説明

3−アルキルアニリン誘導体の製造方法

【課題】農薬、医薬等の製造中間体として有用である3−アルキルアニリンを、工業的に簡便に製造する方法の提供。
【解決手段】3−アルキルアニリンは、出発原料である下式(IV)のカルボニル化合物を低温条件下でニトロ化反応を行い、その段階で精製を行うことなく、次反応でニトロ基をアミノ基に還元すると共にカルボニル基を、部分還元反応を行うことによりアミノベンジルアルコール誘導体(II)に誘導する。この段階で精製を行った後、再度アルコール部分を還元して3−アルキルアニリンを得る。


(R〜Rは、同一又は異なっても良く、H、C1〜6のアルキル基等の置換基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬・医薬等の中間体として、特に農園芸用殺ダニ剤、医薬品の製造中間体として有用な3−イソブチルアニリンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3−イソブチルアニリンは、農薬・医薬等の中間体として、特に農園芸用殺ダニ剤(例えば、特許文献1を参照。)及び医薬品(例えば、特許文献2または3を参照。)の中間体として有用である。
3−イソブチルアニリンの製造方法としては、A)3−イソブチロフェノンをニトロ化し、精製した後、酸性条件下で還元して製造する方法(例えば、特許文献2を参照)、或はB)3−ニトロベンズアルデヒドをWittig反応により3−イソブテニルニトロベンゼンに変換した後、還元する方法(例えば、特許文献3を参照)が開示されている。Aの製造方法では、ニトロ化反応で生成する副生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した後、ニトロ基及びカルボニル基を完全に還元して3−イソブチルアニリンを製造しているが、この還元工程の反応収率が低いため、再度カラムクロマトグラフィーを用いて精製しなければ高純度の3−イソブチルアニリンを得ることができない。またBの製造方法では高価なホスホニウム塩や強塩基を使用しなければならず、必ずしも工業的に有利な製造方法とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308470号公報
【特許文献2】国際公開第2007/148208号パンフレット
【特許文献3】EP458207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、農薬・医薬等の中間体として有用な3−イソブチルアニリンの工業的に有利な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本願発明者等は3−イソブチロフェノンをニトロ化し未精製のまま、ニトロ基をアミノ基に、カルボニル基をアルコールに部分還元することにより新規な中間体α−イソプロピル−3−アミノベンジルアルコールに変換し、その時点で再結晶を行うことで高純度の該ベンジルアルコールを単離し、次いで該誘導体を還元することにより、先行文献1に開示された方法よりもはるかに高収率で3−イソブチルアニリンを製造することを見出し、本願発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
[1]一般式(II)
【化1】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基(式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C-C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R4及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるベンジルアルコール誘導体を還元することを特徴とする、一般式(I)
【化2】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される3−アルキルアニリン誘導体の製造方法、
[2]一般式(III)
【化3】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C3-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基 (式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はR4とR5が結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C-C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるニトロ誘導体を還元することにより、一般式(II)
【化4】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表されるベンジルアルコール誘導体を製造し、精製後、当該誘導体を還元することを特徴とする、一般式(I)
【化5】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される3−アルキルアニリン誘導体の製造方法、
[3]一般式(IV)
【化6】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基 (式中、R4及びR5は同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C‐C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R4及びR5は、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるカルボニル誘導体をニトロ化し、一般式(III)
【化7】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表されるニトロ誘導体を製造し、当該誘導体を還元することにより、一般式(II)
【化8】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表されるベンジルアルコール誘導体を製造し、精製後、当該誘導体を還元することを特徴とする、一般式(I)
