説明

β遮断薬を含む小児用溶液

本発明は、β遮断薬とノンシュガータイプの甘味料とを含み、芳香族系防腐剤を実質的に含まないアルコール不含水溶液に関する。本発明の溶液は、小児科的使用に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的溶液、特に、プロプラノロールなどのβ遮断薬又は薬学的に許容されるその塩を含む小児用溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
子供の幼児毛細血管腫(IH)は、一般に皮膚や肝臓に認められ、1歳未満の子供の4〜10%に見られる最も一般的な軟部組織腫瘍である。一般的なIHは、増殖期の間に、潰瘍又は出血などの局所合併症の原因となることがまれで、良性で自然治癒する経過をたどるにもかかわらず、しかしながら場合によっては、特に上気道と眼窩部に存在する場合には、それぞれ生体機能又は感覚機能を障害することがある。
IHの増殖と退縮の理解はまだ問題として残っているが、経口コルチコステロイド、ビンクリスチン又はインターフェロンα−1a及び2bに代わる治療が発見されたことにより、若年患者において副作用を強いるのを避けることができる。患者が幼児又は小さい子供であるため、治療に対する患者の耐用性が最も重要である。
【0003】
“Propranolol for severe hemangiomas of infancy”(N. Engl. J. Chem. (2008) 358; 24:2649-51)においてC. Leaute-Labreze et al.により報告されたように、IHの増殖の制御に、及びIHの増殖の治療にも、β遮断薬(たとえば、プロプラノロール)を効果的に用いることができることが観察され、証明された。
プロプラノロール、すなわち(1−(イソプロピルアミノ)−3−(ナフタレン−1−イルオキシ)プロパン−2−オール)は、いくつかの刊行物、たとえば、Villain et al.(“Low incidence of cardiac events with beta-blocking therapy in children with long QT syndrome”Eur. Heart J. (2004) 25: 1405-11)、Fritz et al.(“Effect of beta-blockade on symptomatic dexamethazone-induced hypertrophic obstructive cardiomyopathy in premature infants: three case reports and literature review”J.Perinatol. (1998) 18: 38-44)、及びKilian K.(“Hypertension in neonates causes and treatments” J. Perinat Neonatal Nurs. (2003) 17:64-74)により開示されているように、心臓病学的適応症のために幼児で一般的に用いられ、十分に耐用性がある非選択的β遮断薬である。
【0004】
【化1】

