説明

α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレット及びその製造方法、並びに粒状洗剤及びその製造方法

脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化する反応と、該スルホン化工程の生成物を低級アルコールによってエステル化する反応と、該エステル化工程後に中和する反応と、該中和物を漂白する反応を含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得る工程、(2)得られたペーストを熟成する第1熟成工程、(3)熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにする工程、又は熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにし、得られたフレークもしくはペレットを平均粒径100〜1,500μmのパウダーに粉砕する工程、(4)パウダー、フレーク又はペレットを熟成する第2熟成工程を含むことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、濃縮した時の粉体白度に優れ、また臭気及び貯蔵時の粉体物性が改善されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレット及びその製造方法、並びに該パウダー、フレーク又はペレットを含む粒状洗剤、固形洗剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は一般に中和により水性ペーストとして得られるため、濃縮化あるいは粉体として取り扱うためには、何らかの方法で水分を除去する必要がある。代表的な方法として二通りあり、一つはα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩と無機粉体を水に溶解させて、水分20〜70質量%程度のスラリーを調製し、これを噴霧乾燥して乾燥粉を得る方法である。もう一つは水分20〜30質量%のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩ペーストと無機粉体とを直接混合して粒子を得る方法である。
前者は乾燥を行うため、比較的高濃度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダーの製造が可能である。しかし、使用するエネルギーが非常に大きく、大気中に排気ガスを放出することから環境への負荷が大きな懸念となるため、近年、その使用は減少傾向となっている。また、水分の高いスラリーを経由することからα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の加水分解が問題となる。
一方、後者の方法では、使用エネルギー、環境負荷いずれも前者と比較すると少なくなる。しかし、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が含む多量の水分のため、含有比率が高くなると混合物の物性はペースト状に近くなり、顆粒化が非常に困難となる。また、水分を含むことにより噴霧乾燥法と同様、加水分解も問題となる。
上記問題を解決するために、濃縮化及び粉体化方法について、種々の提案がされている。例えば、薄膜蒸発機を用いた高濃度アニオン界面活性剤の粉粒化品を得る方法(特開平5−331496号公報参照)が提案されている。しかし、この方法では得られた粉体の40℃以上での流動性が悪くなる懸念があり、またα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩においては、濃縮直後、高温下での粉砕による粉体化は困難である。また、アニオン界面活性剤含有スラリーを濃縮して水含有量10%以下の塊状物を得て、20〜70℃に冷却した後に粉体化を行い、粉砕機付着の少ない効率的に粉粒状洗剤を得る製造方法が提案されているが(特開平8−157894号公報参照)、粉粒体にした直後の加圧固化性に問題が残る。
さらに、アニオン界面活性剤含有スラリーを濃縮して水分含有量10質量%以下、平均粒径200〜1,000μmの粉粒体に1〜15質量%の水不溶性微粉体を被覆して、流動性並びに溶解性が改善された粒子を得る方法が提案されている(特開平9−87700号公報参照)。しかし、粒子にした直後の加圧固化性に懸念がある。また、アニオン界面活性剤スラリーを2種類の蒸発機を用いて濃縮し、消費電力削減と熱劣化による色の悪化を防止する方法が提案されているが(特開平10−88197号公報、特開平11−172299号公報参照)、得られた粉体の流動性及び加圧固化性について問題がある。
【発明の開示】
本発明は、貯蔵時の物性(加圧非固化性、流動性)に優れたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットであって、スルホン化方法を限定することにより粉体色調、並びに臭気をも改善したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレット及びその製造方法、並びに該製造方法で得られたパウダー、フレーク又はペレットを含む粒状洗剤、固形洗剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、原料脂肪酸アルキルエステルをスルホン化し、中和して漂白した後、熟成したペーストを使用することにより、粉体色調並びに臭気の良好なパウダー、フレーク又はペレットが得られることを見出した。また、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットを製造するに際し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを含有水分10質量%以下まで濃縮してパウダー、フレーク又はペレットにした後に、熟成することによって貯蔵時の物性(加圧非固化性、流動性)に優れるパウダー、フレーク又はペレットが得られることを知見した。
従って、下記発明を提供する。
[1].(1)脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化する反応と、該スルホン化工程の生成物を低級アルコールによってエステル化する反応と、該エステル化工程後に中和する反応と、該中和物を漂白する反応を含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得る工程、
(2)得られたペーストを熟成する第1熟成工程、
(3)熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにする工程、又は熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにし、得られたフレークもしくはペレットを平均粒径100〜1,500μmのパウダーに粉砕する工程、
(4)パウダー、フレーク又はペレットを熟成する第2熟成工程
を含むことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットの製造方法。
[2].さらに、パウダー、フレーク又はペレットに、平均粒径0.1〜100μmの無機粉体を、パウダー、フレーク又はペレット中1〜40質量%混合する工程を含むことを特徴とする[1]記載の製造方法。
[3].脂肪酸アルキルエステルのヨウ素価が1以下であることを特徴とする[1]又は[2]記載の製造方法。
[4].[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法により得られるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレット。
[5].[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを、粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により、洗剤成分と混合又は造粒することを特徴とする粒状洗剤の製造方法。
[6].[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを洗剤成分及び水と共に混合して水分20〜50質量%のスラリーを調製し、このスラリーを噴霧乾燥する粒状洗剤の製造方法。
[7].[5]又は[6]記載の製造方法により製造された粒状洗剤を、さらに、粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により、洗剤成分と混合又は造粒することを特徴とする粒状洗剤の製造方法。
[8].[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法によって得られる粒状洗剤。
[9].[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを洗剤成分と混合し混練して、固形洗剤を得ることを特徴とする固形洗剤の製造方法。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造プロセスの一例を示したフローチャートである。
第2図は、本発明の製造方法に用いる装置の一例を示した概略構成図である。
第3図は、スルホン化反応器の一例を示した概略構成図である。
第4図は、管型気液混相流反応(擬フィルム反応方式)を行う反応装置の一例を示した概略構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において、パウダーとは平均粒径100〜1,500μmの粉粒体、フレークとは縦横が1〜200mmで厚さが0.2〜5mmの薄片状のものであり、ペレットとはペレッター等のような押出機により直径約5〜15mm、平均長さ5〜50mmに成形されたものをいう。高濃度含有するとは、パウダー、フレーク又はペレット中にα−スルホ脂肪酸メチルエステルを純分で50質量%以上、好ましくは75質量%以上含有することをいう。
また、本発明において、平均粒径とは、篩と受け皿、好ましくはJISZ 8801−1:2000「試験用ふるい−第一部:金属製網ふるい」に記載の篩を用いて分級操作を行い、以下の式により求めたものをいう。また、平均粒径が100μm以下の粒子は東日コンピューターアプリケーションズ(株)製「レーザー光散乱粒度分布測定機(LDSA−1400A)」で測定したものをいう。
平均粒径(重量50%)=10(50−(c−d/(logb−loga)×logb))/(d/(logb−loga))
a:算出した重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開き[μm]
b:目開きaμmよりも一段大きい篩の目開き[μm]
c:受け皿から目開きaμmの篩までの重量頻度の積算[%]
d:目開きaμmの篩上の重量頻度[%]
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造方法
本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットの製造方法の第1工程は、
(1)脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化する反応と、該スルホン化工程の生成物を低級アルコールによってエステル化する反応と、該エステル化工程後に中和する反応と、該中和物を漂白する反応を含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得る工程である。なお、漂白は中和する反応前に行ってもよい。
第1図は本発明のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造プロセスにおける一例を示したフローチャート、第2図は製造装置の一例を示した概略構成図、第3図はスルホン化反応器の一例を示した概略構成図である。第2図中には、原料の脂肪酸アルキルエステルとして脂肪酸メチルエステル、スルホン化ガスとして脱湿した空気又は窒素ガスで希釈したSOガス、着色抑制剤としてNaSO(芒硝)、低級アルコールとしてメタノール、アルカリ水溶液としてNaOH水溶液、漂白剤としてH(過酸化水素)を用いた場合の条件例が示されている。第2図に記載されている%は質量%であり、NaSOは原料に対して5質量%、メタノールはスルホン酸に対して4質量%、過酸化水素はAI(有効成分:α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩)に対して純分で1.0質量%用いることを意味している。
以下、第2,3図を参照し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの製造工程に従って説明する。
まず、撹拌装置を備えたバッチ式撹拌混合型反応槽1に原料である脂肪酸アルキルエステルと着色抑制剤を仕込む。
原料脂肪酸アルキルエステルとしては、牛脂、魚油、ラノリン等から誘導される動物系油脂;ヤシ油、パーム油、大豆油等から誘導される植物系油脂;α−オレフィンのオキソ法から誘導される合成脂肪酸アルキルエステル等のいずれでもよく、特に限定はされない。具体的には、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル又はラウリン酸プロピル;ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル又はミリスチン酸プロピル;パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル又はパルミチン酸プロピル;ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル又はステアリン酸プロピル;硬化牛脂脂肪酸メチル、硬化牛脂脂肪酸エチル又は硬化牛脂脂肪酸プロピル;硬化魚油脂肪酸メチル、エチル又はプロピル;ヤシ油脂肪酸メチル、エチル又はプロピル;パーム油脂肪酸メチル、エチル又はプロピル;パーム核油脂肪酸メチル、エチル又はプロピル等を例示することができる。これらは1種単独又は2種以上混合して用いることができる。
原料脂肪酸アルキルエステルのヨウ素価は、低い方が色調と臭気の両観点において好ましい。本発明においては1以下が好ましく、0.5以下がさらに好ましい。ヨウ素価が1以下のものは、1を超えるものと比較して色調の改善効果が大きい。
本発明においては、下記一般式(1)で表される脂肪酸アルキルエステルが特に好ましい。
CHCOOR …(1)
(式中、Rは炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示す。)
より淡色なα−スルホ脂肪酸アルキルエステルを得るためには、着色抑制剤の存在下において、スルホン化反応を行うことが好ましい。着色抑制剤としては、一価の金属塩である有機酸塩、無機硫酸塩等が用いられ、好ましくは無機硫酸塩が用いられる。有機酸塩としては、例えば蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、酢酸ナトリウム等を例示できる。無機硫酸塩は、一価の金属塩である粉末状の無水塩であれば特に限定されず、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム等が挙げられる。無機硫酸塩は着色抑制効果が高く、安価なものが多く、さらに洗浄剤に配合される成分なので、洗浄剤用途のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩製造の場合は、無機硫酸塩をα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩から除去する必要がないので好ましい。
また、着色抑制剤の平均粒径は250μm以下が好ましく、特に100μm以下が好ましい。このような粒径にする理由は、例えば無機硫酸塩は反応中原料液相にはその表面がわずかに溶解する程度でほとんど溶解せず、原料液相中に分散している。従って、上述のように粒径の小さい無機硫酸塩を用いることにより、原料液相との接触面積が大きくなり、分散性が向上し、より効果を高めることができる。着色抑制剤の添加量は、原料脂肪酸アルキルエステルに対して0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。添加量が30質量%を超える場合は効果が飽和する場合がある。
