説明

β2−アゴニストの溶液を含有する加圧式定量用量吸入器

【課題】吸入による2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アゴニストの投与における使用のための製薬学的調合物の提供。
【解決手段】深い肺浸透を特徴とする加圧式定量用量吸入器(pMDI)によって投与される化学的に安定な高度に有効なTA2005HFA溶液調合物は1.1μmに等しいかそれ未満の粒子のフラクションが30%以上であり、好ましくは50%以上である。また、該調合物の製造方法ならびに喘息および慢性閉鎖性肺疾患(COPD)のような呼吸疾患におけるその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
喘息は、より一般的になりつつある疾病であり、そして子供のもっとも普通の疾病である。それは繰り返し起こる喘鳴と間欠的な空気流動の制限によって同定することができる。その理解における多くの進歩にもかかわらず、該病理学は不十分な理解と、そしてしばしば不完全に処置される疾病のままに残されている。従来、気道平滑筋の収縮が喘息のもっとも重要な特色と見なされてきた。近年、喘息が慢性炎症疾患として認識されるという事実から生じる、喘息が管理される方法における顕著な変化が起きた。無制御の気道炎症は、気道の不可逆的な狭窄と肺組織の線維形成を起こす粘膜の損傷と構造的変化をもたらすであろう。したがって、治療は、正常な生活が可能であり、同時に基になる炎症を処置するための基礎を与えるように、症候を制御することを目的とすべきである。
【背景技術】
【0002】
その証拠が世界中で確実に増加しつつあるその他の呼吸疾患は慢性閉鎖性肺疾患(COPD)である。COPDを有するほとんどの患者は喫煙を通して彼らの肺疾患を獲得している。喫煙の流行によって、2020年には世界中で第5のもっとも普遍的な障害(disability)の原因に上ることが示されている(非特許文献1)。
【0003】
慢性閉鎖性肺疾患(COPD)は慢性気管支炎もしくは気腫による空気流動の閉鎖の存在を特徴とする疾病状態として定義される。
【0004】
慢性気管支炎は気管支粘液の過剰分泌を特徴とするが、一方、気腫はそれらの壁の破壊はあるが明白な線維症をともなわない、終末気管支梢に対して遠位の空気空間の異常な永続的拡大を示す(American Toracic Society)。各症状は特定の疾病として処置される。
【0005】
慢性閉鎖性気管支梢炎は気管支梢における炎症の結果としての末梢気道の閉鎖による。
【0006】
β−アドレノレセプターアゴニストは、それらの敏速な気管支拡張効果にかんがみて多年の間喘息のための処置の頼みの綱であった。従来の研究はまた、β−アゴニストが例えば炎症誘発性サイトカインの放出の抑制によって表される、強力な抗炎症能を有することを示した。
【0007】
第1世代薬物、例えばサルブタノールもしくはフェノテロールは、夜間の喘息を有する患者のためには特に短所とされた作用の比較的短い持続を特徴とした。さらにまた、COPDは「不可逆的な」気道閉鎖を伴うので、それらはこの疾病における効果を限定した。したがって、長く作用するβ−アゴニスト、例えばホルモテロール、サルメテロールおよびTA2005は、喘息の処置における大きな新しい発展として告げられた。若干の著者によれば、長く作用するβ−アゴニスト(LABA)は、イン・ビボにおいて急性の抗炎症活性を有することがある(非特許文献2;非特許文献3)。これらの薬物が肺機能と症候制御を有意に改善することが示されたので、これらはまた慢性閉鎖性肺疾患(COPD)を有する患者のために新しい興味ある治療上の選択肢である。
【0008】
また、β−アドレナリン作動性アゴニストは、数種の動物種において、そしてエクス・ビボのラットおよびヒトの肺において肺胞液のクリアランスを刺激することができる。これらの知見にかんがみて、β−アドレナリン作動性アゴニスト療法は、急性肺水腫を有する患者において肺水腫の溶解を促進する可能性のある処置として提案された(非特許文献4)。また、β−アゴニストによる処置は表面活性物質の分泌を増加し、そして多分
抗炎症効果を発揮でき、その結果、肺の血管透過性を回復するのに役立つであろう(非特許文献5)。
【0009】
