説明

β−ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠剤及びその製造方法

本発明は、β-ラクタム系抗生物質をクラブラン酸塩とともに錠剤形態に製剤化し水中で崩壊させて容易に服用できるβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤、及びその製造方法に関するものである。上記の懸濁錠製剤の製造方法は、β-ラクタム系抗生物質及びクラブラン酸塩を崩壊剤、滑沢剤及び結合剤と混合した後、この混合物をローラー成型機にかけてドライタイプの顆粒を得る工程;及びこのドライタイプの顆粒に賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を混合し、この混合物を圧縮して錠剤を得る工程を含む。上記懸濁錠製剤は、改善された崩壊速度と分散特性によって経口投与が苦手な幼児や老人患者にも容易に服用できるため、β-ラクタム系抗生物質を必要とする疾患の治療に実際に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、本発明はβ-ラクタム系抗生物質をクラブラン酸塩とともに錠剤形態に製剤化し水中で崩壊させて容易に服用できるβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
β-ラクタム系抗生物質の一種であるアモキシシリン(amoxicillin)は半合成ペニシリン又はスペクトルペニシリンとも呼ばれ、咽喉炎又は扁桃炎の治療に有効な抗菌剤として最も広く用いられている。アモキシシリンは頻繁に使用されてきたため、β-ラクタマーゼの活性を有するアモキシシリン耐性の菌種が増加しつつある。このため、アモキシシリンはβ-ラクタマーゼ活性を阻害するクラブラン酸塩との混合形態に処方されている。最も多用されている製剤であるアモキシシリンとクラブラン酸カリウムが2:1(w/w)の比率で混合されたものがアモキシクラブ複合(co-amoxiclav)製剤であり、これはAugmentinTMの商標で市販されており、フィルムコート錠剤、ドライシロップなどの剤形に作られている。
【0003】
上記製剤中に含まれるクラブラン酸塩は湿気に極めて敏感であり少量の水分により容易に分解されるため、この問題を解決するために多様な研究が当技術分野においてなされてきた。たとえば、米国特許第6,051,255号はアモキシシリン及びクラブラン酸塩の圧縮混合物をフィルムコーティングすることにより外部の湿気がクラブラン酸塩に接触しないような錠剤処方を開示している。このフィルムコート錠剤は成人においては特に問題は見られないが、幼児や老人患者など、異物感によって飲み下しを嫌がる患者にとっては経口投与の際に問題となっていた。
【0004】
上記のフィルムコート錠剤の問題点を克服するための代案として、アモキシシリン及びクラブラン酸塩を錠剤型に処方しない多様な型の製剤が作られ幼児や老人患者に投与されている。例えば、WO01/45667号はアモキシシリン三水和物とクラブラン酸塩を含む水溶性粉末剤又は顆粒剤を開示している。しかしながら、この水溶性粉末剤又は顆粒剤は水分を容易に吸着するように処方されており、包装から取り出された製剤が直接又は間接的に水分と接触して、最終的にクラブラン酸塩を分解させ、時間が経過するにつれて未使用の薬剤の効力を徐々に低下させる。上記の問題点を克服するために、包装から取り出された製剤を冷蔵保存することにより分解を遅らせる方法が試されたが、根本的な解決をもたらすことはできなかった。さらに、この方法では包装から取り出された冷蔵保管中の製剤が吸収された水分によって部分的に凍結又は再結晶するため、患者に正しい量を処方することができない。
【0005】
また、国際特許公開WO00/03695号はアモキシシリン三水和物とクラブラン酸塩、及び充填物としてセルロースを含む液状水性懸濁製剤を開示している。懸濁製剤に甘味料を加えて製造されたものがドライシロップ剤であり、現在アモキシシリン及びクラブラン酸塩を含む抗生物質製剤として大量に販売されている。しかし、上記ドライシロップ剤を含む懸濁製剤は吸湿性が高過ぎて湿気に弱いことから、クラブラン酸塩が容易に分解されること、或いは長期保管による効力の変化という問題が起きる。
【0006】
前述した水溶性粉末剤、顆粒剤及び懸濁剤の欠点を克服するため別の選択肢として、アモキシシリン及びクラブラン酸塩が処方された懸濁錠剤が幼児又は老人患者に投与されている。例えば、国際特許公開WO04/06917号はアモキシシリンと崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウムを混合圧縮して顆粒化し、この顆粒にクラブラン酸カリウム、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム、乾燥剤として二酸化ケイ素、賦形剤として微結晶、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム、香料、甘味料及び食用着色料の混合物を加え、できた混合物を圧縮することによって製造される懸濁錠製剤を開示している。この懸濁錠製剤では、しかしながら、投薬の過程でいくつかの不都合が生じている。例えば、分散性を良くするために結合剤を添加していない場合でも水中で崩壊させるのに2分以上かかり、また、分散された粒子のサイズが相対的に大きいため患者によっては異物感を感じることがある。
【0007】
上記の問題点を解決するために多様な研究が当技術分野においてなされてきたが、これまでに良い成果は報告されていない。
このような状況から、投薬が単純・容易で崩壊速度と分散特性が改善された錠剤となるような、アモキシシリン及びクラブラン酸塩を含む懸濁錠製剤の開発が強く求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、投薬を単純・容易な方法で行うことができるアモキシシリン及びクラブラン酸塩を含む懸濁錠製剤の開発に鋭意努力し、β-ラクタム系抗生物質及びクラブラン酸塩に崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を加え、その後この混合物をローラー成型機にかけてドライタイプの顆粒を得て、次いでこのドライタイプの顆粒を賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤と混合し、この混合物を圧縮して錠剤を得ることにより、望ましい懸濁錠製剤を製造できることを見出した。本発明者らはまた、この懸濁錠製剤は経口投与が苦手な幼児や老人患者にも容易に服用できるため、β-ラクタム系抗生物質を必要とする疾患の治療に実際に適用することができることを立証した。
【0009】
従って、本発明の主な目的は、β-ラクタム系抗生物質を含み崩壊速度及び分散特性が改善された懸濁錠製剤の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記方法により製造されたβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
β-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法は以下の工程:(i)β-ラクタム系抗生物質及びクラブラン酸塩を、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤と混合した後、この混合物をローラー成型機にかけてドライタイプの顆粒を得る工程、及び、(ii)上記のドライタイプの顆粒に賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を混合し、この混合物を圧縮して錠剤を得る工程を含む。本発明を実施するにあたり、β-ラクタム系抗生物質は、これに限定されるものではないが、好ましくはペニシリン系抗生物質、より好ましくはペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、エピシリン、フェネチシリン又はピヴァンピシリンであり、クラブラン酸塩は、これに限定されるものではないが、好ましくはクラブラン酸カリウムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
当技術分野において先に報告されているように、β-ラクタム系抗生物質とクラブラン酸塩は好ましくは、2:1ないし14:1(w/w)の比率で混合され、最も好ましくは4:1(w/w)である。β-ラクタム系抗生物質とクラブラン酸塩の混合物は好ましくは15ないし40%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。
【0012】
さらに、工程(i)の崩壊剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、プレゼラチン化された澱粉又はこれらの混合物であり、崩壊剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは懸濁錠製剤中3ないし10%(w/w)の比率で含まれる。
【0013】
次に、工程(i)の滑沢剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはステアリン酸マグネシウム、シリコンジオキサイド、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸又はこれらの混合物であり、滑沢剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは0.1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。工程(i)の結合剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはコポビドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はこれらの混合物であり、結合剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは0.1ないし7.5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。
【0014】
さらにまた、工程(i)において、乾燥剤又は発泡剤を崩壊剤、滑沢剤及び結合剤と一緒にβ-ラクタム系抗生物質とクラブラン酸塩の混合物にさらに加えてもよく、乾燥剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはシリコンジオキサイド、合成珪酸アルミニウム、軽質無水珪酸又はこれらの混合物であり、乾燥剤は、これに限定されるものではないが、通常の使用では好ましくは0.1ないし10%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。発泡剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはクエン酸、酒石酸、アルギン酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム又はこれらの混合物であり、発泡剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。
