説明

β−ラクタム抗生物質の経皮送達システム

【課題】本発明の目的は、皮膚障壁を通してのそれらの浸透率を増大させることによって、β−ラクタム抗生物質を経皮投与(局所適用)可能にすることである。
【解決手段】構造4で表されるβ−ラクタム抗生物質の新規な正荷電プロドラッグをデザインした。プロドラッグの正に荷電したアミノ基は、薬物を水溶性にするだけでなく、膜のホスファート頭基上の負電荷と結合する。この結合は、膜をわずかに乱し、プロドラッグの親油性部分のためのいくらかの空間を作るだろう。プロドラッグは、β−ラクタム抗生物質よりも100倍速く人の皮膚、血液脳関門、及び血液乳関門を通して拡散する。血漿中、これらの90%を超えるプロドラッグは数分で変化して親薬物に戻り得る。プロドラッグは、人又は動物におけるβ−ラクタム抗生物質治療可能な状態の治療に、医薬的に使用され得る。プロドラッグは、どんな種類の薬物治療のためにも経皮投与され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−ラクタム抗生物質の正荷電した水溶性プロドラッグの製剤、及び人又は動物において、β−ラクタム抗生物質及び関連化合物治療可能な状態を治療する際のその医薬用途に関する。具体的に述べれば、本発明は、細菌細胞壁及びヒト皮膚でのβ−ラクタム抗生物質及び関連化合物の速い浸透を可能にするためのものである。
【背景技術】
【0002】
β−ラクタムはその環中に4つの原子を有する環状アミドであり、この環系の化学名はアゼチジノンである。フランスの医学生であるErnest Duchesneは、1896年に、最初にペニシリンを発見し、Alexander Flemingは、1929年にそれを再発見するとともに、1930年代後半にペニシリンの発見に続いて精製を行った。 1940年代前半、Florey、Chain、Abraham、及びHeatleyは、10万を超えるβ−ラクタム抗生物質を部分化学合成又は全化学合成により調製した(L. A. Mitscherなど、Antibiotic and Antimicrobial Drugs, in D.F. Smith, Ed., Handbook of Stereoisomers: Therapeutic Drugs, Boca Raton, FL, CRC Press, 1989; R.B. Morin及びM. Gorman Eds., Chemistry and Biology of Beta-lactam Antibiotics, Volumes 1-3, New York, Academic Press, 1982; and A.L.Demain and N.A. Solomon, Eds., Antibiotics Containing the Beta-lactam Structure, VoIs, 1 and 2, Handbook of experimental Phgarmacology, vol. 67, New York, Springer, 1983)。
【0003】
第二次世界大戦の間、ペニシリンが広く利用できるようになったとき、迅速に最大の戦時中の致死性の感染した傷を克服することは、医学上の奇跡であった。ペニシリンは、多くの種類の病原菌を殺菌した。しかし、製薬会社が1943年にペニシリンを大量生産し始めたちょうど4年後、ペニシリンに耐性をもつ微生物が現れ始めた。抗生物質に対する耐性は急速に広がる。1979年から1987年の間、例えば、国立疾病管理予防センターにより調査された多くの患者に感染している肺炎球菌菌種(pneumococcus strain)のうち、たったの0.02%のみがペニシリン耐性であった。わずか7年後、1994年6月15日の報告、Robert F. Breiman, M.D.及びCDCの職員によるJournal of the American Medical Associationによれば、肺炎球菌菌種の6.6%が耐性であった(Ricki Lewis, U.S. Food and Drug Administration Home Page)。抗菌剤耐性は、医療コストを跳ね上がらせ、疾患の重症度を増大させ、ある種の感染症に由来する死亡率を増大させている。CDCの統計によれば、毎年病院において、米国ではほぼ2百万人の患者が感染し、その感染の結果として、1992年における13300人の患者の死亡から増加し、毎年約9万人の患者が死亡している。院内感染を引き起こす細菌の70%を超えるものは、それらを治療するために最も慣用されている抗生物質のうちの少なくとも1つに耐性である。抗生物質に対する耐性の増大した蔓延は進化の結果であるが、抗生物質の過度の使用は抗生物質に対する耐性を促進する。新規な抗生物質を開発することは、非常に緊急かつ困難な課題である。
【0004】
静脈内注射、筋肉内注射、皮下、口腔、経口、及び直腸経路は、全身性細菌性疾患の治療のための多様な抗菌剤の投与方法である。経口投与は、消化管からの抗生物質の吸収が乏しいという不利点を有している。静脈内、皮下、及び筋肉内経路は、有痛性であるばかりでなく、熟練者により行われなければならず、針傷、感染、及び他の傷の危険性がある。薬物投与の一代替方法は、局所送達である。薬物投与の一代替方法は、局所送達である。局所薬物送達は、いくつかの利点を有する。この方法は、肝臓及び消化管での初回通過代謝により引き起こされる薬物の不活性化を回避するのに役立つ。それは、全身に曝露されることなく、意図した作用部位に、適切な濃度の薬物の局所的な送達を供給し得る。Fishman(Fishman; Robert, 米国特許第7,052,715号明細書)は、経口薬物治療と関連した追加的な課題を指摘した。それは、疼痛、炎症、又は感染のある末端部を効果的に治療するためには、血流中で達成されなければならない濃度レベルが、有意でなければならないということである。これらのレベルはしばしば、疼痛又は損傷のある特定部位を正確に標的とすることが可能である場合に必要となるレベルよりもずっと高い。Wattsら(米国特許第6,191,143及び5,929,086号明細書)は、特別な構造特性を有するいくつかの抗菌剤の局所投与について記載している(これらの化学物質は全て1つの正電荷と親油性部分を有することに注目した)。ほとんどの抗生物質に対して、局所投与は、有効な治療レベルを送達することができない。Susan Milosovichらは、テストステロニル−4−ジメチルアミノブチラート塩酸塩(testosteronyl-4-dimethylaminobutyrate.HCl)(TSBH)を設計し、調製した。これは、親油性部分、及び生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第3級アミン基を有する。彼らは、プロドラッグ(TSBH)は、薬物(TS)それ自体よりも〜60倍速く人の皮膚を通して拡散することを見出した[Susan Milosovichなど、J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
継続した薬効は、進化的圧力及び過度の使用により引き起こされる微生物の耐性により脅かされる。抗生物質に対する耐性は急速に広がっている。より多くの人々が感染にかかっている。化学療法を受けている人々及び免疫機能を抑制するために薬剤を服用している移植者には、より大きな感染の危険性がある。より長生きし、より病気になり、より遅くに亡くなる患者の一般的な高齢化は、その問題の一因となる。新規な抗生物質を開発することは、非常に緊急かつ困難な課題である。
【0006】
抗生物質を感染部位において病原菌と不十分に接触させることは、髄膜炎、脳炎(encephslitis)、脊髄炎、膿瘍、乳腺炎、及び前立腺炎の治療失敗の主な原因である。治療失敗の理由は、抗生物質が血液脳関門、血液乳関門(blood-milk barrier)、及び他の生物学的障壁を能率的に浸透することができないためである。
【0007】
ほとんどの抗生物質は様々な経路によって急速に代謝され、不活性化される。抗生物質を経口的に服用すると、肝臓及び消化管での化合物の化学分解に言及する初回通過代謝によって、それらの大部分が破壊され、不活性化され得る。注射の場合、抗生物質の投与は有痛性であり、多くの場合、慢性症状を治療するために頻繁で金のかかる来院が必要とされる。またほとんどの抗生物質は、意図した作用部位に到達する前に、血中及び肝臓で破壊され、不活性化され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
局部感染を治療するための局所薬物送達は、肝臓及び消化管での初回通過代謝により引き起こされる薬物の不活性化を回避するのに役立ち、全身に曝露されることなしに、意図した作用部位に、適切な濃度の薬物の局所的な送達を供給し得る。
【0009】
本発明は、β−ラクタム抗生物質の新規な正荷電プロドラッグのデザイン及び調製、並びにそれらの医薬用途に関する。β−ラクタム抗生物質のこれらのプロドラッグをデザインするための原則は、以下の通りである。1.プロドラッグは、親油性部分及び生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級又は第3級アミン基(親水性部分)を有していなければならない。2.β−ラクタム抗生物質の全てのプロドラッグは1つ又は2つだけ(好ましくは1つ)の、生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級若しくは第3級アミン、又は1つが保護されたクアニジノ(quanidino)基(親水性部分)を有するべきである。3.第1級、第2級若しくは第3級アミン基、クアニジノ基、又は1つが保護されたクアニジノ基は、化合物のいずれかの部分上にあり得る。化合物の一末端に正電荷があり、かつ他の末端が親油性部分であるデザインが好ましい。4.カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、グアニジノ基及び他の親水性基は、アルキル、アリール、又はヘテロアリールエステル若しくはアミド基で保護され、β−ラクタム抗生物質をより親油性にし得る。
【0010】
β−ラクタム抗生物質のうちの一つ、ペネタメートヨウ化水素酸塩(Penethamate Hydriodide)(Jensenら、Ugeskrift for Laeger U2, 1043, 1075, 1950; スペイン特許第206,653-5号明細書、イギリス特許第759,603号明細書)は、全く同じである新規なプロドラッグの構造特性を有し、乳血液関門の高い浸透率を示す。驚くべきことに、誰もそれを経皮投与しようとはしなかった。
【0011】
本発明のβ−ラクタム抗生物質の新規なプロドラッグは、次式の構造1を有する。
【化1】

