説明

(メタ)アクリル系粘着性発泡体及びその製造方法

【課題】従来と比べて発泡助剤の使用量を低減した、高い気泡含有量を有する(メタ)アクリル系粘着性発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(a)反応性不飽和基を1個有する、1種以上の炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)反応性不飽和基を2個以上有する、1種以上のモノマー、及び(c)(a)成分と(b)成分との架橋共重合体を含む部分重合体であって、(c)成分の量が、部分重合体の質量を基準として2〜15質量%である、部分重合体と;熱伝導性フィラーと;表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤とを含む硬化性組成物の発泡硬化物である、粘着性発泡体であって、粘着性発泡体の気泡含有量を、発泡体全体積を基準とした体積パーセントで表した場合に、(硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の質量部)/(粘着性発泡体の気泡含有量)の値が、0.02〜0.05である、粘着性発泡体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル系粘着性発泡体及びその製造方法に関する。特に、本発明は、熱伝導性(メタ)アクリル系粘着性発泡体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の(メタ)アクリル系発泡粘着シートは、(メタ)アクリル系硬化性組成物に不活性ガス(例えば窒素ガス)を攪拌混合して形成された発泡体を硬化することによって製造される。このような製造方法においては、(メタ)アクリル系硬化性組成物に不活性ガスを細かく均一に分散混合することが重要である。そのために発泡助剤としてフッ素系界面活性剤や表面修飾ナノ微粒子が使用され、これらは(メタ)アクリル系硬化性組成物に混合して使用される。従って、使用されたこれらの発泡助剤は、硬化後に得られた(メタ)アクリル系発泡粘着シート中に含まれる。
【0003】
フッ素系界面活性剤を発泡助剤として使用した例として、特開2006−22189号(特許文献1)が挙げられる。
【0004】
一方、表面修飾ナノ微粒子を発泡助剤として使用した例として、特表2004−518793号(特許文献2)が挙げられる。フッ素系界面活性剤と比べて表面修飾ナノ微粒子の発泡性能は一般に低いことが多く、所望の発泡性能を得るためには表面修飾ナノ微粒子を多量に添加する必要が生じる場合がある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−22189号公報
【特許文献2】特表2004−518793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来と比べて上述の発泡助剤の使用量を低減した、高い気泡含有量を有する(メタ)アクリル系粘着性発泡体及びその製造方法を提供することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、(a)反応性不飽和基を1個有する、1種以上の炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)反応性不飽和基を2個以上有する、1種以上のモノマー、及び(c)(a)成分と(b)成分との架橋共重合体を含む部分重合体であって、前記(c)成分の量が、前記部分重合体の質量を基準として2〜15質量%である、部分重合体と;前記部分重合体100質量部に対して100〜250質量部の熱伝導性フィラーと;前記部分重合体100質量部に対して0.1〜1.5質量部の、粒径が20nm以下である表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤とを含む硬化性組成物の発泡硬化物である、粘着性発泡体であって、前記粘着性発泡体の気泡含有量を、発泡体全体積を基準とした体積パーセントで表した場合に、(前記硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する前記発泡助剤の質量部)/(前記粘着性発泡体の気泡含有量)の値が、0.02〜0.05である、粘着性発泡体が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、(a)反応性不飽和基を1個有する、1種以上の炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)反応性不飽和基を2個以上有する、1種以上のモノマー、及び(c)(a)成分と(b)成分との架橋共重合体を含む部分重合体であって、前記(c)成分の量が、前記部分重合体の質量を基準として2〜15質量%である、部分重合体を用意する工程と;前記部分重合体に、前記部分重合体100質量部に対して100〜250質量部の熱伝導性フィラーを混合する工程と;前記部分重合体に、前記部分重合体100質量部に対して0.1〜1.