説明

α−アミノ酸塩の製造方法

【課題】毒性の高い有機スズ化合物の使用を回避し、ベンジル位に加えアリル位でもCO2によるカルボキシル化が進行する、α−アミノ酸塩の製造方法を提供する。
【解決手段】α−アミノスルホン化合物とCsFとを反応させてイミンを調製し、更にシリルボロン酸エステル化合物を加えて該イミンと反応させることで生成する中間体とCO2とをCsFの存在下で反応させることを特徴とするα−アミノ酸塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−アミノ酸塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α−アミノ酸は、ペプチド、タンパク質の構成成分等として、生命体に必須である。また、α−アミノ酸は、食品添加物、農薬、医薬品等としても広く用いられている。
【0003】
α−アミノ酸を合成する方法としては、ストレッカー法をはじめとして、多くの方法が知られている。ストレッカー法は、アルデヒドからイミンを生成し、該イミンとシアン化水素を反応させることでα−アミノニトリルを合成し、これを加水分解することでα−アミノ酸を合成する方法である。しかし、ストレッカー法は、シアン化物のような非常に毒性の高い試薬を用いること、更に強酸性下かつ高温での反応が必要といった欠点を有していた。
【0004】
上記欠点を解消するため、本発明者らは、有機スズ化合物を用いてα−アミノスルホン化合物からα−アミノスズ化合物を合成し、次いで二酸化炭素捕捉反応を同一系内にて行うワンポット合成によって、α−アミノ酸を合成する方法を報告している(非特許文献1)。
【0005】
しかし、上記α−アミノスルホン化合物からのワンポット合成では、毒性の高い有機スズの使用が必須であり、また中間体で生じるα−アミノスズ化合物の反応性が乏しく、ベンジル位のみでカルボキシル化が進行するため基質が限定されていた。つまり、α位に芳香環を有するアリールグリシン誘導体しか合成することができなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mita, T., Chen, J., Sugawara, M., Sato, Y., Angew. Chem., Int. Ed., vol. 50, pp. 1393-1396 (2011).
【非特許文献2】Kanazawa, A. M., Denis, J.-N., Greene, A. E., J. Org. Chem. vol. 59, pp. 1238-1240 (1994)
【非特許文献3】Mecozzi, T., Petrini, M., J. Org. Chem., vol. 64, pp. 8970-8972 (1999)
【非特許文献4】Wenzel, A. G., Jacobsen, E. N., J. Am. Chem. Soc., vol. 124, pp. 12964-12965 (2002)
【非特許文献5】Suginome, M., Matsuda, T., Ito, Y., Organometallics 2000, vol. 19, pp. 4647-4649 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、毒性の高い有機スズ化合物の使用を回避し、また、より広範囲な基質において二酸化炭素捕捉反応によるカルボキシル化が進行する、α−アミノ酸塩の新規製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、α−アミノスルホン化合物からのα−アミノ酸塩のワンポット合成において、毒性の低いシリルボロン酸エステル化合物を用いると、ベンジル位に加えアリル位においても二酸化炭素捕捉反応によるカルボキシル化が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
1.下記式(1)で表されるα−アミノスルホン化合物とフッ化セシウムとを反応させてイミンを調製し、更にシリルボロン酸エステル化合物を加えて該イミンと反応させることで生成する下記式(A)で表される中間体と二酸化炭素とをフッ化セシウムの存在下で反応させることを特徴とする下記式(2)で表されるα−アミノ酸塩の製造方法、
【化1】

(式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜20のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基(ただし、R1が結合する炭素原子がアリル位となる。)を表す。R2は保護基を表す。R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を表す。R'はフェニル基又はp−メチルフェニル基を表す。)
2.上記R1が、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基である1のα−アミノ酸塩の製造方法、
3.上記シリルボロン酸エステル化合物が、下記式(3)で表される1又は2のα−アミノ酸塩の製造方法、
【化2】

