説明

68Ga標識ペプチド系放射性医薬品

本発明は、画像診断薬として又は治療薬として使用するための新規なペプチド系化合物に関するものであり、それらの薬剤はインテグリン受容体に結合するターゲティングベクターを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な放射標識をしたペプチド系化合物及び画像診断、治療前線量測定、治療計画、治療モニタリング又は放射線治療におけるそれらの使用に関する。より具体的には、本発明は、血管形成と関係する受容体、特にインテグリン受容体、例えばαβインテグリン受容体に結合するターゲティングベクターのようなペプチド系化合物の使用に関する。かかるイメージング剤は、かくして、例えば悪性疾患、心臓疾患、子宮内膜症、炎症が関連する疾患、関節リウマチ及びカポジ肉腫の診断に使用することができる。更に、かかる薬剤は、これら疾患の、治療前線量測定、治療計画及び治療モニタリングに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
新しい血管は、2つの異なる機構、即ち、脈管形成又は血管新生によって形成され得る。血管新生は既存の血管からの枝分かれによる新たな血管の形成である。この過程に対する一次刺激は、組織中の細胞への不十分な栄養素及び酸素(低酸素)の供給であり得る。細胞は、沢山ある分泌性血管新生因子うちの、一例が血管内皮細胞増殖因子(VEGF)としばしば称されものによって反応することができる。これらの因子は、基底膜のタンパク、並びにこれらの潜在的に有害な酵素の作用を制限する阻害物質を破壊するタンパク質分解酵素の分泌を開始する。血管新生因子のその他の顕著な影響は、内皮細胞が移動して分裂することを引き起こすことである。血管管腔の反対側の周りに連続シートを形成する基底膜に結合している内皮細胞は、有糸分裂を受けない。血管新生因子に対する結合の喪失と受容体からの信号とが組み合わさった効果は、内皮細胞が遊走し、増殖し、それ自体が再配列し、最終的に新たな血管の周りに基底膜を合成する原因となる。
【0003】
血管新生は、創傷治癒及び炎症過程を含めた組織の増殖及びリモデリングにおいて顕著である。腫瘍は、それらがミリメートルサイズに到達したときそれらの成長の速度を持続するために血管新生を開始しなければならない。血管新生は、内皮細胞及びそれらの周囲における特性変化を伴う。これらの細胞の表面は、遊走のための準備において再構築され、タンパク質分解をもたらし、制御することに関与する様々なタンパクに加えて、隠れた構造が、基底膜が劣化したところに露出する。腫瘍の場合、結果として生じる血管のネットワークは、鋭い捻れとまた動静脈シャントの形成とにより通常は破壊される。血管新生の抑制もまた抗腫瘍治療に対する有望な戦略であるものと考えられる。血管新生を伴う形質転換もまた、自明の例が悪性疾患であるように、診断には非常に有望であるが、その概念は、また、炎症及び初期のアテローム性動脈硬化症のマクロファージが血管新生因子の潜在源であるアテローム性動脈硬化症を含む様々な炎症と関連する疾患においても大きな約束を示す。これらの因子は、また、狭窄が短時間内に解除される場合に起こる心筋の梗塞部分の血管再生にも関与する。
【0004】
新血管形成又は血管新生、新たな血管の発達又は増殖と関係する望ましくない状態の更なる例を、以下に示す。これに関しては国際公開第98/47541号も参照する。
【0005】
疾患及び血管新生と関連する徴候は、例えば癌及び転移、例えば、乳癌、皮膚癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌又は卵巣癌などの様々な形である。
【0006】
他の疾患及び徴候は、炎症(例えば慢性の)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ及び歯肉炎である。
【0007】
血管新生と関連する更なる疾患及び徴候は、動静脈奇形、星状細胞腫、絨毛腫、神経膠芽腫、神経膠腫、血管腫(幼児期、毛細血管)、肝臓癌、過形成性子宮内膜、虚血心筋、子宮内膜症、カポジ肉腫、黄斑変性症、メラノーマ、神経芽細胞腫、閉塞性末梢動脈疾患、変形性関節症、乾癬、網膜症(糖尿病性、増殖性)、強皮症、セミノーマ及び潰瘍性大腸炎である。
【0008】
血管新生は、内皮細胞及び周囲組織に特有の受容体が関与する。これらのマーカーとしては、成長因子受容体、例えばVEGF及びインテグリンファミリー受容体などが挙げられる。免疫組織学的研究により、様々なインテグリン、おそらく最も重要なのはαの種類が、血管の先端面に発現し[Conforti,G.,et al.(1992)Blood 80:37−446]、循環するリガンドにより標的にするのに使用可能[Pasqualini,R.,et al.(1997)Nature Biotechnology 15:542−546]であることが示されている。α5β1もまた、フィブロネクチンマトリックスの集合を推進し、細胞のフィブロネクチンへの結合を開始することで重要なインテグリンである。それはまた、細胞の遊走[Bauer,J.S.,(1992)J.Cell Biol.116:477−487]並びに腫瘍の浸潤及び転移[Gehlsen,K.R.,(1988)J.Cell Biol.106:925−930]において重要な役割を果たす。
【0009】
インテグリンαβは、血管新生と関連することが知られている受容体の1つである。刺激を受けた内皮細胞は、αβインテグリンの受容体/リガンド相互作用のアンタゴニストがアポトーシスを誘発し、血管の増大を抑制するので、血管新生過程の臨界期の間、生き残るためにこの受容体に頼るようである。
【0010】
インテグリンは、α−及びβ−サブユニットが細胞膜脂質二重層に浸透するヘテロダイマー性の分子である。該α−サブユニットは、4つのCa2+結合領域をその細胞外の鎖上に有しており、β−サブユニットは、多数の細胞外のシステインに富む領域を有する。
【0011】
細胞粘着に関与する多くのリガンド(例えばフィブロネクチン)が、トリペプチド配列アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)を含有する。このRGD配列は、この配列を提供するリガンドと細胞表面上の受容体の間の主要な認識部位として作用するようである。リガンドと受容体の間の2次相互作用は、その相互作用の特異性を高めることが一般に考えられる。これらの2次相互作用は、RGD配列に直接隣接しているか又はそのRGD配列から離れている部位にあるリガンドと受容体の部分の間で起こり得る。
【0012】
RGDペプチドは、広範なインテグリン受容体に結合することが知られており、臨床状況における多数の細胞的事象の有意義な応用を調整する可能性を有する。(Ruoslahti,J.Clin.Invest.,87:1−5(1991))。おそらく、RGDペプチド及びそれらの模倣剤の最も広範に研究された効果は、それらが血小板インテグリンGpIIbIIIaをターゲットにする抗血栓剤としてのそれらの使用と関係する。
【0013】
αvβ3又はαvβ5アンタゴニストのいずれかの投与による組織中の血管新生の抑制は、例えば抗体又はペプチドを含有するRGDを使用する国際公開第97/06791号及び同第95/25543号に記載されている。欧州特許出願公開第578083号は、ペプチドを含有する一連の単環式RGDについて記載しており、国際公開第90/14103号は、RGD抗体を請求している。Haubner et al.in the J.Nucl.Med.(1999);40:1061−1071は、ペプチドを含有する単環式RGDに基づく腫瘍を標的とするための新種のトレーサーについて記載している。全身のオートラジオグラフィーイメージングを用いる生体内分布の調査により、一方で、125I標識化ペプチドは、非常に速い血中クリアランス速度及び高いバックグラウンドをもたらす顕著な肝胆汁排泄経路を有することが明らかとなった。
【0014】