また、図の例においては槽型反応器(反応槽1)を用いているが、反応方式は特に限定されず、この他、フィルム反応、管型気液混相流反応等の方式が適用される。また、スルホン化方法は特に限定されず、薄膜式スルホン化法、回分式スルホン化法等が適用される。また、スルホン化反応時に着色抑制剤を使用する場合は、原料中にできるだけ均一に分散させた状態でスルホン化ガスと接触させることが好ましいため、特に回分式スルホン化法においては、槽反応方式が好適である。
この例においては、撹拌機3で撹拌しながら反応槽1の内温を所定の反応温度まで上昇させ、液状の原料中に着色抑制剤粒子が分散した原料液相2とする。前記反応温度は脂肪酸アルキルエステルが流動性を有する温度とされる。一般に、脂肪酸アルキルエステルの融点以上、好ましくは融点から融点より70℃高い温度までである。
ついで、この原料液相2に、スルホン化ガス導入口4からスルホン化ガスを導入する。スルホン化ガスはガス導入管5のガススパージャー5aから導入され、撹拌機3によって原料液相2中に分散させる。これと同時に、着色抑制剤の粒子も原料液相2中に均一に分散する。
ガススパージャー5aからのスルホン化ガスの導入は、10m/sec以上の速度が好ましく、50〜200m/secの速度がより好ましい。導入速度が10m/sec未満の場合は気泡が大きくなってしまう場合がある。
撹拌機3の撹拌羽根3b先端の周速は0.5〜6.0m/secが好ましく、2.0〜5.0m/secがより好ましい。周速が0.5m/sec未満の場合は気泡の分散効果が不充分で、反応率が低下する場合がある。また、着色抑制剤の分散も不充分となるため、その着色抑制効果が低下する場合がある。一方、周速が6.0m/secを超えると着色抑制効果が飽和するが、消費動力が増大する場合がある。
また、この工程において、スルホン化ガスの導入時間は、製造効率の観点から、通常10〜180分程度とされる。製造効率よりも着色の抑制を重視する場合は180分以上とする。このように導入時間を長くして徐々にスルホン化ガスと原料液相2とを接触させることにより、さらにα−スルホ脂肪酸アルキルエステルの着色を抑制することができる。
スルホン化ガスとしてはSOガス、発煙硫酸等が例示できるが、SOガスが好適である。さらに好ましくは脱湿した空気又は窒素等の不活性ガスでSO濃度が1〜40容量%になるように希釈したスルホン化ガスが用いられる。SO濃度が1容量%未満の場合は、スルホン化ガスの体積が大きくなり、ガスホールドアップのために反応器の容量が大きくなり不都合になる場合がある。一方、40容量%を超えると反応が過剰になり、副生物が生成しやすくなり、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル等のスルホン化物の色調が劣化する場合がある。特にスルホン化物がα−スルホ脂肪酸アルキルエステルである場合、その色調劣化を抑制するためには、スルホン化ガスを1〜30容量%に希釈すると好ましい。
SO反応モル比は原料の好適には1.0〜2.0倍モル、好ましくは1.0〜1.7倍モル、より好ましくは1.05〜1.5倍モル使用される。1.0倍モル未満ではスルホン化反応が充分に進行せず、2.0倍モルを超えると、スルホン化反応がより過激になるため、副生物や着色の原因となる場合がある。
上述のようにして原料液相2にスルホン化ガスを導入した後、反応槽1内を所定温度に保持して、スルホン化ガス導入後の熟成を行うことが好ましい。熟成の温度は70〜100℃が好ましい。70℃より低いと反応が速やかに進行せず、100℃を超えると着色が著しくなる場合がある。
熟成時間は1〜120分が好ましい。このとき、撹拌羽根3bを上述の好ましい周速の数値範囲に保ちつつ回転させることによって、熟成においても着色抑制剤を充分に分散させつつ反応させることができる。第2図の例においてはスルホン化工程80℃・1時間、熟成工程80℃・30分に設定されている。
ついで、低級アルコールを供給して低級アルコールによるエステル化を行う。エステル化は、副生物を抑制し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の純度を向上させる工程であり、スルホン化、必要により熟成で充分な純度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が得られれば(反応液中のSO二分子付加体が充分少なければ)、このエステル化工程を行わなくてもよいが、通常はエステル化を行う。
エステル化に用いる低級アルコールは、原料脂肪酸アルキルエステルのアルコール残基の炭素数と等しい炭素数で、1〜6のものが好ましいが、特に限定されるものではない。低級アルコールは、反応液中のSO二分子付加体に対して好適には0.5〜10倍モル、好ましくは0.8〜5.0倍モル用いられる。0.5倍モル未満の場合はエステル化が不充分となり、10倍モルを超えると効果が飽和し、過剰分の低級アルコールを回収する工程が必要となる場合がある。なお、反応温度は好適には50〜100℃、好ましくは50〜90℃、反応時間は5〜120分とされる。第2図の例においては80℃・30分に設定されている。
エステル化後、エステル化反応槽10から抜き出されたスルホン化物は、エステル化酸供給ポンプ12の作用によって中和ライン17に供給されて、アルカリ水溶液による中和が行われる。このとき、中和物中のAI濃度(α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の有効濃度)は10〜80質量%が好ましく、より好ましくは60〜80質量%、さらに好ましくは62〜75質量%である。第2図に示した条件例においては、AI濃度は70質量%である。AI濃度10〜60質量%の範囲においては、低濃度の範囲では製造効率が低いが中和物の粘度が低く、高濃度の範囲では中和物の粘度が高くなる傾向がある。60〜80質量%の範囲においては、粘度が適度に低く、ハンドリングと製造効率の観点から好ましい。
アルカリ水溶液としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、エタノールアミンの水溶液が用いられる。アルカリ水溶液の濃度は50質量%以下が好ましく、より好ましくは15〜50質量%程度とされる。15質量%未満の場合は、中和物のAI濃度を60〜80質量%の範囲に調整することが困難となる場合がある。第2図の例においては、アルカリ水溶液の濃度は34質量%とされている。本発明においては、プレミキサー14を用いてスルホン化物と中和物(予備中和物)を混合するとよい。中和物(予備中和物)は、スルホン化物とこれに添加するアルカリ水溶液との合計の好適には5〜25倍質量、好ましくは10〜20倍質量とされる。5倍質量未満の場合は副生物の抑制効果が小さく、25倍質量を超えると製造効率が低下する場合がある。この例においては20倍質量に設定されている。
上述のように、中和工程において、中和物の粘度は、低級アルコールの残存によってさらに低下せしめられる。これにより、特に反応初期にスルホン化物の一部が局所的に高濃度のアルカリ水溶液と接触することによるα−スルホ脂肪酸ジアルカリ塩の副生を抑制することができる。また、低級アルコールの存在により、副生物の生成を抑制することができる。なお、中和温度は好適には30〜140℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは50〜100℃、中和時間は10〜60分間が好ましい。また、中和工程は、スルホン化物と中和物とアルカリ水溶液との混合物のpHが、酸性あるいは弱いアルカリ性の範囲(pH4〜9)で行われると好ましい。強アルカリ性の場合、エステル結合が切断されやすくなる可能性がある。本発明の中和工程は、アルカリ水溶液を用いる以外に、スルホン酸を固体の金属炭酸塩又は炭酸水素塩と反応させて行うこともできる。特に、固体の金属炭酸塩(濃厚ソーダ灰)による中和は、他の塩基よりも安価であり好ましい。また、固体の金属炭酸塩で中和を行うと、反応混合物中の水分が少なくなり、強アルカリとならない。また、中和時の中和熱が金属水酸化物の場合よりも低いため有利である。金属炭酸塩又は炭酸水素塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等を例示することができ、無水塩、水和塩又はこれらの混合物等を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中和工程は、第2図の例においては70℃、20分に設定されている。
また、中和工程の前又は後に、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の色調をさらに白色に近い色に改善するための処理を行うことが好ましい。色調を改善する処理としては、漂白剤を用いた漂白処理等が挙げられ、好ましくは中和工程後に行われる。
漂白剤としては、例えば過酸化水素、次亜塩素酸塩等の水溶液が用いられる。これらはAI(有効成分:α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩)に対して純分で好適には0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%用いられる。前記水溶液の過酸化水素濃度、又は次亜塩素酸塩濃度は特に限定しない。第2図の例においてはAIに対して純分で1.0質量%に設定されている。第2図の例においては中和物を漂白する。その結果、従来のようにスルホン化物のエステル化と同時に行うよりも、中和物が安定で、かつエステル化反応との相互作用もないため、副反応がおこりにくい。また、漂白剤の消費量が少ないため、漂白剤の使用量を従来よりも少なくすることができる。第2図の例においては純分で1.0質量%(対AI)の過酸化水素の添加量が設定されている。また、漂白剤混合済みの中和物(予備漂白物)を、未漂白の中和物に対して5〜30倍質量混合することが好ましい。5倍質量未満の場合は副生物の抑制効果が小さく、30倍質量を超えると製造効率が低下する場合がある。
なお、漂白温度は、過酸化水素を用いる場合は好適には50〜140℃、好ましくは60〜120℃、次亜塩素塩酸を用いる場合は30〜80℃とされる。漂白剤混合ライン21と漂白ライン23における合計の反応時間は30〜360分程度である。第2図の例においては80℃、3時間に設定されている。また、漂白工程におけるpHは4〜9が好ましい。
また、第2図の装置図には示されていないが、中和工程と漂白剤による漂白工程との間に加熱処理を行うと、さらにパウダー等の色調を改善することができる。すなわち、中和物を好適には80℃以上、好ましくは80〜170℃に加熱して、好適には0.5時間〜7日間、好ましくは1時間〜5日間、より好ましくは2〜24時間保持する。
(2)得られたペーストを熟成する第1熟成工程
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストは、漂白タンク25に移送され、さらに第1熟成工程を経ることにより色調の良好なペーストを得ることができる。熟成とは、所定温度で所定時間保持することをいう。熟成温度は好適には60〜90℃、好ましくは70〜80℃であり、熟成時間は好適には1〜48時間、好ましくは2〜24時間、より好ましくは2〜12時間である。熟成温度が60℃未満又は熟成時間が1時間未満であると、ペーストの色調が改善されない場合があり、熟成温度が90℃、熟成時間が48時間を超えると、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が加水分解する場合がある。以上の操作により、パウダー、フレーク又はペレットの原料であるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得ることができる。
(3)熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにする工程、又は熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにし、得られたフレークもしくはペレットを平均粒径100〜1500μmのパウダーに粉砕する工程
上記方法にて得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを含有水分10質量%以下まで濃縮しフレーク化又はペレット化する。濃縮のための装置及び方法は特に限定されるものではないが、以下の装置が例として挙げられる。大気開放型の混合機(縦型ニーダー、リボンミキサー等)により、70〜120℃の温度で1〜15時間撹拌して濃縮する方法や、薄膜蒸発機(エバオレータ;桜製作所製、エクセバ;神鋼パンテック(株)製、コントロ;(株)日立製作所製等)や、減圧した蒸発缶でフラッシュ濃縮をするSVC濃縮機((株)佐久間製作所製)を用いて真空蒸発により濃縮を行う方法等があり、ドラム式濃縮機(CDドライヤー;(株)西村鉄鋼所製等)、セルフクリーニング型濃縮機(SCプロセッサー;(株)栗本鉄鋼所製等)、カスタムドライヤー((株)大川原製作所製)等を用いることも可能である。本発明に用いる濃縮機としては、生産効率を考えると薄膜蒸発機やフラッシュ濃縮機が好ましい。
薄膜蒸発機での一般的な蒸発法は以下の通りである。α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを撹拌翼(ブレード状、パドル状等)の付いた円筒状ケーシング内に導入し、撹拌翼の遠心力により伝熱面に沿ってペーストを強制的に薄膜化する。このとき、壁ジャケット内の熱媒体からの伝熱と撹拌熱により低沸点成分や水分が蒸発する。蒸発水分量の調整はペーストの添加速度、撹拌羽根の回転数及び先端周速、壁面と羽根先端とのクリアランス、濃縮機内部の真空度、ジャケット温度を操作して行う。好ましい撹拌羽根の先端周速は5〜30m/sが好ましく、より好ましくは5〜25m/sである。先端周速が5m/s未満であると壁面に存在するペーストの薄膜化と液交換が円滑に行われず、一方、30m/sを超えるとペーストとの摩擦熱が発生し、得られる濃縮品の温度が上昇してしまう場合がある。また、それと共に濃縮機への機械負荷が大きくなる場合がある。
前記壁面と羽根先端のクリアランスは、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは1〜4mm、さらに好ましくは1〜3mmとする。0.5mm未満であると大量生産を想定した実機サイズでは機械的に安定運転が困難であるし、一方、5mmを超えると濃縮ペーストの薄膜化と液交換が円滑に行われない場合がある。
濃縮機内部真空度は、好ましくは0.0040〜大気圧、より好ましくは0.0040〜0.067MPaである。0.0040MPa未満では濃縮品粘度が高い場合、濃縮機からの排出が困難となる場合がある。一方、大気圧を超えてしまうと薄膜蒸発機内の水蒸気が飽和となり、蒸発効率が低下する場合がある。
前記濃縮機のサイズとしては特に限定されないが、例えば円筒状ケーシング内部径が0.2〜1.0m、伝熱部の長さが0.5〜10m、該伝熱部の面積が0.2〜126mのサイズを用いることが多い。濃縮機内の伝面での滞留時間は0.15秒〜10分が好ましい。より好ましくは0.3秒〜10分である。
また、フラッシュ濃縮の方法は以下の通りである。フラッシュ濃縮は、加熱されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストをフラッシュ蒸発缶内に噴射する。これにより、濃縮・乾燥された高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストが回収される。フラッシュ蒸発では、液体が温度・圧力の高い雰囲気から、圧力の低い減圧されたフラッシュ蒸発缶内に導入されると、瞬間的に蒸発が起こる。フラッシュ蒸発缶内の圧力は0.0010〜大気圧が好ましく、フラッシュ蒸発缶の内部圧力、加熱器のジャケット温度、流量を調節することにより、濃縮品水分を制御する。
