説明

2次元移動装置及び搬送装置

【課題】2次元経路で或る機構の固定先を移動可能な2次元移動装置を提供する。
【解決手段】垂直移動ユニット部50の一方の端に配された下板56と、水平移動ユニット部40及び垂直移動ユニット部50の滑動をそれぞれ制動する水平ブレーキ部42及び垂直ブレーキ部47a、47bとを備え、さらに、レールの両端側に、それぞれ駆動プーリ35及び従動プーリ34が軸支され、従動プーリ46及び従動プーリ45が直線経路の中心寄りに軸支され、1本のワイヤ37が、垂直移動ユニット部50の一方の端部近傍から延出され、従動プーリ46、従動プーリ34、駆動プーリ35及び従動プーリ45にこの順で巻き架けられて、垂直移動ユニット部50の他方の端部近傍に接続されており、駆動プーリ35を回転駆動する一方で、水平ブレーキ部42及び垂直ブレーキ部47a、47bを択一的に作動させて、水平移動ユニット部40と垂直移動ユニット部50とを個別に滑動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を2次元経路で移動させる2次元移動装置に関し、特に、内部機構を簡略化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造工程などにおいて、ワークをチャッキング位置に自動的にセットする装置のように、部品をある位置から目的の位置に2次元経路で移動させるものとして2次元移動装置がある。(例えば、特許文献1)
例えば、特許文献1に記載のワークのチャック装置では、回転運動を直線運動に変換するウォームギア機構を直交方向に2つ組み合わせ、2つのテーブルが直交方向に移動する構成とすることにより、チャック部が配された一方のテーブルを2次元的に移動させている。
【0003】
各ウォームギア機構には、回転力を発生させるモータが各1個配されており、2次元移動装置として合計2つのモータを備える。
【特許文献1】特開平6−171791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータは高コストな部品であるため、上述のように2個のモータを使用するとコストアップになるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決しようとなされたものであって、コスト低減可能な2次元移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の2次元移動装置は、主に以下の2つの特徴を有する。
1)所定の処理を実行する機構の固定先となる固定部を2次元的に移動させる2次元移動装置であって、長尺なレール部を有する支持体と、前記レール部に滑動自在に配された第1スライド部と、第1スライド部において、前記レール部と非平行な直線経路上を長手方向に滑動自在に配された長尺な第2スライド部と、第2スライド部の一方の端部に配された前記固定部と、第1スライド部の前記滑動を制動する第1制動機構と、第2スライド部の前記滑動を制動する第2制動機構とを備え、さらに、前記支持体において、前記レール部の一方の端側に駆動車、他方の端側に第1従動車が軸支され、第1スライド部において、第2従動車及び第3従動車が前記直線経路の中心寄りに軸支され、1本の屈曲自在で長尺な駆動力伝達部材が、第2スライド部の一方の端部又はその近傍から延出され、第2従動車、第1従動車、駆動車及び第3従動車にこの順で巻き架けられて、第2スライド部の他方の端部又はその近傍に接続されており、前記駆動車を回転駆動する一方で、第1制動機構及び第2制動機構を択一的に作動させ、第1スライド部と第2スライド部とを個別に滑動させることにより、前記固定部を移動させる。
2)所定の処理を実行する機構の固定先となる固定部を2次元的に移動させる2次元移動装置であって、長尺なレール部を有する支持体と、前記レール部に滑動自在に配された第1スライド部と、第1スライド部において、前記レール部と非平行な直線経路上を長手方向に滑動自在に配された長尺な第2スライド部と、第2スライド部の一方の端部に配された前記固定部と、第1スライド部の前記滑動を制動する第1制動機構と、第2スライド部の前記滑動を制動する第2制動機構とを備え、さらに、前記支持体において、前記レール部の一方の端側に駆動車、他方の端側に第1従動車が軸支され、第1スライド部において、第2従動車及び第3従動車が前記直線経路の中心寄りに軸支され、第2スライド部において、その両端のうち第2従動車に近い側の端部又はその近傍に第4従動車が、第3従動車に近い側の端部又はその近傍に第5従動車が軸支され、1本の屈曲自在で長尺な駆動力伝達部材が、第1スライド部から延出され、第4従動車、第2従動車、第1従動車、駆動車、第3従動車及び第5従動車にこの順で巻き架けられて、第1スライド部に接続されており、前記駆動車を回転駆動する一方で、第1制動機構及び第2制動機構を択一的に作動させ、第1スライド部と第2スライド部とを個別に滑動させることにより、前記固定部を移動させることを特徴とする。
【0006】
また、上記目的を達成するために、本発明の搬送装置は、以下の特徴を有する。
3)上記1)または上記2)の構成の2次元移動装置において、把持及び解放を行う把持機構を前記固定部に固定したものを備え、前記固定部の移動動作を介して把持機構の把持動作及び開放動作を行うことにより、積み込みまたは積み出しを行う。
