説明

α4インテグリン拮抗薬としてのピリダジノン尿素

本発明は、式(I)
【化1】


で表される化合物、これらの化合物の製造方法、これらの組成物、中間体および誘導体、そしてα4インテグリン媒介性疾患を治療する方法に関する。より詳細には、本発明のピリダジノン尿素化合物はインテグリン媒介性疾患の治療で用いるに有用なα4β7インテグリン阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は2004年2月10日付けで出願した仮米国特許出願番号60/543,315(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
連邦政府支援研究または開発に関する申し立て
以下に記述する本発明の研究開発は連邦政府の支援を受けていない。
【0003】
本発明はα4インテグリン媒介性疾患の治療で用いるに適した新規な特定化合物、化合物製造方法、これらの組成物、中間体および誘導体に関する。より詳細には、本発明のピリダジノン尿素化合物はインテグリン媒介性疾患の治療で用いるに有用なα4β7インテグリン阻害剤である。
【背景技術】
【0004】
本発明はα4インテグリンを阻害するピリダジノン誘導体に関する。いろいろな生理学的プロセスでは細胞が他の細胞および/または細胞外マトリクスと密に接触する必要がある。細胞の活性化、移動、増殖および分化でそのような接着イベントが要求される。細胞−細胞および細胞−マトリクスの相互作用をいくつかのファミリーの細胞接着分子(CAM)が媒介し、そのようなCAMにはセレクチン、インテグリン、カドヘリンおよび免疫グロブリンが含まれる。CAMは正常および病態生理学的両方のプロセスにおいてある役割を果たす。従って、細胞−細胞および細胞−マトリクスの相互作用を阻害する治療薬が有効かつ安全であるには、ある病気状態において、特定および関連したCAMを正常な細胞機能を妨害することなく標的にすることが必須である。
【0005】
インテグリンのスーパーファミリーは、αとβのヘテロ二量体性膜貫通型受容体分子で構成されている構造的および機能的に関連した糖蛋白で構成されており、それらは、ほとんど全ての哺乳動物の細胞型にいろいろな組み合わせで存在する。
【0006】
α4β7は白血球上に発現するインテグリンであり、これは胃腸管の中を輸送および誘導される白血球の鍵となる媒介因子である。α4β7のリガンドには、粘膜アドレス(mucosal addressing)細胞接着分子−1(MAdCAM−1)、およびα4β7が活性化した後のVCAM−1およびフィブロネクチンが含まれる。MAdCAM−1はIgスーパーファミリーの一員であり、これはインビボで小腸および大腸の腸管関連粘膜組織の内皮細胞(「パイエル板」)および哺乳動物の乳腺上に発現する(非特許文献1、2を参照)。MAdCAM−1はインビトロで炎症性刺激で誘発され得る(非特許文献3を参照)。MAdCAM−1はリンパ球の管外遊出部位に選択的に発現しそしてインテグリンα4β7と特異的に結合する。
【0007】
ヒトにおけるクローン病、潰瘍性大腸炎、肝炎および膵炎の類似物である炎症性腸疾患の動物モデルではα4β7の発現が増加する(非特許文献4、5、6、7、8)。
【0008】
α4に対するモノクローナル抗体が細胞動員を阻害することを示すインビボ研究によって潜在的治療用途の証拠が示された(非特許文献9、10、11)。
【0009】
IBDの動物モデルにおいてα4インテグリンに対するモノクローナル抗体を用いたインビボ研究でも効力が立証された(非特許文献12)が、より重要なことは、MAdCA
M−1またはα4β7に対するモノクローナル抗体を用いた研究で、大腸炎にかかっている動物では高内皮静脈の中の接着性細胞の数が低下しておりそして病気のひどさが軽減されたことでIBDにおける効力が立証されたことにある(非特許文献13、14)。
【0010】
LDP−02抗体のマウス同族体はα4β7インテグリンに特異的であり、そしてそれをワタボウシタマリンに投与すると自然発症性胃腸炎(この動物を飼育している時に悩ますことが知られている)の発症が防止されることが確認された。α4β7インテグリンはまたマスト細胞前駆体が腸に動員される場合にも必要であることが分かっているが、それが肺に動員される場合には影響がない(非特許文献15)。
【0011】
いくつかの報告書にはVCAM−1およびICAM−1に対する抗体またはアンチセンスオリゴヌクレオチドがIBD(30)の動物モデルで活性を示さないことが示されているが、他の報告書には効力があることが示されている(非特許文献16、17、18、19)。α4β7とMAdCAM−1の相互作用が本質的にGI管および腸管膜系に限定されていることは、そのような細胞−細胞接着対の拮抗剤は全身的免疫抑制を起こさせることなくGI管および腸管膜系に限定された特異的抗炎症反応をもたらすであろうことを強力に示唆している。
【0012】
薬物動態および薬物力学的特性、例えば経口生体利用率および有意な作用期間などを向上させた低分子量の特異的α4依存細胞接着阻害剤がまだ必要とされているままである。そのような化合物はα4β7の結合および細胞の接着および活性化が媒介性するいろいろな病状の治療、予防または抑制で用いるに有用であることが確かめられるであろう。
【0013】
本発明の1つの目的は、炎症性疾患、免疫性疾患およびインテグリンが媒介性する疾患の治療で用いるに有用なインテグリン阻害剤、特にα4β7の阻害剤であるピリダジノン尿素化合物を提供することにある。本発明の別の目的は、ピリダジノン尿素化合物、これの組成物、中間体および誘導体を製造する方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、炎症性疾患およびα4β7インテグリン媒介性疾患を治療する方法を提供することにある。
【非特許文献1】M.J.Briskin 他,Nature,363,461 (1993)
【非特許文献2】A.Hamann 他,J.Immunol.,152,3282 (1994)
【非特許文献3】E.E.Sikorski他 J.Immunol.,151,5239 (1993))
【非特許文献4】van Assche,G.およびRutgeerts,P.Antiadhesion molecule therapy ininflammatory bowel disease. Inflamm.Bowel Dis.,8:291-300,2002
【非特許文献5】Binion,DS.West,G.A.,Volk,EE.他 Acquired increase in leukocyte bindingby intestinal microvascular endothelium in inflammatory bowel disease.Lancet,352:1742-1746,1998
【非特許文献6】Souza,HS.,Elia,CC.,Spencer,J.およびMacDonald,T.T.Expression oflymphocyte-endothelial receptor - ligand pairs,alpha4-beta7/MAdCAM-1 andOX40/OX40 ligand in the colon and jejunum of patients with inflammatory boweldiseae.Gut,45:856-863,1999
【非特許文献7】Briskin,J.,Winsor-Hines,D.,Shyjan,A.,Cochran.N.,Bloom,S.,Wilson,J.,McEvoy,L.M.,Butcher,E.C.,Kassam,N.,Mackay,C.R.,Newman,WおよびRingler,D.J.Humanmucosol addressin cell adhesion molecule-1 is preferentially expressed inintestinal tract and associated lymphoid tissue.Am.J.Pathol.,151:97-110,1997
【非特許文献8】Kawachi,S.,Jennings,S.,Panes,J.,Cockrell,A.,Laroux,F.S.,Gray,L.,Perry,M.,vander Heyde,H.,Balish,E.,Granger,D.N.,Specian,R.A.およびGrisham.M.B.Cytokine andendothelial cell adhesion molecule expression in interleukin-10 deficient mice.AmJ.Physiol.Gastrointest.Liver Phsyiol.,278:G734-G743,2000
【非特許文献9】Issekutz,T.B.,Inhibition of in vivo lymphocyte migration toinflammation and homing to lymphoid tissues by the TA-2 monoclonal antibody.Alikely role for VLA-4 in vivo. J.Immunol.,146:4178-4184,1991
【非特許文献10】Richards,I.M.,Kolbasa,K.P.,Hatfield,C.A.Winterrowd,G.E.,Vonderfecth,S.L.,Fidler,S.F.,Giriffin,R.L.Bradhler,J.R.,Krzisicki,R.F.およびSly,L.M.Role of very late activation antigen-4 in the antigen induced accumulation ofeosinophils and lymphocytes in the lungs and airway lumen of sensitised brown norway rats.Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.,15:172,1996
【非特許文献11】Issekutz,A.C.Ayer,L.,Miyasaka,M.およびIssekutz,T.B.Treatment ofestablished adjuvant arthritis in rats with monoclonal antibody to CD18 andvery late activation antigen-4 integrins suppressess neutrophils andT-lymphocyte migration to the joints and improves clinical disease.Immunology,88:659,1996
【非特許文献12】Podolsky,D.K.,Lobb,R.R.,King,N.,Benjamin,C.D.,Pepinsky,B.,Sehgal,P.,deBeaumont,M.;J.Clin.Invest.,92:372,1993
【非特許文献13】Shigematsu,T.,Specian,R.D.,Wolf,R.E.,Grisham,M.B.およびGranger,D.N.MADCAMmediates lymphocyte - endothelial cell adhesion in a murine model of chroniccolitis; Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.,281:G1309-13015,2001
【非特許文献14】Picarella,D.,Hurlbut,P.,Torrman,J.,Shi,X.,Butcher,E.およびRingler,D.J.Monoclonalantibodies specific for β7 integrin and mucosal addressin cell adhesionmolecule-1 (MAdCAM-1) reduce inflammation in the colon of scid micereconstituted with CD45RBhigh CD4+ T cells.J.Immuol.,158:2099-2106.1997
【非特許文献15】Gurish,M.F.,Tao,H.,Abonia,P.J.,Arya,A.,Friend,D.S.,Parker,C.M.およびAusten,K.F.Intestinalmast cell progenitors require CD49dβ7 (α4β7 integrin) for tissue specifichoming.J.Exp.Med.,194:1243-1252,2001
【非特許文献16】Taniguchi,,T.,Tsukada,H.,Nakamura,J.,Kodama,M.,Fukuda,K.,Saito,T.,Miyuasaka,M.およびSeino,Y.Effectsof the anti-ICAM-1 monoclonal antibody on dextran sodium sulphate-inducedcolitis in rats.J.Gastroenterol.Hepatol.,13:945-949,1998
【非特許文献17】Sans,M.,Panes,J.,Ardite,E.,Elizalde,J.L.,Arce,Y.,Elena,M.,Palacin,A.,Fernandez-Checa,J.C.,Anderson,D.C.,Lobb,R.およびPique,J.M.VCAM-1and ICAM-1 mediate leukocyte-endothelial cell adhesion in rat experimentalcolitis.Gastroenterology,116:874-883,1999
【非特許文献18】Burns,R C.,Rivera-Nieves,J.,Moskaluk,C.A.他、 Antibody blockade ofICAM-1 and VCAM-1 ameloriates inflammation in the SAMP-1/Yit adoptive transfermodel of Crohn’s disease in mice.Gastroenterology 121:1428-1436,2001
【非特許文献19】Bennet,C.F.,Hall,W.,Jacoby,H.I.An ICAM-1 antisense oligonucleotideprevents and reverses dextran sulfate sodium-induced colitis in mice.J.PharmacolExp Ther.,280:988-1000,1999
【発明の開示】
【0014】
発明の要約
本発明は、式(I)
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、
は、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、ベンゾ縮合シクロアルキル、ヘテロアリール縮合ヘテロシクリル、ヘテロアリール縮合シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、−NR1020、ハロゲン、ヒドロキシおよび−S(C1−6)アルキルから成る群から選択され、ここで、C1−6アルコキシは、場合により、Rから独立して選択される1から4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、Rは、独立して、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、(C1−6)アルコキシカルボニル、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、1から3個のハロゲン原子およびヒドロキシから成る群から選択され、ここで、
10およびR20は、独立して、水素、C1−6アルキル、アリル、ハロゲン置換C1−6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、アリール(C1−4)アルキル、アリールおよびシクロアルキルから成る群から選択され、加うるに、場合により、R10とR20は、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の単環式環を形成していてもよく、ここで、
のアリールおよびアリールオキシ置換基は、場合により、1から3個のC1−6アルキル置換基、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、アリール(C1−6)アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1−6アルコキシカルボニル、アリール(C1−6)アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、−SO(C1−3)アルキル、−SOアリール、−SOヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよび1から3個のハロゲン原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
のヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲンおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
加うるに、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、場合により、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、カルボキシ、1から3個のハロゲン原子、ヒドロ
キシおよび−C(=O)C1−6アルキルから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
は、独立して、水素、フッ素、塩素およびメチルから成る群から選択され、
は、水素またはC1−3アルキルであるが、但しRがC1−3アルキルであるのはそれがYおよびRとYが結合している原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成している時のみであることを条件とし、
Yは、独立して、ヒドロキシメチル、−C(=O)NH、−C(=O)NH(OH)、−C(=O)NH(C1−6アルキル)、−C(=O)NH(ヒドロキシ(C1−6)アルキル)、−C(=O)N(C1−6アルキル)、−C(=O)NHSO(C1−4)アルキル、カルボキシ、テトラゾリルおよび−C(=O)C1−6アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシは、場合により、ヒドロキシ、−NR3040、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、R30およびR40は、独立して、水素、C1−6アルキル、ヒドロキシおよびヒドロキシ(C1−4)アルキルから成る群から選択され、場合により、前記R30とR40は、これらが結合している原子と一緒になって5員から10員の単環式環を形成していてもよく、Wは、独立して、−C(=O)−および−C(=S)−から成る群から選択され、
100およびR200は、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシおよびアリールアミノから成る群から選択され、ここで、R100およびR200のアルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニルおよびアルコキシ置換基は、場合により、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、1から3個のハロゲン原子、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルキルアミノ、ジ(C1−6)アルキルアミノ、−C(=O)アミノおよび−C(=O)C1−6アルコキシから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、ここで、
前記アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ポリシクロアルキルおよびヘテロアリールから成る群から選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、場合により、前記ヘテロシクリルは1から3個のオキソ置換基で置換されていてもよく、ここで、
前記R100およびR200のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、場合により、C1−6アルキル、トリフルオロアルキル、C1−6アルコキシ、トリフルオロアルコキシ、ハロゲン、アリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、ポリシクロアルキルおよびヘテロアリールから成る群から独立して選択される1から4個の置換基で置換されていてもよく、加うるに、場合により、ヘテロシクリルは1から3個のオキソ置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
場合により、R100とR200は、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から10員の複素環または9員から10員のベンゾ縮合複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ポリシクロアルキルまたはおよびオキソから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0017】
本発明の具体例は、薬学的に受け入れられる担体とこの上に記述した化合物のいずれかを含んで成る薬剤組成物である。
【0018】
本発明は、また、本ピリダジノン尿素化合物およびこれらの薬剤組成物および薬剤を製
造する方法にも向けたものである。
【0019】
本発明は、更に、α4インテグリン媒介性疾患を治療もしくは改善する方法にも向けたものである。本発明の方法は、特に、α4インテグリン媒介性疾患、例えばこれらに限定するものでないが、多発性硬化症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、炎症性肺疾患、関節リウマチ、敗血症性関節炎、I型(type I)糖尿病、器官移植拒絶、再狭窄、自家骨髄移植、ウイルス感染の炎症性後遺症、心筋炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を包含)、特定種の中毒性および免疫が基になった腎炎、接触皮膚過敏症、乾癬、腫瘍転移、アテローム性動脈硬化症および肝炎などを治療または改善することに向けたものである。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様は、式(I):
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンゾ縮合シクロアルキル、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、−NR1020、ハロゲン、ヒドロキシおよび−S(C1−6)アルキルから成る群から選択され、ここで、
のC1−4アルコキシは、場合により、Rから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、
は、独立して、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、1から3個のハロゲン原子およびヒドロキシから成る群から選択され、ここで、
10およびR20は、独立して、水素、C1−6アルキル、アリル、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、加うるに、場合により、R10とR20は、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の単環式環を形成していてもよく、ここで、
のアリールおよびアリールオキシ置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、−SO(C1−3)アルキル、−SOアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびハロゲンから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
のヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
加うるに、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよい]
で表される化合物を包含する。
【0023】
本発明の1つの態様は、
が独立して水素、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエト−1−オキシ、イソ−プロポキシ、イソ−ブトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロ−エト−1−オキシ、ベンジルオキシ、シクロプロピルメトキシ、ピリジン−3−イルメトキシ、(1−メチル)−ピロリジニル−3−オキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、インダゾール−1−イル、チオフェン−3−イル、[1,3]ベンゾジオキソール−5−イル、(2−メチル)−イミダゾール−1−イル、(1−メチル)−ピペリジン−4−イルオキシ、2−(モルホリン−4−イル)−エトキシ、(4−ブロモ)−ピラゾール−1−イル、N−ピロリジニル、(3,5−ジメチル)−ピラゾール−1−イル、モルホリン−4−イル、ヒドロキシ、−(OCHCHOH、フェニル(場合により−SOMe、−C(=O)NH、−OCF、−CF、シアノ、フルオロおよびメトキシから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい)、アミノ、シクロプロピルアミノ、アリルアミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、クロロおよび−SMeから成る群から選択され、そして場合により、
がRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニルを形成していてもよい、
式(I)で表される化合物を包含する。
【0024】
本発明の別の態様は、Rがメトキシである式(I)で表される化合物を包含する。
【0025】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RとRがこれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0026】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0027】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、C1−4アルコキシ、アミノおよびアルキルアミノから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0028】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、C1−6アルキルが場合により−C(=O)NH、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、カルボキシ、1から3個のハロゲン原子、ヒドロキシおよび−C(=O)C1−6アルキルから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0029】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、C1−4アルキル、シクロアルキルおよびアリールから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルが場合により−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、ヘテロシクリル、フェニル、シ
クロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0030】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、C1−4アルキルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルが場合により−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0031】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、メチル、エチルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、メチルおよびエチルが場合により−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0032】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素および2−ヒドロキシ−エチ−1−イルから選択される式(I)で表される化合物を包含する。
【0033】
本発明の1つの態様は、Rが独立して水素、フッ素および塩素から成る群から選択される式(I)で表される化合物を包含する。
【0034】
本発明の別の態様は、Rが独立して水素およびフッ素から選択される式(I)で表される化合物を包含する。
【0035】
本発明の別の態様は、Rが水素である式(I)で表される化合物を包含する。
【0036】
本発明の1つの態様は、Rが水素およびC1−3アルキルから成る群から選択されるが、但しRがC1−3アルキルであるのはそれがYおよびRとYが結合している原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成している時のみであることを条件とする式(I)で表される化合物を包含する。
【0037】
本発明の別の態様は、Rが水素またはメチレンから成る群から選択されるが、但しRがメチレンであるのはそれがYおよびRとYが結合している原子と一緒になって5員の複素環を形成している時のみであることを条件とする式(I)で表される化合物を包含する。
【0038】
本発明の別の態様は、Rが水素である式(I)で表される化合物を包含する。
【0039】
本発明の別の態様は、Yが独立してヒドロキシメチル、−C(=O)NH、−C(=O)NH(OH)、−C(=O)NH(2−ヒドロキシエト−1−イル)、カルボキシ、テトラゾリル、−C(=O)NHSO(C1−4)アルキルおよび−C(=O)C1−6アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシが場合によりヒドロキシ、−NR3040、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロゲンまたは−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、R30およびR40が独立して水素およびC1−6アルキルから成る群から選択される式(I)で表される化合物を包含する。
【0040】
本発明の1つの態様は、Yが独立してカルボキシ、テトラゾリル、−C(=O)NH(2−ヒドロキシエト−1−イル)および−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシが場合によりヒドロキシ、−NH、−NH(C1−
)アルキル、−N(C1−4アルキル)、ヘテロシクリル、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0041】
本発明の1つの態様は、Yが独立してカルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルおよび−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシが場合によりヒドロキシ、−NMe、モルホリン−1−イル、クロロおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0042】
本発明の別の態様は、Yが独立してカルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルまたは−C(=O)エトキシから成る群から選択され、ここで、エトキシが場合によりヒドロキシ、塩素、−NMeおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0043】
本発明の1つの態様は、Wが独立して−C(=O)−および−C(=S)−から選択される式(I)で表される化合物を包含する。
【0044】
本発明の1つの態様は、Wが−C(=O)−である式(I)で表される化合物を包含する。
【0045】
本発明の1つの態様は、R100およびR200が水素、C1−4アルキル、C1−4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、橋状ポリシクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニルアミノおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される置換基であり、ここで、前記アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ハロゲン、アリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヘテロアリールおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、ここで、
100およびR200のC1−4アルキルおよびC1−4アルキニルが場合によりヘテロアリール、アリール、ヒドロキシ、1から3個のハロゲン原子、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、ここで、
場合により、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から7員の複素環または9員から10員のベンゾ縮合複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環が場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、アリールおよびヘテロアリールから選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0046】
本発明の1つの態様は、R100およびR200が独立して水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから成る群から選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリルが場合によりC1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヘテロアリールおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、ここで、
場合により、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環が場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、アリールおよびヘテロアリールから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0047】
本発明の別の態様は、R100およびR200が独立して水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよび5員から7員のヘテロシクリルから成る群から選択される
が、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になっている時に前記ヘテロシクリルが形成されており、ここで、
前記アリールおよびヘテロシクリルが場合によりC1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい式(I)で表される化合物を包含する。
【0048】
本発明の別の態様は、R100およびR200が水素、メチル、エチル、i−ブト−1−イル、シクロヘキシル、2−メチル−ピペラジン−1−イルおよびフェニルから成る群から独立して選択される置換基であり、ここで、前記フェニルがメチル、クロロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されている式(I)で表される化合物およびこれらの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩を包含する。
【0049】
本発明の別の面は、式(Ia)
【0050】
【化3】

