説明

PCV2免疫原性組成物および組成物を製造する方法

【課題】ブタサーコウイルス2型に由来するオープンリーディングフレーム2によって発現されるタンパク質を回収するための改良された方法を提供する。
【解決手段】この方法は概して、オープンリーディングフレーム2をコードする配列を含む組換えウイルスを、培地に含まれる細胞に、トランスフェクトし、ウイルスにオープンリーディングフレーム2を発現させ、発現されるタンパク質を上清中で回収するステップを含む。この回収は、十分量の組換えタンパク質を発現させ、細胞から培地中に分泌させるために、細胞に感染してから約5日後から開始するべきである。そのような方法によって、組換えタンパク質を細胞内から分離して回収するために必要な、費用と時間がかかる回収手順を避けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本出願は2004年12月30日出願の仮出願番号60/640,510及び2005年1月31日に出願の出願番号11/034,737の優先権を主張し、それらの教示と内容はここに参照により取り込まれる。
【0002】
配列表
この出願は紙面及びコンピューターで読めるフォーマットの配列表を含み、その教示と内容はここに参照により取り込まれる。
【0003】
発明の背景
発明の分野
本発明の一態様は、ブタサーコウイルス2型(PCV2)のオープンリーディングフレーム2(ORF2)によって発現されるタンパク質の回収に関する。
【0004】
より詳細には、タンパク質はブタサーコウイルス2型の組換えコード配列、オープンリーディングフレーム2を含むトランスフェクトされたウイルスにより発現される組換えタンパク質である。
【0005】
よりさらに詳細には、トランスフェクトされたウイルスは培地中の細胞に感染させられ、オープンリーディングフレーム2によって発現されるタンパク質が、細胞の内部よりもむしろ、上清中で回収される。
【0006】
よりいっそう詳細には、この方法はブタサーコウイルス2型由来オープンリーディングフレーム2遺伝子を増幅し、この増幅された部分を最初のベクターにクローニングし、オープンリーディングフレーム2部分を最初のベクターから切り出してそれを運搬ベクターにクローニングし、運搬ベクターをウイルスベクターとともに倍地中の細胞にコトランスフェクトし、細胞にウイルスベクターによる感染を引き起こしてそれによってオープンリーディングフレーム2を発現させ、そして、発現されたオープンリーディングフレーム2にコードされる組換えタンパク質を上清中で回収するステップを含む。
【0007】
別の態様では、本発明はPCV2に対する免疫応答を誘導するのに有効な免疫原性組成物、及びそれらの免疫原性組成物を製造する方法に関する。
【0008】
より詳細には、本発明はその組成物を与えられる動物を防御し、PCV2感染に関連する臨床症状の重篤さを減らす又軽くする免疫応答をもたらすために有効な免疫原性組成物に関する。よりさらに詳細には、本発明はPCV2による感染に対する有効な防御を与えるタンパク質ベースの免疫原性組成物に関する。
【0009】
よりいっそう詳細には、本発明は、PCV2−ORF2の投与がPCV2による感染に対する防御をもたらす、PCV2のORF2を含んでなる免疫原性組成物に関する。
【0010】
最も詳細には、本発明は免疫原性組成物を与えられるブタに効果的な免疫を与えるために有効な免疫原性組成物に関し、ここで、その組成物はPCV2のORF2によって発現されるタンパク質を含んでなる。
【0011】
先行技術の記載
ブタサーコウイルス2型(PCV2)は小さな(直径17〜22μm)、正二十面体(イコサヘドラル)の、エンベロープがないDNAウイルスであり、一本鎖の環状ゲノムをもつ。PCV2は、ブタサーコウイルス1型とおよそ80%の配列同一性をもつ。
【0012】
しかしながら、概して非病原性のPCV1とは対照的に、PCV2に感染したブタは、離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)と通常いわれる症候群を呈する。PMWSは臨床的に、削痩、皮膚の蒼白、増体重の減少、呼吸困難、下痢、及び黄疸によって特徴付けられる。
【0013】
感染ブタでは、全ての症状の組合せが現れるものもあるが、1または2の症状しかないものもある。解剖中に、微視的及び巨視的な病変もまた複数の組織や器官に現れ、リンパ器官が最も普通の病変の部位である。
【0014】
PCV2の核酸の量又は抗原と微視的なリンパ病変の間に、強い相関が観察される。PCV2に感染したブタの死亡率は80%に達しうる。
【0015】
PMWSに加え、PCV2は、オーエスキー病、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)、グレーサー病、連鎖球菌性髄膜炎、サルモネラ症、大腸菌症、肝臓症及び化膿性気管支肺炎を含む、他のいくつかの感染症に関係している。
【0016】
PCV2のオープンリーディングフレーム2(ORF2)は、SDS−PAGEゲルで泳動したときに分子量約30kDaをもち、以前から、PCV2に対するワクチンの抗原成分として扱われてきた。そのようなワクチンで使用するためのORF2を得る代表的な方法は、一般に、ORF2をコードするPCV2のDNAを増幅し、ウイルスベクターにORF2 DNAをトランスフェクトし、ORF2 DNAを含むウイルスベクターを細胞に感染し、細胞中でウイルスにORF2タンパク質を発現させ、そして、細胞溶解によってORF2タンパク質を細胞から抽出することからなる。
【0017】
これらの手順は概してウイルスベクターによる細胞の感染後、約4日間までを必要とする。しかしながら、これらの手順は抽出手順が費用と時間の両方がかかるという点において、欠点を有している。その上、細胞から回収されるORF2の量がそれほど多くない;従って、十分な量の組換え発現タンパク質をワクチンその他に使用するために得るために、多数の細胞が多数のウイルスベクターによって感染される必要がある。
【0018】
PCV2の免疫化に対する現在のアプローチは、米国特許第6,703,023号のような、DNAベースのワクチンを含む。しかしながら、そのようなワクチンはPCV2感染及びそれに伴う臨床症状に対する防御免疫を与える際に有効ではなかった。
【0019】
従って、当該技術分野において必要なものは、ORF2タンパク質を感染細胞内からORF2タンパク質を抽出することを要しない、ORF2タンパク質を得る方法である。さらに必要なものは、組換えORF2タンパク質をワクチン組成物を効果的に調製するのに十分な量得る方法である。
【0020】
よりさらに必要なものは、現在のORF2タンパク質抽出プロトコールには不可欠な、複雑で人手がかかる方法を要しないORF2タンパク質を得る方法である。最後に、組成物に関しては、当該技術分野において必要なものは、PCV2感染に対する防御免疫を与え、それに関する臨床症状の重さを軽くする、又は防ぐ、免疫原性組成物である。
【0021】
発明の要約
本発明は先行技術に内在する課題を克服し、技術水準に明確な進歩を提供する。詳細に述べると、本発明の一態様は組換えPCV2 ORF2タンパク質を生産及び/又は回収するための改良された方法を、i)ORF2タンパク質が組換えウイルスベクターによって発現される、培養中の感受性細胞にPCV2 ORF2 DNAをコードする配列を含む組換えウイルスベクターを感染させること、及びii)その後、ORF2を上清中で回収すること、によって提供する。
【0022】
細胞内からPCV2 ORF2を抽出する典型的な以前のPCV2 ORF2回収プロセスを越えて、感染とそれに続く感染細胞のインキュベーションが行われれば、ORF2が大量に上清中に放出されることが、予期せず知見された。さらに、驚くべきことに、PCV2 ORF2タンパク質は生産細胞外での通常の分解に対して強いということが知見された。
【0023】
2つの知見によって、大量のPCV2 ORF2タンパク質をPCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2タンパク質を発現する組換えウイルスベクターに感染した細胞培養の上清から回収することができる。大量のPCV2 ORF2タンパク質とは、約20μg/mL上清を超えること、好ましくは約25μg/mL超、よりいっそう好ましくは約30μg/mL超、よりいっそう好ましくは約50μg/mL超、よりいっそう好ましくは約60μg/mL超、よりいっそう好ましくは約80μg/mL超、よりいっそう好ましくは約100μg/mL超、よりいっそう好ましくは約150μg/mL超、最も好ましくは約190μg/mL超を意味する。これらの発現率はまた、例えば、実施例1から3に記載される方法によって達成することもできる。
【0024】
好ましい細胞培養は約0.3〜2.0×10細胞/mLの間の、より好ましくは0.35〜1.9×10細胞/mLの、よりさらに好ましくは約0.4〜1.8×10細胞/mLの、よりいっそう好ましくは約0.5〜1.5×10細胞/mLの細胞数カウントをもつ。
【0025】
好ましい細胞は当業者によって決定可能である。好ましい細胞は、PCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2タンパク質を発言する、適切な組換えウイルスベクターの感染に感受性のものである。好ましくは、細胞は昆虫細胞であり、より好ましくは、それらは、Sf+昆虫細胞(プロテインサイエンスコーポレーション、メリデン、CT)の商標の下に販売される昆虫細胞を含む。
【0026】
適切な培地もまた、いわゆる当業者によって、好ましい培地はエクセル420(JRHバイオサイエンス、レネクサ、KS)その他のような無血清昆虫細胞培地であると、決定されるだろう。
【0027】
好ましいウイルスベクターは、特に生産細胞が昆虫細胞ならば、バキュロゴールド(BDバイオサイエンス、ファーミンゲン、サンディエゴ、CA)のようなバキュロウイルスを含む。バキュロウイルス発現系が好ましいが、当業者によって他の発現系も本発明の目的、つまり、PCV2 ORF2の細胞培養上清中への発現、のために利用できると理解される。そのような他の発現系では、ORF2の培地中への発現を引き起こすために、シグナル配列が必要かもしれない。
【0028】
驚くべきことに、ORF2がバキュロウイルス発現系で生産されるとき、培地中へのORF2の発現を引き起こすために、いかなるシグナル配列又はさらなる改変が必要とされないということが知見された。このタンパク質は独立にウイルス様粒子を形成でき(Journal of General Virology Vol. 81, pp. 2281〜2287 (2000))、培養上清に分泌されると信じられている。
【0029】
PCV2 ORF2 DNA配列を含む組換えウイルスベクターは、感受性細胞の感染に使用されるとき、約0.03〜1.5の好ましい多重感染度(MOI)を、より好ましくは約0.05〜1.3の、よりさらに好ましくは約0.09〜1.1の、そして、最も好ましくは約0.1〜1.0のものをもつ。好ましくは、上記のMOIは1mLの細胞培養液に関する。
【0030】
好ましくは、ここに記載の方法は、0.35〜1.9×10細胞/mLの、よりさらに好ましくは約0.4〜1.8×10細胞/mLの、よりいっそう好ましくは約0.45〜1.7×10細胞/mLの、そして最も好ましくは約0.5〜1.5×10細胞/mLの細胞に、約0.03〜1.5の間の、より好ましくは約0.05〜1.3の、よりさらに好ましくは約0.09〜1.1の、そして最も好ましくは約0.1〜1.0のMOI(多重感染度)をもつ、PCV2 ORF2 DNAを含みPCV2 ORF タンパク質を発現する組換えウイルスベクターが感染することを含んでなる。
【0031】
感染した細胞はそれから、10日間まで、より好ましくは約2日間から約10日間、よりさらに好ましくは約4日間から約9日間、よりさらに好ましくは約5日間から約8日間の期間にわたってインキュベートされる。好ましいインキュベーション条件は、約22〜32℃の間の、より好ましくは約24℃から30℃の、よりさらに好ましくは約25〜29℃の、よりいっそう好ましくは約26〜28℃の、そして最も好ましくは約27℃の温度を含む。
【0032】
好ましくは、Sf+細胞は接種に続き、バキュロウイルスによって誘導される特徴が観察される。そのような観察は細胞密度の変化及び感染後期間中の生存率減少のモニタリングを含んでもよい。ウイルスタイターのピークが感染後3〜5日後に観察され、ORF2の細胞から上清中へのリリースのピークが5日目と8日目の間、及び/又は細胞生存率が10%未満に減少したときに得られることが知見された。
【0033】
そして、本発明の一態様は、組換えPCV2 ORF2タンパク質の生産及び/又は回収の、好ましくは上述の量における、改良された方法を、i)多数の感受性細胞(上記を見よ)に上で定義されるMOIをもつ組換えウイルスベクターを培養中で感染させること、ii)PCV2 ORF2タンパク質を組換えウイルスベクターによって発現させること、及びiii)その後、PCV2 ORF2タンパク質、を感染後5日目と8日目の間、及び/又は細胞生存率が10%未満に減少するときに得られる細胞の上清から回収すること、によって提供する。
【0034】
好ましくは、組換えウイルスベクターは、PCV2 ORF2 DNAをコードする配列を含む組換えバキュロウイルスであり、細胞はSf+細胞である。さらに、培養はコンタミネーションの巨視的及び微視的な兆候、又は細胞形態の非定型的な変化を、感染後期間中定期的に検査をされることが好ましい。何らかのコンタミネーションを示す培養は廃棄されるべきである。好ましくは、発現されるORF2組換えタンパク質は、細胞によって、細胞の生存を維持する周囲の培地に分泌される。ORF2は、その後、細胞そのものからよりもむしろ、細胞を取り囲む上清中から回収される。
【0035】
回収プロセスは好ましくは、分離ステップによる培地中に発現されたORF2からの細胞片の分離から始まる。好ましい分離ステップは、ろ過、約20,000×gまでのスピードでの遠心分離、連続フロー遠心分離、イオン交換又はゲルろ過を用いるクロマトグラフィーによる分離、及びコンベンショナルなイムノアフィニティ法を含む。
【0036】
これらの方法は、例えば、(ハリスとエンジェル(編集)、タンパク質精製法―実践的アプローチ、IRLプレス、オックスフォード、1995)によって、いわゆる当業者には公知である。最も好ましい分離法は、約20,000×gまでの回転数での遠心分離及びろ過を含む。
【0037】
好ましいろ過法は、中空糸ろ過閉端精密ろ過を含む閉端精密ろ過及びタンジェンシャルフロー(又はクロスフロー)ろ過である。もちろん、閉端精密ろ過が好ましい。閉端精密ろ過のための好ましいポアサイズは、約0.30〜1.35μm、より好ましくは約0.35〜1.25μm、よりさらに好ましくは約0.40〜1.10μm、及び最も好ましくは約0.45〜1.0μmである。いかなるコンベンショナルなろ過膜でも本発明の目的のために使うことができ、ポリエーテルスルホン膜が好ましいと信じられる。どんな低分子量の核酸種であってもろ過ステップの間に除去される。
【0038】
そして、本発明のさらに別の態様は、組換えPCV2 ORF2タンパク質の製造及び/又は回収の、好ましくは上述の量における、改良された方法を、i)多数の感受性細胞(上記を見よ)を上で定義されるMOIをもつ組換えウイルスベクターに培養中で感染させること、ii)PCV ORF2タンパク質を組換えウイルスベクターによって発現すること、iii)PCV2 ORF2タンパク質を、感染後5日目と8日目の間及び/又は細胞生存率が10%未満に減少するときに得られる細胞の上清中で回収すること、及びiv)細胞片を発現されたPCV2 ORF2から分離ステップで分離すること、によって提供する。
【0039】
好ましくは、組換えウイルスベクターが、ORF2 DNAをコードする配列を含むバキュロウイルスであり、細胞がSF+細胞である。好ましい分離ステップは上に記載のものである。約0.30〜1.35μmの、より好ましくは約0.35〜1.25μmの間の、よりさらに好ましくは約0.40〜1.10μmの間の、そして最も好ましくは約0.45〜1.0μmの間のポアサイズを有する膜を使用する閉端精密ろ過が最も好ましい。
【0040】
ワクチンのような免疫原性又は免疫学的組成物に使用されるであろうPCV2 ORF2を回収するためには、ウイルスベクターを不活化するために不活化ステップを含むことが好ましい。
【0041】
“免疫原性又は免疫学的組成物”とは、ホストの体内で対象の組成物又はワクチンに対する細胞性及び/又は抗体による免疫応答の免疫学的応答を誘導する少なくとも1つの抗原を含んでなる物質の混合物をいう。
【0042】
通常、“免疫学的反応”は、1又は2以上の次の効果を含むが、これらに限定されない:対象の組成物又はワクチン中に含まれる抗原に特異的に誘導された、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、及び/又は細胞傷害性T細胞及び/又はyd T細胞の生産又は活性化。
【0043】
好ましくは、ホストは新しい感染に対する抵抗性が増大される及び/又は病気の臨床的重篤さが軽減されるというような治療的あるいは防御的な免疫学的応答を示す。そのような防御は感染ホストによって普通示されるに症状が軽減あるいは無いこと、より迅速な回復時間及び/又は感染ホスト内のより低レベルのウイルスタイターよって示されるだろう。
【0044】
そして、本発明はまた、組換えPCV2 ORF2たんぱく質の、好ましくは上述の量における、生産及び/又は回収の、i)多数の感受性細胞(上記を見よ)に先に定義されたMOIをもつ組換えウイルスベクターを培養中で感染させること、ii)PCV2 ORF2タンパク質を組換えウイルスベクターによって発現すること、iii)感染後5日目と8日目の間及び/又は細胞生存率が10%未満に減少するときに得られる細胞の上清中でPCV2 ORF2を回収すること、iv)分離ステップにより細胞片を発現されたPCV2 ORF2から分離すること、及びv)組換えウイルスベクターを不活化すること、による方法に関する。
【0045】
好ましくは、この不活化はろ過ステップの直前あるいは、ろ過ステップの後に不活化のために好ましい時間があれば、直後に行われる。いかなるコンベンショナルな不活化法が本発明の目的のために使用できる。そして、不活化は化学的及び/または物理学的処理によって行われうる。
【0046】
好ましい形態では、回収液の容量が決定され、温度が約32〜42℃の間、より好ましくは約34〜40℃の間、及び最も好ましくは35〜39℃の間に引き上げられる。
【0047】
好ましい不活化ステップは環化されたバイナリエチレンイミン(BEI)を、好ましくは、約1から約20mMの、好ましくは約2から約10mMの、よりさらに好ましくは約2から約8mMの、よりさらに好ましくは約3から7mMの、最も好ましくは約5mMの濃度で加えることを含む。
【0048】
例えば、不活化は2−ブロモエチレンアミン臭化水素酸塩の溶液を、好ましくは約0.4Mの、環化して0.2Mバイナリエチレンイミン(BEI)の0.3N NaOH溶液となる、溶液を、約5mMのBEI終濃度を与えるように液に加えることを含む。好ましくは、液はそれから72〜96時間連続的に撹拌され、不活化された回収液は凍結して−40℃以下、又は1〜7℃の間で保存できる。
【0049】
不活化が完了の後、チオ硫酸ナトリウムが、好ましくは1.0Mのものが、残りのBEIを中和するために加えられる。好ましくは、チオ硫酸ナトリウムは不活化のために先に加えられたBEIに対して当量加えられる。例えば、BEIが終濃度5mMに加えられているとき、1.0Mチオ硫酸ナトリウム溶液は残りのBEIを中和するために最終的な最小濃度5mMを与えるために加えられる。
【0050】
そして、本発明のさらに別の態様は組換えPCV2 ORF2タンパク質を、好ましくは上述の量において、i)多数の感受性細胞(上記を見よ)上に記載されるMOIをもつ組換えウイルスベクターに培養中で感染させること、ii)PCV2 ORF2タンパク質を組換えウイルスベクターによって発現すること、iii)PCV2 ORF2を感染後5日目から8日目の間及び/又は細胞生存率が10%以下に減少するときに得られる細胞の上清中で回収すること、iv)分離ステップで細胞片を発現されたPCV2 ORF2から分離すること、及びv)組換えウイルスベクターを不活化すること、によって生産する方法に関する。
【0051】
好ましくは、組換えウイルスベクターがORF2 DNAをコードする配列を含むバキュロウイルスであり、細胞がSF+細胞である。好ましい分離ステップは上述のものであり、最も好ましいものはろ過ステップである。好ましい不活化ステップは上述のものである。好ましくは、不活化は35〜39℃の間で2から8mMのBEI存在下で、よりさらに好ましくは約5mMのBEIの存在下で行われる。驚くべきことに、より高い濃度のBEIがPCV2 ORF2タンパク質に負の影響を及ぼすことがわかった。
【0052】
本発明のさらに別の態様では、上に記載の方法はまた、ステップv)の後に中和ステップを含む。このステップvi)は、溶液中の不活化薬剤を中和する当量の薬剤を加えることを含んでなる。好ましくは、不活化薬剤がBEIならば、チオ硫酸ナトリウムを当量加えることが好ましい。
【0053】
そして、さらなる態様では、ステップvi)は、不活化薬剤がBEIのとき、チオ硫酸ナトリウム溶液を終濃度約1から約20mM、好ましくは約2から10mM、よりさらに好ましくは約2から約8mM、よりさらに好ましくは約3から約7mM、最も好ましくは7mMとするように加えることを含む。
【0054】
好ましい形態及び特に組換えPCV2 ORF2をワクチンのような免疫原性組成物中で使う形態では、回収されたORF2の各ロットは不活化の検査が、足場依存性、バキュロウイルス感受性Sf+細胞での継代によって検査されるだろう。この検査の好ましい形態では、150cmの好ましい細胞培養モノレイヤーが1.0mLの不活化PCV2液で接種され、25〜29℃で14日間、少なくとも2回継代して保育される。保育期間の終わりに、細胞モノレイヤーはPCV2 ORF2バキュロウイルスに典型的な細胞変性効果(CPE)を検査される。
【0055】
好ましくは陽性ウイルスコントロールもまた使用される。そのようなコントロールは、非不活化リファレンスPCV2 ORF2を接種したSf+細胞の1つの培養及び接種しないままのSf+細胞の1つのフラスコからなってもよい。インキュベーションと継代の後、BEI処理されたウイルス液中にウイルスに感染した細胞が無いことが十分な不活化試験となろう。
【0056】
リファレンスウイルスを接種したコントロール細胞はPCV2 ORF2バキュロウイルスに典型的なCPEを示すべきであり、接種しなかったフラスコはPCV2 ORF2バキュロウイルスのCPEのいかなる徴候も示してはならない。
【0057】
あるいは、保育期間の終わりに、上清サンプルが採集され、Sf+細胞をローディングしたSf+96ウェルプレートに接種され、その後、25〜29℃で5〜6日間保育される。プレートはそれから固定され、抗PCV2 ORF2抗体結合FITCで染色される。
【0058】
IFA顕微鏡によって観察されるCPEとORF2発現がBEI処理ウイルス液で無いことが十分な不活化試験である。リファレンスウイルスを接種したコントロール細胞はCPE及びIFA活性を示すべきであり、非接種フラスコはPCV2 ORF2バキュロウイルスのCPEを示したり、IFA活性を含んだりしてはならない。
【0059】
そして、本発明のさらに別の態様は組換えウイルスベクターの不活化の効果を確認するための不活化試験に関し、次のステップを含んでなる:i)組換えウイルスベクターを含む培養液の少なくとも一部を、好ましくは上述のように、不活化薬剤に接触すること、ii)不活化薬剤を中和するために中和薬剤を、好ましくは上述のように、加えること、及びiii)上に記載の測定法によって、残った感染性を測定する。
【0060】
不活化後、サンプル中の組換えPCV2 ORF2タンパク質の相対量がいくつもの方法によって決定できる。好ましい定量方法は、SDS−PAGEデンシトメトリ、ELISA、及びワクチンの既知量と臨床的な結論(血清学等)と相関する、実験動物にワクチンを接種する研究である。
【0061】
SDS−PAGEが定量のために使われるとき、未知量の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むサンプル物質が、異なる既知量の組換えPCV2 ORF2タンパク質を含むサンプルとともにゲル上を流される。標準曲線が既知のサンプルに基づいてその後作成でき、未知サンプル中の組換えPCV2 ORF2の量が標準曲線との比較によって決定されうる。
【0062】
ELISAは抗原定量のための産業標準として一般に認められているので、それらは定量のために好ましい。
【0063】
そして、さらに別の態様では、本発明はまた組換えPCV2 ORF2タンパク質の定量のためのELISAに関する。ここで提供されるような好ましいELISAは、概してキャプチャー抗体をコーティング緩衝液中で1:6000、又は適切な作業希釈物に希釈することから始まる。
【0064】
好ましいキャプチャー抗体はブタ抗PCV2 PAbタンパク質G精製であり、好ましいコーティング緩衝液は、2.93gのNaHCO(シグマ カタログ番号S−6014、又は相当品)及び1.59gのNaCO(シグマ カタログ番号S−6139、又は相当品)を混合することによって作ることができる、0.05M炭酸緩衝液である。混合物は、1リットル、pH9.6±0.1とするために、蒸留水、又は相当のものと合わせられる。次に、キャプチャー抗体が1:6000に希釈されるか、又は他の適切な作業用希釈に、コーティング緩衝液中で希釈される。
【0065】
例えば、4つのプレートに対して、1つあたり42mLのコーティング緩衝液及び7μLのキャプチャー抗体を必要とするだろう。逆ピペッティング法を使い、100μLの希釈キャプチャー抗体が全てのウェルに加えられる。均一なコーティングを得るために各プレートの側面が穏やかにタップされるべきである。それからプレートは、プレートを重ねてその上に空の96ウェルプレートでキャップする前に、プレートシーラーでシールされる。プレートは一晩(14〜24時間)、35〜39℃でインキュベートされる。
【0066】
各プレートはそれから、ウルトラウォッシュプラスマイクロタイタープレートウォッシャーセットを250μL/ウォッシュで3回及びソークタイムなしの設定で使い、洗浄緩衝液で3回洗われる。最後の洗浄後、プレートはペーパータオルに叩きつけられるべきである。再び、リバースピペッティングの技法を使い、250μLのブロッキング液が全てのウェルに加えられるべきである。試験プレートはシールされ、およそ1時間(±5分間)、35〜37℃でインキュベートされるべきである。好ましくは、このステップの後はプレートを重ねない方がよい。ブロッキングステップの間に、全ての試験サンプルは取り出され、室温に戻されるべきである。
【0067】
次に、4つの別個の希釈プレートが、200μLの希釈液をA行とH行の1〜3列を除く、残りのウェル全てに加えることによって、準備されるべきである。次に、6本の試験間が次のようにラベルされるべきである。低タイター、中タイター、高タイター、不活化/ろ過(1:240)、不活化/ろ過(1:480)、及び、内部コントロール。名付けられたチューブに、適切な希釈が次の試験サンプルのために調製されるべきである。解かした試験サンプルは使用前にボルテックスされるべきである。
【0068】
4つのプレートに対して、次の希釈がされる:A)低タイターはプレ希釈されない:3.0mLの低タイター;B)1:30に希釈の陰性コントロール(SF+細胞):3.77mLの希釈液+130μLの陰性コントロール;C)1:30に希釈の中タイター(8μg/mL):3.77mLの希釈液+130μLの中タイター;D)1:90に希釈の高タイター(16μg/mL):2.967mLの希釈液+33μLの高タイター;E)1:240に希釈の不活化/ろ過:2.39mLの希釈液+10μLの不活化/ろ過サンプル;F)1:480に希釈の不活化/ろ過:1.0mLの希釈液+1.0mLの上記Eで調製したサンプル不活化/ろ過(1:240);G)1:30に希釈の内部コントロール:3.77mLの希釈液+130μLの内部コントロール。
【0069】
次に、300μLの調製サンプルをプレート1から4の希釈プレートの対応する空のウェルに加える。マルチチャネルピペッターが100μLの設定され、A行の中身が少なくとも5回のピペッティングによって混合され、それから、100μLがリバースピペッティング技法を使いB行に移される。チップが交換され、同じ手順がG行まで行われるべきである。試験プレートがウルトラウォッシュプラスマイクロタイタープレートウォッシャーを使い洗浄バッファーで3回洗われた(250μL/ウォッシュ、3回洗い、ソークタイムなしに設定)ので、これらの希釈プレートのサンプルは今やいつでも試験プレートに移す準備が整っている。
【0070】
最後の洗いの後、プレートはパーパータオル上でタッピングされるべきである。次に、希釈プレートの中身が、単純な移送手順を使い、試験プレートに移される。より詳しくは、H行から開始し、100μL/ウェルが希釈プレートから試験プレートの対応するウェルに、リバースピペッティング技法を使い、移される。移すたびに、ピペットのチップは交換されるべきである。
【0071】
G行から、希釈プレートの100μL/ウェルが、リバースピペッティング技法を使い、試験プレートの対応するウェルに移される。同じセットのピペットチップを残りを移すために使用することができる。移しのために均一な溶液を保証するために、溶液は移しの前に少なくとも3回ピペッティング混和されるべきである。
【0072】
次に試験プレートはシールされ、1.0時間±5分間、37±2.0℃でインキュベートされる。再度、プレートを重ねないことが好ましい。プレートはその後、ウルトラウォッシュマイクロタイタープレートウォッシャー(250μL/ウォッシュ、3回洗う、ソークタイムなしに設定)を使い、洗浄バッファーで3回洗われる。最後の洗いの後、プレートはペーパータオルにタップされる。
【0073】
リバースピペッティング技法を使い、希釈溶液で1:300、又は適切な作業希釈に希釈された100μLの検出抗体が、試験プレートの全ウェルに加えられる。例えば、4つのプレートに対して、42mLの希釈溶液と140μLのキャプチャー抗体が必要となろう。
【0074】
試験プレートはその後シールされ、1.0時間±5分間、37℃±2.0℃でインキュベートされる。再度、プレートはウルトラウォッシュプラスマイクロタイタープレートウォッシャー(250μL/ウォッシュ、3回洗浄、ソークタイムなしに設定)を使い、洗浄バッファーで3回洗われる。最後の洗いの後、プレートはペーパータオルにタップされる。
【0075】
次に、コンジュゲート希釈液が1%正常ウサギ血清を希釈液に加えることによって調製される。例えば、4つのプレートのために、420μLの正常ウサギ血清が42mLの希釈液に加えられる。コンジュゲート抗体は1:10,000、又は他の適切な作業希釈に、試験プレートの全てのウェルに新しく調製されたコンジュゲート希釈液で、希釈される。
【0076】
リバースピペッティング技法を使い、100μLのこの希釈コンジュゲート抗体が全ウェルに加えられる。試験プレートはそれからシールされ、45±5分間、37℃±2.0℃でインキュベートされる。好ましくは、プレートは重ねられない。プレートはそれからウルトラウォッシュプラスマイクロタイタープレートウォッシャー(250μL/洗浄、3回洗浄、ソークタイムなしに設定)を使い、3回洗浄バッファーで洗われる。最後の洗いの後、プレートはペーパータオルにタップされる。
【0077】
次に、等量のTMBペルオキシダーゼ基質(試薬A)がペルオキシダーゼ溶液B(試薬B)と使用直前に混合される。混合される量はプレート数によって変化するが、各プレートは10mL/プレート+2mLを必要とする。従って、4つのプレートに対しては、21mLの試薬A+21mLの試薬Bである。リバースピペッティング技法を使い、100μLの基質が試験プレートの全てのウェルに加えられる。プレートはその後室温で15分間±15秒間インキュベートする。反応は100μLの1N HCl溶液を、リバースピペッティング技法を使い、全てのウェルに加えることによって停止させられた。ELISAプレートリーダーがそれから電源が入れられ、自己診断と定例のテストフェーズが終わってから次に進むことができる。
【0078】
本発明のさらなる態様は、PCV2 ORF2 DNAを含み、感受性細胞に感染したときに、PCV2 ORF2タンパク質を大量に発現する組換えウイルスベクターを構築する方法に関する。驚くべきことに、ここで提供されるような組換えウイルスベクターは、上で説明されるように、感受性細胞に感染後、大量のPCV2 ORF2を発現する。
【0079】
それゆえ、本発明はまた、好ましくは次のステップを含んでなる、PCV2 ORF2たんぱく質を生産及び/又は回収するための改良された方法に関する:PCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターを構築すること。好ましくは、ウイルスベクターは組換えバキュロウイルスである。
【0080】
PCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2タンパク質を発現する組換えウイルスベクターを構築する方法の詳細は、ここで提供されるように、次のとおり記載される:好ましい形態では、細胞に感染するために使用されるPCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2タンパク質を発現する組換えウイルスベクターは、ORF2をそこにクローニングされた運搬ベクターをウイルスベクターにトランスフェクトすることによって作られる。
【0081】
好ましくは、運搬ベクターの、ORF2 DNAを含む一部のみがウイルスベクターにトランスフェクトされる。“ウイルスベクターにトランスフェクトされる”という用語は、ヘテロロガスなDNAを、例えば、バキュロウイルスベクターのような、ウイルスベクターに“導入する”又は“クローニングする”ことを意味し、そして、同義語として使用される。
【0082】
そして、本発明のさらなる態様では、組換えウイルスベクターは、非相同のPCV2 ORF2 DNAを含む運搬ベクターとウイルスベクター、好ましくはバキュロウイルス、よりいっそう好ましくは線状非増殖性バキュロウイルス(バキュロゴールドDNAのような)、との間の組換えによって作られる。
【0083】
“運搬ベクター”とは、少なくとも1つの複製開始点、非相同遺伝子、この場合はPCV2 ORF2、及び前記非相同遺伝子をウイルスベクターにクローニングさせられるDNA配列を含むDNA分子をいう。
【0084】
好ましくは、非相同遺伝子をウイルスベクターにクローニングさせられる配列はその非相同遺伝子の隣に位置する。よりいっそう好ましくは、それらのフランキング配列は少なくとも部分的にウイルスベクターの配列と相同である。配列相同性によって、非相同遺伝子を含む組換えウイルスベクターを作るために、両分子、ウイルスベクターと運搬ベクター、の組換えができる。
【0085】
一つの好ましい運搬ベクターはpVL1392ベクター(BDバイオサイエンス、ファーミンゲン)であり、それは、バキュロゴールドDNAとともに好ましくはSf+細胞ラインにコトランスフェクトのために設計されている。
【0086】
好ましくは、前記ウイルスベクターはPCV2 ORF2 DNAを含んでなる。コトランスフェクトされるコンストラクトは、長さ約10,387塩基対である。
【0087】
より好ましい形態では、本発明の方法はPCV2 ORF2 DNAの単離で始まるであろう。一般に、ORF2 DNAは、分離株間で少なくとも約95%の配列同一性を有して高度に保存されているようなので、これは既知又は未知の株からできる。公知のどんなPCV2 ORF2遺伝子でも、上清中に発現されるだろうから、本発明の目的のために利用できる。
【0088】
PCV2 ORF2 DNAは、好ましくはPCR法を使い増幅され、よりいっそう好ましくは5’フランキング・コザックコンセンサス配列(CCGCCAUG)(配列番号1)及び/又は3’フランキングEcoRI認識部位(GAATTC)(配列番号2)の導入とともに行われる。