5質量部の、粒径が20nm以下である表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤を添加して、硬化性組成物を得る工程と;前記硬化性組成物を機械的に発泡させる工程と;発泡した前記硬化性組成物の成形体を硬化する工程とを含む、粘着性発泡体の製造方法であって、前記粘着性発泡体の気泡含有量を、発泡体全体積を基準とした体積パーセントで表した場合に、(前記硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する前記発泡助剤の質量部)/(前記粘着性発泡体の気泡含有量)の値が、0.02〜0.05である、粘着性発泡体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤の使用量を従来と比べて低減、例えば半減しても、気泡含有量が十分に高くて粘着性能や柔軟性に優れた粘着性発泡体を得ることが可能になる。また、発泡助剤を従来と同等量用いた場合は、粘着特性、密着性及びシール性などがより優れた、より低密度の粘着性発泡体を製造できる。本発明の粘着性発泡体は熱伝導性を有するため、電子デバイスなどの放熱用途に特に望ましい。
【0010】
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0012】
本発明による粘着性発泡体は、(a)反応性不飽和基を1個有する、1種以上の炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(b)反応性不飽和基を2個以上有する、1種以上のモノマー、及び(c)(a)成分と(b)成分との架橋共重合体を含む部分重合体と;熱伝導性フィラーと;表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤とを含んでなる硬化性組成物を、発泡及び硬化させて得られる。(c)成分の架橋共重合体は、(a)成分と(b)成分との共重合反応によって生じた架橋構造を有する。その架橋構造によって硬化性組成物の発泡性が高められ、発泡助剤の使用量が従来と比べて少ない場合であっても、成形及び硬化工程中の破泡を抑制して所望の気泡含有率の発泡体を形成できる。
【0013】
なお、本発明で使用する用語「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」は、それぞれ、メタクリル及びアクリル、メタクリレート及びアクリレートの両方を包含することを意図している。
【0014】
また、「反応性不飽和基」とは、重合可能な不飽和の炭素−炭素結合(二重結合または三重結合)を有する官能基を意味し、具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、メタリル基、ビニル基などが挙げられる。
【0015】
(a)成分は、反応性不飽和基を1個有する、一官能性のアルキル(メタ)アクリレートモノマーであって、アルキル基の炭素数は12個以下である。(a)成分は硬化性組成物のベース成分の1つであり、本願では極性の低いモノマーとして分類する。そのような(メタ)アクリル系モノマーとして、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0016】
(b)成分は、反応性不飽和基を2個以上有するモノマーであって、それら複数の反応性不飽和基が反応することによって、架橋構造が共重合体に付与される。そのようなモノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;及びトリアリルイソシアヌレートなどのアリル系多官能性モノマーなどが挙げられる。硬化性組成物の発泡性をより高めることによって、成形及び硬化工程における破泡を効果的に低減するには、反応性不飽和基を2個以上有するモノマーの量を、反応前の(a)成分100質量部を基準として約0.01質量部以上として、(a)成分と(b)成分とを共重合することが望ましい。硬化性組成物のゲル化を有効に防止することによって、例えば、発泡及び成形工程における取扱い性や発泡体の均質性などをより改善するには、反応性不飽和基を2個以上有するモノマーの量を、反応前の(a)成分100質量部を基準として約1.0質量部以下として、(a)成分と(b)成分とを共重合することが望ましい。
【0017】
(c)成分は、(a)及び(b)成分に由来する重合単位から構成される、架橋構造を有する共重合体である。一態様として、(a)及び(b)成分に(d)重合開始剤を加えて作ったモノマー混合物を部分重合することにより、(a)及び(b)成分に加えて、(c)成分の架橋共重合体を含む部分重合体が得られる。前記モノマー混合物の部分重合は、例えば光重合開始剤の存在下、紫外線、電子線などを照射して重合を引き起こす、放射線重合によって行うことができる。光重合開始剤として、ベンゾインアルキルエーテル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントンなどを用いることができる。光重合開始剤の市販の例としては、チバ・ジャパン社のイルガキュア、メルク・ジャパン社のダロキュア、ベルシコール社のベルシキュアの商標名で販売されているものが挙げられる。重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよく、さらに増感剤などと併用してもよい。重合開始剤の使用量は、一般に使用される量であってよく、例えば、部分重合前の(a)成分100質量部を基準として、約0.01質量部以上、約1.0質量部以下である。
