説明

食用油の清浄剤

【課題】食用油の清浄剤を提供する。
【解決手段】本発明は、酸化マグネシウム粒子からなる食用油の清浄剤に関し、例えば、食品添加物酸化マグネシウム粒子を食用油の使用開始時から食用油中に投入して食用油の劣化を防止することにより食用油の長期間の使用を可能とする。酸化マグネシウム粒子は共重合ポリエチレンテレフタレート製袋に充填し、または共重合ポリエチレンテレフタレート製袋に充填した後、さらにステンレス製ケーシングに収納して食用油中に投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用油の清浄剤に関し、詳しくは、業務用に使用するフライヤーの中の食用油や家庭用の天ぷら油などとして利用している食用油を長持ちさせることができる食用油の清浄剤、言い換えれば食用油延命剤、劣化防止剤として有用な食用油の処理剤に関するものである。本発明は、酸化マグネシウム粒子から成る食用油の清浄剤の存在下で食用油を加熱することにより、酸化マグネシウム粒子の有する食用油の劣化抑制作用を発揮させることにより、従来よりも長い期間、良好な揚げ油の状態を維持しながらの揚げ物つくりが可能となる食用油の清浄剤を提供するものである。また、本発明を実施することにより、長期間にわたって食材の調理後の出来上がりが向上し、しかも定期的に廃棄、交換される油量が少なくなることから、本発明は食用油による揚げ物などの加工食品分野で広く活用されうる優れたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭や外食産業、食品製造業で揚げ物調理に使用されている食用油は、使用のたびに変質、劣化が進むため、通常は、定期的に廃棄、交換されていた。天ぷらやフライなどの揚げ物に使用される油脂類は使用時間と共に劣化が進んで食材の揚げ上がりの出来栄えが好ましくなくなり、例えば、カラッとした、またはパリパリとした状態が薄れてくる。また、油脂自体には黒ずみ、異臭を放ち、好ましくないべたつきが多くなるなどの問題点が知られているがこれらは完全には解決されないでいる。一方では、近年、廃油の廃棄による環境負荷を低減するとともに調理コストを抑制するために、使用済み食用油を再生処理して再利用する動きが広まって来ている。
【0003】
食用油の再生に関しては、劣化した食用油に添加して、撹拌し、濾過して用いるマグネシウムを含む固形塩基性物質と酸性白土との混合物からなる吸着剤タイプの食用油浄化組成物が知られている(特許文献1)。また、劣化した食用油に脱酸剤を混入し撹拌して、脱酸剤に劣化油中の夾雑物、水分、脂肪酸などの不純物を吸着させ、次いで分離処理することにより食用油を再生する食用油の再生方法において使用される脱酸剤として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、合成フィロケイ酸マグネシウム、シリカ、マグネシア、二酸化ケイ素および活性白土からなる群から選択され、粒径が50〜200μmに造粒されてなる食用油の脱酸剤が知られている(特許文献2)。
【0004】
また、粗油脂を、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭するための精製技術はすでに知られているが、こうした既知の精製技術を使用済食用油脂の再生、精製に適用することが困難であった。こうした欠点を克服した技術として、50〜180℃まで加熱された使用済食用油脂を、着色物質を選択的に吸着できる処理剤A(SiOとAlの粘土を有機酸で処理して得られる処理剤)と一定時間接触させ、遊離脂肪酸を選択的に吸着するか遊離脂肪酸と反応させて遊離脂肪酸を油脂に難溶の化合物に変換する処理剤B(酸化マグネシウムなどを無機多孔質体微粒子に担持した処理剤)と一定時間接触させた後、処理剤A,Bおよびこれらの反応生成物を分離除去する使用済食用油脂の再生処理方法が開発されている(特許文献3)。
【0005】
劣化食用油への少ない添加量で劣化油の酸価の低減のみならず、色素成分を吸着(脱色)することが可能な劣化食用油用再生剤としては、全比表面積が350m2/g以上で、細孔形態が細孔直径4〜50nmの範囲に分布極大を有し、かつVl−t法で算出した外部表面積が全比表面積の80%以上を占める食品添加物二酸化ケイ素と食品添加物水酸化カルシウムとを乾式混合してなる劣化食用油用再生剤が開発されている(特許文献4)。
【0006】
上記の技術はいずれも使用済食用油脂の再生処理にあたり、混合・攪拌・濾過という過程を経ているが、こうした技術とは異なりフィルタを構成して濾過の過程のみを経ている方法が開発されている。すなわち、遊離脂肪酸を選択的に吸着するが油脂にはほとんど溶けない化合物に変換できる処理剤A(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムなどの塩基性化合物を、酸化ケイ素に担持してなる粉末)と着色物質を選択的に吸着できる処理剤B(酸化ケイ素、活性炭、活性白土の粉末)の混合物を、充填式フィルタまたは抄紙配合ロール状フィルタに加工したものを使用済食用油脂の再生フィルタとし、フライヤー油槽中の使用済油脂を取り出すための吸入チューブと、再生処理フィルタと該再生処理フィルタを収納する容器から構成する再生器と、送液ポンプまたは吸引ポンプと、再生油をフライヤー油槽に戻すための戻しチューブとからなる循環式の使用済食用油脂の再生処理装置が提案されている(特許文献5)。
