説明

GERDの治療のためのMGLUR5アンタゴニストの使用

【課題】一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR:transient lower esophageal sphincter relaxation)の抑制方法の提供。
【解決手段】一過性下部食道括約筋弛緩の抑制のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用。胃食道逆流症(GERD:gastro-esophageal reflux disease)の治療のための、ならびに吐き戻しおよび喘息の治療のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR:transient lower esophageal sphincter relaxation)の抑制のための代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5) アンタゴニストの使用に関する。本発明のさらなる態様は、胃食道逆流症(GERD:gastro-esophageal reflux disease)の治療および吐き戻し(regurgitation)の治療のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)は、中枢神経系(CNS)における多数のシナプスの制御および活動に関わっているGタンパク質結合受容体である。8種類の代謝型グルタミン酸受容体サブタイプが同定されており、配列の相同性に基づいてさらに3つのグループに分けられている。グループIはmGluR1およびmGluR5からなる。これらの受容体は、ホスホリパーゼCを活性化し、ニューロン興奮性を上昇させる。グループII(mGluR2およびmGluR3からなる)ならびにグループIII(mGluR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8からなる)は、アデニリルシクラーゼの活性を阻害し、シナプス伝達を低下させることができる。また、これらの受容体のうちのいくつかは、選択的スプライシングにより生じる様々なアイソフォームを示す(Chen, C-Y et al., Journal of Physiology (2002), 538. 3, pp. 773-786; Pin, J-P et al, European Journal of Pharmacology (1999), 375, pp. 277-294; Brauner-Osborne, H et al. Journal of Medicinal Chemistry (2000), 43, pp. 2609-2645; Schoepp,D. D, Jane D. E. Monn J. A. Neuropharmacology(1999), 38, pp. 1431-1476)。
【0003】
下部食道括約筋(LES)は、断続的に弛緩するという傾向がある。結果として、機械的バリアがその時点で一時的に喪失することから、胃から食道へ液体が通過しうる。このような現象を本明細書中において以下「逆流症(reflux)」と称する。
【0004】
胃食道逆流症(GERD)は、最も蔓延している上部消化管疾患である。最近の薬物療法は、胃酸の分泌を低下させるか、または食道中の酸を中和することを目的としている。逆流症の背景にある主要なメカニズムは、下部食道括約筋弛緩症に依存するものであると考えられている。しかしながら、例えば、Holloway & Dent (1990) Gastroenterol. Clin. N. Amer.19, pp. 517-535には、多くの逆流症のエピソードは、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)、すなわち、嚥下により引き起こされるのではない括約筋の弛緩、の間に起こることが示されている。GERDを有する患者の胃酸分泌は通常、正常であることも示されている。
【0005】
2001年11月14日に米国ウィスコンシン州マジソンで開催された会議Neurogastroenterology & MotilityでのBlackshaw L.A.等の発表によれば、グループIIおよびグループIIIの代謝型グルタミン酸受容体、すなわち、mGluR2、mGluR3、mGluR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8は、末梢機械センサー末端の選択的阻害モジュレーションに関与しうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chen, C-Y et al., Journal of Physiology (2002), 538. 3, pp. 773-786
【非特許文献2】Pin, J-P et al, European Journal of Pharmacology (1999), 375, pp. 277-294
【非特許文献3】Brauner-Osborne, H et al. Journal of Medicinal Chemistry (2000), 43, pp. 2609-2645
【非特許文献4】Schoepp,D. D, Jane D. E. Monn J. A. Neuropharmacology(1999), 38, pp. 1431-1476
【非特許文献5】Holloway & Dent (1990) Gastroenterol. Clin. N. Amer.19, pp. 517-535
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)を抑制することによって逆流症を予防する新しい方法を見出すことである。より具体的には、本発明の目的は、胃食道逆流症(GERD)を治療する新規で改良された治療方法と吐き戻しを治療する新規で改良された治療方法を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、本発明者等は、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)アンタゴニストが、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制のために有用であり、そのため、胃食道逆流症(GERD)の治療のために有用であることを見出した。
【0009】