【0051】
[式中、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンゾ縮合シクロアルキル、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、−NR1020、ハロゲン、ヒドロキシおよび−S(C1−6)アルキルから成る群から選択され、ここで、RのC1−4アルコキシは、場合により、Rから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、
は、独立して、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、1から3個のハロゲン原子およびヒドロキシから成る群から選択され、ここで、
10およびR20は、独立して、水素、C1−6アルキル、アリル、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、加うるに、場合により、R10とR20は、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の単環式環を形成していてもよく、ここで、
のアリールおよびアリールオキシ置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、−SO(C1−3)アルキル、−SOアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびハロゲンから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
のヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
加うるに、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、シクロアルキルおよびアリールから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルは、場合により、−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、ヘテロシクリル、フェニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
Yは、独立して、カルボキシ、テトラゾリル、−C(=O)NH(2−ヒドロキシエチ−1−イル)および−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシは、場合により、ヒドロキシ、−NH、−NH(C1−4)アルキル、−N(C1−4アルキル)、ヘテロシクリル、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、
100およびR200は、独立して、水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから成る群から選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリルは、場合により、C1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヘテロアリールおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、ここで、
場合により、R100とR200は、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は、場合により、C1−6アルキル、ハロゲン、アリールおよびヘテロアリールから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0052】
本発明の別の面は、式(Ia):
【0053】
【化4】

【0054】
[式中、
は、独立して、水素、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエト−1−オキシ、イソ−プロポキシ、イソ−ブトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロ−エト−1−オキシ、ベンジルオキシ、シクロプロピルメトキシ、ピリジン−3−イルメトキシ、(1−メチル)−ピロリジニル−3−オキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、インダゾール−1−イル、チオフェン−3−イル、[1,3]ベンゾジオキソール−5−イル、(2−メチル)−イミダゾール−1−イル、(1−メチル)−ピペリジン−4−イルオキシ、2−(モルホリン−4−イル)−エト
キシ、(4−ブロモ)−ピラゾール−1−イル、N−ピロリジニル、(3,5−ジメチル)−ピラゾール−1−イル、モルホリン−4−イル、ヒドロキシ、−(OCHCHOH、フェニル(場合により−SOMe、−C(=O)NH、−OCF、−CF、シアノ、フルオロおよびメトキシから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい)、アミノ、シクロプロピルアミノ、アリルアミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、クロロおよび−SMeから成る群から選択され、そして場合により、
がRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルは、場合により、−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
Yは、独立して、カルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルおよび−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシは、場合により、ヒドロキシ、−NMe、モルホリン−1−イル、クロロおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
100およびR200は、独立して、水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよび5員から7員のヘテロシクリルから成る群から選択されるが、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になっている時に前記ヘテロシクリルが形成されており、ここで、
前記アリールおよびヘテロシクリルは、場合により、C1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0055】
本発明の別の面は、式(Ia)
【0056】
【化5】

【0057】
[式中、
は、メトキシであり、
は、独立して、水素、C1−4アルコキシ、アミノまたはアルキルアミノから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、メチル、エチルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、メチルおよびエチルは、場合により、−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)
NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
Yは、独立して、カルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルまたは−C(=O)エトキシから成る群から選択され、ここで、エトキシは、場合により、ヒドロキシ、塩素、−NMeおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
100およびR200は、水素、メチル、エチル、i−ブト−1−イル、シクロヘキシル、2−メチル−ピペラジン−1−イルおよびフェニルから成る群から独立して選択され、ここで、前記フェニルはメチル、クロロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されている]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0058】
本発明の別の態様は、更に、置換基(この上に挙げたR、R、R、W、YおよびZに好適な置換基を任意組み合わせで包含)がこの上で定義した通りである式(Ib)で表される化合物にも向けたものである。本発明の態様の例を以下の表Iに示す:
【0059】
【化6】

【0060】
式中、Y、R、R100およびR200は、依存して(dependently)、下記の表Iから成る群から選択される:
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
本発明のさらなる態様は、以下の表IIに示す代表的な化合物を包含する:
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
【表7】

