説明

IC内蔵小切手を用いた内容真正確認方法

【課題】金融機関が小切手を交付する時に小切手内にその小切手のID情報と振出人の生体情報を予め記録しておくことで、偽造やなりすましを困難にし、セキュリティを確保する。
【解決手段】小切手内に小型のICを埋め込み、金融機関が小切手を交付する時に小切手内にその小切手のID情報と交付先である振出人の生体情報を予め記録しておく。ICの記憶域にはPROMまたはROMを用い、一度書き込まれた情報は改ざん不能とする。金融機関内では、前もって、小切手に記録されたID情報と当該振出人の生体情報を関連付けしてDBとして保管しておく。当該小切手が当該金融機関に持ち込まれた時は小切手内に記録された情報と、DBに保管していた情報とで比較または認証処理を行ない、偽造や不正使用でないかを確認できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムおよび小切手内に組み込まれたIC内の情報を利用して行なう小切手の振出および支払い方法に関し、特に、生体情報をIC内に記録することで小切手の内容が真正であることを確認するのに好適な、小切手およびその内容の真正確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多額の支払を行なう場合、支払う方も受け取る方も事故・事件の危険があるため「支払証書(証券)」として小切手を用いる事があるが、小切手は、一般に紙で発行されるため、偽造が比較的容易であるというリスクが存在していた。受取人が金融機関に小切手を持ち込んだ場合、金融機関では、持ち込まれたその小切手が真正であるかどうかを確認するために受取人を長時間待たせてしまうケースも存在していた。前記背景より日本国内において小切手は一般的に法人間での取引に用いられているが、個人間の取引や買い物での支払手段として利用される事は稀であった。また、各金融機関において小切手には偽造防止措置が図られているが、あくまでも紙というインフラの範囲内であり、電子的な方法でその真正性を証明したり、偽造防止措置は図られていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来の方法の場合、小切手内に隠し文字やID情報を印刷、または、透かし等を施し、一定の偽造防止措置を図ることは可能であったが、あくまでも紙の証券であるため、偽造や不正使用等の防止には限界があり、金融機関においても個人により持ち込まれた小切手については、その小切手が真正である事を確認するため一定の労力と時間を要する事が課題となっていた。この様な背景より、個人間での取引や買い物での支払手段としては日本国内では一般に普及していないという課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するため、本発明では図3に示すように、各小切手(3001)の1枚1枚に、製造時に非接触型の小型IC(3002)およびアンテナ(3003)を埋め込んでおく。小切手に埋め込まれたICの内部には、図5の5002に示されるようなPROMまたはROMの記憶域を持たせ、5003に示されるようにその記憶域に各小切手1枚1枚を識別するためのID情報を予め登録して置く。前記ID情報の登録方法であるが、製造時に予めROMとしてID情報を作り込んでも良いし、当該記憶域がPROMである場合は、小切手帳発行元である金融機関内で登録しても良い。但し、PROMまたはROMを用いて記憶するため、一度登録されたID情報は、再び書き換えを行なうことが出来ないようになっている。前述のICの構造については、図5に示されるように、外部との情報入出力用のアンテナ(図5、5012)、I/O制御部(5011)、演算/制御部(5010)、記憶部(5002、5004)から構成され、相互には内部バス(5009)で互いに接続されておりデータの記憶、および書き込み/読み出し処理が行なえる機能を有している。
【0005】
