説明

α−シヌクレイン毒性のモジュレーター

【課題】シヌクレイノパチー(synucleinopathy)を処置または予防する方法の提供。
【解決手段】ERからゴルジへの輸送の段階に機能する遺伝子の発現を調節するための組成物および方法であり、これらの遺伝子の発現またはコードされたタンパク質の活性を調節する化合物は、α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害するために用いられ、かつパーキンソン病のようなシヌクレイノパチーを処置または予防するために用いることができるα-シヌクレイン媒介性毒性の阻害剤を同定する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する組成物および方法、ならびにα-シヌクレイン媒介性毒性の阻害剤を同定するための方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年12月1日に出願された米国特許仮出願第60/632,291号、および2005年5月13日に出願された米国特許仮出願第60/681,126号からの優先権を主張する。これらの先行出願のそれぞれの全内容は、全体として参照により本明細書に組み入れられている。
【0003】
連邦政府の資金援助による研究に関する言明
本発明は、National Institutes of Healthにより授与された認可番号2P50 NS038372-0681による政府援助でなされた。政府は、本発明に一定の権利を有しうる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
パーキンソン病は、主要構成要素がα-シヌクレイン(Spillantini et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6469-6473, 1998(非特許文献1); Arai et al., Neurosci. Lett. 259:83-86, 1999(非特許文献2))、140アミノ酸のタンパク質(Ueda et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11282-11286, 1993(非特許文献3))、からなるフィラメントである、細胞質内のレビー小体(Lewy in Handbuch der Neurologie, M. Lewandowski, ed., Springer, Berlin, pp. 920-933, 1912(非特許文献4); Pollanen et al., J. Neuropath. Exp. Neurol. 52:183-191, 1993(非特許文献5))の存在により病理学的に特徴付けられる神経変性障害である。家族性若年性パーキンソン病を引き起こすα-シヌクレインにおける2つの優性突然変異が記載されており、レビー小体が、パーキンソン病および関連障害におけるニューロンの変性に機構的に寄与することを示唆している(Polymeropoulos et al., Science 276:2045-2047, 1997(非特許文献6); Kruger et al., Nature Genet. 18:106-108, 1998(非特許文献7); Zarranz et al., Ann. Neurol. 55:164-173, 2004(非特許文献8))。α-シヌクレイン遺伝子の三重化および二重化突然変異が、パーキンソン病の早期発症に結びつけられている(Singleton et al., Science 302:841, 2003(非特許文献9); Chartier-Harlin et al., Lancet 364:1167-1169, 2004(非特許文献10); Ibanez et al., Lancet 364:1169-1171, 2004(非特許文献11))。インビトロ研究は、組換えα-シヌクレインが実際、レビー小体様原線維を形成することができることを実証している(Conway et al., Nature Med. 4:1318-1320, 1998(非特許文献12); Hashimoto et al., Brain Res. 799:301-306, 1998(非特許文献13); Nahri et al., J. Biol. Chem. 274:9843-9846, 1999(非特許文献14))。両方のパーキンソン病関連α-シヌクレイン突然変異は、この凝集過程を促進し、そのようなインビトロ研究が、パーキンソン病病因について関連性がありうることを実証している。α-シヌクレイン凝集および原線維形成は、核形成依存性重合過程の基準を満たす(Wood et al., J. Biol. Chem. 274:19509-19512, 1999(非特許文献15))。この点において、α-シヌクレイン原線維形成は、アルツハイマーのβ-アミロイドタンパク質(Aβ)原線維のそれと似ている。α-シヌクレイン組換えタンパク質、およびα-シヌクレインの35アミノ酸のペプチド断片である非Aβ構成要素(NACとして知られている)の両方は、37℃でインキュベートされた場合、原線維を形成する能力をもち、コンゴレッド(偏光下で見る場合、赤色/緑色複屈折を示す)およびチオフラビンS(陽性蛍光を示す)のようなアミロイド染色で陽性である(Hashimoto et al., Brain Res. 799:301-306, 1998(非特許文献13); Ueda et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11282-11286, 1993(非特許文献3))。
【0005】
シヌクレインは、α-、β-、およびγ-シヌクレインから構成される小さなシナプス前ニューロンタンパク質のファミリーであり、α-シヌクレイン凝集体だけがいくつかの神経学的疾患と関連している(Ian et al., Clinical Neurosc. Res. 1:445-455, 2001(非特許文献16); Trojanowski and Lee, Neurotoxicology 23:457-460, 2002(非特許文献17))。いくつかの神経変性および/またはアミロイド疾患の原因におけるシヌクレイン(および特に、α-シヌクレイン)の役割は、いくつかの観察から明らかになっている。病理学的に、α-シヌクレインは、レビー小体、パーキンソン病の顕著な特徴の封入体、の主要構成要素であると同定され、その断片が、異なる神経学的疾患、アルツハイマー病のアミロイド斑から単離された。生化学的に、組換えα-シヌクレインは、レビー小体を伴う認知症、パーキンソン病および多系統萎縮症をもつ患者から単離されたα-シヌクレインの超微細構造的特徴を再現するアミロイド様原線維を形成することが示された。さらに、α-シヌクレイン遺伝子内の突然変異の同定は、家族性パーキンソン病のまれな症例においてでも、シヌクレイン病理学と神経変性疾患との間の明白な関連を実証した。パーキンソン病、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症およびアルツハイマー病のレビー小体変異体のような一連の疾患におけるα-シヌクレインの共通した関与は、「シヌクレイノパチー(synucleinopathies)」の包括的用語下でのこれらの疾患の分類へ導いている。
【0006】
α-シヌクレインの原線維形成および凝集は、パーキンソン病においてニューロン機能障害およびドーパミン作動性ニューロンの死に主要な役割を果たしていると考えられている。α-シヌクレインにおける突然変異または野生型α-シヌクレインのゲノム三重化(それの過剰発現へ導く)が、パーキンソン病の特定のまれな家族型を引き起こす。インビトロおよびインビボモデルは、野生型α-シヌクレインの過剰発現が、ニューロン細胞死を誘導することを示唆している。例えば、Polymeropoulos, et al. (1997) Science 276(5321):2045-7(非特許文献6), Kruger, et al. (1998) Nat Genet. 18(2):106-8(非特許文献7), Singleton, et al. (2003) Science 302(5646):841(非特許文献9), Miller, et al. (2004) Neurology 62(10):1835-8(非特許文献18), Hashimoto, et al. (2003) Ann N Y Acad Sci. 991:171-88(非特許文献19), Lo Bianco, et al. (2002) Proc Natl Acad Sci USA. 99(16):10813-8(非特許文献20), Lee, et al. (2002) Proc Natl Acad Sci USA. 99(13):8968-73(非特許文献21), Masliah, et al. (2000) Science 287(5456):1265-9(非特許文献22), Auluck, et al. (2002) Science 295(5556):865-8(非特許文献23), Oluwatosin-Chigbu et al. (2003) Biochem Biophys Res Commun 309(3):679-84(非特許文献24), Klucken et al. (2004) J Biol Chem. 279(24):25497-502(非特許文献25)を参照されたい。α-シヌクレインの毒性作用からニューロンを保護することは、パーキンソン病およびレビー小体認知症のような他のシヌクレイノパチーを処置するための有望なストラテジーである。
【0007】
従って、α-シヌクレイン毒性および/もしくは凝集を防ぐならびに/またはα-シヌクレイン原線維脱凝集を促進する、化合物および組成物の必要性がある。そのような化合物および組成物は、限定されるわけではないが、パーキンソン病(農薬、殺虫剤もしくは除草剤のような環境的薬剤、および/またはマグネシウム、アルミニウム、カドミウム、銅もしくは亜鉛のような金属への曝露により化学的に引き起こされるパーキンソン病を含む)、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症、およびアルツハイマー病のレビー小体変異体を含む、α-シヌクレイン媒介性疾患および障害またはα-シヌクレイン毒性が関与している疾患および障害の1つまたは複数の症状を処置するまたは寛解させるにおいて有用である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Spillantini et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6469-6473, 1998
【非特許文献2】Arai et al., Neurosci. Lett. 259:83-86, 1999
【非特許文献3】Ueda et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11282-11286, 1993
【非特許文献4】Lewy in Handbuch der Neurologie, M. Lewandowski, ed., Springer, Berlin, pp. 920-933, 1912
【非特許文献5】Pollanen et al., J. Neuropath. Exp. Neurol. 52:183-191, 1993
【非特許文献6】Polymeropoulos et al., Science 276:2045-2047, 1997
【非特許文献7】Kruger et al., Nature Genet. 18:106-108, 1998
【非特許文献8】Zarranz et al., Ann. Neurol. 55:164-173, 2004
【非特許文献9】Singleton et al., Science 302:841, 2003
【非特許文献10】Chartier-Harlin et al., Lancet 364:1167-1169, 2004
【非特許文献11】Ibanez et al., Lancet 364:1169-1171, 2004
【非特許文献12】Conway et al., Nature Med. 4:1318-1320, 1998
【非特許文献13】Hashimoto et al., Brain Res. 799:301-306, 1998
【非特許文献14】Nahri et al., J. Biol. Chem. 274:9843-9846, 1999
【非特許文献15】Wood et al., J. Biol. Chem. 274:19509-19512, 1999
【非特許文献16】Ian et al., Clinical Neurosc. Res. 1:445-455, 2001
【非特許文献17】Trojanowski and Lee, Neurotoxicology 23:457-460, 2002
【非特許文献18】Miller, et al. (2004) Neurology 62(10):1835-8
【非特許文献19】Hashimoto, et al. (2003) Ann N Y Acad Sci. 991:171-88
【非特許文献20】Lo Bianco, et al. (2002) Proc Natl Acad Sci USA. 99(16):10813-8
【非特許文献21】Lee, et al. (2002) Proc Natl Acad Sci USA. 99(13):8968-73
【非特許文献22】Masliah, et al. (2000) Science 287(5456):1265-9
【非特許文献23】Auluck, et al. (2002) Science 295(5556):865-8
【非特許文献24】Oluwatosin-Chigbu et al. (2003) Biochem Biophys Res Commun 309(3):679-84
【非特許文献25】Klucken et al. (2004) J Biol Chem. 279(24):25497-502
【発明の概要】
【0009】
本発明は、α-シヌクレインを発現する細胞が、小胞体(ER)からゴルジへの小胞輸送の障害を示すという発見に、少なくとも一部、基づいている。2058個の酵母遺伝子のスクリーニングにおいて、ERからゴルジへの輸送の段階で機能するいくつかの遺伝子が、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を抑制するまたは増強すると同定された。この発見は、α-シヌクレイン媒介性毒性を調節する化合物を同定するためのスクリーニングの実行を可能にする。そのようなスクリーニングにより同定された化合物は、パーキンソン病のようなシヌクレイノパチーの処置または予防のための候補薬として用いられうる。
【0010】
TBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物を、必要としている被検体に投与することにより、シヌクレイノパチーを処置または予防する方法が本明細書に記載されている。いくつかの態様において、シヌクレイノパチーは、パーキンソン病(農薬、殺虫剤もしくは除草剤のような環境的薬剤、および/またはマグネシウム、アルミニウム、カドミウム、銅もしくは亜鉛のような金属への曝露により化学的に引き起こされるパーキンソン病を含む)、レビー小体認知症、純粋自律神経不全症、または多系統萎縮症である。
【0011】
毒性を誘導する量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を、GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する化合物の有効量と接触させることにより、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害する方法もまた開示されている。
【0012】
いくつかの態様において、方法に用いられる化合物は、そのタンパク質をコードするRNAの翻訳を阻害する核酸を含む。他の態様において、方法に用いられる化合物は、そのタンパク質をコードするDNAの転写を阻害する核酸を含む。
【0013】
以下の段階によりα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;(ii)GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する作用物質と細胞を接触させる段階;および(iii)作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【0014】
以下の段階によりα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する作用物質を同定するためにスクリーニングする段階;(ii)細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;(iii)細胞を作用物質と接触させる段階;および(iv)作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【0015】
以下の段階によりタンパク質の発現を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703を発現する細胞を供給する段階;(ii)細胞を作用物質と接触させる段階;および(iii)作用物質の存在下でタンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の発現が低下することにより、作用物質がタンパク質の発現を阻害する化合物であると同定される段階。
【0016】
以下の段階によりタンパク質の発現を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:
(i)(i)GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703をコードする遺伝子のプロモーター配列、および(ii)レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、レポーター構築物を含む細胞を供給する段階;
(ii)細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに
(iii)作用物質の存在下でレポータータンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるレポータータンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるレポータータンパク質の発現が低下することにより、作用物質がタンパク質の発現を阻害する化合物であると同定される段階。
【0017】
以下の段階によりタンパク質の活性を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703を供給する段階;(ii)タンパク質を作用物質と接触させる段階;および(iii)作用物質の存在下でタンパク質の活性を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の活性と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の活性が低下することにより、作用物質がタンパク質の活性を阻害する化合物であると同定される段階。
【0018】
前述の方法において、作用物質は、合成化合物または天然化合物でありうる。例えば、作用物質は、小分子、核酸、タンパク質、抗体またはペプチド模倣体でありうる。方法に用いられる細胞は、真核細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)または原核細胞でありうる。
【0019】
以下の段階によりシヌクレイノパチーの存在、またはシヌクレイノパチー発症に対する感受性について個体を評価する方法もまた開示されている:(i)第一の被験体から生体試料を得る段階;(ii)TBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1もしくはKIAA0703の発現または活性について試料を分析する段階;および(iii)第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性を、シヌクレイノパチーに罹患していない、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがない第二の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性と比較する段階であって、第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性の増加により、被験体がシヌクレイノパチーに罹患している、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがある個体であることが示される段階。
【0020】
TBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物もまた開示されている。いくつかの例において、化合物は、そのタンパク質をコードするRNAの翻訳を阻害する核酸を含む。他の例において、化合物は、そのタンパク質をコードするDNAの転写を阻害する核酸を含む。
【0021】
必要としている被験体に、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物を投与することにより、シヌクレイノパチーを処置または予防する方法もまた開示されている。いくつかの態様において、シヌクレイノパチーは、パーキンソン病(農薬、殺虫剤もしくは除草剤のような環境的薬剤、および/またはマグネシウム、アルミニウム、カドミウム、銅もしくは亜鉛のような金属への曝露により化学的に引き起こされるパーキンソン病を含む)、レビー小体認知症、純粋自律神経不全症、または多系統萎縮症である。
【0022】
前述の方法のいくつかの態様において、薬学的組成物は、(i)RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される単離されたポリペプチドの治療量または予防量、ならびに(ii)薬学的に許容される担体を含む。
【0023】
毒性を誘導する量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を、YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する化合物の有効量と接触させることにより、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害する方法もまた開示されている。
【0024】