(式中、R3、R4及びR5は上記と同じ。R6は、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表す。)
4.上記シリルボロン酸エステル化合物が、下記式(4)で表される1又は2のα−アミノ酸塩の製造方法、
【化3】

(式中、R3、R4及びR5は上記と同じ。R7及びR8は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を表す。)
5.上記R6が、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基又は1,2−フェニレン基である3のα−アミノ酸塩の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、シリルボロン酸エステル化合物を用いることで、α−アミノスルホン化合物をワンポットでα−アミノ酸塩へと変換できる。また、シリルボロン酸エステル化合物は、シアン化合物や有機スズ化合物と比べて毒性が低いため、製造の際の安全性にも優れる。α−アミノ酸塩は、α−アミノ酸やα−アミノ酸誘導体合成の中間体であり、そのため、α−アミノ酸を原料とするファインケミカル及び食品の分野での利用が可能である。
【0011】
更に、本発明の製造方法は、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を炭素源としているため、工場で排する二酸化炭素を有用化合物に転化するといったCO2削減に寄与する方法でもある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
なお、本明細書中、「n−」はノルマルを、「i−」はイソを、「s−」はセカンダリーを、「t−」はターシャリーを、「c−」はシクロを、「o−」はオルトを、「m−」はメタを、「p−」はパラを、「Me」はメチル基を、「Bu」はブチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Ph」はフェニル基を意味する。
【0013】
本発明のα−アミノ酸塩の製造方法に係る出発物質は、下記式(1)で表されるα−アミノスルホン化合物である。
【化4】

(式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜20のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基(ただし、R1が結合する炭素原子がアリル位となる。)を表す。R2は保護基を表す。R'はフェニル基又はp−メチルフェニル基を表す。)
【0014】
上記アリール基として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。上記アリール基としては、特に炭素数6〜10のものが好ましい。
【0015】
上記ヘテロアリール基として具体的には、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。上記へテロアリール基としては、特に炭素数3〜9のものが好ましい。
【0016】
上記アルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、i−プロペニル基、1−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−エチルビニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−n−プロピルビニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1−i−プロピルビニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1−c−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−n−ブチルビニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1−s−ブチルビニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−i−ブチルビニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−n−プロピル−1−プロペニル基、2−エチル−1−ブテニル基、1−t−ブチルビニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、2−メチル−1−c−ペンテニル基、3−メチル−1−c−ペンテニル基、1−c−ヘキセニル基、1−n−ヘプテニル基、1−n−オクテニル基、1−n−ノネニル基、1−n−デセニル基、1−メチル−2−フェニルビニル基、2−フェニルビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、2−フェニル−2−メチルビニル基等が挙げられる。上記アルケニル基としては、特に炭素数2〜14のものが好ましい。
【0017】
また、R1の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。上記置換基として具体的には、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基等が挙げられる。
【0018】
上記ハロゲン原子として具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基、1−メチル−c−プロピル基、2−メチル−c−プロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、c−ペンチル基、1−メチル−c−ブチル基、2−メチル−c−ブチル基、3−メチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−プロピル基、2,3−ジメチル−c−プロピル基、1−エチル−c−プロピル基、2−エチル−c−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、c−ヘキシル基、1−メチル−c−ペンチル基、2−メチル−c−ペンチル基、3−メチル−c−ペンチル基、1−エチル−c−ブチル基、2−エチル−c−ブチル基、3−エチル−c−ブチル基、1,2−ジメチル−c−ブチル基、1,3−ジメチル−c−ブチル基、2,2−ジメチル−c−ブチル基、2,3−ジメチル−c−ブチル基、2,4−ジメチル−c−ブチル基、3,3−ジメチル−c−ブチル基、1−n−プロピル−c−プロピル基、2−n−プロピル−c−プロピル基、1−i−プロピル−c−プロピル基、2−i−プロピル−c−プロピル基、1,2,2−トリメチル−c−プロピル基、1,2,3−トリメチル−c−プロピル基、2,2,3−トリメチル−c−プロピル基、1−エチル−2−メチル−c−プロピル基、2−エチル−1−メチル−c−プロピル基、2−エチル−2−メチル−c−プロピル基、2−エチル−3−メチル−c−プロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0019】
上記ハロゲン化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されてなる基が挙げられる。上記ハロゲン化アルキル基として具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基等が挙げられる。
【0020】
上記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、c−ブトキシ基、1−メチル−c−プロポキシ基、2−メチル−c−プロポキシ基、n−ペンチルオキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、c−ペンチルオキシ基、1−メチル−c−ブトキシ基、2−メチル−c−ブトキシ基、3−メチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−プロポキシ基、2,3−ジメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−c−プロポキシ基、2−エチル−c−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基、c−ヘキシルオキシ基、1−メチル−c−ペンチルオキシ基、2−メチル−c−ペンチルオキシ基、3−メチル−c−ペンチルオキシ基、1−エチル−c−ブトキシ基、2−エチル−c−ブトキシ基、3−エチル−c−ブトキシ基、1,2−ジメチル−c−ブトキシ基、1,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,2−ジメチル−c−ブトキシ基、2,3−ジメチル−c−ブトキシ基、2,4−ジメチル−c−ブトキシ基、3,3−ジメチル−c−ブトキシ基、1−n−プロピル−c−プロポキシ基、2−n−プロピル−c−プロポキシ基、1−i−プロピル−c−プロポキシ基、2−i−プロピル−c−プロポキシ基、1,2,2−トリメチル−c−プロポキシ基、1,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、2,2,3−トリメチル−c−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−1−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−2−メチル−c−プロポキシ基、2−エチル−3−メチル−c−プロポキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
なお、2個の置換基がR1に結合している場合、これら置換基が互いに結合して、これら置換基が結合するR1の炭素原子と共に環を形成してもよい。この場合、R1で表される基としては、下記に示すもの等が挙げられる。
【化5】

