説明

魚礁出資者配当一元管理システム

【課題】 新たな魚礁を設置すれば漁業資源の減少を改善できると分かっていながら、資金不足のために新たに魚礁を設置することが出来ないでいる。
【解決手段】 バーチャル魚礁の一部を購入するという手段を取ることにより、魚礁購入に対する敷居を低くすることと、広く一般に対して購入層を求められると言う効果が得られる。
更には、海域や魚礁に関するデータをバーチャル海域を通じて公表することにより、購入対象者の信頼を高め、出資者を増加させる効果がある。
また購入者に対して遊び心を刺激する方法によって配当を与えることにより、常に関心を呼び起こさせ、一度購入した人が継続購入したくなる効果がある。
魚礁、出資者、配当を一元管理する、本ビジネスモデルの管理システムによって、上記の効果が期待できるので、課題を解決することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本ビジネスモデル特許は、出資者一般公募型の魚礁の販売システムと、水産物に取り付ける管理タグの出力装置、出資者、漁獲された水産物、配当に関する情報を一元管理するための管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然環境を保護することが目的の、ナショナルトラスト運動は、周知のものとなっている。
【0003】
また、いわゆる一坪農園などと呼ばれるものも存在するが、これらの目的は、自然保護であったり、単に農作業まで委託した小規模農業であり、保護した土地や、購入もしくはレンタルした土地が、所有者、管理者双方に新たな利益を生み出すものではない。
【0004】
また、通常配当の受け取りは、受け取り方法や種類を選択できない。
【0005】
また、地域ブランドの販売は、各地域でトレーサビリティを利用して地域が広めるためのものであるが、生産に関与しない、地域の住人や企業には無関係なものなっている。
【0006】
そして、魚礁の設置に関しては、有効な場所に目的の水産資源に適した魚礁を設置することで、初めて効力が発揮されるものである。その上で設置された魚礁によって、対象とする水産資源が増加することは、漁師の間では認識されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、漁業はその厳しい労働条件による若手労働力の減少、環境破壊による水産資源の減少、それらによる漁獲高の減少によってもたらされる収入の減少のために、新たな魚礁を設置すれば漁業資源の減少を改善できると分かっていながら、資金不足のために新たに魚礁を設置することが出来ないでいる。本ビジネスモデル特許は、これらの課題を一気に解決することが可能な画期的な魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデルに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
魚礁設置資金の調達方式を、一般公募型で出資者を募るために、インターネット上に展開するバーチャル海域に設置するバーチャル魚礁の一部を購入するという手段を取る。
【0009】
また、地域ブランドと組み合わせることにより広告収入を獲得出来る手段を取り、更にバーチャル魚礁に集まる水産資源をインターネットで公開する手段を取る。
【発明の効果】
【0010】
バーチャル魚礁の一部を購入するという手段を取ることにより、魚礁購入に対する敷居を低くすることと、広く一般に対して購入層を求められると言う効果が得られる。
【0011】
更には、海域や魚礁に関するデータをバーチャル海域を通じて公表することにより、購入対象者の信頼を高め、出資者を増加させる効果がある。
【0012】
また購入者に対して遊び心を刺激する方法によって配当を与えることにより、常に関心を呼び起こさせ、一度購入した人が継続購入したくなる効果がある。
【0013】
更に、地域ブランドと組み合わせることによる広告効果が期待できる。
【0014】
そして、バーチャル魚礁に集まる水産資源をインターネットで公開することにより、環境問題に対する意識を高め、更に、漁業の大切さと、現状を理解させることにより漁業人口の増加を促す結果となる。
【実施例】
【0015】
例えば、千葉県いすみ市に於いては、次のように実施することが出来る。
【0016】
漁師101が、研究者103とともに、実際のイセエビ魚礁202を設置するいすみ根海域201の、海底地形、漁獲状況(魚の捕れた場所、種類、量)などを調査(1)し、漁協102の入力端末301を通じて、研究者103がいすみ根海域データ及び、データより考慮されるイセエビ魚礁202のデータ(種類、対象魚種、形状、サイズ、数量)を管理コンピュータ302に入力(2、3)する。
