説明

β−ラクトン化合物

本発明は、一般構造式A3を有する化合物またはその薬学的に許容される誘導体を提供する。式中、Rはアルキル基であり、Rは、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロ環、ヒドロキシル、エステル、アミド、アルデヒド、およびハロゲンから成る群から選択した少なくとも1個の部分を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、特定のチオエステラーゼの阻害に有効な化合物、特に、β−ラクトン部分またはチオエステラーゼ阻害因子として有効なβ−ラクトン部分等の新しい化合物に関連する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
チオエステラーゼのスーパーファミリーには、厳密に言えばチオール基でエステラーゼ活性を示す(すなわち、水の存在下においてエステルを酸およびアルコールに分解する)多種多様な酵素がある。このファミリーには、数ある中で、土壌微生物シュードモナス菌CBS−3における4−クロロ安息香酸から4−ヒドロキシ安息香酸の生合成において最後のステップに触媒作用を及ぼす4HBTがある。チオエステラーゼのスーパーファミリーには、また、様々な細胞質長鎖アクリル−CoAチオスエテル加水分解酵素がある。長鎖アクリル−CoA加水分解酵素は、パルミトイル−CoAをCoAおよびパルミテートに加水分解し、他の長鎖脂肪アシル−CoAチオエステルの加水分解に触媒作用を及ぼす。
【0003】
ヒト脂肪酸シンターゼは、パルミチン酸を合成する大きなホモ二量体複合作用酵素である。脂肪酸シンターゼの唯一つのカルボキシル末端チオエステラーゼドメインは、成長する脂肪酸鎖を加水分解し、また、放出された脂肪酸の鎖長さを調節するのに重要な役割を果たす。また、様々な癌におけるヒト脂肪酸シンターゼの上方調節は、チオエステラーゼを治療の候補対象とする。
【0004】
最近の研究は、様々な病気、疾患および病状におけるチオエステラーゼのスーパーファミリーの役割に焦点を合わせている。多くのチオエステラーゼのスーパーファミリーの阻害因子として有効ないくつかの化合物が特定および合成されたが、ヒト脂肪酸シンターゼチオエステラーゼ等のチオエステラーゼを標的にするおよび阻害することができる化合物は報告されていない。
【発明の概要】
【0005】
概要
現在、腫瘍等の様々な病気、疾患および病状の治療に対して新しく、有効で、選択的な物質および、この物質を含む医薬組成物が必要である。この物質は、ヒト脂肪酸シンターゼチオエステラーゼybtT(irp4)またはHMWP−1(irp1)等の特定のチオエステラーゼの阻害因子に基づくことができる。
【0006】
本発明の実施形態によると、一般構造式Aを有する化合物が提供され、

式中、Rは、非置換アルキル基または置換アルキル基であり、Rは、非置換アルキル、置換アルキル、非置換アルケニル、置換アルケニル、非置換アリール、置換アリール、非置換ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヒドロキシル、エステル、アミド、アルデヒド、およびハロゲンから成る群から選択した少なくとも1個の部分を含む。“a”および“b”でマーク付けした炭素の立体化学構造は、RまたはSのいずれかでありうる。
【0007】
本発明の他の実施形態によると、医薬組成物は、癌等の様々な疾患、病気、病状を治療するために提供され、この組成物は、一般構造式Aを有する化合物および薬学的に許容されるキャリアを含む。
【0008】
本発明の他の実施形態によると、医薬組成物は、癌等の様々な疾患、病気、病状の治療方法を提供し、この方法は、一般構造式Aを有する化合物を含む医薬組成物の薬理効果がある投与量をそれを必要とする患者に投与するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な記載
特に示さない限り、以下の定義を用いる。
【0010】
用語「ラクトン」は、同じ分子におけるアルコール基およびカルボン酸基の縮合生成物である環状エステルを表す。用語ベータ−ラクトン(すなわち「β−ラクトン」)は、ラクトンにおける環が四員環であることを示す。
【0011】
用語「アルデヒド」は、カルボニル官能基>C=Oを組み込んだ有機化合物を表し、2個の残りの結合のうち少なくとも1個は水素が占める。
【0012】
用語「アルキル」および「置換アルキル」は、それぞれ、特定の数の炭素原子を有する、置換および非置換C−C10直鎖脂肪族飽和炭化水素基、置換および非置換C−C10直鎖脂肪族不飽和炭化水素基、置換および非置換C−C10分岐脂肪族飽和炭化水素基、置換および非置換C−C10分岐脂肪族不飽和炭化水素基、置換および非置換C−C環状脂肪族飽和炭化水素基、および、置換および非置換C−C環状脂肪族不飽和炭化水素基を表す。
【0013】
「アルキル」の定義は、限定することはないが、以下のいずれかであり、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、ブチル(Bu)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペネンチル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、イソプロピル(i−Pr)、イソブチル(i−Bu)、tert−ブチル(t−Bu)、sec−ブチル(s−Bu)、イソペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、メチルシクロプロピル、エチルシクロヘキセニル、ブテニルシクロペンチル、アダマンチル、ノルボルニルなどである。
【0014】
置換アルキルにおいて、置換基は、以下から成る群からそれぞれ選択し、ハロゲン、−OH,−SH,−NH,−CN,−NO,=O,=CH,トリハロメチル、カルバモイル、アリールC0−10アルキル、ヘテロアリールC0−10アルキル、C1−10アルキルオキシ、アリールC0−10アルキルオキシ、C1−10アルキルチオ、アリールC0−10アルキルチオ、C1−10アルキルアミノ、アリールC0−10アルキルアミノ、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノ、C1−10アルキルカルボニル、アリールC0−10アルキルカルボニル、C1−10アルキルカルボキシ、アリールC0−10アルキルカルボキシ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノ、テトラヒドロフリル、モルホリニル、ピペラジニル、ヒドロキシピロニル、−C0−10アルキルCOORaおよび−C0−10アルキルCONRで、式中、Ra,RおよびRは、水素、アルキル、アリールからそれぞれ選択する、または、RおよびRは、3〜8個の炭素原子および少なくとも1個の置換基を含む飽和もしくは不飽和環系を形成するように付着した窒素を有する。
【0015】
用語「アリール」は、安定な共有結合を形成できるいずれかの環状位置で共有的に結合する、特に好ましい結合位置は当業者には明らかであるが(例えば、3−フェニル、4−ナフチルなど)、非置換、一置換、二置換、または三置換の単環、多環、ビアリール芳香族基を表す。置換アリールにおいて、置換基はそれぞれ以下から成る群から選択し、ハロゲン、−OH,−SH,−CN,−NO,トリハロメチル、ヒドロキシピロニル、C1−10アルキル、アリールC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルチオC0−10アルキル、C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルアミノC0−10アルキル、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、C0−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、アリールC1−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、−C0−10アルキルCOORaおよび−C0−10アルキルCONRで、式中、Ra,RおよびRは、水素、アルキル、アリールからそれぞれ選択する、または、RおよびRは、3〜8個の炭素原子および少なくとも1個の置換基を含む飽和もしくは不飽和環系を形成するように付着した窒素を有する。
【0016】
「アリール」の定義には、限定することはないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、フルオレニル、ピレニルなどの特定の基がある。
【0017】
用語「ヘテロアリール」、「ヘテロ環」または「ヘテロ環状」は、単一環もしくは多重凝縮(「融合」としても既知である)環と、1〜8個の炭素原子と、および環内の窒素、硫黄もしくは酸素から選択した1〜4個のヘテロ原子とを有する一価の不飽和基を表す。本発明におけるヘテロアリール基は、以下から成る群から選択した1〜3個の置換基で任意に置換でき、ハロゲン、−OH,−SH,−CN,−NO,トリハロメチル、ヒドロキシピロニル、C1−10アルキル、アリールC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルチオC0−10アルキル、C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルアミノC0−10アルキル、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、−C0−10アルキルCOORaおよび−C0−10アルキルCONRで、式中、Ra,RおよびRは、水素、アルキル、アリールからそれぞれ選択する、または、RおよびRは、3〜8個の炭素原子および少なくとも1個の置換基を含む飽和もしくは不飽和環系を形成するように付着した窒素を有する。
【0018】
「ヘテロアリール」の定義には、限定することはないが、チエニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ピロリル、ピロリル−2,5−ジオン、3−ピロリニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、インドリジニル、インダゾリル、フタルイミジル(またはイソインドリル−1,3−ジオン)、イミダゾリル、2H−イミダゾリニル、ベンゾイミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリル、イソキノリル、4H−キノリジニル、シンノリニル、フタラジニリル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロマニル、ベンゾジオキソリル、ピペロニル、プリニル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリジニル−2,5−ジオン、イミダゾリジニル−2,4−ジオン、2−チオキソ−イミダゾリジニル−4−オン、イミダゾリジニル−2,4−ジチオン、チアゾリジニル−2,4−ジオン、4−チオキソ−チアゾリジニル−2−オン、ピぺラジニル−2,5−ジオン、テトラヒドロ−ピリダジニル−3,6−ジオン、1,2−ジヒドロ−[1,2,4,5]テトラジニル−3,6−ジオン、[1,2,4,5]テトラジナニル−3,6−ジオン、ジヒドロ−ピリミジニル−2,4−ジオン、ピリミジニル−2,4,6−トリオンなどがある。
【0019】
用語「アシル」は、ラジカル−R−C(=O)−、すなわち、カルボキシル部分のヒドロキシル基の除去によって有機酸から誘導したラジカルを表す。アシル基の典型的な例には、アセチルおよびベンゾイル部分がある。
【0020】
用語「ハロゲン」、「ハロゲン化合物」、または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表す。
【0021】
用語「エステラーゼ」は、有機エステル、第1カルボン酸塩だけでなく、リン酸塩および硫酸塩エステルの加水分解に触媒作用を及ぼし、アルコールまたはチオール、また、どのような場合であっても酸を生成する、いずれかの酵素を表す。「エステラーゼ」の亜属である用語「チオエステラーゼ」は、例えば、パルミテートの放出を導く脂肪酸の生合成の終わりで脱アシル化活性がある、チオエステラーゼの加水分解に触媒作用を及ぼす任意の酵素を表す。
【0022】
化合物の「効果的な量」は、所望の効果を提供する化合物の無害であるが十分な量を示す。この量は、対象によって異なり、対象の種族、年齢および健康状態、治療する病気の重症度、用いる特定の化合物、その投与方法などに依存する。したがって、正確な「効果的な量」を一般化するのは困難であるが、適切な効果的な量は、一般的に既知の技術および方法論を用いて当業者によって画定できる。
【0023】
用語「薬学的に許容される」は、生物学的なもしくは他の、望ましくないものではない、化合物、添加物または組成物を表す。例えば、添加物または組成物は、いずれの望ましくない生物学的効果を起こすことなく、または、その中に含む医薬組成物の他のいずれかの化合物を望ましくない方法において相互作用することなく、本発明の化合物を対象に投与しうる。
【0024】
用語「薬学的に許容される塩」には、塩化水素塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、フッ化水素塩、硫酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、ニコチン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、フェニル酢酸塩、ステアリン酸塩、ピリジン塩、アンモニウム塩、ピペラジン塩、ジエチルアミン塩、ニコチンアミド塩、ギ酸塩、尿素塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、リチウム塩、桂皮酸塩、メチルアミノ塩、メタンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、酒石酸塩、トリエチルアミノ塩、ジメチルアミノ塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩などがある。さらなる薬学的に許容される塩は当業者には既知である。
【0025】
ここで用いる用語「患者」は、本発明の方法によって治療する生命体を表す。この生命体には、限定することはないが、ヒトがある。本発明の本文中において、用語「対象」は、概して、病気、疾患または病状の治療のために治療を受けるまたは受けた個体を表す。
【0026】
本発明の実施形態によると、β−ラクトン部分を含む化合物が提供され、化合物は一般構造式Aを有する。

