説明

駆動装置を有する車両

本発明に係る車両は駆動装置(10)を備え、該駆動装置は少なくとも推進ユニット(1)と駆動ユニット(2)とエネルギー変換ユニット(3)と第一エネルギー貯蔵ユニット(4)とを有する。該駆動ユニットは該推進ユニット(1)に力及び/又はトルクを供給するために設けられる。該エネルギー変換ユニットは該駆動ユニット(2)によりエネルギーを供給されるために設けられる。該第一エネルギー貯蔵ユニットはエネルギーを貯蔵するために設けられる。該駆動装置(10)はまた、間欠的に第一作動状態であって該第一作動状態において該推進ユニットは該駆動ユニットにより力及び/又はトルクを供給される第一作動状態を取り、或いは間欠的に第二作動状態であって、該第二作動状態において該駆動ユニットは該推進ユニットにより力及び/又はトルクを供給される第二作動状態を取るために設けられる。該第二作動状態において該駆動ユニットと該エネルギー変換ユニット(3)は該エネルギー変換ユニット又は該第一エネルギー貯蔵ユニット(4)にエネルギーを供給するために設けられる。該エネルギー変換ユニット(3)は電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動装置を有する車両に関し、特に前記駆動装置に駆動力を供給するためのリチウムイオンバッテリーに関連して説明される。本発明はまた、本発明に係る駆動装置を有する車両を作動させるための方法に関する。しかしながら、本発明はバッテリーの構造形式に関わりなく、あるいは、駆動力を供給される駆動部の種類に関わりなく応用可能である点を指摘しておく。
【背景技術】
【0002】
駆動装置を有する車両が従来技術として知られている。いくつかの構造形式において、効率はどちらかといえば小さい。
【0003】
特許文献1は、定置式にエネルギーを貯蔵するため、および、駆動電力供給システムから独立した陸上車両、船舶、航空機および宇宙船のために高温動作型蓄電池を用いる方法を記載している。システムに依存しない全ての種類の乗り物を、内燃機関による場合と同等に、あるいはより快適に駆動することも課題となっている。前記課題は、以下のように解決される。すなわち、燃料を用いることなく、前記発明に係る高温動作型蓄電池において重量単位または空間単位ごとにできるだけ大きな熱量が貯蔵され、できるだけ長い時間保存され、必要に応じて再びできるだけ大きな効率で駆動エネルギーとして放出されることによって解決される。このような課題を解決するための基本材料はグラファイトである。前記グラファイトは貯蔵材料としても用いられるが、同時に熱および電流の伝導のために用いられるとともに、抵抗加熱部として用いられる。前記方法は、上記の観点における貯蔵材料としてグラファイトのほかに、より効率の高い他の成分、あるいは、融解および蒸発エンタルピーが高い成分の化合物を用いている。さらに、いわゆる「ゼロエミッションカー」が車輪駆動型エンジンに対して必要とするのは電子工学的制御装置であり、それさえあれば前記車輪駆動型エンジンは制動時に発電機として作用するとともに、制動エネルギーを熱エネルギーとして再び蓄電池に供給することが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/097804号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような駆動装置を有する車両の効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は本発明により、独立請求項に記載の説示によって実現される。本発明の好適なさらなる構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明に係る車両は駆動装置を備えており、前記駆動装置は少なくとも一つの推進ユニットと、駆動ユニットと、エネルギー変換ユニットと、第一のエネルギー貯蔵ユニットと、を有している。駆動ユニットは、推進ユニットに力および/またはトルクを供給するために設けられている。エネルギー変換ユニットは、駆動ユニットによってエネルギーを供給されるために設けられている。エネルギー貯蔵ユニットはエネルギーを貯蔵するために設けられている。さらに駆動ユニットは間欠的に第一の作動状態であって、前記第一の作動状態において推進ユニットは駆動ユニットによって、力および/またはトルクを供給されている第一の作動状態を取り、あるいは間欠的に第二の作動状態であって、前記第二の作動状態において駆動ユニットは推進ユニットによって、力および/またはトルクを供給されている第二の作動状態を取るために設けられている。第二の作動状態において、駆動ユニットとエネルギー変換ユニットは、前記エネルギー変換ユニットもしくは第一のエネルギー貯蔵ユニットにエネルギーを供給するために設けられている。エネルギー変換ユニットは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために設けられている。
【0008】