【0017】
漁協102がイセエビ魚礁202の設置費用と、出資者募集口数、金額を決め、入力端末301を通じて出資者募集データを管理コンピュータ302に入力(3)する。
【0018】
管理コンピュータ302はイセエビ魚礁202の設置個数とサイズ、口数よりバーチャルイセエビ魚礁402を分割し、バーチャルいすみ根海域401内の実際に設置する場所に該当する個所に設定することにより、魚礁トラスト方式によるネット販売準備が整う。
【0019】
一般利用者105が、インターネット304を通じてアクセス(4)し、バーチャルいすみ根海域401を表示(5)して、そのなかのバーチャルイセエビ魚礁402の分割された部分をネット銀行305を通じて購入(6、7)することにより、実際のイセエビ魚礁202の出資者104となり、配当を受ける権利を有する。
【0020】
購入したバーチャルイセエビ魚礁402と実際のイセエビ魚礁202がリンクしていることにより、選択したイセエビ魚礁202で水揚げされる水産物205が、出資者104の配当となる。
【0021】
バーチャルイセエビ魚礁402の購入により、実際のイセエビ魚礁202の出資者104となった者に対して、配当の為の漁(8)を行い、その漁(8)により水揚げ(9)された水産物205の漁獲高を漁協102が入力端末301を通じて管理コンピュータ302に入力(3)する。
【0022】
また、当日の競りの結果を漁協102が入力端末301を通じて管理コンピュータ302に入力(3)することにより、その時々の実際の漁獲内容や価値に応じた配当内容を元に出資額と希望に応じた割合を計算し、計算結果により現物支給する内容を出資者104にメール送信(10、11)することで通知し、また同様に、出荷担当者107にもメール送信(10、12)することで通知する。
【0023】
インターネット304を通じて配当を受ける漁(8)の日にち、漁師101を出資者104が選択する(11,10)ことにより、その日その漁師101がどれだけ水揚げできるかによって、出資者104が受ける配当が変わるため、ギャンブル的要素を備えることとなり、遊び心をそそることで、飽きさせない工夫が出来る。
【0024】
更に、出資者104は受け取った配当(水産物205)をインターネット304を通じた手続き(11、10)をする事により、漁協直販店203を通じ委託販売(13)することが出来る。
【0025】
また、出資者104は受け取った配当(水産物205)をインターネット304を通じた手続き(11、10)をする事により、管理コンピュータ302上に構築した、バーチャル水槽406内にバーチャル水産物407として保管することが出来る。
【0026】
そして、保管したバーチャル水産物407は、出資者104がいつでもインターネット304を通じて、自分のバーチャル水槽406を確認(14、15)する事が出来、そのバーチャル水産物407の内容を変更する手続き(11、10)が出来、更には、本物の水産物205に変換して、漁協直販店203で受け取る(13)こと、出荷担当者107を通じて受け取る(16、17)ことも可能である。
【0027】
そして、更には、バーチャル水産物407を換金し、換金したお金をネット銀行305を通じて受け取る(6、7)ことも可能である。
【0028】
漁師101は、インターネット304を通じた手続き(18、19)、もしくは、漁協102の入力端末301を使用して、管理コンピュータ302に入力(3)して、配当を行なう漁(8)の日にちを決定する。
【0029】
配当漁(8)の結果は、漁協102が入力端末301により管理コンピュータ302に入力(3)する。
【0030】
配当漁(8)の結果及び、出資者104による漁師101の選択結果は、管理コンピュータ302で成績が付与され、年間を通してのその成績によって、漁師配当が計算され、漁師101に還元される。
【0031】
地域ブランドの対象水産物205例えばイセエビにICタグや2次元バーコードに代表される管理タグを、取り付ける。
【0032】
具体的には、出資の割合と漁獲高に応じたタグの出力数を計算し、計算結果に応じた内容のタグをタグ出力装置303によって出力(20、21)して取り付け、漁協直販店203や、一般店舗204より地域ブランドの対象水産物205例えばイセエビを購入(22、23、24、25)した利用者105が、店舗204のICタグ読取装置や携帯電話で2次元バーコードを読み取ることによりインターネット304を通し(4)て管理タグ情報403が表示される。
