説明

X線検査装置

【課題】 検査対象となる物品の筐体内における搬送状態を確認して、物品の搬送状態の異常を早急に検知することが可能なX線検査装置を提供する。
【解決手段】 X線検査装置10では、制御コンピュータ20が、光電管17から受信した映像データに基づいて、検査開始前に予め検査対象となる商品の基準物理量を測定する。制御コンピュータ20は、X線ラインセンサ14によって検出されたX線透過量により作成したX線画像に基づいて、シールドボックス内に搬入された商品について、上記基準物理量に対応する物理量を測定する。制御コンピュータ20は、測定した物理量と基準物理量とを比較して、所定の誤差範囲内にない場合には、搬送状態の異常発生と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送しながらX線を照射してその透過量を検出し、異物混入や個数検査等の検査を行うX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品などの商品の生産ラインにおいては、商品への異物混入や商品の割れ欠けがある場合にその不良商品が出荷されることを防止するために、X線検査装置を用いた商品不良検査が行われている。
【0003】
このX線検査装置では、搬送コンベアによって筐体内へ連続搬送されてくる被検査物に対してX線を照射し、そのX線の透過状態をX線受光部で検出して、被検査物中に異物が混入していないか、あるいは被検査物に割れ欠けが生じていたり被検査物内の単位内容物の数量が不足していたりしないかを判別する。また、X線検査装置によって、被検査物内の単位内容物の数量を数える検査が行われることもある。
【0004】
このようなX線検査装置には、搬送中の物品の滞留の発生を検出するために、X線検出用のラインセンサを用いて滞留検出を行うものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−121388号公報(平成15年4月23日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のX線検査装置では、以下に示すような問題点を有している。
【0006】
すなわち、上記公報に開示されたX線検査装置では、ラインセンサを用いて搬送中の物品の滞留を検知することはできるものの、筐体内へ搬送される際に物品が倒れてしまった場合でも滞留が発生するまでは異常を検知することができない。
【0007】
また、物品が倒れた状態で検査を実施すると、ラインセンサにおいて適正なX線透過量の測定ができなくなって正確な検査を実施することができなくなるおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、検査対象となる物品の筐体内における搬送状態を確認して、物品の搬送状態の異常を早急に検知することが可能なX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係るX線検査装置は、筐体内を搬送される物品に対してX線を照射し、その透過量を検出して物品への異物混入あるいは物品の個数を検査するX線検査装置であって、搬送部と、照射部と、X線検出部と、第1測定部と、第2測定部と、判定部と、を備えている。搬送部は、検査対象となる物品を搬送する。照射部は、搬送部によって搬送される物品に対してX線を照射する。X線検出部は、物品に対して照射されたX線の透過量を検出する。第1測定部は、正常な搬送状態における物品の物理量を測定する。第2測定部は、筐体内において物品の物理量を測定する。判定部は、第1測定部において測定された物理量と第2測定部において測定された物理量とを比較して、物品の搬送状態を判定する。
【0010】
ここでは、照射部から物品に対して照射されたX線の透過量をX線検出部において検出して異物混入、個数検査等を行うX線検査装置において、X線による検査が行われる筐体内において検査対象となる物品が正常な姿勢を保ったまま搬送されているか否かを判定するために、搬送状態を判定する際の基準となる正常な搬送状態における物品の物理量(以下、基準物理量と示す。)を測定する第1測定部と、筐体内において搬送される物品の物理量を測定する第2測定部とを備えている。そして、第1測定部において測定された基準物理量と、第2測定部において測定された筐体内における実際の物理量とを比較して、この物理量が一致するか否かで筐体内における物品の搬送状態を判定する判定部をさらに備えている。
【0011】
例えば、筐体内へ搬送される際に検査対象である物品が倒れてしまった場合には、正常な搬送状態ではないためX線検出部におけるX線透過量の検出結果に基づく異物混入検査や個数検査等が正常に行うことができなくなるおそれがある。
【0012】
本発明のX線検査装置によれば、第1測定部で測定された物理量と第2測定部で測定された物理量とが一致しなくなるため、物品が倒れてしまっている等で物品の搬送状態が正常でないことを容易に判定することができる。この結果、物品の搬送状態が正常でないことを判定した場合には、照射部によるX線の照射を停止させて筐体内から物品を取り出して再検査を行う等の措置を採ることができる。
【0013】
なお、上記物品の搬送状態とは、搬送中の物品の姿勢(傾き、向き)をいう。また、第1・第2測定部において測定される物品の物理量としては、物品の長さ、形状、面積、重心位置、濃度分布等が考えられる。また、第1・第2測定部としては、例えば、カメラや光電管、ラインセンサ等を用いることができる。さらに、このように姿勢が乱れ易い物品としては、搬送部に設置する面積に対して高さが大きい物品や、軽量な物品等が考えられる。よって、例えば、カップラーメンのような物品を検査対象とするX線検査装置に対して本発明を適用することが特に好ましい。
【0014】
第2の発明に係るX線検査装置は、第1の発明に係るX線検査装置であって、物品の搬送状態とは、搬送部によって搬送される物品の姿勢である。
【0015】
ここでは、判定部は、搬送される物品の姿勢の乱れの有無について判定を行う。
【0016】
これにより、例えば、搬送部上で物品が倒れた場合でも、判定部において異常発生の判定を行うことができる。
【0017】
なお、物品の姿勢には、搬送部上において物品の傾き(倒れているか否か)や、搬送方向における物品の向き等が含まれる。
