説明

HCVNS3プロテアーゼ阻害剤

本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼの阻害剤として有用な式(I)の大環状化合物、これらの合成およびHCV感染を治療または予防するためのこれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼの阻害剤として有用な大環状化合物、これらの合成およびHCV感染を治療または予防するためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、慢性肝疾患、例えば肝硬変および肝細胞癌をもたらす重要な健康上の問題であり、感染者は相当数に及び、世界人口の2−15%と推定される。米国疾病予防管理センターによれば、米国だけで390万人が感染していると推定され、これはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数のほぼ5倍である。世界保健機構によれば、全世界の感染者数は1億7000万人を上回り、毎年少なくとも300万人から400万人が感染している。感染すると、約20%の人々はウイルスを除去するが、残りはHCVを終生保有する。慢性感染者の10%から20%は、肝臓を破壊する肝硬変または癌を最終的に発症する。ウイルス性疾患は、汚染した血液および血液製剤、汚染した注射針により非経口的に伝染しまたは性的に伝染し、感染母体またはキャリヤー母体からこれらの子孫へと垂直伝染する。
【0003】
HCV感染の現行の治療は、組換えインターフェロン−αの単独使用またはヌクレオシドアナログのリバビリンとの組合せによる免疫療法に限られており、臨床上の利点も限られている。さらに、HCVのワクチンは確立されていない。したがって、慢性HCV感染に有効に抵抗する改善された治療剤が緊急に必要とされている。HCV感染の治療技術の現状は、以下の参照文献において議論されている:B.Dymockら、「Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection」、Antiviral Chemistry & Chemotherapy、11:79−96頁(2000);H.Rosenら、「Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies」、Molecular Medicine Today、5:393−399頁(1999);D.Moradpourら、「Current and evolving therapies for hepatitis C」、European J.Gastroenterol.Hepatol.、11:1189−1202頁(1999);R.Bartenschlager、「Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy」、Intervirology、40:378−393頁(1997);G.M.LauerおよびB.D.Walker、「Hepatitis C Virus Infection」、N.Engl.J.Med.、345:41−52頁(2001);B.W.Dymock、「Emerging therapies for hepatitis C virus infection」、Emerging Drugs、6:13−42頁(2001);およびC.Crabb、「Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C」、Science:506−507頁(2001)。
【0004】
ウイルスによりコードされる数種の酵素は治療介入のための推定標的であり、これらはメタロプロテアーゼ(NS2−3)、セリンプロテアーゼ(NS3)、ヘリカーゼ(NS3)およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)を含む。NS3プロテアーゼはNS3タンパク質のN末端ドメイン内に位置しており、NS3/4A部位での分子内開裂ならびにNS4A/4B、NS4B/5AおよびNS5A/5B境界での下流の分子間プロセッシングを担っているので、主要な薬物標的と考えられている。従来の研究により、NS3プロテアーゼを阻害する活性の程度を示すペプチドのクラス、例えば米国特許出願公開第2005/0020503号明細書、同第2004/0229818号明細書および同第2004/00229776号明細書において議論されているヘキサペプチドならびにトリペプチドが同定されている。本発明の目的は、HCVNS3プロテアーゼに対して活性を示すさらなる化合物を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0020503号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0229818号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/00229776号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.Dymockら、「Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection」、Antiviral Chemistry & Chemotherapy、11:79−96頁(2000)
【非特許文献2】H.Rosenら、「Hepatitis C virus:current understanding and prospects for future therapies」、Molecular Medicine Today、5:393−399頁(1999)
【非特許文献3】D.Moradpourら、「Current and evolving therapies for hepatitis C」、European J.Gastroenterol.Hepatol.、11:1189−1202頁(1999)
【非特許文献4】R.Bartenschlager、「Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy」、Intervirology、40:378−393頁(1997)
【非特許文献5】G.M.LauerおよびB.D.Walker、「Hepatitis C Virus Infection」、N.Engl.J.Med.、345:41−52頁(2001)
【非特許文献6】B.W.Dymock、「Emerging therapies for hepatitis C virus infection」、Emerging Drugs、6:13−42頁(2001)
【非特許文献7】C.Crabb、「Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C」、Science:506−507頁(2001)
【発明の概要】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、式(I)の新規大環状化合物および/または医薬として許容されるこれらの塩および/または水和物に関する。これらの化合物は、化合物、医薬として許容されるこれらの塩および/または水和物(適宜)または医薬組成物成分として、他のHCV抗ウイルス剤、抗感染剤、免疫調節剤、抗生物質またはワクチンと組み合わせるか否かを問わず、HCV(C型肝炎ウイルス)NS3(非構造3)プロテアーゼの阻害、HCV感染の1種または複数の症状の予防または治療に有用である。さらに特定すると、本発明は、式(I)の化合物または医薬として許容されるこれの塩および/または水和物に関する。
【0008】
【化1】

[式中、
nは、1または2であり;
は、−CONHR、−CONHP(O)R1112または−P(O)R1112であり;
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cシクロアルキルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはシクロアルキルは、1個から3個のハロで場合により置換されており;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキルまたはHetであり、ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、前記アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されており;Hetは、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和環であり、ここで、前記環は、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキルまたはアリール(C−C)アルキルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、前記アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、ハロ、−OH、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、−CN、−CF、−SR10、−SO(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−S(O)(C−Cアルキル)、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW’置換基で場合により置換されておりまたはアリールは、−P(O)R1112で置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
Yは、−C(=O)−、−SO−または−C(=N−CN)−であり;
Zは、−C(R10−、−O−または−N(R)−であり;
Mは、C−C12アルキレンまたはC−C12アルケニレンまたはC−C12アルキニレンであり、ここで、前記アルキレンまたはアルケニレンは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)およびアリール(C−Cアルキル)からなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で場合により置換されており;ここで、Mの隣接する炭素原子上の2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成しまたはMの同じ炭素原子上の2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
Aは、−C(R16)−または−N−であり;
がH以外である場合、R16は、H、C−Cアルキル、ハロ、−OR10、−SR10または−N(R10であり;
がHである場合、R16は、H、C−Cアルキル、ハロ、−OH、C−Cアルコキシ、−CN、−CF、−SR10、−SO(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−S(O)(C−Cアルキル)、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
またはRおよびR16は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和、不飽和の非芳香族または芳香族の環を形成し;
各Rは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW’置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Wは、独立して、H、ハロ、−OR、C−Cアルキル、−CN、−CF、−NO、−SR、−CO、−CON(R、−C(O)R、−N(R10)C(O)R、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCONHR、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、隣接する2個のW部分は、これらが結合している原子と場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和、不飽和の非芳香族または芳香族の環を形成し;
各W’は、独立して、H、ハロ、−OR10、C−Cアルキル、−CN、−CF、−NO、−SR10、−CO10、−CON(R10、−C(O)R10、−N(R10)C(O)R10、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NR10SO10、−SON(R10、−NHCOOR10、−NHCONHR10、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、隣接する2個のW’部分は、これらが結合している原子と場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和、不飽和の非芳香族または芳香族の環を形成し;
各R10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;
各R11は、独立して、C−Cアルキル、−OR13、−N(R10)−V−CO10、−O−V−CO10、−S−V−CO10、−N(R10)(R13)、R14または−N(R10)SOであり;
各R12は、独立して、−OR13、−N(R10)−V−CO10、−O−V−CO10、−S−V−CO10または−N(R10)(R13)であり;
またはR11およびR12は、これらが結合しているリン原子と場合により一緒になって、5員から7員の単環を形成し;
各Vは、独立して、−CH(R15)またはC−Cアルキレン−CH(R15)であり;
各R13は、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、アリール(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、ハロ、−OC(O)OR、−OC(O)R、−OR10、−SR10、−N(R10、−C(O)R10、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10および−C(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
14は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ここで、前記アリールまたはヘテロアリールは、C−Cアルキル、ハロ、−OC(O)OR、−OC(O)R、−OR10、−SR10、−N(R10、−C(O)R10、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10および−C(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;
各R15は、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、C−Cアルキル、ハロ、−OC(O)OR、−OC(O)R、−OR10、−SR10、−N(R10、−C(O)R10、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10および−C(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成する。]
【0009】
本発明の一実施形態において、nは1であり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0010】
本発明の別の実施形態において、Rは−P(O)R1112であり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態の好ましいグループにおいて、R11は、独立して、C−Cアルキルまたは−OR13であり、R12は、独立して、−OR13であり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態のより好ましいグループにおいて、R13は、HまたはC−Cアルキルであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。本発明のさらにより好ましい実施形態において、R11は、−OCHCH、−CHおよび−OHからなる群から選択され、R12は−OHであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0011】
本発明の別の実施形態において、Rは、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態のより好ましいグループにおいて、Rは、−CH=CHまたは−CHCHであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0012】
本発明の別の実施形態において、Rは、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態の好ましいグループにおいて、Rは、−C(CH、シクロヘキシルまたはシクロペンチルであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0013】
本発明の別の実施形態において、RはHであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0014】
本発明の別の実施形態において、Zは−O−であり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0015】
本発明の別の実施形態において、Yは−C(=O)−であり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0016】
本発明の別の実施形態において、Wは、Hまたは−O−(C−C)アルキルであり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態の好ましいグループにおいて、Wは、Hまたは−OCHである。
【0017】
本発明の別の実施形態において、Aは、−C(R16)−であり、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態の好ましいグループにおいて、R16は、Hである。
【0018】
本発明の別の実施形態において、Mは、C−C12アルキレンであり、ここで、前記アルキレンは、C−Cアルキルからなる群から選択される1個または2個の置換基で場合により置換されており、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。この実施形態の好ましいグループにおいて、Mは、−(CH−、−(CHCH(CH)CH−および−(CHC(CHCH−からなる群から選択され、他のすべての可変部は上記定義のとおりである。
【0019】
本発明はまた、本発明の化合物を含有する医薬組成物およびこのような医薬組成物を調製する方法を含む。本発明はさらに、HCV感染の1種または複数の症状を治療または予防する方法を含む。
【0020】
本発明の他の実施形態、態様および特徴は、さらに記載されまたは以下の詳細な説明、実施例および添付の特許請求の範囲から明らかである。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、上述の式Iの化合物および医薬として許容されるこれらの塩および/または水和物を含む。これらの化合物ならびにこれらの医薬として許容される塩および/または水和物は、HCVプロテアーゼ阻害剤(例えば、HCVNS3プロテアーゼ阻害剤)である。本発明はまた、式II、II−A、II−B、III、III−AおよびIII−Bの化合物(式中、可変部n、R、R、R、Y、Z、M、W、A、RおよびR11は、式Iについて定義したとおりである。)を含む。
【0022】
【化2】

