説明

H形鋼の曲がり矯正装置

【課題】内圧延ロール、外圧延ロール及びそれらを回転自在に支持する支持装置の組み換え作業を容易に行なうことができるH形鋼の曲がり矯正装置を提供する。
【解決手段】H形鋼の左フランジの内面を圧下する内圧延ロール14,15と、左フランジの外面を圧下する外圧延ロール23と、回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して内圧延ロールを支持する内圧延ロールハウジング12と、回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して外圧延ロールを支持する外圧延ロールハウジング13と、内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングを分離可能に結合するハウジング着脱部26と、ハウジング着脱部による結合を解除した内圧延ロールハウジングを装置外部まで移動可能とするハウジング移動手段30,31とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形鋼工場精製ラインにおいて圧延工程で発生したH形鋼の長手方向曲がりを圧延ロールによる冷間圧延で矯正するH形鋼の曲がり矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延工程で発生したH形鋼の曲がりは、オフラインに配置した曲がり矯正装置において圧延ロールによる冷間圧延で矯正されている。
曲がり矯正装置に搬送されてくるH形鋼の姿勢は、搬送状態が安定するH姿勢である(図7に示すように、ウェブ1aが水平に延在し、ウェブ1aの左右に一対のフランジ1b1,1b2が位置したH形鋼1の姿勢である)。このH姿勢で圧延工程から搬送されてきたH形鋼1は、図8に示すように、長手方向曲がり(図8は右フランジ1b2を内側として湾曲する右曲がりであるが、左フランジ1b1を内側として湾曲する左曲がりも含む)が発生しやすい。
【0003】
このH姿勢のH形鋼1の長手方向曲がりを矯正する曲がり矯正装置として、例えば特許文献1の装置が知られている。
この特許文献1の曲がり矯正装置は、図9に示すように、H形鋼1の左フランジ1b1の内面を圧下する内圧延ロール3と、左フランジ1b1の外面を圧下する外圧延ロール4と、内圧延ロール3及び外圧延ロール4を支持する中フレーム5と、中フレーム5の右フレーム部と装置本体6との間に配置されて中フレーム5を支持する油圧シリンダ7、とを備えている。内圧延ロール3は、H形鋼1のウェブ1aを挟んで上下に一対配置されているとともに、中フレーム5の右フレーム部に回転自在に固定されている。外圧延ロール4は、中フレーム5の左フレーム部に油圧シリンダ8を介して回転自在に、且つ左右方向に移動可能に支持されている。また、油圧シリンダ7,8は油圧配管9を介して連通している。
【0004】
そして、左フランジ1b1を内側として湾曲したH形鋼1の左曲がりを矯正する場合には、油圧シリンダ7内の油を所定の高圧に圧縮すると同時に、油圧シリンダ7と油圧シリンダ8とが油圧配管9により連絡してあるので、内圧延ロール3及び外圧延ロール4間で左フランジ1b1を冷間圧延して左曲がりを矯正する。
また、右フランジ1b2を内側として湾曲したH形鋼1の右曲がりを矯正する場合には、H形鋼1の搬送方向に図9の装置に連続して配置され、図9の装置とは構成部材を左右逆にした右曲がり用の矯正装置(不図示)により、内圧延ロール3及び外圧延ロール4間で右フランジ1b2を冷間圧延することで、H形鋼1の右曲がりが矯正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2002−282943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9の曲がり矯正装置の内圧延ロール3及び外圧延ロール4は、矯正作業の経過とともに摩耗していくので、所定の交換周期でロール組み換え作業が行なわれる。
図9の曲がり矯正装置はH姿勢のH形鋼1を矯正するので、内圧延ロール3及び外圧延ロール4は軸が上下方向に延在して配置されている。
これらのロール組み換えは、内圧延ロール3及び外圧延ロール4を支持する中フレーム5を装置本体6内部の定位置に固定した状態で、中フレーム5の上下に設けた開口部から、内圧延ロール3を支持する軸受を内蔵した支持装置と、外圧延ロール4を支持する軸受を内蔵した支持装置とを出し入れする作業を行なわなければならず、ロール組み換えに、多くの手間を要しているのが現状である。
【0007】