【0018】
第3の発明に係るX線検査装置は、第1または第2の発明に係るX線検査装置であって、第1測定部は、筐体の上流側に配置されている。
【0019】
ここでは、搬送状態の乱れを判定する際の基準物理量を測定する第1測定部を、X線による検査が行われる筐体の上流側に配置している。
【0020】
これにより、正常な搬送状態の物品の物理量を筐体内へ搬送される前に測定して基準物理量とすることができる。
【0021】
なお、第1測定部による物品の物理量の測定は、検査対象となる物品が同一である場合には検査開始時に1回だけ行われてもよいし、所定の時間、個数間隔をあけて複数回行われてもよい。
【0022】
第4の発明に係るX線検査装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物品を搬入するために筐体に形成された開口部には、X線の外部漏洩を防止する遮蔽ノレンが設けられている。
【0023】
ここでは、X線による検査が行われる筐体へ物品を搬入するための開口部に、X線が外部へ漏洩することを防止するための遮蔽ノレンが設けられている。
【0024】
通常、このような遮蔽ノレンは、X線を外部へ漏洩させないようにするためにノレンの部分に鉛等を含んでいる。そして、近年では、安全性の確保という観点からX線の外部への漏洩を確実に防止するために、このような遮蔽ノレンが複数段に渡って設けられている。このため、検査対象である物品は、鉛を含む遮蔽ノレンをくぐって筐体内へ搬入されることになるため、特に、物品が軽量である場合や物品の重心の位置が高い場合には遮蔽ノレンによって倒されてしまうおそれがある。
【0025】
本発明のX線検査装置では、このように遮蔽ノレンをくぐって筐体内へ搬送される物品が倒れてしまった場合には、第1測定部における測定結果と第2測定部における測定結果とを比較して正常な搬送状態にないことを容易に判定することができる。この結果、装置の運転を停止させて、筐体内で倒れてしまった物品を取り出して再度正常な搬送状態で検査を実施することができる。
【0026】
第5の発明に係るX線検査装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、第1測定部によって測定された物品の物理量を記憶する記憶部をさらに備えている。

ここでは、第1測定部において測定された基準物理量を記憶しており、判定部は、記憶部に記憶された基準物理量と第2測定部における測定結果とを比較する。
【0027】
これにより、基準物理量については、検査を開始する際に第1測定部によって測定してこの基準物理量を記憶させておけば、毎回物品の物理量を測定する必要がなくなる。よって、無駄な処理を省いてさらに効率よく検査を実施することができる。
【0028】
第6の発明に係るX線検査装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、第2測定部は、X線検出部における検出結果に基づいて物品の物理量を測定する。
【0029】
ここでは、X線の透過量を測定するラインセンサ等のX線検出部が、筐体内で搬送される物品の搬送状態を確認するための物理量を測定する第2測定部としても機能する。
【0030】
これにより、第2測定部として用いられる部品が不要になるため、部品点数を減らしてコストダウンが図れる。
【0031】
なお、例えば、ラインセンサをX線検出部、第2測定部として用いる場合には、ラインセンサにおいて検出されたX線透過量に基づいて形成されるX線画像によって物品の物理量を測定することが可能である。
【0032】
第7の発明に係るX線検査装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、判定部において物品の搬送状態が異常であると判定された場合には、少なくとも、搬送部による物品の搬送と、照射部によるX線の照射とを停止させるように制御する制御部をさらに備えている。
【0033】
ここでは、判定部における判定結果が異常発生であった場合には、物品の搬送とX線の照射とを停止させる。
【0034】
これにより、筐体内において物品が倒れた等の異常が発生した場合には、X線の照射が停止されている間に筐体内で搬送状態が正常でない物品を手で取り出して再度検査を実施することができる。よって、作業者が被爆することを防止して安全性の高いX線検査装置を提供できる。
【0035】
第8の発明に係るX線検査装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、判定部において物品の搬送状態が異常であるとの判定がなされた場合に警告を発する警告部をさらに備えている。
【0036】
ここでは、判定部における判定結果が異常発生であった場合には、警告部が作業者に対して表示や警告音等による警告を発する。
【0037】
これにより、作業者は、筐体内において検査対象となる物品が倒れている等の異常発生を認識して、検査を一時的に停止させる等の措置を講ずることができる。
【0038】
第9の発明に係るX線検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物理量は、物品の長さに関する物理量である。
【0039】
ここでは、物品の搬送方向に対する幅、長さ、平面上の外周長等の長さに関する物理量を、第1・第2測定部において測定する。
【0040】
これにより、第1・第2測定部において測定された長さに関する物理量を用いて、容易に搬送状態を判定することができる。なお、上記のように長さに関する物理量を測定する場合には、第1・第2測定部として、カメラや光電管を用いることができる。
【0041】
第10の発明に係るX線検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物理量は、物品を所定方向から所定の平面上に投影して得られる投影図の搬送方向における長さ、幅、周囲長のいずれか1つである。
【0042】
ここでは、第1・第2測定部が配置された方向からの物品の投影図の搬送方向における長さ、幅、周囲長を、第1・第2測定部において測定する。
【0043】
これにより、例えば、平面視において物品の搬送方向における長さ、幅、周囲長を物理量として用いて、容易に搬送状態を判定することができる。
