説明

α2Bまたは2B/2Cアドレナリン受容体において作動剤様活性を示す置換イミダゾール誘導体

【課題】筋痙攣、例えば排尿過多、下痢、尿量増加、禁断症候群、疼痛、例えば神経障害性疼痛、神経変性疾患、記憶および認識力欠損、精神病、例えば躁病、不安、高血圧、心臓虚血、鬱血性心不全、および鼻充血を、鎮静または心血管副作用無く処置する。
【解決手段】α2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bおよびα2Cアドレナリン受容体サブタイプの一方または両方において選択的作動剤活性を有する化合物を処置剤として使用する。該活性化合物は、下記式Iで示され、明細書中に定義される化合物群から選択する:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑内障または高眼圧および他の疾患を処置する、実質的に心血管または鎮静副作用の軽減された方法であって、α2Bのみ、またはα2Bおよびα2Cのアドレナリン受容体サブタイプに対する選択的作動剤であり、α2A受容体サブタイプには実質的に活性を示さない化合物を、哺乳動物(ヒトを包含する)に投与することによる方法に関する。本発明は、新規化合物、および該化合物を哺乳動物(ヒトを包含する)に投与するのに適した医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
アドレナリン活性を有する化合物は当分野でよく知られており、米国および他の多くの特許、並びに科学文献に記載されている。当分野では一般に、アドレナリン活性は、ヒトを包含する哺乳動物を処置するため、多くの疾病および病態の徴候および症状を治療または軽減するために有用であることが知られ、認識されている。換言すれば、アドレナリン化合物を活性成分として含有する医薬組成物は、緑内障、慢性疼痛、鼻充血、高血圧、鬱血性心不全の処置、および麻酔の誘導に有用であることが、当分野で一般に認識されている。
【0003】
当分野において、2種の主要なアドレナリン受容体がαアドレナリン受容体およびβアドレナリン受容体と称され、それら2種のそれぞれがサブタイプを有することが知られている。サブタイプは、α2A、α2Bのように、アルファベット文字で示される。Bylundら、Pharmacol Rev.46、第121−136頁(1994)参照。
【発明の概要】
【0004】
本発明により、α2Bまたはα2B/α2C(以下、α2Bまたはα2B/2Cと称する)受容体サブタイプの作動剤として、α2A受容体サブタイプに比して選択的に、および好ましくは特異的に作用するアドレナリン化合物が、アドレナリン薬物に関連する望ましい処置活性を示し、血圧変化または鎮静のような1種またはそれ以上の望ましくない副作用は示さない、ということがわかった。本発明の目的のためには、化合物が、α2A受容体サブタイプよりもα2Bおよびα2C受容体サブタイプまたはその両者において少なくとも約10倍活性であるか、あるいはα2A受容体と比較したα2Bおよびα2B/2C受容体における化合物の活性の差が0.3よりも大きく、かつα2A受容体における化合物の活性が≦0.4であるならば、その化合物がα2Bまたはα2B/2C受容体サブタイプにおいて特異的または少なくとも選択的な作動剤である、と定義する。
【0005】
本発明は、1種またはそれ以上の特異的または選択的α2Bまたはα2B/2Cアドレナリン作動剤化合物を活性成分として含有する医薬組成物によって、哺乳動物(ヒトを包含する)において、αアドレナリン化合物が有効な多くの疾患または症状(緑内障、高眼圧、慢性疼痛、下痢および鼻充血を包含するがそれらに限定されない)の処置を行う方法に関する。更に本発明の化合物は、筋痙攣、例えば排尿過多、下痢、尿量増加、禁断症候群、疼痛、例えば神経障害性疼痛、神経変性疾患、例えば視神経障害、脊髄虚血および卒中、記憶および認識力欠損、注意力欠損疾患、精神病、例えば躁病、不安、抑鬱、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血、および鼻充血を処置するためにも有用である。
【0006】
本発明は、上記処置方法に使用する医薬組成物にも関する。
本発明は、特に、アドレナリン化合物が処置に有効であるが、一般に知られた副作用の故にそのような化合物の適用が制限されている疾患および症状を処置する方法に関する。
【0007】
本発明の医薬組成物および処置方法に使用する化合物は、α2A受容体サブタイプよりもα2Bまたはα2B/2Cアドレナリン受容体サブタイプの作動剤として選択的または特異的である。本発明によると、α2A受容体サブタイプと比較したα2Bまたはα2B/2C受容体サブタイプにおける化合物の作動剤活性の差が0.3よりも大きく、かつα2A受容体サブタイプにおける化合物の活性が≦0.4であり、および/または少なくとも約10倍の活性を示すならば、その化合物を選択的なα2Bまたはα2B/2C作動剤であるとみなす。好ましくは、本発明に従って使用する化合物は、α2Bまたはα2B/2C受容体サブタイプの特異的作動剤である。ここで、特異的作動剤というのは、特異的αアドレナリン作動剤がα2A受容体サブタイプ作動剤として測定可能または生物学的有意な程度に活性を示さないという意味においてである。
【0008】
前記アドレナリン受容体のα2Bまたはα2B/2Cサブタイプに機能的に選択的な一連の剤が見出されている。この優先的な活性は、種々のアッセイによって測定でき、その例は、Cyclic AMP Production、Shimizuら、J. Neurochem. 16、第1609−1619頁(1969);R-SAT(Receptor Selection and Amplification Technology)、Messierら、Pharmacol. Toxicol. 76、第308−311頁(1995)、およびthe Cytosensor microphysiometer、Neveら、J. Biol. Chem. 267、第25748−25753頁(1992)であり、天然に各サブタイプを発現する細胞、またはサブタイプの1種を導入された細胞を使用する。使用する細胞または組換受容体は、ヒトまたは同様の薬品作用を示すことのわかっている種に由来するものである。後述の研究において、ヒトα2A(c10遺伝子)、ラットα2B(RNG遺伝子)およびヒトα2C(c4遺伝子)受容体で一過性トランスフェクトした細胞を用いてRSATアッセイを行った。ラットα2B受容体は、ヒトα2B受容体に対応する薬品作用を示すことがわかっている(例えば、Bylundら、Pharmacol. Rev. 46、第127−129頁(1994)参照)。
【0009】
緑内障の処置においては、特に、局所投与を行い得る。通常の局所投与用剤形、例えば溶液、懸濁液、ゲル、軟膏などのいずれを、緑内障処置において眼に、また、他の処置において皮膚に適用してもよい。このような局所投与用製剤の調製は、薬剤の分野における文献、例えば、Remington's Pharmaceutical Science、第17版(Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルベニア)に詳細に説明されている。
【0010】
本発明の薬剤を全身的に投与する場合には、経口投与に適した、散剤、丸薬、錠剤など、またはシロップ剤もしくはエリクシル剤の形態に調製することができる。静脈内、腹腔内、クモ膜下腔内または硬膜外投与を行うには、化合物を、注射によって投与し得る溶液または懸濁液に調製し得る。坐剤の形、または皮膚上もしくは皮下にデポする徐放性製剤(皮膚用パッチ剤形を包含する)、または筋肉内注射剤の形に調製することが有用である場合もある。
【0011】
本発明の化合物1種またはそれ以上の処置有効量を投与することによって、緑内障、またはアドレナリン化合物処置に感受性であることがわかっている他の症状を処置することができる。処置濃度は、特定の症状を軽減するか、または病状の進行を遅延させる濃度であり得る。場合によっては、本発明の薬物は、特定の症状の発現を防止するために予防的に使用し得る可能性もある。処置濃度は症状によって様々であり得、処置しようとする症状の重さ、および処置に対する患者の感受性によっても異なり得る。従って、場合に応じて処置濃度をルーチン試験によって決定し得る。例えば緑内障の処置においては、0.001〜5重量%、好ましくは約0.01〜3重量%の濃度の製剤が有効であると考えられる。全身的に投与する場合は、0.001〜50mg/kg、好ましくは0.001〜10mg/kg体重/日、より好ましくは約0.01〜1.0mg/kgの量が、多くの場合有効であり得る。
【0012】
α2Bおよびα2B/2C特異的選択的作動剤化合物は実質的にα2A副作用を示さないので、本発明に従ってそのような化合物により疾患または症状を処置することは、心血管系に問題を有するヒトを処置する場合には特に有利である。
【0013】
本発明の医薬組成物および処置方法において使用する特異的α2Bおよびα2C作動剤、または選択的α2Bおよびα2B/2C作動性アドレナリン化合物の例の一般構造を、下記式で示す。
【0014】
1つの特徴において2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/2Cアドレナリン受容体サブタイプにおける選択的作動剤活性を有する化合物は、下記式で示される:
【化1】

[式中、点線は任意の結合であるが、ただし、2つの2重結合は共通の炭素原子を共有することは無く;RはHまたは低級アルキルであり;XはSまたはC(H)R1であり、ここでR1はHまたは低級アルキルであるが、Xと下記環:
【化2】

との間の結合が2重結合である場合はR1は存在せず;YはO、N、S、(CR12y(ただしyは1〜3の整数)、−CH=CH−または−Y1CH2−(ただしY1はO、NまたはS)であり;xは1または2の整数であり、ここでR2、R3またはR4が不飽和の炭素原子に結合している場合はxは1であり、そして、R2、R3またはR4が飽和の炭素原子に結合している場合はxは2であり;R2はH、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたは低級アルコキシであるか、または、飽和炭素原子に結合している場合は、R2はオキソであってもよく;R3およびR4は各々、H、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシまたはフェニルであるか、または共同で−(C(R2xz−;−Y1(C(R2xz’−;−Y1(C(R2xy1−;−(C(R2x)−Y1−(C(R2x)−;−(C(R2x)−Y1−(C(R2x)−(C(R2x)−および−Y1−(C(R2x)−Y1−(C(R2x)−(ただしzは3〜5の整数であり、z’は2〜4の整数であり、そしてxおよびyは上記の通り定義される)であり、これら2価の部分は何れかの末端がR3またはR4の何れかに連結し得、下記:
【化3】

で示される縮合環構造を形成し、そして、形成した環は完全に不飽和であるか、部分的に不飽和であるか、または完全に飽和していてよいが、ただし、環の炭素は4より多い原子価を有さず、窒素は3より大きい原子価を有さず、そして、OおよびSは2より大きい原子価を有さない。]。
【0015】
更に別の本発明の特徴において、上記化合物は下記式:
【化4】

[式中XはC(H)R1であり得、R1はHである。]
で表される。
【0016】
式IIの上記化合物において、R2はHであり得、そして、下記基:
【化5】

はフラニル基であり得る。
【0017】
このような式IIのフラニル誘導体において、R3およびR4は一緒になって(CH)4を形成して良く、または、R3はHでありR4はt−ブチルであるか、またはR3およびR4はHであるか、またはR3がHでありR4がメチルまたはエチルであってよい。
【0018】
あるいは、式Iの化合物において、R1はメチルであり得、そして、下記基:
【化6】

はフラニル基であり得る。
【0019】
あるいは、式IIの上記化合物において、R2はHであり得、そして、下記基:
【化7】

はチエニル基であり得る。
【0020】
上記した式IIのチエニル誘導体において、R3とR4は一緒になって(CH24を表すか、または、R3はフェニルであり、R4はHであるか、または、R3とR4は一緒になって(CH23Sを表すか、または、R3およびR4はHであるか、または、R3とR4は一緒になって(CH)4を表すか、または、R3はHであり、R4はメチルであるか、またはR3はブロモでありR4はHであるか、または、R3は水素であり、R4はクロロであるか、または、R3はメチルであり、R4は水素であってよい。
【0021】
あるいは、式IIの化合物において、下記基:
【化8】

はシクロヘキシル基であり得る。
【0022】
式IIのこのようなシクロヘキシル誘導体において、R2は水素であり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)4を表すか、または、R2はオキソであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)4を表すか、または、R2は水素またはオキソであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)2Sを表すか、または、R2は水素であり、そして、R3とR4は一緒になって(CH24を表し、これによりオクタヒドロナフタレンを形成するか、または、R2はオキソであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH24を表すか、または、R2はオキソであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)2C(CH3)(CH)を表すか、または、R2は水素であり、そして、R3とR4は一緒になってS(CH22を表すか、または、R2、R3およびR4はHであるか、または、R2はオキソであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)2C(OCH3)CHであるか、または、R3とR4は一緒になって−Y1−C(R2x−C(R2x−Y1−(ただしY1がNであるもの)を表し、これによりR2が水素またはオキソであるテトラヒドロキノキサリンを形成してよい。
【0023】
あるいは、式IIの化合物において、下記基:
【化9】

は、R3とR4が一緒になって−Y1−C(R2x−C(R2x−C(R2x−(ただしY1がNであるもの)であるテトラヒドロキノリン基を表し得る。このようなテトラヒドロキノリン誘導体において、(R2xは水素またはオキソである。あるいは、R3とR4は一緒になって−C(R2x−Y1−C(R2x−C(R2x−であり、ここでY1はNであり、(R2xが水素またはオキソであるような、テトラヒドロイソキノリンを表し得る。
【0024】
あるいは、式IIの化合物において、下記基:
【化10】

はシクロペンチル基であり得る。
【0025】
このような式IIのシクロペンチル誘導体において、R2はHであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)4を表すか、または、R2はオキソであり、そして、R3とR4は一緒になって(CH)4を表すか、または、R2は水素であり、そして、R3とR4は一緒になって(CH23を表してよい。
【0026】
本発明の別の特徴において、Yは(CH23であり、そしてXはCHであり、そして、R2はオキソであるか、または、XはCH2であり、そしてR2はHであり得る。あるいは、R3とR4は一緒になって(CH)4を表し、YはCH2C(CR122(ただしR1が水素であるもの)であるか、または、Yは−CH2C(Me)−であり、R2は水素またはオキソであり得る。
【0027】
最後に、式IIの化合物において、下記基:
【化11】