以下の段階によりα-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;(ii)YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する作用物質と細胞を接触させる段階;ならびに(iii)作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【0025】
以下の段階によりα-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害する化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する作用物質を同定するためにスクリーニングする段階;(ii)細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;(iii)細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに(iv)作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【0026】
以下の段階によりタンパク質の発現を増加させる化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質を発現する細胞を供給する段階;(ii)細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに(iii)作用物質の存在下でタンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の発現が増加することにより、作用物質がタンパク質の発現を増加させる化合物であると同定される段階。
【0027】
以下の段階によりタンパク質の発現を増加させる化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)(a)YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター配列ならびに(b)レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、レポーター構築物を含む細胞を供給する段階;(ii)細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに(iii)作用物質の存在下でレポータータンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるレポータータンパク質の発現が増加することにより、作用物質がタンパク質の発現を増加させる化合物であると同定される段階。
【0028】
以下の段階によりタンパク質の活性を増加させる化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質を供給する段階;(ii)タンパク質を作用物質と接触させる段階;ならびに(iii)作用物質の存在下でタンパク質の活性を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の活性と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の活性が増加することにより、作用物質がタンパク質の活性を増加させる化合物であると同定される段階。
【0029】
前述の方法において、作用物質は、合成化合物または天然化合物でありうる。例えば、作用物質は、小分子、核酸、タンパク質、抗体またはペプチド模倣体でありうる。方法に用いられる細胞は、真核細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)または原核細胞でありうる。
【0030】
以下の段階によりシヌクレイノパチーの存在、またはシヌクレイノパチー発症に対する感受性について個体を評価する方法もまた開示されている:(i)第一の被験体から生体試料を得る段階;(ii)RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性について試料を分析する段階;ならびに(iii)第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性を、シヌクレイノパチーに罹患していない、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがない第二の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性と比較する段階であって、第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性の減少により、被験体がシヌクレイノパチーに罹患している、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがある個体であることが示される段階。
【0031】
以下の段階によりシヌクレイノパチーの存在、またはシヌクレイノパチー発症に対する感受性について個体を評価する方法もまた開示されている:(i)第一の被験体から生体試料を得る段階;(ii)RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される第一のタンパク質の発現または活性について試料を分析する段階;(iii)第二のタンパク質の発現または活性について試料を分析する段階であって、第二のタンパク質がTBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1、またはKIAA0703である段階;ならびに(iv)第一の被験体由来の試料における第一のタンパク質および第二のタンパク質の発現または活性を、シヌクレイノパチーに罹患していない、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがない第二の被験体由来の試料における第一のタンパク質および第二のタンパク質の発現または活性と比較する段階であって、第一の被験体由来の試料における第一のタンパク質の発現または活性の減少および第二のタンパク質の発現または活性の増加により、被験体はシヌクレイノパチーに罹患している、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがある個体であることが示される段階。
【0032】
RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増加させる化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物もまた開示されている。いくつかの態様において、薬学的組成物は、(i)RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される単離されたポリペプチドの治療量または予防量、ならびに(ii)薬学的に許容される担体を含む。
【0033】
以下の段階により小胞体からゴルジへの小胞輸送を増加させる化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)小胞体からゴルジへの小胞輸送を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;(ii)細胞を作用物質と接触させる段階;および(iii)作用物質の存在下で細胞における小胞体からゴルジへの小胞輸送を測定する段階であって、作用物質の非存在下における小胞体からゴルジへの小胞輸送と比較して作用物質の存在下における小胞体からゴルジへの小胞輸送が増加することにより、作用物質が小胞体からゴルジへの小胞輸送を増加させる化合物であると同定される段階。
【0034】
以下の段階により小胞のドッキングおよび/または融合を増加させる化合物を同定する方法もまた開示されている:(i)小胞のドッキングおよび/または融合を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;(ii)細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに(iii)作用物質の存在下で細胞における小胞のドッキングおよび/または融合を測定する段階であって、作用物質の非存在下における小胞のドッキングおよび/または融合と比較して作用物質の存在下における小胞のドッキングおよび/または融合が増加することにより、作用物質が小胞のドッキングおよび/または融合を増加させる化合物であると同定される段階。例示的なドナー小胞/アクセプター膜は、ER小胞/ゴルジ膜およびシナプス小胞/シナプス前膜を含む。
【0035】
α-シヌクレインをコードする第一の発現ベクター、およびGYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703をコードする第二の発現ベクターを含む細胞もまた開示されている。細胞は、真核細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)または原核細胞でありうる。
【0036】
α-シヌクレインをコードする第一の発現ベクター、ならびにYPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質をコードする第二の発現ベクターを含む細胞もまた開示されている。細胞は、真核細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)または原核細胞でありうる。
【0037】
他に規定がない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、当業者により一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと類似または等価の方法および材料は、本発明の実施または試験に用いられうるが、好ましい方法および材料は下に記載されている。本明細書に挙げられたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として参照により組み入れられている。矛盾の場合、定義を含む本出願が、支配するものとする。加えて、材料、方法および実施例は、例証となるのみであり、限定することを意図しない。
【0038】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載から、および特許請求の範囲から明らかであると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(A)α-シヌクレイン誘導中の生存率曲線を示す。aSyn-WT、aSyn-A53T発現または対照細胞(ベクター)の誘導後、1 OD600nm細胞を収集し、記載されているように処理した。コロニー形成単位を測定し、相対的パーセンテージへ変換した;(B)α-シヌクレイン誘導中の増殖曲線を示す。誘導後、各試料についてのOD600nmを、示された時点において測定した;(C)aSyn-WT、aSyn-A53Tの発現について誘導された細胞、または対照細胞(ベクター)を、示された時点において収集し、UPR活性化のレベルを測定し、ERストレスの相対的単位としてプロットした。aSyn-WTまたはaSyn-A53Tの発現について6時間、誘導された細胞における、Deg1-βGal(D)、Sec61-2p(E)、およびCPY*(F)の分解率は、方法に記載されているように、パルス/チェイス免疫沈降により測定し、対照細胞(ベクター)のそれと比較した。
【図2】aSyn-WTまたはaSyn-A53Tを発現する細胞におけるCPY(A、B)およびALP(C、D)の輸送を示す。CPY輸送は、パルス/チェイス免疫沈降により示された時点においてモニターし、対照細胞(ベクター)と比較した。(B)ERに残存するCPYの量のグラフ表示(p1/p1+p2+mCPY)である。(D)ERに残存するALPの量のグラフ表示(p1/p1+mALP)である。CPYについて、p1=ER型、p2=ゴルジ型、およびm=成熟液胞型。ALPについて、p=ER型、およびm=成熟液胞型である。
【図3】(A)ER-ゴルジ輸送遺伝子YPT1、YKT6、ERV29およびBRE5の過剰発現はα-シヌクレイン誘導性毒性を抑制し、一方、GYP8過剰発現は毒性を増強する、(B)他のRab GTPアーゼの過剰発現は増殖に効果を生じないため、毒性の抑制はYPT1により促進される輸送段階に特異的であることを示す、スポッティングアッセイを示す。
【図4】aSyn-WTを発現させ、かつガラクトース誘導性GYP8(A、C)、ガラクトース誘導性YPT1(A、C)、またはSLY1-20(B、D)のいずれかを含む細胞におけるCPYの輸送を示す。CPY輸送は、7時間(B、D)または8時間(A、C)誘導後、放射標識によりモニターし、対照細胞(ベクター)と比較した。(C、D)ERに残存するCPYの量のグラフ表示(p1/p1+p2+mCPY)である。(E)aSyn-WT-DsRedおよびGFP-Ypt1pを発現する細胞は、α-シヌクレイン誘導の6時間後、蛍光顕微鏡により調べた。(F)aSyn-WT-GFPおよびErv29p-HAを発現する細胞は、α-シヌクレイン誘導の6時間後、固定され、抗HAおよびAlexa Fluor 568抗体で染色され、Erv29p-HAのみを発現する細胞と比較した。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
ERからゴルジへの輸送段階に機能するタンパク質をコードする特定の遺伝子の過剰発現が、結果として、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性の調節を生じるということが見出されている。従って、コードされたタンパク質のこれらの遺伝子または活性の発現を調節する化合物が、α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害するために用いることができる、およびパーキンソン病のようなシヌクレイノパチーを処置または予防するために用いることができる。
【0041】
α-シヌクレイン媒介性毒性のモジュレーター
添付の実施例に詳述されているように、酵母細胞においてα-シヌクレインの過剰発現に関連した細胞毒性を調節するいくつかの遺伝子が同定されている。これらの遺伝子は酵母において過剰発現される場合、毒性を抑制することが見出され、このことから該遺伝子の発現および/または遺伝子によりコードされたタンパク質の活性を増強することにより、α-シヌクレイン発現細胞における毒性の抑制につながることが予想される。逆に、酵母において過剰発現される場合、毒性を増強することが見出されたそれらの遺伝子について、遺伝子の発現および/または遺伝子によりコードされるタンパク質の活性を阻害することが、α-シヌクレイン発現細胞において毒性の抑制を生じることが予想される。
【0042】
α-シヌクレインが本明細書に記載された酵母モデル系において毒性を誘導する機構は、α-シヌクレインがヒト細胞において毒性を誘導する機構と類似していることが予想される。酵母細胞においてα-シヌクレイン媒介性毒性を調節すると同定された酵母遺伝子の多くは、ヒトにおけるオルソロガスなまたは高度に関連した遺伝子を有する(表1)。結果として、同定された酵母遺伝子のヒトでの対応物は、ヒト細胞においてα-シヌクレイン媒介性毒性を調節するための有用な標的であることが予想される。
【0043】
表1は、本明細書に同定されたヒト遺伝子のそれぞれについてのヌクレオチドおよびタンパク質配列に対応するGenBank(商標)アクセッション番号を列挙する。以下のセクションに詳述されているように、これらのヌクレオチドおよびタンパク質配列は、遺伝子の発現またはコードされた遺伝子産物の活性を調節する化合物(限定されるわけではないが、核酸、ペプチド、抗体を含む)を作製するために用いることができる。α-シヌクレイン媒介性毒性のモジュレーターであると本明細書で同定された遺伝子は、次のセクション(例えば、スクリーニングアッセイに関する)において「標的遺伝子」と呼ばれ、コードされたタンパク質は「標的タンパク質」と呼ばれる。
【0044】
(表1)α-シヌクレイン毒性を調節する酵母遺伝子のヒトでの対応物



【0045】
GYP8(またはヒトTBC1ドメインファミリー、メンバー20)の発現または活性を阻害する化合物は、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害することが予想される。YPT1(またはヒトRAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12)、YKT6(またはヒトhYKT6)、またはERV29(またはヒトSURF-4)、BRE5(またはヒトG3BP1もしくはG3BP2)、BET1(またはヒトhBET1)、またはSEC22(またはヒトSEC22BもしくはSEC22A)の発現または活性を阻害する化合物は、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害することが予想される。
【0046】
本明細書に詳述されているように、遺伝子YPT1の過剰発現により、酵母においてα-シヌクレイン媒介性毒性が抑制された。いくつかの遺伝子が、YPT1の機能喪失突然変異のサプレッサーであることが知られている。結果として、これらのYPT1サプレッサー遺伝子の発現または活性を増強する化合物もまた、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害することが予想される。この予想と一致して、YPT1サプレッサー遺伝子、SEC22、BET1およびYKT6の過剰発現は、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害することが見出された。表2は、突然変異体YPT1のサプレッサーであるいくつかの遺伝子(およびヒトでの対応物)を列挙する。
【0047】
(表2)突然変異体YPT1のサプレッサー

【0048】
SEC22(またはヒトSEC22BもしくはSEC22A)、BET1(またはヒトhBET1)、YKT6(またはヒトhYKT6)、SLY41(またはヒトSLC35E1)、MRS6(またはヒトGDI2、GDI1、CHMLまたはCHM)、またはUSO1(またはヒトVDP)の発現または活性を増強する化合物は、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害することが予想される。突然変異体PMR1は、YPT1機能喪失突然変異を抑制するため、PMR1(またはヒトATPC1またはKIAA0703)の発現または活性を阻害する化合物は、α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害することが予想される。
【0049】
スクリーニングアッセイ
本明細書に記載された方法は、選択された標的遺伝子もしくはそれらのタンパク質産物の発現または活性を調節する(すなわち、増加させるまたは減少させる)化合物を同定するための方法(「スクリーニングアッセイ」とも本明細書で呼ばれる)を含む。そのような化合物は、例えば、ポリペプチド、ペプチド、抗体、ペプチド模倣体、ペプトイド、無機小分子、非核酸有機小分子、核酸(例えば、アンチセンス核酸、siRNA、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド)、糖質、または標的タンパク質に結合する、例えば、標的遺伝子の発現もしくは標的タンパク質の活性へ、刺激性もしくは阻害性効果を生じる他の作用物質を含む。このように同定された化合物は、治療プロトコールにおいて、標的遺伝子もしくは標的タンパク質の発現または活性を調節するために用いることができる。
【0050】
一般的に、スクリーニングアッセイは、試験試料(すなわち、標的核酸または標的タンパク質を含む試料)において、標的核酸もしくは標的タンパク質の発現または活性への試験作用物質の効果をアッセイする段階を含む。試験化合物もしくは作用物質の存在下における発現または活性は、対照試料(すなわち、同じ条件下であるが、試験化合物無しでインキュベートされる、標的タンパク質を含む試料)における発現または活性と比較されうる。対照と比較された、試験試料における標的核酸もしくは標的タンパク質の発現または活性の変化により、試験作用物質または化合物が、標的核酸もしくは標的タンパク質の発現または活性を調節し、候補作用物質であることが示される。
【0051】
化合物は、本明細書に記載された標的タンパク質により媒介される1つまたは複数の活性を調節するそれらの能力について試験されうる。例えば、表1、2もしくは3に列挙された遺伝子の発現またはタンパク質の活性を調節する化合物は、α-シヌクレインを発現する細胞において毒性を調節するそれらの能力について、および/またはERからゴルジへの輸送を調節するそれらの能力について、試験されうる。そのような活性について化合物をアッセイする方法は、当技術分野において公知である。場合によっては、化合物は、標的遺伝子発現または標的タンパク質への結合に直接的に影響を及ぼす(例えば、細胞における標的RNAの量を減少させる、または細胞における標的タンパク質の量を減少させることにより)能力、および標的タンパク質と関連した代謝効果を調節する能力について試験される。
【0052】
一つの態様において、アッセイは、細胞における標的タンパク質またはその生物活性部分の基質である候補または試験分子をスクリーニングするために提供される。もう一つの態様において、アッセイは、標的タンパク質に結合するか、または標的タンパク質もしくはその生物活性部分の活性を調節する候補または試験化合物をスクリーニングするためである。そのような化合物は、標的タンパク質とそのリガンドとの間の相互作用を乱すものを含む。
【0053】
方法に用いられる試験化合物は、以下を含むコンビナトリアルライブラリー方法を含む当技術分野における多数のアプローチのいずれかを用いることにより得ることができる:生物学的ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能性をもつ分子だが、酵素分解に抵抗性である新規な非ペプチドバックボーンをもち、それでもなお生物活性のあるままである、分子のライブラリー;例えば、Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37:2678);空間的にアドレス可能な並列固相または溶液相ライブラリー;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー方法。生物学的ライブラリーおよびペプトイドライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマー、または小分子ライブラリーに適用できる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。
【0054】
