説明

α―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法

【課題】
医薬分野で有用なα−アミノジフルオロメチレン誘導体を合成するための、簡便且つ応用性の高い方法を提供する。
【解決手段】
トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と有機リチウム化合物を反応させた後、アルデヒド化合物、ケトン化合物、イミニウム化合物、求電子性ハロゲン化剤及びブレンステッド酸からなる群から選ばれる1種以上の求電子性化合物を反応させることを特徴とするα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α―アミノジフルオロメチレン誘導体を製造する方法に関する。より詳細には、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物を、有機リチウム化合物と反応させ、次いでアルデヒド化合物、ケトン化合物、イミニウム化合物、求電子性ハロゲン化剤及びブレンステッド酸からなる群から選ばれる1種以上の求電子性化合物と反応させることにより、α―アミノジフルオロメチレン誘導体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α位にアミノ基または置換アミノ基を有するジフルオロメチレン構造は、ペプチドや糖誘導体のヒドロキシメチレン構造に対する模擬構造として注目され、医薬用途にて広く検討されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
α位にアミノ基または置換アミノ基を有するジフルオロメチレン構造を合成する第一の方法としては、ジフルオロエテニル化合物を合成し、アミノ基の結合した炭素アニオンを反応させる方法が挙げられる。
【0004】
前段のジフルオロエテニル化合物を合成する方法としては、非特許文献3に示されるような、カルボニル化合物とジブロモジフルオロメタンからWittig反応により合成する方法と、ハロジフルオロ基含有化合物(非特許文献4)またはトリフルオロエチル基含有化合物(非特許文献5、非特許文献6)を出発とし、脱ハロゲン化水素反応により合成する方法に大別される。
【0005】
前者の方法は、1段反応でジフルオロエテニル構造が得られる利点がある。しかし、反応後に多量のリン含有廃棄物が生じるため、その分離操作が煩雑であり、また、工業的実施の際にはその処理が問題となる。
【0006】
後者の方法のうち、ハロジフルオロ酢酸エステルを利用する非特許文献4の方法は、ジフルオロエテニル化合物の合成に4段階を要する。従って、操作が非常に煩雑となる問題を有する。トリフルオロエタノールを出発物とする非特許文献5及び非特許文献6の方法は、脱フッ化水素反応後の中間体の安定性が問題であり、収率よく目的構造を得るためには特殊な保護基を結合させておく必要がある。
【0007】
後段のアミノ基の結合した炭素アニオンを反応させる方法としては、ルイス酸触媒存在下でアシルイミニウム化合物と反応させる方法(非特許文献4)やα−アミノエステル基を結合させた後に転移反応を利用する方法(非特許文献5)が提案されている。しかし、前者の方法で使用するアシルイミニウムは特殊な試薬であるため、通常別途合成が必要であり、操作が煩雑となる。後者の方法は、転移反応の際、大過剰の強塩基が必要であるなどの問題を有する。
【0008】
α位にアミノ基または置換アミノ基を有するジフルオロメチレン構造を合成する他の方法として、非特許文献7、非特許文献8に示されるようなハロジフルオロ酢酸エステルと亜鉛及びイミン化合物を用いReformatsky反応により合成する方法が知られている。この方法は、反応段数の少ないより効率的な反応と言える。一方、この方法により得られるα−アミノジフルオロメチレン化合物は、α’位がエステル基に限定される。エステル基からの増炭反応等による構造変換は、可能ではあるものの、選択性が低い場合や操作が煩雑な場合が多い。従って、この方法は応用性の面で課題を有する。
【0009】
このような状況下、α−アミノジフルオロメチレン構造を得るための簡便且つ応用性の高い方法が望まれていた。
【0010】
一方、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物は、工業的に入手可能なトリフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールとアミノ化合物から容易に合成することができる(非特許文献9、非特許文献10)。このトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物は、アルコキシ部位の置換活性が高いため、この部位を還元したり(特許文献1)、炭素−炭素結合に置換することが可能である(非特許文献9、非特許文献11)。このため、トリフルオロメチル基を有するアミノ化合物の合成中間体として近年注目されている。
【0011】
しかしながら、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物のフッ素原子を脱離させて、α位にアミノ基または置換アミノ基を有するジフルオロメチレン構造の原料として用いる方法については、これまで全く知られていない。
【非特許文献1】J. Molecular Biology, 255, 321 (1996)
【非特許文献2】J. Molecular Biology, 315, 21 (2002)
【非特許文献3】Chemical Reviews, 96, 1642 (1996)
【非特許文献4】Tetrahedron Lett., 37, 1061 (1996)
【非特許文献5】J. Org. Chem., 63, 8049 (1998)
【非特許文献6】J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2525 (1999)
【非特許文献7】J. Org. Chem., 69, 1634 (2004)
【非特許文献8】J. Org. Chem., 67, 8276 (2002)
【非特許文献9】J. Fluor. Chem., 125, 767 (2004)
【非特許文献10】J. Org. Chem., 71, 2159 (2006)
【非特許文献11】J. Org. Chem., 59, 607 (1994)
【特許文献1】特開2008−24602公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものである。即ち、医薬分野で有用なα−アミノジフルオロメチレン誘導体を合成するための、簡便且つ応用性の高い製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題に鑑み本発明者らは鋭意検討した結果、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と有機リチウム化合物を反応させた後、各種求電子性化合物と反応させることにより、有機リチウム化合物に由来する有機基が位置選択的または立体選択的に結合したα−アミノジフルオロメチレン誘導体を簡便に合成でき、更には求電子性化合物の選択により、α’位に多様な構造を有するα−アミノジフルオロメチレン誘導体が得られることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明は下記要旨に関わるものである。
1.下記一般式(1)
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。なお、RとRまたはRとRは互いにヘテロ原子の介在または非介在下に互いに結合していてもよい。)
で表されるトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と下記一般式(2)
Li (2)
(式中、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で表される有機リチウム化合物を反応させた後、アルデヒド化合物、ケトン化合物、イミニウム化合物、求電子性ハロゲン化剤及びブレンステッド酸からなる群から選ばれる1種以上の求電子性化合物を反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、R〜Rは前記定義に同じ。Eは、ジフルオロメチレン基結合炭素に水酸基、OLi基もしくは第三アミノ基を有する有機基、ハロゲン原子または水素原子を表す。)
で表されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【0019】
2.アルデヒド化合物またはケトン化合物が下記一般式(4)
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。なお、R及びRは互いにヘテロ原子の介在または非介在下に互いに結合していてもよい。)
で表されるアルデヒド化合物またはケトン化合物であり、α―アミノジフルオロメチレン誘導体が下記一般式(5)
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、R〜Rは前記定義に同じ。Mは水素原子またはLiを表す。)
で表される化合物であることを特徴とする1項に記載のα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【0024】
3.イミニウム化合物が下記一般式(6)
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。なお、R及びRまたはR及びR10は互いにヘテロ原子の介在または非介在下に互いに結合していてもよい。Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるイミニウム化合物であり、α―アミノジフルオロメチレン誘導体が下記一般式(7)
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、R〜R及びR〜R10は前記定義に同じ。)
で表される化合物であることを特徴とする1項に記載のα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【0029】
4.求電子性ハロゲン化剤が下記一般式(8)
Y−Z (8)
(式中、Yは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、アミド基またはイミド基を表す。)
で表される求電子性ハロゲン化剤であり、α―アミノジフルオロメチレン誘導体が下記一般式(9)
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、R〜R及びYは前記定義に同じ。)
で表される化合物であることを特徴とする1項に記載のα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【0032】
5.一般式(10)
【0033】
【化8】

【0034】
(式中、R及びR〜Rは前記定義に同じ。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【0035】
6.一般式(11)
【0036】
【化9】

【0037】
(式中、R、R及びR〜R10は前記定義に同じ。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【0038】
7.一般式(12)
【0039】
【化10】

【0040】
(式中、R、R及びYは前記定義に同じ。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【0041】
8.一般式(13)
【0042】
【化11】

【0043】
(式中、R15は置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表し、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、工業的に利用可能なトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物を用い、医薬分野で有用なα−アミノジフルオロメチレン誘導体を簡便に合成することができ、更にα’位の構造変換を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、さらに詳細に本発明を説明する。
【0046】
本発明では、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物(1)と前記有機リチウム化合物(2)を反応させた後、アルデヒド化合物、ケトン化合物、イミニウム化合物、求電子性ハロゲン化剤及びブレンステッド酸からなる群から選ばれる1種以上の求電子性化合物と反応させる。この反応により、おそらくはアミノ基を有するジフルオロエテニル中間体Aを中間体として経由し、α位にアミノ基を有するジフルオロメチレン構造が一段で得られる。しかも同時に有機リチウム化合物に由来する有機基R4がα位に位置選択的に結合したα−アミノジフルオロメチレン構造(3)が得られ、また、求電子性化合物の選択により多様な構造のα−アミノジフルオロメチレン誘導体が得られることから、特異的かつ高効率な反応である。
【0047】
【化12】