はフェニル基であり得る。
【0028】
このような式Iのフェニル誘導体において、XはCH2であり、RはHまたはCH3であり、R2、R3およびR4はHであるか、または、R3とR4は一緒になってO(CR22Oを表し、これにより1,4−ベンゾジオキサン誘導体を形成するか、または、XはSであり、そしてR2、R3およびR4はHであり得る。
【0029】
本発明の別の特徴において、上記化合物は、下記式:
【化12】

[式中YはSまたはOである。]
で示される。
このような式IIIの化合物において、XはC(H)R1であり、R、R1、R2、R3およびR4はHであり、そして、YはOまたはSであり得る。
【0030】
本発明の別の特徴において、上記化合物は下記式:
【化13】

を有し、R3とR4は一緒になって(CH)4を表す。
式IVの上記化合物において、Y1はOであり、R2はオキソであり、そしてXはCHまたはCH2であるか、または、R2のうち1つは水素であり、他はHであるか、または、R2はHであり得る。
式IVの上記化合物において、Y1はSであり、XはCH2であり、そして、R2がオキソであるか、R2はHであり、また、XはCHであり、そしてR2はオキソであり得る。
【0031】
別の特徴において2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較して2Bまたは2Bまたは2Cアドレナリン受容体サブタイプにおける選択的活性を有する化合物は、下記式:
【化14】

を有し、ここでは、Wは下記:
【化15】

[式中、R5、R6、R7およびR8はHおよび低級アルキルよりなる群から選択されるが、ただし、R5とR6、または、R6とR7のうちの少なくとも1つはOC(R9)C(R9)N(R)であり、これにより、
【化16】

と縮合環を形成し、R9はH、低級アルキルまたはオキソである。]
で示される基、および下記:
【化17】

[式中R10はH、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキル置換フェニルである。]
で示される基から成る群より選択される2環の基であり、そしてZはOまたはNHである。Wがノルボルニルである化合物は1998年1月7日に出願された共通譲渡された同時係属出願09/003902に開示され特許請求されており、その内容は参考により本発明に組み込まれる。
【0032】
本発明の1つの特徴において、ZはOであり、そしてWは下記:
【化18】

の基であり、そしてR10はH、フェニルおよびo−メチルフェニルよりなる群から選択され、例えばR10はo−メチルフェニルであり得る。
【0033】
本発明の別の特徴において、Wは下記:
【化19】

[式中ZはNRであり、Rはメチルまたは水素であり、(R9xの1つはHであり、そしてR5はHであり得る。]
の基であり得る。
【0034】
あるいは、Wは下記:
【化20】

[式中、RはHであり、そしてR8はメチルであり得る。]
の基であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を以下の実施例(対応する合成スキームを含む)によりさらに説明するが、これらは本発明の種々の特徴を説明するためのものであり、請求項に記載した本発明の範囲を限定する意図は無い。
【0036】
実施例A
1−ジメチルスルファモイル−2−t−ブチルジメチルシリル−5−イミダゾールカルボキシアルデヒドの合成:
【化21】

【0037】
操作法−
イミダゾール(1)(20.0g,0.29モル)、トリエチルアミン(41.0mL,0.29モル)およびN,N−ジメチルスルファモイルクロリド(31.6mL,0.29モル)をベンゼン320mLに添加した。反応混合物を室温で48時間攪拌し、次に濾過した。濾液を集め、減圧下に濃縮した。粗生成物を真空蒸留(〜0.5mmHg,115〜118℃)することにより、無色透明油状物38.7g(76%)を得た。冷却により生成物が固化し、白色結晶(2)を得た。1−(ジメチルスルファモイル)イミダゾール(2)(18.8g,0.11モル)をテトラヒドロフラン(THF)430mLに添加した。溶液を−78℃に冷却した。ヘキサン中のn−ブチルリチウム(n−BuLi)の溶液(1.6M,70.9mL,0.11モル)を反応フラスコに滴加した。滴下終了後、反応混合物を1時間−78℃で攪拌した。THF50mL中のt−ブチルジメチルシリルクロリド(17.8g,0.12モル)をカニューレを用いて反応混合物に添加した。添加終了後、反応混合物をゆっくり室温に加温し、次に24時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、有機層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウム上に乾燥した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(溶離剤として20%酢酸エチル/ヘキサン)により明黄色の固体を得た。ペンタンから再結晶させて白色結晶(3)30g(94%)を得た。
【0038】
1−ジメチルスルファモイル−2−t−ブチルジメチルシリルイミダゾール(3)(5.0g,17.3ミリモル)をTHF100mlに添加した。溶液を−20℃に冷却した。ヘキサン中s−ブチルリチウム(s−BuLi)の溶液(1.3M,14.6mL,19ミリモル)を反応フラスコに滴加した。滴加終了後反応混合物を1時間−20℃で攪拌した。ジメチルホルムアミド(DMF)8mLを反応混合物に添加し、次に3.5時間室温で攪拌した。反応混合物を水で希釈し、有機層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、次に硫酸ナトリウム上に乾燥した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)により明黄色の油状物を得た。冷却により生成物が固化し1−ジメチルスルファモイル−2−t−ブチルジメチルシリル−5−イミダゾールカルボキシアルデヒド(4)の黄色結晶を得た。
【0039】
実施例B−1
4(5)−(7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩の調製法
【化22】

【0040】
操作法−
7−メトキシ−1−テトラロン(1)(1.5g,8.5ミリモル)および1−ジメチルスルファモイル−2−t−ブチルジメチルシリル−5−イミダゾールカルボキシアルデヒド(2)(2.7g,8.5ミリモル)を硫酸の40%溶液8.5mLに添加した。反応混合物を90℃で24時間加熱した。室温に冷却した後、過剰の濃水酸化アンモニウムで反応混合物を塩基性とした。混合物をTHFで2回抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上に乾燥した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して3−(3H−イミダゾール−4(5)イルメチレン)−7−メトキシクロマン−4−オンよりなる黄色固体(3)2.7gを得た。粗生成物をエタノール100mLに懸濁し、Pd/C触媒(10%、0.27g)を添加した。混合物をParr水素化装置中、40psi水素下に振とうした。19時間後、反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。クロロホルム中7%メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーにより、2−[3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル]−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(4)(B−1a)よりなる褐色の固体1.05g(46%)を得た。
【0041】
化合物(4)(0.5g,1.95ミリモル)をメタノール20mLに添加した。ナトリウムボロハイドライド(74mg,1.95ミリモル)を溶液に添加した。室温で2.5時間攪拌した後、反応混合物を水でクエンチングした。次に反応混合物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上に乾燥した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮し、2−[3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル]−7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オールよりなる白色固体(5)0.5gを得た。粗生成物をジクロロメタン26mLに溶解した。トリエチルシラン(2.5mL、15.6ミリモル)およびトリフルオロ酢酸(4.8mL,62.3ミリモル)を添加し、反応混合物を22時間室温で攪拌した。反応混合物を2N NaOHで塩基性とし、有機層を分離し食塩水で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウム上に乾燥した。混合物を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。クロロホルム中7%メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーにより褐色油状物(6)0.39g(83%)を得た。
【0042】
生成物をメタノールに溶解し、エーテル中過剰量の塩化水素(HCl)を添加した。溶液を減圧下に濃縮し、褐色固体0.3gを得た。クロロホルム中7%メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーに付し、次いでアセトンおよびメタノールの混合物から再結晶させることにより、白色結晶(7)として4(5)−(7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩(B−1)0.25g(46%)を得た。
1H NMR(300MHz,CD3OD)8.83(s,1H),7.38(s,1H),6.95(d,1H,J=8.5Hz),6.66(d,1H,J=8.4Hz),6.57(s,1H),3.73(s,3H),2.71−2.81(m,5H),2.43−2.52(m,1H),1.90−2.14(m,2H),1.40−1.51(m,1H)
【0043】
実施例B−1の操作法に従って、種々の縮合環化合物を反応させることにより、以下に示すイミダゾール誘導体が得られる。
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【0051】
【表9】

【0052】
【表10】

【0053】
実施例C−1
4(5)−チオフェン−3−イルメチル−1H−イミダゾールの調製方法:
【化23】

【0054】
操作法−
1−(ジメチルスルファモイル)イミダゾール(1)(2.0g,11.4ミリモル)を無水THF42mLに溶解し、−78℃に冷却する。n−BuLi(6.6mL、10.6ミリモル)を(1)の溶液に滴加する。得られた溶液を30分間−78℃で攪拌する。THF8mL中のt−ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)(1.6g、10.6ミリモル)を反応混合物に添加する。反応混合物を室温に加温し、一夜攪拌する。翌日反応混合物を−20℃に冷却し、n−BuLi7.3mL(11.6ミリモル)を添加する。45分間−20℃で攪拌した後、3−チオフェンカルボキシアルデヒド(2)(1.0mL,11.6ミリモル)を反応混合物に添加する。反応混合物を室温に加温し、一夜攪拌する。翌日反応混合物を水でクエンチングし、酢酸エチルで希釈する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(2:5酢酸エチル/ヘキサン)により2−(t−ブチルジメチルシリル)−5−(ヒドロキシチオフェン−2−イルメチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(3)3.0g(7.5ミリモル)が得られる。
【0055】
化合物(3)(1.5g,3.74ミリモル)をTHF37mLに溶解する。THF中のテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M溶液(4.1mL,4.1ミリモル)を(3)の溶液に滴加する。反応混合物を室温で一夜攪拌する。翌日反応混合物を水でクエンチングし、次に酢酸エチルで抽出する。有機層を水、ついで食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。5−(ヒドロキシチオフェン−2−イルメチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(4)0.94g(3.3ミリモル)が回収される。化合物(4)(0.5g、1.74ミリモル)をジクロロメタン23mLに溶解し、溶液にトリエチルシラン2.2mL(13.9ミリモル)およびトリフルオロ酢酸4.3mL(55.7ミリモル)を添加する。反応混合物を一夜攪拌し、次に水でクエンチングし、固体の重炭酸ナトリウムで中和する。有機層を水、次いで食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。酢酸エチルおよびヘキサンの1:1混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、5−(チオフェン−2−イルメチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(5)0.42g(1.55ミリモル)が得られる。
【0056】
化合物(5)(0.42g、1.55ミリモル)を1.5N塩酸溶液10mLに溶解し、3時間還流下に加熱し、次に一夜室温で攪拌する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、固体の重炭酸ナトリウムで中和し、次に2N NaOHで塩基性とする。有機層を水、次いで食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。クロロホルムおよびメタノールの10:1混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、4(5)−チオフェン−3−イルメチル−1H−イミダゾール(6)(C−1)0.17g(1.0ミリモル)が得られる。
1H NMR(300MHz,CD3OD)7.52(s,1H),7.25−7.27(m,1H),6.96−7.01(m,2H),6.77(s,1H),3.98(s,2H)
【0057】
実施例C−2
3−チオフェンカルボキシアルデヒドの2−カルボキシアルデヒド異性体を実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−チオフェン−2−イルメチル−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−3
3−チオフェンカルボキシアルデヒドの5−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(5−メチルチオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−4
3−チオフェンカルボキシアルデヒドの5−クロロ−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(5−クロロチオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。
【0058】
実施例C−5
2−フランカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−フラン−2−イルメチル−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−6
3−フランカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−フラン−3−イルメチル−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−7
5−メチル−2−フランカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(5−メチルフラン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。
【0059】
実施例C−8
ベンズアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−ベンジル−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−9
2−チアナフテンカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−ベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−10
2−ベンゾフランカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−ベンゾフラン−2−イルメチル−1H−イミダゾールが得られる。
【0060】
実施例C−11
5−エチル−2−フランカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(5−エチルフラン−2−イルメチル−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−12
4−ブロモ−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(4−ブロモチオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。
【0061】
実施例C−13
4−フェニル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(4−フェニルチオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。
実施例C−14
4−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドを実施例C−1の方法において代用することにより4(5)−(4−メチルチオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩が得られる。
【0062】
実施例D−1
オキサゾリジン−2−イルデン−(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)アミンの調製方法:
【化24】

【0063】
操作法−
化合物のエンド・エキソ相対立体化学構造は上記したとおりβ−ニトロスチレンを形成することにより得た。水酸化ナトリウム(メタノール中3N,pH8)の存在下ニトロメタン(51mL,943ミリモル)でベンズアルデヒド(10g,94.3ミリモル)のメタノール溶液を処理することにより、60%収率でニトロアルコールを得た。アルコールの脱水は、ジクロロメタン(35ml)中、メタンスルホニルクロリド(3.56g,31.1ミリモル)次いでトリエチルアミン(6.3g,62.2ミリモル)による処理により行い、生成物を97%収率で得た。Kugelrohr蒸留により化合物を精製した。ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格の形成は1工程にて行った。Diels−Alder反応は1,2−ジクロロエタン(10ml)中シクロペンタジエン(3.98g,60.4ミリモル)とともにニトロスチレン(4.5g,30.2ミリモル)を加温することにより行った。Diels−Alder反応は約3:1のエンド:エキソのニトロ比で進行する。比と相対立体化学構造の両方ともX線分析により明らかにした。
【0064】
ニトロ基とオレフィンの両方の還元はPd/C10重量%の存在下の水素下にて行った。異性体の分離はジクロロメタン中5%のアンモニア飽和メタノールを用いたフラッシュクロマトグラフィーによりこの段階で好都合に行われた。アミン(0.7g,3.74ミリモル)をまずクロロエチルイソシアネート(0.38mL,4.49ミリモル)で処理することにより得られたクロロエチル尿素を、次にNaHCO3水溶液の存在下に加温し、51%収率でオキサゾリジン−2−イリデン−(3−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)アミン(D−1)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3),d1.36−1.80(m,6H),2.14(d,1H,J=4.40Hz),2.37(s,1H),2.65(s,1H),3.71−3.78(m,2H),3.95−3.98(m,1H),4.19−4.25(t,2H,J=17.15Hz,J=8.36Hz),7.17−7.29(m,5H)
【0065】
実施例D−2
オキサゾリジン−2−イリデン−(3−o−トリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)アミンは、o−メチルβ−ニトロスチレンをD−1の方法において代用することにより調製される。
実施例D−3
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルオキサゾリジン−2−イリデンアミンは、ニトロエテンをD−1の方法において代用することにより調製される。
【0066】
実施例E−1
イミダゾリジン−2−イリデン−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル)アミンの調製方法:
【化25】

