説明

香り発生装置

【課題】格納手段や圧力室、噴射ノズル等が装置に対して固設されている香り発生装置であって、噴射ノズルの目詰まりを防止でき、噴射ノズル内に気泡が混入してもそれを除去することができる香り発生装置を提供する。
【解決手段】
芳香剤を噴射する噴射ノズル61の噴射口を気密的に覆うキャップ151と、そのキャップ151内に負圧を発生させる負圧発生手段153とを有する吸引回復機構15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置された室内等の空間に芳香剤を噴射する香り発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設置された室内等に芳香剤を噴射させる香り発生装置として、芳香剤を格納する格納手段(香料格納部)101と、その格納手段101から供給された芳香剤が充填される圧力室(香料放出器)102と、その圧力室102内の芳香剤に対して圧力を付与する圧力付与手段(ピエゾ素子)201、202と、その圧力付与手段201、202によって圧力が付与された芳香剤が噴射される噴射ノズル206とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−146385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の香り発生装置では、装置の使用後、噴射ノズルに芳香剤が残る場合がある。そのため、噴射ノズルに残った芳香剤の溶媒成分が蒸発し、溶質成分や不純物噴射ノズルの内壁に固着して目詰まりが生じるおそれがある。また、噴射ノズルに残った芳香剤内に気泡が混入し、芳香剤の噴射動作ができないか、或いは不完全になるおそれがある。
【0004】
ここで、インクを格納する格納手段と、その格納手段から供給されたインクが充填される圧力室と、その圧力室内のインクに対して圧力を付与する圧力付与手段と、その圧力付与手段によって圧力が付与されたインクが噴射される噴射ノズルとを備えたインクジェットヘッドを有するプリンタでも、上記香り発生装置と同様の問題が生じる。このようなプリンタでは、キャリッジに摺動自在に取り付けられているインクジェットヘッドを、摺動可能範囲の端部にあるクリーニング位置まで移動させ、そのクリーニング位置に固設されている吸引回復機構によって噴射ノズル内から芳香剤を吸引し、噴射ノズルの目詰まり等を防止している。
【0005】
しかし、香り発生装置では、格納手段や圧力室、噴射ノズル等が装置に対して固設されており、移動不能なため、上記プリンタのような構成を採用することができない。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、格納手段や圧力室、噴射ノズル等が装置に対して固設されている香り発生装置であって、噴射ノズルの目詰まりを防止でき、噴射ノズル内に気泡が混入してもそれを除去することができる香り発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、芳香剤を格納する格納手段と、その格納手段から供給された芳香剤が充填される圧力室と、その圧力室内の芳香剤に対して圧力を付与する圧力付与手段と、その圧力付与手段によって圧力が付与された芳香剤が噴射される噴射ノズルとを備えた香り発生装置であって、上記噴射ノズルの噴射口を気密的に覆うキャップと、そのキャップ内に負圧を発生させる負圧発生手段とを有する吸引回復機構を備え、該吸引回復機構は、負圧発生手段によってキャップ内に負圧を発生させて噴射ノズル内から芳香剤を吸引することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の香り発生装置において、上記格納手段を内蔵する装置本体を備え、該装置本体には、格納手段の交換または格納手段に対する芳香剤の補充をする際に開閉される開閉カバーが設けられており、また、上記吸引回復機構は、噴射ノズルの噴射口を覆う吸引位置と、噴射ノズルから噴射される芳香剤と干渉しない退避位置との間を移動可能に構成されており、上記開閉カバーの開き動作に連動して吸引回復機構が吸引位置に移動し、開閉カバーの閉じ動作に連動して吸引回復機構が退避位置に移動するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の香り発生装置において、上記開閉カバーは、所定軸を中心に回動するように装置本体に対して軸支されており、また、上記吸引回復機構は退避位置方向に付勢されており、開閉カバーを開き動作した場合に、開閉カバーに連接された連接部材によって、吸引回復機構を上記付勢力に抗して吸引位置方向に押圧して移動させることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の香り発生装置において、上記開閉カバーは、所定軸を中心に回動するように装置本体に対して軸支されており、また、上記吸引回復機構は吸引位置方向に付勢されており、開閉カバーを閉じ動作した場合に、開閉カバーに連接された連接部材によって、吸引回復機構を上記付勢力に抗して退避位置方向に押圧して移動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、噴射ノズルの噴射口をキャップで気密的に覆った状態で負圧発生手段によってキャップ内に負圧を発生させることにより、噴射ノズル内から芳香剤を吸引できる。