説明

β−N−アセチルグルコサミニダーゼ阻害活性を有する化合物

【課題】殺虫・殺菌効果を示し、安全な農園芸用薬剤または食品添加物の原料として有用な新規化合物の提供。
【解決手段】下記式で示すN−trimethyl glucosamineにGlcNAc−(β1,4)−GlcNAc−(β1,4)−GlcNAcがα−1−4結合した化合物。


(Xは対アニオン、Dは水素Hまたは重水素Dを表す。)などで示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(以下、GlcNAcaseとも略称する)阻害活性を有する化合物、それを含有する殺虫・殺菌組成物、農薬、園芸資材、食品添加剤、および食品、ならびにβ−N−アセチルグルコサミニダーゼ阻害活性を有する化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昆虫の成育の過程における、昆虫に特有の生理現象の一つとして脱皮現象が挙げられる。その脱皮には表皮を構成するキチンの分解代謝が不可欠であり、その分解代謝に関与する酵素としてキチナーゼとβ−N−アセチルグルコサミニダーゼとが知られている。GlcNAcase阻害剤の探索研究はこれまでに幅広くなされており、既に多くの化合物が見出されている(例えば非特許文献1参照)。
上記2種の酵素に対する阻害作用物質がいくつか報告されているが、昆虫以外の生物種由来の酵素に対しても阻害するため、特異性がないと報告されてきた。
【非特許文献1】Pharmacol. Ther., 76, 287−218, (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、昆虫のβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを特異的に阻害する化合物を見出すことができれば、そのような化合物は害虫である昆虫の脱皮を阻害し、昆虫の成育を特異的に妨げることができるから、人畜に安全な有害昆虫の駆除剤を開発し得ることに着目した。したがって、当初の本発明の課題はそのような昆虫のβ−N−アセチルグルコサミニダーゼを特異的に阻害する化合物を見出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、極めて多数の種々の微生物、特にStreptomyces属、Actinomycete属、Paecilomyces属などに属する微生物、例えば、糸状菌、放線菌の培養物を広く探索した結果、培養物から式I
【化1】

(式I中、nは0〜5の整数、Xは対アニオンを表す。)
で示される4種類の化合物を4種類の混合物として単離することに成功した。また、式Iで示される化合物を重メタノール処理後、還元することによって、式(II−1)
【化2】

(式II−1中、nは0〜5の整数、Xは対アニオン、Rは水素Hまたは重水素Dを表す。)
および
式(II−2)
【化3】

(式II−2中、nは0〜5の整数、Xは対アニオン、Rは水素Hまたは重水素Dを表す。)
で示される化合物の製造に成功するとともに、これらの化合物が昆虫のβ−N−アセチルグルコサミニダーゼに対して特異的に優れた阻害作用を有することを知見した。本発明者らはまたこれらの化合物が人畜に対して低毒または無毒であることを見出した。
【0005】
さらに本発明者らは、これらの化合物が優れた殺菌作用を有することを見出した。またさらに本発明者らは、これらの化合物またはこれらの化合物を含有する組成物が、農園芸用薬剤、食品添加物として有用であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)式I
【化4】

