説明

β−Ga2O3結晶の製造方法

【課題】β−Ga結晶の双晶密度を許容値以下とすることが可能なβ−Ga結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】EFG(Edge-defined film-fed growth)法によるβ−Ga単結晶25の成長時における双晶密度が許容値以下となるように、許容値が小さいほど種結晶20の引き上げ方向に対するβ−Ga単結晶25の肩広げ角度θの目標値を大きく設定する第1ステップと、第1ステップで設定した目標値の肩広げ角度でβ−Ga単結晶25が成長するように結晶成長時における温度又は種結晶20の引き上げ速度を制御して、β−Ga結晶を成長させる第2ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−Ga結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば発光素子等の基板としては、サファイア等が用いられていたが、近年では酸化ガリウム(Ga)が注目されている。Gaは、透光性及び導電性を有することから電極構造が垂直型のLEDを作ることができ、基板全体を電流通路にすることができる。この結果、電流密度が低くなり、発光素子の寿命を長くすることができる。また、電極構造が垂直型であることにより、n層をエッチングによって露出させる必要がないことから素子製造工数が少なくて済み、基板の単位面積当たりの素子数を多く取れるので、製造コストの低減を図ることができる。また、Gaは、例えばSiCに比べ、III−V族系化合物半導体の発光領域の全波長範囲、特に、紫外領域での利用が可能になるという特長がある。
【0003】
このようなGa結晶の製造方法として、EFG(Edge Defined Film Fed Growth)法を用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−312571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のGa系結晶の製造方法では、種結晶をそのc軸方向が引き上げ方向となるように製造装置にセットし、c軸と平行な方向に移動させて結晶成長させることにより、Ga系結晶のへき開性を弱くして加工性を向上することが可能になったが、結晶成長中に双晶と呼ばれる欠陥が発生することがあった。双晶とは、一つの結晶の中で結晶格子の構造は同じであるが、ある面を境にして互いに鏡面対称となっている結晶である。双晶が発生すると、その発生部位を起点としてGa系結晶の成長方向に沿って双晶が帯状に延びるように形成されるため、その部分を避けて基板となる結晶を切り出す必要がある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、β−Ga結晶の双晶密度を許容値以下とすることが可能なβ−Ga結晶の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ね、双晶はβ−Ga結晶の幅を種結晶の大きさからダイの幅まで徐々に広げる肩広げ工程で発生することが多いことに着目し、様々な実験を行った結果、β−Ga結晶の肩広げ角度と双晶の密度との間に相関があることを見出した。そして、肩広げ角度を大きくすることにより双晶の発生を抑制できるとの知見を得、本発明をなすに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、[1]〜[3]のβ−Ga結晶の製造方法を提供する。
【0009】
[1]EFG法によるβ−Ga結晶の成長時における双晶密度が許容値以下となるように、前記許容値が小さいほど種結晶の引き上げ方向に対する前記β−Ga結晶の肩広げ角度の目標値を大きく設定する第1ステップと、前記第1ステップで設定した目標値の肩広げ角度で前記β−Ga結晶が成長するように結晶成長時における温度又は前記種結晶の引き上げ速度を制御して、前記β−Ga結晶を成長させる第2ステップとを有するβ−Ga結晶の製造方法。
【0010】
[2]前記第2ステップにおいて、前記種結晶は、β−Ga融液を受容するルツボに立設されたスリットを有するダイの幅広面と(−201)面もしくは(101)面とが平行になるように固定され、前記種結晶をその[010]方向に引き上げることにより前記β−Ga結晶を成長させる前記[1]に記載のβ−Ga結晶の製造方法。
【0011】
