説明

α1,6−フコシルトランスフェラーゼの機能を抑制するRNAを用いた抗体組成物の製造法

細胞を用いて抗体組成物を製造する方法において、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制するRNAを導入した細胞を用いることを特徴とする、抗体組成物を製造する方法、該製造方法で用いられる該RNA、該RNAに対応するDNAおよび該RNAまたはDNAを導入したまたは発現させた細胞、該細胞の作製方法および該酵素を抑制する方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を用いて抗体組成物を製造する方法において、以下の(a)または(b)から選ばれるRNAおよびその相補RNAで構成される二本鎖RNAを細胞内に導入させた細胞を用いる抗体組成物の製造方法;
(a)配列番号9〜30で表される塩基配列からなるRNA;
(b)配列番号9〜30で表される塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制する活性を有するRNA。
【請求項2】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素が、α1,6−フコース転移酵素である、請求の範囲1に記載の方法。
【請求項3】
α1,6−フコース転移酵素が、以下の(a)〜(h)からなる群から選ばれるDNAがコードする蛋白質である、請求の範囲2に記載の方法。
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA;
(b)配列番号2で表される塩基配列からなるDNA;
(c)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA;
(d)配列番号4で表される塩基配列からなるDNA;
(e)配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA;
(f)配列番号2で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA;
(g)配列番号3で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA;
(h)配列番号4で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項4】
α1,6−フコース転移酵素が、以下の(a)〜(l)からなる群から選ばれる蛋白質である、請求の範囲2に記載の方法。
(a)配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(c)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(d)配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(e)配列番号5で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(f)配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(g)配列番号7で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(h)配列番号8で表されるアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(j)配列番号6で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(k)配列番号7で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質;
(l)配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつα1,6−フコース転移酵素活性を有する蛋白質。
【請求項5】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制するRNAを導入した細胞が、N−グリコシド結合糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性を有する細胞である、請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
以下の(a)〜(d)からなる群から選ばれるレクチンのいずれか1つに耐性である、請求の範囲5に記載の方法。
(a)レンズマメレクチン;
(b)エンドウマメレクチン;
(c)ソラマメレクチン;
(d)ヒイロチャワンタケレクチン。
【請求項7】
細胞が、酵母、動物細胞、昆虫細胞および植物細胞からなる群から選ばれる細胞である、請求の範囲1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
細胞が、下記の(a)〜(i)からなる群から選ばれる細胞である、請求の範囲1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(a)チャイニーズハムスター卵巣組織由来CHO細胞;
(b)ラットミエローマ細胞株YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞;
(c)マウスミエローマ細胞株NS0細胞;
(d)マウスミエローマ細胞株SP2/0−Ag14細胞;
(e)シリアンハムスター腎臓組織由来BHK細胞;
(f)抗体を産生するハイブリドーマ細胞;
(g)ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞;
(h)胚性幹細胞;
(i)受精卵細胞。
【請求項9】
細胞が、抗体分子をコードする遺伝子を導入した形質転換体である、請求の範囲1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
抗体分子が、以下の(a)〜(d)からなる群から選ばれる分子である、請求の範囲9に記載の方法。
(a)ヒト抗体;
(b)ヒト化抗体;
(c)(a)または(b)のFc領域を含む抗体断片;
d)(a)または(b)のFc領域を有する融合蛋白質。
【請求項11】
抗体分子のクラスがIgGである、請求の範囲9又は10に記載の方法。
【請求項12】
以下の(a)または(b)から選ばれるRNAおよびその相補RNAで構成される二本鎖RNAを細胞内に導入していない親株細胞が生産する抗体組成物の抗体依存性細胞傷害活性より、高い抗体依存性細胞傷害活性を有する抗体組成物を製造する、請求の範囲1〜11のいずれか1項に記載の方法;
(a)配列番号9〜30で表される塩基配列からなるRNA;
(b)配列番号9〜30で表される塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制する活性を有するRNA。
【請求項13】
高い抗体依存性細胞傷害活性を有する抗体組成物が、N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体分子からなる抗体組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合が、親株細胞が生産する抗体組成物よりも高いことを特徴とする、請求の範囲12に記載の方法。
【請求項14】
N−グリコシド結合複合型糖鎖が、該糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合していない糖鎖である、請求の範囲13に記載の方法。
【請求項15】
高い抗体依存性細胞傷害活性を有する抗体組成物が、N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体分子からなる抗体組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合が20%以上である抗体組成物である、請求の範囲12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
抗体依存性細胞傷害活性が高い抗体組成物が、N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体分子からなる抗体組成物であって、N−グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物である、請求の範囲12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求の範囲1〜16のいずれか1項に記載の方法で用いられる、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制するRNAを導入した細胞。
【請求項18】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素がα1,6−フコース転移酵素である請求の範囲17に記載の細胞。
【請求項19】
配列番号9〜30のいずれかで表される塩基配列からなる群のRNAから選ばれるRNAを導入または発現させた細胞。
【請求項20】
以下の(a)または(b)から選ばれるRNAおよびその相補RNAで構成される二本鎖RNA;
(a)配列番号9〜30で表される塩基配列からなるRNA;
(b)配列番号9〜30で表される塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制する活性を有するRNA。
【請求項21】
請求の範囲20に記載のRNAに対応するDNAおよび該DNAの相補DNA。
【請求項22】
請求の範囲20に記載のRNAに対応するDNAおよび該DNAの相補DNAをベクターに組み込んで得られる組換え体DNA。
【請求項23】
請求の範囲20に記載の二本鎖RNAを発現させることを特徴とする、請求の範囲22に記載の組換え体DNA。
【請求項24】
請求の範囲22または23に記載の組換え体DNAを細胞に導入して得られる形質転換体。
【請求項25】
請求の範囲20に記載の二本鎖RNAを細胞内に導入または発現させることを特徴とする、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性を有する細胞を作製する方法。
【請求項26】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性が、少なくとも、以下の(a)〜(d)からなる群から選ばれるレクチンの一つに耐性である、請求の範囲25に記載の方法。
(a)レンズマメレクチン;
(b)エンドウマメレクチン;
(c)ソラマメレクチン;
(d)ヒイロチャワンタケレクチン。
【請求項27】
配列番号9〜30のいずれかで表される塩基配列からなる群のRNAから選ばれるRNAを用いて、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素の機能を抑制する方法。
【請求項28】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素がα1,6−フコース転移酵素である請求の範囲27に記載の方法。

【国際公開番号】WO2005/035778
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【発行日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514668(P2005−514668)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015316
【国際出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】