【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
【表10】

【0072】
本発明の化合物をまた薬学的に受け入れられる塩の形態で存在させることも可能である。本発明の化合物の塩を薬剤で用いる場合、これは無毒の「薬学的に受け入れられる塩」を指す[International J.Pharm.1986、33、201−217;J.Pharm.Sci.、1997(1月)、66、1、1を参照]。しかしながら、本発明に従う化合物またはこれらの薬学的に受け入れられる塩を調製する時に他の塩も有用であり得る。代表的な有機もしくは無機酸には、これらに限定するものでないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、しゅう酸、パモ酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸またはトリフルオロ酢酸が含まれる。代表的な有機もしくは無機塩基には、これらに限定するものでないが、塩基性もしくはカチオン性塩基、例えばベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛が含まれる。
【0073】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを本発明の範囲内に包含する。そのようなプロドラッグは、一般に、インビボで必要な化合物に容易に変化し得る前記化合物の機能的誘導体である。このように、本発明の治療方法では、用語「投与する」に、具体的に開示した化合物を用いるか或は具体的には開示することができなかったが被験体に投与した後にインビボで指定化合物に変化する化合物を用いて記述したいろいろな疾患を治療することを包含させる。適切なプロドラッグ誘導体を選択および調製する通常の手順は、例えばH.Bundgaard編集、「Design of Prodrugs」、Elsevier(1985)などに記述されている。
【0074】
本発明に従う化合物が不斉中心を少なくとも1つ有する場合、相応して、それらは鏡像異性体として存在する可能性がある。本化合物が不斉中心を2つ以上有する場合、それらは追加的にジアステレオマーとして存在する可能性もある。本発明に従う化合物を製造する過程で立体異性体の混合物が生じる場合には、それらの異性体を通常の技術、例えば調製用クロマトグラフィーなどで分離することができる。本化合物はラセミ形態としてか或は立体特異的合成または分割のいずれかで個々の鏡像異性体またはジアステレオマーとし
て調製可能である。そのような化合物は例えば標準的技術を用いてそれらの成分である鏡像異性体またはジアステレオマーに分割することができ、例えば光学活性塩基などを用いて塩を生じさせることで立体異性体対を生じさせた後に分別結晶化を行いそして遊離酸を再生させることなどでそれらを分割することも可能である。また、立体異性体エステルもしくはアミドを生じさせた後にクロマトグラフィーによる分離を行いそしてキラリティーを持つ補助剤を除去することでそのような化合物の分割を行うことも可能である。別法として、キラルHPLCカラムを用いてそのような化合物の分割を行うことも可能である。それらの立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマーおよび鏡像異性体の全部が本発明の範囲内に包含されると理解されるべきである。
【0075】
本発明の化合物を調製する工程のいずれかの過程で関係する分子のいずれかが有する敏感または反応性基を保護する必要がありそして/または保護するのが望ましい可能性がある。これは通常の保護基、例えば「Protective Groups in Organic Chemistry」、J.F.W.McOmie編集、Plenum Press、1973そしてT.W.Greene & P.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John
Wiley & Sons、1991に記述されている保護基などを用いて達成可能である。このような保護基は本技術分野で公知の方法を用いて後の便利な段階で除去可能である。
【0076】
その上、本化合物が示す結晶形態の数種は同質異像として存在する可能性があり、このように、それらも本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水との溶媒和物(即ち水化物)または通常の有機溶媒との溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0077】
本明細書で用いる如き「アルキル」および「アルコキシ」は、これらを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、特に明記しない限り、炭素原子を1から8個またはこの範囲内のいずれかの数で有する直鎖および分枝鎖を指す。同様に、アルケニルおよびアルキニル基には、炭素原子を2から8個またはこの範囲内のいずれかの数で有する直鎖および分枝鎖アルケンおよびアルキンが含まれ、ここで、アルケニル鎖は鎖中に二重結合を少なくとも1個有し、そしてアルキニル鎖は鎖中に三重結合を少なくとも1個有する。アルコキシ基は、この上に記述した直鎖もしくは分枝鎖アルキル基から生じた酸素エーテルである。
【0078】
本明細書で用いる如き「オキソ」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘わらず、特に明記しない限り、炭素または硫黄原子のいずれかに対するO=を指す。例えば、フタルイミドおよびサッカリンがオキソ置換基を有する化合物の例である。
【0079】
本明細書で用いる如き用語「シクロアルキル」は、場合により置換されていてもよい安定な飽和もしくは部分飽和の環炭素数が3から8、好適には環炭素数が5から7の単環式もしくは二環式環系を指す。そのような環式アルキル環の例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルが含まれる。
【0080】
用語「ベンゾ縮合シクロアルキル」は、環の一方がフェニルでありかつもう一方がこの上で定義した如きシクロアルキルである場合により置換されていてもよい安定な環系を意味する。そのようなベンゾ縮合シクロアルキルの例には、これらに限定するものでないが、インダン、ジヒドロナフタレンおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンが含まれる。
【0081】
本明細書で用いる如き用語「ポリシクロアルキル」は、環を3個以上含有していて場合により置換されていてもよい炭素数が8から12の安定な飽和もしくは部分飽和多環式環系を指す。そのような多環式アルキル環の例には、これらに限定するものでないが、テトラシクロ[5.2.2.0.0]ウンデカニルおよびアダマンチルが含まれる。
【0082】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロシクリル」は、N、OまたはSから選択される1から3個のヘテロ原子と炭素原子で構成されていて場合により置換されていてもよい安定な飽和もしくは部分飽和の5員もしくは6員の単環式もしくは二環式環系を指す。ヘテロシクリル基の例には、これらに限定するものでないが、ピロリニル(2H−ピロール、2−ピロリニルまたは3−ピロリニルを包含)、ピロリジニル、ジオキソラニル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニルまたはピペラジニルが含まれる。このヘテロシクリル基は結果として安定な構造をもたらすヘテロ原子または炭素原子のいずれの所で結合していてもよい。
【0083】
本明細書で用いる如き用語「ベンゾ縮合複素環」または基「ベンゾ縮合ヘテロシクリル」は、環の一方がフェニルでありそしてもう一方がN、OまたはSから選択される1から3個のヘテロ原子と炭素原子で構成されている安定な飽和もしくは部分飽和の5員もしくは6員の単環式もしくは8から10員の二環式環系である、場合により置換されていてもよい安定な環構造を指す。ベンゾ縮合ヘテロシクリル基の例には、これらに限定するものでないが、インドリン、イソインドリンおよび1,2,3,4−テトラヒドロキノリンが含まれる。
【0084】
本明細書で用いる如き用語「アリール」は、炭素原子で構成されていて場合により置換されていてもよい芳香基を指し、それには安定な6員の単環式または10員の二環式芳香環系が含まれる。アリール基の例には、これらに限定するものでないが、フェニルまたはナフタレニルが含まれる。
【0085】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロアリール」は、N、OまたはSから選択される1から3個のヘテロ原子と炭素で構成されている安定な5員もしくは6員の単環式芳香環系またはベンゾ縮合している9員もしくは10員の複素芳香環系を表す。このヘテロアリール基は結果として安定な構造をもたらすヘテロ原子または炭素原子のいずれの所で結合していてもよい。
【0086】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロアリール縮合ヘテロシクリル」は、1つの環がN、OまたはSから選択される1から3個のヘテロ原子と炭素原子で構成されている5員もしくは6員の芳香環でありそして2番目の環がN、OまたはSから選択される1から3個のヘテロ原子と炭素原子で構成されている安定な5員もしくは6員の飽和もしくは部分飽和環である、場合により置換されていてもよい安定な二環式環構造を表す。
【0087】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロアリール縮合シクロアルキル」は、一方の環がN、OまたはSから選択される1から3個のヘテロ原子と炭素原子で構成されている5員もしくは6員の芳香環でありそしてもう一方の環が環炭素を3から8個、好適には環炭素を5から7個含有する飽和もしくは部分飽和環である、場合により置換されていてもよい安定な二環式環構造を表す。
【0088】
用語「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基(例えばベンジル、フェネチル)を意味する。用語「アリールアルコキシ」は、アリール基で置換されているアルコキシ基(例えばベンジルオキシ、フェネトキシなど)を示す。同様に、用語「アリールオキシ」は、アリール基で置換されているオキシ基(例えばフェノキシ)を示す

