説明

α1アドレナリン受容体の阻害のための水溶性Opuntia抽出物

本発明は、治療用天然産物、特に尿路障害を治療及び予防するのに有効な植物抽出物と、前記抽出物を入手するための方法を開示する。特に、本発明は、非水溶性残渣を実質的に含まず、有効なα1アドレナリン受容体遮断活性を示す、Opuntia ficus-indica(大型宝剣)花の水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)を開示する。さらに開示するのは、この抽出物を調製する方法と、α1アドレナリン受容体及び/又は5αレダクターゼを阻害する方法、並びに、それらに関連した尿路障害のような医学的症状を治療する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用天然産物の分野に、特に尿路障害を治療及び予防するのに有効な植物抽出物と、前記抽出物を入手するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿路障害、特に良性前立腺肥大症(BPH)と前立腺癌は、50歳以上の男性の比較的高い割合に罹患して、70歳以上の男性のほぼ70%で観察される。
【0003】
BPHは、進行性の状態であり、排尿頻度の増加、夜間頻尿、弱い尿流、放尿開始の躊躇い又は遅れ、及び排尿不全が含まれる、一連の下部尿路症候群(LUTS)をもたらす。BPHの慢性的な結果には、膀胱平滑筋の肥大、非代償性膀胱、尿路感染症の発症増加、尿結石形成、及び腎不全を含めることができる。女性も不安定な膀胱収縮によりLUTSを発症する場合があることが注目されている。
【0004】
この障害は異質であり、ホルモン因子、増殖因子、基質−上皮の相互作用、及び老化によって引き起こされる可能性がある。
【0005】
BPHの治療選択肢には、生活様式の改善、デバイス、外科手術、薬理学及び植物療法的な介入が含まれる。最近まで、未治療BPHのリスクは、明確化することが難しかった。しかしながら、今や疫学データは、前立腺サイズとリスクの間の明らかな相関性を実証している。
【0006】
BPHの治療に一般に使用されている2群の薬理組成物がある:
a)αアンタゴニスト(「αアドレナリンアンタゴニスト」とも呼ばれる)、これは、アドレナリン経路を介して作用して、BPHの症状を緩和するのに有効であり得るが、前立腺サイズは変化させない。αアンタゴニストは、α1又はα2アドレナリン受容体のいずれか一方に選択的であり得るか、又はそれは、非選択的であり得て、アンタゴニスト活性をα1とα2の両方で示す。BPHの症状の治療についてFDAにより承認された3つの最も有名な合成薬剤のα1アドレナリンアンタゴニストは、テラゾシン(Hytrin(登録商標))、ドキサゾシン(Cardura(登録商標))、及びタムスロシン(Flomax(登録商標))である。
【0007】
b)5αレダクターゼ阻害剤:前立腺に存在して、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)へ変換する酵素、5αレダクターゼ(特にII型)を阻害する。5αレダクターゼ阻害剤は、ホルモンの機序を介して作用して、前立腺容量を減らすことが示されている。II型5αレダクターゼの例示の競合的及び特異的な阻害剤は、フィナステリド(Proscar(登録商標))である。フィナステリドの有用性は、インポテンス、リビドー減少、射精障害が含まれる多数の望まれない副作用によりやや制限されてきた。さらに、フィナステリドは、BPHの患者において、たとえ前立腺癌の存在時でも、血清前立腺特異抗原(PSA)レベルのほぼ50%の減少を引き起こす。この血清PSAレベルの低下作用は、前立腺癌の腫瘍マーカーとしてのその有用性を不明瞭にする場合がある。
【0008】
今日の証拠は、中等度〜重症の症状とより小さな前立腺(30cc以下の推定量又は1.4ng/ml以下の血清PSA)のある患者がα1アドレナリンアンタゴニストでの単独療法より利益を得る可能性が高いのに対して、同等の症状とより大きな前立腺(30ccを超える推定量又は1,4ng/mlより高い血清PSA)のある患者は、閉塞の動的要素を緩和するα1アドレナリンアンタゴニスト(例えば、テラゾシン)と前立腺サイズを減らすことによって閉塞の機械的要素に対処する5αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)の組合せ療法より、より持続的な結果を導く可能性があることを示唆する。
【0009】
植物療法剤(植物抽出物としても知られる)は、BPHに関連した症状の治療への天然の代用品として示唆されてきた。BPHのために処方されるより一般的な植物抽出物のいくつかは:Serenoa repens[セレノアレペンズ](Saw Palmetto Berry:ソーパルメットベリー)、Pygeum africanum[ピジウムアフリカーナ](Plum Bark:プラム樹皮)、及び Cucurbita pepo[ペポカボチャ](Pumpkin Seed:カボチャ種子)より得られる。しかしながら、最近、それらの効力は、疑問視されている(例えば、The New England Journal of Medicine, Vol. 354 (6):557-566 (2006) 中の「Saw Palmetto for Benign Prostatic Hyperplasia(良性前立腺肥大症へのソーパルメット)」S. Bent et al., を参照のこと)。
【0010】
Opuntica ficus-indica(OFI)は、他にはノパルサボテン又はウチワサボテンとして知られ、サボテン(Cactaceae)科の中で最も一般的で広汎な属である Opuntia(オプンチア)属に属する。それは、火傷、浮腫、消化不良、及び気管支喘息を治療するための民間療法として広く使用されてきた。すべてのサボテン種と同じように、OFI植物は、形態学的に、根、幹(葉状枝)、果実、及び花へ分割することができる。
【0011】
この植物の医薬使用に関する研究のほとんどは、葉状枝と果実に関して行われてきて、OFIの花の医学使用についてはほとんど検討されてこなかった。
【0012】
日本特許公開公報番号:10059995(Shikei et al へ)は、OFI花のメタノール抽出に続く複雑な系列のクロマトグラフィー精製工程により特異的なフラボノイド誘導体を単離して、この方法によって得られる特異的なバイオフラボノイドのイソラムネチン3−o−ロビニビオシドが5αレダクターゼの阻害剤として役立つ可能性があることをさらに実証した。この方法は、複雑かつ高価で、工業上の観点からは採用できないだけでなく、Shikei は、αブロッカー活性を発揮する何らの抽出物についても示さないだけでなく、さらに、αブロッカー活性を阻害する方法、及び/又はこれらの抽出物のいずれかを使用することによってBPHに罹患しているヒトを治療する方法も示していない。
【0013】
別の in vitro 研究(Jonas A et al., Urol. Res. 1998; 26: 265-270)は、長時間の高温還流の下で入手した、OFI花のジクロロメタン、エタノール、又はメタノール抽出物が5αレダクターゼ活性を阻害することによって前立腺肥大を治療するのに役立つ可能性があることを示唆した。しかしながら、Jonas et al. は、上記の条件の下でαブロッカー活性を発揮する何らの抽出物についても示さず、有機及び/又はワックス不純物のない、水溶性の有効な抽出物を提供せず、そしてさらに、αブロッカー活性を阻害する方法、及び/又はこれらの抽出物のいずれかを使用することによってBPHに罹患しているヒトを治療する方法も示していない。
【0014】
従って、これらの天然産物がαブロッカー活性を有することを主張する教示はまだない。特に、OFIの花又はその成分のいずれかについてのαブロッカー活性に関する教示はまだない。さらに、実質的に水溶性で、体内で改善されたバイオアベイラビリティを有する可能性がある療法上活性なOFIの花の抽出物は、存在していない。
【0015】
従って、天然の治療用、好ましくは水溶性の組成物とα1アドレナリン受容体を阻害するための方法への、そしてさらには、先行技術の組成物及び方法の副作用を有さず、BPHに罹患しているヒトの治療に有効に使用することに適していて臨床試験で実証される、α1アドレナリン受容体と5αレダクターゼの活性をともに阻害するための天然の治療用組成物への待望久しいニーズがある。
【発明の概要】
【0016】
本発明の1つの側面により、非水溶性残渣を実質的に含まず、有効なα1アドレナリン受容体遮断活性を示す、Opuntia ficus-indica(大型宝剣)花の水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)、その成分(NABIA画分)、又はその成分のあらゆる組合せを提供する。
【0017】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、この抽出物は、その抽出物の50gの試料へ50mlの水を加え、それらを室温で少なくとも2時間混合して、入手した溶液を混合の開始より24時間観察するときに澄明な水溶液を生成する。
【0018】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、抽出物は、エタノール抽出物、メタノール抽出物、又はプロパノール抽出物、及びこれらのあらゆる水溶液である。
【0019】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載の抽出物は、非選択的なα1アドレナリン受容体遮断活性を示す。好ましくは、この抽出物は、10ng/ml未満であるα1ブロッカー半最大阻害濃度(α1 IC50)、より好ましくは、10ng/ml以下であるα1 IC50を特徴とする。
【0020】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載のNABIA抽出物は、α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)アドレナリン受容体のいずれにも選択的なα1遮断活性を示す。
【0021】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載のNABIA抽出物は、5αレダクターゼ阻害活性をさらに示す。
【0022】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、NABIA抽出物は、NABIA画分であり、好ましくは、NABIA画分D、NABIA画分F、NABIA画分G、又はこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される抽出成分である。