本発明において車両とは、特に陸上車両、船舶、あるいは、航空機を意味する。好適に前記車両は、少なくとも一人の人間を搬送するために構成されている。前記陸上車両は、少なくとも一つの車輪または駆動チェーンを有しているのが好ましい。
【0009】
本発明において駆動装置とは、特に車両の駆動のために用いられる装置を意味する。本発明に係る駆動装置は、少なくとも一つの推進ユニットと、駆動ユニットと、エネルギー変換ユニットと、第一のエネルギー貯蔵ユニットと、を有している。本発明によれば駆動装置は車両を減速させるためにも用いられる。特に車両が減速する間に、駆動装置は運動エネルギーを他の出現形式に変換するとともに、変換されたエネルギーを貯蔵する。本発明において減速とは、特にスリップの間および/またはスライド運転の間に、外部負荷が車両に供給される場合に、推進ユニットの運動エネルギーが不変に保たれることも意味する。外部負荷によって車両に供給されるエネルギーは特に第一のエネルギー貯蔵ユニットに供給される。
【0010】
本発明において推進ユニットとは、特に動かすべき物体、流体または環境に力を伝達するために用いられる装置を意味する。推進ユニットは特に摩擦力、駆動力、トルクまたはインパルスを伝達する。推進ユニットは特に歯車、摩擦車、ピニオン、鎖歯車、ベルト車、ポンプ、船舶用スクリュープロペラ、プロペラ、またはガスタービンのタービン段もしくは膨張段として形成されているのが好ましい。
【0011】
本発明において駆動ユニットとは、特に前記推進ユニットに力および/またはトルクを供給するために設けられている装置を意味する。駆動ユニットは特に、前記推進ユニットによって力および/またはトルクを供給されるためにも設けられている。駆動ユニットは好ましくは、前記推進ユニットと摩擦接続的および/または形状接続的に、特に軸、ベルトまたは鎖によって接続されている。好適に駆動ユニットは電気モータとして、特に好適に直流モータとして形成されている。駆動ユニットは、前記駆動ユニットが前記推進ユニットを介して力および/またはトルクを供給されているとき、エネルギー変換ユニットにエネルギーを供給するのが好ましい。
【0012】
本発明においてエネルギー変換ユニットとは、特にエネルギーの出現形式を変換するために用いられる装置を意味する。エネルギー変換ユニットは間欠的に、前記駆動ユニットによってエネルギーを供給される。エネルギー変換ユニットに対して前記駆動ユニットからエネルギーが供給されるとき、前記エネルギー変換ユニットは供給されたエネルギーの出現形式を変換する。またエネルギー変換ユニットは間欠的に、変換されたエネルギーを第一のエネルギー貯蔵ユニットに供給する。エネルギー変換ユニットは、前記駆動ユニットおよび第一のエネルギー貯蔵ユニットの構造形式に応じて選択されているのが好ましい。エネルギー変換ユニットは好適に、エネルギーを熱エネルギーに変換する。そのために駆動ユニットは、エネルギー変換ユニットに対して、好適に電気的エネルギーを提供する。その後エネルギー変換ユニットは第一のエネルギー貯蔵ユニットに対して、好適に熱エネルギーを提供する。エネルギー変換ユニットは、複数の駆動ユニットからエネルギーを供給されるのが好ましい。エネルギー変換ユニットは好適にオーム抵抗として作用する。エネルギー変換ユニットは特に好適に、電気抵抗として形成されている。エネルギー変換ユニットは、特に異なる出力および/または構造形式を有する複数のエネルギー変換部を有しているのが好ましい。
【0013】
本発明において第一のエネルギー貯蔵ユニットとは、特に前記エネルギー変換ユニットから供給されるエネルギーを貯蔵する装置を意味する。このとき第一のエネルギー貯蔵ユニットの構造形式は、供給されるエネルギーの出現形式に応じて選択されている。第一のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、車両の消費部にエネルギーを提供するために設けられている。第一のエネルギー貯蔵ユニットは、熱エネルギーのための貯蔵部として形成されているのが好ましい。第一のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、少なくとも一つの周囲壁を有している。第一のエネルギー貯蔵ユニットは特に好適に、少なくとも領域ごとに、特に熱的絶縁部を有している。第一のエネルギー貯蔵ユニットに対して、特に温度を検出するために少なくとも一つの測定装置が配設されているのが好ましい。第一のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、組み立て式に形成されているとともに、車両内部の複数の場所に設けられている。第一のエネルギー貯蔵ユニットは車両の客室に、間欠的かつ希望により、熱エネルギーを供給するのが好ましい。
【0014】
本発明において第一の作動状態とは、前記駆動ユニットが前記推進ユニットに力および/またはトルクを供給する状態を意味する。好適に車両は第一の作動状態において加速される。好ましくは車両の運動エネルギーは、負荷がかけられる際に一定に保たれ、このとき加えられる負荷は、車両の最大速度ベクトルに対してほぼ反対に作用する。
【0015】