【0033】
表示される管理タグ情報403は、水産物情報404と、出資者広告405からなり、インターネット304を通じて(4)出資者104が情報を登録(11、10)すると、出資者広告405スペースに情報が表示(5)される。出資者104は、スペースの購入により広告スペースを拡張することが出来る。拡張広告スペースは、出資者104のみがインターネット304を通じた手続き(11、10)により購入が出来る。
【0034】
管理タグによりインターネット304を通じて購入者=利用者105によるアクセスがあると、その内容を管理コンピュータ302に記録し、記録したアクセス状況と、出資割合、広告スペースの購入状況、配当漁(8)の漁獲高から広告配当を計算する。
【0035】
広告配当は、管理コンピュータ302により自動的に出資者104にメール送信(10、11)することで通知される。
【0036】
管理タグによりインターネット304を通じてアクセスをした水産物205の購入者=利用者105が、イセエビ魚礁202の購入をすると、その内容を管理コンピュータ302に記録し、漁礁販売配当が支払われる。
【0037】
漁礁販売配当は、出資者104による委託販売対象水産物の場合と、一般販売水産物の場合とで、配当比率の増分の比率を変える。
【0038】
更に、出資者104の広告スペースの購入状況、出資割合、配当漁(8)の漁獲高を元にイセエビ魚礁販売配当を計算した配当比率の増分が、管理コンピュータ302により自動的に出資者104にメール送信(10、11)することで通知される。
【0039】
広告配当や、漁礁購入配当支払の通知を受けた出資者104は、配当を、バーチャル水産物407として、もしくは、現金をネット銀行305を通じて受け取る(6、7)ことが出来る。
【0040】
イセエビ魚礁202の設置に関する、設置位置、有効イセエビ魚礁タイプを事前調査したデータを研究者103が入力端末301で管理コンピュータ302に入力(2、3)し、また、設置後の蝟集調査を一定期間継続的に実施したデータを研究者103がインターネット304で管理コンピュータ302に入力(26、27)すると、管理コンピュータ302が、入力された経時データを自動的にグラフ表示用データに変換する。
【0041】
研究者103は、インターネット304を通じ(28、29)て、その蝟集調査結果408をいつでもグラフ表示409で確認できる。研究者103であれば、インターネット304で管理コンピュータ302に入力(26、27)することにより、データの変更を即座に実施できるし、データを利用することも出来る。
【0042】
この方法により、漁師101は、自分で資金を捻出することなく漁礁202を設置できることにより、将来に渡る水産物205の維持の期待が出来る。
【0043】
出資者104は、出資金額分の水産物205を受け取れることが保障され、更に、様々な配当を受け取る機会を得ることが出来ると共に、漁業振興ひいては、自然環境保護に積極的な姿勢をアピールできる。
【0044】
研究者103は、漁礁に関しての蝟集調査が容易に継続的に実施でき、今後の漁礁の発展に寄与できる。
【0045】
行政は、地域の自然保護と、活性化による恩恵を享受できる。
【0046】
以上のように、このシステムは、いすみ市のイセエビ漁礁205に限ったことではなく、それぞれの漁協102の地域の特産物の漁礁205を対象にすることが出来、システムの利用者全てにわたって、利益を与えることが出来る画期的なシステムである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本ビジネスモデル特許は、利用する地域の水産資源の特性を生かして利用するべきものであるため、魚礁の設置により水産物の増加が見込まれる、全ての地域で利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 本発明の実施形態を示すシステムの全容図
【符号の説明】
【0049】
101 漁師
102 漁協
103 研究者
104 出資者
105 利用者
106 出荷担当者
201 海域
202 漁礁
203 直販店
204 店舗
205 水産物
301 入力端末
302 管理コンピュータ
303 タグ出力装置
304 インターネット
305 ネット銀行
401 バーチャル海域
402 バーチャル漁礁
403 管理タグ情報
404 水産物情報
405 出資者広告
406 バーチャル水槽