(式I中、nは0〜5の整数、Xは対アニオンを表す。)
または、式II
【化5】

(式II中、nは0〜5の整数、Xは対アニオン、Rは水素Hまたは重水素Dを表す。)
で示される化合物、
(2)式I
【化6】

(式I中、nは0〜5の整数、Xは対アニオンを表す。)
または、式II
【化7】

(式II中、nは0〜5の整数、Xは対アニオン、Rは水素Hまたは重水素Dを表す。)
で示される化合物を含有する殺虫性または殺菌性組成物、
(3)農薬用または園芸用であることを特徴とする、上記(2)に記載の組成物、
(4)食品添加剤用であることを特徴とする、上記(2)に記載の組成物、
(5)上記(1)に記載の化合物を含有することを特徴とする食品、および
(6)上記(1)に記載の化合物を産生し得る微生物を培養し、その培養物から上記(1)に記載の化合物を取得することを特徴とする、上記(1)に記載の化合物の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化合物は、殺虫作用および殺菌作用を示し、農園芸用薬剤または食品添加剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の化合物は、上記式(I−1)、(I−2)、(I−3)、(I−4)、(II−1)、および(II−2)で表される。
上記式中、Xで表される対アニオンは、アニオンであればどのようなものでもよく、特に限定されないが、具体的には例えば、ハロゲン、水酸基、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、重硫酸イオン、シュウ酸イオン、酢酸イオン、蟻酸イオンなどの有機または無機のアニオンが挙げられ、好ましくは炭酸水素イオンである。
式Iで表される4種類の化合物はそれぞれ異性体であり、式(I−1)と(I−2)および式(I−3)と(I−4)は、還元末端の一位がアノマー(α,β)の関係にある。また、式(I−1)と(I−3)および式(I−2)と(I−4)は、還元末端のニ位がエピマーの関係であり、式(I−1)と(I−2)はグルコサミン型、式(I−3)と(I−4)はマンノサミン型になっている。これら4種類のいずれかの異性体およびその任意の混合物はすべて本発明に属するものとする。
【0009】
上記式Iの化合物は、例えば糸状菌または放線菌、例えばStreptomyces属、Actinomycete属、Paecilomyces属などに属する微生物、好ましくはStreptomyces anulatus種に属する微生物、さらに好ましくはStreptomyces anulatus NBRC13369株などの微生物を培養し、その培養物から式Iで表される化合物を取得することによって製造される。
上記微生物の培養は、自体公知の方法に従って行われる。培養に使用される培地は、例えば炭素源、窒素源、無機塩等を含む通常の栄養培地を用いて培養を行うことができる。炭素源としては、例えばグルコース、廃糖蜜等を用いることができるが、上記Streptomyces anulatus NBRC13369株を培養する場合には、炭素源としてキチン、好ましくはコロイド状のキチンを加えることが好ましい。窒素源としては、例えばアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等をそれぞれ単独もしくは混合して用いることができる。また、無機塩として、例えばリン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム等を使用することができる。この他にも必要に応じて、寒天、アミノ酸、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、カザミノ酸、ビオチン、チアミン等の各種ビタミン等の栄養素を培地に適宜添加することもできるが、上記Streptomyces anulatus NBRC13369株を培養する場合には、富栄養培地では式Iで示される化合物を生産しないこともあるので、適宜培地を選択する必要がある。
【0010】
培養は、通常、通気攪拌、振盪等の好気的条件下または嫌気的条件下、約20℃〜約40℃、好ましくは約25℃〜約40℃の温度で行うことができる。培養時のpHは4〜10、好ましくは5〜8付近の範囲がよく、培養中のpH調整は酸またはアルカリを添加することにより行うことができる。また、培養期間は好ましくは半日〜20日間である。
培養後、培養液をろ過または遠心分離によって、菌体と培養ろ液を分別する。