【0023】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載の抽出物は、液体形態(液状NABIA抽出物)である。
【0024】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載の抽出物は、固体形態(乾燥NABIA抽出物)である。
【0025】
本発明の別の側面により、本明細書に記載のNABIA抽出物と医薬的に許容される担体を含んでなる植物療法製剤を提供する。
【0026】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、本製剤は、錠剤、丸剤、分散液剤、サシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤、軟又は硬ゼラチンカプセル剤、注射溶液剤又は懸濁液剤、軟膏剤、クリーム剤、又はローション剤より選択される剤形である。
【0027】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本剤形は、3mg抽出物〜1000mg抽出物を含んでなるカプセル剤、好ましくは、1人1日あたり100mg抽出物〜1000mg抽出物を含んでなるカプセル剤である。
【0028】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、担体は、液体担体であり、好ましくは、この液体担体は、水、アルコール、生理食塩水、オイル、及び果汁からなる群より選択される。
【0029】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、担体は、固体担体であり、好ましくは、固体担体は、マルトデキストリン、デキストリン、二酸化シリコン、デンプン、ゴム、及びハイドロコロイドからなる群より選択される。
【0030】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本製剤は、少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤をさらに含む。この添加剤は、好ましくは、崩壊剤、湿潤剤、甘味剤、保存剤、及び/又は香味剤からなる群より選択される。
【0031】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の植物療法製剤は、包装材料に包装されて、その包装材料の中又は上の印字で尿路障害(UTD)の治療における使用が特定される。好ましくは、UTDは、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、及び前立腺癌からなる群より選択される。
【0032】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の植物療法製剤は、包装材料に包装されて、その包装材料の中又は上の印字でα1アドレナリン受容体活性を阻害することにおける使用が特定される。α1アドレナリン受容体阻害は、非選択的な阻害であっても、α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)アドレナリン受容体のいずれにも選択的な阻害であってもよい。
【0033】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の植物療法製剤は、包装材料に包装されて、その包装材料の中又は上の印字で5αレダクターゼ酵素活性を阻害することにおける使用が特定される。
【0034】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の植物療法製剤は、治療活性薬剤をさらに含む。
【0035】
本発明のなお別の側面により、尿路障害(UTD)を治療及び予防する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それによりUTDを治療することを含んでなる。
【0036】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、UTDは、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、又は前立腺癌からなる群より選択される。
【0037】
本発明のなお別の側面により、α1アドレナリン受容体活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それによりα1アドレナリン受容体活性を阻害することを含んでなる。
【0038】
本発明の追加の側面により、α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)受容体活性のいずれかを選択的に阻害するための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それによりα1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)受容体活性のいずれかを特異的に阻害することを含んでなる。
【0039】
本発明のなお追加の側面により、5αレダクターゼ酵素活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それにより5αレダクターゼ酵素活性を阻害することを含んでなる。
【0040】
本発明のなお追加の側面により、α1アドレナリン受容体活性と5αレダクターゼ酵素活性をともに阻害するための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は本明細書に記載の製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それによりα1アドレナリン受容体活性と5αレダクターゼ酵素活性を阻害することを含んでなる。
【0041】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、該製剤又はNABIA抽出物は、経口投与する。
【0042】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、該製剤又はNABIA抽出物は、非経口投与する。
【0043】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、対象は、ヒトの対象者である。
【0044】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、該製剤又はNABIA抽出物は、3.0mg抽出物/日〜約1000mg抽出物/日の間の1日用量で、好ましくは約100mg抽出物/日〜約500mg抽出物/日の範囲の1日用量で、より好ましくは約200mg抽出物/日〜約300mg抽出物/日の範囲の1日用量で投与する。
【0045】
本発明のなお追加の側面により、本明細書に記載の Opuntia ficus-indica 花の澄明な水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)を調製するための方法を提供し、該方法は:
a)自然乾燥の Opuntia ficus-indica(OFI)花を入手する工程;
b)このOFI花を破砕及び粉砕してOFI花の粉末を入手する工程;
c)この粉末をアルコール溶媒中に室温で抽出して、一次抽出物を含有する一次抽出溶液と使用済み(exhausted)花を入手する工程;
d)この使用済み花を一次抽出物より分離させる工程;
e)この一次抽出溶液よりあらゆるアルコール溶媒を蒸発させて二次抽出物を入手する工程;
f)この二次抽出物よりあらゆる非水溶性残渣を沈殿させる工程;及び
g)この二次抽出物よりあらゆる非水溶性残渣を分離させて、Opuntia ficus-indica 花の澄明な水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)を入手する工程を含んでなる。
【0046】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、非水溶性残渣を二次抽出物より沈殿させる工程は、室温で実施する。
【0047】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、非水溶性残渣を二次抽出物より沈殿させる工程は、冷却下で実施する。
【0048】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、非水溶性残渣を二次抽出物より沈殿させる工程は、一晩実施する。
【0049】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、アルコール溶媒は、メタノール、エタノール、又はプロパノール、及びそのあらゆる水溶液より選択される。
【0050】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、工程(e)に続き、二次抽出物は、アルコール溶媒より少なくとも1回さらに抽出し、その後、アルコール溶媒は留去される。
【0051】
記載の好ましい態様におけるなおさらなる特徴によれば、工程(f)に先立って、二次抽出物へ水を加える。
【0052】
本発明のなお追加の側面により、非水溶性残渣を二次抽出物より沈殿させる工程に先立って、二次抽出物を50℃より高く、好ましくは80℃より高く加熱する方法を提供する。
【0053】
本発明のさらなる側面により、本明細書に記載のNABIA画分を調製するための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のようなNABIA抽出物を調製し、NABIA抽出物の選択的な精製を実施して、NABIA抽出物の分離した画分を入手することを含んでなる。
【0054】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、選択的な精製は、クロマトグラフィー分離、選択沈殿、又は選択溶媒抽出からなる群より選択される。
【0055】
本発明のさらなる側面により、本明細書に記載の抽出物の、尿路障害(UTD)の治療用医薬品の製造における使用を提供する。
【0056】
下記に記載の本発明の好ましい態様におけるさらなる特徴によれば、UTDは、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、又は前立腺癌からなる群より選択される
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、NABIAマルトデキストリンカプセル剤及びNABIA抽出物の40℃及び50℃で3ヶ月の期間にわたる乾燥時損失(%)を示すグラフである。
