説明

高効率発電システム

【課題】発電効率を飛躍的に向上させることができる高効率発電システムを提供する。
【解決手段】タービンを利用した発電設備(1)と、水分解光触媒水素製造設備(2)とを有し、水分解光触媒水素製造設備(2)により製造された水素が、発電設備(1)に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電効率を向上させることができる高効率発電システムを提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
発電設備として通常の火力発電を考えた場合に、その熱効率は、ガスタービン単独で40%、蒸気タービン単独で43%、それらの複合サイクルで50%以上であると報告されている(非特許文献1)。
【0003】
このようにコンバインドサイクル発電は、従来の発電と比較すると発電効率が高いが、それでも効率50%程度であり、半分近くの投入エネルギーは利用できていない状況である。
【0004】
近年、コンバインドサイクル発電設備で仕事をした蒸気をさらに利用して、海水を淡水化するような造水付き発電が運転を始めている(例、ウム アル ナール発電・海水淡水化プラント(UAE))。これは、電力と淡水を同時に効率的に得られる複合プラントであるが、先に示した発電効率自体が向上しているわけではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】三菱重工、“コンバインドサイクル発電プラントのしくみ”、[online]、平成23年10月24日検索]、インターネット〈URL:http://www.mhi.co.jp/products/detail/ccpp_mechanism.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発電効率を飛躍的に向上させることができる高効率発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の高効率発電システムは、タービンを利用した発電設備と、水分解光触媒水素製造設備とを有し、該水分解光水素製造設備により製造された水素が、該発電設備に供給されることを特徴とする。
【0008】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記発電設備からの排出蒸気を熱源として利用する海水淡水化設備をさらに有し、該海水淡水化設備で製造された淡水が前記水分解光触媒製造設備に供給される。
【0009】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記水分解光触媒水素製造設備は、水素と酸素を分離できる機構を有している。
【0010】
また、上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記水分解光触媒水製造設備は電極型である。
【0011】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記発電設備は火力発電である。
【0012】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記火力発電設備は、コンバインドサイクル火力発電設備である。
【0013】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記火力発電設備は、燃料用ガスタービン、蒸気タービン、および水素ガス用タービンを併せ持っている。
【0014】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記火力発電設備は、燃料および水素ガス用のガスタービンおよび蒸気タービンを併せ持っている。
【0015】
上記高効率発電システムにおいて、好ましくは、前記火力発電設備は、燃料および水素ガス用のガスタービンを有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明の高効率発電システムでは、水分解光水素製造設備により製造された水素が発電設備に供給されるので、発電設備の効率が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【図2】実施の形態1のコンバインドサイクル火力発電設備を説明する内部概略図である。
【図3】水分解光触媒水素製造設備(2)を示す概略図である。
【図4】実施の形態2の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【図5】実施の形態3の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【図6】実施の形態3のコンバインドサイクル火力発電設備を説明する内部概略図である。
【図7】実施の形態4の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【図8】ガスタービン火力発電設備を説明する内部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の高効率発電システムについて詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【0020】