【0089】
5’コザックコンセンサスのこのような導入は、好ましくはPCV2 OF2の本来もっている開始コドンAUGを除去する。3’EcoRI認識部位は好ましくはPCV2 ORF2の終止コドンの下流に導入される。より好ましくは、それは、PCV2 ORF2の終止コドンの下流に位置するポリA転写終了配列の下流に導入される。
【0090】
コザックコンセンサス配列の使用は、とりわけ上述のように、続くPCV2 ORF2タンパク質の発現レベルを増大させることが知られている。増幅されたPCV2 ORF2 DNAは、これらの追加の配列とともに、ベクターにクローニングされる。この最初のクローニングステップのために好ましいベクターは、pGEM−T−Easyベクター(プロメガ、マジソン、WI)である。いくらかのpGEMベクター配列を含むPCV2 ORF2 DNA(配列番号7)は、好ましくはNotI制限サイトでベクターから切り出される。得られるDNAはそれから運搬ベクターにクローニングされる。
【0091】
そして、本発明の一態様では、PCV2 ORF2 DNAを含む組換えウイルスベクターを構築する方法が提供される。この方法は次のステップを含んでなる:i)組換えPCV2 ORF2を運搬ベクターにクローニングする;及び、ii)組換えウイルスベクターを作るために組換えPCV2 ORF2を含む運搬ベクターの部分をウイルスベクターにトランスフェクトする。好ましくは、運搬ベクターは上述のものであるか、又は、上に記載されるように、若しくは、図1に例示されるように、構築される。そして、さらなる態様では、運搬ベクターは、ここに記載されるように組換えウイルスベクターを構築するために使用され、配列番号7の配列を含む。
【0092】
さらに別の態様では、この方法は、ステップi)の前に次のステップをさらに含んでなる:インビトロでPCV2 ORF2 DNAを増幅する。ここで、PCV2 ORF2 DNAのフランキング配列が上述のように改変される。PCV2ORF2 DNAを増幅する方法及びフランキング配列を改変する方法、インビトロで増幅されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターまたは適切な運搬ベクターにクローニングする方法及び運搬ベクターは、上に記載され、図1に典型的に示され、又はいわゆる当業者には公知である。
【0093】
かくして、さらに別の態様では、本発明は、i)インビトロでPCV2 ORF2 DNAを増幅する。ここで、前記PCV2 ORF2 NDAのフランキング配列が改変される、ii)増幅されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングする、及びiii)組換えPCV2 ORF2 DNAを含む運搬ベクター又はその一部をウイルスベクターにトランスフェクトして組換えウイルスベクターを作る、のステップを含んでなる、PCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2 タンパク質を発現する、組換えウイルスベクターを構築する方法に関する。
【0094】
好ましくは、PCV2 ORF2 DNAのフランキング配列の改変は上述のように行われる。例えば、5’コザック配列及び/又はEcoRI認識部位を導入することによる。好ましくは上述のように行われる。
【0095】
さらに別の態様では、PCV2のオープンリーディングフレーム2によって発現される組換えタンパク質を生産及び/又は回収する方法が提供される。その方法は、i)組換えPCV2 ORF2を運搬ベクターにクローニングする;ii)組換えPCV2 ORF2を含む運搬ベクターの一部をウイルスにトランスフェクトする; iii)媒地中の細胞をトランスフェクトされたウイルスに感染させる; iv)トランスフェクトされたウイルスに組換えタンパク質をPCV2 ORF2から発現させる; v)細胞を上清から分離する; そして、vi)発現されたPV2 ORF2 タンパク質を上清から回収する、のステップを一般に含んでなる。
【0096】
組換えPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングする方法は上に記載されている。好ましくは、運搬ベクターは配列番号3、配列番号4、配列番号7の配列を含む。しかしながら、運搬ベクターは、非改変又は改変を問わず、任意のPCV2 ORF DNAを、PCV2 ORF2 DNAが、組換えウイルスベクターにトランスフェクトされたときに、細胞培養中で発現される限り、含むことができる。好ましくは、組換えウイルスベクターは配列番号8の配列を含んでなる。
【0097】
さらに、細胞に感染する方法は、好ましくは、PCV2 ORF2 DNAを含みPCV2 ORF2タンパク質を発現する確定した数の組換えバキュロウイルスを細胞に感染させる方法は上に詳細に記載されている。さらに、細胞を上清から分離するステップは、発現されたPCV2 ORF2タンパク質を回収するステップと同様に、やはり、上に詳細に記載されている。ここに記載される、これらの特定のプロセスのステップは、上述のように、PCV2のオープンリーディングフレーム2によって発現される組換えタンパク質を製造及び/又は回収する方法の一部である。
【0098】
好ましくは、細胞はSF+細胞である。よりさらに好ましくは、細胞培養は約0.3〜2.0×10cells/mLの間の細胞数をもち、より好ましくは、約0.35〜1.9×10cells/mLであり、よりさらに好ましくは、約0.4〜1.8×10cells/mLであり、よりいっそう好ましくは、約0.45〜1.7×10cells/mLであり、そして、最も好ましくは、約0.5〜1.5×10cells/mLである。
【0099】
好ましくは、PCV2 ORF2 DNAを含む組換えウイルスベクターは、感受性細胞への感染に使用されるときに、0.03〜1.5の間の好ましい多重感染度(MOI)をもち、より好ましくは約0.05から1.3であり、よりさらに好ましくは約0.09〜1.1であり、よりさらに好ましくは、約0.1〜1.0であり、そして最も好ましくは、約0.5である。
【0100】
好ましくは、PCV2 ORF2 タンパク質を、感染後第5日と第8日の間、及び/又は細胞生残率が10%未満にまで減少するときに得られる細胞の上清中で回収すること。好ましくは、PCV2 ORF2タンパク質を生産するために、細胞が25℃から29℃で培養される。好ましくは、分離ステップは遠心またはろ過ステップである。
【0101】
任意に、この方法はPCV2からのPCV2 ORF2 DNAを増幅するステップを、PCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングする前に、含むことができる。好ましい形態では、5’コザック配列、3’EcoRIサイト、及びそれらの組合せもまた、増幅される配列に、好ましくは増幅の前又はその間に、加えることができる。好ましい5’コザック配列は、配列番号1を含んでなる。好ましい3’EcoRI認識部位は配列番号2を含んでなる。
【0102】
好ましいPCV2 ORF2 DNAはヌクレオチド配列Genbankアクセッション番号AF086834(配列番号3)及び配列番号4を含んでなる。好ましい組換えPCV2 ORF2タンパク質は配列番号5のアミノ酸配列を含んでなるが、それは配列番号3(Genbankアクセッション番号AF086834)及び配列番号6によってコードされるタンパク質であり、それは配列番号4によってコードされるタンパク質である。
【0103】
好ましい培地は無血清昆虫細胞培地を、よりさらに好ましくはエクセル420培地を、含んでなる。オプションの増幅ステップが行われるとき、まず増幅されたオープンリーディングフレーム2を1番目のベクターにクローニングし、次にオープンリーディングフレーム2を1番目のベクターから切り出し、そして切り出されたオープンリーディングフレームを運搬ベクターにクローニングするために使用する、ことが好ましい。コトランスフェクションのための好ましい細胞ラインはSF+細胞ラインである。コトランスフェクションのための好ましいウイルスはバキュロウイルスである。
【0104】
この方法の好ましい形態では、運搬ベクターのトランスフェクトされた部分は配列番号8を含んでなる。最後に、この方法では、PCV2オープンリーディングフレーム2(ORF2)タンパク質を、細胞にウイルスが感染してから少なくとも5日間過ぎてから細胞培養上清中で回収することが好ましい。
【0105】
そして、本発明のさらなる態様は、次のステップを含んでなる、PCV2オープンリーディングフレーム2を生産及び/又は回収するための方法に関する:i)インビトロでPCV2 ORF2 DNAを、好ましくは5’コザック配列を加えて、及び/又は、3’EcoRI認識部位を加えて、増幅する、ii)増幅されたPCV2 ORF2を運搬ベクターにクローニングする;iii)組換えPCV2 ORF2を含む運搬ベクターの部分をウイルスにトランスフェクトする;iv)培地中の細胞をトランスフェクトされたウイルスで感染する;v)トランスフェクトされたウイルスにPCV2 ORF2由来の組換えタンパク質を発現させる;vi)細胞を上清から分離する;及びvii)発現されたPCV2 ORF2タンパク質を上清から回収する。
【0106】
本発明のさらなる態様は、PCV2 ORF2タンパク質、及び不活化ウイルスベクターを含んでなる組成物を調製するための方法に関する。この方法は次のステップを含んでなる:i)増幅されたPCV2 ORF2を運搬ベクターにクローニングする;ii)組換えPCV2 ORF2を含む運搬ベクターの部分をウイルスにトランスフェクトする;iii)培地中の細胞をトランスフェクトされたウイルスベクターで感染する;iv)トランスフェクトされたウイルスベクターにPCV2 ORF2由来の組換えタンパク質を発現させる;v)細胞を上清から分離する;vi)発現されたPCV2 ORF2タンパク質を上清から回収する;及びvii)組換えウイルスベクターを不活化する。
【0107】
好ましくは、組換えウイルスベクターはORF2 DNAをコードする配列を含むバキュロウイルスであり、細胞はSF+細胞である。好ましい分離ステップは上に記載されるものであり、最も好ましいものはろ過ステップである。好ましい不活化ステップは上に記載されるものである。好ましくは、不活化は35〜39℃の間で、2から8mMのBEIの存在下で、よりさらに好ましくは約5mMのBEIの存在下で行われる。
【0108】
驚くべきことに、より高濃度のBEIはPCV2 ORF2タンパク質に悪影響を及ぼし、より低濃度では24から72時間の不活化の間にウイルスベクターを不活化するのに有効ではないということが見出された。好ましくは、不活化は少なくとも24時間、よりいっそう好ましくは24から72時間の間行われる。
【0109】
さらなる態様では、PCV2 ORF2タンパク質、及び不活化ウイルスベクターを含んでなる組成物を調製する方法はまた、上に記載されるように、ステップvii)の後に中和ステップを含む。このステップviii)は溶液中の不活化薬剤を中和する当量の薬剤を加えることを含んでなる。好ましくは、不活化薬剤がBEIであれば、チオ硫酸ナトリウムを当量加えることが好ましい。
【0110】
そして、さらなる態様では、ステップviii)は、不活化薬剤がBEIであるとき、チオ硫酸ナトリウムを終濃度約1から約20mM、好ましくは約2から約10mM、よりさらに好ましくは約2から8mM、よりさらに好ましくは約3から7mM、最も好ましくは約5mMとなるように加えることを含んでなる。
【0111】
さらなる態様では、PCV2 ORF2、及び不活化ウイルスベクターを含んでなる組成物を調製する方法は、上に記載されるように、ステップi)の前に次のステップを含んでなる:PCV2 ORF2 DNAをインビトロで増幅する、ここでPCV2 ORF2 DNAの前後の配列が上に記載のように改変される。PCV2 ORF2 DNAを増幅し、前後の配列を改変し、インビトロで増幅されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングするためのインビトロの方法及び好適な運搬ベクターは上に記載され、図1に例示的に示され、又は当業者に知られている。
【0112】
そして、さらなる態様では、この方法は次のステップを含んでなる:i)PCV2 ORF2 DNAをインビトロで増幅する、ここで前記PCV2 ORF2 DNAの前後の配列が改変される、ii)増幅されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングする;及びiii)運搬ベクター又は組換えPCV2 ORF2 DNAを含むその一部を、組換えウイルスベクターを作るために、ウイルスベクターにトランスフェクトする、iv)培地中の細胞をトランスフェクトされたウイルスで感染する;v)トランスフェクトされたウイルスにPCV2 ORF2由来の組換えタンパク質を発現させる;vi)細胞を上清から分離する;vii)発現されたPCV2 ORF2タンパク質を上清から回収する;viii)組換えウイルスベクターを、好ましくは約1から約20mMのBEIの存在下で、最も好ましくは約5mMのBEIの存在下で、不活化する;及びix)溶液中の不活化薬剤を中和する薬剤の当量を、不活化薬剤がBEIであるときには、好ましくはチオ硫酸ナトリウム溶液を終濃度約1から約20mMで、好ましくは約5mMで、加える。
【0113】
本発明の別の態様では、PCV2に対する免疫応答を引き起こすための組成物、好ましくは、例えばワクチンのような、抗原性組成物を調製する方法が提供される。概して、この方法はコンストラクトをウイルスにトランスフェクトするステップを含む。ここで、コンストラクトはi)PCV2のORF2由来組換えDNA、ii)培地中の細胞をトランスフェクトされたウイルスで感染する、iii)ウイルスにPCV2 ORF2由来組換えタンパク質を発現させる、iv)発現されたORF2タンパク質を上清中から回収する、v)回収されたタンパク質を好適なアジュバント及び/又は他の薬学的に許容できる担体と混合することによって、組成物を調製する、を含んでなる。
【0114】
ここで使われるような“アジュバント”は、ここで使われるように、水酸化アルミニウム及びリン酸、例えばクイルA、QS−21(ケンブリッジ・バイオテック・インク、ケンブリッジ、CA)、GPI−0100(ガレニカ・ファーマセウティカルズ・インク、バーミンガム、AL)等のサポニン類、ウォーター・イン・オイル型エマルジョン、オイル・イン・ウォーター型エマルジョン、ウォーター・イン・オイル・イル・ウォーター型エマルジョンを含みうる。
【0115】
エマルジョンは、特に軽質流動パラフィンオイル(ヨーロピアン・ファーマコピア型);スクアラン又はスクアレンのようなイソプレノイドオイル;アルケン、特にイソブテン又はデケンのオリゴマー化によって得られるオイル;直鎖アルキル基を含む酸の、又はアルコールのエステル類、より詳しくは、植物油、オレイン酸エチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリル、又はジオレイン酸プロピレングリコール;分枝した脂肪酸又はアルコールのエステル類、詳細には、イソステアリン酸エステル類、をベースとすることができる。
【0116】
エマルジョンを作るために、オイルは乳化剤と組み合わせて使用される。乳剤は好ましくは非イオン性界面活性剤、特に、ソルビタンの、マンニド(例えば、無水オレイン酸マンニトール)の、グリコールの、ポリグリセロールの、プロピレングリコールの、及び、オレイン酸の、イソステアリン酸の、リシノール酸の、又は任意にエトキシル化されたヒドロキシステアリン酸のエステル、及びポリオキシプロピレン‐ポリオキシエチレンブロック共重合体、特にプルロニック製品、なかでもL121、である。
【0117】
Hunterら、The Theory and Practical Application of Adjuvants(Stewart−Tull,D.E.S.編集)、John Wiley and Sons、NY、pp.51〜94(1995)及びToddら、Vaccine 15:564〜570(1997)をみよ。例えば、“Vaccine Design,The Subunit and Adjuvant Approach”M.PowellとM.Newman編集、Plenum Press、1995の147ページに記載されるSPTエマルジョン及びこの同じ本の183ページに記載されるエマルジョンMF59を使うことができる。
【0118】
アジュバントのさらなる例はアクリル酸又はメタクリル酸及び無水マレイン酸とアルケニル誘導体の共重合体から選ばれる化合物である。好適なアジュバント化合物は、特に糖又はポリアルコールのポリアルケニルエーテルと、架橋したアクリル酸又はメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物はカルボマー(Phameuropa 第8巻第2号、1996年6月)の用語によって知られている。
【0119】
当業者はまた、少なくとも3個の、好ましくは8個を超えない、ヒドロキシル基をもち、少なくとも3個のヒドロキシル基の水素原子が少なくとも2個の炭素原子をもつ不飽和アリファトラジカルによって置換された、ポリ水酸化化合物と架橋したアクリル酸ポリマーを記載するUS特許2,909,462号を参照することもできる。好ましいラジカルは2から4個の炭素原子を含むもの、例えば、ビニル基、アリル基及び他の不飽和エチレン系基である。不飽和ラジカルは、メチル基のような、他の置換基を含んでもよい。
【0120】
カーボポール(BFグッドリッチ社、オハイオ、USA)の名称で販売される製品が特に適している。それらはアリルスクロースで、又はアリルペンタエリスリトールで、架橋されている。このうち、カーボポール974P、934P及び971Pの名称が挙げられるかもしれない。最も好ましいのはカーボポール971Pの使用である。無水マレイン酸とアルケニル誘導体の共重合体、無水マレイン酸とエチレンの共重合体であるEMA(モンサント)の間。免疫原性、免疫学的又はワクチン組成物そのものが混ぜられるだろうアジュバント溶液を与えるために、これらの共重合体を水に溶解すると、好ましくは生理学的pHに、中和されるだろう酸性水溶液となる。
【0121】
さらに好適なアジュバントは、RIBIアジュバントシステム(リビ社)、共重合体ブロック(CytRx社、アトランタ、CA)、SAF−M(カイロン社、エメリービル、CA)、モノリン酸リピドA、アブリジンリピド‐アミンアジュバント、熱易失活性E.coli由来エンテロトキシン(組換えその他)、コレラ毒素、IMS 1314又は他の多くのもののムラミルジペプチドを含むが、これらに限定されない。
【0122】
好ましくは、アジュバントは1用量あたり約100μgから約10mgの量で加えられる。よりいっそう好ましいアジュバントは1用量あたり約100μgから約10mgの量で加えられる。よりいっそう好ましいアジュバントは1用量あたり500μgから約5mgの量で加えられる。よりいっそう好ましいアジュバントは1用量あたり約750μgから約2.5mgの量で加えられる。最も好ましいアジュバントは1用量あたり1mgの量で加えられる。
【0123】
そして、さらなる態様では、例えばワクチンのような、PCV2に対する免疫応答を引き起こすための抗原性組成物を調製する方法は、i)PCV2 ORF2タンパク質を調製及び回収すること、及びii)これを好適なアジュバントと混合すること、を含んでなる。好ましくは、アジュバントはカーボポール971Pである。よりいっそう好ましくは、カーボポール971Pが1用量あたり約500μgから約5mgの量で、よりいっそう好ましくは1用量あたり約750μgから約2.5mgの量で、そして最も好ましくは1用量あたり約1mgの量で加えられる。
【0124】
好ましくは、プロセスのステップi)はPCV2 ORF2の調製と回収について記載されるようなプロセスのステップを含む。例えば、この方法の好ましい形態では、PCV2 ORF2 DNAを含んでなるコンストラクトが運搬ベクター内に得られる。好適な運搬ベクターとそれらを調製する方法は上に記載されている。任意に、この方法は、ORF2を運搬ベクターにクローニングする前に、PCRを使ってPCV2株に由来するORF2を増幅するステップを含んでもよい。
【0125】
好ましいオープンリーディングフレーム配列、コザック配列、3’EcoRI認識部位配列、組換えタンパク質配列、トランスフェクトされたコンストラクトの配列、培地、細胞、及びウイルスは先の方法に記載されるとおりである。
【0126】
この方法の別の任意のステップは、PCV2 ORF2 DNAを最初のベクターにクローニングし、この最初のベクターからORF2 DNAを切り出し、そしてこの切り出されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングするために使用することを含む。他の方法と同様に、組換えORF2タンパク質を上清から回収する前に、トランスフェクトされたバキュロウイルスによる細胞の感染後少なくとも5日間待つこと好ましい。
【0127】
好ましくは、この方法の回収ステップはまた、培地を細胞と細胞片から分離するステップを含む。これは様々な方法で行うことができるが、容易さと簡便さのためには、細胞、細胞片及び培地を、約0.45μmから約1.0μmのサイズのポアをもつフィルターを通してろ過することが好ましい。
【0128】
最後に、この方法に対しては、ウイルス不活化ステップを、回収された組換えPCV2 ORF2タンパク質を組成物に混合する前に、入れることが好ましい。これは種々の方法で行うことができるが、本発明の実際においてはBEIを使用することが好ましい。
【0129】
そして、さらなる態様では、この方法は次のステップを含んでなる:i)インビトロでPCV2 ORF2 DNAを増幅する、ここで、前記PCV2 ORF2 DNAの前後の配列が改変される、ii)増幅されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングする;及びiii)トランスフェクトされたウイルスを作るために、組換えPCV2 ORF2 DNAを含む運搬ベクター又はその部分をウイルスベクターにトランスフェクトする、iv)培地中の細胞にトランスフェクトされたウイルスで感染する;v)トランスフェクトされたウイルスにPCV2 ORF2由来の組換えタンパク質を発現させる;vi)細胞を上清から分離する;vii)発現されたPCV2 ORF2タンパク質を上清から回収する;viii)組換えウイルスベクターを、好ましくは約1から約20mMのBEIの存在下で、最も好ましくは約5mMのBEIの存在下で、不活化する;ix)溶液中の不活化薬剤を中和する薬剤を当量加える、不活化薬剤がBEIであるとき、好ましくはチオ硫酸ナトリウムを終濃度約1から約20mM、好ましくは約5mMとなるように加える、及びx)適量のアジュバントを加える、好ましくはカーボポールを、より好ましくはカーボポール971Pを、よりいっそう好ましくは上に記載される量で(例えば、1用量約5mgに対して約500μg、よりいっそう好ましくは1用量約2.5mgに対して約750μgの量で、及び最も好ましくは1用量1mgの量で)、加える。
【0130】
さらに、組成物は1又は2以上の薬学的に許容できる担体を含むことができる。ここで使われるように、“薬学的に許容できる担体”は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗細菌及び抗真菌剤、浸透圧調節剤、吸収遅延剤、及びその他を含む。
【0131】
最も好ましい、ここで提供される組成物は、インビトロで培養された細胞で、PCV2 ORF2 DNAを含み、PCV2 ORF2を発現する組換えウイルスベクターに前記細胞が感染した細胞で、細胞培養が、ウイルスベクターを不活化するために、約2から約8mMのBEI、好ましくは約5mMのBEI、及び当量濃度の中和薬剤、好ましくはチオ硫酸ナトリウムを終濃度約2から約8mM、好ましくは約5mM、で処理された前記細胞培養の上清から回収されたPCV2 ORF2タンパク質を、カーボポールを、より好ましくはカーボポール971Pを、好ましくは1用量あたり約500μgから約5mgの量で、よりいっそう好ましくは1用量あたり約750μgから約2.5mgの量で、そして最も好ましくは1用量あたり1mgの量で、及び、生理食塩水を、好ましくは約50から90%(v/v)の量で、より好ましくは約60から80%(v/v)、よりさらに好ましくは約70%(v/v)で、含む。
【0132】
そして、さらなる態様は、次のステップを含んでなる、PCV2に対する免疫応答を引き起こすための、例えばワクチンのような、抗原性組成物を調製する方法に関する:i)インビトロでPCV2 ORF2 DNAを増幅する、ここで前記PCV2 ORF2 DNAの前後の配列が改変される、ii)増幅されたPCV2 ORF2 DNAを運搬ベクターにクローニングする;及びiii)運搬ベクター又は組み替えPCV2 ORF2 DNAを含むその一部を、組換えウイルスベクターを作るために、ウイルスベクターにトランスフェクトする、iv)培地中の細胞をトランスフェクトされたウイルスで感染する;v)トランスフェクトされたウイルスにPCV2 ORF2由来の組換えタンパク質の発現を引き起こす、vi)細胞を上清から分離する;vii)発現されたPCV2 ORF2タンパク質を上清から回収する;viii)組換えウイルスベクターを、好ましくは約2から約20mLのBEI存在下で、最も好ましくは約5mMのBEI存在下で、不活化する;ix)溶液中の不活化薬剤を中和する薬剤を当量加える、不活化薬剤がBEIのとき、好ましくは、チオ硫酸ナトリウム溶液を終濃度約0.5から約20mM、好ましくは5mMとするように加える、x)適量のアジュバントを加える、好ましくはカーボポールを加える、より好ましくはカーボポール971Pを加える、よりさらに好ましくは上に記載される量で加える(例えば、1用量約5mgに対して約500μgを、よりいっそう好ましくは1用量約2.5mgに対して約750mgの量で、そして最も好ましくは1用量につき約1mgの量で);及びxi)生理食塩水を、好ましくは約50から約90%(v/v)、より好ましくは約60から80%(v/v)、よりさらに好ましくは約70%(v/v)となるように加える。
【0133】
任意に、この方法はまた、保護剤を加えることを含むことができる。ここで使われる保護剤とは、例えばゲンタマイシン、マーシオレート、及びその他のような、抗微生物活性をもつ薬剤をいう。特に、保護剤を加えることは、多用量の組成物を調製するために最も好ましい。
【0134】
これらの抗微生物学的活性をもつ薬剤は、対象の組成物の微生物学的汚染を防ぐため、又は、対象の組成物中での微生物学的増殖を阻止するために有効な濃度で加えられる。
【0135】
さらに、この方法はまた、産物の有効期間を増やす及び/又は保持するために、例えば、糖類、トレハロース、マンニトール、サッカロース及びその他のような、何らかの安定剤を加えることを含んでなることができる。しかしながら、驚くべきことに、できた製剤は、さらに安定剤を加えなくとも、少なくとも24ヶ月の期間にわたって免疫学的に有効であることが知見された。
【0136】
本発明のさらなる態様は、上に記載されるような方法により生じる産物に関する。詳しくは、本発明は組換えにより発現されるPCV2 ORF2タンパク質を含んでなる組成物に関する。
【0137】
さらに、本発明はまた、昆虫細胞培養の上清から回収される、組換えにより発現されるPCV2 ORF2タンパク質を含んでなる組成物に関する。
【0138】
さらに、本発明はまた、昆虫細胞培養の上清から回収される、組換えにより発現されるPCV2 ORF2タンパク質を含んでなる組成物に関する。
【0139】
好ましくは、この組成物はまたウイルスベクターを不活化するために適した薬剤を含んでなる。好ましくは、前記不活化薬剤はBEIである。
【0140】
さらに、本発明はまた、昆虫細胞培養の上清から回収される、組換えで発現されるPCV2 ORF2タンパク質を含み、ウイルスベクターの不活化に適した薬剤、好ましくはBEI及び不活化薬剤を中和するための中和薬剤を含んでなる。好ましくは、BEIが不活化薬剤として使用されるときには、その中和薬剤はチオ硫酸ナトリウムである。
【0141】
本発明のさらに別の態様では、免疫応答を誘導、より好ましくは、PCV2感染の臨床的徴候に対する防御免疫を付与する免疫原性組成物が提供される。組成物は一般に、PCV2のオープンリーディングフレーム2(ORF2)によって発現されるポリペプチド、又はその断片を組成物の抗原成分として含んでなる。
【0142】
PCV2 ORF2 DNA及びタンパク質は、組成物の調製のためにここで使われるように、及び、また、ここで規定されるプロセスの中で使われるように、PCV2単離物の中に高度に保存されたドメインであり、そして、それにより、ここで使われるように、いかなるPCV2 ORF2もPCV2 ORF2 DNA及び/又はポリペプチドのソースとして有効である。好ましいPCV2 ORF2タンパク質は、配列番号11のそれである。好ましいPCV2 ORF2ポリペプチドはここに配列番号5として与えられるが、この配列は配列相同性にして最大で6〜10%変化でき、そして、免疫原性組成物中で有用性を与える抗原性を変わらず保持することは、当業者によって理解される。免疫原性組成物の抗原性は、例えば、実施例4によって提供されるようなチャレンジ実験によって評価されうる。
【0143】
その上、改変された抗原が、配列番号3又は配列番号4のポリヌクレオチド配列によってコードされるPCV2 ORF2タンパク質に比べて少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の防護免疫を与えるとき、改変された抗原の抗原性はなお維持されている。ここで使われるように、“免疫原性組成物”とは宿主の中で細胞性及び/または“免疫応答”を誘導するPCV2 ORF2タンパク質を意味する。
【0144】
ここで使われるように、“免疫原性組成物”はPCV2 ORF2タンパク質に対する細胞性及び/又は抗体性免疫応答である“免疫学的応答”をホストに誘発するPCV2 ORF2タンパク質を意味する。好ましくは、この免疫原性組成物はPCV2感染及びそれに伴う臨床徴候に対する防御免疫を与えることができる。
【0145】
いくつかの態様では、PCV2 ORF2タンパク質の免疫原性部分は、組成物において抗原成分として利用される。ここで使われる“免疫原性部分”という語は、PCV2 ORF2タンパク質及び/又はポリヌクレオチドの欠損し、及び/又は、置換された形態、又は断片を、それぞれいう。好ましくは、そのような欠損し、及び/又は、置換された形態、又は断片は、全長ORF2ポリペプチドから少なくとも6個の連続したアミノ酸を含んでなるだろう。より好ましくは、欠損し、又は置換された形態、又は断片は少なくとも10個の、より好ましくは少なくとも15個の、そしてよりさらに好ましくは少なくとも19個の、全長ORF2ポリペプチドからの連続したアミノ酸をもつだろう。
【0146】
この点において、2つの好ましい配列がここで、配列番号9及び10として規定される。そのような配列はより大きな断片又は欠損した形態の一部であってもよいということがさらに理解される。
【0147】
ここで規定されるさらに好ましいPCV2 ORF2ポリペプチドは、配列番号3又は配列番号4のヌクレオチド配列によってコードされる。しかし、この配列は配列相同性で6〜20%まで変化し、免疫原性組成物中においてそれを有用にする抗原性をなお保持しうることは、いわゆる当業者により理解される。いくつかの態様では、ORF2の欠損又は置換された形態、又は断片が組成物中で抗原成分として利用される。好ましくは、そのような欠損し又は置換された形態、又は断片は、全長ORF2ヌクレオチド配列、例えば、配列番号3又は配列番号4の、からの少なくとも18個の連続したヌクレオチドを含んでなるであろう。
【0148】
より好ましくは、欠損し又は置換された形態、又は断片は、少なくとも30個、より好ましくは、少なくとも45個、そして、よりさらに好ましくは、少なくとも57個の、全長ORF2ヌクレオチド配列、例えば、配列番号3又は配列番号4、からの連続したヌクレオチドを有するであろう。
【0149】
“配列同一性”とは、通常知られるように、2又は3以上のポリペプチド配列、又は2又は3以上のポリヌクレオチド配列の間の関係、具体的には、参照配列と、参照配列に比較される指定の配列との間の関係をいう。配列同一性は、与えられた配列と参照配列が、配列のストリング間のマッチによって決定される、最も高い配列類似性を示すように最適にアラインされた後、与えられた配列を参照配列と比較することによって決定される。そのようなアラインメント上では、配列同一性は位置ごとに確認される。例えば、特定位置で、ヌクレオチド又は残基が同一であれば、配列はその特定の位置で“同一”である。そのような同一位置の総数が、それから参照配列中のヌクレオチド又は残基の総数で割られて、%配列同一性を与える。
【0150】
配列同一性は、既知の方法によって容易に計算されうる。その方法は、下記に記載されているが、これらに限定されない:Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York (1988);Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M.とGriffin, H. G.(編集), Humana Press, New Jersey (1994);Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press (1987);Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.とDevereux, J.(編集), M. Stockton Press, New York (1991);及び、Carillo, H.とLipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)。これらの教示は参照によってここに取り込まれる。
【0151】
配列同一性を決定するための好ましい方法は、分析される配列間の最大のマッチを与えるように設計されている。配列同一性を決定するための方法は、与えられた配列間の配列同一性を決定する、公衆に利用可能なコンピュータープログラムに分類される。そのようなプログラムの例は、次のものを含むが、これらに限定されない。GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.ら, Nucleic Acids Research, 12(1):387 (1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul, S. F.ら, J. Molec. Biol., 215:403〜410 (1990)。BLASTXプログラムはNCBI及び他のソースから公衆に利用可能である(BLASTマニュアル,Altschul, S.ら, NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894, Altschul, S. F.ら, J. Molec. Biol., 215:403〜410 (1990)。これらの教示は参照によりここに取り込まれる。
【0152】
これらのプログラムは、与えられた配列と参照配列との間で最も高いレベルの配列同一性を得るために既定のギャップウェイトを使い、最適に配列をアラインする。実例として、少なくとも、例えば、85%、好ましくは90%、よりいっそう好ましくは95%の“配列同一性”を参照配列に対して有するヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドによって、与えられたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、与えられたポリヌクレオチドの配列が、参照配列の各100ヌクレオチドあたり15個までの、好ましくは10個までの、よりいっそう好ましくは5個までの点変異を含んでもよいということを除き、参照配列に一致することが意図される。