【図2】図2は、NABIAマルトデキストリンカプセル剤及びNABIAバッチの40℃及び50℃で3ヶ月の期間にわたる総フラボノイド含量(%)を示すグラフである。
【図3】図3は、ヒト包皮線維芽細胞モデルにおいて異なる濃度のNABIA D、G、及びF画分により誘導される5αレダクターゼ阻害(%)をフィナステリド、ソーパルメット(Saw Palmetto)、及び阻害剤なし(陰性対照、100%)と比較して図示する棒グラフである。
【図4】図4は、NABIAマルトデキストリンカプセル剤及びNABIA抽出物の3ヶ月の期間にわたるα1特異的な阻害を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、治療用天然産物、特に、尿路障害を治療及び予防するのに有効な植物抽出物と、前記抽出物を入手するための方法を開示する。本発明はさらに、上記の組成物を含有する製剤、その調製、及び尿路障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【0059】
上記に詳述したように、尿路障害の治療選択肢には、2群の薬理組成物:αアドレナリンアンタゴニスト(特に、α1アドレナリンアンタゴニスト。これは、BPHの症状を緩和するが、前立腺サイズは変化させない)と5αレダクターゼ阻害剤(これは、前立腺容量を減らすが、インポテンス、リビドー減少、及び射精障害のような多数の望まれない副作用を引き起こす場合がある)が含まれる。
【0060】
植物療法剤は、症候性BPHの治療への天然代替品として示唆されてきたが、その効力に関しては矛盾する見解があり、天然のαブロッカー活性を有することが判明した天然抽出物はまだない。従って、合成のαアドレナリンアンタゴニストに対する天然代替品はまだない。
【0061】
さらに、尿路障害を効果的に治療するために、5αレダクターゼとα1アドレナリンアンタゴニストをともに阻害して、少なくとも1つの合成治療剤を使用する必要性を回避する可能性がある「完全に天然の」治療用組成物はない。
【0062】
上記にさらに詳述したように、Opuntica ficus-indica(OFI)は、ごく一般的で広汎なサボテン属であり、いくつかの既知の治療効果を有する。先のセクションより理解し得るように、αブロッカー全般として、特にα1ブロッカーとして何らかの効果を有することが見出されたOFI抽出物は、これまでにない。さらに、OFI花の抽出物が調製されたことはあるが、非水溶性残渣を実質的に含まないものが調製されたことはない。
【0063】
今回、本発明者は、実証されたα1アドレナリン受容体阻害作用を有して、ヒト対象者での in vivo 臨床試験において、BPHのような尿路障害を治療することにも成功した、OFI花の水溶性アルコール抽出物を成功裡に単離及び調製した。この抽出物は、あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まないように調製されたので、治療薬剤として特に適していて、改善されたバイオアベイラビリティを有する。
【0064】
従って、本発明の1つの側面により、非水溶性残渣を実質的に含まず、有効なα1アドレナリン受容体遮断活性を示す、Opuntia ficus-indica 花の水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)、その成分(NABIA画分)、又はその成分のあらゆる組合せを提供する。
【0065】
本明細書に使用するように、用語「水溶性」は、少なくとも約10重量%、そして好ましくは、少なくとも約20重量%のレベルでの水中溶解度を意味するが、典型的には、水性の植物抽出物は、ずっと高い水中溶解度を有する場合がある。
【0066】
さらに、用語「水溶性」は、固体と液体の両方の抽出物に言及することになっているので、一般的には水に混和する液体に言及して、分離相の形成をもたらすことなく水へ加えることができる液体を意味する用語「水混和性」も含まれる。
【0067】
本明細書に使用する用語「抽出物」は、植物又は植物部分の源より入手される物質又は組成物を意味し、その物質又は組成物は、植物の外側で見出されても(即ち、滲出液)、植物又は植物部分の内側であるが、その細胞の外側で見出されても、植物の細胞の内側に見出されてもよい。当該技術分野で理解されるように、その物質又は組成物を植物又は食物部分より入手するには、化学及び/又は物理処理が必要とされる場合がある。本発明の抽出物は、OFI花より入手する。
【0068】
この抽出物は、実施例5(in vitro 実験)及び実施例7(ヒト対象者に対する in vivo 実験)において実証されるように、有効なα1アドレナリン受容体遮断活性を示したが、そのような活性が植物抽出物に見出されたのは初めてのことであり、さらに、植物抽出物を効果的に使用してα1受容体活性を阻害して、一般的な尿路障害であるBPHに罹患しているヒトを有効に治療したのも、初めてのことであった。
【0069】
句「α1アドレナリン受容体遮断活性」又は「α1遮断」又は「α1阻害」には、α1アドレナリン受容体に有効に作用するか又はそれへ結合して、治療効果をもたらすあらゆる能力が含まれる。
【0070】
従って、句「α1アドレナリンアゴニスト」又は「α1ブロッカー」には、α1アドレナリン受容体に作用するか又はそれへ結合するのに有効で治療効果をもたらす、抽出物内部のあらゆる化学物質(chemical entities)、例えば、抽出物画分、特定の化合物、イオン、複合体、等が含まれる。
【0071】
α1阻害は、当該技術分野で知られている多数の方法によって測定することができて、そのいくつかについては、下記の方法のセクションで記載する。αブロッカー活性を特徴付ける1つのやり方は、半最大阻害濃度(IC50)数値による。これは、薬理学的研究において使用される濃度の尺度であり、その標的(この場合は、α1アドレナリン受容体)の50%阻害に必要とされる阻害剤の濃度を表す。
【0072】
あるいは、阻害のパーセントは、例えば、下記の表3及び表4に示すように、しばしば合成のα1ブロッカーと比較される活性の尺度としても使用される。
【0073】
今回、本発明の抽出物は、α1受容体を非特異的にも特異的にも阻害し得ることが見出された。
【0074】
本明細書に使用するように、用語「特異的に」、「特異的」、「選択的に」、及び「選択的」は、交換可能的に使用される。例えば、実施例5の表2は、いくつかの化合物の非特異的なα1阻害を比較する。そこに示すように、BPH治療に使用する一般的な天然産物、ソーパルメットは、約3×1010ng/mlのα1 IC50を有するが、一般的な合成αブロッカーであるテラゾシンより8オーダー大きい値である。どの実践的な目的にしても、そのような高い値は、α1ブロッカー活性の非存在を表す。対照的に、本発明の抽出物は、今日使用されている最も有効な合成αブロッカーと十分比較可能である、10ng/mlと同じくらい低いα1 IC50を有した。
【0075】
従って、本発明の好ましい態様によれば、本抽出物の非特異的なα1阻害活性は、10ng/ml未満であるα1ブロッカーの半最大阻害濃度(IC50)によって特徴付けることができる。好ましくは、該抽出物は、10ng/ml以下であるIC50によって、より好ましくは、10ng/ml未満、なおさらには10ng/ml未満であるα1 IC50によって特徴付けられる。
【0076】
以下の実施例5の表4に示すように、本発明者は、驚くべきことに、NABIA抽出物が特異的なα1受容体も成功裡に遮断することを見出した。例えば、50μg/mlの濃度で、NABIA抽出物は、WB4101対照とプラゾシン対照とそれぞれ比較して、99%のα1A及びα1B阻害を示す一方、同じ濃度で、該抽出物は、プラゾシン対照と比較して、103%のα1C阻害を示した。300μg/mlの濃度でも、同様の結果が得られた。
【0077】
故に、本発明の好ましい態様により、α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)アドレナリン受容体のいずれにも選択的なα1遮断活性を示すNABIA抽出物を提供する。
【0078】
今回さらに、本発明者は、NABIA抽出物の画分D、F、及びGが5αレダクターゼ酵素の活性を元の活性の約10%まで低下させたことを示す図3に見られるように、NABIA抽出物が5αレダクターゼ阻害効果も示すことを期せずして見出した。実施例2に従って入手したNABIA抽出物についても同様の結果が得られた。
【0079】
従って、本発明の好ましい態様によれば、本発明の抽出物は、5αレダクターゼ阻害活性をさらに示して、それ故に、α1遮断活性と5αレダクターゼ阻害をともに有して、それにより、これら両方の効果を1つの完全な天然産物において提供する最初の天然抽出物となる。
【0080】
アルコールのような、多様なやや極性の流体を使用して、OFIのような植物より、有効な材料を抽出することができる。このように、本発明の抽出物は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールのような一般アルコールとそのあらゆる水溶液からのOFI花の抽出によって入手されるアルコール抽出物である。
【0081】
例えば、Jonas(1998,同上)と日本特許公開公報番号10059995にあるように、当該技術分野では、OFI花のアルコール抽出物がいくつかすでに調製されているが、今回、本発明者は、抽出物があらゆる非水溶性残渣を実質的に含まないようにそれを入手する特別な方法を考案した。
【0082】
本明細書に使用するように、句「あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まない」は、これら非水溶性残渣の目に見える沈殿を防ぐのに十分低いレベルを意味する。
【0083】
下記の実施例セクションにおいて詳述するように、本発明者が考案した方法は、あらゆる非水溶性残渣がすでに除去された、澄明で黒い液体又は半液体抽出物をもたらして、この抽出物への水の添加は、その澄明性に不利な影響を与えない。乾燥したとき、この抽出物は、水に容易に再溶解して、同じ澄明な溶液が得られた。この水溶性抽出物の澄明性は、長期の貯蔵期間の後でも維持されて、抽出物のどの個別画分でも示されたことに注目されたい。
【0084】
従って、本発明の好ましい態様によれば、あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まない水溶性抽出物は、水中に置かれるときに、澄明な溶液に見えるものである。例えば、特定のOFIアルコール抽出物が水溶性であって、あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まないかどうかを検査するには、該抽出物の50グラムの試料へ50mlの水を加え、それらを室温で少なくとも2時間混合して、入手した溶液を混合の開始より24時間の時点で観察することができる。そのような条件の下で入手した澄明な溶液により、非水溶性残渣のその中での存在を否定することができる。