【0018】
また、放射線重合の代わりに、上述のモノマー混合物の部分重合を熱重合によって行ってもよい。この場合に使用される熱重合開始剤として、例えば、アゾ系重合開始剤(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなど)、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量は特に限定されず、一般に熱重合開始剤として使用されている範囲であってよい。
【0019】
このようにして得られる部分重合体には、上述したように、未反応モノマーの状態で残っている(a)及び(b)成分に加えて、(a)成分と(b)成分とが共重合して生じた、架橋構造を有する(c)成分が含まれる。(c)成分に(a)又は(b)成分に由来する未反応の反応性不飽和基が含まれていてもよい。また、部分重合時に反応しなかった重合開始剤が部分重合体中に残存していてもよく、そのように残存する重合開始剤を後ほど硬化性組成物の硬化工程で利用することも可能である。
【0020】
上述したように、ある態様において、部分重合体に含まれる(c)成分は、(a)及び(b)成分を部分重合することによって、その場(in-situ)で部分重合体中に生成することができる。その代わりに、部分重合体に含まれる(c)成分の量を適宜調節する目的で、所定の比率で混合した(a)及び(b)成分を部分重合して得られた部分重合体に、さらに(a)成分及び/又は(b)成分を添加して、本発明で使用する部分重合体を作ってもよく、あるいは所定の比率で混合した(a)及び(b)成分を部分重合して得られた第1の部分重合体に、(a)成分のみ;(b)成分のみ;又は(a)及び(b)成分を部分重合して得られた第2の部分重合体を混合して、本発明で使用する部分重合体を作ってもよい。このような部分重合体に熱伝導性フィラー及び発泡助剤を混合して得られる硬化性組成物の粘度を、その後の発泡、成形及び硬化工程において好適な値とするには、(c)成分の量が、部分重合体の質量を基準として約2質量%以上、約15質量%以下となるように調整することが望ましい。例えば、部分重合体の粘度は、約1000mPa・s以上、約5000mPa・s以下となるように調節される。
【0021】
また、部分重合の後に、例えば一般的な粘着剤に使用されている、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物などの架橋性化合物を用いて、部分重合体中に、(b)成分に由来する架橋構造とは別の架橋構造を有する重合体をさらに生成してもよい。この場合、上記架橋性化合物の反応部位と反応する官能基を含むモノマーを追加して部分重合する必要がある。一例として、ヒドロキシエチルアクリレートなどの水酸基を有するモノマーを(a)成分及び(b)成分に追加して部分重合した場合、その後、当該モノマーに由来する水酸基部位をエポキシ化合物、イソシアネート化合物などと反応させることによって、別の架橋構造を有する重合体が部分重合体中に生成する。
【0022】
しかしながら、このような場合、部分重合工程に加えて追加の架橋工程が必要になる。さらに、このような架橋性化合物を用いた架橋反応は一般に熱によって進行するため、硬化性組成物を中間原料としてある期間保管した場合に、その組成物の物性に経時変化(例えば増粘)が生じて、粘着性発泡体の製造及び得られる発泡体の物性制御が困難になる場合がある。以上のことから、上述したように、(a)及び(b)成分を用いた部分重合を利用することが好ましい。
【0023】
熱伝導性フィラーは、本発明の粘着性発泡体に熱伝導性を付与する。また、熱伝導性フィラーは、硬化前の発泡体に含まれる気泡壁に強度を付与して、成形及び硬化工程における破泡の低減に寄与する場合もある。そのような熱伝導性フィラーとして、金属水酸化物、金属酸化物、金属、セラミックスなどが使用できる。具体的には、熱伝導性フィラーとして、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、ホウ素化チタン、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、金、銀などが挙げられる。これらの結晶形は、六方晶や立方晶など、それぞれの化学種がとり得る任意の結晶形であってよい。好ましいフィラーの粒径は、通常約10μm以上、約150μm以下である。フィラーの粒径を約150μm以下とすれば、十分なシート強度が確保でき、フィラーの粒径を約10μm以上とすれば、十分な発泡性を確保できる。また、充填性を向上するために、シラン、チタネートなどで表面処理した熱伝導性フィラーを使用してもよい。