複数の架橋を含む環状RGBペプチドも国際公開第98/54347号及び同第95/14714号に記載されている。インビボのバイオパニングから生じるペプチド(国際公開第97/10507号)が様々なターゲティング用途に使われている。配列CDCRGDCFC(RGD−4C)が、ドキシルビシン(doxirubicin)(国際公開第98/10795号)等の薬物、核酸及びアデノウイルスを細胞に向けて使用されている(参照:国際公開第99/40214号、同第99/39734号、同第98/54347号、同第98/54346号、米国特許第5846782号)。複数のシステイン残基を含有するペプチドは、しかしながら、複数のジスルフィド異性体が生じ得る不都合に悩まされる。4つのシステイン残基を有するペプチド、例えばRGD−4Cなどは、3つの異なるジスルフィドを折り畳んだ形を形成する可能性を有する。その異性体は、RGDファルマコフォアが3つの異なるコンフォメーションをとることを強いられるためにインテグリン受容体に対して様々な親和性を有する。
【0015】
ペプチド系化合物を含むRGDの更なる例は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願PCT/NO01/00146号及び国際特許出願PCT/NO01/00390号に見出される。
【0016】
インビボの血管新生と関連するインテグリン受容体の効果的なターゲティング及びイメージングは、それ故、化学的に堅牢で安定している精選された高親和性のRGDに基づくベクターを必要とする。その上、排泄の経路は、イメージング剤を設計するとき、バックグラウンドによる問題を減少させるために重要な因子である。これらの厳しい条件は、本発明に記載されている二環構造によって満たされる。
【0017】
68Ga系ペプチドトレーサーは、腫瘍のイメージング/診断、化学療法及び放射線療法の計画及びモニタリング並びに放射線療法に対する治療前線量測定に対する優れた媒体を提供する。その上、診断及び線量測定の後、68Gaは、同一ベクター中でその後の放射線治療のための治療用放射線核種(8739213Bi83177Lu71)と置き換えることができる。ジェネレータから得られる68Gaによる放射性金属化(radiometallation)を用いるトレーサーの直接的な調製は、PET用放射性医薬品のキット型の製品を生じることができ、PET検査を加速器のないセンターで可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第98/47541号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/06791号パンフレット
【特許文献3】国際公開第95/25543号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第578083号明細書
【特許文献5】国際公開第90/14103号パンフレット
【特許文献6】国際公開第98/54347号パンフレット
【特許文献7】国際公開第95/14714号パンフレット
【特許文献8】国際公開第97/10507号パンフレット
【特許文献9】国際公開第98/10795号パンフレット
【特許文献10】国際公開第99/40214号パンフレット
【特許文献11】国際公開第99/39734号パンフレット
【特許文献12】国際公開第98/54346号パンフレット
【特許文献13】米国特許第5846782号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Conforti,G.,et al.(1992)Blood 80:37−446
【非特許文献2】Pasqualini,R.,et al.(1997)Nature Biotechnology 15:542−546
【非特許文献3】Bauer,J.S.,(1992)J.Cell Biol.116:477−487
【非特許文献4】Gehlsen,K.R.,(1988)J.Cell Biol.106:925−930
【非特許文献5】Ruoslahti,J.Clin.Invest.,87:1−5(1991)
【非特許文献6】Haubner et al.in the J.Nucl.Med.(1999);40:1061−1071
【非特許文献7】Velikyan I,Beyer GJ,Langstrom B.Microwave−supported preparation of 68Ga−bioconjugates with high specific radioactivity.Bioconjugate Chem.2004;15:554−60
【非特許文献8】Velikyan I,Lendvai G,Valila M,et al.Microwave accelerated 68Ga−labelling of oligonucleotides.J Labelled Compd Rad.2004;47:79−89
【非特許文献9】Zhang et al.,Inorg.Chem.37(5),1998,956−963
【非特許文献10】Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1964)
【非特許文献11】UGUR O ET AL:“Ga−66 labeled somatostatin analogue DOTA−DPhe<1>−Tyr<3>−octreotide as a potential agent for positron emission tomography imaging and receptor mediated internal radiotherapy of somatostatin receptor positive tumors”,NUCLEAR MEDICINE AND BIOLOGY,ELSEVIER,NY,US,vol.29,no.2,February 2002(2002−02),pages 147−157,XP004334812 ISSN:0969−8051
【非特許文献12】VELIKYAN I ET AL:“Preparation and evaluation of <68>Ga−DOTA−hEGF for visualization of EGFR expression in malignant tumors”,JOURNAL OF NUCLEAR MEDICINE 01 NOV 2005 UNITED STATES,Vol.46,no.11,1 November 2005(2005−11−01),pages 1881−1888,XP002469872 ISSN:0161−5505
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
一態様において、本発明は、特許請求の範囲において定義されている新規の式Iの68Gaペプチド系化合物を提供する。これらの化合物は、インテグリン受容体に対する親和性、例えばインテグリンαβに対する親和性を有する。
【0021】
本発明は、また、一般式Iの化合物又はその塩の画像診断に対する有効量(例えば、インビボイメージングにおける画像の向上に対して有効な量)を、1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む医薬品組成物も提供する。
【0022】
本発明は、更に、疾病の治療前線量測定、治療計画及び治療モニタリングのための有効量の一般式(I)の化合物又はその酸付加塩を1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む医薬品組成物を提供する。
【0023】
式Iの化合物などのペプチドリガンド上のキレート剤に結合している陽電子放出放射性金属は、治療前線量測定で使用することができる。これはどれだけの有毒な放射能が腫瘍に行き、正常な臓器が影響を受けるかどうかについての情報を提供する。それは腫瘍及び正常組織に対する放射線量の容易で迅速な判断である。
【0024】
式IのPET放射性医薬品も、同様に、化学療法及び放射線治療の計画のために使用することができる。発現組織上の一定の受容体によるPETトレーサー取込みは、インビボの受容体密度の大きさを定量化して提供することができる。その受容体密度の値に基づいて適切な治療形式を承諾又は忠告することができる。
【0025】
更なる態様から見て、本発明は、画像診断薬のヒト又は動物の体への投与及び前記体の一部以上の画像の生成を含む診断の方法において使用するための前記画像診断薬、好ましくはPETトレーサー、を製造するための式Iの化合物の使用を提供する。