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、文献に、例えば、以下において、見出されうる:DeWitt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6909, 1993; Erb et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:11422, 1994; Zuckermann et al., J. Med. Chem. 37:2678, 1994; Cho et al., Science 261:1303, 1993; Carrell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059, 1994; Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33:2061, 1994;およびGallop et al., J. Med. Chem., 37:1233, 1994。
【0055】
化合物のライブラリーは、溶液中に(例えば、Houghten, Bio/Techniques, 13:412421, 1992)、またはビーズ(Lam, Nature, 354:82-84, 1991)、チップ(Fodor, Nature 364:555-556, 1993)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;および第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:1865-1869, 1992)、もしくはファージ(Scott and Smith, Science, 249:386-390, 1990; Devlin, Science, 249:404-406, 1990; Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378-6382, 1990;およびFelici, J. Mol. Biol., 222:301-310, 1991)上に提示されうる。
【0056】
一つの態様において、標的タンパク質またはその生物活性部分を発現する細胞を試験化合物と接触させる、細胞に基づいたアッセイが用いられる。その後、標的タンパク質の発現または活性を調節する試験化合物の能力が測定される。細胞は、例えば酵母細胞、または哺乳動物起源、例えばラット、マウスもしくはヒトの細胞でありうる。
【0057】
標的タンパク質に結合する、または標的タンパク質の化合物、例えば標的タンパク質基質への結合を調節する試験化合物の能力もまた評価されうる。これは、例えば、化合物、例えば基質の標的タンパク質への結合が、複合体において標識された化合物、例えば基質を検出することにより測定されうるように、化合物、例えば基質を放射性同位元素または酵素標識と連結することにより、達成されうる。または、標的タンパク質は、複合体において標的タンパク質の標的タンパク質基質への結合を調節する試験化合物の能力をモニターするために、放射性同位元素または酵素標識と連結されうる。例えば、化合物(例えば、標的タンパク質基質)は、125I、35S、14Cまたは3Hで、直接的または間接的のいずれかで標識することができ、放射線同位元素は、放射能放出の直接的カウンティングにより、またはシンチレーションカウンティングにより検出される。または、化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識することができ、酵素標識は、適切な基質の生成物への変換の測定により検出される。
【0058】
標的タンパク質と、反応体のいずれかの標識有りまたは無しで、相互作用する化合物(例えば、標的タンパク質基質)の能力が評価されうる。例えば、微視的生理機能測定器が、化合物または標的タンパク質のどちらの標識も無しに、化合物の標的タンパク質との相互作用を検出するために用いられうる(McConnell et al., Science 257:1906-1912, 1992)。本明細書に用いられる場合、「微視的生理機能測定器」(例えば、Cytosensor(商標))は、細胞がその環境を酸性化する速度を、光アドレス可能電位差測定センサー(LAPS)を用いて測定する分析装置である。この酸性化速度における変化は、化合物と標的タンパク質との間の相互作用の指標として用いられうる。
【0059】
さらにもう一つの態様において、標的タンパク質またはその生物活性部分を試験化合物と接触させる無細胞アッセイが提供され、標的タンパク質またはその生物活性部分に結合する試験化合物の能力が評価される。一般的に、本明細書に記載されたアッセイに用いられうる標的タンパク質の生物活性部分は、他の分子との相互作用に関与する断片、例えば、高い表面確率スコアをもつ断片を含む。
【0060】
無細胞アッセイは、標的タンパク質および試験化合物の反応混合物を、2つの構成要素が相互作用および結合し、それに従って、除去および/または検出されうる複合体を形成するのを可能にするのに十分な条件下ならびに時間で、調製する段階を含む。
【0061】
2つの分子間の相互作用はまた、蛍光エネルギー移動(FET)を用いて検出されうる(例えば、Lakowicz et al., 米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulos et al., 米国特許第4,868,103号参照)。第一の「ドナー」分子上のフルオロフォア標識は、それの放射される蛍光エネルギーが、次に吸収されたエネルギーのために蛍光を発することができる第二の「アクセプター」分子上の蛍光標識により吸収されるように選択される。または、「ドナー」タンパク質分子は、トリプトファン残基の天然の蛍光エネルギーを用いうる。「アクセプター」分子標識が「ドナー」のそれから区別されうるように、光の異なる波長を放射する標識が選択される。標識間のエネルギー移動の効率は、分子を隔てる距離に関連しているため、分子間の空間的関係が評価されうる。結合が分子間で生じる状況において、アッセイにおける「アクセプター」分子標識の蛍光放射は最大になるはずである。FET結合事象は、当技術分野において周知の標準蛍光定量的検出手段を通して(例えば、蛍光計を用いて)便利に測定されうる。
【0062】
もう一つの態様において、標的分子に結合する標的タンパク質の能力は、リアルタイム生体分子相互作用分析(Biomolecular Interaction Analysis)(BIA)を用いて測定されうる(例えば、Sjolander et al., Anal. Chem., 63:2338-2345, 1991およびSzabo et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 5:699-705, 1995)。「表面プラズモン共鳴」または「BIA」は、反応体のいずれも標識することなく、リアルタイムに生体特異的相互作用を検出する(例えば、BIAcore)。結合表面における質量の変化は、結果として、表面近くの光の屈折率の変化(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)を生じ、それが結果として、生体分子間のリアルタイム反応の指標として用いられうる検出可能なシグナルを生じる。
【0063】
様々なこれらのアッセイにおいて、標的タンパク質または試験物質は、固相上へ固着される。固相に固着された標的タンパク質/試験化合物複合体は、反応の終わりに検出されうる。一般的に、標的タンパク質が、固体表面上に固着され、試験化合物(固着されていない)は、本明細書に考察された検出可能な標識で、直接的または間接的のいずれかで標識されうる。
【0064】
タンパク質の一方または両方の複合体化型の非複合体化型からの分離を促進するために、およびアッセイの自動化に適応させるために、標的タンパク質、抗標的タンパク質抗体、またはそれの標的分子のいずれかを固定することが望ましい場合もある。試験化合物の存在下および非存在下における、試験化合物の標的タンパク質への結合、または標的タンパク質の標的分子との相互作用は、反応物を含むのに適した任意の容器で達成されうる。そのような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管を含む。一つの態様において、タンパク質の一方または両方がマトリックスへ結合するのを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、供給されうる。例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ/標的タンパク質の融合タンパク質、またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ/標的の融合タンパク質が、グルタチオンSepharose(商標)ビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, Mo.)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上へ吸着され、その後、試験化合物、または試験化合物およびどちらかの非吸着標的タンパク質と結合する。混合物は、その後、複合体形成へ伝導力のある条件下で(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)、インキュベートされる。 インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルは、いかなる結合していない成分も除去するように洗浄され、ビーズの場合、マトリックスは固定化され、複合体は、例えば上記のように、直接的または間接的のいずれかで測定される。または、複合体は、マトリックスから分離され得、標的タンパク質結合または活性のレベルは、標準技術を用いて測定される。
【0065】
標的タンパク質またはマトリックスを固定化するための他の技術は、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を用いることを含む。ビオチン化標的タンパク質は、当技術分野において公知の技術を用いて、ビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシニミド)から調製され(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill.)、ストレプトアビジンコーティング化96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化されうる。
【0066】
アッセイを行うために、非固定化成分が、固着された成分を含むコーティング化表面へ添加される。反応が完了した後、未反応成分は、形成されたいかなる複合体も固体表面上に固定化されたままであるような条件下で除去される(例えば、洗浄により)。固体表面上に固着された複合体は、いくつかの方法で検出されうる。前には固定化されていない成分があらかじめ標識されている場合、表面上に固定化された標識の存在は、複合体が形成されたことを示す。前には固定化されていない成分があらかじめ標識されていない場合、間接的標識が、表面上に固着された複合体を検出するために用いられうる;例えば、固定化成分に特異的な標識抗体を用いて(抗体は、次に、例えば、標識抗Ig抗体で直接的に標識されうる、または間接的に標識されうる)。
【0067】
ある場合には、アッセイは、標的タンパク質と反応性であるが、標的タンパク質のそれの標的分子への結合に干渉しない抗体を利用して行われる。そのような抗体は、プレートのウェルへ誘導体化することができ、結合していない標的タンパク質が、抗体結合によりウェル内に捕捉される。GST固定化複合体についての上記の方法に加えて、そのような複合体を検出するための方法は、標的タンパク質または標的分子と反応性の抗体を用いる複合体の免疫検出、および標的タンパク質と付随した酵素活性を検出することに頼る酵素結合アッセイを含む。
【0068】
または、無細胞アッセイが液相において行われうる。そのようなアッセイにおいて、反応生成物は、限定されるわけではないが、以下を含むいくつかの標準技術のいずれかにより、未反応成分から分離される:分画遠心法(例えば、Rivas and Minton, Trends Biochem. Sci., 18:284-7, 1993参照);クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー);電気泳動法(例えば、Ausubel et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology 1999, J. Wiley: New York);および免疫沈降法(例えば、Ausubel et al., eds., 1999, Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley: New York参照)。そのような樹脂およびクロマトグラフィー技術は、当業者に公知である(例えば、Heegaard, J. Mol. Recognit., 11:141-148, 1998; Hage et al., J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl., 699:499-525, 1997)。さらに、蛍光エネルギー移動もまた、溶液からの複合体のさらなる精製なしに結合を検出するために、本明細書に記載されているように、便利に利用されうる。
【0069】
アッセイは、アッセイ混合物を形成するために、標的タンパク質またはその生物活性部分を、標的タンパク質に結合する公知の化合物と接触させる段階、アッセイ混合物を試験化合物と接触させる段階、および標的タンパク質と相互作用する試験化合物の能力を測定する段階であって、標的タンパク質と相互作用する試験化合物の能力を測定する段階が、標的タンパク質またはその生物活性部分に優先的に結合する、または公知の化合物と比較して標的分子の活性を調節する、試験化合物の能力を測定する段階を含む段階を含むことができる。
【0070】
標的タンパク質は、インビボで、タンパク質のような、1つもしくは複数の細胞または細胞外高分子と相互作用することができる。この考察の目的として、そのような細胞および細胞外高分子は、本明細書で「結合パートナー」と呼ばれる。そのような相互作用を乱す化合物は、標的タンパク質の活性を制御するのに有用である。そのような化合物は、限定されるわけではないが、抗体、ペプチドおよび小分子のような分子を含みうる。一般的に、相互作用を乱す作用物質を同定することに用いる標的タンパク質は、本明細書で同定された標的タンパク質である。他の態様において、本発明は、標的タンパク質の下流エフェクターの活性の調節を通して標的タンパク質の活性を調節する試験化合物の能力を測定するための方法を提供する。例えば、本明細書に記載されているように、エフェクター分子の適切な標的への活性が測定されうる、またはエフェクターの適切な標的への結合が測定されうる。
【0071】
標的タンパク質とそれの結合パートナーの間の相互作用に干渉する化合物を同定するために、標的タンパク質および結合パートナーを含む反応混合物が、2つの産物が複合体を形成することを可能にするのに十分な条件下および時間で、調製される。阻害性作用物質を試験するために、反応混合物は、試験化合物の存在下(試験試料)および非存在下(対照試料)において供給される。試験化合物は、最初に反応混合物に含まれうる、または標的遺伝子およびそれの細胞もしくは細胞外結合パートナーの添加の後の時点で添加されうる。対照反応混合物は、試験化合物無しで、または対照化合物と、インキュベートされる。標的タンパク質と細胞または細胞外結合パートナーとの間の複合体の形成は、その後、検出される。対照反応における複合体の形成、および試験化合物を含む反応混合物における複合体のより少ない形成は、化合物が、標的タンパク質および相互作用性結合パートナーの相互作用を干渉することを示す。そのような化合物は、標的タンパク質の発現または活性を阻害するための候補化合物である。さらに、試験化合物および正常な標的タンパク質を含む反応混合物内での複合体形成はまた、試験化合物および突然変異体標的遺伝子産物を含む反応混合物内での複合体形成と比較されうる。この比較は、突然変異体の相互作用を乱すが、正常な標的タンパク質の相互作用を乱さない化合物を同定することが望ましい場合、重要でありうる。
【0072】
結合アッセイは、液相において、または異種形式で行われうる。異種性アッセイ系の一つの形態において、標的タンパク質かまたは相互作用性細胞もしくは細胞外結合パートナーかのいずれかが、固体表面(例えば、マイクロタイタープレート)上に固着され、固着されない種は、直接的または間接的のいずれかで標識される。固着される種は、非共有結合性または共有結合性付着により固定化されうる。または、固着されるべき種に特異的な固定化抗体が、種を固体表面へ固着させるために用いられうる。
【0073】
アッセイを行うために、固定化された種のパートナーが、試験化合物有りまたは無しで、コーティング化表面に曝される。反応が完了した後、未反応成分が除去され(例えば、洗浄により)、形成されたいかなる複合体も固体表面上に固定化されたままである。非固定化種があらかじめ標識されている場合、表面上に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。非固定化種があらかじめ標識されていない場合、間接的標識が、表面上に固着された複合体を検出するために用いられうる;例えば、最初に固定化されない種に特異的な標識抗体を用いて(抗体は、次に、例えば、標識抗Ig抗体で直接的にまたは間接的に標識されうる)。反応成分の添加の順序に依存して、複合体形成を阻害する、または実行された複合体を乱す、試験化合物が検出されうる。
【0074】
もう一つの態様において、標的発現(RNAまたはタンパク質)のモジュレーターが同定される。例えば、細胞または無細胞の混合物が、試験化合物と接触させられ、標的mRNAまたはタンパク質の発現が、試験化合物の非存在下における標的mRNAまたはタンパク質の発現のレベルに対して評価される。標的mRNAまたはタンパク質の発現が、試験化合物の存在下において、それの非存在下においてより多い場合、試験化合物は、標的mRNAまたはタンパク質発現の刺激剤(候補化合物)であると同定される。または、標的mRNAまたはタンパク質の発現が、試験化合物の存在下において、それの非存在下においてより少ない(統計学的に有意に少ない)場合、試験化合物は、標的mRNAまたはタンパク質発現の阻害剤(候補化合物)であると同定される。標的mRNAまたはタンパク質発現のレベルは、本明細書に記載された方法、および標的mRNAもしくはタンパク質を検出するためのノーザンブロットまたはウェスタンブロットのような当技術分野において公知の方法により、測定されうる。
【0075】
もう一つの局面において、本明細書に記載された方法は、本明細書に記載されたアッセイの2つまたはそれ以上の組み合わせに関係する。例えば、調節性作用物質は、細胞に基づいたアッセイまたは無細胞アッセイを用いて同定することができ、標的タンパク質の活性を調節する作用物質の能力は、インビボで、例えば、パーキンソン病についての動物モデルのような動物において、行われることができる。
【0076】
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイにより同定された新規な作用物質に関係する。従って、そのような作用物質での処置の効力、毒性、副作用、または作用の機構を測定するために適切な動物モデルにおいて、本明細書に記載されているような同定された作用物質(化合物)(例えば、標的タンパク質調節性作用物質、アンチセンス核酸分子、siRNA、標的タンパク質特異的抗体、または標的タンパク質結合パートナー)をさらに用いることは、本発明の範囲内である。さらになお、上記のスクリーニングアッセイにより同定された新規な作用物質は、本明細書に記載されているような処置に用いられうる。
【0077】
標的タンパク質発現または活性を調節する化合物(標的タンパク質モジュレーター)は、例えば、標的タンパク質の発現または活性の減少を以て、標的タンパク質に関連した代謝効果に影響を及ぼすそれらの能力について、当技術分野において公知の方法および本明細書に記載された方法を用いて、試験されうる。例えば、α-シヌクレイン媒介性毒性を調節する化合物の能力が、パーキンソン病についてのインビトロまたはインビボのモデルを用いて試験されうる。
【0078】
標的タンパク質モジュレーター
標的タンパク質発現または活性を調節する方法は、標的核酸配列もしくはその断片へ、または標的タンパク質へターゲットされる核酸分子を含む様々な化合物を用いて達成されうる。標的タンパク質発現または活性を阻害するために有用でありうる化合物は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、非核酸有機小分子、無機小分子、抗体またはその断片、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、およびリボザイムを含む。そのような化合物を同定する方法は、本明細書に記載されている。
【0079】
RNA阻害(RNAi)
標的RNAにターゲットされる分子は、本明細書に記載された方法、例えば、標的タンパク質発現の阻害、例えば、パーキンソン病のようなシヌクレイノパチーを処置するための、に有用である。核酸の例は、siRNAを含む。RNAiに関連した機構を用いて機能する、他のそのような分子もまた用いることができ、化学修飾されたsiRNA、およびその後siRNAへ切断されるヘアピンRNAのベクター作動性発現を含む。本明細書に記載されているような、有用である核酸分子または構築物は、各鎖に16〜30個、例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のヌクレオチドを含むdsRNA(例えば、siRNA)分子であって、鎖の一方が、mRNAにおける標的領域と実質的に同一である、例えば、少なくとも80%(またはそれ以上、例えば、85%、90%、95%または100%)同一である、例えば、3個、2個、1個または0個のミスマッチしたヌクレオチドを有し、かつ他方の鎖が、第一の鎖と相補的である、分子を含む。dsRNA分子は、化学合成されうる、インビトロでDNA鋳型から転写されうる、またはインビボで、例えばshRNAから転写されうる。dsRNA分子は、当技術分野において公知の方法、例えば、Dharmacon.com(siDESIGN CENTER参照)、またはmpibpc.gwdg.de/abteilunge-n/100/105/sirna.htmlでインターネットで入手できる「The siRNA User Guide」、を用いて設計されうる。
【0080】
陰性対照siRNA(「スクランブル化」)は、一般的に、選択されたsiRNAと同じヌクレオチド組成をもつが、適切なゲノムとの有意な配列相補性を含まない。そのような陰性対照は、選択されたsiRNAのヌクレオチド配列をランダムにスクランブルすることにより設計されうる;相同性検索は、陰性対照が、適切なゲノムにおけるいかなる他の遺伝子とも相同性を欠くことを保証するために行われうる。対照はまた、選択されたsiRNA配列へ適切な数の塩基ミスマッチを導入することにより設計されうる。