【0015】
一方、工程(ii)の賦形剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、リン酸水素カルシウム、とうもろこし澱粉、マンニトール、ソルビトール、キシリトール又はこれらの混合物であり、賦形剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは30ないし75%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。工程(ii)の崩壊剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、プレゼラチン化された澱粉又はこれらの混合物であり、工程(ii)で使用される崩壊剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは3ないし10%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。工程(ii)の滑沢剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはステアリン酸マグネシウム、シリコンジオキサイド、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸又はこれらの混合物であり、工程(ii)の滑沢剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは0.1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。工程(ii)の結合剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはコポビドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はこれらの混合物であり、工程(ii)の結合剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは0.1ないし7.5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。
【0016】
さらに、工程(ii)を実施する際に、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を以下のうちの一つ:すなわち、粉末形態;これらの材料を混合し圧縮することにより得られるドライタイプの顆粒;及びこれらを水と混合して得られるウェットタイプの顆粒のいずれかの形態で、工程(i)で得られたドライタイプの顆粒と混合する。
【0017】
最後に、工程(ii)において、工程(i)で得られたドライタイプの顆粒に賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤と共に発泡剤をさらに混合してもよい。この工程において、発泡剤は、これに限定されるものではないが、好ましくはクエン酸、酒石酸、アルギン酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム又はこれらの混合物であり、発泡剤は、これに限定されるものではないが、好ましくは1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる。
【0018】
本発明者らは経口投与が苦手な幼児や老人患者が容易に服用できるようなアモキシシリン及びクラブラン酸塩の複合製剤を開発すべく鋭意努力し、国際特許公開WO04/06917号に開示されている懸濁錠製剤に着目した。この国際特許公開ではアモキシシリンを含むウェットタイプの顆粒をクラブラン酸塩と混合して圧縮し懸濁錠剤を得て、これを水中に分散させて経口投与している。
【0019】
また、本発明者らは、成分及び成分組成比を変えること;アモキシシリン及びクラブラン酸塩、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を含むドライタイプの顆粒を用いること;及び崩壊剤、滑沢剤及び結合剤、並びに任意の成分としての発泡剤の組成比を最適化させることにより、崩壊速度及び分散特性に関して懸濁錠製剤を改善することを試みた。
【0020】
一般に、ドライタイプの顆粒を製造するには滑沢剤及び結合剤が用いられるものであり、結合剤は各成分の結合を促進させる。当然ながら、本発明者らはアモキシシリンとクラブラン酸塩の混合物を含むドライタイプの顆粒を用いた上記懸濁錠製剤は国際特許公開WO04/06917号に開示されているものより低い崩壊速度を示すと予想したが、本発明の処方は予想に反して高い崩壊速度とすぐれた分散特性を示した。
【0021】
本発明者らはアモキシシリン及びクラブラン酸塩を含むドライタイプの顆粒と最適化した組成比の崩壊剤、滑沢剤、結合剤及び賦形剤を用いて多様な懸濁錠製剤を製造し、これらの各処方の崩壊時間及び分散特性を測定した。その結果、ドライタイプの顆粒を用いた上記の多様な懸濁錠製剤は全て、国際特許公開WO04/06917号に開示されたものよりも改善された崩壊速度と分散特性を示し、特に発泡剤を含む懸濁錠製剤は発泡剤を含まない処方よりも速く崩壊することが立証された。これにより、本発明の懸濁錠製剤はドライタイプの顆粒を用いることにより服用が簡単で体内への吸収が容易となり、従来技術の処方よりも効果的な治療を保証するものと結論付けることができた。
【0022】
一方、本発明者らはドライタイプの顆粒を得る工程及びドライタイプの顆粒を含む混合物を圧縮して懸濁錠製剤を得る工程の両方において滑沢剤が含まれるべきであることを見出した。すなわち、β-ラクタム系抗生物質、クラブラン酸塩、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤の混合物をローラー成型機にかけてドライタイプの顆粒を得る過程において、上記混合物がローラー成型機にこびりついてドライタイプの顆粒を得る過程が連続的に行われるのを妨げるのを滑沢剤は予防する。それ以外にも、その次のドライタイプの顆粒、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤の混合物を圧縮して錠剤を得る過程において、滑沢剤を使用することにより上記混合物が成型機の穿孔器にこびりついて圧縮過程が連続的に行われるのを妨げることも予防する。よって、ドライタイプの顆粒を得る工程及び混合物を圧縮して懸濁錠製剤を製造する工程の両方において滑沢剤が含まれるべきであることが立証された。
【0023】
前述したように、本発明の懸濁錠製剤はアモキシシリンを含有するものとして本来製造される。しかしながら、本発明の製剤はアモキシシリン耐性菌のβ-ラクタマーゼを阻害するクラブラン酸塩を使用するために設計されていることを考慮すると、クラブラン酸塩との複合製剤として使用できる多様な医薬を含むように適用することができる。例えば、クラブラン酸塩と、アンピシリン、ペニシリン、シクラシリン、エピシリン、フェネチシリン、ピヴァンピシリンなどのβ-ラクタム系抗生物質を混合した複合処方を本発明の懸濁錠剤の形態に製造した場合、この懸濁錠製剤は単純で容易な服用と吸収を保証する改善された崩壊時間と分散特性によってβ-ラクタム系抗生物質への耐性に打ち勝つことができると考えられる。この予測を立証するために、ペニシリン及びピヴァンピシリンをそれぞれクラブラン酸カリウムと混合し、上記の方法で製造したそれぞれの懸濁錠製剤を水中で崩壊させて崩壊時間を測定した。その結果、全ての懸濁錠製剤が30ないし40秒という短時間で完全に崩壊し、本発明の懸濁錠製剤はアモキシシリンの他に多様なβ-ラクタム系抗生物質にも適用できることが証明された。
【0024】
このように製造されたβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤は、β-ラクタム系抗生物質とクラブラン酸塩の混合物を有効成分として15ないし40%(w/w)、崩壊剤を6ないし20%(w/w)、滑沢剤を0.1ないし10%(w/w)、結合剤を0.1ないし15%(w/w)、賦形剤を30ないし75%(w/w)の比率で懸濁錠製剤に対して含み、任意で発泡剤、乾燥剤又はそれらの混合物をさらに含むが、好ましくは、乾燥剤は0.1ないし10%(w/w)、発泡剤は2ないし10%(w/w)の組成比で含まれる。
【0025】
上記の懸濁錠製剤は、改善された崩壊速度と分散特性によって経口投与が苦手な幼児や老人患者にも容易に服用できるため、β-ラクタム系抗生物質を必要とする疾患の治療に実際に適用することができる。
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0026】
実施例1: アモキシシリンを含む懸濁錠製剤の製造及び崩壊特性評価
最初に、PCT国際特許公開WO04/06917号に開示されているようなウェットタイプの顆粒を用いて懸濁錠製剤を製造した。すなわち、アモキシシリン231.0mg、クロスカルメロースナトリウム12.5mg、色素0.5mg及び適量の水を混合してウェットタイプの顆粒を得た。次いで、そのように得られたウェットタイプの顆粒に、クラブラン酸カリウム104.4mg、クロスカルメロースナトリウム12.5mg、香料20mg、色素0.5mg、シリコンジオキサイド5mg、アスパルテーム10mg、微結晶セルロース200mg及びステアリン酸マグネシウム7.5mgを加え混合して圧縮し、懸濁錠製剤600mgを製造した。
【0027】
次いで、ウェットタイプの顆粒の代りにドライタイプの顆粒を用いることを除いて上記と同様の方法で別の懸濁錠製剤を製造した。その際、ドライタイプの顆粒は結合剤を用いて製造した:すなわち、アモキシシリン231.0mg、クラブラン酸カリウム104.4mg、クロスカルメロースナトリウム12.5mg、ステアリン酸マグネシウム3.5mg、色素0.5mg及びコポビドン3mgを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、このドライタイプの顆粒にクロスカルメロースナトリウム12.5mg、香料14mg、色素0.5mg、コポビドン3mg、シリコンジオキサイド5mg、アスパルテーム10mg、微結晶セルロース200mg及びステアリン酸マグネシウム4.0mgを加えて混合し圧縮して、懸濁錠製剤600mgを製造した。
【0028】
上記の2種類の方法で製造された懸濁錠製剤をそれぞれ5mlの蒸留水中で崩壊させ、粒子サイズが200メッシュ以下になるのに必要な時間を肉眼で10回ずつ測定し、平均崩壊時間を測定し、自動粒子サイズ分析器を補助に用いて崩壊した粒子のサイズ分布を測定した(表1参照)。
【表1】