【発明の効果】
【0007】
上記1)、2)の構成により、単一の駆動源により駆動車を回転駆動させるとともに、第1制動機構で第1スライド部の滑動を阻止すれば、第2スライド部がスライドする。
一方、上記駆動源で駆動車を回転駆動させるとともに、第2制動機構で第2スライド部の滑動を阻止すれば、第1スライド部がスライドする。
また、第2スライド部の一方の端部から第2従動車、駆動車、第3従動車を経て、第2スライド部の他方に至るまでの経路長の合計は、第1スライド部や第2スライド部をスライドさせても変わらない。
【0008】
このように、単一の駆動源で、所定の処理を実行する機構の固定先となる固定部をレール部及び直線経路の各伸長方向に移動させることができるので、移動方向毎に駆動源を要する従来の構成に比べてコストダウンを図ることができる。
また、1本の駆動力伝達部材と3つの従動車及び1つの駆動車という簡易な構成で動力が伝達されるのでさらに、コストダウンを図ることができる。
【0009】
さらに、上記2)の構成では、第4従動車及び第5従動車を用いる構成、つまり、動滑車を用いる構成が加わっているので、第2スライド部の直線経路の伸長方向への移動に必要な駆動力が、上記1)の構成の2分の1となる。
つまり、直線経路の伸長方向を鉛直方向とし、重力方向に逆らって移動する場合、第2スライド部の移動には、自重及び前記固定部に固定される機構等の重量が加算されるため、第2スライド部の移動には、第1スライド部を移動させる場合よりも、より大きな駆動力を必要とするが、上記2)の構成では、第2スライド部の駆動力が、第1スライド部の駆動力の2倍となるので、駆動力の不足が生じ難い。
【0010】
また、前記第1従動車、前記第2従動車、前記第3従動車及び前記駆動車は、第1スライド部及び第2スライド部の滑動の前後で、駆動力伝達部材の各経路と前記直線経路との傾きが変わらない位置に軸支されていることが望ましい。
これにより、第1スライド部及び第2スライド部において、その移動に際し、これらの移動方向側にある駆動力伝達部材が巻き取られる量(以下、「巻き取り量」という。)と、これらの反移動方向側にある駆動力伝達部材が巻き送られてくる量(以下、「巻き送り量」という。)とが一致するため、駆動力伝達部材の張力が一定し、スムーズな移動が実現される。
【0011】
上記3)の構成は、上記1)または2)の構成を含んでいるため、上記1)または2)の構成と同様の効果を奏する。
また、前記駆動力伝達部材の経路であって、前記第2従動車とその直近の前記駆動力伝達部材の端部とに挟まれた第1区間、及び前記第3従動車とその直近の前記駆動力伝達部材の端部とに挟まれた第2区間が、前記直線経路と平行することが望ましい。
【0012】
これにより、第2スライド部の移動量と、ワイヤ37の巻き取り量及び巻き取り量とが一致するため、前記固定部の直線経路の伸長方向への移動制御性が高められる。
また、前記駆動力伝達部材の経路において、前記第1区間と前記第2区間が略同一直線上に存することが望ましい。
これにより、第2スライド部において、移動に起因するモーメント力の発生を抑制することができ、スムーズな移動が実施される。
【0013】
さらに、前記第2スライド部及びこれに配された他の部材を合わせた重心位置が、前記同一直線上またはその近傍に存することが望ましい。
これにより、第2スライド部を移動させる際に、第2スライド部にモーメント力が発生することが抑制され、スムーズな移動が実施される。
また、前記駆動力伝達部材の少なくとも1箇所を付勢して、前記駆動力伝達部材の張力を調整する張力調整手段があるとしてもよい。
【0014】
これにより、第1スライド部及び第2スライド部において、その移動に際し、これらの移動方向側にある駆動力伝達部材が巻き取られる量、即ち、巻き取り量と、これらの反移動方向側にある駆動力伝達部材が巻き送られてくる量、即ち、巻き送り量とが一致しなくても、張力調整手段により駆動力伝達部材の張力が一定し、スムーズな移動が実現される。
【0015】
また、前記レール部と前記直線経路は、空間を挟んで直交する位置にあることが望ましい。
これにより、第2スライド部が直交座標系での移動となるため、位置制御が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.実施の形態
(構成)
以下、本発明に係る2次元移動装置の一例としての把持ユニット25を利用し、ボトル4の箱詰めを行うケーシング設備の構成について説明する。
図1は、本実施の形態におけるケーシング設備1の外観斜視図である。
【0017】
ケーシング設備1は、終端位置が異なるように並設されたボトル搬送コンベア10及びケース搬送コンベア11と、ボトル搬送コンベア10の終端において、その主要部がボトル搬送コンベア10及びケース搬送コンベア11の両者(以下、「コンベア対12」という。)を跨ぐように架設された把持ユニット25とを有する。
ボトル搬送コンベア10は、3列に並べたボトル13を順次搬送するコンベアであり、またケース搬送コンベア11は、ボトル1ダース分の収納容量を備えるケース14を順次搬送するコンベアである。
【0018】