喘息およびCOPDのような肺疾患の処置を意図する薬物は、近年、薬物物質が肺に到達できるように口と咽喉を通してのエアゾルの吸入に依る肺送達によって投与される。それらは、噴霧器を通しての水性もしくは加水アルコール性調合物として、あるいはドライパウダー吸入器(Dry Powder Inhaler)の手段によるかまたはハロゲン化炭化水素噴射剤において乾燥粉末として投与することができる。噴射剤に基づくシステムは、各動作(actuation)において薬物の定量用量を放出する適当な加圧式定量用量吸入器(pressurized metered−dose inhaler)(pMDI)を必要とする。関連調合物は液剤もしくは懸濁剤の形態において存在することができる。懸濁剤に較べて、溶液調合物は懸濁した粒子の物理的安定性の問題がなく、したがって、より高い用量の均一性と再現性を保証できるであろう。噴射剤の種類に関する限り、ヒドロフルオロアルカン[(HFA)、また、ヒドロフルオロカーボン(HFC)として既知]は、長年の間製薬学的使用のための好適な噴射剤エアゾルであったクロロフルオロカーボン(FreonもしくはCFCとして既知)が、オゾン層破壊に関係していたのでその使用が段階的に廃止されつつあるため、必須の噴射剤となるであろう。特に、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)は、非CFC噴射剤のための最良の候補であると認識され、そしてそのようなHFA噴射剤系を用いる製薬学的エアゾル調合物が開示された。
【0010】
製薬学的エアゾルの開発では、吸入される粒子の気体力学的サイズ分布は患者の肺における小滴もしくは粒子の沈着場所を決定する上でもっとも重要な変数である;簡単に言えば、それは薬物の標的指向が成功するか失敗するかを決定するであろう。参照、非特許文献6。
【0011】
かくして、製薬学的エアゾルを開発する際の必要条件は選択的粒径である。
【0012】
調合物が懸濁液の形態で存在する場合、クラウド(cloud)の粒径は、摩砕/微粉化工程によって決まる懸濁する薬物の粒径によって主要部分が占められる。調合物が溶液の形態で存在する場合、懸濁する薬物粒子の体積寄与はなく、そして溶液中の薬物濃度によってほとんど決まるずっと微細な液の小滴クラウドが生成される。
【0013】
エアゾル調合物中の固形粒子および/または小滴は、それらの質量中央値の気体力学的直径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD、質量気体力学的直径がその周囲に平均に分布される直径)によって特性決定することができる。
【0014】
肺における粒子沈着は3つの物理的メカニズム:
i)衝突、粒子慣性の関数;
ii)重力による沈降;および
iii)微細なミクロメーター以下(<1ミクロン)の粒子のブラウン運動から生じる拡散、
に多く依存する。
【0015】
粒子の質量が3つの主なメカニズムのどれが有力であるかを決定する。
【0016】
誘導する気道の平滑筋に局所的に作用する薬物のエアゾル療法では、そして特にβ−アゴニストでは、粒子は上位ないし中位の肺領域(気管支梢領域)に優先的に沈着すべき
なので、それらは約1.5(2.0)〜約5.0ミクロン、好ましくは約3ミクロンのMMADをもつべきであると過去には報告された(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。
【0017】
事実、約5ミクロンを超える気体力学的直径をもつ粒子は、それらが喉の背部に衝突し、そして飲み下される傾向にあり、場合によっては経口的に吸収されるので、一般には肺に到達しないのに対して、肺胞領域に到達できる1.5(2.0)ミクロンより小さい、すなわち約0.5〜約2ミクロンの粒子は、それらが血流中に吸収され、そして薬物の所望されない全身的効果を増進するであろうから、望ましくないと考えられてきた。約0.5ミクロン以下の小さい直径をもつ粒子はそれらが発散されるので、一般に治療的に有用ではないと見なされた。
【0018】
したがって、β−アゴニストのpMDI調合物は、伝統的に、粒子の比較的大きいフラクションが2〜5ミクロンからなり、1ミクロン以下の量が非常に限られる粒子を送達できる調合物であった。その理由は、前者は上位ないし中位の肺領域に達するのに十分小さいが、肺胞に達するには大きすぎるからである。また、これは、純粋な薬物物質の慣用の微細化(エア−ジェット摩砕)が薬物粒径を約2〜3ミクロンに低下できるので、懸濁液の形態における調合物の固有の粒径である。
【0019】
