説明

PMセンサー

【課題】低コストで、PMの検出精度が高いPMセンサーを提供する。
【解決手段】排気ガス中の粒子状物質を検出するためのPMセンサーであって、車両の排気通路11に配置され、粒子状物質を付着させるPM付着用抵抗線2と、PM付着用抵抗線2の抵抗値の変化を検出して、粒子状物質の付着の有無を検出する検出部3と、PM付着用抵抗線2に付着した粒子状物質を燃焼させる電気ヒーター4とを備え、PM付着用抵抗線2を、電気ヒーター4の電熱線5の周囲を覆う絶縁体6の外周に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の破損を検出するためのPMセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、車両では、排気ガスの後処理として、排気ガス中の煤などの粒子状物質(Particulate Matter;以下、PMという)を除去するディーゼルパティキュレートフィルター(Diesel Particulate Filter;以下、DPFという)が使用されている。使用過程においてDPFが破損、損傷するなどしてその機能が失われた場合、大気中にPMが放出されることになる。
【0003】
米国カリフォルニア州で2003年に法規化されたOBD(On Board Diagnosis)では、DPFが破損しPMが大気中に放出された場合、それを検出してMIL(Malfunction Indicator Lamp;故障表示ランプ)を点灯させることが義務づけられており、これに伴い、DPFの破損を検出するためのPMセンサーの開発が進められている。
【0004】
図4に示すように、PMセンサー41は、エンジンEの排気通路42に設けられたDPF43の下流側に設けられる。
【0005】
従来のPMセンサー41では、上流側に配置された一方の電極を用いて高電圧(例えば、2000〜7000V)でPM(煤)44をイオン化させ、下流側に配置された他方の電極でイオン電流を計測する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
DPF43が破損すると、DPF43の下流側の排気通路にPM44が流出し、PMセンサー41にてイオン電流が検出される。つまり、PMセンサー41を用いてDPF43の下流側でPM44を検出することで、DPF43の破損を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−153716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のPMセンサーは、もともと工場等のばい煙検出に使用されていたものであり、これをそのまま車両に適用すると様々な問題が発生する。
【0009】
例えば、車両に搭載する場合、PMセンサーは小型であることが要求されるが、従来のPMセンサーでは2000〜7000Vという高電圧を使用するため、非常に装置が大掛かりとなってしまう。また、装置が大掛かりとなってしまうため、コストが高く、重量も重くなってしまい好ましくない。
【0010】
さらに、従来のPMセンサーでは、高電圧を使用するため、安全性および絶縁の問題がある。さらにまた、従来のPMセンサーでは、高電圧の使用によるラジオノイズ等が発生してしまうおそれがあり、車両用としては不向きであると考えられる。
【0011】
そこで、本発明者は、DPFの下流側の排気通路にPMを付着させる抵抗体を配置し、その抵抗体の抵抗値の変化を検出することで、PMの付着の有無を検出可能としたPMセンサーを提案している。
【0012】
このPMセンサーでは、抵抗体が通電時に発熱して抵抗体に付着したPMを燃焼させるように構成されており、エンジン始動時、あるいはエンジン稼働中の一定時間ごとに抵抗体に通電して、抵抗体に付着したPMを燃焼させるようにされている。これは、DPFがPMを100%捕獲しないので、DPFが正常であっても、長時間運転を行うと、抵抗体にPMが付着してしまい、実際にはDPFが破損していないにもかかわらず、DPFが破損していると誤って検出してしまうおそれがあるためである。
【0013】
本発明者が提案しているPMセンサーは、シンプルな構造で小型かつ低コストであり、従来のPMセンサーと比較して非常にメリットが大きい。しかし、このPMセンサーでは以下のような問題があり、さらなる改良が望まれていた。