【0029】
上記表1に見られるように、ドライタイプの顆粒を用いて製造した懸濁錠製剤はウェットタイプの顆粒を用いて製造したものよりも速く崩壊することが明確に証明された。これらの結果は、コポビドンのような結合剤は一般に各成分を結合させて硬い崩壊特性を持たせるように使用されるものであるため、ドライタイプの顆粒を用いて製造した懸濁錠製剤はウェットタイプの顆粒を用いて製造したものよりも速く崩壊するであろうという我々の予想に反するものであった。さらに、ドライタイプの顆粒を用いて製造した懸濁錠製剤はウェットタイプの顆粒を用いて製造したものよりもはるかに微細な粒子として水中に分散されることも調べられた。
【0030】
従って、上記の2つの異なる中間生成物を用いて製造された各処方は、ドライタイプの顆粒において崩壊速度に対して影響を持たない香料の一部含量を減らして結合剤を加えたことを除けば、同じ成分を同じ量で用いて製造されていることを考慮すると、上記の結果は異なる中間生成物(すなわち、ドライタイプの顆粒とウェットタイプの顆粒)及び上記処方を製造する際の異なる過程という2つの要因によりもたらされたものと結論付けられた。
【0031】
ドライタイプの顆粒を用いて懸濁錠製剤を製造する過程において、崩壊剤及び結合剤が崩壊速度や分散性などの崩壊特性に重大な影響をもたらすと考えられるため、以下の実験で最も優れた崩壊特性を示す崩壊剤及び結合剤の比率を調べ、滑沢剤及び賦形剤の比率が崩壊特性に影響を与えるかどうかについても検証した。
【0032】
実施例2: 懸濁錠製剤中に含有される成分の組成比の最適化
ドライタイプの顆粒を中間生成物にして実施例1で製造された懸濁錠製剤において、最も優れた崩壊速度と分散特性をもたらす崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び賦形剤の各比率をそれぞれ調べた。
【0033】
実施例2-1: 崩壊剤の最適組成比の決定
アモキシシリン120mg、 クラブラン酸カリウム 30mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、クロスカルメロースナトリウム及びコポビドン2mgを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、このドライタイプの顆粒にクロスカルメロースナトリウム、シリコンジオキサイド5mg、コポビドン3mg、微結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウム5mgを加えて混合し圧縮して、懸濁錠製剤500mgを製造した。各処方の崩壊時間を実施例1と同様の方法で測定した(表2a参照)。ドライタイプの顆粒及び処方を製造する過程において、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウム(ccs)と賦形剤である微結晶セルロース(mcc)の量を以下のように、すなわち、ccs 0mg、mcc 330mg;ccs 25mg、mcc 305mg;ccs 50mg、mcc 280mg;ccs 75mg、mcc 255mg;ccs 100mg、mcc 230mg;ccs 125mg、mcc 205mg;及びccs 150mg、mcc 180mgと変化させて、崩壊剤をそれぞれ0、5、10、15、20、25又は30%(w/w)の比率で含む懸濁錠製剤を製造した。
【表2】