把持ユニット25は、ボトル搬送コンベア10上に置かれた12本(3×4)のボトル13を一括して把持し、持上げ、ケース搬送コンベア11側に平行移動し、ケース搬送コンベア11上に置かれたケース14上で降下させ、さらに、上記把持を解除することにより、ケース14内に12本のボトル13を収納するものである。
より具体的には、把持ユニット25は、コンベア対12の両脇に立設された主橋脚部31および副橋脚部31aと、これらの頂部同士で支持されるように架設されたY軸方向に長尺な橋梁部30と、当該橋梁部30に摺設され、当該橋梁部30の長手方向、即ち、Y軸に沿って移動する水平移動ユニット部40と、さらに、この水平移動ユニット部40において滑動自在に配設され、ボトル13を把持する把持機構57を有してZ軸に沿って移動する垂直移動ユニット部50と、上記主橋脚部31の頂部に配設され、橋梁部30、水平移動ユニット部40及び垂直移動ユニット部50にそれぞれ設けられたアクチュエータの駆動制御を実施する駆動制御部60と、水平移動ユニット部40と垂直移動ユニット部50の両者に駆動力を伝えるワイヤ37とからなる。
【0019】
主橋脚部31および副橋脚部31aは、それぞれ橋梁部30を支持する台座である。
図2は、図1の仮想YZ平面における把持ユニット25の断面図である。
橋梁部30は、Y軸方向に長尺な直方体状の筒体であって、この筒体の上下面(Z軸と直交する面)のそれぞれにY軸方向に長尺な貫通孔32a及び貫通孔32bが配されてなる橋梁本体部33と、当該橋梁本体部33内の一方の端部に従動プーリ34が、他方の端部に駆動プーリ35が軸着された駆動モータ36とを有する。
【0020】
従動プーリ34と駆動プーリ35には、図2に示すようにワイヤ37が巻回されている。
駆動プーリ35には、ワイヤ37がスリップするのを防止するため、ワイヤ37が接触する面の摩擦係数を高める処理を施すことが望ましい。
このような処理としては、例えば、前記接触面に、ワイヤ37の伸長方向と直交する方向に複数の溝を設けるか、または、ゴムのような弾性体で被覆することが考えられる。
【0021】
この他、駆動プーリ35の幅を大きくし、ワイヤ37を複数回巻回して摩擦力を向上することもできる。
その場合、ワイヤ37が重ならないように、駆動プーリ35をその回転量に応じて回転軸方向にスライドさせるスライド機構を用いることが望ましい。
このようなスライド機構は、1)ボールスプラインを介して駆動プーリ35を駆動モータ36に軸着し、2)この駆動プーリ35において、駆動モータ36が存する側と反対側の面の回転中心から回転軸に沿ってシャフトを延出し、そのシャフトの端部から駆動プーリ35の存する側に向かって、ピッチがワイヤの線径と同寸のめねじを螺刻し、3)前記シャフトの端部と対向する橋梁本体部33の内壁から前記めねじと対をなすおねじを、前記めねじをめがけて延出させ、前記めねじと螺合させることで実現される。
【0022】
橋梁本体部33は、水平移動ユニット部40をY軸方向に摺動自在に案内するレールであり、また、従動プーリ34及び駆動モータ36を支持する支持体でもある。
従動プーリ34は、橋梁本体部33の内壁のうち、主橋脚部31側のYZ平面と対向する面に回転自在に軸支されている。
駆動モータ36は、直流モータであって、把持ユニット25内にただ1つ配されており、水平移動ユニット部40の水平移動、及び垂直移動ユニット部50の垂直移動の駆動力を発生する。
【0023】
より具体的には、駆動モータ36は、橋梁本体部33の外壁のうち、副橋脚部31a側のYZ平面と対向する面に配設されており、駆動モータ36に軸支された駆動プーリ35が、橋梁本体部33の内部に入り込んでいる。
便宜的に、駆動モータ36は、印加電圧が正極性の場合に図2に示すように左回りに回転(正転)し、印加電圧が負極性の場合に右回りに回転(逆転)するものとする。
【0024】
水平移動ユニット部40は、筒状であってY軸方向の両端に開口部を有する外郭部41aと、外郭部41aの上部外面に配された水平ブレーキ部42と、外郭部41aの内部に設けられたZY平面と平行な仕切り板41bと、この仕切り板41bに回転自在に軸支された従動プーリ43、44、45、46及び垂直軸ガイドローラ48a、48b、49a、49bと、仕切り板41bに配された垂直ブレーキ部47a、47bとを有する。
【0025】
外郭部41aは、橋梁本体部33に摺動自在に周設されており、また、仕切り板41bは、橋梁本体部33の貫通孔32a及び貫通孔32bを通っている。
水平ブレーキ部42は、電磁石(不図示)とばね(不図示)を内包し、上記電磁石への通電の有無によって一端が上下に揺動するブレーキ機構である。
より具体的には、水平ブレーキ部42は、通電状態において降下し、橋梁本体部33と接触して水平移動ユニット部40の位置を固定する。
【0026】
さらに、水平ブレーキ部42は、無通電状態において上昇し、橋梁本体部33から離脱して上記固定を解除する。
従動プーリ43、44、45、46は、ワイヤ37の経路変更を行い、図2に示すようにワイヤ37の区間37a、区間37b、区間37c、区間37dにおいて、その伸長方向が橋梁本体部33の長手方向、即ち、水平移動ユニット部40の摺動方向と一致するように配されている。
【0027】
さらに、従動プーリ45、46は、ワイヤ37の区間37f、37eの伸長方向が、垂直移動ユニット部50の滑動方向と一致するように配されている。