【0089】
用語「アルキル」または「アリール」またはこれらの接頭辞根のいずれかが置換基の名称に現れる場合(例えばアラルキル、アルキルアミノ)にはいつでも、それにこの上に「アルキル」および「アリール」に関して与えた範囲を包含させると解釈されるべきである。示した炭素原子数(例えばC−C)は、独立して、アルキルもしくはシクロアルキル部分の、またはアルキルがその中で接頭辞根として現れるより大きな置換基のアルキル部分の炭素原子の数を指す。
【0090】
用語「シクロアルキルオキシ」および「ポリシクロアルキルオキシ」は、これらを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、上述したシクロアルキルまたはポリシクロアルキル基の酸素エーテル基を表す。
【0091】
分子中の個々の位置の如何なる置換基または変数の定義もその分子の中の他の場所の定義から独立していることを意図する。本分野の通常の技術者は、化学的に安定でありかつ本技術分野で公知の技術ばかりでなく本明細書に挙げた方法を用いて容易に合成可能な化合物が得られるように本発明の化合物に持たせる置換基および置換様式を選択することができると理解する。
【0092】
本発明のピリダジノン尿素化合物は、α4β7インテグリン受容体を阻害することで改善されるいろいろなインテグリン媒介性疾患の治療で用いるに有用なα4インテグリン受容体拮抗薬、より詳細にはα4β7インテグリン受容体拮抗薬であり、そのような疾患には、これらに限定するものでないが、炎症性疾患、自己免疫疾患および細胞増殖性疾患が含まれる。
【0093】
本発明の具体例は、薬学的に受け入れられる担体とこの上に記述した化合物のいずれかを含んで成る薬剤組成物である。本発明の具体例は、また、この上に記述した化合物のいずれかと薬学的に受け入れられる担体を混合することで生じさせた薬剤組成物である。本発明のさらなる具体例は薬剤組成物を製造する方法であり、この方法は、この上に記述した化合物のいずれかと薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る。本発明は、また、本発明の1種以上の化合物を薬学的に受け入れられる担体と一緒に含んで成る薬剤組成物も提供する。
【0094】
本発明の一例は、インテグリン媒介性疾患の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であり、この方法は、前記被験体にこの上に記述した化合物または薬剤組成物のいずれかを治療的に有効な量で投与することを含んで成る。また、式(I)で表される化合物をインテグリン媒介性疾患の治療を必要としている被験体におけるそれを治療するための薬剤を製造する目的で用いることも本発明に包含させる。
【0095】
本発明のさらなる例はインテグリン媒介性疾患の治療方法であり、この場合の本化合物の治療的に有効な量は約0.01mg/kg/日から約120mg/kg/日である。
【0096】
本発明の方法に従い、本明細書に記述する薬剤組成物に含める個々の成分を分割した形態または組み合わせた単一形態で治療過程中のいろいろな時間に個別または同時に投与することも可能である。従って、本発明はそのような同時または交互治療の療法全部を包含すると理解されるべきであり、用語「投与」はそれに応じて解釈されるべきである。
【0097】
本明細書で用いる如き用語「被験体」は、治療、観察または実験の対象である動物、好適には哺乳動物、最も好適には人を指す。
【0098】
本明細書で用いる如き用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求している活性化合物または薬剤が組織系、動物または人に生物学的もしくは医薬的反応(治療を受けさせる病気または疾患の症状の軽減を包含)を引き出す量を意味する。
【0099】
用語「組成物」を本明細書で用いる場合、これに、指定材料を指定量で含んで成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で組み合わせる結果として直接または間接的にもたらされる如何なる生成物も包含させることを意図する。
【0100】
当該化合物がインテグリン媒介性疾患の治療に有用であるか否かは本明細書に示す手順に従って決定可能である。従って、本発明は、インテグリン媒介性疾患の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法を提供し、この方法は、本明細書に定義する如き化合物のいずれかをα4β7 インテグリン受容体を阻害するに有効な量で投与することを含んで成り、ここで、そのような疾患には、これらに限定するものでないが、炎症性疾患、自己免疫疾患および細胞増殖性疾患が含まれる。
【0101】
前記式Iで表される化合物はVLA−4および/またはα4β7インテグリンの作用に拮抗作用を及ぼす能力を有することから、これらはVLA−4およびまたはα4β7がこれらのいろいろな個々のリガンドと結合することによって誘発される症状、疾患または病気を予防または逆転させるに有用である。従って、本拮抗薬は細胞接着プロセスを阻害するが、それには、細胞の活性化、移動、増殖および分化が含まれる。従って、本発明の別の面では、VLA−4および/またはα4β7の結合および細胞の接着および活性化が媒介性する病気または疾患または症状を治療(予防、軽減、改善または抑制を包含)する方法を提供し、この方法は、哺乳動物に式Iで表される化合物を有効量で投与することを含んで成る。そのような病気、疾患、状態または症状は、例えば(1)多発性硬化症、(2)喘息、(3)アレルギー性鼻炎、(4)アレルギー性結膜炎、(5)炎症性肺疾患、(6)関節リウマチ、(7)敗血症性関節炎、(8)I型糖尿病、(9)器官移植拒絶、(10)再狭窄、(11)自家骨髄移植、(12)ウイルス感染の炎症性後遺症、(13)心筋炎、(14)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を包含)、(15)特定種の中毒性および免疫が基になった腎炎、(16)接触皮膚過敏症、(17)乾癬、(18)腫瘍転移、(19)アテローム性動脈硬化症および(20)肝炎である。
【0102】
本化合物がそのような病気または疾患に有用であることは、文献に報告されている動物病気モデルで立証可能である。下記がそのような動物病気モデルの例である:
i)神経脱髄類似多発性硬化症のモデルである実験的アレルギー性脳脊髄炎[例えばT.Yednock他、"Prevention of experimental autoimmuneencephalomyelitis by antibodies against α4β1 integrin." Nature,356,63(1993)およびE.Keszthelyi他,"Evidence for a prolonged role of α4 integrinthroughout active experimental allergic encephalomyelitis." Neurology,47,1053(1996)を参照]
ii)いろいろなフェーズの喘息のモデルとしてのヒツジおよびモルモットにおける気管支過敏性[例えばW.M.Abraham他,"α4 -Integrins mediate antigen-induced latebronchial responses and prolonged airway hyperresponsiveness in sheep." J.Clin.Invest.93,776(1993)およびA.A.Y.MilneおよびP.P.Piper,"Role of VLA-4 integrin inleucocyte recruitment and bronchial hyperresponsiveness in theguinea-pig." Eur.J.Pharmacol.,282,243 (1995)を参照]
iii)炎症性関節炎のモデルとしてのラットにおけるアジュバント誘発関節炎[C.Barbadillo他,"Anti-VLA-4 mAb prevents adjuvant arthritis inLewis rats." Arthr.Rheuma.(Suppl.),36 95 (1993)およびD.Seiffge,"Protectiveeffects of monoclonal antibody to VLA-4 on leukocyte adhesion and courseof disease in adjuvant arthritis in rats." J.Rheumatol.,23,12 (1996)を参照]
iv)NODマウスにおける養子自己免疫糖尿病[J.L.Baron他,"The pathogenesis of adoptive murine autoimmunediabetes requires an interaction between α4 -integrins and vascular celladhesion molecule-1.",J.Clin.Invest.,93,1700 (1994),A.Jakubowski他,"Vascularcell adhesion molecule-Ig fusion protein selectively targets activatedα4-integrin receptors in vivo:Inhibition of autoimmune diabetes in an adoptivetransfer model in nonobese diabetic mice." J.Immunol.,155,938 (1995),およびX.D.Yang他,"Involvement of β7 integrin and mucosal addressin cell adhesionmolecule-1 (MadCAM-1) in the development of diabetes in nonobese diabeticmice",Diabetes,46,1542 (1997)を参照]
v)器官移植のモデルとしてのマウスにおける心臓同種移植片生存[M.Isobe他,"Effect of anti-VCAM-1 and anti-VLA-4 monoclonalantibodies on cardiac allograft survival and response to soluble antigens inmice.",Tranplant.Proc.,26,867 (1994) および S.Molossi 他,"Blockade ofvery late antigen-4 integrin binding to fibronectin with connecting segment-1peptide reduces accelerated coronary arteripathy in rabbit cardiacallografts." J.Clin Invest.,95,2601 (1995)を参照]
vi)炎症性腸疾患の1形態であるヒト潰瘍性大腸炎に似たワタボウシタマリンにおける自然発症性慢性大腸炎[D.K.Podolsky他,"Attenuation of colitis in the Cotton-top tamarinby anti-α4 integrin monoclonal antibody.",J.Clin.Invest.,92,372 (1993)を参照]
vii)皮膚アレルギー反応のモデルとしての接触過敏症モデル[T.A.Ferguson および T.S.Kupper,"Antigen-independent processes inantigen-specific immunity.",J.Immunol.,150,1172 (1993)および P.L.Chisholm他,"Monoclonalantibodies to the integrin α-4 subunit inhibit the murine contacthypersensitivity response." Eur.J.Immunol.,23,682 (1993)を参照]
viii)急性腎毒性腎炎[M.S.Mulligan他,"Requirements for leukocyte adhesion
molecules innephrotoxic nephritis.",J.Clin.Invest.,91,577 (1993)を参照]
ix)腫瘍転移[例えばM.Edward,"Integrins and other adhesion molecules involved inmelanocytic tumor progression.",Curr.Opin.Oncol.,7,185 (1995)を参照]
x)実験的自己免疫甲状腺炎[R.W.McMurray他,"The role of α4 integrin and intercellularadhesion molecule-1 (ICAM-1) in murine experimental autoimmunethyroiditis." Autoimmunity,23,9 (1996)を参照]
xi)ラットにおける動脈閉塞後の虚血性組織損傷[F.Squadrito他、 "Leukocyte integrin very late antigen-4/vascularcell adhesion molecule-1 adhesion pathway in splanchnic artery occlusionshock." Eur.J.Pharmacol.,318,153 (1996)を参照]、および
xii)VLA−4抗体によるTH2 T細胞サイトカイン産生(IL−4およびIL−5を包含)の阻害(これによってアレルギー反応が減衰するであろう)[J.Clinical Investigation 100,3083 (1997)]、
xiii)Shigematsu,T.,Specian,R.D.,Wolf,R.E.,Grisham,M.B.,および Granger,D.N.MADCAMmediates lymphocyte - endothelial cell adhesion in a murine model of chroniccolitis. Am.J.Physiol.Gastrointest..Liver Physiol.,281:G1309-13015,2001.
xiv) Picarella,D.,Hurlbut,P.,Torrman,J.,Shi,X.,Butcher,E.,およびRingler,D.J.Monoclonalantibodies specific for β7 integrin and mucosal addressin cell adhesionmolecule-1 (MAdCAM-1) reduce inflammation in the colon of scid micereconstituted with CD45RBhigh CD4+ T cells.J.Immuol.,158:2099-2106.1997.
xv) Hesterberg,P.E.,Winsor-Hines,D.,Briskin,M.J.他,Rapid resolutionof chronic colitis in the cotton-top tamarin with an antibody to a gut-homingintegrin α4β7. Gastroenterology,111:1373-1380,1996.
xvi) Gordon,F.H.,Lai,C.W.Y.,Hamilton,M.I.,Allison,M.C.,Srivastava,E.D.,Foutweather,M.G.,Donoghue,S.,Greenlee,C.,Subhani,J.,Amlot,P.L.およびPounder,R.E.Arandomized placebo-controlled trial of a humanized monoclonal antibody to α4integrin in active Crohn’s disease.Gastroenterology,121:268-274,2001.
xvii) Ghosh,S.,Goldin,e.,Gordon,F.H.,Malchow,H.A.,Rask-madsen,J.,Rutgeerts,P.,Vyhnalek,P.,Zadorova,Z,Palmer,TおよびDonoghue,S.Natalizumab for active Crohn’s disease.New Engl.J.Med.,348:24-32,2003。
【0103】
式Iで表される化合物は、式Iで表される化合物が有用である病気または状態の治療/予防/抑制または改善で用いられる他の薬剤と組み合わせて使用可能である。そのような他の薬剤はこれらに通常用いられる経路および量で式Iで表される化合物と同時または逐次的に投与可能である。式Iで表される化合物を他の1種以上の薬剤と同時に用いる場合、式Iで表される化合物に加えてそのような他の薬剤も含有させた薬剤組成物が好適である。従って、本発明の薬剤組成物には、式Iで表される化合物に加えてまた他の1種以上の活性材料も含有する薬剤組成物が含まれる。式Iで表される化合物と組み合わせて使用(個別にか或は同じ薬剤組成物に入れて投与)可能な他の活性材料の例には、これらに限定するものでないが、(a) 米国特許第5,510,332,WO97/03094,WO97/02289,WO96/40781,WO96/22966,WO96/20216,WO96/01644,WO96/06108,WO95/15973および WO96/31206に記述されている如き他のVLA−4拮抗薬; (b)ステロイド、例えばベクロメタゾン(beclomethasone),メチルプレドニゾロン(methylprednisolone),ベタメタゾン(betamethasone),プレドニゾン(prednisone),デキサメタゾン(dexamethasone)およびヒドロコルチゾン(hydrocortisone); (c) 免疫抑制薬、例えばFK-506 型免疫抑制薬; (d) 抗ヒスタミン薬(H1-ヒスタミン拮抗薬)、例えばブロモフェニラミン(bromopheniramine),クロルフェニラミン(chlorpheniramine),デクスクロルフェニラミン(dexchlorpheniramine),トリプロリジン(triprolidine),クレマスチン(clemastine),ジフェンヒドラミン(diphenhydramine),ジフェニルピラリン(diphenylpyraline),トリペレナミン(tripelennamine),ヒドロキシジン(hydroxyzine),メチジラジン(methdilazine),プロメタジン(promethazine),トリメプラジン(trimeprazine),アザタジン(azatadine),シプロヘプタジン(cyproheptadine),アンタゾリン(antazoline),フェニラミンピリラミン(pheniraminepyrilamine),アステミゾール(astemizole),テルフェナジン(terfenadine),ロラタジン(loratadine),セトリジン(cetirizine),フェキソフェナジン(fexofenadine),デスカルボエトキシロラタジン(descarboethoxyloratadine)など;(e)非ステロイド系抗喘息薬、例えばb2-作動薬[テルブタリン(terbutaline),メタプロテレノール(metaproterenol),フェノテロール(fenoterol),イソエタリン(isoetharine),アルブテロール(albuterol),ビトルテロール(bitolterol),サルメテロール(salmeterol)およびピルブテロール(pirbuterol)],テオフィリン(theophylline),クロモリンナトリウム(cromolyn sodium),アトロピン(atropine),イプラトロピウムブロマイド(ipratropiumbromide),ロイコトリエン拮抗薬[ザフィルロカスト(zafirlukast),モンテロカスト(montelukast),プランロカスト(pranlukast),イラロカスト(iralukast),ポビロカスト(pobilukast),SKB-106,203],ロイコトリエン生合成阻害剤[ジロイトン(zileuton),BAY-1005];(f)非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs)、例えばプロピオン酸誘導体[アルミノプロフェン(alminoprofen),ベノキサプロフェン(benoxaprofen),ブクロキシックアシッド(bucloxicacid),カプロフェン(carprofen),フェンブフェン(fenbufen),フェノプロフェン(fenoprofen),フルプロフェン(fluprofen),フルルビプロフェン(flurbiprofen),イブプロフェン(ibuprofen),インドプロフェン(indoprofen),ケトプロフェン(ketoprofen),ミロプロフェン(miroprofen),ナプロキセン(naproxen),オキサプロジン(oxaprozin),ピルプロフェン(pirprofen),プラノプロフェン(pranoprofen),スプロフェン(suprofen),チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン(tioxaprofen)],酢酸誘導体[インドメタシン(indomethacin),ア
セメタシン(acemetacin),アルクロフェナック(alclofenac),クリダナック(clidanac),ジクロフェナック(diclofenac),フェンクロフェナック(fenclofenac),フェンクロジックアシッド(fenclozicacid),フェンチアザック(fentiazac),フロフェナック(furofenac),イブフェナック(ibufenac),イソキセパック(isoxepac),オキシピナック(oxpinac),スリンダック(sulindac),チオピナック(tiopinac),トルメチン(tolmetin),ジドメタシン(zidometacin)およびゾメピラック(zomepirac)],フェナム酸誘導体[フルフェナム酸(flufenamic acid),メクロフェナム酸(meclofenamic acid),メフェナム酸,ニフルム酸およびトルフェナム酸],ビフェニルカルボン酸誘導体[ジフルニサール(diflunisal)およびフルフェニサール(flufenisal)],オキシカムス(oxicams)[イソキシカム(isoxicam),ピロキシカム(piroxicam),スドキシカム(sudoxicam)およびテノキシカム(tenoxican)],サリシレート[アセチルサリチル酸,スルファサラジン(sulfasalazine)]およびピラゾロン[アパゾン(apazone),ベズピペリロン(bezpiperylon),フェプラゾン(feprazone),モフェブタゾン(mofebutazone),オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone),フェニルブタゾン(phenylbutazone)];(g)シクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2)阻害剤、例えばセレコキシブ(celecoxib),ロフェコキシブ(rofecoxib)およびパレコキシブ(parecoxib);(h)ホスホジエステラーゼタイプIV(PDE-IV)の阻害剤;(i)ケモカイン受容体の拮抗薬、特にCCR-1,CCR-2およびCCR-3;(j)コレステロール低下薬、例えばHMG-CoA 還元酵素阻害剤[ロバスタチン(lovastatin),シムバスタチン(simvastatin),プラバスタチン(pravastatin),フルバスタチン(fluvastatin),アトルバスタチン(atorvastatin)および他のスタチン],抑制薬[コレスチラミン(cholestyramine)およびコレスチポール(colestipol)],ニコチン酸、フェノフィブリックアシッド(fenofibricacid)誘導体[ゲムフィブロジル(gemfibrozil),クロフィブラット(clofibrat),フェノフィブラート(fenofibrate)およびベンザフィブラート(benzafibrate)]およびプロブコール(probucol);(k)抗糖尿病薬、例えばインスリン,スルホニル尿素,ビグアニド[メトフォルミン(metformin)],a-グルコシダーゼ阻害剤[アカルボース(acarbose)]、およびグリタゾン(glitazones)[トログリタゾン(troglitazone),ピオグリタゾン(pioglitazone),エングリタゾン(englitazone),MCC-555,BRL49653など];(1)TNFを妨害する薬剤、例えばTNFに対する抗体 (REMICADE(R)) または可溶TNF受容体に対する抗体(例えばENBREL(R));(m)抗コリン作用薬、例えばムスカリン拮抗薬[イプラトロピウム(ipratropium)およびチアトロピウム(tiatropium)];(n)腸運動を遅くする薬剤、例えば麻酔作用薬(即ちLOPERAMIDE(R)),セロトニン受容体拮抗薬(ALOSERTON,ODANSETRONなど) (o) 他の化合物、例えば5-アミノサリチル酸およびこれのプロドラッグ,抗代謝薬、例えばアザチオプリン(azathioprine)および6-メルカプトプリンなど、および細胞毒性癌化学療法薬が含まれる。
