説明

α−シランを含み、アニソトロピー材料特性を有するポリウレタン組成物

本発明は、少なくとも一種のポリイソシアネート、ポリアルジミン、α−官能性オルガノアルコキシシラン、および酸を、特別に調和した量比で含む、一成分形湿気硬化性組成物に関する。この組成物は、気泡を形成することなく湿気によって硬化する。この組成物が大気中の湿気によって硬化すると、表面が実質的に非粘着性である主として弾性の皮膜と、主として可塑性のコアとを含む異方性材料が生成する。この組成物は、柔軟性のあるシーリング材として特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物、およびその用途、特にシーリング材としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、長い間、接着剤、シーリング材、およびコーティング剤として用いられてきた。伸縮継手のためのシーリング材としての用途のために、組成物は、気泡を形成することなく硬化し、かつ、硬化後に広い温度範囲で柔軟性を有することが求められる。すなわち、低い伸縮範囲では、可能な限り低い値の引張り強さを有し、同時に、高い形状回復力を有することが求められる。この結果、そのようなシーリング材は、動作もしくは温度差によって引き起こされる継ぎ手の引張または圧縮を、逆方向に補って応力伝達性を低め、継ぎ手材料への歪みおよび損傷を可能な限り最小化することができる。
【0003】
長鎖ポリアルジミンを含有し、柔軟性のあるシーリング材として好適な一成分形ポリウレタン組成物が、国際公開第2007/104761号A1により知られている。記載されているこの組成物は、気泡を形成することなく硬化し、室温および−20℃の両方において100%引張り強さの低い値を有する。しかし、他の柔軟性ポリウレタン組成物と同様にこれらの組成物も、程度の差はあるが、強い粘着性を有する表面であって硬化中に容易に汚れる表面を形成する傾向がある。構造物の外側領域の伸縮継手は、ほとんどの場合容易に観察者から視認可能であり、建造物の表面の色に調和されている。これらの伸縮継手はさらに、明るい色調、例えば、白、灰色、またはコンクリートグレーを有することが多く、これらの汚れはすぐに視認可能であり、したがって美観を損なう。
【0004】
特異なポリアルジミンを含有し、汚れる傾向がないシーリング材として好適な一成分形ポリウレタン組成物が、国際公開第2008/116900号A1および第2008/116902号A1により知られている。記載されているこれらの組成物は、硬化後の表面接着性が低いが、異方性材料特性を何ら示さない。
【0005】
イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、NCO基と水との反応を加速する少なくとも1種の触媒、および少なくとも1種のα−シラン基を有する少なくとも1種の化合物を含み、自動車の窓の接着のための接着剤として好適なポリウレタン組成物が、国際公開第2006/130592号A1により知られている。しかし、記載されているこの組成物は、異方性材料特性を何ら示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/104761号A1パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/116900号A1パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/116902号A1パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/130592号A1パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、気泡を形成することなく硬化し、硬化後は大幅にべたつきのない表面を有するのみならず、低い値の100%引張り強さおよび良好な形状回復性を有する、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この目的は、請求項1に記載の組成物によって達成することができる。この組成物は、湿気によって気泡を形成することなく硬化する。この組成物を、大気中の湿気によって硬化させる過程では、その表面が実質的に非粘着性である主として弾性の皮膜(「上面」)と、主として可塑性のコアとを有する異方性材料が生成する。しかし、この組成物を、十分に大量の本質的に均一に混ぜ入れた水を用いて硬化させる過程では、大部分が等方性である材料が生成する。この組成物の機械的特性は、広い範囲でさまざまであり得る。この組成物は、特に、建築用途および工業用途のための柔軟なシーリング材、特に、建造物の伸縮継手または自動車のシール材として好適である。しかし、この組成物は、制振性の接着剤またはシーリング材として、あるいは衝撃抑制性および/または制振性のコーティングとしても使用することができる。この継ぎ手は、継ぎ手のためのシーリング材としての用途において、大気中の湿気によって硬化した後は、べたつかない耐久性のある表面を備え、全体として、幅広い温度範囲において高められた柔軟な特性を有し、良好な形状回復力を有し、かつ、汚れる傾向がより小さい。
【0009】
本発明の他の側面は、さらなる独立請求項の主題である。本発明のとりわけ好ましい実施態様は、さらなる従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の主題は、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物であって、
a)少なくとも1種のポリイソシアネートP;
b)少なくとも1種の式(I)のアルジミンA:
【化1】

(式中、
nは、2、3、または4を表し、
Eは、n価のアミンBからn個の一級アミノ基を除去した後の有機基を表し、
Yは、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を有していてもよい、1個〜35個のC原子を有する一価炭化水素基を表す);
c)少なくとも1種のオルガノアルコキシシランOSであって、少なくとも1種の式(VI)の基:
【化2】

