説明

EL素子の製造方法

【課題】 発光層にレーザを照射することにより輝度を向上させるようにしたEL素子の製造方法において、さらなる輝度の向上を可能にする。
【解決手段】 透明な絶縁性基板1上に透明な第1電極2、第1絶縁層3、発光中心を含む発光層4、第2絶縁層5および透明な第2電極6を順次成膜するとともに、発光層4にレーザを照射することにより輝度を向上させるようにしたEL素子の製造方法において、EL素子の第1電極2と第2電極6との間に第2電極6をプラスとして直流電圧を印加した場合と、第2電極6をマイナスとして直流電圧を印加した場合とで、1cd/m2の輝度に達する電圧差が10V未満となるように、発光層4にレーザを照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層にレーザを照射して輝度向上を図るようにしたEL(エレクトロルミネッセンス)素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、EL素子は、ガラスなどの透明な絶縁性基板上に透明な第1電極、第1絶縁層、発光中心を含む発光層、第2絶縁層および透明な第2電極を順次成膜することにより製造される。
【0003】
このようなEL素子においては、輝度の向上を図るために、発光層にレーザを照射することにより発光層をアニールし、輝度を向上させるようにした製造方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−224777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、EL素子においては、さらなる輝度の向上が要望されており、レーザ照射による輝度向上を図る場合においても、効率的に輝度を向上可能な方法が必要となってくる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、発光層にレーザを照射することにより輝度を向上させるようにしたEL素子の製造方法において、さらなる輝度の向上を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、EL素子の第1電極(2)と第2電極(6)との間に第2電極(6)をプラスとして直流電圧を印加した場合と、第2電極(6)をマイナスとして直流電圧を印加した場合とで、1cd/m2の輝度に達する電圧差が10V未満となるように、発光層(4)にレーザを照射することを特徴とする。
【0007】
それによれば、第1および第2電極(6)間に極性を変えて直流電圧を印加したときに、この電圧印加の一方の極性と他方の極性とでEL素子における1cd/m2の輝度に達する電圧差が10V未満となるように、発光層(4)にレーザを照射すれば、後述する図4に示されるように、さらなる輝度の向上が可能となる。
【0008】
ここで、発光層(4)の成膜後であって第2絶縁層(5)の成膜前に発光層(4)側から、レーザを発光層(4)に照射する場合、発光層(4)へのレーザの吸収を考慮して、そのレーザの波長は420nm以下であることが好ましい。
【0009】
また、第2絶縁層(5)を成膜した後にレーザを発光層(4)に照射する場合、および発光層(4)以外の層へのレーザの吸収を抑制しつつ発光層(4)へレーザを吸収させることを考慮して、そのレーザの波長は320nm以上420nm以下であることが好ましい。
【0010】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るEL素子100の概略構成を示す図である。この図1において(a)は電極構成を示す平面図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿った概略断面図である。
【0012】
このEL素子100は、透明な絶縁性基板1を有しており、この絶縁性基板1の上に、通常のEL素子に用いられる材質からなる透明な第1電極2、第1絶縁層3、発光中心を含む発光層4、第2絶縁層5および透明な第2電極6が順次積層されて構成されている。
【0013】
絶縁性基板1は無アルカリガラスや低アルカリガラスなどのガラスや透明な樹脂などからなるが、本例ではガラス基板1である。第1電極2は、ITO(インジウムチンオキサイド)やIZOなどの透明導電膜からなるもので、本例ではたとえば厚さ100nm程度のITO膜からなる。