本発明において第二の作動状態とは、前記駆動ユニットに対して、前記推進ユニットを介して力および/またはトルクが供給される状態を意味する。第二の作動状態は好ましくは、車両の操作者によって開始される。好適に車両は第二の作動状態において減速される。好ましくは車両の運動エネルギーは、負荷がかけられる際に一定に保たれ、このとき加えられる負荷は、ほぼ車両の最大速度ベクトルの方向に作用する。
【0016】
本発明に係る前記駆動装置の構成によって、前記推進ユニットは第二の作動状態においてエネルギーを取り去られ、前記エネルギーは出現形式の変換の後に、貯蔵するために前記第一のエネルギー貯蔵ユニットに供給される。前記第一のエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵されるエネルギーは、車両の消費部に供給するために提供される。好適に第二の作動状態において運動エネルギーは取り戻され得る。好適に車両の既存の減速装置は、負荷を取り除かれるとともに前記減速装置の耐用年数が増大され得る。本発明が解決すべき課題はこのように解決される。
【0017】
本発明の有利なさらなる構成を以下に説明する。
【0018】
前記エネルギー変換ユニットは、少なくとも部分的に前記第一のエネルギー貯蔵ユニットに包囲されているのが好ましい。好適に複数のエネルギー変換ユニットは、少なくとも部分的に前記第一のエネルギー貯蔵ユニットに包囲されている。前記エネルギー変換ユニットは好適に、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットの周面と、特に熱伝導的に接触している。前記エネルギー変換ユニットは、ほぼ完全に前記第一のエネルギー貯蔵ユニットに包囲されているのが好ましい。前記エネルギー変換ユニットを前記第一のエネルギー貯蔵ユニット内に設けることにより好適に、良好な熱交換が可能となる。前記エネルギー変換ユニットは好ましくは、熱伝導性の材料による壁を有している。前記壁は、特にリブおよび/またはジブを有しているのが好ましく、前記リブおよび/またはジブは前記エネルギー変換ユニットの熱伝導性の表面を拡大することに役立っている。
【0019】
前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、少なくとも一つの第一の物質を有しており、前記第一の物質は、相転移を遂行することができる。前記第一の物質は好適に、ほぼ完全に前記第一のエネルギー貯蔵ユニットの壁に包囲されている。前記第一の物質は好適に、前記エネルギー変換ユニットをほぼ完全に包囲し、前記エネルギー変換ユニットと熱伝導的に接触している。前記第一の物質は好適に、相転移の温度が前記エネルギー変換ユニットの動作温度よりも大幅に小さくなるように選択される。前記第一の物質は、相転移の温度が間欠的に、前記エネルギー変換ユニットの動作温度を少なくとも10ケルビン下回るように選択されるのが好ましい。前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは、異なる相転移温度を有する少なくとも二つの第一の物質を有しているのが好ましい。
【0020】
前記第一のエネルギー貯蔵ユニットの前記第一の物質は好適に、前記第一の物質が所定の温度において、固相から液相への相転移、好適に固相から直接的に気相への相転移を経るように選択される。このとき相転移の温度は好適に、前記エネルギー変換ユニットの動作温度に応じて選択されている。前記第一の物質の相転移の温度は好適に、時として前記エネルギー変換ユニットの動作温度を少なくとも10ケルビン下回っている。前記第一の物質は好適に、金属合金として形成されている。前記第一の物質は好適に、相変化エンタルピーができるだけ大きくなるように選択されている。
【0021】
駆動装置には好適に、第二のエネルギー貯蔵ユニットが配設されている。前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは、駆動ユニットにエネルギーを供給するために設けられている。好適に前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは、再充電可能なバッテリー、特に好ましくは高いエネルギー密度のバッテリーである。第二のエネルギー貯蔵ユニットの電解質は好適にリチウムイオンを有している。第二のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、少なくとも一つのセラミックセパレータを有している。第二のエネルギー貯蔵ユニットには、特に温度を検出するための少なくとも一つの測定装置が配設されているのが好ましい。第二のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、組み立て式に形成されているとともに、車両内部の複数の場所に設けられている。第二のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、交換可能に形成されている。第二のエネルギー貯蔵ユニットには、制御装置が配設されているのが好ましい。
【0022】