上記した食用油の再生技術は、混合・攪拌・濾過という過程を経ることが必要となり、また、特殊な吸着剤の使用、または特殊な組成の吸着剤の合成、特性の異なる吸着剤の組み合わせを実現することが必要となり、煩雑な工程と容易に入手できない吸着剤の合成に係る技術開発が不可欠であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−307526号公報
【特許文献2】特開2001−335793号公報
【特許文献3】特開2006−241245号公報
【特許文献4】特開2007−143525号公報
【特許文献5】特開2006−334221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の食用油の値上がりにより多くの食用油を利用する食品業者が経営面で苦境に立っている現状から、食用油の酸化を抑制し長く油を使えることにより、食用油の購入や廃棄処理にかかる費用の削減や、年々増加する食用油の需要に対応することや、食用油用作物の生産による自然破壊や廃棄油による環境に好ましくない負荷を与えることを低減することが求められている。これに対しては、使用済み食用油の再生処理を行うことが簡便で最も実用的な問題の解決策である。使用済み食用油の再生に使用される再生剤に必要とされる作用は大きく2つに分けられる。1つは劣化により生じた遊離脂肪酸を油脂に難溶性の化合物に変換して除去する脱酸作用であり、もう1つは茶色く変色した劣化食用油から着色物質を吸着除去して新油に近い色に戻す脱色作用である。こうした食用油の再生には、これまで脱酸剤としては酸化カルシウムや水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムまたはケイ酸マグネシウムなどから選ばれた複数の物質からなる複合組成物が提案され、脱色剤としては酸化ケイ素や酸性白土、活性白土、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、活性炭など提案されている(特許文献1〜5)。
【0009】
脱酸剤と食用油中の遊離脂肪酸との反応は、酸と固体塩基との反応になる。この場合、脱酸剤の比表面積が大きいほど脂肪酸との接触面積が増え、脱酸速度や脱酸能力が有利になることが予想される。そこで、特許文献3および5に記載の技術では、酸化ケイ素などの比表面積が大きい無機多孔質体を、マグネシウムを含有する水溶液またはカルシウムを含有する水溶液に浸漬し、乾燥後焼成して脱酸剤の比表面積を増やす工夫がされている。しかし、この方法で合成された脱酸剤は全体に占める固体塩基量が少なくなるため、単位重量における理論脱酸容量が少なくなってしまう欠点がある。また、粒径を50〜200μmに規定して効果を出す酸性白土などの食用油の脱酸剤がある(特許文献2)が、微細粒子を効率よく食用油と分離する必要があるため実用化するには難しかった。また、食用油の清浄剤として、特殊な組成を有する物質を合成し、また複数の処理剤を使用しなければならないことは、食用油の再生処理を実用化する上では高いハードルとなっていた。
【0010】
この様な状況の下で本発明者らは、食用油を約150〜200℃の高温で加熱し揚げ物を加工する過程では食用油が酸化劣化をおこし、カラ揚げ、天ぷらなどの揚げ物加工食品の品質や味覚の低下をまねくと共に油の消費量の増大をもたらすなどの従来の不都合な点を克服するとともに、簡便な工程により、特殊な処理剤を用いることなく食用油を処理することを目標にして鋭意研究開発を進めることにより本発明は見いだされたものである。
本発明の目的は、食品添加グレードの酸化マグネシウム粒子を単独で用いることにより優れた食用油の清浄剤を提供することである。また、本発明の目的は、約150〜200℃での使用時における食用油の酸化、劣化による損失を防止し食用油の消費量の低減化を図るものであり、食用油による揚げ物などの加工食品の製造において、製品の品質を低下させないで食用油の使用できる状態を長時間保持することである。また、本発明の目的は、劣化した食用油を50〜200℃、特に好ましくは150〜200℃の温度範囲において浄化することができる清浄剤を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、食用油の清浄剤の存在下で食用油を加熱使用して生成した食用油の高温酸化物や重合体を除去することにより、従来よりも長い期間、良好な揚げ油としての状態を維持しながらの揚げ物の製造を可能とすることであり、食材の調理後の出来上がりを向上させ、しかも、定期的に廃棄また交換される油量を少なくすることができる技術を提供することである。