小切手帳の発行元である金融機関内では、図1に示されるように金融機関(1001)内にコンピュータ本体(1003)、キーボードおよびディスプレィ装置(1003)および、口座開設者の個人を特定するための情報や、前記口座開設者に対して交付した小切手を特定するための情報を保管するための、個人情報/小切手情報格納用記憶装置を設置する。これらを構成する情報処理システム内には、口座開設者、すなわち小切手の振出人または、その受取人が有する生体情報を暗号化・復号化するための暗号復号処理プログラム(1007)が組み込まれてある。また、前記情報処理システムには、生体情報センサ(1004)およびICリーダ/ライタ装置(1005)が接続されており、コンピュータ本体(1003)内部には、接続された生体情報センサ(1004)を制御するための生体情報センサ制御プログラム(1008)と、生体情報センサ(1004)により取得された生体情報が正しい情報であるかどうかを認証するための生体認証プログラム(1009)、および、前記情報処理システムに接続されたICリーダ/ライタ装置(1005)を制御するためのICリーダ/ライタ制御プログラム(1010)が組み込まれてある。
【0006】
一方、前記金融機関から小切手帳の交付を受けた前記金融機関の口座開設者すなわち振出人のいる場所には、図2の2001に示されるコンピュータ本体、そのキーボードおよびディスプレイ装置(2002)および、生体情報センサ(2003)を設置し、コンピュータ本体(2001)の内部には、振出人またはその受取人が有する生体情報を暗号化・復号化するための暗号復号処理プログラム(2004)が組み込まれ、また、接続された生体情報センサ(2003)を制御するための生体情報センサ制御プログラム(1008)と、生体情報センサ(1004)により取得された生体情報が正しい情報であるかどうかを認証するための生体認証プログラム(2006)が組み込まれてある。
【0007】
まず、ある金融機関において、その金融機関に口座を開設している口座開設者に対して小切手帳を交付するとき、小切手帳を構成する小切手1枚1枚に組み込まれたIC(図3、3002)の内部に、それぞれの小切手を識別するためのID番号を図5の5003に示される記憶域に記憶させておく。これは小切手の製造時にROMの形態で記憶させておいても良いし、当該金融機関が図1で示される情報処理システムにおいて1005で示されるICリーダ/ライタ装置を用いて記録しても良い。続いて、図1の1004で示される生体情報センサから、当該小切手帳を交付する先である口座開設者、すなわち振出人の人体の一部の情報を生体情報として読み取る。この生体情報を暗号/復号処理プログラム(1007)を用いて暗号化し、前記の小切手帳において当該小切手帳を構成する全ての小切手内に組み込まれたIC(図3、3002)に対し、図1、1005で示されるICリーダ/ライタ装置を用いて、図5の5004に示される振出人の生体情報記憶域に記録する。この時の記録方法としては、図4を用いて以下に述べる。図4、4001で示される複数の小切手(4001)を束ねた小切手帳(4004)を、図1、1005で示されるICリーダ/ライタ装置にセットし、図4の4005で示されるICリーダ/ライタ装置のアンテナから、4004で示される小切手帳の各小切手のアンテナ(4003)にデータが電磁波として伝えられ、図4、4002で示されるICチップ内の図5、5004に示される振出人の生体情報記憶域に記録する。このとき、小切手帳を構成する各小切手に組み込まれたアンテナ(4003)は、小切手のどの位置に配置されていても構わないが、アンテナ4003の配置は、全ての小切手において製造時に同じ位置に配置する。前記方法によって複数の小切手、即ち、小切手帳の各小切手に対して同一の情報を同時に書き込むことが可能である。
【0008】
一方、金融機関に設置された情報処理システム(図1)では、小切手へのデータ記録処理と同時に、当該小切手手帳の一連の小切手のID情報と、交付先である口座開設者即ち振出人を特定できる口座番号と氏名情報を関連付けし、図10の10001〜10004デ示される小切手情報テーブルの形式で、図1、1006で示される個人情報/小切手情報格納用記憶装置に格納される。ここで、10004で示される無効フラグ情報格納フィールドは、もしも、小切手帳の交付を受けた振出人が当該小切手帳を紛失し、交付元である当該金融機関にその旨が届けられたとき、図1に示される情報処理システムにより、交付した一連の小切手のID情報に対応するレコードの当該フィールドに、当該小切手が無効である旨の「on」という情報がセットされる。情報の内容は「on」以外にも無効/有効が判別できれば、どのような内容であっても構わない。
【0009】