【0153】
別の言葉では、少なくとも85%、好ましくは90%、よりいっそう好ましくは95%の同一性を参照ヌクレオチド配列と比較して有するヌクレオチド配列をもつポリヌクレオチドでは、15%まで、好ましくは10%まで、よりいっそう好ましくは5%まで、参照配列中のヌクレオチドが欠失又は別のヌクレオチドで置換されてもよく、又は、参照配列中の全ヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、よりいっそう好ましくは5%までの多数のヌクレオチドが、参照配列に挿入されてもよい。
【0154】
参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’又は3’末端位置又は、参照配列中のヌクレオチド間に単独に、あるいは、参照配列中の1又は2以上のグループに、分散される、それら末端位置の間のどこにでも起きてもよい。
【0155】
同様に、参照アミノ酸配列に対して、少なくとも、例えば、85%、好ましくは90%、よりいっそう好ましくは95%の配列同一性を有する、与えられたアミノ酸配列を有するポリペプチドによって、ポリペプチドの指定のアミノ酸配列が、指定のポリペプチド配列が、参照アミノ酸配列の100アミノ酸あたり15までの、好ましくは10までの、よりいっそう好ましくは5までのアミノ酸変化を含んでもよいということを除き、参照配列に一致するということが意図されている。
【0156】
別の言葉では、参照アミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、よりいっそう好ましくは95%の配列一致をする指定のポリペプチド配列を得るために、15%までの、好ましくは10%までの、よりいっそう好ましくは5%までの、参照配列中のアミノ酸残基が欠失又は別のアミノ酸と置換されてもよく、又は、参照配列中のアミノ酸残基の総数のうち、15%までの、好ましくは10%までの、よりいっそう好ましくは5%までの、多数のアミノ酸が参照配列に挿入されてもよい。
【0157】
参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノ又はカルボキシル末端位置、又は、参照配列中の残基間に単独に、あるいは、参照配列内の1又は2以上の連続するグループに、分散される、それら末端位置の間のどこでも、起こってよい。好ましくは、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。しかしながら、保存的置換は、配列同一性を決定するときに、マッチするものに含まれない。
【0158】
ここで使われるように、“配列相同性”とは、2つの配列の相関性を決定する方法をいう。配列相同性を決定するためには、2又は3以上の配列が最適にアラインされ、そして、必要ならばギャップが導入される。しかしながら、“配列同一性”とは対照的に、配列相同性を決定するときに保存的アミノ酸置換はマッチとしてカウントされる。
【0159】
別の言葉では、参照配列と95%の配列相同性をもつポリペプチド又はポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中の85%、好ましくは90%、よりいっそう好ましくは95%のアミノ酸残基又はヌクレオチドがマッチ、又は、他のアミノ酸またはヌクレオチドとの保存的置換を含まなければならないか、又は、参照配列中の総アミノ酸残基又はヌクレオチドのうち、保存的置換を含まずに、15%までの、好ましくは10%までの、よりいっそう好ましくは5%までの、多数のアミノ酸又はヌクレオチドが参照配列に挿入されてもよい。好ましくは、相同な配列は少なくとも50の、よりいっそう好ましくは100、よりいっそう好ましくは250、よりいっそう好ましくは500の長さのヌクレオチドを含む。
【0160】
“保存的置換”とは、全体的な機能が大きく変化しないような、アミノ酸残基又はヌクレオチドの、サイズ、疎水性等を含めて類似の特徴又は性質を有する他のアミノ酸残基又はヌクレオチドとの置換をいう。
【0161】
“単離された”とは“人の手によって”その自然の状態から変えられたことすなわち、それが自然界に生じるならば、それが変えられている、又はその本来の環境から取り除かれている、又はその両方をいう。例えば、生きている生物にもともと存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは“単離された”ではないが、自然状態の時に共存する物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、その用語がここで使われるように、“単離された”である。
【0162】
そして、本発明のさらに別の態様は、PCV2 ORF2タンパク質を含んでなるPCV2感染による臨床症状の重篤さを軽減するために有効な免疫原性組成物に関する。好ましくは、PCV2 ORF2タンパク質は上述のもののうちのいずれかである。
【0163】
好ましくは、前記PCV2 ORF2タンパク質は、
i) 配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10又は配列番号11の配列を含んでなるポリペプチド
ii) i)のポリペプチドに対して少なくとも80%の相同性をもつ任意のポリペプチド
iii) i)及び・又はii)のポリペプチドの任意の免疫原性部分
iv) iii)の免疫原性部分で、配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10又は配列番号11の配列に含まれる少なくとも10個の連続するアミノ酸を含んでなるもの
v) 配列番号3又は配列番号4の配列を含んでなるDNAによってコードされるポリペプチド
vi) v)のポリヌクレオチドに対して少なくとも80%の相同性を有するポリヌクレオチドによってコードされる任意のポリペプチド
vii) v)及び・又はvi)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの任意の免疫原性部分
viii) vii)の免疫原性部分であって、前記免疫原性部分をコードするポリヌクレオチドが、配列番号3又は配列番号4の配列に含まれる、少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含むもの
【0164】
好ましくは、配列番号3又は配列番号4の配列によってコードされるPCV2 ORF2タンパク質の免疫原特性をもつ免疫原性部分のいずれか。
【0165】
さらに別の態様では、PCV2 ORF2タンパク質は、所望の免疫応答を誘導する、つまり、PCV2感染に起因する臨床症状の発生件数を低下させる、又は、重篤さを軽減するために有効な抗原含有レベルで免疫原性組成物中に提供される。好ましくは、PCV2 ORF2タンパク質含有レベルは少なくとも、最終的な免疫原性組成物(μg/ml)のうち0.2μg抗原/mlであり、より好ましくは約0.2から約400μg/ml、よりさらに好ましくは、約0.3から約200μg/ml、よりいっそう好ましくは、約0.35から約100μg/ml、よりさらに好ましくは、約0.4から約50μg/ml、よりさらに好ましくは、約0.45から約30μg/ml、よりさらに好ましくは約0.6から約15μg/ml、よりいっそう好ましくは、約0.75から約8μg/ml、よりいっそう好ましくは、約1.0から約6μg/ml、よりさらに好ましくは、約1.3から約3.0μg/ml、よりさらに好ましくは、約1.5から約2.0μg/ml、そして最も好ましくは、約1.6μg/mlである。
【0166】
さらに別の態様では、ORF2抗原の含有レベルが、最終的な抗原組成物の用量あたり(μg/用量)、少なくとも0.2μgの上述のPCV2 ORF2タンパク質であり、より好ましくは、約0.2から400μg/用量、よりさらに好ましくは約0.3から200μg/用量であり、よりいっそう好ましくは、約0.35から約100μg/用量であり、よりさらに好ましくは、約0.4から約50μg/用量であり、よりさらに好ましくは、約0.45から約30μg/用量であり、よりさらに好ましくは、約0.6から約15μg/用量であり、よりいっそう好ましくは、約0.75から約8μg/用量であり、よりいっそう好ましくは、約1.0から約6μg/用量であり、よりさらに好ましくは、約1.3から約3.0μg/用量であり、よりいっそう好ましく亜h、約1.4から約2.5μg/用量であり、よりいっそう好ましくは、約1.5から約2.0μg/用量であり、そして、最も好ましくは、役1.6μg/用量である。
【0167】
本発明に係る免疫原性組成物に使用されるPCV2 ORF2ポリペプチドは、PCV2 ORF2の単離と精製、標準的なタンパク質合成、及び組換え法を含む様々な方法で取得することができる。PCV2 ORF2ポリペプチドを得るための好ましい方法は、上に記載され、また、米国特許出願番号11/034,797においても提供され、その教示と内容は参照によってここに取り込まれる。手短にいえば、感受性細胞が、PCV2 ORF2 DNAをコードする配列を含む組換えウイルスベクターに感染され、PCV2 ORF2ポリペプチドが、組換えウイルスによって発現され、そして、発現されたPCV2 ORF2ポリペプチドが、ろ過によって上清から回収され、また、何らかのコンベンショナルな方法、好ましくはバイナリエチレンイミンを使用すること、により不活化され、その後、不活化プロセスを停止するために中和される。
【0168】
そして、さらに別の態様では、免疫原性組成物は、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質のいずれかを、好ましくは上述の濃度で、及び、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの、好ましくは組換えバキュロウイルスの、少なくとも一部を、含んでなる。
【0169】
また、さらに別の態様では、免疫原性組成物は、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質のいずれかを、好ましくは上述の濃度で、及び、ii)前記PCV3 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの、好ましくは組換えバキュロウイルスの、少なくとも一部を、及び、iii)細胞培養の上清を、含んでなる。
【0170】
PCV2 ORF2タンパク質の製造と回収プロセスのひとつの特定の実施形態では、細胞培養の上清が、好ましくは約0.45から1μmの間の、ポアサイズをもつメンブレンを通してろ過される。
【0171】
そして、さらに別の態様は、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質のいずれかを、好ましくは上述の濃度で、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの、好ましくは組換えバキュロウイルスの、少なくとも一部を、及び、iii)細胞培養の一部を、含んでなる免疫原性組成物に関する;ここで、成分の約90%は1μmよりも小さなサイズである。
【0172】
さらに別の態様では、本発明は、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質のいずれかを、好ましくは上述の濃度で、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部を、iii)細胞培養の一部を、及び、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化薬剤、好ましくはBEIを、含んでなる免疫原性組成物に関する。
【0173】
ここで、成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さなサイズである。好ましくは、BEIがバキュロウイルスを不活化するために有効な濃度で存在する。有効な濃度は上に記載されている。
【0174】
さらに別の態様では、本発明は、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質で、好ましくは上述の濃度のもの、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化薬剤で、好ましくはBEI、及びv)不活化薬剤によって行われる不活化を停止するための中和薬剤、を含んでなる免疫原性組成物に関し、ここで、成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さなサイズをもつ。好ましくは、不活化薬剤がBEIであれば、前記組成物はBEIに当量のチオ硫酸ナトリウムを含んでなる。
【0175】
ポリペプチドが、PCV2感染に感受性の動物に投与されうる組成物に混合される。
【0176】
好ましい態様では、組成物はまた、いわゆる当業者に既知の追加の成分を含んでもよい(Remington’s Pharmaceutical Sciences. (1990). 18th ed. Mack Publ., Eastonも参照)。さらに、組成物は1又は2以上の獣医学的に許容できる担体を含んでもよい。
【0177】
ここで使われるように、“獣医学的に許容できる担体”はあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈液、保存剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、浸透圧調製剤、吸着遅延剤、及びその他を含む。
【0178】
好ましい実施態様では、免疫原性組成物は、ここに規定されるようなPCV2 ORF2タンパク質を、好ましくは上述の濃度で、抗原成分として含んでなるが、アジュバント、好ましくはカーボポールと生理食塩水、と混合される。
【0179】
いわゆる当業者は、この組成物は既知の注入可能な、生理学的に許容できる無菌溶液に混合されてもよいということを理解するだろう。非経口的インジェクション又はインフュージョンのためのレディ・トゥ・ユースの溶液を調製するために、例えば、生理食塩水又は相当する血漿タンパク質溶液のような水性等張溶液が既に利用可能である。
【0180】
さらに、本発明の免疫原性及びワクチン組成物は、希釈液、浸透圧調整剤、安定化剤、又はアジュバントを含むことができる。希釈液は水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロール等を含むことができる。浸透圧調整剤は塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトース、その他を含むことができる。安定化剤はアルブミン及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩等を含む。適切なアジュバントは上述のものである。
【0181】
最も好ましいのは、カーボポールを使用することであり、特に、カーボポール971Pを使用することである。好ましくは上に記載の量である(例えば、1用量あたり約500μgから約5mg、よりいっそう好ましくは、1用量あたり約750μgから約2.5mgの量であり、そして最も好ましくは1用量あたり約1mgの量である)。
【0182】
そして、本発明はまた、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質のいずれかで、好ましくは上述の濃度のもの、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化薬剤で、好ましくはBEI、及びv)不活化薬剤によって行われる不活化を停止するための中和薬剤で、好ましくはBEIに当量のチオ硫酸ナトリウム;及びvi)適切なアジュバントで、好ましくは上に記載の量のカーボポール971、を含んでなる免疫原性組成物に関する;ここで成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さなサイズをもつ。
【0183】
さらに別の態様では、この免疫原性組成物は、薬学的に許容できる塩、好ましくはリン酸塩を、生理学的に許容できる濃度で、さらに含んでなる。好ましくは、前記免疫原性組成物のpHは、約6.5から7.5の間を意味する、生理学的pHに調整される。
【0184】
そして、本発明はまた、i)少なくとも1.6μgの上述のPCV2 ORF2タンパク質、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するバキュロウイルスの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)約2から8mMのBEI、v)BEIに当量のチオ硫酸ナトリウム;及び、vi)約1mgのカーボポール971、及びvii)を生理学的に許容できる濃度のリン酸塩、を1ml当たりに含んでなる免疫原性組成物に関する;ここで、成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズをもち、前記免疫原性組成物のpHは約6.5から7.5に調整される。
【0185】
免疫原性組成物は1又は2以上の、例えば、インターロイキン、インターフェロン、又は他のサイトカインのような免疫変調薬剤を含むことができる。免疫原性組成物はまた、ゲンタマイシン及びメルチオレートを含むことができる。本発明の状況において有用なアジュバントや添加物の量や濃度は、いわゆる当業者によって容易に決定することができるが、本発明は約50μgから約2000μgのアジュバントを含んでなる組成物を、好ましくは約250μg/ml用量のワクチン組成物を意図する。
【0186】
もうひとつの好ましい実施例では、本発明は約1μg/mlから60μg/mlの抗生物質、より好ましくは約30μg/ml未満の抗生物質を含んでなるワクチン組成物を意図する。
【0187】
そして、本発明はまた、i)上述のPCV2 ORF2タンパク質で、好ましくは上述の濃度のもの、ii)前記PCV2 ORF2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化薬剤で、好ましくはBEI、及びv)不活化薬剤によって行われる不活化を停止するための中和薬剤で、好ましくはBEIに当量のチオ硫酸ナトリウム;vi)適切なアジュバントで、好ましくは上に記載された量のカーボポール971、vii)薬学的に許容される濃度の食塩水緩衝液で、好ましくはリン酸塩を含むもの、viii)抗微生物活性を有する薬剤、を含んでなる免疫原性組成物に関する;ここで、成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズをもつ。
【0188】
驚くべきことに、ここで規定される免疫原性組成物は24ヶ月以上の期間にわたって非常に安定であることが知られている。ここで規定される組換えバキュロウイルス発現PCV2 ORF2タンパク質を含んでなる、ここで規定される免疫原性組成物がPCV2感染による臨床症状を軽減するにあたって非常に有効であることもまた知られている。
【0189】
驚くべきことに、ここで規定されるような組換えバキュロウイルス発現PCV2 ORF2タンパク質を含んでなる免疫原性組成物は、不活化形態のPCV2全ウイルス粒子、又は単離されたウイルスのPCV2 ORF2抗原を含んでなる免疫原性組成物よりも有効であることが知られている。
【0190】
特に、驚くべきことに、組換えバキュロウイルス発現PCV2 ORF2タンパク質は非常に低い濃度、つまり、0.25μg/用量までの濃度でも有効であることが知られている。PCV2 ORF2タンパク質のこの予期せぬ高い免疫能力はカーボポールを加えることによってさらに増強することができた。
【0191】
さらに別の態様は、ここで規定されるように、少なくとも1用量のPCV2 ORF2タンパク質の免疫原性組成物を含んでなる容器に関する。ここで、1用量は少なくとも2μgのPCV2 ORF2タンパク質、好ましくは2から16μgのPCV2 ORF2タンパク質を含んでなる。
【0192】
前記容器は、1から250用量の免疫原性組成物、好ましくは1、10、25、50、100、150、200、又は250用量のPCV2 ORF2タンパク質を含んでなることもできる。好ましくは、2用量以上のPCV2 ORF2タンパク質の免疫原性組成物を含んでなる各容器は、さらに抗微生物活性薬剤を含む。これらの薬剤は、例えば、ゲンタマイシン及びメルチオレート等である。
【0193】
かくて、本発明の一態様は、1から250用量のPCV2 ORF2タンパク質の免疫原性組成物を含んでなる容器に関する。ここで、1用量は少なくとも2μgのPCV2 ORF2タンパク質、及びゲンタマイシン及び・又はメルチオレート、好ましくは約1μg/mlから約60μg/mlの抗生物質、そしてより好ましくは約30μg/mlよりも少ない抗生物質を含んでなる。
【0194】
さらに別の態様は、上に記載される容器及び、P少なくとも1用量のPCV2 ORF2の免疫原性組成物をCV2感染による臨床症状の重篤さを軽減するために子豚に筋肉内注入するための情報を含む取扱説明書を含んでなるキットに関する。さらに、また別の態様では、前記取扱説明書は、2回目又はそれ以上の回数の少なくとも1用量のPCV2 ORF2の免疫原組成物の投与の情報を含んでなる。ここで、2回目の投与又はそれ以上の回数の投与は最初又は前回の投与から少なくとも14日目以降である。
【0195】
好ましくは、前記取扱説明書はまた免疫刺激剤を投与するための情報を含む。好ましくは、前記免疫刺激剤は少なくとも2回投与される。好ましくは、少なくとも3日間、より好ましくは少なくとも5日間、よりいっそう好ましくは少なくとも7日間が免疫刺激剤投与の1回目と2回目又はそれ以上の回数との間隔である。
【0196】
好ましくは、免疫刺激剤はPCV2 ORF2タンパク質の免疫原性組成物を最初に投与してから少なくとも10日後、好ましくは15日後、よりいっそう好ましくは20日後、よりいっそう好ましくは少なくとも22日後に与えられる。
【0197】
好ましい免疫刺激物質は、例えば、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)であり、より好ましくはフロインドの不完全アジュバントのエマルジョンである(KLH/ICFA)。
【0198】
しかしながら、いわゆる当業者に知られる他のいかなる免疫刺激剤もまた使用できることは、ここで理解される。ここで使われる「免疫刺激剤」とは免疫応答を、好ましくは特定の免疫応答、例えば特定の病原体に対する免疫応答を開始または増強することなく、誘導できる薬剤又は組成物をいう。免疫刺激剤を適切な用量投与することがさらに説明される。さらに、キットはまた、少なくとも1用量の免疫刺激剤、好ましくは1用量のKLH又はKLH/ICFAを含む容器を含んでなってもよい。
【0199】
さらに、驚くべきことに、組換えバキュロウイルス発現PCV2 ORF2タンパク質、好ましくはカーボポールとの組合せ、を含んでなる免疫原性組成物の免疫能力が、インゲルバックPRRS MLVワクチンの投与によってさらに増強されることが見出されている(実施例5参照)。PCV2の症状の臨床的兆候及び病状発現はPRRS感染があるときに大いに強化される。
【0200】
しかしながら、ここに規定されるような免疫原性組成物及びワクチン接種の戦略によってこの影響が非常に、そして期待されるよりもいっそう低減される。言い換えれば、動物、好ましくはブタが、ここで規定されるように、PCV2 ORF2免疫原性組成物及びインゲルバックPRRS MLVワクチン(ベーリンガー・インゲルヘイム)で処理されたときに、予期しないシナジー効果が観察された。
【0201】
そして、本発明のさらに別の態様は、ここに規定されるようなPCV2 ORF2の免疫原性組成物及び取扱説明書を含んでなる、上に記載されるようなキットに関する。ここで、取扱説明書は、PCV2 ORF2免疫原性組成物を、PRRS抗原を含んでなる免疫原性組成物、好ましくはアジュバントが加えられたPRRS抗体、と一緒に投与するための情報をさらに含む。好ましくは、PRRS抗原はインゲルバック(IngelVac、登録商標)PRRS MLV(ベーリンガー・インゲルヘイム)である。
【0202】
本発明のさらに別の態様はまた、i)ここで規定されるように少なくとも1用量のPCV2 ORF2の免疫原性組成物を含む容器、及びii)少なくとも1用量のPRRS抗原、好ましくはアジュバントが加えられたPRRS抗原を含んでなる免疫原性組成物を含む容器、を含んでなるキットに関する。好ましくは、PRRS抗原はインゲルバック(IngelVac、登録商標)MLV(ベーリンガー・インゲルヘイム)である。より好ましくは、キットは、両方の薬学的組成物を投与するための情報を含む取扱説明書をさらに含んでなる。好ましくは、それは、PCV2 ORF2含有組成物がPRRS含有組成物よりも時期的に前に投与されるという情報を含む。
【0203】
さらに別の態様は、医薬として、好ましくは動物用医薬として、さらにいっそう好ましくはワクチンとして、ここに規定される組成物のいずれかの使用に関する。さらに、本発明はまた、PCV2感染による臨床症状の重篤さを軽減するための医薬を調製するための、ここに記載される組成物のいずれかの使用に関する。好ましくは、医薬はPCV2の感染を防ぐためであり、よりいっそう好ましくは子豚においてである。
【0204】
さらに別の態様は、(i)PCV2の感染、又は再感染の阻止のための、又は(ii)PCV2によって対象動物に引き起こされる臨床症状の緩和又は除去のための、ここで提供される免疫原性組成物のいずれかを対象動物に必要な場合に投与することを含む、方法に関する。好ましくは、対象動物はブタである。好ましくは、免疫原性組成物は筋肉内に投与される。好ましくは、1用量又は2用量の免疫原性組成物が投与さる。ここで、1用量は好ましくは少なくとも約2μgのPCV2 ORF2タンパク質を含み、よりいっそう好ましくは、約2から約16μg、及び少なくとも約0.1から約5mgのカーボポールを含み、好ましくは約1mgのカーボポールを含む。
【0205】
さらに別の態様は、上に述べられた処理方法に関する。ここでは2度目の免疫原性組成物が投与される。好ましくは、2回目の投与は、好ましくは同量のPCV2 ORF2タンパク質を含む、同じ免疫原性組成物で行われる。好ましくは、2回目の投与もまた筋肉内に注射される。好ましくは、2回目の投与は最初の投与から少なくとも14日以上経過後に、よりいっそう好ましくは最初の投与から少なくとも4週間以上経過後に行われる。
【0206】
さらに別の態様では、処理方法には、免疫刺激物質を投与することも含まれる。好ましくは、前記免疫刺激物質は少なくとも2回投与される。好ましくは少なくとも3日、より好ましくは少なくとも5日、よりいっそう好ましくは少なくとも7日を最初と2回目の免疫刺激物質投与の間に開ける。最初のPCV2 ORF2免疫原性組成物の投与後から、好ましくは少なくとも10日、好ましくは15日、よりいっそう好ましくは、20日、よりいっそう好ましくは22日経過してから免疫刺激物質が投与される。
【0207】
好ましい免疫刺激物質は、例えば、スカシ貝(キーホール・リンペット、Keyhole limpet)ヘモシアニン(KLH)であり、いっそう好ましくはフロインドの不完全アジュバントで懸濁されたものである(KLH/ICFA)。しかしながら、いわゆる当業者が知る他のどんな免疫刺激物質もまた使用することができることが同時に理解される。免疫刺激物質を適切な用量投与することは、いわゆる当業者の通常の知識の範囲内のことである。
【0208】
さらに別の態様では、上に記述の処理方法はまた、PRRS抗原の投与を含む。好ましくは、PRRS抗原は、インゲルバック(IngelVac,登録商標)PRRS MLV(ベーリンガー・インゲルヘイム)である。好ましくは、前記PRRS抗原はPCV2 ORF2タンパク質の免疫原性組成物の投与から時間が経過してから投与される。
【実施例】
【0209】
<好適な実施例の詳細な記載>
これから述べられる実施例によって、本発明に従った好ましい材料と手順が示される。しかしながら、これらの実施例は例示のためだけに提供されるものであり、それによって本発明の範囲を制限するものではないと理解されるべきである。
【0210】
実施例1
この実施例は、本発明の方法を用いたORF2の相対的な収率を公知方法を用いた場合と比較する。4本の1000mLスピナーフラスコそれぞれに、1.0×10個/mlのSf+細胞を含む300mLの昆虫無血清培地、エクセル420(JRHバイオサイエンス,レネクサ,KS)が入れられた。マスター細胞培養はSF+(Spodoptera frugiperda)マスター細胞ストック、19継代、ロット# N112−095Wとして識別される。SF+マスター細胞ストックを作るために使用された細胞は、プロテイン・サイエンス・コーポレーション、メリデン、CTから購入された。
【0211】
この実施例のためのSF+細胞ラインは19から59継代の間に限定された。詳細に調べてはいないが、それ以外の継代数のものも本発明の目的のためには使えるであろうが、大規模製造のためにプロセスをスケールアップするためには、少なくとも19継代のものがおそらく必要であり、59継代を超えるものは発現に影響するかもしれない。
【0212】
より詳細には、液体窒素保存からの最初のSF+細胞培養は、スピナーフラスコ中のエクセル420培地に懸濁して、連続的に撹拌しながら増殖させられた。培養は100mLから250mLのスピナーフラスコに、25から150mLのエクセル420無血清培地を入れて増殖させられた。細胞が細胞密度1.0〜8.0×10細胞/mlまで増えたときに、それらは播種濃度0.5〜1.5×10細胞/mLで新しい容器に分けられた。引き続き増える培養は容量36Lまでのスピナーフラスコ又は300Lまでのステンレス鋼製バイオリアクターで、2〜7日間、25〜29℃で、増殖させられた。
【0213】
接種後、フラスコは27℃で4時間インキュベートされた。続いて、各フラスコにはPCV2 ORF2遺伝子(配列番号4)を含む組換えバキュロウイルスが接種された。PCV2 ORF2遺伝子を含む組換えバキュロウイルスは次のように作られた:PCV2の北米株からのPCV2 ORF2遺伝子がPCR増幅されて5’コザック配列(配列番号1)及び3’EcoRI認識部位(配列番号2)を含む、pGEM−T−Easyベクター(プロメガ、マジソン、WI)にクローニングされた。それから、それは、引き続いて切り出され、運搬ベクターpVL1392(BDバイオサイエンス、ファーミンゲン、サンディエゴ、CA)にサブクローニングされた。
【0214】
サブクローニングされた部分はここに配列番号7として示される。
【0215】
PCV2 ORF2遺伝子を含むpVL1392プラスミドはN47−064Yと名付けられ、その後、PCV2 ORF2遺伝子を含む組換えバキュロウイルスを作製するために、バキュロゴールド(BaculoGold、登録商標)(BDバイオサイエンス、ファーミンゲン)バキュロウイルスDNAとともにSf+昆虫細胞(プロテインサイエンス、メリデン、CT)にコトランスフェクトされた。
【0216】
新しいコンストラクトはここに配列番号8として与えられる。
【0217】
PCV2 ORF2遺伝子を含む組換えバキュロウイルスはプラーク純化され、マスターシードウイルス(MSV)がSF+細胞ラインで増殖させられ、分取され、−70℃に保存された。MSVはバキュロウイルス特異的プライマーを用いるPCR−RFLPによってPCV2 ORF2バキュロウイルスとして陽性識別された。
【0218】
MSV又は作業用シードウイルスを作製するためにPCV2 ORF2バキュロウイルスに感染した昆虫細胞は、間接蛍光抗体測定法でポリクローナル血清又はモノクローナル抗体によって検出されるPCV2 ORF2抗原を発現する。さらに、PCV2 ORF2バキュロウイルスの同一性はN末端のアミノ酸配列によって確認された。PCV2 ORF2バキュロウイルスMSVもまた、9 C.F.R.113.27(c)、113.28及び113.55に従って純度がテストされた。
【0219】
スピナーフラスコに接種されたそれぞれの組換えバキュロウイルスは様々な重複感染度(MOI)をもっていた。フラスコ1は7.52mLの0.88MOIシードが接種された;フラスコ2は3.01mLの0.36MOIシードが接種された;フラスコ3は1.5mLの0.18MOIシードが接種された;そして、フラスコ4は0.75mLの0.09MOIシードが接種された。
【0220】
PCV2 ORF2組変えバキュロウイルスを構築するために使用される基本的ステップを図示する概念的フロー図がここに図1として提供される。
【0221】
バキュロウイルスを接種した後に、フラスコは27±2℃で7日間インキュベートされ、さらにその期間中100rpmで振とうされた。フラスコは通気できるように通気性キャップを使用した。各フラスコからのサンプルは、7日間にわたり、24時間毎に採取された。抽出後、各サンプルは遠心され、ペレットと上清の両方が分けられ、それからポアサイズ0.45〜1.0μmのメンブレンを通して精密ろ過された。
【0222】
できあがったサンプルは、それから、その中に存在するORF2の量をELISAアッセイで定量された。ELISAアッセイは1:6000に0.05M炭酸バッファー(pH9.6)で希釈したキャプチャー抗体ブタ抗PCV2 Pab IgG ProtG(PBSで1:250に希釈)を用いて行われた。100μLの抗体がそれからマイクロタイタープレートのウェルに置かれ、シールされ、一晩37℃でインキュベートされた。
【0223】
プレートはそれから0.5mLのツイーン20(シグマ、セントルイス、MO)で100mLの10×D−PBS(ギブコ・インビトロゲゲン、カールスバッド、CA)及び899.5mlの蒸留水を含む洗浄液で3回洗われた。続いて、250μLのブロッキング溶液(5g カーネーション脱脂粉乳(ネスレ、グレンデール、CA)を10mLのD−PBSに溶かし、蒸留水で100mlに調製)が各ウェルに加えられた。
【0224】
次のステップはテストプレートを洗い、その後、プレ希釈抗原を加えることである。プレ希釈抗原は200μLの希釈溶液(0.5mLツイーン20を999.5mLのD−PBSに溶かす)を希釈プレート上の各ウェルに加えることによって作られた。それからサンプルが1:240の比と1:480の比に希釈され、そして、100μLの各希釈サンプルが希釈プレートの一番上のウェルに加えられた(つまり、一番上のウェルには100μLの1:240希釈が入り、他は100μLの1:480希釈が入る)。系列希釈がそれからプレートの残りに対して100μLをそれぞれの連続するウェルからとり、プレート上の次のウェルに移動することによって行われた。
【0225】
各ウェルは次の移動を行う前に混合された。テストプレート洗いにはプレートを洗浄バッファーで3回洗うことが含まれた。プレートはそれからシールされ、洗浄バッファーでさらに3回洗う前に1時間37℃でインキュベートされた。
【0226】
使用された検出抗体はPCV2 ORF2に対するモノクローナル抗体であった。それは1:300に希釈溶液で希釈され、そして、それから100μLの希釈検出抗体がウェルに加えられた。プレートはその後シールされ、洗浄バッファーで3回洗われる前に1時間37℃でインキュベートされた。コンジュゲート希釈剤がそれから正常ウサギ血清(ジャクソンイムノリサーチ,ウェストグルーブ,PA)を希釈液に1%濃度になるように加えることによって調製された。コンジュゲート抗体ヒツジ抗マウス(H+1)‐HRP(ジャクソンイムノリサーチ)がコンジュゲート希釈剤中で1:10,000に希釈された。100μLの希釈コンジュゲート抗体がそれから各ウェルに加えられた。
【0227】
プレートはそれからシールされ、洗浄バッファーで3回洗われる前に45分間37℃でインキュベートされた。100μLの基質(TMBペルオキシダーゼ基質,カークガード・アンド・ペリー・ラボラトリー(KPL),ガイザーズバーグ,MD)が、等量のペルオキシダーゼ基質B(KPL)と混ぜられ、各ウェルに加えられた。プレートは室温で15分間インキュベートされた。それから100μLの1N HCL溶液が反応を停止するために全ウェルに加えられた。プレートはそれからELISAリーダーに通された。このアッセイの結果は下の表1に示される:
【0228】
【表1】