すなわち、本発明の目的は、業務用で使用するフライヤーの中の食用油や家庭用の天ぷら油などを処理するにあたり、食用油の劣化防止あるいは食用油延命の機能を有する新しい食用油の処理剤を提供することである。さらに、本発明の目的は、食用油との接触を簡便に行うことが可能であり、容器に入った食用油の清浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは食用油の高温酸化による分解物生成物類の蓄積を防止し、長期に亘って使用できる食用油とすることが可能な清浄化剤、すなわち食用油の劣化防止あるいは食用油延命の機能を有する新しい食用油処理剤およびそれを使用した処理方法を新たに見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、従来のような食用油を使用した後に本発明の清浄剤で処理することで食用油を再生することができるばかりか、酸化マグネシウム粒子を食用油の使用スタート時から食用油に投入するなどの簡便な使用方法により食用油の劣化を防止し、長期間にわたり使用することを可能としたものである。本発明では、酸化マグネシウム粒子は食品添加物グレードとすることにより入手が容易となり、しかも健康に対する影響は一切なく、さらに廃油量は減少して環境汚染の恐れも少なくなりトータルでのコストダウンを可能とした。
本発明の酸化マグネシウム粒子を耐油性および通油性を有する部材からなる容器に充填・封入し、または、酸化マグネシウム粒子を耐油性および通油性を有する部材からなる不織布製袋に充てんし、これを多数の少孔をあけた耐油性の容器、例えば、ステンレス製容器内に収納して加熱状態の食用油中に投入または、接触させることにより食用油の簡便な処理が可能となる。
【0013】
本発明は、以下の(1)ないし(13)の食用油の清浄剤を要旨としている。
(1)酸化マグネシウム粒子からなることを特徴とする食用油の清浄剤。
(2)酸化マグネシウムが食品添加物酸化マグネシウムである上記(1)に記載の食用油の清浄剤。
(3)酸化マグネシウム粒子が500〜180μmで50〜95wt%、180〜106μmで5〜40wt%の粒度分布のものである上記(1)または(2)に記載の食用油の清浄剤。
(4)酸化マグネシウム粒子が細粒状または顆粒状の形状である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
(5)酸化マグネシウム粒子が集合体の状態のものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
(6)集合体の状態のものが、酸化マグネシウム粒子が独立した状態で集合体を構成したもの、および/または酸化マグネシウム粒子が結合して多孔質の構造体になって集合体を構成したものである上記(5)に記載の食用油の清浄剤。
(7)酸化マグネシウム粒子が集合体の状態で食用油と接触させる、および、集合体の状態で食用油への出し入れをするものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
(8)食用油1.0Lに対し、酸化マグネシウムを(MgO)換算で0.8〜4.0gの割合で酸化マグネシウムを食用油と接触させるものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
(9)食用油が大豆油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ひまわり油、サフラワー油、コーン油、落花生油、コメ油、およびアマ二油から選ばれる1種以上である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
(10)上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の食用油の清浄剤を耐油性および通油性を有する部材からなる容器に封入し、油浴中において容器内の上記処理剤を食用油と接触させることを特徴とする容器に入った食用油の清浄剤。
(11)容器が耐油性および通油性を有する部材からなる不織布製袋である上記(10)に記載の容器に入った食用油の清浄剤。
(12)容器が、不織布製袋と、さらにその袋の1以上を収納する多孔を有するステンレス製ケーシングで構成されている上記(10)に記載の容器に入った食用油の清浄剤。
(13)ステンレス製ケーシングが10cm四方に、直径1.5mmの孔を1000個以上あけたステンレス板を使用した容器である上記(12)に記載の容器に入った食用油の清浄剤。
【発明の効果】
【0014】
本発明の食用油清浄剤を食用油使用開始時(新油時)より使用することにより、その後加熱により劣化した食用油を浄化し、食用油の長期使用を可能とする。従来、揚げ物製造店舗では3日間使用した食用油は酸価基準値の2.5を超えるため廃棄していたが、加熱使用中の食用油中に本発明の食用油浄化剤を常時入れておくことにより、新しい食用油に入れ替えるまでの期間(酸価基準値が2.5になるまでの期間)を15〜20日に引き延ばすことができる。その結果、従来よりも長い期間、良好な揚げ油の状態を維持しながら揚げ物を製造すること可能となり、揚げ物を製造販売する店舗での食用油の購入費を約50%以上も削減することを可能とする。しかも、調理後の揚げ物製品は、油切れが良く、においがなく、色調も良好で出来上がりが向上するという効果をもたらす。また、使用する食用油量の削減が達成されることから、廃油の排出量が減少し、廃油処理の費用が低減される。さらには、揚げ物を製造する現場の環境が、油が目にしみない、油くさくない、高温油からの煙発生が少なくなるなど改善される。また、食用油中には、油の酸化物や遊離脂肪酸の蓄積がなくなるため健康により良い低カロリーの揚げ物が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】酸化マグネシウム粒子を収納した共重合ポリエチレンテレフタレート製の内袋。