他方、β−アドレナリン受容体の密度は気管支梢の末端路において比較的高く(非特許文献10)、この領域は、より小さい粒子によってより良好に到達されることが知られている。さらにまた、喘息における炎症は大きい中央気道に局限されるのみならず、また小さい末梢気道にまで広がる。喘息に伴うことが分かっている好酸性の炎症過程は両気管支および肺胞の部位に関している(非特許文献11)。近年、非特許文献12において,遠位の肺疾患が繰り返し起こる喘息の病勢悪化の危険を増大するようであり、一方、遠位の肺の小気道における疾患に関連する解剖学的変化は致死性喘息において顕著であることが報告された。これに関して著者の意見では、約1ミクロンの直径の粒子を有する薬物(「極微細(extrafine)」エアゾル剤と呼ばれる)の投与が有利であった。遠位肺疾患の臨床的重要性がこの領域を重要な治療標的とさせ、したがって、そのような領域に到達し、沈着できる粒子が疾病の管理に対してより良く貢献できるであろう。また、0.5ミクロンより小さい粒子では、0.3ミクロン未満かそれに等しい、好ましくは5〜300nmの直径をもつ粒子は沈降によって肺の肺胞領域に沈着できる。この範囲の粒子は本文献では「超微細(ultrafine)」粒子と言及された。
【0020】
モデルとしてジ−2−エチルヘキシルセバケート(DEHS)から生成された「超微細」粒子は、また良好な気道浸透を有することが報告された(非特許文献13)。非特許文献14では、炎症性気道疾患の処置において、特に急性気管支梢炎において、超微細エアゾル剤を用いて狭い末梢気道を標的とすることによるエアゾル送達における改善の必要性が強調されている。
【0021】
したがって、直径<0.1μmを有する医学的エアゾル粒子は、病理が薬物の拡散を阻害する粘液の過剰分泌を伴う喘息患者において、またはCOPDのような閉鎖性肺疾患を患っている患者において、気道閉鎖の場合に特に効果的である。事実直観的に、粘液による気道の口径における減少は予想でき、そして永続的な狭窄は潅流のためのより微細なクラウドを必要とするであろう。
【0022】
それにもかかわらず、サブ−ミクロン(sub−micron)エアゾル調合物(HFA調合物を含む)はレシチンのような表面活性剤を含有するミクロエマルション剤として今まで報告されているのみであった(特許文献1、特許文献2;非特許文献15)。
【0023】
LABAの固有の抗炎症特性のおかげで、微細粒子の有意なフラクションを送達できる関連調合物が、気管支肺閉鎖性疾患を患っている患者において大きな利点をもつことが期待されるであろう。
【0024】
2(1H)−キノリノン誘導体β−アゴニストは強力な、そして長期作用の化合物として記述されている(特許文献3;特許文献4)。
【0025】
特に、作用の急速な開始をまた特徴とする8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンは、非常に強力なβ−アゴニストとして報告されていて、これは特有の作用の長期持続のために1日に1回の投与でもよい。その塩酸塩は試験コードTA2005として知られている。
【0026】
加圧式定量用量吸入器によるエアゾル送達のためのβ−アゴニストのHFA溶液調合物は既知である。
【0027】
Boehringer Ingelheim名の特許文献5は、薬物、HFA噴射剤、助溶媒および有効成分の化学的分解を防ぐための安定剤としての無機もしくは有機酸を含んでなるエアゾル溶液調合物を提供する。ほとんどの実施例は臭化イプラトロピウム、抗コリン作動性薬物に関する。β−アゴニストに関する限り、フェノテロール、本発明の化合物と化学的に関係のない短期作用の誘導体、を含有する調合物のみが例示されている。さらにまた、臭化イプラトロピウムとは別に、特許文献5は缶中の全組成物の安定性を危うくすることなく薬物を安定化するために添加されるべき酸の量に関して何の指針も示していない。そのヒントのみが5頁15〜16行に見いだせるが、それは無機酸量が1〜7のpH値、非常に広い一般的範囲、を得るように添加されるべきであることを述べている。水分に関する限り、この出願では、また少量の水(重量で約5%まで)が噴射剤/助溶媒系中に存在してもよいと述べている。臭化イプラトロピウムの場合、1%の水の添加は脱水による分解を低下させることが報告されている。
【0028】
3M名の特許文献6は、噴射剤、ならびに有効成分の可溶化と同様に安定性を助けることができる生理的に許容しうる高分子を含有する溶液調合物に関する。
【0029】