【0012】
式中、XはO、S、又はNHを表し、YはH、OH、OR5、NHCHO、CH2CH2NHC(=NR7)NHR7、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、F、Br、I、又はClを表し、
【化2】

式中、ZはCH2、S、SO、SO2、NH、CHCH3、CHCH2CH3、又はOを表し、-X1は-H、-OH、-OCH3、-OC2H5、-OC3H7、-CONH2、-CH2OCONH2、-CH2OCOCH3、-OCOCH3、-CH2OCOCH3、-CH2OCH3、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C4H9、-C5H11、-C6H13、-Cl、-F、-Br、-I、-HC=CHCH3、-HC=CH2、-CH2OCH3、-S(CH2)n-NHR7、又は以下のものを表す。
【0013】
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【0014】
式中、ZはO、S、SO、SO2、NH、CH2、CHCH3、又はCHCH2CH3を表し、R5はH、CONH2、CH2CH2OR6、CH2CH2N(CH3)2、CH2CH2N(CH2CH3)2、Cl、F、Br、I、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R6はH、F、Cl、Br、I、Na+、K+、COR5、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R7はH、CH3、C2H5、CF3、COCH3、C3H7、C4H9、C5H11、CONH2、COR6、COR5、CO-W、又はWを表し、R8はH、CH3、C2H5、CF3、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CH2CHF2、CH2CF3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2NR6R7、CH(NHR7)CH2CONH2、C3H7、C4H9、C5H11、CONH2、CH2CONH2、CH2OCONH2、C(CH3)2COOR6、CH(CH3)COOR6、CH2COOR6、COR6、COR5、CO-W、又はWを表し、XはCH2、S、NH、又はOを表し、X2はH、CH3、CH2(CH2)nOR8、Cl、F、Br、I、NO2、CN、CF3、OCF3、NH2、CH3、C2H5、CONH2、CH2OCONH2、CH2COOR5、CH2(CH2)nN(CH3)2、CH2(CH2)nSO3R5、C1-8アルキル、C1-8アルキルチオール、C1-8アルキルアミン、又はC1-8アルキルオキシを表し、X3はH、CH3、CH2(CH2)nOR8、Cl、F、Br、I、NO2、CN、CF3、OCF3、NH2、CH3、C2H5、CONH2、CH2OCONH2、CH2COOR5、CH2(CH2)nN(CH3)2、CH2(CH2)nSO3R5、C1-8アルキル、C1-8アルキルチオール、C1-8アルキルアミン、又はC1-8アルキルオキシを表し、X4はN、CH、又はCY1を表し、X5はCH2、S、O、又はNHを表し、Y1はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y2はH、OH、OW、OCOW、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y3はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y4はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、AAはアミノ酸を表し、n=0、1、2、3、4、5、6…であり、Rs-は以下のものを表す。
【0015】
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