【化9】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される3−アルキルアニリン誘導体の製造方法、
[4]一般式(II)
【化10】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C3-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基(式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C-C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるベンジルアルコール誘導体、
[5]R、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;又はフェノキシ基である請求項1〜3何れか1項に記載の3−アルキルアニリン誘導体の製造方法、
[6]R、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;又は(C-C)アルキル基である請求項1〜3何れか1項に記載の3−アルキルアニリン誘導体の製造方法、
[7]R及びRが(C-C)アルキル基で、Rが水素原子である請求項1〜3何れか1項に記載の3−アルキルアニリン誘導体の製造方法、
[8]R、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;又はフェノキシ基である請求項4に記載のベンジルアルコール誘導体、
[9]R、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;又は(C-C)アルキル基である請求項4に記載のベンジルアルコール誘導体、
[10]R及びRが(C-C)アルキル基で、Rが水素原子である請求項4に記載のベンジルアルコール誘導体、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本願発明によれば、入手容易な試薬を用い、簡便な操作で目的物を効率的且つ経済的に工業的規模で製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願発明の好ましい実施態様として、好ましくは、R、R及びRは、水素原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又は(C−C)アルキル基である。
次に本明細書中に記載する各置換基を説明する。本発明の一般式(I)〜(IV)で表される誘導体の置換基の定義中、「ハロ」とは「ハロゲン原子」を意味し、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子を示し、「(C-C)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリ−ブチル基、タ−シャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、タ−シャリーペンチル基、ネオペンチル基、2,3−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ノルマルヘキシル基又はイソヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示し、
【0008】
「(C-C)シクロアルキル基」とは、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等の炭素原子数3〜6個の環状のアルキル基を示し、「(C−C)アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ターシャリーペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチルプロピルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基又はイソヘキシルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を示し、「(C−C)アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ターシャリーペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2,3−ジメチルプロピルチオ基、1−エチルプロピルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基又はイソヘキシルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基を示し、
【0009】
「(C−C)アルキルスルフィニル基」としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ノルマルプロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ノルマルブチルスルフィニル基、セカンダリーブチルスルフィニル基、ターシャリーブチルスルフィニル基、ノルマルペンチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、ターシャリーペンチルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、2,3−ジメチルプロピルスルフィニル基、1−エチルプロピルスルフィニル基、ノルマルヘキシルスルフィニル基又はイソヘキシルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルフィニル基を示し、「(C−C)アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ノルマルプロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ノルマルブチルスルホニル基、セカンダリーブチルスルホニル基、ターシャリーブチルスルホニル基、ノルマルペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ターシャリーペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、2,3−ジメチルプロピルスルホニル基、1−エチルプロピルスルホニル基、ノルマルヘキシルスルホニル基又はイソヘキシルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルホニル基を示す。