【0104】
前記式Iで表される化合物と前記2番目の活性材料の重量比は多様であり得、各材料の有効量に依存する。一般的には、各々を有効量で用いる。このように、例えば、式Iで表される化合物をNSAIDと組み合わせる場合、前記式Iで表される化合物とNSAIDの重量比を一般に約1000:1から約1:1000、好適には約200:1から約1:200の範囲にする。式Iで表される化合物と他の活性材料の組み合わせもまた一般に上述した範囲内にするが、各場合とも、各活性材料を有効量で用いるべきである。
【0105】
従って、本発明の化合物は通常の如何なる投与経路で投与されてもよく、そのような投与経路には、これらに限定するものでないが、経口、鼻、肺、舌下、眼、経皮、直腸、膣および非経口(即ち皮下、筋肉内、皮内、静脈内など)が含まれる。
【0106】
本発明の薬剤組成物を調製する時、式(I)で表される1種以上の化合物またはこれの塩を活性材料として薬学的担体と一緒に通常の薬剤配合技術に従って密に混合するが、そのような担体は投与(例えば経口または非経口)で望まれる製剤の形態に応じて幅広く態様な形態を取り得る。適切な薬学的に受け入れられる担体は本技術分野で良く知られてい
る。そのような薬学的に受け入れられる担体のいくつかの記述をAmerican Pharmaceutical AssociationおよびPharmaceutical Society of Great Britainが出版した「The Handbook of Pharmaceutical Excipients」に見ることができる。
【0107】
薬剤組成物を調合する方法はいろいろな出版物、例えばLieberman他が編集した「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」、第2版、Revised and Expanded、1−3巻、Avis他が編集した「Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications」、1−2巻、そしてLieberman他が編集してMarcel Dekker,Inc.が出版した「Pharmaceutical Dosage
Forms:Disperse Systems」、1−2巻などに記述されている。
【0108】
本発明の薬剤組成物を経口、局所および非経口投与用の液状投薬形態で調製する時、通常の薬学的媒体または賦形剤のいずれも使用可能である。このように、液状投薬形態物、例えば懸濁液(即ちコロイド、乳液および分散液)および溶液の場合の適切な担体および添加剤には、これらに限定するものでないが、薬学的に受け入れられる湿潤剤、分散剤、凝集剤、増粘剤、pH調節剤(即ち緩衝剤)、浸透剤、着色剤、風味剤、香料、防腐剤(即ち微生物の増殖などを制御する)が含まれ、そして液状の媒体を用いることができる。この上に挙げた成分は必ずしも全部が液状投薬形態物の各々で必要であるとは限らない。
【0109】
固体状の経口製剤、例えば再構成もしくは吸入用乾燥粉末、顆粒、カプセル、カプレット、ゲルカップ、ピルおよび錠剤(各々に瞬時放出、好機放出および徐放製剤が含まれる)などの場合に適切な担体および添加剤には、これらに限定するものでないが、希釈剤、顆粒剤、滑沢剤、結合剤、グライダント(glidants)、崩壊剤などが含まれる。錠剤およびカプセルは投与が容易なことから最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の薬学的担体を用いる。望まれるならば、錠剤に糖被覆、ゼラチン被覆、膜被覆または腸溶被膜による被覆を標準的な技術で受けさせてもよい。
【0110】
本明細書に示す薬剤組成物、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射液、茶サジ1杯などの投薬単位当たりの活性材料含有量は、前記活性材料をこの上に記述した如き有効量で送達(deliver)するに必要な量である。本明細書に示す薬剤組成物、例えば錠剤、カプセル、粉末、注射液、座薬、茶サジ1杯などの単位投薬1単位当たりの含有量を約0.01mg/kgから約300mg/kg(好適には約0.01mg/kgから約100mg/kg、より好適には約0.01mg/kgから約30mg/kg)にして、約0.01mg/kg/日から約300mg/kg/日(好適には約0.01mg/kg/日から約100mg/kg/日、より好適には約0.01mg/kg/日から約30mg/kg/日)の投薬量で投与してもよい。本明細書で定義する如き化合物のいずれかを用いて本発明に記述するインテグリン媒介性疾患を治療する方法では、その投薬形態物に好適には薬学的に受け入れられる担体を含有させ、それに本化合物を約0.01mgから約100mg、より好適には約5mgから約50mg含有させ、そしてそれを選択した投与様式に適した如何なる形態に構成してもよい。しかしながら、その投薬は当該被験体の要求、治療すべき状態のひどさおよび使用する化合物に応じて変わり得る。毎日の投与またはポストペリオディック(post−periodic)投与のいずれの使用も利用可能である。
【0111】
本組成物を好適には経口、鼻孔内、舌下、眼内、経皮、非経口、腸、膣、乾燥粉末の吸入または他の吸入または通気手段による投与に適した単位投薬形態、例えば錠剤、ピル、カプセル、再構成または吸入用乾燥粉末、顆粒、ロゼンジ、非経口用無菌溶液もしくは懸
濁液、計量されたエーロゾルもしくは液体スプレー、滴、アンプル、自己皮下注射器または座薬などの形態にする。別法として、本組成物を週に1回または月に1回の投与に適した形態で提供することも可能であり、例えば、筋肉内注射に適した持続性製剤(depot preparation)を提供する時には本活性化合物の不溶塩、例えばデカン酸塩などが適合し得る。
【0112】
固体状の薬剤組成物、例えば錠剤などを調製する場合には、主要な活性材料を薬学的担体、例えば通常の錠剤用材料、例えば希釈剤、結合剤、接着剤、崩壊剤、滑沢剤、抗癒着剤およびグライダントなどと一緒に混合する。適切な希釈剤には、これらに限定するものでないが、澱粉(即ち、加水分解を受けさせておいてもよいトウモロコシ、小麦またはジャガイモ澱粉)、ラクトース(顆粒品、スプレー乾燥品または無水品)、スクロース、スクロースが基になった希釈剤(菓子製造人の糖、スクロースに加えて約7から10重量パーセントの転化糖、スクロースに加えて約3重量パーセントの改質デキストリン、スクロースに加えて転化糖、即ち約4重量パーセントの転化糖、約0.1から0.2重量パーセントのコーンスターチおよびステアリン酸マグネシウム)、デキストロース、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース[即ちFMC Corp.から入手可能なAVICEL(商標)微結晶性セルロース]、燐酸ジカルシウム、硫酸カルシウム二水化物、乳酸カルシウム三水化物などが含まれる。適切な結合剤および接着剤には、これらに限定するものでないが、アカシアゴム、グアーゴム、トラガカントゴム、スクロース、ゼラチン、グルコース、澱粉およびセルロース系(即ちメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、水溶性もしくは分散性結合剤(即ちアルギン酸およびこれの塩、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ヒドロキシエチルセルロース[即ちHoechst Celaneseから入手可能なTYLOSE(商標)]、ポリエチレングリコール、多糖酸、ベントナイト、ポリビニルピロリドン、ポリメタアクリレートおよび前以てゼラチン状にしておいた澱粉)などが含まれる。適切な崩壊剤には、これらに限定するものでないが、澱粉(トウモロコシ、ジャガイモなど)、澱粉グリコール酸ナトリウム、前以てゼラチン状にしておいた澱粉、粘土(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、セルロース(例えば架橋させたナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび微結晶性セルロース)、アルギネート、前以てゼラチン状にしておいた澱粉(即ちコーンスターチなど)、ゴム(即ちアガー、グアー、ロカストビーン、カラヤ、ペクチンおよびトラガカントゴム)、架橋させたポリビニルピロリドンなどが含まれる。適切な滑沢剤および抗癒着剤には、これらに限定するものでないが、ステアリン酸塩(マグネシウム、カルシウムおよびナトリウム)、ステアリン酸、タルクワックス、ステアロウエット(stearowet)、ホウ酸、塩化ナトリウム、DL−ロイシン、カルボワックス4000、カルボワックス6000、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムなどが含まれる。適切なグライダントには、これらに限定するものでないが、タルク、コーンスターチ、シリカ[即ちCabotから入手可能CAB−O−SIL(商標)シリカ、W.R.Grace/Davisonから入手可能なSYLOID(商標)シリカおよびDegussaから入手可能なAEROSIL(商標)シリカ]などが含まれる。経口投薬形態物の風味を向上させる目的でかみ砕くことができる固体状投薬形態物に甘味剤および風味剤を添加してもよい。加うるに、薬剤の識別を容易にするか或は美的目的で着色剤およびコーティングを固体状投薬形態物に添加または付着させてもよい。このような担体を薬学的活性剤と一緒に調合することで正確で適切な用量の前記薬学的活性剤に治療的放出プロファイルを持たせる。
【0113】
一般的には、そのような担体を薬学的活性剤と一緒に混合して本発明の薬学的活性剤またはこれの薬学的に受け入れられる塩の均一な混合物を含有する固体状の予備調合組成物(preformulation composition)を生じさせる。一般的には、3種類の一般的方法、即ち(a)湿式顆粒、(b)乾式顆粒および(c)乾式ブレンド
の中の1つを用いて予備調合物を生じさせる。そのような予備調合組成物が均一であると述べる場合、これは、前記組成物を等しく有効な投薬形態物、例えば錠剤、ピルおよびカプセルなどに容易に細分可能なように活性材料が前記組成物の全体に渡ってむらなく分散していることを意味する。次に、この固体状の予備調合組成物を細分して本発明の活性材料の含有量が約0.01mgから約500mgの前記種類の単位投薬形態にする。本新規な組成物を含有させる錠剤またはピルをまた徐放製品または二重放出製品がもたらされるように多層錠剤またはピルの状態で調製することも可能である。例えば、二重放出錠剤またはピルは内部の投薬成分と外側の投薬成分を含んで成っていてもよく、後者をこれが前者を封じ込めている形態にする。この2つの成分を腸溶層[これは胃の中で起こる崩壊に抵抗しかつ前記内部の成分が無傷のまま通過して十二指腸の中に入ることを可能にする働きするか或は放出を遅らせる働きをする]で分離してもよい。そのような腸溶層または被膜としていろいろな材料を用いることができ、そのような材料にはいろいろな高分子量材料、例えばシェラック、酢酸セルロース(即ちセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート)、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、メタアクリレートおよびエチルアクリレート共重合体、メタアクリレートおよびメチルメタアクリレート共重合体などが含まれる。また、溶液に若干溶解または不溶な物質(湿式顆粒の場合には結合剤として働く)または低融点の固体を溶融形態(湿式顆粒の時に活性材料を取り込み得る)として用いた膜被覆または湿式顆粒によって徐放性錠剤を生じさせることも可能である。そのような材料には、天然および合成の重合体、蝋、水添油、脂肪酸およびアルコール(即ち蜜蝋、カルバウナ蝋、セチルアルコール、セチルステアリルアルコールなど)、脂肪酸エステル、金属石鹸、そして長期もしくは徐放性製品が達成されるように顆粒、被覆、捕捉または他の様式で活性材料の溶解度を制限する目的で使用可能で受け入れられる他の材料が含まれる。
【0114】
経口または注射による投与の目的で本発明の新規な組成物を混合することができる液状形態には、これらに限定するものでないが、水溶液、適切な風味のシロップ、水性もしくは油懸濁液および風味を付けた乳液(食用油、例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油などばかりでなくエリキシルおよび同様な薬学的媒体を用いた)が含まれる。水性懸濁液で用いるに適した懸濁剤には、合成および天然ゴム、例えばアカシア、アガー、アルギネート(即ちプロピレンアルギネート、アルギン酸ナトリウムなど)、グアー、カラヤ、ロカストビーン、ペクチン、トラガカントおよびキサンタンゴムなど、セルロース系、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、そしてこれらの組み合わせなど、合成重合体、例えばポリビニルピロリドン、カルボマー(即ちカルボキシポリメチレン)およびポリエチレングリコールなど、粘土、例えばベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイトまたはセピオライトなど、そして他の薬学的に受け入れられる懸濁剤、例えばレシチン、ゼラチンなどが含まれる。適切な界面活性剤には、これらに限定するものでないが、ナトリウムドキュセート(docusate)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、オクトキシノール−9、ノノキシノール−10、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキサマー188、ポリオキサマー235およびこれらの組み合わせが含まれる。適切な脱凝集もしくは分散剤には薬剤品質のレシチンが含まれる。適切な凝集剤には、これらに限定するものでないが、簡単な中性電解質(即ち塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、高度に帯電した不溶重合体および高分子電解質種、水溶性の二価もしくは三価イオン[即ちカルシウム塩、みょうばんまたは硫酸塩、クエン酸塩および燐酸塩(これらは製剤の中でpH緩衝剤および凝集剤として一緒に使用可能である)]が含まれる。適切な防腐剤には、これらに限定するものでないが、パラベン(即ちメチル、エチル、n−プロピルおよびn−ブチル)、ソルビン酸、チメロサール、第四級アンモニウム塩、ベンジルアルコール、安息香酸、クロルヘキシジングルコネート、
フェニルエタノールなどが含まれる。液状の薬学的投薬形態物で使用可能な液状媒体は数多く存在するが、しかしながら、個々の投薬形態物で用いる液状媒体は懸濁剤1種または2種以上と相溶すべきである。例えば、非極性の液状媒体、例えば脂肪エステルおよび油である液状媒体などの場合には、これを低いHLB[親水性−親油性バランス]を示す界面活性剤、ステアラルコニウムヘクトライト(stearalkonium hectorite)、水に不溶な樹脂、水に不溶な膜を形成する重合体などの如き懸濁剤と一緒に最良に用いる。逆に、極性のある液体、例えば水、アルコール、ポリオールおよびグリコールなどの場合には、これをより高いHLBを示す界面活性剤、粘土であるケイ酸塩、ゴム、水溶性セルロース、水溶性重合体などの如き懸濁剤と一緒に最良に用いる。非経口投与の場合の懸濁液および溶液は無菌であることが望まれる。非経口投与で用いるに有効な液状形態には無菌の溶液、乳液および懸濁液が含まれる。静脈内投与が望まれる時には一般に適切な防腐剤を含有する等張性製剤を用いる。
【0115】
その上、本発明の化合物は、適切な鼻孔内媒体を局所的に用いることによる鼻孔内投薬形態でか或は経皮皮膚パッチを用いることでも投与可能であり、それの組成は本分野の通常の技術者に良く知られている。これを経皮送達システムの形態で投与すべき時には、勿論、投与する治療用量は投薬療法の全体に渡って断続的ではなくむしろ連続的であろう。
【0116】
本発明の化合物をまたリポソーム送達システム、例えば小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクル、多層ベシクルなどの形態で投与することも可能である。リポソームはいろいろな燐脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミン、ホスファチジルコリンなどで生成可能である。
【0117】
本発明の化合物の送達をまたモノクローナル抗体を個々の担体(これに本化合物の分子を結合させておく)として用いて行うことも可能である。また、本発明の化合物を標的可能薬剤担体としての可溶重合体と結合させておくことも可能である。そのような重合体には、これらに限定するものでないが、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキサイドポリリシンなどが含まれ得る。更に、本発明の化合物を薬剤の徐放の達成で用いるに有用な種類の生分解性重合体、例えばラクチド(乳酸のd−、l−およびメソラクチドが含まれる)のホモ重合体および共重合体(これは、2種以上の化学的に区別可能な繰り返し単位を含有する重合体を意味する)、グリコリド(グリコール酸を包含)、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、1,4−ジオキセパン−2−オン(これの二量体である1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンを包含)、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、そしてヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体、そしてこれらの混合物などと結合させておいてもよい。
【0118】
本発明の化合物はインテグリン媒介性疾患の治療を要する被験体が要求する場合にはいつでもこの上に示した組成物および投薬療法のいずれかでか或は本技術分野で確立されている組成物および投薬療法を用いて投与可能である。
【0119】
本発明の薬剤組成物の1日当たりの投与量は成人一人当たり約0.7mgから約21,000mg/日の幅広い範囲に渡って多様であり得るが、その投与量を好適には成人一人当たり約0.7mgから約7000mg/日の範囲、最も好適には、その投与量を成人一
人当たり約0.7mgから約2100mg/日の範囲内にする。経口投与の場合には、本組成物を、好適には、治療を受けさせる被験体への投薬量を症状に応じて調整して、本活性材料の含有量が0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250および500ミリグラムの錠剤の形態で提供する。本薬剤の有効量は、通常、本薬剤が体重1kg当たり約0.01mgから約300mg/日の投薬レベルで供給されるような量である。本発明の化合物を有利には日に1回の投与で投与してもよいか、或はその日1日の全投薬量を1日当たり2回、3回または4回に分割した用量で投与してもよい。
【0120】
本分野の技術者は投与すべき最適な投薬量を容易に決定することができるであろうが、それは使用する個々の化合物、投薬の様式、製剤の濃度および病気の進行状態に伴って変わるであろう。加うるに、治療を受けさせるべき個々の被験体に関連した要因の結果として用量を適切な治療レベルに調整する必要もあると思われ、そのような要因には、被験体の年令、体重、食事および投与時間が含まれる。
【0121】
Advanced Chemistry Development,Inc.(トロント、オンタリオ州、カナダ)が供給しているACD/LABSSOFTWARETM Index Name Pro Version 4.5 命名法ソフトウエアプログラムを用いて本発明の化合物の代表的なIUPAC名を引き出した。
【0122】
本明細書、特にスキームおよび実施例で用いる省略形は下記の通りである:
Boc = t−ブトキシカルボニル
BuLi = n−ブチルリチウム
t−BuOH = t−ブタノール
CDI = 1,1’−カルボニルジイミダゾール
CpdまたはCmpd = 化合物
d = 日
DCM = ジクロロメタン
EDC = 塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカ
ルボジイミド
EtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
h = 時
HOBt / HOBT = ヒドロキシベンゾトリアゾール
M = モル規定
MeCN = アセトニトリル
MeOH = メタノール
min = 分
NMM = N−メチルモルホリン
NT = 試験せず
rt/RT = 室温
THF = テトラヒドロフラン
TFA = トリフルオロ酢酸
TsOH = パラ−トルエンスルホン酸
【0123】
一般的合成方法
以下に記述する一般的合成方法に従って本発明の代表的な化合物を合成することができ、それらを以下のスキームにより詳細に示す。これらのスキームは例示であることから、示す化学反応および条件で本発明を制限するとして解釈されるべきでない。これらのスキームで用いるいろいろな出発材料の調製は本技術分野に精通している人の技術の充分に範囲内である。
【0124】
以下のスキームに、本発明の中間体および目標の化合物の調製を可能にする一般的合成方法を記述する。この一般的スキームに従って調製した中間体および本分野の技術者に公知の他の材料、化合物および反応体を用いて追加的代表的化合物およびこれらの立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマーおよび鏡像異性体を合成することができる。そのような化合物、これらの立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマーおよび鏡像異性体の全部を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0125】
本発明の化合物の調製はスキームAに示す方法を用いて実施可能である。フェニルホウ素酸A1(Samanen他、 J.Med.Chem.1988,31,510-516)と4−ハロ−ピリダジノン化合物A2をパラジウム触媒の存在下で連成させることで化合物A3を生じさせることができる。化合物A3をトリメチルシリルジアゾメタンと反応させることでメチルエステル化合物A4に変化させることができる。化合物A4からBoc基を酸性条件下で除去することで相当するアミンを生じさせた後、それにアシル化をCDIなどの如き反応体を用いて受けさせることで化合物A5を得ることができる。
【0126】
【化7】