【0067】
操作法−
アルゴン下0℃において無水CH2Cl2(250mL)中のスラリーとした2−アミノ−4−ニトロフェノール(1)(4.00g,25.95ミリモル)、トリエチルアミン(15.20mL,109.0ミリモル)および4−ジメチルアミノピリジン(0.063g、0.52ミリモル)に、クロロアセチルクロリド(2.27mL,28.55ミリモル)をシリンジで添加した。72時間還流した後、生成物を濾過し、水で洗浄した。母液を順次、リン酸(0.5M)、飽和重炭酸ナトリウム、水及び食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥した。この溶液をシリカに吸着させ、ヘキサン/酢酸エチル(4:6)を用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、さらに生成物を得た。合わせた固体を真空下に乾燥し、82%収率で純粋な6−ニトロ−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(2)(4.12g)を得た。還流コンデンサー付きの2口丸底フラスコ中のアルゴン下の無水THF(40mL)中の化合物(2)(1.49g,7.65ミリモル)のスラリーにボラン−ジメチルスルフィド複合体(15.3mL,30.62ミリモル)を添加した。出発物質が薄層クロマトグラフィーで検出されなくなるまで(2時間)、混合物を還流下に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、メタノールを滴加することにより慎重にクエンチングした。次に得られた混合物をさらに10分間還流した。
【0068】
粗製の反応混合物を真空下に濃縮し、ヘキサン/酢酸エチル(8:2)を用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、99%収率でオレンジ色の固体として純粋な6−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(3)(1.36g)を得た。周囲温度における無水アセトニトリル(1.5ml)中の化合物(3)(0.032g,0.178ミリモル)およびホルマリン(水中37%、0.20mL,2.67ミリモル)に、ナトリウムシアノボロハイドライド(0.034g,0.534ミリモル)を添加した。この溶液を30分間攪拌した後、氷酢酸(0.032mL,0.534ミリモル)を添加した。得られた混合物をさらに16時間攪拌した。有機物をジエチルエーテルに溶解し、順次、NaOH(2N)及び食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、そして真空下に濃縮した。得られた固体をヘキサン/酢酸エチル(7:3)を用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、93%収率で純粋な4−メチル−6−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(4)(0.031g)を得た。
【0069】
アルゴン下の化合物(4)(2.16g,11.12ミリモル)および10%Pd/C(0.216g、10重量%)に、メタノール(MeOH)(30mL)次いでTHF(30mL)を添加した。得られたスラリーに、薄層クロマトグラフィーで化合物(4)が認められなくなるまで水素をバブリングした(2時間)。セライトを添加し、混合物をセライト層で濾過し、次いでMeOHで洗浄した。得られた溶液を真空下に濃縮し、100%収率で淡紫色の油状物として得られた純粋な4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルアミン(5)(1.86g)は更に生成することなく次の工程に付した。
【0070】
0℃のアルゴン下、無水アセトニトリル(50mL)中の化合物(5)(1.86g、11.34ミリモル)およびイミダゾリン−2−スルホン酸(1.84g,12.24ミリモル)に、トリエチルアミン(3.26mL,23.36ミリモル)を添加した。この溶液を徐々に室温まで加温し、16時間攪拌した。この時点で、さらにイミダゾリン−2−スルホン酸(0.86g,5.55ミリモル)を添加し、得られた混合物をさらに5時間攪拌した。この溶液を真空下に濃縮し、残存物を水に溶解した。有機物をCH2Cl2で抽出し、2回NaOHで、次いで食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、真空下に濃縮した。得られた泡状物をクロロホルム中20%メタノール(アンモニア飽和)を用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、34%収率で純粋なイミダゾリジン−2−イリデン−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル)アミン(6)(E−1)(0.905g)を得た。
【0071】
1H NMR(CDCl3):2.81(s,3H);3.26(t,J=8.9Hz,2H);3.60(s,4H);4.26(m,2H;4.60(vbrs,2H);6.34(dd,J=8.2Hz,J=2.4Hz,1H);6.39(d,J=2.4Hz,1H);6.68(d,J=8.2Hz,1H)
【0072】
実施例F&G
6−(イミダゾリジン−2−イリデンアミノ)−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(F)およびイミダゾリジン−2−イリデン−(5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−8−イル)アミン(G)の調製方法:
【化26】

【0073】
操作法−
アルゴン下0℃の無水CH2Cl2(100mL)中の2−アミノ−3−メチルフェノール(1)(14.72g,0.120モル)、トリエチルアミン(35.0mL,0.251モル)および4−ジメチルアミノピリジン(0.29g,2.39ミリモル)に、クロロアセチルクロリド(10.0mL,0.126ミリモル)をシリンジで滴加した。添加終了後、得られた溶液を24時間還流した。有機物を順次、リン酸(0.5m)、飽和重炭酸ナトリウム、水そして食塩水で洗浄し、次に、MgSO4上に乾燥した。得られた溶液を濃縮し、THFに溶解し、これにエーテルを添加した。得られた結晶を濾過し、63%収率で純粋な5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(2)(12.30g)を得た。
【0074】
−10℃の濃硫酸(65mL)に溶解した化合物(2)(14.64g、89.72ミリモル)に、内部温度が−5℃より低温に維持されるような速度で急速な機械的攪拌を行いながら、濃硫酸(25ml)中の70%濃度の硝酸(8.08g,89.72ミリモル)を添加した。添加終了直後、混合物を粉砕氷(500mL)上に注ぎ込み、得られた固体を濾過し、冷水(300mL)中のスラリーとし、その間、十分なNaOHを添加してpHを7に調節した。得られた黄色粉末をTHFに溶解し、シリカに吸着させ、60%ヘキサンと酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、2つのレジオ異性体、即ち、所望の6−置換芳香族である6−ニトロ−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(3)(55%)および8−置換副生成物8−ニトロ−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(4)(22%)の混合物を得た。これらの異性体をこの時点で分離するのは困難であり、混合物のまま次の工程に付した。
【0075】
アルゴン下のMeOH(300mL)およびTHF(300mL)の溶液に溶解した化合物(3)(1.93g、9.27ミリモル)および化合物(4)(0.48g,2.32ミリモル)の混合物に、10%Pd/C(1.20g)を添加した。得られた溶液を1気圧の水素下に付した。16時間後触媒を濾去し、得られた溶液を真空下に濃縮し、50%ヘキサンおよび酢酸エチルを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、46%収率で6−アミノ−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(5)(0.96g)を、そして、8%収率で8−アミノ−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(6)(0.17g)を得た。
【0076】
化合物(5)(1.20g,6.74ミリモル)、イミダゾリジン−2−スルホン酸(2.02g,13.48ミリモル)およびトリエチルアミン(2.35ml,16.85ミリモル)を48時間アルゴン下無水アセトニトリル(50mL)中で還流下に加熱した。この時点で更にイミダゾリン−2−スルホン酸(1.01g、6.74ミリモル)およびトリエチルアミン(1.41ml,10.12ミリモル)を添加し、得られた混合物を更に24時間攪拌した。この溶液を真空下に濃縮し、残存物をCHCl3/イソプロピルアルコール(3:1)の溶液に溶解し、順次NaOH(1N)および食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、真空下に濃縮した。得られた泡状物をクロロホルム中のアンモニア飽和20%メタノールを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、27%収率で泡状物として6−(イミダゾリジン−2−イリデンアミノ)−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(7)(0.42g)を55%回収原料とともに得た。塩酸塩をエタノールとジエチルエーテルの混合物(EtOH/Et2O)から再結晶させ、微細な白色針状物を得た。
【0077】
1H NMR(DMSO):2.10(s,3H);3.59(s,4H);4.53(s,2H);6.83(d,J=8.6Hz,1H);6.90(d,J=8.6Hz,1H);8.07(brs,2H);10.15(vbrs,1H);10.42(s,1H)
【0078】
化合物(6)(0.222g、1.35ミリモル)、イミダゾリン−2−スルホン酸(0.223g,1.49ミリモル)およびトリエチルアミン(0.415mL,2.98ミリモル)を2時間密封した試験管内の無水アセトニトリル(10mL)中95℃に加熱した。この時点で更に、イミダゾリン−2−スルホン酸(0.112g,0.75ミリモル)を添加し、反応を更に16時間継続した。この溶液を真空下に濃縮し、残存物をCHCl3/イソプロピルアルコール(3:1)の溶液に溶解し、順次NaOH(1N)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空下に濃縮した。得られた油状物をCHCl3から再結晶させ、15%収率で白色粉末として、純粋な6−(イミダゾリジン−2−イリデンアミノ)−5−メチル−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン(8)(F)(0.048g)を35%回収原料とともに得た。
【0079】
還流コンデンサー付きの3口丸底フラスコ中のアルゴン下の無水THF(50mL)中の化合物(8)(0.08g,0.321ミリモル)のスラリーにボラン−ジメチルスルフィド複合体(0.48mL,0.936ミリモル)を添加した。出発物質が薄層クロマトグラフィーで検出されなくなるまで(3時間)、混合物を還流下に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、メタノールを滴加することにより慎重にクエンチングした。粗製の反応混合物を真空下に濃縮し、アンモニア飽和20%メタノール/クロロホルムを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、37%収率で塩酸塩としてイミダゾリジン−2−イリデンー(5−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−8−イル)アミン(9)(G)(0.03g)を得た。
1H NMR(CDCl3):2.07(s,3H);3.46(t、J=4.3Hz,2H);3.55(s,4H);4.24(t,J=4.3Hz,2H);5.60〜5.95(vbrs,2H);6.44(d,J=8.0Hz,1H);6.57(d,J=8.0Hz,1H)
【0080】
実施例H
4(5)−フェニルスルファニル−1H−イミダゾールの調製方法:
【化27】

【0081】
操作法−
1−(N,N−ジメチルスルファモイル)イミダゾール(1.5g,8.6ミリモル)をTHF28mLに溶解した。溶液を−78℃に冷却し、n−BuLi(5.4ml,8.6ミリモル)をシリンジで滴加した。1時間−78℃で攪拌した後、THF10mL中のTBSCl(1.3g,8.56ミリモル)を添加した。バスを取り外し、反応混合物を室温まで戻した。反応混合物を一夜攪拌した。反応混合物を−20℃に冷却し、n−BuLi(5.4ml,8.6ミリモル)を添加した。45分後、THF8mL中のフェニルジスルフィド(1.9g,8.6ミリモル)を添加した。反応混合物を48時間室温で攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウムでクエンチングし、酢酸エチルで抽出した。有機層を回収し、水、次いで食塩水で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィー(2.5%EtOAC/ヘキサン)により黄色油状物として2−(t−ブチルジメチルシリル)−5−フェニルスルファニルイミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(1)2.8g(7.0ミリモル)を得た。
【0082】
化合物(1)(2.8g,7.0ミリモル)をTHFに溶解し、溶液を0℃に冷却した。TBAF(7.0mL,7.0ミリモル)を溶液に滴加した。反応混合物を一夜室温で攪拌した。翌日反応混合物を水でクエンチングし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ついで食塩水で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)により、5−フェニルスルファニルイミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(2)474mgおよび5−フェニルスルファニル−1H−イミダゾール(3)(H)290mgが得られた。化合物(2)478mgを2N HClに添加し、溶液を2時間還流下に加熱した。反応混合物を2N NaOHで塩基性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、次いで食塩水で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)により白色結晶固体として化合物(3)を得た。合計360mg(2.0ミリモル)の化合物(3)が回収される。
1H NMR(300MHz,CD3OD)7.91(s,1H),7.37(s,1H),7.19−7.23(m,2H),7.07−7.11(m,3H)
【0083】
実施例I
4(5)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、メタンスルホン酸塩の調製方法:
【化28】