【0048】
本発明で用いられるトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物は、前記一般式(1)で表される。前記一般式(1)において、R、R及びRは、同一または非同一であり、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。
【0049】
未置換のアルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基等を挙げることができる。置換基を有するアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアリール基等が挙げられ、置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロエチル基、ベンジル基、2−メトキシエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−メチルチオエチル基等を挙げることができる。未置換のアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。未置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。置換基を有するアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアルキル基等が挙げられ、置換基を有するアリール基としては、例えば、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチル基及び2−メチル−1−ナフチル基等を挙げることができる。
【0050】
未置換のヘテロ芳香族基としては、フリル基、チエニル基またはピリジル基等を挙げることができる。また、RとRまたはRとRは、互いに酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子の介在ないし非介在下で互いに結合し環状構造を有していてもよい。
【0051】
このようなトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物の一例として、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジメチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジエチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−エトキシエチル)ジエチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−ブトキシエチル)ジエルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジ−n−プロピルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジアリルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジ−n−ブチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジベンジルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ビス(2−クロロエチル)アミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチルアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−エチルアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチル−4−メチルアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチル−4−メトキシアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−インドリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−ピペリジン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−モルホリン、3−メチル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、3−エチル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、3−プロピル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、3−アリル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、3−ベンジル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、3−フェニル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、3−アリル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−1,3−オキサゾール、3−アリル−2−(トリフルオロメチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,3−オキサゾール、3−アリル−2−(トリフルオロメチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−4−フェニル−1,3−オキサゾール、1−アリル−2−(トリフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−4H−1,3−ベンゾオキサジン、1−アリル−2−(トリフルオロメチル)−テトラヒドロオキサジン等を挙げることができる。
【0052】
なお、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物は、トリフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールとアミン化合物から公知の方法(J. Fluor. Chem., 125, 767 (2004) またはJ. Org. Chem., 71, 2159 (2006)等)に従い合成することができる。
【0053】
本発明で用いられる有機リチウム化合物は前記一般式(2)で表される。一般式(2)において、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基を表す。
【0054】
未置換のアルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基等を挙げることができる。置換基を有するアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアリール基等が挙げられ、置換基を有するアルキル基としては、例えば、ベンジル基、(トリメチルシリル)メチル基等を挙げることができる。
【0055】
未置換のアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。
【0056】
未置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。置換基を有するアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアルキル基等が挙げられ、置換基を有するアリール基としては、例えば、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−アミノフェニル、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ニトロフェニル基及び2−メチル−1−ナフチル基等を挙げることができる。
【0057】
未置換のヘテロ芳香族基としては、フリル基、チエニル基またはピリジル基等を挙げることができる。
【0058】
このような有機リチウム化合物の例として、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、シクロプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、(トリメチルシリル)メチルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、1−ナフチルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−メトキシフェニルリチウム、2−フルオロフェニルリチウム、2−クロロフェニルリチウムまたは2−フリルリチウム等を挙げることができる。
【0059】
なお、有機リチウム化合物の使用量は、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタールに対し、モル比で1〜10倍量、好ましくは、1.5〜5倍量である。
【0060】
本発明では、前記一般式(1)のトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と前記一般式(2)の有機リチウム化合物を反応させた後、アルデヒド化合物、ケトン化合物、イミニウム化合物、求電子性ハロゲン化剤及びブレンステッド酸からなる群から選ばれる1種以上の求電子性化合物を反応させて前記一般式(3)のα−アミノジフルオロメチレン誘導体を得る。
【0061】
まず、求電子性化合物としてアルデヒド化合物またはケトン化合物を用いる場合について説明する。
【0062】
アルデヒド化合物またはケトン化合物とは、分子内にアルデヒド基またはケトン基等を有する有機化合物であり、本発明において望ましい化合物は、一般式(4)で表されるアルデヒド化合物またはケトン化合物である。
【0063】
一般式(4)において、R及びRは、同一または非同一であり、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。
【0064】
未置換のアルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基等を挙げることができる。置換基を有するアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアリール基等が挙げられ、置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロエチル基、ベンジル基、2−メトキシエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−メチルチオエチル基、(トリメチルシリル)メチル基等を挙げることができる。未置換のアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。未置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。置換基を有するアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアルキル基等が挙げられ、置換基を有するアリール基としては、例えば、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチル基及び2−メチル−1−ナフチル基等を挙げることができる。ヘテロ芳香族基としては、フリル基、チエニル基またはピリジル基等を挙げることができる。
【0065】
また、R及びRは、互いに酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子の介在ないし非介在下で互いに結合し環状構造を有していてもよい。このようなアルデヒド化合物の一例として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−プロパンアルデヒド、n−ブタンアルデヒド、t−ブタンアルデヒド、n−ヘキサンアルデヒド、n−オクタンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、3−フェニルプロパンアルデヒド、ケイヒアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、フルフラール、2−ピリジンカルバアルデヒド等を挙げることができる。また、ケトン化合物の一例として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等を挙げることができる。
【0066】
アルデヒド化合物またはケトン化合物の使用量は、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物に対し、モル比で0.5〜10倍量、好ましくは、1〜5倍量である。
【0067】
求電子性化合物としてアルデヒド化合物またはケトン化合物を用いる場合、本発明で得られるα−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(3)において、Eとして、ジフルオロメチレン基結合炭素に1個のOLi基または水酸基を有する有機基を有するα−アミノジフルオロメチレン誘導体となる。通常、更に水等のブレンステッド酸と反応させ、Eとして、ジフルオロメチレン基結合炭素に1個の水酸基を有する有機基を有するα−アミノジフルオロメチレン誘導体を生成させて単離する。ここで、有機基とは、置換基を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基を意味する。特に、アルデヒド化合物またはケトン化合物として、一般式(4)のカルボニル化合物を用いた場合は、α−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(5)で表されるα−アミノ−ジフルオロメチレン誘導体が得られる。これらα−アミノジフルオロメチレン誘導体の一例として、N−(3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メトキシペンタ−2−イル)ジメチルアミン、N−(3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メトキシペンタ−2−イル)−N−メチルアニリン、N−(3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メトキシペンタ−2−イル)−インドリン、N−(3,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−2−メトキシペンタ−2−イル)−モルホリン、1−(2,3−ジヒドロ−2,3−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,1−ジフルオロ−プロパン−2−オール、1−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−2−メチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,1−ジフルオロ−プロパン−2−オール、1−(3−アリル−2−n−ブチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,1−ジフルオロ−プロパン−2−オール、1−(3−アリル−2−n−ブチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,1−ジフルオロ−4−フェニルブタン−2−オール、2−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1−シクロヘキシル−2,2−ジフルオロエタン−1−オール、1−(3−アリル−2−n−ブチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,1−ジフルオロ−4−フェニルブト−3―エン−2−オール、2−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロ−1−フェニルエタン−1−オール、2−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)エタン−1−オール、2−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エタン−1−オール、2−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロ−1−(2−フリル)エタン−1−オール、2−(3−アリル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロ−1−ピリジン−2−イルエタン−1−オール等を挙げることができる。
【0068】
次に、求電子性化合物としてイミニウム化合物を用いる場合について説明する。イミニウム構造を有する化合物であれば本発明のα−アミノジフルオロメチレン誘導体の製造に使用可能であるが、反応性の点から、特に望ましいイミニウム化合物は、前記一般式(6)で表されるイミニウム化合物である。
【0069】
一般式(6)において、R及びRは、同一または非同一であり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基ないしヘテロ芳香族基を表す。R及びR10は、同一または非同一であり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基ないしヘテロ芳香族基を表す。未置換のアルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基等を挙げることができる。置換基を有するアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアリール基等が挙げられ、置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロエチル基、ベンジル基、2−メトキシエチル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−メチルチオエチル基、(トリメチルシリル)メチル基等を挙げることができる。未置換のアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基等を挙げることができる。未置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。置換基を有するアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、第三アミノ基、アルキルチオ基、トリアルキルシリル基及びアルキル基等が挙げられ、置換基を有するアリール基としては、例えば、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロメチル基及び2−メチル−1−ナフチル基等を挙げることができる。ヘテロ芳香族基としては、フリル基、チエニル基またはピリジル基等を挙げることができる。なお、R及びRまたはR及びR10は、互いに酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子の介在ないし非介在下で互いに結合し環状構造を有していてもよい。また、Xはハロゲン原子を表す。このようなイミニウム化合物の一例として、塩化N,N−ジメチルメタンイミニウム、臭化N,N−ジメチルメタンイミニウム、ヨウ化N,N−ジメチルメタンイミニウム、塩化N,N−ジエチルメタンイミニウム、塩化N−エチル−N−メチルメタンイミニウム、塩化N−エチル−N−フェニルメタンイミニウム、塩化N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)メタンイミニウム、塩化N,N−ジメチル−エタンイミニウム、塩化N,N−ジメチル−1−フェニルメタンイミニウム、塩化N,N−ジメチル−1−(4−メトキシフェニル)メタンイミニウム等を挙げることができる。
【0070】
イミニウム化合物の使用量は、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物に対し、モル比で0.5〜10倍量、好ましくは、1〜5倍量である。
【0071】
求電子性化合物としてイミニウム化合物を用いる場合、本発明で得られるα−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(3)において、Eとして、ジフルオロメチレン基結合炭素に1個の第三アミノ基を有する有機基を有するα−アミノジフルオロメチレン誘導体となる。ここで、有機基とは、置換基を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基を意味する。特にイミニウム化合物として、一般式(6)のイミニウム化合物を用いた場合は、α−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(7)で表されるα−アミノ−ジフルオロメチレン誘導体が得られる。これらα−アミノジフルオロメチレン誘導体の一例として、N−[3,3−ジフルオロ−4−(N´N´−ジメチルアミノ)−2−メトキシブタ−2−イル]−N,N−ジメチルアミン、N−[3,3−ジフルオロ−4−(N´−エチル−N´−メチルアミノ)−2−メトキシブタ−2−イル]−N,N−ジメチルアミン、N−[3,3−ジフルオロ−4−(N´N´−ジメチルアミノ)−2−メトキシペンタ−2−イル]−N,N−ジメチルアミン、N−[3,3−ジフルオロ−4−(N´N´−ジメチルアミノ)−2−メトキシブタ−2−イル]−N−メチルアニリン、N−[3,3−ジフルオロ−4−(N´N´−ジメチルアミノ)−2−メトキシブタ−2−イル]インドリン、N−[3,3−ジフルオロ−4−(N´N´−ジメチルアミノ)−2−メトキシブタ−2−イル]モルホリン、N−[(2,3−ジヒドロ−2,3−ジメチル−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−N,N−ジメチルアミン、N−[(3−アリル−2−ブチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−2,2−ジフルオロエチル]−N,N−ジメチルアミン等を挙げることができる。
【0072】
次に、求電子性化合物として求電子性ハロゲン化剤を用いる場合について説明する。
【0073】
求電子性ハロゲン化剤とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を含有し、分子内の分極によりハロゲン原子が求電子性を有する化合物である。反応性の点から、本発明において特に望ましい求電子性ハロゲン化剤は、一般式(8)で表される求電子性ハロゲン化剤である。
【0074】
一般式(8)において、Yは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、アミド基またはイミド基を表す。
【0075】
これら求電子性ハロゲン化剤の一例として、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン、一塩化ヨウ素等のハロゲン間化合物、ビス(2,4,6−トリメチルピリジン)ブロモニウムヘキフルオロホスフェート及びビス(2,4,6−トリメチルピリジン)ヨードニウムヘキフルオロホスフェート等のN−ハロアミン化合物、N−クロロアセトアミド、N−ブロモアセトアミド及びN−ヨードアセトアミド等のN−ハロアミド化合物、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等のN−ハロイミド化合物等を挙げることができる。
【0076】
求電子性ハロゲン化剤の使用量は、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物に対し、モル比で0.5〜10倍量、好ましくは、1〜5倍量である。
【0077】
求電子性化合物として求電子性ハロゲン化剤を用いる場合は、本発明で得られるα−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(3)においてEがハロゲン原子を表すα−アミノジフルオロメチレン誘導体となる。特に、求電子性ハロゲン化剤として、一般式(8)の求電子性ハロゲン化剤を用いた場合は、α−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(7)で表されるα−アミノジフルオロメチレン誘導体となる。このようなα−アミノジフルオロメチレン誘導体の一例として、N−(2−クロロ−2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)ジメチルアミン、N−(2−ブロモ−2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)ジメチルアミン、N−(2,2−ジフルオロ−2−ヨード−1−メトキシ−1−メチルエチル)ジメチルアミン、N−(2−ブロモ−2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−N−メチルアニリン、N−(2−ブロモ−2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−インドリン、N−(2−ブロモ−2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−モルホリン、2−(ブロモジフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−2,3−ジメチルベンゾオキサゾール、3−アリル−2−(ブロモジフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−2−メチルベンゾオキサゾール、3−アリル−2−(ブロモジフルオロメチル)−2−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール、3−アリル−2−ブチル−2−(クロロジフルオロメチル)−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール及び3−アリル−2−ブチル−2−(ヨードジフルオロメチル)−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール等を挙げることができる。
【0078】
次に、求電子性化合物としてブレンステッド酸を用いる場合について説明する。
【0079】
ブレンステッド酸としては、水、メタノール及びエタノール等のアルコール、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸及びトリフルオロ酢酸等のカルボン酸等を挙げることができる。
【0080】
ブレンステッド酸の使用量は、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物に対し、モル比で0.5〜10倍量、好ましくは、1〜5倍量である。
【0081】
求電子性化合物としてブレンステッド酸を用いる場合は、本発明で得られるα−アミノジフルオロメチレン誘導体は、前記一般式(3)においてEが水素原子を表すα−アミノジフルオロメチレン誘導体となる。その一例として、N−(2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)ジメチルアミン、N−(2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−N−メチルアニリン、N−(2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−インドリン、N−(2,2−ジフルオロ−1−メトキシ−1−メチルエチル)−モルホリン、2−(ジフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−2,3−ジメチルベンゾオキサゾール、3−アリル−2−(ジフルオロメチル)−2,3−ジヒドロ−2−メチルベンゾオキサゾール及び3−アリル−2−(ジフルオロメチル)−2−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾオキサゾール等を挙げることができる。
【0082】
また、本発明は溶媒の不在下に反応を実施することもできるが、溶媒を存在させて反応を行うこともできる。溶媒としては、ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグライム、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル類等を挙げることができる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物に対し重量比で1〜100倍である。
【0083】
なお、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と有機リチウム化合物の混合順は特に限定されない。一方、求電子性化合物は、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と有機リチウム化合物を十分反応させた後に添加する。この際、トリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と有機リチウム化合物を反応させる温度は、通常、−100〜50℃であり、混合後、1分〜24時間反応させた後に求電子性化合物を添加し反応させる。求電子性化合物を添加した後の反応温度は、−100〜50℃、反応時間は、通常、10分〜100時間である。なお、反応は十分な攪拌下、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下にて行うことが望ましい。
【0084】
反応後、反応液には、通常、目的とするα−アミノジフルオロメチレン誘導体の他、未反応の原料、溶媒等が含まれる。まず、水またはアルコールにより、残留した有機リチウム化合物等の活性物質を失活させ、次いで反応液から、公知の抽出法、液体クロマトグラフ法、蒸留法あるいは晶析法等によりα−アミノジフルオロメチレン誘導体を単離することができる。
【0085】
(実施例)
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0086】
(参考例1)
【0087】
【化13】