【0014】
このPMセンサーでは、上述のように、PMを燃焼させる必要があるため、抵抗体に所謂電気ヒーターの電熱線として使用可能なものを用いる必要がある。しかし、電熱線として使用可能な抵抗体は、一般に、常温から通常の排気ガス温度付近では抵抗値が比較的低い(例えば、数Ω程度)。
【0015】
他方、抵抗体に付着するPMは、主にカーボンからなり導電性を有するが、非常に軽く微小であるために、抵抗体に付着する際に抵抗体にしっかりと密に接しない場合が多い。そのため、抵抗体に付着するPMは、導電性ではあるものの、実際には抵抗値が比較的高くなる(例えば、数kΩ程度)。
【0016】
したがって、比較的抵抗値が低い抵抗体に、比較的抵抗値が高いPMが付着しても、その合成抵抗の変化率は極めて低くなってしまう。その結果、検出部にて微小な抵抗の変化を検出する必要が生じ、PMの検出精度を高くするためには、検出部における検出回路や誤判定防止のための判定ソフトが複雑化してしまうといった問題が生じる。
【0017】
なお、抵抗体として抵抗値が比較的高いものを選定することも考えられるが、抵抗値が高く電熱線としても使用可能な材質は入手困難であり、入手できたとしても非常にコストが高くなる。
【0018】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低コストで、PMの検出精度が高いPMセンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、排気ガス中の粒子状物質を検出するためのPMセンサーであって、車両の排気通路に配置され、前記粒子状物質を付着させるPM付着用抵抗線と、該PM付着用抵抗線の抵抗値の変化を検出して、前記粒子状物質の付着の有無を検出する検出部と、前記PM付着用抵抗線に付着した粒子状物質を燃焼させる電気ヒーターとを備え、前記PM付着用抵抗線を、前記電気ヒーターの電熱線の周囲を覆う絶縁体の外周に設けたPMセンサーである。
【0020】
前記PM付着用抵抗線と同じ抵抗値であり、かつ、前記PM付着用抵抗線と同様の温度特性を有する温度補償用抵抗線をさらに備え、該温度補償用抵抗線を、前記PM付着用抵抗線の近傍に前記粒子状物質が付着しないように配置すると共に、前記PM付着用抵抗線と直列に接続し、前記検出部は、直列に接続した前記PM付着用抵抗線と前記温度補償用抵抗線全体に直流電圧を印加し、前記PM付着用抵抗線と前記温度補償用抵抗線の接続点における電圧を計測することで、前記PM付着用抵抗線の抵抗値の変化を検出してもよい。
【0021】
前記温度補償用抵抗線は、前記電気ヒーターの前記絶縁体中に配置されてもよい。
【0022】
前記PM付着用抵抗線は、排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の下流側の前記排気通路に配置され、前記検出部は、前記PM付着用抵抗線の抵抗値の変化を検出することで、前記ディーゼルパティキュレートフィルターの破損を検出してもよい。
【0023】
エンジン始動時、あるいはエンジン稼働中の一定時間ごとに前記電気ヒーターに通電して、前記PM付着用抵抗線に付着した前記粒子状物質を燃焼させる再生部をさらに備えてもよい。
【0024】
前記PM付着用抵抗線の抵抗値は、前記粒子状物質の抵抗値とほぼ等しい抵抗値であるとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、低コストで、PMの検出精度が高いPMセンサーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は、本実施の形態に係るPMセンサーの概略断面図であり、図1(b)は、そのPMセンサーを排気通路に配置したときの正面図である。
【図2】図1のPMセンサーの回路図である。
【図3】本発明において、DPFが破損したときに抵抗値が低下することを示すグラフ図である。
【図4】従来のPMセンサーを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0028】
図1(a)は、本実施の形態に係るPMセンサーの概略断面図であり、図1(b)は、そのPMセンサーを排気通路に配置したときの正面図である。
【0029】