前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは好適に、所定の条件において前記第二のエネルギー貯蔵ユニットにエネルギーを供給する。前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは好ましくは前記第二のエネルギー貯蔵ユニットに熱エネルギーを供給する。所定の条件は特に、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの実際の温度が、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの最小動作温度を下回るときに成立する。周囲温度が低いときおよび/または電解質が温度ゆえに不活性であるとき、バッテリーとして形成されている前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの温度は好適に、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットによって高められる。前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは好ましくは、特に前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの温度を検出するための少なくとも一つの測定装置を有している。前記駆動装置に対して、好ましくは制御装置が配設されている。前記制御装置は特に、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの検出された温度を処理することと、前記検出された温度を前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの所定の最小温度と比較することと、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットから前記第二のエネルギー貯蔵ユニットへのエネルギー供給を開始することとを行う。
【0023】
前記駆動装置には好適に、吸収冷凍機が配設されている。好ましくは前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは所定の条件において、前記吸収冷凍機に、特に熱エネルギーを供給する。好ましくは前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは所定の条件において、前記吸収冷凍機に、特に熱エネルギーを供給する。所定の条件は特に、前記第一のエネルギー貯蔵ユニット、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットおよび/または前記エネルギー変換ユニットの温度が、最大許容動作温度を上回るとき、または上回りそうなときに成立する。さらなる所定の条件が満たされるのは、前記吸収冷凍機が前記吸収冷凍機の作用のために、エネルギーを供給されなければならないときである。好ましくは前記第一のエネルギー貯蔵ユニット、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットおよび/または前記エネルギー変換ユニットにはそれぞれ、特にそれぞれの温度を検出するための少なくとも一つの測定装置が配設されている。好ましくは前記第一のエネルギー貯蔵ユニットおよび/または前記第二のエネルギー貯蔵ユニットから前記吸収冷凍機へのエネルギーの供給は、流れる流体を用いて行われる。
【0024】
本発明に係る車両は好適に、吸収冷凍機を備える駆動装置と、客室と、を有している。前記客室は好ましくは、特に前記客室の温度を検出するための少なくとも一つの測定装置を有している。吸収冷凍機は本発明によれば、所定の条件において前記客室から特に熱エネルギーを排出する。前記客室は好ましくは、前記客室における最大所望温度を設定するための装置を有している。前記客室から特に熱エネルギーを排出するための所定の条件は特に、前記客室における実際の温度が前記最大所望温度を上回るときに成立する。前記駆動装置の吸収冷凍機は好ましくは、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットおよび/または前記第二のエネルギー貯蔵ユニットからエネルギー、特に熱エネルギーを供給される。好ましくは前記客室からの熱エネルギーの排出は、流体を用いて行われる。
【0025】
前記駆動装置は好適に、少なくとも二つの推進ユニットを有している。好適に前記駆動装置は、少なくとも二つの駆動ユニットを有している。好ましくは推進ユニットは駆動ユニットに対応して設けられている。好ましくは前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは再充電可能なバッテリーとして、特に好ましくは交換可能かつ再充電可能なバッテリーとして形成されている。前記車両は好ましくは少なくとも三つまたは四つの推進ユニットを有している。好ましくは少なくとも一つの駆動ユニットは電気モータとして形成されている。全ての駆動ユニットは電気モータとして形成されているのが好ましい。好ましくは少なくとも二つの駆動ユニットは同期され、それによって、一つの駆動ユニットが残りの駆動ユニットのトルクに依存してトルクを出力する。
