説明

β‐セクレターゼ阻害剤及びβ‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品、並びにその阻害率を測定する阻害率測定法

【課題】安全性が高いβ‐セクレターゼ阻害剤及びβ‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品、並びにその阻害作用率を精度良く測定する阻害率測定法を提供すること。
【解決手段】チョウジノキ、桂、ショウズク、オニサルビア、エンピツビャクシン、ベルガモット、センティフォリアバラ、ダマスクバラ、ヒメウイキョウ、コスイジツ、オランダミツバ、タラゴン、ダイダイ、クミン、ベイ、西洋イトスギ、ゼラニウム、ベチベル、タジェット、パチョリ、アミリス、ソケイ、ショウブ、ダヴァナ、南洋山椒、ニジェラのうち少なくとも一つの原料から抽出された精油を含んでなるβ‐セクレターゼ阻害剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然植物由来の精油を有効成分として含有するβ‐セクレターゼ阻害剤及びβ‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品、並びにその阻害率を測定する阻害率測定法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の急速な高齢化社会の到来に伴い、老人性痴呆症は、医学的、社会的にも重大な問題となっており、それにより有効な抗認知症薬の開発が強く望まれている。老人性痴呆症の代表的な疾患であるアルツハイマー型痴呆症(アルツハイマー病)は、脳の萎縮、老人班の沈着及び神経原繊維の形成を特徴とする変性疾患で、神経細胞の脱落によって痴呆症状が引き起こされると考えられている(非特許文献1)。
【0003】
アルツハイマー型痴呆症の原因について未だ定説はないが、病理組織学的研究により、老人班が沈着しそれにより神経細胞が脱落し脳の萎縮が生じると考えられている。老人班の主成分であるβ‐アミロイドは細胞毒性作用を有しており、アルツハイマー型痴呆症における神経細胞死を引き起こしていると考えられている(非特許文献2〜5)。β‐アミロイドは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)からβ‐セクレターゼという酵素の作用によって生成される。従って、このβ‐セクレターゼに対し阻害作用を有する化合物は、アルツハイマー型痴呆症の治療に有用であると考えられる。β‐セクレターゼに対し阻害作用を有する化合物に関する研究が、近年活発に行われている(特許文献1)。
【0004】
β‐セクレターゼに対する阻害作用を測定するための阻害率測定法として、基質ペプチド、β‐セクレターゼ及び試験化合物を含む試料溶液をマイクロプレートに添加し、プレートリーダーで蛍光強度を経時測定し、コントロール溶液と比較することにより、β‐セクレターゼに対する阻害作用を決定する方法が用いられている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、試料溶液中の不純物の蛍光強度に大きな影響を受け、測定結果の精度に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−137914号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Al zheimer, A (1907) Central Bl. Nervenheilk. Phychiatr. 30, 177-179
【非特許文献2】Yankner,B. et al. Science, 245, 417-429 (1989)
【非特許文献3】Cai,X., Gold, T. & Younkin,S. Science, 259, 514-516 (1993)
【非特許文献4】Rose, A. Nature Med. 2, 267-269 (1996)
【非特許文献5】Scheuner,D. et al. Nature Med. 2, 864-869 (1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安全性が高く、β‐セクレターゼ活性に対する優れた阻害作用を有するβ‐セクレターゼ阻害剤及びβ‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品、並びにその阻害率を測定する阻害率測定法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、桂(Cinnamoum cassia Presl)、ショウズク(Elettaria cardamomum (L.) Maton)、オニサルビア(Salvia sclarea L.)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana L.)、ベルガモット(Citrus bergamia Risso et Poit.)、センティフォリアバラ(Rosa Centifolia L.)、ダマスクバラ(Rosa Damascena Mill)、ヒメウイキョウ(Carum carvi L.)、コスイジツ(Coriandrum sativum L.)、チョウジノキ(Eugenia caryophyllat Thunb.)、オランダミツバ(Apium graveolens L. var dulce (Mill.) Pers)、エストラゴン(Artemisia dracunculus L.)、ダイダイ(Citrus aurantium L. spp amara)、クミン(Cuminum cyminum L.)、ベイ(Pimenta racemosa)、西洋イトスギ(Cupressus sempervirens)、ゼラニウム(Pelargonium graveolens.)