[3]前記第2ステップにおいて、前記種結晶は、β−Ga融液を受容するルツボに立設されたスリットを有するダイの幅広面と(310)面もしくは(3−10)面とが平行になるように固定され、前記種結晶をその[001]方向に引き上げることにより前記β−Ga結晶を成長させる前記[1]に記載のβ−Ga結晶の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、β−Ga結晶の双晶密度を許容値以下とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るEFG法による単結晶製造装置を示す縦断面である。
【図2】β−Gaの結晶面を示す立体図である。
【図3A】(a)及び(b)はβ−Ga結晶の(−201)面を示す斜視図及び平面図、(c)及び(d)はβ−Ga結晶の(101)面を示す斜視図及び平面図である。
【図3B】(a)及び(b)はβ−Ga結晶の(310)面を示す斜視図及び平面図、(c)及び(d)はβ−Ga結晶の(3−10)面を示す斜視図及び平面図である。
【図4】単結晶製造装置におけるβ−Ga結晶の引き上げの状態を示す斜視図である。
【図5】(a)はβ−Ga結晶の平面図、(b)は肩広げ角度と双晶密度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(単結晶製造装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るEFG(Edge Defined Film Fed Growth)法による単結晶製造装置を示す縦断面である。EFG法とは、縁部限定薄膜供給結晶成長法とも呼ばれ、加熱により融解した原料を受容するルツボに立設されたスリットを有するダイの開口部に原料を導き、この開口部における原料に種結晶を接触させ、その後種結晶を引き上げることにより、結晶を成長させる方法である。
【0015】
この単結晶製造装置10は、石英管11の内側にGa融液12を受容するルツボ13と、このルツボ13内に立設されたスリット14Aを有するダイ14と、スリット14Aの開口14Bを除くルツボ13の上面を閉塞する蓋15と、ルツボ13を載置する支持台16と、ルツボ13の周囲を包囲する断熱材17と、石英管11及び断熱材17を介してルツボ13を誘導加熱する高周波コイル18と、β−Ga種結晶(以下、「種結晶」という。)20を保持する種結晶保持具21と、種結晶保持具21を昇降可能に支持するシャフト22と、石英管11及び断熱材17を支持する基部23と、基部23に取り付けられた脚部24とを有する。
【0016】
ルツボ13は、Ga融液12を受容し得る耐熱性を有した金属材料で形成されており、本実施の形態ではイリジウムを用いて作られたルツボ13を用いている。このルツボ13は、内部に収容された粒状のβ−Gaを溶解させて得られたGa融液12を受容する。
【0017】
高周波コイル18は、石英管11の外周囲に螺旋状に配置され、図示しない電源から供給される高周波の電流により、ルツボ13を誘導加熱する。この電力の調整によってルツボ13の温度を制御することが可能であり、これによりルツボ13内部に収容された粒状のβ−Gaを溶解させる。
【0018】
ダイ14は、その中間部にβ−Ga融液12を毛細管現象により上昇させる、例えば0.1〜1mmの間隙を備えたスリット14Aを有している。スリット14Aは、紙面奥方向に延びるダイ14の幅広面14Cに沿って形成されており、ダイ14の上部には、毛細管現象で上昇したGa融液12に接触するように、種結晶20が位置決めされる。
【0019】
蓋15は、ルツボ13から高温のGa融液12が蒸発することを防止し、さらにスリット14Aの上面以外の部分にGa融液12の蒸気が付着することを抑制する。
【0020】
断熱材17は、高周波コイル18への通電に基づいて誘導加熱されたルツボ13の急激な温度変化を抑制する保温性を有し、ルツボ13の周囲に所定の間隔を有して設けられている。
【0021】
シャフト22は、例えばモータによって駆動される図示しない駆動機構により昇降動作し、この駆動機構による上昇時及び下降時における移動速度を制御可能である。
【0022】
そして、単結晶製造装置10は、シャフト22を下降させて種結晶20の下面をダイ14の開口14BにおけるGa融液12に接触させ、その後所定の速度でシャフト22を上昇させて種結晶20を引き上げることにより、β−Ga単結晶25を成長させる。
【0023】
(結晶面)