407 バーチャル水産物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の魚礁設置海域のバーチャルモデルをコンピュータ上に構築する手段と、そのバーチャル海域上にバーチャル魚礁を構築する手段と、インターネットを通じて公開されるバーチャル海域・魚礁に対して、魚礁の好きな部分の権利を購入できるようにした手段を備えた、バーチャル魚礁販売システムが、実際の海域、魚礁とリンクすることにより、魚礁で実際に獲得される水産物の配当の権利を有することが出来る魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項2】
バーチャル魚礁の購入により、本物の魚礁の出資者となった者に対して、配当の為の漁を行うことにより、その漁獲された水産物の漁獲高を入力する手段と、当日の競りの結果を入力する手段を備え、その時々の実際の漁獲内容や価値に応じた配当内容を元に出資額と希望に応じた割合を演算する機能を備え、演算結果により現物支給する内容を出資者に通知する機能と、出荷担当者に通知する機能を備えたことを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項3】
インターネットを通じて配当を受ける漁の日にち、漁船を出資者が選択することが可能な手段を備えたことを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項4】
出資者が受け取った配当(水産物)を委託販売する手段と、管理コンピューター上にバーチャル水槽を構築する手段と、配当をバーチャル水槽内にバーチャル水産物として保管する手段と、配当を換金する手段と、配当内容を他のバーチャル水産物に変更する手段とを備えることを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項5】
地域ブランドの対象水産物にICタグや2次元バーコードに代表される管理タグによりインターネットを通じて表示される情報に対して、インターネットを通じて出資者が情報を登録するための手段と、出資の割合と漁獲高に応じたタグの出力数を演算する機能を備え、演算結果に応じた内容のタグを出力する装置。
【請求項6】
地域ブランドの対象水産物にICタグや2次元バーコードに代表される管理タグによりインターネットを通じて表示される情報の広告スペースを、出資者のみが購入できる手段と、インターネットを通じて出資者に対して販売することが出来る手段を備えることを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項7】
地域ブランドの対象水産物にICタグや2次元バーコードに代表される管理タグによりインターネットを通じて購入者によるアクセス内容を記録する手段と、記録したアクセス状況と、出資割合、広告スペースの購入状況、配当漁の漁獲高を元に広告配当を演算処理する機能を備えることを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項8】
管理タグによりインターネットを通じてアクセスをした水産物の購入者が、魚礁の購入をすると出資割合、配当漁の漁獲高を元に魚礁販売配当を演算処理する機能を備え、演算結果により配当比率を増加する自動処理手段と、その内容を出資者に通知する機能と、出荷担当者に通知する機能を備えたことを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。
【請求項9】
魚礁設置に関する、設置位置、有効魚礁タイプを事前調査したデータを入力する手段と、設置後の蝟集調査を一定期間継続的に実施したデータを入力する手段とを備え、入力された経時データを自動的にグラフ表示化する機能を備え、インターネットを通じて、その情報を公開する手段を備えることを特徴とする魚礁出資者配当一元管理システムのビジネスモデル。

【図1】
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【公開番号】特開2008−97565(P2008−97565A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307185(P2006−307185)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(506136380)
【出願人】(391048647)有限会社アァネット (1)
【出願人】(506136391)
【Fターム(参考)】