、ベチベル(Vetiveria zizanioides)、タジェット(Tagetes glanduifera Schrank (T. minuta. L.))、パチョリ(Pogostemon cablin)、アミリス(Amyris balsamifera)、ソケイ(Jasminum grandiflorum L.)、ショウブ(Acorus calamus (L.))、ダヴァナ(Artemisia pallens Wall.)、南洋山椒(Murraya koenigii (L.) Sprengel)、ニジェラ(Nigella sativa L.)のうち少なくとも一つの原料から抽出された精油を含んでなるβ‐セクレターゼ阻害剤に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記β‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記β‐セクレターゼ阻害剤の阻害率を測定する阻害率測定法であって、まず、前記β‐セクレターゼ阻害剤を含む溶液、蛍光標識された基質ペプチドを含む溶液及びβ‐セクレターゼを含む溶液を備える試料溶液を調製する工程と、並びに、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、蛍光標識された基質ペプチドを含む溶液及びβ‐セクレターゼを含む溶液を備えるコントロール溶液を調製する工程からなり、次いで、前記試料溶液及び前記コントロール溶液をそれぞれ高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により、前記基質ペプチドの蛍光標識された分解生成物、前記基質ペプチドの蛍光標識されていない分解生成物、及び未反応の前記基質ペプチドに分離し、前記試料溶液の前記蛍光標識された分解生成物及び前記コントロール溶液の前記蛍光標識された分解生成物の発光強度を測定し、それぞれを比較することにより前記β‐セクレターゼ阻害剤の阻害率を決定する工程と、を備えることを特徴とする阻害率測定法に関する
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、天然植物由来の精油を有効成分とするため、人体に悪影響を与えることなく、アルツハイマー型痴呆症等の老人性痴呆症を予防又は進行停止することができるβ‐セクレターゼ阻害剤を提供することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、天然植物由来の精油を有効成分とするため、人体に悪影響を与えることなく、アルツハイマー型痴呆症等の老人性痴呆症を予防又は進行停止することができるβ‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品を提供することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析工程を備えることで、β‐セクレターゼ阻害率を精度良く決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤の阻害率測定データを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るβ‐セクレターゼ阻害剤及びβ‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品、並びにその阻害作用を測定する阻害率測定法について説明する。
【0016】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤は、天然植物から抽出される精油を有効成分として含有するものである。
【0017】
本発明は、請求項1に記載される25種の天然植物の抽出精油がβ‐セクレターゼ阻害作用を有することを開示するものである。その天然植物について以下に説明する。
【0018】
桂(英名:Cassia、学名:Cinnamoum cassia Presl)は、クスノキ科クスノキ属の双子葉植物である。樹高は15mほどの常緑の小高木であり、葉は長さ12〜15cm、艶のある緑色をしており、小型の黄白色の花が小枝に多数付く。果実は径約1cmの楕円球形をしている。中国南部やインドシナ半島に自生し、栽培もされている。枝や幹の皮を桂皮と称し薬用とされ、他には菓子や料理にスパイスとして用いられている。枝、葉を水蒸気蒸留してカシア油(桂皮油)をつくり、薬用、香料に用いる。精油の主成分はシンナムアルデヒド(cinnamaldehyde)その他にタンニンを含む。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、葉、茎、小枝、樹皮を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0019】
ショウズク(英名:Cardamon、学名:Elettaria cardamomum (L.) Maton)は、ショウガ科ショウズク属の単子葉植物である。多年草であり、インド南西部の原産。南インド、スリランカ、マレーシア、南米グアテマラなどで栽培され、種子は香辛料とされる。地下に肥厚して木質化した茎を持ち、数本から数十本の葉鞘が巻き重なった偽茎が立ち、次々と葉を出して高さ3mほどとなる。葉は披針形で、長さ30〜100cm、幅7.5〜15cmである。地下茎から長さ60〜90cmの花茎を出し、円錐花序に白色の花をつける。種子は樟脳に似た鋭い芳香を有し、カレー原料に用いられている。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、果実を溶剤抽出して得られる精油を用いる。
【0020】