【0010】
「ハロ(C−C)アルキル基」、「ハロ(C−C)シクロアルキル基」、「ハロ(C−C)アルコキシ基」、「ハロ(C−C)アルキルチオ基」、「ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基」又は「ハロ(C−C)アルキルスルホニル基」としては、上記「(C−C)アルキル基」、「(C−C)シクロアルキル基」、「(C−C)アルコキシ基」、「(C−C)アルキルチオ基」、「(C−C)アルキルスルフィニル基」又は「(C−C)アルキルスルホニル基」の置換し得る位置に1又は2以上のハロゲン原子が置換されたものを示し、置換されるハロゲン原子が2以上の場合は、ハロゲン原子は同一又は異なっても良い。また、「(C-C)」、「(C-C)」等の表現は各種置換基の炭素原子数の範囲を示す。
【0011】
とRが結合して、一つの窒素原子を含み、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでも良い5〜8員環を形成することもできる。当該含窒素複素環としては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ホモピペリジン、ホモピペラジン又はパーヒドロアゼピン等が挙げられる。
【0012】
本願発明に関与する反応は以下のように図示される。
【化11】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)
即ち、一般式(IV)で表されるカルボニル誘導体をニトロ化することにより、一般式(III)で表されるニトロ誘導体に誘導し、未精製のまま、該誘導体のニトロ基及びカルボニル基を部分還元することにより一般式(II)で表されるベンジルアルコール誘導体に誘導し、この段階で再結晶化により該誘導体を精製する。その後精製した該誘導体を再度還元することにより一般式(I)で表される3−アルキルアニリン誘導体を製造することができる。
【0013】
1) 一般式(IV) → 一般式(III)
本反応は、本願発明の一般式(IV)で表されるカルボニル誘導体を、ニトロ化反応により一般式(III)で表されるニトロ誘導体を製造することができる。
ニトロ化の反応条件としては、公知文献(日本化学会編,「新実験化学講座」,14巻,有機誘導体の合成と反応 III ,1977年,丸善株式会社、Oraganic Functional Group Preparations,1968,Academic Press New York and Londonなどを参照。)に記載の反応条件を使用することができるが、工業的観点から硝酸と硫酸を組み合わせた混酸、硝酸と無水酢酸を組み合わせた硝酸アセチル又は発煙硝酸が良く、好ましくは混酸である。使用する混酸の量は、一般式(IV)で表されるカルボニル誘導体に対して、0.5モル当量から5モル当量の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.8モル当量から1.1モル当量の範囲である。反応温度は、−50℃から100℃の範囲で適宜選択すればよく、好ましくは−20℃から10℃の範囲である。反応時間は反応スケールにより一定しないが、数分から100時間の範囲でそれぞれ適宜選択すれば良い。
反応終了後、必要に応じて目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー、蒸留等で精製することにより目的物を製造することができる。また未精製のまま次の反応を行っても良く、工業的には未精製のまま次の反応を行うほうが好ましい。
【0014】
本願発明の製造方法により得られる3−イソブチルアニリンは、例えば参考例に示した方法等により容易に農園芸用殺ダニ剤(特許文献1)などの有用な誘導体を製造することができる。
【0015】
2) 一般式(III) → 一般式(II)
本反応は、本願発明の一般式(III)で表されるニトロ誘導体を、還元反応条件により一般式(II)で表されるベンジルアルコール誘導体を製造することができる。還元反応条件としては、公知文献(日本化学会編,「新実験化学講座」,15巻,酸化と還元 II ,1977年,丸善株式会社などを参照。)に記載のニトロ誘導体又はカルボニル誘導体の還元反応条件を使用することができるが、接触還元反応条件が好ましい。接触還元反応は、触媒存在下、常圧下もしくは加圧下にて、不活性溶媒の存在下もしくは非存在下にて、水素雰囲気下で反応を行うことができる。
【0016】
接触還元触媒としては例えばパラジウム−カーボン、水酸化パラジウム−カーボンなどのパラジウム触媒類、ラネーニッケルなどのニッケル触媒類、コバルト触媒類、プラチナ触媒類、ルテニウム触媒類、又はロジウム触媒類などを示すことができるが、パラジウム触媒類が好ましい。その触媒の使用量は、ニトロ誘導体に対して0.0001モル当量から0.5モル当量の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.001モル当量から0.1モル当量である。
反応温度は、−20℃から使用する溶媒の還流温度の範囲で適宜選択すればよいが、好ましくは0〜80℃の範囲が良い。反応時間は反応スケールにより一定しないが、数分から100時間の範囲でそれぞれ適宜選択すれば良い。
【0017】
反応圧力は0.1Mpaから5Mpaの範囲でそれぞれ適宜選択すればよいが、好ましくは0.5Mpaから1Mpa範囲から選ばれる。不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであればよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールなどのアルコール類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類、又は水などの不活性溶媒を使用することができ、これらの不活性溶媒は単独もしくは2種以上を混合して使用することもできる。
