説明

HAPs不含コーティング組成物及びそのフィルム

コーティング組成物は基材上のフィルムを形成するために使用される。コーティング組成物は、ポリエステル、前記ポリエステルと反応性の架橋剤、及び、有害大気汚染物質を実質的に含まない溶媒パッケージを含有する。溶媒パッケージは、第1の溶媒、第2の溶媒及び第3の溶媒を含む。溶媒パッケージ中の第1、第2及び第3の溶媒は、300゜F未満、300゜F〜340゜F、そして、340゜Fより高い沸点をそれぞれ有する。第1、第2、そして第3の溶媒はまた、溶媒パッケージ100質量部につきそれぞれ10〜25質量部、少なくとも50質量部、5〜20質量部の量でも存在する。第1、第2及び第3の溶媒は、コーティング組成物の特性及びこのコーティング組成物から形成されるフィルムの特性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の主題は、有害大気汚染物質を実質的に含まないコーティング組成物に一般的に関する。より特異的には、本発明の主題は、有害大気汚染物質を実質的に含まない溶媒パッケージを含有するコーティング組成物に関する。
【0002】
関連する技術の説明
金属及び非金属基材の両方に適用される様々なコーティング組成物がこの分野では知られている。典型的には、これらのコーティング組成物は、基材の腐食及び分解を最小限にするフィルムを形成するために硬化される。多くのこれらのコーティング組成物は、溶媒、例えばキシレン及びメチルエチルケトンを含有し、これらは、the Environmental Protection Agencyにより、有害大気汚染物質(HAPs)として分類される。汚染物質ではあるものの、これらの溶媒は利用され、というのはこれらは、基材に対してコーティング組成物を平滑かつ均一に適用することに寄与し、かつ、十分なまわりこみ性(wrap-around)に寄与し、これは当分野で知られているとおりである。コーティング組成物の硬化のプロセスにおいて、HAPsはまた、この生じるフィルムのブリスター形成、垂れ形成、まだら形成、ワキ形成、ユズ肌を減少し、これにより、コーティング組成物及び被覆される基材の両者の市場性を増加させる。
【0003】
過去には、コーティング組成物中のHAPsを減少させる努力が為されている。しかしながら、これらの努力は最小限にのみ有効であった。特異的には、非HAPs溶媒のコーティング組成物中での置換は、市場で許容されないブリスター形成、タレ形成、まだら形成、ワキ形成及びユズ肌を有するフィルムを生じた。更には、様々な基材上でのコーティング組成物のまきこみ性は減少され、この結果フィルムが、腐食及び分解に対して非効率的に基材を保護する。市場で許容されないブリスター形成、タレ形成、まだら形成、ワキ形成及びユズ肌、及び減少されるまきこみ性の組み合わせは、減少したHAPsを有するコーティング組成物の市場性を減少させ、かつ、製造コストを上昇させ、というのは、この基材は、所望の特性及び保護のレベルを達成するためには、複数回被覆されなくてはならないからである。
【0004】
従って、有害大気汚染物質を実質的に含まないコーティング組成物を形成するための機会が未だ残っており、これは、HAPsを実質的に含まない溶媒パッケージも含有し、かつ、コーティング組成物の流動特性を改善する特定の溶媒を含有し、これにより、コーティング組成物は様々な基材に対して有効に設けられることができ、かつ、腐食及び分解からの基材の保護を増加するために、まきこみ性を増加させる。また、硬化すると、減少したブリスター形成、タレ形成、まだら形成、ワキ形成及びユズ肌を有する、コーティング組成物から形成されるフィルムを形成する機会が残存している。
【0005】
本発明の要約及び利点
本発明は、ポリエステル、前記ポリエステルと反応性の架橋剤、及び、溶媒パッケージを含有する、有害大気汚染物質(HAPs)を実質的に含まないコーティング組成物を提供する。 やはりHAPsを実質的に含まない溶媒パッケージは、第1の溶媒、第2の溶媒、及び第3の溶媒を含有する。第1の溶媒は、300゜F未満の沸点を有し、かつ、溶媒パッケージ100質量部につき10〜25質量部の量で存在する。第2の溶媒は、300゜F〜340゜Fの沸点を有し、かつ、溶媒パッケージ100質量部につき少なくとも50質量部の量で存在する。第3の溶媒は、340゜Fを上回る沸点を有し、かつ、溶媒パッケージ100質量部につき5〜20質量部の量で存在する。
【0006】
溶媒パッケージ中の第1、第2、及び第3の溶媒の均衡化及び最適化は、コーティング組成物の増加したまきこみ性に、そして、硬化した場合の、コーティング組成物の減少したブリスター形成、タレ形成、まだら形成、ワキ形成(poping)及びユズ肌に寄与する。特異的には、第1の溶媒は、300゜F未満の沸点を有するが、様々な温度での制御されたフラッシングにより、ブリスター形成、タレ形成、まだら形成、ワキ形成の減少に寄与する。第2の溶媒は、300゜F〜340゜Fの沸点を有し、やはり様々な温度での制御されたフラッシングによって、このコーティング組成物の流動特性に寄与し、このコーティング組成物が様々な基材に有効に適用されることを可能にし、基材の、腐食及び分解からの、増加したまきこみ性を介した保護を増加させる。第3の溶媒は、340゜Fより高い沸点を有し、やはり様々な温度での制御されたフラッシングを通じて、コーティング組成物を十分に硬化させる。 制御されたフラッシングは、第3の溶媒を揮発させ、かつ、コーティング組成物の湿潤性を減少させ、これにより、硬化を改善する。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、有害大気汚染物質(HAPs)を実質的に含まないコーティング組成物(組成物)を提供する。 前記組成物は、広い種類の適用において使用されることができ、これは、押出コーティング、自動車適用、及び、家庭用製品の適用において、窓及びドアのために使用されることを含むが、これらに限定されず、詳細には以下において説明される。コーティング組成物は、ポリエステル、前記ポリエステルと反応性の架橋剤、及び、HAPsを実質的に含まない溶媒パッケージを含有する。架橋剤及び溶媒パッケージは、それぞれ以下において詳細に説明される。本発明はまた、硬化すると、組成物から形成されるフィルムも有利には提供する。このフィルムもまた、以下においてより詳細に説明される。
【0008】
ポリエステルについて言及すると、ポリエステルは、この分野で知られている任意のポリエステルであってよく、かつ、当業者により、所望される適用に依存して選択される。有利には、ポリエステルはヒドロキシ官能性であり、しかしながら、選択される架橋剤と架橋するために適する任意の架橋基を含んでよい。ポリエステルは少なくとも1つのエステル基を含む。説明する目的のためだけに、エステル基の化学構造が以下に示される。