【0026】
なおも更なる態様から見て、本発明は、ヒト又は動物の体の画像を生成させる方法であり、前記体の例えば血管系に画像診断薬を投与することと、前記画像診断薬を、シンチグラフィー、PET又はSPECTモダリティーを用いて分布してある前記体の一部以上の画像を生成させることとを含み、前記画像診断薬として式Iの薬剤を使用する方法を提供する。
【0027】
更なる態様から見て、本発明は、ヒト及び動物の体の癌、好ましくは血管新生と関係する状態と闘う薬物、例えば細胞障害性薬物又は放射線療法による治療の効果をモニタリングする方法であって、前記方法は、式Iの化合物、又はその酸付加塩を1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に前記体に投与することと、前記薬剤の取込みを細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαβ受容体によって検出することとを含み、前記投与及び検出を適宜、しかし好ましくは、例えば前記薬物による治療の前、途中及び後に繰り返し実施する方法を提供する。
【0028】
更に、それは、腫瘍及び正常臓器によって取り上げられる放射能量を測定する治療前線量測定の方法を提供する。これによって、どれだけの有毒な放射能が腫瘍に行き、正常な臓器が影響を受けるかどうかについての情報が提供される。それは腫瘍及び正常組織に対する放射線量の容易で迅速な判断である。前記方法は、前記体に式Iの薬剤を投与すること及び前記薬剤の細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαβ受容体による前記薬剤の取込みを検出することを含み、前記投与及び検出を治療前にその治療の計画のために実施する。
【0029】
なお更に、それは適切な治療形式を決定するための治療計画の方法を提供する。これはインビボの受容体密度の情報を提供する。前記方法は、ヒト又は動物の体に、式Iの薬剤、又はその酸付加塩を、1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に投与することと、インビボの受容体密度を発現組織上の受容体の取込みを測定することによって定量化することと、適切な治療形式を決定することとを含む。
【0030】
最後に、それは、式III、IV及びVの化合物並びに式III、IV及びVの化合物を、癌、好ましくは血管新生、の放射線治療のために使用する方法を提供する。それはまた、ヒト又は動物の体に、式III、IV又はVの化合物の薬剤の有効量の薬剤を投与することを含む癌、好ましくは血管新生、の放射線治療の方法を提供する。それは更に、ヒト又は動物の放射線療法のための薬剤を製造するための上記化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一態様から見て、本発明は、特許請求の範囲において定義されている新規の式Iのペプチド系化合物を提供する。これらの化合物は、インテグリン受容体に対する親和性、例えばインテグリンαvβに対する親和性を有する。
【0032】
式Iの化合物は、2つ以上の架橋を含み、1つの架橋は、ジスルフィド結合を形成し、2番目の架橋は、チオエーテル(スルフィド)結合を含み、それらの架橋は、そのペプチド部分を「入れ子化した」立体配置に折り畳んでいる。
【0033】
本発明の化合物は、かくして1分子部分当り最大1個のジスルフィド架橋を有する。本発明によって定義される化合物は、インビボで驚くほど安定である。
【0034】
これらの新たな化合物は、画像診断において並びに治療前線量測定、治療計画及び治療モニタリングのために使用することができる。本発明に記載されている新たなペプチド系化合物は、式I又はその生理学的に容認される塩によって定義される。
【0035】
【化1】

【0036】
式中、
Gは、グリシンを表し、
Dは、アスパラギン酸を表し、
は、−(CH−又は−(CH−C−を表し、好ましくは、Rは、−(CH)−を表し、
nは、正の整数1から10を表し、
hは、正の整数1又は2を表し、
は、アミノ酸残基を表し(但し、前記アミノ酸は酸又はアミン、好ましくは、アスパラギン酸又はグルタミン酸、リシン、ホモリシン、ジアミノアルキル酸又はジアミノプロピオン酸などの官能性側鎖を有する)、
及びXは独立にジスルフィド結合を形成することができるアミノ酸残基、好ましくは、システイン又はホモシステイン残基を表し、
は、アルギニン、N−メチルアルギニン又はアルギニン擬似体、好ましくは、アルギニンを表し、
は、疎水性アミノ酸又はその誘導体類、好ましくは、チロシン、フェニルアラニン、3−ヨード−チロシン又はナフチルアラニン残基、より好ましくは、フェニルアラニン又は3−ヨード−チロシン残基を表し、
は、チオール含有アミノ酸残基、好ましくは、システイン又はホモシステイン残基を表し、
は、存在しないか、好ましくは、1〜10単位の単分散PEG構成単位を含む前記構成単位に基づく均質なバイオモディファイヤー部分を表し、前記バイオモディファイヤーは、前記薬剤の薬物動態及び血中クリアランス速度を修正する機能を有する。加えて、Xは、また、1〜10個のアミノ酸残基、好ましくは、グリシン、リシン、アスパラギン酸又はセリンを表すことができる。本発明の好ましい実施形態において、Xは、単分散PEG様構造の重合を含んでなるバイオモディファイヤー単位、式IIの17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸を表す。
【0037】
【化2】

【0038】
式中、nは、1から10の整数に等しく、C末端単位はアミド部分である。
【0039】
は、存在しないか、又はスペーサー部分を表し、グルタル酸及び/又はコハク酸及び/又はポリエチレングリコールに基づく単位及び/又は式II
【0040】
【化3】

【0041】
の単位から選択的に誘導される。
【0042】
は、表1に示す式のキレート剤である。
【0043】
キレート剤を含むコンジュゲートは、中性に近いpHの水性条件下、室温で良好な放射化学的純度、RCPを与えるように放射標識をすることができる。室温でペプチド成分のジスルフィド架橋が開くリスクは、高温におけるより低い。そのコンジュゲートを室温で放射標識する更なる利点は、病院薬剤部における簡易手法である。
【0044】
スペーサー部分Wの役割は、ペプチド成分の活性部位から比較的かさばるキレート剤を遠ざけることである。スペーサー部分Wは、また、かさばる抗腫瘍薬をペプチドの活性部位から遠ざけるために適用できる。
【0045】
バイオモディファイヤーXは、該化合物の薬物動態及び血中クリアランス速度を修正することが見出される。そのバイオモディファイヤーは、組織、即ち筋肉、肝臓などへの該化合物のより少ない取込みをもたらし、かくして、より少ないバックグラウンド干渉によってより良い診断画像を与える。その分泌は、そのバイオモディファイヤーの更なる利点により主として腎臓を経由する。
【0046】
式Iにおいて定義される化合物は、また、表1の中で定義されるキレート剤Z1を含む。
【0047】
【表1】

【0048】
本明細書に記載のコンジュゲートのペプチド成分は、好ましくは遊離のアミノ末端又はカルボキシ末端を有さない。これによりこれらの化合物に酵素分解に対する耐性の顕著な増加が導入され、その結果、それらは多くの既知の遊離のペプチドと比較して増大したインビボでの安定性を有する。
【0049】
本明細書で用いられる用語「アミノ酸」とは、その最も広い意味で、タンパク質を構成するL型アミノ酸、D型アミノ酸、化学変性されたアミノ酸、N−メチル、Cα−メチル及びアミノ酸側鎖擬態物並びにナフチルアラニン等の非天然アミノ酸を意味する。いずれかの天然に存在するアミノ酸又はそのような天然に存在するアミノ酸の擬態物が好ましい。
【0050】
式Iの化合物のいくつかの好ましい実施形態は、下の化合物Iによって示される:
【0051】
【化4】

【0052】
殆どの場合、ペプチド中のアミノ酸はすべてL型であることが好ましい。しかしながら、本発明の実施形態によってはペプチド中のアミノ酸の1つ、2つ、3つ又はそれ以上が好ましくはD型である。そのようなD型アミノ酸の包含は、当該化合物の血清安定性に対して有意な効果を有することができる。本発明によれば、式Iで定義されるアミノ酸残基のいずれもが、好ましくは、天然に存在するアミノ酸であり独立にD型又はL型いずれかの立体配置を示すことができる。