【0018】
また反応を促進させる目的で、塩酸、硫酸、又は硝酸等の無機酸類、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、又はプロピオン酸等の有機酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、又はp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類等を添加することができる。これらの酸類は、一般式(III)で表されるニトロ誘導体に対して0.01倍〜2倍モルの範囲で適宜選択することができる。
接触還元反応以外の還元反応条件を使用する場合、反応は、空気中の酸素などの存在下でも進行するが、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気で反応させてもよい。
【0019】
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー、蒸留等で精製することにより目的物を製造することができるが、工業的観点から、再結晶が好ましい。この再結晶に使用できる溶媒は、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールなどのアルコール類、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類、水などの不活性溶媒を使用することができ、これらの不活性溶媒は単独もしくは2種以上を混合して使用することもできる。
【0020】
3) 一般式(II) → 一般式(I)
本反応は、本願発明の一般式(II)で表されるベンジルアルコール誘導体を、還元反応条件により一般式(I)で表される3−アルキルアニリン誘導体を製造することができる。還元反応条件としては、公知文献(日本化学会編,「新実験化学講座」,15巻,酸化と還元 II ,1977年,丸善株式会社参照。)に記載のアルコール誘導体の還元反応条件を使用することができるが、その内接触還元反応条件が好ましい。接触還元反応は、酸性条件及び触媒存在下、常圧下もしくは加圧下にて、不活性溶媒の存在下もしくは非存在下にて、水素雰囲気下で反応を行うことができる。
【0021】
反応を酸性条件にするために使用できる酸としては、例えば塩酸、硫酸、又は硝酸等の無機酸類、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、又はプロピオン酸等の有機酸類などを示すことができるが、塩酸、又は硫酸が好ましい。該酸の使用量は、ベンジルアルコールに対して2モル当量から溶媒量の範囲で適宜選択すればよく、好ましくは2モル当量から10モル当量である。
接触還元触媒としては例えばパラジウム−カーボン、水酸化パラジウム−カーボンなどのパラジウム触媒類、ラネーニッケルなどのニッケル触媒類、コバルト触媒類、プラチナ触媒類、ルテニウム触媒類、又はロジウム触媒類などを示すことができるが、パラジウム触媒類が好ましい。該触媒の使用量は、ベンジルアルコールに対して0.0001モル当量から0.5モル当量の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは0.001モル当量から0.1モル当量である。
反応温度は、−20℃から使用する溶媒の還流温度の範囲で適宜選択すればよいが、好ましくは0〜80℃の範囲が良い。反応時間は反応スケールにより一定しないが、数分から100時間の範囲で適宜選択すれば良い。
【0022】
反応圧力は0.1Mpaから5Mpaの範囲で適宜選択すればよいが、好ましくは0.5Mpaから1Mpa範囲である。不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであればよく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノールなどのアルコール類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、又は水などの不活性溶媒を使用することができ、これらの不活性溶媒は単独もしくは2種以上を混合して使用することもできる。これら不活性溶媒は、使用しても或は使用しなくても良いが、好ましくは使用したほうが良い。好ましい不活性溶媒は、水と混和しにくい物性を有する溶媒が良く、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類或はニトロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類が良い。
【0023】
接触還元反応以外の還元反応条件を使用する場合、反応は、空気中の酸素などの存在下でも進行するが、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気で反応させてもよい。
反応終了後、目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー、蒸留等で精製することにより目的物を製造することができる。
【実施例】
【0024】
以下に本発明の代表的な実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例に示した化合物の純度は、以下の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)或はガスクロマトグラフィー(GC)で測定した。
HPLC 測定条件
カラム; Inertsil Ph‐3, 4.6mm × 150mm, 5μ ( GL Sciences Inc.)
溶離液; CHCN / aqHCOOH‐HCOONH(*)
= 40 / 60
流速; 1.0mL/分
カラム温度;40℃
検出器;UV検出器
波長;254nm
(*) イオン交換水3Lに98%HCOOH 5.88gおよびHCOONH 1.89gを溶解させた水溶液
GC測定条件
カラム; InertCap 0.53mm × 15m, df=1.5μm ( GL Sciences
Inc.)