【0084】
操作法−
アルゴン下20℃の無水THF(250mL)中の1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸(1)(4.93g,27.42ミリモル)に、シリンジでボラン−ジメチルスルフィド(BH3−Me2S)3.26mL(32.90ミリモル)を添加した。16時間攪拌した後、MeOH(4mL)を添加し、ガスの発生が停止するまで55℃で混合物を加温した。混合物を濃縮して油状物とし、Et2Oに溶解し、順次、2Mリン酸、飽和重炭酸ナトリウム、水および食塩水で洗浄し、次ぎに、MgSO4上に乾燥し、再濃縮した。得られた油状物を150℃の高真空Kugelrohrにより精製し、93%収率で純粋なアルコール(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メタノール(2)(4.09g)を得た。
【0085】
無水ベンゼン(175mL)中のトリフェニルホスフィン(10.179g,38.809ミリモル)およびイミダゾール(2.64g,38.809ミリモル)に、急速攪拌しながらベンゼン(75mL)中のヨウ素(8.60g、33.865ミリモル)、次いで、ベンゼン(50mL)中の化合物(2)を添加した。3時間後、固体を濾去し、濾液を真空下に50mLまで濃縮し、これにヘキサン(200mL)を添加した。得られた固体を濾去し、濾液を順次、水および食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、真空下に濃縮した。得られた油状物をヘキサンを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、90%収率で純粋な2−ヨードメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(3)(6.239g)を得た。
【0086】
アルゴン下−78℃の無水THF(50mL)中の化合物(3)(10.02g、36.85ミリモル)およびCuI(1.41g、7.37ミリモル)に、呈色しないような速度でゆっくりビニルマグネシウムブロミド(THF中1M、73.70mL,73.70ミリモル)を添加した。溶液を0℃にもどし、6時間攪拌した。得られた混合物を−40℃に再度冷却し、2Mリン酸(35mL)を慎重に添加することによりクエンチングした。この溶液を水100mLで希釈し、ヘキサンで抽出した。有機画分を順次、水および食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、真空下に濃縮した。得られた油状物をヘキサンを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、88%収率で2−アリル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(4)(5.618g)を得た。
【0087】
化合物(4)(5.615g,32.645ミリモル)およびm−クロロパー安息香酸(m−CPBA)(14.08g,81.613ミリモル)を無水塩化メチレン(50mL)中で16時間攪拌した。固体を濾去し、フッ化カリウムKF(5.11g,88.142ミリモル)を添加し、この混合物を更に1時間攪拌した。固体を濾去し、反応混合物を真空下に濃縮した。得られた油状物をヘキサン中5%酢酸エチルを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、88%収率で2−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)オキシラン(5)(5.41g)を得た。
【0088】
アセトン(20ml)および水(5mL)の溶液中の化合物(5)(1.6276g,8.649ミリモル)に、アジ化ナトリウム(1.97g,30.271ミリモル)を添加した。この溶液を85℃に加温し、48時間攪拌した。溶液を真空下に濃縮し、残存物をCHCl3に溶解し、順次、水次いで食塩水で洗浄し、MgSO4上に乾燥し、真空下に濃縮した。得られた油状物をヘキサン中30%酢酸エチルを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、88%収率で純粋な1−アジド−3−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)プロパン−2−オール(6)(1.762g)を得た。
【0089】
化合物(6)(1.88g,8.140ミリモル)、トリフェニルホスフィン(2.67g,10.173ミリモル)、フタルイミド(1.50g、10.173ミリモル)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)(1.77g,10.173ミリモル)の混合物を4時間無水THF(50mL)中で攪拌した。この溶液を真空下に濃縮し、ヘキサン(25ml)およびエーテル(25ml)の溶液に溶解し、16時間攪拌した。固体を濾去し、濾液を真空下に濃縮した。得られた油状物をヘキサン中20%酢酸エチルを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、少量の不純物を含有した2−[1−アジドメチル−2−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)エチル]イソインドール−1,3−ジオン(7)(2.487g)が得られたが、これは更に生成することなく使用した。
【0090】
化合物(7)(3.93g,10.917ミリモル)およびヒドラジン(0.680ml,21.833ミリモル)の混合物を16時間エタノール(60mL)中で還流下に加熱した。固体を濾去し濾液を真空下に濃縮した。残存物をCH2Cl2中5%MeOHを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、88%収率で1−アジドメチル−2−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)エチルアミン(8)(2.057g)を得た。化合物(8)(2.056g,8.940ミリモル)および10%Pd/C(0.260g)の混合物を16時間1気圧の水素下、MeOH(30mL)中で攪拌した。固体を濾去し、濾液を真空下に濃縮した。残存物をCH2Cl2中10%アンモニア飽和MeOHを用いたシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、85%収率で3−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)プロパン−1,2−ジオン(9)(1.557g)を得た。
【0091】
化合物(9)(0.590g,2.892ミリモル)およびメタンスルホン酸(0.980mL,14.460ミリモル)の混合物を3時間105℃でトリエチルオルトホルメート(10ml)中で加熱した。反応混合物を真空下に濃縮し、固体を濾過した。その後、MeOHとエーテルの混合物からこれらの固体を再結晶したところ、48%収率で純粋な4(5)−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾールメタンスルホン酸塩(I)(0.435g)が得られた。
【0092】
1H NMR(CDCl3):1.37〜1.56(m,1H);1.56〜1.70(m,1H);1.80〜2.02(m,2H);2.32〜2.55(m,2H);2.72(s,3H);2.75〜2.95(m,3H);3.48〜3.59(m,1H);3.93〜4.08(m,1H);4.31〜4.47(m,1H);7.00〜7.20(m,4H);8.46(s,1H);10.04(s,1H);10.35(brs,1H)
【0093】
実施例J−1
4(5)−シクロヘキシルメチル−1H−イミダゾールの調製方法:
【化29】

【0094】
操作法−
2−t−ブチルジメチルシリル−1−ジメチルスルファモイルイミダゾール(1)(4.1g,14.2ミリモル)を無水THF47mLに溶解し、−20℃に冷却する。n−BuLi(8.9mL,14.2ミリモル)を化合物(1)の溶液に滴加する。得られた溶液を45分間−20℃で攪拌する。次に、ヨウ化シクロヘキシルメチル(2)(3.14g,14ミリモル)を反応混合物に滴加する。次に反応混合物を室温に加温し、一夜攪拌する。翌日反応混合物を飽和塩化アンモニウムでクエンチングし、水で希釈する。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出する。有機層を合わせ、水、次に塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(4:1酢酸エチル/ヘキサン)により5−シクロヘキシルメチル−2−t−ブチルジメチルシリル−1−ジメチルスルファモイルイミダゾール(3)2.26g(5.6ミリモル)が得られる。
【0095】
化合物(3)(2.26g,5.6ミリモル)をTHF56mLに溶解し、0℃に冷却する。THF中のTBAFの1M溶液(5.6ml,5.6ミリモル)を化合物(3)の溶液に滴加する。反応混合物を室温に加温し、一夜攪拌する。翌日反応混合物を水でクエンチングし、次に酢酸エチルで抽出する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(1:1酢酸エチル/ヘキサン)により5−シクロヘキシルメチル−1−ジメチルスルファモイルイミダゾール(4)1.2g(4.42ミリモル)が得られる。
【0096】
化合物(4)1.2g(4.42ミリモル)を1.5N HCl溶液25mLに溶解し、2時間還流下に加熱する。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈する。混合物を2N NaOHでpH13とし、次にクロロホルム(4×100mL)で抽出する。有機層を合わせ、水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(9:1クロロホルム/メタノール)により4(5)−シクロヘキシルメチル−1H−イミダゾール(5)(J−1)700mg(4.27ミリモル)が得られる。
【0097】
1H NNR(CDCl3):0.92〜1.0(m,2H);1.16〜1.26(m,3H);1.57〜1.73(m,6H);2.48(d,J=6.9Hz,2H);6.77(s,1H);7.56(s,1H)
【0098】
実施例J−2
(S)−2−ヨードメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを実施例J−1の方法において代用することにより、(S)−4(5)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。(S)−2−ヨードメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンは(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸から調製した。(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸は1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸の分割により調製した(J.Med.Chem.1983,26,328−334)。
【0099】
実施例J−3
(R)−2−ヨードメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを実施例J−1の方法において代用することにより、(R)−4(5)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが得られる。(R)−2−ヨードメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンは(R)−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸から調製した。(R)−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸は1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトエ酸の分割により調製した(J.Med.Chem.1983,26,328−334)。
【0100】
実施例K−1
4(5)−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールの調製方法:
【化30】

【0101】
操作法−
4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン(1)(2.1g,15ミリモル)を無水THF75mLに溶解し、‐78℃に冷却する。n−BuLi(6.0mL,15ミリモル)を化合物(1)の溶液に滴加する。得られた溶液を60分間−78℃で攪拌する。THF25mL中の1−ジメチルスルファモイル−2−t−ブチルジメチルシリル−5−イミダゾールカルボキシアルデヒド(2)(4.8g,15ミリモル)を反応混合物に添加する。反応混合物を室温に加温し、2時間攪拌した後に、水でクエンチングし、酢酸エチルで希釈する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(1:3酢酸エチル/ヘキサン)により2‐(t−ブチルジメチルシリル)‐5−[ヒドロキシ‐(4,5,6,7‐テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−イル)メチル]イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(3)5.2g(11ミリモル)が得られる。
【0102】
化合物(3)5.2g(11.3ミリモル)をTHF57mLに溶解する。THF中のテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M溶液(11.3mL,11.3ミリモル)を化合物(3)の溶液に滴加する。反応混合物を1時間15分攪拌した後、水でクエンチングし、次に酢酸エチルで抽出する。有機層を水、次いで食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。ヘキサン/酢酸エチルから再結晶させることにより、5−[ヒドロキシ‐(4,5,6,7‐テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−イル)メチル]イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(4)(2.1g,6.2ミリモル)が得られる。更に2gの粗生成物も回収される。
【0103】
化合物(4)(2.0g,5.9ミリモル)をジクロロメタン78mLに溶解し、溶液にトリエチルシラン7.5mL(46.9ミリモル)およびトリフルオロ酢酸14.4ml(0.19ミリモル)を添加する。反応混合物を一夜室温で攪拌し、次に水でクエンチングし、2N NaOHで中和する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。酢酸エチルとヘキサンの1:1混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより5−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(5)0.75g(2.3ミリモル)が得られる。
【0104】
化合物(5)(0.42g,1.55ミリモル)を1.5N HCl溶液15mLに溶解し、2時間還流下に加熱し、次に一夜室温で攪拌する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、2N NaOHで中和する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。粗生成物をメタノールに溶解し、エーテル中過剰のHClを添加する。溶媒を減圧下に除去することにより、4(5)−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール(6)(K−1)0.6g(2.3ミリモル)が得られる。
1H NMR(CD3OD):8.80(s、1H);7.34(s,1H);6.57(s,1H);4.18(s,2H);2.65〜2.69(m,2H);2.51〜2.55(m,2H);1.74〜1.83(m,4H)
【0105】
実施例K−2
2−(t−ブチル)フランを実施例K−1の方法において代用することにより、4(5)−(5−t−ブチルフラン−2−イルメチル)‐1H‐イミダゾールが得られる。
実施例K−3
5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−b]チオピランを実施例K−1の方法において代用することにより、4(5)−(5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−b]チオピラン−2−イルメチル)‐1H‐イミダゾールが得られる。
【0106】
実施例L
4(5)−(1−フラン−2−イルエチル)−1H−イミダゾールの調製方法:
【化31】

【0107】
操作法−
2−(t−ブチルジメチルシリル)−1−(ジメチルスルファモイル)イミダゾール(1)(3.3g,11.4ミリモル)を無水THF38mL中に溶解し、−78℃に冷却する。n−BuLi(7.2ml,11.4ミリモル)を化合物(1)の溶液に滴加する。得られた溶液を30分間‐78℃で攪拌する。2−フルフラール(2)(0.94mL,11.4ミリモル)を反応混合物に添加する。反応混合物を室温に加温し、一夜攪拌する。翌日反応混合物を飽和塩化アンモニウムでクエンチングし、酢酸エチルで希釈する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(4:1酢酸エチル/ヘキサン)により2−(t−ブチルジメチルシリル)−5−(フラン−2−イルヒドロキシ‐メチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(3)4.4g(11.4ミリモル)が得られる。
【0108】
化合物(3)4.4g(11.4ミリモル)をTHF110mLに溶解し、0℃に冷却する。THF中のテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M溶液(11.4mL,11.4ミリモル)を化合物(3)の溶液に滴加する。反応混合物を室温で一夜攪拌する。翌日反応混合物を水でクエンチングし、次に、酢酸エチルで抽出する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。粗製の5−(フラン−2−イルヒドロキシメチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(4)3.9gが回収される。
【0109】
化合物(4)(1.0g,3.7ミリモル)をジクロロメタン37mLに溶解し、この溶液に二酸化マンガン1.6g(18.5ミリモル)を添加する。反応混合物を一夜室温で攪拌し、次にセライトで濾過する。溶出液を集め、溶媒を減圧下に除去する。酢酸エチルとヘキサンの1:1混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、5−(フラン−2−イルカルボニル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(5)0.69g(2.6ミリモル)が得られる。化合物(5)(0.69g,2.6ミリモル)をTHF26mL中に溶解する。溶液を‐78℃に冷却する。メチル塩化マグネシウムの3M溶液1.7mL(5.1ミリモル)を添加する。1.5時間‐78℃で攪拌した後、反応混合物を室温に加温し、更に1時間攪拌する。反応混合物を水でクエンチングし、次に酢酸エチルで抽出する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。エーテル/ヘキサンから結晶化させることにより、5−(1−フラン−2−イル−1−ヒドロキシエチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(6)0.39g(1.4ミリモル)が得られる。化合物(6)が更に0.19g回収される。
【0110】
化合物(6)(0.58g,2.0ミリモル)をジクロロメタン27mLに溶解し、この溶液に、トリエチルシラン2.6mL(16.3ミリモル)およびトリフルオロ酢酸5.5mL(71.4ミリモル)を添加する。反応混合物を一夜室温で攪拌し、次に水でクエンチングし、固体の重炭酸ナトリウムで中和する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。酢酸エチルとヘキサンの2:1混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、5−(1−フラン−2−イルエチル)イミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(7)0.53g(2.0ミリモル)が得られる。
【0111】
化合物(7)(0.34g、1.3ミリモル)を1.5N HCl10mlに溶解し、30分間還流下に加熱し、次に一夜室温で攪拌する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次に2N NaOHで塩基性とする。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(10:1クロロホルム/メタノール)により4(5)−(1−フラン−2−イルエチル)−1H−イミダゾール(8)(L)0.1g(0.62ミリモル)が得られる。
1H NMR(300MHz,CDCl3)7.56(m,1H),7.33−7.34(m,1H),6.81(m,1H),6.29−6.31(m,1H),6.06−6.07(m,1H),4.22(q,J=7.2Hz,1H),1.63(d,J=7.2Hz,3H)
【0112】
実施例M
4(5)−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−メチル−1H−イミダゾールの調製方法:
【化32】