(式中、
aは、0、1、または2、好ましくは0または1を表し、
は、1個〜5個のC原子を有するアルキル基、特にメチル基またはエチル基を表し、
は、1個〜8個のC原子を有するアルキル基、特にメチル基またはエチル基を表し、
Xは、酸素原子または置換窒素原子を表す)
を有するもの;
d)少なくとも1種の酸S
を含み、
但し、前記組成物において
(i)アルジミノ基の数の、イソシアネート基の数に対する比V1が、0.2〜0.8の範囲であり、かつ、
(ii)オルガノアルコキシシランOSのアルコキシ基の数の、イソシアネート基の数に対する比V2が、0.1〜0.5の範囲であることを条件とする、組成物である。
【0011】
本明細書において、式中の点線は、それぞれ、置換基と関連する分子基との間の結合を表す。
【0012】
本明細書において、「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、またはポリアルデヒドは、形式上、それらの名前にある官能基を1分子当たり2つ以上有する物質をいう。
【0013】
本明細書において、用語「ポリイソシアネート」は、それらがモノマー性ジイソシアネートであるか、オリゴマー性イソシアネートであるか、あるいは比較的高い分子量を有するイソシアネートを有するポリマーであるかにかかわらず、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を含む。
【0014】
本明細書において、用語「オルガノアルコキシシラン」は、ケイ素原子が、少なくとも1個、特に2個または3個のアルコキシ基と、少なくとも1個の直接結合した有機基との両方を有し、したがって少なくとも1個のSi−C結合を有するケイ素含有化合物を意味する。これに関連して、用語「シラン基」は、オルガノアルコキシシランの有機基に結合したケイ素含有基を意味する。オルガノアルコキシシラン、またはそのシラン基は、湿気と接触すると加水分解する特性を有し、この場合には、アルコール、特にメタノールまたはエタノールを放出する。
【0015】
用語「引張り強さ」は、引張られた状態において材料に働く応力を意味する。用語「100%引張り強さ」は、その長さの2倍にまで引っ張られた材料に働く応力を意味する。
【0016】
1つの実施態様では、ポリイソシアネートPとして、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPが好適である。
【0017】
本明細書において、用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加法によって製造される全てのポリマーを含む。この用語には、遊離のウレタン基をほとんど含まないかまたは完全に含まないポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、およびポリカルボジイミドである。
【0018】
好適なポリウレタンポリマーPUPは、特に、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応から得ることができる。この反応は、ポリオールと、ポリイソシアネートとを、一般的に用いられている方法、例えば、50℃〜100℃の温度にて、場合により適切な触媒を同時に使用し、ポリイソシアネートを、そのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在するように計り入れる方法によって反応させることによって実施することができる。ポリイソシアネートは、NCO/OH比が1.3〜5、とりわけ1.5〜3に維持されるように計り入れることが有利である。「NCO/OH比」は、使用されるイソシアネート基の数の、使用されるヒドロキシル基の数に対する比を意味する。ポリウレタンポリマーPUP中には、ポリオールの全てのヒドロキシル基が反応した後で、0.5〜15質量%、とりわけ好ましくは0.5〜5質量%の含有率の遊離のイソシアネート基が残存していることが好ましい。
【0019】
場合により、ポリウレタンポリマーPUPは、柔軟剤を同時に使用して製造することができる。この場合において、使用する柔軟剤は、イソシアネートとの反応性を有する基を全く有さない。
【0020】
ポリウレタンポリマーPUPの製造のためのポリオールとしては、例えば、以下の商業的に入手可能なポリオール、またはそれらの混合物を使用することができる:
− ポリオキシアルキレンポリオール類。これらはポリエーテルポリオールもしくはオリゴエーテロールともいわれ、これらは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物の重合生成物であって、場合により、2個もしくは3個の活性水素原子を有する開始剤分子〔例えば、水、アンモニア、または数個のOH基もしくはNH基を有する化合物など(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールメタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、ならびに前述した化合物の混合物など)〕を用いて重合されたものであってよい。
いわゆるダブルメタルシアン化物錯体触媒(DMC触媒と略される)を用いて製造される、不飽和度〔ASTM D2849-69に準拠して測定され、ポリオール1 g当たりの不飽和のミリ当量(mEq/g)で表される〕が低いポリオキシアルキレンポリオール、および、例えば、NaOH、KOH、CsOH、もしくはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン性触媒を用いて合成される、不飽和度が高いポリオキシアルキレンポリオール、のいずれの物質を用いることもできる。
ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、特に、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのジオールおよびトリオールが、とりわけ好適である。0.02 mEq/g未満の不飽和度を有し、且つ1000〜30000 g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールおよびトリオール、ならびに、400〜8000 g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールが、とりわけ好適である。
いわゆる「EO末端キャップされた」(エチレンオキシドで末端キャップされた)ポリオキシプロピレンポリオールも、とりわけ好適である。後者は、特定のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであって、これは例えば、ポリプロポキシル化反応終了後の純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールに、エチレンオキシドを加え、さらにアルコキシル化する方法によって得られ、したがって生成物は、一級ヒドロキシル基を有している。
− スチレン-アクリロニトリルまたはアクリロニトリル-メチルメタクリレートが挿入されたポリエーテルポリオール。
− ポリエステルポリオール類。これらはこれらはオリゴエステロールともいわれ、公知の方法、特に、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、または脂肪族および/または芳香族ポリカルボン酸と二価もしくは三価のアルコールとの重縮合によって製造される。
【0021】
ポリエステルポリオールとしてとりわけ好ましいものは、二価〜三価アルコール、特に二価アルコール〔例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,12-ヒドロキシステアリルアルコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマー脂肪酸ジオール(ダイマージオール)、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、または前述したアルコール類の混合物など〕と、有機ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはそれらの酸無水物もしくはエステル〔例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、または前述した酸の混合物など〕とから製造されるポリエステルポリオール類、並びに、ラクトン類(例えば、ε-カプロラクトンなど)と出発物質(例えば、上述した二価または三価のアルコールなど)とから製造されるポリエステルポリオール類である。
【0022】
とりわけ好適なポリステルポリオールは、ポリエステルジオールである。
− ポリカーボネートポリオール類。これらは、ポリエステルポリオールの合成に用いられる上述したアルコール類を、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはホスゲンと反応させることによって得られる。
− 少なくとも2個のヒドロキシ基を有するブロックコポリマーであって、上述した種類のポリエーテル、ポリエステル、および/またはポリカーボネート構造、とりわけポリエーテル-ポリエステルポリオールを有する少なくとも2つの異なるブロックを有するもの。
− ポリアクリレート-およびポリメタクリレートポリオール。
− ポリヒドロキシル官能性の脂肪および油、例えば、天然の脂肪および油、特にヒマシ油;または、天然の脂肪および油の化学変性によって得られるポリオール(いわゆる油脂化学ポリオール類)。例えば、不飽和油をエポキシ化し、次いでカルボン酸またはアルコールを用いて開環反応させることによって得られるエポキシポリエステル類またはエポキシポリエーテル類、不飽和油のヒドロキシホルミル化および水素化によって得られるポリオール類;または分解過程(例えば、アルコール分解、オゾン分解など)およびその後の化学架橋(例えば、こうして得られた分解生成物またはその誘導体の再エステル化または二量化など)によって天然の脂肪および油から得られるポリオール類である。天然の脂肪および油の好ましい分解生成物は、特に、脂肪酸および脂肪アルコール、ならびに脂肪酸エステルであり、特に、例えばヒドロホルミル化および水素化してヒドロキシ脂肪酸エステルを形成させることによって誘導体化され得るメチルエステル(FAME)である。
− ポリ炭化水素ポリオール類(いわゆるオリゴヒドロカルボノールとも呼ばれる)、例えば、ポリヒドロキシ-官能性ポリオレフィン類、ポリイソブチレン類、ポリイソプレン類;ポロヒドロキシ-官能性のエチレン-プロピレン-、エチレン-ブチレン-、エチレン-プロピレン-ジエンのコポリマー類(これらは、Kraton Polymer社によって製造されている);ジエン類(例えば、1,3-ブタジエン)のポリヒドロキシ官能性ポリマー類(これらは、特に陰イオン性重合から製造することがもできる);ジエン類(例えば、1,3-ブタジエン、またはジエン混合物など)、ビニルモノマー類(例えば、スチレン、アクリロニトリル、ビニルクロライド、ビニルアセテート、ビニルアルコール、イソブチレン、およびイソプレンなど)を構成するポリヒドロキシ官能性ポリマー類、例えば、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー類(これらは、例えば、エポキシド類またはアミノアルコール類と、カルボキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー類とから製造することができる)〔例えば、Hypro(登録商標)(以前のHycar(登録商標))CTBN、CTBNX、およびETBNの名称で、Nanoresins AG社(独国)またはEmerald Performance Materials LLCから市販されている〕;ならびに、ジエン類の水素化ポリヒドロキシ-官能性ポリマーまたはコポリマー。
【0023】
上述したこれらのポリオール類は、250〜30,000 g/mol、特に400〜20,000 g/molの平均分子量を有することが好ましく、平均OH-官能性が、1.6〜3の範囲であることが好ましい。
【0024】
ポリオール類としては、ポリエーテル-、ポリエステル-、ポリカーボネート-、およびポリアクリレートポリオール、好ましくはジオールまたはトリオールが好ましい。ポリエーテルポリオール、特に、ポリオキシプロピレン-、およびポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリオール、ならびに、液体ポリエステルポリオール、およびポリエーテル-ポリエステルポリオールが、とりわけ好ましい。
【0025】
上述したこれらのポリオール類に加えて、少量の低分子量の二価または多価アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールの異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体の脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、糖アルコール類(例えば、キシリトール、ソルビトール、またはマンニトールなど)、糖類(例えば、サッカロースなど)、他の多価アルコール類、前述の二価および多価のアルコールの低分子量アルコキシル化生成物、ならびに前述したアルコールの混合物などを、ポリウレタンポリマーPUPの製造において同時に用いることができる。3より高い平均OH官能性を有する少量のポリオール類、例えば糖ポリオール類を同時に用いることもできる。
【0026】
芳香族または脂肪族ポリイソシアネート、特に芳香族または脂肪族ジイソシアネートを、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPの製造のためのポリイソシアネートとして用いる。
【0027】
芳香族イソシアネート基のみを有する有機化合物を、「芳香族イソシアネート」と呼ぶ。芳香族基または複素芳香族基に結合したイソシアネート基を、「芳香族」イソシアネート基と呼ぶ。脂肪族イソシアネート基を有する有機化合物を、「脂肪族イソシアネート」と呼ぶ。脂肪族基、脂環式基、または芳香脂肪族基に結合したイソシアネート基を、「脂肪族」イソシアネート基と呼ぶ。
【0028】
芳香族ポリイソシアネートとして、特に、以下のものが好適である:単量体ジ-またはトリ-イソシアネート、例えば、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネートおよびこれらの任意の異性体混合物(TDI)、4,4'-、2,4'-、および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの任意の異性体混合物(MDI)、MDIおよびMDI同族体からなる混合物(ポリマーのMDIまたはPMDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5-トリス-(イソシアナトメチル)-ベンゼン、トリス-(4-イソシアナトフェニル)-メタン、トリス-(4-イソシアナトフェニル)-チオホスフェート、前述のイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、ならびに前述のイソシアネートの任意の混合物。MDIおよびTDIが好ましい。
【0029】
脂肪族ポリイソシアネートとして、特に、以下のものが好適である:単量体ジ-またはトリ-イソシアネート、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンおよびリジンエステルのジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、1-メチル-2,4-および-2,6-ジイソシアナト-シクロヘキサン、およびこれらの異性体の任意の混合物(HTDIすなわちH6TDI)、1-イソシアナト3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートすなわちIPDI)、ペルヒドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIすなわちH12MDI)、1,4-ジイソシアナト2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス-(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-XDI)、m-およびp-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-TMXDI)、ビス-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)-ナフタレン、二量体および三量体の脂肪酸のイソシアネート〔例えば、3,6-ビス-(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ-(1-ヘプテニル)-シクロヘキセン(二量体ジイソシアネート)など〕、α、α、α'、α'、α''-ヘキサメチル-1,3,5-メシチレントリイソシアネート、前述のイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、ならびに前述のイソシアネートの任意の混合物。HDIおよびIPDIが好ましい。
【0030】
芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPが好ましい。
【0031】
別の実施態様では、ジイソシアネートもしくはトリイソシアネートモノマーの形態、ジイソシアネートモノマーのオリゴマーの形態、またはジイソシアネートモノマーの誘導体の形態のポリイソシアネートPIが、ポリイソシアネートPとして好適である。この場合において、特に、上述した芳香族および脂肪族のジ-およびトリイソシアネートが、ジイソシアネートもしくはトリイソシアネートモノマーとして好ましい。
【0032】
ポリイソシアネートPIとして、以下のものがとりわけ好適である:ジイソシアネートモノマーのオリゴマーまたは誘導体、特に、HDI、IPDI、TDI、およびMDI。市販されている製品は、特に、HDIビウレット〔例えば、Desmodur(登録商標)N 100およびN 3200、(Bayer社から))、Tolonate(登録商標)HDBおよびHDB-LV(Rhodia社から)、およびDuranate(登録商標)24A-100(旭化成社から)〕;HDIイソシアヌレート〔例えば、Desmodur(登録商標)N 3300、N 3600、およびN 3790 BA(Bayer社から)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV、およびHDT-LV2(Rhodia社から)、Duranate(登録商標)TPA-100およびTHA-100(旭化成社から)、ならびにCoronate(登録商標)HX(日本ポリウレタン社から)〕;HDIウレトジオン〔例えば、Desmodur(登録商標)N 3400(Bayer社から)〕;HDIイミノオキサジアジンジオン〔例えば、Desmodur(登録商標)XP 2410(Bayer社から)〕;HDIアロファネート、〔例えば、Desmodur(登録商標)VP LS 2102(Bayer社から)〕;IPDIイソシアヌレート〔例えば、Desmodur(登録商標)Z 4470(Bayer社から)として溶液形態のもの、またはVestanat(登録商標)T1890/100(Degussa社から)として固体形態のもの〕;TDIオリゴマー〔例えば、Desmodur(登録商標)IL(Bayer社から)〕;ならびに、TDI/HDIに基づく混合イソシアヌレート〔例えば、Desmodur(登録商標)HL(Bayer社から)〕である。加えて、以下のものがとりわけ室温で効果的である:MDIの液体形態(いわゆる「変性MDI」)〔これは、MDIとMDI誘導体(例えば、MDIカルボジイミド、MDIウレトンイミン、またはMDIウレタンなど)との混合物(例えば、商標名Desmodur(登録商標)CD、Desmodur(登録商標)PF、Desmodur(登録商標)PC(いずれもBayer社から)の下で知られているもの)を表す〕、および、MDIとMDI同族体(MDIポリマーまたはPMDIポリマー)との混合物〔例えば、商標名Desmodur(登録商標)VL、Desmodur(登録商標)VL 50、Desmodur(登録商標)VL R10、Desmodur(登録商標)VL R20、およびDesmodur(登録商標)VKS 20F(いずれもBayer社から)、Isonate(登録商標)M 309、Voranate(登録商標)M 229、およびVoranate(登録商標)M 580(Dow社から)、Lupranat(登録商標)M 10 R(BASF社から)の下で市販されているもの〕。
【0033】
上述したポリイソシアネートPIのオリゴマーは、実際には、様々なオリゴマー化度及び/又は様々な化学構造を有する物質の混合物を通常は表す。それらは、好ましくは、2.1〜4.0の平均NCO官能性を有し、より特に、イソシアヌレート基、イミノオキサジアジンジオン基、ウレトジオン基、ウレタン基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、またはオキサジアジントリオン基を含む。これらは、低いジイソシアネートモノマー濃度を有することが好ましい。
【0034】
ポリイソシアネートPIとしては、室温液状形態のMDI、およびオリゴマー形態のHDI、IPDI、及びTDI、特に、イソシアヌレートおよびビウレットが好ましい。
【0035】
別の実施形態では、ポリイソシアネートPは、上述した少なくとも1種のポリマーPUPと、上述した少なくとも1種のポリイソシアネートPIとからなる混合物である。
【0036】
ポリイソシアネートPは、芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPであることが好ましい。
【0037】
ポリイソシアネートPは、通常、組成物全体に対して、5〜95質量%の量、好ましくは10〜90質量%の量で存在する。充填した組成物、すなわち充填剤を含有する組成物では、ポリイソシアネートPは、好ましくは、組成物全体に対して、5〜60質量%の量、好ましくは10〜50質量%の量で存在する。
【0038】
加えて、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、少なくとも1種の式(I)のアルジミンA:
【化3】