得られたろ液を例えば、クロマトグラフィーまたは溶媒抽出などの精製手段に付する。精製手段は、公知の手段であってよく、例えば、活性炭カラムクロマトグラフィー、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、Sephadex LH−20カラムクロマトグラフィー、Aspipak ES 502Cカラムクロマトグラフィーなどが好ましい例として挙げられる。クロマトグラフィーによって得られる全画分を、生物活性を指標としてスクリーニングする。生物活性としては、GlcNAcase酵素阻害試験による酵素阻害率を指標とする。例えば、そのような酵素阻害試験として、(A)ハスモンヨトウ蛹GlcNAcase阻害試験、(B)子牛腎臓GlcNAcase阻害試験、(C)ヒト胎盤GlcNAcase阻害試験および (D) Aspergillus oryzae GlcNAcase阻害試験が挙げられる。例えば(A)試験に陽性である画分は脱皮する昆虫の成育を阻害する化合物が含まれていることを意味し、そのような阻害作用を示す化合物は脱皮する害虫昆虫の駆除剤として有用である。その他の(B)および(C)試験に陰性である画分は、人畜のGlcNAcaseに対して無害であることを示す。(D)試験に陽性である画分は、芝草の病原菌に抗菌作用を示すことを意味する。したがって、(A)または(D)試験に陽性であり、かつ(B)および(C)試験に陰性である画分は、有害昆虫または有害菌に対して殺虫または殺菌作用を示し、有益動物に安全である化合物を含み得ることを意味するから、このような化合物を含む画分を集める。
【0011】
さらにこのようにして集められた画分を、例えば、転溶、濃縮、クロマトグラフィー、結晶化、再結晶、蒸留などの精製手段に付して、目的とする例えば、ハスモンヨトウなどの脱皮する農園芸害虫または衛生害虫や植物病原菌の成育を阻害し、他の有用動物に無害な式Iで表される化合物式(I−1)、式(I−2)、式(I−3)、および式(I−4)を得ることができる。またこのようにして得られる式Iで表される化合物は例えば芝草の病原菌に対して優れた抗菌効果を示す。これらの化合物は殺菌作用を示し、人畜のGlcNAcaseに対して活性を示さない、すなわち人畜に対しては無害であるから、例えば農園芸用の殺虫または殺菌剤や食品添加剤として有用である。またさらに、式Iの化合物を還元することによって、式IIで示される化合物式(II−1)および式(II−2)を得ることができ、これら式IIで表される化合物は、式Iで表される化合物と同様な生物活性を示す。これら式中のnとしては0〜5で表されるが、n=2が好ましい。下記する実施例において、n=2である化合物が取得されているが、培養条件、培養物からの活性物質の単離条件によっては、n=2以外の化合物も取得され得る。また、取得された化合物を酵素または酸を使用する公知の加水分解手段に付することによって、培養液中の生成される化合物のnの値よりもnの値がより小さい化合物も取得することができる。
式Iの化合物の還元は、自体公知の方法により行われ得る。例えば、白金触媒、パラジウム触媒などを触媒として用いる接触還元、例えば水素化ホウ素ナトリウム(SBH)、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤を使用する還元など常套の還元手段が便宜に採用され得る。
【0012】
本発明の化合物またはその塩は、安全性に優れた農薬、例えば、殺虫剤または殺菌剤として使用することができる。特に、哺乳動物や魚介類に対して低毒性で、環境を汚染することもなく、水田、畑、果樹園あるいは非農耕地用の殺虫剤または殺菌剤として極めて安全に使用することができる。
【0013】
本発明の化合物またはその塩を農薬、特に、殺虫剤または殺菌剤として使用するにあたっては、一般の農薬のとりうる形態、すなわち、化合物またはその塩の1種または2種以上を使用目的によって適当な液体担体に溶解するか分散させるか、または適当な固体担体と混合するか吸着させ、例えば乳剤、油剤、噴霧剤、水和剤、粉剤、DL(ドリフトレス)型粉剤、粒剤、微粒剤、微粒剤F、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、ジャンボ粒剤、錠剤等の製剤として使用する。これらの製剤は必要に応じて、例えば乳化剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、粘漿剤、安定剤等を添加してもよく、自体公知の方法で調製することができる。
【0014】
本発明組成物は、例えば上記式Iまたは式IIで表される化合物のいずれか1以上の有効成分を製剤の種類に応じて適当な不活性な液体または固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、分散剤又は補助剤等を配合して、上記の製剤を製造する。ここで好適な担体としては、例えば、タルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ひる石、酸性白土、滑石粉、ロウ石粉、珪藻土、雲母粉、アルミナ、硫黄粉末、活性炭、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素、タバコ粉、木粉等の固体担体、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン、脂肪酸エステル、植物油、鉱物油、動物油、水等の液体担体が挙げられる。これらの担体は1種または2種以上を適当な割合で混合して製剤製造のために使用される。