【0088】
アルゴン雰囲気下,Dean-Stark装置を備えたナス型フラスコに2-アリルアミノフェノール2.99 g(20 mmol)、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール5.76 g(40 mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(200 mg, 1.1 mmol)およびベンゼン(150 mL)を仕込み、還流温度で4時間撹拌した.得られた反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100 mL)にあけ、ジエチルエーテル(30 mL x 3)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学, 63-200 mm, 75 g)により精製し、3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール4.03 g(17.6 mmol, 収率88%)を得た。
【0089】
油状物質;
IR (neat) 3064, 2983, 1487, 1291, 1156, 739 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d3.77 (1H, dd, J = 15.8, 6.9 Hz), 3.91 (1H, dd, J = 15.8, 5.2 Hz), 5.28 (1H, dd, J = 8.7, 1.4 Hz), 5.32 (1H, dd, J = 15.6, 1.4 Hz), 5.66 (1H, q, JH-F = 4.0 Hz), 5.78-5.89 (1H, m), 6.73 (1H, d, J = 7.7 Hz), 6.78-6.83 (2H, m), 6.84-6.91 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d54.2, 92.8 (q, JC-F = 35.8 Hz), 108.3, 110.4, 119.3, 121.3, 121.8 (q, JC-F= 284.5 Hz), 122.2, 136.1, 138.0, 150.2;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-21.3 (3F, d, JH-F = 4.0 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z230 [M+H]+;
HRMS calcd for C11H11F3NO [M+H]+, 230.0793; found, 230.0804.
【0090】
(参考例2)
【0091】
【化14】

【0092】
2-アリルアミノフェノールに代えて2-ベンジルアミノフェノール2.99 g(15 mmol)を用いた以外は参考例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、3-ベンジル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール3.63 mg(13.0 mmol, 収率87%)を得た。
【0093】
微黄色結晶;
IR (neat) 3065, 2888, 1601, 1488, 1292, 1254, 1153, 739, 697 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d4.35 (1H, d, J = 15.4 Hz), 4.54 (1H, d, J = 15.4 Hz), 5.68 (1H, q, JH-F = 4.0 Hz), 6.67 (1H, brd, J = 6.9 Hz), 6.78-6.88 (3H, m), 7.28-7.40 (5H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d55.2, 93.0 (q, JC-F = 35.8 Hz), 108.3, 110.0, 121.1, 121.8 (q, JC-F= 284.3 Hz), 122.2, 127.8, 128.0, 128.8, 136.2, 138.4, 149.9;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-20.9 (3F, d, JH-F = 4.0 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z280 [M+H]+;
HRMS calcd for C15H13F3NO [M+H]+, 280.0949; found, 280.0968.
【実施例1】
【0094】
【化15】