【化1】

【0009】
一実施態様において、ポリエステルは、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソフタル酸、及びアジピン酸を、触媒の存在下で反応させた反応生成物を含む。説明する目的のためだけに、このポリエステルの部分的な化学構造が以下に示され、これは、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソフタル酸、及び、アジピン酸の反応生成物を含む。
【化2】

【0010】
再度説明する目的のためだけに、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソフタル酸、及びアジピン酸の化学構造が以下に示される。
【化3】

【0011】
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールは有利には、ポリエステル100質量部につき50〜70質量部、有利には55〜65質量部、最も有利には60〜65質量部の量で反応される。イソフタル酸は有利には、ポリエステルの100質量部につき15〜35質量部、有利には20〜30質量部、最も有利には20〜25質量部の量で反応される。アジピン酸は有利には、ポリエステルの100質量部につき5〜25質量部、有利には10〜20質量部、最も有利には10〜15質量部の量で反応される。
【0012】
一実施態様において、約61.8質量%の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが、約24.1質量%のイソフタル酸及び約14.1質量%のアジピン酸と触媒の存在下で反応される。しかしながら、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソフタル酸及びアジピン酸が、ポリエステルを形成するために任意の量で反応されてよいことが理解されるべきである。特定の適した一ポリエステルは、Cook Composites and Polymers Company ,Kansas City, MOから、商品名Chempolで市販されている。本発明において有利に使用されるポリエステルは、更に以下に説明されるとおり、実質的にHAPs不含である。
【0013】
ポリエステルを形成するために使用されかつ最初に上記で導入される触媒について言及すると、触媒は有利には金属触媒である。最も有利には、触媒はスズベース触媒であり、かつ、ジブチルスズ酸化物を含む。前記触媒は有利には、ポリエステル100質量部につき0.05〜5質量部、有利には0.1〜5質量部、最も有利には0.1〜3質量部の量で反応される。一実施態様において、触媒は、ポリエステル100質量部につき0.2質量部の量で存在する。金属触媒が有利であるものの、触媒は、当分野で知られている、ポリエステルを形成するための使用に適している任意の触媒であってよく、かつ、ポリエステルを形成する際に任意の量で存在してよいことが理解されるべきである。
【0014】
ポリエステルは有利には、組成物100質量部につき15〜35質量部、有利には20〜30質量部、最も有利には20〜25質量部の量で前記組成物中に存在する。しかしながら、ポリエステルの量は、適用及び所望される結果に依存して、当業者が決定するとおり、変動してよく、かつ、任意の量であってよいことが理解されるべきである。
組成物の架橋剤について言及すると、架橋剤は、ポリエステルと反応性であり、かつ、この分野で知られている任意のものであってよい。一実施態様において、架橋剤は、メラミンホルムアルデヒド樹脂を含む。より特異的には、架橋剤は、モノマー状の及びポリマー状のメラミンホルムアルデヒド樹脂を含み、これは、部分的に及び完全にアルキル化されたメラミン、例えばメチル化されたメラミン、ブチル化されたメラミン及びメチル化/ブチル化されたメラミンを含む。
【0015】
この組成物が1種より多い架橋剤、第2の架橋剤を含んでよいことが理解される。一実施態様において、架橋剤は、第1のメラミンホルムアルデヒド樹脂を含み、そして第2の架橋剤は、第2のメラミンホルムアルデヒド樹脂を含む。この実施態様において、第1のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、組成物100質量部につき、2.5〜4.5質量部の量で存在し、かつ完全にメチル化されたメラミンである。従って、第1のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、一般式−CH2OR1のアルコキシメチル基[式中、R1は1〜20個の炭素原子を有するアルキル鎖である]を含む。最も有利な第1のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、この実施態様において、ヘキサメトキシメチルメラミンであり、かつ、Cytec Industries, Wallingford, CTから市販されている。また、この実施態様において、第2のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、2.5〜20質量部の量で存在し、かつ、部分的にメチル化されたメラミンであり、また、Cytec Industries of Wallingford, CTから市販されている。従って、第2のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、メチルオール基、CH2OH、及び、アルコキシメチル基、−CH2OR1を両方含んでよく、これは上で定義されたとおりである。この実施態様において、第1のメラミンホルムアルデヒド樹脂対第2のメラミンホルムアルデヒド樹脂の質量比は、1.5〜5:1、そしてより有利には1.2〜2:1である。
【0016】
別の実施態様において、架橋剤は、アミノプラスト、フェノール性付加物、シロキサン、シラン、アルキルオール、イソシアナート、アクリル、無水物、及びこれらの組み合わせの群から選択されている。適したアミノプラストの限定しない例は、上述したメラミンホルムアルデヒド樹脂に加えて、ウレアホルムアルデヒド樹脂を含む。シロキサンの限定しない例は、トリメトキシシロキサンを含む。アルキルオールの限定しない例は、メチルオールウレアを含む。イソシアナートの限定しない例は、脂肪族及び芳香族イソシアナート、及び変性されたポリイソシアナート、例えばウレア、ビウレット、アロファナート、カルボジイミド、ウレトンイミン、及びイソシアヌラート及び/又はウレタン基、例えばジイソシアナート及び/又はポリイソシアナート、例えば変性されたジフェニルメタンジイソシアナートを含む。このイソシアナートは、ブロック化されているか又はブロック化されていないポリイソシアナートであってよい。適したブロック化剤の限定しない例は、高められた温度でブロック解除する材料を含み、例えばカプロラクタムである。他の適したブロック化剤は、フェノール、クレゾール、イソノニルフェノール、オキシム、例えばメチル−エチルケトキシム、及びブタノンオキシム、活性のあるメチレン基含有化合物、例えばジエチルマロナート及びイソプロピリデンマロナート、アセトアセタート、及びナトリウム二硫化物を含むが、これらに限定されない。無水物の限定しない例は、ポリコハク酸無水物を含む。