【0026】
本発明に係る車両は好適に、駆動装置によって間欠的に第二の作動状態において作動される。前記第二の作動状態は、前記駆動ユニットが前記推進ユニットによって力および/またはトルクを供給されることを特徴とする。前記駆動装置は少なくとも一つの推進ユニットと、駆動ユニットと、エネルギー変換ユニットと、第一のエネルギー貯蔵ユニットと、を有している。前記方法は、前記駆動ユニットが前記第二の作動状態において、前記エネルギー変換ユニットに電気エネルギーを供給することを特徴とする。さらに前記エネルギー変換ユニットは電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、前記エネルギー変換ユニットは前記第一のエネルギー貯蔵ユニットに熱エネルギーを供給し、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは熱エネルギーを貯蔵する。個々の装置およびユニットの特性はすでに説明ずみである。好ましくは前記第二の作動状態は車両の操作者によって開始される。
【0027】
前記車両には好適に、さらに前記駆動ユニットに駆動力を供給するための第二のエネルギー貯蔵ユニットと、吸収冷凍機が配設されている。このような車両は好ましくは、所定の条件において、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットが、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットと熱エネルギーを交換するように作動される。前記第一のエネルギー貯蔵ユニットは好ましくは所定の条件において、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットに熱エネルギーを供給する。熱エネルギーは所定の条件において逆方向に流れるのが好ましい。前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは、所定の条件において、吸収冷凍機に、熱エネルギーを供給するのが好ましい。熱エネルギーは所定の条件において逆方向に流れるのが好ましい。所定の条件は特に、前記第一のエネルギー貯蔵ユニットおよび/または前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの実際の温度が、それぞれ許容最大温度を上回るとき、あるいは上回りそうなときに成立する。この場合、比較的温度の高いエネルギー貯蔵ユニットは、比較的温度の低いエネルギー貯蔵ユニットおよび/または吸収冷凍機に、熱エネルギーを移す。所定の条件は、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットの実際の温度が最小許容動作温度を下回るとき、あるいは下回りそうなときにも成立する。この場合、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットに前記第一のエネルギー貯蔵ユニットから熱エネルギーが供給される。
【0028】
本発明のさらなる有利点、特徴および応用可能性を、図面に関連させながら以下に説明する。図面に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る駆動装置を有する車両を概略的に示す図である。
【図2】代替バッテリーの温度調整部を有する駆動装置のさらなる実施形態を概略的に示す図である。
【図3】車両の客室の温度調整部を有する駆動装置のさらなる実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は本発明に係る駆動装置10を有する車両を示している。前記車両は駆動装置10の破線による縁取りとして表されている。前記駆動装置は被動輪1と、電気モータ2と、熱抵抗器3と、蓄熱器4と、を有している。前記駆動装置10にはさらに、特に電気モータ2に駆動力を供給するための代替バッテリー6が配設されている。被動輪1と電気モータ2とは、駆動軸21を介して接続されている。駆動装置10に配設されている制御装置22は簡略化されてスイッチとして表されている。前記制御装置22はさらなる課題も実現するのが好ましい。電気モータ2は特に第一の作動状態において、第二のエネルギー貯蔵ユニット6から電気エネルギーを供給される。第二の作動状態において、被動輪1を介して電気モータ2に力および/またはトルクを供給することが行われる間は、制御装置22は電気モータ2と代替バッテリー6との電気的接続を切断するとともに、電気モータ2と熱抵抗器3とを組み込んだ状態で電流回路を閉じる。第二の作動状態において、電気モータ2は発電機として作動されるとともに、熱抵抗器3に電気エネルギーを供給する。電気エネルギーは熱抵抗器3によって熱に変換され、蓄熱器4に供給される。こうして熱エネルギーは他の消費部に対しても使用に供される。熱抵抗器3は蓄熱器4によって完全に包囲されている。熱抵抗器3が、特に前記熱抵抗器の熱を伝導させる表面を拡大させるための、リブを有していることは図に示されていない。