図2は、β−Gaの結晶面を示す立体図である。β−Gaは単斜晶であり、α=γ=90°、β=103.8°で、a軸格子定数(a)=12.23Å、b軸格子定数(b)=3.04Å、c軸格子定数(c)=5.8Åで形成されている。
【0024】
図3A(a)はβ−Ga結晶の(−201)面を示す斜視図、図3A(b)はβ−Ga結晶の[010]方向から見た(−201)面を示す正面図、図3A(c)はβ−Ga結晶の(101)面を示す斜視図、図3A(d)はβ−Ga結晶の[010]方向から見た(101)面を示す正面図である。また、図3B(a)はβ−Ga結晶の(310)面を示す斜視図、図3B(b)はβ−Ga結晶の[001]方向から見た(310)面を示す正面図、図3B(c)はβ−Ga結晶の(3−10)面を示す斜視図、図3B(d)はβ−Ga結晶の[001]方向から見た(3−10)面を示す正面図である。
【0025】
本実施の形態では、ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga単結晶25の(−201)面もしくは(101)面が平行になるように、[010]方向(b軸方向)にβ−Ga結晶を成長させる。又は、ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga単結晶25の(310)面もしくは(3−10)面が平行になるように、[001]方向(c軸方向)にβ−Ga単結晶25を成長させる。
【0026】
図4は、β−Ga単結晶25の(101)面がダイ14の幅広面14Cと平行になるように、[010]方向にβ−Ga結晶を成長させる場合の単結晶製造装置10におけるβ−Ga単結晶24の引き上げを示す斜視図である。
【0027】
種結晶20は、ダイ14の幅に対して微小なサイズを有することにより、β−Ga単結晶25は、種結晶20の引き上げに伴ってダイ14の幅広面14Cに沿った方向に拡張しながら結晶成長する。β−Ga単結晶25の幅方向寸法がダイ14の開口14Bの幅に対応する寸法に達すると、それ以上は拡張せず、ほぼ一定の幅でβ−Ga単結晶25が成長する。従って、β−Ga単結晶25は、種結晶20からダイ14の幅方向に沿って徐々に幅が広がる肩部25aと、肩部25aに連続して形成され、ダイ14の開口14Bの幅方向寸法に対応する幅で形成された胴部25bとを有している。
【0028】
図4に一点鎖線で示す種結晶20の引き上げ方向(図4の例では[010]方向)に対するβ−Ga単結晶25の肩部25aの端面とがなす角度θ(以下、この角度を「肩広げ角度」という。)は、種結晶20の引き上げ速度(β−Ga単結晶25の育成速度)によって変化し、引き上げ速度が速いと肩広げ角度が小さくなり、引き上げ速度が緩いと肩広げ角度が大きくなる。また、肩広げ角度θは、肩部25aの形成時における、ルツボ13の温度の制御方法によっても変化し、ルツボ13の温度を速く下げると肩広げ角度が大きくなり、ルツボ13の温度をゆっくりと下げると肩広げ角度が小さくなる。
【0029】
(β−Ga単結晶の製造方法)
次に、β−Ga単結晶25の製造方法について説明する。β−Ga単結晶25は、次に述べる第1ステップと、単結晶製造装置10によってβ−Ga単結晶25を成長させる第2ステップとを含む手順で製造される。
【0030】
(第1ステップ)
第1ステップではまず、β−Ga単結晶25の大きさやβ−Ga単結晶25から切り出す基板の大きさを考慮して、β−Ga単結晶25のダイ14の幅広面14Cに沿った単位長さあたりの双晶の数、すなわち双晶密度の許容値を定める。なお、この双晶密度はβ−Ga単結晶25の単位体積あたりの双晶の数で定めてもよい。
【0031】
そして、β−Ga単結晶25の肩広げ角度と双晶密度との関係に基づいて、双晶密度の許容値が小さいほどβ−Ga単結晶25の肩広げ角度の目標値を大きく設定する。この場合、大きな肩広げ角度のβ−Ga単結晶25を得るために、種結晶20の引き上げ速度を緩くする必要がある。また、双晶密度の許容値を大きくすれば、発生し得る双晶の数は多くなるが、種結晶20の引き上げ速度を速くすることができ、時間当たりに製造できるβ−Ga単結晶25の体積は大きくなる。
【0032】
なお、β−Ga単結晶25の肩広げ角度と双晶密度との関係は、使用する単結晶製造装置によって異なるため、例えば対象の単結晶製造装置について実験を行うことによって規定することができる。
【0033】
(第2ステップ)
第2ステップでは、第1ステップで設定した肩広げ角度の目標値に対応した肩広げ角度でβ−Ga単結晶25の肩部25aが成長するように、結晶成長時の条件を調整してβ−Ga単結晶25を成長させる。
【0034】