【0113】
操作法−
4−メチル−1−(ジメチルスルファモイル)イミダゾール(1)(2.0g,10.6ミリモル)を無水THF42mL中に溶解し、−78℃に冷却する。n−BuLi(6.6ml,10.6ミリモル)を化合物(1)の溶液に滴加する。得られた溶液を30分間‐78℃で攪拌する。THF10mL中のt−ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)(1.6g,10.6ミリモル)を反応混合物に添加する。反応混合物を室温に加温し、一夜攪拌する。翌日反応混合物を‐20℃に冷却し、n−BuLi7.3mL(11.6ミリモル)を添加する。30分間−20℃で攪拌した後、THF10mL中の1,4−ベンゾジオキサン−6−カルボキシアルデヒド(2)(1.92g,11.7ミリモル)を反応混合物に添加する。反応混合物を室温に加温し、3時間攪拌する。反応混合物を水でクエンチングし、酢酸エチルで希釈する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。フラッシュクロマトグラフィー(1:2酢酸エチル/へキサン)により、2−(t−ブチルジメチルシリル)−5−[(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)ヒドロキシメチル]−4−メチルイミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(3)3.9g(8.4ミリモル)が得られる。
【0114】
化合物(3)(1.0g,2.14ミリモル)をTHF21mLに溶解する。THF中のテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)の1M溶液(2.35mL,2.35ミリモル)を化合物(3)の溶液に滴加する。反応混合物を室温で30分間攪拌する。反応混合物を水でクエンチングし、次に酢酸エチルで抽出する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。溶離剤として酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、5−[(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)ヒドロキシメチル]−4−メチルイミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(4)0.75g(2.12ミリモル)が得られる。
【0115】
化合物(4)(0.75g,2.12ミリモル)をジクロロメタン28mLに溶解し、溶液にトリエチルシラン2.7mL(17.0ミリモル)およびトリフルオロ酢酸5.2mL(67.8ミリモル)を添加する。反応混合物を一夜室温で攪拌し、次に水でクエンチングし、固体の重炭酸ナトリウムで中和する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。酢酸エチルとヘキサンの3:1混合物を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、5−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−メチルイミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミド(5)0.63g(1.87ミリモル)が得られる。
【0116】
化合物(5)(0.63g,1.87ミリモル)を1.5N HCl溶液10mLに溶解し、還流下に加熱する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、固体の重炭酸ナトリウムで中和する。有機層を水、次に食塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。エーテル/ヘキサンから結晶化させることにより、4(5)−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−4−メチル−1H−イミダゾール(6)(M)0.33g(1.43ミリモル)が得られる。
1H NMR(300MHz,アセトン−d6)7.37(s,1H),6.66−6.67(m,3H),4.18(s,4H),3.73(s,1H),2.13(s,3H)
【0117】
実施例N
2−(3H−イミダゾル−4(5)−イルメチル)−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(N−1)、4(5)−(2,3,4,4a,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール(N−2)および4(5)−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール(N−3)の調製方法:
【化33】

【0118】
操作法−
1−デカロン(10.0g,66ミリモル)および4(5)−イミダゾールカルボキシアルデヒド(6.3g,66ミリモル)をエタノール100mLに添加した。溶液に水20mL中のNaOH(5.2g、130ミリモル)を添加した。反応混合物を5日間還流下に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、HCl水溶液で塩基性とした。溶液をTHF/酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去し、粗生成物を得た。粗生成物を1日間40%H2SO4中還流下に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、飽和K2CO3で塩基性とした。溶液をTHF/酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィー(15:1CH3Cl/MeOH)により精製し、化合物N−1(4.9g,32%収率)を得た。
1H NMR:7.55(s,1H),6.77(s,1H),3.08−3.14(m,2H),1.52−2.46(m,13H)
【0119】
化合物N−1の塩酸塩の遊離の塩基(3.0g,11ミリモル)をNaOHを用いて形成し、次にジエチレングリコール(100mL)に添加した。溶液にヒドラジン水和物(3.2mL,100ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で一夜攪拌した。NaOH(3.1g,77ミリモル)を添加し、溶液を5日間還流下に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈した。溶液をTHF/酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィー(8:1CH3Cl/MeOH)により精製し、化合物N−2(0.64g、27%収率)を得た。
1H NMR:7.58(s,1H),6.76(s,1H),5.24(d,J=4.3Hz,1H),0.91−2.58(m,16H)
【0120】
化合物N−2(1.0g,4.6ミリモル)を濃塩酸10mLに添加した。溶液を30分間室温で攪拌し、次にK2CO3で中和した。溶液をTHF/酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上に乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。フラッシュクロマトグラフィー(15:1CH3Cl/MeOH)により精製し、化合物N−3を得た。
1H NMR:7.54(s,1H),6.74(s,1H),2.45−2.52(m,3H),1.46−1.97(m,14H)
【0121】
実施例O
4(5)−オクタヒドロペンタレン−2−イルメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩の調製方法:
【化34】

【0122】
操作法−
A. White and Whitesell, Synthesis pp.602−3(1975)の合成法に従って、エーテル(10mL)を0℃に冷却した炎熱乾燥フラスコに入れ、次にアルゴン雰囲気下に保持した。次にn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液35mL、2.2等量)を添加し、次にジイソプロピルアミン(14mL,2.5等量)をゆっくり添加し、混合物を0℃で30分間攪拌した。このようにして形成されたリチウムジイソプロピルアミドの溶液に、シクロオクテンオキシド(5.0g,1.0等量)を添加した。混合物を1日間室温で攪拌し、次に2日間アルゴン雰囲気下、還流下に加熱した。反応混合物にNH4Clを添加することによりクエンチングした。溶液をTHE/EtOAcで抽出した。有機抽出液を合わせ、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、真空下に濃縮し、得られた黄茶色の油状物は1−ヒドロキシオクタヒドロペンタレンであった。化合物は更に精製することなく次の工程に使用した。
【0123】
B. このようにして得られたアルコール(5.0g,1等量)をジクロロメタン(200mL)に溶解し、この溶液に、ピリジニウムクロロクロメート(13g,1.5等量)を添加し、混合物を1日間室温で攪拌した。次に溶液を、溶離剤としてジエチルエーテルを用いながらSiO2の短いカラムを通して濾過した。得られた溶液を真空下に濃縮し、得られた淡緑黄色の油状物を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0124】
C. 上記工程のオクタヒドロ‐ペンタレン−1−オン(5.0g,1.0等量)を4(5)−イミダゾールカルボキシアルデヒド(3.8g,1.0等量)および40%H2SO4(20ml)に添加し、混合物を3日間90℃に維持した。次に水酸化アンモニウムを添加することにより反応混合物をクエンチングし、テトラヒドロフラン/酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を合わせ、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥した。得られた水層をHCl/NH4Clで中和した。水層を上記の通り再抽出し、合わせた有機画分を真空下に濃縮し、オレンジ色の固体を得た。
【0125】
D. オレンジ色の固体をエタノールに溶解し、これにPd/C(0.5g)を添加した。反応フラスコを1日間40psiの水素下に置いた。溶離剤として更にエタノールを使用しながら、反応溶液をセライトで濾過した。溶液を真空下に濃縮し黄茶色の油状物を得た。17:1クロロホルム/メタノールを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、多少不純物を含有する状態でケトン生成物を得た。
【0126】
E. 次に、上記段階の生成物(8.2g、1.0等量)をジエチレングリコール(80mL)およびヒドラジン水和物(13.0g、1.0等量)に添加することにより、ケトン官能基を除去した。この混合物を一夜攪拌し、次に水酸化カリウム(11.0g、5.0等量)を添加し、溶液を1日還流下に加熱した。反応溶液を室温に冷却し、水で洗浄した。溶液をTHF/EtOAcで抽出し、合わせた画分を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、真空下に濃縮し、黄色の油状物を得た。この油状物を塩酸飽和無水エタノールに溶解し、加熱することにより、1塩酸塩を形成した。
【0127】
実施例P
7−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル)−6,7−ジヒドロ−5H−イソキノリン−8−オン(P−1)および7−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(P−2)の調製方法:
【化35】

【0128】
操作法−
A. 3,4−ルチジン(21.4g,1等量)を20℃の水200mLに溶解し、過マンガン酸カリウムを5日間毎日2回6.32gづつ添加した(総量63.2g,2等量)。5日後、溶液を冷凍庫に保存し、次に解凍し、セライトで濾過した。得られた無色の溶液を、白色固体が得られるまでロータリーエバポレーターで90℃で濃縮した。この固体を5N HClから再結晶させ、白色結晶9.56gを得た。NMRによれば2種類のレジオ異性体の混合物であることがわかり、うち、所望の異性体は多量生成物であった。
【0129】
B. これらの結晶を6時間、アルゴン下塩化水素ガス飽和無水エタノール中、還流下に加熱した。次にロータリーエバポレーターによりエタノールを溶液から除去し、残存物を水100mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウムでpHを7〜8に調節した。水層をジエチルエーテル(3X)で抽出し、合わせた有機画分を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、次に濾過し、濃縮して無色の油状物(3.56g,10.8%収率)を得た。
【0130】
C. ジイソプロピルアミン(2.84g,1.3等量)をシリンジを用いて‐78℃のアルゴン下、無水THF100mL中のn−BuLi(11.21mL,1.3等量)に添加し、容器内でリチウムジイソプロピルアミドを生成した。この溶液に、シリンジを用いてテトラヒドロフラン20mL中の上記Bの生成物(3.56g,1等量)を添加し、混合物を20分間‐78℃で攪拌した。この時点でテトラヒドロフラン20mL中のメチルアクリレート(4.85mL,2.5等量)をカニューレから滴加した。更に2時間溶液を攪拌した後、10%酢酸カリウム40mLを添加することによりクエンチングした。溶液を20℃まで戻し、次にロータリーエバポレーターで濃縮した。水性の残存物をクロロホルムで3回抽出した。合わせた画分を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、濾過し、濃縮して得られた黒色固体を高真空下に保存した。ヘキサン/酢酸エチル(7/3→6/4)を用いたシリカゲル上のクロマトグラフィーにより得られた所望の生成物2.41g(58.2%)は更に精製することなく次の工程に用いた。
【0131】
D. 工程Cの物質(0.48g,1等量)を6M HCl 1mLに溶解し、16時間105℃に加熱した後、溶液を80℃でロータリーエバポレーターにより濃縮固化した。残存物を水2mLに溶解し、固体の重炭酸ナトリウムで中和した。中和した溶液をクロロホルム(3X)で抽出し、合わせた画分を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、濃縮して無色の油状物(0.456g,93.4%)を得た。
【0132】
E. 上記工程Dで得られたイソキノロン(1.91g,1等量)を30時間40%硫酸15mL中110℃で4(5)−イミダゾールカルボキシアルデヒド(1.25g,1等量)と共に加熱した。反応混合物をアルゴン下0℃で数日間保存した。次に溶液を水20mLで希釈し、NH4OHでpH8.9まで塩基性化した。固体を濾取し、高真空下に乾燥した。生成物はエキソ2重結合における両方の位置異性体の混合物を含有する黄色固体(2.81g,96.1%)であった。
【0133】
F. 上記のEの生成物をメタノール150mLに溶解し、この溶液にPd/C(0.412g,0.15重量等量)を添加した。メタノール溶液を、脱気と水素逆充填を反復することにより水素で飽和させた。TLCで不飽和の原料が残存しなくなるまで、溶液を20時間1気圧の水素下に攪拌した。溶液をセライトで濾過し、濃縮して油状物とした。ジクロロメタンおよびメタノール(9/1)を用いたシリカ上のクロマトグラフィーにより白色泡状物として純粋な生成物(1.853g、65.04%)を回収した。これをメタノールに溶解し、これに、フマル酸(0.4817g,1.5等量)を添加し、その間、加温により固体を溶解させた。溶液をゆっくり冷却し、得られたオフホワイトの結晶(0.826g,74%)を化合物P−1とした。上記実施例Oの工程Eに記載した方法と同様にしてヒドラジン還元によりP−2を得た。
【0134】
実施例Q
(Z)−6−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチレン)−7,8−ジヒドロ−6H−キノリン−5−オン(Q−1)、(E)−6−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチレン)−7,8−ジヒドロ−6H−キノリン−5−オン(Q−2)、6−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−6H−キノリン−5−オン(Q−3)、6−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン2塩酸塩(Q−4)および6−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチル)−オクタヒドロキノリン−5−オン(Q−5)の調製方法:
【0135】
【化36】