【0085】
OFI抽出物の中にある非水溶性残渣の例には、ワックス、油状化合物、及び他の有機物質を含めてよい。
【0086】
そのような抽出物を得るために、本発明者は、今回、いくつかの手段を採った。
【0087】
第一に、最初のアルコール抽出段階は、乾燥及び粉砕させたOFI花に対して、比較的低い温度で、好ましくはほぼ室温で実施して、ワックスやオイルのような、さほどアルコールに溶けない物質のアルコール中での溶解を防いで、一次抽出物を入手した。好ましくは、アルコール溶媒は、メタノール、エタノール、又はプロパノールより選択した。この方法の任意選択の特徴として、この一次抽出物を入手するために使用するアルコール抽出物は、好ましくは、水性アルコール溶媒を(実施例2のように)使用することによるか、又は100%アルコール溶媒を(実施例1のように)使用することによって、水を含有する。
【0088】
どちらのやり方でも、すべてのアルコール溶媒を一次抽出物より完全に蒸発させて、すでにやや水溶性である二次抽出物を入手する。
【0089】
さらに本発明者は、この二次抽出物をあらゆる残留非水溶性物質の沈殿を高める条件の下に、例えば、約4〜10℃への冷却下に、又は室温で少なくとも数時間保つならば、前記二次抽出物に残っているあらゆる残渣を沈殿させてから、それらを分離させて、あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まないで、α1ブロッカー活性を示す、上記に記載のような水溶性アルコール抽出物を入手することが可能であることを見出した。
【0090】
従って、本発明の別の側面により、本明細書に記載の Opuntia ficus-indica 花の澄明な水溶性アルコール抽出物を調製するための方法を提供し、ここでこの方法は:
a)自然乾燥の Opuntia ficus-indica(OFI)花を入手する工程;
b)このOFI花を破砕及び粉砕してOFI花の粉末を入手する工程;
c)この粉末をアルコール溶媒中に室温で抽出して、一次抽出物を含有する一次抽出溶液と使用済み(exhausted)花を入手する工程;
d)この使用済み花を一次抽出物より分離させる工程;
e)この一次抽出溶液よりあらゆるアルコール溶媒を蒸発させて二次抽出物を入手する工程;
f)この二次抽出物よりあらゆる非水溶性残渣を沈殿させる工程;及び
g)この二次抽出物より非水溶性残渣を分離させて、あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まない、Opuntia ficus-indica 花の澄明な水溶性アルコール抽出物を入手する工程を含む。この抽出物をNABIA抽出物と呼ぶ。
【0091】
本発明者により選好的に見出されたように、二次抽出物より非水溶性残渣を沈殿させる工程は、室温で、又は冷却下に実施する。本発明の好ましい態様によれば、この工程は、一晩実施する。
【0092】
述べられる場合、用語「室温」は、15〜30℃の温度を意味して、用語「一晩」は、8〜18時間の時間を意味する。当業者が理解するように、より長い沈殿時間が可能である。本明細書に使用する用語「冷却」は、室温より低くて、好ましくは、約4℃〜約15℃、より好ましくは、約4℃〜約10℃の範囲の温度に言及する。
【0093】
本発明者は、二次抽出物より非水溶性残渣を沈殿させる工程に先立って、非水溶性残渣のその沈殿に先立つ完全な溶解を確実にするために、二次抽出物を50℃より高く、そしてなお80℃より高く加熱してよいことをさらに見出した。
【0094】
なおさらに、本明細書に記載の沈殿を高めるために、沈殿に先立って、二次抽出物へ水を加えてもよい。
【0095】
示唆した方法における抽出物の比較的低い収率(花の乾燥重量に対して5%と20%の間)は、OFI花の中の有効成分を成功裡に単離して、それにより天然産物にはまだ見出されていない、独自のα1ブロッカー活性を示す抽出物を入手する、本発明者の能力を実証するものであることに留意すべきである。
【0096】
さらに、本発明者は、本明細書に開示する方法に従って入手したOFI抽出物は、さらに精製して、なお追加の成分へ分離し得ることを示した。例示の精製法には、クロマトグラフィー分離、選択沈殿、又は選択溶媒抽出を含めてよい。
【0097】
追加の精製を介して入手した抽出物画分は、その生物活性に従ってさらに分類することができて、それ故に、抽出物の特定の活性画分の選択が可能になることを見出した。
【0098】
従って、本発明のなお別の好ましい態様によれば、本発明の用語「抽出物」には、これらの成分も本明細書に記載のようなα1ブロッカー活性を示す限りにおいて、この抽出物の別々の成分、又はこれら成分の2以上の組み合わせも含まれる。
【0099】
以下に続く実施例セクションに示したように、OFI花のクロマトグラフィー分離画分がα1遮断活性を示す画分を3つだけ生じることを見出した。これらの画分を、NABIA画分D、NABIA画分F、及びNABIA画分Gと呼び、同じα1ブロッカー活性を示して、上記に記載のように、あらゆる非水溶性抽出物を実質的に含まない澄明な水溶性抽出物としても現れる、1つのNABIA抽出物へ最終的には組み合わせた。
【0100】
従って、本発明の好ましい態様により、特定のNABIA画分D、F、及びGとそのあらゆる組合せを提供する。
【0101】
表1からは、これらの画分が一連のポリフェノール及びフラボノイド(この中には同定されたものもある)を含有するように見えるが、抽出物の内部、又は抽出物画分の内部にあるどの化学化合物がα1ブロッカー活性の原因であるかを述べることは困難である。ある特定の理論に束縛されずに言えば、NABIAが典型的には約2%〜約90%のポリフェノール及びフラボノイドを含むことが見出された。
【0102】
さらに本発明者は、最初の抽出を(実施例2にあるように)水性アルコール溶媒で実施することによって、クロマトグラフィー分離のような追加の精製を実施することなく、第一の方法(実施例1)によって得られるNABIAと同じα1ブロッカー活性と同じ化学的特徴を有する水溶性アルコール抽出物を容易に入手することが可能であることを示したが、これは、経済的及び工業的な観点から明らかに好ましい。
【0103】
本明細書に記載の方法によって入手されるNABIA抽出物は、最初は液体形態として入手されて、これを液状NABIA抽出物と呼ぶ。
【0104】
しかしながら、慣用の乾燥法によって追加の乾燥工程を実施して、NABIA抽出物を固体形態で入手してよく、これを乾燥NABIA抽出物と呼ぶ。
【0105】
液状NABIA抽出物も乾燥NABIA抽出物もきわめて安定していて、α1ブロッカー活性に関して、並びに水分保持に関して、室温と50℃の両方で少なくとも3ヶ月の間安定であると証明されることが見出された。しかしながら、さらにより長い貯蔵寿命が求められるならば、この抽出物へ保存剤を加えることが必要であるかもしれない。
【0106】
本明細書に記載の抽出物は、植物療法製剤の一部を形成してもよく、そのために本明細書に記載の抽出物へ医薬的に許容される担体を加える。
【0107】
従って、本発明の追加の側面により、本明細書に記載のNABIA抽出物と医薬的に許容される担体を含んでなる植物療法製剤を提供する。
【0108】
本明細書に使用するように、用語「担体」は、固体又は液体の充填剤、希釈剤、又は被包化物質を意味する。担体として作用し得る物質のいくつかの例は、乳糖、ブドウ糖、及びショ糖のような糖;トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンのようなデンプン;セルロースと、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロースのようなその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油、及び食物(broma)油のような植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールのようなポリオール;寒天、アルギン酸;発熱物質非含有水;等張生理食塩水;エチルアルコール、及びリン酸緩衝溶液、並びに、製剤の調製に使用する他の無毒の適合物質である。
【0109】
好ましくは、担体は、水、アルコール、生理食塩水、オイル、及び果汁のような液体担体であっても、あるいはそれは、マルトデキストリン、デキストリン、二酸化シリコン、デンプン、ゴム、及びハイドロコロイドからなる群より選択される担体のような固体担体であってもよい。時には、担体の組合せを使用してよく、例えば、固体担体としてのマルトデキストリン又はアラビアゴムを液体担体としての植物油と一緒に使用する。
【0110】
好適な担体(複数であってもよい)を選択することによって、植物療法製剤は、求められるどの剤形でも設計してよい。例示の剤形には、錠剤、丸剤、分散液剤、サシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤、軟又は硬ゼラチンカプセル剤、注射溶液剤又は懸濁液剤、軟膏剤、クリーム剤、又はローション剤が含まれる。
【0111】
これらの多様な剤形を入手するためには、ある追加の添加剤が必要とされる場合がある。例えば、崩壊剤、湿潤剤、甘味剤、保存剤、及び/又は香味剤からなる群より選択される少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤が必要とされる場合がある。
【0112】
本発明者は、本明細書に記載の製剤がきわめて安定していることも示した。例えば、本発明の好ましい態様によるOFI抽出物を含有するマルトデキストリンカプセル剤が室温と50℃の両方で少なくとも3ヶ月の間安定であることを示した。
【0113】
本明細書に記載の抽出物及び製剤は、α1アドレナリン受容体活性を有効に阻害して、5αレダクターゼ酵素活性も阻害したので、これらの抽出物及び製剤が尿路障害(UTD)の治療及び予防にきわめて適していることは明らかである。
【0114】
従って、本発明の別の側面により、包装材料に包装されて、前記包装材料の中又は上の印字で尿路障害(UTD)の治療における使用が特定される、本明細書に記載の植物療法製剤又は抽出物を提供する。UTDは、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、及び前立腺癌からなる群より選択される。
【0115】
本発明の方法、抽出物、及び製剤は、限定されないが、尿路障害、特にBPH及び前立腺癌に関連した治療活性へ主に向けられるが、それらは、酵素5αレダクターゼ及び/又はα1アドレナリン受容体の活性が関与する他の障害の治療活性に有効であるかもしれない。本発明の治療法及び組成物は、酵素5αレダクターゼ及び/又はα1アドレナリン受容体の活性が関与する障害を予防するのに有効であることが見出されている。故に、本記載を通して、用語「治療」には、予防活性も含まれる。