【0081】
本明細書に記載された方法に有用である核酸組成物は、siRNAおよび架橋されたsiRNA誘導体の両方を含む。架橋は、組成物の薬物動態を変えるために、例えば、身体における半減期を増加させるために、用いられうる。従って、本発明は、2つの鎖が架橋されるように核酸の2つの相補鎖を有するsiRNAを含むsiRNA誘導体を含む。例えば、鎖の一方の3'OH末端が修飾されうる、または2つの鎖が架橋され、かつ3'OH末端で修飾されうる。siRNA誘導体は、単一架橋(例えば、ソラレン架橋)を含みうる。場合によっては、siRNA誘導体は、それの3'末端に、ビオチン分子(例えば、光開裂性ビオチン)、ペプチド(例えば、Tatペプチド)、ナノ粒子、ペプチド模倣体、有機化合物(例えば、蛍光色素のような色素)、またはデンドリマーを有する。このようにsiRNA誘導体を修飾することは、対応するsiRNAと比較して結果として生じたsiRNA誘導体の、細胞取り込みを向上させるもしくは細胞ターゲティング活性を増強することができる、細胞においてsiRNA誘導体を追跡するために有用である、または対応するsiRNAと比較してsiRNA誘導体の安定性を向上させる。
【0082】
本明細書に記載された核酸組成物は、非結合型でありうる、または組成物の性質、例えば、吸収、効力、生物学的利用能、および/もしくは半減期のような薬物動態学的パラメーター、を増強するためにナノ粒子のような別の部分に結合されうる。結合は、当技術分野において公知の方法を用いて、例えば、Lambert et al., Drug Deliv. Rev., 47, 99-112, 2001(ポリアルキルシアノアクリレート(PACA)ナノ粒子へ負荷された核酸を記載する);Fattal et al., J. Control Release, 53:137-143, 1998(ナノ粒子に結合した核酸を記載する);Schwab et al., Ann. Oncol., 5 Suppl. 4:55-8, 1994(インターカレート剤、疎水性基、ポリカチオンまたはPACAナノ粒子に連結した核酸を記載する);およびGodard et al., Eur. J. Biochem., 232:404-410, 1995(ナノ粒子に連結した核酸を記載する)の方法を用いて、達成されうる。
【0083】
核酸分子はまた、当技術分野において公知の任意の方法を用いて標識されうる;例えば、核酸組成物は、フルオロフォア、例えば、Cy3、フルオレセイン、またはローダミン、で標識されうる。標識は、キット、例えば、SILENCER.TM. siRNA標識キット(Ambion)、を用いて実行されうる。さらに、分子は、例えば、3H、32P、または他の適切な同位元素を用いて、放射標識されうる。
【0084】
合成siRNAは、カチオン性リポソームトランスフェクションおよびエレクトロポレーションにより細胞へ送達されうる。それらの安定性を向上させるために修飾される配列が用いられうる。そのような修飾は、当技術分野において公知の方法(例えば、siSTABLE(商標), Dharmacon)を用いてなされうる。そのような安定化された分子は、標的タンパク質発現を減少させるための被験体への投与のようなインビボ方法に特に有用である。より長期間発現はまた、siRNA分子(または他の核酸)を発現するベクターを細胞、例えば、脂肪細胞、肝細胞または筋肉細胞、へ送達することにより達成されうる。組換えDNA構築物から細胞内でsiRNA二重鎖を発現させるためのいくつかの方法は、細胞においてより長期間標的遺伝子抑制を可能にし、哺乳動物Pol IIIプロモーター系、例えば、機能性二本鎖siRNAを発現させる能力がある、HIまたはU6/snRNAプロモーター系(Tuschl, Nature Biotechnol., 20:440-448, 2002); (Bagella et al., J. Cell. Physiol., 177:206, 1998; Lee et al., Nature Biotechnol., 20:500-505, 2002; Paul et al., Nature Biotechnol., 20:505-508, 2002; Yu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99(9):6047-6052, 2002; Sui et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99(6):5515-5520, 2002)を含む。RNA Pol IIIによる転写終結は、DNA鋳型における4つの連続したT残基のひと続きにおいて生じ、siRNA転写産物を特定の配列で終了するための機構を提供する。siRNAは、5'-3'および3'-5'配向で標的遺伝子の配列に相補的であり、siRNAの2つの鎖は、同じ構築物において、または別々の構築物において、発現されうる。H1またはU6 snRNAプロモーターにより作動させられ、かつ細胞において発現される、ヘアピンsiRNAは、標的遺伝子発現を阻害することができる(Bagella et al., 1998, 前記; Lee et al., 2002, 前記; Paul et al., 2002, 前記; Yu et al., 2002, 前記; Sui et al., 2002, 前記)。T7プロモーターの制御下でsiRNA配列を含む構築物もまた、ベクター発現T7 RNAポリメラーゼと共に細胞へ同時トランスフェクションされる場合、機能性siRNAを作製する(Jacque, Nature, 418:435-438, 2002)。
【0085】
動物細胞は、マイクロRNA(miRNA)と呼ばれる、約22個のヌクレオチドの一連の非コードRNAを発現させ、動物発生中、転写後または翻訳後レベルで遺伝子発現を制御することができる。miRNAは、約70個のヌクレオチド前駆体RNAステム-ループから切除される。miRNA前駆体のステム配列を標的mRNAに相補的なmiRNA配列と置換することにより、新規なmiRNAを発現するベクター構築物は、哺乳動物において特定のmRNA標的に対してRNAiを惹起するsiRNAを産生するために用いられうる(Zeng, Mol. Cell, 9:1327-1333, 2002)。ポリメラーゼIIIを含むDNAベクターにより発現される場合、ヘアピンをデザインされたマイクロRNAは、遺伝子発現をサイレンシングすることができる(McManus, RNA 8:842-850, 2002)。ウイルス媒介性送達機構もまた、例えば、RNA Pol IIプロモーター転写制御下にsiRNAを含む組換えアデノウイルスを作製することにより、siRNAの発現を通して、ターゲットされた遺伝子の特異的サイレンシングを誘導するために用いられうる(Xia et al., Nat Biotechnol., 20(10):1006-10, 2002)。
【0086】
siRNAの標的遺伝子を発現するトランスジェニックマウスへの組換えアデノウイルスベクターの注入は、結果として、標的遺伝子発現のインビボでの低下を生じた。動物モデルにおいて、全胚エレクトロポレーションが、合成siRNAを移植後マウス胚へ効率的に送達することができる(Calegari et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:14236-14240, 2002)。成体マウスにおいて、siRNAの効率的送達は、「高圧」送達技術、大量のsiRNA含有溶液の動物への尾静脈を経由しての迅速注入(5秒以内)により達成されうる(Liu, Gene Ther., 6:1258-1266, 1999; McCaffrey, Nature, 418:38-39, 2002; Lewis, Nature Genetics, 32:107-108, 2002)。ナノ粒子およびリポソームもまた、siRNAを動物へ送達するために用いられうる。同様に、いくつかの態様において、ウイルス遺伝子送達、直接的注入、ナノ粒子の粒子媒介性注入、またはリポソーム注入が、ヒトにおいてsiRNAを発現させるために用いられうる。
【0087】
ある場合には、siRNAのプールが、発現遺伝子の発現を調節するために用いられる。プールは、標的遺伝子へターゲットされる少なくとも2個、3個、4個、5個、8個、または10個の異なる配列から構成される。
【0088】
標的タンパク質発現または活性を阻害するsiRNAまたは他の組成物は、標的RNAレベルが少なくとも25%、50%、75%、90%、または95%、低下している場合、α-シヌクレイン毒性に関連した障害の望ましくない効果を寛解させるために有効である。場合によっては、標的RNAレベルが、せいぜい10%、25%、50%、または75%、低下していることが望ましい。標的遺伝子発現のレベルを測定する方法は、当技術分野において公知の方法を用いて測定されうる。例えば、標的RNAのレベルは、細胞系または被験体由来の試料上でノーザンブロット検出を用いて測定されうる。標的タンパク質のレベルはまた、例えば、イムノアッセイ方法を用いて測定されうる。
【0089】
アンチセンス核酸
アンチセンス核酸は、標的タンパク質を阻害するために有用である。そのようなアンチセンス核酸分子、すなわち、ヌクレオチド配列が、標的タンパク質をコードするmRNAの全部または一部と相補的である、核酸分子。アンチセンス核酸分子は、標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域の全部または一部に対してアンチセンスでありうる。非コード領域(「5'および3'非翻訳領域」)は、コード領域に隣接し、かつアミノ酸へ翻訳されない5'および3'配列である。
【0090】
本明細書に開示されたヌクレオチド配列に基づいて、当業者は、本明細書に記載された遺伝子をターゲットしうるいくつかの適切なアンチセンス分子のいずれかを容易に選択し、かつ合成することができる。例えば、核酸(例えば、標的核酸)の長さに及ぶ15〜30ヌクレオチドの一連のオリゴヌクレオチドを含む「遺伝子歩行」を調製し、続いて、遺伝子の発現の阻害について試験することができる。任意で、合成かつ試験されるオリゴヌクレオチドの数を減らすために、5〜10ヌクレオチドのギャップが、オリゴヌクレオチド間に残されうる。
【0091】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長でありうる。本明細書に記載されたアンチセンス核酸は、当技術分野において公知の手順を用いる、化学合成および酵素的ライゲーション反応を用いて構築されうる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然のヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加させるように、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計された、様々に改変されたヌクレオチドを用いて化学合成されうる。アンチセンス核酸を作製するために用いられうる改変されたヌクレオチドの例は、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン-e、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキュェオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキュェオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キュェオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含む。または、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス配向でサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物学的に産生されうる(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAが、以下のサブセクションでさらに記載された、対象となる標的核酸に対してアンチセンス配向になる)。
【0092】
新しいアンチセンス核酸分子は、哺乳動物、例えば、ヒト患者、に投与されうる。または、それらは、それらが、選択されたポリペプチドをコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズする、または、に結合して、それにより、例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより、発現を阻害するように、インサイチューで産生されうる。ハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成しうる通常のヌクレオチド相補性により、または、例えば、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重ヘリックスの主溝における特異的な相互作用を通してでありうる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例は、組織部位における直接的注入を含む。または、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞をターゲットし、その後、全身性に投与されるように改変されうる。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、それらが、例えば、細胞表面受容体もしくは抗原に結合するペプチドまたは抗体へアンチセンス核酸分子を連結することにより、選択された細胞表面上に発現された受容体または抗原へ特異的に結合するように、改変されうる。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載されたベクターを用いて細胞へ送達されうる。例えば、アンチセンス分子の十分な細胞内濃度に達するために、アンチセンス核酸分子が強いpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれている、ベクター構築物が用いられうる。
【0093】
アンチセンス核酸分子は、α-アノマー核酸分子でありうる。α-アノマー核酸分子は、通常のβ-単位とは対照的に、鎖がお互いに平行している、相補RNAとの特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultier et al., Nucleic Acids Res., 15:6625-6641, 1987)。アンチセンス核酸分子はまた、2'-o-メチルリボヌクレオチド(Inoue et al., Nucleic Acids Res., 15:6131-6148, 1987)またはキメラRNA-DNA類似体(Inoue et al., FEBS Lett., 215:327-330, 1987)を含みうる。
【0094】
本明細書に記載された標的遺伝子の全部または一部に相補的であるアンチセンス分子はまた、当技術分野において公知のハイブリダイゼーション方法を用いて、そのような遺伝子の発現をアッセイするために有用である。例えば、アンチセンス分子は、標識される(例えば、放射性分子で)ことができ、過剰量の標識アンチセンス分子が、RNA試料へハイブリダイズさせられる。ハイブリダイズしていない標識アンチセンス分子は除去され(例えば、洗浄により)、ハイブリダイズしたアンチセンス分子の量が測定される。ハイブリダイズした分子の量が測定され、標的遺伝子の発現の量を計算するために用いられる。一般的に、この目的のために用いられるアンチセンス分子は、本明細書に記載されたもののような高ストリンジェンシー条件下で標的遺伝子由来の配列へハイブリダイズすることができる。RNA試料が最初、cDNAを合成するために用いられる場合、センス分子が用いられうる。二本鎖分子がハイブリダイゼーションの前に十分に変性される限り、そのようなアッセイにおいて二本鎖分子を用いることも可能である。
【0095】
リボザイム
標的核酸配列に対する特異性をもつリボザイムもまた、標的遺伝子発現を阻害するために用いられうる。リボザイムは、それらが相補性領域を有するmRNAのような一本鎖核酸を切断する能力があるリボヌクレアーゼ活性をもつ触媒性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッド型リボザイム(Haselhoff and Gerlach, Nature, 334:585-591, 1988に記載された))は、mRNA転写産物を触媒的に切断し、それにより、mRNAによりコードされるタンパク質の翻訳を阻害するために用いられうる。リボザイムを設計および作製する方法は、当技術分野において公知である(例えば、Scanlon, 1999, Therapeutic Applications of Ribozymes, Humana Press参照)。標的核酸分子またはその断片に対する特異性をもつリボザイムは、標的cDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計されうる。例えば、Tetrahymena L-19 IVS RNAの誘導体を構築することができ、活性部位のヌクレオチド配列が、標的RNAにおいて切断されうるヌクレオチド配列に相補的である(Cech et al., 米国特許第4,987,071号;およびCech et al., 米国特許第5,116,742号)。または、標的タンパク質またはその断片をコードするmRNAは、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性をもつ触媒性RNAを選択するために用いられうる(例えば、Bartel and Szostak, Science, 261:1411-1418, 1993参照)。
【0096】
三重らせん状構造を形成する核酸分子はまた、標的タンパク質発現を調節するために用いられうる。例えば、標的タンパク質の発現は、ポリペプチドをコードする遺伝子の制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列をターゲットし、標的細胞において遺伝子の転写を妨げる三重らせん状構造を形成することにより、阻害されうる。一般的には、Helene, Anticancer Drug Des., 6(6):569-84, 1991; Helene, Ann. N. Y. Acad. Sci., 660:27-36, 1992; およびMaher, Bioassays, 14(12):807-15, 1992を参照されたい。
【0097】
本明細書に記載されているように用いる核酸分子は、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解性を向上させるために、塩基部分、糖部分またはリン酸バックボーンにおいて改変されうる。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸バックボーンは、ペプチド核酸を作製するために改変されうる(Hyrup et al., Bioorganic & Medicinal Chem., 4(1):5-23, 1996参照)。ペプチド核酸(PNA)は、デオキシリボースリン酸バックボーンが擬ペプチドバックボーンにより置換され、4つの天然核酸塩基のみが保持されている、核酸模倣体、例えば、DNA模倣体、である。PNAの中性バックボーンは、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にする。PNAオリゴマーの合成は、例えば、Hyrup et al., 1996, 前記; Perry-O'Keefe et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:14670-675, 1996に記載されているような、標準固相ペプチド合成プロトコールを用いて行われうる。
【0098】
PNAは、治療的および診断的適用に用いられうる。例えば、PNAは、例えば、転写もしくは翻訳抑止を誘導する、または複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたはアンチジーン剤として用いられうる。PNAはまた、例えば、遺伝子における一塩基対突然変異の、例えばPNA指向性PCRクランピングによる、分析において;他の酵素、例えば、S1ヌクレアーゼ、と組み合わせて用いられる場合、人工的制限酵素として(Hyrup, 1996, 前記);またはDNA配列およびハイブリダイゼーションについてのプローブもしくはプライマーとして(Hyrup, 1996, 前記; Perry-O'Keefe et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:14670-675, 1996)、用いられうる。
【0099】
PNAは、例えば、親油性もしくは他のヘルパー群をPNAへ付着させることにより、PNA-DNAキメラの形成により、またはリポソームの使用もしくは当技術分野において公知の薬物送達の他の技術により、それらの安定性または細胞取り込みを増強するために、改変されうる。例えば、PNAおよびDNAの有利な性質を組み合わせうる、PNA-DNAキメラが作製されうる。そのようなキメラは、DNA認識酵素、例えば、RNアーゼHおよびDNAポリメラーゼ、がDNA部分と相互作用することを可能にし、同時に、PNA部分が高い結合親和性および特異性を与える。PNA-DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合数、および配向に関して選択された適切な長さのリンカーを用いて連結されうる(Hyrup, 1996, 前記)。PNA-DNAキメラの合成は、Hyrup, 1996, 前記およびFinn et al., Nucleic Acids Res., 24:3357-63, 1996に記載されているように行われうる。例えば、DNA鎖は、標準ホスホラミダイト結合化学および改変ヌクレオシド類似体を用いて固体支持体上で合成されうる。5'-(4-メトキシトリチル)アミノ-5'-デオキシ-チミジンホスホラミダイトのような化合物は、PNAとDNAの5'末端の間のリンクとして用いられうる(Mag et al., Nucleic Acids Res., 17:5973-88, 1989)。PNAモノマーを、その後、段階的に結合し、5'PNAセグメントおよび3'DNAセグメントを有するキメラ分子を生じる(Finn et al., Nucleic Acids Res., 24:3357-63, 1996)。または、キメラ分子は、5'DNAセグメントおよび3'PNAセグメントで合成されうる(Peterser et al., Bioorganic Med. Chem. Lett., 5:1119-11124, 1975)。