【0027】
一般構造式Aを有する化合物において、“a”および“b”でマーク付けした炭素での立体化学構造は、以下で示すようにRまたはSのいずれかでありうる。さらに、一般構造式Aを有する化合物において、Rは、エチル、プロピル基、ブチル基、またはヘキシル基等の非置換アルキル基または置換アルキル基である。
【0028】
さらに、一般構造式Aを有する化合物において、Rは、非置換アルキル、置換アルキル、非置換アルケニル、置換アルケニル、非置換アリール、置換アリール、非置換ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヒドロキシル、エステル、アクリル、アミド、アルデヒド(ホルムアミド等のアミノ置換アルデヒドがある)、ハロゲンおよびオレフィンフラグメント等の様々な官能基を含む部分でありうる。置換基Rを表しうるいくつかの例には、1〜35の部分のうちいずれか1個があり、式中、部分1〜35における記号は、一般構造式Aの“a”とマーク付けした炭素へ結合する部分を意味する。






【0029】
一般構造式Aによって説明され、本発明の範囲内にあるいくつかの特定の化合物の例には、化合物I〜XXXがある。









【0030】
本発明の化合物は、例えば、ヒト脂肪酸シンターゼチオエステラーゼybtT(irp4)またはHMWP−1(irp1)等のチオエステラーゼを阻害することができ、癌および以下で説明する他の疾患等の様々な疾患、病気、および病状の治療に用いることができる。例えば、チオエステラーゼybtT(irp4)およびHMWP−1(irp1)をコードするいくつかの微生物を特定する。これらの微生物およびそれらに関連する様々な病気および疾患を、表1において示す。
【0031】
【表1】

【0032】
したがって、種I〜XXXまたは薬学的に許容されるそれらの塩を含む構造Aを有する化合物は、例えば、これらの化合物および薬学的に許容されるキャリアを結合させることによって、医薬組成物を準備するのに用いることができる。その後、医薬組成物は、様々な疾患、病気、および病状の治療に関して薬学的に効果的な投与において用いることができる。
【0033】
本発明の化合物を用いて治療しうる疾患、病気および病状の例には、限定することはないが、癌(乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸癌、非小細胞肺癌、肺癌、脳腫瘍、食道癌または肝臓癌および様々な型の白血病がある)等の過剰増殖性疾患と、アテローム性動脈硬化と、再狭窄と、炎症と、自己免疫疾患と、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、関節炎、を含む血管形成に関する疾患と、火傷と、尿路感染症、膀胱感染症、皮膚感染症(例えば、膿疱皮膚痛)、エルシニア感染症、肺ペスト、結核および結核に類似した肺病巣等の感染症とがある。
【0034】
種I〜XXXを含む構造Aを有する生成物を製造するための様々な合成スキームを設計できる。用いることができるいくつかの合成経路は、本発明の「実施例」において詳細は以下で示すが、開始および最終生成物を反応条件および収率と共に示す。
【0035】
簡単に言えば、用いることができる合成経路には、チオピリジルケテンアセタールの合成、キラルアルデヒドの合成、続いて、タンデム向山アルドールラクトン化工程およびジアステレオ選択的なβ−ラクトンをもたらす脱保護がある。その後、アミノエステル側鎖を光延反応またはアシル化を介して導き、δ鎖はクロスメタセシスを介して伸ばし、不飽和オルリスタット誘導体を水素化して本発明の目的である化合物を得ることができる。
【0036】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、当業者には既知の標準的な手順を用いて、例えば、アミン等の十分に塩基性の化合物を生物学的に受容できるアニオンを提供する適切な酸と反応させることによって得てもよい。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩もつくることができる。
【0037】
種I〜XXXを含む構造式Aを有する上述の化合物は、医薬組成物として処方し、選択した投与経路、すなわち、経口または非経口、静脈内、筋肉内、局所もしくは皮下経路による経路に適した様々な形でヒト患者等の哺乳類の宿主に投与しうる。
【0038】
したがって、本発明の化合物は、例えば、経口で、不活性希釈剤または吸収可能な食用キャリア等の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて、全身に投与してもよい。硬いもしくは柔らかい貝殻状のゼラチンカプセルにおいて封入する、タブレット内に押し込む、または、患者の食事の食物に直接組み込んでもよい。経口の治療投与に関して、活性化合物は、1個またはそれ以上の賦形剤と組み合わせて、摂取可能なタブレット、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、縣濁液、シロップ、ウエハ等の形で用いてもよい。この組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。組成物および製剤の割合は、もちろん様々であり、好都合なことには、所定の投薬量の重量の約2%〜約60%であってよい。この治療的に有効な組成物における活性化合物の量は、有効投薬レベルが得られるようにする。
【0039】
タブレット、トローチ、ピル、カプセル等も以下を含み、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン等の結合剤;第二リン酸カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;および、スクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパラテーム等の甘味剤、または、ペパーミント、冬緑油、もしくはチェリー香料等の香味剤を加えるものとする。投与形態がカプセルであるとき、上述の型の材料に加えて、植物油またはポリエチレングリコール等の液体キャリアもある。様々な他の材料を、コーティングとして用いてもよく、さもなければ固体の投与形態の物理的形態を修正してもよい。例えば、タブレット、ピルまたはカプセルは、ゼラチン、ワックス、セラックまたは糖などでコートしてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、染料、およびチェリーまたはオレンジ香料等の香味剤を含んでもよい。もちろん、いずれの製剤投与形態の製剤において用いるいずれの材料も薬学的に許容され、使用する量において実質的に無毒であるべきである。加えて、活性化合物は、持続放出製剤および装置に組み込むことができる。
【0040】
活性化合物はまた、点滴もしくは注射によって静脈内または腹腔内に投与することができる。活性化合物またはその塩の溶液は、水中で製剤でき、無毒の界面活性剤と混合してもよい。分散液も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、おとびそれらの混合物において、かつ、油において製剤することもできる。一般的な保管および使用の条件下において、これらの製剤は、保存剤を有し、微生物の成長を妨げる。
【0041】
注射または点滴に適切な医薬剤形には、リポソームに封入されてもよい無菌で注射可能なもしくは点滴可能な溶液または縣濁液の即時調整に適切な活性成分を含む、無菌水溶液もしくは縣濁液、または、無菌粉末が含まれる。すべての場合において、最終投薬形態は、無菌の液体であり、また、製造および保管の条件下で安定であるべきである。液体キャリアまたは賦形剤は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、無毒グリセリルエステル、およびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または液体分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によって、分散液の場合は所定の粒子径の維持によって、または、界面活性剤の使用によって、維持しうる。微生物の活動の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされうる。多くの場合において、好ましくは、等張剤、例えば、糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含むであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、遅延吸収剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で用いることによってもたらされうる。
【0042】
無菌の注射可能な溶液は、活性化合物を、上述で列挙した様々な他の成分を有する適切な溶媒を所定の量で組み込むことによって製剤し、必要があれば、その後濾過滅菌する。無菌粉末を無菌の注射可能な溶液の製剤に用いる場合において、好ましい製剤方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、活性化合物の粉末および前の濾過滅菌溶液において存在するいずれかの付加的な所望の成分を生成する。
【0043】
局所投与に関して、本発明の化合物は、その物質だけを、すなわち、液体の場合、使用してもよい。しかし、一般的には、固体または液体である皮膚病学的に受け入れられるキャリアと組み合わせて、組成物または製剤として皮膚に投与するのが望ましい。
【0044】
有効な固体キャリアには、タルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等の微粉固体がある。有効な液体キャリアには、水、アルコールもしくはグリセロールまたは水−アルコール/グリセロール混合物があり、本発明の化合物は、任意で無毒の界面活性の補助によって、有効濃度で溶解または分散しうる。香料および付加的な抗菌剤等の補助剤を加えて、所定の特性を最適化する。その結果できた液体組成物は、吸収パッドから使用し、包帯および他の包帯剤に含浸させるのに使用し、または、ポンプ型もしくはエアロゾルスプレーを用いて患部にスプレーする。
【0045】
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、修飾セルロース、または修飾無機物物質等の増粘剤も液体キャリアに使用し、広げられるペースト、ゲル、軟膏、石鹸等の形にして、直接使用者の皮膚に使用できる。
【0046】
種I〜XXXを含む化合物Aの有効投与量は、それらのin vitroの活性および動物モデルにおけるin vivoの活性を比較することによって決定する。マウスおよび他の動物における有効量をヒトに外挿する方法は、当業者には既知である。
【0047】
一般的には、ローション等の液体組成物における種I〜XXXを含む化合物Aの濃度は、約0.1〜25質量%、例えば約0.5〜10質量%でありうる。ゲルもしくは粉末等の半固体または固体組成物における濃度は、0.1〜25質量%、例えば0.5〜2.5質量%でありうる。
【0048】
種I〜XXXを含む化合物A、またはそれらの活性塩もしくは誘導体の治療に必要な量は、選択した特定の塩によってだけではなく、投与経路、治療する状態、ならびに年齢および患者の状態によっても変化し、最終的には、付き添う医師または臨床医の裁量であるだろう。
【0049】
しかし、一般的には、適切な投与量は、約0.5〜100mg/kg、例えば、1日当たり約10〜75mg/体重kg、例えば15〜60mg/kg/日の範囲でありうる。種I〜XXXを含む化合物Aは、好都合なことには、剤形で投与することができ、5〜1000mg、例えば10〜750mgを含み、例えば、剤形ごとで活性成分は50〜500mgとする。所望の投与は、好都合なことには、単一投与または、適切な間隔を置いた分割投与、例えば、1日当たり2,3,4回もしくはそれ以上の回数のサブ投与としてもよい。サブ投与それ自体は、例えば、広い間隔があいた投与の数にさらに分割できる。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、本発明の実施形態をさらに実証し、さらに説明するが限定することはない。
【0051】
実施例1.一般的合成法
全反応は、火力乾燥ガラス製品における窒素雰囲気下で行った。ジクロロメタン、アセトニトリル、メタノール、テトラヒドロフランおよびエチルエーテルを、活性化分子ふるいを通して精製した(溶媒系)。ヒューニッヒ塩基およびトリエチルアミンは、使用する前に水酸化カリウムから蒸留した。すべての他の市販の試薬はそのまま用いた。H NMR化学シフトは、CDCl(7.27ppm)に対してδ値としてppmで記録し、結合定数(J)は、ヘルツ(Hz)で記録した。特に指示がない限り、重水素クロロホルム(CDCl)は、すべての13Cスペクトルに対して内部標準(77.23ppm)として機能した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、60Åシリカゲル(Silicycle, 230-400 mesh)を固定相として用いて実行した。質量スペクトルは、化学的特性および分析センター(Texas A&M University)で得た。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、ガラス支持シリカゲル60F254(Silicycle, 250μm厚さ)を用いて実行した。Hおよび13C NMRスペクトルは、VARIAN分光計を用いて示した周波数で得た。溶媒を各化合物に対して示す。化学シフトは、内部標準として、残りの非重水素溶媒に対するppmにおいて示す。H NMR結合定数(J)は、ヘルツ(Hz)で記録し、多重度は、以下のように省略する:app=仮の、s=単一線、d=二重線、dd=二重の二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=広帯域信号である。IRスペクトルは、示した溶媒におけるBruker Tensor27分光計を用いて得た。振動周波数はcm−1で表す。
【0052】
実施例2.チオプリリジルケトンアセタールおよびキラルアルデヒドの合成
このタイトル生成物は、以下の反応スキームによって示すように合成した。具体的な化合物の収率を以下の表2に示す。

