ICタグ付きラベル、及び該ラベル原反の製造方法
【課題】 本発明は、ICタグの損傷等を防止でき、特に、装着時の加熱によってICタグが損傷することを防止できるICタグ付きラベルを提供する。
【解決手段】 ラベル本体2に凹み部5が形成され、この凹み部5にICタグ3が収容されているICタグ付きラベルを解決手段とする。このラベル本体2は、発泡樹脂シート23からなり、発泡樹脂シート23の一部に凹み部5が形成されている。
【解決手段】 ラベル本体2に凹み部5が形成され、この凹み部5にICタグ3が収容されているICタグ付きラベルを解決手段とする。このラベル本体2は、発泡樹脂シート23からなり、発泡樹脂シート23の一部に凹み部5が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグが収容されたICタグ付きラベル、及び該ラベル原反の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タックラベル、感熱ラベル、筒状ラベルなどの各種のラベルには、バーコードなどの機械的読取記号が印刷されており、これによって、商品の品質、流通などが管理されていた。
ところが、近年のIT技術の著しい進歩によって、上記バーコードなどに代わり、超小型のICチップを備えるICタグが、商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICタグが貼着されているICタグ付きボトル用ラベルが開示されている。かかるラベルは、容器の胴部に装着することにより使用される。
【0003】
しかしながら、上記公報記載のラベルにあっては、ICタグがラベル基材面から突出しているので、ICタグが損傷したり、脱落する虞がある。例えば、ICタグがラベル基材の表面に貼着されている場合には、ラベル装着容器を運搬等する際にICタグが異物と接触又は衝突して損傷、脱落を起こし易い。一方、ICタグがラベル基材の裏面に貼着されている場合には、ICタグが直接に異物と接触する虞はないが、ラベル表面に衝突する異物によって、ラベル基材の裏面から突出したICタグが容器胴部へと押圧されるので、ICタグの損傷が起こり易い。さらに、ラベルをボトルに嵌挿する際に、ICタグがボトルに干渉し易くなり、ラベルの装着不良を起こすという問題点もある。
また、上記公報記載のラベルが、シュリンクラベルのように加熱によって装着されるラベルの場合には、装着時の熱によってICタグが損傷する虞がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−20771公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ICタグの損傷等を防止できるICタグ付きラベル、及び該ラベル原反の製造方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、装着時の加熱によってICタグが損傷することを防止できるICタグ付きラベルを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、ラベル本体に凹み部が形成され、前記凹み部にICタグが収容されているICタグ付きラベルを提供する。
【0007】
上記ICタグ付きラベルは、ラベル本体に凹み部が形成され、この凹み部にICタグが収容されているので、ICタグがラベル本体から突出しない。従って、異物と接触又は衝突することに起因するICタグの損傷を防止できる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様では、上記ラベル本体が、発泡樹脂シートを備え、発泡樹脂シートの一部に凹み部が形成されている上記ICタグ付きラベルであり、かかるラベルによれば、凹み部の周囲に弾力性のある発泡樹脂シートが存在するため、外部から加わる衝撃力を適度に吸収してICタグを保護することができる。
【0009】
さらに、本発明の好ましい態様では、一面側から熱を加えることにより被装着体に装着可能であり、その被加熱面と凹み部の間に断熱層が介在している上記ICタグ付きラベルであり、かかるラベルによれば、被加熱面からの熱伝搬が断熱層によって遮断されるので、熱に起因するICタグの損傷を防止できる。
【0010】
また、本発明の第2の手段は、上記ICタグ付きラベルの製法に係り、可塑性のあるラベル原反を押圧することにより凹み部を形成し、この凹み部にICタグを貼付して収容するICタグ付きラベル原反の製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、所望する凹み部を適宜位置に形成でき、この凹み部にICタグを貼付して収容することにより、ICタグ付きラベル原反を簡易に製造できる。かかるICタグ付きラベル原反を適宜形状に形成することにより、上記ICタグ付きラベルを得ることができる。
【0011】
さらに、本発明の第3の手段は、第1層の一面に第2層が積層された2層以上の積層体からなるラベル原反に、ICタグを収容可能な凹み部を形成するICタグ付きラベル原反の製造方法であって、第1層の一面に第2層を積層してラベル原反を作製する際、第2層の一部が積層されていない非積層部分を送出方向に形成することにより、第1層の一面側に長凹状の凹み部を形成すると共に、この長凹状の凹み部に沿って、所定間隔を置いてICタグが並設されたテープ状のICタグ連続体を貼着し、これを収容するICタグ付きラベル原反の製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、各層を積層してラベル原反を作製する工程に於いて凹み部が形成されるので、別個に凹み部の形成工程を設ける必要がなく、又、形成された長凹状の凹み部に沿ってテープ状のICタグ連続体を貼着するだけでICタグを収容できるため、個々にICタグを貼付する必要がない。従って、ICタグ付きラベル原反を簡易に製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のICタグ付きラベルは、ラベル本体に形成された凹み部にICタグが収容されているので、ラベルが異物と接触又は衝突した際、ICタグが損傷することを防止できる。従って、本発明のラベルが装着された被装着体は、リーダライタ装置によって電子的情報を良好に読み取ることができ、その製造、品質、流通などの管理を正確に行うことができる。
また、本発明の好ましい態様では、装着時に加わる熱によってICタグが損傷しないICタグ付きラベルを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
但し、「裏面」とは、装着時に被装着体側に向く面を指し、「表面」とは、これと反対側の面を指す。
(第1実施形態)
第1実施形態は、被装着体に貼り付けて使用される態様のICタグ付きラベルに関する。