【0023】
本発明の他の実施形態は、以下のものを含む:
(a)式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物の有効量および医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
(b)HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、(a)の医薬組成物。
(c)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、(b)の医薬組成物。
(d)(i)式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物および(ii)HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤(式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物および第2の治療剤は、それぞれ、HCVNS3プロテアーゼを阻害するためにまたはHCVによる感染を治療または予防するために有効な合剤量で使用される。)である医薬合剤。
(e)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、(d)の合剤。
(f)対象に式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物の有効量を投与することを含む、HCVNS3プロテアーゼの阻害が必要とされる対象においてHCVNS3プロテアーゼを阻害する方法。
(g)対象に式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物の有効量を投与することを含む、HCVによる感染の予防または治療が必要とされる対象においてHCVによる感染を予防または治療する方法。
(h)式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物を、HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される少なくとも1種の第2の治療剤の有効量と組み合わせて投与する、(g)の方法。
(i)HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤およびHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である、(h)の方法。
(j)対象に(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物または(d)もしくは(e)の合剤を投与することを含む、HCVNS3プロテアーゼの阻害が必要とされる対象においてHCVNS3プロテアーゼを阻害する方法。
(k)対象に(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物または(d)もしくは(e)の合剤を投与することを含む、HCVによる感染の予防または治療が必要とされる対象においてHCVによる感染を予防または治療する方法。
【0024】
上述の化合物の実施形態において、各実施形態と1つまたは複数の他の実施形態との組合せが安定な化合物を提供し、実施形態の説明と一致する程度に、各実施形態を1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせることができると解されるべきである。さらに、上記(a)から(k)に提供した組成物および方法の実施形態は、実施形態の組合せから生ずるような実施形態を含む化合物のすべての実施形態を含むと解されると解されるべきである。
【0025】
本発明はまた、(i)(a)HCVNS3プロテアーゼの阻害においてまたは(b)HCV感染の治療および/もしくはHCV感染の症状の可能性もしくは重症度の軽減において使用するための、(ii)(a)HCVNS3プロテアーゼを阻害するまたは(b)HCV感染を治療および/もしくはHCV感染の症状の可能性もしくは重症度を軽減する医薬品として使用するためのまたは(iii)(a)HCVNS3プロテアーゼを阻害するまたは(b)HCV感染を治療および/もしくはHCV感染の症状の可能性もしくは重症度を軽減する医薬品の調製に使用するための、本発明の化合物を含む。これらの使用において、本発明の化合物は、HCV抗ウイルス剤、抗感染剤および免疫調節剤から選択される1種または複数の第2の治療剤と場合により組み合わせて使用することができる。
【0026】
本発明の追加の実施形態は、使用する本発明の化合物が、上述の化合物の実施形態、態様、クラス、下位クラスまたは特徴部の1つの化合物である、(a)−(k)に上述した医薬組成物、合剤および方法ならびに、前段落に記載した使用を含む。これらのすべての実施形態において、化合物は場合により医薬として許容される塩または水和物の形態で適宜使用することができる。
【0027】
本明細書において使用するとおり、用語「アルキル」は、規定範囲の炭素原子数を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。したがって、例えば、「C1−6アルキル」(または「C−Cアルキル」)は、すべてのヘキシルアルキルおよびペンチルアルキル異性体、ならびにn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−プロピルおよびイソプロピル、エチルおよびメチルを意味する。別の例として、「C1−4アルキル」は、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチル、n−プロピルおよびイソプロピル、エチルおよびメチルを意味する。
【0028】
用語「ハロアルキル」は、水素がハロゲンで置き換えられているアルキル基を意味する。用語「アルコキシ」は、「アルキル−O−」基を意味する。
【0029】
用語「アルキレン」は、規定範囲の炭素原子数を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキレン基(または代替的に「アルカンジイル」)を意味する。したがって、例えば、「−C1−6アルキレン−」は、任意のCからCの直鎖または分枝鎖アルキレンを意味する。本発明に関して特に有利なアルキレンのクラスは、−(CH1−6−であり、特に有利な下位クラスは、−(CH1−4−、−(CH1−3−、−(CH1−2−および−CH−を含む。アルキレン−CH(CH)−も有利である。
【0030】
用語「シクロアルキル」は、規定範囲の炭素原子数を有する任意のアルカンまたはアルケンの環を意味する。したがって、例えば、「C3−8シクロアルキル」(または「C−Cシクロアルキル」)は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを意味する。用語「シクロアルコキシ」は、「シクロアルキル−O−」基を意味する。
【0031】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する(代替的に、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードと称する。)。
【0032】
別段の記載がない限り、本明細書に挙げるすべての範囲は内包的である。例えば、「1個から3個のヘテロ原子」を含有すると記載されるヘテロアリール環は、環が1個、2個または3個のヘテロ原子を含有し得ることを意味する。また、本明細書に挙げる範囲のいずれも、この範囲内のすべての下位範囲をこの範囲内で含むと解されるべきである。ヘテロ原子NおよびSの酸化形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
可変部(例えば、RおよびR10)のいずれかが、成分のいずれか中にまたは式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−B中にまたは本発明の化合物を示しもしくは記載する他の任意の式中に2箇所以上出現する場合、出現毎の可変部定義は他のすべての出現時の可変部定義から独立している。また、置換基および/または可変部の組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0034】
別段の記載がない限り、規定の置換基による置換は、環(例えばアリール、ヘテロ芳香族環または飽和複素環)の任意の原子上で、このような環置換が化学的に許容され、安定な化合物をもたらす限り、可能である。「安定な」化合物は、調製、単離することができ、本明細書に記載する目的(例えば、対象への治療または予防投与)のための化合物の使用を許容するのに十分な時間にわたって構造および特性が実質的に不変のままであるまたは不変のままにさせることができる化合物である。
【0035】
「場合により一緒になって」規定の環を形成する「隣接する炭素原子上の」2個の置換基および「場合により一緒になって」規定の環を形成する「同じ炭素原子上の」2個の置換基という用語は、2個の置換基が、隣接する炭素原子を両方とも含む環を形成することができるまたは同じ炭素原子を含む環を形成することができることを意味する。例えば、以下に示されている環1は、それぞれ隣接する炭素原子に結合している2個の単一の炭素置換基により形成されており、以下に示されている環2は、それぞれ同じ炭素原子に結合している2個の単一の炭素置換基により形成されている。
【0036】
【化3】