【0116】
従って、包装材料に包装されて、前記包装材料の中又は上の印字でα1アドレナリン受容体活性を阻害することにおける使用が特定される、本明細書に記載の植物療法製剤又は抽出物を提供する。この阻害は、非選択的であっても、α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)アドレナリン受容体のいずれにも選択的であってもよい。
【0117】
なおさらに、包装材料に包装されて、前記包装材料の中又は上の印字で5αレダクターゼ酵素活性を阻害することにおける使用が特定される、本明細書に記載の植物療法製剤又は抽出物を提供する。
【0118】
当然ながら、本明細書に記載の植物療法製剤又は抽出物は、上記に記載のように、包装されて、いくつかの同時使用が特定されてよい。
【0119】
以下の実施例セクションに記載するように、今回、臨床試験において、本発明のNABIA抽出物を使用して、BPHに罹患しているヒト患者を成功裡に治療する療法製剤が調製されることを見出した:この患者の75%で、NABIA治療方式を使用することによって症状の明瞭な改善が達成された。
【0120】
従って、本発明の別の側面において、本明細書に記載の抽出物のいずれかの、UTDの治療用医薬品の製造における使用を提供する。
【0121】
従って、本発明のなお別の側面により、UTDを治療及び予防する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与することを含んでなる。さらに、特異的かつ非特異的なα1アドレナリン受容体活性、及び/又は5αレダクターゼ酵素活性を阻害するための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載のNABIA抽出物又は製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与することを含んでなる。
【0122】
用語「治療有効量」は、組織、系、動物、又はヒトの訴求される生物学的又は医学的応答を引き起こす抽出物の量を意味する。本発明の場合、製剤又は抽出物の治療有効量は、α1アドレナリン受容体活性の阻害、及び/又は5αレダクターゼ酵素活性の阻害を引き起こすような量である。
【0123】
治療有効量は、治療に対するUTD応答に関して、例えば、国際前立腺症状スコア(IPSS)、最大尿流率(Qmax)、平均尿流率(Qavg)、及び尿流時間/排尿時間のような一般的な指標を使用して評価して記載してよい。
【0124】
投与する剤形、1日投与量、及び治療の期間は、前立腺容積とその疾患の症状重症度、患者の全般状態及び年齢、各成分の効力、及び他の因子を考慮に容れて、担当医が決定する。
【0125】
一般に、本発明の抽出物及び製剤の治療有効量は、70〜100キログラムの間の体重があるヒト対象者では、1日用量が約3.0mg抽出物/日〜約1000mg抽出物/日の範囲で選択されると考えられている。好ましくは、1日用量は、約100mg抽出物/日〜約500mg抽出物/日、より好ましくは、約200mg抽出物/日〜約500mg抽出物/日、より好ましくは、約200mg抽出物/日〜約300mg抽出物/日の範囲である。
【0126】
天然の5αレダクターゼ阻害剤と天然のα1ブロッカーの治療有効量の本発明に準じた使用は、夜間頻尿、排尿困難(hesitancy)、弱い尿流、等が含まれるBPHの不都合な症状を有効に治療する。さらに、NABIA抽出物の治療有効量の使用は、上記に記載のように、該抽出物のα1アドレナリン阻害特性がBPHの症状を緩和して、該抽出物の5αレダクターゼ阻害特性がBPHによって引き起こされる患者の前立腺の容量を減らすという、二元的な効果を達成する。
【0127】
使用する特定の剤形に依存して、本明細書に記載の抽出物又は製剤は、どのようなやり方でも投与してよく;最も好ましくは、それは、経口又は非経口で、例えば、経皮、皮下、静脈内、又は筋肉内の投与により投与する。
【0128】
本発明の方法の実践において、組成物及び剤形は、持続放出調製物が含まれる、丸剤、錠剤、カプセル剤、又は散剤のような通常の固体形態のいずれでも経口投与してよい。
【0129】
本明細書において、そして特許請求項において使用する用語「単位剤形」は、単回又は頻回の投与量でヒトへ投与される、物理的に分離した単位を意味し、各単位は、所定量の活性材料(NABIA)、即ち、NABIA又は、タンパク質、炭水化物、及び脂肪酸と組み合わせたNABIA、及び/又はソーパルメットのような他の植物抽出物と組み合わせたNABIAを上記のいずれも1以上の担体と一緒に含有する。活性材料の量は、1以上のそのような単位の投与時に所望の治療効果をもたらすように計算されたものである。当然ながら、正確な治療レベルは、治療されるヒト対象者の病歴に依存すると理解される。正確な治療レベルは、当業者に知られた他の要因の中でも特に、年齢、サイズ、状態の重症度、及び化合物の投与の予測期間のような要因を考慮に容れて、不当な実験をせずに当業者が決定することができる。
【0130】
単位1日投与量は、約1.0mg/kg〜約100mg/kg(本明細書に使用する「mg/kg」の指定単位は、キログラムの体重あたりのNABIA、及び/又はタンパク質、炭水化物、及び脂肪酸と組み合わせたNABIA、及び/又はソーパルメットのような他の植物抽出物と組み合わせたNABIAのmgを意味する)、好ましくは、約1mg/kg〜約30mg/kg、最も好ましくは、約2〜20mg/kgに及んでよい。その用量は、前述の有益な効果を達成するためのどの簡便な投薬スケジュールでも投与してよい。例えば、その用量は、1日につき1、2、3、4、5回、又はそれ以上で服用してよい。好ましくは、1〜3回の用量を毎日服用する。最も好ましくは、その用量は、食事の時間に服用する。投与量は、丸剤、錠剤、及びカプセル剤のようなどの好適な単位剤形でも経口投与してよい。好ましいのは、ゼラチン製のカプセル剤である。
【0131】
本発明の好ましい態様によれば、好ましい剤形は、1人1日あたり3mg抽出物〜1000mg抽出物を含んでなる、好ましくは、1人1日あたり100mg抽出物〜1000mg抽出物を含んでなるカプセル剤である。
【0132】
経口的に使用し得る他の調製物には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル剤、並びにゼラチンとグリセロール又はソルビトールのような可塑剤より作製される密封軟カプセル剤が含まれる。プッシュフィットカプセル剤は、活性化合物を顆粒剤の形態で含有し得て、それは、乳糖のような充填剤、デンプンのような結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、並びに、任意選択的に安定化剤とともに混合してよい。軟カプセル剤において、活性化合物は、好ましくは、脂肪オイル又は流動パラフィンのような好適な液体において、溶解又は懸濁している。さらに、安定化剤を加えてよい。
【0133】
粉末剤形は、本発明の組成物を好適な粉末サイズへ粉砕して、食用炭水化物材料(例えば、デンプン)のような、同様に粉砕した希釈医薬担体と混合することによって調製する。甘味剤、香味剤、保存剤、分散剤、及び着色剤も存在してよい。
【0134】
カプセル剤は、粉末混合物を上記のように調製して、成型済みのゼラチン鞘に充填することによって作製する。この粉末混合物へ充填操作の前にアジュバントとしてタルク、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウムのような滑沢剤を加えてよく;流動特性を改善するためにコロイド状シリカのような滑動剤を加えてよく;カプセル剤が摂取されるときに医薬品のアベイラビリティを改善するために崩壊剤又は可溶化剤を加えてよい。
【0135】
錠剤は、粉末混合物を調製し、造粒又は圧延し、滑沢剤及び崩壊剤を加えて、錠剤へ圧縮することによって作製する。好適に粉砕した本発明の組成物をデンプン、ショ糖、カオリン、リン酸二カルシウム、等のような希釈剤又は基剤と混合することによって粉末混合物を調製する。この粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカシア粘液、又はセルロース又はポリマー材料のような溶液剤といった結合剤で湿らせて、篩いに強制通過させることによって造粒することができる。造粒に代わるやり方として、粉末混合物は、打錠機に通過させて、生じる不完全に形成されたスラグを砕いて顆粒とすることができる。顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、又は鉱油の添加によって、錠剤成形型への付着を防ぐために滑沢化してよい。次いで、この滑沢化した混合物を錠剤へ圧縮する。有効成分は、自由流動性の不活性担体と組み合わせて、造粒又は圧延の工程を通すことなく直接錠剤へ圧縮してもよい。シェラックのシーリングコート、糖又はポリマー材料のコーティング、及びワックスのポリッシュコーティングからなる保護コーティングを施すことができる。例えば、識別化のために、又は有効用量の組合せを特徴づけるために、錠剤へ染料又は色素を加えてよい。錠剤形態において、担体は、全組成物の約0.1〜99.9重量%を含む。
【0136】
当業者には、限定的であることを企図しない以下の実施例を検討すれば、本発明の追加の目的、利点、及び新規の特徴が明らかになろう。さらに、本明細書において詳述されて以下の特許請求項において特許請求されるような本発明の様々な態様および側面のそれぞれには、以下の実施例における実験的裏付けがある。
【実施例】
【0137】
これから、上記の記載とともに本発明を非限定的な形式で例証する、以下の実施例が参考になる。
【0138】
産物の調製
材料と分析法:
すべての試薬、溶媒、及び出発材料は、他に示さなければ、シグマ、フルカ(Fluka)、アルドリッチ、及びメルクのような既知のベンダーより購入した。
【0139】
Ofer と呼ばれる特定の植物変異株を有する南イスラエルにある野原より Opuntia ficus-indica(L.)Miller(OFI)の乾燥花を入手した。植物は、雑種でもトランスジェニックでもなかった。この植物を野原に数日自然乾燥させた後で回収して、専門の植物学者が真菌や他の潜在疾患について目視検査した。
【0140】
乾燥した花弁を手で切り取って、慣用のハンマーミルを使用して粉砕した。
【0141】
クロマトグラフィー分離は、直径4.5cmを有する100cmシリカゲル(70〜230メッシュ、60A(オングストローム)粒子、アルドリッチカタログ番号:28,862−4)カラムを使用して実施した。カラムの予備洗浄は、ヘキサンを使用して実施した。分離は、1.7〜2.0ml/分の流速を使用して、大気圧で行った。以下のようにフィンガープリント分析を使用して、異なる画分について特性決定した。