また、口座開設者は、当該口座の開設時に、図1で示される情報システムにより、口座番号と関連付けして口座開設者本人の生体情報を生体情報センサから読み取り(図1、1004)、図11の11001、11002で示されるような生体情報テーブルの形式にて、図1、1006に示される個人情報/小切手情報格納用記憶装置に格納される。この時に口座開設者本人の生体情報は、暗号化されていても暗号化されていなくてもどちらのケースであっても構わない。
【0010】
次に、小切手の交付を受けた振出人のいる場所には、予め、図2に示される情報処理システムを設置しておき、振出人が受取人に対して小切手を振り出す時、図2、2002で示されるキーボード(入力装置)から振り出す金額情報を入力し、2003で示される生体情報センサに受取人本人の体の一部をセットしてもらい、2006で示される生体情報センサ制御プログラムと生体情報センサによって、受取人本人の生体情報がシステム内に取り込まれる。
【0011】
続いて振出人は、振出人自身の体の一部を2003で示される生体情報センサにセットし、同様にして振出人自身の生体情報をシステム内に取り込む。
【0012】
受取人本人および振出人自身の生体情報がシステム内に取り込まれた後、振出人は、前述によって金融機関から交付された小切手帳から任意の小切手1枚を切り離し、図2の情報処理システムの2004で示されるICリーダ/ライダ装置に当該小切手をセットし、小切手への書込み指示を行なう。書込み指示を受け付けたシステムは、予め取り込まれている受取人の生体情報と、振出人の生体情報と振出金額情報を、2005で示される暗号/復号化プログラムにより、3つの情報を1つの情報単位として纏めて、これを暗号化し、2007で示されるICリーダ/ライタ制御プログラムによって、2004のICリーダ/ライダ装置を介して図5、5006に示される小切手に内蔵されたIC内の振出関連情報記憶域に記録する。ICに情報が記録された後、当該ICを有する小切手の表面に、振出人により、金額や振出人情報等必要な情報の書き込みが行なわれた後、受取人に手渡される。
【0013】
当該小切手が前記受取人によって金融機関に持ち込まれた時、金融機関では、当該小切手を、ICリーダ/ライタ装置(図1、1005)にセットし、小切手のIC内のID情報記憶域(図5、5003)に記録された当該小切手のID情報および、振出人生体情報記憶域(5005)に記録された当該小切手の振出人の生体情報および、振出関連情報記憶域(5006)に記録された、暗号化されている受取人の生体情報と振出人の生体情報と振出金額情報を図1、1010で示されるICリーダ/ライタ制御プログラムでそれぞれ読み出す。暗号化されている情報については、図1、1007で示される暗号/復号処理プログラムによって復号化処理を行なう。
【0014】
続いて、受取人は、小切手の振出時に登録した受取人本人の生体情報と同じである体の一部を、生体情報センサ(1004)にセットし、図1、1008で示される生体情報センサ制御プログラムによってその生体情報を読み出す。情報を読み出した後、図1の情報処理システムは、読み出した当該小切手のID情報をキーとして、個人情報/小切手情報格納用記憶装置(1006)内の小切手情報テーブル(図10)を検索し、当該ID情報を有する小切手が有効であるかどうかを、図10、10004で示される無効フラグ情報により判定する。有効であれば、当該小切手の口座開設者の氏名情報(図10、10002)および口座番号情報(図10、10001)とICの振出関連情報記憶域(図5、5006)に記録されていた振出金額情報を、それぞれディスプレイ上(図1、1003)に表示し、当該小切手に表記された振出人と同一であるかどうか、また、振出金額が正しいかどうかが当該金融機関の従業員によって容易に判定可能となる。
【0015】
更に、IC内の振出人 生体情報記憶域(図5、5005)に記録されていた振出人の生体情報と予め個人情報/小切手情報格納用記憶装置(1006)内の生体情報テーブル(図11)に登録されている当該振出人(口座開設者)の生体情報を生体認証プログラム(図1、1009)により認証処理を行ない同一人物であるか判定する。加えて、ICの振出関連情報記憶域(図5、5006)から読み出した当該小切手の振出人の生体情報についても生体情報を生体認証プログラム(図1、1009)により認証処理を行ない同一人物であるか判定する。
【0016】