【0037】
置換基および置換基パターンの選択の結果として、ある種の本発明の化合物は不斉中心を有することがあり、立体異性体の混合物または個々のジアステレオマー、もしくはエナンチオマーとして生ずることができる。これらの化合物のすべての異性体の形態は、単離されているか混合物中におけるかを問わず、本発明の範囲内である。
【0038】
当業者に自明のとおり、ある種の本発明の化合物は互変異性体として存在することができる。本発明において、式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物への言及は、化合物自体または任意の1種のこの互変異性体自体もしくは2種以上の互変異性体の混合物を意味する。
【0039】
本発明の化合物は、HCVプロテアーゼ(例えば、HCVNS3プロテアーゼ)の阻害ならびにHCVによる感染の予防または治療に有用である。例えば、本発明の化合物は、輸血、体液交換、咬傷、偶発的な針刺または手術中の患者血液への曝露による過去のHCV曝露が疑われた後の、HCVによる感染の治療に有用である。
【0040】
本発明の化合物は、抗ウイルス化合物のスクリーニングアッセイの調製および実施に有用である。例えば、本発明の化合物は、より強力な抗ウイルス化合物のための優れたスクリーニングツールである酵素突然変異体を単離するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、例えば競合阻害により、他の抗ウイルス剤のHCVプロテアーゼへの結合部位を確立または決定するのに有用である。したがって、本発明の化合物はこれらの目的のために販売すべき市販品である。
【0041】
本発明の化合物は、医薬として許容される塩の形態で投与することができる。用語「医薬として許容される塩」は、親化合物の有効性を有し、生物学的または他の点で不所望ではない(例えば、このレシピエントに対して毒性でもなく、他の点で有害でもない。)塩を意味する。好適な塩は、例えば本発明の化合物の溶液と、医薬として許容される酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸または安息香酸の溶液とを混合することにより形成することができる酸付加塩を含む。本発明の化合物の多くは酸性部分を有し、この場合、好適な医薬として許容されるこの塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩)および好適な有機リガンドと形成される塩、例えば、第4級アンモニウム塩を含むことができる。また、酸(−COOH)またはアルコール基が存在する場合において、化合物の溶解度または加水分解特性を変化させるために医薬として許容されるエステルを使用することができる。
【0042】
本発明の化合物に関して、用語「投与」およびこの変形(例えば、化合物を「投与する」)は、化合物または化合物のプロドラッグを治療が必要とされる個体に提供することを意味する。本発明の化合物またはこのプロドラッグを、1種または複数の他の活性剤(例えば、HCV感染の治療に有用な抗ウイルス剤)と組み合わせて提供する場合、「投与」およびこの変形は、それぞれ、化合物または塩(または水和物)および他の薬剤の同時提供および逐次提供を含むと解される。
【0043】
本明細書において使用するとおり、用語「組成物」は、特定の成分を含む生成物および特定の成分を組み合わせることにより直接的または間接的に生ずる任意の生成物を包含するものとする。
【0044】
「医薬として許容される」は、医薬組成物の成分が互いに適合可能でなければならず、このレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0045】
本明細書で使用する用語「対象」(あるいは、本明細書において「患者」と称する。)は、治療、観察または実験の目的とされている動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0046】
本明細書で使用する用語「有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医学者により求められている組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬薬剤の有効量を意味する。一実施形態において、この有効量は、治療中の疾患または病態の症状を緩和するための「治療有効量」である。別の実施形態において、この有効量は、予防される疾患または病態の症状を予防するための「予防有効量」である。用語はまた、本明細書において、HCVNS3プロテアーゼを阻害し、これにより求められている応答を誘発するのに十分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)を含む。活性化合物(すなわち、活性成分)を塩として投与する場合、活性成分の量は、化合物の遊離酸または遊離塩基の形態の量である。
【0047】
HCVNS3プロテアーゼを阻害ならびにHCV感染を予防または治療する目的のために、本発明の化合物は、場合により塩または水和物の形態で、活性剤と活性剤の作用部位とを接触させる任意の手段により投与することができる。これらは、医薬品関連で使用可能な任意の慣用の手段により個々の治療剤としてまたは治療剤と組み合わせて投与することができる。これらは単独で投与することができるが、一般に、選択される投与経路および標準的な医薬実務に基づいて選択される医薬担体とともに投与する。本発明の化合物は、例えば、この化合物の有効量ならびに医薬として許容される慣用の非毒性の担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する単位投与量の医薬組成物の形態にて、経口投与、非経口投与(皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射または輸液技術を含む。)、吸入スプレーまたは直腸投与することができる。経口投与に好適な液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤など)は、当該分野において公知の技術により調製することができ、任意の通常の媒体、例えば水、グリコール、油、アルコールなどを使用することができる。経口投与に好適な固体製剤(例えば、散剤、ピル剤、カプセル剤および錠剤)は、当該分野において公知の技術により調製することができ、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体賦形剤を使用することができる。非経口組成物は、当該分野において公知の技術により調製することができ、一般に、担体としての滅菌水と、場合により他の成分、例えば溶解助剤とを使用することができる。注射用溶液は、当該分野において公知の方法により調製することができ、ここで、担体は、食塩溶液、グルコース溶液または食塩とグルコースとの混合物を含有する溶液を含む。本発明の医薬組成物の調製に使用するのに好適な方法および前記組成物に使用するのに好適な成分に関するさらなる詳細については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Co.、1990に提供されている。
【0048】
本発明の化合物は、0.001から1000mg/kg哺乳動物(例えば、ヒト)体重/日の投与量範囲で、単回用量または分割用量で経口投与することができる。1つの好ましい投与量範囲は、経口において単回用量または分割用量で0.01から500mg/kg体重/日である。別の好ましい投与量範囲は、経口において単回または分割用量で0.1から100mg/kg体重/日である。経口投与のために、これらの組成物は、治療すべき患者への投与量を症状により調節するために1.0mgから500mgの活性成分、特に1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mgおよび500mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。特定の患者のいずれについても具体的な用量レベルおよび投与頻度は変動することがあり、使用する規定の化合物の活性、この化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与様式および時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の病態の重症度ならびに治療を受ける宿主などを含む種々の因子に依存する。
【0049】
上述のとおり、本発明はまた、本発明の化合物を、1種または複数の治療剤と組み合わせることによりHCVNS3プロテアーゼを阻害する方法、HCV複製を阻害する方法またはHCV感染を予防または治療する方法、ならびに本発明の化合物およびHCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される1種または複数の治療剤を含有する医薬組成物に関する。HCVに対して活性なこのような治療剤は、限定されるものではないが、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンアルファ−1、インターフェロン−β、インターフェロン−α、ペグ化インターフェロン−α(ペグインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンとの合剤、ペグインターフェロン−αとリバビリンとの合剤、インターフェロン−αとレボビリンと合剤およびペグインターフェロン−αとレボビリンとの合剤を含む。インターフェロン−αは、限定されるものではないが、組換えインターフェロン−α2a(例えば、Hoffmann−LaRoche、Nutley、NJから入手可能なRoferonインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2a(PEGASYS)、インターフェロン−α2b(例えば、Schering Corp.、Kenilworth、NJから入手可能なIntron−Aインターフェロン)、ペグ化インターフェロン−α2b(PEGINTRON)、組換えコンセンサスインターフェロン(例えば、インターフェロンalphacon−1)および精製インターフェロン−α製品を含む。Amgenの組換えコンセンサスインターフェロンは、商品名Infergen(登録商標)を有する。レボビリンは、リバビリンと類似の免疫調節活性を示すリバビリンのL−エナンチオマーである。ビラミジンは、国際公開第01/60379号パンフレット(譲受人ICN Pharmaceuticals)に開示されているリバビリンのアナログを表す。本発明の方法によれば、合剤の個々の成分は治療過程の間の異なる時点で別々に投与することができまたは分割もしくは単回の合剤形態で同時に投与することができる。
【0050】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、HCVNS3セリンプロテアーゼの阻害剤である薬剤と組み合わせて投与することができる。HCVNS3セリンプロテアーゼは必須ウイルス酵素であり、HCV複製の阻害のための優れた標的であると記載されている。基質および非基質ベースのHCVNS3プロテアーゼ阻害剤の両方が、国際公開第98/22496号パンフレット、同第98/46630号パンフレット、同第99/07733号パンフレット、同第99/07734号パンフレット、同第99/38888号パンフレット、同第99/50230号パンフレット、同第99/64442号パンフレット、同第00/09543号パンフレット、同第00/59929号パンフレット、英国特許第GB2337262号明細書、国際公開第02/48116号パンフレット、同第02/48172号パンフレットおよび米国特許第6,323,180号明細書に開示されている。
【0051】