特許文献7では、出願人は、活性物質、ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含む噴射剤、助溶媒を含んでなり、さらに、吸入器の動作においてエアゾル粒子の質量中央値の気体力学的直径(MMAD)を増大するための低揮発度成分を含んでなる、エアゾル吸入器において使用するための溶液組成物を記述した。いくつかの場合には、少量の水が助溶媒中の活性物質および/または低揮発度成分の溶液を改良するためにこの組成物に添加されてもよい。
【0030】
特許文献8では、出願人は、HFA噴射剤、十分な貯蔵寿命を保証するために見かけのpHが2.5〜5.0に調整された助溶媒における溶液中にフェニルアルキルアミノ誘導体類に属するβ−アゴニストを含んでなるエアゾル製薬学的組成物を開示した。本発明の特定の態様では、低揮発度のイソプロピルミリステート(IPM)が、エアゾル粒子のMMADを増加させたり、さらに調合物の安定性を改良するために添加される。水の役割に関する限り、ある種の有効成分の場合には、水分は貯蔵中の化学的安定性に有害になり得ることが報告されているだけである。特許文献8では、TA2005調合物が、有利には、2〜10μg/用量、好ましくは3〜5μg/用量を送達するのに適当であることが一般的に述べられている。送達される粒子のMMADを増大し、そして調合物の安定性を改良するために、12%w/wエタノールおよび1.0%IPMを含有する3.5μg/用量のHFA134a調合物が実施例7において報告される。
【0031】
上記考察にかんがみて、比較的深い肺浸透と低い全身的曝露を特徴とする、pMDIによって投与される高度に有効な2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アゴニスト調合物を提供することは非常に有利であろう。
【特許文献1】WO01/78689
【特許文献2】WO00/27363
【特許文献3】欧州特許第147 719号
【特許文献4】WO00/75114
【特許文献5】WO94/13262
【特許文献6】WO98/34596
【特許文献7】WO98/56349
【特許文献8】欧州特許第1157689号
【非特許文献1】Leckie M et al Exp Opin Invest Drugs 2000,9,3−23
【非特許文献2】Johnson M Clin Exp Allergy 1992,22,177−181
【非特許文献3】Stelmach I et al Ann Allergy Asthma Immunol 2002,89,67−73
【非特許文献4】Sacuma T et al Am J Respir Crit Care Med 1997,155,506−512
【非特許文献5】Ware L et al New Eng.J Med 2000,342,1334−1349
【非特許文献6】P.Byron,”Aerosol Formulation,Generation,and Delivery Using Nonmetered Systems,”Respiratory Drug Delivery,144−151,144(CRC Press,1989)
【非特許文献7】Zanen P et al Int J Pharm 1994,107,211−217
【非特許文献8】Int J Pharm 1995,114,111−115
【非特許文献9】Thorax,1996,51,977−980
【非特許文献10】Barnes P et al Am Rev Respir Dis 1983,127,758−762
【非特許文献11】Wang S J Immunol 2001,166,2741−2749
【非特許文献12】Martin R J Allergy Clin Immunol 2002,109(Suppl 2),447−460
【非特許文献13】Anderson P et al Chest 1990,97,1115−1120
【非特許文献14】Amirav I et al J Nucl Med 2002,43,487−491
【非特許文献15】Dickinson P et al J Drug Target 2001,9,295−302
【発明の概要】
【0032】
本発明の目的は、式(I)
【0033】
【化1】

【0034】
[式中、
はメチルであり、Rは水素であるか、またはRおよびRはメチレン架橋(CHを形成し、
nは1もしくは2であり、
、R、RおよびRは各々独立して、水素、ヒドロキシ、C−C直鎖もしくは分枝状アルキル、1個以上のハロゲンおよび/またはヒドロキシによって置換されたC−C直鎖もしくは分枝状アルキル、ハロゲン、C−C直鎖もしくは分枝状アルコキシである]の2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アゴニスト、それらの鏡像異性体、塩および溶媒和物から選ばれる有効成分;