【0053】
【表2】

【0054】
実施例3.タンデム向山アルドール−ラクトン化工程および脱保護
タイトルの工程は、以下の反応スキームで示すように行った。ジアステレオ選択性β−ラクトンをその結果得た。具体的な化合物に関する収率および割合を以下の表3において示す。

【0055】
【表3】


【0056】
実施例4.光延反応を介したアミノエステル側鎖の導入
タイトルの工程は、以下の反応スキームによって示すように行った。具体的な化合物の収率は以下の表4において示す。

【0057】
【表4】



【0058】
実施例5.アクリル化を介したアミノエステル側鎖の導入
タイトルの工程は、以下の反応スキームによって示すように行った。具体的な化合物の収率は以下の表5において示す。

【0059】
【表5】

【0060】
実施例6.クロスメタセシスを介したδ−鎖伸展
タイトルの工程は、以下の反応スキームによって示すように行った。具体的な化合物の収率は以下の表6において示す。

【0061】
【表6】

【0062】
実施例7.不飽和オルリスタット誘導体の水素化
タイトルの工程は、以下の反応スキームによって示すように行った。具体的な化合物の収率は以下の表7において示す。

【0063】
【表7】

【0064】
実施例8.ドデカン酸(R)−メチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)(7)の合成
タイトルの化合物は、以下の反応スキームによって示すように、銅酸化物のアルキル化によって合成した。

【0065】
−78°Cまで冷却した56mL乾燥EtOにおける1−ヨードオクタン撹拌溶液(5.5mL,30mmol)に、t−BuLi(35mL,59mmol)を、注射器を用いてゆっくり加えた。さらなる5mLのEtOを加え、溶液を1時間−78°Cで撹拌し、その後、室温まで到達させて1時間撹拌した。その後、溶液を−35°Cまで再冷却し、カニューラを通して、74mLのEtOにおける冷却(−35°C)CuI縣濁液(2.84g,14.9mmol)へ移動させ、その結果、次第に暗い混合物となった。完全に加えた後、黒い溶液を約−35°C/−45°Cで2時間撹拌し、その後、50mLのEtOにおけるトシレート6溶液(1.006g,2.500mmol)を注射器を用いてゆっくり加えた。
【0066】
その結果できた混合物を−35°C/−45°Cで2.5時間撹拌し、その後、飽和NHCl溶液90mLを加えた。混合物が室温まで達したら、3回EtOAcで抽出した。結合した有機相を飽和NaHCO溶液で2回、および塩水で2回洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、また、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(95:5ペンタン/EtO)を介した残余物の精製によって、わずかに黄色の油としてタイトルのエステル7(671mg,78%)を得た。

【0067】
実施例9.(R)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−テトラデカナル(12b)の合成(代表的な方法)
タイトルの化合物は、以下の反応スキームによって示すように、一連の合成ステップで合成した。

【0068】
0°Cの150mLのTHFにおけるNaH溶液(鉱油内60%,3.8g,95mol)に、アセト酢酸エチル(9.3mL、86mol)の液滴を加え、その結果できた溶液を0°Cで10分間撹拌した。この溶液に、n−BuLi(ヘキサン内2.5M,38mL,95mmol)の液滴を加え、この黄色溶液を0°Cでさらに10分間撹拌した。ジアニオンの溶液に、ヨードデカン溶液(18.4mL,86mmol)の液滴を0°Cで加えた。この反応混合物を大気温度まで2時間以上かけてゆっくりと温め、1NのHClでクエンチした。水相をさらにエチルエーテルで抽出した(3回)。有機抽出物を合わせ、水で中性になるまで洗浄し、NaSO上で乾燥し濾過した。粗製油をフラッシュクロマトグラフィー(95:5 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、無色油として所望の生成物10bを得た(21.6g,93%)。次の合成ステップは以下の通りであった。

【0069】
30mLのMeOHにおけるβ−ケトエステル10b溶液(13.0g,50.7mmol)を脱ガスし、RuCl(ベンゼン)(54mg)およびR−BINAP(75mg)から準備した[Ru(II)−R−BIBAP]を加えた。上述の溶液をオートクレーブし、反応混合物をH(100psi)下、100°Cで12時間撹拌した。冷却した反応混合物を減圧下で濃縮し、残余物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、白色固体の所望の生成物11b(13.8g,99%)を得た。次の合成ステップは以下の通りであった。

【0070】
35mLのDMFにおける11b(8.00g,31.0mmol)およびイミダゾール(3.59g,52.7mmol)の溶液にTBSCI(6.07g,40.2mmol)加えた。混合物を一晩大気温度で撹拌し、150mLのエチルエーテルで希釈した。有機相を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過および濃縮した。残余物は、SiO上のクロマトグラフィー(20:1 ヘキサン/EtOAc)によって精製し、無色油の所望の生成物(10.1g,85%)を得た。
【0071】
−78°Cまで冷却した60mLのCHClにおけるエステルの撹拌溶液(3.00g,7.76mmol)に、10mLのCHClにおけるDIBAL−H(2.87mL,16.1mmol)を液滴で加え、その混合物を−78°Cで2時間撹拌した。反応は、その後、さらに10mLのMeOHを加えることによってクエンチし、撹拌中に混合物が室温となるようにした。15mLのロッシェル塩溶液を加え、混合物を3時間激しく撹拌した。その後、水相を分離し、CHClで抽出した(2回)。有機相を合わせて、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残余物は、SiO上のクロマトグラフィー(20:1 ヘキサン/EtOAc)によって精製し、無色油の12b(2.80g,100%)を得た。(スペクトルデータは、Pommier, A.:Pons, J-M, Synthesis, 1994, 1294- 1300参照)。
【0072】
他の同様の生成物、その式を以下に示す(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−オクタ−6−エナル(12d)は、上述の代表的な方法を用いても得ることができた。

【0073】
E/Z混合物,主なピークのみ示す:IR(neat)1728cm−1

【0074】
実施例10.(E)−2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ブタ−1−エニルチオ)ピリジン(3a)の合成
タイトルの化合物は、以下の反応スキームによって示すように一連の合成ステップによって合成し、中間のチオエステルの合成、その後、タイトルの生成物である、チオピリジルケテンアセタールの合成を含んだ。

【0075】
チオエステルの合成:2−メルカプトピリジン(5.49g,4.93mmol)を丸底フラスコにおける57mLの乾燥ジクロロメタンにおいて溶解し、黄色溶液を得て、0°Cまで冷却した。トリエチルアミン(12.9mL、91.3mmol)を注射器を用いてゆっくり加え、その後、56mLのジクロロメタンにおいて溶解させた塩化ブタノイル(4.92g,46.1mmol)をカニューレを用いて窒素下でゆっくり加えた。添加後、反応混合物は濁った。反応物を12時間撹拌後、真空中で濃縮して明黄色縣濁液を得た。生成物をペンタンに取り込み、水で洗浄し(2×70mL)、その後塩水で洗浄し(2×70mL)、MgSO上で乾燥、濾過、濃縮して、8.58gの黄色液体を得た。
【0076】
チオピリジルケテンアセタールの合成:リチウムビス(トリメチルシリルアミド)(18.0mL,23.2mmol)を、100mLフラスコに入れ、−78°Cまで冷却した。ジメチルホルムアミド(3.03mL,39.18mmol)を注射器を用いて加え、その後トリエチルアミン(5.40mL,38.4mmol)を加え、その後、TBSCI(3.00g,19.9mmol)を注射器を用いて15mLのTHF溶液として加えた。その後、S−ピリジン−2−イル−ブタンチオエート(3.50g,19.3mmol)を30mLのTHFにおいて溶解させ、反応混合物に加えた。溶液を−78°Cで1時間撹拌し、その後、50mLの酢酸エチルを加えて混合物を室温まで温めた。有機相を塩水で洗浄し(3×30mL)、MgSO上で乾燥、濾過し、真空で濃縮した。黄色縣濁液をヘキサンにおいて溶解させ、セライトを通して濾過し、真空で濃縮して、黄色油を得た。フラッシュクロマトグラフィー(SiO,40%EtOAc:ヘキサン)によって精製することによって、黄色油のチオピリジルケテンアセタール(E)−3a(8.76g、92%、E/Z=>19:1),R=0.65(ヘキサン内40%EtOAc)を得た。