図1(a),(b)に示すように、PMセンサー1は、排気ガス中のPM(煤)を付着させるPM付着用抵抗線2と、そのPM付着用抵抗線2の抵抗値の変化を検出して、PMの付着の有無を検出する検出部3と、PM付着用抵抗線2に付着したPMを燃焼させる電気ヒーター4とを備えている。
【0030】
電気ヒーター4は、電流を流すと発熱する電熱線5と、その電熱線5の周囲を覆う絶縁体6と、電熱線5の基端部(図1(a)では下側)に設けられ、電気ヒーター4を排気通路11に取り付けるためのネジ部(スレッド)7aを有する取付用台座7とを備えている。
【0031】
絶縁体6としては、高温(例えば700度以上)に耐えるセラミックスなどの絶縁材料を用いるとよい。取付用台座7のネジ部7aと反対側には、複数本の端子7bが露出されており、信号線(ハーネス)8を接続するためのコネクタ部7cとなっている。信号線8は、車両に搭載されたECM(エンジン・コントロール・モジュール)9に電気的に接続される。
【0032】
電気ヒーター4を排気通路11に取り付ける際には、排気通路11にボス部12を形成しておき、該ボス部12に取付用台座7のネジ部7aを螺合して取り付けるようにすればよい。
【0033】
PM付着用抵抗線2としては、PMが付着した際の抵抗値の変化が大きくなるように、付着するPMとほぼ同じ抵抗値(例えば、数kΩ程度)のものを用いことが望ましい。PM付着用抵抗線2は、絶縁体6の外周に螺旋状に巻き付けられて配置される。
【0034】
PM付着用抵抗線2として用いる抵抗線は、一般に、温度特性を有しており、温度が高くなると抵抗値も高くなるという性質を有している。そのため、PM付着用抵抗線2の温度特性を補償しなければ、PM付着用抵抗線2にPMが付着したか否かを精度よく判定することはできない。
【0035】
本実施の形態に係るPMセンサー1では、PM付着用抵抗線2の温度特性を補償するため、PM付着用抵抗線2と同じ抵抗値であり、かつ、PM付着用抵抗線2と同様の温度特性を有する温度補償用抵抗線10をさらに備えている。本実施の形態では、温度補償用抵抗線10として、PM付着用抵抗線2と同じ抵抗線を用いることとした。
【0036】
温度補償用抵抗線10は、PM付着用抵抗線2の近傍(すなわちPM付着用抵抗線2とほぼ同じ温度となる位置)で、かつ、PMが付着しない位置に配置される。本実施の形態では、温度補償用抵抗線10を、電気ヒーター4の絶縁体6中に組み込むようにして配置し、かつ、温度補償用抵抗線10を、PM付着用抵抗線2に沿うように巻回して配置している。PM付着用抵抗線2と温度補償用抵抗線10は、両抵抗線2,10間で温度差が生じないよう、なるべく近づけて配置されることが望ましい。
【0037】
図2に示すように、温度補償用抵抗線10は、PM付着用抵抗線2と直列に接続されており、検出部3は、直列に接続したPM付着用抵抗線2と温度補償用抵抗線10全体に直流電圧Vccを印加し、PM付着用抵抗線2と温度補償用抵抗線10の接続点aにおける電圧Vaを計測することで、PM付着用抵抗線2の抵抗値の変化を検出するようにされる。つまり、検出部3は、PM付着用抵抗線2の抵抗値(PMが付着したときの合成抵抗値)が低くなり、接続点aにおける電圧Vaが所定のしきい値を超えて高くなったとき(あるいは電圧Vaの上昇率が所定のしきい値を超えたとき)に、PM付着用抵抗線2にPMが付着していること、すなわちDPFが破損していることを検出する。
【0038】
さらに、DPFはPMを100%捕獲できないため、PMセンサー1は、エンジン始動時、あるいはエンジン稼働中(走行中)の一定時間ごとに電気ヒーター4(電熱線5)に通電して、PM付着用抵抗線2に付着したPMを燃焼させる再生部13を備えている。
【0039】
DPFはPMを100%捕獲しないため、DPFが正常であっても、長時間運転を行うと、PM付着用抵抗線2にPMが付着してしまい、実際にはDPFが破損していないにもかかわらず、DPFが破損していると誤って検出してしまうおそれがある。
【0040】
そこで、本実施の形態では、エンジン始動時、あるいはエンジン稼働中の一定時間ごとに、再生部13が電気ヒーター4に通電して、PM付着用抵抗線2に付着したPMを燃焼させるようにした。
【0041】