また、ICの振出関連情報記憶域(図5、5006)から読み出した振出人の生体情報と図1、1004に示される生体情報センサから取得した振出人の生体情報を生体認証プログラム(図1、1009)により認証処理を行ない同一人物であるか判定する。
【0017】
以上に述べた方法において、もしも、振出人側で図2に示される情報処理システムが設置されていない場合には、金融機関においては、持ち込まれた小切手から、交付時点で記録されている当該小切手のID情報および振出人の生体情報を読み出し、これを同様に比較、または、認証を行なうことで、当該小切手が真正であることを確認することが可能である。
【0018】
以上述べた方法によって、受取人により金融機関に持ち込まれた小切手について、それが真正であるかどうかを容易、且つ、厳格に判定を行なえるようになり、小切手の偽造リスクや受取人の成りすまし等のリスクを低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による方法を適用したシステムを提供した場合、小切手内にICを埋め込み、小切手の交付時、状況によっては振出時に必要な情報を記録し、IC内に一度記録された情報は、書き換え不可能とし、金融機関内で予め登録・管理されている情報と突き合わせて認証処理を行なうことにより金融機関においては、持ち込まれた小切手の偽造や、盗難小切手の不正使用や、成りすましを未然に防止することが出来、また、受取人が正しいかどうかを容易に確認することが可能となる。また、振出人においては、盗難、紛失による不正使用等の被害を防ぐ事が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図6、図7、図8、図9のフローチャートにより詳細に説明する。
【0021】
図6のフローチャートは、金融機関内において、当該金融機関で口座を開設した人に対し小切手帳を交付する際の、システムの動作を示したものである。金融機関において図1に示される情報処理システムに接続された生体情報センサ(図1、1004)に、小切手帳を交付する予定の口座開設者、即ち小切手の振出人の体の一部が生体情報センサ(図1、1004即ち、図6、6001)にかざされた時、生体情報センサから当該口座開設者本人の生体情報が読み取られ、これをコンピュータ(図1、1002)が受信する。コンピュータ側において、生体情報が入力されたことが確認されたら(図6、ステップ6002)、次にICが内蔵された小切手帳への当該生体情報の登録指示待ちとなり、ステップ6006、ステップ6007を繰り返す。ところで、前記のステップ6002において、生体情報センサから生体情報が入力されて来なければ、入力されるまで待ち状態になる(ステップ6003)。ステップ6002に続き、もしもその後、キーボード6004から、生体情報登録指示が入力された場合(6005)、ステップ6006でこれを検知し、入力された口座開設者本人の生体情報を暗号化し(ステップ6008)、その後暗号化した当該生体情報をICリーダ/ライタ装置(6010)に送信し、図4に示される形で当該小切手帳を構成する全ての小切手に内蔵されたICに書き込みを行なう(ステップ6009)。ここでは、小切手帳を構成する各小切手に内蔵されているそれぞれのIC内には、予め小切手を識別するID情報が既に書き込まれていることを前提としている。図6に示される方処理が完了すると金融機関は当該小切手を前記口座開設者に交付する形となる。
【0022】
次に、当該小切手帳の交付を受けた口座開設者、即ち振出人(以下、振出人として述べる)が、特定の金額を受け取る受取人に対して小切手を振り出す時における、振出人側に設置された情報処理システム(図2)の処理の流れについて図7のフローチャートに従って説明する。図2で示される振出人側に設置された情報処理システムにおいて、振出人は、受取人に対して、生体情報センサ(図2、2003即ち、図7、7003)に受取人の体の一部をかざすように促され、受取人身の体の一部が生体情報センサ(7003)にかざされ、振出人により、キーボード(図2、2002即ち、図7、7004)から受取人の氏名などの当該生体情報の保持者を識別する情報が入力されると、当該受取人の生体情報およびこの生体情報の保持者情報即ち当該受取人を識別する情報が入力されたことをコンピュータ側では検知する(図7ステップ7002、7006、7007)。もしも検知されない時は、入力待ちを続ける(ステップ7001)。