本実施の形態1の高効率発電システムは、タービンを利用した発電設備(1)と、水分解光触媒水素製造設備(2)とを有し、水分解光触媒水素製造設備(2)により製造された水素が、発電設備(1)に供給されるようになっている。
【0021】
発電設備(1)として、例えば、燃料を燃焼させたガスでタービンを回転させるガスタービンと、燃料燃焼の排熱回収ボイラで生成した蒸気でタービンを回転させる蒸気タービンと、後述の水分解光触媒水素製造設備(2)で生成した水素ガスを燃焼させたガスでタービンを回転させる水素用ガスタービンとを有するコンバインドサイクル火力発電が挙げられる。なお、以降の実施の形態2〜4とは異なり、本実施の形態1では、発電設備(1)で発生した電力のみを利用する構成であるので、発電設備(1)における蒸気の利用は必須ではない。
【0022】
図2は、コンバインドサイクル火力発電設備を説明する内部概略図である。
【0023】
本実施の形態1のコンバインドサイクル火力発電設備は、発電機(11)において発電を行うためにガスタービン(12)、蒸気タービン(13)および水素ガスタービン(14)の3種のタービンを有している。
【0024】
ガスタービン(12)には、空気圧縮機(15)からの圧縮空気が導入され、LNG、石油などの燃料の燃焼によりガスタービン(12)が回転し、この回転により発電機(11)にて発電が行われる。燃料燃焼後に生じるガスタービン(12)からの排気は、排熱回収ボイラ(16)に送られ、ここで、別途取り込んだ海水などとの熱交換により冷却され、その後、発電設備から排気される。排熱回収ボイラ(16)に供給された海水などの水は、熱交換により蒸気となり、蒸気タービン(13)に送られて、蒸気タービン(13)を回転させ、その後、蒸気の状態で発電設備から出る。
【0025】
また、水素ガスタービン(14)には、水分解光触媒水素製造設備(2)から水素が供給され、空気圧縮機(17)からの圧縮空気と水素との燃焼により水素ガスタービン(14)が回転し、この回転により発電機(11)にて発電が行われる。燃焼後のガスは、排熱回収ボイラ(16)に送られる。
【0026】
水分解光触媒水素製造設備(2)は、太陽光と光触媒の作用により水を水素と酸素に分解する設備である。
【0027】
図3は、水分解光触媒水素製造設備(2)を示す概略図である。
【0028】
水分解光触媒水素製造設備(2)は、上部の陽極室(21)と、この陽極室(21)に一端側にて連結する下部の陰極室(22)とを備えている。陽極室(21)には、太陽光により酸素を生成させる触媒作用を有する陽極光触媒(例えば、TaON、Ta、TiO2−x、BiVO、WOなど)(23)が陽極として備えられ、陰極室(22)には、水素を生成させる触媒作用を有する陰極触媒(例えば、Ptなど)(24)が陰極として備えられている。
【0029】
水は、一端側上端から陽極室(21)に導入され、一端側の連通路から陰極室(22)に通り、他端側下端を介して水分解光触媒水素製造設備(2)から出る。
【0030】
発電設備(1)からの電力が電源(25)に供給され、太陽光が照射されると、陽極光触媒(23)の触媒作用により、酸素が発生する。発生した酸素は、陽極室(21)中央部上端に設けられた通気孔(26)から排出される。また、陰極室(22)では、陰極触媒(24)の触媒作用により、水素が発生する。発生した水素は、陰極室(22)中央部の所定区間に設けられた区画(27)を経て、陰極室(22)の他端側から排出される。
【0031】
生成した水素は、燃料電池や化学工業原料などとして有効に利用され、一方で、酸素は火力発電設備(1)に供給されて燃料燃焼工程で利用される。
【0032】
次に、本実施形態1の高効率発電システムを用いた場合について実施例1として具体的に説明する。
【0033】
(実施例1)
発電設備(1)として、上記のような3種のタービンを備えたコンバインドサイクル火力発電設備を用いた。高位発熱量ベース(HHV基準)の発電効率は50%であり、発電規模(出力)は150MWであった。
【0034】
水分解光触媒水素製造設備(2)について、太陽エネルギー変換効率は4%、設備(光触媒電極)面積は28,000m(例えば5km×5.6km)、場内消費電力量:2×10kWh/day、水素製造規模(出力):350t/day−Hとした。
【0035】
日照時間を8hと仮定し、ある程度の日射強度(6kWh/m/day)が得られるとすると、水分解光触媒水素製造設備(2)によって昼間3,200tの淡水が水素(350t)と酸素に分解される。その際に場内で消費される電力量は、反応を促進させるための補助的な電力量が主となり、2,000MWh/dayと概算される。
【0036】
生成した水素ガスは発電設備(1)に供給され利用されるが、必要に応じてその一部を別用途(燃料電池、化学工業原料)で利用することも考えられる。
【0037】