【0044】
なお、上記のように投影図の長さ、幅、周囲長等に関する物理量を測定する場合には、第1・第2測定部として、カメラや光電管を用いることができる。
【0045】
第11の発明に係るX線検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物理量は、物品の形状に関する物理量である。
【0046】
ここでは、物品の形状に関する物理量、例えば、物品の平面視における形状を、第1・第2測定部において測定する。
【0047】
これにより、第1・第2測定部において測定された形状に関する物理量を用いて、容易に搬送状態を判定することができる。
【0048】
なお、上記のように形状に関する物理量を測定する場合には、第1・第2測定部として、カメラや光電管を用いることができる。
【0049】
第12の発明に係るX線検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物理量は、物品の重心に関する物理量である。
【0050】
ここでは、物品の重心位置に関する物理量、例えば、物品の平面視における形状の重心位置を、第1・第2測定部において測定する。
【0051】
これにより、第1・第2測定部において測定された重心位置に関する物理量を用いて、容易に搬送状態を判定することができる。
【0052】
なお、物品の重心位置の測定については、物品の平面図における外周からの距離によって求める方法等がある(特開平11−3426号公報参照)。また、上記のように重心位置に関する物理量を測定する場合には、第1・第2測定部として、カメラや光電管を用いることができる。
【0053】
第13の発明に係るX線検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物理量は、物品の面積に関する物理量である。
【0054】
ここでは、物品の平面上の面積に関する物理量、例えば、物品の平面視における面積を、第1・第2測定部において測定する。
【0055】
これにより、第1・第2測定部において測定された面積に関する物理量を用いて、容易に搬送状態を判定することができる。
【0056】
なお、物品の面積の測定については、物品の平面図から求める方法等がある。また、上記のように面積に関する物理量を測定する場合には、第1・第2測定部として、カメラや光電管を用いることができる。
【0057】
第14の発明に係るX線検査装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、物理量は、物品の濃度分布に関する物理量である。
【0058】
ここでは、物品の濃度分布に関する物理量、例えば、物品を透過したX線量に基づいて作成されるX線画像における濃度分布を、第1・第2測定部において測定する。
【0059】
これにより、第1・第2測定部において測定された濃度分布に関する物理量を用いて、容易に搬送状態を判定することができる。
【0060】
なお、上記のように濃度分布に関する物理量を測定する場合には、第1・第2測定部として、ラインセンサ等のX線検出器を用いることができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明のX線検査装置によれば、物品が転倒等により物品の搬送状態が正常でないことを容易に判定することができるため、照射部によるX線の照射を停止させて筐体内から物品を取り出して再検査を行う等の措置を採ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
本発明の一実施形態に係るX線検査装置について、図1〜図10を用いて説明すれば以下の通りである。
【0063】
[X線検査装置全体の構成]
本実施形態のX線検査装置10は、図1に示すように、食品等の商品の生産ラインにおいて品質検査を行う装置の1つである。X線検査装置10は、連続的に搬送されてくる商品に対してX線を照射し、商品を透過したX線量に基づいて商品に異物が混入しているか否かの検査を行う。
【0064】
本実施形態では、被検査物として、容器入りのインスタントラーメン(以下、商品Gと示す。)を用いた場合について説明する。商品Gは、図2に示すように、前段コンベア60によりX線検査装置10に運ばれてくる。商品Gは、X線検査装置10において異物混入の有無が判断される。このX線検査装置10での判断結果は、X線検査装置10の下流側に配置される振分機構70に送信される。振分機構70は、商品GがX線検査装置10において良品と判断された場合には商品Gをそのまま正規のラインコンベア80へと送る。一方、商品GがX線検査装置10において不良品と判断された場合には、下流側の端部を回転軸とするアーム70aが搬送路を遮るように回動する。これにより、不良品と判断された商品Gを、搬送路から外れた位置に配置された不良品回収箱90において回収することができる。
【0065】
X線検査装置10は、図1に示すように、主として、シールドボックス(筐体)11と、コンベア(搬送部)12と、遮蔽ノレン16と、タッチパネル機能付きのモニタ(表示部)26と、を備えている。そして、シールドボックス11の内部には、図3に示すように、コンベア12、X線照射器(照射部)13、X線ラインセンサ(X線検出部、第2測定部)14、光電管(第1測定部)17、および制御コンピュータ(判定部、制御部、警告部)20(図4参照)を備えている。
【0066】
〔シールドボックス〕
シールドボックス11は、商品Gの入口側と出口側の双方の面に、商品を搬出入するための搬入口11aと搬出口11bとを有している。このシールドボックス11の中に、コンベア12、X線照射器13、X線ラインセンサ14、制御コンピュータ20(図4参照)などが収容されている。
【0067】
搬入口11aおよび搬出口11bは、図1に示すように、シールドボックス11の外部へのX線の漏洩を防止するために、遮蔽ノレン16によって塞がれている。この遮蔽ノレン16は、鉛を含むゴム製のノレン部分を有しており、商品が搬出入されるときには商品によって押しのけられる。
【0068】
また、シールドボックス11の正面上部には、モニタ26の他、キーの差し込み口や電源スイッチが配置されている。
【0069】
〔コンベア〕