【0136】
操作法−
A. 第1工程の反応性アジド試薬は−10℃のアルゴン下、無水アセトニトリル350mL中のアジ化ナトリウム(58.84g,2.5等量)の攪拌スラリーに滴下漏斗を用いてアセトニトリル50mL中の1塩化ヨウ素(67.6g,1.15等量)を滴加することにより容器内で形成した。30分で添加を終了し、混合物を更に30分間攪拌し、シクロヘキセノン(34.81g,1.0等量)をシリンジで添加し、次に更に20時間20℃で攪拌した。次に混合物を水1Lに注ぎ込み、ジエチルエーテル200mLづつで3回抽出した。合わせた画分を5%チオ硫酸ナトリウム溶液、次いで食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上に乾燥し、濾過し、20℃で真空下に濃縮した。残存物を0℃のDMSO1Lに溶解し、NaN3の2回目の添加を行い、周囲温度に加温しながら混合物を攪拌した。次にこの混合物を氷水2.5Lで希釈し、ジクロロメタンで10回(10×250mL)抽出した。合わせた有機画分をロータリーエバポレーターで濃縮して約1Lとし、この濃縮物を3回250mLの水で、次に食塩水で抽出し、次に、硫酸マグネシウム上に乾燥し、濃縮して暗色の油状物(39.5g)とし、‐40℃で保存した。油状物を9/1〜8/2ヘキサン:酢酸エチルを用いたシリカ上のクロマトグラフィーにより精製した。2種の異性体が回収され、ケトン官能基に対してα位にアジド基を有する最初のものは13.22g、26.6%収率で得られた。β‐異性体は15.825g、32.0%収率で得られた。
【0137】
B. トリフェニルホスフィンをジクロロメタン20mLに溶解し、20℃のアルゴン雰囲気下に置いた。上記した通り得られたβ−異性体を、カニューレを用いて攪拌溶液に添加し、2時間20℃に維持した。反応の進行に従い、窒素が溶液から遊離し、2時間後には原料が残存しないことがTLCにより確認された。溶液を濃縮し、溶離剤としてジクロロメタン〜95/5ジクロロメタン:メタノールを用いてシリカゲルカラムを通した。アミドホスホネート中間体を2.139g,65.1%収率で得た。
【0138】
C. アミドホスホネートを無水o−キシレン100mLに溶解し、次に10%Pd/Cを攪拌しながら添加した。次に新しく蒸留したアクロレインをシリンジで混合物に添加し、4時間還流下に加熱し、その後、残りのアクロレインを添加し、フィンガーコンデンサー下、アルゴン下に44時間、還流下に加熱した。この時点でTLCによればいくらかの中間体が残存していたため、Pd/C0.5gを添加し、混合物を再度、更に8時間還流下に加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過し、o−キシレン溶液の残量が約100mLとなるまで、ロータリーエバポレーターで濃縮して過剰のアクロレインを除去した。この溶液に氷を添加して冷却し、1N HClで3回抽出した。合わせた水性の画分をEt2Oで3回抽出した。次に水層を0℃に冷却し、濃NaOHを用いてpHを約10に調節した。次に水層をクロロホルム100mLづつで5回抽出した。合わせたクロロホルム画分を水、次に食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上に乾燥し、濾過し、最後に濃縮して、7,8−ジヒドロ−6H−キノリン−5−オンを油状物として3.51g、84.4%収率で得た。
【0139】
D. 4(5)−イミダゾールカルボキシアルデヒドを実施例Pの工程Eに記載の通りキノリノンと縮合させ、化合物Q−1とQ−2の両方を得た。
E. 次にエキソ2重結合を上記実施例Pの工程Fに記載の通りPd/Cで還元し、得られた2種類の生成物をクロマトグラフィーで分離し、化合物Q−3およびAを得た。
F. 上記実施例Oの工程Eに記載のヒドラジン還元法と同様にしてケト基を除去し、化合物Q4を得た。
G. 完全に還元されたキノリン環生成物であるQ−5は、リチウム/アンモニアを用いた化合物Aの標準的還元により得た(Li10等量、NH3中、‐78℃10分、NH4OHでクエンチング、ゆっくり加温しながらNH3を蒸発)。
【0140】
実施例R−1
(E)−6−(3H−イミダゾール−4(5)−イルメチレン)−7,8−ジヒドロ−6H−キノキサリン−5−オンの調製方法:
【化37】

【0141】
操作法−
A. 5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン(23.75g,1等量)、ベンズアルデヒド(19.81mL,1.1等量)および無水酢酸(33.4ml,2.0等量)の混合物を15時間アルゴン下150℃で攪拌し、その後、TLCによれば大部分が所望の生成物であったが、一部原料が残存していた。170℃でVigreuxカラムを用いて真空蒸留を行うことにより原料を除去した。次に容器内の残存物を170〜220℃でKugelrohr蒸留に付した。最初の画分には僅かに原料が混在していた(4.71g)。第2の画分は純粋であった(18.93g)。最初の画分を高真空下に付した所、結晶化した。合わせた画分は20.11g,51%であった。
【0142】
B. 上記Aの生成物をメタノール100mLに溶解し、僅かに加温した後−35〜−40℃に冷却し、溶液にオゾンをバブリングした。数分後、原料が溶液から晶出し始め、溶液を加温し、更にメタノール200mLを添加し、次に反応を再開した。約30分後、溶液は淡青色に変化した。次に窒素を30分間溶液にバブリングすることにより導入し、次に硫化メチル(3.5mL)を溶液に注入し、その後、溶液を更に30分間‐35℃で攪拌し、次に攪拌しながら周囲温度に戻した。20℃で約48時間の後、混合物を水蒸気蒸留して溶媒を除去し、黄茶色の油状物である8.4gの残存物を得た。この残存物をジエチルエーテルに溶解し、1N HCl25mLづつで3回抽出した。あわせた水性の画分をジエチルエーテルで3回洗浄した。水溶液を濃NaOHでpH8まで徐々に塩基性化した。次に遊離のアミンをクロロホルム(3X)で水層から抽出した。合わせたクロロホルム抽出液を食塩水で2回洗浄しMgSO4上に乾燥し、そして濃縮して黄色の油状物(3.01g)を得た。1時間高真空下に維持した後、2.97gが得られた。これをジエチルエーテルから再結晶させ、明黄色の固体2.35gを得た。収率67.5%。
【0143】
C. 7,8−ジヒドロキノキサリン−5−オンおよび4(5)−イミダゾールカルボキシアルデヒド(Aldrich Chemicals)をアルゴン下20℃の無水テトラヒドロフラン75mL中に懸濁させ、次にピペリジン、次いで酢酸を添加した。混合物を20℃で16時間攪拌した。20時間後、キノキサロンが残存しないことがTLCで確認された。固体を濾取し、少量のテトラヒドロフラン、次いでクロロホルムで洗浄した。固体を高真空下に乾燥し、化合物R−1を6.85g得た。収率90.3%。
【0144】
実施例R−2およびR−3
化合物R−1の場合と同様の方法で、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(5.42g,1等量、Aldrich)をベンズアルデヒド(5.182g,1.2等量)および無水酢酸(6.309g,2.0g)と共に攪拌し、これを真空蒸留し、更に精製することなく次の工程で使用した。収量(非純粋):8.28g。
上記工程で得られた粗生成物(7.96g)を上記工程Bに記載の通りオゾン分解に付した。後処理し、クロマトグラフィーに付した後、淡色の油状物5.18gを得た。原料が純粋であると仮定した場合、収率:97.8%。
【0145】
得られた7,8−ジヒドロ−6H−イソキノリン−5−オン(1.692g,1等量)を上記工程Cに記載の通り4(5)−イミダゾールカルボキシアルデヒドと縮合させ、92.8%収率で上記スキームの化合物R−1と類縁の不飽和化合物2.23gを得た。この生成物を実施例Pの工程Fに記載の通りPd/Cで処理し、エキソの2重結合を還元して、52%収率で6−(3H−イミダゾル−4(5)−イルメチル)−7,8−ジヒドロ−6H−イソキノリン−5−オン(R−2)を得た。
実施例Pの工程Fに記載の通り、上記ケトンをヒドラジンを用いて還元し、フマレート塩に変換した。還元後の収率:62%。再結晶後のフマレート塩の収率:6−(3H−イミダゾル−4(5)−イルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(R−3)30.4%。
【0146】
実施例S
Messierら(1995)“High throughput assays of cloned adrenergic,muscarinic,neurokinin and neurotrophin receptors in living mammalian cells”,Pharmacol.Toxicol.76:308−11に報告され、α2受容体を用いるのに適当なRSAT(Receptor Selection and Amplification Technology)アッセイから成る、α作動剤選択性測定方法を行う。このアッセイは、混合コンフルエント細胞中の受容体含有細胞の選択的増殖を結果として導く、受容体が仲介する接触阻止減少を測定するものである。細胞数の増加は、β−ガラクトシダーゼのような適当なトランスフェクトされたマーカー遺伝子(その活性は96ウェルフォーマットにおいて容易に測定できる)によって評価する。Gタンパク質Gqを活性化する受容体がこの応答を引き起こす。α2受容体(通常、Giに結合する)が、Gi受容体認識ドメイン(Gq/i52と称される)を有するハイブリッドGqタンパク質と共に発現した場合に、RSAT応答を活性化する。Conklinら(1993)“Substitution of three amino acids switches receptor specificity of Gqa to that of Gja”、Nature 363:274−6参照。
【0147】
HIH−3T3細胞を15cm皿に2×106細胞の密度でプレーティングし、10%仔ウシ血清を補充したダルベッコ改良イーグル培地中に保つ。1日後、p−SV−β−ガラクトシダーゼ(5〜10mg)、受容体(1〜2mg)およびGタンパク質(1〜2mg)をコードする哺乳動物発現プラスミドでリン酸カルシウム沈殿により、細胞を同時トランスフェクトする。トランスフェクション混合物に、サケ精子DNA40mgを加えてもよい。翌日に新しい培地を加え、1〜2日後に細胞を採り、50アッセイ用に分けて冷凍する。細胞を解凍し、96ウェル皿内の種々の濃度の薬物100ml量に、100ml量で加える(同一サンプル数3)。37℃で72〜96時間インキュベートする。リン酸緩衝塩類液で洗った後、β−ガラクトシダーゼ酵素活性を測定するために、色素生成物質(3.5mM o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドおよび0.5% nonidet P−40をリン酸緩衝塩類液中に含有する)200mlを加え、30℃で一晩インキュベートし、420nmにおける光学密度を測定する。吸光度は、酵素活性(細胞数および受容体仲介細胞増殖を反映する)の尺度である。各α2受容体における各薬物のEC50および最大活性を測定する。各受容体サブタイプの標準完全作動剤の最大活性に対する薬物最大活性の比として、効力または固有活性を計算する。ブリモニジン(brimonidine)(UK14304−18とも称される)を、α2Aおよびα2C受容体の標準作動剤として用いる。オキシメタゾリン(oxymetazoline)を、α2B受容体の標準作動剤として用いる。
【0148】
上記実施例B〜Rの化合物、およびα2Bまたはα2B/α2Cサブタイプにおいて選択的作動剤活性を示さないある種のアドレナリン化合物について、RSATアッセイにより測定したα2アドレナリン受容体サブタイプにおける固有活性を、下記第1表に示す。α2Aサブタイプにおいて、実施例の化合物は不活性であるか、または低い活性(≦0.4)しか示さない。それら化合物は、α2Aサブタイプにおいてよりも、α2Bおよびα2Cサブタイプにおいて、より活性である。すなわち、実施例B〜Rの化合物は、眼用α2アドレナリン受容体化合物(例えばクロニジンおよびブリモニジン)とは異なって、α2Aサブタイプ以外のα2アドレナリン受容体サブタイプを選択的に活性化し得る。
【0149】
第1表:ブリモニジン/オキシメタゾリンに対する固有活性
【表11】

【0150】
【表12】

【0151】
【表13】

【0152】
【表14】

【0153】
【表15】

【0154】
【表16】

【0155】
【表17】

【0156】
【表18】

【0157】
【表19】

【0158】
【表20】

【0159】
【表21】

【0160】
【表22】

【0161】
【表23】

【0162】
【表24】

【0163】
【表25】

【0164】
【表26】

【0165】
【表27】

【0166】
【表28】

【0167】
実施例T
IOP低下および鎮静副作用
高IOPを維持した体重3〜4kgの完全に意識のある雌カニクイザルにおいて、IOP測定を行った。高IOPは、右眼において、小柱網のアルゴンレーザー光凝固によって起こした。使用可能な動物は、術後〜2箇月のものであった。試験の間、サルを特別設計した椅子(サンフランシスコのPrimate Products)に座らせ、必要に応じてオレンジシュースおよび果物を摂らせた。IOP測定には、30RモデルDigilab圧平眼圧計(テキサスのAlcon)を使用した。
【0168】
IOP測定前に、眼圧測定による眼不快感を小さくするために、各サルに麻酔剤(プロパラカイン)25μlを局所適用した。薬物投与前に2ベースライン測定を行い、その後、投与後6時間経過するまで定期的に測定を行った。試験化合物は点眼剤1滴(50μl)として一方の眼に投与した。他方の眼には同体積の塩類液を投与した。
多くのα2Bまたはα2B/2C選択的実施例化合物をサルにおいて試験した。驚くべきことに、第2表に示すように、様々な構造を有するそれら化合物はいずれも、処置眼においてIOPを低下した。
【0169】
同時に、鎮静も調べ、次の評点で評価した:0=敏捷で、通常通りの発声、動作などを行う;1=穏やかで、動作が鈍る;2=わずかに鎮静され、幾分発声し、刺激に応答する;3=鎮静され、発声がなく、刺激に対し幾分応答する;4=睡眠する。
本発明化合物は、鎮静を起こさなかった。このことは、鎮静を起こすクロニジンおよびブリモニジンの作用とは対照的である。
【0170】
第2表:アルゴンレーザー光凝固によって高眼圧にした一方の眼にα2アドレナリン作動剤を投与後の、意識のあるカニクイザルのIOPおよび鎮静に対する剤の作用。測定は、6時間後まで定期的に行った。鎮静は、IOP試験の間に次の評点により主観的に評価した:0=敏捷で、通常通りの発声、動作などを行う;1=穏やかで、動作が鈍る;2=わずかに鎮静され、幾分発声し、刺激に応答する;3=鎮静され、発声がなく、刺激に対し幾分応答する;4=睡眠する。各群の動物数=(6〜9)。
【0171】
【表29】