を含む。
好ましい式(I)のアルジミンAは、式(Ia)または式(Ib)のアルジミンAである:
【化4】

[式中、
及びRは、互いに独立に、それぞれ、1個〜12個のC原子を有する一価炭化水素基を表すか、あるいは
及びRは一緒になって、場合により置換されていてもよい5個〜8個、好ましくは6個のC原子を有する炭素環の一部である、4個〜12個のC原子を有する二価の炭化水素基を表し;
は、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル基、カルボニル基、またはエステル基の形態の酸素を有していてもよい、1個〜32個のC原子を有する一価炭化水素基を表し;
は、5個〜8個、好ましくは6個の原子の環サイズを有する置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基を表すか、あるいは、
【化5】

(式中、
は、水素原子、アルコキシ基、または、置換または非置換の少なくとも6個のC原子を有するアルケニル基またはアリールアルケニル基を表す)
を表す]。
【0039】
各場合において、RおよびRは、それぞれメチル基を表すことが好ましい。
【0040】
加えて、Yが、式(II)または式(III)の基を表すことが好ましい:
【化6】

(式中、
は、水素原子を表すか、または、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、もしくは1個〜12個のC原子を有するアルコキシカルボニル基を表し;
は、場合によりエーテル酸素原子を有していてもよい、1個〜30個のC原子を有する炭化水素基を表し;
は、水素原子を表すか、あるいは、
場合により環状部分を有していてもよく、かつ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル基、カルボニル基、もしくはエステル基の形態の酸素原子を有していてもよい、1個〜30個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表すか、あるいは、
単数もしくは複数の不飽和を有し、5個〜30個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を表すか、あるいは、
場合により置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族の5員環または6員環を表すかのいずれかである)。
【0041】
は、水素原子を表すことが好ましい。
【0042】
は、場合によりエーテル酸素原子を有していてもよい、6個〜30個のC原子、特に11個〜30個のC原子を有する炭化水素基を表すことが好ましい。
【0043】
は、場合により環状部分を有していてもよく、かつ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を有していてもよい、6個〜30個、特に11個〜30個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表すか、あるいは、
単数もしくは複数の不飽和を有し、かつ、6個〜30個、特に11個〜30個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0044】
は、最も好ましくは、C11アルキル基を表す。
【0045】
最も好ましいアルジミンAは、式(Ia)のアルジミンA1(式中、Yは、式(II)の基を表す)である。
【0046】
アルジミンAは、少なくとも1種の式(IV)のアミンBと、少なくとも1種の式(V)のアルデヒドALDとの間の、水の脱離を伴う縮合反応によって得ることができる。このような反応では、アルデヒドALDを、アミンBのアミノ基に対して化学量論で用いるか、あるいは化学量論的に過剰に用いる。
【化7】

【0047】
式(IV)および式(V)において、E、n、およびYは、既に上述した意味を有する。
【0048】
アミンBとしては、1つの実施態様では、少なくとも2個の一級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、例えば、以下のものが好ましい:
− 脂肪族、脂環式、又はアリール脂肪族(アリールアリファティック)のジアミン。例は、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-, 1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(H12−MDA)、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M−MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンすなわちIPDA)、2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8-メンタンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、並びに、1,3-及び1,4-キシリレンジアミン;
− エーテル基を含む脂肪族ジアミン。例は、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、及びこれらのジアミン類のより高次のオリゴマー、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン及び例えば350〜5200の範囲の分子量を有する他のポリテトラヒドロフランジアミン、ならびにポリオキシアルキレンジアミンである。後者は、典型的には、ポリオキシアルキレンジオールのアミノ化による生成物を示し、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsman社から)の名称で、Polyetheramine(登録商標)(BASF社から)の名称で、又はPC Amine(登録商標)(Nitroil社から)の名称で入手可能である。特に好適なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)XTJ-511、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、Jeffamine(登録商標)XTJ-568、Jeffamine(登録商標)XTJ-569、Jeffamine(登録商標)XTJ-523、Jeffamine(登録商標)XTJ-536、Jeffamine(登録商標)XTJ-542、Jeffamine(登録商標)XTJ-559、Jeffamine(登録商標)EDR-104、Jeffamine(登録商標)EDR-148、Jeffamine(登録商標)EDR-176;Polyetheramine D 230、Polyetheramine D 400、及びPolyetheramine D 2000、PC Amine(登録商標)DA 250、PC Amine(登録商標)DA 400、PC Amine(登録商標)DA 650、及びPC Amine(登録商標)DA 2000;
− 脂肪族、脂環式、又はアリール脂肪族のトリアミン、例えば、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリス(2-アミノメチル)-アミン、トリス(2-アミノプロピル)-アミン、トリス(3-アミノプロピル)-アミン;
− ポリオキシアルキレントリアミン。これは典型的にはポリオキシアルキレントリオールのアミノ化による生成物を表し、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman社から)で、Polyetheramine(BASF社から)の名称で、PC Amine(登録商標)(Nitroil社から)の名称で入手できる。例えば、Jeffamine(登録商標)T-403、Jeffamine(登録商標)T-3000、Jeffamine(登録商標)T-5000;Polyetheramine T403、Polyetheramine T5000;及びPC Amine(登録商標)TA 403、PC Amine(登録商標)TA 5000など。
【0049】
アミンBとしては、別の実施態様では、少なくとも2個の一級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、特に、以下のものが好ましい:
− 芳香族ジアミン及びトリアミン。例えば、1,2-, 1,3-及び1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン(TDA)、3,4-トリレンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-及び-2,6-トリレンジアミン、3,5-ジエチル-2,4-及び-2,6-トリレンジアミン(DETDA)、2,4,6-トリエチル-1,3-フェニレンジアミン、2,4,6-トリイソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、3-エチル-5-メチル-2,4-トリレンジアミン、3,5-ジイソプロピル-2,4-トリレンジアミン、3,5-ビス(1-メチルプロピル)-2,4-トリレンジアミン、3,5-ビス(tert-ブチル)-2,4-トリレンジアミン、3-エチル-5-イソプロピル-2,4-トリレンジアミン、5-イソプロピル-2,4-トリレンジアミン、5-(tert-ブチル)-2,4-トリレンジアミン、4,6-ビス(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(tert-ブチル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-エチル-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-(1-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-(tert-ブチル)-6-(2-メチルプロピル)-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-エチル-1,3-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-イソプロピル-1,3-フェニレンジアミン、4,6-ジシクロペンチル-1,3-フェニレンジアミン、3-イソプロピル-2,6-トリレンジアミン、2-メチルプロピル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、tert-ブチル-(4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート)、2,6-ジアミノピリジン、メラミン、4,4’-, 2,4’-及び2,2’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−DEA)、3,3’,5,5’-テトラエチル-2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−CDEA)、3,3’-ジイソプロピル-5,5’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−MIPA)、3,3’,5,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(M−DIPA)、3,3’,5,5’-テトラ(1-メチルプロピル)-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド、5,5’-メチレンジアントラニル酸、ジメチル-(5,5’-メチレンジアントラニレート)、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ビス(4-アミノベンゾエート)(Air Products社からVersalink(登録商標)として入手できる)、及び1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン。
【0050】
別の実施態様では、以下のものがアミンBとして好ましい:一級芳香族アミノ基および一級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、例えば、4-(アミノエチル)アニリン、4-(アミノメチル)アニリン、4-[(4-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン、2-(アミノエチル)アニリン、2-(アミノメチル)アニリン、2-[(4-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン、および4-[(2-アミノシクロヘキシル)メチル]アニリン。
【0051】
アミンまたはアミノ基であって、窒素原子が脂肪族基、脂環式基、または芳香脂環族基にのみ結合しているものを、「脂肪族」という。アミンまたはアミノ基であって、窒素原子が芳香族基またはヘテロ芳香族基に直接結合しているものを、「芳香族」という。
【0052】
アミンBは、以下のものからなる群から選択することが好ましい:1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-, 1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン、より特に、Huntsman社からJeffamine(登録商標)の商品名で入手できる製品であるD-230、D-400、D-2000、T-403、及びT-5000、ならびにBASF社またはNitroil社からのこれらと同族の化合物;1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4-及び2,6-トリレンジアミン、4,4’-, 2,4’-及び2,2’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、並びに前述したポリアミンの混合物。
【0053】
アミンBは、とりわけ、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、TMD、および、2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミン、より特に、Huntsman社からJeffamine(登録商標)の商品名で入手できる製品であるD-230、D-400、およびT-403、ならびにBASF社またはNitroil社からのこれらと同族の化合物からなる群から選択することが好ましい。
【0054】
アルデヒドALDとしては、以下のものが好適である:一級および二級の脂肪族アルデヒド、特に、プロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、およびジフェニルアセトアルデヒド。
【0055】
アルデヒドALDとして、エノール化できないアルデヒドが特に好適である。なぜなら、そのようなアルデヒドは、一級アミンとの反応において、エナミノ基に互変異性化できず、したがって良好にブロックされたアミノ基である、アルジミノ基を形成するからである。特に、三級脂肪族および芳香族アルデヒドは、エノール化できないアルデヒドを構成する。
【0056】
アルデヒドALDとして特に好適なものは、式(Va)の三級脂肪族アルデヒドALD1である:
【化8】