【0095】
アルゴン雰囲気下、あらかじめ加熱乾燥した50 mL二頚ナス型フラスコに3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール114.6 mg(0.50 mmol)とジエチルエーテル 2.0 mLを仕込み、-78 °C でブチルリチウムのヘキサン溶液0.77 mL(1.55 M, 1.19 mmol)を滴下した。同温で4時間撹拌後、ベンズアルデヒド106.9 mg(1.00 mmol)のジエチルエーテル溶液(1.0 mL)を加え、さらに30分間撹拌した。反応終了後、混合物を氷水15 mLにあけ、ジエチルエーテル(20 mL x 3)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液10 mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学, 63-200 mm, 12 g, ヘキサン-酢酸エチル = 10 : 1)により精製し、2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-2,2-ジヒドロ-1-フェニルエタン-1-オールのジアステレオマー混合物を得た。この混合物を中圧液体クロマトグラフィー(KUSANO Prepacked column Si-10, 40 x 300 mm, I.D., ヘキサン-酢酸エチル = 10 : 1)を用いたジアステレオマーの分離を行い、溶出順に第一画分66.3 mg(0.18 mmol, 収率36%)と第二画分92.4 mg(0.25 mmol, 49%)を得た。
【0096】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3543, 3064, 2959, 2872, 1599, 1495, 1401, 1317, 1239, 1031, 731, 731, 699 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.12-1.26 (1H, m), 1.26-1.52 (3H, m), 2.00-2.13 (1H, m), 2.22-2.35 (1H, m), 2.77 (1H, br, OH), 3.70-3.82 (2H, m), 5.19-5.26 (2H, m), 5.33 (1H, d, J = 17.2 Hz), 5.77-5.90 (1H, m), 6.40 (1H, d, 7.6 Hz), 6.62 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.70 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.79 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.29-7.40 (5H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.5, 30.5, 47.7 (d, JC-F= 2.7 Hz), 72.3 (dd, JC-F= 30.5, 22.4 Hz), 104.3 (t, JC-F= 29.3 Hz), 105.5, 106.8, 117.1, 118.1, 119.1 (dd, JC-F = 265.5, 254.0 Hz), 122.0, 128.05, 128.09, 128.6, 133.9, 136.5, 139.3, 148.6;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-60.4 (1F, dd, JF-F = 269.6 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -52.0 (1F, dd, JF-F = 269.6 Hz, JH-F = 4.0 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 396 [M+Na]+;
HRMS calcd for C22H25F2NNaO2[M+Na]+, 396.1751; found, 396.1777.
Anal. Calcd for C22H25F2NO2: C, 70.76; H, 6.75; N, 3.75. Found: C, 70.58; H, 6.98; N, 3.58.
【0097】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3540, 3064, 2959, 2872, 1599, 1465, 1316, 1239, 1086, 1062, 929, 732, 699 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, t, J= 7.2 Hz), 1.16-1.52 (4H, m), 2.00-2.18 (2H, m), 3.85 (1H, dd, J = 16.2, 6.5 Hz), 3.96-4.04 (1H, m), 5.13-5.22 (1H, m), 5.29 (1H, dd, J = 10.2, 1.3 Hz), 5.40 (1H, dd, J = 17.2, 1.3 Hz), 5.94-6.07 (1H, m), 6.51 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.60-6.67 (2H, m), 6.74-6.83 (1H, m), 7.30-7.38 (3H, m), 7.39-7.45 (2H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.6, 30.4, 48.1, 72.7 (dd, JC-F= 28.7, 23.8 Hz), 103.7 (t, JC-F= 29.6 Hz), 105.9, 106.9, 117.6, 118.5, 118.7 (dd, JC-F = 260.9, 257.8 Hz), 121.8, 128.0, 128.2, 128.5, 133.9, 136.2, 139.1, 148.8;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -63.6 (1F, dd, JF-F= 269.3 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -51.0 (1F, d, JF-F = 269.3 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 396 [M+H]+;
HRMS calcd for C22H25F2NNaO2[M+Na]+, 396.1751; found, 396.1726.
Anal. Calcd for C22H25F2NO2: C, 70.76; H, 6.75; N, 3.75. Found: C, 70.75; H, 6.77; N, 3.66.
【実施例2】
【0098】
【化16】

【0099】
ベンズアルデヒドに代えて、p-アニスアルデヒド136.4 mg(1.01 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-2,2-ジフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)エタン-1-オールのジアステレオマーとして第一画分63.8 mg(0.16 mmol, 収率32%)と第二画分95.6 mg(0.24 mmol, 収率48%)を得た。
【0100】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3469, 3064, 2958, 2871, 1613, 1599, 1514, 1496, 1249, 1069, 734 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, d, J= 7.3 Hz), 1.12-1.26 (1H, m), 1.26-1.51 (3H, m), 2.00-2.11 (1H, m), 2.22-2.34 (1H, m), 2.69 (1H, br, OH), 3.74 (1H, dd, J= 16.4, 6.1 Hz), 3.76-3.84 (1H, m), 3.80 (3H, s), 5.19 (1H, dd, JH-F = 17.8, 4.2 Hz), 5.24 (1H, d, J = 10.3 Hz), 5.33 (1H, d, J = 17.2 Hz), 5.78-5.90 (1H, m), 6.39 (1H, m), 6.58-6.64 (1H, m), 6.69 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.75-6.80 (1H, m), 6.86 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.28 (2H, d, J = 8.6 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.5, 30.5, 47.6 (d, JC-F = 2.5 Hz), 55.2, 71.9 (dd, JC-F = 30.6, 22.7 Hz), 104.2 (t, JC-F = 29.5 Hz), 105.4, 106.8, 113.5, 117.1, 118.0, 119.2 (dd, JC-F = 265.6, 253.5 Hz), 122.0, 128.7, 129.3, 133.9, 139.3, 148.6, 159.8;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -60.7 (1F, dd, JF-F= 269.3 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -51.3 (1F, dd, JF-F = 269.5 Hz, JH-F = 4.2 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 426 [M+Na]+;
HRMS calcd for C23H27F2NNaO3[M+Na]+, 426.1857; found, 426.1863.
【0101】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3485, 3064, 2959, 2872, 1613, 1599, 1514, 1496, 1248, 1176, 1070, 1034, 734 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.87 (3H, d, J = 7.2 Hz), 1.14-1.50 (4H, m), 1.99-2.16 (2H, m), 3.21 (1H, br, OH), 3.80 (3H, s), 3.83 (1H, dd, J = 16.3, 6.2 Hz), 3.96-4.03 (1H, m), 5.09-5.16 (1H, m), 5.27 (1H, dd, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.39 (1H, dd, J = 17.2, 1.4 Hz), 5.92-6.05 (1H, m), 6.47 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.59-6.64 (2H, m), 6.73-6.80 (1H, m), 6.86 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.32 (2H, d, J = 8.6 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d13.9, 22.6, 23.6, 30.4, 48.1, 55.2, 72.3 (dd, JC-F = 29.3, 23.2 Hz), 103.7 (t, JC-F = 28.6 Hz), 105.9, 106.9, 113.5, 117.6, 118.5, 118.8 (dd, JC-F = 260.6, 257.5 Hz), 121.8, 128.3 (d, JC-F= 1.2 Hz), 129.4, 133.9, 139.1, 148.8, 159.8;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-63.7 (1F, dd, JF-F = 267.3 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -51.3 (1F, d, JF-F = 267.3 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 426 [M+Na]+;
HRMS calcd for C23H27F2NNaO3[M+Na]+, 426.1857; found, 426.1836.
【実施例3】
【0102】
【化17】

【0103】
ベンズアルデヒドに代えて、4-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド174.1 mg(1.00 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-2,2-ジフルオロ-1-[4-(トリフルオロメチル)メトキシフェニル]エタン-1-オールのジアステレオマーとして第一画分63.5 mg(0.16 mmol, 収率32%)と第二画分118.2 mg(0.27 mmol, 収率54%)を得た。
【0104】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3485, 3067, 2961, 2874, 1599, 1496, 1326, 1239, 1167, 1127, 1068, 1018, 930, 782, 735 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.12-1.25 (1H, m), 1.26-1.50 (3H, m), 2.01-2.14 (1H, m), 2.19-2.31 (1H, m), 2.95 (1H, br, OH), 3.70-3.86 (2H, m), 5.21-5.34 (2H, m), 5.34 (1H, d, J = 16.3 Hz), 5.74-5.90 (1H, m), 6.42 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.60-6.69 (1H, m), 6.42 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.60-6.69 (1H, m), 6.70 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.77-6.84 (1H, m), 7.47 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.59 (2H, d, J= 8.2 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.4, 30.4, 47.9 (d, JC-F = 3.0 Hz), 71.9 (dd, JC-F = 29.5, 23.3 Hz), 104.4 (t, JC-F = 29.4 Hz), 105.8, 107.0, 117.3, 118.5, 118.8 (dd, JC-F = 266.2, 254.3 Hz), 122.3, 124.1 (q, JC-F = 272.0 Hz), 124.9 (q, JC-F= 3.7 Hz), 128.5, 130.7 (q, JC-F= 32.5 Hz), 133.7, 139.2, 140.2, 148.4;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-59.7 (1F, dd, JF-F = 269.6, JH-F = 18.0 Hz), -52.3 (1F, d, JF-F = 269.6 Hz), 0.05 (3F, s);
MS (ESI-TOF) m/z 464 [M+Na]+;
HRMS calcd for C23H24F5NNaO2[M+Na]+, 464.1625; found, 464.1628.
【0105】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3500, 3067, 2961, 2874, 1599, 1494, 1326, 1239, 1166, 1127, 1067, 1019, 735 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.89 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.21-1.52 (4H, m), 2.04-2.20 (2H, m), 3.54 (1H, br, OH), 3.84 (1H, dd, J = 16.1, 6.6 Hz), 3.96-4.04 (1H, m), 5.19-5.28 (1H, m), 5.30 (1H, dd, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.42 (1H, dd, J = 17.2, 1.4 Hz), 5.94-6.07 (1H, m), 6.53 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.57-6.68 (2H, m), 6.76-6.84 (1H, m), 7.52 (2H, d, J= 8.3 Hz), 7.58 (2H, d, J = 8.3 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.8, 22.6, 23.5, 30.3, 48.4, 72.3 (dd, JC-F = 28.9, 23.7 Hz), 103.7 (t, JC-F = 28.7 Hz), 106.3, 107.1, 117.9, 118.3 (t, JC-F= 260.3 Hz), 119.0, 122.0, 124.1 (q, JC-F= 272.2 Hz), 124.8, (q, JC-F= 3.6 Hz), 128.6, 130.5 (q, JC-F= 32.4 Hz), 133.7, 139.0, 140.0, 148.6;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-63.4 (1F, dd, JF-F = 269.7, 17.9 Hz), -50.8 (1F, d, JF-F= 269.7 Hz), 0.05 (3F, s);
MS (ESI-TOF) m/z 442 [M+H]+;
HRMS calcd for C23H25F5NO2[M+H]+, 442.1805; found, 442.1800.
【実施例4】
【0106】
【化18】