【0100】
標的核酸配列をターゲットする核酸は、ペプチドのような付属群(例えば、インビボで宿主細胞受容体をターゲットするために)、または細胞膜(例えば、Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:6553-6556, 1989; Lemaitre et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:648-652, 1989; WO 88/09810参照)もしくは血液脳関門(例えば、WO 89/10134参照)を渡る輸送を促進する作用物質を含みうる。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発性切断剤(例えば、Krol et al., Bio/Techniques, 6:958-976, 1988参照)または挿入剤(例えば、Zon, Pharm. Res., 5:539-549, 1988参照)で改変されうる。このために、オリゴヌクレオチドは、もう一つの分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送剤、またはハイブリダイゼーション誘発性切断剤、に結合されうる。
【0101】
ポリペプチド
単離された標的タンパク質、その断片およびその変異体は、本明細書に提供されている。これらのポリペプチドは、例えば、抗体を産生させるための免疫原として、スクリーニング方法において、または、例えば、標的タンパク質の投与により、被験体を処置する方法において、用いられうる。「単離された」もしくは「精製された」ポリペプチドまたはその生物活性部分は、タンパク質が由来する細胞源もしくは組織源由来のタンパク質を含む細胞物質を始めとする物質を実質的に含まない、または、化学合成された場合、化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。専門用語「細胞物質を実質的に含まない」とは、対象となるポリペプチドが、それが単離されるまたは組換え技術によって産生される細胞の細胞成分から分離されている、ポリペプチドの調製を含む。従って、細胞物質を実質的に含まないポリペプチドは、約30%未満、20%未満、10%未満または5%未満(乾燥重量で)の異種性タンパク質(本明細書で「混入タンパク質」とも呼ばれている)を有するポリペプチドの調製物を含む。一般的に、ポリペプチドまたはその生物活性部分が組換え技術によって産生される場合、それもまた、培地を実質的に含まない、すなわち、培地は、タンパク質調製物の容量の約20%未満、10%未満または5%未満を示す。一般的に、ポリペプチドが化学合成により作製される場合、それは、化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、ポリペプチドの合成に関与する化学物質前駆体または他の化学物質から分離されている。従って、そのようなポリペプチドの調製物は、対象となるポリペプチド以外に約30%未満、20%未満、10%未満もしくは5%未満(乾燥重量で)の化学物質前駆体または化合物を有する。
【0102】
標的タンパク質の発現は、発現の量を測定するようにアッセイされうる。タンパク質発現をアッセイするための方法は、当技術分野において公知であり、ウェスタンブロット、免疫沈降およびラジオイムノアッセイを含む。
【0103】
本明細書に用いられる場合、標的タンパク質の「生物活性部分」は、標的タンパク質と非標的タンパク質の間の相互作用に関与する標的タンパク質の断片を含む。標的タンパク質の生物活性部分は、完全長標的タンパク質より少ないアミノ酸を含み、かつ標的タンパク質の少なくとも1つの活性を示す、標的タンパク質のアミノ酸配列と十分に相同的なアミノ酸配列を含むペプチドを含む。典型的には、生物活性部分は、標的タンパク質の少なくとも1つの活性をもつドメインまたはモチーフを含む。標的タンパク質の生物活性部分は、例えば、10、25、50、100、200またはそれ以上のアミノ酸長であるポリペプチドでありうる。標的タンパク質の生物活性部分は、標的タンパク質媒介性活性を調節する作用物質、例えば、標的タンパク質活性を阻害する化合物、を開発するための標的として用いられうる。
【0104】
いくつかの態様において、標的タンパク質は、本明細書に開示された配列(例えば、表1に列挙されたGenBank(商標)アクセッション番号下で見出されるアミノ酸配列)と同一の配列を有する。他の有用なポリペプチドは、本明細書に開示された配列(例えば、表1に列挙されたGenBank(商標)アクセッション番号下で見出されるアミノ酸配列)と実質的に同一(例えば、少なくとも約45%、55%、65%、75%、85%、95%または99%同一)であり、かつ、(a)標的タンパク質の機能活性を保持するが、天然の対立遺伝子変異または突然変異誘発によりアミノ酸配列が異なる、または(b)望まれる場合、変化した機能活性を示す(例えば、ドミナントネガティブとして)。アゴニスト(模倣体)かまたはアンタゴニストのいずれかとして機能することができる変化したアミノ酸配列を有する変異体が本明細書に提供されている。変異体は、突然変異誘発、例えば、散在点突然変異または切り詰め、により作製されうる。アゴニストは、ポリペプチドの天然型の生物活性の、実質的に同じもの、または一部、を保持することができる。ポリペプチドのアンタゴニストは、例えば、ポリペプチドを含む細胞内シグナル伝達カスケードの下流または上流メンバーへ競合的に結合することにより、ポリペプチドの天然型の活性の1つまたは複数を阻害することができる。従って、特定の生物学的効果は、限定された機能の変異体での処置により誘発されうる。ポリペプチドの天然型の生物活性の一部をもつ変異体での被験体の処置は、ポリペプチドの天然型での処置に対して、被験体においてより少ない副作用をもちうる。いくつかの態様において、変異体標的タンパク質は、標的タンパク質のドミナントネガティブ型である。ドミナントネガティブは、例えば、標的タンパク質作用の阻害が望まれる方法において、望まれる。
【0105】
キメラまたは融合タンパク質もまた本明細書に提供されている。
【0106】
配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成される。2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Blossum 62行列かまたはPAM250行列かのいずれか、ならびに16のギャップ重みおよび1の長さ重みを用いる、GCGソフトウェアパッケージ(インターネット上のgcg.comにおいて利用可能)におけるGAPプログラムへ組み入れられている、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol., 48:444-453, 1970アルゴリズムを用いて決定される。2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMP行列、40のギャップ重み、および1の長さ重みを用いる、GCGソフトウェアパッケージ(インターネット上のgcg.comにおいても利用可能)におけるGAPプログラムを用いて決定される。
【0107】
一般的に、本明細書に言及される、アミノ酸配列間のパーセント同一性は、インターネット上でncbi.nlm.nih.gov/BLASTにおいて一般に公開されている、BLAST 2.0プログラムを用いて決定される。配列比較は、ギャップ無しのアラインメントを用い、かつデフォルトパラメーター(Blossum 62行列、11のギャップ存在コスト、1の残基あたりギャップコスト、および0.85のラムダ比率)を用いて、行われる。BLASTプログラムに用いられる数学的アルゴリズムは、Altschul et al., Nucleic Acids Research 25:3389-3402, 1997に記載されている。
【0108】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基と置換されることである。類似した側鎖を有するアミノ酸のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。従って、標的タンパク質における推定の非必須アミノ酸残基は、一般的に、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基と置換される。または、突然変異は、飽和突然変異誘発によるような、標的タンパク質コード化配列の全部または一部に沿ってランダムに導入することができ、結果として生じた突然変異体は、活性を保持する突然変異体を同定するために標的タンパク質生物活性についてスクリーニングされうる。コードされたタンパク質は、組換え技術によって発現させ、タンパク質の活性を測定することができる。
【0109】
抗体
標的タンパク質またはその断片は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準技術を用いて抗体を産生するための免疫原として用いられうる。完全長ポリペプチドまたはタンパク質が用いられうる、または抗原性ペプチド断片が、免疫原として用いられうる。タンパク質の抗原性ペプチドは、標的タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも8個(例えば、少なくとも10個、15個、20個または30個)のアミノ酸残基を含み、ペプチドに対して産生される抗体がポリペプチドとの特異的免疫複合体を形成するように、標的タンパク質のエピトープを含む。
【0110】
免疫原は、典型的には、適した被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫することにより抗体を調製するために用いられる。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え技術によって発現された、または化学合成されたポリペプチドを含みうる。調製物はさらに、フロイントの完全または不完全アジュバントのようなアジュバント、または類似した免疫刺激剤を含みうる。
【0111】
ポリクローナル抗体は、免疫原として標的タンパク質で適した被験体を免疫することにより上記のように調製されうる。免疫化被験体における抗体力価は、固定化ポリペプチドを用いる酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)を用いるような、標準技術によりゆっくり時間をかけてモニターされうる。必要に応じて、抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離され、さらに、IgG画分を得るためにプロテインAクロマトグラフィーのような周知の技術により精製されうる。免疫後適切な時間において、例えば、特定の抗体力価が最高である時、抗体産生細胞は、被験体から獲得され、Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497, 1975に最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., Immunol. Today, 4:72, 1983)、EBVハイブリドーマ技術(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96, 1985)、またはトリオーマ技術のような標準技術によりモノクローナル抗体を調製するために用いられうる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準ELISAアッセイを用いて、対象となるポリペプチドを結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることにより検出される。
【0112】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製するための別の方法として、ポリペプチドに対して方向づけられたモノクローナル抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を対象となるポリペプチドでスクリーニングすることにより、同定および単離されうる。ファージディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, カタログNo. 27-9400-01;およびStratagene SurfZAP(商標) Phage Display Kit, カタログNo. 240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングするにおいて用いるのに特に受け入れられる方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号; WO 92/18619; WO 91/17271; WO 92/20791; WO 92/15679; WO 93/01288; WO 92/01047; WO 92/09690; WO 90/02809; Fuchs et al., Bio/Technology, 9:1370-1372, 1991; Hay et al., Hum. Antibod. Hybridomas, 3:81-85, 1992; Huse et al., Science, 246:1275-1281, 1989; Griffiths et al., EMBO J., 12:725-734, 1993に見出されうる。
【0113】
さらに、標準組換えDNA技術を用いて作製されうる、ヒト部分および非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体のような組換え抗体が本明細書に提供される。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、WO 87/02671; 欧州特許出願第184,187号; 欧州特許出願第171,496号; 欧州特許出願第173,494号; WO 86/01533; 米国特許第4,816,567号; 欧州特許出願第125,023号; Better et al., Science, 240:1041-1043, 1988; Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443, 1987; Liu et al., J. Immunol., 139:3521-3526, 1987; Sun et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:214-218, 1987; Nishimura et al., Canc. Res., 47:999-1005, 1987; Wood et al., Nature, 314:446-449, 1985; およびShaw et al., J. Natl. Cancer Inst., 80:1553-1559, 1988; Morrison, Science, 229:1202-1207, 1985; Oi et al., Bio/Techniques, 4:214, 1986; 米国特許第5,225,539号; Jones et al., Nature, 321:552-525, 1986; Verhoeyan et al., Science, 239:1534, 1988; およびBeidler et al., J. Immunol., 141:4053-4060, 1988に記載された方法を用いて、当技術分野において公知の組換えDNA技術により産生されうる。
【0114】
完全なヒト抗体は、特に、ヒト患者の治療的処置に望ましい。そのような抗体は、内因性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現する能力がないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができる、トランスジェニックマウスを用いて産生されうる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば、標的タンパク質の全部または一部、で通常の様式で免疫される。抗原に対して方向づけられたモノクローナル抗体は、通常のハイブリドーマテクノロジーを用いて得られうる。トランスジェニックマウスに内在するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再編成し、その後、クラススイッチングおよび体細胞性突然変異を起こす。従って、そのような技術を用いて、治療的に有用なIgG、IgA、およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこのテクノロジーの概説として、Lonberg and Huszar(Int. Rev. Immunol., 13:65-93, 1995)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこのテクノロジーならびにそのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な考察として、例えば、米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,016号;および米国特許第5,545,806号を参照されたい。
【0115】
選択されたエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を用いて作製されうる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体、は同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択を導くために用いられる。(Jespers et al., Biotechnology, 12:899-903, 1994)。
【0116】
標的タンパク質に対して向けられた抗体は、発現の存在量およびパターンを評価するようにポリペプチドを検出する(例えば、細胞可溶化物または細胞上清において)ために用いられうる。抗体はまた、例えば、与えられた処置計画の効力を測定するために、臨床試験手順の一部として組織においてタンパク質レベルをモニターするために診断的に用いられうる。検出は、抗体を検出可能な物質へ結合することにより容易にされうる。検出可能な物質の例は、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質を含む。適した酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含む;適した補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含む;適した蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフロオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリンを含む;発光物質の例は、ルミノールを含む;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含む、ならびに適した放射性物質の例は、125I、131I、35S、または3Hを含む。
【0117】
薬学的組成物
本明細書に記載された方法によりスクリーニングされ、標的タンパク質発現または活性を調節することが決定されている試験化合物は、候補化合物とみなされうる。例えば、パーキンソン病のようなシヌクレイノパチーのインビボモデルにおいてスクリーニングされ、その障害へ所望の効果を生じることが決定されている候補化合物は、候補治療剤とみなされうる。いったん臨床設定においてスクリーニングされたならば、候補治療剤は、治療剤である。候補治療剤および治療剤は、任意で、最適化および/または誘導体化され、ならびに薬学的組成物を形成するために生理学的に許容される賦形剤で製剤化されうる。
【0118】
標的タンパク質発現または活性を調節することができる本明細書に記載された化合物は、薬学的組成物へ組み入れられうる。そのような組成物は、典型的には、その化合物および薬学的に許容される担体を含む。本明細書に用いられる場合、専門用語「薬学的に許容される担体」とは、薬学的投与に適合した、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。補充的活性化合物もまた、組成物へ組み入れられうる。
【0119】
薬学的組成物は、それの意図された投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的)、経粘膜、および直腸投与を含む。非経口、皮内、もしくは皮下適用に用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含みうる:注射用水のような滅菌希釈剤、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための薬剤。pHは、塩酸もしくは水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整されうる。非経口調製物は、アンプル、使い捨て注射器、またはガラス製もしくはプラスチック製の複数回投与バイアルに封入されうる。
【0120】
注射用に適した薬学的組成物は、滅菌水性溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与について、適した担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。すべての場合において、組成物は、滅菌でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度まで流動性であるべきである。それは、製造および貯蔵の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌のような微生物の汚染行為から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適した混合物を含む、溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用により、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持されうる。微生物の行為の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、により達成されうる。多くの場合、組成物に、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを含むことが望ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン、を組成物に含むことによりもたらされうる。