(式中、R、R、及びYは既に上述した定義を有する)。
【0057】
好適な式(Va)のアルデヒドALD1は、特に、ピバルアルデヒド(すなわち、2,2-ジメチルプロパナール)、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒドなど;及び、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、アルコール類(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールなど)とのエーテル類;2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸又は3-ホルミル-3-メチル酪酸と、アルコール類(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールなど)とのエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとカルボン酸(例えば、酪酸、イソ酪酸、及び2-エチルヘキサン酸など)とのエステル;並びに、2,2-ジ置換3-ヒドロキシプロパナール類、-ブタナール類、又は類似の高級アルデヒド、特に、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールからのエーテル類及びエステル類である(これらを以下に特に好適なものとして説明する)。
【0058】
とりわけ好適なアルデヒドALD1は、1つの実施態様では、式(Vb)のアルデヒドALD2である:
【化9】

(式中、R、R、R、およびRは既に上述した意味を有する)。
【0059】
式(Vb)のアルデヒドALD2は、脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族(araliphatic)、又は脂環式の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式HO−Rのアルコール又はフェノール(例えば、脂肪アルコール又はフェノール類など)とのエーテルを表す。好適な2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドは、一級又は二級脂肪族アルデヒド、特にホルムアルデヒドと、二級脂肪族、二級脂環式、又は二級芳香脂肪族アルデヒド〔例えば、イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロープアルデヒド(hydratropaldehyde))、又はジフェニルアセトアルデヒドなど〕との間のアルドール反応、特に交差アルドール反応で得られる。好適な2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドの例は、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-ブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチル-ブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-ペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチル-ヘキサナール、1-ヒドロキシメチル-シクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチル-シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチル-シクロヘキサ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニル-プロパナール、
3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニル-プロパナール、および3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニル-プロパナールである。
【0060】
とりわけ好適なアルデヒドALD2は、2,2-ジメチル-3-フェノキシ-プロパナール、3-シクロヘキシルオキシ-2,2-ジメチル-プロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシロキシ)-プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシ-プロパナール、および2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールである。
【0061】
とりわけ好適なアルデヒドALD1は、別の実施態様である式(Vc)のアルデヒドALD3である:
【化10】

(式中、R、R、R、およびRは既に上述した意味を有する)。
【0062】
式(Vc)のアルデヒドALD3は、、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えば、特に、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、及び3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナール)と、適切なカルボン酸とのエステルを表す。
【0063】
この反応に適したカルボン酸の例は、飽和脂肪族カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、イソブチル酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチルカプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸;モノ不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸;ポリ不飽和脂肪族カルボン酸、例えば、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸;脂環式カルボン酸、例えば、シクロヘキサンカルボン酸;芳香脂肪族カルボン酸、例えば、フェニル酢酸;芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、ナフトエ酸、トルイル酸、アニス酸;これらの酸の異性体;天然の油または脂肪(例えば、菜種油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、ヤシ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸混合物;ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,6,9-トリオキサウンデカン二酸、及びポリエチレングリコールの同様の誘導体)と、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、より高級な同族体、及びこれらのアルコールの異性体)とのエステル化によって得られる種類の、ジカルボン酸のモノアルキル及びモノアリールエステル類である。好ましいカルボン酸は、少なくとも7つの炭素原子を有するもの、特に、少なくとも12の炭素原子を有するものである。
【0064】
式(V)のアルデヒドALDとして、別の実施態様では、式(Vd)のアルデヒドALD4がとりわけ好適である:
【化11】

(式中、Yは既に上述した意味を有する)。
【0065】
1つには、アルデヒドALD4として以下のものが好適である:芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、2-及び3-及び4-トルアルデヒド、4-エチル-及び4-プロピル-及び4-イソプロピル-及び4-ブチル-ベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ-及びトリアルコキシベンズアルデヒドの異性体類、2-, 3-及び4-ニトロベンズアルデヒド、2-及び3-及び4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-及び2-ナフチルアルデヒド、3-及び4-フェニルオキシベンズアルデヒド、キノリン-2-カルバルデヒド、及びその3-, 4-, 5-, 6-, 7-及び8-位の異性体、ならびにアントラセン-9-カルバルデヒド;加えて、グリオキサール、グリオキサル酸エステル(例えば、グリオキサル酸メチルエステルなど)、ならびに、桂皮アルデヒドおよびび置換桂皮アルデヒド。
【0066】
式(V)のアルデヒドALDとして、エノール化できない式(Va)のアルデヒドALD1、式(Vb)のアルデヒドALD2、式(Vc)のアルデヒドALD3、式(Vd)のアルデヒドALD4が好ましい。式(Vb)のアルデヒドALD2および式(Vc)のアルデヒドALD3がとりわけ好ましい。式(Vc)のアルデヒドALD3、特に、基Rが6個〜30個のC原子を有するものが特に好ましい。基Rが11個〜30個のC原子を有する式(Vc)の無臭のアルデヒドALD3が最も好ましい。これらの中で、2,2-ジメチル-2-ラウロイルオキシプロパナールが最も好ましい。
【0067】
式(I)のアルジミンA1は、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物中に、組成物中のアルジミノ基の数のイソシアネート基の数に対する比V1が、0.2〜0.8、特に0.3〜0.6の範囲となる量で存在する。
【0068】
式(Ia)のアルジミンA1であって式中、Yが式(III)の基を有し、Rが6個〜30個のC原子を有するものは、臭気が低く好ましい。
【0069】
式(Ia)のアルジミンAであって式中、Yが式(III)の基を有し、Rが11個〜30個のC原子を有するものは、無臭でありとりわけ好ましい。
【0070】
このようなアルジミンA1を含有する組成物は、硬化前、硬化中、および硬化後において、ほとんど臭気がないかまたは完全に無臭である。
【0071】
「臭気が低い」物質および「臭気の生成が少ない」物質は、ほんのわずかしか臭いが知覚可能でない、すなわち人によってほんのわずかしか臭いが感知されない物質を意味する。したがって、この物質は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、または溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンなど)のような強い臭気を有さず、したがって、このほんのわずかな臭気は、ほとんどの人によって不愉快または不快であるとみなされない。
【0072】
「無臭の」物質は、その臭気が非常に低く、多くの人によってもはや臭いがわからない物質、すなわち、その臭気が知覚可能ではない物質を意味する。
【0073】
加えて、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、イソシアネート基に対して反応性を有する基を全く含まず、かつ、少なくとも1種の式(V)の基を有する、少なくとも1種のオルガノアルコキシシランOSを含む:
【化12】