【0077】
実施例11.(E)−2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ヘキサ−1−エニルチオ)ピリジン(3b)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0078】
実施例9において上述した代表的な方法に従って準備し、2−メルカプトピリジン(6.19g,55.6mmol)を53mLの乾燥ジクロロメタンにおいて溶解させ、トリエチルアミン(14.5mL,103mmol)および塩化ヘキサノイル(7.00g、52.0mmol)を50mLのジクロロメタンにおいて溶解した。
【0079】
リチウムビス(トリメチルシリルアミド)(22.5mL,30.1mmol)、ジメチルホルムアミド(3.77mL,48.5mmol),トリエチルアミン(6.72mL,47.5mmol),TBSCI(3.74g,24.6mmol),および粗S−ピリジン−2−ylヘキサチオエート(5.00g,23.9mmol)である。これは、黄色液体の(E)−チオピリジルケテンアセタール3b(5.1g、66%、E/Z=>19:1)を生成した。

【0080】
実施例12.(E)−2−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)オクタ−1−エニルチオ)ピリジン(3c)の合成(代表例)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0081】
実施例9において上述した代表的な方法に従って準備し、2−メルカプトピリジン(15.0g,135mmol)を150mLの乾燥ジクロロメタンにおいて溶解させ、トリエチルアミン(35.1mL,250mmol)および塩化オクタノイル(20.5g、126mmol)を100mLのジクロロメタンにおいて溶解した。
【0082】
リチウムビス(トリメチルシリルアミド)(31.7mL,42.4mmol)、ジメチルホルムアミド(5.32mL,68.4mmol),トリエチルアミン(9.48mL,67.0mmol),TBSCI(5.28g,34.7mmol),および粗S−ピリジン−2−イル オクタンチオエート(8.00g,19.30mmol)である。これは、黄色液体の(E)−チオピリジルケテンアセタール3c(9.1g、75%、E/Z=>19:1)を生成した。

【0083】
式を以下に示した、他の同様の生成物、(E)−2−[1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−dec−1−エニルスルファニル]ピリジン(3d)も、実施例9において上述した代表的な方法を用いて得られた。

【0084】
式を以下に示した、さらに他の同様の生成物、2−[1−(tri−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(2−メトキシ−エトキシ)−ビニルスルファニル]ピリジン(3e)も、得られた。

【0085】
化合物(3e)は、実施例9において上述した代表的な方法に従って準備し、2−メルカプトピリジン(1.77g,16.0mmol)を30mLの乾燥ジクロロメタンにおいて溶解させ、トリエチルアミン(2.2mL,16.0mmol)および酸塩化物1e(酸から新たに準備した;14.5mmol)を10mLのジクロロメタンにおいて溶解した。
【0086】
リチウムビス(トリメチルシリルアミド)(THF内1M;10.6mL,10.6mmol)、ジメチルホルムアミド(1.36mL,17.6mmol),トリエチルアミン(2.45mL,17.6mmol),TBSCI(1.37g,9.06mmol),および粗エステル(2.00g,8.80mmol)である。これは、黄色液体のチオピリジルケテンアセタール3e(2.17g、72%、E/Z,1:1.2)を生成した。
化合物3e−1:

化合物3e−2:

【0087】
式を以下に示した、他の同様の生成物、2−[1−(トリエチルシラニルオキシ)−プロペニルスルファニル]ピリジン(3f)も、実施例9において上述した代表的な方法を用いて得られた。

【0088】
実施例13.TMALおよび脱シリル化による(2R,3S,4S)−3−ヘキシル−4−(2−ヒドロキシ−トリデシル)−オキセタン−2−オン(13d)の合成(代表的な方法、方法A)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0089】
ZnCl(398mg,2.92mmol)を真空下で融解させ、その後窒素流動下で室温まで冷却した。7.5mLの乾燥CHClをその後注射を用いて加え、その後、2.5mLのCHClにおける12b(500mg,1.46mmol)の溶液、およびケテンアセタール3c(719mg,2.04mmol)を加えた。反応混合物を60時間大気温度で撹拌した、5mLのpH7緩衝液を加えて、混合物を30分間激しく撹拌し、セライトのパッドに通して濾過し、CHClで洗浄した。有機濾液をNaSO上で乾燥し、濃縮した。残余物をSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物(600mg)を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物を次のステップに用いた。
【0090】
0°Cまで冷却した24mLのCHCNにおけるβ−ラクトンの混合物(600mg)の撹拌溶液に、2.4mLのHF(48%)を液滴で加えた。混合物を0°Cで2時間撹拌後、大気温度まで温め、さらに5時間撹拌した。反応混合物を100mLのEtOで希釈し、冷飽和NaHCOで注意深くクエンチし、塩水で洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物をSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、白色固体の2個の分離できるジアステレオマーの混合物(302mg,58%,2回以上のステップ,dr8:1)を得た。
13d(主):R=0.54(20%EtOAc/ヘキサン);

【0091】
実施例14.(2R,3S,4S)−4−(2−ヒドロキシ−トリデシル)−3−(2−メトキシ−エトキシ)−オキセタン−2−オン(13h)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0092】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法A)に従って、アルデヒド12b(0.200g,0.584mmol)、ケトンアセタール3e(0.299g,0.876mmol)およびZnCl(0.159g,1.17mmol)を5mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物を2mLのTHFにおける0.4mLのHFピリジンを用いる脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、2個の分離できるジアステレオマーの混合物(29mg,15%,2回以上のステップ,dr7:1)を得た。

【0093】
実施例15.(2R,3S,4S)−3−ヘキシル−4−(2−ヒドロキシ−ヘキサ−5−エニル)−オキセタン−2−オン(13j)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0094】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法A)に従って、アルデヒド12d(0.500g,2.06mmol)、ケテンアセタール3c(1.09g,3.09mmol)およびZnCl(0.562g,4.12mmol)を15mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物を24mLのCHCNにおける1.4mLのHF(48%)を用いる脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、2個の分離できるジアステレオマーの混合物(0.314g,60%,2回以上のステップ,drND)を得た。

【0095】
実施例16.(2R,3S,4S)−3−ヘキシル−4−(2−ヒドロキシ−ヘプタ−5−エニル)−オキセタン−2−オン(13k)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0096】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法A)に従って、アルデヒド12e(1.00g,3.90mmol)、ケテンアセタール3c(1.65g,4.68mmol)およびZnCl(1.06g,7.80mmol)を25mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物を50mLのCHCNにおける3.0mLのHF(48%)を用いる脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、ろう様固体の、2個の分離できるジアステレオマーの混合物(646mg,62%,2回以上のステップ,dr9:1)を得た。
【0097】
スペクトルデータは主なアイソマー13kに関して記録する:R=0.41(20%EtOAc/ヘキサン);IR(薄膜)3447,1818cm−1;E/Z混合物,主なピークのみ示す。

【0098】
実施例17.TMALおよび脱シリル化による(2R,3S,4S)−3−エチル−4−(2−ヒドロキシトリデシル)−オキセタン−2−オン(13b)の合成(代表的方法、方法B)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0099】
TMAL法:無水ZnCl(1.19g,8.76mmol)を真空下(約0.5mmHg)で新たに融解させ、窒素下で室温まで冷却し、その後、19mLのCHCl(CHClにおける最終アルデヒド濃度が約0.15Mとなるような適切な体積)を加え、その後、関連するチオピリジルケテンアセタール3a(2.16g,7.30mmol)を加え、純アルデヒド12a(1.00g,2.92mmol)を加える前に15分間撹拌した。縣濁液を2日間激しく撹拌した。反応が進行すると、明黄色不均一混合物が均一となり、同時に白色固体が形成された。反応物を、15mLのpH7緩衝液を加えることによってクエンチし、混合物を1時間激しく撹拌し、CHClと共にセライトに通して濾過した。有機相を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、CHCl内に取り込み(最終濃度が約0.15Mとなる適切な体積)、CuBr(3.41g,14.6mmol)で直接処理した。その結果できた縣濁液を2時間撹拌し、セライトに通して濾過し、10%KCO水溶液および塩水で洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残余物をSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン内2%EtOAc)によって精製し、淡黄色油のジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.7:1)を得た。さらに精製することなく、得られた生成物を脱シリル化ステップに用いた。
【0100】
脱シリル化:0°Cに冷却した35mLの乾燥CHCNにおけるジアステレオアイソマー混合物の溶液に、48%のHF水溶液(0.31mL)を液滴で加えた。反応混合物を0°Cで2時間撹拌後、室温まで温めた。さらに2時間後、反応混合物を15mLのエーテルで希釈した。有機相を、分離し、NaHCOの飽和溶液をゆっくり加えて(2×20mL)、塩水で洗浄した(2×20mL)。残余物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。固体混合物をSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン内30%EtOAc)によって精製し、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.7:1)である固体のヒドロキシβ−ラクトン13b(0.415g,48%,2回のステップ)を得た。ジアステレオアイソマーをSiO上のMPLC(ヘキサン内10%EtOAc)によって部分的に分離した。主なジアステレオアイソマー(dr=>19:1)は0.09gしか完全に分離されなかった。スペクトルデータは、主なアイソマー13bに関して報告する:R=0.65(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−3.68(c0.38、CHCl);IR(薄膜)3443,2926,2854,1822,1459cm−1