図1及び図2に於いて、1は、裏面2aに貼着部25が設けられたラベル本体2と、該ラベル本体2の内部に形成された凹み部5と、この凹み部5に収容されたICタグ3と、を備えるICタグ付きラベルを示す。このラベル1は、容器などの被装着体の所望位置に貼り付けて使用される。
【0014】
具体的には、ラベル本体2は、内面層21と外面層22の間に、断熱層23が積層された積層フィルムからなり、所定の平面形状(例えば、矩形状)に形成されている。
尚、ラベル本体2の表面2bには、商品名、絵柄などを表面側から表示するための意匠印刷層(図示せず)が積層されており、又、その他必要に応じて、オーバーコーティング層などのその他の機能層を適宜積層することができる。
【0015】
内面層21又は外面層22としては、柔軟なフィルム(一般にシートと呼ばれているものも同義である)であれば公知のものを用いることができ、例えば、紙、合成紙、合成樹脂製フィルム、金属蒸着フィルム、発泡樹脂シートなどや、これら同種又は異種の積層体などを用いることができる。
内面層21又は外面層22の厚みは、概ね10〜80μm程度のものが用いられる。
【0016】
断熱層23の表面23aには、裏面側へ凹んだ凹み部5が形成されている。
この凹み部5は、図2に示すように、外面層22側に開口して形成されており、凹み部5の底面と内面層21の間には、断熱層23が介在している。凹み部5は、後述するICタグ3が収容可能な大きさに形成されている。より具体的には、凹み部5の平面形状は、ICタグ3の平面形状よりも大きく形成され、且つ凹み部5の深さは、収容されるICタグ3が凹み部5の外部(断熱層23の表面23a側)へ突出しないように形成されている。
【0017】
断熱層23としては、断熱性を有する素材であれば特に限定されず、例えば、発泡樹脂シート、不織布、加熱によって発泡する発泡インキ層、和紙などを用いることができる。中でも、一面を押圧することによって所定の凹み部5を簡易に形成することができることから、可塑性のある断熱素材、例えば、発泡樹脂シートを用いることが好ましい。このような発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの比較的軟質な熱可塑性樹脂発泡シートが例示される。この発泡樹脂シートの発泡倍率は、概ね1.5〜40倍程度のものを用いればよいが、押圧によって凹み部5を形成し易いという点から、概ね2〜20倍程度のものが好ましい。
断熱層23の厚みは、上記凹み部5を形成可能な肉厚を有するものでれば特に限定されないが、概ね100〜1000μm程度、好ましくは200〜400μm程度のものが用いられる。
【0018】
貼着部25は、粘着剤又は接着剤などで構成でき、例えば、公知の感圧型粘着剤、感熱性粘着剤(接着剤)などをラベル本体2の裏面全体に塗布することにより形成されている。ここで、感熱性粘着剤(接着剤)は、常温では接着性はないが加熱することによって接着可能となるものをいい、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものなどが例示される。
【0019】
ICタグ3は、ICチップ及びアンテナ部からなるモジュール部を有し、リーダライタ装置と非接触でICチップの電気的情報を読み書き(或いは読み出しのみ)できるものであり、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
ICタグ3としては、例えば、図3に示すように、合成樹脂フィルムなどの基材34と、この基材34の上に所定のパターンで形成された導電性アンテナ部31及びアンテナ部31の端部に電気的に接続されたICチップ32からなるモジュール部33と、を備える構成のものや、アンテナ機能を内蔵した小型のもの(例えば、(株)日立製作所製のミューチップ[商品名])などが例示され、概ね、数センチ四方〜数ミリ四方の大きさで、厚み50〜500μmのものが用いられる。
かかるICタグ3は、図2に示すように、その周囲と凹み部5の内周面及び外面層22の裏面との間に空間部4を有した状態で、凹み部5の底面に粘着剤などを介して貼付されている。
【0020】
上記ICタグ付きラベル1の製造方法について説明する。
図4に示すように、内面層21と発泡樹脂シートなどの可塑性のある断熱層23が積層され且つ貼着部25を介して離型紙6が添付されたラベル原反100を引き出し、この原反100の断熱層23の一面を、エンボスロール101の突起101aによって押圧することにより、凹み部5を送出方向及び幅方向に所定間隔を置いて複数形成する。
次工程で、形成された凹み部5のそれぞれに、ICタグ3を添付することにより、ICタグ付きラベル原反114を作製できる。尚、添付直前にICタグ3の内面に粘着剤や接着剤などを塗布することによりICタグ3を添付してもよいし、予め感圧型粘着剤などが塗布されたICタグ3(タックラベル態様にしたもの)を用いてもよい。
事後、特に図示しないが、ICタグ付きラベル原反114の断熱層23の上に外面層22を積層し、ICタグ3を含めて所定形状に切り抜くことにより、上記ICタグ付きラベル1を製造することができる。尚、各層の積層は、ドライラミネートなどの公知のラミネート法によって積層することができる。また、本製法に於いては、離型紙6が添付されたラベル原反100を使用しているが、例えば、粘着剤などが塗布されていないラベル原反100を用い、これにICタグ3を収容した後、粘着剤などの貼着剤を塗布してもよい。
【0021】
上記構成からなるICタグ付きラベル1は、ラベル本体2に凹み部5が形成され且つこの凹み部5にICタグ3が収容されていると共に、外面層22で被覆されているので、ICタグ3がラベル1の表面から突出しない。従って、該ラベル1を貼付した被装着体が異物と接触しても、ICタグ3が損傷する虞がない。特に、ICタグ3は、外面層22との間に空間部4を有した状態で収容されているので、ラベル1の外面層22のうち凹み部5の対応箇所に異物がスポット的に接触しても、その衝撃がICタグ3に加わることを緩和できる。
さらに、貼着部25が感熱性粘着剤(接着剤)からなるICタグ付きラベル1にあっては、いわゆる感熱ラベルとして使用できる。かかるラベル1は、容器などの被装着体に貼付する際、接着剤を活性化させるために裏面2a側(貼着部25)が加熱されるが、この被加熱面とICタグ3の間に発泡樹脂シートなどの断熱層23が介在しているので、ICタグ3に熱が伝搬することを緩和できる。従って、ICタグ3の熱による損傷を防止することができる。
このように本発明のICタグ付きラベル1は、具備されたICタグ3が損傷しにくいものであるから、これが装着された包装体は、リーダー装置によってICチップ32の情報を良好に読み書きでき、その製造、品質、流通などの管理を正確に行うことができる。
【0022】
次に、本実施形態の各種変形例を示す。
上記各実施形態では、矩形状のラベル1を例示しているが、その平面形状は特に限定されず、用途や目的に合わせて、様々な形状に形成できる。