有効成分が噴射剤−助溶媒系中に完全に溶解されている、HFA噴射剤および適当量の助溶媒を含んでなる、製薬学的使用のために適当な貯蔵寿命を有する、pMDIによって投与される製薬学的エアゾル溶液調合物を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
該溶液は、インパクター(impactor)のステージS3−AFにおいて回収される微粒子用量の総量に対する、Andersen Cascade Impactorの含量ステージS6−AFと定義して、少なくとも30%の1.1ミクロンに等しいかそれ未満の粒子のフラクションを調合物の動作において提供する。
【0036】
本発明の調合物は、Martin R J Allergy Clin Immunol 2002,109(Suppl 2),447−460の定義による極微細粒子および0.3ミクロンに等しいかそれ未満の直径を有する粒子(他の著者の定義による超微細粒子)の両方を含んでなる、1.1ミクロンに等しいかそれ未満の直径を有する粒子の有意なフラクションを送達することができる。これらの特性の効能によって、本発明の調合物はこれ以降超微細調合物として言及される。
【0037】
本発明の特定の態様として、本発明者らは、1.1ミクロンに等しいかそれ未満の粒子のフラクションが、インパクターのステージS3−AFにおいて回収される微粒子用量の総量に対する、Andersen Cascade ImpactorのステージS6−AFの含量と定義して、30%より高いかまたはそれに等しいことを特徴とする、液化HFA噴射剤および好ましくは製薬学的に許容しうるアルコールから選ばれる助溶媒における溶液中に、有効成分として0.005〜0.016%w/vの8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノンまたはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物の1種を含んでなる製薬学的エアゾル調合物を提供する。好適な有
効成分は、ここでTA2005として定義された先の化合物(onwards)からの8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩である。ある種の調合物では、調合物の総重量の5%w/wまでの水の適当量が添加されてもよい。有利には、調合物のpHは、欧州特許第1157689号において報告されるモデル媒質系において決定されるように2.5〜5.0である。
【0038】
本発明の調合物はまた、さらなる有効成分を含有することができる。特に、長期作用のβ−アゴニストへのコルチコステロイドの付加は、ほとんどの患者において喘息の最適管理を与え、そして関連する固定組み合わせ物は持続性の喘息を有する患者における便利な管理物(controller)としてますます使用される。また、各種類の薬物が他種の有利な作用を増進することも報告されている。事実、コルチコステロイドはβ−受容体の発現を増強し、そして長期作用β−アゴニストの曝露に応じる下方制御に対してそれらを保護し、一方、β−アゴニストはコルチコステロイドの抗炎症作用を増進できる(Barnes P et al.Eur Respir J 2002,19,182−191)。
【0039】
したがって、本発明のその他の目的は、ステロイドをさらに含んでなる、有効成分として2(1H)−キノリノン誘導体β−アゴニストを含有する高度に有効な調合物を提供することである。本発明の調合物の超微細粒子の高いフラクションは、遠位の肺疾患において両薬物の相乗効果をより良好に発揮するような方法でそれらを小末梢気道領域に到達させることができる。さらにまた、前記特徴にかんがみて、β−アゴニストとステロイドの固定組み合わせ物を含んでなる調合物を開発することが可能であり、この場合、後者は同じ治療効果を維持して比較的低用量において存在することができるであろう。
【0040】
本発明のさらなる態様は、COPDの処置のために特に有効な薬物を提供するために、抗コリン作動性アトロピン様誘導体、例えば臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムおよび臭化チオトロピウムと組み合わせて高度に有効な2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アゴニスト調合物を提供することである。