オニサルビア(英名:Clary sage、学名:Salvia sclarea L.)は、シソ科サルビア属の双子葉植物である。高さおよそ1mになる耐寒性の2年草であり、淡紫色の花をつける。南ヨーロッパから南西アジアにかけて分布し、ヨーロッパで栽培されている。精油は香り付けや薬用に用いられる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、全草及び/又は花穂を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0021】
エンピツビャクシン(英名:Cedarwood、学名:Juniperus virginiana L.)は、ヒノキ科ビャクシン科の針葉樹である。高さはおよそ12〜30mになり、樹冠はピラミッド型、樹皮は灰褐色又は赤褐色である。若い葉は針状で長さ3〜6mmであり、果実は帯黒青色で白粉を帯び、直径約5mm、長さ3〜6mmである。材は均質で削りやすく芳香があり、鉛筆に用いられるのでこの名がある。北アメリカ西部ロッキー山脈東側、ハドソン湾からニュー・メキシコ、テキサスを経てフロリダに至る山地に分布し、鉛筆用材として大量に輸出される。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、樹幹及び/又は樹皮を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0022】
ベルガモット(英名:Bergamot、学名:Citrus bergamia Risso et Poit.)は、ミカン科ミカン属の双子葉植物である。レモンに近い柑橘類で、ダイダイとレモン或いはシトロンとの雑種と考えられている。レモンに似た高木で、白い花が咲き、果実は果頂のとがった球形である。果皮を圧搾すると淡緑色で強い芳香のベルガモット油が得られ、化粧品特にオーデコロンの原料や石鹸の香料にも使われている。香りの成分は酢酸リナリル34〜40%、l‐リナノールなどである。イタリア南部やシチリア島などが主産地である。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、果皮を圧搾して得られる精油を用いる。
【0023】
センティフォリアバラ(英名:Cabbage Rose、学名:Rosa Centifolia L.)は、バラ科バラ属の双子葉植物である。花は結球キャベツ状の重弁で、60弁以上の多数の花弁を有し、径5〜6cmで、茎頂に単生又は2〜3花つけ、通常ピンク色である。雑種起源である。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、花を溶剤抽出して得られる精油を用いる。
【0024】
ダマスクバラ(英名:Damask Rose、学名:Rosa Damascena Mill)は、バラ科バラ属の双子葉植物である。小葉は5〜7枚であり、花は散房状に多数つき、花弁も多数有し、花色は赤、ピンク、又は白色である。芳香が極めて強烈で香油成分に富み、香水の原料にも用いられる。自然雑種から選抜されたものと考えられる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、花を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0025】
ヒメウイキョウ(英名:Caraway、学名:Carum carvi L.)は、セリ科キャラウェー属の双子葉植物である。草丈30〜60cmで無毛であり、茎の下部の葉は葉柄があるが、上部の葉は葉柄がなく羽状に多裂し、小葉は深裂して糸状になる。小さな花は白く、夏に散形花序に多数咲く。果実は長さ3〜7cmであり、三日月形に湾曲し、5本の肋がある。果実は香辛料として使用され、根は指くらいの太さで、黄色、肉質で、形状、味共にニンジンに似て野菜とされる。ヨーロッパ原産であり、果実はカルボンという精油を含有し、健胃、駆風薬に用いられる。果実はそのままスパイスとして用いられ、或いは粗挽きして料理の香味付けに用いられる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、種子を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0026】
コスイジツ(英名:Coriander、学名:Coriandrum sativum L.)は、セリ科コエンドロ属の双子葉植物である。地中海沿岸原産の1年草又は2年草。茎は高さ30〜90cmになり、まばらに分枝する。葉は羽状に裂け、セロリの葉に似ている。全草に特有の臭気がある。枝の先に白色の花をつける。果実は2個の分果が対になって球状になり、径3〜5mmであり、完熟するとレモンとセージを混ぜたような特有の芳香を有する。生葉は魚や肉料理に添えられ、香味料として用いられる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、葉を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0027】
チョウジノキ(英名:Clove、学名:Eugenia caryophyllat Thunb.)は、フトモモ科フトモモ属の双子葉植物である。樹高4〜7m、ときに10m以上になる常緑高木である。花は小枝の先に群がってつく。現在ではスパイスとして熱帯各地で栽培されている。辛い刺激性の焦げ臭いような香味を有し、防腐、殺菌力が香料の中で最も強いため錆止めや薬用、香料などに用いられている。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、この地上部、特に花の蕾の乾燥物を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0028】