【0142】
総フラボノイド含量(%)は、UV−VIS分光光度計:HP8453を410nmの波長で使用して測定した。
【0143】
総フェノール含量は、フォリン−デニス(チオカルト)法に従って、UV−VIS分光光度計:HP8453を760nmの波長で使用して測定した。
【0144】
ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890/5970 GC/MSシステムを使用して、GC−MSを使用して揮発成分含量を定量した。
【0145】
UV/VIS検出器:L−4250とHP−ChemStationソフトウェアを取り付けた、Merck-Hitachi Intelligent Pump 製のHPLCシステム(モデルL6200A)を使用して、HPLCを使用して画分フィンガープリントを定量した。
【0146】
使用したHPLCカラムは、Purospher Star,LiChroCART 250−4より入手した、Merck 1.50359RP−18(e),5μmであった。
【0147】
AOAC Official Method 935.29によって水分損失を測定した。
【0148】
実施例1
OFI花の抽出物の調製−ルートA
自然乾燥した Opuntia ficus-indica(OFI)の生花(100グラム)を切り取って、ハンマーミルに粉砕して、粗粉末を得た。次いで、この粉末を、使用する溶媒の全量が3リットルになるように、1:10、1:10、1:5、1:5(w/v)比を使用して、メタノール100%によって段階的に抽出した。抽出の全体時間は、室温で9時間であった。使用済み植物を濾過した後で、すべての抽出物を1つの溶液へ合わせて、真空(20〜30ミリバール)下に40℃までで蒸留して、乾燥残渣(15〜17グラム、収率15〜17%)を得て、これをメタノール(50〜70ml)に再び溶かして、4℃に一晩置いた。次いで、Celiteのような濾過補助材料を添加したWhatmanペーパーフィルター#1を通す濾過によって、残留抽出物よりあらゆる残留ワックス及び/又は脂肪の残渣を除去した。
【0149】
クロマトグラフィー分離用に処理した抽出物を調製するために、濾液を60グラムのシリカゲルと混合して、一定の重量が得られるまで真空で乾燥させた。最後に、同じシリカゲル(乾燥抽出物−シリカゲルの比 1:10(w/w))と以下の溶出液を使用して、クロマトグラフィー分離を行った:
a) n−ヘキサン100%、全量−1000ml、
b) n−ヘキサン−クロロホルム 5:1(v/v)、全量−2000ml
c) n−ヘキサン−クロロホルム 1:1(v/v)、全量−2000ml
d) n−ヘキサン−クロロホルム 1:5(v/v)、全量−2000ml
e) クロロホルム100%、全量−2000ml
f) クロロホルム−メタノール 20:1(v/v)、全量−2000ml
g) クロロホルム−メタノール 10:1(v/v)、全量−2000ml
h) クロロホルム−メタノール 5:1(v/v)、全量−2400ml、それぞれ100mlの24画分(1〜24と番号付けて、この工程の最後の10画分を採取する)
i) クロロホルム−メタノール 1:1(v/v)、全量−2000ml(それぞれ100mlの20画分(25〜44と番号付けて、この工程の最初の10画分を採取する)。
【0150】
分離の間、すべての画分をTLCによりモニタリングした。工程a)〜g)で入手した画分を捨てた。工程h)及びi)の20画分について、真空での蒸発を行った。これらの画分について、所望の生物活性をスクリーニングすると、工程i)の最初の5画分がそれを示した。それらの化学物質含量と生物活性に従ってこれらの画分を合わせて、Nabia D(収率3.9%、クロマトグラフィー分離前の抽出物に基づいて計算した)、E(12.3%)、及びG(14.6%)と呼ぶ画分を得た。この生物活性画分の化学組成を以下の表1に提示する:
表1
【0151】
【表1】

【0152】
画分D、E、及びGを再び合わせてその自然比を達成し、それにより澄明で黒い水溶性の液体抽出物を維持して、これを「NABIA」と名付けた。
【0153】
実施例2
OFI花の抽出物の調製−ルートB
自然乾燥したOFI生花(1000グラム)を切り取って粉砕して、ほぼ2mmより小さい乾燥OFI花の粒子を入手して、室温で3〜5時間の間のエタノール(80%,6容量、6リットル)からの抽出を続けた。この使用済み植物を濾過した後で、エタノール抽出物を80℃未満で蒸発させ、溶媒量を約50倍減らして、水溶性で重い流動性の(thick-flowing)黒い液体残渣(300グラムの30〜40%乾燥重量水溶液)を得た。その中のあらゆるワックス又は有機不純物の分離を引き起こすために、水(300ml)を加えてから、抽出物を10℃〜25℃の間で一晩冷やした(抽出物は、冷やす前に、約80℃まで約4時間加熱してもよい)。沈殿したワックス及び/又は脂肪のあらゆる不純物を濾過により、及び/又はセライトに通過させることにより除去して、実施例1に従って入手した「NABIA」と同じ化学指紋を有するので、やはりNABIAと名付けた、澄明で黒い水溶性液体抽出物を得た。このNABIA抽出物は、そのまま使用しても、乾燥させて自由流動性の粉末として使用しても、カプセル剤、錠剤、及び他の投与形態の一部を形成するようにさらに処理してもよい。
【0154】
実施例3
OFIカプセル剤の調製
実施例1又は2に従って入手した澄明な黒い水溶性液体OFI抽出物(100グラム)へ水(300グラム)を加えて、得られる水溶液をマルトデキストリン(30グラム)及び/又はアラビアゴム(30グラム)と70℃で20分間混合してから、スプレー乾燥させて、自由流動性の粉末(60グラム、収率93%)とした。
【0155】
この粉末(60グラム)をハードシェルカプセルへ充填した。被包化の前にこの粉末へオリーブオイルやソーパルメットオイルのような別の植物オイル(20〜50グラム)を任意選択的に加えた。
【0156】
最終産物のハーブ抽出物比(HER)は、元の乾燥花の重量につき1:5〜1:20の抽出重量に及び、それ故に、この抽出法の効率を表す。このバッチ間の一貫性は、制御された製造手順によって、プロセス制御手順において、そして標準的な分析法及びバイオアッセイによって維持された。
【0157】
このカプセル剤は、図1及び2に見られるように、水分保持とフラボノイド含量に関して少なくとも3ヶ月の期間にわたり安定であると証明された。
【0158】
活性アッセイ
材料と実験法:
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)は、Calbiochem より入手した。
【0159】
フィナステリド−MSD(Pro−CureTM)は、メルクより入手した。
【0160】
テラゾシン、プラゾシン、WB4101、Tris−HCl、ショ糖、EDTAは、シグマより入手した。
【0161】
テストステロン、Tween−80、及びフェントラミンは、フルカより入手した。
【0162】
[1,2,6,7,−3H(N)]テストステロンと[H]プラゾシンは、デュポンより入手した。
【0163】
5αレダクターゼを含有する粗製の酵素抽出物は、病院の外科手術により得られるヒトの肥大前立腺組織より単離した。
【0164】
ダルベッコ改良イーグル培地、胎仔ウシ血清(10%)、L−グルタミン(2mM)、硫酸ゲンタマイシン、及びアンホテリシンBは、Biological Industries(イスラエル)より入手した。
【0165】
フィルターマニホルドは、ファルマシアより入手した。
【0166】
ガラス繊維フィルターは、Whatman(GF/C)より入手した。
【0167】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、メルクより入手したTLCプレート−CM(シリカゲル60 F254)を使用して実施した。
【0168】
液体シンチレーション計測は、Racbeta 1209を使用して実施した。
【0169】
ホモジェナイゼーションは、ULTRA−TURRAXT 25ホモジェナイザーを使用して行った。
【0170】
動物:雌性ウィスターラットを Technion vivarium より入手した。
【0171】
5αレダクターゼアッセイ用の線維芽細胞培養物の調製:75cmプラスチックフラスコ(コーニング、ニューヨーク)中の、グルコース4500mg/lを含有して、胎仔ウシ血清(10%)、L−グルタミン(2mM)、硫酸ゲンタマイシン(50mg/ml)、及びアンホテリシンB(2.5mg/ml)を含むダルベッコ改良イーグル培地において、線維芽細胞を増殖させた。この培養物を、コンフルエントになるまで、5% CO雰囲気において37℃でインキュベートした。線維芽細胞培養物をトリプシン処理によって継代培養して、第3〜18の継代数の間で使用した。
【0172】
αアドレナリン受容体ブロッカーアッセイ用の膜調製
α1及びα2アンタゴニスト活性は、いくつかの慣用の in vitro アッセイを使用して定量することができる。好適なアッセイには、以下のように、ラット脳幹膜を利用する、米国特許第5,340,814号に開示されるものが含まれる。
【0173】
雌性ウィスターラット(180〜200グラム)を斬首して、その脳を速やかに取り出した。大脳皮質を、トリス−HCl(5mM)、ショ糖(250mM)、及びEDTA(1mM)を含有する10容量(w/v)の氷冷緩衝液(pH7.5)において、ホモジェナイザーを使用してホモジェナイズした。このホモジェネートを1000gで10分間遠心分離し、ペレットを捨てて、上清を50,000g、4℃で15分間遠心分離した。最終ペレットをアッセイ緩衝液に再懸濁させて、後の使用のために−70℃で保存した。すべての膜調製手順は、4℃で行った。
【0174】
α1アドレナリン受容体ブロッカー結合アッセイ:
αアドレナリン受容体ブロッカー活性について評価するために、Catret M et al. 1998 (Catret M., Anselmi E., Ivorra M. D., Elloriaga M., Tur R., D'Ocon M. P.「Alpha-adrenoceptor interaction of tetrandrine and isotetrandrine in the rat: functional and binding assays(テトランドリン及びイソテトランドリンのラットにおけるαアドレナリン受容体相互作用:機能及び結合アッセイ)」J Pharm Pharmacol. 1998 Nov; 50 (11): 1267-73)に従って、EDTA(0.5mM)及び[H]プラゾシン(4nM)を含有するトリス−HCl緩衝液(50mM,pH7.4)中でインキュベートした希釈膜の試料において、いくつかの濃度の指定薬剤の非存在及び存在下で[H]プラゾシンの結合を測定した。インキュベーション容量は、200μl(150μgタンパク質/管)であった。アッセイ管を25℃で90分間インキュベートしてから、ガラス繊維フィルターを使用するフィルターマニホルドを使用する迅速真空濾過によって、結合反応を終了させた。次いで、このフィルターを、Tween−80(0.1%,20ml)を添加した氷冷トリスHCl−EDTA緩衝液(50mM)(pH7.4)で洗浄した。液体シンチレーション計測によって、フィルターへ結合した放射活性を定量した。非特異的な結合は、フェントラミン(10μM)の存在下での結合として定義した。阻害は、IC50の観点で定義した。