【0229】
これらの結果は、インキュベーション時間が延長されるときに、ORF2の遠心により分けられた細胞と培地の上清への発現が、遠心により分けられた細胞と培地のペレットでの発現よりも多いということを示している。
【0230】
従って、ORF2の発現を少なくとも5日間続けさせて、それを上清中で回収することが、5日間よりも短い期間発現を続けさせて、細胞からORF2を回収することよりもむしろ、ORF2の収量の著しい増大、従来の方法を超える著しい進歩を与える。
【0231】
実施例2
この実施例はここで主張される発明の有効性に関するデータを提供する。1000mlのスピナーフラスコにおよそ1.0×10細胞/mlのSf+細胞を含む300mlのエクセル420培地が入れられた。フラスコはそれから27℃でインキュベートされ、100rpmで振盪された。
【0232】
続いて、フラスコに10mlの0.1のMOIをもつPCV2 ORF2/Bac p+6(SD昆虫細胞でさらに6代継代した、PCV2 ORF2遺伝子を含む組換えバキュロウイルス)ウイルスシードが24時間のインキュベーション後に接種された。
【0233】
フラスコはそれから27℃で合計6日間インキュベートされた。インキュベーションの後、フラスコは遠心され、生じた上清の3つのサンプルが採集され、不活化された。上清はその温度を37±2℃に引き上げることによって不活化された。
【0234】
1番目のサンプルに対しては、環化して0.2Mのバイナリエチレンイミン(BEI)となったブロモエチレンアミン臭化水素酸塩の0.4M濃度0.3N水酸化ナトリウム溶液が上清に加えられて、終濃度5mMのBEIを与えた。
【0235】
2番目のサンプルに対しては、10mMのBEIが上清に加えられた。
【0236】
3番目のサンプルに対しては、上清にBEIが加えられなかった。
【0237】
サンプルはそれから48時間連続して撹拌された。最終最小濃度5mMを与える1.0Mチオ硫酸ナトリウム溶液が残りのBEIを中和するために加えられた。
【0238】
各サンプル中のORF2の量がそれから実施例1の記載と同じELISAアッセイ手順を用いて定量された。
【0239】
この結果は下の表2に見られよう。
【0240】
【表2】