リバビリン、レボビリンおよびビラミジンは、細胞内酵素のイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の阻害を介してグアニンヌクレオチドの細胞内プールを調節することによりこれらの抗HCV効果を発揮し得る。IMPDHは、デノボグアニンヌクレオチド生合成における生合成経路についての律速酵素である。リバビリンは、容易に細胞内リン酸化され、一リン酸誘導体はIMPDHの阻害剤である。したがって、IMPDHの阻害はHCV複製の阻害剤の発見に有用な別の標的を表す。したがって、本発明の化合物を、IMPDHの阻害剤、例えば国際公開第97/41211号パンフレットおよび同第01/00622号パンフレット(譲受人Vertex)に開示されているVX−497;別のIMPDH阻害剤、同第00/25780号パンフレット(譲受人Bristol−Myers Squibb)に開示されているもの;またはミコフェノール酸モフェチルと組み合わせて投与することができる[A.C.AllisonおよびE.M.Eugui、Agents Action、44(補遺):165頁(1993)を参照のこと]。
【0052】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、抗ウイルス剤のアマンタジン(1−アミノアダマンタン)と組み合わせて投与することもできる[この薬剤の包括的な説明については、J.Kirschbaum、Anal.Profiles Drug Subs.12:1−36頁(1983)を参照のこと]。
【0053】
本発明の化合物は、HCV感染の治療のために、R.E.Harry−O’Kuruら、J.Org.Chem.、62:1754−1759頁(1997);M.S.Wolfeら、Tetrahedron Lett.、36:7611−7614頁(1995);米国特許第3,480,613号明細書(1969年11月25日);国際公開第01/90121号パンフレット(2001年11月29日);国際公開第01/92282号パンフレット(2001年12月6日):および国際公開第02/32920号パンフレット(2002年4月25日);および国際公開第04/002999号パンフレット(2004年1月8日);および国際公開第04/003000号パンフレット(2004年1月8日);および国際公開第04/002422号パンフレット(2004年1月8日)(それぞれの内容は参照により全体として組み込む。)に開示されている抗ウイルス剤の2’−C−分枝鎖リボヌクレオシドと組み合わせることもできる。このような2’−C−分枝鎖リボヌクレオシドは、限定されるものではないが、2’−C−メチル−シチジン、2’−C−メチル−ウリジン、2’−C−メチル−アデノシン、2’−C−メチル−グアノシンおよび9−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−2,6−ジアミノプリン、ならびにリボースC−2’、C−3’およびC−5’ヒドロキシルの対応するアミノ酸エステルおよび場合により置換されている5’リン酸誘導体の対応する環式1,3−プロパンジオールエステルを含む。
【0054】
本発明の化合物は、HCV感染の治療のために、抗HCV特性を有する他のヌクレオシド、例えば国際公開第02/51425号パンフレット(2002年7月4日)(譲受人Mitsubishi Pharma Corp.);同第01/79246号パンフレット、同第02/32920号パンフレットおよび同第02/48165号パンフレット(2002年6月20日)(譲受人Pharmasset,Ltd.);同第01/68663号パンフレット(2001年9月20日)(譲受人ICN Pharmaceuticals);同第99/43691号パンフレット(1999年9月2日);同第02/18404号パンフレット(2002年3月7日)(譲受人Hoffmann−LaRoche);米国特許出願公開第2002/0019363号明細書(2002年2月14日);国際公開第02/100415号パンフレット(2002年12月19日);同第03/026589号パンフレット(2003年4月3日);同第03/026675号パンフレット(2003年4月3日);同第03/093290号パンフレット(2003年11月13日);米国特許出願公開第2003/0236216号明細書(2003年12月25日);同第2004/0006007号明細書(2004年1月8日);国際公開第04/011478号パンフレット(2004年2月5日);同第04/013300号パンフレット(2004年2月12日);米国特許出願公開第2004/0063658号明細書(2004年4月1日);および国際公開第04/028481号パンフレット(2004年4月8日)(これら参照文献のそれぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込む。)に開示されているものと組み合わせることもできる。
【0055】
HCV感染の治療のために、本発明の化合物を、HCVNS5Bポリメラーゼの阻害剤である薬剤と組み合わせて投与することもできる。組合せ療法として使用することができるこのようなHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、国際公開第02/057287号パンフレット、米国特許第6,777,395号明細書、国際公開第02/057425号パンフレット、米国特許出願公開第2004/0067901号明細書、国際公開第03/068244号パンフレット、同第2004/000858号パンフレット、同第04/003138号パンフレットおよび同第2004/007512号パンフレット(それぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込む。)に開示されているものを含む。このような他のHCVポリメラーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、バロピシタビン(NM−283;Idenix)および2’−F−2’−ベータ−メチルシチジン(同第2005/003147号パンフレット(譲受人Pharmasset,Ltd.)をも参照のこと。)を含む。
【0056】
一実施形態において、本発明のHCVNS3プロテアーゼ阻害剤と組み合わせて使用されるヌクレオシドHCVNS5Bポリメラーゼ阻害剤は、以下の化合物:4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−アラビノフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−メチルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−ジメチルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−シクロプロピルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−メチル−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−カルボン酸;4−アミノ−5−ブロモ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−クロロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−5−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2,4−ジアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−4−シクロプロピルアミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;2−アミノ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;4−アミノ−7−(2−C−エチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2−C,2−O−ジメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;2−アミノ−5−メチル−7−(2−C,2−O−ジメチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オン;4−アミノ−7−(3−デオキシ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−デオキシ−2−C−メチル−β−D−アラビノフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−2−フルオロ−7−(2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−C−メチル−β−D−キシロフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(2,4−ジ−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;4−アミノ−7−(3−デオキシ−3−フルオロ−2−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;および対応する5’−トリホスフェート;または医薬として許容されるこれらの塩から選択される。
【0057】
本発明の化合物は、HCV感染の治療のために、HCVポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、例えば国際公開第01/77091号パンフレット(2001年10月18日)(譲受人Tularik,Inc.);同第01/47883号パンフレット(2001年7月5日)(譲受人Japan Tobacco,Inc.);同第02/04425号パンフレット(2002年1月17日)(譲受人Boehringer Ingelheim);同第02/06246号パンフレット(2002年1月24日)(譲受人Istituto di Ricerche di Biologia Moleculare P.Angeletti S.P.A.);同第02/20497号パンフレット(2002年3月3日);同第2005/016927号パンフレット(特に、JTK003)(譲受人Japan Tobacco,Inc.)(それぞれの内容は参照により全体として本明細書に組み込む。)に開示されているもの;およびHCV−796(Viropharma Inc.)と組み合わせることもできる。
【0058】
本発明のHCVNS3プロテアーゼ阻害活性は、当該分野において公知のアッセイを使用して試験することができる。このようなアッセイの1つは、以下に記載され、国際公開第2006/102087号パンフレットに記載されているHCVNS3プロテアーゼ時間分割蛍光(TRF)アッセイである。このようなアッセイの他の例は、例えば国際公開第2005/046712号パンフレットに記載されている。HCVNS3プロテアーゼ阻害剤として有用な化合物は、Kが50μM未満、より好ましくは10μM未満、さらにより好ましくは100nM未満である。
【0059】
本発明はまた、式I、II、II−A、II−B、III、III−AまたはIII−Bの化合物を製造する方法を含む。本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質、試薬および慣用の合成手順を使用して、以下の反応スキームおよび実施例またはこれらの変更により容易に調製することができる。これらの反応において、より詳細には記載しないが、これ自体当業者に公知の変法を使用することも可能である。さらに、本発明の化合物を調製する他の方法は、以下の反応スキームおよび実施例に照らして当業者にとって自明である。特に記載のない限り、すべての可変部は、上記定義のとおりである。以下の反応スキームおよび実施例は、本発明およびこの実施を例示するものにすぎない。実施例は、本発明の範囲または趣旨を限定するものと解釈されるべきではない。
【0060】
合成の一般説明
本発明の化合物は、一般スキーム1、2および3に略述したとおりに合成することができる。
【0061】
【化4】