【0005】
プロプラノロールは、特に、Syprol(登録商標)製品、Avlocardyl(登録商標)製品又はRoxane Laboratoriesの飲用溶液の形で様々に製剤化されて市販されている。しかしながら、既存の溶液は、小児への使用に適していない。たとえば、Roxane Laboratoriesの溶液は、若年患者において特に毒性のあるアルコール(0.6%)を含んでいる。
プロプラノロールを含むいくつかの水溶液が既に開示されている。FR 2688405 A1では、たとえば、プロプラノロールのようなβ遮断薬を経口送達するための持続放出製剤が多糖類とともに調製されており、これは、パラベンのような防腐剤をさらに含んでいる。US 4,600,708 A1には、レシチンを含む塩酸プロプラノロールの液体治療投薬製剤が開示されており、開示された実施例の全てに、メチルパラベンやプロピルパラベンが含まれている。EP 732064 A1は、ポリカルボン酸塩とともにモノグリセリド又はジグリセリドのエステルを含む苦み緩和剤に関するものである。これは、液体溶液中の塩酸プロプラノロールをマスクするために用いられるが、ブチルパラベン賦形剤も包含する。このような防腐剤は、小児への使用に適していない。
【0006】
プロプラノロールの即席溶液も知られている。これらは、粉砕したプロプラノロール錠をパラベン又は芳香族タイプ防腐剤のような防腐剤とともに水溶液に溶解させることにより調製された。実際、“Extemporaneous formulations of Oral Liquids, a guide”の中でD.Woodsが報告している通り、その使用は通常推奨される。プロプラノロールを経口投与するための他の既知の即席溶液は、ショ糖ビヒクルをベースにしたシロップタイプであるが、これは、小児患者に適合し得ない。このようなシロップは、たとえば、“Formulation in Pharmacy Practice”第2版(www.pharminfotech.co.nz)において、又はV. Das Guptaにより“Stability of Propranolol Hydrochloride Suspension and solution compounded from injection or tablets”(Am. J. of Hospital Pharmacy (1987) 44: 360-361)において示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】FR 2688405 A1
【特許文献2】US 4,600,708 A1
【特許文献3】EP 732064 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、多くのβ遮断薬製剤が既に当該技術分野で存在するものの、これらの製剤は、3歳までの若年患者では注意深く評価する必要があるアルコール系賦形剤又は芳香族系防腐剤(たとえば、ベンジルアルコール)を含むので、これらの中に小児患者に好適なものはない。さらに、安息香酸、安息香酸ナトリウム及び安息香酸カリウムによって、新生児における黄疸のリスクが増大し得ることも立証されている。同様に、エタノールも除外すべきである。したがって、代謝が未成熟であることから、新生児や年少幼児には芳香族系防腐剤やアルコール系賦形剤を投与してはいけないので、β遮断薬の小児用投与のための安全かつ好適な組成物又は製剤を提供する必要性が常に存在してきた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、本発明は、β遮断薬、ノンシュガータイプの甘味料を含み、芳香族系防腐剤を実質的に含まないエチルアルコール不含水溶液に関する。
一実施形態によれば、少なくとも1種のノンシュガータイプの甘味料は、サッカリン、サッカリン塩、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、スクラロース、アセトスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビオール、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、アリターム、ミラクリン、モネリン、ソーマチン、及びそれらの混合物から選択され、たとえば、サッカリンナトリウムから選択される。
一実施形態によれば、ノンシュガータイプの甘味料は0.05〜0.5%w/Vの量である。
【0010】
一実施形態によれば、少なくとも1種のβ遮断薬は、非選択的β遮断薬から、たとえば、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、レボブノロール、メドロキサロール、メピンドロール、メチプラノロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、薬学的に許容されるそれらの塩、及びたとえば、プロプラノロール又は薬学的に許容されるその塩から選択される。
一実施形態によれば、β遮断薬は、0.01〜5%w/V、たとえば0.01〜1%w/Vの量で存在する。
【0011】
一実施形態によれば、水溶液は、少なくとも1種の香味料及び/又は少なくとも1種の粘度増加剤をさらに含む。
一実施形態によれば、少なくとも1種の非芳香族系防腐剤は、クロロブタノール、プロピオン酸又は薬学的に許容されるそれらの塩、ソルビン酸又は薬学的に許容されるその塩、及びそれらの混合物から、たとえば0〜1%w/V、0.01〜0.1%w/V、そしてたとえば0〜0.5%w/Vの量で選択される。
一実施形態によれば、少なくとも1種の香味料は、サクランボ香料、レモン香料、ライム香料、マンダリン香料、オレンジ香料、タンジェリン香料、ミント香料、イチゴ香料、バナナ香料、キャラメル香料、甘草香料、パッションフルーツ香料、ピーチ香料、ラズベリー香料、トゥッティフルッティ香料、グレープフルーツ香料、バニラ香料、クリーム香料、チョコレート香料、ブドウ香料又はそれらの混合物のいずれかから選択され、たとえば、バニラ香料及びイチゴ香料から選択され、その量はたとえば0〜5%w/V、たとえば0.01〜1%w/V、たとえば0.01〜0.5%w/V、そしてたとえば0.05〜0.5%w/Vの量である。
【0012】
一実施形態によれば、香料は、0.01〜0.5%w/Vの量のバニラである。