【0053】
本発明の化合物のいくつかは、高い親和性のRGDに基づくベクターである。本明細書で用いる用語「高い親和性のRGDに基づくベクター」とは、αvβ3についての競合的結合アッセイにおいて<10nM、好ましくは、<5nMのKiを有する化合物を指し、ここでKi値は、既知の高い親和性リガンドのエキスタチンとの競合によって測定されたものである。上記の競合アッセイを実施するための方法は、当該技術分野では周知である。
【0054】
本発明は、また、一般式Iの化合物の画像診断に対して有効な量(例えば、インビボイメージングにおけるイメージコントラストを高めるために有効な量)又はその塩を1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む医薬品組成物を提供する。
【0055】
本発明は、更に、一般式III、IV及びVの化合物、又はそれらの酸付加塩の有効量を1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む疾病の治療のための医薬品組成物を提供する。
【0056】
【化5】

【0057】
その他の代表的なスペーサー(W)エレメントとしては、酵素切断部位を含んでも含まなくてもよい、構造型多糖、保存型多糖、ポリアミノ酸並びにそれらのメチル及びエチルエステル、並びにポリペプチド、オリゴ糖並びにオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0058】
本発明のイメージング剤中のキレート剤(Z)は、68Ga及び/又は治療用放射性核種8739213Bi83177Lu71と安定な錯体を形成することができる任意のキレート化剤であり得る。
【0059】
この発明の金属イオンは、例えば、キレート剤含有部分の水溶液を好ましくは約4〜約11の範囲のpHを有する水溶液中の金属塩と単に触れさせるか混合することによって容易にキレート剤に錯化することができる。その塩は、任意の塩であり得るが、好ましくは、その塩は、金属の水溶性の塩、例えばハロゲン塩などであり、より好ましくは、上記塩は、当該金属イオンのキレート剤との結合を妨げないように選択する。キレート剤含有部分は、好ましくは、約5と約9の間のpH、より好ましくは、約6と約8の間のpHの水溶液の状態である。そのキレート剤含有部分は、最適なpHを生ずるために、緩衝塩、例えばHEPES、クエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ホスフェート及びホウ酸塩などと混合することができる。好ましくは、その緩衝塩は、当該金属イオンのキレート剤へのその後の結合を妨げないように選択する。
【0060】
好ましくは、放射性核種は、ジェネレータシステムから容易に得ることができる。例えば、68Gaは、68Ga/68Geジェネレータから容易に得られる。好ましくは、放射標識手順は速く、放射能の取込みは定量的であり(>95%)、製剤緩衝液はトレーサーの精製段階が省略されるようにヒトへの使用に好適である。その必要条件は、ジェネレータ溶出液が標識化前に前濃縮されており、錯体形成がマイクロ波加熱によって加速される場合に達成することができる。
【0061】
68Ge/68Gaジェネレータ溶出液の前濃縮及び精製の方法が開発された(国際公開第2004/089517号;Velikyan I,Beyer GJ,Langstrom B.Microwave−supported preparation of 68Ga−bioconjugates with high specific radioactivity.Bioconjugate Chem.2004;15:554−60)。溶出液量は減少し、その結果、標識すべき68Ga及び巨大分子の濃度は増加する。その上その溶出液は、錯体形成反応において68Gaと競合し得る金属カチオン並びに寿命の長い親の68Geによって精製された状態になる。この方法は、陰イオン交換クロマトグラフィーに基づいている。HCl溶液中でガリウムはClとの強力な陰イオン錯体を形成する。対応する[GaCl3−及び[GaCl錯体は、>3MのHCl濃度からの陰イオン交換樹脂に強く吸着され、そのとき、68Gaは、少量の水と共に溶出する。
【0062】
標識手順に対する別の加熱技術、マイクロ波加熱が、反応時間を短縮し、標識化の効率を増すために適用された(国際公開第2004/089425号;Velikyan I,Beyer GJ,Langstrom B.Microwave−supported preparation of 68Ga−bioconjugates with high specific radioactivity.Bioconjugate Chem.2004;15:554−60;Velikyan I,Lendvai G,Valila M,et al.Microwave accelerated 68Ga−labelling of oligonucleotides.J Labelled Compd Rad.2004;47:79−89)。
【0063】
高い比放射能による巨大分子の68Ga標識のための迅速法が開発された。その方法により68Gaの定量的組込み、トレーサー精製段階の省略及びヒトの使用に対して望ましい製剤が可能となった。その方法は、前濃縮し、精製した68Ge/68Gaジェネレータ溶出液、マイクロ波加熱及びヒトの使用に望ましい緩衝液を利用した。
【0064】
次の同位体又は同位体の組合せをイメージング及び治療の両方に放射標識法又はキレート化剤を変える必要なく使用することができる:68Ga及び873968Ga及び177Lu7168Ga及び213Bi83
【0065】
68Ga系ペプチドトレーサーは、腫瘍のイメージング/診断、化学療法及び放射線療法の計画及びモニタリング並びに放射線治療のための治療前線量測定に使用することができる。更に、診断及び線量測定の後、68Gaは、その後の放射線治療のために同一ベクター中で治療用放射性核種(8739213BI83177LU71)と置き換えることができる。ジェネレータ生成68Gaによる放射性金属化を用いるトレーサーの直接的な調製は、PET用放射性医薬品のキット型生産をもたらし、加速器のないセンターでのPET検査を可能とすることができる。治療前線量測定は、いくつかの適用についてはトレーサーの比放射能(SRA)に依存する正確な定量化を必要とすることがある。これは高い親和性の結合部位、例えば多くのペプチド受容体など、の特徴付けに対して特に重要である。高いSRAを必要とする別の要素は、副作用を誘発し得る極めて強力な受容体アゴニストの標識化である。従って、高いSRAを持つ様々な巨大分子の68Ga標識化に対する迅速で信頼できる方法を開発することは不可欠であった。
【0066】
好ましくは、該放射性核種はジェネレータシステムから容易に得ることができる。例えば、68Gaは、68Ga/68Geジェネレータから容易に得ることができる。好ましくは、放射標識手順は迅速であり、放射能組込みは定量的(>95%)であり、且つ該製剤緩衝液はトレーサー精製段階が省略されるようにヒトの使用に適する。この必要条件は、ジェネレータ溶出液を標識化の前に前濃縮し、錯体形成をマイクロ波加熱によって加速する場合は達成することができる。
【0067】
反応の加速を提供するマイクロ波加熱は、寿命の短い放射性核種の放射標識化学にとって魅力的な手段である。その上、オイルバス又はオーブンを用いる従来の加熱の間は、容器の壁が最初に加熱され、溶液中に温度勾配を生じる。マイクロ波照射の下では試料は各部分でより均一に中から加熱され非常に速い加熱をもたらす。マイクロ波加熱は、微小規模の有機化学、例えば試料の大きさがマイクロ波場の侵入深さに匹敵する放射標識などに特に有用である。
【0068】
DOTAに基づく2官能キレート化剤の遅い放射標識動態は、高められた温度と時間を必要とする。巨大分子の損傷の可能性及び68Gaの比較的短い半減期のために広範囲の従来の加熱は望ましくない。マイクロ波加熱は、標識化の加速を提供することができる魅力的な手段である。
【0069】