より具体的には、再生部13は、エンジンの運転時間を積算し、エンジン稼働中の一定時間ごとに電気ヒーター4に通電して定期的にPMを燃焼させ、常にPM付着用抵抗線2の表面にPMが堆積しないようにする。また、再生部13は、エンジン始動時に電気ヒーター4に通電し、エンジン始動時にもPM付着用抵抗線2に付着したPMを燃焼させる。
【0042】
エンジン稼働中に再生部13が電気ヒーター4に通電する時間間隔については、予め、エンジン稼働中にPM付着用抵抗線2にPMがどれくらい付着するかを計測しておき、検出部3がPM付着用抵抗線2にPMが付着していると検出してしまわない(PM付着用抵抗線2の抵抗値が低くならない)程度の時間間隔(例えば、3〜4時間程度)に設定すればよい。検出部3、および再生部13は、ECM9に搭載される。
【0043】
次に、PMセンサー1の動作原理を説明する。
【0044】
DPFが破損、損傷するなどしてその機能が失われると、DPFの下流側の排気通路11にPMが流出する。流出したPMは、排気方向上流側に臨むPM付着用抵抗線2の表面に付着する。
【0045】
PM付着用抵抗線2にPMが付着、堆積すると、PM付着用抵抗線2の抵抗RとPMの抵抗RPMが並列に接続された状態となり、合成抵抗の抵抗値Rxは下式(1)
(1/Rx)=(1/R)+(1/RPM) ・・・(1)
のようになる。
【0046】
本実施の形態では、PM付着用抵抗線2の抵抗値Rを、PMの抵抗RPMとほぼ同じ値となるように設定しているため、DPFが破損してPM付着用抵抗線2にPMが付着、堆積すると、図3に示すように、PM付着用抵抗線2における合成抵抗の抵抗値Rxは大幅に減少する。
【0047】
PMセンサー1では、両抵抗線2,10として抵抗値及び温度特性が同じものを用いているため、PM付着用抵抗線2にPMが付着していない状態(RPM=無限大)においては、接続点aの上下の両抵抗線2,10の抵抗値は温度に関わらず等しくなり、接続点aにおける電圧VaはVcc/2となる。PM付着用抵抗線2にPMが付着すると、PM付着用抵抗線2における合成抵抗の抵抗値Rxが減少し、これに伴い接続点aにおける電圧Vaが上昇する。検出部3は、接続点aにおける電圧Vaを監視し、電圧Vaが予め設定した所定のしきい値を超えて高くなったか否かを検出する(あるいは電圧Vaの上昇率が所定のしきい値を超えているか否かを検出する)ことで、PM付着用抵抗線2の抵抗値の変化を検出し、PM付着用抵抗線2へのPMの付着、すなわちDPFの破損を検出する。検出部3は、DPFの破損を検出すると、例えば、MIL(Malfunction Indicator Lamp;故障表示ランプ)を点灯する。
【0048】
本実施の形態の作用を説明する。
【0049】
本実施の形態に係るPMセンサー1では、車両の排気通路11に配置され、PMを付着させるPM付着用抵抗線2と、PM付着用抵抗線2の抵抗値の変化を検出して、PMの付着の有無を検出する検出部3と、PM付着用抵抗線2に付着したPMを燃焼させる電気ヒーター4とを備えており、PM付着用抵抗線2を、電気ヒーター4の電熱線5の周囲を覆う絶縁体6の外周に設けている。
【0050】
DPFの下流側の排気通路11にPMセンサー1を配置することで、DPFが破損した際にDPFの下流側に流出するPMを検出することが可能となり、DPFの破損を検出することができる。上述の2003年に法規化されたOBDでは、PMの量について規定されておらず、DPFの破損の検出が要求されるのみであるから、PMの量の計測は必要ない。
【0051】
PMセンサー1では、従来方式のような大掛かりな装置が必要なく、排気通路11にPM付着用抵抗線2を配置するという簡単な構成であるため、従来と比較して、小型かつ低コストである。
【0052】
さらに、PMセンサー1では、電気ヒーター4の電熱線5と別体にPM付着用抵抗線2を備えているため、PM付着用抵抗線2を自由に選択することが可能となり、従来のように電熱線として使用可能か否かを判断する必要がない。これにより、PMの抵抗値とほぼ同じ抵抗値のPM付着用抵抗線2を用いることが可能となり、PM付着用抵抗線2の抵抗値とPMの抵抗値の合成抵抗変化率を大きくすることが可能となる。その結果、検出部3の検出回路をシンプルな構成とすることができ、低コストで、かつ、PMの検出精度を向上したPMセンサー1を実現できる。
【0053】
また、PMセンサー1では、エンジン始動時、あるいはエンジン稼働中の一定時間ごとに電気ヒーター4に通電して、PM付着用抵抗線2に付着したPMを燃焼させて除去している。