【0015】
界面活性剤及び分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシンエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネート等が挙げられる。
補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングルコール、縮合リン酸塩等が挙げられる。
本発明の農園芸用製剤は、上記の成分を混合することにより製造される。これらの製剤は、適宜な濃度に希釈して散布されるか、又は、直接施用される。
【0016】
本発明の組成物は、具体的には、例えば下記のような害虫の防除に適用できる。すなわち、イネクロカメムシ(Scotinophara lurida)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、ダイズアブラムシ(Aphis glycines)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、チャノミドリヒメヨコバイ(Empoasca onukii)、クワコナカイガラムシ(Pseudococus comstocki)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、コナガ(Plutella xylostella)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)、ニカメイガ(Chilo supppressalis)、タマナギンウワバ(Autographa nigrisigna)、タバコガ(Helicoverpa assulta)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワームの仲間(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシの仲間(Agriotes spp.)、イエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex popiens pallens)、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴメセンチュウ(Nothotylenchus acris)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、タイワンシロアリ(Odontotermes formosanus)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus)等の害虫の防除に特に有効である。
【0017】
また、本発明の化合物は芝草の病原菌に抗菌作用を示すので、該菌が原因となって生じる芝草に見られる病気、例えばヘルミントスポリウム、フェアリーリング、ダラースポット、ピシウム、ブラウンパッチ、サビ病、イエローパッチなどの治療・予防に有効である。
【0018】
例えば、播種または植え付け前の土壌に散布する場合は、10a(アール)当たりの本発明の製剤を、0.8kgから30kg程度として、播種または植え付けの当日から30日程度前に散布すればよい。また、作物が成育中の土壌に対しては、10a当たりの本発明の製剤の量を1kgから50kg程度として、10〜20日間隔で散布すればよい。
【0019】
本発明の化合物は人畜無害であり、優れた殺菌効果を示すから食品添加剤として有用であり、食品に添加され、食品の保存期間を顕著に延長することができる。式Iまたは式IIで示される化合物のいずれか1以上を直接食品に添加してもよいし、上記化合物を適当な希釈剤で希釈して食品に添加してもよい。本発明の化合物が添加される食品としては、例えば冷凍すり身、蒲鉾、竹輪、さつま揚げ、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品、ハム、ソーセージ等の畜肉製品、緑茶、ウーロン茶、麦茶、混合茶(ブレンドティー)、コーヒー、コーヒー乳飲料、カフェオーレ、紅茶、ミルクティー、ココア、ミルクココア、ミルクセーキ、汁粉等の低酸性飲料、果汁やフレーバー、機能性素材等を含んだ機能性飲料、スポーツ飲料、栄養補給飲料等の酸性飲料、ポテトサラダ、マカロニサラダ、餃子、シュウマイ、厚焼き玉子、和え物、煮物等の惣菜類、浅漬け等の漬物類、米飯・おかゆ類、豆腐・厚揚げ類、生麺、茹で麺、蒸し麺等の麺類、小豆餡、いも餡、栗餡等の餡類、フラワーペースト、カスタードクリーム等のクリーム類、ハンバーグ、肉団子等の挽肉加工品、ネギトロ、タタキ等の魚肉加工品、カレードーナッツ、中華饅頭(肉まん)等の芯部具材類、親子丼、牛丼、カツ丼等の丼物などが挙げられる。
【実施例】
【0020】