例えば、図5(a)は、ラベル本体2の平面形状が円形状に形成されたもの、同図(b)は、大面積部分と小面積部分とが一体的に形成されたもの、同図(c)は、容器の胴部に巻き付け可能な程度の大きさに形成されたものを例示している。同図(b)に示すラベル1は、貼着部25がラベル本体2の小面積部分に設けられ、大面積部分を容器などの被装着体から突出させるPOP効果を有するICタグ付きラベル1として使用できる。同図(c)に示すラベル1は、貼着部25が、幅方向に多段状に設けられ、容器の胴部に巻き付けながら貼付する巻付用ICタグ付きラベル1として使用できる。
【0023】
また、上記各実施形態では、ラベル本体2は、内面層21と外面層22の間に、凹み部5の形成された断熱層23が積層された積層フィルムからなるが、ラベル本体2の層構成はこれに限定されず、様々な層構成に変更することができる。
例えば、図6(a)は、凹み部5が形成された断熱層23に、該凹み部5を覆うように、第2の断熱層23’が積層されたもの、同図(b)は、平坦状の断熱層23に、凹み部5を形成すべく、一部分が切り抜かれた第2の断熱層23”が積層されたもの、又、同図(b)は、(内面層21が省略され)断熱層23が内面層21を兼用しているもの、同図(c)は、(内面層21及び外面層22が省略され)断熱層23が内面層21及び外面層22を兼用しているものを例示している。
図6(a)や(c)に示すラベル1は、凹み部5の全周が断熱層23で覆われているので、熱遮断性に優れている。さらに、この断熱層23が発泡樹脂シートなどの弾力性を有する素材からなる場合には、外部から加わる衝撃を該断熱層23で確実に吸収してICタグ3を保護することができる。
【0024】
次に、図7は、ラベル本体2の裏面2a側と凹み部5との間に、断熱層23を有しない各種のラベル1を例示している。同図(a)は、断熱層23の一部を切り欠くことによってラベル本体の内部に凹み部5が形成されたもの、同図(b)は、内面層21と外面層22の間の中間層27に凹み部5が形成され、且つ各層21,22,27が何れも非断熱素材(例えば、合成樹脂製フィルムなど)で構成されているもの、同図(c)は、内面層21の一部を切り欠くことにより、ラベル本体2の裏面2aに凹み部5が開口形成されたものを例示している。また、特に図示しないが、ラベル本体2の表面2bに凹み部5が開口形成されたものでもよい。これら何れの態様のラベル1も、ICタグ3が凹み部5に収容されているので、異物との接触によるICタグ3の損傷を防止できる。但し、これら例示のものは、ラベル本体2の裏面2aとICタグ3の間には、断熱層23を有しないので、貼着部25としては、感圧型粘着剤などの非加熱接着可能なものを用いることが好ましい。
【0025】
また、上記各実施形態では、凹み部5は平面略矩形状に形成されているが、凹み部5は、ICタグ5を収容可能に形成されていればその形状は特に限定されず、例えば、図8に示すように、帯状に伸びる長凹状に形成されていてもよい。
図8(a)は、平坦状の断熱層23に、所定間隔を開けて第2の断熱層23’を積層することにより、長凹状の凹み部5が形成されたもの、同図(b)は、内面層21に、所定間隔を開けて断熱層23を積層することにより、長凹状の凹み部5が形成されたもの、同図(c)は、この長凹状の凹み部5に、ICタグ3を備えるテープ35が収容されたものを例示している。尚、図8では、発泡樹脂シートなどの断熱層23を用いることが例示されているが、断熱層23に代えて、合成樹脂フィルムなどの非断熱シートを用いて上記長凹状の凹み部5を形成することもできる。
【0026】
かかる長凹状の凹み部5を有するICタグ付きラベル1は、第1層の一面に第2層を積層してラベル原反を作製する際、第2層の一部が積層されていない非積層部分を送出方向に形成することにより、製造することができる。
図9に示すように、例えば第1層102として、内面層21に断熱層23が積層された積層体102を用い、この積層体102の表面にグラビアロール103などを用いて接着剤104を塗布し、溶剤回収ゾーン105に通した後(接着剤塗布後の積層体102を同図(b)に示す)、これを圧着ロール106間に導く。一方、この積層体102に積層する第2層107として例えば発泡樹脂シート107を用い、このシート107を引き出して、カッター108にて所定幅分だけ送出方向に切り取る。尚、カッター108で切断された帯状の切取り片109は、回収ローラ110にて巻き取り回収される。
この切断によって発泡樹脂シート107は、同図(c)にも示すように、所定幅の間隙111を有する複数シート107’に分割される。次に、この分断した複数シート107’の間隙111に、同図(d)にも示すように、所定間隔を置いてICタグ3が並設されたテープ状のICタグ連続体112を挿入した後、両者を圧着ロール106間に導き、これを積層体102に重ね合わせる。圧着ロール106を通過させて両者を一体的に積層接着することにより、ICタグ付きラベル原反114を得ることができる。
事後、特に図示しないが、必要に応じて外面層22などを積層し、これを所定形状に切り取ることにより、上記ICタグ付きラベル1を製造することができる。
【0027】
さらに、上記のような第1層102に第2層107を積層する直前に第2層107の一部を切り取って非積層部分を形成する製法に代えて、下記のような製法で作製することもできる。
例えば、図10に示すように、第1層102と第2層107を、圧着ロール106に導いて積層した後、第2層107が第1層102に完全に接着しないうちに、この第2層107のみを切断可能なカッター115にて、第2層107を所定幅分だけ送出方向に切り取り、切取り片109を回収ローラ110にて回収する。次に、この第2層107の切り取り部分に、所定間隔を置いてICタグ3が並設されたテープ状のICタグ連続体112を挿入して圧着ロール116にて圧着することにより、ICタグ付きラベル原反114を得ることができる。但し、ICタグ連続体112は、第1層102に塗布した接着剤104によって接着可能であるが、接着力が十分に得られない場合には、粘着剤付きのICタグ連続体112が用いられる。
尚、図9及び図10に示す製法は、ラミネート法としてドライラミネートを例示しているが、ヒートラミネートやウェットラミネートなどのその他のラミネート法を採用することも可能である。
【0028】
また、凹み部5を形成する方法として、上記では、押圧による形成方法や、非接着部分を設けて第2層を積層する方法を例示しているが、その他の方法として、発泡性インキを用いて、凹み部5を有する断熱層を形成することも可能である。特に図示しないが、例えば、内面層(又は外面層)に、凹み部5の形成予定領域を除いて、発泡インキを塗布し、これを発泡させる。発泡インキが膨出することにより、発泡インキの非塗布部分に凹み部5が形成される。尚、発泡インキを塗布する際、凹み部5の形成予定領域を他の部分に比して薄く塗布して発泡させても同様に凹み部5を形成することができる。