外郭部41aの上下の面には、それぞれ水平移動ユニット部40の摺動部材である後述の垂直シャフト51が挿通される貫通穴41c、41dが設けられており、これら貫通穴のそれぞれの近傍に、垂直シャフト51を案内するための垂直軸ガイドローラ48a、48bと、垂直軸ガイドローラ49a、49bとが配設されている。
【0028】
垂直ブレーキ部47a、47bは、電磁石(不図示)とばね(不図示)を内包し、上記電磁石への通電の有無によってY軸方向に移動するブレーキ機構である。
より具体的には、垂直ブレーキ部47a、47bは、通電状態において互いの距離を縮めるように移動して垂直シャフト51を挟持し、垂直シャフト51の位置を固定する。
さらに、垂直ブレーキ部47a、47bは、無通電状態において互いの距離を広げるように移動して橋梁本体部33から離れて上記固定を解除する。
【0029】
垂直移動ユニット部50は、四角柱状の垂直シャフト51と、この垂直シャフト51の上下端のそれぞれに、その主面が垂直シャフト51の長手方向と直交するように接合されている上板55及び下板56と、さらに、図1に示すように、下板56の下側に配設されたボトルを把持する把持機構57とを有している。
また、図2に示すように、ワイヤ37における一方の端が上板55に接続され、他端が下板56に接続されている。
【0030】
垂直シャフト51は、図2に示すように、外郭部41a内部に入り込んだ部分を、その上部において垂直軸ガイドローラ48a、48bで挟持し、その下部において、垂直軸ガイドローラ49a、49bで挟持することにより、Z軸方向に滑動自在となっている。
上板55及び下板56は、垂直シャフト51のZ軸方向の移動時におけるストッパーの役割を担う部材である。
【0031】
把持機構57は、電気的なアクチュエータを用いて筒状部材(不図示)の内径の一部を縮小することにより、筒状部材内に挿入されたボトル4を把持する把持機構であり、通電状態においてボトル4を把持し、無通電状態において、上記ボトル4の把持を解除する。
上記把持機構については、公知の技術であるため、その詳細についての説明を省略する。
【0032】
上述の構成、即ち、垂直移動する垂直移動ユニット部50が水平移動する水平移動ユニット部40に配される構成により、垂直移動ユニット部50は、垂直移動及び水平移動、即ち、2次元的経路で移動することができ、その結果、垂直移動ユニット部50に配された把持機構57も2次元的経路で移動可能となっている。
駆動制御部60は、CPU等からなる演算部(不図示)と、駆動モータ36、水平ブレーキ部42、垂直ブレーキ部47a、47b及び把持機構57のそれぞれに電力を供給する電源部(不図示)とを有し、ボトル搬送コンベア10及びケース搬送コンベア11の動きに同期させて、以下の制御を実施する。
1)駆動モータ36への通電の実行及び遮断。
2)駆動モータ36に電力を供給する際における印加電圧とその極性の決定。
3)水平ブレーキ部42への通電の実行及び遮断。
4)垂直ブレーキ部47a、47bへの通電の実行及び遮断。
5)把持部への通電の実行及び遮断。
(動作)
以下、1つの駆動モータ36で垂直移動ユニット部50を垂直方向に移動させ、さらに、水平移動ユニット部40を水平移動に移動させる動作について説明する。
1)垂直移動
垂直移動ユニット部50を垂直方向に上昇させる場合、駆動制御部60は、図2に示すように、水平移動ユニット部40の水平ブレーキ部42を通電状態にしてブレーキをオンし、橋梁部30と水平移動ユニット部40との相対的位置を固定する。
【0033】
その結果、ワイヤ37に張力が加わったときに、垂直移動ユニット部50のみが自由に移動できる構造体となる。
次に駆動制御部60は、駆動モータ36に正極性の電圧を印加して、駆動プーリ35を左回りに回転させると、ワイヤ37の区間37bと区間37fに張力が加わり、従動プーリ45には図面右下方向に引っ張られるが、水平移動ユニット部40はブレーキがかかっているので、その端部に接続されている下板56が引き上げられ、垂直移動ユニット部50がZ軸上方へと移動する。
【0034】
このとき、垂直移動ユニット部50の上板55に接続されたワイヤ37の区間37eの端部が引き上げられるが、区間37f及び37eにおけるワイヤ37の移動方向と垂直移動ユニット部50の滑動方向とが一致するようにワイヤの経路が設定されているため、引き上げられた長さと等長のワイヤ37が区間37eに新たに進入する。
つまり、垂直移動ユニット部50がスライドしても、区間37f及び37eの距離の和は略一定であり、ワイヤが緩んだり、局所的に張力が高まったりという問題もなくスムーズな移動が実施できる。
【0035】
上述のようにワイヤの経路を設定するのは、本実施の形態の把持ユニット25では、無端ワイヤの一部に、垂直シャフト51が挿設された構成となっているため、区間37fの減少量と下板56の上昇量とが一致し、さらに、区間37eの増加量と上板55の上昇量が一致しなければ、駆動プーリ35に進入するワイヤ37の量と駆動プーリ35から送り出すワイヤ37の量とのバランスが取れなくなるからである。
2)水平移動
水平移動ユニット部40を水平方向に移動させる場合、この駆動制御部60は、図3に示すように、水平移動ユニット部40の垂直ブレーキ部47a、47bを通電状態にしてブレーキをオンし、水平移動ユニット部40と垂直移動ユニット部50との相対的位置を固定する。