濃縮により水分含有量が10質量%以下とされた濃縮物は一般に高粘性のペースト状であるが、濃縮直後の温度は通常70℃を超える高温である。高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの物性からこのような高温では付着性が強くなるため、即座に粉砕機等による粉砕を行うことは不可能である。
そこで本発明では、粉砕のような後処理に先立って冷却工程を施すことが好ましく、この場合、フレーク化もしくはペレット化と同時又はその後に冷却工程を施すことが好ましい。冷却工程を施すことにより、処理が充分可能な低付着性とすることができる。冷却後の温度は好適には20〜70℃であり、好ましくは20〜60℃である。
冷却のための装置及び方法は特に限定されるものではないが、以下の装置が挙げられる。空冷却やベルト式真空冷却機(ベルマックス;(株)大川原製作所製、スチールベルト式冷却装置;サンドビック(株)製等)を用いて行うことができる。特に、冷却と同時にフレーク化する装置としては、ドラム式冷却機(ドラムフレーカー;(株)楠木機械製作所製、ダブルドラムドライヤー;カンソーン社製等)がより効率的である。上述のように、濃縮された高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル含有ペーストを冷却と同時にフレーク状の状態で得ることもできるし、又は濃縮後にペレッターでペレット化し、その後冷却してもよい。
必要に応じて、上述で得られたフレーク又はペレットを破砕造粒機により粉砕し、希望の平均粒径のパウダーに調製することも可能である。破砕造粒機としては、周知の破砕機、粉砕機を使用できるが、特に好ましい装置について以下に例示する。
一般に、内部に回転体とスクリーンを装着した破砕造粒機、好ましくは、ハンマーミル、アトマイザー、パルペライザー等の衝撃式破砕機、カッターミル、フェザーミル等の切断・剪断式破砕機等が挙げられる。具体的には、フィッツミル(ホソカワミクロン(株)製)、スピードミル(岡田精工(株)製)、破砕式造粒機パワーミル((株)ダルトン製)、アトマイザー(不二パウダル(株)製)、パルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)、コミニューター(不二パウダル(株)製)等が挙げられる。
破砕機としては、粉砕された高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するフレーク又はペレットを所定穴径のスクリーンから排出するもの等が好適に用いられる。また、一般的には破砕熱により破砕物が軟化して破砕機に付着することを防止するために、破砕機内へ冷風を導入することが好ましい。冷風温度は5〜30℃が適当であり、好ましくは5〜25℃である。ここで、使用する冷風は、脱湿したものが好ましい。また、窒素により希釈したものを用いてもよい。さらに、破砕に際しては、破砕助剤(粉砕助剤)を添加することが好ましく、粉砕機中に少量添加することにより、粉砕動力の低減、粉砕粒度の改善、粉砕製品における性状改善等の作用を有する。具体的には、後述する無機粉体が挙げられる。
スクリーンは、金網タイプ、ヘリンボンタイプ、パンチングメタルタイプ等特に限定されないが、スクリーンの強度、破砕物の形状を考慮すると、パンチングメタルが好ましい。
破砕機として前述のハンマーやカッターを用いるが、衝撃破砕による微粉の発生を避けるため、カッタータイプが好ましい。ただし、長時間の運転で、カッターの刃が摩耗するのを防ぐため、ステライトやタングステンカーバイド等による処理が好ましい。
破砕物(パウダー)の平均粒径は、100〜1,500μmであり、200〜800μmが好ましい。粒径が大きいと洗濯中での溶解性が遅くなり、布付着、洗浄力低下の問題が生じる場合がある。一方、小さすぎると微粉の増加による発塵量の増大と破砕収率の低下、流動性の悪化につながる場合がある。嵩密度は一般的に0.2〜1.4g/cmであり、好ましくは0.3〜1.0g/cm、より好ましくは0.4〜0.8g/cmである。
(4)パウダー、フレーク又はペレットを熟成する第2熟成工程
上述の方法により得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットの製造方法における次の工程はこれらを熟成する工程である。
前述同様、熟成とは所定温度で所定時間保持することをいう。本発明の第2熟成工程は、得られたパウダー、フレーク又はペレットを静置するものであり、貯蔵中やあるいは製品とした時に粉体が固化あるいは流動性の劣化が生じない状態まで行う。熟成温度は5〜60℃が好ましく、特に10〜45℃が好ましく、5℃未満であるとα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の結晶化が進行しない場合があり、60℃を超えると物性の劣化により固化してしまう場合がある。熟成時間は、10分以上が好ましく、より好ましくは30分以上、さらに好ましくは60分以上であり、10分未満であるとα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の結晶化の進行が充分でなく、その後、サイロ等の大型貯蔵槽での固化や製品にした時の固化の原因となる。さらに、得られたパウダー、フレーク又はペレットに好適には平均粒径0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmの無機粉体を好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%で混合すると粉体物性改善に効果的である。無機粉体の平均粒径が0.1μm未満であると、発塵性が悪化してしまう場合があり、100μmを超えてしまうと貯蔵時の分級による混合粉体の不均一化が生じてしまう場合がある。また、混合量が1質量%未満であるとパウダー、フレーク又はペレットが付着による合一を起こしてしまい、一方、40質量%を超えてしまうと混合粉体の流動性に問題が生じる。ここで混合する無機粉体は、得られたフレーク又はペレットにそのまま混合してもよく、またフレーク又はペレットの粉砕時あるいは粉砕後に混合してもよい。フレーク又はペレット、あるいは粉砕後のパウダーに混合するための装置としては、乾式混合に使用する装置であればこれらに限定されるものではない。具体例としては、水平円筒型混合機、V型混合機、撹拌造粒装置が挙げられる。
無機粉体としては、水溶性及び水不溶性いずれでもよく、また、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。無機粉体としては、上述平均粒径の物質であれば特に限定されず、ステアリン酸塩、A型ゼオライト等のアルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルカリ土類金属炭酸塩、非晶質シリカ、ホワイトカーボン(シリカ)、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、タルク、ベントナイト等の粘土鉱物、二酸化珪素、二酸化チタン、微粉砕された炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレーク又はペレットは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の結晶化が進行した後に粉砕して使用することも可能である。この場合、粉砕時の粉砕機付着、あるいは粉砕後の粉体物性改善剤として、上述した平均粒径0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmの無機粉体の1種単独又は2種以上を混合又は被覆することが可能である。
得られたパウダーの発塵が問題となる場合は、ノニオン界面活性剤等を少量噴霧することがある。これにより発塵の原因となる微粉の飛散を防ぐため、発塵を抑制できる。
粒状洗剤の製造方法
本発明は、上記の製造方法で製造されたパウダー、フレーク又はペレットを、粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により、洗剤成分と混合又は造粒することを特徴とする粒状洗剤の製造方法である。
洗剤成分とは、上記の製造方法で製造されたパウダー、フレーク又はペレットと混合又は造粒する洗剤成分をいい、洗剤成分としては、洗浄成分、漂白成分、製造性、粉体物性を向上させる成分等、一般に洗剤に用いられるものであれば特に限定されない。本発明の粒状洗剤に用いることができる洗剤成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、キレート剤(ゼオライト、有機ビルダー等)、中性無機ビルダー、アルカリ無機ビルダー、再汚染防止剤、粘度調整剤、柔軟付与剤、還元剤、漂白剤、漂白活性化剤、蛍光増白剤、香料、酵素、色素、表面改質剤、抑泡剤、酸化防止剤、水等が挙げられる。
洗剤に含まれる洗剤成分の形態は特に限定されず、上記洗剤成分等の原料をそのまま用いてもよいし、洗剤粒子にして用いてもよい。洗剤粒子は、上記洗剤成分中の洗浄に寄与する成分を含む粒子であれば特に限定されず、特にアルカリビルダー及びキレート剤のいずれも含むものが好ましい。洗剤中におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットと洗剤成分の配合比は特に限定されない。
粒状洗剤は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットと、洗剤成分を粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により得られるものである。
粉体混合の場合、固体混合可能な装置にα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、洗剤成分、特に粒状洗剤成分とを投入し、混合温度好ましくは5〜60℃、より好ましくは10〜50℃で、好ましくは0.5秒以上、より好ましくは5秒以上、より好ましくは30秒以上混合する。混合時間の上限は特に限定されない。粉体混合に使用する装置としては、特に限定されないが、水平円筒型混合機、V型混合機、撹拌造粒装置が好ましい。
捏和・破砕の場合は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットと洗剤成分とを、連続式ニーダー(KRCニーダー;(株)栗本鉄工所製)やバッチ式ニーダー(縦型ニーダー;(株)ダルトン製)等に投入し塊状物とした後に、フィッツミル(ホソカワミクロン(株)製)、スピードミル(岡田精工(株)製)等の粉砕機により破砕し、洗剤粒子とする。粉砕の際には、冷風の導入やゼオライト、炭酸ナトリウム、ホワイトカーボン等の微細な無機粒子を添加することにより粉砕機付着を防ぐことができる。
撹拌造粒の場合は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、又はフレークと洗剤成分とを、レーディゲミキサー((株)マツボー製)、シュギーミキサー((株)パウレック製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、プローシェアーミキサー(大平洋機工(株)製)等の撹拌造粒機により造粒し、必要に応じて粉砕や篩を用いて整粒して洗剤粒子を得ることができる。
また、本発明は上記の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットと、洗剤成分及び水とを共に混合して水分20〜50質量%のスラリーを調製し、このスラリーを噴霧乾燥する粒状洗剤の製造方法である。洗剤成分を予め水に分散又は溶解してもよい。この場合、粒状洗剤中におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダー、フレーク又はペレットと洗剤成分との配合質量比は、70:30〜2:98が好ましく、より30:70〜5:95、さらに20:80〜5:95が好ましい。
洗剤成分は上述したものと同様のものを用いることができる。混合する添加順序については特に限定されないが、LAS−H、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルカリビルダー又はゼオライトが含まれる場合は、LAS−Hを中和した後のスラリーに、アルカリビルダー又はゼオライトを添加し、その後α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を添加することが好ましい。また、スラリー水分は20〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。この様にして得られた洗剤スラリーは好適には50〜90℃、好ましくは55〜80℃に保温される。
このスラリーを、微粒化装置を用いて乾燥塔へ噴霧する。微粒化装置としては、加圧噴霧ノズル、2流体噴霧ノズル、回転円盤式いずれの形態でもかまわない。乾燥粉の平均粒径が好適には100〜700μm、好ましくは150〜500μmであることから、微粒化装置としては加圧噴霧ノズルが好ましい。乾燥塔へは高温ガス、好適には150〜350℃、好ましくは200〜280℃のガスが導入され、微粒化されたスラリーを乾燥することにより噴霧乾燥粒子が得られる。得られた噴霧乾燥粉の温度が高い場合は流動性の悪化、付着等の問題が生じる可能性があるので、冷風の導入や無機微粒子の導入により、改善を図ることができる。
さらに、本発明は上記製造方法により製造された粒状洗剤を、さらに、粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により、洗剤成分と混合又は造粒することを特徴とする粒状洗剤の製造方法である。ここで用いられる洗剤成分は、上記の製造方法で製造されたパウダー等と共に混合又は造粒に用いられる洗剤成分と同様のものを用いることができ、同じ成分であっても異なる成分であってもよい。
粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒については上述した通りである。噴霧乾燥粒子と洗剤成分の配合比は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の純分が4〜90質量%、好ましくは5〜54質量%、より好ましくは9〜27質量%になるように配合されることが好ましい。
固形洗剤の製造方法
さらには、本発明は上記の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを洗剤成分と混合し混練して固形洗剤を得る固形洗剤の製造方法である。洗剤成分としては洗剤成分を造粒した粒子を用いてもよい。この粒子の製造方法は、噴霧乾燥、捏和・破砕、撹拌造粒のいずれでもよく、これらに限られるものではない。またアニオン活性剤酸前駆体をアルカリ粉体により粉体中和して得られる粒子を用いてもよい。
以下、固形洗剤の製造方法を示す。まず、上記パウダー、フレーク又はペレットと洗剤成分や洗剤成分を造粒した粒子を、1段あるいはそれ以上に直列に配列した混合機により混合する。混合装置としては、特に限定されないが、前述した粉体混合、捏和・破砕、あるいは撹拌造粒で用いる装置を使用できる。必要に応じてペレッター等の押出造粒機により、ペレット又はヌードル状にしてもよい。その後、プロッダー等により混練したものを型打ちして、固形洗剤を得ることができる。この場合、固形洗剤中におけるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダー、フレーク又はペレットと洗剤成分との配合質量比は、40:60〜1:99が好ましく、さらに30:70〜3:97、特に20:80〜3:97が好ましい。なお、上記に示す製造方法は一例であり、この限りではない。
本発明によれば、貯蔵時の粉体物性(加圧非固化性、流動性)に優れ、かつ粉体色調や臭気をも改善したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットの製造方法、この製造方法で得られたパウダー、フレーク又はペレットを用い粒状洗剤及び、固形洗剤の製造方法を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、「%」は質量%を示す。
下記方法で、パウダー、フレーク、ペレット及び粒状洗剤を調製し、下記評価方法に基づいて性状を評価した。
〈評価方法〉
(1)加圧固化性試験方法