【0101】
実施例18.(2R,3S,4S)−3−ヘキシル−4−(2−ヒドロキシ−ペンタデシル)−オキセタン−2−オン(13a)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0102】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法B)に従って、アルデヒド12a(0.500g,1.35mmol)、ケテンアセタール3c(0.719g,2.04mmol)およびZnCl(0.398g,2.92mmol)を10mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、この混合物を、20mLのCHCNにおける1.1mLのHF(48%)を用いる脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、ろう様固体の、2個の分離できるジアステレオマーの混合物(250mg,48%,2回以上のステップ,dr6:1)を得た。[α]22=−30.5(c1.1、CHCl
【0103】
実施例19.(2R,3S,4S)−4−(2−ヒドロキシ−ペンタデシル)−3−(2−メトキシ−エトキシ)−オキセタン−2−オン(13c)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0104】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法B)に従って、アルデヒド12a(0.250g,0.674mmol)、ケテンアセタール3e(0.374g,1.10mmol)およびZnCl(0.250g,1.82mmol)を5mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。β−ラクトンは、2mLのTHFにおける0.4mLのHFピリジンを用いる脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、13c(28mg,11%,2回以上のステップ,dr19:1)を得た。
【0105】
実施例20.(2R,3S,4S)−3−ブチル−4−(2−ヒドロキシトリデシル)−オキセタン−2−オン(13e)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0106】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法B)に従って、アルデヒド12b(0.40g,1.2mmol)、ケテンアセタール3b(0.96g,2.9mmol)およびZnCl(0.49g,3.5mmol)を10mlのCHClを用いて準備した。この粗生成物をヘキサン内2%および30%EtOAcで溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーで2回精製したことによって、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.1:1)を得た。0°Cで冷却した30mL乾燥CHCNにおける2個のジアステレオアイソマーの溶液に、48%HF水溶液(0.90mL)を加えた。混合物をSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン内2〜10%EtOAc)によって精製した。これは、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.7:1)の白色固体のヒドロキシβ−ラクトン13e(0.187g,49%)を生成した。ジアステレオアイソマーは、SiO上のMPLC(ヘキサン内5%EtOAc)によって部分的に分離した。主なジアステレオアイソマー(dr=>19:1)は20mgしか完全に分離されなかった。
【0107】
スペクトルデータは、主なアイソマー13eに関して報告する:R=0.17(10%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−26.9(c0.47、CHCl);IR(薄膜)3451,2956,2924,2853,1825,1736,1639cm−1

【0108】
実施例21.(2R,3S,4S)−3−エチル−4−(2−ヒドロキシ−トリデシル)−オキセタン−2−オン(13f)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0109】
スペクトルデータは、主なアイソマー13fに関して報告する:R=0.65(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−3.68(c0.38、CHCl);IR(薄膜)3443,2926,2859,1822,1460cm−1

【0110】
実施例22.(2R,3S,4S)−4−(2−ヒドロキシ−トリデシル)−3−メチル−オキセタン−2−オン(13g)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0111】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法B)に従って、アルデヒド12b(221mg,0.645mmol)、ケテンアセタール3f(g,mmol)およびZnCl(186mg,1.365mmol)を4.5mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(97:3 ペンタン:EtO)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物(77mg,0.193mmol)を4.5mLのCHCNにおけるHFpy(70%)0.16mLを用いた脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(CHCl内5→10%EtOAc)によって精製することによって、無色固体の2個の分離できるジアステレオマーの混合物(18.5mg,20%,2回以上のステップ)を得た。主なジアステレオマー13g:

【0112】
実施例23.(S)−3−オクチル−(S)−4−((R)−2−tert−ブチルジメチルシロキシ)アンデシル−オキセタン−2−オン(13i)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0113】
ZnCl(229mg,1.68mmol)を真空下で融解させ、その後窒素流動下で室温まで冷却した。1.5mLの乾燥DCMをその後注射を用いて加え、その後、2.5mLのDCMにおける12c(242mg,0.77mmol)の溶液、および1.0mLのDCMにおけるケテンアセタール3d(607mg,1.60mmol)を加え、混合物を室温で撹拌した。
【0114】
69時間後、3.0mLのpH7緩衝液を加えて、混合物を15分間激しく撹拌し、DCMを含むセライトに通して濾過し、真空で濃縮した。残余物を20mLのDCMにおいて再溶解し、470mgのCuBrを加え、混合物を室温で2時間撹拌した。セライトに通す濾過の後、液層を10%KCO水溶液で3回、塩水で3回洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(95:5 ヘキサン/EtOAc)によって残余物を精製すると、淡黄色油の不純ラクトン272mgを得た。
IR(薄膜)2927,2857,1825,1719,1463,1254,1117,1064,834cm−1H NMR 主なジアステレオマー

【0115】
0°Cまで冷却した10mLのMeCNにおける粗β−ラクトン(272mg,0.58mmol)撹拌溶液に、HFpy(0.16mL)を注射を用いて加えた。混合物を0°Cで2時間撹拌し、その後室温まで温め、さらに10時間撹拌した。10.0mLのEtOを加えると、すぐに白色固体を形成した。混合物を、3回塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。その結果できた黄色油をヘキサンにおいて再溶解し、氷冷3%NaOH(2回)および塩水(4回)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、結晶白色固体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(90:10 ヘキサン/EtOAc)によって不純物を精製すると、所望のラクトン13iのジアステレオマー(108.8mg,53%)および20.7mgの2個のアイソマーの混合物を得た。
H NMR 純粋なアイソマー

【0116】
実施例24.(3S,4S)−3−ヘキシル−4−((R)−2−ヒドロキシプロピル)−オキセタン−2−オン(13l)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0117】
実施例23において上述した代表的な方法に従って、無水ZnCl(0.510g,3.71mmol)、関連するチオピリジルケテンアセタール3c(1.10g,3.10mmol)およびアルデヒド12f(0.250g,1.24mmol)を用いて準備した。この粗生成物をヘキサン内2%EtOAcで溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーで精製したことによって、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.7:1)を得た。0°Cで冷却した36mL乾燥CHCNにおけるジアステレオアイソマーの溶液に、48%HF水溶液(0.96mL)を加えた。混合物を、SiO(ヘキサン内30%EtOAc)のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。これによって、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.7:1)の白色固体のヒドロキシβ−ラクトン13l(0.112g,42%)を生成した。このジアステレオアイソマーは、SiO上のMPLC(ヘキサン内10%EtOAc)によって部分的に分離した。主なジアステレオアイソマー(dr=>19:1)は12mgしか完全に分離されなかった。
【0118】
スペクトルデータは、主なアイソマー13lに関して報告する:R=0.27(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−39.80(c0.80、CHCl);IR(薄膜)3443,2959,2930,2859,1819cm−1

【0119】
実施例25.(2R,3S,4S)−3−ヘキシル−4−(2−ヒドロキシ−トリデカ−12−エニル)−オキセタン−2−オン(13m)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0120】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法B)に従って、アルデヒド12g(82mg,0.241mmol)、ケテンアセタール3c(181mg,0.515mmol)およびZnCl(76mg,0.558mmol)を4mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(97:3 ペンタン:EtO)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物を4mLのCHCNにおけるHFpy(70%)0.1mLを用いた脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(9:1ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、ろう様固体の2個の部分的に分離できるジアステレオマーの混合物(43mg,50%,2回以上のステップ,dr〜1:1;2個のジアステレオマーの分離は試みてない)を得た。
主なジアステレオマー13m:

【0121】
実施例26.(S)−3−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)−2−ヒドロキシプロピル−4−メチルベンゼンスルフォネート(13n)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0122】
代表的な方法(上述したようなTMALおよび脱シリル化、方法B)に従って、アルデヒド12h(0.160g,0.429mmol)、ケテンアセタール3c(0.386g,1.07mmol)およびZnCl(0.175g,1.29mmol)を5mlのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、淡黄色油の2個のジアステレオマーの混合物を得た。2個のジアステレオマーをさらに精製することなく、混合物を20mLのCHCNにおけるHF(48%)0.33mLを用いた脱シリル化に用いた。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(20:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製することによって、2個の部分的に分離できるジアステレオマーの混合物(70mg,42%,2回以上のステップ,dr7.7:1)を得た。このジアステレオアイソマーは、SiO上のMPLC(ヘキサン内10%EtOAc)によって部分的に分離し、主なジアステレオアイソマー(dr=>19:1)は13.4mgしか完全に分離されなかった。
【0123】
スペクトルデータは主なアイソマー(13n)に関して報告する:R=0.44(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−18.07(c0.4、CHCl);IR(薄膜)2956,2929,2858,1822,1726,1685,1599cm−1

【0124】
実施例27.(3S,4S)−3−ブチル−4−((R)−2−ヒドロキシプロピル)オキセタン−2−オン(13o)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0125】
実施例23において上述した代表的な方法に従って、無水ZnCl(0.51g,3.71mmol)、関連するチオピリジルケテンアセタール3b(1.00g,3.10mmol)およびアルデヒド12f(0.250g,1.24mmol)を用いて準備した。この粗生成物をヘキサン:EtOAc(50:1)で溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーで半精製した。その結果できた生成物は、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.7:1)であった。0°Cで冷却した36mL乾燥CHCNにおけるジアステレオアイソマーの混合物の溶液に、48%HF水溶液(0.96mL)を加えた。白色固体の、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=7.68:1)を、ヘキサン:EtOAc(70:30)で溶出するSiO上のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。これによって、2個の分離できるジアステレオマーの混合物(0.125g,47%,2回以上のステップ)が生成した。このジアステレオアイソマーは、ヘキサン:EtOAc(90:10)で溶出するSiO上のMPLCによって部分的に分離し、主なジアステレオアイソマー13o(dr=>19:1)は20.6mgしか完全に分離されなかった。
=0.45(30%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−53.20(c0.92,CHCl);IR(薄膜)3444,2961,2931,2860,1819,1739,1647cm−1

【0126】
実施例28.オルリスタット(15l)の合成(光延反応の代表的な方法)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0127】
β−ラクトン13d(40.0mg,0.113mmol)、トリフェニルホスフィン(77.7mg,0.296mmol)およびN−ホルミル−L−ロイシン(63.1mg,0.395mmol)を、丸底フラスコに入れ、0.5mLのキシレンと2時間真空で共沸させた。その後2mLの乾燥THFを加え、混合物を0°Cまで冷却した。その後、ジイソプロピル−アゾ−ジカルボキシレート(DIAD)(57μL,0.30mmol)をマイクロシリンジを用いて加え、混合物を0°Cで10分間撹拌し、室温まで温めてからさらに12時間撹拌した。その後、混合物を真空で濃縮し、残余物は、SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって直接精製し、白色固体のオルリスタット15l(47mg,84%)を得た。
=0.17(20%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−31.2°(c0.65,CHCl);IR(薄膜)1822,1739,1679cm−1