そのため、装置の使用後に噴射ノズル残った芳香剤を除去できるので、芳香剤の溶媒成分の蒸発による噴射ノズルの目詰まりが生じず、また、噴射ノズルに残った芳香剤内に混入した気泡による動作不能、不完全動作も生じない。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、開閉カバーの開き動作に連動して吸引回復機構が吸引位置に移動し、開閉カバーの閉じ動作に連動して吸引回復機構が退避位置に移動するように構成されている。そのため、装置の作動時には、開閉カバーを閉じることにより、吸引回復機構を、噴射ノズルから噴射される芳香剤と干渉しない退避位置に位置させることができると共に、装置の非作動時には、開閉カバーを開くことにより、吸引回復機構を、噴射ノズルの噴射口を覆う吸引位置に位置させ、噴射ノズル内からの芳香剤の吸引を行うことができる。
【0013】
この場合、請求項3記載の発明のように、上記開閉カバーは、所定軸を中心に回動するように装置本体に対して軸支されており、また、上記吸引回復機構は退避位置方向に付勢されており、開閉カバーを開き動作した場合に、開閉カバーに連接された連接部材によって、吸引回復機構を上記付勢力に抗して吸引位置方向に押圧して移動させるようにするか、請求項4記載の発明のように、上記開閉カバーは、所定軸を中心に回動するように装置本体に対して軸支されており、また、上記吸引回復機構は吸引位置方向に付勢されており、開閉カバーを閉じ動作した場合に、開閉カバーに連接された連接部材によって、吸引回復機構を上記付勢力に抗して退避位置方向に押圧して移動させるようにするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
【0015】
図1を参照して、1は香料等噴射装置であり、ケーシング2と、そのケーシング2の上部に配設された開閉自在のカバー部材3とを備えている。
【0016】
ケーシング2は、下ケーシング4とその上側に固設される上ケーシング5とで構成されている。
【0017】
図2を参照して、下ケーシング4は、ケーシング2の底面及び側面下部を構成するトレー状部41と、そのトレー状部41の上面側に形成されて、トレー状部41の上面と共に送風通路Aの水平部分A1を構成する水平部分形成部42と、送風通路Aの水平部分A1の一端に連通する送風通路Aの垂直部分A2を構成する垂直部分形成部43とを有している。
【0018】
上ケーシング5は、ケーシング2の側面上部及び上面の一部を構成する外周部51と、下ケーシング4に対して上ケーシング5を固設した際に下ケーシング4の垂直部分形成部43の上端に接続されて送風通路Aの出口部分A3を構成する出口部分形成部52とを有している。出口部分形成部52の上端は外周部51に接続されており、その出口部分形成部52が接続された外周部51部分には複数の上部送出用スリット53が形成されている。この送出用スリット53から、送風通路Aを流れてきた空気が装置1外に送出される。また、上ケーシング5の上部には、外周部51の上端によって形成される開口部54が形成されている。
【0019】
下ケーシング4の水平部分形成部42の上面側には、インクジェット式の4色用のプリンタヘッド6が固設されており、そのプリンタヘッド6の噴射ノズル61に対応させて、水平部分形成部42に放出孔44が形成されている。また、同じく水平部分形成部42の上面側には、プリンタヘッド6に対して適切な位置にカートリッジ(格納手段)7をセットするためのカートリッジセット部材8が固設されている。
【0020】
下ケーシング4の水平部分形成部42の下面側であって、上記垂直部分形成部43と反対側の端部には、送風通路Aに送風するためのファン9が設けられている。このファン9側の下ケーシング4の側面下部には吸気孔45が開いており、吸気孔45とファン9の間には装置1内に送風用空気を取り入れる際に空気中の塵埃を取り除くためのフィルター46が設けられている。これにより、ファン9が駆動すると、吸気孔45から装置1外の空気が装置1内に取り入れられ、その空気が送風通路Aに送風される。なお、フィルター46は、カバー部材3を開けることにより交換可能である。
【0021】