コンベア12は、シールドボックス11内において商品を搬送するものであって、図4に示す制御ブロックに含まれるコンベアモータ12fによって駆動される。コンベア12の搬送速度は、作業者が入力した設定速度になるように、制御コンピュータ20がコンベアモータ12fをインバータ制御することによって細かく制御される。
【0070】
また、コンベア12は、図3に示すように、コンベアベルト12a、コンベアフレーム12b、開口部12cおよびコンベアガイド12dを有している。また、コンベア12は、シールドボックス11に対して取り外し可能な状態で取り付けられている。これにより、検査対象として食品等を取り扱う場合でも、シールドボックス11内を清潔に保つためにコンベアを取り外して頻繁に洗浄することができる。
【0071】
コンベアベルト12aは、無端状ベルトであって、ベルトの内側をコンベアフレーム12bによって支持されている。そして、コンベアモータ12fの駆動力を受けて回転することで、ベルト上に載置された物体を所定の方向に搬送する。
【0072】
コンベアフレーム12bは、無端状のベルトの内側からコンベアベルト12aを支持しており、コンベアベルト12aの内側の面に対向する位置に搬送方向に対して直交する方向に長く開口した開口部12cを有している。
【0073】
開口部12cは、コンベアフレーム12bにおける、X線照射器13とX線ラインセンサ14とを結ぶ線上に形成されている。換言すれば、開口部12cは、コンベアフレーム12bにおけるX線照射器13からのX線照射領域に形成されている。これにより、商品Gを透過したX線は、コンベアベルト12aを透過し、コンベアフレーム12bによって遮蔽されることなくX線ラインセンサ14において検出される。
【0074】
コンベアガイド12dは、商品Gの搬送路を形成するコンベアベルト12aの両側に配置されており、コンベア12上を移動する物品を搬送路から逸脱しないように誘導する。また、コンベアガイド12dは、図3に示すように、コンベア12の下方に配置されたX線ラインセンサ14上を横切ってX線ラインセンサ14に対して平面視で交差するように、換言すれば、X線照射器13から照射されたX線の照射領域に配置されている。さらに、コンベアガイド12dは、コンベア12ごとシールドボックス11から着脱可能な状態で取り付けられている。このため、検査対象として食品等を取り扱う場合でも、コンベア12ごと取り外して洗浄することでシールドボックス11内を常に清潔に保つことができる。
【0075】
〔X線照射器〕
X線照射器13は、図3に示すように、コンベア12の上方に配置されており、コンベアフレーム12bに形成された開口部12cを介して、コンベア12の下方に配置されたX線ラインセンサ14に向かって扇形形状にX線を照射する(図3の斜線部参照)。これにより、X線ラインセンサ14上を搬送される商品Gを透過したX線量をX線ラインセンサ14において検出することができる。
【0076】
〔X線ラインセンサ〕
X線ラインセンサ14は、コンベア12の下方に配置されており、商品Gやコンベアベルト12aを透過してくるX線を検出する。このX線ラインセンサ14は、コンベア12による搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置された複数の画素を含んでいる。
【0077】
また、X線ラインセンサ14は、平面視における商品GのX線画像を形成するための各画素におけるX線透過量のデータを制御コンピュータ20に対して送信する。そして、制御コンピュータ20では、上記X線透過量によって形成されるX線画像に基づいて、後述する商品Gの異物混入検査および搬送状態の判定を行う。
【0078】
〔モニタ〕
モニタ26は、フルドット表示の液晶ディスプレイである。また、モニタ26は、タッチパネル機能を有しており、初期設定や不良判断に関するパラメータ入力などを促す画面を表示する。また、モニタ26は、商品Gの検査結果や、シールドボックス11内における商品Gの搬送状態異常(商品Gの転倒等)が発生した際の警告等を表示する。
【0079】
〔制御コンピュータ〕
制御コンピュータ20は、図4に示すように、CPU21とともに、このCPU21によって制御される主記憶部としてROM22、RAM23、およびCF(コンパクトフラッシュ(登録商標)、記憶部)25を搭載している。CF25には、後述するシールドボックス11内における商品Gの搬送状態の異常発生の有無を判定するための基準となる商品Gの基準物理量を保存するファイル25aや、商品GのX線画像や検査結果を記憶する検査結果ログファイル25bなどが記憶されている。そして、制御コンピュータ20では、CPU21がこれらの記憶部に格納されているX線検査プログラムや搬送状態判定プログラム等の各種プログラムを読み込んで、X線検査を実行するX線検査部、搬送状態の判定を行う判定部、搬送状態の異常を判定した場合に警報を発する警告部等として機能する。
【0080】
また、制御コンピュータ20は、モニタ26に対するデータ表示を制御する表示制御回路、モニタ26のタッチパネルからのキー入力データを取り込むキー入力回路、図示しないプリンタにおけるデータ印字の制御等を行うためのI/Oポート、外部入力端子としてのUSB24等を備えている。
【0081】
CPU21、ROM22、RAM23、CF25等の記憶部は、アドレスバス,データバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
【0082】
また、制御コンピュータ20は、コンベアモータ12f、ロータリーエンコーダ12g、X線照射器13、X線ラインセンサ14、光電管17等と接続されている。
【0083】
ロータリーエンコーダ12gは、コンベアモータ12fに装着されており、コンベア12の搬送速度を検出して制御コンピュータ20に対して送信する。
【0084】
X線照射器13は、制御コンピュータ20によって、X線の照射タイミングやX線照射量、X線照射禁止等を制御される。
【0085】
X線ラインセンサ14は、各画素において検出されたX線量に応じたデータを制御コンピュータ20に対して送信する。
【0086】