本発明の式(I−1)、式(I−2)、式(I−3)、および式(I−4)、または式(II−1)および式(II−2)で示される化合物でn=2となる化合物について、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明の実施例で採用された酵素阻害試験方法は下記の通りである。以下に記載する%は、(w/w)%である。
【0021】
〔試験例1〕
酵素阻害試験方法
(イ)ハスモンヨトウ蛹GlcNAcase阻害試験法
最初に、ハスモンヨトウ蛹GlcNAcas酵素溶液を、”K.Kawazu,S.Ohnishi, H.Kanzaki and A.Kobayashi: Z.Naturforsch.51c,738−742(1996)”に記載の方法に従って調製した。具体的には次の通りである。
ハスモンヨトウ蛹50gを、0.01%フェニルチオウレア(PTU)を含む14.3mMクエン酸/リン酸/ホウ酸緩衝液(pH7.0)50mL中で摩砕し、ろ過した。ろ液を20,000g、4℃で30分間遠心分離し、その上清をさらに100,000g、4℃で60分間超遠心分離した。その上清に硫酸アンモニウムを60%飽和となるように徐々に添加し、4℃で1時間撹拌した。その液を20,000g、4℃で15分間遠心分離し、その上清を4℃で透析した。この際の透析外液は0.01%PTUを含む14.3mMクエン酸/リン酸/ホウ酸緩衝液(pH7.0)2Lであった。その透析内液をさらに上記と同じ条件で透析し、得られた透析内液を20,000g、4℃で15分間遠心分離し、その上清をハスモンヨトウ蛹GlcNAcas酵素溶液とした。
また、緩衝液として、643mMクエン酸/リン酸/ホウ酸緩衝液(pH6.0) 24μL、基質として、5mM p−ニトロフェニル N−アセチル−β−D−グルコサミニド水溶液16μL、試験試料水溶液として80μL、あるいは対照区として試験試料を含まない水を含む溶液80μLを加えた混合液に、上記の通りハスモンヨトウ蛹より調製したGlcNAcase酵素溶液の14.3mMクエン酸/リン酸/ホウ酸緩衝液(pH6.0)希釈溶液を40μL添加し、よく撹拌後、37℃、60分間反応させた。反応終了後、1.3M水酸化ナトリウム水溶液100μLを添加し、よく撹拌後、直ちに分光光度計により415nmにおける吸光度(a)を測定した。同時に、試験試料を含まない対照区の吸光度(b)を測定した。ここで、対照区へのGlcNAcase酵素溶液の添加量は415nmにおける吸光度(b)が0.500となるような量とした。GlcNAcase阻害率(%)は、[1−(a)/(b)]×100により計算した。
【0022】
(ロ)子牛腎臓GlcNAcase阻害試験法
(イ)の方法に準じて、緩衝液および酵素溶液を以下のように変更した。即ち、GlcNAcase酵素溶液としてbovine kidney 由来β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(SIGMA社)を、緩衝液として0.025%のBSAと250mMのNaClを含む250mMクエン酸緩衝液(pH5.0)を用いた。他の条件は(イ)に同じである。
【0023】
(ハ)ヒト胎盤GlcNAcase阻害試験法
(イ)の方法に準じて、緩衝液および酵素溶液を以下のように変更した。即ち、GlcNAcase酵素溶液としてヒト胎盤由来β-N−アセチルグルコサミニダーゼ(SIGMA社)を、緩衝液として0.025%のBSAと250mMのNaClを含む250mMクエン酸緩衝液(pH4.3)を用いた。他の条件は(イ)に同じである。
【0024】
(ニ)Penicillium oxalicum GlcNAcase阻害試験法
(イ)の方法に準じて、緩衝液および酵素溶液を以下のように変更した。即ち、GlcNAcase酵素溶液としてPenicillium oxalicum由来β-N−アセチルヘキソサミニダーゼ(生化学工業社)を、緩衝液として250mMクエン酸緩衝液(pH4.5)を用いた。他の条件は(イ)に同じである。
【0025】
(ホ)Aspergillus oryzae GlcNAcase阻害試験法
(イ)の方法に準じて、緩衝液および酵素溶液を以下のように変更した。即ち、GlcNAcase酵素溶液としてAspergillus oryzae由来β-N−アセチルヘキソサミニダーゼ(SIGMA社)を、緩衝液として0.025%のBSAと250mMのNaClを含む250mMクエン酸緩衝液(pH5.0)を用いた。他の条件は(イ)に同じである。
【0026】
(ヘ)タチナタ豆(Jack bean) GlcNAcase阻害試験法
(イ)の方法に準じて、緩衝液および酵素溶液を以下のように変更した。即ち、GlcNAcase酵素溶液としてJack bean由来β-N−アセチルグルコサミニダーゼ(SIGMA社)を、緩衝液として、0.025%のBSAと250mMのNaClを含む250mMクエン酸緩衝液(pH5.0)を用いた。他の条件は(イ)に同じである。
【0027】
表1〜3にこれらの6種類の酵素阻害試験法をまとめる。
【表1】