【図2】ステンレス製ケーシングの表面。
【図3】ステンレス製ケーシングの裏面。
【図4】引出しの内部に内袋を収納したステンレス製ケーシング。
【図5】ステンレス製ケーシングの引出から使用済みの内袋を取り出している状態。
【図6】引出しの内部に内袋を2個収納したステンレス製ケーシング。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、酸化マグネシウム粒子からなる食用油の清浄剤に関し、酸化マグネシウム粒子を単独で食用油の清浄剤として使用することを特徴と有するものである。すなわち、酸化マグネシウムを他の物質と併用する、複雑な組成を有する化合物や組成物に変換するといった過程を経ることなく、食品に使用できるグレードの市販のものがそのまま使用できる。また、本発明の清浄剤を加熱されているフライヤー(油浴)中に設置するだけで揚げ物用油としての寿命を、従来と比較して5〜7倍もの長期間延長することが可能となる。他の吸着剤類と組み合せることも可能である。
本発明の食用油浄化剤が適応できる食用油としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ひまわり油、サフラワー油、コーン油、落花生油、コメ油、およびアマ二油が例示される。本発明の食用油の清浄剤は50〜200℃の広い温度範囲で食用油の浄化能を発揮するが、特に150〜200℃の温度範囲において浄化効果が優れている。したがって、本発明の食用油の清浄剤は、揚げ物に使用している高温の食用油中に添加しておくことにより、また、使用後であって50℃以上の温度にある食用油に添加することによってその浄化効果を発揮することができる。
【0017】
[食用油の劣化]
食用油は揚げ物を製造する回数が増えるにつれ劣化が進む。劣化の度合いは、使い方、加熱温度、材料、保存状態によって異なるが、劣化がすすむにつれて、色が黒くなる、いやな臭いがする、泡が出てくる、煙が出るといった変化が現れる。そうなると、製造された揚物の品質も劣化するため新しい油と取り替えなければならないことになる。食用油の劣化は、油の加水分解による油中の遊離脂肪酸が増加すること、空気による油の酸化により過酸化物が分解し低分子分解物が増えること、過酸化物が重合し重合物が油中に溜まることなどにより、食用油の酸価を上げる極性化合物が増えることによる。
本発明者らはこれらの問題点を改善するために鋭意検討した結果本発明に到達したものであり、酸化マグネシウムを単独で食用油の加熱使用時に食用油中に投入することにより加熱使用中に劣化した食用油を浄化することが可能となり、従来の酸化マグネシウムを投入しない場合と対比すると約5〜7倍もの長期にわたり安定した製品の製造が可能となることを見出した。劣化した食用油の交換基準は、酸価値が2.5を限界値とし、この値を超えると新しい食用油と交換される。
【0018】
[酸化マグネシウム]
通常、酸化マグネシウム粒子は水酸化マグネシウム粒子を焼成して製造されるが、本発明で使用される酸化マグネシウムは公知のいかなる方法で製造ものであってもよい。水酸化マグネシウム粒子は、海水もしくは苦汁中のマグネシウムイオンをアルカリによって水酸化マグネシウムとして沈殿させて製造することができる。アルカリ源としては水酸化カルシウム、苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水などが挙げられるが、苛性ソーダまたは水酸化カルシウムが好ましい。アルカリにより沈殿させた水酸化マグネシウムは、600〜1300℃で焼成されて酸化マグネシウムとなる。沈殿した水酸化マグネシウムを100〜120℃で加熱処理をしてもよい。
本発明の酸化マグネシウム粒子は食品の処理に使用するものであるから、人体への影響、衛生上の面を考慮すると食品添加物の規格に合致するものであることが好ましい。次に、食品添加物公定書(日本食品添加物協会発行、第8版2007年版 第371、372頁)定められている規格の概要を記載する。
[MgO]
含量:本品を強熱したものは酸化マグネシウム(MgO)96.0%以上を含む。
性状:白色又は類白色の粉末又は粒である。
確認試験:本品1gに塩酸25mLを溶かした液は、マグネシウム塩の反応を呈する。
純度試験:水可溶物 2.0%以下、
塩酸不要物 1.0%以下、
重金属 Pbとして 20μg/g以下、
酸化カルシウム 1.5%以下、
ヒ素 Asとして4.0μg/g以下、
灼熱減量 10.0%以下(1000℃、30分間)
【0019】
[酸化マグネシウムの粒子形状]
本発明に使用する酸化マグネシウム粒子は、粉末状、細粒状、顆粒状、錠剤状、多孔質成形体、袋などの容器に収納するなどのいずれの形態でもよいが、酸化マグネシウム粒子自体は取扱い上からは細粒状、顆粒状とするのが好ましい。酸化マグネシウムの細粒および顆粒は従来の乾式造粒により製造することができる。酸化マグネシウム粒子は造粒性に優れるためバインダーを添加しなくても容易に造粒物を作製することができるばかりではなく、造粒物は高温の状況下でも崩れることはなく、また食用油中で粉化することもない。造粒は乾式造粒機を用いて行うのが好ましく得られたシート状成型物は粉砕機にて所望の粒形に粉砕し造粒粒子を得る。