【0036】
その結果、水平移動ユニット部40と垂直移動ユニット部50との組(以下、「ユニット結合体」という。)のみが唯一ワイヤ37から力を受け、かつ、自由に移動できる構造体となり、このとき、図3のA点及びB点は不動の点となる。
次に駆動制御部60は、駆動モータ36に正極性の電圧を印加して、駆動プーリ35を左回りに回転させると、B点が駆動プーリ35側に引き寄せられるためワイヤ37の区間37bが減少し、ユニット結合体がY軸方向左側へと移動する。
【0037】
このとき、ユニット結合体のA点もY軸方向左側に移動し、ワイヤ37の区間37cが拡大するが、区間37a、37b、37d及び37cにおけるワイヤ37の移動方向と上記ユニット結合体の滑動方向とが一致するようにワイヤの経路が設定されているため、ワイヤが緩んだり、局所的に張力が高まったりという問題もなくスムーズな移動が実施できる。
(駆動制御部における制御の詳細)
以下、駆動制御部60により繰り返し実行される一連のプロセスについて、図4に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0038】
より具体的には、図4のタイミングチャートは、駆動制御部60により実施される1サイクル分のプロセスを示すものであって、この1サイクル分のプロセスとは、1個のケース14に対するボトル4の箱詰めが完了した後から、次の1個のケース14に対する箱詰めが完了するまでをいう。
ここで、以降の説明に際してt1からt24までの時刻を用いているが、番号の大きなものほど時間が経過しているものとする。
(1)時刻t1から時刻t2までの間、駆動モータ36を無通電状態にして停止状態にすると共に、水平ブレーキ部42及び垂直ブレーキ部47a、47bを通電状態にして、把持機構57を無通電状態にして開放状態にする(プロセス401)。
【0039】
このとき、把持機構57がボトル4の箱詰位置に存するように設定されている。
(2)時刻t2から時刻t5までの間、水平ブレーキ部42を通電状態に、垂直ブレーキ部47aを無通電状態にし、また、把持機構57の無通電状態を維持し、さらに、時刻t3から時刻t4までの間、駆動モータ36に正極性の電圧を印加して正転させる(プロセス402)。
【0040】
これにより、垂直移動ユニット部50の下板56に接続されたワイヤ37が巻き上げられ、垂直移動ユニット部50がZ軸方向上側に上昇する。
このとき、把持機構57は、ボトル4の箱詰位置の上方に位置する。
(3)時刻t5から時刻t8までの間、水平ブレーキ部42を無通電状態に、垂直ブレーキ部47aを通電状態にし、また、把持機構57の無通電状態を維持し、さらに、時刻t6から時刻t7までの間、駆動モータ36に正極性の電圧を印加して正転させる(プロセス403)。
【0041】
これにより、図3におけるB点が駆動モータ36側に引き寄せられ、ユニット結合体がY軸方向の駆動モータ36側に移動する。
(4)時刻t8から時刻t11までの間、水平ブレーキ部42を通電状態に、垂直ブレーキ部47aを無通電状態にし、また、把持機構57の無通電状態を維持し、さらに、時刻t9から時刻t10までの間、駆動モータ36に負極性の電圧を印加して逆転させる(プロセス404)。
【0042】
これにより、垂直移動ユニット部50の下板56に接続されたワイヤ37が下方に移動し、垂直移動ユニット部50がZ軸方向下側へと下降する。
(5)時刻t11から時刻t13までの間、水平ブレーキ部42及び垂直ブレーキ部47aを通電状態にし、さらに、時刻t12から時刻t13までの間、把持機構57を通電状態にする(プロセス405)。
【0043】
これにより、把持機構57は、ボトル4の把持位置に達し、1ダース分のボトル4を一括して把持する。
(6)時刻t13から時刻t16までの間、水平ブレーキ部42を通電状態に、垂直ブレーキ部47aを無通電状態にし、また、把持機構57の通電状態を維持し、さらに、時刻t14から時刻t15までの間、駆動モータ36に正極性の電圧を印加して正転させる(プロセス406)。
【0044】
これにより、垂直移動ユニット部50の下板56に接続されたワイヤ37が巻き上げられ、把持機構57にボトル4が把持された状態のまま垂直移動ユニット部50がZ軸方向上側に上昇する。
(7)時刻t16から時刻t19までの間、水平ブレーキ部42を無通電状態に、垂直ブレーキ部47aを通電状態にし、また、把持機構57の通電状態を維持し、さらに、時刻t17から時刻t18までの間、駆動モータ36に負極性の電圧を印加して逆転させる(プロセス407)。
【0045】
これにより、図3におけるA点が従動プーリ34側に引き寄せられ、ユニット結合体がY軸方向の従動プーリ34側に移動する。
(8)時刻t19から時刻t22までの間、水平ブレーキ部42を通電状態に、垂直ブレーキ部47aを無通電状態にし、また、把持機構57の通電状態を維持し、さらに、時刻t20から時刻t21までの間、駆動モータ36に負極性の電圧を印加して逆転させる(プロセス408)。
【0046】
これにより、垂直移動ユニット部50の下板56に接続されたワイヤ37が下方に移動し、垂直移動ユニット部50がZ軸方向下側へと下降する。