内径50mm、高さ50mmの円筒状のセルに試料を入れ、45℃雰囲気で、3kgの荷重で3分間静置して成形体を成形した。成形体を取り出して上部から荷重を加え、成形体が破壊する荷重を測定した。結果を下記評価基準で評価した。
〈評価基準〉
○・・・0〜3kg未満
△・・・3〜4kg未満
×・・・4kg以上
(2)粉体の流動性(安息角θ)測定方法
45℃の雰囲気で、約20cmの高さからロートを通して試料を落とし、円錐状堆積層を形成させ、底円の半径と高さから下記式に基づいて角度θを算出し、下記評価基準で評価した。
θ:Tanθ=高さ/底円の半径
〈評価基準〉
○・・・θ≦60°
△・・・60°<θ≦70°
×・・・70°<θ
(3)粉体色調の測定方法
粉体の色調は、Σ90Color measuring system(日本電色(株)製)を用いて、500〜710μmの試料粒子のb値を測定した。b値の数値が大きい方が黄色に判定され、色差が1.0以上の場合、肉眼で差異を確認できる。結果を下記評価基準で評価した。
〈評価基準〉
○・・・b値<13
△・・・13≦b値<16
×・・・16≦b値
(4)臭気の測定方法
口径30mmの30mLガラス容器に、試料を80容量%充填した後密閉し50℃で保存した。2週間経過後にガラス容器の蓋を開け、その臭いを下記評価基準に基づいて官能評価した。なお、不快臭を感じる場合をにおいが悪いと判断した。
〈評価基準〉
○・・・良好
△・・・少し悪い
×・・・極めて悪い
【実施例1〜4】
(1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストの調製
(スルホン化工程)
第3図に示した反応器にてスルホン化を行った。
装置は、200L容量、ジャケット冷却、撹拌機3付きのSUS316L製であって、循環ライン7によって反応温度をコントロールするようになっているものを用いた。まず、原料脂肪酸メチルエステル92kgを反応槽1に仕込み、良く撹拌しながら着色抑制剤として微粉硫酸ナトリウム(NaSO)を脂肪酸メチルエステルに対して5%添加した。さらに撹拌を続けながら、反応温度80℃、循環ライン7における循環量を80〜100L/minで、窒素ガスで8容量%に希釈したSOガス(スルホン化ガス)110〜120m(原料メチルエステルに対して1.2倍モル)をリングスパージャーにて1時間かけて等速で吹き込んだ。さらに80℃に保ちながら30分間熟成を行った。
(エステル化工程)
エステル化反応槽10としてジャケット付3段撹拌槽式のものを用いた。また、低級アルコールとしてメタノールを3.5〜5.5kg/hrで供給し、スルホン化物に対して3〜4質量%になるように制御してエステル化を行った。エステル化の反応温度は80℃、熟成時間は30分であった。
(中和工程)
ついで、エステル化反応槽10から抜き出したスルホン化物を、中和ライン17に130〜135kg/hrで連続的に供給した。中和方式は、特開2001−64248号公報記載の中和方式を採用し、プレミキサー14と中和ミキサー15との間に、25〜35質量%の水酸化ナトリウム水溶液を50〜60kg/hrの速度で定量的にフィードし、連続的に中和するようにした。そして、予めスルホン化物をプレミキサー14で予備中和物と完全に混合した後、水酸化ナトリウム水溶液と混合して中和物とするようにした。ループを循環する予備中和物の量は、スルホン化物と、添加するアルカリ水溶液との合計の20倍量とした。また、中和温度はループ回路の熱交換器16中の水温を調節することにより、70℃に制御した。中和物の滞留時間は20分であった。なお、第2図には示されていないが、循環ループの中にpH制御システムを設置し、水酸化ナトリウム水溶液の供給速度を調節するフォードバックコントローラーにより、水酸化ナトリウム水溶液の供給速度(供給量)を制御した。循環ループの管内圧力は4kg/cmであった。得られた中和物のpHは6.5であった。
(漂白工程)
ついで、この中和物を漂白剤混合ライン21に180〜200kg/hrの供給速度で供給した。漂白剤混合ライン21は熱交換器20を有する循環ライン22を備えた循環ループ方式とした。そして、35%過酸化水素水を3.5〜7.5kg/hr(AI(有効成分:α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩)に対して純分で1〜2%)で供給し、循環ライン22からの漂白混合済み中和物(予備漂白物)と充分に混合する。ループ循環量は、予備漂白物に新たに加えられる中和物の15倍量であり、循環ループ管内圧力は4kg/cmであった。また、循環ループの温度は、熱交換器20によって80℃に調節し、循環ループの滞留時間は10分であった。ついで、流通管方式の漂白ライン23に導入して漂白を進行させた。なお、漂白ライン23はジャケット付き二重管で、温度、圧力調節が可能なものであった。漂白剤混合物の流れはピストンフローで、圧力4kg/cm、温度80℃に調節し、滞留時間は180分であった。
(2)第1熟成工程
ついで、得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを漂白タンク25に移送し、表1の条件で熟成した。第1熟成工程後のペーストのAI(有効成分:α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩)濃度を表1に示した。
(3)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有パウダー又はフレークの調製
(濃縮工程)
上述で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを回転数1,060rpm、羽根先端速度約11m/secで回転している真空薄膜蒸発機エクセバ(伝熱面:0.5m、内径:205mm、伝熱面と羽根先端とのクリアランス:2〜4mm、神鋼パンテック(株)製)に5〜90kg/hrで導入し、内壁加熱温度120〜160℃、真空度0.007〜0.014MPaにて濃縮を行った。得られた濃縮品の温度は70〜100℃であり、濃縮品水分は表1に示す値であった。ついで、この濃縮品をドラムフレーカー((株)楠木機械製作所製)を用いて、20〜30℃まで冷却し、高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレークを得た。
(粉砕)
前記濃縮工程で得られた高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレークと無機粉体(表1記載の配合量)とを、2段直列に配列したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径8mmφ、2段目スクリーン径3.5mmφ、ブレード回転数1段目:4700rpm、2段目2820rpm)に15℃の除湿した(露点:−5℃)冷風(但し、実施例4は15℃の除湿しない通常の冷風)と共に導入し(風量:6Nm/min)、処理速度200kg/hrで粉砕して粉砕物(パウダー)を得た。
(4)第2熟成工程
得られた粉砕物(パウダー)を、さらに表1の条件で熟成を行い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。得られたパウダーの性状を表1に示す。
なお、使用原料については後述する。
[実施例5,6]
実施例1(1)〜(3)濃縮工程までの方法に従って得られた高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレークを、無機粉体を混合することなく、窒素導入により酸素濃度8%に希釈した冷風と共に、フィッツミルに導入した(風量:6Nm、/min)。処理速度150kg/hrで粉砕して粉砕物(パウダー)を得た。フィッツミルは、2段直列に配列したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径8mmφ、2段目スクリーン径3.5mmφ、ブレード回転数1段目:4700rpm、2段目2820rpm)を用いた。得られた粉砕物(パウダー)に、表1の条件で第2熟成工程を行い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダーを得た。得られたパウダーの性状を表1に示す。
以下、「特定の実施例の方法に従う」とは、その実施例に記載の方法に準じ、使用するもの、量及び時間等は、表に従うものとする。
【実施例7〜9】
槽型反応器(反応槽1)に代えて、図4に示した管型気液混相流反応器(擬フィルム反応器)を用いてスルホン化反応を行った。導入部36はジャケット付、容量100mLの反応混合器を用いた。また、ジャケット付の反応管41としては、内径13.8mmのステンレスSUS316Lからなる配管2mのものを4本並列させて用い、これらを内径13.8mm、長さ1mの接続管43にて相互に接続した。撹拌槽31に、原料脂肪酸メチルエステルと、着色抑制剤として、硫酸ナトリウム(5質量%対原料)を仕込み、50℃に加熱して液相中に硫酸ナトリウムを均一に分散させ、ポンプ32を作動させて循環管34にて撹拌槽31にもどして混合性を増加させて固液混合相を調製した。このとき、抜き出し管33、循環管34及び供給管35の管内流速は0.7m/sec、配管内圧力2kg/cmであった。
ついで、この固液混合相を、原料導入管39から、安定に128g/minで導入部36に供給した。一方、スルホン化ガス導入管38から、実施例1と同様に、窒素ガスで8容量%に希釈したスルホン化ガスを、0.3m/minで定量的に導入した。このとき、導入部36の温度は80℃、反応管41中の固液混合相の温度は、ジャケットの冷水をコントロールすることにより、80℃に調整した。また、反応管41内のガス速度は30m/sec、原料の環状液膜の平均厚さは0.3mm、流速は5cm/sec、滞留時間は60秒であった。そして、スルホン化物と排ガスを回収部45で分離し、この後スルホン化物を、第2図に示した槽型反応器1に導入し、反応温度を80℃に保ちながら30分間熟成を行った。エステル化以降は実施例1に従い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダーを得た。得られたパウダーの性状を表1,2に示す。
[実施例10,11]
実施例1(1)〜(3)濃縮工程までの方法に従ってフレークを得た後、実施例11では表2記載の配合量に従って、無機粉体を混合した。混合は水平円筒回転ドラム(直径400mm、長さ700mm、Fr数0.14)に、フレーク10kgと無機粉体(表2に記載の配合量)を投入し、2分間行った(実施例10は無機粉体を混合せず。)。得られた生成品について、それぞれ表2記載の条件で熟成を行い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩高濃度含有フレークを得た。得られたフレークの性状を表2に示す。
【実施例12】
実施例10で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレークを、15℃の除湿した(露点:−5℃)冷風、及び粉砕助剤として無機粉体(表2記載の配合量)と共に、フィッツミルに導入した(風速:6Nm/min)。処理速度100kg/hrで粉砕して、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。フィッツミルは2段直列に配列したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径8mmφ、2段目スクリーン径:3.5mmφ、ブレード回転数1段目:4,700rpm、2段目:2820rpm)を用いた。得られたパウダーの性状を表2に示す。
[実施例13,14]
実施例1(1)〜(2)記載の方法で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを、縦型撹拌混合機((株)ダルトン製)を用いてジャケット温度90℃の条件で8時間撹拌して水分を蒸発させた。得られた濃縮品をペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−60)を用いて、直径約10mm、平均長さ10〜30mmのペレットとした後、実施例14では表2記載の配合量に従って無機粉体を混合した。混合は水平円筒回転ドラム(直径400mm、長さ700mm、Fr数0.14)に、ペレット10kgと無機粉体とを投入し、2分間混合した後排出し混合品を得た(実施例13は無機粉体を混合せず。)。その後、それぞれ表2記載の条件でペレットの熟成を行い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩高濃度含有ペレットを得た。得られたペレットの性状を表2に示す。
【実施例15】
実施例13記載の方法で得られたペレットを、窒素導入により酸素濃度8%に希釈した15℃の冷風、及び粉砕助剤として無機粉体(表2記載の配合量)と共に導入した(風量:6Nm/min)。処理速度190kg/hrで粉砕してα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。フィッツミルは、2段直列に配列したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径8mmφ、2段目スクリーン径:3.5mmφ、ブレード回転数1段目:4700rpm、2段目:2820rpm)を用いた。得られたパウダーの性状を表2に示す。
【実施例16〜21】
実施例1記載の方法に従って、無機粉体として表2,3記載のものを混合し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。なお、無機粉体の混合方法は実施例11記載の方法に従った。得られたパウダーの性状を表2,3に示す。
【実施例22〜24】
実施例1(1)〜(2)記載の方法で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを、回転数1,060rpm、羽根先端速度約11m/secで回転している薄膜蒸発機エクセバ(伝熱面:0.5m、内径:205mm、伝熱面と羽根先端とのクリアランス:2〜4mm、神鋼パンテック(株)製)に、5〜40kg/hrで導入し、内壁加熱温度120〜160℃、大気圧にて濃縮を行った。得られた濃縮品の温度は95℃で、その水分量を表3に示す。ついで、この濃縮品をドラムフレーカー((株)楠木機械製作所製)を用いて、20〜30℃まで冷却し、高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有フレークを得た。実施例23,24は、得られたフレークを実施例1の粉砕方法に従い、その後表3の条件で熟成を行いパウダーとした。
[比較例1]
実施例1記載の方法に従い、表4記載の性状のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。
[比較例2]
パウダーにした後の熟成を行わない以外は実施例1記載の方法に従い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。得られたパウダーの性状を表4に示す。
[比較例3]
粉砕とフレークにした後に熟成を行わない以外は実施例1記載の方法に従い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩高濃度含有フレークを得た。得られたフレークの性状を表4に示す。
[比較例4]
ペレットにした後に熟成を行わない以外は実施例14記載の方法に従い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩高濃度含有ペレットを得た。得られたペレットの性状を表4に示す。
[比較例5]
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを漂白タンクに移送した後、熟成をせずに濃縮する以外は実施例1記載の方法に従い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。得られたパウダーの性状を表4に示す。
なお、表中において「最終品」とは、各実施例1〜31において全工程終了後のパウダー、フレーク又はペレットを示し、表1〜5中の無機粉体及び添加剤の配合量は後述する使用原料の量を示す。