第2ステップではまず、ルツボ13に粒状のβ−Ga原料を所定量充填し、ルツボ13の上面を蓋15で閉塞する。
【0035】
次に、種結晶20がダイ14に対して所定の角度になるように、種結晶20を種結晶保持具21に固定する。より具体的には、ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga結晶の(−201)面もしくは(101)面が平行となり、かつ[010]方向が種結晶20の引き上げ方向となるように、種結晶20を種結晶保持具21に固定する。又は、ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga結晶の(310)面もしくは(3−10)面面が平行となり、かつ[001]方向が種結晶20の引き上げ方向となるように、種結晶20を種結晶保持具21に固定する。なお、ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga結晶の(−201)面,(101)面,(310)面,もしくは(3−10)面とは完全に平行でなくともよく、±3°以下の誤差があってもよい。
【0036】
次に、断熱材17の内部におけるルツボ13の周辺の領域(ホットゾーン)に窒素と酸素の混合ガスを供給すると共に、高周波コイル18に通電してルツボ13を誘導加熱し、β−Ga原料を融解させる。
【0037】
ルツボ13の誘導加熱によりβ−Ga原料が融解し、およそ1725°程度のGa融液12がダイ14のスリット14Aを上昇して開口14Bに達した後、種結晶保持具21をダイ14に向かって下方向(矢印A方向)に降下させ、種結晶20をGa融液12に接触させる。
【0038】
次に、高周波コイル18に供給する電流を徐々に小さくしながら種結晶保持具21を種結晶20と共にダイ14から離間する方向(矢印B方向)に移動させる。この移動速度は、例えば1時間当たり5mmである。また、高周波コイル18に供給する電流を徐々に小さくすることにより、Ga融液12の温度も徐々に低くなる。
【0039】
種結晶20の引き上げにつれてβ−Ga単結晶25が成長し、所望の大きさになったら、β−Ga単結晶25をGa融液12から引き離すテールカットを行い、所定の温度勾配でβ−Ga単結晶25を降温させる。
【0040】
次に、β−Ga単結晶25を所定の大きさに切り出す。この際、β−Ga単結晶25に双晶がある場合には、双晶の部分を避けてβ−Ga単結晶25を切り出す。このようにして得られた基板は、例えばLED素子のエピタキシャル成長用基板として用いられる。
【0041】
(肩広げ角度と双晶密度との関係)
図5(a)は、β−Ga単結晶25をその幅広面から見た平面図である。図5(b)は、図4に示した単結晶製造装置10の構成において、肩広げ角度θがθ(=45°)、θ(=60°)、θ(=63°)、θ(=90°)となるようにβ−Ga単結晶25を製造した場合の肩広げ角度と双晶密度との関係を示す実験結果のグラフである。
【0042】
図5(a)に示すように、肩広げ角度をθからθに変化させると、β−Ga単結晶25の肩部25aの種結晶20の引き上げ方向に沿った方向の長さが短くなる。
【0043】
図5(b)に示すように、肩広げ角度がθ(=45°)となるように製造したβ−Ga単結晶25では、双晶密度が37本/cm、30.7本/cmであった。肩広げ角度がθ(=60°)となるように製造したβ−Ga単結晶25では、双晶密度が32本/cmであった。肩広げ角度がθ(=63°)となるように製造したβ−Ga単結晶25では、双晶密度が33.8本/cm、31.7本/cm、28本/cmであった。肩広げ角度がθ(=90°)となるように製造したβ−Ga単結晶25では、双晶密度が1.58本/cm、0.7本/cmであった。
【0044】
このように、肩広げ角度が大きくなるほど、双晶密度が小さくなる傾向が見られた。ここで、双晶密度は、種結晶20の引き上げ方向に直交するβ−Ga単結晶25の幅方向(図5(a)の矢印C方向)における1cmあたりの双晶の数の平均値で表している。
【0045】
また、ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga単結晶25の(−201)面もしくは(101)面が平行で[010]方向に種結晶20を引き上げた場合、及びダイ14の幅広面14Cとβ−Ga結晶の(310)面もしくは(3−10)面が平行で[001]方向に種結晶20を引き上げた場合の何れの実験でも、図5(b)に示すグラフと同様の結果が得られた。種結晶20の種結晶保持具21への固定角度が上記以外の場合には、肩広げ角度を大きくすると双晶密度が小さくなる傾向があるものの、図5(b)のグラフに示す程度の顕著な効果は現れなかった。
