説明

α−ケトカルボン酸の製造方法

【課題】α−ケトカルボン酸の新たな製造方法を提供すること。
【解決手段】式(2−1)


(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Yは−S−又は−N(R)−で表される基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基又は置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)で示される化合物と、塩基と、二酸化炭素と、α−ケトアルデヒドとを混合することにより、該α−ケトアルデヒドを酸化する工程を含むα−ケトカルボン酸の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−ケトカルボン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α−ケトカルボン酸は、例えば還元アミノ化によりα−アミノ酸に変換できることから、医農薬等の製造中間体として有用な化合物であることが知られている。
【0003】
α−ケトカルボン酸の製造方法として、例えば非特許文献1には、α−ケトアルデヒドであるフェニルグリオキサールを、濃硫酸と亜硝酸ナトリウムとを用いて酸化し、ベンゾイルギ酸を得る方法が記載されている。また、非特許文献2には、フェニルグリオキサールを、ジメチルジオキソランを用いて酸化し、ベンゾイルギ酸を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Mol. Cat. A:Chemical,235,17〜25頁(2005年)
【非特許文献2】Org. Biomol. Chem.3,2310〜2318頁(2005年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、α−ケトカルボン酸の新たな製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討し、本発明に至った。
【0007】
即ち本発明は、以下の通りである。
〔1〕 式(2−1)
【0008】
【化1】

(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Yは−S−又は−N(R)−で表される基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基又は置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物と、塩基と、二酸化炭素と、α−ケトアルデヒドとを混合することにより、該α−ケトアルデヒドを酸化する工程を含むα−ケトカルボン酸の製造方法。
〔2〕 前記α−ケトアルデヒドが、式(1)
【0009】
【化2】

(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表わす。)
で表される化合物であり、前記α−ケトカルボン酸が、式(3)
【0010】
【化3】

(式中、Rは上記と同義である。)
で示される化合物である前記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕 前記式(2−1)で示される化合物が、式(2−2)
【0011】
【化4】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、破線は、当該箇所が二重結合であってもよいことを表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表すか、或いはRとRとが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成している。Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物或いは式(2−3)
【0012】
【化5】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物である前記〔1〕又は〔2〕記載の製造方法。
〔4〕 前記式(2−1)で示される化合物が前記式(2−2)で示される化合物である前記〔1〕又は〔2〕記載の製造方法。
〔5〕 式(2−2)において、Yが−N(R)−で表される基であり、R及びRがそれぞれ独立に、2,6−ジ置換フェニル基であり、R及びRが共に水素原子であり、破線が、当該箇所が二重結合であることを表す前記〔4〕記載の製造方法。
〔6〕 前記塩基が、有機塩基、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基である前記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の製造方法。
〔7〕 式(2−1)
【0013】
【化6】

(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Yは−S−又は−N(R)−で表される基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基又は置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物に塩基を接触させることにより得られる化合物と、二酸化炭素との存在下に、α−ケトアルデヒドを酸化する工程を含むα−ケトカルボン酸の製造方法。
〔8〕 前記α−ケトアルデヒドが、式(1)
【0014】
【化7】

(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表わす。)
で表される化合物であり、前記α−ケトカルボン酸が、式(3)
【0015】
【化8】