このとき、把持機構57がボトル4の箱詰位置に位置する。
(9)時刻t22から時刻t24(t1)までの間、駆動モータ36を無通電状態にして停止状態にすると共に、水平ブレーキ部42及び垂直ブレーキ部47a、47bを通電状態し、さらに、時刻t23から時刻t24(t1)までの間、把持機構57を無通電状態にして把持を解除する(プロセス401)。
【0047】
これにより、1ダース分のボトル4が、ケース14内に装填される。
(まとめ)
以上のように、本実施の形態の2次元移動装置は、1つのモータの駆動力を、2方向に分力して直交方向に滑動自在に配された2部材のそれぞれに力を与え、これら2部材の一方または両方を拘束することによって、これら2部材の一方を2次元的に移動させることができる。
【0048】
このため、モータを2個使用する従来の2次元移動装置と比べ、モータを1つ少なくすることができ、さらに、駆動力の伝達手段として、6個のプーリと1本のワイヤを用いることで、極めて簡単な構成で2次元的搬送を実現しているため、軽量化及びコストダウンを図ることができる。
(その他)
なお、本実施の形態では、水平ブレーキ部42、垂直ブレーキ部47a、47b、及び把持機構57は、通電の有無によって作動する電気的機構であるとしたが、このような電気的機構に限るものではなく、例えば、シリンダ及びピストンを内包し、正圧または負圧で作動する機構であるとしても構わない。
【0049】
また、本実施の形態では、橋梁部30の一方の端部が主橋脚部31に、もう一方の端部が副橋脚部31aに支持されていたが、主橋脚部31のみで支持される片持ち構造であってもよい。
また、本実施の形態では、プーリを6個用いて、以下の条件1を満たすように設計されているが、図5に示すように、ワイヤ37の区間37aと区間37dとが同一直線上の存するように、従動プーリ34と駆動プーリ35の相対位置を決めれば、従動プーリ43、44は不要となり、4個のプーリで本実施の形態の把持ユニット25と同様の機能を実現できる。
【0050】
その場合、従動プーリ34と駆動プーリ35の支軸位置が、同一水平線上に設けられず、互いの有効半径を加えた距離分Z軸方向においてオフセットすることとなる。
(条件1)
把持ユニット25を駆動する際、ワイヤ37に局所的な緩みや張りが生じないように、図2に示すようにワイヤ37の区間37a、37b、37c、37dにおいて、ワイヤ37の移動方向を、橋梁本体部33の長手方向、即ち、水平移動ユニット部40の摺動方向に一致させると共に、ワイヤ37の区間37f、37eの移動方向を、垂直移動ユニット部50の滑動方向に一致させる構成、即ち、水平移動ユニット部40及び垂直移動ユニット部50に対するワイヤ37の出入り量を等しくするために、ワイヤ37の全区間において、これら各区間と水平移動ユニット部40の滑動方向(垂直移動ユニット部50の滑動方向)とがなす角が常に一定に保たれる構成となっている。
【0051】
また、本実施の形態では、上記条件1を満たし、搬送における制御精度を向上しているが、制御位置精度をあまり必要としない駆動の場合、上記条件1を満たす構成でなくてもよく、そのような構成例を以下に示す。
(変形例1)
図6は、把持ユニットにおける本実施の形態とは別の構成例を示す図である。
【0052】
この図6では、本実施の形態の従動プーリ43及び44に相当するものを廃して、本実施の形態のワイヤ37に相当するワイヤ137の経路を形成している。
従動プーリ43及び44を廃したことにより、ワイヤ137の区間137a、137b、137cは、ユニット結合体の移動方向に対して平行ではなく、ある傾きをもって配されている。
【0053】
ここで、水平移動ユニット部141が図の左側から右側に移動する場合について考えると、この移動に伴って、区間137bにおいてはθ1からθ2に変化し、また、区間137cにおいてはθ3からθ4に変化する。
このとき、区間137bにおいては、傾斜が次第に大きくなるため、ワイヤ137の移動量l0に対してB点がY軸方向右側に移動する量l2が次第に少なくなる。
【0054】
一方、区間137cにおいては、傾斜が次第に小さくなるため、ワイヤ137の移動量l0に対してA点がY軸方向右側に移動する量l1が次第に大きくなり、この区間137cの張力が次第に低下し、弛みなどが生じるおそれがある。
このような弛みが生じると、ユニット結合体を水平移動させる際にガタが生じ、制御精度が低下する。
【0055】
また、上述と逆の動き、即ち、水平移動ユニット部141が図の右側から左側に移動する場合の場合、動き始めた時点においては、A点がY軸方向左側に移動する量は、B点がY軸方向左側に移動する量よりも大きくなるため、ワイヤ137の張力が次第に増大する傾向となり、駆動するのにさらにトルクが必要となる。
このように、A点及びB点の移動量のアンバランス、即ち、ワイヤ137の左右の移動量のアンバランスに起因する不具合を回避すべく、ばねで付勢されたローラ200をワイヤ137の区間137cに接触させてワイヤ137の張力、即ち、たわみ量を調整する構成とすることにより、ワイヤ137の緩みや張力の増大を防止し、駆動制御精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、駆動力の伝達にワイヤを用いたが、ワイヤの代わりにゴムベルト又はチェーンを用いてもよい。