【0107】
ベンズアルデヒドに代えて、フルフラール96.1 mg(1.00 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-2,2-ジフルオロ-1-(2-フリル)エタン-1-オールのジアステレオマーとして第一画分85.8 mg(0.24 mmol, 収率47%)と第二画分71.8 mg(0.20 mmol, 収率40%)を得た。
【0108】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3442, 3065, 2959, 2872, 1599, 1496, 1239, 1110, 1080, 924, 733 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, d, J = 7.2 Hz), 1.14-1.52 (4H, m), 2.00-2.12 (1H, m), 2.20-2.31 (1H, m), 2.68 (1H, br, OH), 3.78 (1H, dd, J = 16.3, 6.3 Hz), 3.81-3.89 (1H, m), 5.19-5.30 (2H, m), 5.33 (1H, d, J = 17.2 Hz), 5.79-5.83 (1H, m), 6.28-6.36 (2H, m), 6.38 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.75 (1H, td, J = 7.6, 1.0 Hz), 6.65 (1H, d, J = 7.6, 1.0 Hz), 6.71-6.79 (1H, m), 7.39-7.42 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.5, 30.4, 47.6, 66.9 (dd, JC-F = 30.6, 24.4 Hz), 103.6 (t, JC-F = 28.4 Hz), 105.3, 106.7, 109.3, 110.4, 117.1, 118.0, 119.0 (dd, JC-F = 264.6, 256.0 Hz), 121.8, 134.0, 139.2, 142.7, 147.7, 149.7;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -59.2 (1F, dd, JF-F= 267.3 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -51.3 (1F, dd, JF-F = 267.3 Hz, JH-F = 5.9 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 386 [M+Na]+;
HRMS calcd for C20H23F2NNaO3[M+Na]+, 386.1544; found, 386.1543.
【0109】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3521, 3064, 2959, 2872, 1599, 1496, 1240, 1110, 1083, 1060, 1013, 923, 791, 734 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.86 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.13-1.25 (1H, m), 1.25-1.49 (3H, m), 1.93-2.03 (1H, m), 2.04-2.15 (1H, m), 2.98 (1H, br, OH), 3.83 (1H, dd, J = 16.3, 6.3 Hz), 3.95-4.05 (1H, m), 5.17-5.30 (1H, m), 5.26 (1H, dd, J = 10.3, 1.5 Hz), 5.38 (1H, dd, J = 17.2, 1.5 Hz), 5.91-6.04 (1H, m), 6.32 (2H, d, J = 1.3 Hz), 6.46 (1H, d, J = 7.2 Hz), 6.55-6.63 (2H, m), 6.71-6.79 (1H, m), 7.40 (1H, t, J = 1.3 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.5, 23.5, 30.1, 48.0, 66.9 (dd, JC-F = 29.0, 24.9 Hz), 103.3 (t, JC-F = 28.0 Hz), 105.8, 106.9, 109.6, 110.4, 117.5, 118.4, 118.7 (t, JC-F = 260.0 Hz), 121.7, 133.9, 139.1, 142.7, 148.8, 149.4 (d, JC-F = 3.0 Hz);
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -60.7 (1F, dd, JF-F= 267.6 Hz, JH-F = 15.8 Hz), -51.3 (1F, dd, JF-F = 267.6 Hz, JH-F = 7.9 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 386 [M+Na]+;
HRMS calcd for C20H23F2NNaO3[M+Na]+, 386.1544; found, 386.1542.
【実施例5】
【0110】
【化19】

【0111】
ベンズアルデヒドに代えて、2-ピリジンカルバアルデヒド106.9 mg(1.01 mmol)を用い、反応時間を15分とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-2,2-ジフルオロ-1-ピリジン-2-イルエタン-1-オールのジアステレオマーとして第一画分125.8 mg(0.34 mmol, 収率68%)と第二画分37.0 mg(0.10 mmol, 収率20%)を得た。
【0112】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3365, 3063, 2958, 2871, 1597, 1496, 1402, 1315, 1239, 1206, 1110, 1085, 935, 754, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.91 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.20-1.60 (4H, m), 2.06-2.18 (1H, m), 2.53-2.66 (1H, m), 3.86 (1H, dd, J = 16.5, 6.0 Hz), 3.94 (1H, dd, J = 16.5, 5.6 Hz), 5.06-5.60 (1H, br, OH), 5.20 (1H, dd, J = 10.4, 1.2 Hz), 5.25 (1H, JH-F = 21.7 Hz), 5.34 (1H, dd, J = 17.2, 1.2 Hz), 5.84-5.97 (1H, m), 6.49 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.57 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.65 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.75 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.24-7.28 (1H, m), 7.34 (1H, dd, J = 7.8, 2.7 Hz), 7.61-7.69 (1H, m), 8.54 (1H, d, J = 4.9 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 14.0, 22.6, 23.8, 31.2, 47.2, 70.7 (dd, JC-F = 32.4, 24.3 Hz), 103.7 (dd, JC-F = 29.3, 24.5 Hz), 104.5, 106.4, 116.8, 117.2, 120.1 (dd, JC-F= 264.8, 255.4 Hz), 121.4, 123.47, 123.50 (t, JC-F = 5.4 Hz), 134.1, 136.4, 139.4, 147.7, 149.2, 153.8; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -61.8 (1F, dd, JF-F= 263.4 Hz, JH-F = 21.7 Hz), -51.0 (1F, d, JF-F = 263.4 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 397 [M+Na]+;
HRMS calcd for C21H24F2N2NaO2 [M+Na]+, 397.1704; found, 397.1714.
Anal. Calcd for C21H24F2N2O2: C, 67.36; H, 6.46; N, 7.48. Found: C, 67.35; H, 6.53; N, 7.42.
【0113】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3361, 2958, 2871, 1597, 1495, 1401, 1313, 1241, 1207, 1109, 1085, 733 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.15-1.51 (4H, m), 2.13-2.31 (2H, m), 3.87 (1H, dd, J= 16.7, 5.7 Hz), 4.03-4.12 (1H, m), 5.10 (1H, dd, JH-F = 17.8, 4.6 Hz), 5.24 (1H, dd, J = 10.3, 1.5 Hz), 5.39 (1H, dd, J = 17.2, 1.5 Hz), 5.91-6.02 (1H, m), 6.41 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.47 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.51-6.57 (1H, m), 6.70-6.77 (1H, m), 7.26-7.31 (1H, m), 7.34 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.63-7.70 (1H, m), 8.58 (1H, d, J = 4.7 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 14.0, 22.6, 23.7, 31.0, 47.6, 70.9 (dd, JC-F = 29.8, 26.2 Hz), 103.6 (t, JC-F = 26.5 Hz), 105.3, 106.3, 116.8, 117.7, 119.5 (dd, JC-F= 263.0, 257.9 Hz), 121.4, 123.3 (br), 123.5, 134.2, 136.6, 139.6, 147.7, 149.1, 153.9; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -60.6 (1F, dd, JF-F= 265.6 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -51.6 (1F, dd, JF-F = 265.6 Hz, JH-F = 4.6 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 397 [M+Na]+;
HRMS calcd for C21H24F2N2NaO2 [M+Na]+, 397.1704; found, 397.1678.
Anal. Calcd for C21H24F2N2O2: C, 67.36; H, 6.46; N, 7.48. Found: C, 67.41; H, 6.66; N, 7.43.
【実施例6】
【0114】
【化20】

【0115】
ベンズアルデヒドに代えて、ケイヒアルデヒド132.0 mg(1.00 mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、(3E)-1-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-1,1-ジフルオロ-4-フェニルブト-3-エン-2-オールのジアステレオマーとして第一画分80.0 mg(0.20 mmol, 収率40%)と第二画分94.8 mg(0.24 mmol, 収率47%)を得た。
【0116】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3417, 3061, 2959, 2871, 1599, 1496, 1238, 1070, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.91 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.17-1.55 (4H, m), 2.05-2.17 (1H, m), 2.22-2.34 (1H, m), 2.52 (1H, br, OH), 3.82 (1H, dd, J = 16.3, 6.3 Hz), 3.94 (1H, dd, J = 16.3, 5.1 Hz), 4.80 (1H, ddd, JH-F = 13.8, 9.9 Hz, JH-H = 6.9 Hz), 5.22 (1H, d, J = 10.2 Hz), 5.34 (1H, d, J = 17.2 Hz), 5.86-5.99 (1H, m), 6.28 (1H, dd, J = 15.9, 6.9 Hz), 6.37 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.52 (1H, d, J = 15.9 Hz), 6.60 (1H, t, J = 7.5 Hz), 6.68 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.74 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.22-7.37 (5H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.5, 23.4, 30.4, 47.8, 71.6 (t, JC-F = 26.4 Hz), 103.5 (t, JC-F = 29.0 Hz), 105.4, 106.7, 117.2, 118.0, 119.8 (dd, JC-F = 261.8, 257.1 Hz), 122.4, 123.5 (t, JC-F = 3.2 Hz), 126.7, 127.9, 128.4, 133.7, 133.9, 136.1, 139.2, 148.7;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-57.6 (1F, dd, JF-F = 267.6 Hz, JH-F = 13.8 Hz), -56.4 (1F, dd, JF-F = 267.6 Hz, JH-F = 9.9 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 422 [M+Na]+;
HRMS calcd for C24H27F2NNaO2[M+Na]+, 422.1908; found, 422.1899.
Anal. Calcd for C24H27F2NO2: C, 72.16; H, 6.81; N, 3.51. Found: C, 71.91; H, 6.83; N, 3.49.
【0117】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3426, 3061, 2959, 2872, 1599, 1495, 1239, 1069, 733 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.87 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.12-1.51 (4H, m), 2.05-2.21 (2H, m), 2.69 (1H, br, OH), 3.82 (1H, dd, J = 16.2, 6.4 Hz), 3.98 (1H, dd, J = 16.2, 4.9 Hz), 4.75 (1H, ddd, JH-F = 23.8, 9.2 Hz, JH-H = 7.0 Hz), 5.25 (1H, d, J = 10.2 Hz), 5.36 (1H, d, J = 17.1 Hz), 5.90-6.03 (1H, m), 6.26 (1H, dd, J = 16.0, 7.0 Hz), 6.45 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.50-6.58 (3H, m), 6.69-6.78 (1H, m), 7.20-7.33 (5H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.4, 30.2, 48.1, 71.8 (dd, JC-F = 27.9, 24.5 Hz), 103.4 (t, JC-F = 28.6 Hz), 105.6, 107.3, 117.5, 118.4, 119.4 (t, JC-F = 259.1 Hz), 121.7, 123.4 (t, JC-F = 3.3 Hz), 126.7, 127.9, 128.4, 133.9, 134.1, 136.2, 139.1, 148.7; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -60.8 (1F, dd, JF-F= 266.4 Hz, JH-F = 12.8 Hz), -54.9 (1F, dd, JF-F = 266.4 Hz, JH-F = 9.2 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 422 [M+Na]+;
HRMS calcd for C24H27F2NNaO2[M+Na]+, 422.1908; found, 422.1883.
Anal. Calcd for C24H27F2NO2: C, 72.16; H, 6.81; N, 3.51. Found: C, 71.91; H, 6.91; N, 3.32.
【実施例7】
【0118】
【化21】