そのマイクロ波加熱は、それぞれの分子量が最大7.1及び9.8kDa以上のペプチド及びオリゴヌクレオチドの実際の劣化なしで適用することができた。反応媒体のpHは、酢酸ナトリウム又はN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2−エタンスルホン酸緩衝液(HEPES)並びに水酸化ナトリウムにより調節した。巨大分子、それらのコンジュゲート及び69,71Ga含有対応物を、マイクロ波にさらし、次いでラジオ−UV−HPLC及び/又はLC−ESI−MSにより分析してそれらの安定性を確認した。従来の加熱による合成と比較してマイクロ波加熱の適用は合成時間をかなり短縮した。68Ga放射性金属を含むトレーサーの放射化学的収率は、追加の10分間で68Gaの減衰により約10%減少するというべきである。
【0070】
マイクロ波加熱は化学反応時間を減少したばかりでなく、それは副反応を排除し、放射能取込み(RAI)を増し、且つ再現性も改善した。マイクロ波加熱の下での68Ga標識化は、分子量が1.4〜3.3kDaの間で変動する小さいペプチド並びに分子量が6.2と7.1kDaの間のより大きいペプチドにより実施した。細胞及び凍結切片受容体結合アッセイを、トレーサーの受容体結合能力の維持を評価するために通常どおり実施した。
【0071】
68Gaの理論SRAは、100GBq/nmolである。開発された標識化技術は、1.25GBqのジェネレータ溶出68Ga放射能を考慮すれば、最大3.3GBq/nmolまでの高いSRA値を可能にした。これにより、広範囲のSRA値及び必要な物質移行、受容体飽和及びイメージコントラストに関して適用されるトレーサー量の最適化に対する可能性が得られる。
【0072】
受容体結合特性の調査に対するトレーサーSRAの重要性は、赤毛猿の脳の標的皮質に対して飽和状態の68Ga−DOTATOCを結合させることによって検討した。受容体に特異的に結合した68Ga−DOTATOCの局所濃度と遊離の68Ga−DOTATOCとの比率は、放射能の量が一定に保たれている場合はSRAに決定的に依存するイメージのコントラストを反映する。遊離のリガンドに対する結合の割合は、SRAがゼロに近づくときゼロに近づき、かくしてイメージコントラストの減少をもたらす。SRAが無限大に到達するとき発現はBmax/Kに近づく。SRAの一定のレベルでB/Fは、水平状態に到達し、SRAが増大しても変化しない。SRAに対する信号対バックグラウンド比の依存度は、変曲点前後が臨界である。SRA値における小さな減少は、イメージコントラストのかなりの低下をきたし、その結果再生不可能な結果を引き起こす可能性がある。これは一定量の放射能がインビボでの十分な信号を得るために必要な場合、又は放射能の放射線量がインビボなどでの限定因子である場合であり得る。かかる場合には、SRAの値は、B/Fが、信号対バックグラウンド比がSRAの変動に依存しないようになる水平状態のところにあるために十分に高くなければならない。これにより、1つの実験から別の実験へのSRAの変動が定量化に影響を及ぼさないため、インビボ及びインビトロでの検討の高い再現性及び頑強さが提供される。
【0073】
かくして、十分に高いSRAが受容体の定量化、評価及びイメージの十分なコントラストに対して必要であり得ることが示された。その上、68Ga前濃縮/精製とマイクロ波加熱との組合せにより達成された高いSRAは、最適化に対するSRAの関数としての放射能取込みの調査を可能にする。更に、SRAの最適化及び結合部位の定量化は、患者の検討に対して、化学治療及び放射線治療に対する投与量を計画するとき、実施することができる。SRAの更なる改良は、インビボの腫瘍におけるBmaxの測定の可能性を開くこともできる。
【0074】
放射標識した化合物の更なる応用に先立つ化学的特徴付け及び分析は、その独自性、純度及び量を確保するために必要である。その分析は、放射能の損失を最小限にするために短時間のうちに実施すべきである。巨大分子バイオコンジュゲートに対して、特徴付けの適切な手段としては、一般にHPLC及び質量分析法(MS)が挙げられる。最も普通に使用される方法は、真正基準物質をトレーサーに添加し、放射能及びUV検知器と直列に接続されているHPLCカラムにかけて共溶出させるものである。この方法は、便利であり、各合成に対して容易に実施することができる。この研究によって開発されたHPLC分析は、10分以内に達成され、臨床応用の前のペプチド系の放射性医薬品の迅速な品質管理(QC)を可能にする。該真正基準物質は、68Gaと69,71Gaカチオンの混合物を使用したことを除いて、その放射能を持った対照物と同一条件下で合成した。放射能を持つ安定なガリウムの同位体の混合物を用いた狙いは、2つの要素、即ち、1.標識手順に対して同一の反応条件を生み出すこと、2.その反応を追跡することを可能にすること、である。それら化合物の独自性は、LC−ESI−MSによって確認した。68Ga標識の位置は、コンジュゲート及び非コンジュゲート巨大分子の両方との標識化反応を実施することによって判断した。
【0075】
製剤及び適用緩衝液の両方における放射標識したバイオコンジュゲートの安定性は、通常、標識化反応混合物から3〜4時間の間に採取されたアリコートの分析をする放射性HPLCによって監視し、更なる放射性HPLC信号の発現の可能性を管理する。12〜24時間インキュベートした試料をUV−HPLC又はLC−ESI−MSによって分析した。適用した調査で使用した68Gaバイオコンジュゲートの放射化学的純度は、4時間以上にわたって>95%であった。この時間は68Gaの3〜4倍の物理的半減期に相当し、適用実験に必要な時間である。加えて、巨大分子、バイオコンジュゲート及び安定なガリウム同位体とのバイオコンジュゲート錯体を、安定性に関してUV−HPLC又はLC−ESI−MSによって分析した。
【0076】
設計したHPLCシステムの信頼性を評価するために、カラムに保持された68Ga標識したバイオコンジュゲート及び放射性不純物の量を、カラムに注入した試料及び出口から集めた画分の放射能を結晶シンチレーションカウンターにより計測することによって測定した。そのシステムの総合損失を次に推定し、分離法によって、10〜15%であった。
【0077】
本研究においては、精製段階の省略は、定量的RAIのための方法の開発により可能であった。更に、標識化製品が、生体系に適合し、ヒトへの使用に適するHEPES緩衝液中で得られた。
【0078】
本発明の方法で使用するための好ましいキレート剤は、生理学的に許容できる形態で68Gaが存在するものである。更なる好ましいキレート剤は、放射標識した錯体を使用する診断調査に必要な時間に対して安定である68Gaによる錯体を形成するものである。
【0079】
適当なキレート剤は、例えば、DTPA、EDTA、DTPA−BMA、DOA3、DOTA、HP−DOA3、TMT又はDPDPのようなポリアミノポリ酸キレート剤である。そのようなキレート剤は、放射性医薬品及び放射線診断薬で周知である。それらの使用及び合成は、例えば、米国特許第4647447号、同第5362475号、同第5534241号、同第5358704号、同第5198208号、同第4963344号、欧州特許出願公開第230893号、同第130934号、同第606683号、同第438206号、同第434345号、国際公開第97/00087号、同第96/40274号、同第96/30377号、同第96/28420号、同第96/16678号、同第96/11023号、同第95/32741号、同第95/27705号、同第95/26754号、同第95/28967号、同第95/28392号、同第95/24225号、同第95/17920号、同第95/15319号、同第95/09848号、同第94/27644号、同第94/22368号、同第94/08624号、同第93/16375号、同第93/06868号、同第92/11232号、同第92/09884号、同第92/08707号、同第91/15467号、同第91/10669号、同第91/10645号、同第91/07191号、同第91/05762号、同第90/12050号、同第90/03804号、同第89/00052号、同第89/00557号、同第88/01178号、同第86/02841号及び同第86/02005号に記載されている。