一実施形態によれば、少なくとも1種の粘度増加剤は、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はメチルセルロース、ポロキサマーから、ガム、グアーガム、トラガカントガム、アカシアガム、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸誘導体、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンから、ケイ酸塩、ベントナイト、ラポナイト、ビーガムから、及び特に非イオン性ポロキサマー、ポリビニルピロリドン及びセルロースエーテル、たとえば、ヒドロキシエチルセルロースから選択され、その量はたとえば0〜15%w/V、たとえば0.1〜10%w/V、たとえば0.1〜5%w/V、そしてたとえば0.1〜0.5%w/Vである。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、非アルコール系水溶液、たとえば、β遮断薬、ノンシュガータイプの甘味料、香味料、最大1%w/Vの非芳香族系防腐剤及び任意成分としての粘度増加剤を含むエチルアルコール不含溶液に関する。
一実施形態によれば、β遮断薬の量は0.01〜20%w/V、たとえば0.05〜10%w/V、たとえば0.01〜5%w/V、たとえば0.01〜1%w/V、0.1〜5%w/V、そしてたとえば0.1〜1%w/Vであり、少なくとも非芳香族系防腐剤の量は0〜1%w/V、たとえば0.01〜0.1%w/V、そしてたとえば0〜0.5%w/Vであり、少なくとも1種のノンシュガータイプの甘味料の量は0.01〜5%w/V、たとえば0.05〜1%w/V、たとえば0.05〜0.5%w/V、そしてたとえば、0.05〜0.2%w/Vであり、少なくとも1種の香味料の量は0〜5%w/V、たとえば0.05〜1%w/V、そしてたとえば0.05〜0.5%w/Vであり、少なくとも1種の粘度増加剤の量は0〜15%w/V、たとえば0.1〜10%w/V、たとえば0.1〜5%w/V、そしてたとえば0.1〜0.5%w/Vである。
【0014】
一実施形態によれば、β遮断薬は、0.428%又は0.57%w/Vの量の塩酸プロプラノロールであり、少なくとも1種の甘味料は、0.15%w/Vの量のサッカリンナトリウムであり、少なくとも1種の香味料は、0.32%w/Vの量のバニラ香料とイチゴ香料の混合物であり、少なくとも1種の粘度増加剤は、0.35%w/Vの量のヒドロキシエチルセルロースであり、場合によって、0.10%w/Vの量のプロピオン酸ナトリウムを含む。
本発明の一実施形態によれば、溶液は、pH調整剤又はpH緩衝剤をさらに含み、pHは2〜6、たとえば2〜5.5、たとえば3.0〜5.0、たとえば2.0〜5、たとえば2.5〜4に構成される。
【0015】
一実施形態によれば、プロプラノロールは0.250〜1%w/Vの量で存在し、バニラは0.01〜1%w/Vの量で存在し、溶液は防腐剤を含まない。
一実施形態によれば、プロプラノロールは0.01〜1%w/Vの量、たとえば0.250〜1%w/Vの量で存在し、少なくとも香味料は0.01〜1%w/Vの量で存在し、溶液は、0.01〜0.1%の量の防腐剤、たとえば0.025、0.05、0.075%w/Vの量の、たとえばクロロブタノール又はプロピオン酸ナトリウムを含む。
一実施形態によれば、溶液は複数回使用溶液である。
一実施形態によれば、溶液は経口投与に好適である。
【0016】
別の態様によれば、本発明は、β遮断薬を溶媒(たとえば、水)に溶解させる工程を含む、本発明の水溶液の調製方法に関する。
別の態様によれば、本発明は、血管腫、たとえば毛細血管腫及びたとえば幼児毛細血管腫の治療における医薬品として使用される本発明の溶液に関する。
本発明の製剤は、β遮断薬のプロプラノロールを用いた場合に、他のいかなる防腐剤の添加をも避けることができるという驚くべき利点を有する。1983年に発表されたTakahashi et al. Ophtalmic Res. 15, 277-279から、ブプラノロールのみが、枯草菌(B.Subtilis)の増殖に対して0.1%、黄色ブドウ球菌(S.Aureus)及び大腸菌(E.Coli)の増殖に対して0.05%の最小阻害濃度での抗菌効果を示したことが知られている。チモロールとベフノロールには、こうした抗菌効果がない。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、防腐剤としてのプロプラノロールの使用に関する。
別の態様によれば、本発明は、防腐剤としての、バニラ味香料を含むプロプラノロールの使用に関する。
別の態様によれば、本発明は、容器と、患者の体重に基づく用量を示す目盛り付きのピペット又は経口注射器とを含み、本発明の水溶液を含む装置に関する。
一実施形態によれば、目盛りは0.1ml毎の用量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
驚くべきことに、プロプラノロールなどのβ遮断薬が、小児患者用の製剤で使用可能な防腐効果をもたらすことが分かった。従来の芳香族系防腐剤は、未成熟な代謝に対する毒性効果があるために小児科製品から除外すべきであるが、一方で、これらの製品は、微生物の増殖に対する防腐要件も満たすべきである。このことは、プロプラノロールなどのβ遮断薬が、若年患者への経口投与に好適な水溶液に対して好適な防腐性と安定性を与えるという驚くべき発見に基づいて、本発明において達成されている。
本発明の溶液は薬学的に許容されるものであり、かつ適切な保存能力があって、複数回使用に特に適するであろう。
【0019】
最も有用な用途は、幼児血管腫の治療において見出されている。
「薬学的に許容される」とは、生物学的に又は別の形で望ましくないわけではない物質を意味し、たとえば、この物質は、いかなる望ましくない生物学的効果も生じさせることなく又は投薬形態製剤の他の成分のいずれとも有害な形で相互作用することなく、本発明の投薬形態に組み込まれ得る。
一実施形態によれば、本発明は、アルコールと芳香族系防腐剤とを実質的に含まない、プロプラノロールなどのβ遮断薬の水溶液に関する。
EMEAにおけるヒトに使用される医薬品に関する委員会の見解書(EMEA/CHMP/PEG/194810/2005)の推奨に示されているように、経口投与が小児患者に一般に用いられ、液体製剤が、カプセル又は錠剤を嚥下することができない年少幼児への投与に最も適している。
【0020】
このような水溶液には、本発明の範囲に含まれる懸濁液又は乳濁液も含まれる。これらを、患者の口腔への点滴、噴霧、吹き付けによって適用してもよいし、又は投与前にミルク若しくはフルーツジュースと混合してもよい。
「β遮断薬」という用語は、β受容体遮断薬、βアドレナリン作動性受容体遮断薬、β遮断薬、β遮断薬、β遮断薬若しくはβアドレナリン作動性受容体遮断薬又はあらゆるタイプのβアドレナリン作動性受容体(β1、β2、β3若しくはその他のもの)に対する天然若しくは人工の作動薬の結合を阻害する化学物質を示す他のいかなる名称をも指すものである。