【0127】
スキームBに示すように、化合物A5をアミン化合物B1と反応させることで尿素を生じさせることができる。次に、前記メチルエステルに鹸化を受けさせることで式B2で表される化合物を生じさせる。
【0128】
【化8】

【0129】
100および/またはR200が場合により置換されていてもよいアリール基の場合
、化合物A5とR100200NHの反応をマイクロ波照射で促進させることができる。前記メチルエステル中間体に鹸化を受けさせることで式B2で表される化合物を生じさせる。
【0130】
スキームCに、アミン化合物C1とイソシアネート化合物C2を塩基性条件下で反応させることによる本発明の尿素の合成を示す。その後、前記中間体尿素とピリダジノン化合物A2の連成をマイクロ波照射下で起こさせることで化合物C3を生じさせる。
【0131】
【化9】

【0132】
具体的合成方法
本発明の代表的な具体的化合物の調製を下記の実施例および反応手順に従って実施したが、反応手順を示す実施例および図は、本発明の理解を補助する目的で例として示すものであり、決して本請求項に挙げる発明を限定するとして解釈されるべきでない。本化合物をまた本発明の追加的化合物を製造する目的で後の実施例で中間体として用いることも可能である。反応のいずれに関しても得る収率を最適にしようとする試みは行わなかった。本分野の技術者は、反応時間、温度、溶媒および/または反応体を常規通り変えることでそのような収率を高くする方法を知っているであろう。
【0133】
反応体を商業源から購入した。水素原子に関する核磁気共鳴(NMR)スペクトルの測定では、Bruker Avance 300(300MHz)スペクトロメータを用い、TMSを内部標準として用いて、示す溶媒中で測定を実施した。値をTMSからダウンフィールドのppm(parts per million)で表す。質量分析(MS)の測定では、エレクトロスプレー技術が用いられているMicromass Platform LCスペクトロメータを(ESI)m/z(M+H)または(ESI)m/z(M−H)のいずれかで用いて測定を実施した。マイクロ波で促進させる反応をCEM
DiscoverまたはPersonal Chemistry Smith Synthesizerいずれかのマイクロ波装置を用いて実施した。立体異性体化合物の特徴付けでは、X線結晶学および本分野の技術者に公知の他の方法を用いてラセミ混合物としてか或は個別のジアステレオマーおよび鏡像異性体として特徴付けすることができる。特に明記しない限り、本実施例で用いる材料は容易に利用できる商業的供給業者から入手したか或は化学合成技術分野の技術者に公知の標準的方法を用いて合成したものである。実施例と実施例の間で変わる置換基は特に明記しない限り水素である。
【実施例1】
【0134】
2−[(イミダゾール−1−カルボニル)−アミノ]−3−[4−(5−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸メチルエステル
【0135】
【化10】

【0136】
化合物1aの調製を4−ボロノ−L−フェニルアラニンを用いてSamanen他、J.Med.Chem.1988,31,510-516の方法で実施した。
【0137】
化合物1a(12.86g、41.6ミリモル)と化合物1b(Cho,S.-D.;Choi,W.-Y.; Yoon,Y.-J.J.Heterocycl.Chem.1996,33,1579-1582) (10.02 g,45.8ミリモル)とトランス−ジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.46 g,2.08ミリモル)の混合物に逐次的にNa2CO3 水溶液(2 M,84 mL,168 ミリモル)そしてCH3CN (84 mL)を加えた。その結果として生じた懸濁液をN2下で還流に1時間加熱した後、23℃に冷却した。この混合物に濃縮をある程度受けさせることで揮発性溶媒を除去した。その結果として得た混合物を1/4の飽和NaHCO3水溶液(200 mL) で希釈した後、Et2O (200 mL)で洗浄した。その有機相に1/4の飽和NaHCO3水溶液(200mL)による逆抽出を受けさせた。その水抽出液を一緒にして0℃に冷却した後、2NのHCl水溶液を添加して酸性にすることでpHを2にした。沈澱してきた固体を真空濾過で集めることで粗化合物1c (15.18 g)を得た。逆相HPLC[(YMC Pack ODS-A カラム,23から43%のCH3CN-水(両方にTFAを0.1%含有)による勾配溶離]で精製化合物1cのサンプルを得た;MSES+ m/z 426 (M+Na)+
【0138】
粗化合物1c(15.18g)をベンゼン:MeOH(7:2、135mL)に入れることで生じさせた溶液にトリメチルシリルジアゾメタン(ヘキサン中2 Mの溶液,28.0 mL,56.0 ミリモル)を加えた。その結果として得た混合物を23℃で17時間撹拌した。この混合物に濃縮を受けさせた後、その残留物をカラムクロマトグラフィー(50から90%のEtOAc-ヘキサンによる勾配溶離)で精製することで化合物1dを白色発泡体として得た (7.83 g); (TOF MS ES+) m/z440 (M+Na)+
【0139】
化合物1d (443 mg,1.06 ミリモル)をCH2Cl2に入れることで生じさせた溶液にTFA(819μL,10.6 ミリモル)を加えた。その結果として生じた溶液を23℃ で3時間撹拌した。その溶液に濃縮を受けさせた後、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シ
リカゲル、2 から10%のMeOH-CH2Cl2による勾配溶離)で精製することで白色発泡体を得た
(539 mg); (TOF MS ES+) m/z318 (M+H)+
【0140】
前記発泡体をCH2Cl2:THF(5:1,6 mL) に入れることで生じさせた溶液に1,1’-カルボニルジイミダゾール(259 mg,1.59ミリモル)を加えた。その結果として生じた溶液を23℃で1時間撹拌した。この混合物に濃縮を受けさせた後、その残留物をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル,2から10%のMeOH- CH2Cl2による勾配溶離)で精製した。表題の化合物1eを白色固体として得た(355 mg).(TOF MS ES+) m/z 412 (M+H)+
【実施例2】
【0141】
2−[(2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−アミノ]−3−[4−(5−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸、化合物8
【0142】
【化11】

【0143】
化合物1e (20.0 μg,48.6 モル)をCH3CN (200 μL)に入れることで生じさせた溶液に(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール(化合物2a)(5.8 μL,58.3 μモル)を加えた。その結果として生じた溶液を23℃で20時間撹拌した。この反応混合物に2NのLiOH水溶液(200μL)を加えた。その結果として生じた溶液を23℃で3時間撹拌した。この混合物を水(400μL)で希釈した後、TFA (100 μL)を添加して酸性にすることでpHを2にした。その酸性にした溶液を逆相HPLC[YMC Pack ODS-A カラム,20から 40% のCH3CN-水(両方にTFAを0.1%含有) による勾配溶離]で精製した。化合物8を白色粉末として得た(12.6 mg).(TOF MSES+) m/z 431 (M+H)+
【0144】
本分野の技術者は、使用する出発材料、反応体1種または2種以上および条件を変えることで本発明の他の化合物を調製することができるであろう。実施例2の手順を用いて下記の化合物を調製した:
【0145】
【表11】

【実施例3】
【0146】
2−(3−ベンジル−3−フェニル−ウレイド)−3−[4−(5−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸、化合物48
【0147】
【化12】

【0148】
化合物1e (32.5 mg,79.0μモル)をアセトニトリル (200μL)に入れることで生じさせた溶液にN−フェニルベンジルアミン (17.4 mg,94.8μモル)を加えた。その結果として生じた溶液をマイクロ波照射(CEM Explorer,130℃,60 W,10 分)で加熱した。その結果として得た混合物にLiOH水溶液 (2 N,200 μL)を加えた。この混合物を23℃で 3.5時間撹拌した。この混合物にトリフルオロ酢酸(62μL)を添加することで酸性にしてpHを2にした。その結果として得た混合物をVarianChem Tube Hydromatrixの詰め物に通して濾過した後、それを1%の酢酸-CH2Cl2(6×500μL)で洗浄した.その濾液に濃縮を受けさせた後、その残留物を逆相HPLCで精製することで化合物48を白色固体として得た (9.6 mg).(MS ES+) m/z 514(M+H)+
【0149】
本分野の技術者は、使用する出発材料、反応体1種または2種以上および条件を変えることで本発明の他の化合物を調製することができるであろう。実施例3の手順を用いて下記の化合物を調製した:
【0150】
【表12】

【実施例4】
【0151】
2−[3−(2−フルオロ−フェニル−ウレイド)−3−{4−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−メトキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル]−フェニル}−プロピオン酸、化合物4
【0152】
【化13】

【0153】
4−ボロノ−L−フェニルアラニン (105 mg,0.500 ミリモル)とアセトニトリル(1 mL)と2Mの炭酸ナトリウム水溶液 (1 mL)の混合物に化合物4a (2-フルオロフェニルイソシアネート) (61.7 μL,0.550 ミリモル)を加えた。その結果として得た混合物を23℃ で 23時間撹拌した。この反応混合物に化合物4b (137.0 mg,0.550 ミリモル)およびトランス−ジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)パラジウム (II) (17.5 mg,25μモル)を加えた。その結果として得た混合物をマイクロ波照射 (CEM Explorer,150℃,6 分,60 ワット)で加熱した。その反応混合物にトリフルオロ酢酸 (1 mL)を添加することで酸性にしてpHを2にした。その結果として得た混合物を濾過した後、その濾液を逆相HPLC
[YMC PackODS-A カラム,28から 48% のアセトニトリル-水(両方にTFAを0.1%含有)による勾配溶離]で精製した。HPLC 画分を集めて、それに1Mの蟻酸アンモニウム水溶液を溶液がpH5に到達するまで加えた。その結果として生じた溶液に凍結乾燥を受けさせることで、化合物4を白色粉末として得た(35.4mg); (TOF MS ES+) m/z 471 (M+H)+
【0154】
本分野の技術者は、使用する出発材料、反応体1種または2種以上および条件を変えることで本発明の他の化合物を調製することができるであろう。実施例4の手順を用いて下記の化合物を調製した:
【0155】
【表13】

【実施例5】
【0156】
2−(3−イソブチル−3−メチル−ウレイド)−3−[4−(5−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸2−ヒドロキシ−エチルエステル
【0157】
【化14】

【0158】
化合物1e (1.18 g,2.88ミリモル,1当量)をアセトニトリル (15 mL)に入れることで生じさせた溶液にN−メチルイソブチルアミン(0.412 mL,3.45 ミリモル,1.2 当量)を加えた。その結果として得た混合物を23°で18時間撹拌した後、濃縮した。残留する無色油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,75から 100%の酢酸エチル−ヘキサンによる勾配溶離)で精製することで化合物5aを白色発泡体として得た(694 mg)。(TOF
MS ES+) m/z 431 (M+H)+1H NMR(CDCl3) 7.87 (s,1H),7.47 (d,2H,J = 8.2 Hz),7.17 (d,2H,J= 8.2 Hz),4.78-4.81 (m,2H),3.89 (s,3H),3.81 (s,3H),3.73 (s,3H),3.15 (d,2H,J= 5.0 Hz),3.03 (d,2H,J = 7.3 Hz),2.86 (s,3H),1.82-1.92 (m,1H),0.87 (d,3H,J= 6.7 Hz),0.86 (d,3H,J = 6.7 Hz)。
【0159】
化合物5a (694 mg,1.61ミリモル,1当量)をメタノール (4mL)とテトラヒドロフラン
(4 mL)の混合物に入れることで生じさせた溶液に2 Nの水酸化リチウム水溶液 (4.03 mL,8.08 ミリモル,5.0 当量)を加えた。その結果として得た曇った無色混合物を23℃で2時間撹拌した。その溶液に濃縮を有る程度受けさせたて有機溶媒を除去した後、残存する混合物に2Nの塩酸水溶液を添加して酸性にすることでpHを2にした。その結果として得た懸濁液にジクロロメタン(3´ 20mL)による抽出を受けさせた。その有機抽出液を一緒にして硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで化合物13を白色発泡体として得た (648 mg).(TOFMS ES+) m/z 417 (M+H)+1H NMR (CD3OD)8.17 (s,1H),7.38 (d,2H,J = 8.3 Hz),7.28 (d,2H,J = 8.2 Hz),4.56(dd,1H,J = 8.7,5.0 Hz),3.93 (s,3H),3.78 (s,3H),2.94-3.26 (m,4H),2.85 (s,3H),1.86-1.93(m,1H),0.84 (d,3H,J = 6.6 Hz),0.83 (d,3H,J = 6.7 Hz)。
【0160】
化合物13 (648 mg,1.56ミリモル)をCH2Cl2(7.8 mL)に入れることで生じさせた溶液に逐次的にエチレングリコール (434μL,7.78 ミリモル),ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィンクロライド(515 mg,2.02 ミリモル)そしてトリエチルアミン (564μL,4.05 ミリモル)を加えた。その結果として得た混合物を23℃で5日間撹拌した。その混合物に濃縮を受けさせた後、その残留物を逆相HPLC[YMC Pack ODS-A カラム,20から40%のアセトニトリル−水(両方にTFAを0.1%含有)による勾配溶離]で精製することで化合物21を白色粉末として得た(448mg).(TOF MS ES+) m/z 461 (M+H)+1H NMR
(CD3OD)8.17 (s,1H),7.38 (d,2H,J = 8.2 Hz),7.28 (d,2H,J = 8.4 Hz),6.21 (d,1H,J= 7.9 Hz),4.52-4.60 (m,1H),4.11-4.24 (m,2H),3.93 (s,3H),3.77 (s,3H),3.68-3.72(m,2H),2.96-3.25 (m,4H),2.86 (s,3H),1.80-1.94 (m,1H),0.84 (d,3H,J = 6.4Hz),0.83 (d,3H,J = 6.7 Hz)。
【実施例6】
【0161】
2−(3,3−ジイソプロピル−ウレイド)−3−[4−(5−メトキシ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸、化合物1
【0162】
【化15】