【0020】
[粒度分布]
本発明で使用する酸化マグネシウムの粒径および粒度分布には特に限定されないが、酸化マグネシウムの粒子が食用油中で生成した不純物との接触を促進するにはその表面積が大きいこと、例えば、微細粒子状とすることが望まれる。しかし、酸化マグネシウム粒子の製造の難易、取扱の難易、食用油との分離特性、使用後の無害化処理の難易などを考慮して粒径や粒度分布は設定される。例えば、酸化マグネシウム細粒の粒度分布は粒径500〜180μmの範囲が50〜95%、好ましくは60〜90%、さらに好ましくは65〜85%であり、粒径180〜106μmの範囲が5〜40%、好ましくは10〜35%、さらに好ましくは15〜30%であることが食用油の処理には適している。
また、粒径500〜180μmの範囲のものが65〜85%、粒径180〜106μmの範囲のものが15〜30%の酸化マグネシウム粒子が特に清浄剤として優れている。粒径500〜180μmの範囲のものが50〜95%の範囲を外れて粗粒子が増加すると浄化特性が低下して好ましくない。粒径180〜106μmの範囲のものが5〜40%の範囲を外れて増加すると酸化マグネシウム粒子の嵩が高くなり、流動性(ハンドリング)が悪くなり好ましくない。したがって、本発明の酸化マグネシウム粒子は上記の二つの粒度範囲で限定されたものであることが好ましい。
水酸化マグネシウムを焼成して出来た酸化マグネシウムは粉砕、分級、造粒、篩過をして使用するが、酸化マグネシウムの粒径を制御するためには、篩過機の網の目で調整する。
【0021】
[酸化マグネシウム粒子の集合体]
本発明で使用する酸化マグネシウム粒子は細粒状や顆粒状の状態で使用できるが、食用油を処理するには、通常、大量の酸化マグネシウム粒子が必要であることが多いので、その取扱いの点を考慮すると集合体の形態であることが好ましい。ここで、集合体とは、酸化マグネシウム粒子を食用油が透過するが、酸化マグネシウム粒子が透過することのない微細な細孔を有する、例えば、布、不織布、網、多孔質のプラスティックや金属などの材質からなる容器や袋などに収納した状態、あるいは、酸化マグネシウム粒子を多孔質の板状、球状体などに成形した成形品などが例示される。このように酸化マグネシウム粒子がバラバラの状態で容器内に収納され集合体としたものや、酸化マグネシウム粒子相互が結合して多孔質の構造体となって集合体としたものとすると、酸化マグネシウムを食用油中へ出し入れすることが簡便となる利点がある。
さらに取扱いを簡便とするには、例えば、酸化マグネシウム粒子を一旦多孔質の布袋に収納し、これをさらに多数の孔が設置された剛性のある容器類、例えば、ステンレス製でこの布袋が逸脱しない程度の孔を有するケーシングに収納するのがよい。こうすると、酸化マグネシウム粒子の浄化性能が低下したならばケーシング内の布袋を容易に交換することができる。
【0022】
[酸化マグネシウム粒子の食用油に対する使用量]
本発明の、共重合ポリエチレンテレフタレート袋入り酸化マグネシウムからなる食用油の清浄剤は食用油を使用開始する時点で食用油中に投入することでも浄化効果が奏される。本清浄剤は食用油1.0Lに対し、酸化マグネシウム(MgO)換算で0.8〜4.0gの範囲であり、好ましくは1.0〜3.5g、さらに好ましくは1.5〜3.0gの範囲で使用する。酸化マグネシウム粒子が0.8g以下の場合は食用油劣化防止効果が不十分であり、4.0g以上を添加しても劣化防止効果が向上することはない。
【0023】
[容器入り酸化マグネシウム粒子集合体]
本発明の酸化マグネシウム粒子を集合体として食用油の清浄剤としての使用についてさらに具体的に説明すると、酸化マグネシウム粒子を多孔質の共重合ポリエチレンテレフタレート製袋に入れて食用油の加熱使用のスタート時に食用油に投入される。また、この共重合ポリエチレンテレフタレート製袋をさらにステンレス製ケーシングなどの剛性のあるケーシング類に入れて食用油の加熱使用のスタート時から食用油に投入して使用することができる。
ステンレスケーシング中に袋入り酸化マグネシウム粒子を収納すると、酸化マグネシウム粒子を充填した共重合ポリエチレンテレフタレート製袋が食用油中で移動しないように固定することが容易となる。酸化マグネシウム粒子入りの共重合ポリエチレンテレフタレート製袋をそのまま食用油に投入すると、袋が油上に浮かんだり、油の中で移動して揚げる作業の邪魔になるとともに、酸化マグネシウム粒子を食用油処理に最も効率的な位置に設置しておくことができなくなる恐れがあることによる。
共重合ポリエチレンテレフタレート製の袋は油の通過性が優れた不織布製品からなり、市販の不織製品から適宜選んで使用することができるが、長時間高温の食用油中にさらされても破損することはない特性を有することが必要である。袋の大きさは酸化マグネシウム粒子が適量入る大きさであればどのようなサイズでもよく使用条件に応じて選択される。
【0024】