【0021】
本発明によれば、β遮断薬は、非選択的β遮断薬、β1選択的β遮断薬、α1/βアドレナリン拮抗薬の混合物、β2選択的β遮断薬であってもよい。β遮断薬はまた、2以上のβ遮断薬の混合物であってもよい。
たとえば、本発明の範囲内の製剤は、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、レボブノロール、メドロキサロール、メピンドロール、メチプラノロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ソタロール、チモロールなどの非選択的β遮断薬に最も適している。
【0022】
たとえば、β遮断薬は、L−若しくはD−プロプラノロール型、又はラセミ化合物、あるいはその薬学的に許容される塩のうちの1つ(たとえば、塩酸塩)として存在し得るプロプラノロールである。
使用されるβ遮断薬は、0.01〜20%w/V、たとえば0.01〜5%w/V、たとえば0.01〜1%w/V、たとえば0.01〜0.5%w/V、たとえば0.05〜10%w/V、たとえば0.1〜5%w/Vそしてたとえば0.1〜1%w/Vの量で溶液中に存在する。
本発明の水溶液は、β遮断薬の溶液に適切なpHを与えるために緩衝剤をさらに含み得る。たとえば、プロプラノロールに適切なpHは、約2〜6、たとえば2〜5.5、たとえば2〜5、たとえば2.5〜4、たとえば3.0〜5.0であり、鉱酸(たとえば、塩酸)若しくは有機酸(たとえば、クエン酸)などの好適な緩衝剤、又はクエン酸/クエン酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウムなどの緩衝剤混合物を用いて得られる。
【0023】
本発明は、そのような組成物が薬学的使用を目的としているにもかかわらず、プロプラノロールなどのβ遮断薬を含む水溶液が、アルコールや芳香族系防腐剤を含まなくてもよいという驚くべきかつ予期しなかった発見に基づいている。特に、本発明は、いかなる防腐剤やアルコールも実質的に含まないプロプラノロールなどのβ遮断薬の水溶液を提供する。これらの溶液は、複数回使用に好適であり、すなわち、これらの溶液は、投与を、たとえば、1日に1回又は2回繰り返さなければならない場合、異なる投与段階の間に保存しておくことができる。
小児科製品は限られた免疫防御しかもたない患者用向けであるので、いかなる細菌感染も防ぐために全ての予防措置を取る傾向がある。したがって、芳香族系防腐剤(場合によっては、防腐剤を実質的に全く含まない)やアルコールを実質的に含まない水溶液を安全に保存し、幼児に好適に投与することができることは特に驚くべきことである。
【0024】
「芳香族系防腐剤」という用語は、(β遮断薬それ自体の他に)微生物の増殖を防ぐか又は望ましくない副反応を防ぐために通常添加されるいかなる薬剤をも包含する。従来見られる防腐剤の例は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、フェノキシエタノール、クレゾール、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀又は硝酸フェニル水銀、安息香酸ナトリウム、チメロサール、チモール化合物又はパラベン族の化合物(たとえば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、及びイソブチルパラベン)である。
「アルコール系」という用語は、アルコール類、たとえば、エタノールを指す。
【0025】
芳香族系防腐剤を避けることにより、本発明による水溶液は、小児患者に安全な防腐剤を含み得る。これには、たとえば、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸塩(たとえば、プロピオン酸ナトリウム若しくはプロピオン酸カリウム)、ソルビン酸、ソルビン酸塩(たとえば、ソルビン酸カリウム若しくはソルビン酸ナトリウム)、又はそれらの混合物の使用が含まれる。通常、水溶液中に存在する非芳香族系防腐剤の適正量は0〜1%w/V、たとえば0〜0.5%w/V、たとえば0.01〜1%w/V、たとえば0.01〜0.1%w/Vの量でよい。
「実質的に含まない」という用語は、本発明の範囲内の溶液が、実際に及び現実に実現可能である程度に、芳香族系防腐剤を含まないべきであることを意味する。これは、特に、0.01w/V%未満の目的の化合物を含む組成物を対象としている。
【0026】
本発明による組成物は、安定した、汚染から保護された状態で維持され、したがって、小児への使用に好適であるように思われた。
本発明の水溶液は、特にノンシュガータイプの1以上の甘味剤も含む。これらは、投薬形態の味を向上させ、若年患者が食べられる組成物を提供するために、製剤に組み込まれる。甘味料は、特に、プロプラノロールの苦みと麻酔効果をマスクする。
実際、小児患者は、人生の早い段階から甘みを認識するだけでなく、混合物中の甘い味を認識し、甘みの強さ又は度合いを判断することもできる。
小児科製品に好適でないものを除く、任意のノンシュガータイプの人工甘味料又は有機甘味料を用いることができる。「シュガータイプの甘味料」という用語は、たとえば、ショ糖、果糖、ブドウ糖又はデキストロースなどの単糖類又は二糖類を包含する。最もよく用いられる甘味剤であるショ糖は、腸内で、吸収可能な単糖の果糖やブドウ糖に加水分解される二糖類である。
【0027】
「ノンシュガー」という用語は、たとえば、サッカリン、サッカリン塩(たとえば、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム)、スクラロース、アセトスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビオール、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、アリターム、ミラクリン、モネリン、及びソーマチンのいずれかなどの、カロリー摂取を低下させる人工甘味剤を包含する。
患者の中には遺伝性の果糖不耐性又は糖尿病を患う者もいる可能性があり、一方で、ショ糖は、歯垢のpHの低下をもたらして歯のエナメル質を溶かし、虫歯を促進することが証明されているので、本発明ではノンシュガータイプの甘味剤が好ましい。果糖が高用量で緩下作用を引き起こすことも認められている。
【0028】
最も好ましいノンシュガー甘味剤は、サッカリン及びたとえば、サッカリンのナトリウム塩又はカルシウム塩である。