ステップ7006において入力が検知されると、コンピュータ側では、入力された情報が振出人の生体情報か受取人の生体情報か、或いは、振出金額情報なのかを、入力された情報から判別し(ステップ7006、7007、7008)、振出人の生体情報と受取人の生体情報と振出金額情報の全ての情報が入力されるまで入力待ちを続ける(ステップ7001)。前記の受取人の生体情報取得処理と方法で振出人本人の生体情報と受取人本人を識別する情報についても生体情報センサ(7003)とキーボード(7004)によりコンピュータに入力される(図7ステップ7002、7006)。振出人本人によりキーボード(7004)から振出金額情報が入力されると、これも同様にコンピュータ内に保持される(図7、ステップ7005、7006、7007、7008)。前記の受取人の生体情報とその識別情報、振出人の生体情報とその識別情報、振出金額情報の全ての情報の入力が完了すると、コンピュータは小切手のICへの情報の書き込み指示待ちとなる(ステップ7009、7011)。ここで振出人により、金融機関から交付された当該小切手帳から任意の小切手1枚を切り出しICリーダ/ライタ装置(7014)に小切手がセットされ、キーボード(7004)から当該振出人によってICへの書き込み指示が入力された時(ステップ7010)、コンピュータはICへの書き込み指示を受信すると(ステップ7011)、保持していた振出人の生体情報(および識別情報)、受取人の生態情報(および識別情報)、振出金額情報を、纏めて暗号化し、1つのデータファイルとして加工する(ステップ7012)。続いて、暗号化された前記情報は、ICリーダ/ライタ装置(7014)を介して、小切手内のICに書き込みを行なう(ステップ7014)。
【0023】
次に、前記振出人から振り出された小切手を受け取った前記受取人により、当該小切手が前記金融機関に持ち込まれた時に、図1に示される当該金融機関内に設置された情報処理システムを用いて、持ち込まれた当該小切手の真正を確認する一連の処理の流れについて、図8および図9のフローチャートを用いて説明する。受取人により持ち込まれた当該小切手が、図1に示される情報処理システムのICリーダ/ライタ装置(図1、1005即ち、図8、8005)にセットされ、当該金融機関の社員または行員によって、キーボード(図1、1002即ち、図8、8002)から、当該小切手に内蔵されたIC内に記録された情報の読み出し指示がキーボード(図1、1003即ち、図8、8005)から入力されたとき、イベント待ち状態(図8、ステップ8001、8003)である金融機関内のコンピュータは、ICからの読み出し指示イベントを検出し(ステップ8003)、ICリーダ/ライタ装置(図8、8005)に対して、IC内に記録された当該小切手IC内のID情報記憶域(図5、5003)に記録された当該小切手のID情報、振出人 生体情報記憶域(図5、5005)に記録された振出人の生体情報、および、振出関連情報記憶域(図5、5006)に記憶された、暗号化されている振出人の生体情報(およびその識別情報)、受取人の生体情報(およびその識別情報)、振出金額情報の読み出し指示を行なう(図8、ステップ8004)。ICリーダ/ライタは読み出し指示を受信し、当該小切手に内蔵されたICから、前述の情報、即ち、当該小切手のID情報、交付時に記録された振出人の生体情報、および、振出時に記録された、暗号化されている振出人の生体情報(およびその識別情報)、受取人の生体情報(およびその識別情報)、振出金額情報を読み出し、コンピュータに情報を通知する(ステップ8007)。読み出された一連の情報を受信するまでの間コンピュータ側は受信待ちとなる(ステップ8006)。コンピュータが、ステップ8007で返された一連の情報を受信すると(ステップ8008)、受信した当該小切手のID情報をキーにして、個人情報/小切手情報格納用記憶装置(図1、1006即ち、図8、8010)内に保持されている小切手情報テーブル(図8、8011即ち、図10)から、当該小切手ID情報に対応した口座番号(図10、10001)、口座開設者氏名(図10、10002)、無効フラグ(図10、10004)を検索する(ステップ8009)。検索した結果、もしも情報がヒットしなければ、ディスプレイ画面(図1、1003)に検索がヒットしなかった旨を表示し一連の処理を終了する(図8、ステップ8014)。