[実施例25,26]
実施例1(1)〜(2)記載の方法で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストと添加剤とを表5記載の配合量に従って撹拌槽にて均一に混合し、その混合物を実施例1(3)〜(4)記載の方法に従い、高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有パウダーを得た。得られたパウダーの性状を表5に示す。
[実施例27,28]
実施例1(1)〜(2)記載の方法で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストと添加剤とを表5記載の配合量に従って撹拌槽にて均一に混合し、その後、実施例13記載の濃縮方法、ついで粉砕以降は実施例1記載の方法により高濃度α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有パウダーを得た。得られたパウダーの性状を表5に示す。
【実施例29〜31】
実施例1(1)〜(3)濃縮工程までの方法に従いα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有の濃縮品を得た。得られた濃縮品の温度は60〜100℃、水分を表5に示す。ついで、得られた濃縮品と表5に示す配合量に従ってKRCニーダー((株)栗本鉄工所製、S−4型)に導入し、温度70〜90℃の捏和混練物を得た。能力は捏和混練物として50kg/hrであった。ついで、捏和混練物をペレッター(不二パウダル(株)製、EXDFJS−60、ダイス孔径10mmφ)に投入し、直径10mmφ、平均長さ10〜30mmのペレット状固形物を得た。
得られたペレット状固形物と無機粉体とを表5記載の配合量で、15℃の除湿した(露点:−5℃)冷風と共に、フィッツミルに導入した(風量:5Nm/min)。処理速度50kg/hrで粉砕した。フィッツミルは、2段直列に配列したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径8mmφ、2段目スクリーン径:3.5mmφ、ブレード回転数1段目:4700rpm、2段目:2820rpm)を用いた。得られた粉砕物(パウダー)に表5の条件で熟成を行い、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダーを得た。得られたパウダーの性状を表5に示す。