オランダミツバ(英名:Celery、学名:Apium graveolens L. var dulce (Mill.) Pers)は、セリ科オランダミツバ属の双子葉植物である。一般にセロリとも呼ばれる。葉柄を食用とする1〜2年草であり、全草に強い芳香を有する。葉は複葉で、太くて長い葉柄を有し、葉柄は直立集合して大株となる。夏に高さ50〜100cmの直立した茎を出し、小さな複数形花序に微細な花を多数つける。花は白色或いは緑白色であり、果実はやや球形で小さい。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、種子を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0029】
エストラゴン(英名:Estragon、学名:Artemisia dracunculus L.)は、キク科ヨモギ属の双子葉植物である。タラゴンとも呼ばれる。中央アジアからシベリアに至る地域に広く分布する多年草である。茎は直立し、高さ40〜120cm、根茎は長く横に這う。茎葉は線状披針形、長さ3〜7cm、幅2〜8mmで、無柄である。花序は大型の円錐形で、多数の花をつける。エスカルゴを用いたフランスの料理によく使用され、サラダやオムレツ、グラタンやソースなどの香辛料にも用いられるため、ヨーロッパで主に栽培されている。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、全草を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0030】
ダイダイ(英名:Neroli、学名:Citrus aurantium L. spp amara)は、ミカン科ミカン属の双子葉植物である。高さ5mにおよぶ常緑小高木であり、枝は稜が著しくトゲがある。葉は互生し卵状長楕円形で長さ6〜8cm、先端は鋭形、基部は円形、へりに鈍鋸葉があり、革質で油点が散在し、葉柄には広い翼がある。花は白色で径およそ4cmあり、果実は球形で径およそ8cmであり、冬に熟し外皮は橙色、滑らかで光沢がある。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、花を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0031】
クミン(英名:Cumin、学名:Cuminum cyminum L.)は、セリ科クミン属の双子葉植物である。高さ20〜30cm、茎の下部につく葉は長柄があって卵形であり、上部の葉の葉柄は長さ1〜2cmで、葉身は全裂し、末端は長さ1〜5cmの糸状になる。晩春に淡紅又は白色の小花をつける。果実は細長い楕円形で長さ4〜7mmであり、成分はクミナールを含み、これが焼けるような辛味の元となる。スパイスとして、チーズ、カレー粉原料、チリパウダーに混ぜられ、スープ、シチュー、ライス料理にも用いられる。パンやケーキの香り付けにも使用される。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、種子を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0032】
ベイ(英名:Bay、学名:Pimenta racemosa)は、フトモモ科ピメント属の双子葉植物である。西インド諸島、ガイアナ、ベネズエラ原産の小高木であり、高さ6〜15mほどになる。葉は皮質で倒卵形から楕円形、長さ15cmほどになり、対生する。枝端の葉腋から出る円錐花序に白色花を多数つけ、果実は黒熟する。葉に1〜1.4%の精油を含み、芳香がある。これはベイ油と呼ばれ整髪料、石鹸、トイレット防臭などの香料として用いられている。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、葉を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0033】
西洋イトスギ(英名:Italian Cypress、学名:Cupressus sempervirens)は、ヒノキ科イトスギ属の針葉樹である。葉はヒノキのような鱗状葉で、枝からイトスギ油(Oil Of Sypress)が採取され、香料や咳止め薬に用いられる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、枝葉を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0034】
ゼラニウム(英名:Rose Geranium、学名:Pelargonium graveolens.)は、フクロウソウ科テンジクアオイ属の双子葉植物である。南アフリカの原産の多年草で、バラの芳香のあるために栽培される。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、枝葉を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0035】
ベチベル(英名:Vetiver、学名:Vetiveria zizanioides)は、イネ科ベチベル属の単子葉植物である。根から芳香油を採取するため、また土壌浸食防止や風除けのために、主にアジア、アフリカ、南米などの熱帯、亜熱帯で栽培される多年草である。原産地はインドから東南アジアにかけての地域である。草丈は2mにもなり、大きな株状に茂る。葉は細長く、長さ30〜100cm、幅10mmほどである。茎長に長さ10〜30cmの穂を出す。根を蒸留してベチベル油(Vetiver Oil)をとる。これは褐色で香りがあり、香水や化粧品、石鹸などの香料として利用される。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、根を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0036】