光電管17は、被検査物である商品Gの基準物理量を測定するためにコンベア12の側方に配置されており、光電管17の前(受発光素子17a,17bの間(図5,図6参照))を商品Gが通過した時間を示すON/OFF信号を制御コンピュータ20に対して送信する。制御コンピュータ20は、受信したON/OFF信号とコンベア12による商品Gの搬送速度とに基づいて、後述する基準物理量(商品Gの搬送方向長さ)を測定する。
【0087】
〔光電管〕
光電管17は、図5および図6に示すように、1組の発光素子17aと受光素子17bとを有している。そして、この受発光素子17a,17bは、シールドボックス11の搬入口11aの直上流側であって、搬送路の側方にコンベア12(商品Gの搬送路)を挟みこむように取り付けられており、発光素子17aから照射された光を受光素子17bにおいて検出する。よって、光電管17は、発光素子17aから搬送路に対して平行な光を照射しており、受光素子17bにおいてこの光を検出している間はON状態となり、受光素子17bにおいて光を検出できない間はOFF状態となることで商品Gの通過を検出することができる。また、光電管17は、コンベア12によって搬送される商品Gのシールドボックス11へ搬送される前の搬送状態(姿勢等)を検出するために、運転開始とともに商品Gの通過の検知を開始して、ON/OFF信号を制御コンピュータ20に対して送信する。制御コンピュータ20は、ON/OFF信号とコンベア12による搬送速度とに基づいて搬送状態の判定に用いる基準物理量を測定する。この基準物理量としては、商品Gの搬送方向における長さが測定される。ここで測定された基準物理量(商品Gの搬送方向長さ)は、X線ラインセンサ14において検出されたX線透過量に基づいて作成されるX線画像から測定されるシールドボックス11内における商品Gの搬送方向長さと比較される。そして、この比較結果に基づいて、商品Gの搬送状態の異常の有無の判定が行われる。なお、この搬送状態の異常の有無の判定については、後段にて詳述する。
【0088】
また、受発光素子17a,17bは、鉛直方向に移動可能な状態で取り付けられている。これにより、商品Gの高さに応じて最適な高さ位置に移動させて、商品Gの通過時間を検知することができる。
【0089】
[搬送状態に関する判定、その後の制御]
本実施形態において商品Gとして説明するカップ入りのインスタントラーメンは、軽量であって、かつ重心位置が高い位置にあるという特徴がある。このため、シールドボックス11内へ搬送される際に、図7に示すように、遮蔽ノレン16のノレン部分にぶつかった商品Gが、遮蔽ノレン16によって転倒してしまうおそれがある。このような搬送中における商品Gの転倒は、遮蔽ノレン16のノレン部分の重量が大きく、商品Gが軽量である場合、商品Gが背の高い物品である場合等に特に起こり易い。そして、転倒した商品Gは、図8に示すような状態で搬送されるため、正常搬送状態の商品GとはX線画像の形状や濃度分布が異なってしまい、適正な異物混入検査を行うことができなくなるおそれがある。
【0090】
そこで、本実施形態のX線検査装置10では、以上のような構成を用いて、シールドボックス11内における商品Gの搬送状態(商品Gの姿勢)の異常発生の有無を判定する。これにより、搬送中に転倒した商品Gの検査を行わないようにすることで、無駄な検査の実施を回避して検査の効率、精度を向上させている。
【0091】
具体的には、図9および図10に示す制御フローに従って、搬送状態異常の判定が行われる。すなわち、運転が開始されると、ステップS1において搬送される商品Gの通過を光電管17において検知する。そして、ステップS2においてこの検知時間を示すON/OFF信号を制御コンピュータ20に対して送信する。制御コンピュータ20では、ステップS3において、光電管17から受信したON/OFF信号とコンベア12による搬送速度とから、商品Gの搬送方向における長さに関する物理量を基準物理量として測定するとともに、ステップS4において、CF25における商品Gの基準物理量のファイル25aにこの基準物理量を記憶させる。本実施形態では、運転が開始されて最初に検査を行う商品Gについて基準物理量を測定してCF25に記憶すると、その後は各商品Gごとに基準物理量を測定することはなく、CF25に記憶された基準物理量を用いて判定を行う。なお、CF25に記憶された基準物理量については、検査対象となる商品の種類が変更されるまで継続して使用することができる。また、以前検査を行ってCF25に基準物理量が記憶されている商品については、改めて光電管17によって商品Gの通過検知を行ってON/OFF信号を制御コンピュータ20に対して送信する必要はなく、作業者がCF25に記憶された基準物理量を読み出して判定を行うことができる。
【0092】
次に、遮蔽ノレン16をくぐってシールドボックス11内へ商品Gが搬送されると、ステップS5において、X線ラインセンサ14によるX線透過量の測定が行われ、ステップS6において、その透過量に基づいてX線画像が作成される。このX線画像は、コンベア12(商品Gの搬送路)の下方から商品Gを透過したX線を検出して形成される。よって、商品Gの平面視の形状を示すX線画像に基づいて、容易に商品Gの搬送方向長さを測定することができる。ここで、搬送状態が正常(商品Gが転倒等していない状態)であれば、光電管17によって求められる搬送方向長さ(基準物理量)と、X線ラインセンサ14によって求められる搬送方向長さ(物理量)とが一致する。
【0093】
続いて、制御コンピュータ20では、図10に示すステップS12・S13において、CF25に記憶された基準物理量と、シールドボックス11内において測定された商品Gの物理量とを比較して、所定の誤差範囲内である場合には、ステップS14において搬送状態は正常である旨の判定を行う。一方、基準物理量とX線画像に基づいて測定した物理量とが所定の誤差範囲内にない場合(図8参照)には、ステップS15において搬送状態が異常である旨の判定を行う。
【0094】
そして、制御コンピュータ20は、搬送状態が異常である旨の判定を行うと、ステップ16においてX線照射器13からのX線照射を停止させる、ステップS17においてコンベア12の搬送を停止させる等、装置全体の運転を停止させるように制御する。さらに、制御コンピュータ20は、ステップS18において作業者に対して搬送状態の異常を報知するための警報音を発するとともに、モニタ26に搬送状態異常である旨を表示させる。