発泡インキとしては、加熱することにより発泡するもの、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの熱可塑性樹脂製カプセルの中に、プロパン等の低沸点液体膨張剤などを内包したマイクロカプセルを、水性エマルジョンなどに混合することにより得られる発泡インキなどが例示される。
【0029】
(第2実施形態)
第2実施形態は、筒状に成形したICタグ付きラベルに関する。以下、上記第1実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
図11及び図12に於いて、本実施形態に係るICタグ付きラベル1は、ラベル本体2の両側端部を重ね合わせてセンターシールすることにより、筒状に成形されている。
ラベル本体2の裏面2aには、凹み部5が形成されており、上記第1実施形態と同様に、この凹み部5にICタグ3が収容されている。
【0030】
ラベル本体2は、熱収縮性を有するフィルムで構成されており、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系などの熱収縮性の合成樹脂フィルム、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などの熱収縮性の発泡樹脂シートなどや、これらの積層体を用いることができる。また、熱収縮性の強い素材と熱収縮性の弱い素材を積層した積層体なども用いることができる。
図12では、熱収縮性のある発泡樹脂シートからなる断熱層23にて構成されたラベル本体2を例示している。発泡倍率は、例えば、1.5〜10倍程度で、厚み100〜400μm程度のものが用いられる。尚、凹み部5は、上記第1実施形態で示したように、押圧によって簡単に形成することができる。
【0031】
かかるICタグ付き筒状ラベル1は、容器の胴部などの被装着体に嵌挿し、シュリンクトンネルに導いてこれを加熱することにより、シュリンク装着できる。
本実施形態に係るICタグ付き筒状ラベル1は、ラベル本体2に凹み部5が形成され且つこの凹み部5にICタグ3が収容されているので、ICタグ3がラベル1の裏面から突出しない。従って、被装着体に嵌挿する際に、被装着体と干渉せず、ICタグ3に起因するラベルの装着不良を防止できる。また、装着したラベル1が異物と接触しても、ICタグ3が損傷する虞がなく、更に、ラベル1の表面とICタグ3の間には、発泡樹脂シート(断熱層23)が介在しているので、シュリンク装着時に加えられる熱によってICタグ3が損傷することを防止できる。
【0032】
尚、本実施形態のラベル本体2の層構成は、図12のものに限られず、種々のものを使用できる。例えば、図13(a)に示すように、外面層22と内面層21の間に断熱層23が積層され、この断熱層23の裏面側に、凹み部5が形成されたものや、同図(b)に示すように、断熱層23の裏面に凹み部5が形成され、且つこの断熱層23の裏面に内面層21が積層されているものや、その他上記第1実施形態で示した各種の層構成のもの(貼着部は除く)など適宜選択して使用できる。
また、凹み部5は、上記第1実施形態のように、長凹状に形成されていてもよく、又、使用するICタグ付きラベル原反についても上記第1実施形態に示した各種の製法にて適宜作製することができる。
【0033】
また、本実施形態では、ICタグ付き筒状ラベル1として、熱収縮性の筒状ラベルを例示しているが、容器などの外周に巻き付けた後に両側端を接合して筒状にするものでもよく、又、ラベル本体2を構成するフィルムを適宜変更することにより、自己伸縮性(ストレッチ)の筒状ラベルや、熱収縮性と自己伸縮性を併有するシュリンクストレッチ筒状ラベルの態様にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係るICタグ付き筒状ラベルを示し、(a)は表面側から見た平面図、(b)は裏面側から見た平面図。同(b)に於いて、便宜上、貼着部が設けられた部分を網掛けで示している。
【図2】図1のA−A線縦断面図。但し、便宜上、断熱層を薄墨塗りで示す。以下、各断面図に於いて、断熱層を薄墨塗りで示す。
【図3】(a)は、ICタグの一実施形態を示す平面図、(B)は、B−B線端面図。
【図4】ICタグ付きラベル原反の製造方法を示す参考図。尚、各工程に於けるラベル原反の一部を拡大した断面を含む一部省略斜視図を挿入している。
【図5】(a)〜(c)共に、ICタグ付きラベルの変形例を示す裏面側から見た平面図。便宜上、貼着部が設けられた部分を網掛けで示している。
【図6】(a)〜(c)共に、ICタグ付きラベルの変形例を示す一部省略縦断面図。
【図7】(a)〜(c)共に、ICタグ付きラベルの変形例を示す一部省略縦断面図。
【図8】(a)〜(c)共に、長凹状の凹み部が形成されたラベル本体の変形例を示す断面を含む一部省略斜視図。
【図9】(a)は、ICタグ付きラベル原反の製造方法の変形例を示す参考図、(b)は、同(a)の丸囲イ部分の拡大図、(c)は、矢印ロ方向から見た平面図、(d)は、矢印ハ方向から見た平面図。
【図10】ICタグ付きラベル原反の製造方法の変形例を示す参考図。
【図11】第2実施形態に係るICタグ付き筒状ラベルを示す斜視図。
【図12】図11のC−C線断面図。
【図13】(a)〜(b)共に、ICタグ付き筒状ラベルの変形例を示す一部省略縦断面図。
【符号の説明】
【0035】
1…ICタグ付きラベル、2…ラベル本体、2a…ラベルの裏面、2b…ラベルの表面、21…内面層、22…外面層、23,23’,23”…断熱層、25…貼着部、3…ICタグ、31…アンテナ部、32…ICチップ、33…モジュール部、34…基材、35…ICタグ付きテープ、5…凹み部、6…離型紙、100…ラベル原反、101…エンボスロール、102…積層体(第1層)、107…発泡樹脂シート(第2層)、109…切取り片、112…ICタグ連続体、114…ICタグ付きラベル原反
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグが収容されたICタグ付きラベル、及び該ラベル原反の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タックラベル、感熱ラベル、筒状ラベルなどの各種のラベルには、バーコードなどの機械的読取記号が印刷されており、これによって、商品の品質、流通などが管理されていた。
ところが、近年のIT技術の著しい進歩によって、上記バーコードなどに代わり、超小型のICチップを備えるICタグが、商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICタグが貼着されているICタグ付きボトル用ラベルが開示されている。かかるラベルは、容器の胴部に装着することにより使用される。
【0003】