(式中、Rは上記と同義である。)
で示される化合物である前記〔7〕記載の製造方法。
〔9〕 前記式(2−1)で示される化合物が、式(2−2)
【0016】
【化9】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、破線は、当該箇所が二重結合であってもよいことを表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表すか、或いはRとRとが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成している。Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物或いは式(2−3)
【0017】
【化10】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物である前記〔7〕又は〔8〕記載の製造方法。
〔10〕 前記式(2−1)で示される化合物が前記式(2−2)で示される化合物である前記〔7〕又は〔8〕記載の製造方法。
〔11〕 式(2−2)において、Yが−N(R)−で表される基であり、R及びRがそれぞれ独立に、2,6−ジ置換フェニル基であり、R及びRが共に水素原子であり、破線が、当該箇所が二重結合であることを表す前記〔10〕記載の製造方法。
〔12〕 前記塩基が、有機塩基、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基である前記〔7〕〜〔11〕のいずれか記載の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、α−ケトカルボン酸の新たな製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明で用いられるα−ケトアルデヒドは、α位にカルボニル基を有するアルデヒドであれば制限なく用いることができる。α−ケトアルデヒドとしては、式(1)で示される化合物(以下、「化合物(1)」と記すことがある。)が好ましく用いられる。
【0021】
式(1)において、Rで表される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。
【0022】
において、置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びデシル基等の直鎖状又は分岐状のC〜C12アルキル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びメンチル基等の環状のC〜C12アルキル基が挙げられる。
かかるアルキル基が有していてもよい置換基としては例えば、下記群G1から選ばれる基が挙げられる。
【0023】
<群G1>
フッ素原子を有していてもよいC〜C10アルコキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C20アラルキルオキシ基、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C20アラルキルオキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基、
〜C10アルキルチオ基、
〜C10アルコキシカルボニル基、
及び
ハロゲン原子。
【0024】
群G1において、フッ素原子を有していてもよいC〜C10アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基及びトリフルオロメチルオキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C20アラルキルオキシ基としては例えば、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基及び4−メトキシベンジルオキシ基が挙げられ、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C20アラルキルオキシ基としては例えば、3−フェノキシベンジルオキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基としては例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基及び4−メトキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基としては例えば、3−フェノキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基としては例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基、ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基及び4−メトキシベンゾイル基が挙げられ、
〜C10アルキルチオ基としては例えば、メチルチオ基、エチルチオ基及びイソプロピルチオ基が挙げられ、
〜C10アルコキシカルボニル基としては例えば、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が挙げられ、
ハロゲン原子としては例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
【0025】
群G1から選ばれる基を有するアルキル基としては例えば、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、1−エトキシカルボニル−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基及び2−メチルチオエチル基が挙げられる。
【0026】
において、置換基を有していてもよいアルケニル基における、アルケニル基としては例えば、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状又は環状のC〜C12アルケニル基が挙げられる。
かかるアルケニル基が有していてもよい置換基としては例えば、上述した群G1から選ばれる基が挙げられる。
【0027】
群G1から選ばれる基を有するアルケニル基としては例えば、2−クロロビニル基及び2−トリフルオロメチルビニル基が挙げられる。
【0028】
において、置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びスチリル基等のC〜C20アリール基が挙げられる。
かかるアリール基が有していてもよい置換基としては例えば、下記群G2から選ばれる基が挙げられる。
【0029】
<群G2>
フッ素原子又はC〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アルコキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基、
〜Cアルキレンジオキシ基
ニトロ基、
及び
ハロゲン原子。
【0030】
群G2において、フッ素原子又はC〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基及びメトキシエトキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基としては例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基及び4−メトキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基としては例えば、3−フェノキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基としては例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基及び4−メトキシベンジルカルボニル基が挙げられ、
〜Cアルキレンジオキシ基としては例えば、メチレンジオキシ基及びエチレンジオキシ基が挙げられ、
ハロゲン原子としては例えば、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。
【0031】
群G2から選ばれる基を有するアリール基としては例えば、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基及び3−フェノキシフェニル基が挙げられる。
【0032】