【0095】
なお、判定の基準となる物理量は、1つの基準物理量について一致/不一致を見るのではなく、例えば、搬送方向における長さと、商品Gの高さという2つの基準物理量を組み合わせて判定を行うことが好ましい。この場合には、商品Gが転倒しているが転倒した向きによって測定された長さが基準物理量と偶然一致して搬送状態が正常であると誤判定されることを防止して、判定の正確性が低下することを防止できる。ただし、商品Gの高さについても基準物理量とする場合には、搬送路の側方に鉛直方向に配置された複数の光電管を設けることが好ましい。
【0096】
[本X線検査装置の特徴]
(1)
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20が、光電管17から受信したON/OFF信号に基づいて、検査開始前に予め検査対象となる商品Gの基準物理量(商品Gの搬送方向における長さ)を測定する。次に、制御コンピュータ20は、X線ラインセンサ14によって検出されたX線透過量により作成したX線画像(商品Gの平面視像)に基づいて、シールドボックス11内に搬入された商品Gについて、上記基準物理量に対応する物理量を測定する。そして、測定した物理量と基準物理量とを比較して、所定の誤差範囲内である場合には、これを正常な搬送状態と判定する。一方、測定した物理量と基準物理量とを比較して、所定の誤差範囲内にない場合には、搬送状態の異常発生と判定する。
【0097】
ここで、商品Gが転倒している場合には、X線ラインセンサ14におけるX線透過量の検出値に基づいて形成されるX線画像の向きが変わって、X線画像の補正や異物検出等を適切に行うことができなくなることがある。この結果、異物検出精度が低下してしまうおそれがある。
【0098】
そこで、本実施形態のX線検査装置10では、シールドボックス11への搬入前の正常な搬送状態における商品Gの基準物理量を測定し、シールドボックス11内における商品Gの測定物理量と比較することで、商品Gの転倒等の搬送状態の異常を、早期に検知することができる。この結果、搬送状態の異常に伴う検査精度の低下を防止して、常に高精度な検査を実施することができる。
【0099】
(2)
本実施形態のX線検査装置10では、商品Gの搬送中における姿勢が所定の状態でない場合に搬送状態の異常の発生を検出する。
【0100】
これにより、商品Gが転倒したり回転したりして、適正なX線検査を行うことができなくなることを防止することができる。
【0101】
(3)
本実施形態のX線検査装置10では、商品Gの基準物理量を測定するための光電管17を、シールドボックス11の上流側に配置している。
【0102】
これにより、シールドボックス11へ搬送される前の正常な搬送状態における商品Gの基準物理量を、安価な構成で容易に測定することができる。また、運転を開始する前に、予め基準物理量を別途測定する必要はなく、運転中に商品Gについて基準物理量を測定することができるため、運転効率を向上させることができる。
【0103】
(4)
本実施形態のX線検査装置10では、シールドボックス11における商品Gの搬出入口へ鉛入りのノレンを有する遮蔽ノレン16が設けられている。
【0104】
通常、このような遮蔽ノレン16付きのX線検査装置では、商品Gをシールドボックス11内へ搬送する際に、商品Gが転倒したり回転したりするおそれがある。特に、商品Gが軽量である場合や、重心位置が高い物品である場合には、転倒や回転が発生しやすい。
【0105】
しかし、本実施形態のX線検査装置10では、このような商品Gの転倒や回転による搬送状態の異常を早期に検出することができる。このため、商品Gの転倒等による商品Gの搬送滞留や、適正なX線検査を実施できなくなることを回避することができる。
【0106】
(5)
本実施形態のX線検査装置10では、搬送異常の有無の判定に用いられる基準物理量(商品Gの搬送方向長さ)を記憶するCF25を備えている。
【0107】
これにより、同一の商品Gの検査を実施する場合には、最初の商品Gについて基準物理量を測定するだけで、その後はCF25に記憶された基準物理量を用いて判定を行うことができる。
【0108】
(6)
本実施形態のX線検査装置10では、シールドボックス11内における物理量を測定するための第2測定部として、X線ラインセンサ14を用いている。
【0109】
このように、元来、X線検査用のX線画像を作成するためのX線透過量を測定するX線ラインセンサ14を、搬送状態の判定を行う物理量を測定するための第2測定部として兼用することで、部品点数を減らしてコストを削減することができる。また、X線ラインセンサ14によって検出されたX線透過量に基づいて作成される異物検出用のX線画像を、搬送状態の判定を行うための物理量測定用にも用いることで、搬送状態の判定処理を簡略化できる。
【0110】
(7)
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20が、搬送状態の異常有りと判定すると、少なくとも、コンベア12およびX線照射器13の運転を停止させる。
【0111】
これにより、搬送状態異常の検知とほぼ同時に、商品Gの搬送とX線の照射を停止させることで、シールドボックス11内において転倒、回転した商品Gを手で取り出して再度シールドボックス11の上流側から再検査を実施することができる。よって、安全性の高いX線検査装置10を提供できる。
【0112】
(8)
本実施形態のX線検査装置10では、搬送状態異常と判定すると、警告音を発生させる、モニタ26に搬送状態異常を知らせる警告画面を表示させる。
【0113】
これにより、搬送状態異常の発生をいち早く作業者に報知することができるため、作業者は早急に運転停止等の措置を採ることができる。
【0114】
(9)
本実施形態のX線検査装置10では、搬送状態の判定を行うための物理量として、搬送方向における商品Gの長さに関する物理量を用いている。
【0115】
これにより、商品Gの通過時間を示すON/OFF信号を制御コンピュータ20に対して送信する光電管17等の安価な構成により、転倒、回転した商品Gの搬送状態異常を容易に検出することができる。
【0116】
(10)
本実施形態のX線検査装置10では、商品Gついて、平面視における搬送方向長さを、基準物理量として用いている。