【0054】
これにより、エンジンを始動させるごとにPM付着用抵抗線2に付着したPMを除去できるため、PM付着用抵抗線2にPMが付着していない状態で検出を開始できる。また、エンジン稼働中の一定時間ごとにPM付着用抵抗線2に付着したPMを除去することにより、長時間走行する場合であっても、PM付着用抵抗線2にPMがたまってしまうことがなくなり、DPFが破損していないにもかかわらず、DPFが破損していると誤って検出してしまうおそれがなくなる。
【0055】
上記実施の形態では、PM付着用抵抗線2を絶縁体6の外周に螺旋状に巻き付けて配置する場合について説明したが、PM付着用抵抗線2の配置形状はこれに限らず、例えば、PM付着用抵抗線2を電気ヒーター4の軸方向に平行に配置するなど、任意の配置形状とすることができる。
【0056】
また、上記実施の形態では、PMセンサー1をDPFの破損を検出する目的で使用する場合について説明したが、PMセンサー1を、例えば、DPFを搭載していない車両の燃料系等の異常を検出する目的で使用することも可能である。この場合、車両の排気通路にPMセンサー1を設けておき、車両の燃料系等で異常が発生したときに発生する黒煙(すなわちPM)を、PMセンサー1で検知するようにすればよい。
【0057】
このように、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 PMセンサー
2 PM付着用抵抗線
3 検出部
4 電気ヒーター
5 電熱線
6 絶縁体
7 取付用台座
7a ネジ部
7b 端子
7c コネクタ部
8 信号線
9 ECM
10 温度補償用抵抗線
11 排気通路
12 ボス部
13 再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス中の粒子状物質を検出するためのPMセンサーであって、
車両の排気通路に配置され、前記粒子状物質を付着させるPM付着用抵抗線と、該PM付着用抵抗線の抵抗値の変化を検出して、前記粒子状物質の付着の有無を検出する検出部と、前記PM付着用抵抗線に付着した粒子状物質を燃焼させる電気ヒーターとを備え、
前記PM付着用抵抗線を、前記電気ヒーターの電熱線の周囲を覆う絶縁体の外周に設けたことを特徴とするPMセンサー。
【請求項2】
前記PM付着用抵抗線と同じ抵抗値であり、かつ、前記PM付着用抵抗線と同様の温度特性を有する温度補償用抵抗線をさらに備え、
該温度補償用抵抗線を、前記PM付着用抵抗線の近傍に前記粒子状物質が付着しないように配置すると共に、前記PM付着用抵抗線と直列に接続し、
前記検出部は、直列に接続した前記PM付着用抵抗線と前記温度補償用抵抗線全体に直流電圧を印加し、前記PM付着用抵抗線と前記温度補償用抵抗線の接続点における電圧を計測することで、前記PM付着用抵抗線の抵抗値の変化を検出する請求項1記載のPMセンサー。
【請求項3】
前記温度補償用抵抗線は、前記電気ヒーターの前記絶縁体中に配置される請求項2記載のPMセンサー。
【請求項4】
前記PM付着用抵抗線は、排気ガス中の前記粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の下流側の前記排気通路に配置され、
前記検出部は、前記PM付着用抵抗線の抵抗値の変化を検出することで、前記ディーゼルパティキュレートフィルターの破損を検出する請求項1〜3いずれかに記載のPMセンサー。
【請求項5】
エンジン始動時、あるいはエンジン稼働中の一定時間ごとに前記電気ヒーターに通電して、前記PM付着用抵抗線に付着した前記粒子状物質を燃焼させる再生部をさらに備える請求項1〜4いずれかに記載のPMセンサー。
【請求項6】
前記PM付着用抵抗線の抵抗値は、前記粒子状物質の抵抗値とほぼ等しい抵抗値である請求項1〜5いずれかに記載のPMセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−153930(P2011−153930A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16009(P2010−16009)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】