【0014】
第1絶縁層3および第2絶縁層5は、シリコン酸化膜などの一般的な絶縁膜を採用できるが、レーザ照射によるアブレーションを防止するためには、酸化チタン膜と酸化チタン膜以外の金属酸化膜を積層した膜からなるものが好ましい。
【0015】
そのような積層膜としては、Al23層とTiO2層の積層膜であるATO膜が挙げられる。このATO膜は、Al23層の原料としてAlCl3およびH2Oを用いTiO2層の原料としてTiCl4およびH2Oを用いて、ALD(原子層成長法)により成膜することができる。
【0016】
本例では、各絶縁層3、5としてATO膜を採用しており、その膜構成は、たとえば、Al23層とTiO2層とも、1層当たりの厚さを5nmとし、それぞれ6層積層した構造とすることができる。
【0017】
また、各絶縁層3、5としては、このATO膜におけるAl23層の代わりに該Al23層より誘電率の大きなHfO2層やZrO2層を用いたものが挙げられる。これらについては、おのおの原料ガスとしてHfCl4やZrCl4を用いれば成膜できる。膜厚の設定は上述したAl23層と同様に考えればよい。これらのものはAl23層よりも誘電率が大きいため、ATO膜と容量を同じにした場合、積層数をより多くできるので、耐圧を高くし信頼性を向上させることができる。
【0018】
発光層4は、ZnS、SrSやCaSを母体材料とし、発光中心としてMnなどを添加した一般的なものを採用でき、その膜厚としては50nm〜400nmであることが好ましい。本例では、発光層4は、ZnS:Mnからなるものである。
【0019】
また、第2電極6は、第1電極2と同様に、ITOやIZOなどの透明導電膜からなるもので、本例では、第1電極2と同様に、たとえば厚さ100nm程度のITO膜からなる。
【0020】
ここで、本EL素子100においては、第1電極2および第2電極6は、互いに直交するストライプ形状に形成されており、第1電極2と第2電極6の交点に所定の電圧が印加されると、その部分が発光する。
【0021】
次に、本実施形態のEL素子100の製造方法について述べる。本製造方法は、発光層4の成膜後においてレーザを照射するものである。
【0022】
具体的には、絶縁性基板1の上に、スパッタやフォトリトグラフ技術を用いてITOからなる第1電極2を形成し、その上に、ALD法によりATO膜からなる第1絶縁層3を形成し、続いて、蒸着法によりZnS:Mnからなる発光層4を形成し、その上に、第1絶縁層3と同様にして第2絶縁層5を形成し、さらに、第1電極2と同様に第2電極6を形成する。
【0023】
ここにおいて、本実施形態では、発光層4の成膜後において、EL素子100の第1電極2と第2電極6との間に第2電極6をプラスとして直流電圧を印加した場合と、第2電極6をマイナスとして直流電圧を印加した場合とで、1cd/m2の輝度に達する電圧差が10V未満となるように、発光層4にレーザを照射する。
【0024】
具体的には、第1の方法として、発光層4を成膜した後であって第2絶縁層5を成膜する前に発光層4側から、420nm以下の波長のレーザを発光層4に照射する。ここで、所定の波長となれば、レーザの発振源はなんでもよく、また420nm以上の波長の発振源を用いて、その高調波を利用してもよい。
【0025】
レーザパワーについては、発光層材料や照射の仕方によって異なるが、発光層4の構成元素がアブレーションで加工されない範囲内で、できるだけ大きなパワーを加えることが好ましい。
【0026】
ここで、この第1の方法において、レーザの波長を420nm以下にする理由について図2を用いて説明する。図2は、EL素子100を構成する膜の透過率の波長依存性を測定した図である。
【0027】
図2において、破線で示される曲線12は第1絶縁層3の単膜の測定結果で、一点鎖線で示される曲線13は第1絶縁層3と発光層4との2層構造の測定結果である。ここでは、曲線12の測定サンプルは、ガラス基板1上に第1絶縁層3のみを成膜したものであり、曲線13の測定サンプルは、ガラス基板1上に第1絶縁層3、発光層4を順次積層したものである。
【0028】
これらサンプルにおいて、第1絶縁層3はATO膜であって、Al23層とTiO2層の各々の膜厚が5nmで30層積層した膜であり、発光層4はZnS:Mnを900nm成膜したものとした。そして、図2において、実線で示される曲線11は、曲線12と13との差分であり、発光層4の1層分の透過率曲線を表している。