【0241】
この実施例はBEIでの中和は組換えPCV2 ORF2タンパク質産物の有意な量を除去したり分解したりしないということを説明する。これはBEI又は温度上昇からの上清中のORF2の大きな損失がないという事実によって裏づけられる。
【0242】
いわゆる当業者は回収されたORF2は安定なタンパク質産物であるということを理解するだろう。
【0243】
実施例3
この実施例は本発明が組換えPCV2 ORF2の小規模生産から、組換えPCV2 ORF2の大規模製造までスケーラブルであることを示す。7000mLのエクセル420培地中の5.0×10細胞/mlのSF+細胞/mlが、20000mLのアプリコンバイオリアクターに移植された。培地と細胞はそれから27℃でインキュベートされ、100rpmで続く68時間の間撹拌された。
【0244】
68時間目に、41.3mLのPCV2 ORF2バキュロウイルスMSV+3が7000mLのエクセル420培地に加えられた。できた混合物はそれからバイオリアクターに加えられた。続く7日間、混合物は27℃でインキュベートされ、100rpmで撹拌された。バイオリアクターからのサンプルは、感染後、4日目から開始し、24時間毎に抽出され、各サンプルは遠心された。サンプルの上清が保存され、ORF2の量がその後、SDS−PAGEデンシトメトリーを使って定量された。
【0245】
この結果は下の表3に見ることができる。
【0246】
【表3】

【0247】
実施例4
このこの実施例は7つのPCV2ワクチン候補の効果をテストし、さらにPCV2の病原性株への暴露に続く有効性パラメタを定める。
【0248】
帝王切開により分娩され、初乳を与えられない(CDCD)、9〜14日齢の、108匹の子ブタが無作為に同じ個体数の9つのグループに分けられた。
【0249】
表4はこの実施例の全体的な研究設計を示す。
【0250】
【表4】

【0251】
グループのうち7つ(グル〜プ1〜7)には、PCV2 ORF2ポリペプチドの用量を投与され、グループのうちの1グループはチャレンジコントロールの役を務め、PCV2 ORF2の投与がされず、残り1グループは厳密な陰性コントロールの役を務め、やはりPCV2 ORF2の投与がされなかった。
【0252】
実験0日目に、グループ1からグループ7は割り当てられたワクチンで処理された。
【0253】
グループ7のブタは実験14日目にブースター処理を受けた。
【0254】
ブタはワクチン接種に続き副作用の兆候及び注射部位の反応を観察され、実験19日目に2番目の研究サイトに移動された。
【0255】
2番目の研究サイトでは、グループ1〜8が一つの建物に一緒に収容されたが、グループ9は別の建物に収容された。
【0256】
すべてのブタが、スカシ貝(Keyhole limpet)ヘモシアニン(KLH)/フロインドの不完全アジュバント(ICFA)の投与を実験21日目と27日目に受け、実験24日目に、グループ1〜8は病原性PCV2のチャレンジを受けた。
【0257】
チャレンジ前後に、血液サンプルがPCV2の血清学のために採取された。チャレンジ後に、平均的な日ごとの体重増加を確定するための体重データ、及び臨床症状が、PCV2の鼻からの排出を確認するための鼻スワブサンプルとともに、採取された。
【0258】
実験49日目に、全ての生き残ったブタが解剖され、肺が病変に従ってスコア化され、選ばれた組織が後日の免疫組織化学(IHC)的検査のためにホルマリン中に保存された。
【0259】
材料と方法
これは、実験0日目に9から14日齢であった、CDCDブタにおいて行われた、一部盲検化されたワクチン接種−チャレンジのフィージビリティ・スタディであった。研究に含まれるため、種雄豚のPCV2 IFAタイター≦1:1000であった。さらに、種雄豚の血清学的状態は既知のPRRS陰性の群れに由来した。
【0260】
28匹の種雄豚がPCV2の血清学的状態を検査された。14匹の種雄豚が1000以下のPCV2タイターを示し、1番目の研究サイトに移された。
【0261】
110匹の子ブタが帝王切開手術によって分娩され、実験〜4日目にこの研究のために利用可能であった。上の表4に示されるように、実験〜3日目に、1番目の研究サイトにいる108匹のCDCDブタが体重を測定され、耳タグで個体識別され、体重によって区分され、そして、無作為に9グループのうちの1つに割り振られた。
【0262】
算入基準に合致するテスト動物が研究に含められ、後に何らかの理由で除外された場合、調査員とモニターが、最終的な分析でその動物から採集されたデータの使用を判断するために、相談した。子ブタを登録した日は除外され、除外の理由は文書に記録されている。最初に、種雄豚で除外されたものはなかった。
【0263】
実験〜3日目に、利用可能な110匹のうち総数108匹のブタが無作為に9グループのうちの1つに割り振られた。2匹の最も小さなブタ(番号17及び18)はグループに割り振られず、必要ならばエキストラとして利用可能であった。
【0264】
研究行程中、数匹の動物が除かれた。実験〜1日目に82番のブタ(グループ9)、実験3日目に56番のブタ(グループ6)、実験4日目に53番のブタ(グループ9)、実験8日目に28番のブタ(グループ8)、実験7日目に69番のブタ(グループ8)、及び実験9日目に93番のブタ(グループ4)が、それぞれ、チャレンジ前に死亡していることが発見された。
【0265】
これら6匹のブタは最終的な研究結果に含まれていない。17番のブタ(エキストラのブタの1匹)がグループ9に割り振られた、残りのエキストラのブタ、19番は、研究から除かれた。
【0266】
各グループに与えられた調製物は次の通りである:グループ1は、16μg/mlのORF2を含む1mlのウイルスORF2(vORF2)を投与することが計画された。これは、10.24mlのウイルスORF2(256μg/25μg/ml=10.24ml vORF2)を3.2mlの0.5%カーボポール及び2.56mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)と混合することにより行われた。こうして16mlのグループ1用調製物が作られた。
【0267】
グループ2は、8μg/mlのvORF2を含む1mlのvORF2を投与することが計画された。これは、5.12mlのvORF2(128μg/25μg/ml=5.12ml vORF2)を3.2mlの0.5%カーボポール及び7.68mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)と混合することにより行われた。こうして16mlのグループ2用調製物が作られた。
【0268】
グループ3は、4μg/mlのvORF2を含む1mlのvORF2を投与することが計画された。これは、2.56mlのvORF2(64μg/25μg/ml=2.56ml vORF2)を3.2mlの0.5%カーボポール及び10.24mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)と混合することにより行われた。こうして16mlのグループ3用調製物が作られた。
【0269】
グループ4は、16μg/mlのrORF2を含む1mlの組換えORF2(rORF2)を投与することが計画された。これは、2.23mlのrORF2(512μg/230μg/ml=2.23ml rORF2)を6.4mlの0.5%カーボポール及び23.37mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)と混合することにより行われた。こうして32mlのグループ4用調製物が作られた。
【0270】
グループ5は、8μg/mlのrORF2を含む1mlの組換えORF2(rORF2)を投与することが計画された。これは、1.11mlのrORF2(256μg/230μg/ml=1.11ml rORF2)を6.4mlの0.5%カーボポール及び24.49mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)と混合することにより行われた。こうして32mlのグループ5用調製物が作られた。
【0271】
グループ6は、4μg/mlのrORF2を含む1mlの組換えORF2(rORF2)を投与することが計画された。これは、0.56mlのrORF2(128μg/230μg/ml=0.56ml rORF2)を6.4mlの0.5%カーボポール及び25.04mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)と混合することにより行われた。こうして32mlのグループ6用調製物が作られた。
【0272】
グループ7は、MAX PCV2 KVを含む2mlのPCV2 不活化ウイルス全粒子(PCV2 KV)を投与することが計画された。これは、56mlのPCV2 KVを14mlの0.5%カーボポールと混合することにより行われた。こうして70mlのグループ7用調製物が作られた。
【0273】
最後に、グループ8は、2ml用量あたり0.5μg/ml又は1.0μg/mlのKLHを投与することが計画された。これは、40.71mlのKLH(0.5μg/mlで7.0μgタンパク質/ml=570ml(7.0μg/ml)(x)=(0.5)(570ml))、244.29mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)及び285mlのフロインドアジュバントを混合することにより行われた。表5はこの実施例のキーとなる行動に対するタイムフレームを記載している。
【0274】
【表5】