で表される置換基を有していてもよいヘテロアリール基における、ヘテロアリール基としては例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一個含むC〜C10ヘテロアリール基が挙げられ、具体的には例えば、2−ピリジル基、3−ピリジル、4−ピリジル、2−フリル基、3−フリル基、5−メチル−2−フリル基及び2−クロロ−3−ピリジニル基が挙げられる。
【0033】
化合物(1)としては例えば、フェニルグリオキサール、4−クロロフェニルグリオキサール、2−メチルフェニルグリオキサール、4−フルオロフェニルグリオキサール、2−メトキシフェニルグリオキサール、2,4−ジクロロフェニルグリオキサール、2−ニトロフェニルグリオキサール、2−ナフチルグリオキサール、2−ピリジングリオキシルアルデヒド、メチルグリオキサール、エチルグリオキサール、n−プロピルグリオキサール、イソプロピルグリオキサール、シクロヘキシルグリオキサール、4−(メチルチオ)−2−オキソ−1−ブタナール、ビニルグリオキサール及びスチリルグリオキサールが挙げられる。
これら化合物(1)は、市販品であってもよいし、例えば、ケトアルコールを金属触媒の存在下に酸素酸化する方法(例えば、特開2000−336055号公報参照。)等の任意の公知の方法に準じて製造したものであってもよい。
【0034】
α−ケトアルデヒドを酸化する工程(以下、本反応と記すことがある。)は、例えば式(2−1)で示される化合物と、塩基と、二酸化炭素と、α−ケトアルデヒドとを混合することにより実施される。また、本反応は、例えば式(2−1)で示される化合物に塩基を接触させることにより得られる化合物と、二酸化炭素との存在下に実施される。
以下、式(2−1)で示される化合物(以下、化合物(2−1)と記すことがある。)について説明する。
【0035】
式(2−1)において、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びデシル基等の直鎖状又は分枝状のC〜C12アルキル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の環状のC〜C12アルキル基が挙げられる。
【0036】
かかるアルキル基が有していてもよい置換基としては例えば、下記群G3から選ばれる基が挙げられる。
【0037】
<群G3>
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリール基、
フッ素原子を有していてもよいC〜C10アルコキシ基、
〜C10アルコキシ基、C〜C10アルキル基及びC〜C10アリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有していてもよいベンジルオキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基、
カルボキシ基、
及び
フッ素原子。
【0038】
群G3において、C〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリール基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基及び4−メトキシフェニル基が挙げられ、
フッ素原子を有していてもよいC〜C10アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基及びトリフルオロメトキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基、C〜C10アルキル基及びC〜C10アリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有していてもよいベンジルオキシ基としては例えば、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基及び3−フェノキシベンジルオキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基としては例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基及び4−メトキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基としては例えば、3−フェノキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基としては例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基、ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基及び4−メトキシベンゾイル基が挙げられる。
【0039】
群G3から選ばれる基を有するアルキル基としては例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、4−メチルベンジル基、フェノキシメチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基、フェナシル基及び2−カルボキシエチル基が挙げられる。
【0040】
式(2−1)において、Rで表される置換基を有していてもよいアリール基及びRで表される置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等のC〜C10アリール基が挙げられる。
かかるアリール基が有していてもよい置換基としては例えば、上述した群G2から選ばれる基が挙げられる。
【0041】
群G2から選ばれる基を有するアリール基としては例えば、4−クロロフェニル基及び4−メトキシフェニル基が挙げられる。
【0042】
式(2−1)において、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基又は置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基を形成していてもよい。2価の炭化水素基としては、例えばエチレン基、ビニリデン基、シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基及びo−フェニレン基が挙げられる。2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基が有していてもよい置換基としては例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びデシル基等の直鎖状又は分枝状のC〜C12アルキル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の環状のC〜C12アルキル基が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等のC〜C10アリール基が挙げられる。
【0043】
式(2−1)において、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、tert−ペンチル基及びデシル基等の直鎖状又は分岐状のC〜C12アルキル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基及びアダマンチル基等の環状のC〜C12アルキル基が挙げられる。
かかるアルキル基が有していてもよい置換基としては例えば、下記群G4から選ばれる基が挙げられる。
【0044】
<群G4>
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリール基、
フッ素原子を有していてもよいC〜C10アルコキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C20アラルキルオキシ基、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C20アラルキルオキシ基、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基、
及び
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基。
【0045】
群G4において、C〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリール基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基及び4−メトキシフェニル基が挙げられ、