(式中、破線は結合手を表す。以下同様。)
【0022】
これらのうち、R1で表される基としては、特に、置換又は非置換のアリール基が好ましい。
【0023】
式(1)中のR2で表される保護基は、アミノ基の保護基として一般的に用いられているものでよく、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル基(Z)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0024】
式(1)で表されるα−アミノスルホン化合物は、対応するアルデヒド化合物より簡便に合成できる。例えば、R2がBocの場合は、下記合成スキーム1に表されるように、溶媒中、アルデヒド化合物、t−ブトキシカルボニルアミド及びスルフィン酸ナトリウムを反応させることで合成することができる。
【0025】
【化6】

(式中、R1及びR'は上記と同じ。)
【0026】
具体的な合成方法としては、例えば、非特許文献2〜4に記載の方法が挙げられる。
具体的には、水−メタノール混合溶媒(組成比=2:1(v/v))に、t−ブトキシカルボニルアミド(1.0equiv)、スルフィン酸ナトリウム(2.0equiv)、アルデヒド化合物(1.5equiv)、酸触媒としてギ酸(2.0equiv)を加え室温で攪拌させることで式(1)で表されるα−アミノスルホン化合物を合成することができる。
【0027】
上記溶媒として具体的には、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジクロロメタン等が挙げられ、特に、水−メタノール混合溶媒が好ましい。
上記溶媒の使用量は、t−ブトキシカルボニルアミド1molにつき、100〜300molが好ましく、150〜200molがより好ましい。
【0028】
反応温度は、0〜60℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。
反応時間は、24〜96時間が好ましく、48〜72時間がより好ましい。
【0029】
反応終了後、式(1)で表されるα−アミノスルホン化合物を単離する。α−アミノスルホン化合物の単離方法は公知の方法でよく、例えば、反応が進行すると生成物が固体として析出するため、その結晶を直接ろ取し、水及びヘキサン又はジエチルエーテル等の有機溶媒で洗浄する方法、他に再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
【0030】
本発明のα−アミノ酸の製造方法は、シリルボロン酸エステル化合物を用いることに特徴がある。上記シリルボロン酸エステル化合物としては、下記式(3)又は(4)で表される化合物が好ましい。
【0031】
【化7】