【0163】
磁気撹拌子を入れておいた10mLのビンに化合物6a(4−ボロノ−L−フェニルアラニン) (110 mg,0.50ミリモル)、4−クロロ−5−メトキシ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン(化合物6b) (79 mg,0.45ミリモル),ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (II) (18 mg,0.025 ミリモル),1.0 Mの炭酸ナトリウム(1.0
mL,1.0ミリモル)およびアセトニトリル (1.0 mL)を仕込んだ。このビンを密封した後、前記混合物をマイクロ波照射下で150℃に10分間加熱した。その粗混合物をTFAで酸性にしそして溶媒を除去した後、逆相HPLC(0.1% TFA H2O/MeCN ,0-20% 勾配)で精製することで化合物6cを白色固体として得た (TFA塩,125 mg).1HNMR (CD3OD) δ: 8.20 (s,1H),7.42 (d,2H),7.35(d,2H),4.24,(dd,1H),3.92 (s,3H),3.80 (s,3H),3.37 (dd,1H),3.14 (dd,1H).MS m/z:M+1 = 304。
【0164】
化合物6c (TFA塩,0.20 g,0.48 ミリモ) をMeOH (8mL)に溶解させた後、SOCl2 (0.2
mL)の存在下で80℃に2時間加熱した。その溶液に濃縮を受けさせた後、その結果として得た固体を飽和NaHCO3水溶液で処理し、そしてCH2Cl2 (3 x 2 mL)で抽出した。その有機相を乾燥 (MgSO4)させ、濾過した後、濃縮して透明なゴムにすることで化合物6dを得た(0.10g).1H NMR (CDCl3) δ: 7.88 (s,1H),7.48(d,2H),7.24 (d,2H),3.90 (s,3H),3.80 (s,3H),3.80 (s,3H),3.77 (dd,1H),3.73 (s,3H),3.15(dd,1H),2.86 (dd,1H).MS m/z:M+1 = 318。
【0165】
化合物6d (32 mg,0.10 ミリモル)をDCM (1 mL)に入れることで生じさせた溶液に塩化ジイソプロピルカルバミル(25mg,0.15 ミリモル)および TEA (0.056 mL,0.40 ミリモル)を加えた。その結果として得た混合物を室温で一晩撹拌した後、NaHCO3水溶液で洗浄し、そして濃縮した。その残留物をMeOH(1 mL)中1.0 MのLiOH (0.30 mL)で2時間処理した。その残留物を2 MのHCl水溶液で酸性にした後、逆相HPLC [20から40%MeCN-H2O(TFAを0.1%含有)の勾配]で精製することで化合物1を白色固体として得た (15 mg).MS m/z430 (M+).1H NMR (CD3OD) δ 8.17 (s,1H),7.38 (d,2H),7.25(d,2H),4.60 (dd,1H,J = 8.7,5.0 Hz),3.89 (s,3H),3.82 (m,2H),3.77 (s,3H),3.27(dd,1H),3.12 (dd,1H),1.16 (d,12H)。
【0166】
生物学的実験実施例
本明細書の以下に記述する生物学的研究で実証しかつ表IIIおよび表IVに示すように、本発明の化合物は、これらに限定するものでないが、炎症性疾患、自己免疫疾患および細胞増殖性疾患を包含するインテグリン媒介性疾患の治療で用いるに有用なα4β1 および α4β7 インテグリン受容体拮抗薬である。
【0167】
(実施例1)
ラモス細胞接着検定(α4β1媒介性接着/VCAM−1)
Immulonの96 穴プレート (Dynex)に0.05 M NaCO3 緩衝液(pH 9.0)中4.0 mg/mLの組換え型hVCAM-1(100mL)による被覆を4℃で一晩受けさせた(R&D Systems)。プレートをPBS
中1 %の BSAで2回洗浄した後、それにブロッキングを室温の前記緩衝液中で1時間受けさせた。PBSを除去した後、試験を受けさせるべき化合物(50mL)を2倍濃度で添加した。5mMのカルセインAM (Molecular Probes)による標識付けを37℃で1時間受けさせておいたラモス細胞 (2 X 106個/mL(50 mL))を各穴に添加した後、室温で1時間接着させた。プレートをPBS+ 1 % BSA で4回洗浄した後、SDSを1%入れておいた100 mLの1 M トリス(pH 8.0)中で細胞を15分間溶解させた。そのプレートに読み取りを485nmの所の励起および530nmの所の発光で受けさせた。その結果として得たデータを表IIIに示す。
【0168】
(実施例2)
α4β−K562細胞接着検定(α4β媒介性接着/MAdCAM−1)
M2抗−FLAG抗体で被覆されている96 穴プレート (Sigma)に100μLのDulbecco PBS(pH7.4)[PBSが1%とMn2+が1mM入っている](PBS−BSA−Mn)に入れておいた組換え型FLAG−hMAdCAM−1による被覆を4℃で2−8μL/穴にして1時間受けさせた。プレートをPBS−BSA−Mnで1回洗浄した。緩衝液を除去した後、試験を受けさせるべき化合物(50mL)を2倍濃度で添加した。ヒトα4β7インテグリンを発現するように安定に導入されたK562細胞 (2 X 106/mL(50 mL ))に100μL/mLのカルボキシメチルフルオレセインジアセテートスクシニミジルエステル(CFDA-SE; Molecular Probes)による標識付けを37℃で15分間受けさせておいて、これを各穴に加えた後、室温で1時間接着させた。プレートをPBS-BSA-Mnで4回洗浄した後、NaOHを0.1M補充しておいた100μLのPBS(Ca2+,Mg2+無し)を添加することで細胞を2分間溶解させた。前記プレートに読み取りを96穴蛍光プレート読み取り装置を485 nmの励起および530 nmの発光で用いて受けさせた。その結果として得たデータを表IVに示す。
【0169】
【表14】

【0170】
【表15】

【0171】
【表16】

【0172】
【表17】

【0173】
(実施例3)
白血球増加のインビボモデル
白血球増加は、循環している白血球の増加である。これは、高内皮静脈上に発現するインテグリンカウンター受容体接着分子と白血球の結合が防止されることによってもたらされ得る。そのような細胞接着は免疫グロブリンスーパーファミリー分子とインテグリンの間で起こる。そのような対になった相互作用の関連例には、それぞれ、細胞内接着分子−1とアルファLベータ2インテグリン、血管細胞接着分子−1とα4β1インテグリン、および粘膜アドレシン細胞接着分子−1とα4β1インテグリンの相互作用が含まれる。
【0174】
このモデルでは、そのような白血球−内皮相互作用に拮抗作用を及ぼす化合物は投与後1−1.5時間の時に測定した時に循環している白血球の増加(白血球増加として定義)をもたらすであろう。そのような白血球増加は、正常なリンパ球もしくは白血球が抹消循環から移動しなくなることの指標である。細胞が循環から炎症を起こした組織に同様に移動することは、そのような炎症状態が進行および持続していることに関係している。白血球増加は、リンパ球および白血球の管外遊出が防止されることの指標でありかつ一般的抗炎症活性の予測である。
【0175】
手順
7−10週齢のメスBalb/cマウス(1グループ当たりn=8)を試験に先立って1週間前に採血し、白血球の数に応じて無作為に分けた。1週間後、前記マウスに試験化合物を経口または皮下投与し、そして薬剤を投与してから1−1.5時間後、即ち当該化合物の血中濃度がピークになってから約1時間後に採血した。250−350ミクロリットルの全血を各マウスから採血してEDTAカリウム血清収集用管(Becton−Dickenson)に入れた後、凝固しないように混合した。
【0176】
Advia 120 Hematology System(Bayer Diagnostics)を用いて、前記全血調製物に関して細胞計数および鑑別計算を実施した。細胞計数を総白血球数および総リンパ球数として実施して、媒体のみを投与したマウスで得た数と比較した。リンパ球数および総白血球数に関するデータを媒体対照に対するパーセントとして報告した。
【0177】
ダネット多重比較検定によるANOVAを用いて統計学的分析を実施した。結果として得たデータを表Vに示す。
【0178】
【表18】

【0179】
(実施例4)
大腸炎のインビボモデル:デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)で誘発させた大腸炎
炎症性腸疾患、例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病などは、腸のバリヤー機能の低下、明らかな炎症性損傷(腸粘膜のびらん性損失を包含し得る)および粘膜および粘膜下層中の炎症性浸潤物で特徴づけられる。
【0180】
化学的に誘発させた実験的大腸炎モデルを用いてそのような疾患のいろいろな面を模擬する。使用可能ないろいろな化学品はとりわけデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)およびトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)である。デキストラン硫酸ナトリウムによる実験的大腸炎モデルは、結腸の長さの収縮、肉眼的炎症性損傷、下痢、炎症性細胞(マクロファージおよび好中球を包含)が粘膜および粘膜下層に浸潤することを伴って遠位結腸の中に断続的粘膜上皮損傷パターンが存在することで特徴づけられる(Blumberg,R.S.,Saubermann,L.J.,および Strober,W.Animal models ofmucosal inflammation and their relation to human inflammatory bowel disease.CurrentOpinion in Immunology,11:648-656,1999; Okayasu,L,Hatakeyama,S.,Yamada,M.,Ohkusa,T.,Inagaki,Y.,およびNakaya,R.A novel method of induction of reliable experimental acute and chroniccolitis in mice.Gastroenterology,98:694-702,1990; Cooper,H.S.,Murthy,S.N.S.,Shah,R.S.,およびSedergran,D.J.Clinicopathologic study of dextran sulfate sodium experimentalmurine colitis.Lab Invest.,69:238-249,1993.; Egger,B.,Bajaj-Elliott,M.,MacDonald,T.T.,Inglin,R.,Eysselein,V.E.,およびBuchler,M.W.Characterization of acute murine dextran sodium sulphate colitis:Cytokineprofile and dose dependency.Digestion,62:240-248,2000.; Stevceva,L.,Pavli,P.,Husband,A.J.,およびDoe,W.F.The inflammatory infiltrate in the acute stage of the dextran sulphatesodium induced colitis:B cell response differs depending on the percentage ofDSS used to induce it.BMC Clinical Pathology,1:3-13,2001.; そしてDiaz-Granados,Howe,K.,Lu,J,および McKay,D.M.Dextran sulfate sodium-induced colonichistopathology,but not altered
epithelial ion transport,is reduced byinhibition of phosphodiesterase activity.Amer.J.Pathology,156:2169-2177,2000.)。
【0181】
方法論
これらの試験でBalb/cメスマウスおよびC57Black/6マウスを用いた。前記Balb/cマウスに水道水にDSS(ICN chemicals)を5%入れることで生じさせた溶液を7日間に渡って自由に与えた。C57Black/6マウスを用いる場合には、水道水にDSSを4%入れることで生じさせた溶液を用いた。次の7日間の間、試験動物に実験化合物の調剤を投与した。この材料を日に1回または2回の割合で経口または腹腔内または皮下投与してもよい。この期間が終了した時点で動物を安楽死させた後、それらの結腸を集めて、さらなる分析を実施した。分析するパラメーターは、と
りわけ、肛門から出発して盲腸の上部に至る結腸の長さ、結腸の中にいくらか存在する排泄物の粘ちょう度、および結腸の肉眼的外観であった。最初の1センチメートルから4センチメートルの間の遠位結腸を取り出して、10%のホルマリン緩衝液中性液に入れて、後で組織学的分析を実施した。
【0182】
結腸の長さ、排泄物の粘ちょう度および外観および肉眼的損傷パラメーターでは変化を記述する目的で下記の採点法を用いた。各動物毎に3種類のスコアを加算することで全体的肉眼的スコアを得る。従って、
排泄物のスコア:0=正常(良好に形成された糞ペレット);1=形状がゆるい湿ったペレット;2=粘着性のある非晶質の湿ったペレット;3=ひどい下痢。
結腸損傷のスコア:0=炎症無し、1=穏やかな発赤炎症;2=中程度の炎症またはより幅広く分布した炎症;3=ひどい炎症および/または広範に分布した炎症。
結腸の長さのスコア:0=短縮度合が<5%;1=短縮度合が5−14%;2=短縮度合が15−24%;3=短縮度合が25−35%;4=短縮度合が>35%。
【0183】
組織の組織学的分析を、パラフィンに埋め込んだ組織断片をヘマトキシリン−エオシン色素で染色することで構成させた。上皮損傷スコアを上皮に損傷があることを示す組織断片の分率として決定した。スコアを下記の如く決定した:0=損傷無し、1=損傷が<1/3、2=損傷が1/3から<2/3、3=損傷が>2/3。結果として得たデータを表VIおよび表VIIに示す。
【0184】
ダネットまたはボンフェローニの多重比較検定によるANOVAが用いられているGraphpad Prism 4.0を用いて統計学的分析を実施した。
【0185】
【表19】

【0186】
【表20】

【0187】
(実施例5)
インビボモデル:トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で誘発させた大腸炎
実験的大腸炎のTNBSモデル(Bobin-Dubigeon,C.,Collin,X.,Grimaud,N.,Robert,J-M.,Guillaume LeBaut,G.,および Petit,J-Y.Effects of tumour necrosis factor-a synthesis inhibitorson rat trinitrobenzene sulphonic acid-induced chronic
colitis.Eur.J.Pharmacology,431:103-110,2001.)は、結腸の収縮、腹腔内漿膜の接着、ひどい創傷および炎症性損傷、下痢、炎症性細胞が浸潤することを伴って遠位結腸の中に連続的粘膜上皮損傷パターンが存在することで特徴づけられる。上述したモデルにおけるそのような症状はヒトの大腸炎に存在するそれに類似している。
【0188】
オスWistarラット(200−250g)に10から20mgのTNBSを30%のエタノールに入れることで生じさせた溶液の500ミクロリットルをカテーテルまたはボールが先端に位置する強制投与用針で肛門から8cmの所まで結腸内送達することで接種する。メスのBalb/cマウス(8−12週齢)を用いる場合には、接種体積を50ミクロリットルにして、2−3mgのTNBSを30%のエタノールに入れてカテーテルまたはボールが先端に位置する強制投与用針で肛門から4cmの所まで結腸内送達した。次の7日間の間、試験動物に実験化合物の調剤を投与した。この材料を日に1回または2回の割合で経口または皮下または腹腔内投与してもよい。この期間が終了した時点で動物を安楽死させた後、それらの結腸を集めて、さらなる分析を実施した。分析するパラメーターは、とりわけ、肛門から出発して盲腸の上部に至る結腸の長さ、結腸の重量、結腸の中にいくらか存在する排泄物の粘ちょう度、腸の漿膜表面上に腹腔内接着が存在するか否か、および結腸の肉眼的外観であった。後者に10ポイントスコアを用いて炎症性損傷の長さおよびひどさに関するスコアを付ける。ラットでは、最初の5センチメートルから8センチメートルの間の遠位結腸を切り取って、10%のホルマリン緩衝液中性液に入れて、後で組織学的分析を実施した。マウスでは、最初の1cmから4cmを集めて、組織学的分析を実施した。
【0189】
結腸の長さ、結腸の重量、排泄物の粘ちょう度および外観および肉眼的損傷パラメーターでは変化を記述する目的で下記の採点法を用いた。各動物毎に4種類のスコアを加算することで全体的スコアを得た。
排泄物のスコア:0=正常(良好に形成された糞ペレット);1=形状がゆるい湿ったペレット;2=粘着性のある非晶質の湿ったペレット;3=出血性下痢。
排泄物に血液が存在する場合、<3のスコアに1ポイントを加えた。
結腸損傷のスコア:0=炎症無し、1=局所的充血;2=1部位に潰瘍化(充血を伴わない);3=1部位に潰瘍と充血;4=2部位以上に潰瘍と充血;5=多数の部位に>1cmに及ぶ損傷;6−10=多数の部位に>2cmに及ぶ損傷;追加的組織障害1cm毎に1ポイントを追加。
結腸の重量のスコア:0=重量上昇が<5%;1=重量上昇が5−14%;2=重量上昇が15−24%;3=重量上昇が25−35%;4=重量上昇が>35%。
結腸の長さのスコア:0=短縮度合が<5%;1=短縮度合が5−14%;2=短縮度合が15−24%;3=短縮度合が25−35%;4=短縮度合が>35%。
【0190】
組織の組織学的分析を、パラフィン−組織をヘマトキシリン−エオシン色素で染色することで構成させた。上皮損傷スコアを上皮に損傷があることを示す組織断片の分率として決定した。スコアを下記の如く決定した:0=損傷無し、1=損傷が<1/3、2=損傷が1/3から<2/3、3=損傷が>2/3。
【0191】
結果として得たデータを表VIIIおよび表IXに示す。ダネットまたはボンフェローニの多重比較検定によるANOVAが用いられているGraphpad Prism 4.0を用いて前記実験に関する統計学的分析を実施した。
【0192】
【表21】