アスパルテーム、キシリトール及びソルビトールは、本溶液から除外されることが好ましい。ソルビトールとキシリトールは両方とも浸透圧性下痢を引き起こす場合があり、一方、ソルビトールは分解されて果糖になるため、遺伝性の果糖不耐性や低血糖症を有する患者にとっての潜在的リスクとなる。アスパルテームは、フェニルケトン尿症の患者において有害である場合があり、通常、ホモ接合の常染色体劣性患者では禁忌である。したがって、これらの成分は、本発明から除外されることが好ましい。
【0029】
甘味剤は、安全勧告に一致し、かつ味をマスクする効果を与える量であるが、サッカリンの場合のように、よく知られた苦味が出ないような十分に少ない量で存在するべきである。
甘味剤の量は、通常0.01〜5%w/V、たとえば0.05〜1%w/V、たとえば0.05〜0.5%w/V、そしてたとえば0.05〜0.2%w/Vの範囲で含まれる。
特定の実施形態では、本発明は、子供が組成物を受け入れる可能性を高める利点を有するだけでなく、組成物中に見られる他の賦形剤の味をマスクする効果を与える利点も有する香味料をさらに含み得る。香料の適切な種類や量は、子供の香料の好みに影響を及ぼし得る大人の食物選択のような社会的及び文化的要因によって決まる。
【0030】
好適な香料は、製造元による食品等級認定を受け、また、本実施形態に適するように所轄監督官庁による承認を受けていれば、有機香料又は人工香料であってもよい。
その場合、適切な香料の例としては、サクランボ、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、タンジェリン、ミント、イチゴ、バナナ、キャラメル、甘草、パッションフルーツ、ピーチ、ラズベリー、トゥッティフルッティ、グレープフルーツ、バニラ、クリーム、チョコレート、ブドウ又はそれらの混合物のいずれの味もが挙げられよう。
β遮断薬、特にプロプラノロールの苦味を考慮すると、赤い果物又は黄色い果物の香料に加えチョコレート、バニラ、キャラメルが好ましい。
【0031】
たとえば、イチゴ香料やバニラ香料は、患者によって特に受け入れられるように思われた。さらに、バニラ香料はまた、広く認められた防腐効果を有し、製剤の甘みを増し、一方、イチゴは、プロプラノロールなどのβ遮断薬の苦みをマスクするのに特に好適である。
香味料の量は、通常0〜5%w/V、たとえば0.01〜1w/V、たとえば0.01〜0.5%w/V、たとえば0.05〜1%w/V、そしてたとえば0.05〜0.5%w/V%の範囲に含まれ得る。
香味料の中にはプロピレングリコールに溶解されるものがあることに留意すべきである。高レベルのプロピレングリコールを含む製品は、4歳未満の小児患者に投与すべきでない(EMEA/CHMP/PEG/194810/2005)。本発明によれば、香味料は、このレベル未満の量のプロピレングリコールを含む。たとえば、0.23%w/V程度の少ない量のプロピレングリコールは小児患者に受容可能であり、これは、実施例1の製剤において開示されているように、イチゴ香料とバニラ香料を、それぞれ0.11%w/Vと0.21%m/Vの量で用いることによって得られる。
【0032】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、溶液、乳濁液又は懸濁液の味を良くするために、粘度増加剤をさらに含み得る。粘度を増した液体は、溶液をこぼさないように幼児に投与するのにも特に好都合で、かつ適している。さらに、粘度を増した液体には、ピペット又は経口注射器を用いる場合に、容器外で溶液を扱いやすい利点もある。
本発明で使用可能な増粘剤の例は、セルロース誘導体(たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ガム、グアーガム、トラガカントガム、アカシアガム、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸誘導体、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ケイ酸塩、ベントナイト、ラポナイト、ビーガムである。ポロキサマーも、増粘特性を示すものである。好適な粘度増加剤は、水溶液に特に好適である点でヒドロキシエチルセルロースである。
【0033】
通常、粘度増加剤の量は0〜15%w/V、たとえば0.1〜10%w/V、たとえば0.1〜5%w/V%、そしてたとえば0.1〜0.5%m/Vで含まれ得る。
本発明の組成物は、薬学的使用に好適と思われる他のいかなる賦形剤をもさらに含むことができる。これには、たとえば、溶解性増強剤、緩衝剤、着色剤、乳化剤及び溶媒が含まれる。当業者によって考慮され得る従来の緩衝剤及び賦形剤のさらなる例を、‘Handbook of Pharmaceutical Excipients’;A.H.Kibbe編,第3版,American Pharmaceutical Association, USA and Pharmaceutical Press UK, 2000に見出すことができ、その教示を参照することで本明細書に組み込まれる。
【0034】
本発明の範囲内の組成物及び製剤は、少なくとも1種のβ遮断薬(たとえば、プロプラノロール)を好適な溶媒(たとえば、精製水)に溶解させることを含む従来の方法で好適に調製され得る。
販売承認における製造プロセスのバリデーションを得るために、好適なプロセスを、たとえば、プロセスバリデーションに関するガイダンスに対する注意事項(EMEA/CVMP/598/99)及びプロセスバリデーションに関するガイダンスに対する注意事項の付属書類II(CHMP/QWP/848/99)に規定されている品質基準に従って実施するのがより好適である。
【0035】
別の態様によれば、本発明はまた、本発明による水溶液を含む容器と、患者の体重と関連する用量を示す目盛り付きのピペット又は経口注射器とを含む装置に関する。このピペットは、たとえば、患者の体重と関連する用量を表示する。この装置は、液体を保存したり、液体を子供の口腔内に好適に送達するのに用いられる。
プラスチック材料がピペットに特に適している。特に活性成分がβ遮断薬である場合には、投与されるべき適量を過剰投与のリスクを伴わずに見積もるのは通常困難であるので、この容器及び目盛り付きピペットは、患者の体重に直接的に基づく正確な投薬を可能にする目に見える表示を提供する。
【0036】
保存中にβ遮断薬が光によって不用意に分解されるのを防ぐために、容器は、プラスチック製又はガラス製のボトル、ガラス、たとえば、琥珀色ガラスでできていてもよい。
その製品は小児患者用であるので、理想的には、容器の中身が幼児に触れられないように、子供には開けられない栓で容器を閉じるべきである。
【実施例】
【0037】
実施例1:本発明の範囲内の水溶液
【0038】
【表1】