【0031】
図2は本発明に係る吸収冷凍機7を有する駆動装置10のさらなる実施形態を概略的に示している。本実施形態は特に、代替バッテリー6の温度調整を行う。車両は駆動装置10の破線による縁取りとして表されている。図1で示されている駆動装置10を補足するものとして、蓄熱器4は蓄熱手段5を有しており、前記蓄熱手段は相転移のために設けられている。蓄熱器4は代替バッテリー6に熱容量Qを供給するために設けられている。蓄熱器4および/または代替バッテリー6はまた、吸収冷凍機7に熱容量Qを供給することができる。これらの熱流は好ましくは、駆動装置10に配設されている制御装置22によって制御される。蓄熱器4と代替バッテリー6は好適に、それぞれ少なくとも一つの熱電素子23,23aを有している。前記熱電素子の信号は、対応する制御装置22によって検出され、かつ、処理される。蓄熱手段5の選択は、前記蓄熱手段が所定の温度において、固相から液相への相転移を経るように行われる。蓄熱手段5の選択は、前記蓄熱手段の相転移温度が熱抵抗器3の動作温度を間欠的に少なくとも10ケルビン下回るように行われる。蓄熱手段5は好ましくは金属合金として、および/または直接固相から気相への相転移を経る物質によって形成されている。
【0032】
図3は本発明に係る、破線による縁取りとして表されている車両の客室9の温度調整部を有する駆動装置の、さらなる実施形態を概略的に示している。本実施形態は特に、客室9の温度調整を行う。図1および図2で示されている実施形態を拡大するものとして、駆動装置10はさらに二つの被動輪1,1aと二つの電気モータ2,2aとを有している。前記駆動装置10にはさらに、制御装置22が配設されている。駆動装置10はさらに複数の測定装置を有しており、前記測定装置のなかには熱電素子23,23a、および、図示されていない速度センサおよびトルクセンサがある。前記速度センサおよびトルクセンサは駆動軸21,21aに配設されている。客室9も熱電素子23bを有している。前記測定装置の信号は制御装置22によって検出されるとともに評価される。これらの測定値と、客室の所望の温度とに応じて、制御装置22は蓄熱器4と吸収冷凍機7と客室9との間に熱流Qを生じさせる。客室9はこうして加熱および/または冷却され得る。制御装置22は好ましくは、駆動軸21,21aの回転数と、電気モータ2,2aから伝えられるトルクも制御する。図示されていないが、熱抵抗器3は好ましくは代替バッテリー6から電力を供給される。
【符号の説明】
【0033】
1,1a 推進ユニット、被動輪
2,2a 駆動ユニット、電気モータ
3 エネルギー変換ユニット、熱抵抗器
4 第一のエネルギー貯蔵ユニット、蓄熱器
5 第一の物質、蓄熱手段
6 第二のエネルギー貯蔵ユニット、代替バッテリー
7 吸収冷凍機
10 駆動装置
21,21a 駆動軸
22 制御装置
23,23a,23b 熱電素子
Q 熱容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置(10)を有する車両であって、前記駆動装置(10)は少なくとも
推進ユニット(1)と、
前記推進ユニット(1)に力および/またはトルクを供給するために設けられている駆動ユニット(2)と、
前記駆動ユニット(2)によってエネルギーを供給されるために設けられているエネルギー変換ユニット(3)と、
エネルギーを貯蔵するために設けられている第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)と、
を有しており、
前記駆動装置(10)は間欠的に第一の作動状態であって、前記第一の作動状態において前記推進ユニット(1)は前記駆動ユニット(2)によって、力および/またはトルクを供給されている第一の作動状態を取り、あるいは間欠的に第二の作動状態であって、前記第二の作動状態において前記駆動ユニット(2)は前記推進ユニット(1)によって、力および/またはトルクを供給されている第二の作動状態を取るために設けられている、駆動装置(10)を有する車両において、
前記第二の作動状態において、前記駆動ユニット(2)は、前記エネルギー変換ユニット(3)にエネルギーを供給するために設けられており、
前記第二の作動状態において、前記エネルギー変換ユニット(3)は、前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)にエネルギーを供給するために設けられており、
前記エネルギー変換ユニット(3)は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために設けられていることを特徴とする、駆動装置(10)を有する車両。
【請求項2】
前記エネルギー変換ユニット(3)は、少なくとも部分的に前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)に包囲されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項3】