しかしながら、上記公報記載のラベルにあっては、ICタグがラベル基材面から突出しているので、ICタグが損傷したり、脱落する虞がある。例えば、ICタグがラベル基材の表面に貼着されている場合には、ラベル装着容器を運搬等する際にICタグが異物と接触又は衝突して損傷、脱落を起こし易い。一方、ICタグがラベル基材の裏面に貼着されている場合には、ICタグが直接に異物と接触する虞はないが、ラベル表面に衝突する異物によって、ラベル基材の裏面から突出したICタグが容器胴部へと押圧されるので、ICタグの損傷が起こり易い。さらに、ラベルをボトルに嵌挿する際に、ICタグがボトルに干渉し易くなり、ラベルの装着不良を起こすという問題点もある。
また、上記公報記載のラベルが、シュリンクラベルのように加熱によって装着されるラベルの場合には、装着時の熱によってICタグが損傷する虞がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−20771公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ICタグの損傷等を防止できるICタグ付きラベル、及び該ラベル原反の製造方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、装着時の加熱によってICタグが損傷することを防止できるICタグ付きラベルを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、ラベル本体に凹み部が形成され、前記凹み部にICタグが収容されているICタグ付きラベルを提供する。
【0007】
上記ICタグ付きラベルは、ラベル本体に凹み部が形成され、この凹み部にICタグが収容されているので、ICタグがラベル本体から突出しない。従って、異物と接触又は衝突することに起因するICタグの損傷を防止できる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様では、上記ラベル本体が、発泡樹脂シートを備え、発泡樹脂シートの一部に凹み部が形成されている上記ICタグ付きラベルであり、かかるラベルによれば、凹み部の周囲に弾力性のある発泡樹脂シートが存在するため、外部から加わる衝撃力を適度に吸収してICタグを保護することができる。
【0009】
さらに、本発明の好ましい態様では、一面側から熱を加えることにより被装着体に装着可能であり、その被加熱面と凹み部の間に断熱層が介在している上記ICタグ付きラベルであり、かかるラベルによれば、被加熱面からの熱伝搬が断熱層によって遮断されるので、熱に起因するICタグの損傷を防止できる。
【0010】
また、本発明の第2の手段は、上記ICタグ付きラベルの製法に係り、可塑性のあるラベル原反を押圧することにより凹み部を形成し、この凹み部にICタグを貼付して収容するICタグ付きラベル原反の製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、所望する凹み部を適宜位置に形成でき、この凹み部にICタグを貼付して収容することにより、ICタグ付きラベル原反を簡易に製造できる。かかるICタグ付きラベル原反を適宜形状に形成することにより、上記ICタグ付きラベルを得ることができる。
【0011】
さらに、本発明の第3の手段は、第1層の一面に第2層が積層された2層以上の積層体からなるラベル原反に、ICタグを収容可能な凹み部を形成するICタグ付きラベル原反の製造方法であって、第1層の一面に第2層を積層してラベル原反を作製する際、第2層の一部が積層されていない非積層部分を送出方向に形成することにより、第1層の一面側に長凹状の凹み部を形成すると共に、この長凹状の凹み部に沿って、所定間隔を置いてICタグが並設されたテープ状のICタグ連続体を貼着し、これを収容するICタグ付きラベル原反の製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、各層を積層してラベル原反を作製する工程に於いて凹み部が形成されるので、別個に凹み部の形成工程を設ける必要がなく、又、形成された長凹状の凹み部に沿ってテープ状のICタグ連続体を貼着するだけでICタグを収容できるため、個々にICタグを貼付する必要がない。従って、ICタグ付きラベル原反を簡易に製造できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のICタグ付きラベルは、ラベル本体に形成された凹み部にICタグが収容されているので、ラベルが異物と接触又は衝突した際、ICタグが損傷することを防止できる。従って、本発明のラベルが装着された被装着体は、リーダライタ装置によって電子的情報を良好に読み取ることができ、その製造、品質、流通などの管理を正確に行うことができる。
また、本発明の好ましい態様では、装着時に加わる熱によってICタグが損傷しないICタグ付きラベルを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
但し、「裏面」とは、装着時に被装着体側に向く面を指し、「表面」とは、これと反対側の面を指す。
(第1実施形態)
第1実施形態は、被装着体に貼り付けて使用される態様のICタグ付きラベルに関する。
図1及び図2に於いて、1は、裏面2aに貼着部25が設けられたラベル本体2と、該ラベル本体2の内部に形成された凹み部5と、この凹み部5に収容されたICタグ3と、を備えるICタグ付きラベルを示す。このラベル1は、容器などの被装着体の所望位置に貼り付けて使用される。
【0014】
具体的には、ラベル本体2は、内面層21と外面層22の間に、断熱層23が積層された積層フィルムからなり、所定の平面形状(例えば、矩形状)に形成されている。
尚、ラベル本体2の表面2bには、商品名、絵柄などを表面側から表示するための意匠印刷層(図示せず)が積層されており、又、その他必要に応じて、オーバーコーティング層などのその他の機能層を適宜積層することができる。
【0015】
内面層21又は外面層22としては、柔軟なフィルム(一般にシートと呼ばれているものも同義である)であれば公知のものを用いることができ、例えば、紙、合成紙、合成樹脂製フィルム、金属蒸着フィルム、発泡樹脂シートなどや、これら同種又は異種の積層体などを用いることができる。
内面層21又は外面層22の厚みは、概ね10〜80μm程度のものが用いられる。
【0016】
断熱層23の表面23aには、裏面側へ凹んだ凹み部5が形成されている。
この凹み部5は、図2に示すように、外面層22側に開口して形成されており、凹み部5の底面と内面層21の間には、断熱層23が介在している。凹み部5は、後述するICタグ3が収容可能な大きさに形成されている。より具体的には、凹み部5の平面形状は、ICタグ3の平面形状よりも大きく形成され、且つ凹み部5の深さは、収容されるICタグ3が凹み部5の外部(断熱層23の表面23a側)へ突出しないように形成されている。
【0017】