タジェット(英名:Tagete、学名:Tagetes glanduifera Schrank (T. minuta. L.))は、キク科マンジュギク属の双子葉植物である。強い芳香がある1年草で、大きくなると高さ約3mほどになる。南半球産で温暖地域に帰化している。精油のTagetes Oilの基源植物の一つである。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、花や全草を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0037】
パチョリ(英名:Patchouli、学名:Pogostemon cablin)は、シソ科ヒゲオシベ属の双子葉植物である。精油をとる原料植物として主に東南アジアやインドで栽培される多年草である。茎は高さ30〜80cmであり、下の方から分枝する。葉は広楕円形で、波状でふぞろいの重鋸歯があり、長さ8〜10cm、裏面には細毛がある。花穂は長さ5〜15cmで、枝の先につき、淡紫色で2唇形の花をつける。多くは葉を4,5日干したものを蒸留して、強い芳香のある精油をとる。インド辺りでは衣服や枕などの香り付けや、風呂に入れて薬湯として用いられる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、葉を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0038】
アミリス(英名:Amyris、学名:Amyris balsamifera)は、ミカン科アミリス属の双子葉植物である。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、樹幹を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0039】
ソケイ(英名:Jasmin、学名:Jasminum grandiflorum L.)は、モクセイ科ソケイ属の双子葉植物である。高さ1〜2mの常緑低木で、全株無毛である。7〜9月頃白色の花を2〜10個星状に平開し香気がある。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、花を溶剤抽出して得られる精油を用いる。
【0040】
ショウブ(英名:Calamus、学名:Acorus calamus (L.))は、サトイモ科ショウブ属の単子葉植物である。夏緑の多年草であり、根茎は太く、地表を横に這い、2列互生に葉を出す。乾燥した根茎は痛み止めや芳香性健胃剤に使われ、約3%の精油を含む。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、根茎を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0041】
ダヴァナ(英名:Davana、学名:Artemisia pallens Wall.)は、キク科ヨモギ属の双子葉植物である。芳香のある1年草であり、南インドに分布する。精油の採取のために栽培されている。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、草の地上部を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0042】
南洋山椒(英名:Curry leaf、学名:Murraya koenigii (L.) Sprengel)は、ミカン科ゲッキツ属の双子葉植物である。芳香のある常緑の低木であり、琉球、南中国からインドに分布する。葉は香辛料として広くカレーの芳香付けに利用され、また強壮剤にもされる。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、全草を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0043】
ニジェラ(英名:Black Cummin、学名:Nigella sativa L.)は、キンポウゲ科クロタネソウ属の双子葉植物である。匂黒種草とも呼ばれる。地中海沿岸からヨーロッパ中部、南西アジアにかけて分布し、地中海地域や西アジア、インドなどで栽培される。種子は単独で、又はゴマと混合してパンに入れられる。油には独特の芳香がある。本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤には、種子を水蒸気蒸留して得られる精油を用いる。
【0044】
これらの精油は、上記する部位以外の精油でもよく、また精油の採取方法も上記の方法に限定されない。またこれらの精油は、1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよく、下記実施例で詳述するように、強いβ‐セクレターゼ阻害活性を有しているので、これらを有効成分として含有する本発明のセクレターゼ阻害剤は、各種用途に使用することができる。
【0045】
例えば、本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤を医薬品として用いる場合、哺乳動物(特にヒト)における老人性痴呆症の予防薬、特にアルツハイマー型痴呆症の予防薬として用いられる。
【0046】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤は、慣用されている方法により錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、バップ剤、ローション剤等の剤に製剤化することができる。
【0047】