(式中、R3、R4、R5、R7及びR8は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を表す。R6は、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表す。)
【0032】
上記アルキル基の具体例としては、R1に結合してもよいアルキル基として上述したものと同じものが挙げられる。上記アルキル基としては、特に炭素数1〜6のものが好ましい。
【0033】
上記アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−2,3−ジイル基、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−2,3−ジイル基、ペンタン−2,4−ジイル基、2−メチルペンタン−2,3−ジイル基、3−メチルペンタン−2,3−ジイル基、4−メチルペンタン−2,3−ジイル基、2,3−ジメチルペンタン−2,3−ジイル基、3−メチルペンタン−2,4−ジイル基、3−エチルペンタン−2,4−ジイル基、3,3−ジメチルペンタン−2,4−ジイル基、3,3−ジメチルペンタン−2,4−ジイル基、2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘキサン−1,2−ジイル基、ヘキサン−1,3−ジイル基、ヘキサン−2,3−ジイル基、ヘキサン−2,4−ジイル基、ヘキサン−2,5−ジイル基、2−メチルヘキサン−2,3−ジイル基、4−メチルヘキサン−2,3−ジイル基、3−メチルヘキサン−2,4−ジイル基、2,3−ジメチルヘキサン−2,4−ジイル基、2,4−ジメチルヘキサン−2,4−ジイル基、2,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジイル基、2−メチルヘキサン−2,5−ジイル基、3−メチルヘキサン−2,5−ジイル基、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジイル基等が挙げられる。上記アルキレン基としては、特に炭素数1〜8のものが好ましい。
【0034】
上記アリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、1,2−アントリレン基、2,3−アントリレン基、1,2−フェナントリレン基、3,4−フェナントリレン基、9,10−フェナントリレン基等が挙げられる。上記アリーレン基としては、特に炭素数1〜10のものが好ましい。
【0035】
また、R3〜R8の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されていてもよい。上記置換基として具体的には、R1の炭素原子に結合してもよい置換基として上述したものと同じものが挙げられる。
【0036】
上記R3、R4及びR5としては、特にメチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、フェニル基等が好ましい。
上記R6としては、特に2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基、1,2−フェニレン基等が好ましい。
上記R7及びR8としては、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が好ましい。
【0037】
式(3)で表される化合物として具体的には、下記式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】

【0038】
式(4)で表される化合物として具体的には、下記式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【化9】

【0039】
式(3)、(4)で表される化合物は、例えば、非特許文献5に記載の方法で合成することができる。
具体的には、溶媒中、シリルリチウム化合物とアルコキシボロン酸エステル化合物とを反応させ、減圧蒸留にて精製を行うことで目的の化合物が得られる。
【0040】
本発明のα−アミノ酸の製造方法によれば、上記α−アミノスルホン化合物とフッ化セシウムとを反応させてイミンを調製し、更にシリルボロン酸エステル化合物を加えて該イミンと反応させることで生成する下記式(A)で表される中間体と二酸化炭素とをフッ化セシウムの存在下で反応させることで、式(2)で表されるα−アミノ酸塩を合成することができる。これらの反応は、中間体の単離・精製を行わずに同一系内で進行させることができる(ワンポット製造)。例として、上記シリルボロン酸エステル化合物として式(3)で表される化合物を用いた場合の反応スキームを下記に示す。
【0041】
【化10】