【0119】
ベンズアルデヒドに代えて、3-フェニルプロピオンアルデヒド137.1 mg(1.00 mmol)を用い、反応温度を-24 °C、反応時間を3時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、1-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-1,1-ジフルオロ-4-フェニルブタン-2-オールのジアステレオマー混合物152.6 mg(0.38 mmol, 収率76%, ジアステレオマー比1 : 11)を得た。
【0120】
主ジアステレオマー
油状物質;
IR (neat) 3547, 3063, 3027, 2959, 2871, 1599, 1495, 1240, 1085, 734, 700 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.95 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.19-1.33 (1H, m), 1.34-1.59 (3H, m), 1.93-2.06 (1H, m), 2.06-2.20 (3H, m), 2.67-2.78 (2H, m), 2.89-3.00 (1H, m), 3.85 (1H, dd, J = 16.3, 6.3 Hz), 3.96-4.04 (1H, m), 4.08-4.21 (1H, m), 5.28 (1H, d, J = 10.2 Hz), 5.37 (1H, d, J = 17.2 Hz), 5.89-6.01 (1H, m), 6.51 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.67-6.76 (2H, m), 6.81-6.87 (1H, m), 7.18-7.28 (3H, m), 7.29-7.36 (2H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.6, 30.3, 31.4, 48.1, 69.4 (dd, JC-F = 29.0, 23.7 Hz), 103.6 (t, JC-F = 28.9 Hz), 105.9, 106.8, 117.4, 118.5, 119.5 (t, JC-F = 258.6 Hz), 121.8, 125.8, 128.3, 128.4, 133.8, 139.0, 141.4, 148.8;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -64.0 (1F, dd, JF-F= 267.3 Hz, JH-F = 17.8 Hz), -54.6 (1F, d, JF-F = 267.3 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 424 [M+Na]+;
HRMS calcd for C24H29F2NNaO2[M+Na]+, 424.2064; found, 424.2044.
【実施例8】
【0121】
【化22】

【0122】
ベンズアルデヒドに代えて、シクロヘキサンカルバアルデヒド112.3 mg(1.00 mmol)を用い、反応温度を0 °C、反応時間を8時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-シクロヘキシル-2,2-ジフルオロエタン-1-オールのジアステレオマー混合物153.7 mg(0.40 mmol, 収率81%, ジアステレオマー比1 : 11)を得た。
【0123】
主ジアステレオマー
無色結晶;
IR (neat) 3564, 2929, 2854, 1599, 1496, 1240, 1089, 924, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.90 (3H, t, J = 7.2), 1.08-1.52 (9H, m), 1.53-1.61 (1H, m), 1.62-1.70 (1H, m), 1.70-1.94 (4H, m), 2.11 (2H, t, J = 7.4 Hz), 2.51 (1H, br, OH), 3.81 (1H, dd, J = 16.3, 6.3 Hz), 3.86-4.06 (2H, m), 5.27 (1H, dd, J = 10.3, 1.4 Hz), 5.38 (1H, dd, J = 17.1, 1.4 Hz), 5.91-6.04 (1H, m), 6.47 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.59-6.70 (2H, m), 6.73-6.80 (1H, td, J = 7.5, 1.3 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.7, 26.1, 26.2 (2C), 26.7, 30.2, 30.4, 38.4 (d, JC-F = 2.5 Hz), 48.2, 73.1 (dd, JC-F = 28.2, 22.2 Hz), 103.8 (t, JC-F = 28.9 Hz), 105.8, 106.7, 117.4, 118.4, 120.2 (t, JC-F= 260.4 Hz), 121.7, 134.0, 139.3, 149.0;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d for major isomer -60.6 (1F, dd, JF-F= 269.6 Hz, JH-F = 21.7 Hz), -52.6 (1F, d, JF-F = 269.6 Hz), for minor isomer -58.3 (1F, dd, JF-F= 265.6 Hz, JH-F = 21.7 Hz), -55.5 (1F, d, JF-F = 265.6 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 402 [M+Na]+;
HRMS calcd for C22H31F2NNaO2[M+Na]+, 402.2221; found, 402.2206.
【実施例9】
【0124】
【化23】

【0125】
ベンズアルデヒドに代えて、シクロヘキサノン97.2 mg(0.99 mmol)を用い、反応温度を0 °C、反応時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、1-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)(ジフルオロ)メチル]シクロヘキサノール153.5 mg(0.42 mmol, 収率84%)を得た。
【0126】
油状物質;
IR (neat) 3548, 3064, 2936, 2864, 1599, 1496, 1239, 1086, 989, 731 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.87 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.08-1.22 (2H, m), 1.24-1.48 (3H, m), 1.51-1.79 (8H, m), 1.91-2.00 (1H, m), 2.02-2.13 (1H, m), 2.23-2.34 (1H, m), 2.26 (1H, brs, OH), 3.81 (1H, dd, J = 16.2, 6.5 Hz), 3.94-4.03 (1H, m), 5.25 (1H, dd, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.37 (1H, dd, J = 17.2, 1.4 Hz), 5.91-6.03 (1H, m), 6.45 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.57-6.67 (2H, m), 6.75 (1H, td, J = 7.5, 1.4 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 14.0, 20.8, 20.9, 22.6, 23.8, 25.3, 30.6 (m), 31.5 (t, JC-F = 3.3 Hz), 32.2, 48.3, 75.4 (t, JC-F = 25.2 Hz), 105.2 (t, JC-F = 28.8 Hz), 105.6, 106.6, 117.3, 118.1, 120.7 (t, JC-F= 260.9 Hz), 121.6, 134.1, 139.3, 148.9;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -57.4 (1F, d, JF-F = 271.6 Hz), -55.8 (1F, d, JF-F = 271.6 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 388 [M+Na]+; HRMS calcd for C21H29F2NNaO2[M+Na]+, 388.2064; found, 388.2071.
Anal. Calcd for C21H29F2NO2: C, 69.02; H, 8.00; N, 3.83. Found: C, 68.98; H, 7.91; N, 3.73.
【実施例10】
【0127】
【化24】

【0128】
ベンズアルデヒドに代えて、アセトン58.2 mg(1.00 mmol)を用い、反応温度を室温、反応時間を9時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、1-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-1,1-ジフルオロ-2-メチルプロパン-2-オール144.8 mg(0.45 mmol, 収率89%)を得た。
【0129】
油状物質;
IR (neat) 3464, 3064, 2959, 2873, 1599, 1496, 1239, 1071, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.11-1.25 (1H, m), 1.26-1.50 (3H, m), 1.36 (3H, s), 1.40 (3H, s), 2.03-2.16 (1H, m), 2.22-2.36 (1H, m), 2.59 (1H, brs, OH), 3.82 (1H, dd, J = 16.1, 6.5 Hz), 3.99 (1H, dd, J = 16.1, 4.9 Hz), 5.26 (1H, d, J = 10.3 Hz), 5.38 (1H, d, J = 17.2 Hz), 5.91-6.06 (1H, m), 6.47 (1H, d, J = 7.4 Hz), 6.58-6.67 (2H, m), 6.73-6.80 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.7, 14.7 (t, JC-F= 3.2 Hz), 25.6 (t, J = 3.3 Hz), 31.9, 48.4, 74.2 (t, JC-F = 26.4 Hz), 104.8 (dd, JC-F = 30.4, 29.6 Hz), 105.7, 106.7, 117.4, 118.3, 120.7 (t, JC-F = 260.9 Hz), 121.7, 134.0, 139.1, 148.8;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d-55.9 (1F, d, J = 271.4 Hz), -53.6 (1F, d, J = 271.4 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 326 [M+H]+;
HRMS calcd for C18H26F2NO2[M+H]+, 326.1964; found, 326.1964.
【実施例11】
【0130】
【化25】