【0121】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて上で列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒に必要とされる量で活性化合物を組み入れ、続いて、濾過滅菌を行うことにより、調製されうる。一般的に、分散液は、基本的分散媒および上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体へ活性化合物を組み入れることにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の方法は、前に滅菌濾過された溶液から活性成分プラス任意の追加の望ましい成分の粉末を生じる真空乾燥または凍結乾燥を含みうる。
【0122】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または可食性担体を含む。経口治療的投与を目的として、活性化合物は、賦形剤と共に組み入れられ、錠剤、トローチ、またはカプセル、例えば、ゼラチンカプセル、の形をとって用いられうる。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のために液体担体を用いて調製されうる。薬学的に適合性のある結合剤および/または補助物質は、組成物の一部として含まれうる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分または類似した性質の化合物のいずれかを含みうる:微結晶性セルロース、トラガカントゴム、もしくはゼラチンのような結合剤;デンプンもしくはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステローテス(Sterotes)のような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;スクロースもしくはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味のような香味剤。
【0123】
吸入による投与について、化合物は、適した噴射剤、例えば、二酸化炭素のようなガス、を含む加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からエアゾールスプレーの形をとって送達される。
【0124】
全身投与もまた、経粘膜または経皮手段によりうる。経粘膜または経皮投与について、透過されるべきバリアに適切な浸透剤が製剤に用いられる。そのような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られており、例えば、経粘膜投与について、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐剤の使用を通して達成されうる。経皮投与について、活性化合物は、当技術分野において一般的に知られているような、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームへ製剤化される。
【0125】
化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのような通常の坐剤の基剤と共に)または保持浣腸の形をとって調製されうる。
【0126】
一つの態様において、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む徐放性製剤のように、身体からの迅速な排出から化合物を保護する担体と共に調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような生分解性、生体適合性ポリマーが用いられうる。そのような製剤の調製のための方法は、当業者に明らかであると思われる。材料もまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手されうる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体と共に感染した細胞へターゲットされるリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として用いられうる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような当業者に公知の方法に従って調製されうる。
【0127】
投与の容易さおよび用量の均一性のために、用量単位形で経口または非経口組成物を製剤化することが都合が良い。本明細書に用いられる場合、用量単位形とは、処置されるべき被験体についての単位用量として適した物理的に別々の単位を指す;各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された活性化合物のあらかじめ決められた量を含む。用量単位はまた、使用説明書を添付されうる。
【0128】
そのような化合物の毒性および治療効力は、細胞培養物または実験動物(シヌクレイノパチー、例えば、パーキンソン病の動物モデル)において公知の薬学的手順により測定されうる。これらの手順は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死の用量)およびED50(集団の50%において治療効果のある用量)を測定するために、用いられうる。毒性効果と治療効果の間の用量比率は、治療指数であり、それは、比率LD50/ED50として表されうる。高治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物が用いられる場合があるが、非感染細胞への可能性のある損傷を最小限にし、それにより、副作用を低減するために、そのような化合物を罹患組織の部位へターゲットする送達系を設計するように取り計られるべきである。
【0129】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトで用いる用量の範囲を公式化するにおいて用いられうる。そのような化合物の用量は、一般的に、有るか無しかの毒性をもつED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、用いられる剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動しうる。本明細書に記載されているように(例えば、被験体においてシヌクレイノパチーを処置するために)用いられる化合物について、治療的有効量は、最初、細胞培養アッセイから推定されうる。用量は、細胞培養において測定される場合のIC50(すなわち、症状の最大半減抑制に達する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲に達するように動物モデルにおいて処方されうる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために用いられうる。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより、測定されうる。
【0130】
本明細書で定義される場合、タンパク質またはポリペプチドの治療的有効量(すなわち、有効用量)は、約0.001〜30mg/kg体重、約0.01〜25mg/kg体重、約0.1〜20mg/kg体重、約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重の範囲である。タンパク質またはポリペプチドは、約1〜10週間、、一般的に2〜8週間、約3〜7週間、または約4、5もしくは6週間の間、週あたり1回投与されうる。当業者は、限定されるわけではないが、疾患または障害の重症度、前処置、被験体の全体的な健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む、ある特定の因子が、被験体を効果的に処置するために必要とされる用量およびタイミングに影響を及ぼしうることを認識しているものと思われる。さらに、タンパク質、ポリペプチドまたは抗体の治療的有効量での被験体の処置は、単回処置を含みうる、または一連の処置を含みうる。
【0131】
抗体またはその断片について、用量は、約0.1mg/体重のkg(一般的に10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳において作用することになっている場合には、50mg/kg〜100mg/kgの用量が通常、適切である。一般的に、部分的ヒト抗体および完全なヒト抗体は、他の抗体よりヒト体内でより長い半減期をもつ。従って、より少ない用量および頻度のより少ない投与が、しばしば、そのような種適合性抗体で可能である。脂質化のような改変は、抗体を安定化させるために、ならびに取り込みおよび組織透過(例えば、脳へ)を増強するために、用いられうる。抗体の脂質化のための方法は、Cruikshank et al.(J. Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology, 14:193, 1997)により記載されている。
【0132】
標的タンパク質の発現または活性を調節する化合物は、本明細書に記載されている。そのような化合物は、小分子でありうる。例えば、そのような小分子は、限定されるわけではないが、ペプチド、ペプチド模倣体(例えば、ペプトイド)、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、1モルあたり約10,000グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機および有機金属化合物を含む)、1モルあたり約5,000グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物、1モルあたり約1,000グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物、1モルあたり約500グラム未満の分子量をもつ有機または無機化合物、ならびにそのような化合物の塩、エステル、および他の薬学的に許容される形態を含む。
【0133】
例示的な用量は、被験体または試料重量の1キログラムあたり小分子のミリグラムまたはマイクログラム量を含む(例えば、1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約500ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約5ミリグラム、または1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約50マイクログラム)。小分子の適切な用量が、調節されうる発現または活性に関する小分子の効力に依存することは、さらに理解されている。これらの小分子の1つまたは複数が、本発明のポリペプチドもしくは核酸の発現または活性を調節するために動物(例えば、ヒト)へ投与されることになっている場合、医師、獣医師または研究者は、例えば、最初は、比較的低用量を処方し、その後、適切な応答が得られるまで(例えば、適切な血糖値)、用量を増加させうる。さらに、何か特定の動物被験体についての特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、被験体の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事、投与の時期、投与の経路、排出速度、任意の混合薬、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む様々な因子に依存するものであることは理解されている。
【0134】
抗体(またはその断片)は、細胞毒、治療剤、または放射性金属イオンのような治療用部分に結合されうる。細胞毒または細胞毒性剤は、細胞にとって有害である任意の作用物質を含む。例は、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体を含む。治療剤は、限定されるわけではないが、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクルスチンおよびビンブラスチン)を含む。
【0135】
標的タンパク質発現または活性を調節するのに有用である核酸分子は、ベクターへ挿入することができ、結果として生じたベクターは、遺伝子治療ベクターとして用いられる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈注射、局所投与(米国特許第5,328,470号参照)により、または定位注射(例えば、Chen et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:3054-3057, 1994参照)により、被験体へ送達されうる。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、許容される希釈剤における遺伝子治療ベクターを含むことができる、または遺伝子送達媒体が埋め込まれている徐放性マトリックスを含むことができる。または、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞から無傷で産生され得る、例えば、レトロウイルスベクターの場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を生じる1つまたは複数の細胞を含むことができる。
【0136】
薬学的組成物は、投与についての使用説明書と共に、容器、パックまたはディスペンサーに含まれうる。
【0137】
処置の方法
本明細書に記載された化合物および本明細書に記載されているように同定されたものが、α-シヌクレイン毒性および/または、α-シヌクレイン原線維を含むシヌクレイン原線維の形成、沈着、蓄積、もしくは持続に関連した疾患のリスクがある、または疾患に罹っている被験体を処置するために用いられうる。特定の態様において、疾患は、パーキンソン病(農薬、殺虫剤もしくは除草剤のような環境的薬剤、および/またはマグネシウム、アルミニウム、カドミウム、銅もしくは亜鉛のような金属への曝露により化学的に引き起こされるパーキンソン病を含む)、家族性パーキンソン病、レビー小体疾患、アルツハイマー病のレビー小体変異体、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症、およびグアムのパーキンソン認知症症候群のようなシヌクレイノパチーを含む。
【0138】
シヌクレイノパチーのリスクがある、またはシヌクレイノパチーに罹っている個体を同定する方法は、当技術分野において公知である。従って、シヌクレイノパチーのリスクがある(または罹りやすい)被験体を処置する予防的および治療的方法の両方のための方法ならびに組成物が、本明細書に記載されている。例えば、パーキンソン病を発症するリスクがある(例えば、家族歴がパーキンソン病を含む個体)、および/または彼/彼女がパーキンソン病を発症するだろう徴候がある個体は、本明細書に記載された化合物および方法で処置されうる。
【0139】
本明細書に用いられる場合、用語「処置」は、疾患、疾患の症状または疾患に罹りやすい素質を治す、癒す、緩和する、救済する、変える、治療する、寛解させる、改善する、または影響を及ぼすことを目的として、疾患、疾患の症状もしくは疾患に罹りやすい素質をもつ患者への治療化合物の適用もしくは投与、または患者からの単離された組織もしくは細胞系への治療化合物の適用もしくは投与として定義される。治療化合物は、限定されるわけではないが、非核酸有機小分子、無機小分子、ペプチド、合成ペプチド、抗体、天然核酸分子(リボザイム、siRNA、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド)、および核酸類似体を含む分子のような小分子を含む。
【0140】
標的タンパク質、または標的タンパク質発現もしくは少なくとも1つの標的タンパク質活性を調節する化合物を被験体に投与することにより、被験体(例えば、ヒト)においてシヌクレイノパチーを予防するための方法が本明細書に提供されている。異常なもしくは望ましくない標的タンパク質発現または活性が引き起こす、または寄与する疾患のリスクがある被験体が、例えば、本明細書に記載されているような診断的もしくは予後的アッセイのいずれかまたは組み合わせにより同定されうる。予防用化合物の投与は、末期の疾患の特徴を示す症状の出現の前に起こることができるので、疾患または障害が予防される、または、あるいは、それの進行が遅らされる。当技術分野において公知の方法は、処置の効力を測定するために用いられうる。被験体を処置するために用いられる適切な化合物は、本明細書に記載されたスクリーニングアッセイに基づいて決定されうる。
【0141】
シヌクレイノパチーのいくつかの症例は、少なくとも一部、標的遺伝子産物の異常レベルにより、または異常活性を示す標的タンパク質の存在により、引き起こされることが考えられる。それとして、そのような遺伝子産物のレベルおよび/または活性における低下は、障害症状の寛解をもたらすものと思われる。
【0142】
考察されているように、シヌクレイノパチーの処置の成功は、選択された標的遺伝子産物の発現または活性を阻害する働きをする技術によりもたらされうる。例えば、負の調節活性を示すことが証明されている化合物、例えば、上記のアッセイの1つまたは複数を用いて同定された作用物質、はシヌクレイノパチーの症状を防ぐおよび/または寛解させるために本明細書に記載されているように用いられうる。そのような分子は、限定されるわけではないが、ペプチド、ホスホペプチド、有機または無機小分子、または抗体(例えば、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ、または一本鎖抗体、ならびにFab、F(ab')2、およびFab発現ライブラリー断片、scFV分子およびそれらのエピトープ結合断片を含む)を含みうる。
【0143】
さらに、標的遺伝子の発現を阻害するsiRNA、アンチセンス、およびリボザイム分子はまた、標的タンパク質発現のレベルを低下させ、それに従って、標的タンパク質活性のレベルを効果的に低下させるために、本明細書に記載された方法に従って用いることができる。三重ヘリックス分子は、標的タンパク質活性のレベルを低下させるために利用されうる。
【0144】
核酸分子が、標的タンパク質発現を調節することにより処置されうる疾患を処置または予防するにおいて利用されるもう一つの方法は、標的タンパク質に特異的なアプタマー分子の使用を通してである。アプタマーは、タンパク質リガンドに特異的に結合することを可能にする三次構造をもつ核酸分子である(例えば、Osbome, et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 1:5-9, 1997; およびPatel, Curr. Opin. Chem. Biol., 1:32-46, 1997)。核酸分子は、治療用タンパク質分子が導入されうるより標的細胞へより都合良く導入されうるため、アプタマーは、多能性効果をもちうる薬物または他の分子の導入なしに、標的タンパク質活性が特異的に減少されうる方法を提供する。
【0145】
標的タンパク質を特異的に認識する抗体もまた用いられうる。Lipofectin(商標)またはリポソームは、細胞において標的タンパク質に結合する抗体またはFab領域の断片を送達するために用いられうる。抗体の断片が用いられる場合、標的抗原に結合する最小阻害性断片が一般的に用いられる。例えば、抗体のFv領域に対応するアミノ酸配列を有するペプチドが用いられうる。または、細胞内標的タンパク質に結合する一本鎖中和抗体もまた投与されうる。そのような一本鎖抗体は、例えば、標的細胞集団内で一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現させることにより、投与されうる(例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:7889-7893, 1993)。
【0146】
標的遺伝子発現、合成および/または活性を阻害する同定された化合物が、シヌクレイノパチーを予防する、処置するまたは寛解させるために治療的有効量で患者へ投与されうる。治療的有効量は、結果として障害の症状の寛解を生じるのに十分な化合物のその量を指す。そのような化合物の毒性および治療効力は、上記のような標準薬学的手順により測定されうる。
【0147】
そのような化合物の用量は、一般的に、有るか無しかの毒性をもつED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、用いられる剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動しうる。本明細書に記載されているように用いられる任意の化合物について、治療的有効量は、最初、細胞培養アッセイから推定されうる。用量は、細胞培養において測定される場合のIC50(すなわち、症状の最大半減抑制に達する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲に達するように動物モデルにおいて処方されうる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために用いられうる。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより、測定されうる。
【0148】
個体についての有効量の決定のもう一つの例は、試験被験体の血清において「遊離の」および「結合した」化合物のレベルを直接的にアッセイする能力である。そのようなアッセイは、分子インプリンティング技術を通して作製されている抗体模倣体および/または「バイオセンサー」を利用しうる。標的タンパク質活性を調節することができる化合物は、触媒試薬でのそれらの重合の前に重合可能なモノマーを空間的に組織化するための、鋳型または「インプリンティング分子」として用いられる。その後の、インプリントされた分子の除去は、化合物の繰り返された「マイナスのイメージ」を含み、かつ生物学的アッセイ条件下でその分子を選択的に再結合することができるポリマーマトリックスを残す。この技術の詳細な概説は、Ansell et al., Current Opinion in Biotechnology, 7:89-94, 1996に、およびShea(Trends in Polymer Science, 2:166-173, 1994)に見ることができる。そのような「インプリントされた」アフィニティーマトリックスは、固定化モノクローナル抗体構成要素が、適切にインプリントされたマトリックスと取り替えられる、リガンド結合アッセイを受け入れられる。このように、そのようなマトリックスの使用の例は、Vlatakis et al., (Nature, 361:645-647, 1993)に見ることができる。同位元素標識の使用を通して、標的タンパク質の発現または活性を調節する化合物の「遊離」濃度は、容易にモニターされ、IC50の計算に用いることができる。