【0039】
必要な精製水の大半を適当なステンレス製のタンクに入れて、溶液を調製した。撹拌しながら、以下の成分:a.ヒドロキシエチルセルロース、b.サッカリンナトリウム、c.塩酸プロプラノロール、d.イチゴ香料、e.バニラ香料を添加し、溶解させた。次に、溶液のpHをクエン酸一水和物の水溶液でpH値3.0に調整した。最後に、残った量の水でかさを最終容量にし、よく混合した。
一回濾過したら、調製した溶液を琥珀色のボトルに充填し、子供には開けられない蓋で閉じることができる。
【0040】
実施例2:微生物学的データ
微生物学的活性及び耐性を決定するために、以下の製剤を様々な株に対して試験した。
【0041】
【表2】

【0042】
以下の試験において、各試験製品に、トリプトン塩に希釈した200μlの各試験株を植菌した。微生物学的計数を0、14及び28日目に行ない、その後、これらの試料を、tween 80(10%)、レシチン(2%)、チオ硫酸サポニン(0.5%)及び滅菌蒸留水を含む9mlの中和溶液にて中和し(10分)、その中和混合物1mlをシャーレに移し、15mlの寒天培地(好気性細菌の場合はトリプチケースソイ寒天ベースの培地、酵母やカビの場合はサブローデキストロース寒天ベースの培地)で覆った。好気性細菌の場合は32.5℃±2.5℃で24〜48時間インキュベートした後に、酵母やカビの場合は22.5℃±2.5℃で48〜72時間インキュベートした後に、計数を実施した。各試験溶液について、以下の結果は、菌液に導入された微生物の数と比較した、試験製品の1ml当たりのコロニー形成単位の数(すなわち、CFU/ml)と減少比率(logで表す)とを示している。結果は、下記の表において、試験製品のCFU/mlと対数表示の減少とで表されている。
【0043】
試験試料の全てを、以下の微生物:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、及びクロコウジカビ(Aspergillus Niger)に対して試験した。
各試験溶液について、以下の結果は、菌液に導入された微生物の数と比較した、様々な株についての回収された微生物の数、及び減少比率(logで表す)を示している。通常、>4.7log又はそれを上回る減少は、外殻の感受性のために微生物が完全に消失したことを示している。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
【表7】