なお、用語「粒径」とは、フィラーの重心を通過する直線を計測した中で最も長い長さの寸法を意味する。フィラーの形状は、規則的な形状又は不規則な形状のいずれであってもよく、例えば、多角形状、立方体状、楕円状、球状、針状、平板状もしくはフレーク状又はこれらの組み合わせが挙げられる。また、複数の結晶粒子が凝集した粒子であってもよい。これらの中で、硬化性組成物中への充填性が良好である、粘着性発泡体に難燃性を付与できる、及び原料として入手が容易(例えば安価)であるなどの点から、水酸化アルミニウムが特に好ましい。熱伝導性フィラーの使用量は、部分重合体100質量部あたり約100質量部以上、約250質量部以下であることが好ましい。熱伝導性フィラーの使用量が、部分重合体100質量部あたり約100質量部以上であれば、粘着性発泡体に十分な熱伝導性を付与することができ、約250質量部以下であれば、実用上十分な水準の接着力を確保できる。
【0024】
発泡助剤は、発泡工程時に硬化性組成物に混合された気泡をより安定に保つことに寄与する。そのような発泡助剤には、上述したような表面修飾ナノ微粒子が含まれ、例えば、特表2004−518793号に記載のものが挙げられる。かかる表面修飾ナノ微粒子の一例として、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、セリア、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミニウム/シリカ及びそれらの組合せからなる群から選択されるナノ微粒子の表面を、例えば、シラン、アルコール、有機酸、有機塩基、有機チタネートなどの試薬を用いて修飾したものが挙げられる。ナノ微粒子をシリカとして、その表面をクロロシラン、長鎖アルキル又はアリールアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、ポリエーテルアルコキシシラン、((メタ)アクリロイルオキシ)アルキルアルコキシシランなどを用いて修飾した、オルガノシリル表面基を有するシリカが一般に使用される。表面修飾ナノ微粒子の粒径は、約20ナノメートル(nm)以下であることが好ましい。表面修飾ナノ微粒子の粒径が約20nm以下であれば、発泡助剤としての効果が十分に発揮されるため、十分な気泡が含まれ柔軟性に優れた粘着性発泡体が得られる。表面修飾ナノ微粒子の使用量は、部分重合体100質量部あたり約0.1質量部以上、約1.5質量部以下であることが好ましい。表面修飾ナノ微粒子の使用量が、部分重合体100質量部あたり約0.1質量部以上であれば、硬化性組成物に十分な量の気泡を導入でき、約1.5質量部以下であれば、過度に気泡を導入することなく、粘着性発泡体の目的とする用途に必要な水準の熱伝導率を得ることができる。
【0025】
必要に応じて、例えば熱伝導性フィラーの含有量が比較的多い場合などに、粘着性発泡体の粘着特性を向上させる目的で、極性基含有モノマーを硬化性組成物に添加してもよい。そのような極性基含有モノマーとして、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなどの極性基含有(メタ)アクリル系モノマー;及びイタコン酸、酢酸ビニルなどの重合性官能基を有する極性基含有モノマーが挙げられる。そのような極性基含有モノマーは、粘着性発泡体に粘着性を付与するために十分な量で用いられ、その量は、部分重合体の質量を基準として一般に約30質量部以下であり、約10質量部以下であることが好ましい。また、必要に応じて、粘着性発泡体の架橋量を変化させることにより、当該発泡体の柔軟性などの物性を制御する目的で、上述したヘキサンジオールジアクリレートなどの、反応性不飽和基を2個以上有する、(b)成分と同一又は別のモノマーを硬化性組成物にさらに追加してもよい。
【0026】
また、必要に応じて、例えば、発泡成形時の硬化性組成物の加工性、あるいは硬化後の粘着性発泡体の強度及び/又は難燃性などを改善するため、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、ガラス製又はプラスチック製の中空微小球、繊維又はフィラメント、織布、不織布、顔料などの充填剤成分を硬化性組成物に添加してもよい。
【0027】
また、上述したように、部分重合時に反応しなかった重合開始剤が硬化性組成物中に残存する場合、その残存する重合開始剤を用いて硬化性組成物の硬化を行ってもよい。代わりに、硬化を促進するためにさらに重合開始剤を添加してもよい。本発明においては、添加する重合開始剤を光重合開始剤として、硬化性組成物を紫外線硬化性とすることが製造効率などの観点から好ましい。
【0028】
さらに、粘着性発泡体の諸特性を高めることに寄与する他の成分、例えば、粘着付与剤、カップリング剤、耐衝撃性改良剤などを、硬化性組成物の発泡、成形及び硬化を阻害しない量で硬化性組成物に添加してもよい。
【0029】