【0172】
【表30】

【0173】
【表31】

【0174】
実施例U
心血管副作用の測定
BP100S自動血圧計(日本のNippon Colin)を使用して、異なるサル群において心血管測定を行った。ある種の本発明の化合物をクロニジンおよびブリモニジンの10〜30倍の用量で静脈内(IV)投与しても、心拍数または血圧の低下は起こらなかった。α2Aサブタイプにおける固有活性が0.43である化合物4(5)−3−メチルチオフェン−2−イルメチル)−1H−イミダゾールが、心拍数に対して弱い作用を示したことは、興味深い。クロニジンおよびブリモニジンは、心拍数に対し、より大きい作用を示した。下記第3表参照。
【0175】
第3表:意識のあるカニクイザルにおけるα2アドレナリン受容体作動剤の静脈内投与後の、心血管変数に対する作用。測定は、6時間後まで定期的に行った。各群の動物数=(6〜10)。
【0176】
【表32】

【0177】
【表33】

【0178】
実施例V
上記実施例TおよびUの試験により、α2作動剤の処置作用が、鎮静および心血管副作用とは切り離されることがわかる。この効果は、α2Aサブタイプと比較してα2Bおよびα2B/α2Cサブタイプにおいて優先的に活性を示す化合物によって達成される。
【0179】
3種のα2受容体すべてを活性化する従来のα2アドレナリン作動剤は、鎮静、低血圧および徐脈を起こすので、そのような剤が処置に有効であることが知られている疾患および疾病の処置における使用が妨げられるか、または著しく制限される。そのような疾患および疾病は、筋痙攣、例えば排尿過多、下痢、尿量増加、禁断症候群、疼痛、例えば神経障害性疼痛、神経変性疾患、例えば視神経障害、脊髄虚血および卒中、記憶および認識力欠損、注意力欠損疾患、精神病、例えば躁病、不安、抑鬱、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血および鼻充血を包含する。
【0180】
例えば、Hiebleら、“Therapeutic applications of agents interacting with alpha−adrenoceptors,in Alpha−adrenoceptors:molecular biology,biochemistry and pharmacology”、Prog.Basic Clin.Pharmacol.(Basel,Karger)8、第180−220頁(1991)参照。例えば、クロニジンが、術後、癌関連および神経性の疼痛の緩和に臨床的に有効であることが示されている。しかし、MazeおよびTranquilli Maze MBおよびTranquilli,W.“Alpha−2 adrenoceptor agonists:defining the role in clinical anesthesia”、Anesthesiology、74、581−605(1991)に記載されているように、この、および他のα2作動剤が「完全に臨床的に有用」であるためには、鎮静、降圧および徐脈を起こさない化合物を開発することが必要である。
【0181】
上記疾患および疾病は、α2Bまたはα2B/2C受容体サブタイプの活性化によって処置できる。従って、鎮静および心血管作用を示さないことが前記のようにわかった前記α2化合物は、そのような症状の処置に有用であり、有利である。
【0182】
本発明化合物のもう一つの新規用途例は、緑内障性神経障害における神経変性の改善である。最近の研究により、クロニジンおよび他のα2作動剤が、複数の神経変性ラットモデルにおいて網膜細胞の神経を保護することが示されている。このようなモデルの例は、アルビノラットにおける光誘導光受容器変性で、Wenら、“Alpha2−adrenergic agonists induce basic fibroblast growth factor expression in photoreceptors in vivo and ameliorate light damage.”J.Neurosci.16、5986−5992に記載されており、また、網膜神経節細胞の二次的損失を招く較正ラット視神経障害で、Yolesら、“Injury−induced secondary degeneration of rat optic nerve can be attenuated by alpha2−adrenoceptor agonists AGN 191103 and brimonidine.”Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.、37、540、S114に記載されている。
【0183】
しかし、それら研究で用いられた用量(腹腔内または筋肉内注射により、0.1〜>1mg/kg)は、本発明化合物とは異なり、鎮静および心血管作用をももたらす。ベーシック繊維芽細胞増殖因子(bFGF)発現誘導は、網膜におけるα2受容体活性化の感受性インディケータであるとみなされ(Wenらの前掲書)、ラット眼へのα2作動剤局所投与後のbFGF誘導測定によると、α2作動剤仲介神経保護に相当するbFGFレベルの2〜3倍増を誘導するのに約1%の用量を要することがわかる(Wenら、前掲書、およびLaiら、“Neuroprotective effect of ocular hypotensive agent brimonidine”、Proceedings of XIth Congress of the European Society of Ophthalmology(Bologna、Monduzzi Editore)、439−444参照)。クロニジンのような従来のα2作動剤のこのような局所投与が、鎮静および降圧のような全身性副作用を招くことが知られており、それ故、眼神経保護剤としての剤の使用が制限され得る。更に、同様に譲渡された同時係属出願08/496292(1995年6月28日出願)には、ある種の非選択的α2アドレナリン剤を神経傷害の処置に使用することが開示および特許請求されている。その内容全体を引用により本発明の一部とする。
【0184】
本発明化合物は、サルに少なくとも3%の用量で局所投与後、鎮静および心血管作用を起こさない。すなわち、そのような化合物の神経保護濃度を、ヒトにおいて、副作用を伴わずに達成し得る。実際、次に説明するように、実施例B−9(b)の化合物が、前記Yolesらの較正ラット視神経損傷モデルにおいて神経保護作用を示すことがわかった。第4表参照。
【0185】
【表34】

この神経保護レベルは、標準α2アドレナリン受容体作動剤ブリモニジンおよび神経保護剤MK801の従来の研究においてわかっている効果に匹敵する。
【0186】
実施例W
本発明化合物が有用である疾患のもう一つの例は、神経障害性疼痛を包含する疼痛の緩和であり、望ましくない副作用を伴わずに疼痛を緩和できるので有利である。クロニジン(3種のα2受容体すべてを活性化する作動剤)が、慢性炎症の処置のために臨床的に用いられているが、クロニジンは鎮静および心血管副作用を起こす故に、そのような適用における使用が制限されている。本発明化合物は、臨床的活性に相当し得ることが知られた神経障害性疼痛齧歯類モデルにおいて、クロニジンおよびブリモニジンに匹敵した(例えば、Kim,S.およびChung,J.“An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat.”Pain 50、第355−363頁(1992)参照)。二脊髄神経を結紮すると、動物は、接触のような通常は痛くない刺激に対して感受性を示すようになる。この感受性(異痛と称される)を回復するα2化合物の活性を、クモ膜下腔内または腹腔内投与の30分後に評価した。各化合物の鎮静作用も、活動室を用いて評価した。
【0187】
本発明化合物、例えばN−1は、非常に高用量でも鎮静を起こすことなく異痛を軽減することができる。一方、クロニジンおよびブリモニジンは、抗異痛用量よりもごくわずかに高い用量で鎮静を起こす。第5表および第6表参照。
【0188】
【表35】

【0189】
【表36】

【0190】
上記実施例の結果からわかるように、α2アドレナリン受容体薬物に共通する副作用はα2Aサブタイプが仲介しており、抗高眼圧作用および他の薬理作用はα2A以外のサブタイプが仲介し得る。すなわち、α2Aサブタイプにおける活性の低い種々の構造のα2アドレナリン受容体化合物は、用量を制限する副作用を伴うことなくIOP低下し、他の処置活性を示す。
【0191】
本発明の特定の態様を説明したが、多くの明らかな変更が可能であるので、本発明はそれらに制限されることはないと当然理解され、また、特許請求の範囲に包含されるような変更はいずれも本発明に包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/α2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤活性を示す化合物であって、式:
【化1】

[式中、点線は、その部分の結合が二重結合であり得ることを意味し;RはHまたは低級アルキルであり;XはSまたはC(H)R1であり、R1はHまたは低級アルキルであるか、またはXがSである場合もしくはXと環:
【化2】

との間の結合が二重結合である場合はR1は存在せず;YはO、N、S、(CR1x)y(ただし、yは1〜3の整数)、−CH=CH−または−Y1CH2−(ただし、Y1はO、NまたはS)であり;xは1または2の整数であり、R2、R3またはR4が不飽和の炭素原子に結合している場合はxは1であり、R2、R3またはR4が飽和の炭素原子に結合している場合はxは2であり;R2はH、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたは低級アルコキシであるか、または、飽和炭素原子に結合している場合は、R2はオキソであってもよく;R3およびR4はそれぞれ、H、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシもしくはフェニルであるか、または共同で−(C(R2)x)z−;−Y1(C(R2)x)z’−;−Y1(C(R2)x)y1−;−(C(R2)x)−Y1−(C(R2)x)−;−(C(R2)x)−Y1−(C(R2)x)−(C(R2)x)−および−Y1−(C(R2)x)−Y1−(C(R2)x)−であり、zは3〜5の整数であり、z’は2〜4の整数であり、xおよびyは上記と同意義であり、これら二価の部分は何れかの末端がR3またはR4の何れかに連結し得、縮合環構造:
【化3】

を形成し、このように形成した環は完全に不飽和であるか、部分的に不飽和であるか、または完全に飽和していてよいが、ただし、環の炭素は4より多い原子価を有さず、窒素は3より大きい原子価を有さず、OおよびSは2より大きい原子価を有さない。]
で示される化合物および薬学的に許容し得るその塩。
【請求項2】
式:
【化4】

で示される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
XがC(H)R1である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
1がHである請求項3記載の化合物。
【請求項5】
2がHであり、
【化5】

がフラニル基である請求項4記載の化合物。
【請求項6】
3とR4とが共同で(CH)4である請求項5記載の化合物。
【請求項7】
3がHであり、R4がt−ブチルである請求項5記載の化合物。
【請求項8】
3およびR4がHである請求項5記載の化合物。
【請求項9】
3がHであり、R4がメチルまたはエチルである請求項5記載の化合物。
【請求項10】
2がHであり、
【化6】

がチエニル基である請求項4記載の化合物。
【請求項11】
3とR4とが共同で(CH2)4である請求項10記載の化合物。
【請求項12】
3がフェニルであり、R4がHである請求項10記載の化合物。
【請求項13】
3とR4とが共同で(CH2)3Sである請求項10記載の化合物。
【請求項14】
3およびR4がHである請求項10記載の化合物。
【請求項15】
3とR4とが共同で(CH)4である請求項10記載の化合物。
【請求項16】
3がHであり、R4がメチルである請求項10記載の化合物。
【請求項17】
3がブロモであり、R4がHである請求項10記載の化合物。
【請求項18】
【化7】

がシクロヘキシル基である請求項4記載の化合物。
【請求項19】
2がHであり、R3とR4とが共同で(CH)4である請求項18記載の化合物。
【請求項20】
2がHであり、R3とR4とが共同で(CH)2Sである請求項18記載の化合物。
【請求項21】
2がHであり、R3とR4とが共同で(CH2)4である請求項18記載の化合物。
【請求項22】
2がジメチルであり、R3とR4とが共同で(CH)4である請求項18記載の化合物。
【請求項23】
Yが−CH2CH(CH3)−であり、R2が水素またはオキソであり、R3とR4とが共同で(CH)4である請求項18記載の化合物。
【請求項24】
2がオキソであり、R3とR4とが共同でS(CH)2である請求項18記載の化合物。
【請求項25】
Yが−CH2C(CH3)2−であり、R2が水素またはオキソであり、R3とR4とが共同で(CH)4である請求項18記載の化合物。
【請求項26】
2がオキソであり、R3とR4とが共同で(CH)4である請求項18記載の化合物。
【請求項27】
2がオキソであり、R3とR4とが共同で(CH)2C(OCH3)CHである請求項18記載の化合物。
【請求項28】
【化8】

がシクロペンチル基である請求項4記載の化合物。
【請求項29】
2がHであり、R3とR4とが共同で(CH)4である請求項28記載の化合物。
【請求項30】
2が水素であり、R3とR4とが共同で(CH2)3である請求項28記載の化合物。
【請求項31】
【化9】

がベンジル基である請求項4記載の化合物。
【請求項32】
2、R3およびR4がHである請求項31記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化10】

[式中、YはSまたはOである。]
で示される請求項1記載の化合物。
【請求項34】
XがC(H)R1であり、R、R1、R2、R3およびR4がHである請求項33記載の化合物。
【請求項35】
YがOである請求項34記載の化合物。
【請求項36】
YがSである請求項35記載の化合物。
【請求項37】
式:
【化11】

で示される請求項1記載の化合物。
【請求項38】
3およびR4が共同で(CH)4である請求項37記載の化合物。
【請求項39】
1がOである請求項38記載の化合物。
【請求項40】
2がオキソである請求項39記載の化合物。
【請求項41】
XがCHである請求項40記載の化合物。
【請求項42】
XがCH2である請求項40記載の化合物。
【請求項43】
2の一方がヒドロキシであり、他方がHである請求項39記載の化合物。
【請求項44】
2がHである請求項39記載の化合物。
【請求項45】
1がSである請求項38記載の化合物。
【請求項46】
XがCH2である請求項45記載の化合物。
【請求項47】
2がオキソである請求項46記載の化合物。
【請求項48】
2がHである請求項46記載の化合物。
【請求項49】
XがCHであり、R2がオキソである請求項45記載の化合物。
【請求項50】
Yが(CH2)3である請求項3記載の化合物。
【請求項51】
XがCHであり、R2がオキソである請求項50記載の化合物。
【請求項52】
XがCH2であり、R2がHである請求項50記載の化合物。
【請求項53】
XがSであり、
【化12】