【0149】
そのような「インプリントされた」アフィニティーマトリックスはまた、光子放出性質が標的化合物の局所的かつ選択的結合で測定可能な程度に変化する蛍光基を含むように設計されうる。これらの変化は、適切な光ファイバー装置を用いてリアルタイムで容易にアッセイすることができ、次には、試験被験体における用量がそれの個々のIC50に基づいて迅速に最適化されるのを可能にする。そのような「バイオセンサー」の基礎的例は、Kriz et al., Analytical Chemistry, 67:2142-2144, 1995に考察されている。
【0150】
標的タンパク質発現または活性は、治療目的で調節されうる。従って、例示的な態様において、本明細書に記載された調節方法は、細胞と付随した標的タンパク質の活性の1つまたは複数を調節する化合物と細胞を接触させる段階を含む。標的タンパク質活性を調節する化合物は、核酸もしくはタンパク質、標的タンパク質の天然の標的分子(例えば、標的タンパク質基質または受容体)、標的タンパク質抗体、標的タンパク質アゴニストもしくはアンタゴニスト、標的タンパク質アゴニストもしくはアンタゴニストのペプチド模倣体、または他の小分子のような本明細書に記載されているような化合物でありうる。
【0151】
一つの態様において、化合物は、1つまたは複数の標的タンパク質活性を刺激する。そのような刺激性化合物の例は、活性標的タンパク質および標的タンパク質をコードする核酸分子を含む。もう一つの態様において、化合物は、1つまたは複数の標的タンパク質活性を阻害する。そのような阻害性化合物の例は、アンチセンス標的核酸分子、抗標的タンパク質抗体、および標的タンパク質阻害剤を含む。これらの調節方法は、インビトロで(例えば、細胞を化合物と培養し、細胞を被験体へ戻すことにより)、または、あるいは、インビボで(例えば、化合物を被験体に投与することにより)、行われうる。それとして、新しい方法は、標的タンパク質または核酸分子の異常なもしくは望ましくない発現または活性により特徴付けられる疾患または障害に苦しめられている個体を処置する段階を含む。一つの態様において、方法は、標的タンパク質発現または活性を調節する(例えば、上方制御する、または下方制御する)化合物(例えば、本明細書に記載されたスクリーニングアッセイにより同定された化合物)または化合物の組み合わせを投与する段階を含む。もう一つの態様において、方法は、低下した、異常な、または望ましくない標的タンパク質発現または活性を代償する治療として標的タンパク質または核酸分子を投与する段階を含む。
【0152】
標的タンパク質活性の刺激は、標的タンパク質が異常に下方制御されている、および/または増加した標的タンパク質活性が有益な効果を生じる可能性が高い状況において望ましい。例えば、標的タンパク質活性の刺激は、標的タンパク質が異常に下方制御されている、および/または増加した標的タンパク質活性が有益な効果を生じる可能性が高い状況において望ましい。同様に、標的タンパク質活性の阻害は、標的タンパク質が異常に上方制御されている、および/または減少した標的タンパク質活性が有益な効果を生じる可能性が高い状況において望ましい。
【0153】
特定の態様において、1つまたは複数の化合物(例えば、異なる遺伝子もしくはタンパク質の発現または活性を調節する化合物)が、いっしょに(同時に)、または異なる時間に(逐次的に)、投与されうる。さらに、そのような化合物は、シヌクレイノパチーを処置するための化合物の別の形態と共に投与されうる。例えば、同定された化合物は、パーキンソン病を処置するためのLevodopa(L-DOPA)および/または塩酸ドネペジル(Aracept)、酒石酸リバスティグミン(Exelon)、塩酸タクリン(Cognex)、および/または臭化水素酸ガランタミン(Reminyl)のような治療剤と共に投与されうる。
【0154】
小胞体からゴルジへの輸送ならびに/または小胞のドッキングおよび融合を調節する化合物の同定
添付の実施例に詳述されているように、酵母においてα-シヌクレイン発現の誘導後、観察される最も早い細胞欠陥は、小胞体(ER)からゴルジへの小胞輸送における遮断であった。この生物学的発見に加えて、遺伝学的スクリーニングにおいて同定されたいくつかの毒性サプレッサーは、この同じ段階で機能する高度に保存されたタンパク質をコードする。小胞輸送をα-シヌクレイン蓄積の重要な細胞的結果であると同定するために収束される、その2つの別個のアプローチ、一つが細胞生物学的およびもう一方が遺伝学的、は説得力がある。
【0155】
ER由来小胞をゴルジ膜に繋ぎとめることへのYPT1(サプレッサースクリーニングにおいて同定された遺伝子)の関与は、これがα-シヌクレイン感受性輸送段階であることを示唆する。結果として生じる前進輸送の休止は、ERにおけるタンパク質の蓄積を引き起こし、ERストレスを生じると思われるが、パーキンソン病モデルに観察されるERストレスの原因となっている可能性が高い(Ryu et al. (2002) J Neurosci 22:10690)。α-シヌクレインにより引き起こされるERからゴルジへの輸送における欠陥は、シヌクレイノパチーにおけるドーパミン作動性ニューロンの選択的死についての可能性のある説明を提供し、治療ストラテジーを示唆する。
【0156】
ERとゴルジ間の小胞輸送を測定するための例示的なアッセイは、添付の実施例に記載されている。このアッセイにおいて、ERからゴルジへの経路を通って通行する野生型タンパク質(CPYまたはアルカリホスファターゼのような)の細胞下局在性がモニターされる。本明細書に詳述されているように、α-シヌクレインの発現は、これらの野生型タンパク質のERからゴルジへの輸送を遮断する。スクリーニング方法は、α-シヌクレインを発現する細胞においてERからゴルジへの輸送を調節する(増加させるまたは減少させる)化合物を同定するために行われうる(例えば、前述の「スクリーニングアッセイ」のセクションに記載された候補作用物質を用いて)。ERからゴルジへの輸送を増加させる化合物は、α-シヌクレイン媒介性毒性を低下させる、およびシヌクレイノパチーを処置するための候補治療剤であることが予想される。ERからゴルジへの小胞輸送を測定するために用いられうるさらなるアッセイは、以下に記載されている:Loh et al. (2005) J. Cell Sci. 118(Pt 6):1209; Presley et al. (1997) Nature 389(6646):81; Klionsky et al. (1989) EMBO J. 8(8):2241; Stevens et al. (1982) Cell 30(2):439; Ruohola et al. (1989) Methods Cell Biol. 31:143; およびRothman et al. (1987) J Biol Chem. 262(26):12502。
【0157】
スクリーニング方法はまた、α-シヌクレイン発現細胞において、ドナー小胞(例えば、ER小胞またはシナプス小胞)のアクセプター膜(例えば、ゴルジ膜またはシナプス前膜)への融合を調節する化合物を同定するために行われうる(例えば、前述の「スクリーニングアッセイ」のセクションに記載された候補作用物質を用いて)。α-シヌクレイン発現細胞においてドナー小胞のアクセプター膜への融合を増加させる化合物は、α-シヌクレイン媒介性毒性を低下させる、およびシヌクレイノパチーを処置するための候補治療剤であることが予想される。ドナー小胞のアクセプター膜への融合を測定するために用いられうる例示的なアッセイは以下に記載されている:Lupashin et al. (1996) J Cell Biol. 132(3):277; Cao et al. (1998) EMBO J. 17(8):2156;およびTucker et al. (2004) Science 304(5669):435。
【0158】
以下は、本発明の実施の例である。それらは、決して、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0159】
実施例1:材料および方法
酵母菌株
これらの実験に用いられた酵母菌株は以下であった:ベクター、MATa can1-100 his3-11,15 leu2-3,112 trp1-1 ura3-1 ade2-1 pRS304 pRS306; aSyn-WT, MATa can1-100 his3-11,15 leu2-3,112 trp1-1 ura3-1 ade2-1 pRS304-aSynWT-GFP pRS306-aSynWT-GFP; aSyn-A53T, MATa can1-100 his3-11,15 leu2-3,112 trp1-1 ura3-1 ade2-1 pRS304-aSynA53T-GFP pRS306-aSynA53T-GFP;およびaSyn-WT-DsRed, MATa can1-100 his3-11,15 leu2-3,112 trp1-1 ura3-1 ade2-1 pRS304-aSynWT-DsRed pRS306-aSynWT-DsRed。菌株は、操作され、培地は、標準技術を用いて調製された。
【0160】
プラスミド過剰発現スクリーニングに用いられた、より毒性の低いaSyn菌株の特徴
モディファイヤースクリーニングに用いられた、2コピーα-シヌクレイン発現酵母菌株は、HIS3およびTRP1に組み込まれたaSyn-YFP、加えて、各推定上のモディファイヤー遺伝子を発現させうるガラクトース誘導性プロモーターを含むCENに基づいた染色体外プラスミドからなった。余分のガラクトース誘導性プロモーター(合計3つ)および異なるaSyn-YFP組み込み部位の存在は、結果として、最初の2コピー菌株と比較してわずかに低い毒性を生じた(Outeiro et al. (2003) Science 302:1772)。わずかに毒性の低い菌株は、ITox2Cと呼ばれ、より高い毒性の菌株はHTox2Cと呼ばれる。
【0161】
増殖速度および生存率アッセイ
増殖曲線は、2%ラフィノースを含む合成培地において細胞を一晩、30℃で対数期まで増殖させ、その後、それらを0.1〜0.3 OD600nmまで希釈することにより作製された。2%ガラクトースをその後、添加し、OD600nm読みを、示された時点で取った。生存率アッセイは、記載されているように(Haynes et al. (2004) Mol Cell 15:767)、行われた。簡単には、生存率は、ラフィノースを含む合成培地において菌株を一晩、対数期まで増殖させ、続いて、α-シヌクレインの発現を誘導するために2%ガラクトースを添加することにより、測定された。野生型細胞を対数期に維持するために、いくつかの希釈が、時間経過を通してなされた。記載された時点において、1 OD600nmを収集し、1:1000に希釈し、これらの細胞の300μlを、2%グルコースを含む合成培地上に蒔き、30℃でインキュベートした。コロニー形成単位を、その後、測定した。
【0162】
UPR活性化アッセイ
pMCZ-YL(UPRE-LacZ; Ellis et al. (2004) J Cell Biol 166:325)を含む細胞を、ラフィノースにおいて一晩、増殖させ、α-シヌクレイン発現を誘導するために、ガラクトースを、その後、2%まで添加し、細胞を、示された時点において収集した。UPR活性化は、記載されているように(Haynes et al. (2004) Mol Cell 15:767)測定された。
【0163】
放射標識/パルスチェイス実験
Deg1-LacZ(Hochstrasser et al. (1990) Cell 61:697)、Sec61-2p(pAC441, Caldwell et al. (2001) J Biol Chem 276:23296)またはCPY*(pAC497,前記)を含む細胞を、2%ラフィノースにおいて一晩、増殖させた。ガラクトースを2%まで添加し、細胞を30℃(Degl-βGalおよびCPY*)または35℃(Sec61-2p)で6時間、増殖させ、続いて、記載されているように(前記)、放射標識および免疫沈降を行った。
【0164】
免疫蛍光
間接的免疫蛍光実験は、記載されているように(前記)、行われた。間接的免疫蛍光実験に用いられた二次抗体は、Invitrogen Inc.から購入された。
【0165】
α-シヌクレイン毒性モディファイヤースクリーニング
2059個の完全長酵母ORFを、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅し、Gateway(商標)pDONR221ベクター(Invitrogen)への組換えクローニングにより捕獲した。クローンを、N末端からC末端までシーケンシングし、野生型であることを検証した。発現スクリーニングのために、クローンを、Gateway(商標)テクノロジー(Invitrogen)を用いてガラクトース誘導性発現プラスミド(pBY011; CEN, URA+, ampR)へ移動した。酵母FLEXGeneコレクションについてのさらなる情報は、www.hip.harvard.edu/research/yeast_flexgene/において入手できる。発現クローン由来のプラスミドDNAを、REAL(商標)ミニプレップキット(Qiagen)を用いて単離した。DNAを、96ウェルマイクロタイタープレートの個々のウェルにおいて乾燥させ、HIS3およびTRP1座に組み込まれたα-シヌクレインを発現する菌株へ形質転換した。標準酢酸リチウム形質転換プロトコールは、自動化のために改変され、BIOROBOT Rapidplate 96ウェルピペッター(Qiagen)を用いることにより使用された。形質転換体を、グルコースを含む、ウラシルを欠く合成欠損培地(SD-Ura)において、一晩、増殖させた。一晩の培養物を、新鮮なラフィノースを含むSD-Ura培地へ播種し、定常期に達するようにさせておいた。細胞を、SD-Ura+グルコースおよびSD-Ura+ガラクトースの寒天プレート上へスポットした。α-シヌクレイン誘導性毒性のサプレッサーを、30℃での2〜3日間の増殖後、ガラクトースプレート上で同定した。スクリーニングは、独立した3回、繰り返され、候補モディファイヤー遺伝子は、それらの確実性を確認するために少なくとも2回、再試験された。α-シヌクレイン発現における単純な低下に起因する偽陽性毒性サプレッサー遺伝子の可能性を排除するために、α-シヌクレインタンパク質の量を、ウェスタンブロッティングおよびフローサイトメトリーによりモニターした。α-シヌクレイン発現に関連性のない一般的な増殖阻害に起因する偽陽性エンハンサー遺伝子を排除するために、これらの遺伝子を、野生型酵母細胞へ形質転換し、増殖へのそれらの効果を測定した。
【0166】
実施例2:α-シヌクレインの発現は、細胞死、小胞体ストレスを引き起こし、小胞体関連分解を障害する
α-シヌクレイン誘導の4時間後、酵母細胞生存度におけるわずかな減少が観察され、8時間までに、細胞の60%がコロニー形成能力を喪失した(図1Aおよび1B)。指示薬ジヒドロキシローダミン123の蛍光により測定される場合、反応性酸素種(ROS)は、α-シヌクレイン誘導後遅く、細胞の大部分がコロニー形成能力を喪失した(約12時間)後初めて、現れた。ERにおける折り畳まれていないタンパク質応答についてのレポーターにより測定された(Ellis et al. (2004) J Cell Biol 166:325)ERストレスは、より早く現れた。野生型α-シヌクレイン(aSyn-WT)または疾患関連α-シヌクレイン(aSyn-A53T)の発現は、6時間後、対照細胞に対して、ERストレスにおける4倍増加を引き起こした(図1C)。
【0167】
サイトゾルにおけるα-シヌクレインの蓄積がERストレスを引き起こしうる複数の経路がある。例えば、ER内の誤って折り畳まれたタンパク質は、小胞体関連分解(Endoplasmic Reticulum Associated Degradation)(ERAD)と呼ばれる過程を通して、プロテアソームによる分解のためにERから細胞質へ逆移動される。従って、誤って折り畳まれたサイトゾルのα-シヌクレインによるプロテアソームの障害は、間接的に、ERにおける誤って折り畳まれたタンパク質の蓄積へ、およびERストレスへ導きうる。α-シヌクレインのプロテアソーム活性への効果を調べるために、十分特徴付けられたサイトゾルのプロテアソーム基質、Deg1-Beta-Gal(Hochstrasser et al. (1990) Cell 61:697)の分解率を試験した。この基質の分解は、α-シヌクレイン発現の6時間後、対照細胞と同一であった(図1D)。プロテアソーム活性は後で減少したが、全般的なプロテアソーム活性は、ERストレスレポーターが4倍上昇し(図1C)、かつ有意なパーセンテージの細胞が生存能力を喪失した(図1A)時点において、影響を及ぼされなかった。
【0168】
ERストレスの第二の原因は、プロテアソーム分解の前の段階におけるERADの障害である可能性がある。この可能性を調べるために、本発明者らは、以下の、ER内の2つの異なる誤って折り畳まれたタンパク質の分解を試験した:(1)CPY*、可溶性の誤って折り畳まれた基質(Knop et al. (1996) Yeast 12:1229)、および(2)Sec61-2p、誤って折り畳まれた膜貫通基質(Biederer et al. (1996) EMBO J 15:2069)。Sec61-2pの分解は影響を及ぼされなかったが(図1E)、CPY*の代謝回転は、aSyn-WTを発現する細胞において有意に障害され、疾患関連aSyn-A53Tを発現する細胞において、より多くそうであった(図1F)。これらのデータは、α-シヌクレインの毒性レベルが、もう一つ(Sec61-2p)の代謝回転を攪乱させることなく、一つのERAD基質(CPY*)の分解を阻害したという点においてパラドックスを提示した。
【0169】
実施例3:α-シヌクレイン蓄積は初期分泌経路における小胞輸送に深刻な遮断を引き起こす
CPY*とSec61-2pの分解の間の差異は、CPY*分解がERからゴルジコンパートメントへの輸送を必要とすることである(Caldwell et al. (2001) J Biol Chem 276:23296)。α-シヌクレインがERとゴルジ間の小胞輸送に影響を及ぼすかどうかを調べるために、この経路を通って通行する2つの野生型タンパク質、CPYおよびアルカリホスファターゼ(ALP)、の輸送を追跡した。これらのタンパク質の細胞下位置は、十分特徴付けられた様式で、各タンパク質の分子量を変化させるコンパートメント特異的グリコシル化およびタンパク分解性切断により容易に測定される(Klionsky et al. (1989) EMBO J 8:2241;およびStevens et al. (1982) Cell 30:439)。aSyn-WTかまたはaSyn-A53Tのいずれかを発現する細胞において、CPY輸送における顕著な欠陥が、α-シヌクレイン発現の誘導後3時間目に、観察され、4時間目までには、CPYのERからゴルジへの輸送が、ほとんど完全に遮断された(図2Aおよび2B)。ALP輸送もまた、α-シヌクレイン誘導の3時間後、妨害され、4時間目までには遮断された(図2Cおよび2D)。CPYおよびALPの両方について、突然変異体aSyn-A53T(ヒトにおいて若年性PDを引き起こす)の発現は、aSyn-WTより輸送遮断のより急速な発生を引き起こしたが、両方のタンパク質は等価レベルで発現されたのだが(図2Bおよび2D)。特に、最も早く検出できる増殖の障害(図1B)が、小胞輸送における最も早く検出できる障害(図2Aおよび2B)に対応しており、ERストレスの発生(図1C)に先行した。
【0170】
実施例4:プラスミド過剰発現スクリーニングはER-ゴルジ輸送遺伝子をα-シヌクレイン毒性のモディファイヤーであると同定する
遺伝学的アプローチは、冒される細胞過程のタイミングを決定することから決定的な致死傷害を同定するまで進めるために、用いられた。個々の酵母オープンリーディングフレームが完全にシーケンシングされて、ガラクトース誘導性プロモーターの制御下にタンパク質タグ無しで置かれた過剰発現ライブラリーが用いられた。すべての機能性クラスを代表する、このライブラリーにおける2059個のランダムに選択された遺伝子を、個々にaSyn-WTを発現する酵母菌株へ形質転換した。以前に記載されているもの(Outeiro et al. (2003) Science 302:1772および実施例1)よりわずかに低いレベルのα-シヌクレイン発現を示す酵母菌株が用いられた。毒性についての延長された時間経過が、ガラクトース含有寒天プレート上にかなりの増殖を生じ、毒性のエンハンサーおよびサプレッサーについて同時にスクリーニングすることを可能にした。過剰発現された場合、α-シヌクレイン毒性を抑制するかまたは増強するかのいずれかである遺伝子が同定された(表3)。スクリーニング中に濃縮された1つの機能性クラスは、スクリーニングの有効性についての原理の証明を提供した。これらの遺伝子は、特異的に炭水化物代謝およびガラクトース制御性遺伝子発現に関与するか、または、より全般的な遺伝子発現の阻害を生じるかのいずれかであった。驚くことではないが、これらは、α-シヌクレイン毒性に特異的ではなかった。
【0171】
(表3)過剰発現された場合にα-シヌクレイン毒性を調節する酵母遺伝子

【0172】
すべてがα-シヌクレイン毒性に高度に特異的な、最も大きくかつ最も効果的なサプレッサーのクラスは、小胞媒介性膜輸送に関与した。顕著には、そのサプレッサーの全部が、ERからゴルジへの輸送の同じ段階に作用する、またはこの段階における欠陥の公知のサプレッサーである。これらのサプレッサーは以下を含む:Rab GTPアーゼ、Ypt1p;3つのSNAREタンパク質(Ykt6p、Sec22p、およびBet1p);Bre5p、COP II成分Sec23pの脱ユビキチン化に必要とされるユビキチンプロテアーゼ補助因子;およびErv29p、ER-出口積み荷受容体(表3および図3A)。特に、Gyp8pもまた、毒性の過剰発現エンハンサーとして回収された。GYP8は、優先の基質がYpt1pであるRab GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)をコードする(De Antoni et al. (2002) J Biol Chem 277:41023)。
【0173】
合わせると、これらのデータは、α-シヌクレイン発現の主要な細胞毒性効果が必須のRabタンパク質Ypt1pにより調整される分泌経路における段階の阻害に集中するモデルを支持している。ERおよびゴルジのような異なる膜結合型オルガネラ間の輸送は、小胞形成、輸送および標的オルガネラとの融合に依存した様式での膜およびタンパク質の動力学的かつ本質的な流れを含む。小胞の正しい標的オルガネラとのテザーリング(tethering)、ドッキングおよび融合の忠実性を保証することは、特異的なRabおよびSNAREタンパク質の両方を含む。分泌経路の異なる地点で機能する複数のRab GTPアーゼがある。Rabタンパク質Ypt1pは、最も強力なサプレッサーであったが、他のRab GTPアーゼタンパク質をコードする遺伝子(もっともライブラリーに存在するものであるが)は、α-シヌクレインサプレッサーであると同定されなかった。高処理量スクリーニングにおいて少数の遺伝子のスコアをつけ損なうことはよくあるため、これらのRabは、注意深くかつ定量的に再試験された。Ypt1pの過剰発現は毒性を救出したが、分泌において、より遠位の地点で機能するRab GTPアーゼ(Ypt6p、Sec4p、Ypt31p、またはYpt51p)は救出しなかった(図3B)。