したがって、本発明は、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用に関する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、逆流症の予防のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0011】
さらに本発明のさらなる態様は、胃食道逆流症(GERD)の治療のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0012】
吐き戻しの有効な予防は、吐き戻した胃内容物を吸い込むことによる肺疾患の予防または治療のための重要な方法になり得て、また、成長障害(failure to thrive)の管理のための重要な方法となり得る。したがって、本発明のさらなる態様は、吐き戻し(regurgitation)の治療のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0013】
さらに本発明のさらなる態様は、肺疾患の治療または予防のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0014】
本発明の別の態様は、成長障害の管理のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0015】
さらに本発明のさらなる態様は、逆流症に関連する喘息などの喘息の治療または予防のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0016】
本発明の別の態様は、慢性咽頭炎の治療または予防のための医薬の製造のための代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの使用である。
【0017】
本発明のさらなる態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制を必要とする被験者に投与することによる、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制方法である。
【0018】
本発明の別の態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを逆流症の予防を必要とする被験者に投与することによる、逆流症の予防方法である。
【0019】
さらに本発明のさらなる態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを胃食道逆流症(GERD)の治療を必要とする被験者に投与することによる、胃食道逆流症(GERD)の治療方法である。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを吐き戻しの治療を必要とする被験者に投与することによる、吐き戻しの治療方法である。
【0021】
さらに本発明のさらなる態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを逆流症に関連する喘息などの喘息の治療または予防を必要とする被験者に投与することによる、喘息の治療または予防方法である。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを慢性咽頭炎の治療を必要とする被験者に投与することによる、慢性咽頭炎の治療方法である。
【0023】
さらに本発明のさらなる態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを肺疾患の治療または抑制を必要とする被験者に投与することによる、肺疾患の治療または抑制方法である。
【0024】
さらに本発明のさらなる態様は、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストを成長障害の管理を必要とする被験者に投与することによる、成長障害の管理方法である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明において、用語「アンタゴニスト」は、フルアンタゴニスト、インバースアゴニスト、非競合的アンタゴニストもしくは競合的アンタゴニスト、およびパーシャルアンタゴニストを含むものとして理解すべきであり、「パーシャルアンタゴニスト」とは、代謝型グルタミン酸受容体5を、部分的に、すなわち全部ではなく、不活性化し得る化合物として理解すべきである。
【0026】
用語「TLESR」(一過性下部食道括約筋弛緩)は、本明細書中においては、Mittal, R.K., Holloway, R.H., Penagini, R., Blackshaw, L.A., Dent, J., 1995 ; Transient lower esophageal sphincter relaxation. Gastroenterology 109, pp. 601-610に基づいて定義する。
【0027】
用語「逆流症」は、発症時に、食道と胃の間の機械的バリアが一時的に喪失することにより胃から液体物が食道へ通ってしまう症状と定義する。
【0028】
用語「GERD」(胃食道逆流症)は、van Heerwarden, M.A., Smout A.J.P.M., 2000; Diagnosis of reflux disease. Bailliere's Clin. Gastroenterol.14, pp. 759-774に基づいて定義する。
【0029】
代謝型グルタミン酸受容体5に対するアンタゴニスト的親和性を有し、本発明において有用である化合物の1例が、化合物2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジン(MPEPと省略されることが多い)である。MPEPは、例えば、Tocris社から、市販されてもおり、あるいは、例えば、Tetrahedron Lett. (1975), 50, 4467-4470中でK. Sonogashiraらによって開示されている周知の手法にしたがって合成することもできる。
【0030】
代謝型グルタミン酸受容体5に対してアンタゴニスト的親和性を有し、本発明に有用である化合物のさらなる例は、以下の式で表される化合物3-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-5-(メトキシメチル)ベンゾニトリルである:
【化1】