がフェニルである請求項2記載の化合物。
【請求項54】
1がメチルであり、
【化13】

がフラニルである請求項3記載の化合物。
【請求項55】
YがCH2(CR12)2であり、R1が水素またはメチルである請求項4記載の化合物。
【請求項56】
2がHである請求項55記載の化合物。
【請求項57】
2がオキソである請求項55記載の化合物。
【請求項58】
RがCH3であり、
【化14】

がフェニル基であり、R3とR4とが共同でO(CR2)2Oである請求項3記載の化合物。
【請求項59】
XがCHであり、
【化15】

がシクロペンチル基であり、R2がオキソである請求項2記載の化合物。
【請求項60】
式:
【化16】

で示される化合物。
【請求項61】
式:
【化17】

[式中、Xが波線で示される二つの環位置の一方に結合し、他方の位置は水素で占められ、二つの二重結合が同じ環原子に位置し得ない。]
で示されるように、Yが(R1x)2であり、R3+R4が(C(R2)x)4である請求項1記載の化合物。
【請求項62】
式:
【化18】

[式中、(R2)xが水素またはオキソである。]
で示される請求項61記載の化合物。
【請求項63】
式:
【化19】

で示される構造を有する請求項61記載の化合物。
【請求項64】
式:
【化20】

で示される構造を有する請求項62記載の化合物。
【請求項65】
式:
【化21】

[式中、CHR1基が波線で示される二つの環位置の一方に結合し、他方の位置は水素で占められ、二つの二重結合が同じ環原子に位置し得ない。]
で示されるように、Rが水素であり、R3+R4が−(C(R2)x)−N−(C(R2)x)−(C(R2)x)−であり、XがCHR1である請求項2記載の化合物。
【請求項66】
式:
【化22】

で示され、(R2)xが水素またはオキソである請求項65記載の化合物。
【請求項67】
式:
【化23】

で示され、(R2)xが水素またはオキソである請求項65記載の化合物。
【請求項68】
式:
【化24】

[式中、XおよびX’は、N、OおよびCから成る群から選択し、XおよびX’の少なくとも一方がNである。]
で示されるように、R3+R4は−Y1−(C(R2)x)−(C(R2)x)−Y1−および−Y1(C(R2)x)−(C(R2)x)−(C(R2)x)−から成る群から選択し、Y1がNまたはOまたはSである請求項1記載の化合物。
【請求項69】
式:
【化25】

[式中、(R2)xが水素またはオキソである。]
で示される請求項68記載の化合物。
【請求項70】
式:
【化26】

[式中、(R2)xが水素またはオキソである。]
で示される請求項68記載の化合物。
【請求項71】
α2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bもしくはα2B/2Cアドレナリン受容体またはα2Bおよびα2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて選択的作動剤活性を示す、式:
【化27】

で示される化合物および薬学的に許容し得るその塩。
【請求項72】
鎮静または心血管副作用無く緑内障を治療または予防するために、有効量の活性化合物を含有する医薬組成物を、ヒトを包含するホスト哺乳動物に投与する方法であって、化合物はアドレナリン活性を有し、α2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bアドレナリン受容体サブタイプまたはα2B/α2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤である方法。
【請求項73】
活性化合物は、標準完全作動剤と比較して、α2Aアドレナリン受容体サブタイプにおけるよりもα2Bまたはα2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて少なくとも約0.3大きい活性を示し、α2Aアドレナリン受容体サブタイプにおける活性が≦0.4である請求項72記載の方法。
【請求項74】
活性化合物は、α2Aアドレナリン受容体におけるよりもα2Bまたはα2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて少なくとも10倍活性である請求項72記載の方法。
【請求項75】
1日1回または1日2回の用量として約0.001〜5重量%の活性化合物をホスト哺乳動物に局所投与する請求項74記載の方法。
【請求項76】
1日1回または1日2回の用量として約0.01〜3重量%の活性化合物をホスト哺乳動物に局所投与する請求項75記載の方法。
【請求項77】
活性化合物はα2Aアドレナリン受容体サブタイプにおいて活性を示さない請求項72記載の方法。
【請求項78】
活性化合物はα2Aおよびα2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて活性を示さない請求項72記載の方法。
【請求項79】
鎮静または心血管副作用無く高眼圧を処置するために、有効量の活性化合物を含有する医薬組成物を、ヒトを包含するホスト哺乳動物に投与する方法であって、化合物はアドレナリン活性を有し、α2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/α2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤である方法。
【請求項80】
活性化合物は、標準完全作動剤と比較して、α2Aアドレナリン受容体サブタイプにおけるよりもα2Bまたは2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて少なくとも約0.3大きい活性を示し、α2Aアドレナリン受容体サブタイプにおける活性が≦0.4である請求項79記載の方法。
【請求項81】
1日1回または1日2回の用量として約0.001〜5重量%の活性化合物をホスト哺乳動物に局所投与する請求項80記載の方法。
【請求項82】
1日1回または1日2回の用量として約0.01〜3.0重量%の活性化合物をホスト哺乳動物に局所投与する請求項81記載の方法。
【請求項83】
活性化合物はα2Aアドレナリン受容体サブタイプにおいて活性を示さない請求項79記載の方法。
【請求項84】
活性化合物はα2Aおよびα2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて活性を示さない請求項79記載の方法。
【請求項85】
α2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bアドレナリン受容体サブタイプまたはα2B/α2Cアドレナリン受容体サブタイプを選択的に作動することによって、心血管および鎮静副作用無く眼圧を低下するよう哺乳動物を処置する方法。
【請求項86】
選択的α2Bまたはα2B/α2C受容体サブタイプ作動剤を処置有効量で投与することによって、α2Aアドレナリン受容体サブタイプを作動すること無くα2Bアドレナリン受容体サブタイプまたはα2B/α2Cアドレナリン受容体サブタイプを選択的に作動する方法。
【請求項87】
α2A受容体サブタイプよりもα2Bまたはα2B/α2C受容体サブタイプを選択的に活性化するαアドレナリン作動剤。
【請求項88】
活性化合物は、式:
【化28】

[式中、点線は、その部分の結合が二重結合であり得ることを意味し;RはHまたは低級アルキルであり;XはSまたはC(H)R1であり、R1はHまたは低級アルキルであるか、またはXがSである場合もしくはXと環:
【化29】

との間の結合が二重結合である場合はR1は存在せず;YはO、N、S、(CR1x)y(ただし、yは1〜3の整数)、−CH=CH−または−Y1CH2−(ただし、Y1はO、NまたはS)であり;xは1または2の整数であり、R2、R3またはR4が不飽和の炭素原子に結合している場合はxは1であり、R2、R3またはR4が飽和の炭素原子に結合している場合はxは2であり;R2はH、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたは低級アルコキシであるか、または、飽和炭素原子に結合している場合は、R2はオキソであってもよく;R3およびR4はそれぞれ、H、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシもしくはフェニルであるか、または共同で−(C(R2)x)z−;−Y1(C(R2)x)z’−;−Y1(C(R2)x)y1−;−(C(R2)x)−Y1−(C(R2)x)−;−(C(R2)x)−Y1−(C(R2)x)−(C(R2)x)−および−Y1−(C(R2)x)−Y1−(C(R2)x)−であり、zは3〜5の整数であり、z’は2〜4の整数であり、xおよびyは上記と同意義であり、これら二価の部分は何れかの末端がR3またはR4の何れかに連結し得、縮合環構造:
【化30】

を形成し、このように形成した環は完全に不飽和であるか、部分的に不飽和であるか、または完全に飽和していてよいが、ただし、環の炭素は4より多い原子価を有さず、窒素は3より大きい原子価を有さず、OおよびSは2より大きい原子価を有さない。]
で示される化合物、あるいは式:
【化31】

[式中、Wは、式:
【化32】

{式中、R5、R6、R7およびR8はHおよび低級アルキルからなる群から選択されるが、ただし、R5とR6、または、R6とR7のうちの少なくとも一方はOC(R9)C(R9)N(R)であって、
【化33】

と縮合環を形成し、R9はH、低級アルキルまたはオキソである。}
で示される基、および式:
【化34】

{式中、R10はH、低級アルキル、フェニルまたは低級アルキル置換フェニルである。}
で示される基から成る群から選択する二環基であり、ZはOまたはNHである。]
で示される化合物から成る群から選択する請求項72、79、85または91記載の方法。
【請求項89】
緑内障を治療または予防するために、アドレナリン活性を有する有効量の活性化合物を含有する医薬組成物を、ヒトを包含するホスト哺乳動物に投与する方法であって、活性化合物はα2A受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/α2C受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤であるという生物学的性質を有し、この選択性は、天然に各サブタイプを発現する細胞または1種のサブタイプを導入した細胞を用いるアッセイにおいて測定するものであり、受容体はヒトまたは同様の薬品作用を示すことのわかっている種に由来するものであり、このアッセイにおいて、α2A受容体サブタイプにおける標準化合物と比較した活性化合物の活性よりも、α2Bまたはα2C受容体サブタイプにおける標準化合物と比較した活性化合物の活性の方が少なくとも0.3大きく、α2A受容体サブタイプにおける活性化合物の活性が≦0.4であり、および/またはα2A受容体サブタイプにおけるよりもα2Bまたはα2C受容体サブタイプにおける活性化合物の活性が少なくとも約10倍の高い方法。
【請求項90】
1日当たり約0.001〜5重量%の活性化合物をホスト哺乳動物に局所投与する請求項89記載の方法。
【請求項91】
筋痙攣、例えば排尿過多、下痢、尿量増加、禁断症候群、疼痛、例えば神経障害性疼痛、神経変性疾患、例えば視神経障害、脊髄虚血および卒中、記憶および認識力欠損、注意力欠損疾患、精神病、例えば躁病、不安、抑鬱、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血、および鼻充血を、鎮静または心血管副作用無く治療または予防するために、処置有効量の活性化合物を含有する医薬組成物を、ヒトを包含するホスト哺乳動物に投与する方法であって、活性化合物はアドレナリン活性を有し、α2Aアドレナリン受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/α2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤である方法。
【請求項92】
筋痙攣、例えば排尿過多、下痢、尿量増加、禁断症候群、疼痛、例えば神経障害性疼痛、神経変性疾患、例えば視神経障害、脊髄虚血および卒中、記憶および認識力欠損、注意力欠損疾患、精神病、例えば躁病、不安、抑鬱、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血、および鼻充血を、鎮静または心血管副作用無く処置するために、アドレナリン活性を有する活性化合物を有効量含有する医薬組成物を、ヒトを包含するホスト哺乳動物に投与する方法であって、活性化合物はα2A受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/α2C受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤であるという生物学的性質を有し、この選択性は、天然に各サブタイプを発現する細胞または1種のサブタイプを導入した細胞を用いるアッセイにおいて測定するものであり、受容体はヒトまたは同様の薬品作用を示すことのわかっている種に由来するものであり、このアッセイにおいて、α2A受容体サブタイプにおける標準化合物と比較した活性化合物の活性よりも、α2Bまたはα2C受容体サブタイプにおける標準化合物と比較した活性化合物の活性の方が、少なくとも0.3大きく、α2A受容体における活性化合物の活性が≦0.4であり、および/またはα2A受容体サブタイプにおけるよりもα2Bまたはα2C受容体サブタイプにおける活性化合物の活性が少なくとも約10倍の高い方法。
【請求項93】
筋痙攣、例えば排尿過多、下痢、尿量増加、禁断症候群、疼痛、例えば神経障害性疼痛、神経変性疾患、例えば視神経障害、脊髄虚血および卒中、記憶および認識力欠損、注意力欠損疾患、精神病、例えば躁病、不安、抑鬱、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血、および鼻充血を、鎮静または心血管副作用無く処置するために、アドレナリン活性を有する活性化合物を有効量含有する医薬組成物を、ヒトを包含するホスト哺乳動物に投与する方法であって、活性化合物はα2A受容体サブタイプと比較してα2Bまたはα2B/α2C受容体サブタイプにおいて選択的な作動剤であるという生物学的性質を有し、この選択性は、試験化合物によるα2Aおよびα2C受容体サブタイプの活性化をブリモニジンと比較し、α2B受容体サブタイプの活性化をオキシメタゾリンと比較するRSATアッセイにおいて測定するものであり、このアッセイにおいてα2A、α2Bおよびα2C受容体サブタイプはNIH−3T3細胞において発現し、このアッセイにおいて、α2A受容体サブタイプにおけるブリモニジンと比較した活性化合物の活性よりも、α2C受容体サブタイプにおけるブリモニジンと比較した活性化合物の活性、またはα2B受容体サブタイプにおけるオキシメタゾリンと比較した活性化合物の活性の方が、少なくとも0.3大きく、α2A受容体サブタイプにおける活性化合物の活性が≦0.4であり、および/またはα2A受容体サブタイプにおけるよりもα2Bまたはα2C受容体サブタイプにおける活性化合物の活性が少なくとも約10倍の高い方法。
【請求項94】
活性化合物は、α2Aアドレナリン受容体サブタイプにおけるよりもα2Bまたはα2Cアドレナリン受容体サブタイプにおいて少なくとも100倍活性である請求項74記載の方法。

【公開番号】特開2010−209111(P2010−209111A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120662(P2010−120662)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【分割の表示】特願2000−523194(P2000−523194)の分割
【原出願日】平成10年12月3日(1998.12.3)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】