【0275】
研究の生存中フェイズの完了に引き続き、病理学者によって、ホルマリン固定組織が免疫組織化学(IHC)によってPCV2抗原の検査がされ、血液サンプルはPCV2血清学の評価をされ、鼻スワブサンプルはPCV2排出の評価をされ、そして平均1日あたり体重増加(ADWG)が実験24日目から59日目まで決定された。
【0276】
動物は1番目の研究サイトで、5つの部屋の個別のケージに、誕生から約11日齢まで、収容された(ほぼ研究0日目である)。各部屋は同じレイアウトであり、加温され、ろ過された空気が分離単位ごとに供給される個別のステンレス鋼製のケージから構成されていた。各部屋は別々の暖房装置と換気装置をもち、それによって部屋の間の空気のクロスコンタミネーションを防いだ。
【0277】
動物は2番目の研究サイトで、2つの異なる建物に収容された。グループ9(厳密な陰性コントロール)が改造された仕上棟に分けて収容され、グループ1〜8は改造された飼育棟に収容された。
【0278】
各グループは別々の檻に収容され(檻1つにつきブタ11〜12匹)、各檻はブタ1匹につき約3.0平方フィートを提供した。各檻はプラスチック製の羽根板の板材でできた、高架デッキ上にあった。檻の下のピットは、排泄物やゴミの汚物槽として供された。各建物は別個の加温及び換気システムをもち、建物間の空気のクロスコンタミネーションをほとんどなくしていた。
【0279】
1番目の研究サイトでは、子ブタは特別組成のミルク飼料を、誕生からおよそ3週齢まで給餌された。全ての子ブタは固形の特別配合の飼料を実験19日まで食べていた(およそ4週齢)。
【0280】
2番目の研究サイトでは、全てのブタは、週齢と体重に適した、特製の、薬が入っていない商用配合飼料を好きなときに給餌された。水も両方のサイトで随意に利用可能であった。
【0281】
全ての被験ブタは実験〜2日目にビタミンEで、実験〜1日目に鉄注射で、実験16、17、18及び19日目にナクセル(NAXCEL、登録商標)で処理された(1.0mL、筋肉内注射、脚を順に変える)。加えて、52番のブタ(グループ9)は実験3日目に鉄注射で処理され、45番のブタ(グループ6)は実験11日目に鉄注射で処理され、69番のブタ(グループ8)はナクセル(NAXCEL、登録商標)で実験6日目に処理され、74番のブタ(グループ3)はデキサメタゾンとペニシリンで実験13日目に、ナクセル(NAXCEL、登録商標)で実験14日目に、様々な健康上の理由から処理された。
【0282】
両方の研究サイトにいる間、ブタは家畜管理の下に置かれた。動物の健康診断は実験0日目に行われ、健康診断報告フォームに記録された。全ての動物は実験0日目の観察によって確認されたように、ワクチン接種前によい健康状態と栄養状態にあった。全てのテスト動物は、チャレンジの前に、よい健康及び栄養状態にあることが観察された。死骸と組織はレンダリングにより処分された。研究動物の最終処分は動物処分記録に記録された。
【0283】
実験0日目に、グループ1〜6に割り振られたブタが、1.0mLのPCV2ワクチン1〜6を、それぞれ、筋肉内注射(IM)で、首の左側部分に、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと滅菌した20g×”ニードルを使って投与された。グループ7に割り振られたブタは、2.0mLのPCV2ワクチンNo.7を、筋肉内注射(IM)で、首の左側部分に、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと滅菌した20g×”ニードルを使って投与された。
【0284】
実験14日目に、グループ7に割り振られたブタは、2.0mLのPCV2ワクチンNo.7を、筋肉内注射(IM)で、首の右側部分に、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと滅菌した20g×”ニードルを使って投与された。
【0285】
実験21日目に、すべての被験ブタが、2.0mLのKLH/ICFAを、筋肉内注射(IM)で、右の太もも部分に、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと滅菌した20g×”ニードルを使って投与された。実験27日目に、すべての被験ブタが、2.0mLのKLH/ICFAを、筋肉内注射(IM)で、左の太もも部分に、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと滅菌した20g×”ニードルを使って投与された。
【0286】
実験24日目に、グループ8に割り振られたブタが、1.0mLのPCV2 ISUVDLチャレンジマテリアル(5.11log10 TCID50/mL)を筋肉内注射で、首の左側部分に、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと滅菌した20g×”ニードルを使って投与された。追加の1.0mLの同じマテリアルが、鼻内(IN)注入で、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと鼻カニューレを使って、各ブタに投与された(鼻孔あたり0.5mL)。
【0287】
被験ブタは、全体的な健康と副作用について、実験〜4日目及び実験0日目から実験19日目まで、毎日観察された。観察結果は臨床観察記録に記録された。全ての被験ブタは、注射部位の反応について、実験0日目から実験7日目まで観察され、グループ7は実験14日目から21日目までさらに観察された。実験〜3、24及び49日目、又は、チャレンジ後にブタが死んでいることが発見された日に、平均1日あたり体重増加が、キャリブレーションされた体重計の上で、それぞれのブタの体重を測定することによって、決定された。体重は体重フォームに記録された。実験〜3日目の体重が、無作為抽出の前に、ブタを分けるために利用された。実験24日目及び実験49日目の体重データが、各ブタに対する、この期間内の、平均1日あたり体重増加(ADWG)を決定するために、利用された。チャレンジ後、実験49日以前に死んだブタに対しては、実験24日目から死亡の日までのADWGを表すように、ADWGが調整された。
【0288】
PCV2の血清学を決定するため、各子ブタから、静脈全血が、眼窩静脈洞から、実験〜3日目及び13日目に、採集された。各子ブタに対して、眼窩静脈洞から、滅菌したキャピラリーチューブを片側の目の目頭に挿入し、約3.0mLの全血を、4.0mLの血清分離チューブ(SST)に吸引することによって、血液が採集された。
【0289】
実験24、31及び49日目に、各ブタからの静脈全血が、上大静脈から、滅菌した18g×”バキュテイナーニードル(ベクトン・ディッキンソン社、フランクリンレイクス、ニュージャージー)、バキュテイナーニードルホルダー及び13mLのSSTを使い、採集された。各時点での血液採集が、サンプル採集記録に記録された。各SST内の血液は、凝固するままにされ、その後、各SSTがスピンダウンされて血清が集められた。集められた血清は滅菌したスナップチューブに移され、−70±10℃で、後日検査されるまで、保存された。血清サンプルは、PCV2抗体の存在を、BIVI−R&Dの職員によって、検査された。
【0290】
ブタは実験20日目から実験49日目まで1日1回、臨床症状を観察され、臨床的観察は臨床観察記録に記録された。
【0291】
PCV2の鼻からの排出を検査するため、実験24、25日目に、そして、その後奇数実験日毎に実験49日目まで、滅菌したダクロンのスワブがそれぞれのブタの左あるいは右の鼻から鼻内部に可能な限り無菌的に挿入され(ブタ1匹に対してスワブ1個)、数秒間動かし、それから取り除いた。それぞれのスワブはそれから1%IFBS、500ユニット/mLのペニシリン、500μg/mLのストレプトマイシン及び2.5μg/mLのフンギゾンを含有する1.0mLのEMEM培地を入れた1つの滅菌済スナップ式キャップのチューブに入れられた。スワブはチューブ内で分解され、スナップチューブは封をされ、動物の番号、採集の日、実験序数日、及び“鼻スワブ”で適切なラベルをされた。封されたスナップチューブはBIVI‐セント・ジョセフに移送されるまで一晩、−40±10℃で保管された。鼻スワブの採集品は鼻スワブサンプル採集フォームに記録された。BIVI‐R&Dが鼻スワブサンプルのPCV2の定量的なウイルスの単離(VI)検査を行った。結果はlog10値で表された。1.3log又はそれよりも小さい値は陰性とみなされ、1.3logよりも大きな値は陽性とみなされた。
【0292】
最初の研究サイトで死んだブタ(No.28、52、56、69、82、及び93)は診断を行うのに必要なレベルまで解剖された。肉眼的病変が記録され、これらのブタからは組織が保存されなかった。
【0293】
2番目の研究サイトで、実験49日目よりも前に死亡したブタ(番号、45、23、58、35)、実験49日目に安楽死の前に死んでいることが発見されたブタ(番号、2、43)及び実験49日目に安楽死させられたブタは解剖された。あらゆる肉眼的病変が確認され、病変がある肺葉のパーセンテージが解剖報告フォームに記録された。
【0294】
2番目の研究サイトで解剖された103匹のブタのそれぞれから、扁桃腺、肺、心臓、肝臓、腸間膜リンパ節、腎臓及び鼠径部リンパ節の組織サンプルが緩衝10%ホルマリンが入った1つのコンテナに入れられた;一方、同じ前述の器官からとられた別の組織サンプルは、ワールパック(M−テック・ダイアグノスティクス社、セルウォール、UK)にいれられ、それぞれのワールパックは氷上に置かれた。それぞれのコンテナは適切にラベルされた。サンプルを採集したものは解剖報告フォームに記録された。その後、ホルマリン固定組織サンプル及び診断要求フォームがIHC検査のために提出された。IHC検査は、サンプルの受け入れ、サンプルとスライドの調製、及び染色技術について、標準的なISUラボラトリーの手順に従って実施された。ワールパック内の新鮮な組織アイスパックとともに保存(−70℃±10℃)と将来的的に使用するために研究モニターに送られた。
【0295】
ホルマリン固定サンプルは病理学者によって、IHCによるPCV2検出の検査がされ、次のスコア化システムを使いスコア化された:0=なし;1=貧弱な陽性染色、ほとんど染色箇所がない;2=中程度に陽性染色、多数の染色箇所;及び、3=明らかな陽性染色、組織全体にわたって分布。病理学者が鼠径部リンパ節と腸間膜リンパ節を確信をもって区別できないという事実のために、これらの組織に対する結果は単純にリンパ節及び1動物あたり2つの組織のそれぞれに対して与えられる最も高いスコアがラベルされた。
【0296】
結果
この実施例にの結果が下記に与えられる。グループ9からの1匹のブタが実験0日目以前に、さらに5匹(グループ4から1匹;グループ6から1匹;グループ8から2匹;及びグループ9から1匹)のブタがワクチン接種後に死亡したことが注記される。死後の検査により、6匹はすべてワクチン接種又はPMWSに関係しない潜在的感染によって死亡したことが示された。
【0297】
1日あたり平均体重増加(ADWG)の結果は下に表6に示される。厳密な陰性コントロールであるグループ9が最も高いADWGを示し(1.06±0.17 lb/日)、8μgのrORF2の1用量を投与されたグループ5が(0.94±0.22 lb/日)次に位置し、4μgのvORF2の1用量を投与されたグループ3が最も低いADWG(0.49±0.21 lb/日)を示し、不活化ワクチンの2用量を投与されたグループ7がそれに続いた(0.50±0.15 lb/日)。
【0298】
【表6】

【0299】
PCV2の血清学の結果は下に表7に示される。9つすべてのグループはPCV2に対して実験〜3日目には血清学的陰性であった。実験14日目に、vORF2ワクチンの接種を受けたグループが最も高いタイターを示し、187.5から529.2の範囲であった。不活化ワクチンを投与されたブタが次に高いタイターを示し、rORF2ワクチンを投与されたグループがそれに続いた。グループ8及び9はこの時には血清学的陰性のままであった。
【0300】
実験24日目及び実験31日目に、vORF2を投与されたブタは強い血清学的反応を示し続け、不活化ワクチンの2用量を投与されたグループがすぐ後に続いた。rORF2ワクチンを投与されたブタは血清学的に応答が遅く、グループ8と9は血清学的陰性のままであった。
【0301】
実験49日目に、vORF2ワクチン、2用量の不活化ウイルスワクチン及び最低用量のvORF2ワクチンをを投与されたブタが最も強い血清学的応答を示した。16μg及び8μgのrORF2ワクチンを投与されたブタは、チャレンジコントロールよりもやや高いIFAタイターを示した。グループ9は実験49日目に強い血清学的応答を示した。
【0302】
【表7】

【0303】
チャレンジ後の臨床的観察の結果が下の表8に示される。この結果のまとめは、異常な行動、異常な呼吸、咳及び下痢を含む。
【0304】
表9は、グループごとの全臨床症状発生件数のまとめからの結果を含み、表10はグループごとのチャレンジ後死亡率のまとめからの結果を含む。
【0305】
この研究において確認された最も普通の臨床症状は、軽度から重度の昏睡としてスコアされた異常行動であった。2種類のより低用量のvORF2を投与されたブタ、16μgのrORF2を投与されたブタ及びKVワクチンを2用量投与されたブタは、発生率≧27.3%を示した。8μgのORF2を投与されたブタと厳密な陰性コントロールグループは全く異常行動を示さなかった。
【0306】
この研究では、ブタは全く異常呼吸を示さなかった。咳は全てのグループで頻繁に(0から25%)確認されたが、下痢も同様(0〜20%)であった。確認された臨床症状は、全くPMWSに病患特異的ではなかった。
【0307】
全体的な臨床症状の発生率はグループ間で異なっていた。いずれかのvORF2ワクチンを投与されたグループ、16μgのrORF2を投与されたグループ、KVワクチンの2用量を投与されたグループ及びチャレンジコントロールグループは、最も高い臨床症状発生率(≧36.4%)を示した。厳密な陰性コントロールグループ、8μgのrORF2を投与されたグループ及び4μgのrORF2を投与されたグループは、それぞれ、0%、8.3%及び9.1%の全体的な臨床症状発生率を示した。
【0308】
グループ間の全体的な死亡率も同様に異なっていた。KVワクチンを2用量投与されたグループは最も高い死亡率(16.7%)を示した;その一方で、4μgのvORF2、16μgのrORF2又は8μgのrORF2を投与されたグループ及び厳密な陰性コントロールグループは全て0%の死亡率を示した。
【0309】
【表8】

【0310】
【表9】

【0311】
【表10】

【0312】
PCV2の鼻からの排出の結果は下記の表11に示される。
【0313】
【表11】

【0314】
実験24日目のチャレンジ後、実験27日目にグループ7の1匹のブタがPCV2を排出し始めた。実験33日目まで、他のグループでは排出するものはいなかった。鼻からの排出の大部分は、実験35日目から45日目まで確認された。
【0315】
3種類のvORF2ワクチンのいずれかを投与されたグループ及びrORF2を4又は8μg投与されたグループは、最も低いPCV2の鼻からの排出発生率(≦9.1%)を示した。
【0316】
チャレンジコントロールグループ(グループ8)は最も高い排出率(80%)を示し、63.3%の発生率を示した厳密な陰性コントロールグループがそれに続いた。
【0317】
グループごとの黄疸発生率、グループごとの胃潰瘍発生率、グループごとの平均肺病変スコア、及びグループごとの肺病変発生率が下の表12に示される。
【0318】
【表12】

【0319】
6匹のブタが1番目の試験サイトで研究のワクチン接種後フェイズ中に死亡した(グループ4、N=1;グループ6、N=1;グループ8、N=2;グループ9、N=2)。
【0320】
6匹中4匹のブタには、1又は2以上の体腔において、フィブリンの病変があった。1匹のブタ(グループ6)はクロストリジウム症に一致する病変があり、また、1匹のブタ(グループ9)には肉眼的病変が無かった。研究のワクチン接種後フェイズの間に死亡したブタには、PMWSに一致する病変が全く無かった。
【0321】
チャレンジ後に死亡したブタと実験49日目に安楽死させられたブタが解剖された。解剖では、黄疸及び胃潰瘍が、どのグループにも見られなかった。平均%肺病変に関しては、グループ9が最も低い平均%肺病変(0%)を示し、グループ1が0.40±0.50%で、グループ5が0.68±1.15%で、それに続いた。
【0322】
グループ2,3,7及び8が最も高い平均%肺病変(≧7.27%)を示した。これら4グループのそれぞれは、これら4グループに対する結果を高く歪曲する、%肺病変≧71.5%なる1匹のブタを含んだ。0%の肺病変が確認されたグループ9を除き、残る8グループは≦36%の肺病変を示した。ほとんど全ての確認された肺病変が、赤/紫及びかたまっていると記載された。
【0323】
グループごとのIHC陽性発生率のまとめが表13に示される。
【0324】
【表13】

【0325】
グループ1(vORF2−16μg)及びグループ5(rORF2−8μg)が最も低率のIHC陽性の結果(16.7%)を示した。
【0326】
グループ8(チャレンジコントロール)及びグループ9(厳密な陰性コントロール)が最も高率のIHC陽性の結果、それぞれ90%及び90.9%を示した。
【0327】
チャレンジ後、8μgのrORF2抗原を1用量投与されたグループ5は、他の6種類のワクチングループよりも優れた効果を示した。グループ5は最も高いADWG(0.94±0.22 lb/日)、最も低い異常行動発生率(0%)、2番目に低い咳発生率(8.3%)、最も低い全臨床症状発生率(8.3%)、最も低い死亡率(0%)、最も低い鼻からのPCV2排出率(8.3%)、2番目に低率の平均%肺病変(0.68±1.15%)及び最も低い陽性組織発生率(16.7%)を示した。
【0328】
様々なレベルのrORF2抗原を投与されたグループは全体的に様々なレベルのvORF2抗原を投与されたグループよりも優れた結果を示し、不活化全粒子PCV2ワクチンを2用量投与されたグループは最も悪い結果を示した。
【0329】
表14及び15はグループごとのチャレンジ後のデータのまとめを含む。
【0330】
【表14】

【0331】
【表15】

【0332】
この研究の結果は、あらゆる今後のワクチン開発の努力がrORF2ワクチンに集中すべきであることを示している。
【0333】
全般的に、鼻からのPCV2排出がチャレンジ後に検出され、PCV2ワクチンによるワクチン接種が排出の低減をもたらした。
【0334】
選ばれたリンパ組織の免疫組織化学はまた、ADWG、臨床症状、及び肉眼的病変における大きな違いはグループ間で検出されなかったが、ワクチンの効果に対するよいパラメタとして役立った。
【0335】
この研究は、鼻からのPCV2の排出、PCV2の血清型変換及び厳密な陰性コントロールグループであるグループ9でのIHC陽性組織によって証拠づけられる、外部からのPCV2が研究中のどこかの時点で持ち込まれたという事実のために、分析しにくかった。
【0336】
考察
7種類のPCV2ワクチンがこの研究で評価されたが、それは、実験0日目に1回投与される3種類の異なる用量レベルのvORF2抗原、実験0日目に1回投与される3種類の異なる用量レベルのrORF2抗原、及び実験0日目と実験14日目に投与される1用量レベルの不活化全粒子PCV2ワクチンを含んだ。
【0337】
全般的に、8μgのrORF2抗原を含むワクチンの1用量を投与されたグループ5が最もよい結果を示した。グループ5は最も高いADWG、最も低い異常行動発生率、最も低い異常呼吸発生率、2番目に低い咳発生率、最も低い全体的臨床症状の出現率、最も低い死亡率、最も低い鼻からのPCV2排出率、2番目に低率の平均%肺病変及び最も低いIHC陽性組織の発生率を示した。
【0338】
興味深いことに、グループ5よりも高用量のrORF2抗原を投与されたグループ4はグループ5と同等又はより優れた結果を示さなかった。グループ4は、グループ5よりも、やや低いADWG、より高い異常行動発生率、より高い全体的な臨床症状の出現率、より高い鼻からのPCV2排出率、より高率の平均%肺病変、及びより高いIHC陽性組織の発生率を示した。
【0339】
これら2つのグループ間の違いが統計学的に意味が無いことを示せたかもしれない統計学的解析は、これらのデータについては行われなかったが、グループ4はグループ5と同等の成果を示していないという観察された傾向がある。
【0340】
ワクチン接種後、6匹のブタが最初の研究サイトで死亡した。6匹のブタのうち4匹は、ワクチン投与を受けないグループ8又はグループ9からであった。6匹のブタはすべてPMWSに合致する病変を呈していなかった。
【0341】
副作用は全く報告されず、全般的に、7種類全てのワクチンは、約11日齢のブタに投与されたときに安全であることが明らかとなった。
【0342】
研究のワクチン接種後フェイズの間、ワクチングループの中で、3用量レベルのvORF2ワクチン又は不活化全粒子ワクチンを投与されたブタは、最も高いIFATレベルを示したが、一方、グループ5は最も低いIFATレベルをチャレンジ直前に示した。
【0343】
正式には証明されていないが、離乳後まもなくの若いブタへのPCV2の主要な伝染ルートは、口と鼻の直接接触によるものであると信じられており、生産環境で鼻からのPCV2排出を減少する効果のあるワクチンは感染の拡大をコントロールすることを助けるだろう。
【0344】
3種類のvORF2抗原レベルのうち1種類を投与されたグループ及び8μgのrORF2を投与されたグループは、最も低い鼻からのPCV2排出率(8.3%)を示した。予想通り、チャレンジコントロールグループは最も高い鼻からの排出率(80%)を示した。
【0345】
PCV2感染に続き、PMWSを発症したブタの肉眼的病変は典型的には、一般的なリンパ節症と次のうちの1又は複数の組合せからなる:(1)小葉間浮腫を伴う間質性肺炎、(2)皮膚の蒼白又は黄疸、(3)斑点のある萎縮性肝臓、(4)胃潰瘍、及び(5)腎炎。
【0346】
解剖時に、黄疸、肝炎、腎炎、及び胃潰瘍はどのグループでも確認されず、リンパ節炎は特に検査されなかった。平均%肺病変スコアはグループ間で異なっていた。
【0347】
16μgのvORF2抗原を投与されたグループは、最も低い平均%肺病変スコア(0.40±0.50%)を示し、8μgのrORF2を投与されたグループ(0.68±1.15%)がそれに続いた。
【0348】
予想通り、チャレンジコントロールグループが最も高い平均%肺病変スコア(9.88±29.2%)を示した。
【0349】
4グループ全てで、平均%肺病変スコアが、非常に高い肺病変スコアをもつ、各グループの1匹のブタのせいで上昇した。
【0350】
肺病変のほとんどは、赤/紫及びかたまっているとして記載された。典型的には、PMWSに関係する肺病変は、小肺葉浮腫のためにタン色で散らばっているとして記載される。この研究で確認された肺病変は、PCV2感染に関係するのではなく、二次的な肺感染生物が存在していたかもしれない。
【0351】
本研究の状況では、%肺病変スコアは、おそらくPCV2による肺感染の量の本当の値を反映しない。
【0352】
他の研究者は、IHCによるPCV2抗原の存在と組織病理学の間の直接的な相関を示した。選ばれた組織の組織病理学はこの研究では行われなかった。
【0353】
グループ1(16μgのvORF2)とグループ5(8μgのrORF2)は最も低いPCV2抗原に対して陽性のブタの発生率(8.3%)を示したが、一方、グループ9(厳密な陰性コントロールグループ−90.9%)とグループ8(チャレンジコントロールグループ−90.9%)は最も高いPCV2抗原に対して陽性のブタの発生率を示した。このテストの非主観的な性質のため、IHCの結果は、おそらく、ワクチンの効力を判定するための最もよいパラメタのひとつである。
【0354】
そして、本発明の一態様では、1ml/1用量の抽出されたPCV2 ORF2(rORF2)抗原による組換え産物の、CDCDブタモデルにおける、PCV2チャレンジに対する、最小保護用量(MPD)が決定された。
【0355】
様々なレベルのrORF2抗原を投与された3グループのうち、グループ5(8μgのrORF2抗原)は明瞭に最も高いレベルの保護を示した。グループ5は最もよい結果を示すか、又は、試験されたパラメタのすべてに関して最も好ましい結果と結び付けられた。
【0356】
グループ5がチャレンジ後に他の6つのワクチングループと比較されたとき、グループ5は最も高いADWG(0.94±0.22 lb/日)、最も低い異常行動発生率(0%)、2番目に低い咳の発生率(8.3%)、最も低い全臨床症状の発生率(8.3%)、最も低い死亡率(0%)、最も低い鼻からのPCV2排出率(8.3%)、2番目に低率の平均%肺病変(0.68±1.15%)、及び最も低いIHC陽性組織の発生率を示した。
【0357】
本発明の別の態様では、1ml/1用量の、部分的に精製されたPCV2 ORF2 (vORF2)抗原である、コンベンショナルな産物の、CDCDモデルにおける、PCV2チャレンジに対するMPDが決定された。
【0358】
様々なレベルのvORF2抗原を投与された3グループのうち、グループ1(16μgのvORF2抗原)は明瞭に最も高いレベルの保護を示した。グループ1はADWG,平均%肺病変、及びIHCに関して、グループ2及び3をよりも優れていた。
【0359】
グループ1及び2(8μgのvORF2抗原)は、臨床症状の全発生率に関して同じ性能を発揮し、グループ3(4μgのvORF2抗原)は最も低い死亡率を示し、3グループ全てが鼻からの排出に関して同じ性能を示した。
【0360】
全体的に、vORFワクチンはrORF2ワクチンと同程度の性能を示さなかった。
【0361】
本発明のさらに別の態様では、2ml/2用量の、コンベンショナルな不活化PCV2ワクチンの最大用量の、CDCDブタモデルにおける、PCV2チャレンジに対する有効性が決定された。
【0362】
この研究で評価された7種類のワクチンのうち、不活化全粒子PCV2ワクチンが、最も悪い性能を示した。
【0363】
2用量の不活化全粒子PCV2ワクチンを投与された子ブタは、最も低いADWG、2番目に高い異常行動率(58.3%)、2番目に高い臨床症状の全発生率(58.3%)、最も高い死亡率(16.7%)、2番目に高い鼻からの排出発生率(41.7%)、もっとも高い平均%肺病変(9.88±29.2%)、高率の確認された肺病変(75%)、及び中程度の組織でのIHC発生率(41.7%)を示した。しかしながら、免疫応答を誘導することについてはかなり有効であった。
【0364】
本発明のさらに別の態様では、鼻からのPCV2排出が、有効性パラメタとして検討され、以前の研究からの以前のPCV2有効性パラメタが再確認された。この研究からの結果は鼻からのPCV2の排出が鼻内チャレンジに続いて起こること及びチャレンジ後にPCV2ワクチンがPCV2の鼻からの排出を低減するということを示す。さらに、この研究からの結果及び文献中の報告は、将来のPCV2ワクチン試験においても同様にIHCが評価され続けるべきであることを示す。
【0365】
この研究から生じるいくつかの追加の結論は、リンパ節症はPMWSのひとつの特徴であるということである。PMWSのもうひとつの特徴はリンパ球の減少と多核/巨大食細胞である。
【0366】
さらに、副作用又は注射部位の反応が7種類のPCV2ワクチンのいずれに対しても確認されず、7種類のPCV2ワクチンがすべて若いブタに投与されたときに安全であることが明らかになった。
【0367】
実施例5
この実施例は8種類のPCV2ワクチン候補の有効性をテストし、PCV2の病原性株への曝露後の以前のチャレンジ研究からのPCV2チャレンジパラメタを確認する。帝王切開で分娩され、初乳を与えられない(CDCD)、6〜16日齢の150匹の子ブタが、体重によって分別され、無作為に同じ個体数の10グループに割り振られた。
【0368】
表16は、この実施例に対する全般的な研究設計を示す。
【0369】
【表16】