【0062】
スキーム1(m=0−9)は、代表的分子の合成を略述する。適切に保護されている4−ヒドロキシプロリン誘導体(例えば、カルバメート保護されている窒素)は、カリウムt−ブトキシドまたは等価の試薬と反応させることができ、次いで適切に置換されているクロロ−イソキノリンと反応させることができる。次いで、酸は、適切なアルコール溶媒中の酸によりエステル化することができる。これらの条件はまた、プロリン窒素上のBOC保護基を除去する。
【0063】
【化5】

【0064】
スキーム2は、オレフィン含有アミノ酸部分の合成を記載する。酸官能基がエステル(例えば、R=メチル)として保護されているアミノ酸(市販されているまたは当該分野において公知の方法を使用して容易に調製することができる。)は、当業者に公知の広範なペプチドカップリング剤、例えばDCC、EDC、BOP、TBTUなどを利用してオレフィンカルボン酸をカップリングすることによりアミドAに変換することができる。スルホンアミドBの調製は、有機溶媒(例えば、THF)中の適切な塩化スルホニルとスカベンジャーとしてのアミン塩基との反応により達成することができる。尿素誘導体Cは、アミノエステルとカルボニルジイミダゾールのような試薬とを反応させて中間体イソシアネート(Catalanoら、国際特許出願公開第03/062192号パンフレット)を形成させ、次いで第2のオレフィン含有アミンを添加することにより調製することができる。あるいは、ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンをカルボニルジイミダゾールに代えて使用することができる。シアノグアニジン誘導体Dは、アミノ酸エステルと有機溶媒中のジフェニルC−シアノカルボンイミデートとを反応させ、次いで第2のオレフィン含有アミンを添加することにより調製することができる。カルバメート誘導体Eは、オレフィン含有アルコールと有機溶媒中のカルボニルジイミダゾール(または、ホスゲン、トリホスゲンもしくはジホスゲン)とを反応させ、次いでアミノエステルを添加することにより調製することができる。
【0065】
アミンの官能化の後、エステルは、当業者に公知の塩基性条件の範囲下で加水分解することができる(Theodora W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons、1999)。
【0066】
プロリン部分上のカルバメート保護基の脱保護は、当業者に公知の種々の方法により実施することができる(Theodora W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons、1999)。
【0067】
本発明の化合物の合成を完了させるため、アミノ酸誘導体を、広範なペプチドカップリング試薬、DCC、EDC、BOP、TBTUなどを介してプロリン誘導体にカップリングさせることができる(スキーム1を参照のこと。)。アルケニル官能基は、ハロゲン化物置換基、例えば臭化物もしくはヨウ化物または他の官能基、例えばトリフラートと、有機金属試薬、例えばビニルもしくはアリルトリアルキルスズとのパラジウム触媒反応によりこの工程で導入することができる。次いで、大環化は、この目的のために文献に記載された触媒範囲を使用するオレフィンメタセシスにより達せられる。この工程で、閉環メタセシス中に生成したオレフィン結合は、場合により水素化して飽和結合を生じさせることができまたは代替的手段、例えばシクロプロパン化により官能化することができる。次いで、プロリンエステルを塩基性条件下で加水分解し、適切なシクロプロピル含有P1フラグメントとカップリングさせ(この合成はすでに記載されている(Llinas−Brunetら、米国特許第6,323,180号明細書;Chaudhary、国際特許出願公開第2006/020276号パンフレット)。)、付加加水分解段階に供して最終化合物を提供する。
【0068】
【化6】

【0069】
三置換イソキノリンまたは二置換キナゾリンを有する分子は、スキーム3により調製することができる(式中、Vは、例えばハロ、例えばクロロである。)。適切に置換されている3−ハロイソキノリンまたは2−ハロキナゾリンは、スキーム1に示されている経路と同様の順序において使用することができる。最後の付加段階において、R基は、置換反応または金属媒介カップリング反応を介して導入することができる。
【0070】
オレフィンメタセシス触媒は、以下のルテニウムベースの種類を含む:F:Millerら、J.Am.Chem.Soc 1996、118、9606頁;G:Kingsburyら、J.Am.Chem.Soc 1999、121、791頁;H:Schollら、Org.Lett.1999、1、953頁;Hoveydaら、米国特許出願公開第2002/0107138号明細書;K:Furstnerら、J.Org.Chem 1999、64、8275頁。閉環メタセシスにおけるこれらの触媒の有用性は、文献において十分公知である(例えば、TrnkaおよびGrubbs、Acc.Chem.Res.2001、34、18頁)。
【0071】
【化7】

【0072】
略語一覧
BOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
塩化ブロシル 4−ブロモフェニルスルホニルクロリド
CHCN アセトニトリル
DABCO 1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
EtN トリエチルアミン
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBr 臭化水素酸
HCl 塩酸
HOAc 酢酸
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
LiOH 水酸化リチウム
MeOH メタノール
MgSO 硫酸マグネシウム
NaSO 硫酸ナトリウム
NaHCO 重炭酸ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NHCl 塩化アンモニウム
NHOH 水酸化アンモニウム
Nle ノルロイシン
Pd/C 炭素上のパラジウム
PhMe トルエン
PPh トリフェニルホスフィン
RT 室温
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
TBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
【0073】
中間体の合成
【0074】
【表1】