【表2】

【表3】

【0028】
〔実施例1〕
スクリーニング
糸状菌916菌株、放線菌39菌株を任意に集め、適宜の培地、培養条件にて培養し、その培養物(培養ろ液、または、培養物の有機溶媒抽出物;有機溶媒としてアセトン/メタノール混合溶媒(1:1、v/v)またはn−ブタノールを使用)を、酵素阻害試験に供した。一次スクリーニングとして、昆虫ハスモンヨトウ蛹由来のGlcNAcaseを阻害する試料を選抜した。次に、これらの活性試料を、ほ乳類である子牛腎臓由来β-N−acetylglucosaminidase(GlcNAcase)阻害試験に供し、本酵素を阻害しない試料を選抜した。このようなスクリーニング系により、昆虫のGlcNAcaseを特異的に阻害する活性菌株、Streptomyces anulatus NBRC13369株(研究用に購入した株)を見出した。
【0029】
〔実施例2〕
活性物質の発酵生産
全ての培地は、使用前に120℃、20分間の滅菌操作を行った。
(i)菌株保存培地
菌株保存培地として、L−Asparagine 1g、Glycerol 10g、 KHPO1g、蒸留水1L、FeSO・7HO 0.001g、MnCl・4HO 0.001g、ZnSO・7HO 0.001g、寒天20gからなる培地を用いた。なお、滅菌前の培地はpH7.2に調整した。
(ii)発酵生産
Streptomyces anulatus NBRC13369株保存スラントの一白金耳を、glucose10g、NZ Amine typeA 2.0g(和光純薬工業株式会社製)、yeast extract 1.0 g(ナカライ社製)、beaf
extract 1.0g(DIFCO社製)、蒸留水1Lよりなる液体培地10mL(pH7.0)に接種し、28℃、300strokes/minにて二日間往復振盪培養し、種培養とした。次いで、生産培地として、コロイダルキチン5.0g、NZ Amine typeA 2.0g(和光純薬工業株式会社製)、yeast extract 1.0g(ナカライ社製)、beaf extract 1.0g(DIFCO社製)、蒸留水1Lからなる培地を1L坂口フラスコに300mLずつ分注し、前記種培地全量を添加し、28℃、123strokes/minの条件下で14日間培養した。培養終了後、培養液6.9Lをろ過し、菌体と培養ろ液に分別した。
【0030】
なお、上記コロイダルキチン(コロイド状のキチン)は、”Improved bioassay method for Spodoptera litura chitinase inhibitors using acolloidal chitin powder with a uniform particle size as substrate. T. Nitoda, H, Kurumatani,H. Kanzaki, and K. Kawazu, Pesticide Science, Vol. 55, 563−565”に記載の方法に、多少の改良を加えて、次の通り調製した。すなわち、キチン粉末(和光純薬、1級、Lot.0796)2.5gを、冷却(氷中、寒剤)した35%塩酸100mLにスターラーで撹拌しながら、4〜5分かけて少量ずつ添加した。さらに、その液をスターラーで10分間撹拌し、氷中から出して撹拌しながら室温まで加温した。またさらに、その液を30℃で60分間、スターラーで撹拌し、吸引ろ過(SHIBATA3G3ガラスフィルター、ポアサイズ40〜100μm)した。そのろ液を脱塩水(2℃)1Lにスターラーで撹拌しながら注ぎ、4℃で一晩静置した。デカンテーションで上清を除去(容量300mL程度)した後、0.5N水酸化ナトリウムで氷中pH7.0になるよう中和し、吸引ろ過(SHIBATA25GP100ガラスフィルター、ポアサイズ40〜100μm)した。その残渣をかき集めて水道水に懸濁し、スターラーで3分間撹拌し、水道水(流水、室温)で一晩透析(Viskase Companies,Inc.36/32(φ27mm))した。さらに、脱塩水2Lを外液として4℃で3時間透析し、またさらに脱塩水2Lを外液として4℃で一晩透析した。その後、透析内液を、13,000rpmで10分間遠心分離(RPR20−2)することにより、キチンを回収した。回収キチンを18時間凍結乾燥し、コロイダルキチン粉末1.448gを得た。
【0031】
〔実施例3〕
活性物質の単離
(i)活性炭カラム
前記培養ろ液のうち5.5Lを、カラムクロマトグラフ用活性炭素(ナカライ社製)のカラム(6.5×33cm)に供し、1.1Lの脱塩水で洗浄後、0.01%のHClを含む30%アセトン2.5Lで有効成分を溶出し、阻害活性を示す画分を減圧濃縮してアセトンを留去し、1.4Lの水溶液を得た。この水溶液の一部を凍結乾燥したところ、この水溶液中の粗活性物質の総重量は4.7gと算出された(茶褐色吸湿性)。
(ii)陽イオン交換カラムおよび活性炭カラム(脱塩)
上記粗活性物質が溶解した水溶液全量(1.4L)を、Amberlite CG−50(H型)のカラム(6.5×31cm)に供し、2Lの脱塩水で洗浄後、0.1MのNaCl水溶液で有効成分を溶出し、阻害活性を示す画分を合一した。この合一画分を、カラムクロマトグラフ用活性炭素(ナカライ社製)のカラム(3.4×11cm)に供し、400mLの脱塩水で洗浄後、0.01%のHClを含む30%アセトン500mLで有効成分を溶出し、阻害活性を示す画分を減圧濃縮してアセトンを留去し、75mLの水溶液を得た。この水溶液全量を凍結乾燥し、茶褐色吸湿性の粗活性物質215mgを得た。