【0017】
有利には、架橋剤は、組成物100質量部につき、0.5〜15質量部、より有利には8〜12質量部の量で含有されている。しかしながら、架橋剤は、この出願に基づいて当業者により決定されるとおりに、任意の量で組成物中に存在してよいことが理解されるべきである。
【0018】
上で最初に導入される溶媒パッケージについて次に言及すると、溶媒パッケージは300゜F未満の沸点を有する第1の溶媒を含む。一実施態様において、第1の溶媒は有利には100゜F〜300゜F、より有利には150゜F〜300゜F、最も有利には170゜F〜300゜Fの沸点を有する。第1の溶媒は有利には、アセタート、アルコール及びこの組み合わせの群から選択され、しかしながら、300゜F未満の沸点を有するこの分野で公知の任意の溶媒を含んでよい。第1の溶媒として特に適したアセタートは、エチルアセタート(沸点171゜F)、ブチルアセタート(沸点255゜F)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(沸点295゜F)及びこの組み合わせを含むがこれらに限定されない。第1の溶媒のための特定の適したアルコールの例は、ブチルアルコール(沸点244゜F)を含む。説明する目的のためだけに、エチルアセタート、ブチルアセタート、ブチルアルコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートの化学構造が下に示される。
【化4】

【0019】
第1の溶媒は、溶媒パッケージ中で、溶媒パッケージ100質量部につき10〜25質量部の量で含有される。有利には、第1の溶媒は、溶媒パッケージ100質量部につき12〜22質量部、より有利には15〜20質量部の量で含有される。いかなる特定の理論により制限される意図無しに、第1の溶媒の量は、フィルムの減少されたタレ形成及びブリスター形成に寄与し、従って、第1の溶媒の不十分な量は、増加したタレ形成に寄与し、その一方で第1の溶媒の過剰な量は、フィルムのブリスター形成に寄与することが信じられている。第1の溶媒の様々な温度での制御されたフラッシングが、硬化の間に又は硬化を通じて、フィルムの減少したブリスター形成、タレ形成、まだら形成及びワキ形成に寄与することも信じられている。
【0020】
溶媒パッケージはまた、沸点300゜F〜340゜Fを有する第2の溶媒をも含む。一実施態様において、第2の溶媒は有利には310゜F〜340゜F、より有利には320゜F〜340゜F、最も有利には327゜F〜340゜Fの沸点を有する。第2の溶媒は有利には、芳香族化合物、エーテル及びこれらの組み合わせの群から選択され、しかしながら、300゜F〜340゜Fの沸点を有するこの分野で公知の任意の溶媒を含んでよい。特定の適した芳香族化合物は、ExxonMobil , Irving, TXから市販されているAromatic 100(沸点327゜F)を含むがこれに限定されない。また、特に適したエーテルは、ブチルセロソルブ(2−ブトキシエタノール)(沸点340゜F)を含むが、これに限定されない。説明する目的のためだけに、2−ブトキシエタノールの化学構造が以下に示される。
【化5】

【0021】
第2の溶媒は、溶媒パッケージ中で、溶媒パッケージ100質量部につき少なくとも50質量部の量で存在する。有利には、第2の溶媒は、溶媒パッケージ100質量部につき50〜75質量部、より有利には60〜70質量部の量で存在される。特定の理論により制限される意図無しに、第2の溶媒の量は、この組成物の流れ及びレベリングに寄与し、このため不十分な量の第2の溶媒は、ユズ肌に寄与し、その一方で、第2の溶媒の過剰量はタレ形成に寄与すると信じられている。第2の溶媒の様々な温度での制御されたフラッシングは、ブリスター形成抵抗性(即ち、減少したブリスター形成)に寄与するとも信じられている。
【0022】
溶媒パッケージはまた、340゜Fを上回る沸点を有する第3の溶媒をも含む。有利には、第3の溶媒は、345゜F〜415゜F、最も有利には365゜F〜415゜Fの沸点を有する。第3の溶媒は有利には、芳香族化合物、エーテル、エステル、アルコール及びこれらの組み合わせの群から選択され、しかしながら、340゜Fより高い沸点を有するこの分野で公知の任意の溶媒を含んでよい。第3の溶媒として特に適した芳香族は、ExxonMobil 、Irving, TXから市販されているAromatic 150(沸点383゜F)を含むがこれに限定されない。第3の溶媒として特に適したエーテルは、ジプロプレングリコールモノメチルエーテル(沸点370゜F)を含むが、これに限定されない。第3の溶媒として特に適したアルコールは、2−エチルヘキサノール(沸点365゜F)を含むが、これに限定されない。第3の溶媒として特に適したエステルは、沸点約411゜Fを有する二塩基性エステルを含む。説明の目的のためだけに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及び2−エチルヘキサノールの化学構造を以下に示す。
【化6】

【0023】
第3の溶媒は、溶媒パッケージ100質量部につき5〜20質量部の量で存在する。有利には、第3の溶媒は、溶媒パッケージ100質量部につき10〜20質量部、より有利には10〜15質量部の量で存在する。特定の理論により限定される意図なしに、第3の溶媒の量は、この組成物の流れ及び硬化に寄与し、このため不十分な量の第3の溶媒は、減少した流れ及び不所望な市販の使用に寄与し、その一方で第3の溶媒の過剰量は、この組成物の不完全な硬化に寄与し、この結果フィルムの湿潤した表面を生じ、というのは、熱硬化は、第3の溶媒が十分に蒸発されることを引き起こさない可能性がある、と信じられている。様々な温度での第3の溶媒の制御されたフラッシングは、この組成物の流れ及び硬化に寄与するとも信じられている。
【0024】