(変形例2)
図7は、実施の形態の把持ユニット25における本実施の形態とはさらに別の構成を有する把持ユニット125の断面図である。
【0057】
この図6では、ワイヤ37の両端を。それぞれ直接上板55及び下板56に接続せず、上板55及び下板56にそれぞれ配された滑車70及び滑車71に巻きかけた後に、外郭部41aにおいて巻き架けられた各滑車との距離が最も近い部分に接続されている。
このようにすると、垂直移動ユニット部50の駆動力は、水平移動ユニット部40の駆動力の2倍になり、大きな駆動力を得られる。
【0058】
つまり、垂直移動ユニット部50を上方に移動させる際、垂直移動ユニット部50の自重に加えてボトル13の12本分の重量に打ち勝つ駆動力が必要となるが、上述の構成によれば、垂直方向の駆動力が水平方向の駆動力の2倍なので、駆動力の不足が生じ難い。
(実機における本発明の適用例)
図8は、本願発明を実機の把持ユニットに適用した場合の構成例を示す図である。
【0059】
以下、実施の形態における把持ユニット25と実機の把持ユニット325との相違点について説明する。
本実施の形態の把持ユニット25では、駆動力の伝達手段としてワイヤが用いられていたが、実機の把持ユニット325では、ワイヤの代わりにベルト337が用いられている。
【0060】
また、把持ユニット25では、駆動プーリ35に駆動モータ36が直接軸着されていたが、実機の把持ユニット325では、駆動プーリ335aを同径のプーリが並設された2段プーリとし、駆動プーリ335aよりも径が小さな駆動プーリ335bが駆動モータ336に軸着され、駆動プーリ335bと駆動プーリ335aの一方のプーリにベルト338が架けられている。
【0061】
このようにすることで、ギア比を高めてモータのトルク不足を補うことができ、また、モータ1回転あたりのベルトの移動量が小さくなり、搬送スピードが遅くなるので、目的の停止位置を通りすぎるオーバーシュートなどの問題も起こり難くなるため制御位置精度を高めることができる。
また、本実施の形態の把持ユニット25では、橋梁部30の橋梁本体部33が水平移動ユニット部40をY軸方向に摺動自在に案内するレールであるとしたが、実機の把持ユニット325では、橋梁部330の橋梁本体部333a内に、1本のレール333bを水平方向に配し、水平移動ユニット部340の仕切り板341bに配されたレール把持部341hでレール333bを摺動自在に把持している。
【0062】
レール333bの上下の面には、長手方向に沿って複数の溝が設けられており、レール把持部341hの摺動面に上記溝に対応する凸部を設けることにより、脱線を防いでいる。
ベルト337において垂直方向に伸びている区間337f及び337eが、それぞれ垂直移動ユニット部50の重心位置Cもしくはその近傍を通る鉛直線上に配されている。
【0063】
これにより、垂直移動ユニット部50を移動する際、駆動力に起因するモーメント力の発生が抑制されるので、垂直移動ユニット部50のバランスを保ち易く、スムーズな上下移動が実施される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の2次元移動装置は、XYプロッタ、XYテーブル、半導体部品の実装装置、ワークのチャック装置などの2次元的経路で物を移動させる装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態におけるケーシング設備の外観斜視図である。
【図2】図1の仮想YZ平面における把持ユニットの断面図である。
【図3】図1の仮想YZ平面における把持ユニットの断面図である。
【図4】本実施の形態における駆動制御部が実施する制御内容を示すタイミングチャートである。
【図5】本実施の形態における把持ユニットの変形例を示す図である。
【図6】本実施の形態における把持ユニットの変形例を示す図である。
【図7】本実施の形態における把持ユニットの変形例を示す図である。
【図8】本願発明を実機の把持ユニットに適用した場合の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ケーシング設備
10 ボトル搬送コンベア
11 ケース搬送コンベア
12 コンベア対
13 ボトル
14 ケース
25 把持ユニット
30 橋梁部
31 主橋脚部
31a 副橋脚部
32a 貫通孔
32b 貫通孔
33 橋梁本体部
34 従動プーリ
35 駆動プーリ
36 駆動モータ
37 ワイヤ
40 水平移動ユニット部
41a 外郭部
41b 仕切り板
41c 貫通穴
42 水平ブレーキ部
43 従動プーリ
43 従動プーリ
45 従動プーリ
47a 垂直ブレーキ部
47a、47b 垂直ブレーキ部
48a 垂直軸ガイドローラ
49a 垂直軸ガイドローラ
50 垂直移動ユニット部
51 垂直シャフト
55 上板
56 下板
57 把持機構
60 駆動制御部
137 ワイヤ
200 ローラ
325 把持ユニット
330 橋梁部
333a 橋梁本体部
333b レール
335a 駆動プーリ
335b 駆動プーリ
336 駆動モータ
337 ベルト
338 ベルト
340 水平移動ユニット部
341b 仕切り板