(iii)Sephadex LH−20カラム
上記粗活性物質全量(215mg)を、少量のメタノールに溶解し、あらかじめメタノールで平衡化したSephadex LH−20(ファルマシア社製)のカラム(1.0×50cm)に供し、メタノールで展開して阻害活性を示す画分を濃縮乾固し、茶褐色吸湿性の粗活性物質97.8mgを得た。
(iv)Asahipak ES 502C HPLC
上記粗活性物質全量(97.8mg)を860mLの水に溶解し、12回に分けて以下のカラムクロマトグラフィーに供した。即ち、あらかじめ7.5mM炭酸アンモニウム水溶液で平衡化した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用カラム(Shodex社製、Asahipak ES 502C 7C、7.6×100mm、流速0.8mL/ min)に、上記水溶液約70μLを供し、7.5mM炭酸アンモニウム水溶液で有効成分を溶出し、阻害活性を示す画分を凍結乾燥に供する事で、純粋な活性物質を白色粉末として40mg(分子式:C335920、分子量:831 FAB−MS(positive)m/z 831 (M))得た。この化合物を、以下活性物質Aと称する。
【0032】
〔試験例2〕
活性物質Aの構造解析
活性物質Aは、式(I−1)、式(I−2)、式(I−3)、および式(I−4)で示され、n=2である少なくとも4種類の異性体の平衡混合物である。以下に、構造解析に関する情報を示す。
(i)活性物質Aの糖組成分析
活性物質A(20μg)をメタノール分解に供し、その分解産物をN−アセチル化後、TMS誘導体化した。これをGC−FID分析に供したところ、1分子の活性物質Aから、約2分子のGlcNAc(N−アセチルグルコサミン)が検出された。よって、活性物質Aの構成糖として、GlcNAcの存在が明らかとなった。
(ii)活性物質Aの還元末端分析(ピリジルアミノ化)
活性物質Aを還元的ピリジルアミノ化(PA化)反応に供し、還元末端をPA化したPA化活性物質Aを調製した。これを酸加水分解し、N−アセチル化後、順相HPLC、逆相HPLC分析に供した。その結果、PA−GlcNAcが同定された。よって、活性物質Aの還元末端の糖残基をGlcNAcと同定した。
(iii)活性物質AのNMR分析
36mgの活性物質Aを750μlのCDOD(Dは重水素)に溶解し、30℃、 2日間のNMR分析に供したが、与えるスペクトルが非常に複雑であり、以下の情報が得られたのみであった。
(1) 3つのN−アセチル基が存在する。
(2) アノメリックプロトンが4種類存在することから考えて、重合度4のオリゴ糖である。
興味深いことに、本実験終了後の活性物質AをFAB−MS分析に供したところ、その分子量はm/z 832 [M]と観測された。つまり、分子量が1増加した。NMR測定溶媒にCDODを用いている事実から考えて、活性物質Aの一つのプロトンが重水素で置換されている可能性が強く示唆された。
次に、活性物質Aが還元性のオリゴ糖である事実から、これをSBH還元に供し、対応するアルジトール体を調製して、構造解析を進めた。なお、以降の構造解析実験には、重水素化された活性物質A(分子量832)を用いている。
【0033】
〔実施例4〕
活性物質Aアルジトール体の調製
5.18mgの活性物質AをSBH還元に供し、その反応物を活性炭カラムにて粗精製後、陽イオン交換HPLC、グラファイトカーボンHPLCにて順次精製したところ、対応するアルジトール体と考えられる2種類の化合物、活性物質A−1−ol(0.86mg)、および、活性物質A−2−ol(2.88mg)が得られた。つまり、活性物質Aは2種類の還元体を与える。よって、インタクトな活性物質Aは少なくとも4種類の異性体の平衡混合物であり、この平衡が還元反応により止まり、2種類の還元物を与えたものであると考えられる。
【0034】
(i)活性物質A−1−olおよび活性物質A−2−olの糖組成分析およびアルジトール部分の同定
40μgの活性物質A−1−ol、40μgの活性物質A−2−olをそれぞれメタノール分解に供し、その分解産物をN−アセチル化後、TMS化し、これをGC−FID分析に供した。その結果、活性物質A−1−olからは、GlcNAc(N−アセチルグルコサミン)およびManNAc(N−アセチルマンノサミン)アルジトールが2:1の比率で検出された。一方、活性物質A−2−olからは、GlcNAcおよびManNAcアルジトールが1:1の比率で検出された。よって、これらの2種類のアルジトール体は、還元末端由来のアルジトール部分の構造が異なっている事実が判明した。さらに、検出されたGlcNAcの比率がこれらの2種類のアルジトール間において異なる事実から考えて、グリコシド結合の安定性も異なる可能性が強く示唆された。
【0035】
(ii)活性物質A−2−olのMS分析
これら2種類のアルジトール体のうち、量的に多い活性物質A−2−olをLR−FAB MS、HR−FAB MS分析に供し、以下の結果を得た。
活性物質A−2−ol;LR−FAB MS m/z 834 [M],HR−FAB MS calcd for C336020 [M] 834.3942,found 834.3962
つまり、活性物質Aの1重水素置換体のアルジトール体に一致する分子量および組成式が得られた。
次に、活性物質A−2−olのNMR解析を行った。
【0036】
(iii)活性物質A−2−olのNMR解析
活性物質A−2−ol、2mgをCDOD、DO中にて各種NMR測定に供し、以下の構造式を得た。
【化8】