【0080】
適当なキレート剤としては、Zhang et al.,Inorg.Chem.37(5),1998,956−963によって記載されている、例えば、ポルフィリン様の分子、ペンタアザ大員環などの大環状キレート剤、フタロシアニン類、クラウンエーテル類、例えばセパルクレート、クリプタート等の窒素クラウンエーテル、ヘミン(プロトポルフィリンIX塩化物)、ヘム及び平面四角形の対称を有するキレート剤が挙げられる。
【0081】
大環状のキレート剤は、好ましくは本発明の方法において使用される。好ましい実施形態において、これらの大環状キレート剤は、ポリアザ及びポリオキソ大環状分子におけるように酸素及び/又は窒素などの1つ以上の硬いドナー原子を含む。ポリアザ大環状キレート剤の好ましい例としては、NOTA、DOTA、TRITA、TETA及びHETAが挙げられ、DOTAが特に好ましい。
【0082】
特に好ましい大環状キレート剤は、カルボキシル基又はアミン基のようにGa3+への配位には必須ではなく、従ってターゲティングベクターのような他の分子とキレート剤とのカップリングに使用できる官能基を含む。かかる官能基を含む大環状キレート剤の例は、NOTA、DOTA、TRITA、又はHETAである。
【0083】
更に好ましい実施形態においては、二官能性キレート剤を本発明の方法で用いる。本発明に関して「二官能性キレート剤」とは、RGDペプチドを含むターゲティングベクターと連結したキレート剤を意味する。
【0084】
ターゲティングベクターは、リンカー基又はスペーサー分子を介してキレート剤に結合させることができる。リンカー基の例は、ジスルフィド、エステル又はアミドであり、スペーサー分子の例は、鎖状分子、例えばリシン又はヘキシルアミン或いは短鎖ペプチド系スペーサーである。好ましい実施形態では、ターゲティングベクターと放射性標識ガリウム錯体のキレート剤部分の間の結合は、ターゲティングベクターが、放射性標識ガリウム錯体の存在によって阻害も妨害もされずに、体内の標的と相互作用できるものである。
【0085】
本発明の好ましい一態様は、
a)68Ge/68Gaジェネレータからの溶出液を、HCOを対イオンとして含む陰イオン交換体と接触させて、前記陰イオン交換体から68Gaを溶出させることによって68Gaを得て、
b)その68Gaを、ターゲティングベクターとコンジュゲートするキレート剤と反応させ、その反応を、マイクロ波加熱を用いて行うことによって68Ga放射性標識錯体を製造する方法である。
【0086】
マイクロ波加熱の下での反応の温度制御が、例えば、ターゲティングベクターとしてペプチド又はタンパクとコンジュゲートした二官能性キレート剤のような温度感性のキレート剤が本発明による方法で採用されるときは望ましい。マイクロ波加熱の持続は、反応混合物の温度がキレート剤及び/又はターゲティングベクターの分解を引き起こさない方法で調整すべきである。本発明による方法で使用されるキレート剤がペプチド又はタンパクを含む場合は、高めの温度を短時間かける方が低めの温度を長時間かけるより一般に好ましい。
【0087】
マイクロ波加熱は、反応の過程において連続的に又は何回かのマイクロ波加熱サイクルで行うことができる。
【0088】
本発明の診断薬は、特定のイメージング技術により所望の結果が得られるように十分な量で患者にイメージングのために投与することができる。
【0089】
本発明による化合物は、それ故、当該技術の十分に熟練したやり方で生理的に許容できる担体又は賦形剤を使用して投与するために処方することができる。例えば、該化合物は、適宜薬学的に許容できる賦形剤を添加して、水性媒体中に懸濁又は溶解させ、得られた溶液又は懸濁液を次に殺菌することができる。
【0090】
治療用組成物(薬剤)の製造及びヒト又は動物の体の治療又は予防処置、好ましくは癌の治療、の方法における式Iの化合物の使用は、従って、本発明の更なる態様を表すものと考えられる。
【0091】
かくして、本発明は、放射標識した金属錯体を製造する方法に関する。その錯体は、例えば陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層(SPECT)撮影、治療前線量測定、治療計画、治療モニタリング及び放射線治療のための診断薬及び治療薬として使用することができる。
【0092】
一態様から見て、本発明は、ヒト又は動物の体の画像を生成させる方法であって、画像診断薬を前記体、例えば血管系、に投与することと、前記画像診断薬が、シンチグラフィー、PET又はSPECTモダリティーを用いて分配した前記体の一部以上の画像を生成させることとを含み、前記画像診断薬に式Iの薬剤が使用されている方法を提供する。
【0093】
別の態様から見て、本発明は、癌、好ましくは血管新生と関係する状態と闘う薬物、例えば細胞傷害性薬剤又は放射線治療によるヒト又は動物の体の治療の効果をモニタリングする方法であって、前記方法が前記体に式Iの薬剤を投与することと前記薬剤の細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαvβ3受容体による取込みを検出することとを含み、前記投与及び検出が、適宜、しかし好ましくは、例えば治療の前、途中及び後に前記薬物により繰り返し行われる方法を提供する。
【0094】
更に、それは腫瘍及び正常臓器によって取り込まれる放射能量を測定するための治療前線量測定の方法を提供する。これは、どれだけ有毒の放射能が腫瘍に行き、正常臓器が影響を受けるかどうかについての情報を提供する。それは、腫瘍及び正常組織への放射線量の容易で迅速な推定である。前記方法はヒト又は動物の体に式Iの薬剤を投与することと細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαvβ3受容体による前記薬剤の取込みを検出することとを含み、前記投与及び検出は、治療の前にその治療を計画するために行われる。
【0095】
なおも更に、それは適切な治療形式を決定するための治療計画の方法を提供する。これはインビボの受容体密度の情報を提供する。前記方法は、前記体に式Iの薬剤を投与することと、発現組織上の受容体取込みを測定することによってインビボの受容体密度を定量化することと、適切な治療形式を決定することとを含む。
【0096】
本発明の更に別の実施形態において、それは、式III、IV及びVの化合物及び放射線治療のために式III、IV及びVの化合物を使用する方法を提供する。それは、また、式III、IV及びVの化合物の薬剤をヒト又は動物の体に投与することを含む放射線治療の方法を提供する。
【0097】
68Gaの比較的短い半減期を考慮すると、PETイメージングのためのトレーサー分子として使用することができる68Ga標識錯体を合成するためには迅速な方法の必要性がある。
【0098】
本発明は、従って、Ga3+放射性同位体をキレート剤と反応させることによって放射標識したガリウム錯体を製造する方法であって、その反応を、マイクロ波加熱を使用して行うことを特徴とする方法を提供する。
【0099】
従って、本発明による方法の別の好ましい実施形態は、68Ga放射標識錯体を、68Ga3+とキレート剤とをマイクロ波加熱を使用して反応させることによって製造する方法であって、68Ge/68Gaジェネレータからの溶出液を陰イオン交換体、好ましくは、HCOを対イオンとして含む陰イオン交換体と接触させ、前記陰イオン交換体から68Ga3+を溶出させることによって68Ga3+を得る方法である。
【0100】
本発明の化合物のペプチド部分は、化学合成のすべての既知の方法を用いて合成することができるが、特に有用であるのはオートメーション化されたペプチド合成を採用するMerrifieldの固相の方法(J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1964))であるペプチド及びペプチドキレートは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して精製することができ、インビトロスクリーニングでの試験前に質量分析法及び分析HPLCで特性決定することができる。
【0101】
本発明を、ここで次の非限定の実施例により更に説明する。
【実施例】
【0102】