【0074】
このようなシランは、Xが、ケイ素原子のα-位にあり、したがってケイ素原子とメチレン基によって隔てられているため、α-官能性シランとも呼ばれ、α-シランと略記される。α-シランは特異な性質を有する。特に、ヘテロ原子がケイ素原子からプロピレン基によって隔てられているいわゆるγ-官能性シランと比較して、α-シランは、加水分解に関して非常に高い反応性を有する。
【0075】
オルガノアルコキシシランOSとして、特に、以下のものが好適である:
メタクリルオキシメチル-トリメトキシシラン、メタクリルオキシメチル-ジメトキシメチルシラン、イソシアナトメチル-トリメトキシシラン、イソシアナトメチル-ジメトキシ-メチルシラン、N-(トリメトキシシリルメチル)-O-メチル-カルバメート、N-(ジメトキシメチル-シリルメチル)-O-メチル-カルバメート、α-アミノシラン(例えば、N-シクロヘキシル-アミノメチル-トリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-アミノメチル-ジメトキシメチルシラン、N-フェニル-アミノメチル-トリメトキシシラン、N-フェニル-アミノメチル-ジメトキシメチルシランなど);加えて、メトキシ基の代わりにエトキシ基を有する相当するα-官能性オルガノアルコキシシラン;加えて、α-アミノシランと、イソシアネートまたはイソチオシアネートとの付加体AD;ならびに、オリゴマーの形態の前述のオルガノアルコキシシラン。
【0076】
上述したオルガノアルコキシシランおよび付加体ADの多くは、特にWacker Chemie社から市販されている。
【0077】
付加体ADのためのイソシアネートまたはイソチオシアネートとして、1つの実施態様では、モノイソシアネートまたはモノイソチオシアネート、例えば、メチルイソチオシアネート、エチルイソチオシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、フェニルイソチオシアネート、p-トルエンスルホニル-イソシアネート、イソシアナトプロピルトリメトキシシランなどが好適である。加えて、付加体ADのための好適なイソシアネートは、ポリイソシアネート、例えば、特に、上述したポリイソシアネートPIなどである。加えて、付加体ADのための好適なイソシアネートは、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマー、特に、上述したポリウレタンポリマーPUPである。ポリウレタンポリマーとα-アミノシランとを有するイソシアネート基からなる付加体は、α-シラン官能性ポリマーとも呼ばれる。
【0078】
加えて、既に挙げたα-シラン官能性ポリマー以外のα-シラン官能性ポリマーが、オルガノアルコキシシランOSとして好適である。例えば、少なくとも1種の式(VI)の基を有するα-シラン官能性ポリマーであって、ヒドロキシ官能性ポリマーと、例えば、イソシアナトメチル-トリメトキシシランもしくはイソシアナトメチル-ジメトキシメチルシランとを反応させることによって入手可能であるものが好適である。この場合において、ヒドロキシ官能性ポリマー、特にポリエーテルポリオールが好適であり、これは場合によりポリイソシアネートで長鎖化されたものであってよい。
【0079】
α-アミノシランをオルガノアルコキシシランOSとして用いる場合、存在するポリイソシアネートPとの付加体ADは、組成物中、系内で形成される。
【0080】
オルガノアルコキシシランOSは、メトキシ基またはエトキシ基、とりわけメトキシ基を有することが好ましい。最も好ましくは、オルガノアルコキシシランOSは、式(VI)の基であって、式中、aが0または1を表し、Rがメチル基を表す基を少なくとも1個有する。
【0081】
オルガノアルコキシシランOSは、メタクリルオキシ-トリメトキシシラン、メタクリルオキシ-ジメトキシメチルシラン、イソシアナトメチル-トリメトキシシラン、イソシアナトメチル-ジメトキシ-メチルシラン、N-(トリメトキシシリルメチル)-O-メチル-カルバメート、N-(ジメトキシメチル-シリルメチル)-O-メチル-カルバメート、N-シクロヘキシル-アミノメチル-トリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-アミノメチル-ジメトキシメチルシラン、N-フェニル-アミノメチル-トリメトキシシラン、N-フェニル-アミノメチル-ジメトキシメチルシラン、および場合により長鎖化されたポリエーテルポリオオールと、イソシアナトメチル-トリメトキシシランもしくはイソシアナトメチル-ジメトキシメチルシランとの反応からのα-シラン官能性ポリマー、ならびに、メトキシ基の代わりにエトキシ基を有する相当するα-官能性オルガノアルコキシシランからなる群から選択することが好ましい。
【0082】
オルガノアルコキシシランOSとして、メタクリルオキシ-トリメトキシシラン、N-(トリメトキシシリルメチル)-O-メチル-カルバメート、および、場合により長鎖化されていてもよいポリエーテルポリオールと、イソシアナトメチル-ジメトキシメチルシランとの反応からのα-シラン官能性ポリマーが、とりわけ好ましい。
【0083】
オルガノアルコキシシランOSは、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物中に、オルガノアルコキシシランOSのアルコキシ基の数の、イソシアネート基の数に対する比V2が、0.1〜0.5の範囲、特に0.15〜0.35となる量で存在する。
【0084】
水と接触すると、オルガノアルコキシシランOSのシラン基は、加水分解され、これによって、アルコキシ基がアルコールとして放出される。
【0085】
さらに、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、少なくとも1種の酸Sをさらに含有する。
【0086】
酸Sは、特に、ブレンステッド酸、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸;モノ-およびジ-アルキル-およびアリール-ホスフェート(例えば、トリデシルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジフェニルホスフェート、およびビス-(エチルヘキシル) ホスフェート;亜リン酸、亜塩素酸、および任意の有機ブレンステッド酸、ならびに前述のブレンステッド酸の混合物である。
【0087】
好ましい酸Sは、有機ブレンステッド酸、例えば以下のものなどである:
− カルボン酸、例えば、飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、及びベヘン酸など);飽和の脂肪族ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸など);モノ-またはポリ不飽和脂肪族のモノ-およびポリカルボン酸(例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、リシン酸(ricinic acid)、マレイン酸、フマル酸、及びソルビン酸など);脂環式モノ-およびポリカルボン酸(例えば、シクロヘキサンカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、レジン酸、及びナフテン酸など);脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、ヒドロキシブチル酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸など);ハロゲン化脂肪族カルボン酸(例えば、トリクロロ酢またはび2-クロロプロピオン酸など);芳香族モノ-およびポリカルボン酸(例えば、安息香酸、サリチル酸、没食子酸、トリル酸の位置異性体類、メトキシ安息香酸類、クロロ安息香酸類、及びニトロ安息香酸類、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など);工業的なカルボン酸混合物(例えば、バーサティック酸など);アクリル酸およびメタクリル酸の重合または共重合からのポリカルボン酸;
−カルボン酸無水物(例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、およびヘキサヒドロメチルフタル酸無水物など);
− 有機カルボン酸のシリルエステル類;
− スルホン酸(例えば、メチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ブチルスルホン酸、3-ヒドロキシプロピルスルホン酸、スルホ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-キシレンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸、ならびにスルホン酸エステルなど);
− 有機ホスホン酸およびモノアルキルホスホネート(例えば、メチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2-ヒドロキシエチルホスホン酸、フェニルフォスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ホスホン酢酸、エチドロン酸、メチルホスホン酸エチルエステルなど);
ならびに、上述したブレンステッド酸の混合物。
【0088】
酸Sとして、カルボン酸およびスルホン酸の形態の有機ブレンステッド酸〔特に、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸およびサリチル酸など〕が好ましい。サリチル酸がとりわけ好ましい。
【0089】
酸Sは、アルジミンAの加水分解に触媒作用を及ぼす。この結果、濃度および酸強度次第で、組成物中に十分な水が存在する場合には、酸SはアルジミンAとイソシアネート基との反応を程度の差はあるが大幅に加速する。
【0090】
通常、酸Sは、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物中に、0.005〜2質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%の量で存在する。
【0091】
加えて、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、場合により、ジアルキルスズ(IV)化合物の形態の少なくとも1種の触媒Zを含んでいてよい。触媒Zとして、特に、以下のものが好適である。
【0092】
ジブチル-およびジオクチル-スズジカルボキシレート〔例えば、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、ジブチルスズジアセテート(DBTA)、ジオクチルスズジアセテート(DOTA)、ジブチルスズ-ビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズ-ビス(ネオデカノエート)、ジブチルスズジバーサテート、ジブチルスズ-ビス(メチルマレエート)、ジブチルスズ-ビス(モノブチルマレエート)、ジブチルスズ-ビス(オクチルマレエート)、ジブチルスズジオクタノエート、ジオクチルスズジオクタノエート、ジブチルスズ-ビス(イソオクタノエート)、ジブチルスズジパルミテート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジリノレート、ジブチルスズジリノレート、ジブチルスズマレエートなど〕;ジブチル-および
ジオクチル-スズ-ジケトネート(例えば、ジブチルスズジアセチルジアセトネート、ジオクチルスズジアセチルジアセトネートなど);ジブチルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、ジブチルスズジブトキシド、ジブチルスズオキシド(DBTO)、ジオクチルスズオキシド;スタノキサン〔例えば、ジブチル-ラウリルスタノキサンおよびSn,Sn'-ビス(トリエチルオルトシリカト-ジブチル)-ジスタノキサン(Nitto Kasei社のNeostann(登録商標)U700)など〕;ならびに、ブチルまたはオクチル基の代わりに他のアルキル基を有する相当するジアルキルスズ(IV)化合物。
【0093】
スズ触媒Zは、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジラウレート、およびジオクチルスズジラウレートからなる群から選択することが好ましい。
【0094】
スズ触媒Zは、組成物中に、スズ触媒Zからのスズ原子の数の、イソシアネート基の数に対する比が、0.005の値に満たない量で存在することが有利である。
【0095】
スズ触媒Zは、ケイ素基の加水分解を加速し、かつ、イソシアネートと、例えば、水およびアルコールとの反応を加速する。
【0096】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、場合により、さらなる構成成分、特に、例えば以下の、ポリウレタン組成物中で通常用いられる補助剤および添加剤を含んでいてよい。
− 可塑剤、特に、カルボン酸エステル(特に、フタレート、特に、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、またはジイソデシルフタレート)、アジペート類(特に、ジオクチルアジペート)、アゼレートおよびセバケート、有機リン酸エステル類およびスルホン酸エステル類、ならびにポリブテン類;
− 非反応性熱可塑性ポリマー、例えば、不飽和モノマーのホモ-またはコ-ポリマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、ビニルアセテート、およびアルキル(メタ)アクリルレート、特に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、およびアタクチックポリα-オレフィン(APAO)など;
− 溶媒;
− 無機および有機フィラー、例えば、粉砕-または沈殿-炭酸カルシウム(場合により脂肪酸、特にステアレートでコーティングされていてもよいもの)、バライト(BaSO4、硫酸バリウムとも称される)、石英微粉、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸、特に、熱分解工程からの高度に分散されたケイ酸、カーボンブラック、特に、工業的に生産されたカーボンブラック(以下、「カーボンブラック」と呼ぶ)、PVCパウダー、中空球など;
− 繊維、例えば、ポリエチレン繊維;
− 顔料、例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄;
− イソシアネート基の反応を加速するさらなる触媒、例えば、スズ(II)化合物〔例えば、スズジオクトエート、スズ-ビス(ネオデカノエート)など〕、ビスマス化合物〔例えば、ビスマス-トリオクトエートおよびビスマス-トリス(ネオデカノエート)など〕、ならびに、第三級アミノ基を有する化合物〔例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルおよび1,4-ジアザ-ビシクロ[2,2,2]オクタンなど〕;
− レオロジー調整剤、例えば、増粘剤またはチキソトロピー剤など、例えば、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、またはヒュームドシリカ;
− 乾燥剤、モレキュラーーシーブ、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート(例えば、p-トシルイソシアネートなど)、オルトギ酸エステル、ケイ酸エステル(例えば、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランなど);
− さらなるオルガノアルコキシシラン、例えば、ビニルシラン、アルキルシラン、アリールシラン、またはγ-官能性オルガノアルコキシシラン(例えば、特に、エポキシシラン、(メタ)アクリロシラン、イソシアナトシラン、カルバマトシラン、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン、およびアルジミノシランなど)、ならびにこれらのシランのオリゴマー形態のもの;
− 熱照射、光照射、およびUV線照射に対する安定剤;
− 難燃剤物質;
− 界面活性剤、例えば、湿潤剤、フロー制御剤、脱気剤、または脱泡剤など;
− 殺生物剤、例えば、殺藻剤、殺真菌剤、または真菌増殖阻害剤など;
ならびに、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物において通常用いられる他の物質を含んでいてよい。
【0097】
このようなさらなる成分を用いる場合、これらの成分が組成物の貯蔵寿命を大幅に損なわないことを確実にすることが有利である。すなわち、湿気を含まない条件下での組成物の貯蔵期間中に、前記成分が、イソシアネート基の架橋が有意な程度に引き起こさないことが要求される。特に、このことは、このように用いる添加剤が、水を全く含まないか、多くても痕跡量の水しか含まないことを意味する。特定の添加剤を組成物に混合する前に、その特定の添加剤の化学的または物理的に乾燥させることが賢明であろう。
【0098】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、湿気の不存在下で製造し貯蔵する。適切なパッケージまたはアレンジメント(例えば、ドラム、バッグ、またはカートリッジ)中、湿気の不存在下で、本組成物は、数ヶ月から1年を越える期間に亘って、適用特性または硬化後の特性が使用に関わる程度の変化を受けることなく貯蔵することができる。通常、貯蔵寿命は、粘度または押出圧を測定することによって決定することができる。芳香族イソシアネート基を含有する組成物は、とりわけ、エノール化することができない式(Ia)または式(Ib)のアルジミンA1がアルジミンAとして存在する場合に貯蔵安定である。
【0099】
アルジミンAのアルジミノ基は、水分(湿気)と接触すると加水分解する性質を有する。本組成物中に存在するイソシアネート基は、加水分解の際に形式的に遊離されるアミンBと反応する。これに関連して、相当する式(V)のアルデヒドALDが放出される。この場合において、イソシアネート基と加水分解性アルジミンAとの反応が、アミンBと共に起こる必要は必ずしもない。当然ながら、アルジミンAの加水分解の中間体の段階と反応することも可能である。例えば、セミ-アミナールの形態の加水分解性アルジミンAが、イソシアネート基と直接反応することが考えられる。
【0100】