R6OOCCH(NHR7)(CH2)nCONH-、R6OOCCH(NHR7)(CH2)nSCONH-、CF3SCH2CONH-、CF3CH2CONH-、CHF2SCH2CONH-、CH2FSCH2CONH-、NH2COCHFSCH2CONH-、R7NHCH(COOW)CH2SCH2CONH-、CNCH2SCH2CONH-、CH3(CH2)nCONH-、R7N=C(NHR7)CH2CH2S-、R7N=C(NHR7)NHCO-、CH3C(Cl)=CHCH2SCH2CONH-、(CH3)2C(OR6)-、CNCH2CONH-、CNCH2CH2S-、R7N=C(NHR7)CH2CH2S-、CH2=CHCH2SCH2CONH-、CH3CH(OH)-、CH3CH(OR8)-、CH3CH(Y1)-、(CH3)2CH-、CH3CH2-、又はCH3(CH2)nCH=CH(CH2)mCONH-。
【0016】
式中、n又はm=0、1、2、3、4、5、6…であり、X3はH、N3、SO3W、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、OC2H5、CH3、C2H5、COOW、OW、又はWを表し、X4はN、CH、又はCY1を表し、X5はCH2、S、O、又はNHを表し、R5はH、-CONH2、CH2CH2N(CH3)2、CH2CH2N(CH2CH3)2、CH2CH2OR6、Cl、F、Br、I、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R6はH、F、Cl、Br、I、2-オキソ-1-イミダゾリジニル、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール(フェニル、5-イミダニル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルなど)若しくはヘテロアリール(4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン-3-イルなど)残基を表し、R7はH、F、Cl、Br、I、CH3NHCOCH2CH(NHR8)CO、R5N=C(NHR6)NHCO-、COCH3、COR6、PO(OR5)OR6、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R8はH、F、Cl、Br、I、CH3、C2H5、CF3、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CH2CHF2、CH2CF3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、C3H7、C4H9、C5H11、COR6、CONH2、CH2OCONH2、PO(OR5)OR6、C(CH3)2COOR6、CH(CH3)COOR6、CH2COOR6、CO-W、又はWを表し、Y1はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、SO3R6、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y2はH、OH、OW、OCOW、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y3はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y4はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、NR8COR5、SO2NR5R8、COR5、SR5、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、-Wは-H、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、又は以下の残基のうちの一つを表し、
【化17】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、Rs及びYは一緒にみてR6OCH2C(R5)=を表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表す。全ての二重結合はシス又はトランスであり得る。全てのR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、-(CH2)n-、又は-(CH2)m-基は分枝鎖若しくは直鎖であり、C、H、O、S、又はN原子を含んでもよく、単結合、二重結合、及び三重結合を有してもよい。いずれのCH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【0017】
薬物吸収は、胃腸管からであろうと他の部位からであろうと、薬物が分子形で障壁膜を横断して通過することを必要とする。薬物は初めに溶解しなければならず、もし薬物が望ましい生物薬剤的性質を有しているならば、高濃度の領域から低濃度の領域へと膜を横断して通過し、血液循環又は体循環に入るだろう。全ての生物学的膜は、主要な構成成分として脂質を含有している。膜形成において主要な役割を果たしている分子は、全てホスファート含有高極性頭基(head group)を有し、たいていの場合、2つの高疎水性炭化水素尾部(tail)を有している。膜は2分子膜であり、その親水性頭基は、両側にある水性領域へと外側を向いている。非常に親水性な薬物は膜の疎水性層を通過することができず、非常に疎水性な薬物はそれらの類似性のため膜の一部として疎水性層に留まり、内側にある細胞質ゾルに能率的に入ることができないだろう。
【0018】
本発明の目的は、皮膚障壁を通してのそれらの浸透率を増大させることによって、β−ラクタム抗生物質を経皮投与(局所適用)可能にすることである。β−ラクタム抗生物質のこれらの新規なプロドラッグは、共通して2つの構造的特徴を有している。すなわち、これらは、(親油性のアルコールを使用してカルボキシル基を保護し、親油性の酸を使用してアミノ、ヒドロキシル、若しくはグアニジノ基、又はβ−ラクタム抗生物質の他の親水性基を保護することにより形成され得る)親油性部分、及び生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級又は第3級アミン基(親水性部分)を有している。膜障壁を通して能率的に通過するためには、このような親水性親油性バランスが必要とされる[Susan Milosovichなど、J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。正に荷電されたアミノ基は薬物の水中での溶解性を大きく増大させ、親油性部分は、プロドラッグが親油性の膜及び皮膚障壁に入るのに役立つだろう。これらの新規なプロドラッグは、溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルのような投与形態で経皮投与されると、皮膚表面の水分中に直ちに溶解するだろう。これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中にプロドラッグを押し込むだろう。
【0019】
いくつかのプロドラッグの人の皮膚を通しての浸透率を、修正フランツ(Franz)細胞を使用することによりインビトロで測定した。修正フランツ細胞は前大腿部及び後大腿部のヒト皮膚組織(厚さ360〜400μm)から単離した。受容液(receiving fluid)は生理食塩水中2%ウシ血清アルブミン2mlからなり、600rpmで撹拌した。時間に対する、皮膚に浸透するこれらのプロドラッグ及びそれらの親薬物の累積量を特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。pH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)2mL中、いつくかのプロドラッグ及びβ−ラクタム抗生物質の10%溶液又は懸濁液からなるドナーを使用して得た結果を図1、図2、図3、及び図4に示す。人の皮膚を通して拡散する、6-フェノキシアセトアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、アリルメルカプトメチルペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(5-メチル-3-フェニル-2-イソオキサゾリン-4-カルボキサミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[3-(o-クロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[3-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[D(-)-α-アセトアミドフェニルアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、D-α-[(イミダゾリジン-2-オン-1-イル)カルボニルアミノ]ベンジルペニシリン 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6R-[2-[3-(メチルスルホニル)-2-オキソ-1-イミダゾリジンカルボキサミド]-2-フェニルアセトアミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-D(-)-α-(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニルカルボニルアミノ)-α-フェニルアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-(2-チエニルアセトアミド)セファロスポラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[(ヒドロキシフェニルアセチル)アミノ]-3-[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[[(アミノカルボニル)オキシ]メチル]-7-[[2-フラニル(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[[(アミノカルボニル)オキシ]メチル]-7-メトキシ-8-オキソ-7-[(2-チエニルアセチル)アミノ]-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[[2-(アセチルアミノメチル)フェニル]アセチル]アミノ]-3-[[[1-(エトキシルカルボニルメチル)-1H-テトラゾール-5-イル]チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[(アセチルアミノフェニルアセチル)アミノ]-3-クロロ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[(アセチルオキシ)メチル]-7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[[[(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニル)カルボニル]アミノ](4-アセトキシフェニル)アセチル]アミノ]-3-[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[2-(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)-2-((Z)-メトキシイミノ)アセトアミド]-3-(メトキシメチル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[2-(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)-2-((Z)-エトキシカルボニルメトキシ)イミノ]アセトアミド]-3-(ビニル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、ペニシリンV、ペニシリンO、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セファロチン、セファマンドール、セフロキシム、セフォキシチン、セフォラニド、セファクロル、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフポドキシムプロキセチル、又はセフィキシムに対して、2.52 mg、1.75 mg、2.12 mg、1.27 mg、1.35 mg、1.43 mg、2.22 mg、1.02 mg、0.82 mg、1.24 mg、1.32 mg、1.15 mg、1.07 mg、1.45 mg、1.52 mg、1.65 mg、0.93 mg、1.02 mg、0.53 mg、0.81 mg、0.85 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.015 mg、0.001 mg、mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.016 mg、0.018 mg、0.010 mg、0.015 mg、0.001 mg、0.010 mg、及び0.25 mg/cm2/hという明白な流速値を計算した。本結果は、抗生物質のほとんどのプロドラッグは、親抗生物質よりも100倍速く人の皮膚を通して拡散するということを示す。セフポドキシムプロキセチルだけは、非常に速い皮膚浸透率を有している。その理由は、セフポドキシムは正に荷電したアミノ基及び親油性部分を有しているからである。Wattsら(米国特許6,191,143号及び5,929,086号明細書)は、セフポドキシムプロキセチルの局所適用は全身性細菌性疾患の治療に効果的であることを実証したが、彼らは当時その理由がわからなかった。本結果は、ジアルキルアミノエチル基上の正電荷は、薬物が膜及び皮膚障壁を横断して通過することにおいて非常に重要な役割を有していることを示す。これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷に結合するだろう。この結合は、膜をわずかに乱し、プロドラッグの親油性部分のためのいくらかの空間を作るかもしれない。膜の分子が動くと、プロドラッグの結合に起因して膜はわずかに「ひび割れる」かもしれない。これは、プロドラッグを膜の中に挿入させるだろう。pH7.4において、約99%のアミノ基がプロトン化されている。アミノ基がプロトン化されていないと、プロドラッグのアミノ基と膜のホスファート頭基との間の結合は引き離され、プロドラッグは完全に膜に入るだろう。プロドラッグのアミノ基が膜の反対側に反転すると、プロトン化され、次いでプロドラッグは半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中に引き込まれるだろう。
【0020】
インビボでの、無処理ヘアレスマウスの皮膚及び血液脳関門を通しての浸透率を試験した。イソプロパノール1mL中、6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(5-メチル-3-フェニル-2-イソオキサゾリン-4-カルボキサミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、及び6-[3-(o-クロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩の20%溶液からなるドナーをヘアレスマウスの背中10cm2に適用した。2時間後、マウスを殺した。メタノール5mlを均質化した血液、肝臓、腎臓、筋肉、又は脳1gに添加した。試料を5分間遠心分離し、HPLCにより解析した。親薬物の量は、メチシリンに関しては血液中50+/-7 μg/g、肝臓中40+/-5 μg/g、腎臓中35+/-5 μg/g、筋肉中40+/-6 μg/g、脳中20+/-5 μg/gであり、オキサシリンに関しては血液中55+/-7 μg/g、肝臓中38+/-5 μg/g、腎臓中36+/-5 μg/g、筋肉中32+/-4 μg/g、脳中18+/-5 μg/gであり、クロキサシリンに関しては血液中45+/-7 μg/g、肝臓中34+/-5 μg/g、腎臓中32+/-5 μg/g、筋肉中30+/-4 μg/g、脳中16+/-5 μg/gである。本結果は、これらのプロドラッグは非常に高い血液脳関門の浸透率を有していることを示している。
【0021】
インビトロでの血漿加水分解試験において、プロドラッグ10mgを0.2MpH7.4ホスファート緩衝液0.1ml中に溶解し、37℃に予熱されたヒト血漿1mlを混合物に加えた。混合物を水浴中で37℃に保ち、毎2分間隔で、試料0.2mlを回収し、メタノール0.4mlに加え、血漿タンパク質を沈殿させた。試料を5分間遠心分離し、HPLCにより解析した。プロドラッグの半減期は、6-フェノキシアセトアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、アリルメルカプトメチルペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(5-メチル-3-フェニル-2-イソオキサゾリン-4-カルボキサミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[3-(o-クロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[3-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[D(-)-α-アセトアミドフェニルアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、D-α-[(イミダゾリジン-2-オン-1-イル)カルボニルアミノ]ベンジルペニシリン 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6R-[2-[3-(メチルスルホニル)-2-オキソ-1-イミダゾリジンカルボキサミド]-2-フェニルアセトアミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-D(-)-α-(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニルカルボニルアミノ)-α-フェニルアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-(2-チエニルアセトアミド)セファロスポラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[(ヒドロキシフェニルアセチル)アミノ]-3-[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[[(アミノカルボニル)オキシ]メチル]-7-[[2-フラニル(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[[(アミノカルボニル)オキシ]メチル]-7-メトキシ-8-オキソ-7-[(2-チエニルアセチル)アミノ]-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[[2-(アセチルアミノメチル)フェニル]アセチル]アミノ]-3-[[[1-(エトキシルカルボニルメチル)-1H-テトラゾール-5-イル]チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[(アセチルアミノフェニルアセチル)アミノ]-3-クロロ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[(アセチルオキシ)メチル]-7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[[[(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニル)カルボニル]アミノ](4-アセトキシフェニル)アセチル]アミノ]-3-[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[2-(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)-2-((Z)-メトキシイミノ)アセトアミド]-3-(メトキシメチル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[2-(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)-2-((Z)-エトキシカルボニルメトキシ)イミノ]アセトアミド]-3-(ビニル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩に対して、8+/-1分、8+/-1分、10+/-1分、12+/-1分、8+/-1分、12+/-1分、10+/-1分、9+/-1分、13+/-1分、15+/-1分、9+/-1分、10+/-1分、8+/-1分、7+/-1分、9+/-1分、8+/-1分、10+/-1分、11+/-1分、12+/-1分、8+/-1分、及び9+/-1分である。
【0022】
臨床型乳房炎の泌乳牛において局所的な抗生物質治療の有効性を試験するため、90頭の泌乳期乳牛を採用した。もし罹患した(affected)4分の1から17日目及び22日目に採取された試料中に、前治療試料において単離された細菌種がいなければ、細菌学的治療を達成したと考えた。臨床的治癒を、治療前1日目に観察された疾患の臨床的徴候の消失、言い換えれば、正常な飼料摂取に戻ること、直腸温<39.0℃、良い全身状態、乳房浮腫の不存在、正常な乳の外観、及び正常な乳産生と定義した。pH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)10mL中、500mgの6-フェノキシアセトアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩(ペニシリンV-DAEE)、6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩(メチシリン-DAEE)、又はor7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩(セフチゾキシム-DAEE)を、1日に2回、乳房の皮膚上にスプレーした。結果を表1及び2に示す。
【0023】
表1.抗生物質の新規なプロドラッグを用いた牛乳房炎の局所治療の臨床的治癒率