【0128】
実施例29.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3S,4S)−3−エチル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−テトラデシルエステル(15a)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0129】
実施例30.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3S,4S)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−テトラデシルエステル(15b)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0130】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13a(30.0mg,0.0784mmol)、トリフェニルホスフィン(66.6mg,0.254mmol)、N−ホルミル−L−ロイシン(47.3mg,0.296mmol)およびDIAD(49μL,0.25mmol)を1mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15b(33mg,80%)を得た。

【0131】
実施例31.(2S,3S,4S)−ホルミルアミノ−酢酸1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−テトラデシルエステル(15c)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0132】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13a(20.0mg,0.0523mmol)、トリフェニルホスフィン(44.4mg,0.169mmol)、N−ホルミルグリシン(20.4mg,0.197mmol)およびDIAD(33μL,0.169mmol)を0.7mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15c(17.8mg,73%)を得た。

【0133】
実施例32.(S)−2−ホルミルアミノ−3−フェニル−プロピン酸1−((2S,3S,4S)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−テトラデシルエステル(15d)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0134】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13a(20.0mg,0.0523mmol)、トリフェニルホスフィン(44.4mg,0.169mmol)、N−ホルミル−L−ロイシン(47.3mg,0.296mmol)およびDIAD(49μL,0.25mmol)を1mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15d(33mg,80%)を得た。

【0135】
実施例33.(S)−2−ホルミルアミノ−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸1−((2S,3S,4S)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−テトラデシルエステル(15e)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0136】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13a(40.0mg,0.105mmol)、トリフェニルホスフィン(88.9mg,0.339mmol)、N−ホルミル−L−ヒスチジン(72.3mg,0.395mmol)およびDIAD(66μL,0.34mmol)を3mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15e(10mg,17%)を得た。

【0137】
実施例34.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−[(2S,3S,4S)−3−(2−メトキシ−エトキシ)−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル]−テトラデシルエステル(15f)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0138】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13c(27.0mg,0.0725mmol)、トリフェニルホスフィン(63.5mg,0.242mmol)、N−ホルミルロイシン(45.2mg,0.283mmol)およびDIAD(47μL,0.24mmol)を2mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15f(25mg,67%)を得た。

【0139】
実施例35.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3S,4S)−3−メチル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ドデシルエステル(15g)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0140】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13gおよび14gの混合物(11.9mg,0.0418mmol)、トリフェニルホスフィン(32.8mg,0.125mmol)、N−ホルミルロイシン(23.2mg,0.146mmol)およびDIAD(25μL,0.13mmol)を1mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(3:2 ヘキサン:EtOAc)による精製、続いて、SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(0.4:1:3 THF:CHCl:ヘキサン)による第2の精製によって、ジアステレオマーの混合物である所望のβ−ラクトンを得た。2個のジアステレオマーは、MPLC(65:35,ヘキサン:EtOAc)によって分離することができ、所望の生成物15g(6.8mg,38%)およびβ−ラクトンジアステレオマー16b(4.4mg,24%)を得た。
主なジアステレオマー(15g):

【0141】
実施例36.(S)−((R)−1−((2S,3S)−3−エチル−4−オキソオキセタン−2−イル)トリデカン−2−イル)2−メタンアミド−4−メチルペンタノアート(15h)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0142】
ヒドロキシβ−ラクトン13f(17.7mg,0.0594mmol)、N−ホルミルロイシン(33.4mg,0.209mmol)およびトリフェニルホスフィン(53.4mg,0.203mmol)を10mLの丸底フラスコに入れ、0.5mLのキシレンを加え、混合物を1時間真空で共沸させた。その後THF(1.4mL)をN下で加え、溶液を0°Cまで冷却した。DIAD(37.9μL,0.1947mmol)を加え、反応混合物を0°Cで10分間撹拌し、その後、室温まで温め一晩撹拌した。混合物を真空で濃縮し、2回のクロマトグラフィー(SiO,10〜30%EtOAc:ヘキサン)によって精製し、β−ラクトン2b(6mg、25%)を得た。
=0.26(30%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−3.68(c0.4,CHCl);IR(薄膜)2926,2856,1828,1740,1671cm−1;

【0143】
実施例37.(R)−1−((2S,3S)−3−エチル−4−オキソオキセタン−2−イル)トリデカン−2−イル2−メタンアミドエタノアート(15i)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0144】
上述の実施例36において説明した方法に従って準備した。ヒドロキシβ−ラクトン13f(10mg,0.033mmol)、N−ホルミルグリシン(12.0mg,0.120mmol)、トリフェニルホスフィン(26.6mg,0.099mmol)および0.5mLキシレンを混合し、混合物を1.0時間真空で共沸させた。その後THF(1.4mL)を加え、続いて、DIAD(21.0μL,0.108mmol)を加えた。12時間後、混合物を真空で濃縮し、クロマトグラフィー(SiO,10〜30%EtOAc:ヘキサン)によって精製し、β−ラクトン15i(5.5mg、43%)を得た。
=0.23(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−11.0(c0.7,CHCl);IR(薄膜)2926,2854,1822,1743,1685cm−1

【0145】
実施例38.(2S,3S、4S)−安息香酸1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ドデシルエステル(15j)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0146】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13d(15.0mg,0.0423mmol)、トリフェニルホスフィン(15.5mg,0.0592mmol)、安息香酸(60.3mg,0.0846mmol)およびDIAD(11μL,0.059mmol)を1.5mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(25:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15jを得た(収率は決定していない)。

【0147】
実施例39.(S)−1−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)トリデカン−2−イル2−(ジメチルアミノ)エタノアート(15k)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0148】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13d(26.0mg,0.085mmol)、N,N−ジメチルグリシン(30.6mg,0.297mmol)、トリフェニルホスフィン(75.7mg,0.289mmol)および0.5mLのキシレンを混合し、混合物を1時間真空で共沸させた。その後THF(7mL)を加え、その後DIAD(54.0μL,0.108mmol)を加えた。12時間後、混合物を真空で濃縮し、クロマトグラフィー(SiO,30%EtOAc:ヘキサン)による精製によって、27.3mg(73.1%)のβ−ラクトン15kを得た。
=0.24(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−5.72(1.2,CHCl);IR(薄膜)2925,2854,1827,1743,1461cm−1

【0149】
実施例40.(2S,3S、4S)−ホルミルアミノ−酢酸1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ドデシルエステル(15m)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0150】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13d(40.0mg,0.113mmol)、トリフェニルホスフィン(74.1mg,0.283mmol),N−ホルミルグリシン(40.7mg,0.395mmol)およびDIAD(55μL,0.28mmol)を2mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15m(43mg,87%)を得た。

【0151】
実施例41.2−ホルミルアミノ−3−メチルブチル酸(2S,2R,3S,4S)−1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ヘキサ−4−エニルエステル(15n)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0152】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13k(20.0mg,0.0745mmol)、トリフェニルホスフィン(27.4mg,0.104mmol),N−ホルミル−L−バリン(21.6mg,0.149mmol),DIAD(20μL,0.10mmol)を1mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、無色油の所望のβ−ラクトン15n(13.3mg,45%)を得た。E/Z混合物は、主なピークだけを示す。
=0.24(30%EtOAc/ヘキサン);[α]22−7.95(0.9,CHCl);IR(薄膜)1823,1737,1670cm−1

【0153】
実施例42.(S)−2−ホルミルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸1−((2S,3S,4S)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ヘキサ−4−エニルエステル(15o)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0154】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13k(20.0mg,0.0745mmol)、トリフェニルホスフィン(27.4mg,0.104mmol),N−ホルミル−L−フェニルアラニン(28.8mg,0.149mmol),およびDIAD(20μL,0.10mmol)を2mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15o(収率は決定せず)を得た。
【0155】
E/Z混合物は、主なピークしか示さない。

【0156】
実施例43.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3S,4S)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ペンタ−4−エニルエステル(15p)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0157】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13j(80.0mg,0.315mmol)、トリフェニルホスフィン(116mg,0.441mmol),N−ホルミルロイシン(126mg,0.788mmol),およびDIAD(85μL,0.44mmol)を5mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15p(85mg,68%)を得た。

【0158】
実施例44.(S)−2−ホルミルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸1−((2S,3S,4S)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ペンタ−4−エニルエステル(15q)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0159】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13j(40.0mg,0.157mmol)、トリフェニルホスフィン(57.6mg,0.220mmol),N−ホルミル−L−フェニルアラニン(70.0mg,0.362mmol),およびDIAD(43μL.0.22mmol)を3mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン15q(31mg,46%)を得た。

【0160】
実施例45.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3S,4S)−3−オクチル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−デシルエステル(15r)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0161】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン13i(6.0mg,0.017mmol)、トリフェニルホスフィン(14.7mg,0.056mmol),N−ホルミル−L−ロイシン(9.4mg,0.058mmol),およびDIAD(9.8μL)を0.5mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(0.4:1:3 THF:CHCl:ヘキサン)による精製によって、所望のβ−ラクトン15r(6.2mg,74%)を得た。
IR(薄膜)2926,2857,1823,1738,1678cm−1

【0162】
実施例46.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3R,4R)−3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−テトラデシルエステル(16a)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0163】
上述の実施例28における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン14a(20.0mg,0.0523mmol)、トリフェニルホスフィン(44.4mg,0.169mmol),N−ホルミルロイシン(31.6mg,0.197mmol),およびDIAD(33μL,0.17mmol)を1mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン16a(10mg,17%)を得た。

【0164】
実施例47.(S)−2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−((2S,3R,4R)−3−メチル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ドデシルエステル(16b)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

H NMR 副ジアステレオマー(16b)

【0165】
実施例48.(R)−1−(2S,3S)−3−エチル−4−オキソオキセタン−2−イル)トリデカン−2−イル2−メタンアミドエタノアート(17a)の合成(アシル化を介したアミノエステル側鎖の導入の代表的な方法)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0166】
ヒドロキシβ−ラクトン13f(11.0mg,0.0369mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(9.20mg,0.048mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(5.45mg,0.044mmol)の溶液に、0.5mLのキシレンを加え、混合物を1.0時間真空で共沸させた。残余物をCHCl(1mL)において溶解し、その後N−ホルミルグリシン(5.71mg,0.055mmol)を加えた。透明な反応混合物は、橙赤色に変わった。12時間後、混合物を水(3×1mL)およびジクロロメタンで抽出した。その後、有機相をNaSO上で乾燥し、真空で濃縮した。残余物を、クロマトグラフィー(SiO,20%EtOAc:ヘキサン)で精製し、β−ラクトン17a(17.4mg,99%)を得た。
=0.22(50%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−9.4(c0.4,CHCl);IR(薄膜)2926,2855,1823,1738,1651