フッ素原子を有していてもよいC〜C10アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基及びトリフルオロメトキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C20アラルキルオキシ基としては例えば、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基及び4−メトキシベンジルオキシ基が挙げられ、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C20アラルキルオキシ基としては例えば、3−フェノキシベンジルオキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アリールオキシ基としては例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基及び4−メトキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アリールオキシ基を有するC〜C10アリールオキシ基としては例えば、3−フェノキシフェノキシ基が挙げられ、
〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アシル基としては例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基、ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基及び4−メトキシベンゾイル基が挙げられる。
【0046】
群G4から選ばれる基を有するアルキル基としては例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、4−メチルベンジル基、フェノキシメチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基及びフェナシル基が挙げられる。
【0047】
式(2−1)において、Rで表される置換基を有していてもよいアリール基及びRで表される置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基等のC〜C20アリール基が挙げられる。
かかるアリール基が有していてもよい置換基としては例えば、下記群G5から選ばれる基が挙げられる。
【0048】
<群G5>
フッ素原子又はC〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アルコキシ基、
及び
ハロゲン原子。
【0049】
群G5において、フッ素原子又はC〜C10アルコキシ基を有していてもよいC〜C10アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基及びメトキシエトキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としては例えば、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。
【0050】
群G5から選ばれる基を有するアリール基としては例えば、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基及び2,6−ジクロロフェニル基が挙げられる。
【0051】
式(2−1)において、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。2価の炭化水素基としては、例えばエチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基等のポリメチレン基、ビニリデン基、シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基並びにo−フェニレン基が挙げられる。2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びデシル基等の直鎖状又は分枝状のC〜C12アルキル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の環状のC〜C12アルキル基が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等のC〜C10アリール基が挙げられる。
【0052】
式(2−1)において、Xで表される陰イオンとしては例えば、
塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、
メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート等のフッ素原子を有していてもよいアルカンスルホナートイオン、
トリフルオロアセテート、トリクロロアセテートイオン等のハロゲン原子を有していてもよいアセテートイオン、
硝酸イオン、
過塩素酸イオン、
テトラフルオロボレート、テトラクロロボレート等のテトラハロボレートイオン、
ヘキサフルオロホスファート等のヘキサハロホスファートイオン、
ヘキサフルオロアンチモナート、ヘキサクロロアンチモナート等のヘキサハロアンチモナートイオン、
ペンタフルオロスタンナート、ペンタクロロスタンナート等のペンタハロスタンナートイオン、
及び
テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等の置換基を有していてもよいテトラアリールボレート
が挙げられる。
【0053】
化合物(2−1)は、好ましくは式(2−2)で示される化合物(以下、「化合物(2−2)」と記すことがある。)又は式(2−3)で示される化合物(以下、「化合物(2−3)」と記すことがある。)であり、より好ましくは化合物(2−2)である。
即ち、本反応は、好ましくは化合物(2−2)又は化合物(2−3)と、塩基と、二酸化炭素と、α−ケトアルデヒドとを混合することにより実施され、より好ましくは化合物(2−2)と、塩基と、二酸化炭素と、α−ケトアルデヒドとを混合することにより実施される。また、本反応は、好ましくは化合物(2−2)又は化合物(2−3)に塩基を接触させることにより得られる化合物と、二酸化炭素との存在下に実施され、より好ましくは化合物(2−2)に塩基を接触させることにより得られる化合物と、二酸化炭素との存在下に実施される。
以下、化合物(2−2)及び化合物(2−3)について説明する。
【0054】
式(2−2)及び式(2−3)において、Rは式(2−1)におけるRと同義であり、Yは式(2−1)におけるYと同義である。式(2−2)及び式(2−3)におけるYが−N(R)−で表される基である場合、Rは式(2−1)におけるRと同義である。式(2−2)及び式(2−3)において、Xは式(2−1)におけるXと同義である。
【0055】
式(2−2)及び式(2−3)において、Yは−N(R)−で表される基であることが好ましい。
【0056】
式(2−2)において、R及びRの少なくともいずれかが嵩高い基であることが好ましく、R及びRのいずれもが嵩高い基であることがより好ましい。R及びRは同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。
ここで、R及びRにおける嵩高い基としては例えば、
tert−ブチル基、tert−ペンチル基等のC〜C12第三級アルキル基、
シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基、アダマンチル基等のC〜C10シクロアルキル基、
2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基等の少なくとも2位と6位とに置換基を有するフェニル基(2,6−ジ置換フェニル基)、
及び
2−メチルナフチル基等の2位にC〜C10アルキル基を有するナフチル基
が挙げられる。2,6−ジ置換フェニル基における置換基としては例えば、C〜C12アルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。
嵩高い基は、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基又は2,6−ジ置換フェニル基が好ましく、2,6−ジ置換フェニル基がより好ましく、2,6−ジイソプロピルフェニル基がより一層好ましい。
【0057】
式(2−2)においてRで表される置換基を有していてもよいアルキル基並びに式(2−2)及び式(2−3)においてRで表される置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝状又は環状のC〜C10アルキル基が挙げられる。