溶媒パッケージは、実質的にHAPs不含であり、また同様に、有利なポリエステル及びこの全体の組成物もそうである。この分野で知られているとおり、HAPsは州及び連邦の規制(regulation)の両者により制御され、これは、同じであるか又は異なっていて良い。本発明の目的のためには、「実質的に含まない」との用語は、それぞれ、溶媒パッケージのそれぞれ別個の化学化合物を指し、例えば第1、第2及び第3の溶媒である。第1、第2及び/又は第3の溶媒が、1より多い別個の化学化合物を含む場合には、それぞれの別個の化学化合物は、HAPs含有量について、個々であって累積的にでなく評価されるべきであり、これは、この分野で知られているとおりである。従って、HAPsが実質的に不含になるためには、第1、第2及び/又は第3の溶媒を構成するそれぞれの別個の化学化合物は、この全体の組成物の全質量の1質量%未満のHAPs含有量に貢献しなくてはならず(この組成物1ガロンにつき約0.1ポンド)、ここでHAPsとはEnvironmental Protection Agencyによりthe Clean Air Act Section 112(b)(l)に応じて発癌性と分類されていないものである。例えば、この組成物は有利には、発癌性と分類されていないHAPsについて組成物の1質量%未満のHAPs含有量を有する。
【0025】
Environmental Protection AgencyによりClean Air Act Section 112(b)(l)に応じて発癌性と分類されないHAPsについては、「実質的に含まない」との用語は、第1、第2及び/又は第3の溶媒を構成するそれぞれの個々の化学化合物が、この組成物の全質量の0.1%未満のHAPs含有量に寄与することを指す(この組成物1ガロンにつき約0.01ポンド)。例えば、この組成物は有利には、発癌性と分類されているHAPsのための組成物の質量の0.1質量%未満のHAPs含有量を有する。一実施態様において、この溶媒パッケージ及び第1、第2及び第3の溶媒のそれぞれは、ポリエステル及び全体の組成物に加えて、それぞれがHAPsの全ての種類を完全に含まない。
【0026】
溶媒パッケージが、第1、第2及び第3の溶媒の他の付加的な溶媒を含有してよいことが考慮されるべきである。この付加的な溶媒は、明示的に添加されてよく又は溶媒パッケージ中に、そして組成物中に、ポリエステル、架橋剤、及び任意の添加剤、例えば顔料及びレオロジー制御剤を含むがこれに限定されない他の成分から導入されてよく、これは以下詳細に説明される。溶媒パッケージが任意のこれらの付加的な溶媒を含む場合には、このそれぞれの付加的な溶媒もまた、この溶媒がHAPs(発癌性であると分類されるもの、及び分類されないものの両者)を実質的に含まないかどうかを決定する際に個々に(累積的にでなく)評価されるべきであることが理解されるべきであり、これは上に説明されかつこの分野において十分に公知である。例えば、多くの芳香族及び非芳香族化合物、例えばナフタレン、エチルベンゼン、及びホルムアルデヒドは、HAPsでありかつ発癌性であるとthe Environmental Protection Agency により分類されるものの、芳香族化合物及び非芳香族化合物は、それぞれのこの個々の芳香族化合物及び非芳香族化合物の量が個々にであって累積的にでなく考慮した場合にこの組成物の全質量の0.1質量%未満である限りは、溶媒パッケージ中に含有されてよい。
【0027】
第1、第2及び第3の溶媒、及び任意の付加的な溶媒を含む溶媒パッケージは、この組成物の粘度に作用する。有利には、この組成物は、25℃で2−ザーンカップを用いて測定する場合に25〜30秒間の粘度を有する。より有利には、この組成物は、25℃で2−ザーンカップを用いて測定する場合に27秒間の粘度を有する。この組成物が、当業者により決定される場合に、所望される適用に依存して任意の粘度を有してよいことが考慮される。
【0028】
この組成物は有利には、硬化、即ち、ポリエステルと架橋剤との間での架橋を促進するために少なくとも1種の触媒を含む。この触媒は、ポリエステルを形成するために使用される触媒とは同じでない。有利には、架橋剤が、アミノプラスト、有利にはメラミンを含む場合には、酸触媒が硬化を促進するために使用されてよい。このような触媒は、この分野でよく知られており、制限なしに、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェート及びヒドロキシホスフェートエステル及びこれらの組み合わせを含む。本発明の組成物中で使用されてよい他の触媒は、ルイス酸、遷移金属塩、例えば亜鉛塩及びスズ塩及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。典型的には、触媒は、(1)ポリエステルと架橋剤との間での反応のために必要とされる温度を低めるか又は(2)ポリエステルと架橋剤との反応の反応速度を上昇させるか又はこの両者である。いくつかの場合において、周囲雰囲気での反応の速度を低めることが有利であってよい。この触媒はブロック化されているか、ブロック化されていないか、又は部分的にブロック化されていてよい。この触媒は、アミン又は他の適したブロック化剤、例えばオキシラン変性材料でブロック化されているか又は部分的にブロック化されていてよい。揮発性であるアミンは、適したブロック化剤であり、というのは、このアミンは、この組成物が硬化するにつれ組成物から蒸発し、これにより、この触媒を、任意の手法、例えば炉により硬化の間に導入される熱のためにブロック解除する。この組成物中で使用される適したブロック化されていない酸触媒は、King Industries , Norwalk, Connecticutにより商品名Nacure(R) 1051のもとで市販されている。含有される場合には、この触媒は有利には、この組成物100質量部につき0.1〜1.2質量部、より有利には0.1〜0.9質量部、最も有利には0.2〜0.7質量部の量で含有されている。
【0029】
この組成物はまた、少なくとも1種の添加剤を含有してよい。このような添加剤は、レベリング剤、界面活性剤、充填剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、顔料、艶消剤、沈降防止剤、ワキ防止剤、UV吸収剤及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。これらの少なくとも1種の添加剤は有利には、組成物の質量に対して1〜40質量部、より有利には5〜35質量部、最も有利には7〜35質量部の量で存在する。しかしながら、少なくとも1種の添加剤は、適用に依存して当業者により決定されるとおりの任意の量で含有されていてよい。
【0030】
この組成物は添加剤として顔料を含有してよい。この場合には、顔料が、有機及び/又は無機化合物、着色鉱物、充填剤、金属及び/又は無機フレーク材料、例えば雲母又はアルミニウムフレーク及びこの組み合わせを含んでよい。適した顔料の限定しない例は、カーボンブラック顔料、二酸化チタン及び他の無機の着色顔料、例えば酸化鉄、クロムイエロー、モリーオレンジ(moly orange)、チタンイエロー、チタン酸ニッケルイエロー、クロムグリーン及び類似物を含む。