前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)は、少なくとも一つの第一の物質(5)を有しており、前記第一の物質は相転移を遂行するために設けられており、前記第一の物質(5)は前記エネルギー変換ユニット(3)の動作温度に依存して選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項4】
前記第一の物質(5)は、固相から液相への相転移、好ましくは固相から直接的に気相への相転移を遂行するために設けられていることを特徴とする請求項3に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項5】
前記駆動装置(10)に、第二のエネルギー貯蔵ユニット(6)が配設されており、前記第二のエネルギー貯蔵ユニットは、前記少なくとも一つの駆動ユニット(2)にエネルギーを供給するために設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項6】
前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)は、所定の条件において前記第二のエネルギー貯蔵ユニット(6)にエネルギーを供給するために設けられていることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置(10)を有する車両。

【請求項7】
前記駆動装置(10)に、吸収冷凍機(7)が配設されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項8】
前記吸収冷凍機(7)は、所定の条件において前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)および/または前記第二のエネルギー貯蔵ユニット(6)によってエネルギーを供給されるために設けられていることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項9】
請求項7または8に記載の駆動装置(10)と、客室(9)と、を有する車両であって、前記吸収冷凍機(7)が所定の条件において、前記客室(9)から熱エネルギーを排出することを特徴とする車両。
【請求項10】
前記駆動装置(10)は、少なくとも二つの推進ユニット(1,1a)を有していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動装置(10)を有する車両。
【請求項11】
駆動装置(10)を有する車両を作動させるための方法であって、前記駆動装置は少なくとも一つの推進ユニット(1)と、駆動ユニット(2)と、エネルギー変換ユニット(3)と、第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)とを有しており、
前記車両は間欠的に第二の作動状態であって、前記第二の作動状態において前記駆動ユニット(2)は前記推進ユニット(1)によって力および/またはトルクを供給される第二の作動状態を取る、方法において、
前記駆動ユニット(2)は特に前記第二の作動状態において、前記エネルギー変換ユニット(3)に電気エネルギーを供給し、
前記エネルギー変換ユニット(3)は電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、
前記エネルギー変換ユニット(3)は前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)に熱エネルギーを供給し、
前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)は供給された熱エネルギーを貯蔵することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記車両にさらに、前記駆動ユニット(2)に駆動力を供給するための第二のエネルギー貯蔵ユニット(6)と、吸収冷凍機(7)と、が配設されている方法において、前記第二のエネルギー貯蔵ユニット(6)は所定の条件において、前記第一のエネルギー貯蔵ユニット(4)および/または前記吸収冷凍機(7)と熱エネルギーを交換することを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−530642(P2012−530642A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516540(P2012−516540)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003319
【国際公開番号】WO2010/149260
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511173550)リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー (85)
【Fターム(参考)】