このようにして得られる硬化性組成物は、硬化性組成物中に安定な気泡を形成するのに適切な粘度を有する。気泡の形成を促進する、並びに/又は、気泡同士の合一及びその合一した気泡の浮上を効果的に防止するためには、硬化性組成物の粘度を、発泡工程時の硬化性組成物の温度、例えば攪拌混合装置での作業温度(例えば25℃)で、約5000mPa・s以上とすることが好ましい。また、未反応のモノマーと架橋共重合体の分離を効果的に防止し、硬化性組成物のより均一な攪拌混合を可能にすることによって、粘着性発泡体の製造をより安定化するには、硬化性組成物の上記粘度を約60000mPa・s以下とすることが好ましい。
【0030】
本発明によれば、上述の硬化性組成物の発泡硬化物を含む粘着性発泡体が提供される。本発明による粘着性発泡体は、前駆体として用いた硬化性組成物の部分重合体に含まれる、(a)成分と(b)成分との架橋共重合体である(c)成分が有する架橋構造のおかげで、表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤の使用量を従来の硬化性組成物と比べて大幅に削減しても、同等以上の粘着性能及び柔軟性を発揮する。また、発泡助剤を従来と同等量用いた場合は、粘着特性、密着性及びシール性に優れた、より低密度の粘着性発泡体を製造することが可能になる。
【0031】
一般には、粘着性発泡体に要求される寸法(例えば厚さ)、接着特性、用途などを考慮した上で、(a)及び(b)成分の種類、架橋共重合体の含有量、並びに熱伝導性フィラーの含有量などに加えて、硬化性組成物の発泡、成形及び硬化に関する条件や設備を適宜選択又は設計することによって、発泡助剤の使用量が決定される。本願では、発泡助剤の使用量に対する、硬化性組成物の発泡効率の尺度として、(硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の質量部)/(粘着性発泡体の気泡含有量)(=ηform)の値を使用する。この値が小さいほど、より少量の発泡助剤でより気泡含有量の多い粘着性発泡体が得られたことを表す。ここで、「硬化性組成物の樹脂成分」とは、上述の部分重合体に含まれる(a)成分、(b)成分及び(c)成分に加えて、任意追加成分であるアクリル酸などの極性基含有モノマー、反応性不飽和基を2個以上有する追加のモノマーなどの、硬化性組成物を発泡硬化した際に粘着性発泡体の樹脂部分を構成する全ての材料を意味し、「硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の質量部」とは、そのような樹脂成分100質量部に対して、発泡時に使用した発泡助剤の質量部を意味する。また、粘着性発泡体の気泡含有量は、発泡体全体積を基準とした体積パーセントで表され、詳細は以下の実施例で説明する。上述した硬化性組成物を発泡及び硬化して得られる、本発明の粘着性発泡体のηformは、約0.02以上、約0.05以下である。このような範囲とすることにより、粘着性発泡体の柔軟性を維持しつつ、粘着性発泡体に十分な熱伝導性を付与することができる。
【0032】
粘着性発泡体に含まれる気泡の平均直径は、一般に約300μm以下である。また、粘着性発泡体の気泡含有量は、用途に応じて発泡工程で適宜調節すればよく、気泡含有量が多いほどシートはより柔軟になる。シートに十分な柔軟性を付与するには、気泡含有量を発泡体全体積を基準として5体積%以上とすることが望ましい。また、シート強度を十分に確保するには、気泡含有量を発泡体全体積を基準として25体積%以下とすることが望ましい。本発明によれば、このようなシートを、従来のものに比して発泡助剤を少なくした条件で製造できる。
【0033】
上述した硬化性組成物を発泡及び硬化することによって、本発明の粘着性発泡体を製造できる。発泡工程において、公知の気泡混合方法を使用できるが、機械的発泡機構を利用した気泡混合方法が好ましい。例えば、機械的発泡機構として、硬化性組成物の振とう、振動、攪拌、高速攪拌及びそれらの組合せ;硬化性組成物への気泡形成用ガスの混合、ノズル注入又は吹き込み;並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0034】
そのような機械的発泡機構を利用した方法に、例えば特開2002−80802号に記載されている、加振型(振動型)攪拌混合装置を使用してもよい。加振型攪拌混合装置は、一般に、流体が流通する通路を内部に備えたケーシングと、このケーシング内に配置されていて、ケーシングの軸線方向に振動可能な攪拌用の羽根とを備えている。かかる装置を用いると、硬化性組成物に与えられる剪断力が効率的な気泡の分散に寄与するため、組成物の温度を上昇させずに細かく均一な気泡を硬化性組成物に分散できる。
【0035】
気泡形成用ガスとして、硬化性組成物と混合したときに、硬化性組成物の成形及び硬化を妨げない気体を一般に使用できる。かかる気泡形成性ガスとして、例えばアルゴン、窒素などの不活性気体を用いることができるが、コスト面から窒素を用いることが好ましい。
【0036】