【0031】
この組成物は添加剤としてレベリング剤を含有してよい。この場合には、レベリング剤は、ビニルアクリルコポリマー、ヒドロキシ官能性ポリエーテルポリシロキサン、ハロゲン化ポリシロキサン及びこの組み合わせを含んでよいが、これらに限定されない。この種のレベリング剤の説明的な市販されている例は、Byk Chemie, Wesel, Germanyから市販されているByk 373(ヒドロキシポリエーテルポリジメチルポリシロキサン)、Kyoeisha Chemical, Tokyo, Japanから市販されているDisparlon(R) LC955(ビニルアクリラートコポリマー)、Chemtura Corporation, Middlebury, CTから市販されているSilwet(R) L-7614(ヒドロキシ官能性ポリエーテル変性ポリシロキサン)、Wacker Chemie AG, Muenchen, Germanyから市販されているAddid(R) 761(官能化したポリシロキサン)を含むが、これらに限定されない。
【0032】
この組成物は添加剤として安定剤を含有してもよい。この場合には、安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を含んでよい。含有される場合には、このHALSは、この分野で公知の任意のものを含んでよい。有利には、含まれる場合には、HALsは、300未満の、より有利には260未満の分子量を有する。本発明における使用に適した市販されているHALsの説明的な例は、Sandoz LTD. Corporation , Basel, Switzerlandから市販されているSanduvor(R) 3058及びCiba-Geigy Corporation, Ardsley, NYから市販されているTinuvin(R) 292を含むが、これらに限定されない。
【0033】
有利には、この添加剤は、レオロジー制御剤としてのチキソトロープな粘土ベース及び煙霧シリカ、レベリング剤としての第1のアクリル樹脂、シリコーン界面活性剤、ワキ防止剤としての第2のアクリル樹脂、艶消剤としてのシリカゲル、黒色顔料、2つの黄色顔料及び白色顔料を含む4種の顔料を含む。この実施態様において、チキソトロープな粘土ベースは、Elementis Specialties, Inc.,Hightstown, NJから商品名Bentone(R)で市販されていて、煙霧シリカは、Cabot Corporation ,Boston, MAから商品名Cab-o-sil(R)で市販されていて、第1のアクリル樹脂は、Peninsula Polymers , North Kansas City, MOから商品名Coroc(R) A-620-A2で市販されている。更に、この実施態様において、シリコーン界面活性剤は、Dow Corning , Midland, MIから商品名DC-200で市販されていて、第2のアクリル樹脂は、UCB Surface Specialtiesから商品名Modaflow(R)で市販されていて、そして、シリカゲルは、W.R. Grace & Co. of New York, NY,から商品名Syloid(R)で市販されている。更に、黒色顔料は、Bayerから商品名J1088で市販されていて、2つの黄色顔料はIshihara Sangyo Kaisha Ltd. Osaka, Japanから、そしてThe Shepherd Color Company, Cincinnati, OHからそれぞれ商品名Tipaque(R) TY-70、Golden Brown 19で市販されていて、白色顔料は、Ishihara Sangyo Kaisha Ltd.から商品名Tipaque(R) CR-90-2で市販されている。
【0034】
本発明は、また、有利には、前記組成物を利用する基材を被覆するための方法も含む。この組成物は有利には基材に設けられ、そして、フィルムを形成するために硬化され、これは以下において詳細に説明されるとおりである。この基材は、この分野で知られている任意の基材であってよく、かつ、被覆されているか又は被覆されていないか、処理されているか又は処理されてないか、そしてこれらの組み合わせを含んでよい。有利な一実施態様において、基材は、プラスチック、金属、例えば鋼、鉄及びアルミニウム、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される。最も有利には、基材は鋼及び/又はアルミニウムコイル及び/又は押出された部分を含む。この基材は、窓枠において、建造製品として、ファサード外装材又は屋根材として、そして、家電製品、例えば冷蔵庫及び洗浄機のハウジングにおいて使用されてよい。
【0035】
別の実施態様において、基材は、自動車車体パネルを含み、かつ、有利にはプライマー処理されているか又は電着被覆されている。この組成物が自動車の車体パネルを被覆するために使用される場合には、このフィルムは、プライマー層、ベースコート層、及び/又はクリアーコート層として使用されてよく、この組成物は、任意のフィルム塗り厚さで適用されてよい。
【0036】
この組成物は、基材に、この分野の任意の公知の方法により設けられて良い。適した方法は、噴霧コーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、静電噴霧、及びこの組み合わせを含むが、これらに限定されない。最も有利には、この組成物は、基材に対して静電噴霧を介して押出コーティングのために設けられる。この組成物が基材に設けられた後に、この基材は有利には、この組成物を硬化させ、そしてフィルムを形成させるべく、最初に上で導入したとおりの条件にかける。種々の硬化方法が使用されてよいけれども、熱硬化が好ましい。一般に、熱硬化は、基材を、主に対流加熱源によって提供される高められた温度に晒すことによって行なわれる。しかしながら、任意の種類の硬化が、この本発明では利用されてよい。この組成物が、ブロック化された酸触媒を含有する場合には、この組成物は、より有利には、フィルムを形成すべく、300゜F〜400゜Fの温度で硬化され、最も有利には320゜F〜380゜Fの温度で硬化される。この組成物が、ブロック化されていない酸触媒を含む場合には、この組成物はより有利には、フィルムを形成するために280゜F〜420゜Fの温度で硬化される。最も有利には、この組成物は、フィルムを形成するために約350゜Fの温度で硬化される。
【0037】