【0370】
各グループに与えられたワクチンの調製物は次の通りであった。PCV2ワクチンNo.1は、グループ1に1×2ml用量で投与される、高用量(16μg/2ml用量)のIMS 1314でアジュバントされた不活化組換えORF2抗原(16μg rORF2−IMS 1314)であった。
【0371】
PCV2ワクチンNo.2は、グループ2に1×2ml用量で投与される、高用量(16μg/2ml用量)のカーボポールでアジュバントされた一部精製VIDO R−1生成PCV2 ORF2抗原(16μg vORF2−カーボポール)であった。
【0372】
PCV2ワクチンNo.3は、グループ3に1×2ml用量で投与される、高用量(16μg/2ml用量)のカーボポールでアジュバントされた不活化組換えORF2抗原(16μg rORF2−カーボポール)であった。
【0373】
PCV2ワクチンNo.4は、グループ4に1×1ml用量で投与される、高用量(16μg/1ml用量)のカーボポールでアジュバントされた一部精製VIDO R−1生成PCV2 ORF2抗原(16μg vORF2−カーボポール)であった。
【0374】
ワクチンNo.5は、グループ5に1×2ml用量で投与される、4μg/2ml用量のカーボポールでアジュバントされた不活化組換えORF2抗原(4μg rROR2−カーボポール)であった。
【0375】
PCV2ワクチンNo.6は、グループ6に1×2ml用量で投与される、1μg/2ml用量のカーボポールでアジュバントされた不活化組換えORF2抗原(1μg rORF2−カーボポール)であった。
【0376】
PCV2ワクチンNo.7は、グループ7に1×2ml用量で投与される、低用量(0.25μg/2ml用量)のカーボポールでアジュバントされた不活化組換えORF2抗原(0.25μg rORF2−カーボポール)であった。
【0377】
PCV2ワクチンNo.8は、グループ8に1×2ml用量で投与される、高用量(不活化前タイター>8.0 log/2ml用量)の、カーボポールでアジュバントされた、不活化された、コンベンショナルな、殺された、VIDO R−1によって生成したPCV2 Struve抗原(>8.0 log KV−カーボポール)であった。
【0378】
実験0日目に、グループ1〜8はそれらに割り当てられたワクチンで処理された。グループ1〜3及び5〜8はそれらに対応するワクチンのブースターを実験14日目に再び投与された。16μgのvORF2−カーボポールの1用量の効果が、実験14日目にブースターを投与されなかったグループ4についてテストされた。子ブタは、2度のワクチン接種に続く副作用と注射部位の反応を観察された。
【0379】
実験21日目に、子ブタは、グループ1〜9が1つの建物に収容され、グループ10が別の建物に収容される2番目の研究サイトに移動された。全ての子ブタはフロイントの不完全アジュバントでアジュバントしたスカシ貝ヘモシアニン(KLH/ICFA)を実験22及び28日目に投与された。
【0380】
実験25日目に、グループ1〜9は約4logの病原性PCV2ウイルスでチャレンジされた。実験46日目までにチャレンジコントロールグループではほとんど死亡が起きなかった。ブタを免疫刺激し、PCV2チャレンジマテリアルの病原性を増加させる試みでは、すべてのグループがインゲルバック(INGELVAC、登録商標)PRRS MLV(豚生殖器呼吸器症候群ワクチン、改変生ウイルス)で実験46日目に処理された。
【0381】
チャレンジ前後の血液サンプルがPCV2血清学のために採集された。チャレンジ後の、平均1日当たり体重増加(ADWG)を決定するための体重データ及び臨床的徴候の観察結果が採集された。
【0382】
実験50日目に、全ての生き残っているブタが解剖され、肉眼的病変が記録され、肺が病理学のためにスコア化され、選ばれた組織が後日のPCV2抗原を検出するための免疫組織化学(IHC)による検査のためにホルマリン中に保存された。
【0383】
材料と方法
これは、実験0日目に6から16日例のCDCDブタで実施された、一部盲検化したワクチンチャレンジの実現可能性研究である。この研究に加入されるためには、種雄豚のPCV2 IFA≦1000であった。さらに、種雄豚の血清学的状態は既知のPRRS陰性群れに由来した。
【0384】
16匹の種雄豚がPCV2血清学的状態を検査され、16匹全てが≧1000のPCV2タイターを有し、最初の研究サイトに移送された。
【0385】
150匹の子ブタが帝王切開手術によって分娩され、実験〜3日目に、この研究のために利用可能であった。上記の表16に示されるように、実験〜3日目に、最初の研究サイトで、150匹のCDCDブタが体重を測定され、耳タグで個体識別され、体重によって区分され、無作為に10グループのうちの1つに割り振られた。
【0386】
血液サンプルが全てのブタから採集された。
【0387】
加入基準に合致する被験動物がこの研究に加入され、後に何らかの理由によって除外されたならば、調査員とモニターが、最終的な分析で、その動物から採集されたデータの使用を決定するために、相談をした。
【0388】
ブタを加入した日は除外され、除外の理由は記載されている。加入基準に合致し、研究のために選ばれ、1番目の研究サイトに運ばれた種雄豚で除外されたものはなかった。子ブタは研究から全く除外されず、被験動物は終了前に研究から除かれなかった。
【0389】
表17は、この実施例の主要な行動のタイムフレームを記載する。
【0390】
【表17】

【0391】
この研究の生存中フェイズの完了に続き、ホルマリン固定組織が、病理学者によって、免疫組織化学(IHC)で、PCV2抗原検出のために、検査され、血液サンプルがPCV2血清学のために評価され、平均1日あたり体重増加(ADWG)が実験25日目から実験50日目まで決定された。
【0392】
動物は1番目の研究サイトで7つの部屋の個別のケージに、誕生から約11日齢まで収容された(ほぼ実験0日目)。
【0393】
各部屋は同一レイアウトであり、積み重ねられた個々のステンレス鋼製ケージからなり、加温及びろ過された空気が各分離ユニットに個別に供給された。各部屋には個別の暖房及び換気が装備され、それによって部屋間の空気のクロスコンタミネーションを防止した。
【0394】
動物は2番目の研究サイトで2つの異なる建物に収容された。グループ10(厳密な陰性コントロールグループ)は別個に改造された飼育棟に収容され、グループ1〜9は改造された分娩棟に収容された。
【0395】
各グループは別々の檻に収容され(檻あたり14〜15匹)、各檻はブタ1匹あたり約2.3平方フィートを提供した。グループ2、4及び8は、通路の片側の3つの隣接した檻に入れられ、グループ1、3、5、6、7、及び9は通路の反対側の6つの隣接した檻に入れられた。
【0396】
グループを分けたのは、グループ2、4、及び8に投与されるワクチンが十分に不活化されていないという、研究モニターによる懸念のためであった。
【0397】
各檻は、プラスチック製スレートの床を備えた架台の上にあった。檻の下のピットは排泄物貯蔵タンクとして供された。各建物は個別に暖房及び換気システムを装備し、建物間の空気のクロスコンタミネーションの可能性をほとんどなくしていた。
【0398】
1番目の研究サイトで、子ブタは特別に調合されたミルク飼料を誕生から約3週齢まで給餌された。全ての子ブタは固形の、特別に配合された飼料を実験21日目(およそ、4週齢)まで食べていた。
【0399】
2番目の研究サイトでは、全てのブタが、週齢と体重に対して適切な、特製の薬剤添加していない商用配合飼料を、随時、与えられた。両研究サイトでの水は、やはり任意に利用することができた。
【0400】
全ての被験ブタは、実験19、20、及び21日目に、注射するももを変えながら、筋肉内注射で、1.0mLのナクセル(NAXCEL、登録商標)で処理された。さらに、ブタNo.11(グループ1)が、実験10日目に、0.5mLのナクセル(NAXCEL、登録商標)で、筋肉内注射で処理され、ブタNo.13(グループ10)が、実験10日目に、1mLのペニシリン及び1mLのプレデフ(PREDEF、登録商標)2Xで処理され、ブタNo.4(グループ9)が、実験11日目に、1.0mLのナクセル(NAXCEL、登録商標)で、筋肉内注射で処理され、ブタNo.1(グループ1)、4及び11が、実験14日目に、様々な健康上の理由により、それぞれ1.0mlのナクセル(NAXCEL、登録商標)で、筋肉内注射で処理された。
【0401】
両研究サイトにいる間、ブタは家畜管理の下に置かれた。動物の健康検査は実験〜3日目に行われ、健康検査記録フォームに記録された。全ての動物が、ワクチン接種前に、実験0日目の観察によって確認されたように、よい健康及び栄養状態にあった。
【0402】
全ての被験動物が、チャレンジの前に、よい健康及び栄養状態にあることが観察された。死骸と組織はレンダリングによって廃棄された。研究に使用した動物の最終処分は動物処分記録に記録された。
【0403】
実験0及び14日目に、グループ1〜3と5〜8に割り振られたブタは、2.0mLの割り当てられたPCV2ワクチン1〜4を、それぞれ、筋肉内注射で、右側及び左側の首部分に、滅菌した3.0mLルアーロックシリンジ及び滅菌した20g×”ニードルを使って、投与された。
【0404】
グループ4に割り振られたブタは、1.0mLのPCV2ワクチンNo.2を、筋肉内注射で、右側の首部分に、滅菌した3.0mLルアーロックシリンジ及び滅菌した20g×”ニードルを使って、実験0日目にのみ、投与された。
【0405】
実験22日目に、全ての被験ブタが、2.0mLのKLH/ICFAを、筋肉内注射で、左側の首部分に、滅菌した3.0mLルアーロックシリンジ及び滅菌した20g×1”ニードルを使って、投与された。
【0406】
実験28日目に、全ての被験ブタが、2.0mLのKLH/ICFAを、筋肉内注射で、右側のもも部分に、滅菌した3.0mLルアーロックシリンジ及び滅菌した20g×1”ニードルを使って、投与された。
【0407】
実験25日目に、グループ1〜9に割り振られたブタは、1.0mLのPCV2 ISUVDLチャレンジマテリアル(3.98 log10 TCID50/mL)を、筋肉内注射で、右側の首部分に、滅菌した3.0mLルアーロックシリンジ及び滅菌した20g×1”ニードルを使って、投与された。
【0408】
追加の1.0mLの同じマテリアルが、鼻内(IN)注入で、滅菌した3.0mLのルアーロックシリンジと鼻カニューレを使って、各ブタに投与された(鼻孔あたり0.5mL)。
【0409】
実験46日目に、全ての被験ブタが2.0mLのインゲルバック(INGELVAC、登録商標)PRRS MLVを、筋肉内注射で、右側の首部分に、3.0mLルアーロックシリンジ及び滅菌20g×1”ニードルを使って、投与された。PRRS MLVは、PCV2チャレンジマテリアルの病原性を増大させる意図で投与された。
【0410】
被験ブタは、全般的な健康状態と副作用を、実験〜3日目及び実験0日目から21日目まで、毎日観察された。各ブタは、正常又は異常な行動、呼吸又は咳についてスコア化された。観察結果は臨床観察記録に記録された。
【0411】
全ての被験ブタは、実験0日目から実験7日目まで観察され、そして、グループ7は実験14日目から21日目まで、注射部位の反応を、さらに観察された。
【0412】
平均1日あたり体重増加は、実験〜3、25及び50日目、又はチャレンジ後にブタが死んでいることが発見された日に、校正された秤の上で、各ブタを体重測定することによって決定された。体重は体重フォームに記録された。実験〜3日目の体重が、ブタを無作為に割り振る前に、区分するために利用された。
【0413】
実験25日目及び実験50日目の体重データが、各ブタに対する、これらの時点の間の、平均1日あたり体重増加(ADWG)を決定するために利用された。チャレンジ後、実験50日目よりも前に死亡したブタについては、ADWGが、実験25日目から死亡の日までのADWGを表すように、調整された。
【0414】
PCV2血清学を決定するために、実験〜3及び14日に、目静脈全血が、各子ブタから、眼窩静脈洞から、採集された。各子ブタについて、血液が、眼窩静脈洞から、滅菌したキャピラリーチューブを一方の目の目頭に挿入し、約3.0mLの全血を4.0mLの血清分離チューブ(SST)に吸引することによって、採集された。
【0415】
実験25、32、及び50日目に、各ブタからの静脈全血が、上大静脈から、滅菌した20g×”バキュテイナーニードル(ベクトン・ディッキンソン社、フランクリンレイクス、ニュージャージー)、バキュテイナーニードルホルダー及び13mLのSSTを使い、採集された。各時点での血液採集が、サンプル採集記録に記録された。
【0416】
各SST内の血液は、凝固するままにされ、その後、各SSTがスピンダウンされて血清が集められた。集められた血清は滅菌したスナップチューブに移され、−70±10℃で、後日検査されるまで、保存された。血清サンプルは、PCV2抗体の存在を、BIVI−R&Dの職員によって、検査された。
【0417】
ブタは、1日1回、実験22日目から実験50日目まで、臨床症状を観察され、正常又は異常な行動、呼吸又は咳についてスコア化された。臨床的な観察は臨床観察記録に記録された。
【0418】
ブタNo.46(グループ1)及び98(グループ9)が1番目の研究サイトで死亡した。これら2つの死は出血死として分類され、これら2匹のブタについては解剖が行われなかった。
【0419】
2番目の研究サイトで、チャレンジ後で実験50日目よりも前に死亡したブタ及び実験50日目に安楽死させられたブタは、解剖された。あらゆる肉眼的病変が確認され、病変のある肺葉のパーセンテージが解剖報告フォームに記録された。
【0420】
2番目の研究サイトで解剖されたブタのそれぞれから、扁桃腺、肺、心臓、及び腸間膜リンパ節の組織サンプルが、緩衝10%ホルマリン入りの1つのコンテナに入れられた;一方、同じ前述の器官からの別の組織サンプルはワールパック(Whirl−pak、登録商標)(Mテックダイアグノスティクス社、セルウォール、UK)に入れられ、それぞれのワールパック(Whirl−pak、登録商標)は氷上に置かれた。各コンテナは適切にラベルされた。サンプル採取が解剖報告フォームに記録された。
【0421】
その後、ホルマリン固定組織サンプル及び診断リクエストフォームがIHC検査に提出された。IHC検査は、サンプル受け入れ、サンプルとスライドの調製、及び染色技術について、標準的な研究室の手順に従って行われた。
【0422】
ワールパック(Whirl−pak、登録商標)内の新鮮な組織は、氷パックとともに、保存(−70℃±10℃)及び将来的な使用のために、研究モニターに送られた。
【0423】
ホルマリン固定組織が、病理学者によって、PCV2を検出するために、IHCで検査され、次のスコアリングシステムを使ってスコア化された:0=なし;1=わずかに陽性の染色、ほとんど染色部位なし;2=中程度に陽性の染色、複数の染色部位;及び3=明らかな陽性染色、組織全体に散らばる。分析のために、スコア0は“陰性”とみなされ、0よりも大きいスコアは“陽性”とみなされた。
【0424】
結果
この実施例の結果は下記に与えられる。ブタNo.46及び98が、実験14日目及び25日目に、それぞれ死亡したことが認められる。これらの死亡は、出血死に分類される。
【0425】
ブタNo.11(グループ1)は、実験15日目に、早い呼吸で息を切らしていた。その他の点では、この観察期間中、全てのブタが、行動、呼吸及び咳について正常であり、どのグループに関しても、全身的な副作用は認められなかった。
【0426】
実験0日目のワクチン接種後に、注射部位の反応は認められなかった。
【0427】
実験14日目のワクチン接種後、グループ1のブタ14匹中7匹(50%)が、実験15日目にスコア2の腫れを示した。
【0428】
グループ1の14匹中4匹(28.6%)が、実験16日目に、なお“2”の腫れを示していた。
【0429】
他のグループでは、それぞれのワクチン接種後に注射部位の反応は見られなかった。
【0430】
平均1日あたり体重増加(ADWG)の結果が下の表18に示される。出血のために死亡したブタNo.46及び98が、グループの結果から除かれた。
【0431】
【表18】

【0432】
1用量の16μg vORF2−カーボポールを投与されたグループ4は、最も高いADWG(1.16±0.26 lb/日)を示し、1.07±0.21 lb/日から1.11±0.26 lb/日の範囲のADWGを示すグループ1、2、3、5、6及び10がそれに続いた。
【0433】
グループ9が最も低いADWG(0.88±0.29 lb/日)を示し、それぞれ、0.93±0.33 lb/日及び0.99±0.44 lb/日を示すグループ8及び7が、それに続いた。
【0434】
PCV2血清学の結果が、下記の表19に示される。10グループ全てが、実験〜3日目にはPCV2に対して血清陰性であった。実験14日目に、PCV2タイターは10グループ全てについて低いままであった(50〜113の範囲)。
【0435】
実験25日目に、全粒子不活化ワクチンを投与されたグループ8が、最も高いPCV2タイター(4617)を示し、16μg vORF2−カーボポールを投与されたグループ2、1用量の16μg vORF2−カーボポールを投与されたグループ4、及び16μg rORF2−カーボポールを投与されたグループ3が、それぞれ、2507、1920及び1503のタイターを示し、それに続いた。
【0436】
実験32日目(チャレンジ後1週間)に、グループ1〜6及びグループ8のタイターは2360から7619の範囲であった;一方、グループ7(0.25μg rORF2−カーボポール)、9(チャレンジコントロール)、及び10(厳密な陰性コントロール)は、それぞれ、382、129及び78のタイターを示した。
【0437】
実験50日目(解剖の日)に、10グループ全てが高いPCV2タイター(≧1257)を示した。
【0438】
実験25、32、及び50日目に、2用量の16μg rORF2−カーボポールを投与されたグループ3は、2用量の16μg rORF2−IMS 1314を投与されたグループ1よりも高い抗体タイターを示した。実験25、32及び50日目に、2用量の16μg vORF2を投与されたグループ2は、1用量のみの同じワクチンを投与されたグループ4よりも高いタイターを示した。実験25及び32日目に、それぞれ1、4、1、及び0.25μgの、減量レベルのrORF2−カーボポールを投与されたグループ3、5、6、7は、減量に対応した抗体タイターを示した。
【0439】
【表19】

【0440】
チャレンジ後の臨床的観察からの結果が下に示される。表20は異常行動、異常呼吸、咳及び下痢の観察を含む。表22はグループごとのチャレンジ後死亡率のまとめからの結果を含む。チャレンジ後の異常な行動、呼吸及び咳の発生率は、16μg rORF2−IMS 1314(グループ1)、16μg rORF2−カーボポール(グループ3)、1μg rORF2−カーボポール(グループ6)、0.25μg rORF2−カーボポール(グループ7)を投与されたブタ、及びチャレンジコントロールグループ(グループ9)のブタでは低かった。
【0441】
チャレンジ後の異常な行動、呼吸及び咳の発生率は、16μg vORF2−カーボポール(グループ2)、1用量の16μg vORF2−カーボポール(グループ4)、4μg rORF2−カーボポール(グループ5)、>8 log KV−カーボポール(グループ8)を投与されたブタ、及び厳密な陰性コントロールグループ(グループ10)のブタでは、0であった。
【0442】
臨床症状の全体的な発生率はグループ間で異なった。16μg vORF2−カーボポール(グループ2)、1用量の16μg vORF2−カーボポール(グループ4)を投与されたブタ、及び厳密な陰性コントロールグループ(グループ10)のブタは、発生率0%を示した;16μg rORF2−カーボポール(グループ3)及び1μg rORF2−カーボポール(グループ6)を投与されたブタは発生率6.7%を示した;16μg rORF2−IMS 1314を投与されたブタ(グループ1)は7.1%の全体的な発生率を示した;4μg rORF2−カーボポール(グループ5)、0.25μg rORF2−カーボポール(グループ7)、及び>8log KVワクチンを投与されたブタは、13.3の発生率を示した;及び、チャレンジコントロールグループ(グループ9)のブタは、14.3%の発生率を示した。
【0443】
グループ間の全般的な死亡率は同様に異なった。2用量のKVワクチンを投与されたグループ8が20.0%の最も高い死亡率を示し、チャレンジコントロールのグループ9及び0.25μg rORF2−カーボポールを投与されたグループ7がそれに続き、それぞれ、14.3%及び13.3%の死亡率を示した。1用量の16μg vORF2−カーボポールを投与されたグループ4は、6.7%の死亡率を示した。他のグループ、1、2、3、5、6、及び10は0%の死亡率を示した。
【0444】
【表20】

【0445】
【表21】

【0446】
【表22】

【0447】
グループ間の平均パーセント肺病変及び暫定的診断結果のまとめが下の表23にしめされる。チャレンジコントロールグループであるグループ9は、最も高いパーセント肺病変を平均値10.81±23.27%で示し、0.25μg rORF2−カーボポールを投与され、平均値6.57±24.74%を示すグループ7、4μg rORF2−カーボポールを投与され、平均値2.88±8.88を示すグループ5、及びKVワクチンを投与され、平均値2.01±4.98を示すグループ8がそれに続いた。残りの6グループは、0.11±0.38%から0.90±0.15%の範囲のより低い平均パーセント肺病変を示した。
【0448】
肺炎の暫定的な診断は、グループ間で異なった。2用量の16μg rORF2−カーボポールを投与されたグループ3は、最も低い肺炎の暫定診断を、13.3%でされた。チャレンジコントロールグループであるグループ9は、グループの50%が暫定的に肺炎と診断され、厳密な陰性コントロールグループであるグループ10及び2用量の16μg vORF2−カーボポールを投与されたグループ2が、それぞれ46,7%又は40%で、暫定的に肺炎と診断され、それに続いた。
【0449】
グループ1、2、3、5、9及び10はグループのうち0%がPCV2に感染したと暫定的に診断された;一方、グループ8は、2用量のKVワクチンを投与されたが、グループのうち最も高い率、20%で、PCV2に感染したと暫定的に診断された。
【0450】
2用量の0.25μg rORF2−カーボポールを投与されたグループ7は及び1用量の16μg vORF2−カーボポールを投与されたグループ4は、それぞれ、13.3%及び6.7%で、PCV2感染を暫定的に診断された。
【0451】
胃潰瘍は、グループ7の1匹のブタで診断されたのみであった(6.7%);一方、他の9つのグループは胃潰瘍が見られないままであった。
【0452】
【表23】

【0453】
グループIHC陽性発生率の結果のまとめが、下の表24に示される。グループ1(16μg rORF2−IMS 1314)が、0%のブタが陽性という最も低いIHC陽性グループ率の結果を示し、それにグループ2(16μg vORF2−カーボポール)及びグループ4(16μg vORF2−カーボポールの単一用量)が、それぞれ6.7%と13.3%のグループIHC率で続いた。
【0454】
チャレンジコントロールグループであるグループ9は、100%のブタがPCV2に対して陽性である最も高いIHC陽性発生率を示し、厳密な陰性コントロールグループであるグループ10、及びグループ8(KVワクチン)が、それぞれ、93.3%、80%のブタがPCV2に対して陽性で、それに続いた。
【0455】
【表24】