【0029】
図2に示されるように、420nm以下では、曲線11に示される発光層4の単膜の透過率の低下、すなわち発光層4へのレーザの吸収が顕著になっており、レーザによる発光層4のアニールが可能となる。なお、420nm以上の波長でも、発光層4の透過率が若干低下している波長もあるが、これは絶縁層との界面の効果によるもので、アニール効果はほとんど無かった。
【0030】
また、発光層4の材料についても、SrS:CeやCaS:Euについても蒸着法で成膜すれば、ZnS:Mnと同様の透過率曲線が得られるので、同様の手法でレーザ波長を選択すればよい。また、発光層材料の光に対する光学的特性は、母体材料によって決定されるので、発光中心材料は、Mn、Ce、Eu等何を選択してもかまわない。
【0031】
レーザ照射の第2の方法としては、第2絶縁層5を成膜した後に、320nm以上420nm以下の波長のレーザを発光層4に照射する。この場合、第2絶縁層5の成膜後であれば、レーザ照射は、第2電極6の成膜前でも成膜後でもよい。また、レーザ照射は、絶縁性基板1側からでも第2絶縁層5側からでもどちらでもよい。
【0032】
この方法によれば、第2絶縁層5の成膜後にレーザ照射を行うので、レーザアニールによる発光層4の昇華を抑えることができ、効果的にアニールすることができる。たとえば、発光層4の材料としてZnSを用いれば1180℃で昇華してしまうが、第2絶縁層5があれば、そのような発光層4の昇華は生じなくなり、より効率的なアニールをすることができる。
【0033】
これは、昇華点を持たないSrSやCaSにおいても第2絶縁層5があれば、発光層4の冷却効率が低下するので、効果がある。また、第2絶縁層5で発光層4が覆われていれば、レーザ照射雰囲気いかんにかかわらず、同様の結果を得ることができる。
【0034】
この第2の方法においても、上記第1の方法と同様に、レーザの波長は420nm以下とすることは、上記した理由から明らかである。さらに、この第2の方法では、レーザで発光層4をアニールするためには、第2絶縁層5をレーザが透過し、発光層4では吸収されなければならない。また、絶縁性基板1側からレーザ照射する場合には、第1絶縁層3をレーザが透過しなければならない。
【0035】
そのような波長領域は、上記図2から、320〜420nmにあることがわかる。つまり、図2において、曲線12は第1絶縁層3の単膜の透過率を表しているが、この透過率は、発光層4の上に位置する第2絶縁層5の単膜の透過率としても同様である。
【0036】
このことから、波長が320nmより短いときには、絶縁層3、5がほぼ100%吸収することがわかる。つまり、波長が320nmよりも短いレーザでは、絶縁性基板1側もしくは第2絶縁層5側から発光層4にレーザを照射しても、第1絶縁層3または第2絶縁層5にレーザが吸収されてしまい、発光層4には到達しなくなる。
【0037】
ちなみに、第2絶縁層5の成膜後に、発光層4に対して、266nmや308nmのレーザを照射したところ、パワーが弱ければEL素子100の輝度に変化がなく、パワーを強くすれば、第2絶縁層5がアブレーションによって加工されてしまい、EL素子100を形成することができなかった。また、420nmより長波長の532nmのレーザでは、発光層4が光を吸収しないので、アニール効果が得られなかった。
【0038】
よって、この第2の方法では、320nm〜420nmの波長のレーザにて照射を行うことになる。また、レーザ照射は、第2絶縁層5の成膜後であれば、第2電極6の成膜後でもよいが、これは、第2電極6は、透明であり、一般的に320nm〜420nmのレーザに対してほぼ100%の透過率を持つためである。また、絶縁性基板1側からレーザ照射する場合も、絶縁性基板1および第1電極2は一般的にレーザに対してほぼ100%の透過率を持つため、問題はない。
【0039】
次に、この第2の方法を例にとって、どのような条件でレーザを照射すればよいかについて、説明する。
【0040】
サンプルとして、上記図1に示されるEL素子100において、発光層4をZnS:Mnとして300nmの膜厚で形成し、第1絶縁層3および第2絶縁層5は、Al23層を膜厚5nmで6層、TiO2層を膜厚30nmで5層を各々交互に積層したATO膜とし、第1電極2および第2電極6はITO膜としたものを用いた。
