説明

駆動システム

【課題】既存の設備を最大限用いることによって、設備コストの上昇を抑えることが可能であって、エネルギ効率の高い駆動システムを提供する。
【解決手段】エアーシリンダ10は、シリンダ101内にピストン102が収納されている。シリンダ室101aには、配管31が気密接続されており、配管31の他端は、エアー容量制御部20の第2シリンダ室201aに気密接続されている。エアー容量制御部20には、第2ピストン202が収納されており、第2ピストン202の可動により第2シリンダ室201aの容量が変化する。第2ピストン202は、電動モータ207からの駆動力を、ギア206,203を介して伝達され、可動する。エアーシリンダ10のピストン102は、エアー容量制御部20の第2シリンダ室201aの容量変化量に応じてシリンダ室101aの容量が変化することによって、矢印D,Dの方向に可動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動システムに関し、流体を媒体として駆動するシリンダを有する駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産ラインなどでは、エアーコンプレッサで圧縮されたエアーを用い駆動するエアーシリンダが多く用いられている。エアーコンプレッサとエアーシリンダとは、配管を介して接続されており、エアーシリンダを駆動させるたびに、圧縮されたエアーが供給される。
また、生産ラインなどでは、マテリアルハンドリングなどの際に用いられるチャック装置の開閉などにおいてもエアーシリンダが採用されている。特に、チャック装置では、電動モータなどを駆動源とする場合に比べて、装置の小型化が容易である、という優位性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平02−10281号公報
【特許文献2】特開平08−270605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エアーコンプレッサで圧縮したエアーを用いる駆動システムにおいては、エネルギ効率が低いという問題がある。仮に、エアーシリンダで駆動していた部分を電動モータなどに置き換えることができたとしたならば、消費エネルギを1/3に低減することができる。ただし、上記のように、配置スペースという観点から、エアーシリンダを同等の力を有する電動モータに置き換えることは実質的に不可能である。
【0005】
なお、上記のような問題は、エアーシリンダを有する駆動システムだけでなく、例えば、油圧シリンダを有する駆動システムにおいても同様である。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、既存の設備を最大限用いることによって、設備コストの上昇を抑えることが可能であって、エネルギ効率の高い駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、次のような構成を採用することとした。
本発明に係る駆動システムは、 (i)流体シリンダと、(ii)流体容量制御部と、(iii)配管と、を備える。
(i) 流体シリンダ;第1シリンダ容器と、当該第1シリンダ容器内に、可動自在の状態で収納された第1ピストンとを有し、第1ピストンにより第1シリンダ容器内に第1シリンダ室が構成されている。
【0007】
(ii) 流体容量制御部;流体シリンダの第1シリンダ室の流体容量を制御するものであって、第2シリンダ容器と、当該第2シリンダ容器内に可動自在の状態で収納された第2ピストンと、第2ピストンに連結され、電動で第2ピストンを第2シリンダ容器内で可動させる電動動力源とを有し、第2ピストンにより第2シリンダ容器内に構成された第2シリンダ室が、電動動力源からの作用を受けた前記第2ピストンの可動により容量変化する。
【0008】
(iii) 配管;流体シリンダの第1シリンダ室と流体容量制御部との間を、気密状態で接続する経路である。
そして、本発明に係る駆動システムにおいては、流体シリンダが、配管を介し、流体容量制御部における第2ピストンの可動による第2シリンダ室の容量変化量に応じて、第1シリンダ室の容量が変化することにより、当該容量変化に追従して第1ピストンが可動する、ことを特徴とする駆動システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る駆動システムでは、流体容量制御部において、電動駆動源からの作用により、第2ピストンが可動することによって、第2シリンダ室の容量が変化する。そして、第2シリンダ室は流体シリンダの第1シリンダ室に配管によって気密(液密)に接続されているので、第2シリンダ室の容量変化量に応じて、流体シリンダのピストンが可動する。
【0010】
このように、本発明に係る駆動システムでは、コンプレッサで圧縮された流体(エアー)を流体シリンダに供給するのではなく、流体容量制御部の第2シリンダ室の容量変化量に応じて、流体シリンダの第1ピストンを可動させるので、コンプレッサを用い圧縮エアーを生成し、これをエアーシリンダに供給する従来技術に比べてエネルギ効率を高くすることができる。
【0011】
また、本発明の駆動システムでは、流体シリンダから離れた箇所に流体容量制御部を設置することも可能であるので、既存の設備における流体シリンダをそのまま用い、駆動システムを構築することも可能である。その際にも、流体シリンダ自体を交換する必要は必ずしもないので、ラインを設計し直すという必要がない。