製剤化に通常使用される賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、および必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として使用される成分及び配合量を適宜選択して定法により製剤化される。
【0048】
本発明の医薬製剤を投与する場合、その形態は特に限定されず、通常使用される方法であればよく、経口投与でも非経口投与でもよい。本発明に係る医薬の投与量は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態、疾患の具体的な種類等に応じて、製剤学的な有効量を適宜選択することができる。投与量の一例を挙げると、経口投与の場合、通常、成人において、有効成分量として0.001〜1000mg/kg程度が適当であり、これを1日1回〜数回に分けて投与すればよい。
【0049】
また、本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤は、強いβ‐セクレターゼ阻害活性を有することから、例えば、入浴剤、石鹸、芳香剤、アロマテラピー用エッセンシャルオイル、香水、整髪料等の製品に加えて使用することができる。
【0050】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤は、各製品全体に対し、通常0.001〜100重量%程度、好ましくは0.1〜5重量%程度含有していればよい。
【0051】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤を含む上記の製品を使用した場合、精油の香りによるリラクゼーション効果、リフレッシュ効果が発揮され、ストレスの多い現代社会において心身の癒し効果が発揮される。上記の製品を、高齢者、病人等が生活する環境で用いることにより、老人性痴呆症の予防・進行停止の効果も発揮される。使用する精油が有している効果、例えば防腐効果、抗菌効果もまた発揮される。
【0052】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤は、アロマテラピー用エッセンシャルオイルとして使用した場合、他の天然植物精油と混合して使用することもできる。このアロマテラピー用エッセンシャルオイルを所定の場所に撒布、拡散して吸入し得る形態で使用することもできる。該オイルは、拡散器(ディフューザー)等を用いて撒布、拡散することができる。撒布・拡散場所としては、例えば、家の部屋、ホテルの部屋、会議室、病室の他、人の集まる催し物会場、休憩広場、各種リラクゼーション施設等に撒布することができる。特に、老人性痴呆症の患者が生活する病院、施設等で使用することが好ましい。
【0053】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤は、食品添加剤として、例えば清涼飲料水、乳製品(加工乳、ヨーグルト)、菓子類(ゼリー、チョコレート、ビスケット、ガム、錠菓)又はサプリメント等の各種飲食品に配合することもできる。
【0054】
食品添加剤として使用する場合、その添加量については、特に限定されず、食品の種類に応じて適宜決定すればよい。一例としては、上記した抽出物の乾燥重量として、含有量が0.0005〜50重量%程度の範囲となるように添加すればよい。
【0055】
上記飲食品は、本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤の他に、賦形剤、呈味剤、着色剤、保存剤、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
このうち、賦形剤としては、これらに限定されないが例えば、微粒子二酸化ケイ素のような粉末類、ショ糖脂肪酸エステル、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、小麦デンプン,米デンプン,トウモロコシデンプン,バレイショデンプン,デキストリン,シクロデキストリン等のでんぷん類、結晶セルロース類、乳糖,ブドウ糖,砂糖,還元麦芽糖,水飴,フラクトオリゴ糖,ガラクトオリゴ糖,大豆オリゴ糖,イソマルトオリゴ糖,キシロオリゴ糖,マルトオリゴ糖,乳果オリゴ糖などの糖類、ソルビトール,エリストール,キシリトール,ラクチトール,マンニトール等の糖アルコール類が挙げられる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0056】
呈味剤としては、これらに限定されないが例えば、果汁エキスであるボンタンエキス、ライチエキス、リンゴ果汁、オレンジ果汁、ゆずエキス、ピーチフレーバー、ウメフレーバー、甘味剤であるアセスルファムK、エリストール、オリゴ糖類、マンノース、キシリトール、異性化糖類、茶成分である緑茶、ウーロン茶、バナバ茶、杜仲茶、鉄観音茶、ハトムギ茶、アマチャヅル茶、マコモ茶、昆布茶、及びヨーグルトフレーバー等が挙げられる。
【0057】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤の阻害率を測定する阻害率測定法について詳述する。
【0058】
本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤の阻害率は、基質ペプチドのβ‐セクレターゼによる分解が阻害される割合のことを言う。β‐セクレターゼ阻害剤としては、上記される天然植物由来の精油を使用する。
【0059】