上述のように発泡した硬化性組成物を硬化することによって、粘着性発泡体が形成される。例えば粘着性発泡体を発泡粘着シートとして使用する場合、例えば基材上に発泡した硬化性組成物を塗布して、テープ状又はシート状に成形してもよい。硬化工程は、上述の部分重合と同様に、光重合開始剤を使用する場合であれば、紫外線、電子線など用いた放射線を発泡した硬化性組成物に照射することによって行うことができ、熱重合開始剤を使用する場合であれば、発泡した硬化性組成物を加熱することによって行うことができる。比較的短時間で低温硬化できることから、紫外線を照射して発泡した硬化性組成物を硬化することが好ましい。この場合、空気中の酸素が紫外線重合を阻害する傾向があるので、窒素、アルゴン又は二酸化炭素のような不活性ガス中で硬化工程を行うことが好ましい。また、例えば2枚の基材を用いて発泡した硬化性組成物を挟み、空気中に含まれる酸素と硬化性組成物が接触しないようにして硬化を行ってもよい。成形する場合に使用する基材として、プラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。基材が紫外線透過性の透明フィルムであれば、基材側から紫外線照射を行うことができて有利である。
【0037】
本発明の粘着性発泡体は熱伝導性フィラーを含有するため、その熱伝導率は、例えば約0.4Wm-1-1以上と高い。そのため、本発明の粘着性発泡体は、発熱性電子デバイス、パーソナルコンピュータなどの各種電子デバイスにおいて、それらに内蔵される発熱体からの熱を、ヒートシンク、金属放熱板などの放熱体に伝熱するための熱伝導性材料として使用できる。本発明の粘着性発泡体は、例えばテープ状又はシート状に成形して使用され、内部に気泡を含むフォームテープ又はフォームシートであることから、取扱いが容易であって、発熱体及び放熱体に対する密着性に優れており、良好な伝熱性を発揮する。
【実施例】
【0038】
以下、代表的な実施例を詳述するが、本願の特許請求の範囲の範囲内で、以下の実施態様の変形及び変更が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0039】
粘着性発泡体の評価は以下の手順に従って行った。
【0040】
90度剥離接着力(対ステンレス板):得られたシートを25mm×200mm大に切断し、陽極酸化処理したアルミニウム箔(130μm)で裏打ちした。裏打ちしたサンプルをステンレス板(SUS304)に貼り付け、7kgローラーを一往復させて圧着した。圧着後、室温で72時間放置し、テンシロンを用いて引張速度300mm/分で90度方向に剥離して、その最中の剥離接着力を測定した。サンプルはn=2で測定し、その平均値を90度剥離接着力とした。
【0041】
耐熱せん断保持力:得られたシートを25mm×25mm大に切断し、シート両面にそれぞれSUS板を貼り付けた。水平に置いたサンプルに2kgの重りを載せて、20分間放置することにより圧着した。圧着後、90℃の雰囲気下、サンプルが垂直になるように一方のSUS板を固定し、もう一方のSUS板に1kgの重りを掛けて、サンプルが落下するまでの時間を測定した。測定の結果、5000分以上落下しないサンプルについては、表中「5000+」と表記した。サンプルはn=2で測定し、その平均値を耐熱せん断保持力とした。
【0042】
圧縮応力:得られたシートを10枚積層した後、15mm×15mm大に切断し、測定用サンプルとした。測定用サンプルに対して、単位面積当たり、厚さ方向に初期厚みの75%まで圧縮するために必要な荷重(25%圧縮荷重)を測定した。測定にはテンシロンを使用し、速度0.5mm/分で圧縮し、厚みが25%圧縮された時点の最大値を測定した。各サンプルについてn=2で測定し、平均値を圧縮応力とした。圧縮荷重値が小さいほど、低い圧着力で被着体と良好に密着できる。
【0043】
気泡含有量:得られたシート中の気泡含有量Kを次式により求めた。
K(体積%)=100−(発泡シートの密度/無発泡シートの密度)×100(式中、無発泡シートの密度とは、発泡シートと同一の硬化性組成物を使用して、気泡を導入せずに硬化させて得たシートの密度である。)
【0044】
熱伝導率:試験対象となる熱伝導性シート(厚みをL(m)とする)について、0.01m×0.01mの小片(測定面積:1.0×10-42)を作製し、この試料を発熱板と冷却板とで挟み、7.6×104N/m2の一定荷重の下、4.8Wの電力を加えて5分間保持したときの発熱板と冷却板との温度差を測定し、次式により熱抵抗RLを求めた。
L=(K・m2/W)=温度差(K)×測定面積(m2)/電力(W)
【0045】
さらに上記小片を2枚積層したサンプルを作製し、厚みが2L(m)の資料の熱抵抗R2L(K・m2/W)を上記のように測定した。測定して得られたRLとR2Lとを用いて、下式により熱伝導率λ(W/m・K)を計算した。
λ(W/m・K)=L(m)/((R2L(K・m2/W)−RL(K・m2/W))
【0046】
表面修飾ナノ微粒子の調製:本実施例では、シリカナノ微粒子の表面をイソオクチルトリメトキシシランで修飾した、イソオクチルシラン表面修飾シリカナノ微粒子を使用した。その調製方法は以下の通りである。イソオクチルトリメトキシシラン(品番 BS1316、Wacker Silicone Corp., Adrian, Michigan)61.42g、1−メトキシ−2−プロパノール 1940g及びコロイダルシリカ(品番 NALCO2326、Nalco Chemical Co.)1000gを1ガロンのガラスジャー中で混合した。混合物を振とうして十分に分散し、次に80℃のオーブン内に一晩置いた。混合物を150℃の通気式オーブン内で乾燥して、白色の固体微粒子を得た。このようにして得られた表面修飾ナノ微粒子の粒径は約5nmであった。