従って、本発明に係る駆動システムでは、既存の設備を最大限利用することによって、設備コストの上昇を抑えることが可能であって、エネルギ効率が高い。
【0012】
本発明に係る駆動システムでは、一例として、次のようなバリエーション構成を採用することもできる。
本発明に係る駆動システムでは、上記構成において、流体シリンダの第1シリンダ容器内に、第1ピストンを境にシリンダ室とは反対側に第3シリンダ室が構成され、流体容量制御部が、電動動力源からの作用により、第2シリンダ室の容量変化とは反比例の関係を以って容量が変化する第4シリンダ室を有する。そして、流体シリンダの第3シリンダ室は、流体容量制御部の第4シリンダ室と第2配管により気密(液密)状態で接続されているとともに、容量が、第2配管を介し、第4シリンダ室の容量変化量に応じて変化し、流体シリンダにおける第1シリンダ室の容量と第3シリンダ室の容量とは反比例する関係を以って変化するものであって、流体シリンダの第1ピストンは、第1シリンダ室の容量変化に加え、第3シリンダ室の容量変化に追従して可動する、という構成とすることができる。
【0013】
このように、流体シリンダにおける第1シリンダ室と第3シリンダ室の両容量を制御することで、第1ピストンを可動させることができる。このような構成を採用する場合には、流体シリンダを高い精度で制御することができる。
本発明に係る駆動システムでは、上記構成において、配管および第2配管の少なくとも一方に対して、内封されている流体の圧力を所定の範囲に維持するために流体を補充する流体補充部が接続されている、という構成とすることができる。
【0014】
このように流体補充部を設けるようにすれば、流体シリンダおよび流体容量制御部と、配管との間などにおいて、経時的な要因などにより気密性が劣化したような場合にあっても、エアーの圧力を所定の範囲に維持することができるので、流体シリンダの可動に係る位置精度などを高く維持することが可能となる。
なお、システムのメンテナンスを定期的に行うような場合を考慮する場合には、必ずしも流体補充部を設ける必要はない。
【0015】
本発明に係る駆動システムでは、上記構成において、配管および第2配管の少なくとも一方に対して、環境温度の変化に対しても、内封されている流体の圧力を所定の範囲に維持するための温度補正部が接続されているという構成を採用することができる。
流体の圧力は、外部環境の内でも環境温度に強く依存する。このため、環境温度が変化した場合には、流体シリンダの可動精度が低下することも考えられるが、上記のように、温度補正部を接続する構成を採用する場合には、温度変化による流体圧力の変動を抑えることができ、流体シリンダの可動精度を高く維持することが可能となる。
【0016】
本発明に係る駆動システムでは、上記構成において、流体としてエアーを採用することができる。なお、エアー以外にも、例えば、窒素ガスなどの気体や、油などの液体などを採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る駆動システム1の構成を示す模式図である。
【図2】駆動システム1の駆動中の状態を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る駆動システム2の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る駆動システム3の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参酌しながら説明する。
なお、以下の説明に係る実施の形態は、本発明の構成上の特徴および当該特徴的構成から得られる作用効果を分かりやすく説明するための例として用いるものである。よって、本発明は、その本質的な特徴部分を除き、以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
[実施の形態1]
1.駆動システム1の構成
本発明の実施の形態1に係る駆動システム1の概略構成について、図1を用い説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る駆動システム1は、エアーシリンダ10およびエアー容量制御部20と、エアーシリンダ10とエアー容量制御部20との間のエアー経路としての配管31,32を主な要素として構成されている。エアーシリンダ10は、筒状のシリンダ101と、その中に収納された第1ピストン102、ピストン102に接合されたロッド103を有し構成されている。シリンダ101の内部空間は、ピストン102により第1シリンダ室101aと第3シリンダ室101bとに区画されており、ピストン102がシリンダ101内で可動(矢印D,Dの方向に可動)することにより、第1シリンダ室101aと第3シリンダ室101bとの容量の割合が互いに反比例する関係を以って変化する。即ち、ピストン102の可動により、例えば、第1シリンダ室101aの容量が減少した場合、その減少分だけ第3シリンダ室101bの容量が増加することになる。
【0020】
エアー容量制御部20は、シリンダ201内に、互いに仕切られた2つの空間を有し、それぞれにピストン202とピストン204が収納されている。ピストン202およびピストン204のそれぞれには、ロッド状のギア203,205が接合されている。ギア203,205に対しては、一つの円盤状のギア206が噛合するようになっている。