また、装置本体6内部の中フレーム5上部には、ロール組み換えが可能な作業スペースを確保する必要があり、作業スペースも設けた装置本体6は大型になってしまうので、装置のコンパクト化の面で問題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、コンパクトな装置構成としながら、内圧延ロール、外圧延ロール及びそれらを回転自在に支持する支持装置の組み換え作業を容易に行なうことができるH形鋼の曲がり矯正装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載のH形鋼の曲がり矯正装置は、搬送方向に対して直交する左右方向にウェブが延在し、このウェブの左右端から上下方向に左右フランジが延在するH形鋼の長手方向曲がりを矯正する装置であって、前記左右フランジの一方の内面を圧下する内圧延ロールと、前記左右フランジの一方の外面を圧下する外圧延ロールと、回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して前記内圧延ロールを支持する内圧延ロールハウジングと、回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して前記外圧延ロールを支持する外圧延ロールハウジングと、前記内圧延ロールハウジング及び前記外圧延ロールハウジングを分離可能に結合するハウジング着脱部と、前記ハウジング着脱部による結合を解除した前記内圧延ロールハウジング及び前記外圧延ロールハウジングの少なくとも一方を、他方から離間した前記左右方向の装置外部まで移動可能とするハウジング移動手段とを備えた装置である。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のH形鋼の曲がり矯正装置において、前記ハウジング着脱部は、前記内圧延ロールハウジングの側部に設けた第1結合凸部と、前記外圧延ロールハウジングの側部に設けられ、前記第1結合凸部に上下方向から重合する第2結合凸部と、これら第1及び第2結合凸部に上下方向に連通して設けた貫通穴と、これら貫通穴に挿入することで前記第1及び第2結合凸部を結合するコッターと、このコッターを昇降させて前記貫通穴への出し入れを行なうコッター昇降機構とを備えている。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載のH形鋼の曲がり矯正装置において、前記内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングの一方に、他方が前記一方に対して左右方向に離間するように押圧力を付与して前記貫通穴に挿入した前記コッターの抜けを防止するコッター抜け止め手段を設けた。
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載のH形鋼の曲がり矯正装置において、前記ハウジング移動手段は、前記内圧延ロールハウジング及び前記外圧延ロールハウジングの少なくとも一方の下部に設けた車輪と、前記装置外部まで敷設されて前記車輪が転動する軌道とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るH形鋼の曲がり矯正装置によれば、内圧延ロール及び外圧延ロールを交換する際には、内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングの結合をハウジング着脱部により解除し、内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングの少なくとも一方を、ハウジング移動手段により装置外部まで移動することができるので、広い作業スペースを確保しながら、ロール組み換え作業を容易に行なうことができる。
また、装置外部でロール組み換えを行なうことができるので、ロール組み換え作業スペースを装置内の上部に設ける必要がなく、コンパクトなH形鋼の曲がり矯正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るH形鋼の曲がり矯正装置を平面視で示した図である。
【図2】本発明に係るH形鋼の曲がり矯正装置の内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングの結合構造を示す図である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】本発明に係るH形鋼の曲がり矯正装置の上部内圧延ロール圧下機構、下部内圧延ロール圧下機構及び左圧延ロールの構造を示す図である。
【図5】本発明に係る内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングの結合構造の詳細を示す図である。
【図6】本発明に係る内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングを左右方向に分離した状態を示す図である。
【図7】H形鋼の形状を示す図である。
【図8】H形鋼の長手方向の曲がりを示す図である。