【0024】
表2.抗生物質の新規なプロドラッグを用いた牛乳房炎の局所治療の細菌学的治癒率(22日)

プロドラッグは、非常に高い臨床的及び細菌学的治癒率を明示した。
【0025】
局所適用の1時間後、乳試料を採取し、解析した。親薬物の量は、ペニシリンVでは乳中80+/-7 μg/g、メチシリンでは75+/-6 μg/g、及びセフチゾキシムでは70+/-7 μg/gである。本結果から、これらのプロドラッグは非常に高い血液乳関門の浸透率を有していることが示される。それらの非常に高い血液乳関門又は血液脳関門の浸透率は、それらを脳、胸、前立腺及び他の感染の治療に対して非常に有益にする。
【0026】
グラム陰性菌の細胞壁は、多くの抗生物質を通過不能にする、外膜(親油性)及びペリプラズム(親水性)を含有する。β−ラクタム抗生物質のこれらの新規なプロドラッグは、それらを外膜とペリプラズムの両方に大いに通過可能にする、親油性部分及び親水性部分を有するため、容易にペニシリン結合タンパク質に到達し得る。グラム陰性菌の細胞壁の極めて外側においては、特徴的な炭化水素及び親水性なタンパク質のセットがある。プロドラッグの親水性部分は、炭化水素及びタンパク質障壁を通してのこれらのプロドラッグの通過を促進し、ペニシリン結合タンパク質に到達するだろう。これらのプロドラッグは、グラム陰性菌とグラム陽性菌の両方に対して非常に広い抗菌スペクトルを有し、抗生物質に対する耐性の問題がより少ないはずである。
【0027】
上記の構造1で表される化合物は、β−ラクタム抗生物質(遊離酸)から、カップリング試薬、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用することにより、構造2で表される化合物との反応によって調製され得る。
【化18】

【0028】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、XはO、S又はNHを表す。
【0029】
XがOを表すとき、上記の構造1で表される化合物は、β−ラクタム抗生物質の金属塩、有機塩基塩、又は固定化された塩基塩から、構造3で表される化合物との反応によって調製され得る。
【化19】