【0031】
代謝型グルタミン酸受容体5に対してアンタゴニスト的親和性を有し、それにより本発明に有用である化合物のさらに別の例は、以下の式で表される化合物 3-フルオロ-5-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ベンゾニトリルである:
【化2】

【0032】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの薬学上許容し得る塩の使用も本発明の範囲にある。かかる塩としては、例えば、塩酸などの無機酸と形成される塩、ナトリウム塩もしくはカリウム塩などのアルカリ金属塩、またはカルシウム塩もしくはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0033】
不斉炭素原子を有する代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストはキラル化合物であり、また、不斉原子の存在に応じて、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストは、異性体混合物の形態で、特にラセミ体形態として、または、特定の光学異性体などの純粋な異性体の形態で存在し得る。代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの光学異性体の使用も本発明の範囲にある。
【0034】
医薬製剤
臨床において使用するためには、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストは、本発明にしたがって経口投与用医薬製剤に製剤化するのが適切である。さらに、経直腸、非経口または任意の他の投与経路も製剤技術における当業者には考えられよう。したがって、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストは、少なくとも1種の薬学上および薬理学上許容し得る担体またはアジュバントと一緒に製剤化される。担体は、固体、半固体または液体希釈剤の形態であってよい。
【0035】
本発明にしたがって経口医薬製剤を調製する場合、製剤化する代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストは、固体粉末成分、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチン、または他の適切な成分と、ならびに、崩壊剤および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスと、混合する。次いで、この混合物を、顆粒に加工するか、または錠剤に圧縮する。
【0036】
軟質ゼラチンカプセルは、本発明の1もしくは複数の活性化合物、植物油、脂肪、または、軟質ゼラチンカプセルのための他の適当なビヒクルの混合物を含有するカプセルを用いて調製することができる。硬質ゼラチンカプセルは、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどの固体粉末成分と組み合わせて活性化合物を含有し得る。
【0037】
直腸投与のための投与単位は、(i) 中性脂肪基剤と混合させた活性物質を含有する坐剤の形態; (ii) 植物油、パラフィン油、もしくはゼラチン直腸カプセルのための他の適当なビヒクルと混合させた活性物質を含有するゼラチン直腸カプセルの形態; (iii) 既製の微小浣腸の形態; または (iv) 投与直前に適当な溶媒中で再構成させる乾燥微小浣腸製剤の形態;に調製することができる。
【0038】
経口投与用液体製剤は、活性化合物を含有するシロップまたは懸濁液の形態(例えば、液剤または懸濁液剤の形態)に調製することができる。該製剤の残りの成分は、糖または糖アルコールからなるか、エタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物からなる。所望であれば、該液体製剤は、着色剤、香料添加剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロース、または他の増粘剤を含んでいてもよい。また、経口投与用液体製剤は、使用前に適当な溶媒で再構成するドライパウダー製剤の形態に調製することもできる。
【0039】
非経口投与用液体製剤は、薬学上許容し得る溶媒中に含まれる本発明の化合物の溶液として調製することができる。また、該液体製剤は、安定化成分および/または緩衝化成分を含んでもよく、アンプルまたはバイアルの単位投与形態に分配される。また、非経口投与用液体製剤は、使用直前に適当な溶媒で再構成するドライパウダー製剤の形態に調製することもできる。
【0040】
本発明の1態様において、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストは、患者の症状の重篤度に応じて、1日に1回または2回投与することができる。
【0041】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの典型的な1日用量は、治療しようとする被験者の体重1Kgあたり0.1〜100 mgであるが、これは、投与経路、患者の年齢および体重、ならびに患者の症状の重篤度などの様々な因子に依存し得る。
【0042】
生物学的評価
TLESRに対して活性な化合物のスクリーニング
パブロフスリング(Pavlov sling)内にいるように訓練してある雄と雌の成犬のラブラドールレトリバーを使用する。粘膜−皮膚食道瘻の造設が施されており、いずれかの実験を行う前にこれらの犬は完全に回復した状態にある。
【0043】
運動性測定
簡潔に述べるならば、水だけは自由に摂取させながら約17時間絶食させた後、胃、下部食道括約筋(LES)および食道の圧力を測定するために食道瘻からマルチルーメン スリーブ/サイドホール アセンブリ (Dentsleeve, Adelaide, South Australia)を導入する。該アセンブリは、低伸展性(low-compliance)マノメーター潅流ポンプ(Dentsleeve, Adelaide, South Australia)を用いて水を潅流させる。空気を潅流させたチューブ(air-perfused tube)を、飲み込み状態を調べるために口から入れて、アンチモン電極でLESの3cm上部のpHをモニターする。全シグナルは増幅され、10 Hzのパーソナルコンピューター上で得られる。
【0044】
絶食時の胃/LES第III相運動活性を示さない基本測定値が得られてから、プラセボ(0.9% NaCl)または試験化合物を前足の静脈に静脈内投与する(i.v. 0.5 ml/kg)。静脈内投与10分後、栄養素食(10% ペプトン、5% D-グルコース、5% Intralipid、 pH 3.0)を上記アセンブリの中央のルーメンから胃へ100ml/分の速度で最終容量30ml/kgとなるように注入する。食事後すぐに、空気を40 ml/分の割合で注入する。もう1つのモデル(バロスタットモデル)では、栄養素食の注入に次いで、胃内の圧力が10±1 mmHgとなるまで500 ml/分の割合で空気の注入を行う。次に、この圧力は、実験を行っている間、空気をさらに注入するか、あるいは胃から空気を排出するように注入ポンプを用いてこのレベルに維持する。栄養素食の注入の開始から通気の終了までの実験時間は45分である。この手順は、TLESRを引き起こす信頼し得る手段として実証されている。
【0045】
TLESRは、下部食道括約筋圧力の1 mmHg/秒より大きい割合での低下(胃内圧と比較して)として定義される。この弛緩は、咽頭シグナルから弛緩開始まで2秒未満であることはなく、2秒未満である場合には、その弛緩は嚥下によって誘発された弛緩として分類される。LESと胃との圧力の相違は2 mmHg未満であって、完全に弛緩した状態が1秒より長く持続する。
【実施例】
【0046】
実施例1
2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジン(MPEP)は、Tetrahedron Lett. (1975), 50, 4467-4470 中でK. Sonogashiraらにより記載された手順にしたがって調製した。カラムクロマトグラフィー(SiO2)による精製後、生成物の氷冷Et2O溶液中にHCl(g)を導入することにより2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジンの塩酸塩を調製した(2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジンの塩酸塩は、Tocris社などから市販されてもいる)。
【0047】
MPEPの塩酸塩を、上記バロスタットモデルにしたがって、雄と雌の成犬のラブラドールレトリバーに対して試験した。
【0048】
TLESRの数の抑制は、それぞれの犬に対して前もって行った5回の対照実験と関連させて計算した。以下の表1.1および1.2中に示した結果が得られた。
【表1】