加えて、オルガノアルコキシシランOSのシラン基は、水分と接触すると加水分解する性質を有する。オルガノアルコキシシランOSがα-シランであること基づいて、この加水分解は、水分との接触の際に、他のオルガノアルコキシシラン類よりも有意に早く進行する。加水分解中、アルコールの放出と同時に、Si-OH基、いわゆるシラノール基が形成される。放出されたアルコール、特にメタノールまたはエタノールは、存在するイソシアネート基と反応可能であり、これによってO-アルキルカルバメート基が形成される。放出されるメタノールのための反応剤としてイソシアネート基が全く利用可能ではない場合、メタノールは、徐々に組成物から放散される。一方、生成したシラノール基は、水の放出とともに互いに縮合して、Si-O-Si基を形成することができる。
【0101】
加えて、存在するイソシアネート基は、水分と直接反応し得る。この場合、2個のイソシアネート基から尿素基が形成され、1個のCO分子が放出される。
【0102】
加水分解性アルジミンAとイソシアネート基との反応、およびイソシアネートと水分との直接反応は、いわゆる架橋反応と称される。これらの反応の結果、組成物が最終的に硬化する。この工程は、架橋工程とも称される。
【0103】
アルコールとイソシアネートとの反応は、いわゆる連鎖停止反応である。この場合において、形成されるO-アルキルカルバメート基は、もはやさらなるイソシアネート基と反応することができない。このイソシアネート基は、したがって、「ブロック」(封鎖)されている。組成物中のこのO-アルキルカルバメート基によって、架橋部位の喪失がもたらされ、したがって、硬化組成物の弾性および機械的強度の低減、すなわち、いくぶん可塑性の特性がもたらされる。
【0104】
硬化反応に必要とされる水分は、空気(大気中の湿度)から得るか、あるいは、例えば、適用の際に例えば水性ペーストの形態の水-含有成分を、例えば平滑剤と共に塗布すること、スプレーすること、またはスタティックミキサーを用いて混入させることによって、組成物と水-含有成分とを接触させるかのいずれかによって、導入することができる。
【0105】
本組成物は、大気中の湿気によって硬化させることが好ましい。
【0106】
記述した本一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、水分によって硬化されて生成される材料が、水分の利用性次第でさまざまな機械的特性を有し得る点において際立っている。この材料内には、硬化条件に依存して、主として弾性から主として可塑性までのさまざまな変形挙動を有する領域が互いに徐々に融合しつつ存在し得る。特に、本組成物は、水分と直接接触している領域(1つには空気に面している層、1つには湿気浸透性の基材または水分を放出する基材上の層)が、硬化して主として弾性の特性を有する層を形成する一方、水分と間接的にだけ接触、特に、隣接する層を通しての拡散効果によって接触している領域(内側層、または湿気不透過性の基材または水分を全く放出しない基材上の層)が、硬化していくぶん可塑性の特性を有する層を形成し、これによって、材料の可塑性の程度が、水分源からの距離が隔たるにしたがってさまざまに高まる。機械的挙動に関連して、硬化前には等方性である材料から異方性材料が、外部から内部への水分による反応によってこうして製造される
【0107】
異方性材料特性をもたらすこの硬化挙動は、驚くべきものである。考えられる理由は、本発明を限定するものではないが、オルガノアルコキシシランOSの加水分解から放出されるアルコールが、既に硬化した材料層を通って外部に拡散してそこから蒸発する代わりに、未だ硬化していない材料層の内部に拡散することが好ましい。この結果、適用した組成物の内部のイソシアネート基が、加水分解性アルジミノ基および/または水分と接触する前に、より強くアルコールと反応することができ、これによって材料に幾分可塑性が付与される。
【0108】
記述した硬化挙動の出現を利用して、水の供給を適切に制御することによって、水で満たされた容器のように、主として弾性の皮膜と主として可塑性のコアとを有する材料を製造することができる。
【0109】
特に、大気中の湿気によって硬化させることによって、主として弾性の皮膜と主として可塑性のコアとを有する異方性組成物が、上述した本一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物から得られる。
【0110】
記述した異方性材料特性を形成させるために、本組成物の必須成分が互いに調和した、比V1および比2によって定義した通りの比で存在することが重要である。
【0111】
すなわち、比V1として特定されるアルジミンAの量は、気泡の形成が抑制され、弾性かつ耐候性の皮膜が形成されるような量である必要がある。特定した量より少ないアルジミンAを用いると、気泡が生成し、薄い皮膜が形成される恐れがある。しかし、特定した量より多いアルジミンAを用いると、機械的に弱い皮膜が形成される。いずれの場合も、全体として、硬化した組成物は抵抗力がわずかとなる。
【0112】
加えて、比V2として特定されるオルガノアルコキシシランOSの量は、大気中の湿気による硬化において、末端封鎖反応が内部で起こり、主として弾性を有するコアが十分に多量に得られるような量である必要がある。特定した量より少ないオルガノアルコキシシランOSを用いると、もはや有意な異方性が構築されない恐れがある。反対に、特定した量より多いオルガノアルコキシシランOSを用いると、内部における主として可塑性の材料の割合が非常に多核なり、弾性の皮膜が非常に薄くなり、全体として、硬化した組成物は抵抗力がわずかとなる。
【0113】
最後に、記述した組成物中の酸Sの存在は、アルジミンAの加水分解を加速し、これによって弾性の皮膜を形成させるために必須である。
【0114】
加えて、記述した異方性材料特性の程度は、層の厚さおよび適用した組成物の幾何学的配置次第である。ここでは、特に、本組成物が適用され、硬化されて、十分に厚い膜厚、典型的には少なくとも数ミリメートルの厚さとなることが有利である。
【0115】
スズ触媒Zは、異方性材料特性を達成するための記述した組成物の成分として必須ではない。存在するα-官能性オルガノアルコキシシランOSは、スズ触媒Zによってさらなる触媒を添加しない場合でさえ、湿気と接触すると急速にアルコールを放出し、組成物の内部のイソシアネート基を有意にブロックして、異方性硬化をもたらす。スズ触媒Zを用いる場合には、スズ触媒Zを、多すぎない量で使用することが有利である。さもなければ、内部の主として可塑性の材料の割合が非常に高くなり、弾性の皮膜が非常に薄くなり、全体として、硬化した組成物は抵抗力が低減し、一方では硬化した組成物の熱安定性が低減するからである。
【0116】
しかし、異方性材料特性を所望しない場合には、本一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を、特に、適用時において組成物を十分な量の水と本質的に均一に混合すること、例えば、スタティックミキサーを使用して組成物に水-含有ペーストを混ぜいれることによって硬化させて、ほとんどあるいは完全に等方性の材料を形成させることもできる。この結果、組成物全体において十分な量の水が利用可能となり、組成物が硬化して全体として比較的高い強度および弾性を有する等方性材料が形成される
【0117】
このように、等方性組成物が、既に詳細に上述した本一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物から、本質的に均一に混入させた水によって、あるいは本質に均一に混入させた水を含有する成分による硬化によって得られる。
【0118】
本組成物の機械的特性は、組成物の成分の選択または相対的な特性によるのみならず、硬化のタイプにもよって、幅広い範囲内でさまざまであり得る。
【0119】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、接着剤、シーリング材、またはコーティング剤として好適である。
【0120】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、特に、柔軟性または制振性が必要とされる用途、例えば、地上および地下の構造物の伸縮継手のための柔軟性を有するシーリング材、機械設備またはエンジン類の制振性のシールまたはコーティング、または、例えば自動車車体保護のための衝撃保護コーティングのために好適である。
【0121】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物は、例えば、拡散性のベース〔例えば、木材、コンクリート、モルタル、煉瓦、日干し煉瓦、石膏、および天然石(花崗岩または大理石)、ならびに多孔性粒子など〕上の構造物の伸縮継手ための柔軟性シーリング材などにとりわけ好適である。異方性材料特性に基づいて、このような継手は有利な特性、例えば、特に、頑強、非粘着性の表面、良好な形状回復性、および23℃および-20℃での引張り強さの低い値を有する。
【0122】
この関連で、室温(常温)で0.4 MPa以下、-20℃で0.6 MPa以下の100%引張り強さが、非粘着性の表面を有する材料(例えば、EN ISO 11600に準拠する25LMクラスの構造設計のためのたわみ継手シーリング材のために求められる材料)を用いて達成可能であることがとりわけ有利である。
【0123】
本発明の別の態様は、基材S1と基材S2との結合方法であって、
α)既に詳細に上述した組成物をS1に適用する工程と、
β)適用した前記組成物を、組成物の可使時間内に、基材S2に結合させる工程と、
を含むか、あるいは
α’)既に詳細に上述した組成物を、基材S1および基材S2に適用する工程と、
β’)適用した前記組成物を、組成物の可使時間内に、互いに結合させる工程と、
を含み、
この場合において、基材S2が、基材S1と同じ材料であっても異なる材料であってもよい、方法である。
【0124】
この場合、可使時間は、その時間内であれば適用された組成物の表面に皮膜が全く形成されない時間として定義される。
【0125】
本発明の別の態様は、シーリング方法に関する。この方法は、以下の工程:
α’’)既に詳細に上述した組成物を、基材S1と基材S2との間に、この組成物が基材S1および基材S2に接触するように適用する工程
を含み、
この場合において、基材S2が、基材S1と同じ材料であっても異なる材料であってもよい、シーリング方法である。
【0126】
通常、シーリング材を、いわゆる接合部に圧入する。
【0127】
本発明の別の態様は、基材S1をコーティングする方法に関する。この方法は、以下の工程:
α’’’)既に詳細に上述した組成物を、基材S1に適用する工程
を含む。
この方法において、好適な基材S1および/または基材S2は、特に、
− ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、焼成煉瓦、煉瓦、石膏、および、花崗岩または大理石などの天然石;
−金属または合金(例えば、アルミニウム、スチール、非鉄金属、亜鉛メッキした金属);
− 皮革、繊維製品、紙、木材、樹脂接合された木材をベースとする材料、樹脂繊維組成物、および他のいわゆるポリマー組成物;
− プラスチック〔例えば、ポリビニルクロライド(硬質および軟質PVC)、アクリロニトリルブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、SMC(シートモールディングコンパウンド)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート) (PMMA)、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPM)およびエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)など(この場合において、これらのプラスチックは、好ましくはプラズマ、コロナ、または火炎によって表面処理されていてもよい)〕;
− コーティングされた基材、例えば、粉体塗装された金属または金属アロイ;ならびに塗料およびワニスである。
【0128】
湿気に対して拡散性である基材S1および/または基材S2をシーリングする方法がとりわけ好ましい。特に、これらは、木材、コンクリート、モルタル、焼成煉瓦、煉瓦、石膏、および花崗岩または大理石などの天然石、ならびに多孔性プラスチックなどの基材である。
【0129】
必要であれば、基材を、組成物の適用の前に前処理することができる。このような前処理には、特に、物理的および/または化学的戦場方法、例えば、研磨、サンドブラスティング、ブラッシングなど、または、クリーニング剤もしくは溶媒を用いる処理、または接着促進剤、接着促進溶液、もしくはプライマーの適用などが含まれる。
【0130】
本組成物の適用は、幅広い温度範囲で実施され得る。特に、本組成物は、室温で適用される。しかし、本組成物は、より低い温度およびより高い温度でも適用することができる。
【0131】
接着、シーリング、またはコーティングのための記述した本方法から、あるいは、接着剤、シーリング材、シーリングコンパウンド、またはコーティング剤として既に詳細に上述した組成物から、物品が製造される。
【0132】
この物品は、特に、構造物、特に、地上または地下の構造物、産業製品または消費財、特に窓、家庭用品、輸送手段、特に水上または陸上用車両、好ましくは自動車、バス、トラック、鉄道、または船、輸送手段の装備品、家具、繊維、もしは包装産業の物品である。
【0133】
記述した組成物は、構造的粘着特性があるペースト状のコンシステンシーを有することが好ましい。このようなペースト状組成物を、適切な装置を使用して接着剤またはシーリング材としての用途において適用する。ペースト状の接着剤またはシーリング材を適用する方法は、例えば、好ましくは手動で操作される市販のカートリッジを利用する方法である。場合により適用ロボットを用い、フィードポンプ、押出機を使用して市販のカートリッジ、容器、ペール缶からの圧縮空気を使用する適用も可能である。
【実施例】
【0134】
1.測定方法の説明
粘度は、恒温コーン-プレート-粘度計Physica UM(コーン直径20 mm、コーン角度1°、コーンチップ-プレート-間隔0.05 mm、せん断速度10〜1,000秒-1)で測定した。
アミン含量、すなわち製造したコンパウンド中のアルジミノ基と遊離のアミノ基との合計含量を、滴定によって測定(氷酢酸中、クリスタルバイオレットに対して0.1 N HClO4を用いる滴定)し、ミリモル単位のN/gで示した。
【0135】
2.アルジミンの製造
[アルジミンA−1]
55.0 g(0.19 mmol)の蒸留した2,2-ジメチル-3-ラウリルオキシ-プロパナールを、窒素雰囲気下、丸底フラスコに入れた。激しく撹拌しながら、15.6g(N:0.18mol)の1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミン、IPDA;Vestamin(登録商標)IPD、Degussa社、アミン含量N/g:11.68 mmol)を滴下漏斗からゆっくりと添加した。次いで、揮発性化合物を減圧下で除去した(10 mbar、80℃)。
収率:67.1 gの透明、無色、のオイル。アミン含量N/g:2.73 mmolおよび20℃で190 MPa・秒の粘度を有する。
【0136】
3.組成物の製造
[実施例1〜4および比較例5〜8]
各実施例のために、個々の成分を、真空混合機内の湿気がない環境下、予め乾燥させることなく記載した重量部で処理して、テーブル1にしたがう均一なペーストを形成させた。このペーストを、直ちに、内側にワニス塗装されたアルミニウムカートリッジにデカンテーションした。このカートリッジを密封シールした。
【0137】
TDI(トルイレンジイソシアナート)として、Bayer社からのDesmodur(登録商標)T 80Pを用いた。
【0138】
以下のシラン類を用いた。
XL63:N-(トリメトキシシリルメチル)-O-メチル-カルバメート(Geniosil(登録商標)XL 63、Wacker Chemie社)、
XL33:(メタクリルオキシメチル)トリメトキシシラン(Geniosil(登録商標)XL 33、、Wacker Chemie社)、
XL36:(メタクリルオキシメチル)トリエトキシシラン(Geniosil(登録商標)XL 36、、Wacker Chemie社)、
TEO:テトラエトキシシラン(=テトラエチルオルトシリケート)、(ABCR GmbH社)、
A187:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A-187、Momentive Performance Materials社)。
【0139】
ポリマーP−1を以下のとおりに製造した:
3,080gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200N、Bayer社:OH価28.1 mgのKOH/g)、1,540gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン-トリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell社;OH価35.0 mgのKOH/g)、および385gのトルイレンジイソシアネート(TDI; Desmodur(登録商標)T 80P、Bayer社)を、80℃で反応させて、滴定によって決定した遊離のイソシアネート基含量が1.53質量%であるNCO-末端ポリウレタンポリマーを形成させた。
【0140】
ポリマーP−2を以下のとおりに製造した:
590gのポリオキシプロピレンジオール(Acclaim(登録商標)4200N、Bayer社:OH価28.1 mgのKOH/g)、1,180gのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン-トリオール(Caradol(登録商標)MD34-02、Shell社;OH価35.0 mgのKOH/g)、および230gのイソホロンジイソシアネート(IPDI; Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社)を、公知の方法にしたがって80℃で反応させて、滴定によって特定した2.10質量%の遊離のイソシアネート基含量を有するNCO-末端ポリウレタンポリマーを形成させた。
【0141】
増粘剤を以下のとおりに製造した:
3,000gのフタル酸ジイソデシル(DIDP; Palatinol(登録商標)Z、BASF社)および480gの4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI; Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer社)を、真空撹拌機に入れ、わずかに加熱した。次いで、270gのモノブチルアミンを、激しく撹拌しながら滴下によりゆっくりと添加した。生成したペーストを、減圧下、さらに撹拌し、1時間冷却した。
【0142】
【表1】