【0030】
式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、ZはF、Cl、Br、I、又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5…であり、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、XはO、S又はNHを表す。
【発明の効果】
【0031】
これらのβ−ラクタム抗生物質のプロドラッグは、親油性部分及び親水性部分(生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在するアミン基)を有する。これらのプロドラッグの正に荷電したアミノ基は2つの優れた利点を有する。第一に、プロドラッグを水溶性にする。すなわち、これらの新規なプロドラッグが、液体、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルのような投与形態で経皮投与されるとき、これらは直ちに、皮膚、眼、生殖器部、口、鼻、又は身体の他の部分における水分と混合するだろう。第二に、これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。この結合はまた、膜をわずかに乱し、プロドラッグの親油性部分のためのいくらかの空間を(極性基を親油性アルキル基で修飾することにより)作るかもしれない。膜の分子が動くと、プロドラッグの結合に起因して膜はわずかに「ひび割れる」かもしれない。これは、プロドラッグを膜の中に挿入させるだろう。pH7.4において、約99%のアミノ基がプロトン化されている。アミノ基がプロトン化されていないと、プロドラッグのアミノ基と膜のホスファート頭基との間の結合は引き離され、プロドラッグは完全に膜に入るだろう。プロドラッグのアミノ基が膜の反対側に反転すると、プロトン化され、次いでプロドラッグは半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中に引き込まれるだろう。非常に高い皮膚、膜、血液脳関門及び血液乳関門の浸透率は、それらを脳、胸、前立腺及び他の感染部の治療に対して非常に有益にする。これらのプロドラッグは、グラム陰性菌とグラム陽性菌の両方に対して非常に広い抗菌スペクトルを有し、抗生物質に対する耐性の問題がより少ない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を横断する、6-フェノキシアセトアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、アリルメルカプトメチルペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-(5-メチル-3-フェニル-2-イソオキサゾリン-4-カルボキサミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[3-(o-クロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-[3-(2,6-ジクロロフェニル)-5-メチル-4-イソオキサゾールカルボキサミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、ペニシリンV、ペニシリンO、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリンの累積量。それぞれの場合において、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図2】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を横断する、6-[D(-)-α-アセトアミドフェニルアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、D-α-[(イミダゾリジン-2-オン-1-イル)カルボニルアミノ]ベンジルペニシリン 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6R-[2-[3-(メチルスルホニル)-2-オキソ-1-イミダゾリジンカルボキサミド]-2-フェニルアセトアミド]ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、6-D(-)-α-(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニルカルボニルアミノ)-α-フェニルアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-(2-チエニルアセトアミド)セファロスポラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、アンピシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セファロチンの累積量。それぞれの場合において、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図3】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を横断する、7-[(ヒドロキシフェニルアセチル)アミノ]-3-[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[[(アミノカルボニル)オキシ]メチル]-7-[[2-フラニル(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、3-[[(アミノカルボニル)オキシ]メチル]-7-メトキシ-8-オキソ-7-[(2-チエニルアセチル)アミノ]-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[[2-(アセチルアミノメチル)フェニル]アセチル]アミノ]-3-[[[1-(エトキシルカルボニルメチル)-1H-テトラゾール-5-イル]チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[(アセチルアミノフェニルアセチル)アミノ]-3-クロロ-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、セファマンドール、セフロキシム、セフォキシチン、セフォラニド、セファクロルの累積量。それぞれの場合において、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図4】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を横断する、3-[(アセチルオキシ)メチル]-7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)(メトキシイミノ)アセチル]アミノ]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[[[[(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニル)カルボニル]アミノ](4-アセトキシフェニル)アセチル]アミノ]-3-[[(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)チオ]メチル]-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[2-(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)-2-((Z)-メトキシイミノ)アセトアミド]-3-(メトキシメチル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、7-[2-(2-アセチルアミノ-4-チアゾリル)-2-((Z)-エトキシカルボニルメトキシ)イミノ]アセトアミド]-3-(ビニル)-8-オキソ-5-チア-1-アザビシクロ[4.2.0]オクト-2-エン-2-カルボン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフポドキシムプロキセチル、又はセフィキシムの累積量。それぞれの場合において、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図5】式中、XはO、S、又はNHを表し、YはH、OH、NHCHO、CH2CH2NHC(=NR7)NHR7、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、F、Br、I、又はClを表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、RSはβ−ラクタム抗生物質の側鎖を表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表す。全てのR、-(CH2)n-又は-(CH2)m-基は分枝鎖若しくは直鎖であり、C、H、O、S、又はN原子を含んでもよく、単結合、二重結合、及び三重結合を有してもよい。いずれのCH2基はO、S、又はNHと置換されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(最良の形態)
6-フェノキシアセトアセトアミドペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩の調製
ペニシリンVカリウム39g(0.1mol)をアセトニトリル100mlに溶解した。酢酸エチル中2−ブロモ−N,N−ジエチルエチルアミン臭化水素酸塩(2-Bromo-N,N-diethylethylamine.HBr)39g(0.15mol)を反応混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、重炭酸ナトリウム8gを反応混合物に加えた。混合物を室温でもう2時間撹拌する。溶媒を蒸発させた。酢酸エチル250mlを反応混合物に加え、混合物を水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。エーテル50ml中3.5gのHClを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、所望の吸湿性生成物38g(78.2%)を得た。水中での溶解性:50mg/ml、元素分析:C2232ClN35S、分子量:486.0、計算% C: 54.37; H: 6.64; N: 8.65; Cl: 7.29; O: 16.46; S: 6.60、実測% C: 54.32; H: 6.68; N: 8.61; Cl: 7.32; O: 16.51; S: 6.56、1H-NMR (400MHz,D2O): δ: 1.28 (s, 6H), 1.35 (t, 6H), 3.21 (m, 4H), 3.43 (m, 2H), 4.51 (m, 2H), 4.68 (s, 1H), 4.79 (s, 2H), 4.86 (m, 1H), 5.19 (m, 1H), 6.68 (m, 2H), 6.80 (m, 1H), 7.11 (m, 2H), 7.21 (b, 1H)。
【0034】
構造1で表される他の化合物を同じ方法により合成し得る。
【0035】
(発明の形態)
6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸 2-ジエチルアミノエチルエステル塩酸塩 6-(2,6-ジメトキシベンズアミド)ペニシラン酸38g(0.1mol)をクロロホルム300ml中に溶解した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6gを反応混合物に加えた。N,N−ジメチルアミノエタノール11.7g及び4−ジメチルアミノピリジン2gを反応混合物に加えた。混合物を室温で10時間撹拌した。固形物を濾過により除去した。該クロロホルム溶液を5%NaHCO3(2×100ml)及び水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。エーテル50ml中3.5gのHClを撹拌しながら反応混合物に加えた。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、所望の吸湿性生成物40g(77.5%)を得た。水中での溶解性:50mg/ml、元素分析:C2334ClN36S、分子量:516.05、計算% C: 53.53; H: 6.64; N: 8.14; Cl: 6.87; O: 18.60; S: 6.21、実測% C: 53.49; H: 6.68; N: 8.11; Cl: 6.90; O: 18.64; S:6.18、1H-NMR (400MHz,D2O): δ: 1.28 (s, 6H), 1.35 (t, 6H), 3.21 (m, 4H), 3.75 (s, 6H), 3.43 (m, 2H), 4.51 (m, 2H), 4.68 (s, 1H), 4.84 (m, 1H), 5.17 (m, 1H), 6.50 (m, 2H), 7.21 (m, 1H), 7.28 (b, 1H)。
【0036】
構造1で表される他の化合物を同じ方法により合成し得る。
【産業上の利用可能性】
【0037】
構造1で表される化合物は、容易に皮膚、血液脳関門、及び血液乳関門に浸透し得る。それらは、高い皮膚、血液脳関門、及び血液乳関門の浸透率を有するため、皮膚、脳、胸、前立腺及び他の感染部の治療に対して有益である。これらのプロドラッグは、グラム陰性菌とグラム陽性菌の両方に対して非常に広い抗菌スペクトルを有し、抗生物質に対する耐性の問題がより少ない。
【0038】
本発明の態様として、例えば以下のものがある。
1.次式の構造1で表される化合物であって、但し、既知の化合物であるペネタメートヨウ化水素酸塩(3,3-ジメチル-7-オキソ-6-[(フェニルアセチル)アミノ]-4-チア-1-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-2-カルボン酸 2-(ジエチルアミノ)エチルエステル 一ヨウ化水素酸塩)を除く(この化合物の、皮膚、血液脳関門、及び血液乳関門を通しての高い浸透率は、は決して言及されていない)化合物。
【化20】