【0047】
例1〜7:表1の項目Aに記載された組成のモノマー及び重合開始剤の混合物に、窒素雰囲気下で、照射強度3mW/cm2の紫外線を3分間照射して部分重合を行い、部分重合体を得た。例1〜4では、(a)成分を2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)として、(b)成分(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA))の量を変化させて部分重合を行った。例5〜7では、(a)成分としてイソオクチルアクリレートを用い、3種類の(b)成分(HDDA、BLEMMER ADE−400、BLEMMER ADE−600)を用いた。BLEMMER ADE−400及びADE−600は、NOF Corp.の製造する、ポリエチレングリコール−ジアクリレートである。表2は、2−EHA又はイソオクチルアクリレートを100質量部として項目Aのみを再構成した組成表である。また、表2に、部分重合体の粘度及び部分重合体に含まれる共重合体の含有量を、部分重合体の質量を基準とした質量パーセントで示す。
【0048】
部分重合体に含まれる共重合体の含有量は、以下のようにして得た。ステンレス皿(底部の直径4.0cm)に得られた部分重合体1.0gを計量して入れ、窒素雰囲気下、130℃で2時間乾燥して、固形分(共重合体)を得た。この固形分を計量し、投入した部分重合体の質量(1.0g)に基づき共重合体の含有量(質量パーセント)を計算した。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
この部分重合体に、表1の項目Bに記載された配合で、追加成分としてアクリル酸(極性基含有モノマー)、HDDA及びIrgacure 819(重合開始剤)を追加した。さらに、項目Cの水酸化アルミニウム(熱伝導性フィラー)を添加し、よく攪拌した後に真空脱泡機により脱気した。その後、項目Dの表面修飾ナノ微粒子(発泡助剤)を添加して、硬化性組成物を得た。例2では例1の表面修飾ナノ微粒子の含有量を2倍にした。また、例3及び例4では、部分重合時に例1と比べて減らしたHDDAを後から追加して、硬化性組成物を調製するのに使用したHDDAの量を例1〜4について同じにした。表3は、部分重合体を100質量部として項目B、C及びDを再構成した組成表である。
【0052】
【表3】

【0053】
次に、加振型攪拌混合装置を使用し、この硬化性組成物に窒素ガスを分散させて、発泡した硬化性組成物を得た。この発泡した硬化性組成物を、シリコーン剥離剤で表面処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー2枚で挟み、シート状にカレンダー成形した。さらにその2枚のPETライナーの内側に硬化性組成物を保持したまま、照射強度0.3mW/cm2の紫外線をシートの両面にそれぞれ3分間照射し、続いて照射強度6.0mW/cm2の紫外線を3分間照射することによってその組成物を硬化して、アクリル系粘着性発泡体のシートを得た。
【0054】
例1〜例7の粘着性発泡体の気泡含有量の計算に使用する無発泡シートを得るために、発泡助剤(項目D)を入れなかった他は例1と同様にやり方で、発泡助剤を含まない硬化性組成物を得た。この硬化性組成物を発泡せずに、シリコーン剥離剤で表面処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー2枚で挟み、シート状にカレンダー成形した。さらにその2枚のPETライナーの内側に硬化性組成物を保持したまま、照射強度0.3mW/cm2の紫外線をシートの両面にそれぞれ3分間照射し、続いて照射強度6.0mW/cm2の紫外線を3分間照射することによってその組成物を硬化して、アクリル系粘着性無発泡シートを得た。得られたシートの密度は1.51g/cm3であった。
【0055】
比較例1:2−エチルヘキシルアクリレートのみを部分重合した後に、HDDAを添加したこと以外は、例1と同様にして、厚み0.30mmのアクリル系粘着性発泡体のシートを得た。得られたシートの密度は1.39g/cm3であり、シート中の気泡サイズは比較的大きくなって、シートを貫通するような大きな気泡が局所的に観察された。
【0056】
比較例2:表面修飾ナノ微粒子の添加量(0.85質量部)を増やしたこと以外は、比較例1と同様にして、厚み0.30mmのアクリル系粘着性発泡体のシートを得た。得られたシートの密度は1.31g/cm3であった。
【0057】