【0131】
ベンズアルデヒドに代えて、アセトフェノン120.3 mg(1.00 mmol)を用い、反応温度を室温、反応時間を9時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、1-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-1,1-ジフルオロ-2-フェニルプロパン-2-オールのジアステレオマーとして第一画分98.4 mg(0.25 mmol, 収率51%)と第二画分54.6 mg(0.14 mmol, 収率28%)を得た。
【0132】
第一画分
油状物質;
IR (neat) 3542, 3062, 2959, 2872, 1599, 1496, 1239, 1093, 1067, 925, 732, 700 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.82 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.04-1.17 (1H, m), 1.18-1.38 (3H, m), 1.76 (3H, s), 1.79-1.89 (1H, m), 1.89-2.00 (1H, m), 3.82 (1H, dd, J = 16.0, 6.8 Hz), 3.92-4.01 (1H, m), 4.06 (1H, br, OH), 5.34 (1H, dd, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.44 (1H, dd, J = 17.2, 1.4 Hz), 5.99-6.01 (1H, m), 6.33 (1H, dd, J = 7.7, 0.9 Hz), 6.52 (1H, dd, J = 7.5, 1.1 Hz), 6.55-6.60 (1H, m), 6.75-6.81 (1H, m), 7.24-7.33 (3H, m), 7.46-7.52 (2H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.7, 22.4, 23.4, 25.5 (t, JC-F= 3.7 Hz), 31.5, 48.5, 76.7-77.3 (m), 105.0 (t, JC-F = 29.9 Hz), 106.0, 106.9, 117.8, 118.7, 119.9 (t, JC-F = 264.0 Hz), 121.6, 125.4 (d, JC-F = 2.4 Hz), 127.2, 127.6, 133.9, 138.8, 142.1 (d, JC-F= 3.4 Hz), 148.3;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -53.8 (1F, d, JF-F= 271.3 Hz), -48.9 (1F, d, JF-F= 271.3 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 410 [M+Na]+;
HRMS calcd for C23H27F2NNaO2[M+Na]+, 410.1908; found, 410.1872.
Anal. Calcd for C23H27F2NO2: C, 71.30; H, 7.02; N, 3.61. Found: C, 71.32; H, 7.04; N, 3.48.
【0133】
第二画分
油状物質;
IR (neat) 3548, 3062, 2959, 2872, 1599, 1496, 1239, 1090, 1074, 921, 732, 701 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.86 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.08-1.20 (1H, m), 1.22-1.41 (3H, m), 1.74 (3H, s), 1.93-2.04 (1H, m), 2.15-2.25 (1H, m), 3.23 (1H, br, OH), 3.62 (1H, dd, J= 16.2, 5.4 Hz), 3.69 (1H, dd, J = 16.2, 6.6 Hz), 5.21 (1H, dd, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.30 (1H, dd, J = 17.2, 1.4 Hz), 5.81-5.94 (1H, m), 6.26 (1H, dd, J = 7.5, 1.0 Hz), 6.47 (1H, dd, J = 7.6, 1.0 Hz), 6.54-6.61 (1H, m), 6.68-6.74 (1H, m), 7.23-7.34 (3H, m), 7.42-7.49 (2H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.5, 23.5, 26.4 (t, JC-F= 3.5 Hz), 31.7, 47.7, 76.5-77.1 (m), 104.8 (t, JC-F = 29.8 Hz), 105.7, 106.7, 117.4, 118.0, 120.2 (t, JC-F = 263.8 Hz), 121.5, 126.1, 127.2, 127.5, 133.9, 138.6, 141.4 (d, JC-F = 2.8 Hz), 148.6;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -52.4 (1F, d, JF-F= 271.3 Hz), -50.2 (1F, d, JF-F= 271.3 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 410 [M+Na]+;
HRMS calcd for C23H27F2NNaO2[M+H]+, 410.1908; found, 410.1889.
【実施例12】
【0134】
【化26】

【0135】
アルゴン雰囲気下、あらかじめ加熱乾燥した50 mL二頚ナス型フラスコに3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール113.9 mg(0.50 mmol)とジエチルエーテル 2.0 mLを仕込み、-78 °C でブチルリチウムのヘキサン溶液0.86 mL(1.45 M, 1.25 mmol)を滴下した。同温で4時間撹拌後、塩化N,N-ジメチルメチレンイミニウム93.9 mg(1.00 mmol)を加え、さらに24時間撹拌した。反応終了後、混合物を氷水15 mLにあけ、ジエチルエーテル(20 mL x 4)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液10 mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学, 63-200 mm, 8 g, ヘキサン-酢酸エチル = 5 : 1)により精製し、N-[2-(3-アリル-2-ブチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾキサゾール-2-イル)-2,2-ジフルオロエチル]-N,N-ジメチルアミン125.2 mg(0.39 mmol, 収率77%)を得た.
油状物質;
IR (neat) 3063, 2958, 2871, 2826, 2775, 1599, 1496, 1228, 1073, 923, 731 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.88 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.10-1.22 (1H, m), 1.25-1.49 (3H, m), 2.06 (2H, t, J = 7.9 Hz), 2.35 (6H, s), 2.85 (1H, td, J= 14.8, 9.1 Hz), 2.94 (1H, td, J = 14.8, 8.5 Hz), 3.79 (1H, dd, J = 16.3, 5.6 Hz), 3.88-3.97 (1H, m), 5.22 (1H, dd, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.34 (1H, dd, J = 17.2, 1.4 Hz), 5.84-5.96 (1H, m), 6.39 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.54-6.60 (1H, m), 6.64 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.70-6.76 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.5, 29.5, 47.2, 47.6, 57.8 (t, JC-F= 21.9 Hz), 103.0 (t, JC-F= 28.7 Hz), 104.9, 106.5, 117.0, 117.8, 121.5, 122.2 (dd, JC-F = 257.1, 252.6 Hz), 133.9, 139.4, 149.1; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -54.8 ~ -53.6 (1F, m), -51.4 ~ -50.3 (1F, m);
MS (ESI-TOF) m/z325 [M+H]+;
HRMS calcd for C23H28F2NO2[M+H]+, 325.2091; found, 325.2002.
Anal. Calcd for C18H26F2N2O: C, 66.64; H, 8.08; N, 8.64. Found: C, 66.71; H, 7.99; N, 8.63.
【実施例13】
【0136】
【化27】

【0137】
アルゴン雰囲気下、あらかじめ加熱乾燥した50 mL二頚ナス型フラスコに3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール113.9 mg(0.50 mmol)とジエチルエーテル 2.0 mLを仕込み、-78 °C でブチルリチウムのヘキサン溶液0.84 mL(1.48 M, 1.25 mmol)を滴下した。同温で4時間撹拌後、N-クロロスクシンイミド134.8 mg(1.01 mmol)を加え、さらに7時間撹拌した。反応終了後、混合物を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液15 mLにあけ、ジエチルエーテル(20 mL x 3)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液10 mLで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学, 63-200 mm, 12 g, ヘキサン-酢酸エチル = 100 : 1)により精製し、3-アリル-2-ブチル-2-[クロロ(ジフルオロ)メチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾキサゾール 109.8 mg(0.37 mmol, 収率73%)を得た。
【0138】
油状物質;
IR (neat) 3065, 2961, 2873, 1601, 1495, 1241, 1123, 1046, 911, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d0.92 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.19-1.58 (4H, m), 2.07-2.25 (2H, m), 3.87 (1H, dd, J= 16.7, 6.0 Hz), 3.95-4.03 (1H, m), 5.28 (1H, dd, J = 10.3, 1.2 Hz), 2.39 (1H, dd, J = 17.3, 1.2 Hz), 5.86-5.98 (1H, m), 6.47 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.65 (1H, td, J = 7.5, 1.1 Hz), 6.74 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.79 (1H, td, J = 7.5/, 1.1 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d13.9, 22.5, 23.8, 29.7, 47.5, 103.4 (t, JC-F= 26.6 Hz), 105.5, 106.8, 117.2, 118.3, 121.7, 128.9 (dd, JC-F = 307.6, 305.5 Hz), 133.4, 138.8, 148.9; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -5.81 (1F, d, JF-F = 167.5 Hz), -4.71 (1F, d, JF-F = 167.5 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z302 [M+H]+;
HRMS calcd for C15H19ClF2NO [M+H]+, 302.1123; found, 302.1131.
【実施例14】
【0139】
【化28】

【0140】
N-クロロスクシンイミドに代えて、N-ヨードスクシンイミド223.9 mg(1.00 mmol)を用い、反応時間を4時間とした以外は実施例13と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、3-アリル-2-ブチル-2-[ジフルオロ(ヨード)メチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾキサゾール 172.6 mg(0.44 mmol, 収率88%)を得た。
【0141】
油状物質;
IR (neat) 3065, 2959, 2872, 1600, 1494, 1237, 1095, 1031, 771, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d0.90 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.18-1.57 (4H, m), 2.04-2.14 (1H, m), 2.14-2.25 (1H, m), 3.84 (1H, dd, J = 16.5, 6.3 Hz), 3.92-4.01 (1H, m), 5.28 (brd, J = 10.2 Hz), 5.41 (1H, brd, J = 17.2 Hz), 5.89-6.01 (1H, m), 6.49 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.61-6.68 (1H, m), 6.74 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.76-6.82 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d13.9, 22.6, 24.1, 28.9, 47.6, 104.5 (t, JC-F= 23.2 Hz), 105.5, 107.0, 108.7 (dd, JC-F= 332.1, 326.6 Hz), 117.5, 118.4, 121.8, 133.6, 139.0, 148.8;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d6.15 (1F, d, JF-F = 188.3 Hz), 10.6 (1F, d, JF-F = 188.3 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z394 [M+H]+;
HRMS calcd for C15H19F2INO [M+H]+, 394.0479; found, 394.0495.
【実施例15】
【0142】
【化29】