【0075】
上述の中間体またはこれらの調製における好適な中間体の水素化により、例えば、適切な溶媒または溶媒混合物中でパラジウム、白金またはロジウム触媒により処理することにより、以下の中間体は当業者により調製され得る。
【0076】
【表2】

【0077】
中間体B
中間体B1:N−[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]−L−ノルロイシン
【0078】
【化8】

【0079】
0℃の1−ペンテン−4−オール(0.95g、11.0mmol)のDMF(15mL)中溶液に、カルボニルジイミダゾール(1.79g、11.0mmol)を添加した。反応混合物をRTに加温し、30分間攪拌した。次いで、L−ノルロイシンメチルエステル塩酸塩(2.0g、11.0mmol)を添加し、反応混合物を50℃に加熱し、15分間攪拌した。冷却してから、反応混合物をエチルエーテルにより希釈し、水で2回洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配溶出10から90%ヘキサン中EtOAc)により精製して、2.1g(74%)のメチルN−[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]−L−ノルロイシネートを澄明な油状物として得た。
【0080】
メチルN−[(ペント−4−エニルオキシ)カルボニル]−L−ノルロイシネート(8.50g、33.03mmol)の攪拌したTHF(20mL)中溶液に、1NのNaOH(20mL)を添加した。この反応溶液をRTで3時間攪拌し、次いで1NのHClによりpH3に酸性化し、EtOAcにより抽出した(3×250mL)。合わせたEtOAc層を50mLの水、50mLのブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して7.09g(88%)の表題生成物を澄明な油状物として生じさせた。LRMS(ESI)m/z244[(M+H);C1222NOについての計算値:244]。
【0081】
中間体B2:(2S)−3,3−ジメチル−2−{[(ペント−4−エン−1−イルオキシ)カルボニル]アミノ}酪酸
【0082】
【化9】

【0083】
DIPEA(9.85g、76.2mmol)を、4−ペンテン−1−オール(7.22g、83.9mmol)およびトリホスゲン(11.3g、38.1mmol)の0℃の160mLのジオキサン中溶液に滴加した。得られた白色懸濁液を0℃で5分間攪拌し、次いで1時間にわたり25℃に加温させた。懸濁液を氷浴により0℃に冷却し、1NのNaOH(76.2mL)およびL−t−ブチルグリシン(10.0g、76.2mmol)を添加した。反応混合物を25℃に加温し、18時間攪拌した。ジオキサンを真空中で除去し、反応混合物を1NのNaOHによりpH12に塩基性化した。水層をDCM(3×150mL)により抽出し、次いで6NのHClによりpH約1に酸性化した。水層をDCM(3×150mL)により抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濃縮して化合物を黄褐色油状物(13.7g、収率73.9%)として生じさせた。LRMS(ESI)m/z244[(M+H);C1222NOについての計算値:244]。
【0084】
以下のカルバメート中間体(B3−B49)は、中間体B2を調製するために記載されている化学物質を使用して、適切なアミノ酸およびアルコールを利用することによりまたは中間体B1を調製するために記載されている化学物質を使用して、適切なアルコールおよびアミノエステルを利用することにより調製した。
【0085】
【表3】












【0086】
中間体B50:N−{[(1,1−ジメチルペント−4−エン−1−イル)アミノ]カルボニル}−L−バリン
【0087】
【化10】

【0088】
段階1:メチルN−(オキソメチレン)−L−バリネート
【0089】
【化11】

【0090】
L−バリンメチルエステル塩酸塩(10.0g、59.9mmol)、DCM(300mL)およびピリジン(19.3mL、240mmol)の混合物を、氷/塩浴中で冷却し、20%ホスゲンのPhMe中溶液(35.6mL、719mmol)を滴加し、添加の間5℃未満の反応温度を維持した。白色懸濁液を得て、1.5時間後、反応混合物を氷冷した1MのHCl中に注ぎ、DCM(2×500mL)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、蒸発させた。シリカ上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(95ヘキサン/5EtOAc)により、表題化合物を無色油状物(6.43g)として生じさせた。H NMR(CDCl 500MHz)δ3.94(d,J=4.0Hz,1H)、3.82(s,3H)、2.24(m,1H)、1.03(d,J=7.0Hz,3H)、0.90(d,J=6.5Hz,3H)ppm。
【0091】
段階2:メチルN−{[(1,1−ジメチルペント−4−エン−1−イル)アミノ]カルボニル}−L−バリネート
【0092】
【化12】

【0093】
メチルN−(オキソメチレン)−L−バリネート(2.80g、17.7mmol)を、THF(15mL)中の2−メチルヘクス−5−エン−2−アミン[J.Org.Chem.(1976)41(5)855−863頁](2.00g、17.7mmol)に添加した。5分後、反応混合物を蒸発させて表題化合物を固体として生じさせ、ヘキサンにより粉砕し、濾過により単離した(2.71g)。LRMS(M+H)=271.4。
【0094】
段階3:N−{[(1,1−ジメチルペント−4−エン−1−イル)アミノ]カルボニル}−L−バリン
1Mの水酸化リチウム(54mL、54mmol)を、THF(20mL)中のN−{[(1,1−ジメチルペント−4−エン−1−イル)アミノ]カルボニル}−L−バリン(2.94g、10.9mmol)に添加した。反応混合物をRTで窒素下で18時間攪拌し、次いで加熱して2時間還流させ、RTに冷却した。THFを蒸発により除去した。次いで、水を添加し、混合物をDCM(4×)により抽出した。水層を1MのHClにより酸性にし、DCM(3×70mL)により抽出した。合わせた有機抽出物を無水NaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて表題化合物を白色泡状物(2.25g)として生じさせた。LRMS(M+H)=257.3。
【0095】
以下の尿素中間体(B51−B52)は、N−{[(1,1−ジメチルペント−4−エン−1−イル)アミノ]カルボニル}−L−バリン(中間体B50において記載)の調製のために記載されている化学物質を使用して、適切なアミノ酸およびアミンを利用することにより調製した。
【0096】
【表4】

【0097】
中間体B53:N−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリン
【0098】
【化13】

【0099】
段階1:メチルN−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリネート
【0100】
【化14】

【0101】
L−tert−ロイシンメチルエステル(1.00g、6.89mmol)、6−ヘプテン酸(1.06g、8.26mmol)、EDC(1.58g、8.26mmol)およびHOAt(1.23g、8.26mmol)のDMF(10mL)中溶液を、22℃で2時間攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO水溶液(30mL)により希釈し、EtOAc(3×50mL)により抽出した。合わせた有機層を水(3×30mL)、ブライン(20mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、5−50%EtOAc/ヘキサンにより溶出させて表題生成物(1.42g、81%)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z256.3[(M+H);C1426NOについての計算値:256.2]。
【0102】
段階2:N−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリン
メチルN−ヘプト−6−エノイル−3−メチル−L−バリネート(1.40g、5.48mmol)のTHF(10mL)および1NのNaOH(10mL)中溶液を、22℃で2時間攪拌した。反応混合物を1NのHClによりpH3に酸性化し、EtOAc(3×150mL)により抽出した。合わせたEtOAc層を水(50mL)、ブライン(50mL)により洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して表題生成物(1.12g、84%)を生じさせた。LRMS(ESI)m/z242.3[(M+H);C1324NOについての計算値:242.2]。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
[(1S,2S)−1−({[(2R,4S,7S)−7−シクロヘキシル−23−メトキシ−12,12−ジメチル−6,9−ジオキソ−3,4,6,7,8,9,12,13,14,15−デカヒドロ−2H,11H−16,18−エタノ−2,5−メタノピリド[2,3−k][1,10,3,6]ジオキサジアザシクロノナデシン−4−イル]カルボニル}アミノ)−2−ビニルシクロプロピル]ホスホン酸
【0104】
【化15】

【0105】
段階1:(2E)−3−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)アクリル酸
【0106】
【化16】