かかるアルキル基が有していてもよい置換基としては、上述した群G3から選ばれる基が挙げられる。群G3から選ばれる基を有するアルキル基としては例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、4−メチルベンジル基、フェノキシメチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基、フェナシル基及び2−カルボキシエチル基が挙げられる。
【0058】
式(2−2)においてRで表される置換基を有していてもよいアリール基並びに式(2−2)及び式(2−3)においてRで表される置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等のC〜C10アリール基が挙げられる。
かかるアリール基が有していてもよい置換基としては例えば、上述した群G2から選ばれる基が挙げられる。
【0059】
群G2から選ばれる基を有するアリール基としては例えば、4−クロロフェニル基及び4−メトキシフェニル基が挙げられる。
【0060】
式(2−2)において、RとRとが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。かかる環としては例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環及びベンゼン環が挙げられる。
【0061】
式(2−2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、R及びRは共に水素原子であることがより好ましい。
【0062】
式(2−2)及び式(2−3)において、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。2価の炭化水素基としては、例えばエチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基等のポリメチレン基、ビニリデン基、シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基並びにo−フェニレン基が挙げられる。2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基における、アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びデシル基等の直鎖状又は分枝状のC〜C12アルキル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の環状のC〜C12アルキル基が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基における、アリール基としては例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等のC〜C10アリール基が挙げられる。
【0063】
式(2−2)において、好ましくは、破線は当該箇所が二重結合であることを表す。
【0064】
化合物(2−2)としては例えば、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾリニウムクロライド、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリニウムクロライド、1,3−ジアダマンチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジアダマンチルイミダゾリニウムクロライド、1,3−ジフェニルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジフェニルイミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、
【0065】
4,5−ジメチル−1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、4,5−ジメチル−1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、4,5−ジメチル−1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、4,5−ジメチル−1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、4,5−ジクロロ−1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、4,5−ジクロロ−1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、4,5−ジフェニル−1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、4,5−ジフェニル−1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、
【0066】
4,5−ジフルオロ−1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、4,5−ジフルオロ−1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、4−メチル−1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、4−メチル−1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、1,3−ビス[(2,6−ジクロル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、1,3−ビス[(2,6−ジクロル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、1−tert−ブチル−3−フェニルイミダゾリウムクロライド、1−tert−ブチル−3−フェニルイミダゾリニウムクロライド、1−シクロヘキシル−3−[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、
【0067】
1−シクロヘキシル−3−[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、1−フェニル−3−[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、1−フェニル−3−[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、1−tert−ブチル−3−[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、1−tert−ブチル−3−[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、1−tert−ブチル−3−[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリウムクロライド、1−tert−ブチル−3−[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド、3−(2,6−ジイソプロピル)フェニル−4,5−ジメチルチアゾリウムクロライド、3−フェニル−4,5−ジメチルチアゾリウムクロライド、3−ベンジルチアゾリウムクロライド及び3−(2,4、6−トリメチル)フェニル−4,5−ジメチルチアゾリウムクロライドを挙げることができる。
【0068】
化合物(2−3)としては例えば、1,4−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾリ−4−ウムクロライド、1,3、4−トリフェニル−1H−1,2,4−トリアゾリ−4−ウムクロライド及び6,7−ジヒドロ−2−ペンタフルオロフェニル‐5H−ピロロ[2,1−c]−1,2,4−トリアゾリウムクロライドを挙げることができる。
【0069】