【0143】
こうして得られたシーリング材を、適用特性、硬化方法、および硬化後の特性について試験した。
【0144】
適用特性の指標として、安定性および粘着性(べたつき)を用いた。安定性を決定するために、コーキングガンを使用し、トライアングルノズルを通して、三角ビードであって、基部の直径が8 mmであり、高さ(三角形の頂点の基部までの距離)が20 mmであるビードを、垂直な一枚の段ボール紙に、水平に横たわるように適用した。5分後に、頂点がどの程度低くなったか、すなわち、三角ビードの中心であるもとの位置から隔たった距離を測定した。頂点が正確に同じ位置にあるかまたはほぼ変化しない位置である場合には、「非常に良好」と判定し、頂点が中心と基部の端との間にある場合は、「良好」と判定した。べたつきは、例えば、シーリング材を、コーキングガンを使用して、壁に固定した一枚の段ボール紙上に適用し;適用の最後の時点で、コーキングガンを素早く引き戻すことによって適用したシーリング材から引き離して、引き離した位置に残っている糸引きの長さを測定することによって、定性的に決定した。
【0145】
硬化方法を試験するために、1つには、皮膜形成時間(接着するまでの時間、「タックフリータイム」)を用いた。この目的のために、数グラムの室温のシーリング材を、標準気候条件(23℃±1℃および50±5%の相対湿度雰囲気)で約2 mmの層厚さで段ボール紙に適用し、シーリング材の表面をピペットでわずかに突いてもピペットに全くシーリング材が引っ付かなくなるまでの時間を測定した。加えて、シーリング材の接着性を、ショアA試験片(以下を参照)を硬化させた日の次の日に親指で押し、手を挙げた後試験片が親指に付着している時間を測定することによって、定性的に決定した。したがって、接着性は、以下のように判定した:「高」(試験片が3秒間より長く付着)、「中」(試験片が約3秒間付着)、低(試験片が1〜2秒間付着)、および「なし」(試験片が1秒未満の時間付着)。加えて、シーリング材の硬化時の気泡形成を目視で評価した。最後に、シーリング材の材料特性の異方性を試験した。この目的のために、室温のシーリング材を、コーキングガンを使用しラウンドチップ(10 mmの開口部)を通して、約50 mmの長さを有し基部の直径が30 mmであるコーンを、壁に固定した段ボール紙に水平に横たわるように適用し、標準気候条件下で14日間放置した。その後、このコーンを、基部から1 cm隔たった位置で水平に切り取り、この切断面を、目視で評価し、かつ、さまざまな場所をスパチュラで押し、材料の外側層が内部層と異なるかどうかを、弾性から可塑性まで性質が徐々に変遷を示す(異方性=「有する」)か、または材料がどの場所でも類似している(異方性=「有さない」)かによって定性的に評価した。「有さない」は、材料が非常にわずかな異方性しか示さない、すなわち非常に小さい可塑性コアしか存在しないことを示す。異方性材料特性が存在する場合、少なくとも部分的に弾性である皮膜の厚さ(「皮膜厚」)を定規を用いて測定した。皮膜厚として値「(15)」を示す場合、この値は、材料が完全に異方性特性を有し、「皮膜」がコーンの断面全体に形成されており、形式的には15 mmの厚さをしていることを意味する。
【0146】
ショアA硬度は、標準気候条件下で14日にわたり硬化させた試験片についてDIN 53505に準拠して測定した(表2における「ショアA」を参照)。100%引張り強さ(「引張り強さ」)は、各場合において23℃および-20℃にて、DIN EN 28339に準拠して〔Sika(登録商標) primer-3N(方法A)で前処理したコンクリート試験片を用いて〕測定した(表2における「引張り強さ」を参照)。形状回復性については、DIN EN 27389と同様の方法で、アルミニウムプロファイルの代わりに〔Sika(登録商標) primer-3N(方法A)(100%展開)で前処理した〕コンクリート試験片を使用して測定した(表2における「形状回復性」を参照)。期間経過後の結合部の接着性および無欠陥性は、DIN EN 28340に準拠して試験した〔方法A、Sika(登録商標) primer-3N(100%展開)で前処理したコンクリート試験片〕。
【0147】
試験の結果を表2に示す。
【0148】
表2から、実施例1〜4の本発明のシーリング材は、気泡を形成することなく硬化し、増強された異方性材料特性を有する。この場合、これらは、大幅に非粘着性である表面、および、期間経過の問題を(その試験が行われる場合には)欠陥を生じることなく克服するような十分に厚い弾性皮膜を形成する。100%引張り強さは、(その試験が行われる場合には)室温で0.4 MPa以下および-20℃で0.6 MPa以下であり、EN ISO 11600に準拠するクラス25LMの構造設計のための柔軟性継手シーリング材に求められる通りの範囲である。比較例のシーリング材は、これらからは区別される:他のアルコキシシランを用いる比較例5〜7は、全く異方性を示さないか、ほんのわずかしか異方性を示さず、これに相応して顕著により高い100%引張り強さを有し、アルジミンを用いない比較例8は、強い異方性を示すが、非常に薄く、高い接着性を有する「皮膜」しか形成せず、不十分な機械的特性を有する。
【0149】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物であって、
a)少なくとも1種のポリイソシアネートP;
b)少なくとも1種の式(I)のアルジミンA:
【化1】