【0041】
図3は、このサンプルの第2電極6上に355nmのレーザを照射したときのレーザパワーと実質照射時間の関係を示した図である。図3では、プロットは、実際に効果があり、その効果が顕著であった場合の実データを示している。
【0042】
この図3においては、たとえば、80MHzで10psecのパルス幅持った1.8Wのレーザを0.7mmφの径で4秒照射した場合、横軸のパワーは、1.8W/{(0.035mm)2×3.14}=470W/cm2となり、縦軸の実質照射時間は、(80×106Hz)×(10×10-12sec)×(4sec×103)=3.2msecとなる。
【0043】
この図3に示されるように、EL素子100にレーザを照射した場合の効果について、A、B、Cの3領域に別れることがわかった。領域Aは、過剰なレーザを照射した場合で、アブレーションが生じ、たとえば第2絶縁膜5や第2電極6が加工されてしまう。領域Bは輝度向上が観察された領域で、領域Cはレーザ照射による輝度向上の効果が生じない領域である。
【0044】
なお、パワーや実質照射時間は、EL素子の構成つまり膜材料などに応じて異なるが、EL素子の構成が変わっても、同様に、このような領域A、B、Cを求めることができる。また、第2の方法に限らず第1の方法においても、上記同様に、領域A、B、Cを求めればよい。
【0045】
そして、本実施形態における第1または第2の方法によるレーザ照射は、対象となるEL素子について、上記図3に示されるような関係を求めておき、そこから得られた領域Bの条件のうち、EL素子100の第1電極2と第2電極6との間に第2電極6をプラスとして直流電圧を印加した場合と、第2電極6をマイナスとして直流電圧を印加した場合とで、1cd/m2の輝度に達する電圧差が10V未満となるような条件にて、発光層4にレーザを照射する。
【0046】
具体的には、求められた領域Bの条件の中から、レーザパワーと照射時間を調整することにより、上記電圧差が10V未満となるような条件を決めておき、その条件にてレーザ照射を行う。ここで、上記領域Bのうち比較的照射時間が長いものやレーザパワーの大きいものが、当該条件に相当する傾向にある。本例では、図3中のプロットB1、B2のものが、当該条件に相当する。
【0047】
通常、薄膜ELは、矩形波を印加して駆動するが、直流電圧を印加しても発光させることができる。このとき、発光層4を中心とした膜質の非対称性により、第1電極2に対して第2電極6の極性をプラスにした場合とマイナスにした場合とで、通常、輝度が1cd/m2に達する電圧に差が生じる。直流電圧をEL素子に印加したときに1cd/m2の輝度に達する電圧を、直流での発光開始電圧と定義する。
【0048】
そこで、上記領域Bにおいてレーザパワーや照射時間を変えたときに、EL素子100の第1電極2と第2電極6との間に第2電極6をプラスとして直流電圧を印加した場合の直流での発光開始電圧と、第2電極6をマイナスとして直流電圧を印加した場合の直流での発光開始電圧とを求める。
【0049】
そして、これら2つの電圧差を求める。ここで、この電圧差を、直流での発光開始電圧の極性差ということにする。そして、この直流での発光開始電圧の極性差が10V未満となるようなレーザ照射条件を、上記領域Bから求め、その条件にてレーザ照射を行う。これが、本実施形態の製造方法である。
【0050】
図4は、本実施形態の製造方法による効果を示す図である。図4の横軸は、直流での発光開始電圧の極性差を示す。また、縦軸は、480Hzのフレーム周波数で20μsecのパルス幅である矩形波で動かしたときの輝度L20である。この輝度L20は、この矩形波によって1cd/m2の輝度に達するときの矩形波の電圧すなわち、矩形波での発光開始電圧よりも20V高い電圧を加えたときの輝度である。
【0051】
上記図3の領域Bで示した条件にてレーザを照射した場合、直流電圧での発光開始電圧の極性差が10V以上の条件では350cd/m2以下の輝度にしか達しないが、10V未満の条件になると、当該極性差が小さくなるにしたがって、輝度が高くなる傾向がみられる。
【0052】