エアー容量制御部20のシリンダ201内は、ピストン202により第2シリンダ室201aが区画され、ピストン204により第4シリンダ室201bが区画されている。ピストン202とピストン204とは、ギア206が矢印Aのように回転することに伴って、互いに逆方向(矢印Bおよび矢印C)に向けて可動する。
【0021】
図1の二点鎖線で囲んだ部分に示すように、ギア203,205に対し噛合するギア206は、回転シャフト209の一端に取り付けられており、回転シャフト209は、減速用のギアボックス208を介して電動モータ207に接続されている。
なお、エアーシリンダ10の第1シリンダ室101aと配管31、配管31とエアー容量制御部20の第2シリンダ室201aとは、互いに気密に接合されており、内部に所定の圧力(例えば、1×10[Pa]〜9×10[Pa])のエアーが充填されている。エアーシリンダ10の第3シリンダ室101bと配管32、配管32とエアー容量制御部20の第4シリンダ室201bとについても、互いに気密に接合されており、内部に所定の圧力(例えば、1×10[Pa]〜9×10[Pa])のエアーが充填されている。
【0022】
2.駆動システム1の駆動方法
駆動システム1の駆動方法について、図1に加え、図2を用い説明する。
先ず、図1に示すように、エアー容量制御部20のピストン202が後退した状態であり、ピストン204が前進した状態である場合には、エアーシリンダ10のピストン102は後退した状態となっており、ピストン102に接合されたロッド103は、矢印Dの方向に後退した状態となっている。
【0023】
一方、図2に示すように、ギア206の回転により、エアー容量制御部20のピストン202が前進し、ピストン204が後退した場合には、エアーシリンダ10のピストン102は前進し、ピストン102に接合されたロッド103は、矢印Eの方向に前進する。
ここで、本実施の形態に係る駆動システム1では、エアーシリンダ10の第1シリンダ室101aと配管31、配管31とエアー容量制御部20の第2シリンダ室201aとは、互いに気密に接合され、また、エアーシリンダ10の第3シリンダ室101bと配管32、配管32とエアー容量制御部20の第4シリンダ室201bとについても、互いに気密に接合されているので、それぞれに内封されたエアーの容量は、互いに一定の状態が維持される。
【0024】
3.優位性
本実施の形態に係る駆動システム1では、コンプレッサで圧縮されたエアーをエアーシリンダに供給するのではなく、エアー容量制御部20の第2シリンダ室201aの容量変化量に応じて、エアーシリンダ10のピストン102を可動させるので、コンプレッサを用いる場合に比べてエネルギ効率を高くすることができる。
【0025】
また、駆動システム1では、エアーシリンダ10から離れた箇所にエアー容量制御部20を設置することも可能であるので、既存の設備におけるエアーシリンダをそのまま用い、システムを構築することも可能である。その際にも、エアーシリンダ自体を交換する必要は必ずしもないので、ラインを設計し直すという必要がない。
従って、本実施の形態に係る駆動システム1では、既存の設備を最大限利用することによって、設備コストの上昇を抑えることが可能であって、エネルギ効率が高い。
【0026】
また、本実施の形態に係る駆動システム1では、エアーシリンダ10の第1シリンダ室101aと第3シリンダ室101bの両方の容量を、エアー容量制御部20により制御することとしているので、エアーシリンダ10における第1シリンダ室101aまたは第3シリンダ室101bの一方の容量だけを制御する場合に比べて、エアーシリンダ10の駆動に係る位置精度が高くすることができる。ただし、エアーシリンダ10に求められる精度によっては、エアーシリンダ10における第1シリンダ室101aまたは第3シリンダ室101bの一方の容量だけを制御することとしてもよい。
【0027】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る駆動システム2の構成について、図3を用い説明する。なお、以下の説明においては、上記実施の形態1に係る駆動システム1と同様の構成についての説明を省略し、その差異部分だけを説明する。
図3に示すように、本実施の形態に係る駆動システム2では、上記実施の形態1に係る駆動システム1の構成に加え、エアー補充部40を備えるところに特徴を有する。エアー補充部40は、エアーボンベ401と、これから延出された配管402,405,406を備える。配管405と配管406とは、配管402から分岐されており、配管405が配管31に気密接続されており、配管406が配管32に気密接続されている。
【0028】
また、配管405中には、バルブ403が挿設され、配管406中には、バルブ404が挿設されている。バルブ403,404は、例えば、オペレータが手動で開閉可能となっているが、配管31,32のエアー圧力を常時監視できる圧力計などを設けておき、その検出結果に基づいて自動開閉するようしておくことも可能である。
本実施の形態に係る駆動システム2では、上記実施の形態1に係る駆動システム1の構成要素に加えて、エアー補充部40を設けているので、エアーシリンダ10およびエアー容量制御部20と、配管31,32との間などにおいて、経時的な要因などにより気密性が劣化したような場合にあっても、エアーの圧力を所定の範囲に維持することができるので、エアーシリンダ10の可動に係る位置精度などを高く維持することが可能となる。
