを陽圧状態にし、上記第二実施形態では、加熱殺菌を行なった後に一次加工済容器1Bを強制的に加熱して内部空間Dに存在する気体又は水分を膨張させることで該内部空間Dを陽圧状態にしていたが、一次加工済容器1Bの加熱殺菌したとき、又は一次加工済容器1Bを加熱殺菌するとともに食品F…を加熱調理したとき、又は一次加工済容器1Bを加熱殺菌後に食品F…を加熱調理したときの熱で、食品に含まれる水分や、内部空間D内に存在する水分や空気等の膨張によって、一次加工済容器1Bの内部空間Dが陽圧状態になることを待つようにしてもよい。
【0055】
このようにする場合、陽圧状態の一次加工済食品入容器1Bを常態の空間に移したとしても、陽圧常態を維持できればよい。また、このようにする場合、容器本体10に収容される食品Fとしては、熱の逃げにくいカレーや、シチュー等の食品を採用し得る。
【符号の説明】
【0056】
1…食品入密閉容器、1A…食品入容器、1B…一次加工済食品入容器、10…容器本体、11…気体透過性フィルム、12…気密性フィルム、100…底部、101…周壁部、102…フランジ部、110…微孔、A…加圧空気、B…接着手段、D…内部空間、F…食品、P…熱源プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放した容器本体に食品を収容した殺菌後の食品入容器を密閉する食品の包装方法であって、前記食品入容器における容器本体の開放部分を通気性を有する気体透過性フィルムで覆った一次加工済食品入容器を加熱殺菌中又は加熱殺菌した後に、該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にし、該陽圧状態の一次加工済食品入容器における気体透過性フィルムの少なくとも前記開放部分を含んだ領域に気密性材を積層し、前記一次加工済食品入容器内を密閉するようにしたことを特徴とする食品の包装方法。
【請求項2】
加圧気体を前記気体透過性フィルムを介して一次加工済食品入容器の内部に導入して該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にするようにした請求項1に記載の食品の包装方法。
【請求項3】
前記容器本体の開放部分が前記気体透過性フィルムで覆われた一次加工済食品入容器を加熱することによって、該一次加工済食品入容器の内部を陽圧状態にするようにした請求項1に記載の食品の包装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−79093(P2013−79093A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219534(P2011−219534)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 〔博覧会名〕FOOMAJAPAN2011(国際食品工業展)〔主催者〕社団法人 日本食品機械工業〔開催日〕平成23年6月7日から平成23年6月10日まで(4日間)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】