Cys2−6;c[CHCO−Lys(DOTA)−Cys−Arg−Gly−Asp−Cys−Phe−Cys]−CCX−NH)(DOTA−AH−110847−02)の68Ga標識化
【0103】
【化6】

【0104】
材料
DOTA−AH−110847−02(C661051924、分子量=1644.88)は、Amersham Health社(Amersham Health社合成化学部(ノルウェー国オスロ))から受けた。HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸)及び二重蒸留塩酸(Riedel de Haen)は、Sigma−Aldrich Sweden社(スウェーデン国ストックホルム)から得た。リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリフルオロ酢酸(TFA)は、Merck社(ダルムシュタット、ドイツ)から得た。購入した試薬は更なる精製はしないで使用した。Purelab Maxima Elgaシステム(Bucks、英国)により製造した脱イオン水(18.2MΩ)をすべての反応で使用した。
【0105】
68Gaの製造
68Ga(T1/2=68min、β=89%及びEC=11%)は、68Ge(T1/2=270.8日)が二酸化チタンに基づく無機基質のカラムに結合されている68Ge/68Gaジェネレータシステム(Cyclotron Co.,Ltd社(ロシア国オブニンスク)製)から入手できた。そのジェネレータカラムに充填された公称68Ge活性度は、1850MBq(50mCi)であった。該ジェネレータの規定の貯蔵寿命は2〜3年である。68Gaは、6mLの0.1M塩酸により溶出した。
【0106】
陰イオン交換カートリッジを用いる68Ga溶出液の精製及び前濃縮
68Ge/68Gaジェネレータを、製造業者のプロトコルに従い6mLの0.1M溶液により溶出した。5mLの30%HClを、6mLのジェネレータ溶出液に加え、最終的に4.0MのHCl濃度を生じさせた。得られた合計11mLの溶液を、室温で4mL/分の流速(直線流速度25cm/分)で陰イオン交換カラムを通過させた。68Gaを、次に少量の脱イオン水(50〜200μl)により、0.5mL/分の流速で溶出した。
その前濃縮は2つのジェネレータの溶出液(12mL)に対して成功裏に実施された。このことは、ジェネレータの耐用貯蔵寿命が更に長くできることを意味する。
【0107】
DOTA−AH−110847−02の68Ga標識
前濃縮/精製68Ge/68Gaジェネレータ溶出液のpHを、水酸化ナトリウム及びHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸、Sigma社製)を加えてpH4.6〜4.8に調整し、最終的にHEPESに関して1.5Mの溶液を生じさせた。次に3〜8ナノモルのペプチドコンジュゲートを加えた。その反応混合物をマイクロ波加熱に対して少容量(200±20μL)を適応させる挿入物と共にパイレックス(登録商標)ガラス瓶に移した。マイクロ波オーブン中の加熱時間は、95±5℃で1分であった。得られた生成物は、逆相分離機構を用いるUV−ラジオ−HPLCにより分析した。
【0108】
マイクロ波加熱
マイクロ波加熱は、2450MHzで連続照射を生ずるSmithCreator(商標)(以前のPersonal Chemistry AB社、現在のBiotage社、スウェーデン国ウプサラ)のモノモードマイクロ波空洞中で実施した。温度、圧力及び照射出力は、反応の経過中監視した。その反応バイアルは、照射が完了した後圧搾空気で冷却した。
【0109】
HPLC分析
液体クロマトグラフィー(LC)分析は、126ポンプ、166UV検出器及び放射線検出器を直列に連結してなるBeckman社(米国カリフォルニア州フラートン)製のHPLCシステムを用いて行った。データの取得及び操作はBeckman System Gold Nouveau Chromatographyソフトウェアパッケージを用いて行った。使用したカラムは、寸法150mm×4.6mm、粒径5μmのVydac RP 300Å HPLCカラム(Vydac社、米国)である。勾配溶出は以下のパラメーターを適用した:A=10mMのTFA、B=70%アセトニトリル(MeCN)、30%HO、10mMのTFAで220nmでのUV検出、流速は1.2mL/分、20%Bの定組成で0〜2分、20〜90%Bの直線濃度勾配8分、90〜20%Bの直線濃度勾配2分。
【0110】
LC−ESI−MS分析
液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI−MS)は、[M+2H]2+及び[M+3H]3+種をスキャン及び検出するポジティブモードによるFisons Platform(Micromass社、英国マンチェスター)を用いて行った。DOTA−AH−110847−02は、[M+2H]2+についてはm/z=549.1、[M+3H]3+については823.44であり、69,71Ga−DOTA−AH−110847−02は、[M+2H]2+についてはm/z=857、[M+3H]3+については571であった。標識化と同じ条件下で合成した69,71Gaコンジュゲートは、ラジオ−HPLCクロマトグラム信号を確認するために使用した。
【0111】
放射化学
大環状二官能キレーター(DOTA)とリシン残基のところでコンジュゲートしている二環式オクタペプチド、DOTA−AH−110847−02、を陽電子放出性放射性核種68Gaにより標識化した。2つのジェネレータから溶出した全部が68Gaの放射能を3〜8ナノモルのペプチドコンジュゲート中に定量的に(>95%)組み込んだ。その68Ga標識化ペプチドコンジュゲートの更なる精製は、その核種の組込みが定量的であり、緩衝液が生体系に適合性であったために不必要であった。全体の68Ga標識化過程は最初のジェネレータ溶出の終わりから始まって15〜20分間で行われた。HPLC品質管理(別の10分間)が、適用前に行われた。
最初のDOTA−AH−110847−02ペプチドコンジュゲートをUV−RP−HPLC(t=6.19±0.03)により分析した。
68GaによるDOTA−AH−110847−02の標識化(スキーム1)は、マイクロ波オーブン中で行った。
【0112】
【化7】

【0113】
スキーム1 Ga3+のDOTA−AH−110847−02とのマイクロ波活性化錯体形成についての反応スキーム
放射能組込みは>95%であった。この研究のために開発されたUV−ラジオ−HPLC分析法は、適用前の放射性医薬品の迅速な品質管理(QC)を可能にする10分以内で成し遂げた。真正基準物質は、安定な69,71Ga同位体を使用する以外はその放射能を持った対応物と同じ条件の下で合成した。保持時間(UV−HPLC)は、真正DOTA−AH−110847−02及び69,71Ga−DOTA−AH−110847−02に対してそれぞれ6.19及び6.35であった。放射能信号は、t=6.45を有した。HPLC UV−クロマトグラム信号を確認するために、DOTA−AH−110847−02及び69,71Ga−DOTA−AH−110847−02濃度依存性の検討を行った。対応する信号の領域は検体の濃度の増加と共に増加していた。化合物の同一性は、LC−ESI−MSによって更に確認した。m/z:857[M+2H]2+及び571[M+3H]3+における二重及び三重電荷イオンを、69,71Ga−AH−110847−02に対して検出した。ガリウムの安定な同位体錯体形成の場合、その生成物は、純粋な69,71Ga−DOTA−AH−110847−02からなる。68Ga錯体形成の場合、その生成物は、68Ga−DOTA−AH−110847−02及びDOTA−AH−110847−02からなるものであった。トレーサー製剤のHPLC試料は、tの不一致を避けるために、DOTA−AH−110847−02によりスパイクした。
【0114】
マイクロ波加熱条件下でのDOTA−RDGの安定性をチェックするために、空試験を行い、ペプチドコンジュゲートの安定性をUV−HPLC及びLC−ESI−MSによって監視した。DOTA−RDGは、MW照射の下での水中及び反応溶液中の両方で安定であった。安定性の調査において付加的信号は検知されなかった。