ステップ8012において、検索した結果、情報がヒットすれば、検索結果から無効フラグ情報を取り出し、フラグ情報が無効、即ち、このケースでは「on」となっていないかを判定する(ステップ8013)。勿論、無効フラグ情報は有効か無効かを判別するための情報であるので、この目的を満たせばどのような情報形態であっても構わない。ステップ8013においてもしも無効、即ち「on」となっていれば、ディスプレイ上に当該小切手が向こうである旨のメッセージを表示し、一連の処理を終了する(ステップ8014)。無効でなければ、図9で示されるフローチャートの処理に移り、前のステップで検索した結果情報の1つである、当該小切手の振出人の口座番号情報をキーにして、個人情報/小切手情報格納用記憶装置(図1、1006即ち、図9、9002)内に保持されている生体情報テーブル(図9、9003即ち、図11)から、当該口座番号に対応した当該口座開設者の生体情報(図11、11002)を検索する(ステップ9001)。
【0024】
交付された小切手帳から任意の小切手1枚を切り出し、クレジットカード会社が所有または管理するコンピュータとのセッション終了処理を行ない(5003)、一連の処理を終了する。検索した結果、もしも情報がヒットしなかったら(図9、ステップ9004)、ディスプレイ画面(図1、1003)上に検索がヒットしなかった旨を表示し、一連の処理を終了する(図8、ステップ8014)。ステップ9004において、検索した結果、情報がヒットすれば、この生体情報をシステム内に保持しておき、前述の図8、ステップ8007で検索した結果情報である、暗号化されている振出人の生体情報(およびその識別情報)、受取人の生体情報(およびその識別情報)、振出金額情報を復号化する(図9、ステップ9005)。復号化した結果、得られた振出金額情報はディスプレイ上に表示し(ステップ9006)、当該金融機関の社員(行員)が当該小切手に表記されている金額情報と相違ないかの確認作業を容易化にする。次に、ステップ9001での検索の結果、得られた図11の110022に示される当該口座開設者の生体情報と、当該小切手のIC内の振出人 生体情報記憶域(図5、5005)に記録されていた生体情報とが一致するかどうかの、認証処理を行なう(図9、ステップ9007)。認証の結果、失敗したときは(ステップ9008)、ディスプレイ画面(図1、1003)上に振出人の認証処理が失敗した旨を表示し、一連の処理を終了する(図8、ステップ8014)。図9、ステップ9008において、認証が成功すれば、コンピュータは、生体情報センサ(図1、1004即ち、図9、9011)から、当該小切手の受取人の生体情報の入力待ち状態となる(図9、ステップ9009、9012)。前記受取人が、当該金融機関の情報処理システムの生体情報センサ(図1、1004即ち、図9、9011)に体の一部をかざし、生体情報が入力されたとき(図9、ステップ9010、9012)、ステップ9010で入力された当該受取人の生体情報と、図8、ステップ8007で読み出され、図9、ステップ9005で復号化された受取人の生体情報とで一致するかどうかの認証処理を行なう(図9、ステップ9013)。認証の結果、失敗したときは(ステップ9014)、ディスプレイ画面(図1、1003)上に振出人の認証処理が失敗した旨を表示し、一連の処理を終了する(図8、ステップ8014)。図9、ステップ9014において、認証が成功すれば、コンピュータは、ディスプレィ上に認証処理が成功した旨を表示し、一連の処理を終了する(図9、ステップ9015)。
【0025】
以上述べた実施例では、小切手内に記録された、ID情報、交付時に記録された振出人の生体情報、小切手の振出時に記録された、受取人の生体情報、および振出人の生体情報、振出金額情報等の一連の情報を利用して、認証処理を行い、当該小切手が真正であるかの確認方法を示したものであるが、もしも、振出人側に図2に示されるような情報処理システムが存在しない場合には、小切手の交付時に、図5で示される各小切手のIC内において予め図5、5003のID情報記憶域に記録されている当切手のID情報、および、図5、5005の振出人 生体情報記憶域に記録されている振出人の生体情報を用いて、認証処理を実施し、その他の情報に関する認証処理を省略したケースでも構わない、即ち当該小切手が真正であることが確認できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実現するための、金融機関内に設置した情報処理システムの構成の一例を示した、システム構成図。