カラム温度 ; 100℃ ( 0分 )−10℃/分−270℃ ( 3分 )
Injector Temp.:270℃
Detector Temp.:270℃
Carrior gas (flow rate) ; He ( 4ml/分)
Detector ; FID
【0025】
実施例1. 3−ニトロイソブチロフェノンの製造
イソブチロフェノン(22.3g、0.15mol)を95%硫酸(45ml)に20℃、30分で滴下した。得られた溶液に、69%硝酸(15.1g、0.165mol)及び95%硫酸(34.1g、0.33mol)から調製した混酸を−5〜0℃、4時間かけて滴下した。同温度で30分反応させた後、反応混合物を氷水に注ぎ酢酸エチルで抽出、抽出液を水及び炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、有機層を減圧濃縮した。得られた粗生成物中の3−ニトロイソブチロフェノンの含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量したところ14.7g(収率51%)であった。
【0026】
実施例2. 3−ニトロイソブチロフェノンの製造
実施例1に記載した混酸を滴下する方法にかえて、2.46gの混酸を全量添加、以降13分間隔で同量の混酸を計20回添加した(合計49.2g、4時間添加)。以下、実施例1と同様な操作を行い、3−ニトロイソブチロフェノン含量をHPLCにより定量したところ19.7g(収率68%)であった。
【0027】
実施例3. α−イソプロピル−3−アミノベンジルアルコールの製造
実施例2製造した3−ニトロイソブチロフェノン19.7gを含む粗生成物に2−プロパノール(75ml)及び5%パラジウム炭素(0.64g、50%含水)を加え、水素圧0.8MPa、60℃で5時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、内容液をセライト上でろ過した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をトルエン−ヘプタン混液(1:1、30ml)から再結晶して15.5gのα−イソプロピル−3−アミノベンジルアルコール(II)を得た。
収率:90%(HPLC純度98%)
融点:81.5 −82.0℃
NMR(CDCl, TMS δppm): 7.11(t,1H), 6.69(d,1H), 6.66(s,1H), 6.59(dd,1H), 4.25(d,1H), 3.66(bs,2H), 1.92(m,1H),
1.78(bs,1H), 1.00(d,3H), 0.80(d,3H)
MS(EI)(m/z) :165(M
【0028】
実施例4. 3−イソブチルアニリンの製造
実施例3で得られたα−イソプロピル−3−アミノベンジルアルコール(II)(7.44g、0.044mol)に80%硫酸16.6g(0.135mol)、メチルシクロヘキサン(23ml)及び5%パラジウム炭素(0.57g、50%含水)を加え、水素圧0.8MPa、50℃で7時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、内容液に15%水酸ナトリウム水溶液(74.4g、0.28mol)を40℃以下で滴下し、得られた溶液をセライト上でろ過した。以下実施例4と同様な操作を行い、3−イソブチルアニリン含有量をGCにより定量したところ6.26g(収率95%)であった。
【0029】
本願発明の方法で製造された3−イソブチルアニリンは以下の参考例に示す方法で有用な農園芸用殺ダニ剤に誘導される。
参考例1. 3−イソブチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]アニリンの製法
5−イソブチルアニリン(14.9g,0.1mol)をターシャリーブチルメチルエーテル−水(1:1、300ml)に希釈し、ヘプタフルオロイソプロピルヨージド(29.6g,0.1mol)、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(3.4g,0.01mol)、炭酸水素ナトリウム(8.4g,0.1mol)、亜ジチオン酸ナトリウム(17g,0.1mol)を順次加え、室温で一晩攪拌した。反応液をヘキサンで希釈し、3規定塩酸で2回洗浄し、重曹水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 5:1)にて分離精製して、目的物20.6g(収率:65%)を得た。
【0030】
参考例2. 4−[1−メトキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−イソブチルアニリンの製造
3−イソブチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]アニリン(1.6g,5mmol)を28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(9.6g)に溶解し、3時間加熱攪拌した。放冷後、反応液を氷水中に注ぎ込み、酢酸エチルにて抽出し、水洗した。硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて分離精製することにより目的物1.31g(収率:79%)を得た。
【0031】
参考例3. N−{4−[1−メトキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−イソブチルフェニル}−1,3,5−トリメチルピラゾール−4−カルボン酸アミドの製造
1,3,5−トリメチルピラゾール−4−カルボン酸クロリド(172mg,1mmol)、4−[1−メトキシ−2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3−イソブチルアニリン(329mg,1mmol)、及びトリエチルアミン(303mg,3mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、3時間加熱還流した。反応液を酢酸エチルで希釈後、水洗した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)にて分離精製することにより目的物360mg(収率:77%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II)