ステンレス製容器の大きさ、形は収納する袋の大きさやその数に応じてどのようなものでも利用できるが、使用する酸化マグネシウム粒子を収納した共重合ポリエチレンテレフタレート製袋がステンレス製容器の中で動いてずれないように隙間なく、ぴったり入る容器が好ましく、食用油の通過性はよくなければならない。油の通過性をよくするためには、例えば、ステンレス製の容器であれば、10cm四方に直径1.0から2.0mmの孔を800個以上設けることが好ましく、さらに好ましくは直径1.5mmの穴を1000個以上設けたステンレス容器が推奨される。この孔あきステンレス板を使用した容器を利用することが、油の通過性を良くするためには好ましい。
【0025】
[容器入り酸化マグネシウム粒子集合体の使用方法]
酸化マグネシウム粒子である食用油の清浄剤の効果を最適に発揮させるためには、食用油中で加熱熱源の近く固定することが好ましい。これは、加熱により対流する食用油が共重合ポリエチレンテレフタレート製袋中の酸化マグネシウム粒子と接触する頻度を高めるためと、食用油の劣化物が生成されやすい最も高温の場所に近く設置するためである。
食用油に投入された酸化マグネシウム粒子は極性化合物を吸収するため、食用油の酸価が上がらず、食用油の変色もなくなるので、酸化マグネシウム粒子を投入してないで使用した食用油の5〜7倍もの使用時間が延長される。さらに、本発明の清浄剤を使用した食用油は、食用油の色が変わらない、煙がでない、臭くない、油のきれがいいなどの利点をも有する。
酸化マグネシウム粒子を充填する共重合ポリエチレンテレフタレート袋およびステンレス製容器は、内容物である酸化マグネシウム粒子および食用油に影響を与えないし、それぞれが耐熱性を有するため加熱食用油中で破損することはない。
本発明の清浄剤は、使用済みの劣化食用油の浄化にも使用できる。例えば、使用した食用油がフライヤーの中で50〜200℃の範囲内の温度を維持している間に本発明の清浄剤を投入して放置し、自然冷却することによっても浄化される。
【0026】
以下、本発明の内容を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
実施例において、酸価、および極性化合物の測定試験は食品添加物公定書に従い以下の方法で行った。
(a) 酸価の測定、
試料10gを精密に量り、エタノール/ジエチルエーテル混液(1:1)50mLを加え、必要があれば加温して溶かし、検液とする。冷後、フェノールフタレイン試薬数滴を加え、0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液で30秒間持続する紅色を呈するまで滴定し、酸価を求める。ただし、使用する溶媒は、あらかじめ使用前にフェノールフタレイン試薬を指示薬として30秒間持続する紅色を呈するまで0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液を加える。
酸価の計算は次の式による。
酸価=(0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の消費量(mL)×5.611)/試料の採取量 (g)
【0028】
(b)極性化合物の測定
極性酸化物の測定には、testoAG社製のデジタル食用テスターtesto270を使用した。このテスターは静電容量方式からなり40〜180℃の油温の範囲で極性化合物量を測定することができる。
(c)粒度分布の測定
粒度分布の測定はロータップ法により飯田製作所製 IIDA SIEVE SHAKER にて測定した。試料100gを指定された試験用篩(850,500,355,180,106,75μm)に入れ、10分間振動させたのちの篩通分および残分の重量を測定した。
【実施例1】
【0029】
食品添加物用酸化マグネシウム粒子(粒径500〜180μmの範囲が77.0%、粒径180〜106μmの範囲が22.4%)40gを共重合ポリエチレンテレフタレート製袋7.7×12cmの長方形の袋に入れシールする。一方で、18Lの未使用の大豆油を入れた容器を準備し、共重合ポリエチレンテレフタレート製の不織布からなる袋に入った酸化マグネシウム1袋(40g)をステンレス製容器(横16×縦8×厚さ1.5cm)に1袋入れ、このステンレス製の容器1個を大豆油の中で熱源の近くに固定した。
大豆油を加熱し、常に170℃の温度を保ちつつ毎日10時間フライドポテト用じゃがいもを揚げた。7日目に清浄剤の袋を取り出し、新しい1袋と交換して同じ作業を継続して行った。毎日揚げ終わった時点で大豆油の酸価と極性化合物を測定し、油の浄化の状況を検討した。一日大豆油を使用した後は次の使用まで冷えた大豆油をフライ用容器(油浴)にいれたまま保存した。すなわち、ステンレス製容器に収納した酸化マグネシウム粒子は試験中常に大豆油中に固定したままとした。同じ試験を3回行い、試験例1,2,3とした。酸化マグネシウム無添加の場合を比較例として試験した。試験結果を表1および表2に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
食用油の酸価はその値が2.5以上になると揚物用の油としては不適格となるので、酸価値が2以上なる時点まで試験を継続したところ、比較例では3日で限界値を超えたが、試験例では、ばらつきが多少あるものの試験例1では15日、試験例2では13日、試験例3では19日以上にわたって食用油の品質が良好に保たれたことが判明した。また、実施例では試験期間中に泡が発生することはなく食用油は良好な状態に保たれた。