【0049】
したがって、経口製剤の推奨基準(欧州薬局方第5.1.3章)から明らかに、本発明の製剤は微生物学的生育に対抗するのに適した状態を維持するように思われる。イチゴ香料を唯一の香味料として本実施例の濃度で含む製剤は、経口使用のための欧州薬局方基準(5.1.3)に準拠する試験要件を満たさない。
【0050】
実施例3
実施例2と同様のアッセイに基づいて、以下の組成物(溶液C及び溶液D)を先の株に対して試験することにより、プロプラノロールの防腐効果を実証した。
【0051】
【表8】

【0052】
【表9】

【0053】
【表10】

【0054】
これらの結果は、プラセボを含みかつ防腐剤を含まない製剤は、14日及び28日後に米国薬局方又は欧州薬局方の推奨のいずれも満たさなかったことを示している。しかしながら、たとえば、0.50g/100mlのプロプラノロールを含みかつ防腐剤を含まない組成物は、28日経ってもこの基準を満たした。
各試験溶液について、これらの結果は、菌液に導入された微生物の数と比較した、減少比率(logで表す)を示している。
【0055】
実施例4:実施例2と同様のアッセイに基づく、0.125%プロプラノロールの防腐効果の評価
【0056】
【表11】

【0057】
【表12】

【0058】
【表13】

【0059】
これらの結果は、防腐剤を含まない溶液Fは、14日及び28日後に欧州薬局方の推奨を満たさなかったことを示している。
【0060】
実施例5:実施例2と同様のアッセイに基づく、0.250%及び0.375%プロプラノロールの防腐効果の評価
【0061】
【表14】

【0062】
【表15】

【0063】
【表16】

【0064】
これらの結果は、防腐剤を含まない溶液H及びIは、14日及び28日後に欧州薬局方の推奨を満たすことを示している。
【0065】
実施例6:実施例2と同様のアッセイに基づく、ヒドロキシエチルセルロースの存在下、防腐剤あり又は防腐剤なしでの、0.375%プロプラノロールの防腐効果の評価
【0066】
【表17】

【0067】
実施例7:実施例2と同様のアッセイに基づく、様々な濃度、たとえば、0.025%、0.05%及び0.075%の防腐剤(たとえば、プロピオン酸塩)ありでの、0.375%プロプラノロールの防腐効果の評価
【0068】
実施例8:通常の複数回使用試験
溶液Dを次のように試験した。本発明の水溶液を含むボトルにピペットを導入して、浸けた。ピペットを水道水ですすぎ、次に使用するまで卓上に放置した。この操作を、1日2回、1カ月間行なった。同様の実施例において、この使用を、汚染したピペットで行なった。
両使用とも薬局方の基準を満たす。
【0069】
この試験は、本発明による溶液の使用の日常生活条件を模倣するために行なわれた。患者に投与する量を測定するためにピペットが使用され、場合によって、該量が患者の口に直接投与され、場合によって、該使用の後、ピペットはすすぎ工程もなく卓上に放置される。この試験は、ピペットが、その使用中に微生物に汚染されて、すすがれずに溶液に再び導入される状況も模倣している。したがって、この溶液は、微生物に汚染されている可能性がある。
したがって、薬局方の基準を満たす本実施例8の試験は、本発明の水溶液が、たとえば、最大100回使用される、複数回使用溶液であることを示すものである。
【0070】
実施例9:臨床的プロトコル
1)診断及び選定基準:被験者は、以下の基準を全て満たした場合に適格とする。
a)研究への参加及び被験者の画像の使用に関する書面でのインフォームドコンセントが、あらゆる試験手順を実施する前に被験者の法的親権者から得られている。
b)被験者は、選定時に生後35日以上150日以下である。
c)顔面の増殖性幼児血管腫(IH)、たとえば、全身治療を必要とする最大直径が少なくとも1.5cmの大きな顔面の増殖性IHが存在する。
2)投与様式:1日2回(朝夕)、3〜6カ月間の、上記実施例1によるプロプラノロール経口溶液(実施例1の処方1、2及び3)の投与。
【0071】
3)漸増手順:0日目で1mg/kg/日、7日目で(3mg/kg/日の治療群とするために)2mg/kg/日に増量、14日目で(3mg/kg/日の治療群とするために)3mg/kg/日に増量。