【化1】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基(式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C-C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるベンジルアルコール誘導体を還元することを特徴とする、一般式(I)
【化2】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される3−アルキルアニリン誘導体の製造方法。
【請求項2】
一般式(III)
【化3】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C3-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基 (式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C-C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるニトロ誘導体を還元することにより、一般式(II)
【化4】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表されるベンジルアルコール誘導体を製造し、精製後、当該誘導体を還元することを特徴とする、一般式(I)
【化5】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される3−アルキルアニリン誘導体の製造方法。
【請求項3】
一般式(IV)
【化6】

(式中、R1、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基 (式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C‐C)アルキルスルフィニル基、(C-C6)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるカルボニル誘導体をニトロ化し、一般式(III)
【化7】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表されるニトロ誘導体を製造し、当該誘導体を還元することにより、一般式(II)
【化8】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表されるベンジルアルコール誘導体を製造し、精製後、当該誘導体を還元することを特徴とする、一般式(I)
【化9】

(式中、R、R及びRは前記に同じ。)で表される3−アルキルアニリン誘導体の製造方法。
【請求項4】
一般式(II)
【化10】

(式中、R、R及びRは、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;(C-C)アルコキシ基;ハロ(C-C)アルコキシ基;(C-C)アルキルチオ基;ハロ(C-C6)アルキルチオ基;(C-C)アルキルスルフィニル基;ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基;(C-C)アルキルスルホニル基;ハロ(C-C)アルキルスルホニル基;NR基(式中、R及びRは同一又は異なっても良く、水素原子、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)シクロアルキル基、(C-C)アルキルカルボニル基、又は(C-C)アルコキシカルボニル基を示し、又はRとRが結合して1つの窒素原子を含み、更に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜2個の同一又は異なっても良いヘテロ原子を含んでいても良い5〜8員の含窒素複素環を形成することもできる。);フェノキシ基;又は同一若しくは異なっても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、(C-C)アルキル基、ハロ(C-C)アルキル基、(C-C)アルコキシ基、ハロ(C-C)アルコキシ基、(C-C)アルキルチオ基、(C-C)アルキルスルフィニル基、(C-C)アルキルスルホニル基、ハロ(C-C)アルキルチオ基、ハロ(C-C)アルキルスルフィニル基、ハロ(C-C)アルキルスルホニル基、又はNR基(式中、R及びRは、前記と同じ。)から選択される1〜5の置換基を有するフェノキシ基を示す。)で表されるベンジルアルコール誘導体。
【請求項5】
、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;ハロ(C-C)シクロアルキル基;又はフェノキシ基である請求項1〜3何れか1項に記載の3−アルキルアニリン誘導体の製造方法。
【請求項6】
、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;又は(C-C)アルキル基である請求項1〜3何れか1項に記載の3−アルキルアニリン誘導体の製造方法。
【請求項7】
及びRが(C-C)アルキル基で、Rが水素原子である請求項1〜3何れか1項に記載の3−アルキルアニリン誘導体の製造方法。
【請求項8】
、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;(C-C)アルキル基;ハロ(C-C)アルキル基;(C-C)シクロアルキル基;又はフェノキシ基である請求項4に記載のベンジルアルコール誘導体。
【請求項9】
、R及びRが、同一又は異なっても良く、水素原子;又は(C-C)アルキル基である請求項4に記載のベンジルアルコール誘導体。
【請求項10】
及びRが(C-C)アルキル基で、Rが水素原子である請求項4に記載のベンジルアルコール誘導体。

【公開番号】特開2010−275207(P2010−275207A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127462(P2009−127462)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【Fターム(参考)】