【0175】
5αレダクターゼスクリーニングアッセイ:肝臓ミクロソーム画分(5αレダクターゼを含有する)、テストステロン、及び試験化合物を含有する系においてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を分解させることによって、5αレダクターゼ活性についてアッセイした。Sun Zu-Yue et al. (1998) (Sun Zu-Yue, Zheng Wei-Jun, Feng Jie, Tu Zeng-Hong「A convenient and rapid method to study enzymatic kinetics of steroid 5-alpha-reductase inhibitors(ステロイド5αレダクターゼ阻害剤の酵素反応速度論を研究するための簡便で迅速な方法)」Indian Journal of Pharmacology 1998; 30: 257-262)に従って、やや改良して(ここでは、生産性を倍加するために分光光学計としてELISAリーダーを使用した)、NADPH分解(5αレダクターゼ活性に比例する)を340nmで分光光学的に測定した。このモデルでは、陽性対照としてフィナステリドを使用した。各抽出物について3つの異なる濃度でアッセイして、各検査を少なくとも6回繰り返した。
【0176】
II型5αレダクターゼアッセイ:NADPHを含有する酵素混合物中の[1,2,6,7,−3H(N)]テストステロンの還元によって、II型5αレダクターゼ活性を試験物質の有無でアッセイした。Brooks JR et al (1981) (Brooks J. R., Baptista E.M., Berman C., Ham E.A., Hichens M., Johnston D.B.R., Arth G.E.「Response of rat ventral prostate to a new and nowel 5-alpha-reductase inhibitor(ラット腹側前立腺の新規5αレダクターゼ阻害剤に対する応答)」Endocrinology, 109 830-836, 1981)に従って、反応混合物よりステロイドを抽出して、TLCによって分離させた。ジヒドロテストステロン(DHT)の放射活性を液体シンチレーション計測によって定量した。
【0177】
5αレダクターゼ:ヒト包皮線維芽細胞アッセイ:Evans et al. (1995) (B.A.J. Evans, K. Griffiths and M.S. Morton「Inhibition of 5-alpha-reductase in genital skin fibroblasts and prostate tissue by dietary lignans and isoflavonoids(生殖器皮膚線維芽細胞及び前立腺組織における5αレダクターゼの食事由来リグナン及びイソフラボノイドによる阻害)」Journal of Endocrinology (1995) 147, 295-302) に従って、培養線維芽細胞中の5αレダクターゼ活性を測定した。細胞を、[1,2,6,7,−H(N)]テストステロンを含有する無血清培地とともにpH7.0で5時間インキュベートした。インキュベーションに続き、インキュベーション培地のアリコートを酢酸エチルで2回抽出してから、先に記載のように(Brooks JR et al (1981), 同上)TLCにより分析した。このバイオアッセイでは、5αレダクターゼによって触媒される反応の産物であるジヒドロテストステロン(DHT)を測定して、阻害剤を含まない反応において得られるDHTの量を陰性対照(100%活性又は0%阻害)として使用した。様々な阻害剤を含む反応において得られるDHTの量を陰性対照の百分率として計算した。
【0178】
バイオアッセイ活性の結果
実施例4
5αレダクターゼ阻害
異なるOFIの抽出物及び画分について、ヒト包皮線維芽細胞モデルにおいて5αレダクターゼ阻害活性を試験して、5αレダクターゼアクチベータ〜強い5αレダクターゼ阻害剤に及ぶ多種多様な結果を示した。
【0179】
抽出物画分のD、F、及びGと実施例2に従って入手したNABIAでは、阻害剤として最も有望な結果を得た。図3に見られるように、NABIA抽出物の画分D、F、及びGは、5αレダクターゼ酵素の活性を元の活性の約10%まで低下させた。
【0180】
実施例5
α1アドレナリン受容体阻害
実施例1に従って調製したいくつかの抽出物及び画分についてα1アドレナリン受容体阻害を測定して、合成のαブロッカーと、BPHを治療するために通常使用される天然源、ソーパルメットと比較した。この結果を以下の表2に示す。
【0181】
表2
【0182】
【表2】

【0183】
表2は、BPHの治療に通常使用される天然産物であるソーパルメットがα1遮断活性をほとんど示さなかったのに対して、NABIA画分のD及びFが4〜5オーダーの大きさで、より有意に活性であったことを示す。実施例2の方法に従って入手したNABIA抽出物からも同様の結果を得た。
【0184】
以下の表3は、様々な画分及び抽出物のα1ブロッカー活性を示す。
【0185】
表3
【0186】
【表3】

【0187】
さらに、実施例2に従って入手したNABIA抽出物は、以下の表4と図4に見られるように、α1A(α1A)、1B(α1B)、及び1D(α1D)についてα1選択的な活性を有することが示された。
【0188】
表4
【0189】
【表4】

【0190】
さらに、この生物学的なα1阻害は、図4に見られるように、薬局方基準に従った加速安定性試験の条件下で影響を受けなかった。
【0191】
in vivo 実験
材料と実験法:
毒性試験に関する指令88/320/EECに従ってGLP認証された Harlan Biotech Israel 社において毒性試験を行った。
【0192】
アルフゾシン(BPH治療用の標準αブロッカー)は、サノフィ・アヴェンティスより入手した。
【0193】
ペルミクソン(permixon:BPH治療用の天然抽出物)は、Pierre Fabre Medicament より入手した。
【0194】
国際前立腺症状スコア(IPSS)は、http://www.cpcn.org/ipss.pdf において定義され、0〜35ポイントに及ぶ。
【0195】
Qmaxは、最大尿流率(ml/秒)として定義される。
【0196】
臨床試験−NABIAの短期効力について、良性前立腺肥大症(BPH)により引き起こされる下部尿路症状(LUTS)を有する15名の患者に対して実施した二重盲検プラセボ対照臨床試験の16週後に評価した。この試験は、イスラエルのZfat病院において、泌尿器科長、Oscar Kotliroff 博士(主任研究者)の監督下で行った。以下の表6に従ってBPHと診断された男性を含むように患者を選択した:
表6
【0197】
【表5】

【0198】
国際前立腺症状スコア(IPSS)、最大尿流率(Qmax)、平均尿流率(Qavg)、及び尿流時間/排尿時間を使用して、主観的及び客観的な臨床変数を評価した。この試験結果を、通常使用される合成医薬品:フィナステリド(BPH治療用5αレダクターゼ阻害剤の最高基準薬として)、アルフゾシン(BPH治療用αブロッカーの最高基準薬として)、及びペルミクソン(BPH治療用天然抽出物の最高基準薬として)が含まれる、「Meta-analysis of clinical trials of sereona repens(sereona repens の臨床試験のメタ分析)」(Boyle, 2004)と比較した。
【0199】
患者は、250mg/日(1つの250mgカプセル剤)の開始用量のNABIAを6週間服用して、第7週から第16週までは、500mg/日(1日につき2つの250mgカプセル剤)へ増量した。
【0200】
実施例6
毒性試験の結果
急性経口毒性:ラットの急性毒性等級法を画分:NABIA−D、NABIA−E、NABIA−G、及びその天然の組合せ(NABIA)について、300mg/kg、2000mg/kg、及び5000mg/kgの濃度で行った。
【0201】
この哺乳動物の毒性試験は、NABIA画分、又はその組合せが、高用量(5000mg/kg)でも毒性を生じないことを示した。
【0202】
肝臓及び皮膚が含まれる関連臓器について行った一般病理観察には異常がなかった。肝臓の組織病理学では、特異所見なしと評価された。
【0203】
実施例7
NABIA臨床試験の結果
NABIAで治療された患者の75%において、試験期間全体を通して、すべての臨床変数がベースラインに優る有意な持続性の改善を示した。さらに、NABIAは、十分に忍容されることがわかった:総合医師検診と臨床検査は、ヒト臨床試験の試験期間において、どんな種類の副作用も観察しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶性残渣を実質的に含まず、有効なα1アドレナリン受容体遮断活性を示す、Opuntia ficus-indica花の水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)、その成分(NABIA画分)、又はその成分のあらゆる組合せ。
【請求項2】
請求項1の抽出物であって、その50gの試料へ50mlの水を加え、それらを室温で少なくとも2時間混合して、入手した溶液を混合の開始より24時間観察するときに澄明な水溶液を生成する、前記抽出物。
【請求項3】
エタノール抽出物、メタノール抽出物、又はプロパノール抽出物、及びこれらのあらゆる水溶液である、請求項1のNABIA抽出物。
【請求項4】
非選択的なα1アドレナリン受容体遮断活性を示す、請求項1〜3のいずれかのNABIA抽出物。
【請求項5】
10ng/ml未満であるα1ブロッカー半最大阻害濃度(α1 IC50)を特徴とする、請求項4のNABIA抽出物。
【請求項6】
10ng/ml以下であるα1 IC50を特徴とする、請求項5のNABIA抽出物。
【請求項7】
α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)アドレナリン受容体のいずれかに選択的なα1遮断活性を示す、請求項1〜3のいずれかのNABIA抽出物。
【請求項8】