断熱層23としては、断熱性を有する素材であれば特に限定されず、例えば、発泡樹脂シート、不織布、加熱によって発泡する発泡インキ層、和紙などを用いることができる。中でも、一面を押圧することによって所定の凹み部5を簡易に形成することができることから、可塑性のある断熱素材、例えば、発泡樹脂シートを用いることが好ましい。このような発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの比較的軟質な熱可塑性樹脂発泡シートが例示される。この発泡樹脂シートの発泡倍率は、概ね1.5〜40倍程度のものを用いればよいが、押圧によって凹み部5を形成し易いという点から、概ね2〜20倍程度のものが好ましい。
断熱層23の厚みは、上記凹み部5を形成可能な肉厚を有するものでれば特に限定されないが、概ね100〜1000μm程度、好ましくは200〜400μm程度のものが用いられる。
【0018】
貼着部25は、粘着剤又は接着剤などで構成でき、例えば、公知の感圧型粘着剤、感熱性粘着剤(接着剤)などをラベル本体2の裏面全体に塗布することにより形成されている。ここで、感熱性粘着剤(接着剤)は、常温では接着性はないが加熱することによって接着可能となるものをいい、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものなどが例示される。
【0019】
ICタグ3は、ICチップ及びアンテナ部からなるモジュール部を有し、リーダライタ装置と非接触でICチップの電気的情報を読み書き(或いは読み出しのみ)できるものであり、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
ICタグ3としては、例えば、図3に示すように、合成樹脂フィルムなどの基材34と、この基材34の上に所定のパターンで形成された導電性アンテナ部31及びアンテナ部31の端部に電気的に接続されたICチップ32からなるモジュール部33と、を備える構成のものや、アンテナ機能を内蔵した小型のもの(例えば、(株)日立製作所製のミューチップ[商品名])などが例示され、概ね、数センチ四方〜数ミリ四方の大きさで、厚み50〜500μmのものが用いられる。
かかるICタグ3は、図2に示すように、その周囲と凹み部5の内周面及び外面層22の裏面との間に空間部4を有した状態で、凹み部5の底面に粘着剤などを介して貼付されている。
【0020】
上記ICタグ付きラベル1の製造方法について説明する。
図4に示すように、内面層21と発泡樹脂シートなどの可塑性のある断熱層23が積層され且つ貼着部25を介して離型紙6が添付されたラベル原反100を引き出し、この原反100の断熱層23の一面を、エンボスロール101の突起101aによって押圧することにより、凹み部5を送出方向及び幅方向に所定間隔を置いて複数形成する。
次工程で、形成された凹み部5のそれぞれに、ICタグ3を添付することにより、ICタグ付きラベル原反114を作製できる。尚、添付直前にICタグ3の内面に粘着剤や接着剤などを塗布することによりICタグ3を添付してもよいし、予め感圧型粘着剤などが塗布されたICタグ3(タックラベル態様にしたもの)を用いてもよい。
事後、特に図示しないが、ICタグ付きラベル原反114の断熱層23の上に外面層22を積層し、ICタグ3を含めて所定形状に切り抜くことにより、上記ICタグ付きラベル1を製造することができる。尚、各層の積層は、ドライラミネートなどの公知のラミネート法によって積層することができる。また、本製法に於いては、離型紙6が添付されたラベル原反100を使用しているが、例えば、粘着剤などが塗布されていないラベル原反100を用い、これにICタグ3を収容した後、粘着剤などの貼着剤を塗布してもよい。
【0021】
上記構成からなるICタグ付きラベル1は、ラベル本体2に凹み部5が形成され且つこの凹み部5にICタグ3が収容されていると共に、外面層22で被覆されているので、ICタグ3がラベル1の表面から突出しない。従って、該ラベル1を貼付した被装着体が異物と接触しても、ICタグ3が損傷する虞がない。特に、ICタグ3は、外面層22との間に空間部4を有した状態で収容されているので、ラベル1の外面層22のうち凹み部5の対応箇所に異物がスポット的に接触しても、その衝撃がICタグ3に加わることを緩和できる。
さらに、貼着部25が感熱性粘着剤(接着剤)からなるICタグ付きラベル1にあっては、いわゆる感熱ラベルとして使用できる。かかるラベル1は、容器などの被装着体に貼付する際、接着剤を活性化させるために裏面2a側(貼着部25)が加熱されるが、この被加熱面とICタグ3の間に発泡樹脂シートなどの断熱層23が介在しているので、ICタグ3に熱が伝搬することを緩和できる。従って、ICタグ3の熱による損傷を防止することができる。
このように本発明のICタグ付きラベル1は、具備されたICタグ3が損傷しにくいものであるから、これが装着された包装体は、リーダー装置によってICチップ32の情報を良好に読み書きでき、その製造、品質、流通などの管理を正確に行うことができる。
【0022】
次に、本実施形態の各種変形例を示す。
上記各実施形態では、矩形状のラベル1を例示しているが、その平面形状は特に限定されず、用途や目的に合わせて、様々な形状に形成できる。
例えば、図5(a)は、ラベル本体2の平面形状が円形状に形成されたもの、同図(b)は、大面積部分と小面積部分とが一体的に形成されたもの、同図(c)は、容器の胴部に巻き付け可能な程度の大きさに形成されたものを例示している。同図(b)に示すラベル1は、貼着部25がラベル本体2の小面積部分に設けられ、大面積部分を容器などの被装着体から突出させるPOP効果を有するICタグ付きラベル1として使用できる。同図(c)に示すラベル1は、貼着部25が、幅方向に多段状に設けられ、容器の胴部に巻き付けながら貼付する巻付用ICタグ付きラベル1として使用できる。
【0023】
また、上記各実施形態では、ラベル本体2は、内面層21と外面層22の間に、凹み部5の形成された断熱層23が積層された積層フィルムからなるが、ラベル本体2の層構成はこれに限定されず、様々な層構成に変更することができる。
例えば、図6(a)は、凹み部5が形成された断熱層23に、該凹み部5を覆うように、第2の断熱層23’が積層されたもの、同図(b)は、平坦状の断熱層23に、凹み部5を形成すべく、一部分が切り抜かれた第2の断熱層23”が積層されたもの、又、同図(b)は、(内面層21が省略され)断熱層23が内面層21を兼用しているもの、同図(c)は、(内面層21及び外面層22が省略され)断熱層23が内面層21及び外面層22を兼用しているものを例示している。
図6(a)や(c)に示すラベル1は、凹み部5の全周が断熱層23で覆われているので、熱遮断性に優れている。さらに、この断熱層23が発泡樹脂シートなどの弾力性を有する素材からなる場合には、外部から加わる衝撃を該断熱層23で確実に吸収してICタグ3を保護することができる。
【0024】