つまり、活性物質A−2−olは、N−trimethyl glucosamineにGlcNAc−(β1,4)−GlcNAc−(β1,4)−GlcNAcがα−1−4結合した化合物の還元体であり、さらに、そのアルジトール部分の2位のメチンプロトンは重水素で置換されている事実が判明した。
【0037】
(iv)活性物質A−1−olのNMR解析
次に、量的に少ない活性物質A−1−ol、0.7mgをDO中にて各種NMR測定に供し、以下の構造式
【化9】

を得た。
つまり、活性物質A−1−olは、N−triMe−glucosamineにGlcNAc−(β1,4)−GlcNAc−(β1,4)−ManNAcがα−1−4結合した化合物の還元体であり、さらに、そのManNAcアルジトール部分の2位のメチンプロトンは重水素で置換されている事実が判明した。
【0038】
次に上記解析の流れを示す。
【化10】

【0039】
活性物質Aは、以下の3点から非常に興味深い新規化合物である。
(1)N−triMe−glucosamine残基を含むオリゴ糖として、天然から初めて単離された化合物である。
(2)異常糖部分であるN−triMe−glucosamine自体が、これまでに天然から報告された例はない。
(3)還元末端のN−acetylglucosamine部分が自然条件下で異性化し得ることを実証した初めての例である。
【0040】
〔試験例3〕
活性物質Aの酵素阻害活性
重水素置換が生じていない、インタクトな活性物質Aを用いて、各種生物種由来GlcNAcaseに対する酵素阻害活性の有無を判定した。対照化合物として放線菌Streptomyce amakusaensisが生産するnagstatinを用いた。酵素阻害試験方法は試験例1の方法と同じである。
表4に測定結果を示す。表4から明らかなように、活性物質Aは昆虫、糸状菌由来のGlcNAcaseを特異的に阻害するのに対し、既知のGlcNAcase阻害剤であるnagstatinは、昆虫、糸状菌、ほ乳類、植物由来のGlcNAcaseを広く阻害する傾向を示した。このような狭い阻害特異性をしめすGlcNAcase阻害剤はこれまでに報告がないため、活性物質Aは、その構造、生理活性の両面で新規化合物であるといえる。
【表4】

【0041】
〔試験例4〕
活性物質A−1−olおよび活性物質A−2−olの酵素阻害活性
試験例3と同様にして、活性物質A−1−olおよび活性物質A−2−olの酵素阻害活性のハスモンヨトウ蛹GlcNAcaseに対する阻害活性を測定して、表5にその結果を示す。
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、殺虫作用および殺菌作用を示し、安全な農園芸用薬剤または食品添加剤の原料として有用な新規化合物を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式I中、nは0〜5の整数、Xは対アニオンを表す。)
または、式II
【化2】

(式II中、nは0〜5の整数、Xは対アニオン、Rは水素Hまたは重水素Dを表す。)
で示される化合物。
【請求項2】
式I
【化3】

(式I中、nは0〜5の整数、Xは対アニオンを表す。)
または、式II
【化4】

(式II中、nは0〜5の整数、Xは対アニオン、Rは水素Hまたは重水素Dを表す。)
で示される化合物を含有する殺虫性または殺菌性組成物。
【請求項3】
農薬用または園芸用であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
食品添加剤用であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物を含有することを特徴とする食品。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を産生し得る微生物を培養し、その培養物から請求項1に記載の化合物を取得することを特徴とする、請求項1に記載の化合物の製造方法。

【公開番号】特開2007−161690(P2007−161690A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364111(P2005−364111)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り Pacifichem2005、[online]、平成17年7月22日発表、インターネット<URL:http://pacifichem.abstractcentral.com/>
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】