基質ペプチドとしては、N‐末端に蛍光が標識され、且つその反対側の残基に消光基が標識されたペプチドを使用することができ、これに限定されないが例えば、N‐末端側に(7‐メチルクマリン‐4‐イル)アセチル基(以下MOCAs基とする)を、リシン残基にジニトロフェニル基(以下Dnp基とする)を結合させた消光性ペプチド:MOCAc−ser−Glu−Val−Asn−Leu−Asp−Ala−Glu−Phe−Arg−Lys(Dnp)−Arg−Arg−NHを使用することができる。この基質ペプチドは、MOCAs基とDnp基がそれぞれの蛍光を阻害しており、切断されることにより、蛍光を発する基質である。基質ペプチドはジメチルスルホキシド(DMSO)溶液等の溶媒に溶解させて使用する。
【0060】
β‐セクレターゼは任意の方法で入手したものを使用することができる。β‐セクレターゼは基質ペプチドを分解する酵素である。β‐セクレターゼは酢酸ナトリウム緩衝液等の緩衝液で希釈して使用する。
【0061】
このβ‐セクレターゼ阻害剤、β‐セクレターゼを含む溶液及び酢酸ナトリウム緩衝液等の緩衝液を混合した溶液に、基質ペプチドを含む溶液を加え、試料溶液を調製する。試料溶液には、界面活性剤を含むことが好ましい。試料溶液を少なくとも3時間インキュベートした後、リン酸緩衝液等の緩衝液を加え、反応を停止させる。
【0062】
試料溶液のコントロールとして、β‐セクレターゼ阻害剤の代わりにジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を含む溶液、即ち、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、β‐セクレターゼを含む溶液及び酢酸ナトリウム緩衝液等の緩衝液を混合した溶液に、基質ペプチドを含む溶液を加え、コントロール溶液を調製する。コントロール溶液を少なくとも3時間インキュベートした後、リン酸緩衝液等の緩衝液を加え、反応を停止させる。
【0063】
前記工程により、試料溶液及びコントロール溶液には、蛍光基が標識された基質ペプチドの分解生成物(以下、蛍光標識分解生成物と称する)、消光基が標識された即ち蛍光標識されていない基質ペプチドの分解生成物及び未反応の基質ペプチドが存在することとなる。これらの物質を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって分離する。分離された、試料溶液中の蛍光標識分解生成物及びコントロール溶液中の蛍光標識分解生成物の発光強度を測定する。
【0064】
β‐セクレターゼ剤のβ‐セクレターゼ阻害率を以下の式;
セクレターゼ阻害率(%)={1−(S/C)}×100
(式中、Sは試料溶液中の蛍光標識分解生成物の発光強度を示し、Cはコントロール溶液中の蛍光標識分解生成物の発光強度を示す。)に従って計算する。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を説明することにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例には限定されない。
【0066】
(合成例)
(試薬の調製−1)
酢酸ナトリウム(分子量:82.03)4.1gに酢酸400mlを加えて溶解させpH4.5に調整した。溶液を純水で500mlにメスアップし、0.1M酢酸緩衝液(1)を得た。
基質ペプチドMOCAc−ser−Glu−Val−Asn−Leu−Asp−Ala−Glu−Phe−Arg−Lys(Dnp)−Arg−Arg−NH2((Trifluoroacetate Form)、分子量:2001.08、Peptide Institute 3212−v)を1mMになるようにDMSO550μL中に溶解させ基質ペプチド溶液(2)を得た。
【0067】
(試薬の調製−2)
上記0.1M酢酸緩衝液(1)を水で5倍希釈し、0.1%Triton X−100を加え、20mM酢酸緩衝液(3)を得た。
β‐セクレターゼ(β‐Secretase,extacellular domain human,recombinant Sigma S−4195)を、20mM酢酸緩衝液(3)で50倍希釈し、100Units/mlに調整し、β‐セクレターゼ溶液(4)を得た。
基質ペプチド溶液(2)を20mM酢酸緩衝液(3)で10倍希釈し、基質希釈溶液(5)を得た。
【0068】
(試験サンプルの調製)
78μLの20mM酢酸緩衝液(3)、10μLのβ‐セクレターゼ溶液(4)、及び天然植物から抽出した精油サンプル2μLを混合し、溶液(6)を調製した。78μLの20mM酢酸緩衝液(3)、10μLのβ‐セクレターゼ溶液(4)、及び2μLのDMSOの混合物を混合し、溶液(7)を得た。溶液(6)及び溶液(7)を96ウェルプレート(黒)に添加し、37℃で10分間インキュベートし、それぞれ試料溶液及びコントロール溶液を得た。これらに10μLの基質ペプチド希釈溶液(5)及び20mM酢酸緩衝液を加え、サンプル濃度を1.25%(250μg/ml)及び0.25%(50μg/ml)に調整し、37℃で3時間インキュベートした。イオン強度I=0.15のリン酸緩衝液(pH7.0)900μLを加え反応を停止させた。
【0069】
(β‐セクレターゼ阻害率の測定)
この反応生成物をHPLCで分離し、試料溶液及びコントロール溶液それぞれの蛍光標識分解生成物の発光強度を測定した。
(HPLC条件)
A液:0.1%ギ酸アセトニトリル、B液:0.1%ギ酸水
0分:A液10%、B液90%
グラジエント25分:A液60%、B液40%
25.01分:A液90%、B液10%
30分:A液10%、B液90%
検出器:蛍光検出器EX328nm、EM393nm
Flow Rate 1ml/min
カラム:L‐カラムODS250mm、4.6mm
【0070】
セクレターゼ阻害率(%)={1−(S/C)}×100
式中、Cはコントロール溶液中の蛍光標識分解生成物の発光強度を示し、Sは試料溶液中の蛍光標識分解生成物の発光強度を示す。結果を図1に示す。
【0071】
図1の結果から、各試験サンプル1.25%(250μg/ml)の3回の平均β‐セクレターゼ阻害率は、17.51%〜69.96%であり、各サンプルの精油はβ‐セクレターゼ活性を阻害することを示した。