【0034】
上記表2aに見られるように、崩壊時間は崩壊剤が10%(w/w)以上の領域で急激に短縮し、20%(w/w)以上の領域ではそれ以上短縮されなかった。崩壊剤の組成比をより具体的に決定するために、崩壊剤を5、6、7、8、9、10、15、16、17、18、19又は20%(w/w)の比率で含む懸濁錠製剤をそれぞれ製造し、崩壊時間をそれぞれ測定した(表2b参照)。
【表3】

上記表2bに見られるように、崩壊時間は崩壊剤が6%(w/w)以上の領域で急激に短くなり、20%(w/w)以上の領域ではそれ以上短くならなかった。
【0035】
実施例2-2: 結合剤の最適組成比の決定
アモキシシリン120mg、クラブラン酸カリウム30mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、クロスカルメロースナトリウム20mg及びコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、このドライタイプの顆粒にクロスカルメロースナトリウム20mg、シリコンジオキサイド5mg、コポビドン、微結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウム5mgを加えて混合し圧縮して、懸濁錠製剤500mgを製造した。各処方の崩壊時間を実施例1と同様の方法で測定した(表3a参照)。ドライタイプの顆粒及び処方を製造する過程において、結合剤であるコポピドン(co-pvp)と賦形剤である微結晶セルロース(mcc)の量を以下のように、すなわち、co-pvp 0mg、mcc 295mg;co-pvp 15mg、mcc 280mg;co-pvp 30mg、mcc 265mg;co-pvp 45mg、mcc 250mg;co-pvp 60mg、mcc 235mg;co-pvp 75mg、mcc 220mg;及びco-pvp 90mg、mcc 205mgと変化させて、崩壊剤をそれぞれ0、3、6、9、12、15又は18%(w/w)の比率で含む懸濁錠製剤を製造した。
【表4】

【0036】
上記表3aに見られるように、結合剤を加えない場合、ドライタイプの顆粒は適切に製造されず崩壊時間を測定することができなかった。15%(w/w)を超える結合剤を加えた場合、崩壊時間は急激に長くなった。結合剤の組成比をより具体的に決定するために、結合剤を15、16、17又は18%(w/w)の比率で含む懸濁錠製剤をそれぞれ製造し、崩壊時間をそれぞれ測定した(表3b参照)。
【表5】

上記表3bに見られるように、結合剤が16%(w/w)を超える領域で崩壊時間は急激に長くなり、このことは結合剤が15%(w/w)以下であることが好ましいことを示している。
【0037】
実施例2-3: 滑沢剤の最適組成比の決定
アモキシシリン120mg、クラブラン酸カリウム30mg、クロスカルメロースナトリウム50mg、コポビドン40mg及びステアリン酸マグネシウムを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、このドライタイプの顆粒にクロスカルメロースナトリウム50mg、シリコンジオキサイド5mg、コポビドン35mg、微結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウムを加えて混合し圧縮して、懸濁錠製剤500mgを製造した。各処方の崩壊時間を実施例1と同様の方法で測定した(表4参照)。ドライタイプの顆粒及び処方を製造する過程において、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム(MgSA)と賦形剤である微結晶セルロース(mcc)の量を以下のように、すなわち、MgSA 0mg、mcc 170mg;MgSA 5mg、mcc 165mg;MgSA 25mg、mcc 145mg;MgSA 50mg、mcc 120mg;MgSA 75mg、mcc 95mg;MgSA 100mg、mcc 70mg;及びMgSA 150mg、mcc 20mgと変化させて、滑沢剤をそれぞれ0、1、5、10、15、20又は30%(w/w)の比率で含む懸濁錠製剤を製造した。
【表6】