図3を参照して、上ケーシング5の外周部51の後面側には、上記開口部54から高さ方向中央部にわたる2つの切り欠き55が設けられており、それら切り欠き55の下端にカバー部材3を軸支するための支軸56が設けられている。
【0022】
図4を参照して、上記カートリッジセット部材8にセットされるカートリッジ7は、4つのインクタンク71a、71b、71c、71dを有する4色用のインクジェットタイプのものであり、それぞれのインクタンク71a、71b、71c、71dに互いに異なる種類の芳香剤を格納可能である。各インクタンク71a、71b、71c、71d下部には、それぞれ、インクタンク71a、71b、71c、71dから供給される芳香剤を充填する圧力室72が付設されている。また、各インクタンク71a、71b、71c、71dの下部には、後述する残量検出センサ82によって各インクタンク71a、71b、71c、71d内に格納された芳香剤の残量を検出するための被検出部73が設けられている。
【0023】
上記プリンタヘッド6は、図2に示すように、カートリッジ7の圧力室72に対して熱を加える加熱機構(圧力付与手段)62を備えている。この加熱機構62が圧力室72にたいして熱を加えることにより、圧力室72内の香料に発泡を生じせしめ、その気泡の圧力により圧力室72からプリンタヘッド6の噴射ノズル61に対して芳香剤を送出する。そして、噴射ノズル61に対して送出された芳香剤は、噴射ノズル61の噴射口から下方に噴射される。
【0024】
上記カートリッジセット部材8は、カートリッジ7を上側から固定するためのハンドル81と、カートリッジ7内部の芳香剤の残量を検出するための非接触式の残量検出センサ82とを有している。
【0025】
残量検出センサ82は、各インクタンク71a、71b、71c、71dに対して、それぞれ1つずつ設けられており、各タンク内の芳香剤の残量を個別に検出する。
【0026】
カートリッジ7のセットは、ケーシング2上部のカバー部材3を開け、カートリッジセット部材8のハンドル81を開放した状態で所定のセット位置にカートリッジを載置し、ハンドル81を閉め、カバー部材3を閉めることによって行う。また、カートリッジ7の取り外しは、カートリッジ7のセットと逆の手順で行われる。カートリッジ7がカートリッジセット部材8にセットされると、圧力室72がプリンタヘッド6に係合する。
【0027】
上記カバー部材3は、図3に示すように、上ケーシング5上部の開口部54を覆う蓋部31と、その蓋部31の後部から下方に延びる2つの支持部32と、その2つの支持部32の間に設けられ、同じく下方に延びる押圧部33(連接部材)とを備えている。支持部32は、上記外周部51後面の切り欠き55に嵌合するように形成されており、その下端に、切り欠き55下端の支軸56に係合する軸受け34が形成されている。この軸受け34を切り欠き55下端の支軸56に係合させることにより、支持部32が切り欠き55に嵌合し、カバー部材3が支軸を中心に回動する。カバー部材3を装置後方に回動させると蓋部31が上ケーシング5上部の開口部54に対して開き状態となり、カバー部材3を装置前方に回動させると蓋部31が上ケーシング5上部の開口部54に対して閉じ状態となる。また、上記押圧部33は、上ケーシング5の外周部51の内部に収容され、カバー部材3の回動に応じて揺動する。
【0028】
下ケーシング4の水平部分形成部42の放出孔44の下面側には、図2に示すように、装置の前後方向(紙面に対して垂直方向)に沿う2本のレール部材141が設けられており、このレール部材14に対して、装置の前後方向に摺動自在に吸引回復機構15が設けられている。
【0029】
吸引回復機構15は、プリンタヘッド6の噴射ノズル61の噴射口を気密的に覆うキャップと151、そのキャップ151内の空間に対して吸引路152を介して接続される吸引ポンプ153と、同じくキャップ151内の空間と大気とを連通して大気圧に解放するための解放路154とを備えている。解放路154の途中には電磁弁155が設けられており、この電磁弁155を開くことによってキャップ内の空間を大気圧にする。
【0030】
また、吸引回復機構15は、図7に示すように、装置後方に延びる被押圧部156を有していると共に、弾性バネ16によって装置後方に付勢されている。
【0031】
上記押圧部33は、カバー部材3が閉じられている場合、その先端33aが後方位置aに位置し、吸引回復機構15の被押圧部156と接触しないようになっている。このとき、吸引回復機構15は、弾性バネ16の付勢力により、プリンタヘッド6の噴射ノズル61から噴射される芳香剤と干渉しない退避位置αに位置する。なお、吸引回復機構15には、退避位置αに位置しているときに、プリンタヘッド6とレール部材14との間に介挿される遮蔽板157を有している。この遮蔽板157は、吸引回復機構15本体から延設された2枚の縦板と、その2枚の縦板をつなぐ横板とでコ字状になっており、これにより、プリンタヘッド6の噴射ノズル61から噴射される芳香剤が確実に送風通路Aの水平部分A1に拡散する。