【0029】
また、本実施の形態に係る駆動システム2では、上記実施の形態1に係る駆動システム1の構成要素を全て備えているので、上記駆動システム1が奏する効果について、同様に効果を奏することができる。
なお、エアーシリンダ10およびエアー容量制御部20と、配管31,32との間などの気密接続の状態を考慮するとき、システム中に必ずしもエアー補充部40を設ける必要はない。
【0030】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3に係る駆動システム3の構成について、図4を用い説明する。なお、以下の説明においては、上記実施の形態1,2に係る駆動システム1,2と同様の構成についての説明を省略し、その差異部分だけを説明する。
図4に示すように、本実施の形態に係る駆動システム3では、上記実施の形態2に係る駆動システム2の構成に加え、温度補正部50を備えるところに特徴を有する。
【0031】
温度補正部50は、補正シリンダ51,52,55,56と、配管54,58とを主な要素として構成されている。補正シリンダ51,55は、それぞれシリンダ511,551を備え、各シリンダ511,551の内部にピストン512,552が可動自在に収納されている。シリンダ511,551の各内部においては、ピストン512,552によりシリンダ室511a,551aが区画されており、シリンダ室511aは配管54を介して配管31に連通され、シリンダ室551aは配管58を介して配管32に連通されている。なお、シリンダ511,551における各ピストン512,552を挟んだ反対側の空間は、開口511h,551hを通して解放されている。
【0032】
補正シリンダ52,56も、それぞれシリンダ521,561を備え、各シリンダ521,561の内部にピストン522,562が可動自在に収納されている。シリンダ521,561の各内部においては、ピストン522,562によりシリンダ室521a,561aが区画されている。なお、シリンダ521,561における各ピストン522,562を挟んだ反対側の空間は、上記同様に、開口521h,561hを通して解放されている。
【0033】
ここで、シリンダ室521a,561aの内部には、高熱膨張流体が封入されている。高熱膨張流体としては、例えば、パラフィンなどを採用することができる。高熱膨張流体の選定にあたっては、線膨張率の高い物質を用いることが望ましい。パラフィンを用いる場合、パラフィンの線膨張率αは、110×10−6[/℃]であり、体積膨張率βは、“β=3α”の関係となる。
【0034】
図4に戻って、補正シリンダ51のピストン512と補正シリンダ52のピストン522とは、連結ロッド53により連結されており、補正シリンダ55のピストン552と補正シリンダ56のピストン562とは、連結ロッド57により連結されている。
温度補正部50を備える駆動システム3においては、例えば、外部温度が上昇し、配管31,32などの内部に封入されたエアーの圧力が上昇する傾向になった場合、補正シリンダ52のシリンダ室521aおよび補正シリンダ56のシリンダ室561aに各々封入された高熱膨張流体も膨張する。このため、補正シリンダ52のシリンダ室521aおよび補正シリンダ56のシリンダ室561aの各容量が大きくなり、ピストン522,562が移動する。そして、補正シリンダ51のピストン512および補正シリンダ55のピストン552は、補正シリンダ52のピストン522および補正シリンダ56のピストン562とそれぞれ連結ロッド53,57により連結されているので、シリンダ室511a,551aの容量が拡大される。
【0035】
なお、環境温度が低下した場合には、温度補正部50は上記と逆の動きをする。
以上のような構成を採用する駆動システム3では、温度補正部50の働きにより、外部温度の上下によっても配管31,32内のエアー圧力が略一定の状態に維持される。よって、本実施の形態に係る駆動システム3では、上記実施の形態2に係る駆動システム2が奏する効果に加えて、外部温度の上下があっても高い精度での駆動が可能である。
【0036】
ここで、補正シリンダ52のシリンダ室521aおよび補正シリンダ56のシリンダ室561aに封入される高熱膨張流体については、上記で一例としてあげたパラフィン以外の物質を用いることも可能であるが、その場合には、各物質の線膨張率を考慮し、ピストン512とピストン522との間、およびピストン552とピストン562との間に、例えば、ギアなどを介挿し、これによりピストン522,562の可動ストロークxに対し、ピストン512,552の可動ストロークyが、“y=k×x”となるようにすることができる。これにより、配管31,32内のエアー圧力を一定に維持することがより確実となる。
【0037】
なお、上記において、“k”は、配管31,32などに封入されるエアーとシリンダ室521a,561aに封入される高熱膨張流体との熱膨張率の差異に基づく係数である。
[その他の事項]