(式中、
nは、2、3、または4を表し、
Eは、n価のアミンBからn個の一級アミノ基を除去した後の有機基を表し、
Yは、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を有していてもよい、1個〜35個のC原子を有する一価炭化水素基を表す);
c)少なくとも1種のオルガノアルコキシシランOSであって、少なくとも1種の式(VI)の基:
【化2】

(式中、
aは、0、1、または2、好ましくは0または1を表し、
は、1個〜5個のC原子を有するアルキル基、特にメチル基またはエチル基を表し、
は、1個〜8個のC原子を有するアルキル基、特にメチル基またはエチル基を表し、
Xは、酸素原子または置換窒素原子を表す)
を有するもの;
d)少なくとも1種の酸S
を含み、
但し、前記組成物において
(i)アルジミノ基の数の、イソシアネート基の数に対する比V1が、0.2〜0.8の範囲であり、かつ、
(ii)オルガノアルコキシシランOSのアルコキシ基の数の、イソシアネート基の数に対する比V2が、0.1〜0.5の範囲であることを条件とする、組成物。
【請求項2】
式(I)のアルジミンAが、式(Ia)または式(Ib):
【化3】

[式中、
及びRは、互いに独立に、それぞれ、1個〜12個のC原子を有する一価炭化水素基を表すか、あるいは
及びRは一緒になって、場合により置換されていてもよい5個〜8個、好ましくは6個のC原子を有する炭素環の一部である、4個〜12個のC原子を有する二価の炭化水素基を表し;
は、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、より特にエーテル基、カルボニル基、またはエステル基の形態の酸素を有していてもよい、1個〜32個のC原子を有する一価炭化水素基を表し;
は、5個〜8個、好ましくは6個の原子の環サイズを有する置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基を表すか、あるいは、
【化4】

(式中、
は、水素原子、アルコキシ基、または、置換または非置換の少なくとも6個のC原子を有するアルケニル基またはアリールアルケニル基を表す)。
を表す]
を有することを特徴とする、請求項1に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項3】
およびRが、それぞれメチル基を表す、請求項2に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項4】
が、式(II)または式(III):
【化5】

(式中、
は、水素原子を表すか、または、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、もしくは1個〜12個のC原子を有するアルコキシカルボニル基を表し;
は、場合によりエーテル酸素原子を有していてもよい、1個〜30個のC原子を有する炭化水素基を表し;
は、水素原子を表すか、あるいは、
場合により環状部分を有していてもよく、かつ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子、特に、エーテル基、カルボニル基、もしくはエステル基の形態の酸素原子を有していてもよい、1個〜30個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表すか、あるいは、
単数もしくは複数の不飽和を有し、5個〜30個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基を表すか、あるいは、
場合により置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族の5員環または6員環を表すかのいずれかである。)
の基を表す、請求項2または3に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項5】
が、場合によりエーテル酸素原子を有していてもよい、6個〜30個、特に11個〜30個のC原子を有する炭化水素基を表す、請求項2〜4のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項6】
が、
場合により環状部分を有していてもよく、かつ、場合により少なくとも1個のヘテロ原子を有していてもよい、6個〜30個、特に11個〜30個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表すか、あるいは、
単数もしくは複数の不飽和を有し、かつ、6個〜30個、特に11個〜30個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基、好ましくはC11アルキル基を表す、請求項2〜5のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項7】
アミンBが、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジアミンすなわちIPDA)、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,2-、1,3-、および1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン;2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミン、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4-および2,6-トルイレンジアミン、4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン;および前述のポリアミンの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項8】
オルガノアルコキシシランOSが、少なくとも1種の式(VI)の基(式中、aは0または1を表し、Rは、メチル基を表す)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項9】
オルガノアルコキシシランOSが、メタクリルオキシメチル-トリメトキシシラン、メタクリルオキシメチル-ジメトキシメチルシラン、イソシアナトメチル-トリメトキシシラン、イソシアナトメチル-ジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルメチル)-O-メチル-カルバメート、N-(ジメトキシメチルシリルメチル)-O-メチル-カルバメート、N-シクロヘキシル-アミノメチル-トリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-アミノメチル-ジメトキシメチルシラン、N-フェニル-アミノメチル-トリメトキシシラン、N-フェニル-アミノメチル-ジメトキシメチルシラン、および、任意の鎖長を有するポリエーテルポリオールと、イソシアナトメチル-トリメトキシシランまたはイソシアナトメチル-ジメトキシメチルシランとの反応からのα-シラン-官能性ポリマーからなる群;ならびに、前記群からの相当するα-官能性オルガノアルコキシシランであってメトキシ基の代わりにエトキシ基を有すものから選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項10】
ポリイソシアネートPが、芳香族イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPUPである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項11】
ジアルキルスズ(IV)化合物の形態の少なくとも1種のスズ触媒Zをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項12】
触媒Zが、スズ触媒Zからのスズ原子の数のイソシアネート基の数に対する比が0.005未満となる量で、前記組成物中に存在する、請求項11に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物。
【請求項13】
基材S1と基材S2との結合方法であって、
α)請求項1〜12のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を、基材S1に適用する工程と、
β)適用した前記組成物を、組成物の可使時間内に、基材S2に結合させる工程と、
を含むか、あるいは
α’)請求項1〜12のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を、基材S1および基材S2に適用する工程と、
β’)適用した前記組成物を、組成物の可使時間内に、互いに結合させる工程と、
を含み、
この場合において、基材S2が、基材S1と同じ材料であっても異なる材料であってもよい、方法。
【請求項14】
α’’)請求項1〜12のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を、基材S1と基材S2との間に、この組成物が基材S1および基材S2に接触するように適用する工程
を含み、
この場合において、基材S2が、基材S1と同じ材料であっても異なる材料であってもよい、シーリング方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を、大気中の湿気によって硬化させることによって得られる、主として弾性の皮膜と主として可塑性のコアとを有する異方性組成物。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を、本質的に均一に混ぜ入れた水によって、あるいは本質的に均一に混ぜいれた水を含有する成分によって硬化させることによって得られる、等方性組成物。

【公表番号】特表2012−506937(P2012−506937A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533737(P2011−533737)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064358
【国際公開番号】WO2010/049518
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】