【0032】
また、カバー部材3を閉じ状態から開き状態にした場合、押圧部33が揺動し、その先端33aは、上記後方位置aから前方位置bに変位し、吸引回復機構15の被押圧部156を、弾性バネ16の付勢力に抗して前方に押圧する。このとき、吸引回復機構15は、押圧部33の押圧力により、プリンタヘッド6の噴射ノズル61の噴射口を覆う吸引位置βに位置する。
【0033】
ケーシング2の前面には、操作者が芳香剤の種類選択等を行うための操作部10が設けられている。また、この操作部10の左側には、操作部10の操作状況、カートリッジに格納されている芳香剤の種類、噴射されている芳香剤の種類等を表示するLCD(Liquid Crystal Display )表示部11が設けられている。そして、このLCD表示部11の上側には、各インク タンク71a、71b、71c、71d内の芳香剤の有無をLEDの点滅(タンク内が空の場合に点滅)で示すLED表示部12が設けられている。このLED表示部12は、5つのLED121、122、123、124、125で構成されている。4つのLED121、122、123、124には、番号「1」、「2」、「3」、「4」がそれぞれ付記されており(図示せず)、各インクタンク71a、71b、71c、71d内の残量がない場合にそれぞれ点滅する。また、LED125には、文字「all」が付記されており(図示せず)、全インクタンク71a、71b、71c、71d内の残量がない場合に点滅する。
【0034】
また、水平部分形成部42の上面側には、装置全体を制御する制御部13が設けられている。この制御部13は、図6に示すように、制御手段であるCPU(Central Processing Unit)131と、RAM(Random Access Memory )132と、ROM(Read Only Memory )133と、ファン9を駆動するファンドライバ134と、プリンタヘッド6を駆動するヘッドドライバ135と、各種I/Oポート136〜139とを備えている。そして、ファンドライバ134にファン9が、ヘッドドライバ135にプリンタヘッド6が、各種I/Oポート136〜139にそれぞれ操作部10、LCD表示部11及びLED表示部12、残量検出センサ82が接続されている。
【0035】
RAM132には、CPU131が演算を行うためのデータが展開される。また、ROM133には、CPU131がファン9、プリンタヘッド6、LCD表示部11及びLED表示部12を制御するための基本設定情報が記憶されている。 次に、上述した構成からなる香料等噴射装置1の作用について説明する。
【0036】
まず、香料等噴射装置1による香料の噴射は、(1)カートリッジ7のセット、(2)噴射させる芳香剤の選択、(3)芳香剤の所定時間噴射、の順で行われる。 この香料等噴射装置1による香料の噴射が終了し、噴射ノズル内から芳香剤を吸引する場合には、操作者はまず、カバー部材3を開き状態にし、押圧部33を揺動させてその先端33aを後方位置aから前方位置bに変位させる。これにより、吸引回復機構15の被押圧部156を、弾性バネ16の付勢力に抗して前方に押圧し、吸引回復機構15をプリンタヘッド6の噴射ノズル61の噴射口を覆う吸引位置βに位置させる。
【0037】
続いて操作者は、操作部10により、吸引回復動作を開始させるための操作を行う。この操作が行われると、吸引回復機構15の電磁弁155が閉じられると共に、吸引ポンプ153が駆動してキャップ151内の空間に負圧を発生させる。これにより、キャップ151がプリンタヘッド6の噴射ノズル61の噴射口を気密的に覆い、噴射ノズル61内のインクが吸引される。所定時間または所定量のインク吸引が行われると、電磁弁155が開かれると共に、吸引ポンプ153の駆動が停止する。これにより、キャップ155内の空間が解放路154によって大気圧と等しくなり、噴射ノズル61からのインク吸引が終了する。
【0038】
吸引されたインクは不図示のインク溜めに入る。インク溜めが満量となり、吸引力が落ちた場合は、下ケーシング4に設けられたメンテナンスハッチ(不図示)を外し、吸引回復機構15を露出させてインク溜めを空のものと交換する。
【0039】
そして、操作者は、カバー部材3を閉じ状態にし、押圧部33を揺動させてその先端33aを前方位置aから後方位置bに変位させる。これにより、吸引回復機構15の被押圧部156に対する押圧部33による押圧を解き、吸引回復機構15を、弾性バネ16の付勢力によって、プリンタヘッド6の噴射ノズル61から噴射される芳香剤と干渉しない退避位置αに位置させる。
【0040】