【0046】
(実施の形態の効果)
この実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)β−Ga単結晶25の肩広げ角度を調整することで、所望の双晶密度のβ−Ga単結晶25を得ることができる。例えば、必要な基板の大きさが小さい場合には、双晶の数が多くても、隣り合う2つの双晶の間から相当数の基板を切り出すことができるため、種結晶20の引き上げ速度を速くして時間当たりに製造できるβ−Ga単結晶25の体積を大きくすることが考えられる。また、必要な基板の大きさが大きい場合、又は基板の切り出し時における双晶を避けるための工数を削減したい場合には、肩広げ角度を大きくして双晶密度を低くすることが考えられる。
【0047】
(2)ダイ14の幅広面14Cとβ−Ga単結晶25の(−201)面もしくは(101)面を平行にして[010]方向に種結晶20を引き上げること、又はダイ14の幅広面14Cとβ−Ga結晶の(310)面もしくは(3−10)面を平行にして[001]方向に種結晶20を引き上げることにより、肩広げ角度を大きくした場合に双晶密度を大きく低減することができる。
【0048】
[他の実施の形態]
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形、応用が可能である。例えば、上記実施の形態では、結晶成長時の温度を制御することでβ−Ga単結晶25の肩広げ角度を調整する場合について説明したが、種結晶20の引き上げ速度を制御してβ−Ga単結晶25の肩広げ角度を調整してもよい。また、結晶成長時の温度及び種結晶20の引き上げ速度を制御してβ−Ga単結晶25の肩広げ角度を調整してもよい。
【0049】
また、β−Ga単結晶25は、ノンドープのものに限定されず、例えばSi等のドーパントをドープしたものでもよく、アルミニウムやインジウム、あるいはハフニウム等の元素を固溶させたものでもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…単結晶製造装置、11…石英管、12…β−Ga融液、13…ルツボ、14…ダイ、14B…開口、14A…スリット、14B…開口、14C…幅広面、15…蓋、16…支持台、17…断熱材、18…高周波コイル、20…種結晶、21…種結晶保持具、22…シャフト、23…基部、24…脚部、25…β−Ga結晶、25a…肩部、25b…胴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EFG法によるβ−Ga結晶の成長時における双晶密度が許容値以下となるように、前記許容値が小さいほど種結晶の引き上げ方向に対する前記β−Ga結晶の肩広げ角度の目標値を大きく設定する第1ステップと、
前記第1ステップで設定した目標値の肩広げ角度で前記β−Ga結晶が成長するように結晶成長時における温度又は前記種結晶の引き上げ速度を制御して、前記β−Ga結晶を成長させる第2ステップとを有するβ−Ga結晶の製造方法。
【請求項2】
前記第2ステップにおいて、前記種結晶は、β−Ga融液を受容するルツボに立設されたスリットを有するダイの幅広面と(−201)面もしくは(101)面とが平行になるように固定され、前記種結晶をその[010]方向に引き上げることにより前記β−Ga結晶を成長させる請求項1に記載のβ−Ga結晶の製造方法。
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、前記種結晶は、β−Ga融液を受容するルツボに立設されたスリットを有するダイの幅広面と(310)面もしくは(3−10)面とが平行になるように固定され、前記種結晶をその[001]方向に引き上げることにより前記β−Ga結晶を成長させる請求項1に記載のβ−Ga結晶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103863(P2013−103863A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249890(P2011−249890)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【出願人】(000153236)株式会社光波 (98)
【Fターム(参考)】