上記表4に見られるように、滑沢剤を加えない場合、ドライタイプの顆粒は適切に製造されず崩壊時間を測定することができなかった。最低1%(w/w)の滑沢剤を加えた場合、滑沢剤の量は崩壊時間に影響を及ぼさなかった。
【0038】
実施例2-4:賦形剤の最適組成比の決定
実施例2-1ないし2-3で決定した種々の組成比で崩壊剤、結合剤及び滑沢剤を含む懸濁錠製剤をそれぞれ製造した。
アモキシシリン60mg、クラブラン酸カリウム15mg、ステアリン酸マグネシウム(MgSA-1)、クロスカルメロースナトリウム(ccs-1)及びコポビドン(co-pvp-1)を混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記ドライタイプの顆粒にシリコンジオキサイド5mg、ステアリン酸マグネシウム(MgSA-2)、クロスカルメロースナトリウム(ccs-2)、コポビドン(co-pvp-2)及び微結晶セルロース(mcc)を混合して圧縮し、0、10、20、30、40、50、60、70又は75%(w/w)の比率で賦形剤を含む懸濁錠製剤500mgを製造した。この際の各成分の含量は下記の表5aに示す。
【表7】

各懸濁錠製剤の崩壊時間を実施例1と同様の方法で測定した(表5b参照)。
【表8】

上記表5bに見られるように、30%以上の賦形剤を加えると懸濁錠剤を適切に製造することができ、懸濁錠製剤を適切に製造させるように賦形剤が添加されれば、その量は崩壊時間に対して無関係である。しかしながら、実施例2-1から2-3で決定された組成比を考慮して賦形剤の最適な組成比は約75%(w/w)とした。
【0039】
実施例2-1から2-4の結果を要約すると、中間生成物としてドライタイプの顆粒を用いた懸濁錠製剤において最も優れた崩壊速度と分散特性を示す最適な比率は6ないし20%(w/w)の崩壊剤、0.1ないし15%(w/w)の結合剤、30ないし75%(w/w)の賦形剤であり、滑沢剤の含有量は特に限定されない。
【0040】
実施例3: 多様な組成比の懸濁錠製剤の製造
アモキシシリン及びクラブラン酸並びに実施例2-1ないし2-4で決定した種々の組成比で結合剤、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤又はそれらの混合物を含むドライタイプの顆粒を用いた懸濁錠製剤を製造し、崩壊特性を評価した。
最初に、アモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)75mg(15%(w/w))、ステアリン酸マグネシウム(MgSA-1)、クロスカルメロースナトリウム(ccs-1)及びコポビドン(co-pvp-1)を互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、このドライタイプの顆粒にシリコンジオキサイド5mg(1%(w/w))、ステアリン酸マグネシウム(MgSA-2)、クロスカルメロースナトリウム(ccs-2)、コポビドン(co-pvp-2)及び微結晶セルロース(mcc)を加え、混合して圧縮し懸濁錠製剤500mgを製造した。ドライタイプの顆粒及び処方を製造する過程において、各成分の組成比は下記表6aのように変えた。
【表9】

【0041】
上記のように製造されたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤をそれぞれ蒸留水5ml中に崩壊させ、平均崩壊時間及び粒子サイズ分布を分析した。この際、対照は実施例1と同様とした(表6b参照)。
【表10】

【0042】
上記表6bに見られるように、崩壊時間はそれぞれの処方で異なり、対照の30ないし60%のレベルに達し、一方、粒子のサイズは対照よりも細かいことが明らかになった。
従って、アモキシシリン及びクラブラン酸塩並びに実施例2-1ないし2-4で決定した組成比で崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び賦形剤を含むドライタイプの顆粒を用いた懸濁錠製剤は従来技術のものより優れた崩壊特性を示すと結論付けることができた。
【0043】
実施例4: 多様な組成比のアモキシシリンを用いた懸濁錠製剤の製造
アモキシシリンを含む懸濁錠製剤を、成分の種類を変えて実施例3で製造された処方の中で最も速い崩壊を示した実験8の結合剤、崩壊剤、滑沢剤及び賦形剤の組成比で製造し、それらの崩壊特性をそれぞれ測定した。
最初に、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)の滑沢剤(A1)、10%(w/w)の崩壊剤(B1)及び1%(w/w)の結合剤(C1)を混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記ドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)の滑沢剤(A2)、10%(w/w)の崩壊剤(B2)、1%(w/w)の結合剤(C2)及び60.9%(w/w)の賦形剤(D)を加えて混合し圧縮して、500mgの懸濁錠製剤を製造した。ドライタイプの顆粒及び処方を製造する過程において、具体的な崩壊剤、滑沢剤、結合剤及び賦形剤の成分を下記表7aに示した。
【表11】

*略号:cr-pvp、クロスポビドン;ccs、クロスカルメロースナトリウム;Na-stg、澱粉グリコール酸ナトリウム;K-cmc、カルボキシメチルセルロースカリウム;pgst、プレゼラチン化された澱粉;MgSA、ステアリン酸マグネシウム;tc、タルク;PEG、ポリエチレングルコール;SA、ステアリン酸;co-pvp、コポビドン;pvp、ポビドン;HPC、ヒドロキシプロピルセルロース;HPMC、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;HEC、ヒドロキシエチルセルロース;mcc、微結晶セルロース;L-HPC、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース;LA、乳酸;CHP、リン酸水素カルシウム;cst、とうもろこし澱粉;Ma、マンニトール。
【0044】
上記のように製造されたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤を蒸留水5ml中に崩壊させ、平均崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50及びd10)をそれぞれ分析した。この際、対照は実施例1と同様とした(表7b参照)。
【表12】