次に、図7は、ラベル本体2の裏面2a側と凹み部5との間に、断熱層23を有しない各種のラベル1を例示している。同図(a)は、断熱層23の一部を切り欠くことによってラベル本体の内部に凹み部5が形成されたもの、同図(b)は、内面層21と外面層22の間の中間層27に凹み部5が形成され、且つ各層21,22,27が何れも非断熱素材(例えば、合成樹脂製フィルムなど)で構成されているもの、同図(c)は、内面層21の一部を切り欠くことにより、ラベル本体2の裏面2aに凹み部5が開口形成されたものを例示している。また、特に図示しないが、ラベル本体2の表面2bに凹み部5が開口形成されたものでもよい。これら何れの態様のラベル1も、ICタグ3が凹み部5に収容されているので、異物との接触によるICタグ3の損傷を防止できる。但し、これら例示のものは、ラベル本体2の裏面2aとICタグ3の間には、断熱層23を有しないので、貼着部25としては、感圧型粘着剤などの非加熱接着可能なものを用いることが好ましい。
【0025】
また、上記各実施形態では、凹み部5は平面略矩形状に形成されているが、凹み部5は、ICタグ5を収容可能に形成されていればその形状は特に限定されず、例えば、図8に示すように、帯状に伸びる長凹状に形成されていてもよい。
図8(a)は、平坦状の断熱層23に、所定間隔を開けて第2の断熱層23’を積層することにより、長凹状の凹み部5が形成されたもの、同図(b)は、内面層21に、所定間隔を開けて断熱層23を積層することにより、長凹状の凹み部5が形成されたもの、同図(c)は、この長凹状の凹み部5に、ICタグ3を備えるテープ35が収容されたものを例示している。尚、図8では、発泡樹脂シートなどの断熱層23を用いることが例示されているが、断熱層23に代えて、合成樹脂フィルムなどの非断熱シートを用いて上記長凹状の凹み部5を形成することもできる。
【0026】
かかる長凹状の凹み部5を有するICタグ付きラベル1は、第1層の一面に第2層を積層してラベル原反を作製する際、第2層の一部が積層されていない非積層部分を送出方向に形成することにより、製造することができる。
図9に示すように、例えば第1層102として、内面層21に断熱層23が積層された積層体102を用い、この積層体102の表面にグラビアロール103などを用いて接着剤104を塗布し、溶剤回収ゾーン105に通した後(接着剤塗布後の積層体102を同図(b)に示す)、これを圧着ロール106間に導く。一方、この積層体102に積層する第2層107として例えば発泡樹脂シート107を用い、このシート107を引き出して、カッター108にて所定幅分だけ送出方向に切り取る。尚、カッター108で切断された帯状の切取り片109は、回収ローラ110にて巻き取り回収される。
この切断によって発泡樹脂シート107は、同図(c)にも示すように、所定幅の間隙111を有する複数シート107’に分割される。次に、この分断した複数シート107’の間隙111に、同図(d)にも示すように、所定間隔を置いてICタグ3が並設されたテープ状のICタグ連続体112を挿入した後、両者を圧着ロール106間に導き、これを積層体102に重ね合わせる。圧着ロール106を通過させて両者を一体的に積層接着することにより、ICタグ付きラベル原反114を得ることができる。
事後、特に図示しないが、必要に応じて外面層22などを積層し、これを所定形状に切り取ることにより、上記ICタグ付きラベル1を製造することができる。
【0027】
さらに、上記のような第1層102に第2層107を積層する直前に第2層107の一部を切り取って非積層部分を形成する製法に代えて、下記のような製法で作製することもできる。
例えば、図10に示すように、第1層102と第2層107を、圧着ロール106に導いて積層した後、第2層107が第1層102に完全に接着しないうちに、この第2層107のみを切断可能なカッター115にて、第2層107を所定幅分だけ送出方向に切り取り、切取り片109を回収ローラ110にて回収する。次に、この第2層107の切り取り部分に、所定間隔を置いてICタグ3が並設されたテープ状のICタグ連続体112を挿入して圧着ロール116にて圧着することにより、ICタグ付きラベル原反114を得ることができる。但し、ICタグ連続体112は、第1層102に塗布した接着剤104によって接着可能であるが、接着力が十分に得られない場合には、粘着剤付きのICタグ連続体112が用いられる。
尚、図9及び図10に示す製法は、ラミネート法としてドライラミネートを例示しているが、ヒートラミネートやウェットラミネートなどのその他のラミネート法を採用することも可能である。
【0028】
また、凹み部5を形成する方法として、上記では、押圧による形成方法や、非接着部分を設けて第2層を積層する方法を例示しているが、その他の方法として、発泡性インキを用いて、凹み部5を有する断熱層を形成することも可能である。特に図示しないが、例えば、内面層(又は外面層)に、凹み部5の形成予定領域を除いて、発泡インキを塗布し、これを発泡させる。発泡インキが膨出することにより、発泡インキの非塗布部分に凹み部5が形成される。尚、発泡インキを塗布する際、凹み部5の形成予定領域を他の部分に比して薄く塗布して発泡させても同様に凹み部5を形成することができる。
発泡インキとしては、加熱することにより発泡するもの、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの熱可塑性樹脂製カプセルの中に、プロパン等の低沸点液体膨張剤などを内包したマイクロカプセルを、水性エマルジョンなどに混合することにより得られる発泡インキなどが例示される。
【0029】
(第2実施形態)
第2実施形態は、筒状に成形したICタグ付きラベルに関する。以下、上記第1実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
図11及び図12に於いて、本実施形態に係るICタグ付きラベル1は、ラベル本体2の両側端部を重ね合わせてセンターシールすることにより、筒状に成形されている。
ラベル本体2の裏面2aには、凹み部5が形成されており、上記第1実施形態と同様に、この凹み部5にICタグ3が収容されている。
【0030】
ラベル本体2は、熱収縮性を有するフィルムで構成されており、例えば、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系などの熱収縮性の合成樹脂フィルム、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などの熱収縮性の発泡樹脂シートなどや、これらの積層体を用いることができる。また、熱収縮性の強い素材と熱収縮性の弱い素材を積層した積層体なども用いることができる。
図12では、熱収縮性のある発泡樹脂シートからなる断熱層23にて構成されたラベル本体2を例示している。発泡倍率は、例えば、1.5〜10倍程度で、厚み100〜400μm程度のものが用いられる。尚、凹み部5は、上記第1実施形態で示したように、押圧によって簡単に形成することができる。
【0031】
かかるICタグ付き筒状ラベル1は、容器の胴部などの被装着体に嵌挿し、シュリンクトンネルに導いてこれを加熱することにより、シュリンク装着できる。