(式中、R1〜R6及びR'は上記と同じ。)
【0042】
本発明の製造方法においては、シリルボロン酸エステル化合物を用いるため、中間体として反応性の高い式(A)で表されるα−アミノケイ素化合物が生成する。
これをフッ素化合物で活性化することで、より広範囲な基質においてカルボキシル化が進行し、α−アミノ酸塩を合成できる。
つまり、シリルボロン酸エステル化合物とフッ化セシウムから発生したシリルアニオンが、α−アミノスルホンより発生したイミンに速やかに付加し、α−アミノケイ素中間体(A)を与える。続いてこれに対し、再度フッ化セシウムが作用し、カルバニオン様の活性種が生成して二酸化炭素と反応し、α−アミノ酸塩を合成できる。
【0043】
シリルボロン酸エステル化合物の使用量は、出発物質1molにつき、1〜3molであることが好ましく、1.1〜2molがより好ましい。
【0044】
フッ化セシウムの使用量は、出発物質1molにつき、2〜10molであることが好ましく、3〜5molがより好ましい。
【0045】
本発明に用いる有機溶媒は、反応に悪影響を及ぼすものでなければ特に限定されない。具体的には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)等が好ましく、特に、NMPが好ましい。
【0046】
上記有機溶媒の使用量は、出発物質1molにつき、100〜300molが好ましく、150〜200molがより好ましい。
反応温度は、室温〜150℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
反応時間は、0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
【0047】
二酸化炭素との反応は、常圧下でも加圧下でも行えるが、反応を速やかに進行させるとともに目的物の収率を高めることを考慮すると、加圧下で行うことが好ましい。
その場合は、圧力は5〜20気圧が好ましく、10気圧がより好ましい。
【0048】
反応終了後、合成したα−アミノ酸塩を単離する場合は、一般的な方法で行うことができる。具体的な方法としては、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等が挙げられる。
【0049】
上記合成したα−アミノ酸塩を原料として、エステル、アミド等のα−アミノ酸誘導体を合成することができる。これらを合成する方法としては、公知の方法でよい。例えば、α−アミノ酸エステルを合成する場合は、式(2)で表されるα−アミノ酸塩に強酸を作用させてα−アミノ酸を調製した後、ジアゾメタン(CH22)等のO−メチル化剤やその他のエステル化剤を用いてα−アミノ酸エステルを合成することができる。
【0050】
本発明においては、α位に芳香環を有する基質のみならず、α位がアリル位となるようなアルケニル基を有する基質でも反応は進行する。そのため、上記アルケニル基を有する基質を用いる場合、生成物をPd/C触媒存在下で水素化することで、ラセミ体ではあるがロイシン誘導体等のα−アミノ酸誘導体を合成することもできる。
【0051】
更に、上記アルケニル基を有する基質を用いる場合、生成物をオゾン分解してホルミル基を生成した後、脱カルボニル化、オレフィン化及び水素化、還元等をすることによって、グリシン誘導体、グルタミン酸誘導体、セリン誘導体、スレオニン誘導体等も合成することが可能である。
【実施例】
【0052】
以下、合成例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0053】
[合成例]α−アミノスルホン化合物の合成
下記スキームに従い、α−アミノスルホン化合物を合成した。
【化11】

(式中、Rは下記表1に示す基である。)
【0054】
[合成例1〜16]
下記表1に示す量のt−ブトキシカルボニルアミド(1equiv)及びベンゼンスルフィン酸ナトリウム(2.0equiv)に、下記表1に示す量の水−メタノール混合溶媒(組成比=2:1(v/v))を加えた。続いて、下記表1に示す置換基を有するアルデヒド化合物(1.5equiv又は1.2equiv)及びギ酸(2.0equiv)を室温にて順次滴下した。混合液を室温で60時間攪拌し、生成した白色固体をろ取し、水及びジエチルエーテルで順次洗浄し、α−アミノスルホン化合物を得た。得られたα−アミノスルホン化合物の収量及び収率を表1に示す。
【0055】
[合成例17〜21]
下記表1に示す量のt−ブトキシカルボニルアミド及びベンゼンスルフィン酸ナトリウム(2.0equiv)に、下記表1に示す量の水−メタノール混合溶媒(組成比=2:1(v/v))を加えた。続いて、下記表1に示す置換基を有するアルデヒド化合物(1equiv)及びギ酸(2.0equiv)を室温にて順次滴下した。混合液を室温で60時間攪拌し、メタノールをおおかた留去した後、酢酸エチルを加えて有機層を分離した。残りの水層を酢酸エチルで2回抽出した後、これらの有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。溶媒を減圧留去した後、残渣を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により精製を行い、α−アミノスルホン化合物を得た。得られたα−アミノスルホン化合物の収量及び収率を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
[合成例22]シリルボロン酸エステル化合物(PhMe2Si−B(pin))の合成
下記スキームに従い、シリルボロン酸エステル化合物を合成した。
【化12】