極性化合物の生成量についてはその値が14以上となると揚物用としての実用性が不適格となるので、その値が14に近い値となるまで試験を継続した。比較例では4日後には限界値を超えたが、試験例1では15日後にも限界値を超えることはなく、試験例2では13日で限界値を超え、試験例3では19日経過後にも限界値を超えることはなく、揚げ物用油として長期間に亘って使用することが可能であった。
【実施例2】
【0033】
本実施例では、実施例1と同様にしてナタネ油の浄化試験を行った。その結果を表3に示す。食用油の酸価は15日後に限界値の2.5となり、極性化合物の量は16日経過後にも11の値であり限界値を下回り、本発明の食用油清浄剤がナタネ油にも有効であることが明らかとなった。
【0034】
【表3】

【実施例3】
【0035】
酸化マグネシウムを多孔質酸化マグネシウムとしたこと以外は実施例1と同様の条件で大豆油の劣化試験を行った。多孔質酸化マグネシウムの製造は次の工程によった。すなわち、粒径500〜180μmの範囲が82.0%、180〜106μmの範囲が17.5%の酸化マグネシウム粒子を、プレス機(前川試験機製作所製、プレスマシン BRIQETTING PRESS BRE-32)を用いて、圧力10MPaで板状の成型物を得た。それを1200℃で4時間焼成し、多孔質成形体をえた。これを粉砕、分級、造粒し、粒径500〜180μmが79.0%、180〜106μmが20.1%、の多孔質酸化マグネシウムを得た。
この試験により実施例1と同様の結果が得られ、比較試験と対比すると本発明では5〜7倍の期間にわたり揚物の製造が可能であることが判明した。
【実施例4】
【0036】
本実施例では、実在の15店舗において試験を実施した。店舗により油槽のスケールは相違するが、試験条件が同じ割合となるように、酸化マグネシウム粒子と食用油の使用割合は実施例1と同じく、18Lの大豆油に対して40gの酸化マグネシウム粒子の割合とした。製造した揚物の品質が悪化する前に大豆油を廃棄する従前のやり方により大豆油は更新した。試験は1か月間継続し、酸化マグネシウム粒子は7日毎に交換しながら揚げ物を製造し、各店舗における1か月間の廃油の量を算出した。一方、酸化マグネシウム粒子を使用しない比較例として、同じ15店舗において1年前の同じ月に排出した廃油の量を調査した。表4には、店舗A〜Oにおける廃油量を本発明の酸化マグネシウム粒子を使用した例(2010年10月)と、使用しなかった例(2009年10月)を対比して示した。
【0037】
【表4】

【0038】
表4から明らかなように、酸化マグネシウム粒子を使用することにより各店舗の廃油の量が大きく減少した。本発明を実施した場合での廃油総計は1490Kgであったのに対し、1年前の同じ月の廃油総計は5677Kgであり、全店での廃油量は約26%に減少している。試験した店舗の中では、A店は約85%の大豆油代金が大きく節約できたことになり、最も少ない店舗Mでも約50%の大豆油の代金が節約されたこととなった。
【実施例5】
【0039】
本実施例では、実施例1と同様にしてナタネ油の浄化試験を行い、本発明の浄化剤が使用可能な操業日数を把握した。その結果を示した表5からは、酸価が限界値2.5を超えるのは9日を経過した後であることが明らかとなり、浄化剤の交換しなくとも使用開始後9日までであれば、食用油は継続して使用可能であることが判明した。
【0040】
【表5】

【実施例6】
【0041】
本実施例では粒度分布の異なる2種類の酸化マグネシウム粒子を使用して実施例1と同様に試験を行った。試験の結果を表6に示す。
MgO
Aの粒度分布は、500〜180μm 86.3%、180〜106μm 13.5%であり、 MgO Bの粒度分布は、500〜180μm 64.0%、180〜106μm 34.6%であった。両者ともに使用開始後15日を経過しても優れた浄化作用を示すことは表6から明らかである。
【0042】
【表6】

【実施例7】
【0043】
本実施例では、本発明の酸化マグネシウム粉末が実際に使用される形態での具体例を主に図面により説明する。図1には、酸化マグネシウム粒子40gを共重合エチレンテレフタレート不織布により作成された内袋1(7.7×12cm)に収納した状態を示すものであり、酸化マグネシウム粒子は内袋1の中に封入されている。酸化マグネシウム粒子は空気中に放置すると湿気を吸収するなどして徐々に変質する傾向があるため、変質を防ぐためにプラスティックなどの水蒸気を不透過とする外袋の中に密封されている。外袋の表面には、使用方法および使用上の注意点が印刷されていてもよい。例えば、酸化マグネシウム自体は健康に影響を与える物質ではないが高温化で使用されるため火傷などへの注意などが記載されている。
【0044】