また、これら化合物(2−2)及び化合物(2−3)における「クロライド」が例えば「ヨーダイド」、「ブロマイド」、「メタンスルホナート」、「トリフルオロメタンスルホナート」、「ニトラート」、「ペルクロラート」、「テトラフルオロボレート」、「テトラクロロボレート」、「ヘキサフルオロホスファート」、「ヘキサフルオロアンチモナート」、「ヘキサクロロアンチモナート」、「ペンタフルオロスタンナート」、「ペンタクロロスタンナート」、「テトラフェニルボレート」、「テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート」、「テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート」に置き換わった化合物(2−2)及び化合物(2−3)も挙げることができる。
【0070】
化合物(2−1)は、市販品であっても良いし、例えばJ.Organometallic.Chem.Soc.,606,49(2000)やJ.Org.Chem.Soc.,73,2784(2008)に記載の方法に準じて製造することもできる。
化合物(2−1)の使用量は、α−ケトアルデヒド1モルに対して、好ましくは0.001モル〜0.5モルの範囲であり、より好ましくは0.01モル〜0.3モルの範囲である。
【0071】
本反応に用いられる塩基は、有機塩基、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基であることが好ましい。
【0072】
有機塩基としては例えば、
トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の第3級アミン、
1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]−5−デセン等の含窒素脂肪族環状化合物、
ピリジン、イミダゾール等の含窒素芳香族化合物、
及び
ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド
が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム及び炭酸水素リチウムが挙げられる。
アルカリ土類炭酸塩としては例えば、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。
塩基は、より好ましくは有機塩基である。
【0073】
塩基の使用量は、α−ケトアルデヒド1モルに対して、例えば0.001モル〜3モルの範囲であり、好ましくは0.001モル〜0.5モルの範囲であり、より好ましくは0.01モル〜0.3モルの範囲である。
【0074】
本反応に用いられる二酸化炭素は、ガス状のものであってもよいし、固体状のもの(ドライアイス)であってもよいし、超臨界状態のものであってもよい。ガス状の二酸化炭素は、窒素等の不活性ガスで希釈されたものであってもよい。
二酸化炭素の使用量は、α−ケトアルデヒド1モルに対して、好ましくは1モル以上であり、その上限は制限されないが、生産性の面から例えば100モル以下である。
【0075】
本反応は、さらに溶媒の存在下に行うこともできる。
溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば制限されず、例えば、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
溶媒の使用量は制限されず、α−ケトアルデヒド1重量部に対して、100重量部以下とすることが実用的である。
【0076】
本反応において、反応試剤の混合順序は制限されない。好ましい実施態様としては、例えば、α−ケトアルデヒドと、化合物(2−1)と、二酸化炭素と、必要に応じて溶媒とを混合し、得られる混合物に塩基を添加する方法が挙げられる。混合は、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0077】
本反応は、減圧下、常圧下又は加圧下のいずれの条件下でも行われるが、好ましくは常圧下又は加圧下のいずれかの条件下で行われる。
【0078】
本反応の温度は、化合物(2−1)の種類、使用量等及び塩基の種類、使用量等により異なるが、好ましくは−20℃〜150℃の範囲、より好ましくは0℃〜100℃の範囲から選択される。反応温度が−20℃よりも低い場合は、酸化の反応速度が低くなる傾向にあり、反応温度が150℃よりも高い場合は、反応の選択率が低下する傾向にある。
【0079】
本反応の進行度合いは、例えばガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、核磁気共鳴スペクトル分析、赤外吸収スペクトル分析等の分析手段により確認することができる。
【0080】
反応終了後、例えば、得られる反応混合物を必要に応じて硫酸、塩酸などの鉱酸で中和処理し、濃縮処理、冷却処理等を行うことにより、α−ケトカルボン酸を取り出すことができる。或いは得られる反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を加えて、α−ケトカルボン酸のアルカリ塩水溶液を調製し、当該アルカリ塩水溶液を、水に非混和性の有機溶媒で洗浄した後、得られるアルカリ塩水溶液を中和し、抽出操作及び/又は晶析操作を行うことで、α−ケトカルボン酸を取り出すことができる。
水に非混和性の有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル等のエステル溶媒及びメチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒が挙げられ、その使用量は制限されない。
取り出したα−ケトカルボン酸は、蒸留、カラムクロマトグラフィー、結晶化などの精製手段により、精製してもよい。
【0081】
かくして得られるα−ケトカルボン酸としては例えば、ベンゾイルギ酸、4−クロロベンゾイルギ酸、2−メチルベンゾイルギ酸、4−フルオロベンゾイルギ酸、4−メトキシベンゾイルギ酸、2−ニトロベンゾイルギ酸、2,4−ジクロロベンゾイルギ酸、2−ナフトイルギ酸、α−オキソ−2−ピリジン酢酸、ピルビン酸、2−オキソブタン酸、2−オキソペンタン酸、3−メチル−2−オキソブタン酸、α−オキソ−シクロヘキサン酢酸、4−(メチルチオ)−2−オキソ−ブタン酸、2−オキソ−3−ブテン酸及び2−オキソ−4−フェニル−3−ブテン酸が挙げられる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0083】
<実施例1>
磁気回転子を付した50mLシュレンク管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物260mg、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド50mg及びテトラヒドロフラン5gを仕込み、得られた混合物を25℃の水浴で保温しながら攪拌した。そこへドライアイス1.0gを加え、さらに1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン23mgを加えて反応を開始し、2時間室温で攪拌した。反応開始から30分後と、1時間後とにドライアイス各1gを反応混合物に加えた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0084】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は68%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから68%以上の収率で得られていた。
【0085】
<実施例2>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物260mg、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド50mg及びテトラヒドロフラン5gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gと炭酸カリウム520mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を60℃にて、2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0086】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は35%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから35%以上の収率で得られていた。
【0087】