341h レール把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理を実行する機構の固定先となる固定部を2次元的に移動させる2次元移動装置であって、
長尺なレール部を有する支持体と、
前記レール部に滑動自在に配された第1スライド部と、
第1スライド部において、前記レール部と非平行な直線経路上を長手方向に滑動自在に配された長尺な第2スライド部と、
第2スライド部の一方の端部に配された前記固定部と、
第1スライド部の前記滑動を制動する第1制動機構と、
第2スライド部の前記滑動を制動する第2制動機構とを備え、
さらに、前記支持体において、前記レール部の一方の端側に駆動車、他方の端側に第1従動車が軸支され、
第1スライド部において、第2従動車及び第3従動車が前記直線経路の中心寄りに軸支され、
1本の屈曲自在で長尺な駆動力伝達部材が、第2スライド部の一方の端部又はその近傍から延出され、第2従動車、第1従動車、駆動車及び第3従動車にこの順で巻き架けられて、第2スライド部の他方の端部又はその近傍に接続されており、
前記駆動車を回転駆動する一方で、第1制動機構及び第2制動機構を択一的に作動させ、第1スライド部と第2スライド部とを個別に滑動させることにより、前記固定部を移動させることを特徴とする2次元移動装置。
【請求項2】
前記第1従動車、前記第2従動車、前記第3従動車及び前記駆動車は、第1スライド部及び第2スライド部の滑動の前後で、駆動力伝達部材の各経路と前記直線経路との傾きが変わらない位置に軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の2次元移動装置。
【請求項3】
前記駆動力伝達部材の経路であって、前記第2従動車とその直近の前記駆動力伝達部材の端部とに挟まれた第1区間、及び前記第3従動車とその直近の前記駆動力伝達部材の端部とに挟まれた第2区間が、前記直線経路と平行することを特徴とする請求項2に記載の2次元移動装置。
【請求項4】
前記駆動力伝達部材の経路において、前記第1区間と前記第2区間が略同一直線上に存することを特徴とする請求項3に記載の2次元移動装置。
【請求項5】
さらに、前記第2スライド部及びこれに配された他の部材を合わせた重心位置が、前記同一直線上またはその近傍に存することを特徴とする請求項4に記載の2次元移動装置。
【請求項6】
前記駆動力伝達部材の少なくとも1箇所を付勢して、前記駆動力伝達部材の張力を調整する張力調整手段があることを特徴とする請求項1に記載の2次元移動装置。
【請求項7】
前記駆動力伝達部材は、ワイヤまたはベルトであり、前記第1従動車、前記第2従動車、前記第3従動車及び前記駆動車は、プーリであることを特徴とする請求項1に記載の2次元移動装置。
【請求項8】
前記駆動力伝達部材は、チェーンであり、前記第1従動車、前記第2従動車、前記第3従動車及び前記駆動車は、ギアであることを特徴とする請求項1に記載の2次元移動装置。
【請求項9】
前記レール部と前記直線経路は、空間を挟んで直交する位置にあることを特徴とする請求項1に記載の2次元移動装置。
【請求項10】
所定の処理を実行する機構の固定先となる固定部を2次元的に移動させる2次元移動装置であって、
長尺なレール部を有する支持体と、
前記レール部に滑動自在に配された第1スライド部と、
第1スライド部において、前記レール部と非平行な直線経路上を長手方向に滑動自在に配された長尺な第2スライド部と、
第2スライド部の一方の端部に配された前記固定部と、
第1スライド部の前記滑動を制動する第1制動機構と、
第2スライド部の前記滑動を制動する第2制動機構とを備え、
さらに、前記支持体において、前記レール部の一方の端側に駆動車、他方の端側に第1従動車が軸支され、
第1スライド部において、第2従動車及び第3従動車が前記直線経路の中心寄りに軸支され、
第2スライド部において、その両端のうち第2従動車に近い側の端部又はその近傍に第4従動車が、第3従動車に近い側の端部又はその近傍に第5従動車が軸支され、
1本の屈曲自在で長尺な駆動力伝達部材が、第1スライド部から延出され、第4従動車、第2従動車、第1従動車、駆動車、第3従動車及び第5従動車にこの順で巻き架けられて、第1スライド部に接続されており、
前記駆動車を回転駆動する一方で、第1制動機構及び第2制動機構を択一的に作動させ、第1スライド部と第2スライド部とを個別に滑動させることにより、前記固定部を移動させることを特徴とする2次元移動装置。
【請求項11】
前記第1従動車、前記第2従動車、前記第3従動車、前記第4従動車、前記第5従動車及び前記駆動車は、第1スライド部及び第2スライド部の滑動の前後で、駆動力伝達部材の各経路と前記直線経路との傾きが変わらない位置に軸支されていることを特徴とする請求項10に記載の2次元移動装置。
【請求項12】
請求項1または請求項10に記載の2次元移動装置において、把持及び解放を行う把持機構を前記固定部に固定したものを備え、前記固定部の移動動作を介して把持機構の把持動作及び開放動作を行うことにより、積み込みまたは積み出しを行う搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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