上記表7bに示すように、崩壊時間は各処方の間に違いは見られず、崩壊剤、滑沢剤、結合剤及び賦形剤の種類を変えても崩壊に影響を及ぼさないことが示された。
【0045】
実施例5: 種々の方法による懸濁錠製剤の製造
実施例2で決定された組成比でアモキシシリン、結合剤、崩壊剤、滑沢剤及び賦形剤を含む懸濁錠製剤は同じ崩壊特性を示し、成分の変化が崩壊特性に影響を及ぼさないことを証明した実施例3及び4の結果に基づき、結合剤、崩壊剤、滑沢剤及び賦形剤を同じ成分と組成比で用いて、種々に変化させた方法により製造されたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤が同様の崩壊特性を示すかどうかを調べた。
【0046】
実施例5-1: 2種類のドライタイプの顆粒を用いたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤の製造
最初に、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。
続いて、上記のドライタイプの顆粒に、1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン及び60.9%(w/w)の微結晶セルロースを加え互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮し別のドライタイプの顆粒を得た。
上記の2種類のドライタイプの顆粒を互いに混合して圧縮し、懸濁錠製剤500mg(実験1)を製造した。
【0047】
一方、対照としての懸濁錠製剤を製造するために、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記ドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン及び60.9%(w/w)の微結晶セルロースを加え、混合して圧縮し懸濁錠製剤500mgを製造した。
【0048】
実施例5-2: ドライタイプの顆粒及びウェットタイプの顆粒を用いたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤の製造
最初に、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。
続いて、上記ドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン及び60.9%(w/w)の微結晶セルロースを加え、互いに混合した後、適量の蒸留水と1%(w/w)のコポビドンを混合物に加え、次いでこの混合物に混和、造粒、乾燥及びノーマライゼーションの一連の過程を行なってウェットタイプの顆粒を得た。
上記の方法により得られたドライタイプの顆粒とウェットタイプの顆粒を互いに混合して圧縮し、500mgの懸濁錠製剤(実験2)を製造した。この際、対照は実施例5−1と同様とした。
【0049】
実施例5-3: ウェットタイプの顆粒とドライタイプの顆粒を用いたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤の製造
最初に、12%(w/w)のアモキシシリン、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物に適量の蒸留水と1%(w/w)のコポビドンを加えて、次いでこの混合物に混和、造粒、乾燥及びノーマライゼーションの過程を行なってウェットタイプの顆粒を得た。
続いて、上記のドライタイプの顆粒に3%(w/w)のクラブラン酸、1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン及び60.9%(w/w)の微結晶セルロースを加えて互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。
このようにして得られたウェットタイプの顆粒とドライタイプの顆粒を互いに混合して圧縮し、500mgの懸濁錠製剤(実験3)を製造した。この際、対照は実施例5−1と同様とした。
【0050】
実施例5-4: 2種類のウェットタイプの顆粒を用いたアモキシシリンを含む懸濁錠製剤の製造
最初に、12%(w/w)のアモキシシリン、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、適量の蒸留水及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合して、次いで混和、造粒、乾燥及びノーマライゼーションの過程を行なってウェットタイプの顆粒を得た。
続いて、上記のドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム及び60.9%(w/w)の微結晶セルロースを加えて互いに混合し、次いで適量の蒸留水と1%(w/w)のコポビドンをこの混合物に加えて、上記と同様にウェットタイプの顆粒を得た。
このようにして得られた2種類のウェットタイプの顆粒を3%(w/w)のクラブラン酸と混合して圧縮し、500mgの懸濁錠製剤(実験4)を製造した。この際、対照は実施例5-1と同様とした。
【0051】
実施例5-5: 崩壊特性の比較
対照及び実施例5-1から5-4で製造した実験1から4の懸濁錠製剤をそれぞれ蒸留水5mlに崩壊させ、平均崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50及びd10)を実施例1に述べた方法によりそれぞれ分析した(表8参照)。
【表13】

上記表8に見られるように、アモキシシリンとクラブラン酸塩を含むドライタイプの顆粒を用いた懸濁錠製剤(実験1、実験2)は対照と同程度の崩壊特性を示したが、一方アモキシシリンを含むウェットタイプの顆粒を用いた懸濁錠製剤(実験3、実験4)は崩壊時間がかなり長くなり、分散特性は低下した。このことは、それらがPCT国際特許公開WO 04/06917号に開示された処方と同様の崩壊特性を有することを示していた。
従って、優れた崩壊特性を示す本発明の懸濁錠製剤を製造するためには、アモキシシリンとクラブラン酸塩を含むドライタイプの顆粒を用いることが必要であるが、その後の過程は変更してもよいと結論付けられた。
【0052】
実施例6: アモキシシリン及び発泡剤を含む懸濁錠製剤の製造
発泡剤は崩壊剤及び結合剤と共に、崩壊時間及び分散特性に影響を与えるという認識に基づいて、本発明の懸濁錠製剤の崩壊特性に対する発泡剤の効果を調べた。
実施例6-1: アモキシシリン及び発泡剤を含む懸濁錠製剤の製造
最初に、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、2%(w/w)のクエン酸、2%(w/w)の炭酸水素ナトリウム及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記ドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン、2%(w/w)のクエン酸、2%(w/w)の炭酸水素ナトリウム及び72.9%(w/w)の微結晶セルロースを加えて混合し圧縮して、500mgの懸濁錠製剤(実験群)を製造した。
一方、対照として、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記ドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン及び60.9%(w/w)の微結晶セルロースを加え混合して圧縮し、500mgの懸濁錠製剤を製造した。
上記の実験群と対照の懸濁錠製剤をそれぞれ蒸留水5ml中に崩壊させ、実施例1に述べた方法により平均崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50及びd10)をそれぞれ分析した(表9a参照)。
【表14】

上記表9aに見られるように、発泡剤を含む懸濁錠製剤(実験群)は対照と比較した場合、分散特性には差がなかったが、崩壊時間はかなり短縮されることを示した。
【0053】
実施例6-2: 発泡剤の最適組成比の決定
発泡剤が懸濁錠製剤の崩壊を促進させることを示す実施例6-1の結果に基づいて、最も優れた崩壊特性を示す発泡剤の組成比を以下の実験により決定した。
最初に、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、発泡剤(粉末クエン酸と炭酸水素ナトリウムの1:1(w/w)混合物)及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記ドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン、発泡剤及び微結晶セルロースを加え混合して圧縮し、500mgの懸濁錠製剤を製造した。ドライタイプの顆粒及び処方を製造する過程において、発泡剤(SHC)と賦形剤である微結晶セルロース(mcc)の組成比を以下のように、すなわち、mcc 60.9%(w/w);SHC 1%(w/w)、mcc 59.9%(w/w);SHC 2%(w/w)、mcc 58.9%(w/w);SHC 3%(w/w)、mcc 57.9%(w/w);SHC 4%(w/w)、mcc 56.9%(w/w);SHC 5%(w/w)、mcc 55.9%(w/w);SHC 6%(w/w)、mcc 54.9%(w/w);SHC 7%(w/w)、mcc 53.9%(w/w);SHC 8%(w/w)、mcc 52.9%(w/w);SHC 9%(w/w)、mcc 51.9%(w/w);SHC 10%(w/w)、mcc 50.9%(w/w);SHC 11%(w/w)、mcc 49.9%(w/w);SHC 12%(w/w)、mcc 48.9%(w/w);SHC 13%(w/w)、mcc 47.9%(w/w);SHC 14%(w/w)、mcc 46.9%(w/w);及び、SHC 15%(w/w)、mcc 45.9%(w/w)と変化させて、発泡剤を0ないし15%(w/w)の比率で含む懸濁錠製剤をそれぞれ製造し、実施例1で述べた方法によりそれぞれの崩壊時間を測定した(表9b参照)。
【表15】