なお、上記実施形態では、吸引回復機構15を、カバー部材3の押圧部33による押圧で移動させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カバー部材3の開き動作に連動して吸引回復機構15が吸引位置βに移動し、カバー部材3の閉じ動作に連動して吸引回復機構15が退避位置αに移動するように構成されていれば、どのような構成であっても良い。
【0041】
また、上記実施形態では、吸引回復機構15を退避位置α方向に付勢し、カバー部材3を開き動作した場合に、カバー部材3の押圧部33によって、吸引回復機構15を付勢力に抗して吸引位置β方向に押圧して移動させているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、吸引回復機構15を吸引位置β方向に付勢し、カバー部材3を閉じ動作した場合に、カバー部材3の押圧部33によって、吸引回復機構15を付勢力に抗して退避位置α方向に押圧して移動させるようにしても良い。
【0042】
また、押圧部33を移動伝達部とし、吸引回復機構15とリンク部材で連結させる等の手段により、付勢力を用いずに吸引回復機構15を移動させるようにしても良い。
【0043】
さらに、吸引回復機構の移動は、本実施形態に示した水平方向の移動以外にも様々な移動形態をとりうる。例えば、送風通路Aの床下に潜り込むような垂直方向の移動であっても良いし、所定の支軸を中心とした回転による移動であっても良い。
【0044】
なお、上記実施形態では、インクタンクを複数備えたカートリッジ7を用いた香料等噴射装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、インクタンクが1つのものでも良い。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る香料等噴射装置を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係る香料等噴射装置を示す断面図
【図3】カバー部材を取り外した状態の香料等噴射装置を示す背面斜視図
【図4】カートリッジを取り外した状態の香料等噴射装置を示す斜視図
【図5】香料等噴射装置の制御部を示すブロック図
【図6】プリンタヘッド及び吸引回復機構を示す断面図
【図7】カバー部材を閉じた状態での吸引回復機構を示す斜視図
【図8】カバー部材を開いた状態での吸引回復機構を示す斜視図
【符号の説明】
【0047】
61 噴射ノズル
62 加熱機構
7 カートリッジ
72 圧力室
15 吸引回復機構
151 キャップ
153 吸引ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香剤を格納する格納手段と、その格納手段から供給された芳香剤が充填される圧力室と、その圧力室内の芳香剤に対して圧力を付与する圧力付与手段と、その圧力付与手段によって圧力が付与された芳香剤が噴射される噴射ノズルとを備えた香り発生装置であって、
上記噴射ノズルの噴射口を気密的に覆うキャップと、そのキャップ内に負圧を発生させる負圧発生手段とを有する吸引回復機構を備え、
該吸引回復機構は、負圧発生手段によってキャップ内に負圧を発生させて噴射ノズル内から芳香剤を吸引することを特徴とする香り発生装置。
【請求項2】
上記格納手段を内蔵する装置本体を備え、該装置本体には、格納手段の交換または格納手段に対する芳香剤の補充をする際に開閉される開閉カバーが設けられており、また、上記吸引回復機構は、噴射ノズルの噴射口を覆う吸引位置と、噴射ノズルから噴射される芳香剤と干渉しない退避位置との間を移動可能に構成されており、
上記開閉カバーの開き動作に連動して吸引回復機構が吸引位置に移動し、開閉カバーの閉じ動作に連動して吸引回復機構が退避位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の香り発生装置。
【請求項3】
上記開閉カバーは、所定軸を中心に回動するように装置本体に対して軸支されており、また、上記吸引回復機構は退避位置方向に付勢されており、
開閉カバーを開き動作した場合に、開閉カバーに連接された連接部材によって、吸引回復機構を上記付勢力に抗して吸引位置方向に押圧して移動させることを特徴とする請求項2に記載の香り発生装置。
【請求項4】
上記開閉カバーは、所定軸を中心に回動するように装置本体に対して軸支されており、また、上記吸引回復機構は吸引位置方向に付勢されており、
開閉カバーを閉じ動作した場合に、開閉カバーに連接された連接部材によって、吸引回復機構を上記付勢力に抗して退避位置方向に押圧して移動させることを特徴とする請求項2に記載の香り発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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