【図2】本発明を実現するための、振出人が管理する情報処理システムの構成の一例を示した、システム構成図。
【図3】本発明による、小切手の内部構造の一例を示した図。
【図4】本発明による、小切手帳へのデータ登録の実施の一例を示した図。
【図5】本発明による、小切手内に内蔵されたICの内部構造の一例を示した図。
【図6】本発明による、実施の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明による、実施の一例を示すフローチャートの続き。
【図8】本発明による、実施の一例を示すフローチャートの続き。
【図9】本発明による、実施の一例を示すフローチャートの続き。
【図10】本発明を実現するための、金融機関内の情報処理システムの管理する小切手情報テーブルの一例を示した図。
【図11】本発明を実現するための、金融機関内の情報処理システムの管理する生体情報テーブルの一例を示した図。
【符号の説明】
【0027】
1001…金融機関、1002…金融機関内に設置した情報処理システムのコンピュータ本体(CPU装置)、1003…キーボードおよびディスプレイ装置、1004…生体情報センサ、1005…ICリーダ/ライタ装置、1006…個人情報/小切手情報格納用記憶装置、1007…暗号/復号処理プログラム、1008…生体情報センサ制御プログラム、1009…生体認証プログラム、1010…ICリーダ/ライタ制御プログラム、2001…振出人側に設置された情報処理システムのコンピュータ本体(CPU装置)、2002…キーボードおよびディスプレイ装置、2003…生体情報センサ、2004…暗号/復号処理プログラム、2005…生体情報センサ制御プログラム、2006…生体認証プログラム、3001…小切手、3002…非接触型IC、3003…非接触型IC用アンテナ、4001…小切手、4002…非接触型IC、4003…非接触型IC用アンテナ、4004…小切手帳、4005…ICリーダ/ライタ装置に付随するデータ 読み書き用アンテナ、5001…非接触型IC、5002…小切手のID情報格納用記憶部(ROMまたはPROM)、5003…ID情報記憶域、5004…記憶部(PROM)、5005…振出人 生体情報記憶域、5006…振出関連情報記憶域、5007…内部バス、5008…演算/制御部、5009…I/O制御部、5010…アンテナ、10001…小切手情報テーブル内の口座番号情報格納フィールド、10002…小切手情報テーブル内の口座開設者氏名情報格納フィールド、10003…小切手情報テーブル内の小切手ID情報格納フィールド、10004…小切手情報テーブル内の無効フラグ情報格納フィールド、11001…生体情報テーブル内の口座番号情報格納フィールド、11002…生体情報テーブル内の口座開設者情報格納フィールド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICに情報を読み書きが可能なリーダ/ライタ装置と、生体情報センサと、前記リーダ/ライタ装置および生体情報センサと接続して、当該リーダ/ライタ装置および生体情報センサを制御し、生体情報とID情報を記憶し、生体認証プログムおよび暗号処理プログラムを内蔵したコンピュータから構成されるシステムにおいて、金融機関内に前記システムを設置しておき、
情報の追記が可能で且つ、一度記録された情報は修正不能である小型の非接触I型Cが内蔵された小切手を用意し、
当該小切手内の非接触型IC内にそれぞれ固有のID情報を予め記憶させておき、当該小切手の交付時に、交付する複数の小切手のそれぞれのID情報を、交付先本人を特定できる情報と関連付けしてコンピュータ内に予め登録しておき、
生体情報センサによって、交付先である小切手振出人本人の生体情報を取得し、前記生体情報を暗号化し、交付先本人を特定できる情報と関連付けてコンピュータ内に登録しておき、
当該交付先に交付する全ての小切手に内蔵された全ての非接触型IC内に、暗号化された前記生体情報を暗号化して記録しておき、
受取人が、金融機関に前記小切手を持ち込んだとき、前記小切手に内蔵されたICから小切手のID情報と、暗号化された振出人の生体情報をリーダ/ライタ装置により読み出し、当該コンピュータにより暗号を復号化し、予め当該コンピュータ内に記録されていたID情報と、生体情報を検索し、生体情報については生体認証処理を行ない、当該小切手の振出人が、当該小切手に表記されている振出人と同一であるかどうかの確認が容易に行なえることで、当該小切手が真正であるかどうか判定できることを特徴とする、ICを用いた小切手の真正確認方法。