【0117】
これにより、光電管17によって検知された商品Gの通過時間を示すON/OFF信号と、X線ラインセンサ14におけるX線透過量に基づいて作成されたX線画像に基づいて、基準物理量、測定物理量を測定することができる。
【0118】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0119】
(A)
上記実施形態では、第1測定部として機能する光電管17、第2測定部として機能するX線ラインセンサ14における検出結果よって測定される物理量として、商品Gの長さに関する物理量(搬送方向における長さ)を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0120】
例えば、長さに関する物理量として、搬送方向長さ以外にも、搬送方向における幅、外周長等を用いることもできる。商品Gの搬送方向における幅については、光電管を商品Gの上方に複数配置して検出することができる。商品Gの外周長については、搬送路の上方に配置されたカメラ等を用いて撮影された映像から測定することができる。
【0121】
また、商品Gの形状を物理量として判定を行ってもよい。例えば、上記実施形態のようにカップ入りのインスタントラーメンを商品Gとする場合には、商品Gの搬送状態が正常であれば、搬送路の上方に配置された光電管やカメラ、X線ラインセンサ14からは円形の形状が特定されるはずである。よって、X線ラインセンサ14において特定される商品Gの形状が円形でなく台形であれば、商品Gが転倒したことを認識することができ、搬送状態の異常として検知することができる。
【0122】
また、第1測定部としてのカメラ等の撮影装置、第2測定部としてのX線ラインセンサ14から商品Gを投影した映像(上記実施形態では平面視像)から重心位置を特定して、上記物理量として判定を行ってもよい。例えば、図11(a)〜図11(c)に示す投影図の物品については、商品Gの外周部の各位置からの距離Rと角度θとに基づいて作成した図11(d)に示すグラフから重心位置を求めることができる。なお、図11(d)に示す実線は図11(a)に示す物品のRとθとの関係を示すグラフであり、同様に、図11(d)に示す1点鎖線、2点差線は、それぞれ図11(b)、図11(c)に示す物品のRとθとの関係を示すグラフである。
【0123】
この他にも、カメラ、X線ラインセンサ14によって商品Gを投影して得られる図形の面積を、上記物理量として判定を行うこともできる。
【0124】
さらに、X線ラインセンサ14におけるX線透過量に基づいて作成されるX線画像の濃度分布を、上記物理量として判定を行ってもよい。例えば、図12(a)および図12(b)に示す形状の物品について作成されたX線画像の濃度分布に応じて作成されたヒストグラム(図12(c)参照)における明るさ(濃度)のピークやピークの度数を比較して判定を行うことができる。この場合には、基準物理量についてもX線透過量に基づいて作成されるX線画像が必要となるため、商品Gの上方にX線を照射する照射部を配置してその下方に配置されたX線ラインセンサにおいてX線透過量を検出すればよい。なお、図12(c)に示すグラフの実線は、図12(a)に示す物品のヒストグラム、点線は図12(b)に示す形状のヒストグラムを示している。
【0125】
(B)
上記実施形態では、商品Gの基準物理量として、光電管17において商品Gの搬送方向長さに関する物理量を、商品Gの種類が変わるたびに最初の商品について測定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0126】
例えば、運転を開始する前に予め商品Gの基準物理量を測定し、CF25に記憶させた後に運転を開始してもよい。この場合には、運転開始時にはすでに基準物理量が記憶されているため、例えば1個目の商品Gが転倒した場合でも、これを搬送異常として検出することができる。
【0127】
ただし、上記実施形態のように、シールドボックス11の上流側に光電管17を配置したX線検査装置10では、運転開始前に予め商品Gの基準物理量を測定する必要はなく、運転開始と同時に基準物理量を測定することが運転効率の面から好ましい。
【0128】
(C)
上記実施形態では、光電管17において検知した商品Gの通過時間を示すON/OFF信号を制御コンピュータ20に送信し、制御コンピュータ20がON/OFF信号と商品Gの搬送速度とから基準物理量を測定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0129】
例えば、第1測定部として、基準物理量を測定する機能まで備えた測定装置をシールドボックス11の上流側に設けてもよい。この場合には、測定装置自身が基準物理量を算出することができるため、制御コンピュータ20では基準物理量と物理量とを比較するだけで判定を行うことができる。
【0130】
(D)
上記実施形態では、第1測定部として光電管17を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0131】
例えば、光電管以外にも、商品Gを搬送路の上方から撮影して得られる商品Gの平面視映像に基づいて基準物理量を測定することが可能なカメラ等を用いることも可能である。
【0132】
(E)
上記実施形態では、X線ラインセンサ14が、第2測定部として機能する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0133】
例えば、X線ラインセンサ14とは別に第2測定部としてのカメラや光電管等を、シールドボックス11内に設けてもよい。
【0134】
(F)
上記実施形態では、商品Gとして容器入りのインスタントラーメンを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0135】
例えば、容器入りのインスタントラーメン以外でも、搬送面からの高さがあり、重心位置が高い物品や軽量の物品であれば搬送中に転倒し易いため、本発明による効果を特に効果的に得ることができる。
【0136】
(G)
上記実施形態では、X線検査装置10によって異物混入検査を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0137】