5αレダクターゼ阻害活性をさらに示す、請求項1〜7のいずれかのNABIA抽出物。
【請求項9】
NABIA画分である、請求項1の抽出物。
【請求項10】
前記成分が、NABIA画分D、NABIA画分F、NABIA画分G、又はこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される、請求項9のNABIA抽出物。
【請求項11】
液体形態(液状NABIA抽出物)である、請求項1〜10のいずれかのNABIA抽出物。
【請求項12】
固体形態(乾燥NABIA抽出物)である、請求項1〜10のいずれかのNABIA抽出物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物と医薬的に許容される担体を含んでなる植物療法(phytotherapeutical)製剤。
【請求項14】
錠剤、丸剤、分散液剤、サシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤、軟又は硬ゼラチンカプセル剤、注射溶液剤又は懸濁液剤、軟膏剤、クリーム剤、又はローション剤より選択される剤形である、請求項13の植物療法製剤。
【請求項15】
前記剤形が3mg抽出物〜1000mg抽出物を含んでなるカプセル剤である、請求項14の植物療法製剤。
【請求項16】
前記剤形が1人1日あたり100mg抽出物〜1000mg抽出物を含んでなるカプセル剤である、請求項15の植物療法製剤。
【請求項17】
前記担体が液体担体である、請求項13の植物療法製剤。
【請求項18】
前記液体担体が、水、アルコール、生理食塩水、オイル、及び果汁からなる群より選択される、請求項17の植物療法製剤。
【請求項19】
前記担体が固体担体である、請求項13の植物療法製剤。
【請求項20】
前記固体担体が、マルトデキストリン、デキストリン、二酸化シリコン、デンプン、ゴム、及びハイドロコロイドからなる群より選択される、請求項19の植物療法製剤。
【請求項21】
少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤をさらに含んでなる、請求項13〜20のいずれかの植物療法製剤。
【請求項22】
前記添加剤が、崩壊剤、湿潤剤、甘味剤、保存剤、及び/又は香味剤からなる群より選択される、請求項21の植物療法製剤。
【請求項23】
包装材料に包装されて、前記包装材料の中又は上の印字で尿路障害(UTD)の治療における使用が特定される、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの植物療法製剤。
【請求項24】
前記UTDが、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、及び前立腺癌からなる群より選択される、請求項23の抽出物又は製剤。
【請求項25】
包装材料に包装されて、前記包装材料の中又は上の印字でα1アドレナリン受容体活性を阻害することにおける使用が特定される、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの植物療法製剤。
【請求項26】
前記α1アドレナリン受容体阻害が非選択的な阻害である、請求項25の抽出物又は製剤。
【請求項27】
前記α1アドレナリン受容体阻害が、α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)アドレナリン受容体のいずれかの選択的な阻害である、請求項25の抽出物又は製剤。
【請求項28】
包装材料に包装されて、前記包装材料の中又は上の印字で5αレダクターゼ酵素活性を阻害することにおける使用が特定される、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの植物療法製剤。
【請求項29】
治療活性薬剤をさらに含んでなる、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの植物療法製剤。
【請求項30】
尿路障害(UTD)を治療及び予防する方法であって、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それにより前記UTDを治療することを含んでなる、前記方法。
【請求項31】
前記UTDが、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、又は前立腺癌からなる群より選択される、請求項30の方法。
【請求項32】
α1アドレナリン受容体活性を阻害するための方法であって、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それにより前記α1アドレナリン受容体活性を阻害することを含んでなる、前記方法。
【請求項33】
α1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)受容体活性のいずれかを選択的に阻害するための方法であって、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それによりα1A(α1A)、α1B(α1B)、又はα1D(α1D)受容体活性のいずれかを特異的に阻害することを含んでなる、前記方法。
【請求項34】
5αレダクターゼ酵素活性を阻害するための方法であって、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それにより前記5αレダクターゼ酵素活性を阻害することを含んでなる、前記方法。
【請求項35】
α1アドレナリン受容体活性と5αレダクターゼ酵素活性をともに阻害するための方法であって、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物又は請求項13〜22のいずれかの製剤の治療有効量をそれを必要とする対象へ投与して、それにより前記α1アドレナリン受容体活性と前記5αレダクターゼ酵素活性を阻害することを含んでなる、前記方法。
【請求項36】
前記製剤又は前記NABIA抽出物を経口投与する、請求項30〜35のいずれかの方法。
【請求項37】
前記製剤又は前記NABIA抽出物を非経口投与する、請求項30〜35のいずれかの方法。
【請求項38】
前記対象がヒト対象者である、請求項30〜37のいずれかの方法。
【請求項39】
前記製剤又は前記NABIA抽出物を3.0mg抽出物/日〜約1000mg抽出物/日の間の1日用量で投与する、請求項38の方法。
【請求項40】
前記1日用量が約100mg抽出物/日〜約500mg抽出物/日の範囲である、請求項39の方法。
【請求項41】
前記1日用量が約200mg抽出物/日〜約300mg抽出物/日の範囲である、請求項40の方法。
【請求項42】
請求項1〜8のいずれかの Opuntia ficus-indica 花の澄明な水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)を調製するための方法であって:
a)自然乾燥の Opuntia ficus-indica(OFI)花を入手する工程;
b)前記OFI花を破砕及び粉砕してOFI花の粉末を入手する工程;
c)前記粉末をアルコール溶媒中に室温で抽出して、一次抽出物を含有する一次抽出溶液と使用済み(exhausted)花を入手する工程;
d)前記使用済み花を前記一次抽出物より分離させる工程;
e)前記一次抽出溶液よりあらゆるアルコール溶媒を蒸発させて二次抽出物を入手する工程;
f)前記二次抽出物よりあらゆる非水溶性残渣を沈殿させる工程;及び
g)前記二次抽出物より前記非水溶性残渣を分離させて、あらゆる非水溶性残渣を実質的に含まない、Opuntia ficus-indica 花の澄明な水溶性アルコール抽出物(NABIA抽出物)を入手する工程を含んでなる、前記方法。
【請求項43】
前記非水溶性残渣を前記二次抽出物より前記沈殿させる工程を室温で実施する、請求項42の方法。
【請求項44】
前記非水溶性残渣を前記二次抽出物より前記沈殿させる工程を冷却下で実施する、請求項42の方法。
【請求項45】
前記沈殿させる工程を一晩実施する、請求項43〜44のいずれかの方法。
【請求項46】
前記アルコール溶媒が、メタノール、エタノール、又はプロパノール、及びそのあらゆる水溶液より選択される、請求項42の方法。
【請求項47】
工程(e)に続き、前記二次抽出物をアルコール溶媒より少なくとも1回さらに抽出し、その後、前記アルコール溶媒の蒸発させる、請求項42の方法。
【請求項48】
工程(f)に先立って、前記二次抽出物へ水を加える、請求項42の方法。
【請求項49】
前記非水溶性残渣を前記二次抽出物より沈殿させる工程に先立って、前記二次抽出物を50℃より高く加熱する、請求項42〜48のいずれかの方法。
【請求項50】
前記二次抽出物を80℃より高く加熱する、請求項49の方法。
【請求項51】
請求項9のNABIA画分を調製するための方法であって、請求項42に従ってNABIA抽出物を調製し、前記NABIA抽出物の選択的な精製を実施して、前記NABIA抽出物の分離した画分を入手することを含んでなる、前記方法。
【請求項52】
前記選択的な精製が、クロマトグラフィー分離、選択沈殿、又は選択溶媒抽出からなる群より選択される、請求項51の方法。
【請求項53】
請求項13〜22のいずれかの製剤を調製するための方法であって、請求項1〜12のいずれかのNABIA抽出物へ医薬的に許容される担体を加えることを含んでなる、前記方法。
【請求項54】
少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤を加えることをさらに含んでなる、請求項53の方法。
【請求項55】
請求項1の抽出物の、尿路障害(UTD)の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項56】
前記UTDが、下部尿路症候群(LUTS)、良性前立腺肥大症(BPH)、又は前立腺癌からなる群より選択される、請求項55の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−522740(P2010−522740A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500437(P2010−500437)
【出願日】平成20年3月30日(2008.3.30)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000444
【国際公開番号】WO2008/120206
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(509268521)ナチュラメッド・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】