<実施例3>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物200mg、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド30mg及びテトラヒドロフラン5gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gと炭酸水素ナトリウム50mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を60℃にて、6時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0088】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は50%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから50%以上の収率で得られていた。
<実施例4>
磁気回転子を付した50mLシュレンク管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物260mg、1,3−ビス[(2,4,6−トリメチル)フェニル]イミダゾリニウムテトラフルオロボレート50mg及びテトラヒドロフラン5gを仕込み、得られた混合物を25℃の水浴で保温しながら攪拌した。そこへドライアイス1.0gを加え、さらに1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン23mgを加えて反応を開始し、2時間室温で攪拌した。反応開始から30分後と、1時間後とにドライアイス各1gを反応混合物に加えた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0089】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は9%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから9%以上の収率で得られていた。原料のフェニルグリオキサールが55%回収された。
【0090】
<実施例5>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物260mg、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリニウムクロライド50mg及びテトラヒドロフラン5gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gと1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン23mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を25℃にて、2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0091】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は7%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから7%以上の収率で得られていた。原料のフェニルグリオキサールが45%回収された。
【0092】
<実施例6>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物200mg、1,4−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾリ−4−ウムヨーダイド25mg及びテトラヒドロフラン3gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gとトリエチルアミン10mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を60℃にて、6時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0093】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は25%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから25%以上の収率で得られていた。
【0094】
<実施例7>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物200mg、6,7−ジヒドロ−2−ペンタフルオロフェニル‐5H−ピロロ[2,1−c]−1,2,4−トリアゾリウムテトラフルオロボレート27mg及びテトラヒドロフラン3gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gと1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン10mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を40℃にて、6時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0095】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は10%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから10%以上の収率で得られていた。
【0096】
<実施例8>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でフェニルグリオキサール1水和物200mg、3−(2,6−ジイソプロピル)フェニル−4,5−ジメチルチアゾリウムクロライド21mg及びテトラヒドロフラン3gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gと1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン11mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を60℃にて、6時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ベンゾイルギ酸を含む黄色固体を得た。
【0097】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ベンゾイルギ酸のメチルエステルを得た。得られたベンゾイルギ酸メチルを含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、フェニルグリオキサールからベンゾイルギ酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は9%であった。即ち、ベンゾイルギ酸は、フェニルグリオキサールから9%以上の収率で得られていた。
【0098】
<実施例9>
磁気回転子を付したステンレス製100mL耐圧反応管に、窒素雰囲気下でメチルグリオキサール150mg、1,3−ビス[(2,6−ジイソプロピル)フェニル]イミダゾリウムクロライド50mg及びテトラヒドロフラン3gを仕込み、得られた混合物を−70℃のドライアイスバスにて冷却した。冷却した混合物にドライアイス2gと1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン11mgとを加えた後、耐圧反応管を密栓した。得られた混合物を25℃にて、2時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応混合物から溶媒を留去し、ピルビン酸を含む黄色固体を得た。
【0099】
収率の決定:
得られた黄色固体にメタノール5gを加え、さらにトリメチルシリルジアゾメタンの10%へキサン溶液を加えて、ピルビン酸のメチルエステルを得た。得られたピルビン酸を含むメタノール溶液を、ガスクロマトグラフィー内部標準法により分析し、メチルグリオキサールからピルビン酸メチルまでの収率を決定したところ、収率は2%であった。即ち、ピルビン酸は、メチルグリオキサールから2%以上の収率で得られていた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
α−ケトカルボン酸は、例えば還元アミノ化によりα−アミノ酸に変換できることから、医農薬等の製造中間体として有用な化合物であることが知られている。本発明は、かかるα−ケトカルボン酸の製造方法として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2−1)
【化1】