【実施例32〜48】
(他粒子との混合)
上記実施例に従って得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダーと、表6〜11に記載の粒子1〜5とを、表12,13記載の配合比率で混合した。混合は水平円筒回転ドラム(直径400mm、長さ700mm、Fr数0.14)に粒子を投入し、香料を噴霧しながら3分間混合して粒状洗剤を得た。得られた粒状洗剤の性状を表12,13に示す。なお、混合する粒子1〜5については下記に示す。
混合する粒子の組成及び製造方法
〈粒子1〉
下記表6に示す組成のうち、水溶性アルカリ無機塩を、鋤刃状ショベルを装備したショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に投入し(充填率30容量%)、主軸200rpmの撹拌を開始した(チョッパーは停止)。撹拌開始10秒後にアクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム水溶液を30秒で添加し、造粒・被覆操作を行った。
ついで、レーディゲミキサーの撹拌を継続しつつ、ラウリン酸を30秒で添加し被覆操作を行った。さらにゼオライトを添加し、30秒間撹拌を続け被覆粒子を得た。
得られた被覆粒子を目開き2,000μmの篩を用いて分級し、この篩を通過した粒子1を得た。

〈粒子2〉
表7の粒子2の乾燥粒子組成に示す組成に従って、被覆(コーティング)で用いるゼオライトを除いた原料を所定の比率で配合し、水分40%、温度70℃のスラリーを調製した。なお、LAS−KはLAS−HとKOHを投入し、スラリー中でLAS−Kを生成させた。
スラリーはプランジャーポンプにより乾燥塔(直径2m、有効長さ5m)上部まで移送し、その後加圧ノズルにより塔内に圧力30kg/cmで噴霧し乾燥した。乾燥塔内の温度は熱風入口部の温度で260℃、運転中の排風温度は90〜100℃であった。塔底より得られた粉体と被覆用ゼオライトを混合し、噴霧乾燥粒子を得た。
この噴霧乾燥粒子、ノニオン界面活性剤及び水を、88.44:3.33:0.89(有り姿質量比)の比率でKRCニーダー((株)栗本鉄工所製、S−4型)に投入し、温度60〜70℃の捏和混練物を得た。能力は捏和混練物として180kg/hrであった。ついで、捏和混練物をペレッター(不二パウダル(株)製、EXDFJS−60、ダイス孔径10mmφ)に投入し、直径10mmφ、平均長さ10〜30mmのペレット状固形物を得た。
得られたペレット状固形洗剤とゼオライトを、92.67:4.00(有り姿質量比)の比率で、15℃の冷風(風量6Nm/min)と共に3段直列に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径:12mmφ、2段目スクリーン径:6mmφ、3段目スクリーン径:2.3mmφ、回転数全段4,700rpm)に投入し、処理速度188kg/hrで粉砕した。
得られた粉砕粒子を水平円筒回転ドラム(Fr数0.14、直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)にゼオライトと共に連続投入し、内部でノニオン界面活性剤を噴霧し、表8に示す粒子2とした。なお、水平円筒回転ドラムに投入する粉砕品、ゼオライト、噴霧ノニオン界面活性剤の有り姿質量比は96.67:3.00:0.33であった。