水分解光触媒水素製造設備(2)で生成した水素(350t/day)を発電設備(1)に供給して水素ガスタービンにより発電することを考える。生成水素から得られる化学エネルギーは、およそ4×10MJ/day(=11,100MWh/day)と概算される。
【0038】
水素ガスタービンにおいて、投入水素エネルギーに対して得られる発電エネルギーは54%であると仮定すると(www.ueri.co.jp/jhif/12Conference090610/doshishauniv.pdf参照)、上記生成水素量ではおよそ6,000MWh/dayの発電が見込まれる。
【0039】
水分解光触媒水素製造設備(2)を併設することにより使用された電力量はおよそ2,000MWh/dayであるので、収支としては+4,000MWh/dayとなる。
【0040】
発電設備(1)において、出力150MWであるので、1日当たりの発電量は、3,600MWh/dayとなり、発電効率50%であるので、投入燃料エネルギーは7,200MWk/dayと試算される。
【0041】
したがって、本発明の高効率発電システムでは、太陽エネルギーの寄与もあり、投入燃料エネルギーが7,200MWh/day、発電量が7,600MWh/dayとなり、投入燃料に対する発電効率が50%から106%に飛躍的に向上することになる。
【0042】
光触媒反応に十分な日射強度(量)が得られ、かつ、広大な面積を確保できる地域で、淡水も十分に利用できる環境であれば、海水淡水化設備を併設する必要がなく、当該設備のコンパクト化が可能である。
【0043】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【0044】
本実施の形態2の高効率発電システムは、発電設備(1)と、水分解光触媒水素製造設備(2)と、海水淡水化設備(3)とを有し、水分解光水素製造設備(2)により製造された水素が、発電設備(1)に供給されるようになっている。
【0045】
さらに、海水淡水化設備(3)は、発電設備(1)からの排出蒸気を熱源として利用し、海水淡水化設備(3)で製造された淡水が水分解光触媒製造設備(2)に供給されるようになっている。
【0046】
発電設備(1)および水分解光触媒水素製造設備(2)は、上記の実施の形態1のものと同様のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
海水淡水化設備(3)としては、発電設備(1)からの蒸気を熱源として用いて海水から淡水を製造することができるものであれば特に限定はなく、例えば、多段フラッシュ法、多重効用法などを用いた設備が挙げられる。また、海水淡水化設備(3)を駆動するための電力は、発電設備(1)から供給される。
【0048】
ここで、(造水比)=(生産水量)/(消費する加熱蒸気量)と定義され、海水淡水化設備(3)が多段フラッシュ法(MSF)の場合に造水比は6〜10程度、多重効用法(MED)の場合で10程度となる。
【0049】
また、海水淡水化設備(3)で消費される電力量はMSFの場合で4kWh/m−生産淡水、MEDの場合で1.8kWh/m−生産淡水である。
【0050】
海水淡水化設備(3)により製造された淡水は、水分解光触媒水素製造設備(2)に供給される。
【0051】
昼間に生成させられる淡水が水分解光触媒水素製造設備(2)に供給されて水素製造に利用される一方で、夜間に生成させられる淡水は飲料などの生活用水や工業用水として有効に利用される。
【0052】
次に、本実施形態2の高効率発電システムを用いた場合について実施例2として具体的に説明する。
【0053】
(実施例2)
発電設備(1)および水分解光触媒水素製造設備(2)については実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0054】
海水淡水化設備(3)は、多段フラッシュ方式(MSF)の設備である。造水比:6〜10(約8)、場内消費電力量:4kWh/m−生産淡水、淡水生産規模(出力):400t/hとした。
【0055】
淡水化システムにおける必要蒸気量(導入時温度200℃)は、その造水比から40〜67t/hであり、火力発電設備(1)から導かれる量(250t/h)を考えると可能である。また、淡水(9,600t/day)を生産する際に場内で消費される電力量は38.4MWh/dayと概算される。
【0056】
水分解光触媒水素製造設備(2)で生成した水素(350t/day)を発電設備(1)に供給して水素ガスタービンにより発電することを考える。生成水素から得られる化学エネルギーは、およそ4×10MJ/day(=11,100MWh/day)と概算される。
【0057】
水素ガスタービンにおいて、投入水素エネルギーに対して得られる発電エネルギーは54%であると仮定すると(www.ueri.co.jp/jhif/12Conference090610/doshishauniv.pdf参照)、上記生成水素量ではおよそ6,000MWh/dayの発電が見込まれる。
【0058】
水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)を併設することにより使用された電力量はおよそ2,000MWh/dayであるので、収支としては+4,000MWh/dayとなる。