【0115】
具体的実施形態、参考文献の引用
本発明は、本明細書に記載の具体的実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて本発明の様々な修正が先の記述及び添付図から当業者には明らかとなろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【0116】
様々な出版物及び特許出願が本明細書には引用されており、それらの開示は、全体として参照により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【化1】

式中、
Gはグリシンを表し、
Dはアスパラギン酸を表し、
は−(CH−又は−(CH−C−を表し、但し
nは正の整数1から10を表し、
hは正の整数1又は2を表し、
はアミノ酸残基を表し(但し、前記アミノ酸は酸又はアミンなどの官能性側鎖を有する)、
及びXは独立にジスルフィド結合を形成することができるアミノ酸残基を表し、
はアルギニン、N−メチルアルギニン又はアルギニン擬似体を表し、
は疎水性アミノ酸又はその誘導体を表し、
はチオール含有アミノ酸残基を表し、
は存在しないか或いはバイオモディファイヤー部分を表し、
はキレート剤を表す。
【請求項2】
いずれのアミノ酸残基も独立にD又はL立体配置である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が−(CH)−を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がアスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、ホモリシン、又はジアミノアルキル酸或いはそれらの誘導体を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
、X及びXが独立にシステイン又はホモシステイン残基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
がアルギニン残基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
がチロシン、フェニルアラニン、3−ヨード−チロシン又はナフチルアラニン残基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が存在しないか或いは1〜10単位の単分散PEG構成単位を含む、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
が存在しないか或いは1〜10単位の式IIを含む、請求項1記載の化合物。
【化2】

【請求項10】
が1〜10個のアミノ酸残基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
がグリシン、リシン、アスパラギン酸又はセリン残基を表し、好ましくはグリシンを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
がNOTA、DOTA又はTETAである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
が抗悪性腫瘍薬である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
がシクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メトトレキサート、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、アムサクリン又はドセタキセルを表す、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
がグルタル酸又はコハク酸である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
次式の化合物Iとして定義される、請求項1記載の化合物。
【化3】

【請求項17】
有効量の一般式(I)の化合物又はその塩を、インビボイメージングにおける画像の向上に使用するための1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に含む医薬品組成物。
【請求項18】
画像診断薬を、ヒト又は動物の体に投与し、前記体の一部以上の画像を生成させることを含む診断法において使用するための前記画像診断薬を製造するための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項19】
画像診断薬を、ヒト又は動物の体に投与することと、前記画像診断薬を分布してある前記体の一部以上の画像を生成させることとを含むヒト又は動物の体の画像を生成させる方法であって、前記画像診断薬が請求項1記載の化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
治療前線量測定の方法であって、式Iの化合物、又はその酸付加塩を、1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒にヒト又は動物の体に投与することと、前記化合物の取込みを細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαβ受容体によって検出することとを含み、前記投与及び検出を治療前に該治療の計画をするために実施する方法。
【請求項21】
ヒト及び動物の体の癌、好ましくは血管新生と関係する状態と闘う薬物による治療の効果をモニタリングする方法であって、式Iの化合物、又はその酸付加塩を、1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に前記体に投与することと、前記化合物の取込みを細胞受容体、好ましくは内皮細胞受容体、特にαβ受容体によって検出することとを含み、前記投与及び検出を前記薬物による治療の前、途中及び後に繰り返し実施する方法。
【請求項22】
ヒト又は動物の体に対する適切な治療形式を決定するための治療計画を立てる方法であって、式Iの化合物、又はその酸付加塩を、1種以上の薬学的に許容できるアジュバント、賦形剤又は希釈剤と一緒に前記体に投与することと、インビボの受容体密度を発現組織上の受容体の取込みを測定することによって定量化することと、適切な治療形式を決定することとを含む方法。
【請求項23】
一般式(III)、(IV)もしくは(V)の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
【化4】

式中、
Gは、グリシンを表し、
Dは、アスパラギン酸を表し、
は、−(CH−又は−(CH−C−を表し、但し
nは、正の整数1から10を表し、
hは、正の整数1又は2を表し、
は、アミノ酸残基を表し(但し、前記アミノ酸は酸又はアミンなどの官能性側鎖を有する)、
及びXは独立にジスルフィド結合を形成することができるアミノ酸残基を表し、
は、アルギニン、N−メチルアルギニン又はアルギニン擬似体を表し、
は、疎水性アミノ酸又はその誘導体を表し、
は、チオール含有アミノ酸残基を表し、
は、存在しないか或いはバイオモディファイヤー部分を表し、
は、キレート剤を表す。
【請求項24】
ヒト又は動物の体における癌、好ましくは血管新生の放射線治療の方法であって、化合物III、IV又はVの有効量を投与することを含む方法。
【請求項25】
ヒト又は動物における癌、好ましくは血管新生の放射線治療のための薬剤を製造するための、請求項23に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−502585(P2010−502585A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526190(P2009−526190)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002479
【国際公開番号】WO2008/026040
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】