本実施形態に係るICタグ付き筒状ラベル1は、ラベル本体2に凹み部5が形成され且つこの凹み部5にICタグ3が収容されているので、ICタグ3がラベル1の裏面から突出しない。従って、被装着体に嵌挿する際に、被装着体と干渉せず、ICタグ3に起因するラベルの装着不良を防止できる。また、装着したラベル1が異物と接触しても、ICタグ3が損傷する虞がなく、更に、ラベル1の表面とICタグ3の間には、発泡樹脂シート(断熱層23)が介在しているので、シュリンク装着時に加えられる熱によってICタグ3が損傷することを防止できる。
【0032】
尚、本実施形態のラベル本体2の層構成は、図12のものに限られず、種々のものを使用できる。例えば、図13(a)に示すように、外面層22と内面層21の間に断熱層23が積層され、この断熱層23の裏面側に、凹み部5が形成されたものや、同図(b)に示すように、断熱層23の裏面に凹み部5が形成され、且つこの断熱層23の裏面に内面層21が積層されているものや、その他上記第1実施形態で示した各種の層構成のもの(貼着部は除く)など適宜選択して使用できる。
また、凹み部5は、上記第1実施形態のように、長凹状に形成されていてもよく、又、使用するICタグ付きラベル原反についても上記第1実施形態に示した各種の製法にて適宜作製することができる。
【0033】
また、本実施形態では、ICタグ付き筒状ラベル1として、熱収縮性の筒状ラベルを例示しているが、容器などの外周に巻き付けた後に両側端を接合して筒状にするものでもよく、又、ラベル本体2を構成するフィルムを適宜変更することにより、自己伸縮性(ストレッチ)の筒状ラベルや、熱収縮性と自己伸縮性を併有するシュリンクストレッチ筒状ラベルの態様にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係るICタグ付き筒状ラベルを示し、(a)は表面側から見た平面図、(b)は裏面側から見た平面図。同(b)に於いて、便宜上、貼着部が設けられた部分を網掛けで示している。
【図2】図1のA−A線縦断面図。但し、便宜上、断熱層を薄墨塗りで示す。以下、各断面図に於いて、断熱層を薄墨塗りで示す。
【図3】(a)は、ICタグの一実施形態を示す平面図、(B)は、B−B線端面図。
【図4】ICタグ付きラベル原反の製造方法を示す参考図。尚、各工程に於けるラベル原反の一部を拡大した断面を含む一部省略斜視図を挿入している。
【図5】(a)〜(c)共に、ICタグ付きラベルの変形例を示す裏面側から見た平面図。便宜上、貼着部が設けられた部分を網掛けで示している。
【図6】(a)〜(c)共に、ICタグ付きラベルの変形例を示す一部省略縦断面図。
【図7】(a)〜(c)共に、ICタグ付きラベルの変形例を示す一部省略縦断面図。
【図8】(a)〜(c)共に、長凹状の凹み部が形成されたラベル本体の変形例を示す断面を含む一部省略斜視図。
【図9】(a)は、ICタグ付きラベル原反の製造方法の変形例を示す参考図、(b)は、同(a)の丸囲イ部分の拡大図、(c)は、矢印ロ方向から見た平面図、(d)は、矢印ハ方向から見た平面図。
【図10】ICタグ付きラベル原反の製造方法の変形例を示す参考図。
【図11】第2実施形態に係るICタグ付き筒状ラベルを示す斜視図。
【図12】図11のC−C線断面図。
【図13】(a)〜(b)共に、ICタグ付き筒状ラベルの変形例を示す一部省略縦断面図。
【符号の説明】
【0035】
1…ICタグ付きラベル、2…ラベル本体、2a…ラベルの裏面、2b…ラベルの表面、21…内面層、22…外面層、23,23’,23”…断熱層、25…貼着部、3…ICタグ、31…アンテナ部、32…ICチップ、33…モジュール部、34…基材、35…ICタグ付きテープ、5…凹み部、6…離型紙、100…ラベル原反、101…エンボスロール、102…積層体(第1層)、107…発泡樹脂シート(第2層)、109…切取り片、112…ICタグ連続体、114…ICタグ付きラベル原反
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル本体に凹み部が形成され、前記凹み部にICタグが収容されていることを特徴とするICタグ付きラベル。
【請求項2】
前記ラベル本体が、発泡樹脂シートを備え、前記発泡樹脂シートの一部に前記凹み部が形成されている請求項1記載のICタグ付きラベル。
【請求項3】
前記ラベルが一面側から熱を加えることにより被装着体に装着可能であり、その被加熱面と凹み部の間に断熱層が介在している請求項1又は2記載のICタグ付きラベル。
【請求項4】
可塑性のあるラベル原反を押圧することにより凹み部を形成し、前記凹み部にICタグを貼付して収容することを特徴とするICタグ付きラベル原反の製造方法。
【請求項5】
第1層の一面に第2層が積層された2層以上の積層体からなるラベル原反に、ICタグを収容可能な凹み部を形成するICタグ付きラベル原反の製造方法であって、
前記第1層の一面に第2層を積層してラベル原反を作製する際、前記第2層の一部が積層されていない非積層部分を送出方向に形成することにより、前記第1層の一面側に長凹状の凹み部を形成すると共に、この長凹状の凹み部に沿って、所定間隔を置いてICタグが並設されたテープ状のICタグ連続体を貼着し、収容することを特徴とするICタグ付きラベル原反の製造方法。
【請求項1】
ラベル本体に凹み部が形成され、前記凹み部にICタグが収容されていることを特徴とするICタグ付きラベル。
【請求項2】
前記ラベル本体が、発泡樹脂シートを備え、前記発泡樹脂シートの一部に前記凹み部が形成されている請求項1記載のICタグ付きラベル。
【請求項3】
前記ラベルが一面側から熱を加えることにより被装着体に装着可能であり、その被加熱面と凹み部の間に断熱層が介在している請求項1又は2記載のICタグ付きラベル。
【請求項4】
可塑性のあるラベル原反を押圧することにより凹み部を形成し、前記凹み部にICタグを貼付して収容することを特徴とするICタグ付きラベル原反の製造方法。
【請求項5】
第1層の一面に第2層が積層された2層以上の積層体からなるラベル原反に、ICタグを収容可能な凹み部を形成するICタグ付きラベル原反の製造方法であって、
前記第1層の一面に第2層を積層してラベル原反を作製する際、前記第2層の一部が積層されていない非積層部分を送出方向に形成することにより、前記第1層の一面側に長凹状の凹み部を形成すると共に、この長凹状の凹み部に沿って、所定間隔を置いてICタグが並設されたテープ状のICタグ連続体を貼着し、収容することを特徴とするICタグ付きラベル原反の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−10731(P2006−10731A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183374(P2004−183374)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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