【0193】
【表22】

【0194】
この上の明細書に説明の目的で与えた実施例を伴わせて本発明の原理を教示してきたが、本発明の実施は本請求項およびそれらの相当物の範囲内に入る如き通常の変形、適応および/または修飾形の全部を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、ベンゾ縮合シクロアルキル、ヘテロアリール縮合ヘテロシクリル、ヘテロアリール縮合シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、−NR1020、ハロゲン、ヒドロキシおよび−S(C1−6)アルキルから成る群から選択され、ここで、C1−6アルコキシは、場合により、Rから独立して選択される1から4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、Rは、独立して、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、(C1−6)アルコキシカルボニル、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、1から3個のハロゲン原子およびヒドロキシから成る群から選択され、ここで、
10およびR20は、独立して、水素、C1−6アルキル、アリル、ハロゲン置換C1−6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、アリール(C1−4)アルキル、アリールおよびシクロアルキルから成る群から選択され、加うるに、場合により、R10とR20は、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の単環式環を形成していてもよく、ここで、
のアリールおよびアリールオキシ置換基は、場合により、1から3個のC1−6アルキル置換基、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、アリール(C1−6)アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、C1−6アルコキシカルボニル、アリール(C1−6)アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、−SO(C1−3)アルキル、−SOアリール、−SOヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよび1から3個のハロゲン原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
のヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲンおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
加うるに、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルから成る群から選択
され、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、場合により、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、カルボキシ、1から3個のハロゲン原子、ヒドロキシおよび−C(=O)C1−6アルキルから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
は、独立して、水素、フッ素、塩素およびメチルから成る群から選択され、
は、水素またはC1−3アルキルであるが、但しRがC1−3アルキルであるのはそれがYおよびRとYが結合している原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成している時のみであることを条件とし、
Yは、独立して、ヒドロキシメチル、−C(=O)NH、−C(=O)NH(OH)、−C(=O)NH(C1−6アルキル)、−C(=O)NH(ヒドロキシ(C1−6)アルキル)、−C(=O)N(C1−6アルキル)、−C(=O)NHSO(C1−4)アルキル、カルボキシ、テトラゾリルおよび−C(=O)C1−6アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシは、場合により、ヒドロキシ、−NR3040、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、R30およびR40は、独立して、水素、C1−6アルキル、ヒドロキシおよびヒドロキシ(C1−4)アルキルから成る群から選択され、場合により、前記R30とR40は、これらが結合している原子と一緒になって5員から10員の単環式環を形成していてもよく、Wは、独立して、−C(=O)−および−C(=S)−から成る群から選択され、
100およびR200は、独立して、水素、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシおよびアリールアミノから成る群から選択され、ここで、R100およびR200のアルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキニルおよびアルコキシ置換基は、場合により、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、1から3個のハロゲン原子、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルキルアミノ、ジ(C1−6)アルキルアミノ、−C(=O)アミノおよび−C(=O)C1−6アルコキシから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、ここで、
前記アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ポリシクロアルキルおよびヘテロアリールから成る群から選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、加うるに、場合により、前記ヘテロシクリルは1から3個のオキソ置換基で置換されていてもよく、ここで、
前記R100およびR200のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、場合により、C1−6アルキル、トリフルオロアルキル、C1−6アルコキシ、トリフルオロアルコキシ、ハロゲン、アリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシ、ポリシクロアルキルおよびヘテロアリールから成る群から独立して選択される1から4個の置換基で置換されていてもよく、加うるに、場合により、ヘテロシクリルは1から3個のオキソ置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
場合により、R100とR200は、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から10員の複素環または9員から10員のベンゾ縮合複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ポリシクロアルキルまたはおよびオキソから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩。
【請求項2】
式(I)において、
が独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンゾ縮合シクロアルキル、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、−NR1020、ハロゲン、ヒドロキシおよび−S(C1−6)アルキルから成る群から選択され、ここで、RのC1−4アルコキシが場合によりRから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、
が独立してアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、1から3個のハロゲン原子およびヒドロキシから成る群から選択され、ここで、
10およびR20が独立して水素、C1−6アルキル、アリル、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、加うるに、場合により、R10とR20がこれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の単環式環を形成していてもよく、ここで、
のアリールおよびアリールオキシ置換基が場合によりC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、−SO(C1−3)アルキル、−SOアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびハロゲンから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
のヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基が場合によりC1−6アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
加うるに、場合により、RとRがこれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよい、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が独立して水素、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエト−1−オキシ、イソ−プロポキシ、イソ−ブトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロ−エト−1−オキシ、ベンジルオキシ、シクロプロピルメトキシ、ピリジン−3−イルメトキシ、(1−メチル)−ピロリジニル−3−オキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、インダゾール−1−イル、チオフェン−3−イル、[1,3]ベンゾジオキソール−5−イル、(2−メチル)−イミダゾール−1−イル、(1−メチル)−ピペリジン−4−イルオキシ、2−(モルホリン−4−イル)−エトキシ、(4−ブロモ)−ピラゾール−1−イル、N−ピロリジニル、(3,5−ジメチル)−ピラゾール−1−イル、モルホリン−4−イル、ヒドロキシ、−(OCHCHOH、フェニル(場合により−SOMe、−C(=O)NH、−OCF、−CF、シアノ、フルオロおよびメトキシから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい)、アミノ、シクロプロピルアミノ、アリルアミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、クロロおよび−SMeから成る群から選択され、そして場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニルを形成していてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がメトキシである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RとRがこれらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒
になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が独立して水素、C1−4アルコキシ、アミノまたはアルキルアミノから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が独立して水素、C1−6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、ここで、C1−6アルキルが場合により−C(=O)NH、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、カルボキシ、1から3個のハロゲン原子、ヒドロキシおよび−C(=O)C1−6アルキルから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項9】
が独立して水素、C1−4アルキル、シクロアルキルおよびアリールから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルが場合により−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、ヘテロシクリル、フェニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が独立して水素、C1−4アルキルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルが場合により−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項11】
が独立して水素、メチル、エチルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、メチルおよびエチルが場合により−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項12】
が独立して水素および2−ヒドロキシ−エト−1−イルから成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項13】
が独立して水素、フッ素および塩素から成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項14】
が独立して水素およびフッ素から成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項15】
が水素である請求項1記載の化合物。
【請求項16】
が水素またはC1−3アルキルであるが、但しRがC1−3アルキルであるのはそれがYおよびRとYが結合している原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成している時のみであることを条件とする請求項1記載の化合物。
【請求項17】
が水素またはメチレンであるが、但しRがメチレンであるのはそれがYおよびRとYが結合している原子と一緒になって5員の複素環を形成している時のみであることを条件とする請求項1記載の化合物。
【請求項18】
が水素である請求項1記載の化合物。
【請求項19】
Yが独立してヒドロキシメチル、−C(=O)NH、−C(=O)NH(OH)、−C(=O)NH(2−ヒドロキシエト−1−イル)、カルボキシ、テトラゾリル、−C(=O)NHSO(C1−4)アルキルおよび−C(=O)C1−6アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシが場合によりヒドロキシ、−NR3040、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、R30およびR40が独立して水素およびC1−6アルキルから成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項20】
Yが独立してカルボキシ、テトラゾリル、−C(=O)NH(2−ヒドロキシエト−1−イル)および−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシが場合によりヒドロキシ、−NH、−NH(C1−4)アルキル、−N(C1−4アルキル)、ヘテロシクリル、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項21】
Yが独立してカルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルおよび−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシが場合によりヒドロキシ、−NMe、モルホリン−1−イル、クロロおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項22】
Yが独立してカルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルまたは−C(=O)エトキシから成る群から選択され、ここで、エトキシが場合によりヒドロキシ、塩素、−NMeおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項23】
Wが独立して−C(=O)−および−C(=S)−から成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項24】
Wが−C(=O)−である請求項1記載の化合物。
【請求項25】
100およびR200が水素、C1−4アルキル、C1−4アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニルアミノおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される置換基であり、ここで、前記アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ハロゲン、アリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヘテロアリールおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、ここで、R100およびR200のC1−4アルキルおよびC1−4アルキニルが場合によりヘテロアリール、アリール、ヒドロキシ、1から3個のハロゲン原子、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、ここで、場合により、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から7員の複素環または9員から10員のベンゾ縮合複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環が場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、アリールおよびヘテロアリールから選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項26】
100およびR200が独立して水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから成る群から選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロシ
クリルが場合によりC1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヘテロアリールおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、ここで、場合により、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環が場合によりC1−6アルキル、ハロゲン、アリールおよびヘテロアリールから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項27】
100およびR200が独立して水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよび5員から7員のヘテロシクリルから成る群から選択されるが、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になっている時に前記ヘテロシクリルが形成されており、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリルが場合によりC1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項28】
100およびR200が水素、メチル、エチル、i−ブト−1−イル、シクロヘキシル、2−メチル−ピペラジン−1−イルおよびフェニルから成る群から独立して選択される置換基であり、ここで、前記フェニルがメチル、クロロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されている請求項1記載の化合物。
【請求項29】
式(Ia)
【化2】

[式中、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンゾ縮合シクロアルキル、ベンゾ縮合ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、−NR1020、ハロゲン、ヒドロキシおよび−S(C1−6)アルキルから成る群から選択され、ここで、
のC1−4アルコキシは、場合により、Rから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、
は、独立して、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、1から3個のハロゲン原子およびヒドロキシから成る群から選択され、ここで、
10およびR20は、独立して、水素、C1−6アルキル、アリル、ハロゲン置換C1−6アルキルおよびシクロアルキルから成る群から選択され、加うるに、場合により、R10とR20は、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の単環式環を形成していてもよく、ここで、
のアリールおよびアリールオキシ置換基は、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、−SO(C1−3)アルキル、−SOアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびハロゲンから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、そしてここで、
のヘテロアリールおよびヘテロシクリル置換基は、場合により、C1−6アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
加うるに、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、ヒドロキシ、アミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RとRは、これらが結合している原子と一緒になって5員から7員の炭素環式もしくは複素環式環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、シクロアルキルおよびアリールから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルは、場合により、−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、ヘテロシクリル、フェニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
Yは、独立して、カルボキシ、テトラゾリル、−C(=O)NH(2−ヒドロキシエチ−1−イル)および−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシは、場合により、ヒドロキシ、−NH、−NH(C1−4)アルキル、−N(C1−4アルキル)、ヘテロシクリル、ハロゲンおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、
100およびR200は、独立して、水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから成る群から選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリルは、場合により、C1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヘテロアリールおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよく、ここで、
場合により、R100とR200は、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって5員から7員の複素環を形成していてもよく、ここで、前記複素環は、場合により、C1−6アルキル、ハロゲン、アリールおよびヘテロアリールから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩。
【請求項30】
式(Ia)
【化3】

[式中、
は、独立して、水素、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエト−1−オキシ、イソ−プロポキシ、イソ−ブトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロ−エト−1−オキシ、ベンジルオキシ、シクロプロピルメトキシ、ピリジン−3−イルメトキシ、(1−メチル)−ピロリジニル−3−オキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、インダゾール−1−イル、チオフェン−3−イル、[1,3]ベンゾジオキソール−5−イル、(2−メチル)−イミダゾール−1−イル、(1−メチル)−ピペリジン−4−イルオキシ、2−(モルホリン−4−イル)−エトキシ、(4−ブロモ)−ピラゾール−1−イル、N−ピロリジニル、(3,5−ジメチル)−ピラゾール−1−イル、モルホリン−4−イル、ヒドロキシ、−(OCHCHOH、フェニル(場合により−SOMe、−C(=O)NH、−OCF、−CF、シアノ、フルオロおよびメトキシから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよい)、アミノ、シクロプロピルアミノ、アリルアミノ、メチルアミノ、ヒドロキシ、クロロおよび−SMeから成る群から選択され、そして場合により、
がRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニルを形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノおよびハロゲンから成る群から選択され、場合により、RがRと一緒になって1,4−ジオキサニルまたはオキサジニル環を形成していてもよく、
は、独立して、水素、C1−4アルキルおよびフェニルから成る群から選択され、ここで、C1−4アルキルは、場合により、−C(=O)C1−4アルキル、−C(=O)NH、カルボキシ、モルホリニル、シクロプロピル、ヒドロキシおよび1から3個のフッ素原子から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
Yは、独立して、カルボキシ、1H−テトラゾール−5−イルおよび−C(=O)C1−4アルコキシから成る群から選択され、ここで、前記アルコキシは、場合により、ヒドロキシ、−NMe、モルホリン−1−イル、クロロおよび−OCHCHOCHから成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、
100およびR200は、独立して、水素、C1−4アルキル、アリール、シクロアルキルおよび5員から7員のヘテロシクリルから成る群から選択されるが、R100とR200がこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になっている時に前記ヘテロシクリルが形成されており、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリルは、場合により、C1−3アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシから成る群から独立して選択される4個以下の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物およびこれの光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物または薬学的に受け入れられる塩。
【請求項31】
式(Ib)
【化4】

[式中、Y、R、R100およびR200は、依存して、下記:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

から成る群から選択される]
で表される化合物。
【請求項32】
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

から成る群から選択される化合物。
【請求項33】
請求項1記載の化合物と薬学的に受け入れられる担体を含んで成る組成物。
【請求項34】
請求項1記載の化合物と薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る組成物製造方法。
【請求項35】
α4インテグリン媒介性疾患の治療もしくは改善を必要としている被験体におけるそれを治療または改善する方法であって、前記被験体に請求項1記載の化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項36】
α4インテグリン媒介性疾患の治療もしくは改善を必要としている被験体におけるそれを治療または改善する方法であって、前記被験体に請求項29記載の化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項37】
前記疾患が多発性硬化症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、炎症性肺疾患、関節リウマチ、敗血症性関節炎、I型糖尿病、器官移植拒絶、再狭窄、自家骨髄移植、ウイルス感染の炎症性後遺症、心筋炎、炎症性腸疾患、中毒性および免疫が基になった腎炎、接触皮膚過敏症、乾癬、腫瘍転移、アテローム性動脈硬化症および肝炎から成る群から選択される請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が多発性硬化症、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、炎症性肺疾患、関節リウマチ、敗血症性関節炎、I型糖尿病、器官移植拒絶、再狭窄、自家骨髄移植、ウイルス感染の炎症性後遺症、心筋炎、炎症性腸疾患、中毒性および免疫が基になった腎炎、接触皮膚過敏症、乾癬、腫瘍転移、アテローム性動脈硬化症および肝炎から成る群から選択される請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎およびクローン病を包含する群から選択される請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎およびクローン病を包含する群から選択される請求項38記載の方法。
【請求項41】
請求項1記載化合物の治療的に有効な量が約0.001mg/kg/日から約1000mg/kg/日である請求項37記載の方法。
【請求項42】
請求項1記載化合物の治療的に有効な量が約0.001mg/kg/日から約1000mg/kg/日である請求項38記載の方法。

【公表番号】特表2007−522224(P2007−522224A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553219(P2006−553219)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/004181
【国際公開番号】WO2005/077914
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】