上記実施の形態1,2,3に係る駆動システム1,2,3では、一つのエアーシリンダ10に対して一つのエアー容量制御部20を設けることとしたが、本発明では、一つのエアー容量制御部20で駆動制御するエアーシリンダの数を二つ以上とすることも可能である。このように一つのエアー容量制御部20で二つ以上のエアーシリンダの駆動を制御する場合には、各エアーシリンダとエアー容量制御部20との配管中などに開閉バルブを挿設し、その開閉動作により駆動させるエアーシリンダを選択することが可能となる。
【0038】
また、図1に示すように、上記実施の形態1,2,3に係る駆動システム1,2,3では、電動モータ207により円盤型のギア206を回転駆動することでピストン202,204を可動させることとしたが、これ以外に電動動力源としてリニアモータなどを採用することもできる。また、図1に示すエアー容量制御部20のように、二つのピストン202,204を備える構成の他、一つのピストンの可動により、当該ピストンで区画される一方の空間と他方の空間を二つのシリンダ室とすることもできる。
【0039】
また、上記実施の形態1,2,3では、流体の一例としてエアーを採用したが、その他にも、窒素ガスなどの気体や、油などの液体を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、既存の設備を最大限利用することによって、設備コストを抑えながら、エネルギ効率の高い駆動システムを実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0041】
1.駆動システム
10.エアーシリンダ
20.エアー容量制御部
31,32,54,58,402,405,406.配管
40.エアー補充部
50.温度補正部
51,52,55,56.補正シリンダ
53,57.連結ロッド
101,201,511,521,551,561.シリンダ
101a.第1シリンダ室
511a,521a,551a,561a.シリンダ室
101b.第3シリンダ室
102,202,204,512,522,552,562.ピストン
103.ロッド
201a.第2シリンダ室
201b.第4シリンダ室
203,205,206.ギア
207.電動モータ
208.ギアボックス
209.回転シャフト
401.エアーボンベ
403,404.バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シリンダ容器と、当該第1シリンダ容器内に、可動自在の状態で収納された第1ピストンとを有し、前記第1ピストンにより前記第1シリンダ容器内に第1シリンダ室が構成された流体シリンダと、
前記流体シリンダの前記第1シリンダ室の流体容量を制御する流体容量制御部と、
前記流体シリンダの前記第1シリンダ室と前記流体容量制御部との間を、気密状態で接続する配管と、
を備え、
前記流体容量制御部は、第2シリンダ容器と、当該第2シリンダ容器内に可動自在の状態で収納された第2ピストンと、前記第2ピストンに連結され、電動で前記第2ピストンを前記第2シリンダ容器内で可動させる電動動力源とを有し、前記第2ピストンにより前記第2シリンダ容器内に構成された第2シリンダ室が、前記電動動力源からの作用を受けた前記第2ピストンの可動により容量が変化し、
前記流体シリンダは、前記配管を介し、前記流体容量制御部における前記第2ピストンの可動による前記第2シリンダ室の容量変化量に応じて、前記第1シリンダ室の容量が変化することにより、当該容量変化に追従して前記第1ピストンが可動する
ことを特徴とする駆動システム。
【請求項2】
前記流体シリンダの第1シリンダ容器内には、前記第1ピストンを境に前記第1シリンダ室とは反対側に第3シリンダ室が構成され、
前記流体容量制御部は、前記電動動力源からの作用により、前記第2シリンダ室の容量変化とは反比例の関係を以って容量が変化する第4シリンダ室を有し、
前記流体シリンダの第3シリンダ室は、前記流体容量制御部の前記第4シリンダ室と第2配管により気密状態で接続されているとともに、容量が、前記第2配管を介し、前記第4シリンダ室の容量変化量に応じて変化し、
前記流体シリンダにおける前記第1シリンダ室の容量と前記第3シリンダ室の容量とは反比例する関係を以って変化するものであって、
前記流体シリンダの前記第1ピストンは、前記第1シリンダ室の容量変化に加え、前記第3シリンダ室の容量変化に追従して可動する
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記配管および前記第2配管の少なくとも一方に対しては、内封されている流体の圧力を所定の範囲に維持するために流体を補充する流体補充部が接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記配管および前記第2配管の少なくとも一方に対しては、環境温度の変化に対しても、内封されている流体の圧力を所定の範囲に維持するための温度補正部が接続されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記流体は、エアーである
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−247040(P2012−247040A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121159(P2011−121159)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(592127965)NKE株式会社 (28)
【Fターム(参考)】