【0143】
アルゴン雰囲気下、あらかじめ加熱乾燥した50 mL二頚ナス型フラスコに3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール114.5 mg(0.50 mmol)とジエチルエーテル 2.0 mLを仕込み、-78 °C に冷却した。ここにブチルリチウムのヘキサン溶液0.77 mL(1.55 M, 1.19 mmol)を滴下し、同温で4時間撹拌した。反応終了後、混合物を氷水15 mLにあけ、ジエチルエーテル(20 mL x 3)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学, 63-200 mm, 8 g)により精製し、3-アリル-2-ブチル-2-(ジフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール110.8 mg(0.42 mmol, 収率83%)を得た。
【0144】
油状物質;
IR (neat) 3064, 2959, 2873, 1599, 1456, 1398, 1311, 1235, 1201, 1116, 1073, 732 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.90 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.25-1.59 (4H, m), 1.97 (2H, t, J = 7.9 Hz), 3.76-3.95 (2H, m), 5.21 (1H, dd, J= 10.3, 1.5 Hz), 5.33 (1H, dd, J = 17.2, 1.5 Hz), 5.68 (1H, t, JH-F= 55.4 Hz), 5.83-5.94 (1H, m), 6.39 (1H, dd, J = 7.5, 1.0 Hz), 6.54-6.62 (1H, m), 6.65 (1H, dd, J = 7.6, 1.0 Hz), 6.70-6.77 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.6, 23.4, 28.8, 46.9, 100.9 (t, JC-F = 23.6 Hz), 105.2, 106.8, 114.0 (dd, JC-F = 254.8, 251.0 Hz), 116.8, 117.9, 121.6, 133.9, 139.0, 148.9;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -71.3 (1F, dd, JF-F= 285.4 Hz, JH-F = 55.4 Hz), -66.7 (1F, dd, JF-F = 285.4 Hz, JH-F = 55.4 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 268 [M+H]+;
HRMS calcd for C15H20F2NO [M+H]+, 268.1513; found, 268.1500.
【実施例16】
【0145】
【化30】

【0146】
アルゴン雰囲気下、あらかじめ加熱乾燥した50 mL二頚ナス型フラスコに3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール114.3 mg(0.50 mmol)とジエチルエーテル 2.0 mLを仕込み、-78 °C に冷却した。ここにメチルリチウムのジエチルエーテル溶液1.10 mL(1.09 M, 1.20 mmol)を滴下後、-24 °Cにまで昇温し、テトラヒドロフラン1.0 mLを加えた。同温にて4時間撹拌後、反応混合物を氷水15 mLにあけ、ジエチルエーテル(20 mL x 3)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学, 63-200 mm, 8 g)により精製し、3-アリル-2-(ジフルオロメチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール91.1 mg(0.40 mmol, 収率81%)を得た。
【0147】
油状物質;
IR (neat) 3064, 2986, 1599, 1494, 1394, 1302, 1227, 1096, 1074, 735 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 1.64 (3H, brs), 3.79 (1H, dd, J= 16.8, 5.6 Hz), 3.90-3.98 (1H, m), 5.21 (1H, dd, J = 10.3, 1.5 Hz), 5.31 (1H, dd, J = 17.1, 1.5 Hz), 5.67 (1H, t, JH-F= 55.3 Hz), 5.83-8.94 (1H, m), 6.46 (1H, d, J= 7.5 Hz), 6.61-6.70 (2H, m), 6.74-6.81 (1H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 15.7, 47.5, 99.4 (t, JC-F= 25.0 Hz), 106.8, 107.5, 113.7 (dd, J= 254.9, 249.6 Hz), 116.9, 118.7, 121.7, 134.2, 138.4, 148.4;
19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -70.9 (1F, dd, JF-F= 287.3 Hz, JH-F = 55.3 Hz), -66.8 (1F, dd, JF-F = 287.3 Hz, JH-F = 55.3 Hz);
MS (EI) m/z 225 (M+, 100).
【実施例17】
【0148】
【化31】

【0149】
ブチルリチウムのヘキサン溶液に代えてシクロプロピルリチウムのヘキサン溶液1.00 mL(1.2 M, 1.2 mmol)を用いた以外は実施例15と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、3-アリル-2-シクロプロピル-2-(ジフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール92.9 mg(0.37 mmol, 収率74%)を得た。
【0150】
油状物質;
IR (neat) 3064, 3015, 2980, 1599, 1494, 1230, 1074, 734 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.48-0.55 (2H, m), 0.65-0.72 (1H, m), 0.86-0.92 (1H, m), 1.38-1.46 (1H, m), 3.91 (1H, dd, J = 16.7, 5.4 Hz), 4.14 (1H, dd, J = 16.7, 5.2 Hz), 5.23 (1H, d, J = 10.3 Hz), 5.36 (1H, J = 17.2 Hz), 5.72 (1H, t, JH-F = 55.5 Hz), 5.91-6.03 (1H, m), 6.47 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.58-6.66 (1H, m), 6.76 (1H, t, J = 7.2 Hz);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d -0.6, 1.8, 9.9, 48.0, 99.2 (t, JC-F= 23.7 Hz), 106.26 107.0, 114.1 (dd, JC-F= 252.9, 250.9 Hz), 116.6, 118.3, 121.6, 134.6, 139.3, 148.8; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -71.8 (1F, dd, JF-F= 285.2 Hz, JH-F = 55.5 Hz), -67.4 (1F, dd, JF-F = 285.2 Hz, JH-F = 55.5 Hz);
MS (ESI-TOF) m/z 252 [M+H]+;
HRMS calcd for C14H16F2NO [M+H]+, 252.1200; found, 252.1179.
【実施例18】
【0151】
【化32】

【0152】
3-アリル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾールに代えて、3-ベンジル-2-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール139.8 mg(0.50 mmol)を用い、反応時間を5時間とした以外は実施例15と同様にして反応を行った。同様の方法で精製し、3-ベンジル-2-ブチル-2-(ジフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール115.8 mg(0.37 mmol, 収率73%)を得た。
【0153】
無色結晶;
Mp. 62.5-63.0 °C; IR (KBr) 3063, 2959, 2872, 1645, 1600, 1494, 1235, 1074, 732, 703 cm-1;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) d 0.93 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.29-1.44 (3H, m), 1.52-1.61 (1H, m), 2.01-2.07 (2H, m), 4.43 (1H, d, J = 16.1 Hz), 4.54 (1H, d, J = 16.1 Hz), 5.78 (1H, t, JH-F = 55.3 Hz), 6.12 (1H, d, J = 7.3 Hz), 6.59-6.73 (3H, m), 7.27-7.43 (5H, m);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) d 13.9, 22.7, 23.6, 295, 48.7, 101.2 (t, JC-F = 23.3 Hz), 106.0, 106.9, 114.3 (dd, JC-F = 254.5, 251.5 Hz), 118.4, 121.6, 126.8, 127.3, 128.7, 137.7, 139.4, 149.0; 19F NMR (282 Hz, CDCl3) d -71.0 (1F, dd, JF-F= 285.4 Hz, JH-F = 55.3 Hz), -66.4 (1F, dd, JF-F = 285.4 Hz, JH-F = 55.3 Hz);
MS (EI) m/z 317 (M+, 39), 266 (M+-CHF2, 100).
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の製造方法によって得られるα−アミノジフルオロメチレン誘導体は、医薬分野で有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。なお、RとRまたはRとRは互いにヘテロ原子の介在または非介在下に互いに結合していてもよい。)
で表されるトリフルオロアセトアルデヒド−N,O−アセタール化合物と下記一般式(2)
Li (2)
(式中、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で表される有機リチウム化合物を反応させた後、アルデヒド化合物、ケトン化合物、イミニウム化合物、求電子性ハロゲン化剤及びブレンステッド酸からなる群から選ばれる1種以上の求電子性化合物を反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化2】

(式中、R〜Rは前記定義に同じ。Eは、ジフルオロメチレン基結合炭素に水酸基、OLi基もしくは第三アミノ基を有する有機基、ハロゲン原子または水素原子を表す。)
で表されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【請求項2】
アルデヒド化合物またはケトン化合物が下記一般式(4)
【化3】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。なお、R及びRは互いにヘテロ原子の介在または非介在下に互いに結合していてもよい。)
で表されるアルデヒド化合物またはケトン化合物であり、α―アミノジフルオロメチレン誘導体が下記一般式(5)
【化4】

(式中、R〜Rは前記定義に同じ。Mは水素原子またはLiを表す。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【請求項3】
イミニウム化合物が下記一般式(6)
【化5】

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。なお、R及びRまたはR及びR10は互いにヘテロ原子の介在または非介在下に互いに結合していてもよい。Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるイミニウム化合物であり、α―アミノジフルオロメチレン誘導体が下記一般式(7)
【化6】

(式中、R〜R及びR〜R10は前記定義に同じ。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【請求項4】
求電子性ハロゲン化剤が下記一般式(8)
Y−Z (8)
(式中、Yは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、アミド基またはイミド基を表す。)
で表される求電子性ハロゲン化剤であり、α―アミノジフルオロメチレン誘導体が下記一般式(9)
【化7】

(式中、R〜R及びYは前記定義に同じ。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のα―アミノジフルオロメチレン誘導体の製造方法。
【請求項5】
一般式(10)
【化8】

(式中、R及びR〜Rは前記定義に同じ。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【請求項6】
一般式(11)
【化9】

(式中、R、R及びR〜R10は前記定義に同じ。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【請求項7】
一般式(12)
【化10】

(式中、R、R及びYは前記定義に同じ。R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。
【請求項8】
一般式(13)
【化11】

(式中、R15は置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表し、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルケニル基、または置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基もしくはヘテロ芳香族基を表す。)
で示されるα―アミノジフルオロメチレン誘導体。

【公開番号】特開2009−209077(P2009−209077A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52948(P2008−52948)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【出願人】(592068200)学校法人東京薬科大学 (32)
【Fターム(参考)】