〈粒子3〉
表9に示した原料のうち、被覆用ゼオライトを除いた原料を所定の比率で配合し、水分40%、温度70℃のスラリーを調製した。なお、LAS−NaはLAS−HとNaOHを投入し、スラリー中でLAS−Naを生成させた。
このスラリーを粒子2と同様な条件で乾燥塔を用いて噴霧乾燥し、塔底より得られた乾燥粉と被覆用ゼオライトを混合し粒子3を得た。

〈粒子4〉
下記表10のうち、ゼオライトの主配合、ホワイトカーボン、炭酸ナトリウム[1]を、鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に容量50%になるような量を投入した(粉体温度:約30℃)。その後、30秒間主軸、チョッパーを各々200rpm、6,000rpmで回転させ粉体を混合した。
予めノニオン界面活性剤と12ヒドロキシステアリン酸を85℃で溶融・混合させておき、粉体の混合終了後、主軸・チョッパーを回転させたままノニオン界面活性剤と12ヒドロキシステアリン酸の溶融・混合物を約60秒で添加した。
溶融・混合物の添加終了後、主軸・チョッパーの回転は継続したまま分割のゼオライトを添加し90秒撹拌した。その後被覆用ゼオライトを添加し30秒撹拌してからレーディゲミキサーから取り出した。
得られた粒子を目開き2,000μmの篩を通して粒子4を得た。

〈粒子5〉
表11に示した組成のうち、被覆用ゼオライトを除いた原料を所定の比率で配合し、水分50%、温度80℃のスラリーを調製した。このスラリーを粒子2と同様な条件で乾燥塔を用いて噴霧乾燥し、塔底より得られた乾燥粉と被覆用ゼオライトを混合し粒子5を得た。




【実施例49】
実施例1で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルナトリウムがAI(有効成分)で10%になるように、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩高濃度含有パウダーと噴霧用ノニオン界面活性剤と被覆用ゼオライトを除いたその他成分とを表15の割合でプローシェアーミキサー(大平洋機工(株)製、WB−75型)に投入し、主軸回転数162rpm、チョッパー回転数6,000rpmにて5分間造粒した。さらに、得られた造粒物とゼオライトの比率が93.64:5.25(有り姿質量比)になる量の被覆用ゼオライトを投入し、1分間混合して撹拌造粒品を得た。その後、得られた撹拌造粒品を水平円筒回転ドラム(Fr数0.14、直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)に連続投入し、内部で噴霧用ノニオン界面活性剤を噴霧し、2mmφ篩上に残った粒子を取り除き、粒状洗剤とした。なお、水平円筒転動ドラムに投入する撹拌造粒品、噴霧用ノニオン界面活性剤の有り姿質量比は98.89:1.11であった。得られた粒状洗剤の性状を下記表15に示す。
【実施例50〜52】
実施例1で得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステルナトリウムが下記表15に示したAIになるようにα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を含有するパウダーと、噴霧用ノニオン界面活性剤と助剤及び被覆用ゼオライトを除いたその他成分とを下記表15(ノニオン界面活性剤、石鹸は下記表15に示した形状のものを使用)の割合でKRCニーダー((株)栗本鉄工所製、S−4型)に投入し、温度60〜70℃の捏和混練物を得た。能力は捏和混練物として150kg/hrであった。ついで、捏和混練物をペレッター(不二パウダル(株)製、EXDFJS−60、ダイス孔径10mmφ)に投入し、直径10mmφ、平均長さ10〜30mmのペレット状固形物を得た。
得られたペレット状固形物と助剤用ゼオライトとを、91.76:5.25(有り姿質量比)の比率で、15℃の冷風(風量:6Nm/min)と共に3段直列に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径:6mmφ、2段目スクリーン径:4mmφ、3段目スクリーン径:2mmφ、ブレード回転数1段目:1880rpm、2段目:2350rpm、3段目:3760rpm)に投入し、処理速度160kg/hrで粉砕し、粉砕粒子を得た。
得られた粉砕粒子を水平円筒回転ドラム(Fr数0.14、直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)に、被覆用ゼオライトと共に連続投入し、内部で噴霧用ノニオン界面活性剤と香料を噴霧し粒状洗剤を得た。なお、水平円筒回転ドラムに投入する粉砕粒子、被覆用ゼオライト、噴霧用ノニオン界面活性剤の有り姿質量比は97.01:1.88:1.11であった。得られた粒状洗剤の性状を表15に示す。

【実施例53】
表16に示す組成に従って原料を所定の比率で配合し、水分40%、温度70℃のスラリーを調製した。なお、LAS−KはLAS−HとKOHを投入し、スラリー中でLAS−Kを生成し、α−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウムは実施例1で得られたパウダーを使用した。
スラリーを粒子2と同様な条件で乾燥塔を用いて噴霧乾燥し、塔底より得られた乾燥粉と被覆用ゼオライトを混合し噴霧乾燥粒子を得た。得られた噴霧乾燥粒子(粒状粒子)の性状を表16に示す。

【実施例54】
実施例53で得られた噴霧乾燥粒子と、ノニオン界面活性剤及び水を、85.09:3.89:3.09(有り姿質量比)の比率でKRCニーダー((株)栗本鉄工所製、S−4型)に投入し、温度60〜70℃の捏和混練物を得た。能力は捏和混練物として180kg/hrであった。ついで、捏和混練物をペレッター(不二パウダル(株)製、EXDFJS−60、ダイス孔径10mmφ)に投入し、直径10mmφ、平均長さ10〜30mmのペレット状固形物を得た。
得られたペレット状固形物とゼオライトを、92.07:5.50(有り姿質量比)の比率で、15℃の冷風(風量:6Nm/min)と共に3段直列に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3型、1段目スクリーン径:12mmφ、2段目スクリーン径:6mmφ、3段目スクリーン径:2.5mmφ、回転数全段4700rpm)に投入し、処理速度190kg/hrで粉砕し、粉砕粒子を得た。
得られた粉砕粒子を水平円筒回転ドラム(Fr数0.14、直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)に、ゼオライトと共に連続投入し、内部でノニオン界面活性剤を噴霧し粒状洗剤を得た。なお、水平円筒回転ドラムに投入する粉砕粒子、ゼオライト、噴霧ノニオン界面活性剤の有り姿質量比は97.57:1.88:0.55であった。得られた粒状洗剤の性状を表17に示した。

【実施例55】
実施例53で得られた噴霧乾燥粒子と、ノニオン界面活性剤及び水を、88.66:3.89:1.39(有り姿質量比)の比率で、プローシェアーミキサー(大平洋機工(株)製、WB−75型)に投入し、主軸回転数162rpm、チョッパー回転数6,000rpmにて5分間造粒した。得られた造粒物とゼオライトの比率が93.94:5.50(有り姿質量比)になる量のゼオライトを投入し、1分間混合し撹拌造粒品を得た。得られた撹拌造粒品を水平円筒回転ドラム(Fr数0.14、直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)に連続投入し、内部でノニオン界面活性剤を噴霧し、2mmφ篩上に残った粒子を取り除き、粒状洗剤を得た。なお、水平円筒回転ドラムに投入する撹拌造粒品、噴霧ノニオン界面活性剤の有り姿質量比は99.44:0.56であった。得られた粒状洗剤の性状を表18に示す。