【図9】従来のH形鋼の曲がり矯正装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、オフラインに配置したH形鋼1の長手方向の左曲がりを矯正する矯正装置10を示すものである。この矯正装置10に、H姿勢で搬送されてきたH形鋼1が通過することで、左曲がりが矯正される。なお、H形鋼1のH姿勢とは、図7で示したように、ウェブ1aが水平に延在し、ウェブ1aの左右に一対のフランジ1b1,1b2が位置した姿勢である。
【0014】
本実施形態の曲がり矯正装置10は、図2及び図3に示すように、装置架台11の内部に、内圧延ロールハウジング12と外圧延ロールハウジング13とが配置されており、これら内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13は、ハウジング着脱部26により結合されている。また、装置架台11の床部には、内圧延ロールハウジング12が分離する左右方向(H形鋼1の搬送方向に対して直交する方向)に沿って軌道30が敷設されており、この軌道30は、装置架台11の外部まで延設されている。
【0015】
内圧延ロールハウジング12には、図4に示すように、上部内圧延ロール14、上部ロール支持部19、下部内圧延ロール15、下部ロール支持部20、上部内圧延ロール圧下機構16及び下部内圧延ロール圧下機構17が配置されている。
内圧延ロールハウジング12には、H姿勢のH形鋼1が通過する窓18が形成されている。
図4に示すように、上部ロール支持部19は、内圧延ロールハウジング12に配置され、回転軸が上下方向に延在するように軸受(不図示)を介して上部内圧延ロール14を支持しており、上部内圧延ロール14は、窓18を通過するH形鋼1のウェブ1aより上部の左フランジ1b1の内面に当接している。
【0016】
また、下部ロール支持部20は内圧延ロールハウジング12に配置され、回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して下部内圧延ロール15を支持しており、下部内圧延ロール15は、窓18を通過するH形鋼1のウェブ1aより下部の左フランジ1b1の内面に当接している。
上部内圧延ロール圧下機構16は、内圧延ロールハウジング12に配置した圧下シリンダ21のピストンロッドが上部ロール支持部19に向けて伸長することで、上部ロール支持部19に支持された上部内圧延ロール14をH形鋼1のウェブ1aより上部の左フランジ1b1の内面から外面に向けて圧下するようになっている。
【0017】
下部内圧延ロール圧下機構17は、内圧延ロールハウジング12に配置した圧下シリンダ22のピストンロッドが下部ロール支持部20に向けて伸長することで、下部ロール支持部20に支持された下部内圧延ロール15をH形鋼1のウェブ1aより下部の左フランジ1b1の内面から外面に向けて圧下するようになっている。
【0018】
そして、図2に示すように、内圧延ロールハウジング12は、ハウジング昇降機構32の動作により上下方向位置が調整可能とされているとともに、内圧延ロールハウジング12の下端部には、軌道30上を転動する車輪31が設けられている。
また、外圧延ロールハウジング13は、図4に示すように、回転軸が上下方向に延在するように軸受(不図示)を介して左外圧延ロール23を支持しており、左外圧延ロール23は、窓18を通過するH形鋼1の左フランジ1b1の外面に当接する。
そして、図2に示すように、左外圧延ロール23には、装置架台11の上部に配置した回転動力源24から動力伝達軸25を介して回転駆動力が伝達される。
【0019】
一方、内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13を結合しているハウジング着脱部26は、図2及び図5に示すように、外圧延ロールハウジング13の側部に設けた結合凸部13aと、この結合凸部13aの上下方向に貫通して形成した貫通穴13a1と、結合凸部13aに上下から重合する内圧延ロールハウジング12の側部に設けた一対の結合凸部12a,12bと、結合凸部13aの貫通穴13a1に連通するように一対の結合凸部12a,12bに上下方向に貫通して形成した貫通穴12a1,12b1と、結合凸部13aの貫通穴13a1及び一対の結合凸部12a,12bの貫通穴12a1,12b1に挿入したコッター27とを備えている。
【0020】
コッター27の下端は、内圧延ロールハウジング12に配置したコッター昇降機構28に連結している。コッター昇降機構28は、図2に示すように、回転力が伝達されることで直動する直動機構28aと、直動機構28aに回転力を伝達するサーボモータ28bとで構成されている。そして、サーボモータ28bの正回転により直動機構28aが上方移動すると、コッター27が上方に移動して内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13が結合する。また、サーボモータ28bの逆回転により直動機構28aが下方移動すると、コッター27が下方に移動し、少なくとも、結合凸部13aの貫通穴13a1及び結合凸部12aの貫通穴12a1から抜け、内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13は左右方向(H形鋼1の搬送方向に対して直交する方向)に分離可能とされる。