(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Yは−S−又は−N(R)−で表される基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基又は置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物と、塩基と、二酸化炭素と、α−ケトアルデヒドとを混合することにより、該α−ケトアルデヒドを酸化する工程を含むα−ケトカルボン酸の製造方法。
【請求項2】
前記α−ケトアルデヒドが、式(1)
【化2】

(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表わす。)
で表される化合物であり、前記α−ケトカルボン酸が、式(3)
【化3】

(式中、Rは上記と同義である。)
で示される化合物である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記式(2−1)で示される化合物が、式(2−2)
【化4】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、破線は、当該箇所が二重結合であってもよいことを表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表すか、或いはRとRとが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成している。Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物或いは式(2−3)
【化5】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記式(2−1)で示される化合物が前記式(2−2)で示される化合物である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項5】
式(2−2)において、Yが−N(R)−で表される基であり、R及びRがそれぞれ独立に、2,6−ジ置換フェニル基であり、R及びRが共に水素原子であり、破線が、当該箇所が二重結合であることを表す請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記塩基が、有機塩基、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基である請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
式(2−1)
【化6】

(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Yは−S−又は−N(R)−で表される基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基または置換基を有していてもよい−CH=N−で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物に塩基を接触させることにより得られる化合物と、二酸化炭素との存在下に、α−ケトアルデヒドを酸化する工程を含むα−ケトカルボン酸の製造方法。
【請求項8】
前記α−ケトアルデヒドが、式(1)
【化7】

(式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表わす。)
で表される化合物であり、前記α−ケトカルボン酸が、式(3)
【化8】

(式中、Rは上記と同義である。)
で示される化合物である請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
前記式(2−1)で示される化合物が、式(2−2)
【化9】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、破線は、当該箇所が二重結合であってもよいことを表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表すか、或いはRとRとが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に環を形成している。Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物或いは式(2−3)
【化10】

(式中、R及びYはそれぞれ上記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Xは陰イオンを表す。ここで、RとRとが一緒になって、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を形成していてもよい。)
で示される化合物である請求項7又は8記載の製造方法。
【請求項10】
前記式(2−1)で示される化合物が前記式(2−2)で示される化合物である請求項7又は8記載の製造方法。
【請求項11】
式(2−2)において、Yが−N(R)−で表される基であり、R及びRがそれぞれ独立に、2,6−ジ置換フェニル基であり、R及びRが共に水素原子であり、破線が、当該箇所が二重結合であることを表す請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記塩基が、有機塩基、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基である請求項7〜11のいずれか記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−67070(P2012−67070A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115453(P2011−115453)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】