【0058】
1.85gのリチウム(0.27mol,3.5equiv)を38mLのTHFに加え、12.6mLのPhMe2SiCl(0.076mol)を0℃でゆっくり滴下し、0℃で12時間攪拌した。生成したPhMe2SiLiの濃度は、1,10−フェナントロリンを指示薬としてs−BuOH(1M in ベンゼン)を用いて規定したところ、1.1Mであった。
続いて、15.8mLのi−PrO−B(pin)(0.078mol,2.0equiv)を35.5mLのn−ヘキサンに溶解し、合成した35.5mLのPhMe2SiLi溶液(0.039mol,1.1M in THF)を0℃で30分かけてゆっくり滴下した。混合溶液を室温下で20時間攪拌した後、溶媒を留去し、生じたLiClの固体をセライトろ過により除去した。ろ液を濃縮後、減圧下蒸留(<1mmHg,75〜80℃)を行うことで、8.09gのPhMe2Si−B(pin)(0.031mol)を収率79%で取得した。
【0059】
[実施例1、比較例]α−アミノ酸エステルの合成
下記スキームに従い、α−アミノ酸エステルを合成した。
【化13】

(式中、Rは下記表1に示す基である。)
【0060】
76.0mgのCsF(0.50mmol,5equiv)を試験管に測り取り、真空下400℃で加熱乾燥させた後、0.1mmolの合成例で合成したα−アミノスルホン化合物1を加え、1.5mLの乾燥したNMPに溶かして室温で10分攪拌した。その後、実施例として28.8mgの合成例22で合成したシリルボロン酸エステル化合物(PhMe2Si−B(pin))又は比較例として39.9mgのトリメチルシリルトリブチルスタンナン(TMSSnBu3)(0.11mmol,1.1equiv)を加え、オートクレーブ反応容器に移した後、10気圧下で二酸化炭素を導入し、100℃で3時間攪拌した。氷冷後、約0.5mLの1MのHCl及び2mLのジエチルエーテルを加えて反応を停止させ、反応溶液のpHを2に調整した。有機層を分離し、残りの水層をジエチルエーテルで3回抽出した後、これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて有機層を乾燥させた。溶媒を減圧留去した後、残渣をジエチルエーテルに溶かした。1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジンのジエチルエーテル溶液と40質量%KOH水溶液より用時調製したCH22のエーテル層の部分を過剰量加えて、生成したカルボン酸のメチルエステル化を行った。未反応のCH22は酢酸を用いて処理し、その溶液を減圧下で直接濃縮した。1,1,2,2−テトラクロロエタンを内部標準物質として用いた1H−NMR分析(JEOL ECA−500(500MHz)、日本電子(株)製)によって決定したこの時点における収率を表2に示す。続いて、薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=13/1)により精製を行った。精製したα−アミノ酸のメチルエステル体2の単離収量及び単離収率を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2に示すとおり、Rが置換又は非置換のアリール基である場合は、PhMe2Si−B(pin)、TMSSnBu3ともに反応が進行し、α−アミノ酸エステルを合成することができた。
一方、Rがアルケニル基の場合は、PhMe2Si−B(pin)を用いたときは反応が進行したが、TMSSnBu3を用いたときは反応が進行しなかった。TMSSnBu3を用いて150℃まで昇温して反応が進行するか検討したが、基質の分解のみが観測され、目的物は合成できなかった。
【0063】
[実施例2]ロイシンメチルエステルの合成
下記スキームに従い、ロイシンメチルエステルを合成した。
【化14】