【請求項2】
前記請求項1において、前記システムを小切手振出人が所在する場所にも設置しておき、小切手振出時に、受取人の生体情報を生体情報センサより読み取り
これを暗号化し小切手に内蔵された非接触型IC内に記録し、
受取人が、前記小切手を金融機関に持ち込んだとき、前記小切手に内蔵されたICから小切手の交付時に予め記録されていた小切手のID情報および暗号化された振出人の生体情報と、小切手の振出時に記録された受取人の生体情報をリーダ/ライタ装置により読み出し、暗号化された情報については復号化処理を行ない、予め当該コンピュータ内に記録されていたID情報と生体情報を検索し、生体情報については認証処理を行ない、振出人が同一であるかを判定し、
金融機関内のシステムに接続された生体情報センサから受取人の生体情報を取得し、当該小切手に記録された受取人の生体情報と一致するか否かの生体認証処理を行ない、当該小切手の振出人および受取人が、当該小切手に表記されている振出人および受取人とそれぞれ同一であるかどうかの確認を容易に行なえることで、当該小切手が真正であるかを判定できることを特徴とする、ICを用いた小切手の真正確認方法。
【請求項3】
前記、請求項2において、小切手の振出時に、振出人の生体情報と受取人の生体情報を生体情報センサから読み取り、2つの生体情報を合わせてこれを一緒に暗号化し、小切手に内蔵された非接触型IC内に記録し、
受取人が、前記小切手を金融機関に持ち込んだとき、前記小切手に内蔵されたICから小切手の交付時に予め記録されていたID情報と暗号化された振出人の生体情報、および、小切手の振出時に記録された受取人および振出人の暗号化された生体情報をリーダ/ライタ装置より読み出し、暗号情報は復号化処理を行ない、予め当該コンピュータ内に記録されていたID情報と生体情報を検索し、生体情報については認証処理を行ない、小切手内のICに記録されている2つの振出人の生体情報がそれぞれ同一であるかを判定し、
金融機関内のシステムに接続された生体情報センサから受取人の生体情報を取得し、当該小切手内のICに記録された受取人の生体情報と一致するか認証処理を行ない、当該小切手の振出人および受取人が、当該小切手に表記されている振出人および受取人とそれぞれ同一であるかどうかの確認を容易に行なえることで、当該小切手が真正であるかを判定できることを特徴とする、ICを用いた小切手の真正確認方法。
【請求項4】
前記、請求項3において、小切手の振出時に、システムから入力した振出金額情報と、生体情報センサから入力された受取人の生体情報と振出人の生体情報の、3つの情報を合わせてこれを一緒に暗号化し、小切手に内蔵された非接触型IC内に記録し、
受取人が、前記小切手を金融機関に持ち込んだとき、前記小切手に内蔵されたICから小切手の交付時に予め記録されていたID情報と暗号化された振出人の生体情報、および、小切手の振出時に暗号化し記録された受取人、振出人それぞれの生体情報および振出金額情報をリーダ/ライタ装置より読み出し、暗号情報については復号化処理を行ない、予め当該コンピュータ内に記録されていたID情報と生体情報を検索し、生体情報については認証処理を行ない、小切手内のICに記録されている2つの振出人の生体情報がそれぞれ同一であるかを判定し、
金融機関内のシステムに接続された生体情報センサから受取人の生体情報を取得し、当該小切手内のICに記録された受取人の生体情報と一致するか認証処理を行ない、当該小切手の振出人および受取人が、当該小切手に表記されている振出人および受取人および振出金額がそれぞれ同一であるかどうかの確認を容易に行なえることで、当該小切手が真正であるかを判定できることを特徴とする、ICを用いた小切手の真正確認方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−156664(P2007−156664A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348625(P2005−348625)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】