【0021】
また、外圧延ロールハウジング13には、一対のコッター抜け止め用シリンダ29が設けられている。一対のコッター抜け止め用シリンダ29は、外圧延ロールハウジング13の結合凸部13aを間に挟んだ位置に設けられ、内圧延ロールハウジング12の一対の結合凸部12a,12bの先端に向けてピストンロッド29aが伸長するように設けられている。この一対のコッター抜け止め用シリンダ29のピストンロッド29aが伸長して一対の結合凸部12a,12bに当接すると、内圧延ロールハウジング12が外圧延ロールハウジング13に対して左右方向に離間する方向に押圧されるので、結合凸部13a及び一対の結合凸部12a,12bに挿入されているコッター27の抜けが防止される。
【0022】
なお、H形鋼1の搬送方向には矯正装置10に連続してH形鋼1の長手方向の右曲がりを矯正する矯正装置が配置されており、この装置は、矯正装置10とは構成部材を左右逆にした装置である。
なお、本発明に係る内圧延ロールが上部内圧延ロール14,下部内圧延ロール15に対応し、本発明に係る第1結合凸部が結合凸部12a,12bに対応し、本発明に係る第2結合凸部が結合凸部13aに対応し、本発明に係るコッター抜け止め手段がコッター抜け止めシリンダに対応する。
【0023】
図2から図5で示した本実施形態の曲がり矯正装置10は、ハウジング昇降機構32の動作により上部内圧延ロール14及び下部内圧延ロール15の上下位置を調整し、上部内圧延ロール圧下機構16及び下部内圧延ロール圧下機構17の動作により上部内圧延ロール14及び下部内圧延ロール15を、H形鋼1の左フランジ1b1の内面から外面に向かう方向に押し付け、回転動力源24から動力伝達軸25介して回転力が伝達される左外圧延ロール23がH形鋼1を搬送することで(図1のH形鋼1の矢印方向)、上部内圧延ロール14及び下部内圧延ロール15が左フランジ1b1の内面に対して圧下を行い、左外圧延ロール23が左フランジ1b1の外面に対して圧下を行うことにより、H形鋼1の長手方向の左曲がりを矯正する。
【0024】
また、H形鋼1の搬送方向に矯正装置10に連続して配置され、H形鋼1の長手方向の右曲がりを矯正する装置(不図示)は、上部内圧延ロール及び下部内圧延ロールが右フランジ1b2の内面に対して圧下を行い、右外圧延ロールが右フランジ1b2の外面に対して圧下を行うことにより、H形鋼1の長手方向の右曲がりが矯正する。
ここで、本実施形態の曲がり矯正装置10がH形鋼1の曲がりを矯正する際には、上部内圧延ロール14及び下部内圧延ロール15を支持している内圧延ロールハウジング12と、左外圧延ロール23を支持している外圧延ロールハウジング13とに、H形鋼1を圧下する方向に対して逆側の左右方向に矯正反力が作用する。互いに逆方向(左右方向)の矯正反力が作用する内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13は、コッター27を使用したハウジング着脱部26により左右方向のガタつきを発生せずに一体に結合されているので、H形鋼1の曲がりを矯正する際の矯正反力を確実に受けることができる。
【0025】
また、外圧延ロールハウジング13には、内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13を結合したコッター27の抜けを防止するコッター抜け止め用シリンダ29が設けられているので、H形鋼1の曲がり矯正作業時における内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13の結合状態を確実に保持することができる。
【0026】
次に、本実施形態の曲がり矯正装置10において、矯正作業の経過により摩耗した上部内圧延ロール14,下部内圧延ロール15及び左外圧延ロール23を、新たなロールに組み換える手順について、図6を参照して説明する。
先ず、コッター昇降機構28のサーボモータ28bを逆回転させることで直動機構28aを下方に移動し、この直動機構28aに連結したコッター27を、外圧延ロールハウジング13の結合凸部13aの貫通穴13a1と、内圧延ロールハウジング12の一方の結合凸部12aの貫通穴12a1から抜けた状態とする。これにより、内圧延ロールハウジング12及び外圧延ロールハウジング13は左右方向に分離可能となる。
【0027】
次いで、内圧延ロールハウジング12の下端部に設けた車輪31を軌道30上で転動させ、内圧延ロールハウジング12を装置架台11の外部まで移動する。
そして、装置架台11の外部に移動した内圧延ロールハウジング12に装着されている上部内圧延ロール14,下部内圧延ロール15、上部ロール支持部19及び下部ロール支持部20の組み換え作業を行なう。
【0028】