例えば、異物混入検査ではなく、商品Gの内容物の個数検査を行うX線検査装置に対して本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明のX線検査装置は、筐体内における物品の転倒等を搬送状態の異常として検出することができるという効果を奏することから、搬送中の物品に対して検査を行う各種検査装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の外観斜視図。
【図2】X線検査装置の前後の構成を示す図。
【図3】X線検査装置のシールドボックス内部の簡易構成図。
【図4】制御コンピュータのブロック構成図。
【図5】シールドボックス内部を示す側面図。
【図6】シールドボックス内部を示す平面図。
【図7】商品Gの搬送異常発生時におけるシールドボックス内部を示す側面図。
【図8】商品Gの搬送異常発生時におけるシールドボックス内部を示す平面図。
【図9】図1のX線検査装置による搬送状態の判定制御フローを示す図。
【図10】図9の判定制御フローの続きを示す図。
【図11】(a)〜(c)は重心位置を求められる物品の形状の一例を示す図。(d)はその重心を求めるためのグラフ。
【図12】(a),(b)は濃度分布を求められる物品の形状の一例を示す図。(c)はその濃度分布を示すヒストグラム。
【符号の説明】
【0140】
10 X線検査装置
11 シールドボックス(筐体)
11a 搬入口
11b 搬出口
12 コンベア(搬送部)
12a コンベアベルト
12b コンベアフレーム
12c 開口部
12d コンベアガイド
12f コンベアモータ
12g ロータリーエンコーダ
13 X線照射器(照射部)
14 X線ラインセンサ(X線検出部、第2測定部)
16 遮蔽ノレン
17 光電管(第1測定部)
17a 発光素子
17b 受光素子
20 制御コンピュータ(判定部、制御部、警告部)
21 CPU
22 ROM(記憶部)
23 RAM(記憶部)
24 USB(外部接続端子)
25 CF(コンパクトフラッシュ(登録商標)、記憶部)
26 モニタ(表示部)
G 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内を搬送される物品に対してX線を照射し、その透過量を検出して前記物品への異物混入あるいは前記物品の個数を検査するX線検査装置であって、
前記物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記物品に対してX線を照射する照射部と、
前記物品に対して照射されたX線の透過量を検出するX線検出部と、
正常な搬送状態における前記物品の基準物理量を測定する第1測定部と、
前記筐体内において前記物品の物理量を測定する第2測定部と、
前記第1測定部において測定された基準物理量と前記第2測定部において測定された物理量とを比較して、前記物品の搬送状態を判定する判定部と、
を備えているX線検査装置。
【請求項2】
前記物品の搬送状態とは、前記搬送部によって搬送される前記物品の姿勢である、
請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記第1測定部は、前記筐体の上流側に配置されている、
請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記物品を搬入するために前記筐体に形成された開口部には、X線の外部漏洩を防止する遮蔽ノレンが設けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記第1測定部によって測定された前記物品の基準物理量を記憶する記憶部をさらに備えている、
請求項1から4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記第2測定部は、前記X線検出部における検出結果に基づいて前記物品の物理量を測定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記判定部において前記物品の搬送状態が異常であると判定された場合には、少なくとも、前記搬送部による前記物品の搬送と、前記照射部によるX線の照射とを停止させるように制御する制御部をさらに備えた、
請求項1から6のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記判定部において前記物品の搬送状態が異常であるとの判定がなされた場合に警告を発する警告部をさらに備えた、
請求項1から7のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記物理量は、前記物品の長さに関する物理量である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項10】
前記物理量は、前記物品を所定方向から所定の平面上に投影して得られる投影図の搬送方向における長さ、幅、周囲長のいずれか1つである、
請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項11】
前記物理量は、前記物品の形状に関する物理量である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項12】
前記物理量は、前記物品の重心に関する物理量である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項13】
前記物理量は、前記物品の面積に関する物理量である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項14】
前記物理量は、前記物品の濃度分布に関する物理量である、
請求項1から8のいずれか1項に記載のX線検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−98195(P2006−98195A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284139(P2004−284139)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】