【0064】
76.0mgのCsF(0.50mmol,5equiv)を試験管に測り取り、真空下400℃で加熱乾燥させた後、32.5mgの合成例16で合成したα−イソブテニル−α−アミノスルホン化合物3(0.1mmol)を加え、1.5mLの乾燥したNMPに溶かして室温で5分攪拌した。その後、28.8mgの合成例22で合成したシリルボロン酸エステル化合物(PhMe2Si−B(pin))(0.11mmol,1.1equiv)を加え、オートクレーブ反応容器に移した後、10気圧下で二酸化炭素を導入し、100℃で3時間攪拌した。氷冷後、約0.5mLの1MのHCl及び2mLのジエチルエーテルを加えて反応を停止させ、反応溶液のpHを2に調整した。有機層を分離し、残りの水層をジエチルテーテルで3回抽出した後、これらの有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を減圧留去した後、残渣をジエチルエーテルに溶かした。1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジンのジエチルエーテル溶液と40質量%KOH水溶液より用時調製したCH22のエーテル層の部分を過剰量加えて、生成したカルボン酸のメチルエステル化を行った。未反応のCH22は酢酸を用いて処理し、その溶液を減圧下で直接濃縮した。生成物の収率は、この時点で1,1,2,2−テトラクロロエタンを内部標準物質として用いて1H−NMR分析(JEOL ECA−500(500MHz)、日本電子(株)製)により決定したところ44%であることがわかった。続いて、薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=13/1)により精製を行ったところ、メチルエステル体4(8.1mg,0.033mmol)が収率33%で得られた。
【0065】
続いて、8.1mgの得られたメチルエステル体4(0.033mmol)及び3.5mgの10mol%Pd/C触媒(0.0033mmol)を、水素雰囲気下、メタノール中で12時間攪拌した。セライトろ過で触媒を除去した後、ろ液を減圧下で直接濃縮することで、ロイシンメチルエステル5(6.8mg,0.028mmol)が収率83%で得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるα−アミノスルホン化合物とフッ化セシウムとを反応させてイミンを調製し、更にシリルボロン酸エステル化合物を加えて該イミンと反応させることで生成する下記式(A)で表される中間体と二酸化炭素とをフッ化セシウムの存在下で反応させることを特徴とする下記式(2)で表されるα−アミノ酸塩の製造方法。
【化1】

(式中、R1は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜20のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基(ただし、R1が結合する炭素原子がアリル位となる。)を表す。R2は保護基を表す。R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を表す。R'はフェニル基又はp−メチルフェニル基を表す。)
【請求項2】
上記R1が、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、置換若しくは非置換の炭素数3〜9のヘテロアリール基、又は置換若しくは非置換の炭素数2〜14のアルケニル基である請求項1記載のα−アミノ酸塩の製造方法。
【請求項3】
上記シリルボロン酸エステル化合物が、下記式(3)で表される請求項1又は2記載のα−アミノ酸塩の製造方法。
【化2】

(式中、R3、R4及びR5は上記と同じ。R6は、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表す。)
【請求項4】
上記シリルボロン酸エステル化合物が、下記式(4)で表される請求項1又は2記載のα−アミノ酸塩の製造方法。
【化3】

(式中、R3、R4及びR5は上記と同じ。R7及びR8は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換のフェニル基を表す。)
【請求項5】
上記R6が、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイル基又は1,2−フェニレン基である請求項3記載のα−アミノ酸塩の製造方法。

【公開番号】特開2013−60384(P2013−60384A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199151(P2011−199151)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】