この組成物が、ブロック化された酸触媒を含有する場合には、この組成物は、有利には5〜15分間硬化される。この組成物が、ブロック化されていない酸触媒を含有する場合には、この組成物は、有利には5〜10分間硬化される。最も有利には、この組成物は7分間硬化される。しかしながら、この組成物が、当業者により決定されるとおり、任意の量の時間の間硬化されてよいことが考慮される。
【0038】
硬化すると、この組成物は、フィルムを形成するものであり、このフィルムは有利には単一層を有する。しかしながら、このフィルムは、相互に堆積された複数の層を含んでよい。このフィルムはまた、有利には、最小限の、そして最も有利にはゼロのユズ肌を、1.1ミルより多い、より有利には1,0ミルより多い、そして最も有利には0.9ミルより多いフィルム層で有し、その際、ユズ肌は視覚的に決定され、かつ、フィルム厚は、ASTM D1400により決定される。このフィルムは更に有利には、最小限の、最も有利にはゼロのタレ形成を、1.2ミルより多い、より有利には1.6ミルより多い、最も有利には2.0ミルより多いフィルム厚さで有し、その際、タレ形成は、視覚的に決定され、かつ、フィルム厚さは、ASTM D 1400により決定される。更に、フィルムは、有利には1,2ミルより多い、より有利には1.6ミルより多い、そして最も有利には2.0ミルより多いブリスター形成抵抗性を有し、その際ブリスター形成は、視覚的に決定され、かつ、フィルム厚さは、ASTM D 1400により決定される。更に、フィルムは有利には、最小限の、最も有利にはゼロのまだらを、1,0ミルより多い、より有利には0.9ミルより多い、そして最も有利には0.8ミルより多いフィルム厚さで有し、その際まだら形成は、視覚的に決定され、かつ、フィルム厚さは、ASTM D 1400により決定される。また更に、フィルムは有利には最小限の、そして最も有利にはゼロのワキ形成を、1.2ミルより多い、より有利には1.6ミルより多い、そして最も有利には2.0ミルより多いフィルム厚で有し、その際、このワキ形成は視覚的に決定され、かつ、このフィルム厚さは、ASTM D 1400により決定される。
【0039】
以下の実施例は本発明の組成物の形成及びポリエステル、架橋剤、溶媒パッケージの使用を、この出願において示したとおりに説明し、これは本発明を説明するものであり、限定する意図はない。
【0040】
実施例
コーティング組成物、コーティング組成物1は、本発明により処方される。比較コーティング組成物、比較コーティング組成物1もまた処方されるが、本発明の溶媒パッケージ、即ち、第1、第2及び第3の溶媒を含まない。コーティング組成物1及び比較コーティング組成物1は、処方後に、フィルム1及び比較フィルム1の形成においてそれぞれ利用される。フィルム1及び比較フィルム1は、ユズ肌に関して評価され、これは、視覚的検査により決定され、その一方でフィルム1及び比較フィルム1の厚さは、ASTM D 1400により決定される。
【0041】
実施例1
コーティング組成物1を処方するために、以下の部を、異なる量で撹拌を備えた適した容器に添加し、これは以下の表1に示されるとおりである。
ポリエステルとして、Chempol 711-8495-062、Cook Composites and Polymers Company ,Kansas City, MOから市販されていて、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソフタル酸及びアジピン酸の反応生成物である;
第1の架橋剤として、メラミンホルムアルデヒド樹脂、これはBASF Corporationから商品名Luwipal(R) 066LFで市販されている;
第2の架橋剤として、メラミンホルムアルデヒド樹脂、これは、Cytec Industries, Inc., West Paterson, NJから商品名Cymel(R) 1156で市販されている;
第1の顔料分散液は、Ishihara Sangyo Kaisha Ltd., Osaka, Japan,から商品名CR-90-2で市販されている顔料をこの添加剤の一成分として含有する;
第2の顔料分散液は、Bayerから商品名J1088で市販されている顔料を添加剤の一成分として含有する;
第3の顔料分散液は、Ishihara Sangyo Kaisha Ltd., Osaka, Japan,から商品名Tipaque(R) TY-70で市販されている顔料をこの添加剤の一成分として含有する;
第4の顔料分散液は、The Shepherd Color Company , Cincinnati, OHから商品名Golden Brown 19で市販されている顔料をこの添加剤の一成分として含有する;
W.R. Grace & Co.,New Yorkから商品名Syloid(R)で市販されている艶消剤、添加剤の一成分として;
King Industries , Norwalk, Connecticutから商品名LAP10で市販されているワキ防止剤、添加剤の一成分として;
Dow Corning, Midland, MIから商品名DC-200で市販されている界面活性剤、添加剤の一成分として;
Peninsula Polymers, North Kansas City, MOから商品名Coroc(R) A-620-A2で市販されているレベリング剤、添加剤の一成分として;
Elementis Specialties Inc., Hightstown, NJから商品名Bentone(R)で市販されている第1のレオロジー制御剤、添加剤の一成分として;
Cabot Corporation, Boston, MAから商品名Cab-o-sil(R)で市販されている第2のレオロジー制御剤、添加剤の一成分として;
King Industries ,Norwalk, Connecticutから商品名Nacure(R)で市販されている触媒;
第1の溶媒の一成分としてのN−ブタノール;
第1の溶媒の一成分としてのN−ブチルアセタート;
第2の溶媒としてのExxonMobil , Irving, TXから市販されているAromatic 100;
第3の成分の一成分としてのエチレングリコールモノブチルエーテル;
第3の成分の一成分としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテル;及び
第3の溶媒の一成分としての2−エチルヘキサノール;
前述の部の量は、以下の第1表中に示され、その際全ての部はポンドで示される。
【0042】
コーティング組成物1の溶媒パッケージが、更なる溶媒、例えば痕跡量のナフタレン及びエチルベンゼンを含有することが理解されるべきであり、これらは、成分、例えばポリエステルから導入される。更なる溶媒の量及び第1、第2及び第3の溶媒の量は、コーティング組成物1の質量部で、以下第2表中に示される。
【0043】
比較例1:
比較コーティング組成物1を処方するために、コーティング組成物1を形成されるために使用されるものとは異なる溶媒パッケージを使用する。また、変化する量の、第1の架橋剤、第2の架橋剤、第1の顔料、第2の顔料、第3の顔料、艶消剤、ワキ防止剤、界面活性剤、レベリング剤、第1のレオロジー制御剤、第2のレオロジー制御剤、触媒、N−ブタノール及びAromatic 100が、コーティング組成物1を形成するために使用され、これは、以下の第1表中に示されるとおりである。また、12.909ポンドのHSアルキド樹脂(Peninsula Polymersから商品名R-1175で市販されている)が、比較ポリエステルとして、コーティング組成物1を処方されるために使用されるポリエステルのために置き換えられる。更に、0.080ポンドの第5の顔料分散液が、これは、Bayerから商品名Colortherm 3950で入手可能な顔料を添加剤の一成分として含有するが、コーティング組成物1を処方するために使用される第4の顔料分散液の代わりに使用される。更に、1.050ポンドのメチルエチルケトンが第4の溶媒として、比較コーティング組成物1を処方するために、本発明の第3の溶媒の代わりに利用され、更には以下第1表中に示されるとおりであり、ここで全ての部はポンドで示されている。
【0044】
比較コーティング組成物1の溶媒パッケージが、更なる溶媒、例えば痕跡量のナフタレン及びエチルベンゼンを含有することが理解されるべきであり、これらは、成分、例えば比較ポリエステルから導入される。更なる溶媒の量及び第1、第2、第3及び第4の溶媒の量は、比較コーティング組成物1の質量部で、以下第2表中に示される。
【0045】
第1表
【表1】

【0046】
第2表においては、全ての部が、それぞれのコーティング組成物1及び比較コーティング組成物それぞれの質量部で、最初に上に説明したとおりに示される。コーティング組成物の全溶媒含有量が、第1、第2及び第3の溶媒以上のものから生じることは、明白であることが理解されるべきである。更なる溶媒は、ポリエステル、第1及び第2の架橋剤及び添加剤から導入される。同様に、比較コーティング組成物1の全溶媒含有量が、第1、第2及び第4の溶媒以上のものから生じることは、明白であることが理解されるべきである。更なる溶媒は、比較ポリエステル、第1及び第2の架橋剤及び添加剤から導入される。
【0047】
第2表
【表2】

*は、実質的にHAPs不含であると考慮される溶媒を示し、これは本発明において定義されるとおりである。
**は、Environmental Protection AgencyによりClean Air Act Section 112(b)(l)に応じて発癌性であると分類されないHAPs溶媒を示す。
***は、Environmental Protection AgencyによりClean Air Act Section 112(b)(l)に応じて発癌性であると分類されるHAPs溶媒を示す。
【0048】
第2表の樹脂成分が、それぞれのコーティング組成物1及び比較コーティング組成物1において使用されるポリエステル及び架橋剤、そして、第2のアクリル樹脂を含むことが理解されるべきであり、これは最初に導入したとおりである。第2表の顔料成分は、顔料を、コーティング組成物1及び比較コーティング組成物1のそれぞれにおいて使用されるレオロジー制御剤及び艶消剤(シリカを含む)に加えて含有する。第2表の添加剤成分は、コーティング組成物1及び比較コーティング組成物1のそれぞれにおいて使用される添加剤を、レオロジー制御剤及び艶消剤(シリカを含む)を除いて含み、かつ、前述の顔料成分中に含有され、かつ前述の樹脂成分中に含有される第2のアクリル樹脂を含む。
【0049】
第1、第2及び第3の溶媒及び更なる溶媒を含むコーティング組成物1の分析は、このコーティング組成物1が、本発明において前で定義されているとおり、実質的にHAPs不含であることを示す。特異的には、ホルムアルデヒド、ナフタレン及びエチルベンゼン(これらは、それぞれEnvironmental Protection AgencyによりClean Air Act Section 112(b)(l)に応じてHAPsでありかつ発癌性であると分類される)の量は、個々にであって累積的にでなく分析される場合には、それぞれこのコーティング組成物1の質量の0.1%未満であり、これにより、このコーティング組成物1を、実質的にHAPs不含にしている。
【0050】
第1、第2及び第4の溶媒及び更なる溶媒を含む比較コーティング組成物1の分析は、この比較コーティング組成物1が、本発明において前で定義されているとおり、実質的にHAPs不含でないことを示す。特異的には、ナフタレン及びエチルベンゼンの量が個々にであって累積的に出なく分析される場合には、この比較コーティング組成物1の0.1質量%よりも多い。更に、キシレン及びジエチレングリコールモノブチルエーテルの量は、これはそれぞれthe Environmental Protection Agencyによりthe Clean Air Act Section 112(b)(l)に応じてHAPsであると分類され発癌性であるとは分類されないが、個々にであって累積的にでなく分類される場合には、それぞれこの比較コーティング組成物1の質量の1パーセントよりも多い。従って、この比較コーティング組成物1は、実質的にHAPs不含であるとは考慮されず、これは本発明において定義したとおりである。
【0051】
コーティング組成物1及び比較コーティング組成物1の形成後に、それぞれを個々に押出コーティングを介して、4×12インチのアルミニウム基材の試料に、1ミルの厚さで設け、これはASTM D1400により決定されるとおりである。引き続き、この試料を慣用の炉中で350゜Fの温度で7分間の間硬化させ、これによりフィルム1及び比較フィルム1を形成する。フィルムの形成後には、それぞれのフィルムを、ユズ肌について評価し、これは視覚的検査により決定され、その一方で、フィルム1及び比較フィルム1の厚さをASTM D 1400により決定し、これは最初に紹介したとおりである。ユズ肌を以下の第3表中に示す。
【0052】
第3表
【表3】

【0053】
第3表に示すとおり、フィルム1のユズ肌は、比較例1のユズ肌よりも少ない。これは、コーティング組成物1及びフィルム1が、市販の使用のために適しかつ所望され、その一方で比較コーティング組成物1及び比較フィルム1は、使用にあまり適さず、これは、ほとんど所望されない外観を生じるユズ肌のためであり、これは批判的な市場においてあるまじきものである可能性がある。
【0054】
本発明を詳解するように記載したが、使用された用語は本発明を限定するのではなく、本質的には、説明のための言葉であることを理解すべきである。明らかに、前記の教示を踏まえて、本発明の多くの改変又は変更をすることができ、そして本発明は特に明示的に示されたもの以外も行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害大気汚染物質を実質的に含まず、かつ、次のもの:
A.ポリエステル、
B.前記ポリエステルと反応性である架橋剤、及び
C.有害大気汚染物質を実質的に含まず、かつ、次のもの
(i)沸点300゜F未満を有し、かつ、溶媒パッケージ100質量部につき10〜25質量部の量で存在する第1の溶媒、
(ii)沸点300゜F〜340゜Fを有し、かつ、溶媒パッケージ100質量部につき少なくとも50質量部の量で存在する第2の溶媒、及び
(iii)340゜Fを上回る沸点を有し、かつ、溶媒パッケージ100質量部につき5〜20質量部の量で存在する第3の溶媒
を含有する溶媒パッケージ
を含有するコーティング組成物。
【請求項2】
第1の溶媒が、溶媒パッケージ100質量部につき12〜22質量部の量で存在する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
第2の溶媒が、溶媒パッケージ100質量部につき50〜75質量部の量で存在する、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項4】
第3の溶媒が、溶媒パッケージ100質量部につき10〜20質量部の量で存在する、請求項3記載のコーティング組成物。
【請求項5】
第1の溶媒は、沸点150゜F〜300゜Fを有し、かつ、前記の第3の溶媒は、沸点345゜F〜415゜Fを有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項6】
第1の溶媒が、アセタート、アルコール及びこの組み合わせの群から選択されている、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項7】
第2の溶媒が、芳香族、エーテル及びこの組み合わせの群から選択されている、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項8】
第3の溶媒が、芳香族、エーテル、エステル、アルコール、及びこの組み合わせの群から選択されている、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記ポリエステルが、
A.2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、
B.イソフタル酸、及び
C.アジピン酸
を、触媒の存在下で反応させた反応生成物を含有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記ポリエステルが、コーティング組成物100質量部につき20〜30質量部の量で存在する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記架橋剤が、メラミンホルムアルデヒド樹脂を含有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記架橋剤が、アミノプラスト、フェノール性付加物、シロキサン、シラン、アルキルオール、イソシアナート、アクリル、無水物、及びこれらの組み合わせの群から選択されている、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記架橋剤が、コーティング組成物100質量部につき8〜12質量部の量で存在する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項14】
更に少なくとも1種の触媒をコーティング組成物100質量部につき0.1〜0.9質量部の量で含有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項15】
更にレベリング剤、界面活性剤、充填剤、安定剤、可塑剤、消泡剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、顔料、艶消剤、沈降防止剤、ワキ防止剤、UV吸収剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1種の添加剤を含有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項16】
Environmental Protection AgencyによってClean Air Act Section 112(b)(l)に応じて発癌性と分類される有害大気汚染物質について、前記組成物の0.1質量%未満の、有害大気汚染物質の含有量を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項17】
Environmental Protection AgencyによってClean Air Act Section 112(b)(l)に応じて発癌性と分類されない有害大気汚染物質について、前記組成物の1質量%未満の、有害大気汚染物質の含有量を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項18】
25℃で2−ザーンカップを用いて決定して25〜30秒間の粘度を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項19】
請求項1記載のコーティング組成物を利用する基材の被覆方法。
【請求項20】
第1の溶媒が溶媒パッケージ100質量部につき12〜22質量部の量で存在し、第2の溶媒が溶媒パッケージ100質量部につき50〜75質量部の量で存在し、第3の溶媒が溶媒パッケージ100質量部につき10〜20質量部の量で存在し、ポリエステルが、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソフタル酸及びアジピン酸を、触媒の存在下で反応させた反応生成物を含有し、架橋剤がメラミンホルムアルデヒド樹脂を含有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項21】
請求項1記載のコーティング組成物から形成される単一層を含有するフィルム。

【公表番号】特表2009−536253(P2009−536253A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509940(P2009−509940)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/067167
【国際公開番号】WO2007/130810
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】