【0456】
考察
7種類のPCV2ワクチンがこの実施例で評価されたが、それには、2回投与される高用量(16μg)のIMS 1314でアジュバントされたrORF2抗原、ブタの1つのグループには1回、もう一つのグループには2回投与される高用量(16μg)のカーボポールでアジュバントされたvORF2抗原、2回投与されるカーボポールでアジュバントされた4μg用量のrORF2抗原、2回投与されるカーボポールでアジュバントされた1μg用量のrORF2抗原、2回投与される低用量(0.25μg)のカーボポールでアジュバントされたrORF2抗原、及び高用量(>8log)のカーボポールでアジュバントされた不活化全粒子PCV2ワクチン、を含んだ。
【0457】
全般に、16μgのrORF2−IMS 1314を2用量投与されたグループ1は、カーボポールでアジュバントされた様々なレベルのvORF2又はrORF2抗原を投与されたグループ2から7よりもややよい効果を、そして、不活化全粒子PCV2ワクチンを2用量投与されたグループ8よりもはるかによい効果を示した。
【0458】
グループ1は3番目に高いADWG(1.80±0.30 lb/日)、最も低い異常行動発生率(0%)、最も低い異常呼吸発生率(0%)、低い咳発生率(7.1%)、低い全臨床症状発生率(7.1%)を示し、最も低い死亡率(0%)、2番目に低い平均%肺病変率(0.15±0.34%)、2番目に低い肺炎率(21.4%)及び最も低いIHC陽性組織の発生率(0%)で、3つの他のグループに結び付けられた。
【0459】
しかしながら、グループ1は、注射部位の反応が確認された唯一のグループであり、それは、ワクチン接種を受けたブタの50%を2回目のワクチン接種の1日後に含んだ。グループ2から7に投与された他のワクチンは、不活化ワクチンよりもよい効果及びグループ1に投与されたワクチンとほぼ同等の効果を示した。
【0460】
グループ8は、カーボポールでアジュバントされた不活化PCV2ワクチンの2用量を投与されたが、どのワクチングループに対しても最も悪い組合せを示した。グループ8は最も低いADWG(0.93±0.33 lb/日)、2番目に高い異常行動率(6.7%)、最も高い異常呼吸率(6.7%)を示し、最も高い臨床症状の全体低出現率(13.3%)で他の3つのグループに結び付けられ、全グループ中で最も高い死亡率(20%)を示し、そして、全ワクチングループ中で最も高いIHC陽性率(80%)を呈した。
【0461】
不活化全粒子PCV2ワクチンがグループ8に投与される前に十分に不活化されていなかったかもしれないという懸念があったが、それによってこのグループの悪い結果が説明されるかもしれない。残念ながらこの懸念を確定するための明確なデータが利用できなかった。全般的に、この実施例の場合では、コンベンショナルな不活化PCV2ワクチンはPCV2に関係する病気を低減することの助けとはならなかった。
【0462】
先に言及されたように、副作用は、IMS 1314でアジュバントされたワクチンを除き、テストワクチンと全く関係しなかった。注射部位の反応が、IMS 1314で組成されたワクチンによる2回目のワクチン接種から1日後に50.0%のブタで、そして2回目のワクチン接種から2日後に38.6%のブタで確認された。カーボポールでアジュバントされたワクチンを投与されたブタでは全く反応が確認されなかった。IMS 1314でアジュバントされたワクチンをワクチン接種されたブタを含むいかなる研究も、ブタの注射部位の反応を念入りにモニターし続けるべきである。
【0463】
全てのブタは実験〜3日目にPCV2に対して血清陰性であり、グループ2だけが実験14日目に100を超えるタイターを示した。実験25日目(チャレンジの日)に、グループ8は最も高いPCV2抗体タイター(4619)を示し、グループ2がそれに続いた(2509)。グループ7、9及び10を例外として、全てのグループが強い抗体反応を実験32日目までに呈した。実験50日目までに、グループ7,9及び10を含む全てのグループが強い抗体反応を呈した。
【0464】
PCV2感染とそれに続くPMWSの進行の特徴のひとつは、離乳後ブタにおける成長障害であり、重症の事例では、体重減少が確認される。各グループの平均1日あたり体重増加は、成長障害又は体重減少を示す定量的方法である。この実施例では、グループ間でADWGに大きな違いが無かった。グループ8が、0.88±0.29 lb/日の最も低いADWGを示し、その一方、グループ4は1.16±0.26 lb/日の最も高いADWGを示した。この研究の状況の中では、グループ間に将来のワクチンの効力をADWGに基づかせるだけの十分な違いが無かった。
【0465】
体重削痩に加え−呼吸困難、下肢萎縮、皮膚蒼白及び時折、黄疸がPMWSに関係する臨床症状である。この実施例では、異常な行動及び異常な呼吸及び咳が低頻度で各グループに確認された。この研究で証明されたように、このチャレンジモデル及びチャレンジ株は手に負えない臨床症状を引き起こさず、これはワクチンの効能が基づく強いパラメタではない。
【0466】
全般的に、死亡率はこの実施例では高くなく、チャレンジコントロールグループで高い死亡率が見られないことによって、ワクチンの有効性が基づくこのパラメタが制限される。実験46日目以前に、グループ4及び7はそれぞれ15匹中1匹のブタが死亡した。グループ9は14匹のブタ中2匹が死亡し、グループ8では15匹のブタ中3匹のブタが死亡した。
【0467】
チャレンジコントロールグループであるグループ9は、PCV2の臨床症状を示しておらず、わずか2匹の死亡がこのグループ中では第46日目までに起きた。豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)MLVワクチンが全ての豚に実験46日目に投与された。以前の研究は、インゲルバック(INGELVAC、登録商標)PRRS MLVを、PCV2に係わるPMWS病状を悪化させる免疫刺激剤として利用され、これらの以前の研究では死亡率がより高かった。2匹の死亡は、実験46日目のPRRSワクチン投与のすぐ後に起こった―グループ4は実験46日目に1匹が死亡し、グループ7は実験47日目に1匹が死亡した―これらはおそらく、実験50日目までのPRRSワクチンの投与には関係しないだろう。
【0468】
実験50日目までに、2用量の不活化ワクチンを投与されたグループ8は、最も高い死亡率(20%)を示し、グループ9(チャレンジコントロール)とグループ7(0.25μg rORF2−カーボポール)が、それぞれ、死亡率14.3%と13.3%でそれに続いた。全般に、PRRSワクチンをチャレンジモデルにこの実施例のチャレンジ後観察フェイズの遅い時期に投与することによって、死亡率が有意に上昇することは無かった。
【0469】
PCV2感染に続いてPMWSを発症したブタにおける肉眼的病変は、典型的には、全身的なリンパ節症と次のものの1または2以上の組合せからなる:(1)小葉間浮腫による間質性肺炎、(2)皮膚の蒼白又は黄疸、(3)まだらの萎縮肝臓、(4)胃潰瘍、及び(5)腎炎。解剖時(実験50日目)には、黄疸、肝炎、及び腎炎が、どのグループにも認められなかった。胃潰瘍はグループ7の1匹のブタについて確認されたが、リンパ節症は詳細に検査されなかった。PCV2感染と密接に関連する病変の存在に基づき、3つのグループが、少なくとも1匹のブタがPCV2(PMWS)と暫定的に診断された。
【0470】
グループ8は、不活化ワクチンの2用量を投与されたが、20%が暫定的にPCV2と診断され、一方、グループ7及びグループ4は、それぞれ、13.3%及び6.7%が、暫定的にPCV2と診断された。平均%肺病変スコアは、解剖時に、グループ間で一致しなかった。
【0471】
グループ1、2、3、4、6及び10は、0.11±0.38%から0.90±0.15%にわたる低い%肺病変スコアを示した。期待通り、グループ9は、チャレンジコントロールグループであり、最も高い平均%肺病変スコア(10.81±23.27%)を示した。
【0472】
4つのグループにおいて、平均%肺病変スコアが、非常に高い肺病変スコアを示す、1から3匹のブタのために、これらのグループのそれぞれにおいて、上昇した。肺の病変は赤/紫で固まっていた。典型的には、PMWSに関係する肺病変は、タン、小葉間の浮腫で固まっていないとして記載される。この研究で確認される肺病変は、PCV2感染に関係しないか、あるいは、2次的な肺感染病原体が存在していたかもしれない。
【0473】
この研究の状況の中で、%肺病変スコアはおそらく、PCV2に起因する肺感染の量の正しい尺度を反映していない。さらに加えて、肺炎という暫定的な診断が、同じように濫用されたかもしれない。肺病変をもつブタは、何匹かは0.10%と小さいが、肺炎の暫定的診断でリストされた。この実施例では、肉眼的病変と%肺病変に関して、ワクチンの効力が根拠とする十分な違いがグループ間になかった。
【0474】
IHCの結果は、グループ間の最も大きな違いを示した。グループ1(16μg rORF2−IMS 1314)は、PCV2抗原に対して、最も低い陽性IHCの結果を示した(0%);一方、グループ9及び10は、それぞれ100%及び93.3%の発生率をもち、最も高い陽性IHCの結果を示した。グループ3、5、6及び7は、それぞれ16、4、1又は0.25μgの、カーボポールでアジュバントされた、rORF2抗原を投与されたが、それぞれ20%、20%、40%及び46.7%のIHC陽性率を示した。
【0475】
グループ2は、カーボポールでアジュバントされた16μgのvORF2の2用量を投与されたが、6.7%のIHC陽性率を示し、その一方で、わずか1用量の同じワクチンを投与されたグループ4は、13.3%のIHC陽性率を示した。この検査の目的の本質及びIHCの結果が期待される結果と相関していたという事実のため、IHC検査はおそらく最もよい、ワクチンの有効性が根拠とするパラメタの1つである。
【0476】
そして、本発明の一態様では、CDCDブタモデルにおける、PCV2のチャレンジに対する、カーボポールでアジュバントされたPCV2 rORF2の最小保護用量(MPD)が決定される。グループ3、5,6および7はそれぞれ2用量のカーボポールでアジュバントしたrORF2抗原を投与されたが、各グループでrORF2抗原のレベルは異なっていた。グループ3、5,6及び7は、それぞれ、16、4、1又は1μgのrORF2抗原を投与された。
【0477】
一般に、rORF2抗原のレベルが減少することによってPCV2抗原タイターが減少し、死亡率、平均%肺病変及びIHC陽性組織の出現率が上昇した。異なるレベルのrORF2−カーボポールを投与されたグループのうち、それぞれ、16又は4μgのrORF2抗原の2用量を投与されたグループ3及び5は、各々わずか20%のIHC陽性率を示し、そして各々類似の抗原タイターを示した。
【0478】
全般に、IHC陽性の結果に基づけば、2回投与されるrORF2抗原の最小保護用量は約4μgである。
【0479】
本発明の別の態様では、組換え(rORF2)及びVIDO R−1(vORF2)PCV2抗原の抗原性が評価された。グループ2は16μgのvORF2の2用量を投与され、グループ3は16μgのrORF2の2用量を投与された。両方のワクチンはカーボポールでアジュバントされていた。両方のワクチンは安全であることが見出され、両者は0%の死亡率を有していた。
【0480】
グループ2は2507のPCV2抗原タイターを実験25日目に示したが、一方、グループ3は1503のPCV2抗原タイターを示した。グループ3はグループ2よりも低い平均%の肺病変スコアを示した(0.11±0.38%対0.90±0.15%)が、グループ2はグループ3よりも低いIHC陽性発生率を示した(6.7%対20%)。
【0481】
全般に、両ワクチンは類似の抗原性を有していたが、vORF2はややよいIHCの結果に結びついた。
【0482】
本発明のさらに別の態様では、2種類の異なるアジュバント(カーボポールとIMS 1314)の適合性が決定された。グループ1及び3は、ともに16μgのrORF2抗原を含む2用量のワクチンを投与されたが、グループ1はIMS 1314でアジュバントされた抗原を投与された一方で、グループ3はカーボポールでアジュバントされた抗原を投与された。
【0483】
両グループは本質的に同じADWG、本質的に同じチャレンジ後の臨床的徴候の発生率、同じ死亡率、及び本質的に同じ肺病変の平均%を有していた;しかし、グループ1はIHC陽性率0%である一方で、グループ3はIHC陽性率20%であった。しかしながら、カーボポールでアジュバントされたワクチンを投与されたグループ3は、IMS 1314でアジュバントされたグループ1よりも高いIFAT PCV2タイターを実験25、32及び50日目に示した。
【0484】
全般に、IMS 1314でアジュバントされたPCV2ワクチンはよりよいIHCの結果を提供するものの、PCV2の感染から圧倒的によい保護を与えず、注射部位の反応を誘導する。カーボポールでアジュバントされたPCV2ワクチンはIMS 1314でアジュバントされたワクチンとほぼ同様の性能を発揮するが、いかなる副作用にも結びつかなかった。
【0485】
本発明のさらに別の態様では、PCV2 ORF2の1ml‐1用量製品としての実現可能性が確定された。グループ2及び4は両方ともに16μgのカーボポールでアジュバントされたvORF2ワクチンを研究0日目に受けたが、グループ2は実験14日目に2回目接種を受けた。グループ4はグループ2よりもやや高いADWG及び低い肺病変の平均%を示したが、グループ2は実験25、32及び50日目に、より高いIFAT PCV2タイター及びより低いIHC陽性組織の発生率を呈した。この2つのグループに対する他のすべての結果が類似していた。全般に、1用量のカーボポールでアジュバントされたvORF2は、同じワクチンの2用量と同じように作用した。
【図面の簡単な説明】
【0486】
【図1】PCV2 ORF2組変えバキュロウイルスの好ましい構成の概念的フロー図である。
【図2a】本発明に従った組成物の製造方法の概念的フロー図である。
【図2b】本発明に従った組成物の製造方法の概念的フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含む、PCV2のオープンリーディングフレーム2によって発現される組換えタンパク質を回収する方法
A) 該PCV2由来組換えオープンリーディングフレーム2をトランスファーベクターにクローニングする;
B) 該組換えオープンリーディングフレーム2を含む該トランスファーベクターの一部分をウイルスにトランスフェクトする;
C) 培地中の細胞を該ウイルスで感染する;
D) 該ウイルスに該オープンリーディングフレーム2由来タンパク質を発現させる;
E) 細胞を上清から分離する;及び
F) 該発現オープンリーディングフレーム2タンパク質を該上清中で回収する。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記方法が、オープンリーディングフレームを該トランスファーベクターにクローニングする前にPCV2ウイルス株由来の該オープンリーディングフレーム2を増幅するステップをさらに含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記組換えオープンリーディングフレーム2が、5’側のコザック配列、3’側のEcoRI認識部位、及びそれら両者の組合せからなる群から選ばれる配列をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記5’側のコザック配列が、配列番号1の配列を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記3’側のEcoRI認識部位が、配列番号2の配列を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記PCV2オープンリーディングフレームが、配列番号4の配列を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記組換えタンパク質が、配列番号6の配列を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記培地が、無血清昆虫細胞培地を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1の方法であって、さらに次のステップを含む方法:
i) ステップAの前に、該増幅されたオープンリーディングフレーム2を第1のベクターにクローニングする;
ii) 該オープンリーディングフレーム2を第1のベクターから切り出す;及び
iii) 該切り出されたオープンリーディングフレーム2をステップAで使用する。
【請求項10】
前記細胞が、SF+細胞を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ウイルスが、バキュロウイルスを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記トランスフェクトされる部分が、配列番号4の配列を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記オープンリーディングフレーム2タンパク質が、細胞を該ウイルスで感染してから少なくとも5日目に該上清中で回収される請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
PCV2に対する免疫応答を引き起こすための組成物を製造する方法であって、該方法が次のステップを含む方法:
i) PCV2のオープンリーディングフレーム2由来の組換えDNAを含むコンストラクトをウイルスにトランスフェクトする;
ii) 該トランスフェクトされたウイルスを、培地中の細胞に感染させる;
iii) 該ウイルスに該オープンリーディングフレーム由来の組換えタンパク質を発現させる;
iv) 該発現されたオープンリーディングフレーム2タンパク質を上清中で回収する;及び
v) 該回収されたタンパク質と適切なアジュバント又は他の薬学的に許容される担体又は賦形剤と合わせる。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記方法が、該コンストラクトをトランスファーベクターから得る段階をさらに含む方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法であって、前記方法が、該オープンリーディングフレーム2を該トランスファーベクターにクローニングする前に、PCV2の株から該オープンリーディングフレーム2を増幅する段階をさらに含む方法。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれかに記載の方法であって、前記組換えオープンリーディングフレーム2が、5’コザック配列、3’EcoRI認識部位、及びそれらの組合せからなる群から選ばれる配列をさらに含む方法。
【請求項18】
前記5’コザック配列が、配列番号1の配列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記3’EcoRI認識部位が、配列番号2の配列を含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記PCV2オープンリーディングフレーム2が、配列番号4の配列を含む請求項14〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記組換えタンパク質が、配列番号6の配列を含む、請求項14〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記培地が、無血清昆虫細胞培地を含む、請求項14〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
請求項16〜22のいずれかに記載の方法であって、次のステップをさらに含む方法:
i) 該増幅されたオープンリーディングフレーム2を第1のベクターにクローニングする;
ii) 該オープンリーディングフレームを該第1のベクターから切り出す;
iii) 該切り出されたオープンリーディングフレーム2を該トランスファーベクターにクローニングするために使用する。
【請求項24】
前記細胞が、SF+細胞を含む、請求項14〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記ウイルスが、バキュロウイルスを含む、請求項14〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記トランスフェクトされるコンストラクトが、配列番号4の配列を含む、請求項14〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記オープンリーディングフレーム2タンパク質が、該細胞に該ウイルスが感染してから少なくとも5日目以降に回収される、請求項14〜26のいずれかに記載の方法で。
【請求項28】
請求項14〜27のいずれかに記載の方法であって、該回収段階が、該培地を該細胞及び細胞片から分ける分離ステップをさらに含む方法。
【請求項29】
前記分離ステップが、該細胞、細胞片、及び培地を、0.45μmから1.0μmの範囲にある孔径をもつフィルターを通してろ過するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項14〜29のいずれかに記載の方法であって、該方法が、該回収されたタンパク質を適切なアジュバントと合わせる前に、該ウイルスを不活化するステップをさらに含む方法。
【請求項31】
PCV2由来のオープンリーディングフレーム2によって発現されるタンパク質を回収する方法であって、次のステップを含む方法:
i) 該オープンリーディングフレーム2を含む組換えウイルスベクターを培地中で細胞に感染させる;
ii) 該ベクターに該タンパク質を発現させる;及び
iii)上清中の該発現されるタンパク質を回収する。
【請求項32】
前記ウイルスベクターによる細胞の感染から少なくとも5日経過後に、該回収を行う、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1、請求項14、請求項31、及びそれらの組合せからなる群から選ばれる方法によって得られるものの組成物。
【請求項34】
請求項33に記載の組成物の医薬品としての使用。
【請求項35】
PCV2の感染を防ぐための医薬品を調製するための、請求項33に記載の組成物の使用。
【請求項36】
次の手順を含む、試料中のPCV2感染を検出するための診断キットを製造する方法:
i) 請求項1、請求項14、請求項31、及びそれらの組合せからなる群から選ばれる方法を使って組換えタンパク質を製造する;
ii) 及び、該組換えタンパク質を適切な容器にパッケージングする。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、取扱説明書を組換えタンパク質をパッケージングする容器と一緒に含ませるステップをさらに含む方法。
【請求項38】
PCV2 ORF2 タンパク質、又はPCV2 ORF2 タンパク質に由来する連続する少なくとも10個のアミノ酸をもつ、その免疫原性部分を含む、PCV2感染に係わる臨床症状の重さを軽減するために有効な免疫原性組成物。
【請求項39】
前記PCV2 ORF2タンパク質が次のいずれかである、請求項38に記載の組成物:
i) 配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10又は配列番号11からなる群から選ばれる配列を含むポリペプチド;
ii) i)のポリペプチドに少なくとも80%相同である任意のポリペプチド;
iii) i)及び/又はii)のポリペプチドの任意の免疫原性部分;
iv) 配列番号5、配列番号6、配列番号9配列番号10又は配列番号11の配列に含まれる少なくとも10残基の連続したアミノ酸からなる、iii)の免疫原性部分;
v) 配列番号3または配列番号4の配列を含むDNAによってコードされるポリペプチド;
vi) v)のポリヌクレオチドに少なくとも80%相同であるポリヌクレオチドによってコードされる任意のポリペプチド;
vii) v)及び/又はvi)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの任意の免疫原性部分;
viii) vii)の免疫原性部分であって、該免疫原性部分が配列番号3又は配列番号4の配列に含まれる少なくとも30個の連続するヌクレオチドを含む免疫原性部分。
【請求項40】
請求項38または39に記載の免疫原性組成物であって、不活化されたウイルスベクター及び細胞培養上清をさらに含む組成物。
【請求項41】
前記不活化ウイルスベクターが、PCV2 ORF2タンパク質をコードする組換えバキュロウイルスである、請求項38〜40のいずれかに記載の組成物。
【請求項42】
請求項40または41に記載の免疫原性組成物であって、BEIを含む組成物。
【請求項43】
請求項42の免疫原性組成物であって、チオ硫酸ナトリウムを含む組成物。
【請求項44】
請求項39〜43のいずれかに記載の免疫原性組成物であって、担体、アジュバント、培地、不活化剤、希釈剤、浸透圧調節剤、免疫モジュレーター剤、抗体及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる追加の成分を含む免疫原性組成物。
【請求項45】
前記組成物が、アジュバント、好ましくはカーボポールを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物が、薬学的に許容できる塩、好ましくは食塩を含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、少なくとも0.2mcg/mlのPCV2 ORF2タンパク質を含む、請求項38〜46のいずれかに記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が、少なくとも2μgのPCV2 ORF2タンパク質を含む、請求項38〜46のいずれかに記載の組成物。
【請求項49】
請求項38〜48のいずれかに記載の免疫原性組成物の少なくとも1用量を含む容器であって、1用量が少なくとも2μgのPCV2 ORF2タンパク質を含む容器。
【請求項50】
請求項38〜48のいずれかに記載の免疫原性組成物の10から250用量を含む容器であって、1用量が少なくとも2μgのPCV2 ORF2タンパク質を含む容器。
【請求項51】
請求項49に記載の容器であって、さらに抗微生物学的活性剤を含む容器。
【請求項52】
請求項49に記載の容器及びPCV2感染に関係する臨床症状の重篤さを軽減するための、子ブタに対する少なくとも1用量の免疫原性組成物の筋肉内投与に関する情報を含む取扱い説明書を含むキット。
【請求項53】
前記取扱い説明書が、2回目の投与又は他のさらなる投与が直前の投与から少なくとも14日を越えるものである、少なくとも1用量の免疫原性組成物の2回目またはそれ以降の投与に関する情報を含む、請求項52に記載のキット。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公開番号】特開2012−16357(P2012−16357A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214237(P2011−214237)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2007−549685(P2007−549685)の分割
【原出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(501458933)
【Fターム(参考)】