【0049】
実施例2
3-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-5-(メトキシメチル)ベンゾニトリルは、国際公開WO 02/068417中に記載された手順にしたがって調製した。3-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-5-(メトキシメチル)ベンゾニトリルを、上記バロスタットモデルにしたがって、雄と雌の成犬のラブラドールレトリバーに対して試験した。
【表2】

【0050】
実施例3
3-フルオロ-5-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ベンゾニトリルは、国際公開WO 01/12627中に記載された手順にしたがって調製した。3-フルオロ-5-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ベンゾニトリルを、上記バロスタットモデルにしたがって、雄と雌の成犬のラブラドールレトリバーに対して試験した。
【表3】

【0051】
上記実施例中に示された結果は、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストがTLESRの抑制に有用であって、したがって、GERDの治療に有用であることを支持するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項2】
胃食道逆流症(GERD)の治療のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項3】
逆流症(reflux)の予防のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項4】
吐き戻し(regurgitation)の治療または予防のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項5】
喘息の治療または予防のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項6】
喘息が逆流症に関連する喘息である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
慢性咽頭炎の治療または予防のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項8】
肺疾患の治療または予防のための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項9】
成長障害を管理するための医薬の製造のための、代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項10】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストが2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストが2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジンの塩酸塩である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
代謝型グルタミン酸受容体アンタゴニストが3-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-5-(メトキシメチル)ベンゾニトリルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
代謝型グルタミン酸受容体アンタゴニストが3-フルオロ-5-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ベンゾニトリルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの1日用量が、治療しようとする被験者の体重1kgあたり0.1〜100 mgである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる抑制を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項16】
胃食道逆流症(GERD)の治療方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる治療を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項17】
逆流症の予防方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる予防を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項18】
吐き戻し(regurgitation)の治療または予防方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる治療または予防を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項19】
肺疾患の治療または予防方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる治療または予防を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項20】
成長障害の管理方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる管理を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項21】
喘息の治療または予防方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる治療または予防を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項22】
喘息が逆流症に関連する喘息である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
慢性咽頭炎の治療または予防方法であって、薬学上および薬理学上有効量の代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストまたはその薬学上許容し得る塩もしくは光学異性体を、かかる治療または予防を必要とする被験者に投与することによる、前記方法。
【請求項24】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストが2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジンである、請求項15〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストが2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジンの塩酸塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストが3-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-5-(メトキシメチル)ベンゾニトリルである、請求項15〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストが3-フルオロ-5-[3-(5-フルオロピリジン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ベンゾニトリルである、請求項15〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
代謝型グルタミン酸受容体5アンタゴニストの1日用量が、治療しようとする被験者の体重1kgあたり0.1〜100 mgである、請求項15〜27のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2011−68669(P2011−68669A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268162(P2010−268162)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【分割の表示】特願2004−515703(P2004−515703)の分割
【原出願日】平成15年6月19日(2003.6.19)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】