4)治療期間:割り当てられた治療計画に応じて、プロプラノロールが3箇月から6箇月間投与される。
5)評価基準:一次有効性基準は、ベースラインからW24までの標的IHの進展とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β遮断薬、ノンシュガータイプの甘味料を含み、芳香族系防腐剤を実質的に含まないエチルアルコール不含水溶液。
【請求項2】
前記少なくとも1種のβ遮断薬が、非選択的β遮断薬、たとえば、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、レボブノロール、メドロキサロール、メピンドロール、メチプラノロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、薬学的に許容されるそれらの塩、及びたとえば、プロプラノロール又は薬学的に許容されるその塩から選択され、0.01〜5%w/V、たとえば0.01〜1%w/Vの量で存在する、請求項1に記載の水溶液。
【請求項3】
少なくとも1種の香味料及び/又は少なくとも1種の粘度増加剤をさらに含む、請求項1及び2のいずれか一項に記載の水溶液。
【請求項4】
前記少なくとも1種の香味料が、サクランボ香料、レモン香料、ライム香料、マンダリン香料、オレンジ香料、タンジェリン香料、ミント香料、イチゴ香料、バナナ香料、キャラメル香料、甘草香料、パッションフルーツ香料、ピーチ香料、ラズベリー香料、トゥッティフルッティ香料、グレープフルーツ香料、バニラ香料、クリーム香料、チョコレート香料、ブドウ香料又はそれらの混合物のいずれかから選択され、たとえば、バニラ香料及びイチゴ香料から選択され、0〜5%w/V、たとえば0.01〜1%w/V、そしてたとえば0.01〜0.5%w/Vの量で存在する、請求項3に記載の水溶液。
【請求項5】
前記少なくとも1種の香味料が、0.01〜0.5%w/Vの量のバニラである、請求項4に記載の水溶液。
【請求項6】
前記少なくとも1種の粘度増加剤が、0〜15%w/V、たとえば0.1〜10%w/V、たとえば0.1〜5%w/V、そしてたとえば0.1〜0.5%w/Vの量のセルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はメチルセルロース、ポロキサマーから、ガム、グアーガム、トラガカントガム、アカシアガム、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸誘導体、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンから、ケイ酸塩、ベントナイト、ラポナイト、ビーガムから、特に、非イオン性ポロキサマー、ポリビニルピロリドン及びセルロースエーテルから選択される、請求項4及び5のいずれか一項に記載の水溶液。
【請求項7】
前記少なくとも1種の粘度増加剤がヒドロキシエチルセルロースである、請求項6に記載の水溶液。
【請求項8】
0.01〜1%w/Vの量の非芳香族系防腐剤をさらに含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の水溶液。
【請求項9】
前記非芳香族系防腐剤が、クロロブタノール、プロピオン酸及びソルビン酸、薬学的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物から選択される、請求項8に記載の水溶液。
【請求項10】
pH調整剤又は緩衝剤をさらに含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の溶液。
【請求項11】
前記pHが2〜6、たとえば2〜5.5、たとえば3.0〜5.0、たとえば2.0〜5.0、たとえば2.5〜4に構成される、請求項10に記載の溶液。
【請求項12】
前記少なくとも1種のノンシュガータイプの甘味料が、サッカリン、サッカリン塩、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、スクラロース、アセトスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビオール、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、アリターム、ミラクリン、モネリン、ソーマチン、及びそれらの混合物から選択され、たとえばサッカリンナトリウムから選択され、0.05〜0.5%w/Vの量である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の水溶液。
【請求項13】
プロプラノロールが0.250〜1%w/Vの量で存在し、バニラが0.01〜1%w/Vの量で存在し、前記水溶液が防腐剤を含まない、請求項4に記載の水溶液。
【請求項14】
前記β遮断薬が、0.428又は0.57%w/Vの量の塩酸プロプラノロールであり、前記少なくとも1種の甘味料が、0.15%w/Vの量のサッカリンナトリウムであり、前記少なくとも1種の香味料が、0.32%w/Vの量のバニラ香料とイチゴ香料の混合物であり、前記少なくとも1種の粘度増加剤が、0.35%w/Vの量のヒドロキシエチルセルロースであり、場合により、0.10%w/Vの量のプロピオン酸ナトリウムを含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記溶液が複数回使用溶液である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の溶液。
【請求項16】
血管腫、たとえば毛細血管腫及びたとえば幼児毛細血管腫の治療における医薬品として使用される、請求項1から15までのいずれか一項に記載の溶液。
【請求項17】
前記β遮断薬を溶媒、たとえば水に溶解する工程を含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載の水溶液の調製方法。
【請求項18】
容器と、患者の体重に基づく用量を示す目盛り付きのピペット又は経口注射器とを含み、請求項1から16までのいずれか一項に記載の溶液を含む装置。
【請求項19】
前記目盛りが0.1ml毎の用量を示す、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
防腐剤としてのプロプラノロールの使用。
【請求項21】
防腐剤としてのプロプラノロールとバニラ香料の使用。

【公表番号】特表2012−524773(P2012−524773A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506607(P2012−506607)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051573
【国際公開番号】WO2010/122442
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(504103504)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
【Fターム(参考)】