【0107】
1−ブロモ−4−ヨード−2−メトキシベンゼン(L.A.Hasvoldら、米国特許出願公開第2004/0254159号明細書、実施例57B)(33.45g、107mmol)のMeCN(100mL)中溶液に、アクリル酸(9.61g、133mmol)、EtN(37.2mL、267mmol)および酢酸パラジウム(719mg、3.2mmol)を添加した。反応混合物を90℃に40分間加熱し、RTに冷却し、2.4Lの1MのHCl中に注いだ。30分間攪拌した後、固体を濾過し、加熱してEtOH(230mL)中で還流させ、RTに冷却しておき、一晩攪拌した。固体を濾過し、1:1のEtOHヘキサン(50mL)により洗浄して所望の生成物を生じさせた。LRMS ESI(M+H)=257.0。
【0108】
段階2:7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1(2H)−オン
【0109】
【化17】

【0110】
段階1からの生成物分(12.5g、48.6mmol)をベンゼンにより共沸させ、ベンゼン(94mL)中に懸濁させた。EtN(9.49mL、68.1mmol)およびジフェニルホスホリルアジド(10.48mL、48.6mmol)を添加し、反応混合物をRTで1時間攪拌した。混合物をシリカのパッドに通して濾過し、約1LのPhMeにより溶出させ、揮発物を蒸発させ、残留物をジフェニルメタン(94mL)中に再懸濁させ、混合物を加熱して3時間還流させた(内部温度250℃)。反応混合物をRTに冷却しておき、一晩攪拌し、濾過し、固体をヘキサン(100mL)により洗浄して黄褐色固体(7.4g)を生じさせた。LRMS ESI(M+H)=254.1。
【0111】
段階3:7−ブロモ−1−クロロ−6−メトキシイソキノリン
【0112】
【化18】

【0113】
オキシ塩化リン(30mL)中の段階2からの生成物(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1(2H)−オン)(4.7g、18.5mmol)の混合物を加熱して2時間還流させ、RTに冷却した。次いで、揮発物を蒸発させ、残留物を3MのNaOHおよびDCMに配した。有機相をNaSO上で乾燥させ;溶媒を蒸発させ;固体をEtO(20mL)により粉砕し、濾過して固体(3.75g)を生じさせた。LRMS ESI(M+H)=274.0。
【0114】
段階4:エチル(4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−L−プロリネート塩酸塩
【0115】
【化19】

【0116】
カリウムt−ブトキシド(618mg、5.5mmol)を、BOCトランス−4−ヒドロキシプロリン(424mg、1.83mmol)の攪拌したDMSO(10mL)中溶液にRTで添加した。反応混合物を30分間攪拌し、15℃に冷却し、段階3からの生成物(500mg、1.83mmol)を添加した。反応混合物を一晩攪拌し、氷冷した10%クエン酸およびEtOAcに配した。有機相を水およびブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。粗製生成物をEtOH(100mL)中に溶解させ、0℃に冷却し、HClを飽和するまでバブリングした。反応混合物をRTに加温しておき、24時間攪拌した。揮発物を蒸発させ、残留物をEtOH(×4)により共沸させて表題化合物を黄褐色固体(555mg)として生じさせた。LRMS ESI(M+H)=395.0。
【0117】
段階5:エチル(4R)−4−[(7−ブロモ−6−メトキシイソキノリン−1−イル)オキシ]−1−[(2S)−2−シクロヘキシル−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−L−プロリネート
【0118】
【化20】

【0119】
段階4からの生成物(900mg、2.09mmol)のDMF(10mL)中溶液に、中間体B23(682mg、2.29mmol)、DIPEA(1.09mL、6.25mmol)およびHATU(1,190mg、3.13mmol)を添加し、反応混合物をRTで6時間攪拌した。次いで、混合物をEtOAcおよび10%KHSOに配し;有機相をブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ;溶媒を蒸発させた。粗製生成物をシリカ上でのクロマトグラフィー(30−50%EtOAc/ヘキサン)により精製して表題化合物(1.02g)を泡状物として得た。LRMS ESI(M+H)=676.3。
【0120】
段階6:エチル(4R)−1−[(2S)−2−シクロヘキシル−2−({[(2,2−ジメチルペント−4−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}アミノ)アセチル]−4−[(6−メトキシ−7−ビニルイソキノリン−1−イル)オキシ]−L−プロリネート
【0121】
【化21】

【0122】
段階5からの生成物(1.02g、1.51mmol)のPhMe(30mL)中溶液を、窒素のバブリングにより30分間ガス抜きした。トリ−n−ブチルビニルスズ(533μL、1.81mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(175mg、0.151mmol)を添加し、反応混合物を105℃に3時間加熱し、次いでRTに18時間冷却した。揮発物を蒸発させ、残留物をシリカ上でのクロマトグラフィー(20−50%EtOAc/ヘキサン)により精製して表題化合物(820mg)を泡状物として得た。LRMS ESI(M+H)=622.5。
【0123】
段階7:エチル(2R,4S,7S,14E)−7−シクロヘキシル−23−メトキシ−12,12−ジメチル−6,9−ジオキソ−3,4,6,7,8,9,12,13−オクタヒドロ−2H,11H−16,18−(エタンジイリデン)−2,5−メタノピリド[2,3−k][1,10,3,6]ジオキサジアザシクロノナデシン−4−カルボキシレート
【0124】
【化22】

【0125】
段階6からの生成物(800mg、1.29mmol)のDCM(200mL)中溶液を、窒素のバブリングにより30分間ガス抜きした。ガス抜きしたDCM(20mL)中のZhan1B触媒(189mg、0.26mmol)を1時間にわたり添加し;反応混合物をRTで18時間攪拌し、次いで濃縮し;残留物をシリカ上でのクロマトグラフィー(20−50%EtOAc/ヘキサン)により精製して表題化合物(700mg)を泡状物として得た。LRMS ESI(M+H)=594.5。
【0126】
段階8:エチル(2R,4S,7S)−7−シクロヘキシル−23−メトキシ−12,12−ジメチル−6,9−ジオキソ−3,4,6,7,8,9,12,13,14,15−デカヒドロ−2H,11H−16,18−(エタンジイリデン)−2,5−メタノピリド[2,3−k][1,10,3,6]ジオキサジアザシクロノナデシン−4−カルボキシレート
【0127】
【化23】

【0128】
段階7からの生成物(600mg、1.01mmol)のEtOAc(50mL)中溶液に、10%のPd/C(100mg)を添加し、混合物を1気圧の水素下で18時間水素化した。EtOHおよび追加の10%のPd/C(100mg)を添加し、水素化を72時間継続した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して表題化合物(600mg)を得た。LRMS ESI(M+H)=596.5。
【0129】
段階9:(3R,5S,8S)−8−シクロヘキシル−18−メトキシ−13,13−ジメチル−7,10−ジオキソ−2,11−ジオキサ−6,9,23−トリアザテトラシクロ[15.6.2.13,6.020,24]ヘキサコサ−1(23),17,19,21,24−ペンタエン−5−カルボン酸
【0130】
【化24】

【0131】
段階8からの生成物(600mg、1.01mmol)の溶液を、THF(48mL)、水(12mL)およびEtOH(12mL)中に溶解させ、LiOH(169mg、7.05mmol)を添加した。反応混合物をRTで18時間攪拌し、10%KHSO水溶液により希釈し、濃縮してTHFおよびEtOHを除去し、水およびEtOAcに配した。有機相をNaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて表題化合物(543mg)を泡状物として得た。LRMS ESI(M+H)=568.4。
【0132】
段階10:ジエチル[1−({[(3R,5S,8S)−8−シクロヘキシル−18−メトキシ−13,13−ジメチル−7,10−ジオキソ−2,11−ジオキサ−6,9,23−トリアザテトラシクロ[15.6.2.13,6.020,24]ヘキサコサ−1(23),17,19,21,24−ペンタエン−5−イル]カルボニル}アミノ)−2−ビニルシクロプロピル]ホスホネート
【0133】
【化25】