【0167】
実施例49.(R)−1−((2S,3S)−3−ブチル−4−オキソオキセタン−2−イル)トリデカン−2−イル2−メタンアミドエタノアート
(17b)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0168】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って準備した。ヒドロキシβ−ラクトン13e(8.5mg,0.026mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(6.5mg,0.034mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(3.8mg,0.031mmol)に、0.5mLのキシレンを加え、混合物を1.0時間真空で共沸させた。12時間後、混合物をCHCl(1.5mL)において溶解し、N−ホルミルグリシン(4.0mg,0.039mmol)を加えた。その結果できた混合物を、クロマトグラフィー(SiO,40%EtOAc:ヘキサン)で2回精製し、β−ラクトン17b(7.4mg,69%)を得た。
=0.24(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−19.5(c0.8,CHCl);IR(薄膜)3386,2926,2855,1825,1745,1681,1519cm−1

【0169】
実施例50.(2R,3S,4S)−ホルミルアミノ−酢酸1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ドデシルエステル(17c)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0170】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って、β−ラクトン13d(15.0mg,0.0423mmol)、N−ホルミルグリシン(4.8mg,0.047mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(10.5mg,0.0550mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(5.2mg,0.042mmol)を1mLのCHClを用いて準備した。SiO上のクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)による精製によって、所望のβ−ラクトン17c(18mg,97%)を得た。

【0171】
実施例51.(R)−1−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)プロパン−2−イル−2−メタンアミドエタノアート(17d)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0172】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って、ヒドロキシβ−ラクトン13l(10.9mg,0.051mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(12.6mg,0.066mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(7.5mg,0.061mmol),0.5mLのキシレンを1.0時間真空で共沸させた。12時間後、残余物をCHCl(2mL)において溶解し、N−ホルミルグリシン(7.9mg,0.077mmol)を加えた。その結果できた混合物を、クロマトグラフィー(SiO,10〜40%EtOAc:ヘキサン)による精製によって、β−ラクトン17d(7.9mg,52%)を得た。
=0.11(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−30.9(c0.60,CHCl);IR(薄膜)3376,2931,1820,1747,1685cm−1

【0173】
実施例52.(S)−1−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)−3−(トシルオキシ)プロパン−2−イル−2−メタンアミド−エタノアート(17e)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0174】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って準備した。ヒドロキシβ−ラクトン13n(13.0mg,0.034mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(8.50mg,0.044mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(5.0mg,0.041mmol)の溶液に、0.5mLのキシレンを加え、混合物を1時間真空で共沸させた。その後、混合物をCHCl(2mL)において溶解し、N−ホルミルグリシン(5.26mg,0.051mmol)を加えた。その結果できた混合物を、クロマトグラフィー(SiO,20%EtOAc:ヘキサン)による精製によって、β−ラクトン17e(9.2mg,58%)を得た。
=0.22(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−6.5(c0.4,CHCl);IR(薄膜)2955,2925,2855,1738,1607,1516,1466;

【0175】
実施例53.(R)−1−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)ヘキサ−5−エン−2−イル2−メタンアミドエタノアート(17f)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0176】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って準備した。ヒドロキシβ−ラクトン13j(15.0mg,0.059mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(14.8mg,0.077mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(8.71mg,0.071mmol)、0.5mLのキシレンを1.0時間真空で共沸させた。12時間後、残余物をCHCl(1.5mL)において溶解し、N−ホルミルグリシン(9.12mg,0.089mmol)を加えた。その結果できた混合物を、クロマトグラフィー(SiO,10〜40%EtOAc:ヘキサン)による2回の精製によって、β−ラクトン17f(10.8mg,55%)を得た。
=0.33(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−5.1(c1.8,CHCl);IR(薄膜)3418,2925,2854,1819,1740,1667cm−1

【0177】
実施例54.(R)−1−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)ヘプタ−5−エン−2−イル2−メタンアミドエタノアート(17g)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0178】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って準備した。ヒドロキシβ−ラクトン13k(15.6mg,0.058mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(14.4mg,0.075mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(8.7mg,0.070mmol)、0.5mLのキシレンを1.0時間真空で共沸させた。その後、残余物をCHCl(1.5mL)において溶解し、N−ホルミルグリシン(9.0mg,0.087mmol)を加えた。12時間後、その結果できた混合物を、クロマトグラフィー(SiO,10〜40%EtOAc:ヘキサン)による精製によって、β−ラクトン17g(11.7mg,57%)を得た。
=0.38(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−22(c1.1,CHCl);IR(薄膜)2926,2855,1823,1712cm−1

【0179】
実施例55.2−ホルミルアミノ−3−メチル−ブチル酸(2S,2R,3S、4S)−1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ヘキサ−4−エニルエステル(17h)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0180】
上述の実施例48において示した代表的な方法(すなわちアシル化)に従って準備した。β−ラクトン13k(20.0mg,0.0745mmol)、N−ホルミル−L−バリン(11.9mg,0.0820mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(18.6mg,0.0969mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(9.2mg,0.0745mmol)を1.5mLのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(0.4:1:3 THF/CHCl/ヘキサン)による精製によって、所望のβ−ラクトン17hを得た。
【0181】
E/Z混合物は、主なピークしか示さない。

【0182】
実施例56.(R)−1−((2S,3R)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)トリデカン−2−イル2−メタンアミドエタノアート(17i)の合成(シス−β−ラクトンの合成に関する代表的な方法)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームおよび以下に示す一連のステップに従って合成した。

【0183】
アルデヒド12b(0.189g,0.55mmol)およびチオピリジルケテンアセタール3c(0.21g,1.10mmol)を4mLのCHClに溶解し、−78°Cまで冷却した(ドライアイス/アセトン浴)。撹拌しながら、CHClにおける1.0MのSnCl溶液(0.66mL,1.2当量)0.66mLを、シリンジポンプを用いて2時間にわたって加えた。10時間撹拌後、反応物を−50°Cまで温め、さらに6時間撹拌した。反応物をpH7緩衝液(10mL)で−50°Cにクエンチし、激しく撹拌しながら室温まで温め、その後、セライトの小さなパッドに通して濾過した。その結果できた透明な溶液を、NaSO上で乾燥し、濾過し、CHClの体積が0.15Mの最終濃度となるように調節した。CuBr(0.26g,1.10mmol)を加え、混合物を2時間撹拌した。その結果できた縣濁液を、セライトに通して濾過し、10%KCO水溶液(2×10mL)および塩水(2×20mL)で洗浄した。有機相を、NaSO上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。残余物は、クロマトグラフィー(SiO,ヘキサン内30%EtOAc)によって精製し、ジアステレオアイソマーの混合物(dr=3:1)を得た。
【0184】
脱シリル化手順:0°Cで冷却した20mLの乾燥CHCNにおけるジアステレオアイソマー混合物の溶液に、48%のHF水溶液(0.43mL)を加えた。反応混合物を0°Cで2時間撹拌後、室温まで温めた。さらに2時間後、反応混合物を15mLのエーテルで希釈した。有機相を分離し、NaHCOの飽和溶液をゆっくり加えて洗浄し(2×20mL)、塩水で洗浄した(2×20mL)。残余物をNaSO上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。混合物をSiO上のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン内2〜10%EtOAc)によって精製した。ジアステレオアイソマーをSiO上のMPLC(ヘキサン内10%EtOAc)によって部分的に分離した。主なジアステレオマー(dr>19:1)は12mgしか完全に分離されなかった。
【0185】
アシル化手順:ヒドロキシβ−ラクトン(12.0mg,0.032mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(7.8mg,0.041mmol)、4−ジメチルアミノ−ピリジン(54.7mg,0.038mmol)0.5mLのキシレンを加え、混合物を1時間真空で共沸させた。残余物をCHCl(2mL)において溶解し、N−ホルミルグリシン(5.0mg,0.048mmol)を加えた。12時間後、混合物を水(3×1mL)およびジクロロメタンで抽出した。その後、有機相をNaSO上で乾燥し、真空で濃縮した。残余物を、クロマトグラフィー(SiO,20%EtOAc:ヘキサン)で精製し、β−ラクトン17i(7.2mg,51%)を得た。
=0.32(40%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−8.8(c0.45、CHCl);IR(薄膜)2925,2854,1823,1748、1824,1748,1654cm−1

【0186】
実施例57.2−ホルミルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ドデカ−4−エニルエステル(21b)の合成(クロスメタセシスに関する代表的な方法)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームおよび以下に示す一連のステップに従って合成した。

【0187】
0.2mLのCHClにおけるβ−ラクトン15q(10mg,0.023mmol)およびn−ノネン(20mL,0.12mmol)の溶液を、封管に入れ、これに、0.1mLのCHClにおけるグラッブ触媒(3.8mg,0.0047mmol)の溶液をシリンジを用いて加えた。混合物を45°Cで24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残った残余物は、SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン:EtOAc)によって直接精製し、所望のβ−ラクトン(5.5mg,45%)および回収したβ−ラクトン21b(3.8mg、38%)を得た。
【0188】
E/Z混合物は、主なピークのみを示した。

【0189】
実施例58.2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸1−(3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イルメチル)−ドデカ−4−エニルエステル(20a)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームおよび以下に示す一連のステップに従って合成した。

【0190】
実施例57において上述したクロスメタセシスに従って、β−ラクトン15q(23.5mg,0.0594mmol),グラッブ触媒(4.9mg,0.00594mmol)およびn−ノネン(51mL,0.297mmol)の溶液を、0.3mLのCHClにおいて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン:EtOAc)によって精製し、所望のβ−ラクトン21a(収率は決定せず)を得た。

【0191】
実施例59.2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸5−(4−フルオロ−フェニル)−1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ペント−4−エニルエステル(21c)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームおよび以下に示す一連のステップに従って合成した。

【0192】
実施例57において上述した代表的なクロスメタセシスに従って、β−ラクトン15q(15.0mg,0.0379mmol),グラッブ触媒(3.1mg,0.0038mmol)および4−フルオロスチレン(18mL,0.15mmol)を、0.3mLのCHClにおいて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(4:1ヘキサン:EtOAc)によって精製し、所望のβ−ラクトン21c(収率は決定せず)を得た。