式中、XはO、S、又はNHを表し、YはH、OH、OR5、NHCHO、CH2CH2NHC(=NR7)NHR7、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、F、Br、I、又はClを表し、
【化21】

式中、ZはS、O、SO、SO2、NH、CHCH3、CHCH2CH3、又はCH2を表し、-X1は-H、-OH、-OCH3、-OC2H5、-OC3H7、-CONH2、-CH2OCONH2、-CH2OCOCH3、-OCOCH3、-CH2OCOCH3、-CH2OCH3、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C4H9、-C5H11、-C6H13、-Cl、-F、-Br、-I、-HC=CHCH3、-HC=CH2、-CH2OCH3、-S(CH2)n-NHR7、又は以下のものを表し、
【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

式中、ZはS、O、SO、SO2、NH、CH2、CHCH3、又はCHCH2CH3を表し、R5はH、CONH2、CH2CH2OR6、CH2CH2N(CH3)2、CH2CH2N(CH2CH3)2、Cl、F、Br、I、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R6はH、F、Cl、Br、I、Na+、K+、COR5、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R7はH、CH3、C2H5、CF3、COCH3、C3H7、C4H9、C5H11、CONH2、COR6、COR5、CO-W、又はWを表し、R8はH、CH3、C2H5、CF3、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CH2CHF2、CH2CF3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2NR6R7、CH(NHR7)CH2CONH2、C3H7、C4H9、C5H11、CONH2、CH2CONH2、CH2OCONH2、C(CH3)2COOR6、CH(CH3)COOR6、CH2COOR6、COR6、COR5、CO-W、又はWを表し、XはO、S、NH、又はCH2を表し、X2はH、CH3、CH2(CH2)nOR8、Cl、F、Br、I、NO2、CN、CF3、OCF3、NH2、CH3、C2H5、CONH2、CH2OCONH2、CH2COOR5、CH2(CH2)nN(CH3)2、CH2(CH2)nSO3R5、C1-8アルキル、C1-8アルキルチオール、C1-8アルキルアミン、又はC1-8アルキルオキシを表し、X3はH、CH3、CH2(CH2)nOR8、Cl、F、Br、I、NO2、CN、CF3、OCF3、NH2、CH3、C2H5、CONH2、CH2OCONH2、CH2COOR5、CH2(CH2)nN(CH3)2、CH2(CH2)nSO3R5、C1-8アルキル、C1-8アルキルチオール、C1-8アルキルアミン、又はC1-8アルキルオキシを表し、X4はN、CH、又はCY1を表し、X5はCH2、CHY1、S、O又はNHを表し、Y1はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y2はH、OH、OW、OCOW、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y3はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y4はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、AAはアミノ酸を表し、n=0、1、2、3、4、5、6…であり、Rs-は、
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