【0072】
次に、本発明のβ‐セクレターゼ阻害剤の阻害率測定法と従来の阻害率測定法(プレート法)を比較する。
【0073】
(サンプルの調製)
リュウタン(栃本天海堂 Lot 0903C010901)10gをパウダーにし、ここに100mlの50%EtOHを加え2時間環流条件下で抽出した。熱時濾過し,濾液を得た。この操作をもう一度繰り返し,得られた濾液を一回目の濾液と併せて、減圧下で溶媒を溜去し、サンプル3とした。
得られたサンプル3の1gについて、水およびヘキサン100mlずつで溶媒分配して、それぞれの層を得た。得られた水層についてもう一度100mlのヘキサンで抽出し、得られた水層を減圧下で濃縮し、ヘキサンを溜去した。この後、酢酸エチル、クロロホルム、1−ブタノールにて順次同様の操作を行った。水分画をサンプル1、ブタノール分画をサンプル2とした。
【0074】
得られたサンプル1、2及び3を精油サンプルとし、上記実施例と同様に、本発明のHPLCを用いた阻害率測定法にてβ‐セクレターゼ阻害率を測定した。
比較のため、従来のプレート法によりβ‐セクレターゼ阻害率を測定した。
結果を表1に示す。
従来のプレート法による阻害率は−0.1%〜50.5%であってばらつきが50.6%と大きいが、本発明のHPLCを用いた阻害率測定法による阻害率は−21.1%〜4.7%でばらつきが25.8%と小さかった。
本発明のHPLCを用いた阻害率測定法により、精度良くβ‐セクレターゼ阻害率を測定することができた。
【0075】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、アルツハイマー型痴呆症を予防するための医薬品に好適に使用することができ、入浴剤、石鹸、芳香剤、アロマテラピー用エッセンシャルオイル、香水、整髪料等の製品、又は清涼飲料水、乳製品、菓子類又はサプリメント等の各種飲食品の添加剤に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桂(Cinnamoum cassia Presl)、ショウズク(Elettaria cardamomum (L.) Maton)、オニサルビア(Salvia sclarea L.)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana L.)、ベルガモット(Citrus bergamia Risso et Poit.)、センティフォリアバラ(Rosa Centifolia L.)、ダマスクバラ(Rosa Damascena Mill)、ヒメウイキョウ(Carum carvi L.)、コスイジツ(Coriandrum sativum L.)、チョウジノキ(Eugenia caryophyllat Thunb.)、オランダミツバ(Apium graveolens L. var dulce (Mill.) Pers)、エストラゴン(Artemisia dracunculus L.)、ダイダイ(Citrus aurantium L. spp amara)、クミン(Cuminum cyminum L.)、ベイ(Pimenta racemosa)、西洋イトスギ(Cupressus sempervirens)、ゼラニウム(Pelargonium graveolens.)、ベチベル(Vetiveria zizanioides)、タジェット(Tagetes glanduifera Schrank (T. minuta. L.))、パチョリ(Pogostemon cablin)、アミリス(Amyris balsamifera)、ソケイ(Jasminum grandiflorum L.)、ショウブ(Acorus calamus (L.))、ダヴァナ(Artemisia pallens Wall.)、南洋山椒(Murraya koenigii (L.) Sprengel)、ニジェラ(Nigella sativa L.)のうち少なくとも一つの原料から抽出された精油を含んでなるβ‐セクレターゼ阻害剤。
【請求項2】
前記β‐セクレターゼ阻害剤を含む飲食品。
【請求項3】
前記β‐セクレターゼ阻害剤の阻害率を測定する阻害率測定法であって、
まず、前記β‐セクレターゼ阻害剤を含む溶液、蛍光標識された基質ペプチドを含む溶液及びβ‐セクレターゼを含む溶液を備える試料溶液を調製する工程と、
並びに、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液、蛍光標識された基質ペプチドを含む溶液及びβ‐セクレターゼを含む溶液を備えるコントロール溶液を調製する工程からなり、
次いで、前記試料溶液及び前記コントロール溶液をそれぞれ高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により、前記基質ペプチドの蛍光標識された分解生成物、前記基質ペプチドの蛍光標識されていない分解生成物、及び未反応の前記基質ペプチドに分離し、前記試料溶液の前記蛍光標識された分解生成物及び前記コントロール溶液の前記蛍光標識された分解生成物の発光強度を測定し、それぞれを比較することにより前記β‐セクレターゼ阻害剤の阻害率を決定する工程と、
を備えることを特徴とする阻害率測定法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−214414(P2012−214414A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81011(P2011−81011)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(390019460)稲畑香料株式会社 (22)
【Fターム(参考)】