上記表9bに見られるように、発泡剤を含む懸濁錠製剤は発泡剤を含まない処方よりも速く崩壊した。特に、2%(w/w)以上の発泡剤を加えた場合に崩壊時間が急激に短くなり、10%(w/w)以上加えた場合にはそれ以上の短縮は認められなかった。
【0054】
実施例6-3: アモキシシリンを含む懸濁錠製剤の種々の組成比による製造
実施例6-2で測定した各組成比の範囲内で、発泡剤の組成比を変えてアモキシシリンを含む懸濁錠製剤を製造し、各処方の崩壊特性を調べた。
最初に、15%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)、0.1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、発泡剤(粉末クエン酸と炭酸水素ナトリウムの1:1(w/w)混合物)(A1)及び1%(w/w)のコポビドンを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記のドライタイプの顆粒に1%(w/w)のシリコンジオキサイド、1%(w/w)のステアリン酸マグネシウム、10%(w/w)のクロスカルメロースナトリウム、1%(w/w)のコポビドン、発泡剤(A2)及び微結晶セルロース(B)を加えて混合し圧縮して、500mgの懸濁錠製剤を製造した。この際、発泡剤(A1、A2)と微結晶セルロース(B)の組成比は下記の表9cに示す通りである。
【表16】

アモキシシリンを含む懸濁錠製剤をそれぞれ蒸留水5mlに崩壊させ、平均崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50、d10)を分析した。この際、対照は実施例1と同様とした(表9d参照)。
【表17】

上記表9dに見られるように、崩壊時間は発泡剤を加える時期には依存せず、発泡剤の組成比に依存して崩壊時間は変化した。
【0055】
実施例7: 種々のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造及び崩壊特性の評価
アモキシシリン以外のペニシリン又はピヴァンピシリンのようなβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤を製造し、それらの処方の崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50及びd10)をそれぞれ分析した。
実施例7-1: ペニシリンを含む懸濁錠製剤の製造及び崩壊特性の評価
ペニシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(2:1、w/w)188mg、クロスポビドン30mg、コポビドン8mg、シリコンジオキサイド23mg、ステアリン酸マグネシウム8mg、クエン酸9mg及び炭酸水素ナトリウム11mgを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記のドライタイプの顆粒に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース15mg、微結晶セルロース145mg、クロスポビドン47mg、ステアリン酸マグネシウム9mg及びポビドン7mgを加えて混合し圧縮して、500mgの懸濁錠製剤を製造し、それらの処方の平均崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50及びd10)をそれぞれ分析した(表10a参照)。
【表18】

【0056】
実施例7-2: ピヴァンピシリンを含む懸濁錠製剤の製造及び崩壊特性の評価
ピヴァンピシリンとクラブラン酸カリウムの混合物(4:1、w/w)156mg、クロスポビドン48mg、コポビドン9mg、シリコンジオキサイド25mg、ステアリン酸マグネシウム7mg、クエン酸9mg及び炭酸水素ナトリウム11mgを互いに混合し、この混合物を5ないし10rpmのローラー速度及び5ないし10rpmのスクリュー速度で作動するローラー成型機にかけて圧縮しドライタイプの顆粒を得た。続いて、上記のドライタイプの顆粒に微結晶セルロース113mg、乳糖60mg、クロスポビドン42mg、ステアリン酸マグネシウム12mg及びポビドン8mgを加えて混合し圧縮して、500mgの懸濁錠製剤を製造し、それらの処方の平均崩壊時間及び粒子サイズ分布(d90、d50及びd10)をそれぞれ分析した(表10b参照)。
【表19】