また、外圧延ロールハウジング13は、クレーン(不図示)で吊り下げ保持した状態で、動力伝達軸25との連結を取り外し、内圧延ロールハウジング12が移動方向と逆方向の装置架台11の外部にクレーンにより吊り上げ移動し、組み換え作業を行なう。
したがって、本実施形態の曲がり矯正装置10は、ロール径が小さい上部内圧延ロール14,下部内圧延ロール15は、矯正作業による摩耗が早くロール交換周期が短いが、内圧延ロールハウジング12の車輪31を軌道30上に転動することで、内圧延ロールハウジング12を装置架台11の外部まで容易に移動することができるとともに、装置架台11の外部で広い作業スペースを確保しながら、ロール組み換え作業を容易に行なうことができる。
【0029】
また、外圧延ロールハウジング13も、内圧延ロールハウジング12の移動方向と逆方向の装置架台11の外部にクレーンにより吊り上げ移動することで、広い作業スペースを確保しながらロール組み換え作業を容易に行なうことができる。
さらに、本実施形態は、装置架台11の外部でロール組み換えを行なうので、ロール組み換え作業スペースを装置架台11内の上部に設ける必要がなく、小型の装置架台11となるので、コンパクトな装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…H形鋼、1a…ウェブ、1b1…左フランジ、1b2…右フランジ、10…曲がり矯正装置、11…装置架台、12…内圧延ロールハウジング、12a,12b…結合凸部、12a1,12b1… 貫通穴、13…外圧延ロールハウジング、13a…結合凸部、13a1…貫通穴、14… 上部内圧延ロール、15…下部内圧延ロール、16…上部内圧延ロール圧下機構、17…下部内圧延ロール圧下機構、18…窓、19…上部ロール支持部、20…下部ロール支持部、21…圧下シリンダ、22…圧下シリンダ、23…左外圧延ロール、24…回転動力源、25…動力伝達軸、26…ハウジング着脱部、27…コッター、28…コッター昇降機構、28a…直動機構、28b…サーボモータ、29…コッター抜け止め用シリンダ、29a…ピストンロッド、30…軌道、31…車輪、32…ハウジング昇降機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に対して直交する左右方向にウェブが延在し、このウェブの左右端から上下方向に左右フランジが延在するH形鋼の長手方向曲がりを矯正する装置であって、
前記左右フランジの一方の内面を圧下する内圧延ロールと、
前記左右フランジの一方の外面を圧下する外圧延ロールと、
回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して前記内圧延ロールを支持する内圧延ロールハウジングと、
回転軸が上下方向に延在するように軸受を介して前記外圧延ロールを支持する外圧延ロールハウジングと、
前記内圧延ロールハウジング及び前記外圧延ロールハウジングを分離可能に結合するハウジング着脱部と、
前記ハウジング着脱部による結合を解除した前記内圧延ロールハウジング及び前記外圧延ロールハウジングの少なくとも一方を、他方から離間した前記左右方向の装置外部まで移動可能とするハウジング移動手段と、を備えたことを特徴とするH形鋼の曲がり矯正装置。
【請求項2】
前記ハウジング着脱部は、
前記内圧延ロールハウジングの側部に設けた第1結合凸部と、
前記外圧延ロールハウジングの側部に設けられ、前記第1結合凸部に上下方向から重合する第2結合凸部と、
これら第1及び第2結合凸部に上下方向に連通して設けた貫通穴と、
これら貫通穴に挿入することで前記第1及び第2結合凸部を結合するコッターと、
このコッターを昇降させて前記貫通穴への出し入れを行なうコッター昇降機構と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のH形鋼の曲がり矯正装置。
【請求項3】
前記内圧延ロールハウジング及び外圧延ロールハウジングの一方に、他方が前記一方に対して左右方向に離間するように押圧力を付与して前記貫通穴に挿入した前記コッターの抜けを防止するコッター抜け止め手段を設けたことを特徴とする請求項2記載のH形鋼の曲がり矯正装置。
【請求項4】
前記ハウジング移動手段は、
前記内圧延ロールハウジング及び前記外圧延ロールハウジングの少なくとも一方の下部に設けた車輪と、
前記装置外部まで敷設されて前記車輪が転動する軌道と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のH形鋼の曲がり矯正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71166(P2013−71166A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213145(P2011−213145)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(000200334)JFEメカニカル株式会社 (48)