【0059】
発電設備(1)において、出力150MWであるので、1日当たりの発電量は、3,600MWh/dayとなり、発電効率50%であるので、投入燃料エネルギーは7,200MWk/dayと試算される。
【0060】
したがって、本発明の高効率発電システムでは、太陽エネルギーの寄与もあり、投入燃料エネルギーが7,200MWh/day、発電量が7,600MWh/dayとなり、投入燃料に対する発電効率が50%から106%に飛躍的に向上することになる。
【0061】
以下、発電設備(1)の出力が300MWである場合についても各値について試算したので、その結果を以下に示す。
【0062】
1日あたりの発電量:7,200MWh/day
投入燃料エネルギー:14,400MWh/day
複合化による増加分:4,000MWh/day
発電効率:78%
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【0063】
実施の形態3では、発電設備(1’)がガスタービン(水素含む)および蒸気タービンの2種のタービンを備えたものである以外は実施の形態2の高効率発電システムと同様とした。
【0064】
火力発電設備(1’)は、燃料を燃焼させたガスでタービンを回転させるガスタービンと、燃料燃焼の排熱回収ボイラで生成した蒸気でタービンを回転させる蒸気タービンとを有するコンバインドサイクル火力発電である。さらに、本実施の形態3では、水分解光触媒水素製造設備(2)において生成した水素もガスタービンに供給される。
【0065】
図6は、コンバインドサイクル火力発電設備を説明する内部概略図である。
【0066】
このコンバインドサイクル火力発電システムは、発電機(31)と、ガスタービン(32)と、蒸気タービン(33)とを有し、ガスタービン(32)には、空気圧縮機(34)からの圧縮空気が導入され、LNG、石油などの燃料および水分解光触媒水素製造設備(2)からの水素の燃焼によりガスタービン(32)が回転し、この回転により発電機(31)にて発電が行われる。燃料燃焼後に生じるガスタービン(32)からの排気は、排熱回収ボイラ(35)に送られ、ここで、別途取り込んだ海水などとの熱交換により冷却され、その後、発電設備から排気される。排熱回収ボイラ(35)に供給された海水などの水は、熱交換により蒸気となり、蒸気タービン(33)に送られて、蒸気タービン(33)を回転させ、その後、蒸気の状態で発電設備から出る。
【0067】
水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)は、上記の実施の形態2のものと同様のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
次に、本実施形態3の高効率発電システムを用いた場合について実施例3として具体的に説明する。
【0069】
(実施例3)
発電設備(1)については、上記の2種のタービンを備えたものである他は、実施例2と同様のものである。また、水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)についても実施例2と同様のものであるので詳細な説明は省略する。
【0070】
水分解光触媒水素製造設備(2)で生成した水素(350t/day)を発電設備(1)に加えてガスタービンにより発電することを考える。生成水素から得られる化学エネルギーは、およそ4×10MJ/day(=11,100MWh/day)と概算される。
【0071】
ガスタービン+蒸気タービンのコンバインドサイクル発電において、投入水素エネルギーに対して得られる発電エネルギーは50%であると仮定すると、上記生成水素量ではおよそ5,600MWh/dayの発電が見込まれる。
【0072】
水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)を併設することにより使用された電力量はおよそ2,000MWh/dayであるので、収支としては+3,600MWh/dayとなる。
【0073】
発電設備(1)において、出力150MWであるので、1日当たりの発電量は、3,600MWh/dayとなり、発電効率50%であるので、投入燃料エネルギーは7,200MWk/dayと試算される。
【0074】
したがって、本発明の高効率発電システムでは、太陽エネルギーの寄与もあり、投入燃料エネルギーが7,200MWh/day、発電量が7,200MWh/dayとなり、投入燃料に対する発電効率が50%から100%に飛躍的に向上することになる。
【0075】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4の高効率発電システムを説明するフローシートである。
【0076】
実施の形態4では、発電設備(1”)がガスタービン(水素含む)を備えたものである以外は実施の形態2の高効率発電システムと同様とした。
【0077】
発電設備(1”)は、燃料を燃焼させたガスでタービンを回転させるガスタービンを有するガスタービン火力発電である。さらに、本実施の形態4では、水分解光触媒水素製造設備(2)において生成した水素もガスタービンに供給される。