【0193】
実施例60.(E,2R,3S,4S)−4−[6−(4−ブロモ−フェニル)−2−ヒドロキシ−ヘキサ−5−エニル]−3−ヘキシル−オキセタン−2−オン(20d)および2−ホルミルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸5−(4−ブロモ−フェニル)−1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ペンタ−4−エニルエステル(21d)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームおよび以下に示す一連のステップに従って合成した。

【0194】
0.3mLのCHClにおける13k(30mg,0.11mmol)および4−ブロモスチレン(73mL,0.56mmol)の溶液を、封管に入れ、0.2mLのCHClにおけるグラッブ触媒(13.8mg,0.017mmol)の溶液をシリンジを用いて加えた。混合物を40°Cで48時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残った残余物は、SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1ヘキサン:EtOAc)によって精製し、白色固体の20d(16mg,35%)を得た。IR(薄膜)1811cm−1

【0195】
次に、上述の実施例27における代表的な方法(すなわち光延反応)に従って、β−ラクトン20d(10.0mg,0.0244mmol)、トリフェニルホスフィン(9.0mg,0.034mmol)、N−ホルミル−L−フェニルアラニン(9.4mg,0.049mmol)、DIAD(6.6μL,0.034mmol)を1mLのTHFを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(0.4:1:3,THF:CHCl:ヘキサン)による精製によって、白色固体の、所望のβ−ラクトン21d(収率ND)を得た。

【0196】
実施例61.2−ホルミルアミノ−4−メチル−ペンタン酸6−[2−(2−ベンジルオキシカルボニルメトキシ−エトキシ]−エトキシ−1−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イルメチル)−ヘキサ−4−エニルエステル(21f)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0197】
実施例57において上述した代表的なクロスメタセシスに従って、β−ラクトン15p(30.0mg,0.0758mmol),第2のグラッブ触媒(13mg,0.0152mmol)およびベンジルエステル(128mg,0.435mmol)を3mLのCHClにおいて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(2:1:2 ヘキサン:CHCl:EtOAc)によって精製し、所望のβ−ラクトン21f(収率は決定せず)を得た。H NMRに基づくと、この化合物は、副生成物(ベンジルエステルのダイマー)によって汚染されている。LRMS(ESI)Calcd for C3655NO10[M+Li]668,Found668
【0198】
実施例62.(2R,3S,4S)−3−ヘキシル−4−(2−ヒドロキシ−トリデカ−5−エニル)−オキセタン−2−オン(9)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0199】
実施例57において上述した代表的なクロスメタセシスに従って、β−ラクトン13k(35.0mg,0.130mmol),グラッブ触媒(13.8mg,0.0168mmol)およびn−ノネン(73mL,0.56mmol)を0.5mLのCHClを用いて準備した。SiO上のフラッシュクロマトグラフィー(10:1ヘキサン:EtOAc)によって直接精製し、白色固体の20a(9.2mg,20%)および回収した13k(28mg,80%)を得た。
【0200】
E/Z混合物は、主なピークしか示さない。IR(薄膜)3466,1820cm−1

【0201】
実施例63.(S)−((S)−1−((2S,3S)−3−ヘキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)ヘプタン−2−イル)2−メタンアミド−3−メチルブタノアート(23a)の合成(不飽和β−ラクトンの水素化に関する代表的な方法)
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0202】
4mLのCHClにおけるβ−ラクトン15n(21mg,0.053mmol)およびカーボン上の5重量%のパラジウム(15mg)のE/Z混合物を大気温度でH雰囲気下12時間撹拌した。その後、反応混合物をセライトのパッドに通して濾過し、触媒を除去し、CHClで洗浄した(5×2mL)。有機濾過物の混合物を濃縮し、クロマトグラフィー(SiO,40%EtOAc:ヘキサン)によって精製し、所望のβ−ラクトン23a(20mg,95%)を得た。
=0.24(30%EtOAc/ヘキサン);[α]22=−2.1(c0.3、CHCl);IR(薄膜)2958,2923,2851,1822,1728,1684cm−1

【0203】
実施例64.(R)−1−((2S,3S)−3−へキシル−4−オキソオキセタン−2−イル)−ヘキサン−2−イル2−メタンアミドエタノアート(23b)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0204】
上述の実施例63において示した代表的な方法に従って準備した。2mLのCHClにおけるβ−ラクトン17f(6.2mg,0.018mmol)およびカーボン上の5重量%のパラジウム(5mg)を大気温度でH雰囲気下12時間撹拌した。濾過およびクロマトグラフィー(SiO,40%EtOAc:ヘキサン)によって、所望のβ−ラクトン23b(5.8mg,95.1%)を得た。
=0.24(40%EtOH/ヘキサン);[α]22=−28.9(c0.8、CHCl);IR(薄膜)2927,2858,1819,1745,1675cm−1

【0205】
実施例65.(2R,3S,4S)−3−へキシル−4−(2−ヒドロキシ−トリデシル)オキセタン−2−オン(13d)の合成
タイトルの化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成した。

【0206】
上述の実施例63において示した代表的な方法に従って準備した。2mLのTHFにおけるβ−ラクトン20a(5.8mg,0.016mmol)およびカーボン上の5重量%のパラジウム(5mg)のE/Z混合物を大気温度でH雰囲気下12時間撹拌した。濾過によって、所望のβ−ラクトン13d(5.9mg,99%)を得た。
【0207】
実施例66.本発明の化合物によるエステラーゼ阻害
FASTE阻害の検出に関する蛍光分析
合成蛍光発生基質である、4−メチルウンベリフェリルヘプタノアート(4−MUH)をSigmaから購入した(St.Louis,MO)。反応混合物は、DMSOに溶解した最終濃度0.32〜100μMおよび/または0.08〜10μMの2.5μLのテスト化合物を37°Cで30分間前培養した、500nMのFASTE緩衝液(100mM Tris−HCl,50mM NaCl、pH7.4)からなる。反応は、1:1のDMSO:緩衝液Aにおける1.25mMの4−MUHを5μLを加えることによって開始した。その結果生じた遊離4−メチルウンベリフェロンからの蛍光を、350/450nmで、40〜60分の間、5分おきに測定した。酵素なしで培養した4−MUHを対照として用いた。結果は、3点の平均である。
【0208】
20Sプロテアソームの検出に関する蛍光分析
蛍光ペプチド基質Suc−LLVY−AMCをCalbiochemから購入した(La Jolla,CA)。反応混合物は、緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,1mM DTT,1%v/vDMSO,5mM MgCl,および0.02%SDS)における約5nMの20Sプロテアソームと、DMSOに溶解した最終濃度0.4〜50μMのテスト化合物1μLおよび100μMのSuc−LLVY−AMCからなる。その結果生じた遊離AMCからの蛍光を、380/460nmで、2〜3時間の間、10分おきに測定した。プロテアソームなしで培養したSuc−LLVY−Amcをバックグラウンド対照として用いた。結果は、2点の平均である。
【0209】
テスト化合物有効性の検出に関する細胞生存性分析
MB−MDA−435,MB−MDA−231またはヒト線維芽細胞を適切な培地において96穴プレートに入れ、37°Cおよび5%COで一晩培養した。細胞は、DMSOの最終濃度が1%(v/v)を超えない、テスト化合物(0.1〜100μM)または賦形剤で、三つ組みで処理した。48時間で、培地をアスピレートし、333μg/mL[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルフォフェニル)−2H−テトラゾリウム(MTS)および25μMフェナジンメトスルフェート(PMS)]を含む完全なMEMに交換し、CellTite96AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(Promega)を用いた。プレートは、2時間培養して吸光度を490nmで測定した。ホルマザン形成のバックグラウンドレベルを培地のみで測定した。IC50値は、用量反応曲線に由来する。
【0210】
阻害テストの結果を表8において与える。
【0211】
【表8】








【0212】
本発明を上述の実施例につき説明したが、本発明の範囲内の修正および変動を含むことを理解されたい。したがって、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造式Aを有する化合物またはその薬学的に許容される塩であって、

式中、
「a」および「b」とマーク付けした炭素の立体化学的構造がRまたはSを示すというさらなる条件で、
Rが、非置換アルキルおよび置換アルキルから成る群から選択され、
が、非置換アルキル、置換アルキル、非置換アルケニル、置換アルケニル、非置換アリール、置換アリール、非置換ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヒドロキシル、エステル、アミド、アルデヒド、およびハロゲンから成る群から選択される少なくとも1個の部分を含む、化合物。
【請求項2】
Rが、エチル、プロピル、ブチル、およびヘキシルから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
アルデヒドが、ホルムアミド部分を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、部分1〜35から成る群から選択され、





式中、部分1〜35における記号が、一般構造式Aの「a」とマーク付けした炭素へ該部分を結合する位置を意味する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
下記式I〜XXVIIIを有する化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。









【請求項6】
下記式I〜IVを有する化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。


【請求項7】
式Iを有する、請求項1に記載の化合物。

【請求項8】
式IIを有する、請求項1に記載の化合物。

【請求項9】
式IIIを有する、請求項1に記載の化合物。

【請求項10】
式IVを有する、請求項1に記載の化合物。

【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物および薬学的に許容されるそのキャリア。
【請求項12】
薬理学的に効果的な量の群I〜XXXから選択した化合物を、それを必要とする対象に投与するステップと、それによって、過剰増殖性疾患、アテローム性動脈硬化、再狭窄、炎症、自己免疫疾患、血管形成に関する疾患、火傷、および感染性の病気または疾患から成る群から選択する疾患、病気、または病状を治療するステップとを含む、疾患、病気、または病状の治療方法。









【請求項13】
過剰増殖性疾患が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸癌、非小細胞肺癌、肺癌、脳癌、食道癌、肝臓癌および白血病から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
血管形成に関する疾患が、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、および関節炎から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
感染性の病気または疾患が、尿路感染症、膀胱感染症、皮膚感染症、エルシニア感染症、肺ペスト、結核、および結核に類似した肺病巣等の疾患から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
包装材料および包装材料内にある請求項11に記載の医薬組成物を含むキットであって、該包装材料が、それを必要とする対象における疾患、病気、または病状を治療するのに該組成物を使用することができることを示すラベルを含む、キット。

【公表番号】特表2011−502167(P2011−502167A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532254(P2010−532254)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/081857
【国際公開番号】WO2009/059046
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510027043)バーンハム インスティテュート フォー メディカル リサーチ (6)
【出願人】(504261103)ザ テキサス エー アンド エム ユニバーシティー システム (6)
【Fターム(参考)】