なお、EL素子100にレーザを照射しないときは、第2電極6にプラスの電圧を印加すると発光するが、マイナスの電圧を印加すると発光せず、直流電圧での発光開始電圧の極性差をとることができず、上述した矩形波で駆動した場合には、120cd/m2の輝度になる。つまり、領域Bの条件にてレーザ照射すれば輝度向上はなされるが、上記極性差が10V未満の条件とすれば、10V以上の場合よりも、さらなる輝度向上を図ることができる。
【0053】
本実施形態の場合、上記したようにレーザを照射することによって、矩形波で駆動する場合の発光効率が増加するだけでなく、発光の減衰が小さくなるので、輝度が向上したと考えられる。
【0054】
このことを確認するために、EL素子100に矩形波を印加したあとで、発光波形がどれほど減衰するかを確認した。図5は、EL素子100への電圧印加波形としての矩形波30とそのときの発光波形20を示している。
【0055】
図5において太線で示す発光波形20は、レーザを照射して輝度が向上し、直流電圧での発光開始電圧の極性差が0.8Vである場合の例を示している。この場合、矩形波30によるでの発光電圧31の印加後、極性が反転するまでの期間t(たとえば1.5msec)で、輝度は最高輝度の16%まで減った。
【0056】
しかし、当該極性差を10V以上としたEL素子について同様に調査したところ、さらに減衰度合は大きく、13.4%まで減少した。このように、本実施形態によれば、輝度の減衰が少なくなることで輝度向上が図られると考えられる。
【0057】
なお、発光層4としては、ZnSを母体材料とした場合以外にも、SrSやCaSを用いた場合でも同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係るEL素子の概略構成を示す図である。
【図2】EL素子を構成する膜の透過率の波長依存性を測定した図である。
【図3】レーザパワーと実質照射時間の関係を示した図である。
【図4】上記実施形態の製造方法による効果を示す図である。
【図5】EL素子への電圧印加波形とそのときの発光波形を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…絶縁性基板、2…第1電極、3…第1絶縁層、4…発光層、5…第2絶縁層、
6…第2電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な絶縁性基板(1)上に透明な第1電極(2)、第1絶縁層(3)、発光中心を含む発光層(4)、第2絶縁層(5)および透明な第2電極(6)を順次成膜するとともに、前記発光層(4)にレーザを照射することにより輝度を向上させるようにしたEL素子の製造方法において、
前記EL素子の前記第1電極(2)と前記第2電極(6)との間に前記第2電極(6)をプラスとして直流電圧を印加した場合と、前記第2電極(6)をマイナスとして直流電圧を印加した場合とで、1cd/m2の輝度に達する電圧差が10V未満となるように、前記発光層(4)にレーザを照射することを特徴とするEL素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2絶縁層(3、5)は、酸化チタン膜と前記酸化チタン膜以外の金属酸化膜を積層した膜からなるものであることを特徴とする請求項1に記載のEL素子の製造方法。
【請求項3】
前記発光層(4)は、少なくともZnS、SrS、CaSのうちのいずれか1つを母体材料として含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載のEL素子の製造方法。
【請求項4】
前記発光層(4)を成膜した後であって前記第2絶縁層(5)を成膜する前に前記発光層(4)側から、420nm以下の波長のレーザを前記発光層(4)に照射することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のEL素子の製造方法。
【請求項5】
前記第2絶縁層(5)を成膜した後に、320nm以上420nm以下の波長のレーザを前記発光層(4)に照射することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のEL素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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