使用時に外袋から取り出した内袋1は、図2,3に示されるステンレス製の多孔板から製造されたケーシング2に収納される。このケーシング2には、10cm平方に直径1.5mmの孔が1500個設けられ、全面に細孔を有する。このケーシング2には、酸化マグネシウム粒子を有する内袋1を出し入れし易くするために引出し3が設けられ、引出し3にも細孔が設けられている。ケーシング2にはステンレス製の取手4が設けられ、ケーシング所定の位置に固定することを容易にするためと、持ち運びを容易にするために設けられている。図2はケーシングの前面を示し、図3はケーシングの裏面を示す。図4には、ケーシング2の引出し3内に内袋1が収納された状態を示す。次いで、引出し3を閉じケーシングは加熱前の食用油の中へ投入され固定される。加熱食用油中で約7日間使用された内袋はケーシング2から取り出されて廃棄される(図5)。内袋は、図6に示すように、ケーシング2中には内袋を2個入れることができる。
ケーシングを設置する位置は特に限定されないが、食用油が一番流動している箇所が好ましく、例えば、食用油が最も高温で分解反応と熱による対流が起こっているヒーターに隣接している位置が最も効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明してきたように、本発明によれば、高温で使用している食用油中に生成した酸化物などの不純物を、揚げ物を作成しながら効率よく除去することによって浄化し、食用油の繰り返し使用回数を大幅に延ばすことができる。また、処理した食用油は、味、色、香り、揚げ物の品質に十分満足が得られるため、家庭での利用のみならず、食用油を大量に使用する店舗や工場においても油の寿命を延ばすことができるとともに、廃油量を大幅削減できるため、揚物製品のコスト削減、および環境汚染の原因の一端を減少させるために貢献する。
【符号の説明】
【0046】
1:酸化マグネシウムを収納した内袋
2:ケーシング
3:引出し
4:取手



【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウム粒子からなることを特徴とする食用油の清浄剤。
【請求項2】
酸化マグネシウムが食品添加物酸化マグネシウムである請求項1に記載の食用油の清浄剤。
【請求項3】
酸化マグネシウム粒子が500〜180μmで50〜95wt%、180〜106μmで5〜40wt%の粒度分布のものである請求項1または2に記載の食用油の清浄剤。
【請求項4】
酸化マグネシウム粒子が細粒状または顆粒状の形状である請求項1ないし3のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
【請求項5】
酸化マグネシウム粒子が集合体の状態のものである請求項1ないし4のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
【請求項6】
集合体の状態のものが、酸化マグネシウム粒子が独立した状態で集合体を構成したもの、および/または酸化マグネシウム粒子が結合して多孔質の構造体になって集合体を構成したものである請求項5に記載の食用油の清浄剤。
【請求項7】
酸化マグネシウム粒子が集合体の状態で食用油と接触させる、および、集合体の状態で食用油への出し入れをするものである請求項1ないし6のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
【請求項8】
食用油1.0Lに対し、酸化マグネシウムを(MgO)換算で0.8g〜4.0gの割合で酸化マグネシウムを食用油と接触させるものである請求項1ないし7のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
【請求項9】
食用油が大豆油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ひまわり油、サフラワー油、コーン油、落花生油、コメ油、およびアマ二油から選ばれる1種以上である請求項1ないし8のいずれかに記載の食用油の清浄剤。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の食用油の清浄剤を耐油性および通油性を有する部材からなる容器に封入し、油浴中において容器内の上記処理剤を食用油と接触させることを特徴とする容器に入った食用油の清浄剤。
【請求項11】
容器が耐油性および通油性を有する部材からなる不織布製袋である請求項10に記載の容器に入った食用油の清浄剤。
【請求項12】
容器が、不織布製袋と、さらにその袋の1以上を収納する多孔を有するステンレス製ケーシングで構成されている請求項10に記載の容器に入った食用油の清浄剤。
【請求項13】
ステンレス製ケーシングが10cm四方に、直径1.5mmの孔を1000個以上あけたステンレス板を使用した容器である請求項12に記載の容器に入った食用油の清浄剤。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−180468(P2012−180468A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44872(P2011−44872)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(503097646)株式会社山順 (5)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】