比較例1及び2の粘着性発泡体の気泡含有量の計算に使用する無発泡シートを得るために、発泡助剤(項目D)を入れなかった他は比較例1と同様にやり方で、発泡助剤を含まない硬化性組成物を得た。この硬化性組成物を発泡せずに、シリコーン剥離剤で表面処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー2枚で挟み、シート状にカレンダー成形した。さらにその2枚のPETライナーの内側に硬化性組成物を保持したまま、照射強度0.3mW/cm2の紫外線をシートの両面にそれぞれ3分間照射し、続いて照射強度6.0mW/cm2の紫外線を3分間照射することによってその組成物を硬化して、厚み0.30mmのアクリル系粘着性無発泡シートを得た。得られたシートの密度は1.51g/cm3であった。
【0058】
作製したこれらの粘着性発泡体シートについて、90度剥離接着力、耐熱せん断保持力、圧縮応力、気泡含有量、熱伝導性を、上述した手順に従って評価した。結果を表4に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
また、例1及び比較例1のシート厚みを変えたときの、シート厚みとシート密度の関係を表5に示す。ここでは、発泡した硬化性組成物の比重を、いずれも1.20〜1.22g/cm3の範囲に調整した。
【0061】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)反応性不飽和基を1個有する、1種以上の炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)反応性不飽和基を2個以上有する、1種以上のモノマー、及び
(c)(a)成分と(b)成分との架橋共重合体
を含む部分重合体であって、前記(c)成分の量が、前記部分重合体の質量を基準として2〜15質量%である、部分重合体と;
前記部分重合体100質量部に対して100〜250質量部の熱伝導性フィラーと;
前記部分重合体100質量部に対して0.1〜1.5質量部の、粒径が20nm以下である表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤と
を含む硬化性組成物の発泡硬化物である、粘着性発泡体であって、
前記粘着性発泡体の気泡含有量を、発泡体全体積を基準とした体積パーセントで表した場合に、(前記硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する前記発泡助剤の質量部)/(前記粘着性発泡体の気泡含有量)の値が、0.02〜0.05である、粘着性発泡体。
【請求項2】
前記粘着性発泡体の気泡含有量が、発泡体全体積を基準として、5〜25体積%である、請求項1に記載の粘着性発泡体。
【請求項3】
前記熱伝導性フィラーが、水酸化アルミニウムである、請求項1に記載の粘着性発泡体。
【請求項4】
前記硬化性組成物が紫外線硬化性である、請求項1に記載の粘着性発泡体。
【請求項5】
(a)反応性不飽和基を1個有する、1種以上の炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、
(b)反応性不飽和基を2個以上有する、1種以上のモノマー、及び
(c)(a)成分と(b)成分との架橋共重合体
を含む部分重合体であって、前記(c)成分の量が、前記部分重合体の質量を基準として2〜15質量%である、部分重合体を用意する工程と;
前記部分重合体に、前記部分重合体100質量部に対して100〜250質量部の熱伝導性フィラーを混合する工程と;
前記部分重合体に、前記部分重合体100質量部に対して0.1〜1.5質量部の、粒径が20nm以下である表面修飾ナノ微粒子を含む発泡助剤を添加して、硬化性組成物を得る工程と;
前記硬化性組成物を機械的に発泡させる工程と;
発泡した前記硬化性組成物の成形体を硬化する工程と
を含む、粘着性発泡体の製造方法であって、前記粘着性発泡体の気泡含有量を、発泡体全体積を基準とした体積パーセントで表した場合に、(前記硬化性組成物の樹脂成分100質量部に対する前記発泡助剤の質量部)/(前記粘着性発泡体の気泡含有量)の値が、0.02〜0.05である、粘着性発泡体の製造方法。
【請求項6】
前記部分重合体が、
(a)反応性不飽和基を1個有する、炭素数12個以下のアルキル(メタ)アクリレートモノマー 100質量部と、
(b)反応性不飽和基を2個以上有するモノマー 0.01〜1.0質量部と、
(d)重合開始剤 0.01〜1.0質量部と
を含むモノマー混合物を部分重合することによって調製される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化工程に、発泡した前記硬化性組成物の成形体に紫外線を照射して硬化することが含まれる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記粘着性発泡体の気泡含有量が、発泡体全体積を基準として、5〜25体積%である、請求項5に記載の方法。

【公開番号】特開2009−263542(P2009−263542A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116163(P2008−116163)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】