実施例7-1及び7-2の結果に見られるように、本発明の懸濁錠製剤を製造する方法はアモキシシリン以外のペニシリン又はピヴァンピシリンのような多様なβ-ラクタム系抗生物質を含んでもよく、上記方法により製造された処方は平均崩壊時間が短縮され、優れた分散特性を示しうることが明らかとなり、そのことは本発明の方法が種々のβ-ラクタム系抗生物質の処方に実際に適用できることを示している。
【0057】
用法
本発明のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤は患者の年齢、性別、症状、投与方法又は予防目的に応じて、体重1kg当り5ないし20mgの用量で20ないし50mg/mlの濃度で(水中に分散させて)投与することができる。特異症状を示す患者には、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌状態、投与時間、投与方法、排泄率、疾患の重症度などに従って当業者が個々の用量を変えることができる。
【0058】
上記で明確に説明し立証したように、本発明はβ-ラクタム系抗生物質がクラブラン酸塩とともに錠剤形態に処方されていて水中に崩壊させて容易に服用できるβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤及びその製造方法を提供するものである。本発明の懸濁錠製剤は、改善された崩壊速度と分散特性によって経口投与が苦手な幼児や老人患者にも容易に服用できるため、β-ラクタム系抗生物質を必要とする疾患の治療に実際に適用することができる。
【0059】
上記の記述は単に好ましい態様の実例を述べたものであり本発明の範囲を上記の特定の態様に限定することを意図したものではないことは理解されるべきであり、それどころか、請求の範囲により定義されるような本発明の思想及び範囲に含むことができるような変更、修飾及び等価物も包含することが意図されている。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、
(i)β-ラクタム系抗生物質及びクラブラン酸塩を、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤と混合した後、この混合物をローラー成形機にかけてドライタイプの顆粒を得る工程;及び
(ii)工程(i)で得られたドライタイプの顆粒に賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を混合し、この混合物を圧縮して懸濁錠剤を得る工程
を含む方法。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、当該β-ラクタム系抗生物質がペニシリン系抗生物質である方法。
【請求項3】
請求の範囲第2項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、当該ペニシリン系抗生物質がペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、エピシリン、フェネチシリン又はピヴァンピシリンである方法。
【請求項4】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、当該クラブラン酸塩がクラブラン酸カリウムである方法。
【請求項5】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(i)のβ-ラクタム系抗生物質及びクラブラン酸塩の混合物が15ないし40%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項6】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(i)の崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、プレゼラチン化された澱粉又はこれらの混合物であり、3ないし10%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項7】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(i)の滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、シリコンジオキサイド、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸又はこれらの混合物であり、0.1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項8】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(i)の結合剤がコポビドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はこれらの混合物であり、0.1ないし7.5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項9】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(i)の過程においてβ-ラクタム系抗生物質及びクラブラン酸塩の混合物、崩壊剤、滑沢剤並びに結合剤に乾燥剤又は発泡剤をさらに加える方法。
【請求項10】
請求の範囲第9項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、当該防湿剤がシリコンジオキサイド、合成珪酸アルミニウム、軽質無水珪酸又はこれらの混合物であり、0.1ないし10%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項11】
請求の範囲第9項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、当該発泡剤がクエン酸、酒石酸、アルギン酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム又はこれらの混合物であり、1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項12】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の賦形剤が微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、リン酸水素カルシウム、とうもろこし澱粉、マンニトール、ソルビトール、キシリトール又はこれらの混合物であり、30ないし75%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項13】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、プレゼラチン化された澱粉又はこれらの混合物であり、3ないし10%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項14】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、シリコンジオキサイド、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸又はこれらの混合物であり、0.1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項15】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の結合剤がコポビドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はこれらの混合物であり、0.1ないし7.5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項16】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を粉末形態で、工程(i)で得られたドライタイプの顆粒と混合する方法。
【請求項17】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を、これらの材料を混合し圧縮して得られたドライタイプの顆粒の形態で、工程(i)で得られたドライタイプの顆粒と混合する方法。
【請求項18】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(ii)の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤を、これらの材料を水と混合して得られたウェットタイプの顆粒の形態で、工程(i)で得られたドライタイプの顆粒と混合する方法。
【請求項19】
請求の範囲第1項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、工程(i)で得られたドライタイプの顆粒と賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び結合剤の混合物中に工程(ii)の過程において発泡剤をさらに加える方法。
【請求項20】
請求の範囲第19項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤の製造方法であって、当該発泡剤がクエン酸、酒石酸、アルギン酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム又はこれらの混合物であり、1ないし5%(w/w)の比率で懸濁錠製剤中に含まれる方法。
【請求項21】
請求の範囲第1項により製造されるβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、懸濁錠製剤に対して15ないし40%(w/w)のβ-ラクタム系抗生物質とクラブラン酸塩の混合物である有効性分、6ないし20%(w/w)の崩壊剤、0.1ないし10%(w/w)の滑沢剤、0.1ないし15%(w/w)の結合剤及び30ないし75%(w/w)の賦形剤を含む懸濁錠製剤。
【請求項22】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該β-ラクタム系抗生物質がペニシリン系抗生物質である懸濁錠製剤。
【請求項23】
請求の範囲第22項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該ペニシリン系抗生物質がペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、エピシリン、フェネチシリン又はピヴァンピシリンである懸濁錠製剤。
【請求項24】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該クラブラン酸塩がクラブラン酸カリウムである懸濁錠製剤。
【請求項25】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、プレゼラチン化された澱粉又はこれらの混合物である懸濁錠製剤。
【請求項26】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、シリコンジオキサイド、タルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸又はこれらの混合物である懸濁錠製剤。
【請求項27】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該結合剤がコポビドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はこれらの混合物である懸濁錠製剤。
【請求項28】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該賦形剤が微結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、リン酸水素カルシウム、とうもろこし澱粉、マンニトール、ソルビトール、キシリトール又はこれらの混合物である懸濁錠製剤。
【請求項29】
請求の範囲第21項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、発泡剤、乾燥剤又はこれらの混合物が懸濁錠製剤中にさらに含まれる懸濁錠製剤。
【請求項30】
請求の範囲第29項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該発泡剤がクエン酸、酒石酸、アルギン酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム又はこれらの混合物であり、懸濁錠製剤中に2ないし10%(w/w)の比率で含まれる懸濁錠製剤。
【請求項31】
請求の範囲第29項に記載のβ-ラクタム系抗生物質を含む懸濁錠製剤であって、当該乾燥剤がシリコンジオキサイド、合成珪酸アルミニウム、軽質無水珪酸又はこれらの混合物であり、懸濁錠製剤中に0.1ないし10%(w/w)の比率で含まれる懸濁錠製剤。
【請求項32】
アモキシシリンを含む懸濁錠製剤であって、懸濁錠製剤に対して15ないし40%(w/w)のアモキシシリンとクラブラン酸塩の混合物(4:1、w/w)、6ないし20%(w/w)の崩壊剤、0.1ないし10%(w/w)の滑沢剤、0.1ないし15%(w/w)の結合剤、30ないし75%(w/w)の賦形剤、2ないし10%(w/w)の発泡剤及び0.1ないし10%(w/w)の乾燥剤を含む懸濁錠製剤。



【公表番号】特表2006−527064(P2006−527064A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520128(P2006−520128)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003228
【国際公開番号】WO2005/115347
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(505385631)サンア ファーマシューティカルス カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】