R6OOCCH(NHR7)(CH2)nCONH-、R6OOCCH(NHR7)(CH2)nSCONH-、CF3SCH2CONH-、CF3CH2CONH-、CHF2SCH2CONH-、CH2FSCH2CONH-、NH2COCHFSCH2CONH-、R7NHCH(COOW)CH2SCH2CONH-、CNCH2SCH2CONH-、CH3(CH2)nCONH-、R7N=C(NR7)CH2CH2S-、R7N=C(NHR7)NHCO-、CH3C(Cl)=CHCH2SCH2CONH-、(CH3)2C(OR6)-、CNCH2CONH-、CNCH2CH2S-、R7N=C(NR7)CH2CH2S-、CH2=CHCH2SCH2CONH-、CH3CH(OH)-、CH3CH(OR8)-、CH3CH(Y1)-、(CH3)2CH-、CH3CH2-、又はCH3(CH2)nCH=CH(CH2)mCONH-を表し、式中、n又はm=0、1、2、3、4、5、6…であり、X3はH、N3、SO3W、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、OC2H5、CH3、C2H5、COOW、OW、又はWを表し、X4はN、CH、又はCY1を表し、X5はCH2、S、O、又はNHを表し、R5はH、-CONH2、CH2CH2N(CH3)2、CH2CH2N(CH2CH3)2、CH2CH2OR6、Cl、F、Br、I、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R6はH、F、Cl、Br、I、2-オキソ-1-イミダゾリジニル、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール(フェニル、5-イミダニル、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルなど)若しくはヘテロアリール(4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン-3-イルなど)残基を表し、R7はH、F、Cl、Br、I、CH3NHCOCH2CH(NHR8)CO、R5N=C(NHR6)NHCO-、COCH3、COR6、PO(OR5)OR6、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R8はH、F、Cl、Br、I、CH3、C2H5、CF3、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CH2CHF2、CH2CF3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、C3H7、C4H9、C5H11、COR6、CONH2、CH2OCONH2、PO(OR5)OR6、C(CH3)2COOR6、CH(CH3)COOR6、CH2COOR6、CO-W、又はWを表し、Y1はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、SO3R6、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y2はH、OH、OW、OCOW、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y3はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y4はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、NR8COR5、SO2NR5R8、COR5、SR5、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、-Wは-H、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、又は以下の残基のうちの一つを表し、
【化36】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、Rs及びYは一緒にみてR6OCH2C(R5)=を表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、全ての二重結合はシス又はトランスであり得、全てのR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、-(CH2)n-、又は-(CH2)m-基は分枝鎖若しくは直鎖であり、C、H、O、S、又はN原子を含み得、単結合、二重結合、及び三重結合を有してもよく、いずれのCH2基はO、S又はNHと置換され得る。
【0039】
2.β−ラクタム抗生物質の経皮送達システムのデザインであって、β−ラクタム抗生物質のプロドラッグをデザインするための原則は、(1)プロドラッグは、親油性部分及び生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級若しくは第3級アミン基、クアニジノ基、又は1つが保護されたクアニジノ基(親水性部分)を有していなければならず、(2)β−ラクタム抗生物質の全てプロドラッグは1つ又は2つだけ(好ましくは1つ)の、生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級若しくは第3級アミン基、クアニジノ基、又は1つが保護されたクアニジノ基(親水性部分)を有するべきであり、(3)前記第1級、第2級若しくは第3級アミン基、クアニジノ基、又は1つが保護されたクアニジノ基は、前記化合物のいずれかの部分上にあり得、前記化合物の一末端に正電荷があり、かつ他の末端が親油性部分であるデザインが好ましく、(4)カルボキシル基、アミノ基、グアニジン基又は他の親水性基は、アルキル、アリール、又はヘテロアリールエステル若しくはアミド基で保護され、β−ラクタム抗生物質をより親油性にし得る。
【0040】
3.上記1に記載の、構造1で表される化合物を調製する方法であって、該化合物を、β−ラクタム抗生物質(遊離酸)から、カップリング試薬、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用することにより、以下の構造2で表される化合物と反応させることにより得ることを特徴とする方法。
【化37】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、XはO、S又はNHを表す。
【0041】
4.上記1に記載の、構造1で表される化合物を調製する方法であって、該化合物を、β−ラクタム抗生物質の金属塩、有機塩基塩、又は固定化された塩基塩から、以下の構造3で表される化合物と反応させることにより得ることを特徴とする方法。
【化38】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、ZはF、Cl、Br、I、メチルスルホニル又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5…であり、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…である。
【0042】
5.上記1に記載の、構造1で表される1種の若しくは複数の化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)、又は少なくとも構造1で表される化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)を活性成分として含む組成物であり、人又は動物において、β−ラクタム抗生物質治療可能な状態を治療するために、経口投与、経皮投与又は注射により投与されることが可能である化合物又は組成物であって、前記β−ラクタム抗生物質治療可能な状態が、上気道及び下気道の感染、急性呼吸促迫、肺炎、髄膜炎、敗血性ショック、敗血症、中耳炎及び静脈洞炎、髄膜炎菌性髄膜炎及び脳膿瘍、髄膜炎菌性及び肺炎球菌性敗血症、連鎖球菌性心内膜炎、骨盤内炎症性疾患、淋病、梅毒、ライム病、ガス壊疽、破傷風、皮膚及び関連軟組織、消化管、尿路、骨及び関節、並びに敗血症及び心内膜炎及び腹内及び胆管感染を含むが、これに限定されるものではない化合物又は組成物。
【0043】
6.人又は動物において、β−ラクタム抗生物質治療可能な状態を治療する方法であって、身体の一部に(溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で)経皮投与することにより、上記1に記載の、構造1で表される1種の若しくは複数の化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)、又は少なくとも構造1で表される化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)を活性成分として含む組成物の治療有効血漿レベルを送達することを特徴とする方法。
【0044】
7.人又は動物において、皮膚、脳、胸、前立腺、上気道及び下気道、尿路、骨及び関節、生殖器部、並びに他の感染を局所的に治療する方法であって、治療有効量の、上記1に記載の、構造1で表される1種の若しくは複数の化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)、又は少なくとも構造1で表される化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)を活性成分として含む組成物を、炎症部位又は近くの部位に経皮投与することを特徴とする方法。
【0045】
8.人又は動物において、β−ラクタム抗生物質治療可能な状態を治療するための、上記1に記載の、構造1で表される1種の若しくは複数の化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)、又は少なくとも構造2で表される化合物(ペネタメートヨウ化水素酸塩を含む)を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムであって、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得、最も好ましくは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有し、放出の割合を制御することによって、β−ラクタム抗生物質が絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、β−ラクタム抗生物質の副作用を減少させることを可能にすることを特徴とするシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の構造1で表される化合物であって、但し、ペネタメートヨウ化水素酸塩(3,3-ジメチル-7-オキソ-6-[(フェニルアセチル)アミノ]-4-チア-1-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-2-カルボン酸 2-(ジエチルアミノ)エチルエステル 一ヨウ化水素酸塩)を除く化合物。
【化1】

式中、XはO、S、又はNHを表し、YはH、OH、OR5、NHCHO、CH2CH2NHC(=NR7)NHR7、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、F、Br、I、又はClを表し、
【化2】

式中、ZはS、O、SO、SO2、NH、CHCH3、CHCH2CH3、又はCH2を表し、-X1は-H、-OH、-OCH3、-OC2H5、-OC3H7、-CONH2、-CH2OCONH2、-CH2OCOCH3、-OCOCH3、-CH2OCOCH3、-CH2OCH3、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C4H9、-C5H11、-C6H13、-Cl、-F、-Br、-I、-HC=CHCH3、-HC=CH2、-CH2OCH3、-S(CH2)n-NHR7、又は以下のものを表し、
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

式中、ZはS、O、SO、SO2、NH、CH2、CHCH3、又はCHCH2CH3を表し、R5はH、CONH2、CH2CH2OR6、CH2CH2N(CH3)2、CH2CH2N(CH2CH3)2、Cl、F、Br、I、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R6はH、F、Cl、Br、I、Na+、K+、COR5、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R7はH、CH3、C2H5、CF3、COCH3、C3H7、C4H9、C5H11、CONH2、COR6、COR5、CO-W、又はWを表し、R8はH、CH3、C2H5、CF3、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CH2CHF2、CH2CF3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2NR6R7、CH(NHR7)CH2CONH2、C3H7、C4H9、C5H11、CONH2、CH2CONH2、CH2OCONH2、C(CH3)2COOR6、CH(CH3)COOR6、CH2COOR6、COR6、COR5、CO-W、又はWを表し、XはO、S、NH、又はCH2を表し、X2はH、CH3、CH2(CH2)nOR8、Cl、F、Br、I、NO2、CN、CF3、OCF3、NH2、CH3、C2H5、CONH2、CH2OCONH2、CH2COOR5、CH2(CH2)nN(CH3)2、CH2(CH2)nSO3R5、C1-8アルキル、C1-8アルキルチオール、C1-8アルキルアミン、又はC1-8アルキルオキシを表し、X3はH、CH3、CH2(CH2)nOR8、Cl、F、Br、I、NO2、CN、CF3、OCF3、NH2、CH3、C2H5、CONH2、CH2OCONH2、CH2COOR5、CH2(CH2)nN(CH3)2、CH2(CH2)nSO3R5、C1-8アルキル、C1-8アルキルチオール、C1-8アルキルアミン、又はC1-8アルキルオキシを表し、X4はN、CH、又はCY1を表し、X5はCH2、CHY1、S、O又はNHを表し、Y1はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y2はH、OH、OW、OCOW、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y3はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、Y4はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、CH2CONH2、F、Br、I、又はClを表し、AAはアミノ酸を表し、n=0、1、2、3、4、5、6…であり、Rs-は、
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