【0078】
図8は、ガスタービン火力発電設備を説明する内部概略図である。
【0079】
このガスタービン火力発電システムは、発電機(41)と、ガスタービン(42)とを有し、ガスタービン(42)には、空気圧縮機(43)からの圧縮空気が導入され、LNG、石油などの燃料および水分解光触媒水素製造設備(2)からの水素の燃焼によりガスタービン(42)が回転し、この回転により発電機(41)にて発電が行われる。燃料燃焼後に生じるガスタービン(42)からの排気は、排熱回収ボイラ(44)に送られ、ここで、別途取り込んだ海水などとの熱交換により冷却され、その後、発電設備から排気される。排熱回収ボイラ(44)に供給された海水などの水は、熱交換により蒸気となり、その後、蒸気の状態で発電設備から出る。
【0080】
水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)は、上記の実施の形態2のものと同様のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
次に、本実施形態4の高効率発電システムを用いた場合について実施例4として具体的に説明する。
【0082】
(実施例4)
発電設備(1)として、図8に示すようなガスタービン火力発電設備を用いた。高位発熱量ベース(HHV基準)の発電効率は40%であり、発電規模(出力)は150MWであった。
【0083】
水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)についても実施例2と同様のものであるので詳細な説明は省略する。
【0084】
水分解光触媒水素製造設備(2)で生成した水素(350t/day)を発電設備(1)に加えてガスタービンにより発電することを考える。生成水素から得られる化学エネルギーは、およそ4×10MJ/day(=11,100MWh/day)と概算される。
【0085】
ガスタービンにおいて、投入水素エネルギーに対して得られる発電エネルギーは40%であると仮定すると、上記生成水素量ではおよそ4,400MWh/dayの発電が見込まれる。
【0086】
水分解光触媒水素製造設備(2)および海水淡水化設備(3)を併設することにより使用された電力量はおよそ2,000MWh/dayであるので、収支としては+2,400MWh/dayとなる。
【0087】
発電設備(1)において、出力150MWであるので、1日当たりの発電量は、3,600MWh/dayとなり、発電効率40%であるので、投入燃料エネルギーは9,000MWk/dayと試算される。
【0088】
したがって、本発明の高効率発電システムでは、太陽エネルギーの寄与もあり、投入燃料エネルギーが9,000MWh/day、発電量が6,000MWh/dayとなり、投入燃料に対する発電効率が50%から67%に向上することになる。
【符号の説明】
【0089】
1 発電設備
2 水分解光触媒水素製造設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンを利用した発電設備と、水分解光触媒水素製造設備とを有し、該水分解光水素製造設備により製造された水素が該発電設備に供給されることを特徴とする高効率発電システム。
【請求項2】
前記発電設備からの排出蒸気を熱源として利用する海水淡水化設備をさらに有し、該海水淡水化設備で製造された淡水が前記水分解光触媒製造設備に供給される、請求項1に記載の高効率発電システム。
【請求項3】
前記水分解光触媒水素製造設備は、水素と酸素を分離できる機構を有している、請求項1または2に記載の高効率発電システム。
【請求項4】
前記水分解光触媒水製造設備は電極型である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の高効率発電システム。
【請求項5】
前記発電設備は火力発電である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の高効率発電システム。
【請求項6】
前記火力発電設備は、コンバインドサイクル火力発電設備である、請求項5に記載の高効率発電システム。
【請求項7】
前記火力発電設備は、燃料用ガスタービン、蒸気タービン、および水素ガス用タービンを併せ持っている、請求項6に記載の高効率発電システム。
【請求項8】
前記火力発電設備は、燃料および水素ガス用のガスタービンおよび蒸気タービンを併せ持っている、請求項6に記載の高効率発電システム。
【請求項9】
前記火力発電設備は、燃料および水素ガス用のガスタービンを有している、請求項5に記載の高効率発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92066(P2013−92066A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233084(P2011−233084)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】