【0174】
ER-ゴルジ輸送段階の阻害が、実際に、α-シヌクレイン誘導性毒性の重大な局面である場合には、Ypt1pの過剰発現によるα-シヌクレイン毒性の寛解は、前進輸送を増加させるはずである。実際に、Ypt1pの過剰発現は、CPYの前進輸送を増強した(図4Aおよび4C)。さらに、GYP8、Ypt1pの負の制御因子、の過剰発現は、CPY突然変異により例証された輸送欠陥を悪化させた(図4Aおよび4C)。Ypt1pのドミナントネガティブ型が、C末端タンパク質融合体ライブラリー(Open Biosystems)から回収された。この変異体、Ypt1pのC末端ゲラニルゲラニル膜アンカーシグナルの機能を不必要にするプロテインA-6xHis-HAタグ付き融合体、はα-シヌクレイン毒性を増強した。Ypt1pにおける欠陥は、ERからゴルジへのt-SNARE関連タンパク質Sly1pのドミナント型をコードするSLY1-20の発現により抑制されうる(Ossig et al. (1991) Mol Cell Biol 11:2980;およびLupashin et al. (1996) J Cell Biol 132:277)。対応する様式で、SLY1-20は、α-シヌクレイン誘導性増殖欠陥(補助的な図1)およびCPY輸送欠陥の両方を強く抑制した(図4Bおよび4D)。(1)輸送欠陥を救出するまたは悪化させる、および(2)毒性を救出するまたは悪化させる、これらの特定のサプレッサーおよびエンハンサー対立遺伝子の能力は、前進のERからゴルジへの小胞輸送が、α-シヌクレイン蓄積に特に感受性があることを確認している。
【0175】
α-シヌクレインをこの特定の輸送遮断へさらに結びつけることには、Ypt1pとα-シヌクレイン細胞質封入体の間に有意な共存が観察された。さらに、Erv29p、ERとcisゴルジの間を循環する複合的な膜タンパク質、が多数の小さな点状構造におけるそれの典型的な定常状態分布からα-シヌクレイン凝集体へ再局在化した(図4F)。興味をそそることには、Erv29p、もともとER-ゴルジ輸送小胞から精製された、は凝集されたα-シヌクレインの周囲に環または貝殻様構造を形成するように見え、細胞毒性α-シヌクレインは、α-シヌクレインがシナプス小胞と会合するように、輸送小胞と会合しうることを示唆している(Fortin et al. (2004) J Neurosci 24:6715; Rochet et al. (2004) J Mol Neurosci 23:23;およびVolles et al. (2002) Biochemistry 41:4595)。
【0176】
他の態様
本発明はその詳細な説明と共に記載されているが、前述の説明は、例証することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しないことは、理解されるべきである。本発明の他の局面、利点および改変は、特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シヌクレイノパチー(synucleinopathy)を処置または予防する方法であって、それを必要としている被験体に、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1、またはKIAA0703の発現または活性を阻害する化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項2】
シヌクレイノパチーがパーキンソン病、レビー小体認知症、純粋自律神経不全症、または多系統萎縮症である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害する方法であって、毒性を誘導する量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を、GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する化合物の有効量と接触させる段階を含む方法。
【請求項4】
化合物が、タンパク質をコードするRNAの翻訳を阻害する核酸を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
化合物が、タンパク質をコードするDNAの転写を阻害する核酸を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;
GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する作用物質と細胞を接触させる段階;および
作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項7】
α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する作用物質を同定するためにスクリーニングする段階;
細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;および
作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項8】
タンパク質の発現を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703を発現する細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;および
作用物質の存在下でタンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の発現が低下することにより、作用物質がタンパク質の発現を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項9】
タンパク質の発現を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
(i)GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703をコードする遺伝子のプロモーター配列、および(ii)レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、レポーター構築物を含む細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下でレポータータンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるレポータータンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるレポータータンパク質の発現が低下することにより、作用物質がタンパク質の発現を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項10】
タンパク質の活性を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
GYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703を供給する段階;
タンパク質を作用物質と接触させる段階;および
作用物質の存在下でタンパク質の活性を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の活性と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の活性が低下することにより、作用物質がタンパク質の活性を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項11】
作用物質が合成化合物である、請求項6〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
作用物質が天然化合物である、請求項6〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
作用物質が小分子、核酸、タンパク質、抗体、またはペプチド模倣体である、請求項6〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
細胞が酵母細胞である、請求項6〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項6〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
シヌクレイノパチーの存在、またはシヌクレイノパチー発症に対する感受性について個体を評価する方法であって、以下の段階を含む方法:
第一の被験体から生体試料を得る段階;
TBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性について試料を分析する段階;および
第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性を、シヌクレイノパチーに罹患していない、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがない第二の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性と比較する段階であって、第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性の増加により、被験体がシヌクレイノパチーに罹患している、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがある個体であることが示される段階。
【請求項17】
TBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1、もしくはKIAA0703の発現または活性を阻害する化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物。
【請求項18】
化合物がタンパク質をコードするRNAの翻訳を阻害する核酸を含む、請求項17記載の薬学的組成物。
【請求項19】
化合物がタンパク質をコードするDNAの転写を阻害する核酸を含む、請求項17記載の薬学的組成物。
【請求項20】
シヌクレイノパチーを処置または予防する方法であって、それを必要としている被験体に、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項21】
シヌクレイノパチーがパーキンソン病、レビー小体認知症、純粋自律神経不全症、または多系統萎縮症である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
薬学的組成物が(i)RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される単離されたポリペプチドの治療量または予防量、ならびに(ii)薬学的に許容される担体を含む、請求項20または請求項21記載の方法。
【請求項23】
α-シヌクレイン媒介性細胞毒性を阻害する方法であって、毒性を誘導する量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を、YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する化合物の有効量と接触させる段階を含む方法。
【請求項24】
α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;
YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する作用物質と細胞を接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項25】
α-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増強する作用物質を同定するためにスクリーニングする段階;
細胞の生存度を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下で細胞生存度を測定する段階であって、作用物質の非存在下における細胞生存度と比較して作用物質の存在下における細胞生存度が増加することにより、作用物質がα-シヌクレイン媒介性毒性を阻害する化合物であると同定される段階。
【請求項26】
タンパク質の発現を増加させる化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質を発現する細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下でタンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の発現が増加することにより、作用物質がタンパク質の発現を増加させる化合物であると同定される段階。
【請求項27】
タンパク質の発現を増加させる化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
(i)YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター配列、ならびに(ii)レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、レポーター構築物を含む細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下でレポータータンパク質の発現を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の発現と比較して作用物質の存在下におけるレポータータンパク質の発現が増加することにより、作用物質がタンパク質の発現を増加させる化合物であると同定される段階。
【請求項28】
タンパク質の活性を増加させる化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
YPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質を供給する段階;
タンパク質を作用物質と接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下でタンパク質の活性を測定する段階であって、作用物質の非存在下におけるタンパク質の活性と比較して作用物質の存在下におけるタンパク質の活性が増加することにより、作用物質がタンパク質の活性を増加させる化合物であると同定される段階。
【請求項29】
作用物質が天然化合物である、請求項24〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
作用物質が小分子、核酸、タンパク質、抗体、またはペプチド模倣体である、請求項24〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
細胞が酵母細胞である、請求項24〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項24〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
シヌクレイノパチーの存在、またはシヌクレイノパチー発症に対する感受性について個体を評価する方法であって、以下の段階を含む方法:
第一の被験体から生体試料を得る段階;
RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性について試料を分析する段階;ならびに
第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性を、シヌクレイノパチーに罹患していない、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがない第二の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性と比較する段階であって、第一の被験体由来の試料における1つもしくは複数のタンパク質の発現または活性の減少により、被験体がシヌクレイノパチーに罹患している、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがある個体であることが示される段階。
【請求項34】
シヌクレイノパチーの存在、またはシヌクレイノパチー発症に対する感受性について個体を評価する方法であって、以下の段階を含む方法:
第一の被験体から生体試料を得る段階;
RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される第一のタンパク質の発現または活性について試料を分析する段階;
第二のタンパク質の発現または活性について試料を分析する段階であって、第二のタンパク質がTBC1ドメインファミリー、メンバー20、ATPC1、またはKIAA0703である段階;ならびに
第一の被験体由来の試料における第一のタンパク質および第二のタンパク質の発現または活性を、シヌクレイノパチーに罹患していない、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがない第二の被験体由来の試料における第一のタンパク質および第二のタンパク質の発現または活性と比較する段階であって、第一の被験体由来の試料における第一のタンパク質の発現または活性の減少および第二のタンパク質の発現または活性の増加により、被験体がシヌクレイノパチーに罹患している、またはシヌクレイノパチーを発症するリスクがある個体であることが示される段階。
【請求項35】
RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質の発現または活性を増加させる化合物の治療量または予防量を含む薬学的組成物。
【請求項36】
(i)RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、hYKT6、SURF-4、G3BP1、G3BP2、hBET1、SEC22B、SEC22A、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択される単離されたポリペプチドの治療量または予防量、ならびに(ii)薬学的に許容される担体を含む、請求項35記載の薬学的組成物。
【請求項37】
小胞体からゴルジへの小胞輸送を増加させる化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
小胞体からゴルジへの小胞輸送を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;および
作用物質の存在下で細胞における小胞体からゴルジへの小胞輸送を測定する段階であって、作用物質の非存在下における小胞体からゴルジへの小胞輸送と比較して作用物質の存在下における小胞体からゴルジへの小胞輸送が増加することにより、作用物質が小胞体からゴルジへの小胞輸送を増加させる化合物であると同定される段階。
【請求項38】
小胞のドッキングおよび融合を増加させる化合物を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
小胞のドッキングおよび融合を低下させる量または形態のα-シヌクレインを発現する細胞を供給する段階;
細胞を作用物質と接触させる段階;ならびに
作用物質の存在下で細胞における小胞のドッキングおよび融合を測定する段階であって、作用物質の非存在下における小胞のドッキングおよび融合と比較して作用物質の存在下における小胞のドッキングおよび融合が増加することにより、作用物質が小胞のドッキングおよび融合を増加させる化合物であると同定される段階。
【請求項39】
α-シヌクレインをコードする第一の発現ベクター、およびGYP8、TBC1ドメインファミリー、メンバー20、PMR1、ATPC1、またはKIAA0703をコードする第二の発現ベクターを含む細胞。
【請求項40】
α-シヌクレインをコードする第一の発現ベクター、ならびにYPT1、RAB1A、RAB1B、RAB8B、RAB8A、RAB10、RAB13、RAB35、RAB11B、RAB30、RAB11A、RAB3A、RAB3C、RAB3D、RAB3B、RAB2、RAB43、RAB4A、RAB2B、RAB4B、RAB25、RAB14、RAB37、RAB18、RAB5B、RAB33A、RAB26、RAB5A、RAB19B、RAB5C、RAB33B、RAB39B、RAB39、RAB31、RAB15、RAB40C、RAB27B、RAB22A、RAB6B、RAB40B、RASEF、RAB21、RAB27A、LOC286526、RAB40A、RAB6A、RAB17、RAB6C、RAB7、RAB9A、RAB7L1、RAB9B、RAB34、RAB7B、RAB41、RAB23、RAB32、RAB38、RAB36、RAB28、RAB20、RAB12、YKT6、hYKT6、ERV29、SURF-4、BRE5、G3BP1、G3BP2、BET1、hBET1、SEC22、SEC22B、SEC22A、SLY41、MRS6、USO1、SLC35E1、GDI2、GDI1、CHML、CHM、およびVDPからなる群より選択されるタンパク質をコードする第二の発現ベクターを含む細胞。
【請求項41】
細胞が酵母細胞である、請求項39または40記載の細胞。
【請求項42】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項39または40記載の細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−67109(P2012−67109A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233466(P2011−233466)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【分割の表示】特願2007−544651(P2007−544651)の分割
【原出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506188769)ホワイトヘッド インスティテュート フォー バイオメディカル リサーチ (5)
【出願人】(505101868)ザ キュレイターズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミズーリ (7)
【Fターム(参考)】