R6OOCCH(NHR7)(CH2)nCONH-、R6OOCCH(NHR7)(CH2)nSCONH-、CF3SCH2CONH-、CF3CH2CONH-、CHF2SCH2CONH-、CH2FSCH2CONH-、NH2COCHFSCH2CONH-、R7NHCH(COOW)CH2SCH2CONH-、CNCH2SCH2CONH-、CH3(CH2)nCONH-、R7N=C(NR7)CH2CH2S-、R7N=C(NHR7)NHCO-、CH3C(Cl)=CHCH2SCH2CONH-、(CH3)2C(OR6)-、CNCH2CONH-、CNCH2CH2S-、R7N=C(NR7)CH2CH2S-、CH2=CHCH2SCH2CONH-、CH3CH(OH)-、CH3CH(OR8)-、CH3CH(Y1)-、(CH3)2CH-、CH3CH2-、又はCH3(CH2)nCH=CH(CH2)mCONH-を表し、式中、n又はm=0、1、2、3、4、5、6…であり、X3はH、N3、SO3W、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、OC2H5、CH3、C2H5、COOW、OW、又はWを表し、X4はN、CH、又はCY1を表し、X5はCH2、S、O、又はNHを表し、R5はH、-CONH2、CH2CH2N(CH3)2、CH2CH2N(CH2CH3)2、CH2CH2OR6、Cl、F、Br、I、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R6はH、F、Cl、Br、I、2-オキソ-1-イミダゾリジニル、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基を表し、R7はH、F、Cl、Br、I、CH3NHCOCH2CH(NHR8)CO、R5N=C(NHR6)NHCO-、COCH3、COR6、PO(OR5)OR6、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、CO-W、又はWを表し、R8はH、F、Cl、Br、I、CH3、C2H5、CF3、CH2CH2F、CH2CH2Cl、CH2CH2Br、CH2CH2I、CH2CHF2、CH2CF3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、C3H7、C4H9、C5H11、COR6、CONH2、CH2OCONH2、PO(OR5)OR6、C(CH3)2COOR6、CH(CH3)COOR6、CH2COOR6、CO-W、又はWを表し、Y1はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、SO3R6、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y2はH、OH、OW、OCOW、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCOCH3、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y3はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、Y4はH、OH、OW、OCOW、OCOCH3、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、CH2COOR8、OCH3、OC2H5、CH3SO3、NO2、NR8COR5、SO2NR5R8、COR5、SR5、CN、CF3、OCF3、CH=CHCONHCH2COOW、CH2(CH2)nNR5R6、CH2(CH2)nOR6、CH(CONH2)NHR6、SO3R6、COOR5、F、Br、I、又はClを表し、あるいは、Rs及びYは一緒にみてR6OCH2C(R5)=を表し、-Wは-H、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール若しくはヘテロアリール残基、又は以下の残基のうちの一つを表し、
【化17】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、A-は陰イオンを表し、全ての二重結合はシス又はトランスであり、全てのR、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、-(CH2)n-、又は-(CH2)m-基は分枝鎖若しくは直鎖である。
【請求項2】
構造1中、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、-(CH2)n-、又は-(CH2)m-基がC、H、O、S、若しくはN原子を含み、単結合、二重結合若しくは三重結合を有するか、又はCH2基がO、S若しくはNHと置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記陰イオンが、Cl-、Br-、F-、I-、AcO-、又はシトラートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
β−ラクタム抗生物質のプロドラッグを含む経皮送達組成物であって、前記プロドラッグは、親油性部分及び生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級若しくは第3級アミン基、又はクアニジノ基若しくは1つが保護されたクアニジノ基(親水性部分)を有し、前記プロドラッグは、1つ又は2つだけの、生理学的pHにおいてプロトン化された形態で存在する第1級、第2級若しくは第3級アミン基、又はクアニジノ基若しくは1つが保護されたクアニジノ基(親水性部分)を有することを特徴とする経皮送達組成物。
【請求項5】
第1級、第2級若しくは第3級アミン基、又はクアニジノ基若しくは1つが保護されたクアニジノ基が、前記化合物のいずれかの部分上にあり、前記化合物の一末端に正電荷があり、かつ他の末端が親油性部分である、請求項4に記載の経皮送達組成物。
【請求項6】
β−ラクタム抗生物質の親水性基が、アルキル、アリール、若しくはヘテロアリールエステル、又はアミド基で保護され、β−ラクタム抗生物質をより親油性にしている、請求項4に記載の経皮送達組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物を調製する方法であって、β−ラクタム抗生物質の遊離酸を、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、及びベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファートからなる群から選択される化合物を使用することにより、下式の構造2で表される化合物と反応させることを特徴とする方法。
【化18】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、又はアリール残基を表し、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…であり、XはO、S又はNHを表す。
【請求項8】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物を調製する方法であって、β−ラクタム抗生物質の金属塩、有機塩基塩、又は固定化された塩基塩を、下式の構造3で表される化合物と反応させることを特徴とする方法。
【化19】

式中、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、ZはF、Cl、Br、I、メチルスルホニル又はp−トルエンスルホニルを表し、A-は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5…であり、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-、アリール又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8…である。
【請求項9】
人又は動物において、β−ラクタム抗生物質治療可能な状態を治療するための、請求項1に記載の構造1で表される化合物を活性成分として含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項10】
経口投与、経皮投与又は注射により投与される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記β−ラクタム抗生物質治療可能な状態が、上気道又は下気道の感染、急性呼吸促迫、肺炎、髄膜炎、敗血性ショック、敗血症、中耳炎、静脈洞炎、髄膜炎菌性髄膜炎、脳膿瘍、髄膜炎菌性又は肺炎球菌性敗血症、連鎖球菌性心内膜炎、骨盤内炎症性疾患、淋病、梅毒、ライム病、ガス壊疽、破傷風、及び皮膚又は関連軟組織、消化管、尿路、骨、関節、腹内又は胆管感染からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
身体の一部に溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で経皮投与される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の構造1で表される化合物を活性成分として含む、人又は動物において、感染を局所的に治療するための、炎症部位又はその近くの部位に経皮投与されることを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
前記感染が、皮膚、脳、胸、前立腺、上気道、下気道、尿路、骨、関節、又は生殖器部の感染である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
人又は動物において、β−ラクタム抗生物質治療可能な状態を治療するための、請求項1に記載の構造1で表される化合物を含むマトリックス層及び非透過性支持層からなることを特徴とする経皮治療応用システム。
【請求項16】
包帯又はパッチである、請求項15に記載の経皮治療応用システム。
【請求項17】
活性物質貯蔵庫であり、皮膚に面する透過性底面を有する、請求項15に記載の経皮治療応用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67669(P2013−67669A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−10582(P2013−10582)
【出願日】平成25年1月23日(2013.1.23)
【分割の表示】特願2009−540881(P2009−540881)の分割
【原出願日】平成18年12月10日(2006.12.10)
【出願人】(509023539)
【Fターム(参考)】