【0134】
段階9からの生成物(180mg、0.317mmol)のDMF(2mL)中溶液を、中間体A1(77mg、0.351mmol)、DIPEA(0.166mL、0.95mmol)、DMAP(19mg、0.16mmol)およびHATU(145mg、0.38mmol)により処理した。反応混合物をRTで18時間攪拌し、次いで逆相クロマトグラフィー(C18 5−100%CHCN/(水+0.1%TFA))により直接精製して生成物(200mg)を白色泡状物として生じさせた。LRMS ESI(M+H)=769.2。
【0135】
段階11:[1−({[(3R,5S,8S)−8−シクロヘキシル−18−メトキシ−13,13−ジメチル−7,10−ジオキソ−2,11−ジオキサ−6,9,23−トリアザテトラシクロ[15.6.2.13,6.020,24]ヘキサコサ−1(23),17,19,21,24−ペンタエン−5−イル]カルボニル}アミノ)−2−ビニルシクロプロピル]ホスホン酸
【0136】
【化26】

【0137】
段階10からの生成物(100mg、0.13mmol)のCHCN(5mL)中溶液に、0℃で、2,6−ルチジン(0.042mL、0.36mmol)を添加し、次いでヨードトリメチルシラン(0.05mL、0.36mmol)を添加した。追加の3回分のヨードトリメチルシラン(0.05mL、0.36mmol)を1時間間隔で添加し、次いで反応混合物をRTで18時間攪拌した。MeOH(0.5mL)およびEtN(0.2mL)を添加し;揮発物を蒸発させ;残留物をDMSO中に溶解させ、逆相クロマトグラフィー(C18 5−100%CHCN/(水+0.1%TFA))により精製して生成物(200mg)を白色泡状物として得た。LRMS ESI(M+H)
【0138】
適切な中間体AおよびBを利用することにより、以下の化合物を同様の様式において調製することができる。
【0139】
【化27】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物または医薬として許容されるこれの塩および/または水和物。
【化28】

[式中、
nは、1または2であり;
は、−CONHR、−CONHP(O)R1112または−P(O)R1112であり;
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cシクロアルキルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはシクロアルキルは、1個から3個のハロで場合により置換されており;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキルまたはHetであり、ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、前記アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されており;Hetは、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和環であり、ここで、前記環は、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキルまたはアリール(C−C)アルキルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、前記アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、ハロ、−OH、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、−CN、−CF、−SR10、−SO(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−S(O)(C−Cアルキル)、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW’置換基で場合により置換されておりまたはアリールは、−P(O)R1112で置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
Yは、−C(=O)−、−SO−または−C(=N−CN)−であり;
Zは、−C(R10−、−O−または−N(R)−であり;
Mは、C−C12アルキレンまたはC−C12アルケニレンまたはC−C12アルキニレンであり、ここで、前記アルキレンまたはアルケニレンは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)およびアリール(C−Cアルキル)からなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で場合により置換されており;ここで、Mの隣接する炭素原子上の2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成しまたはMの同じ炭素原子上の2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
Aは、−C(R16)−または−N−であり;
がH以外である場合、R16は、H、C−Cアルキル、ハロ、−OR10、−SR10または−N(R10であり;
がHである場合、R16は、H、C−Cアルキル、ハロ、−OH、C−Cアルコキシ、−CN、−CF、−SR10、−SO(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、−OR10、−SR10、−N(R、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、ハロ(C−Cアルコキシ)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−S(O)(C−Cアルキル)、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10、−C(O)R10および−CON(R10からなる群から選択される1個から4個の置換基で場合により置換されており;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
またはRおよびR16は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和、不飽和の非芳香族または芳香族の環を形成し;
各Rは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−C)アルキル、アリール、アリール(C−C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C−Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1個から2個のW’置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Wは、独立して、H、ハロ、−OR、C−Cアルキル、−CN、−CF、−NO、−SR、−CO、−CON(R、−C(O)R、−N(R10)C(O)R、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCONHR、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、隣接する2個のW部分は、これらが結合している原子と場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和、不飽和の非芳香族または芳香族の環を形成し;
各W’は、独立して、H、ハロ、−OR10、C−Cアルキル、−CN、−CF、−NO、−SR10、−CO10、−CON(R10、−C(O)R10、−N(R10)C(O)R10、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルコキシ、C−Cハロアルキル、−N(R10、−N(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)、ハロ(C−Cアルコキシ)、−NR10SO10、−SON(R10、−NHCOOR10、−NHCONHR10、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ヘテロシクリルは、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、隣接する2個のW’部分は、これらが結合している原子と場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から2個のヘテロ原子を有する5員から6員の飽和、不飽和の非芳香族または芳香族の環を形成し;
各R10は、独立して、HまたはC−Cアルキルであり;
各R11は、独立して、C−Cアルキル、−OR13、−N(R10)−V−CO10、−O−V−CO10、−S−V−CO10、−N(R10)(R13)、R14または−N(R10)SOであり;
各R12は、独立して、−OR13、−N(R10)−V−CO10、−O−V−CO10、−S−V−CO10または−N(R10)(R13)であり;
またはR11およびR12は、これらが結合しているリン原子と場合により一緒になって、5員から7員の単環を形成し;
各Vは、独立して、−CH(R15)またはC−Cアルキレン−CH(R15)であり;
各R13は、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、アリール、アリール(C−Cアルキル)、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキル(C−Cアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C−Cアルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル(C−Cアルキル)、C−Cアルキル、ハロ、−OC(O)OR、−OC(O)R、−OR10、−SR10、−N(R10、−C(O)R10、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10および−C(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成し;
14は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、アリールは、フェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり、ここで、前記アリールまたはヘテロアリールは、C−Cアルキル、ハロ、−OC(O)OR、−OC(O)R、−OR10、−SR10、−N(R10、−C(O)R10、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10および−C(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;
各R15は、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、C−Cアルキル、ハロ、−OC(O)OR、−OC(O)R、−OR10、−SR10、−N(R10、−C(O)R10、−NO、−CN、−CF、−SO(C−Cアルキル)、−S(O)(C−Cアルキル)、−NR10SO、−SON(R、−NHCOOR、−NHCOR、−NHCONHR、−CO10および−C(O)N(R10からなる群から選択される1個から2個の置換基で場合により置換されており;ここで、各アリールは、独立して、フェニルまたはナフチルであり;各ヘテロアリールは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有する5員または6員の芳香族環であり;各ヘテロシクリルは、独立して、環の炭素または窒素を介して結合している、N、OおよびSから選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を有する5員から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの隣接する2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0個から3個のヘテロ原子を含有する3員から6員環を形成する。]
【請求項2】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−P(O)R1112である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
11が、独立して、C−Cアルキルまたは−OR13であり、R12が、独立して、−OR13である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
13が、HまたはC−Cアルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
11が、−OCHCH、−CHおよび−OHからなる群から選択され、R12が−OHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
が、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、−CH=CHまたは−CHCHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、−C(CH、シクロヘキシルまたはシクロペンチルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がHであり、Zが−O−であり、Yが−C(=O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Wが、Hまたは−O−C−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Wが、Hまたは−OCHである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Aが−C(R16)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
16がHである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
MがC−C12アルキレンであり、ここで、前記アルキレンは、C−Cアルキルからなる群から選択される1個または2個の置換基で場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Mが、−(CH−、−(CHCH(CH)CH−および−(CHC(CHCH−からなる群から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物の有効量および医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
HCV抗ウイルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
HCVによる感染の予防または治療が必要とされる対象においてHCVによる感染を予防または治療する医薬品の調製における、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−507655(P2010−507655A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534604(P2009−534604)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/022342
【国際公開番号】WO2008/051475
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】