【実施例56〜66】
水平円筒回転ドラム(直径400mm、長さ700mm、Fr数0.3)を用いて、表22〜24記載の配合比率になるよう原料及び粒子を投入し、香料及び水を噴霧しながら2分間混合した。得られた混合物をKRCニーダー((株)栗本鉄工所製、S−4型)に投入し混練し、その後ペレッター(不二パウダル(株)製、EXDFJS−60、ダイス径100mmφ)に投入してペレット状固形物を得た。その後、プロッダー(日本化工機(株)製、真空2段型プロッダー)を用いて混練し、型打ちして固形洗剤を得た。いずれの実施例においても、製造性・品質(洗浄力)を満足する固形洗剤を得ることができた。なお、粒子6〜17は下記の製法に従って得られたものである。
混合する粒子の組成及び製造方法
〈粒子6〜10〉
表19記載の組成に従って原料を配合し、水分40%、温度70℃のスラリーを調製した。なお、LAS−NaはLAS−HとNaOHを投入し、スラリー中でLAS−Naを生成させた。
このスラリーを粒子2と同様の条件にて噴霧乾燥し、塔底より乾燥した粒子6〜10を得た。

〈粒子11〜14〉
表20記載の組成に従ってMES、LAS−H及びAOS−Naを除く原料を、鋤刃状ショベルを装備したショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に投入し(充填率30容量%)、主軸200rpm、チョッパー3,000rpmの撹拌を開始した。撹拌開始30秒後にLAS−H溶液を2分間で添加した。
ついで、レーディゲミキサーの撹拌を継続しつつ、AOS−Na溶液を1分間で添加し、さらに表20記載のMESを投入した後、1分間撹拌を続け粒子を得た。
得られた粒子を目開き2,000μmの篩を用いて分級し、この篩を通過した粒子11〜14を得た。

〈粒子15,16〉
表21記載の組成に従ってMES、LAS−HとAOS−Naを除く原料を、鋤刃状ショベルを装備したショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に投入し(充填率30容量%)、主軸200rpm、チョッパー3,000rpmの撹拌を開始した。撹拌開始30秒後に予めLAS−H溶液とAOS−Na溶液とを混合した溶液を3分間で添加した。ついで、表21記載のMESを投入した後、1分間撹拌を続け粒子を得た。
得られた粒子を目開き2,000μmの篩を用いて分級し、この篩を通過した粒子15,16を得た。
〈粒子17〉
表21記載の組成に従ってMES、LAS−HとAOS−Naを除く原料を、鋤刃状ショベルを装備したショベル−壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に投入し(充填率30容量%)、主軸200rpm、チョッパー3,000rpmの条件で30秒間撹拌・混合した。混合後、撹拌を一旦停止し、予めLAS−H溶液とAOS−Na溶液とを混合した溶液を15秒間で添加した。添加後、前述の条件で2分間混合し、さらに表21記載のMESを投入した後、1分間撹拌を続け粒子を得た。
得られた粒子を目開き2,000μmの篩を用いて分級し、この篩を通過した粒子17を得た。




実施例及び比較例で使用した使用原料を下記に示す。
(1)脂肪酸メチルエステル
原料となる脂肪酸メチルエステルは、パーム油をエステル化した脂肪酸メチルエステル(商品名:A,C:Edenor ME PA MY(コグニス社製)、B:パステルM−14とパステルM−16(ライオンオレオケミカル(株)製)とを質量比2:8で混合したもの)を水添処理することにより、ヨウ素価を低減して精製したものを用いた。水添処理は常法に従い、水添触媒として商品名SO−850(堺化学(株)製)を、脂肪酸メチルエステルに対して0.15%添加し、170℃、8時間の条件で行った。原料脂肪酸メチルエステルの炭素分布及び性状を表25に示す。

(2)スルホン化ガス:乾燥空気(露点−55℃)を用いてSOを触媒酸化して生成
(3)LAS−H:ライオン(株)製、ライポン LH−200、炭素数10〜14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(AI(有効成分)=96%、残部は未反応アルキルベンゼン、硫酸ナトリウム、水等)、LAS−Na、LAS−Kとして使用
(4)AOS−K:C14:C16:C18=15:50:35のα−オレフィンスルホン酸カリウムとヒドロキシアルキルスルホン酸カリウムの混合物(純分70%、α−オレフィンスルホン酸カリウム:ヒドロキシアルキルスルホン酸カリウムの比率は7:3、残部は未反応α−オレフィン、硫酸ナトリウム、サルトン、水酸化ナトリウム及び水等)
(5)AOS−Na:ライオン(株)製、リポランLB−440
(6)石けん:C16:C18:TMD(C10〜20のエステル系混合物)=1:3:1の脂肪酸ナトリウム(AI(有効成分)=67%)
(7)ノニオン界面活性剤:炭素数12〜13のアルコールに平均15モルのエチレンオキサイドを付加したアルコールエトキシレート(純度=90%、残部は未反応アルコール、PEG(ポリエチレングリコール)及び水等)
(8)メタノール:純正化学(株)製、試薬一級メタノール
(9)水酸化ナトリウム:旭硝子(株)製、苛性ソーダ食添用フレーク
(10)水酸化カリウム:旭硝子(株)製、苛性カリ食添用フレーク
(11)過酸化水素:純正化学(株)製、一級試薬、過酸化水素35%含有水溶液
(12)炭酸ナトリウム[1]:旭硝子(株)製、軽灰、純分99%、嵩密度0.55g/cmを平均粒径10〜60μmに粉砕した軽灰粉砕品
(13)炭酸ナトリウム[2]:旭硝子(株)製、粒灰、純分99%、嵩密度1.07g/cm
(14)炭酸カリウム:旭硝子(株)製、食添グレード、粉砕品、純分99%、嵩密度0.77g/cm
(15)トリポリリン酸ナトリウム:太平化学産業(株)製、食添グレード、純分85%、嵩密度0.97g/cm
(16)ゼオライト:A型ゼオライト 水澤化学(株)製、商品名;シルトンB、嵩密度0.30g/cm
(17)硫酸ナトリウム:四国化成(株)製、中性無水微粉硫酸ナトリウム、工業グレード、平均粒径40〜50μm
(18)硫酸カリウム:上野製薬(株)製、硫酸加里を粒径20〜30μmにしたもの。
(19)炭酸カルシウム:純正化学(株)製、試薬特級、炭酸カルシウム
(20)亜硫酸ナトリウム:神洲化学(株)製、無水亜硫酸曹達
(21)マレイン酸/アクリル酸コポリマーナトリウム:日本触媒(株)製、商品名アクアリックTL−400(純分40%水溶液)
(22)ポリアクリル酸ナトリウム:日本触媒(株)製、商品名アクアリックDL−100
(23)ホワイトカーボン:(株)トクヤマ製、商品名トクシールN
(24)クエン酸ナトリウム:純正化学(株)製、試薬一級、クエン酸三ナトリウム二水和物
(25)酸化カルシウム:昭和化学(株)製、試薬特級、酸化カルシウム粉末
(26)12−ヒドロキシステアリン酸:ケイエフ・トレーディング(株)製、純分85%
(27)ラウリン酸:日本油脂(株)製、NAA−122
(28)酵素:ノボノルディスク社製、プロテアーゼ・リパーゼ混合酵素
(29)香料:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
(30)色素:大日精化工業製、群青
(31)蛍光剤:チバスペシャリティケミカルズ製、AMS−GX
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)脂肪酸アルキルエステルとスルホン化ガスを接触させてスルホン化する反応と、該スルホン化工程の生成物を低級アルコールによってエステル化する反応と、該エステル化工程後に中和する反応と、該中和物を漂白する反応を含むα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得る工程、
(2)得られたペーストを熟成する第1熟成工程、
(3)熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにする工程、又は熟成後のペーストを含有水分10質量%以下のフレークもしくはペレットにし、得られたフレークもしくはペレットを平均粒径100〜1,500μmのパウダーに粉砕する工程、
(4)パウダー、フレーク又はペレットを熟成する第2熟成工程
を含むことを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレットの製造方法。
【請求項2】
さらに、パウダー、フレーク又はペレットに、平均粒径0.1〜100μmの無機粉体を、パウダー、フレーク又はペレット中1〜40質量%混合する工程を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の製造方法。
【請求項3】
脂肪酸アルキルエステルのヨウ素価が1以下であることを特徴とする請求の範囲第1又は2項記載の製造方法。
【請求項4】
請求の範囲1〜3のいずれか1項記載の製造方法により得られるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を高濃度含有するパウダー、フレーク又はペレット。
【請求項5】
請求の範囲1〜3のいずれか1項記載の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを、粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により、洗剤成分と混合又は造粒することを特徴とする粒状洗剤の製造方法。
【請求項6】
請求の範囲1〜3のいずれか1項記載の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを洗剤成分及び水と共に混合して水分20〜50質量%のスラリーを調製し、このスラリーを噴霧乾燥する粒状洗剤の製造方法。
【請求項7】
請求の範囲第5又は6項記載の製造方法により製造された粒状洗剤を、さらに、粉体混合、捏和・破砕、及び撹拌造粒から選ばれる方法により、洗剤成分と混合又は造粒することを特徴とする粒状洗剤の製造方法。
【請求項8】
請求の範囲5〜7のいずれか1項記載の製造方法によって得られる粒状洗剤。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法により製造されたパウダー、フレーク又はペレットを洗剤成分と混合し混練して、固形洗剤を得ることを特徴とする固形洗剤の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/111166
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507002(P2005−507002)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008563
【国際出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】