【0041】
また、方法が、
(a)1種以上の助溶媒中において1種以上の有効成分の溶液の調製;
(b)場合によっては水の予定量の添加および/または溶液のpHの調節;
(c)該溶液によるデバイスの充填;
(d)バルブのクリンピング(crimping)およびガス処理(gassing);(e)ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含有する噴射剤の添加;
を含む、本発明の組成物によるエアゾル吸入器の充填方法が提供される。
【0042】
本発明のなおさらなる態様は、喘息およびCOPDのような呼吸疾患の処置のための薬物の製造のための、噴射剤/助溶媒系中に完全に溶解され、そして1.1ミクロンに等しいかそれ未満の気体力学的直径をもつ噴出粒子の少なくとも30%のフラクションを動作において提供できる、β−アゴニストの使用を含む。
【0043】
少なくとも30%の、1.1ミクロン未満の気体力学的直径をもつ粒子のフラクションを動作において提供するその技術的特色にかんがみて、本発明の調合物は、喘息、COPDの処置、および一般に、病理が薬物の拡散を妨げる粘液の過剰分泌を伴う気道閉鎖症状の処置のために特に有効である。
【0044】
さらにまた、それは肺胞の水腫ならびに表面活性物質欠乏に関連する疾患、例えば急性肺傷害(ALI)および急性呼吸困難症候群(ARDS)の軽減を促進する処置として臨
床的に有用であろう。
[発明の詳細な記述]
本発明のエアゾル調合物は有効成分としての式(I)の2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アゴニスト、HFA噴射剤および助溶媒を含有し、ここでは、インパクターのステージS3−AFにおいて回収される総微粒子用量に対する、Andersen Cascade Impactorの含量ステージS6−AFと定義した、30%以上かそれに等しい、有利には40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、なおより好ましくは70%以上の、1.1ミクロンに等しいかそれ未満の噴出粒子のフラクションを調合物が動作において提供できるような方法で有効成分が完全に溶解されている。有利には、本発明の調合物は可溶化剤、噴射剤および場合によっては水以外の他の添加物、例えば表面活性物質を含有しない。
【0045】
本調合物は有効成分を5%w/vまで、例えば0.0001%〜5%、0.0005%〜3%、0.001%〜1%、0.001%〜0.005%w/vを含有してもよい。
【0046】
HFA噴射剤の例は、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA227)およびそれらの混合物を含む。好適な噴射剤は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)である。興味ある二者択一の噴射剤は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA227)である。
【0047】
助溶媒は、低級アルキル(C−C)アルコール、ポリオール、ポリアルキレングリコールおよびそれらの組み合わせ物の群から選ばれる。他の適当な助溶媒は、ポリアルコキシアルコールを含む(ポリ)アルコキシ誘導体、[例えば商標名Transcutol(R)として市販されている2−(2−エトキシエトキシ)エタノール]である。
【0048】
好ましくは、助溶媒はアルコールである。好適なものはエタノールである。助溶媒(例えばエタノール)の濃度は調合物中の有効成分の最終濃度と噴射剤により変化できる。エタノール量は調合物の総重量の約40%w/wを超えてはならない。有利には、それは5〜30%w/w、好ましくは10〜20%w/w、なおより好ましくは12〜15%w/w含有される。
【0049】
本発明のエアゾル組成物において使用されてもよい有効成分は、式(I)の2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アドレナリン作動性アゴニスト、その立体異性体、生理学的に許容しうる塩および溶媒和物である。
【0050】
好適な有効成分は、塩酸塩の形態における8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン(TA2005)である。
【0051】
該有効成分は単独で、あるいはステロイド、例えばベクロメタゾンジプロピオネート(BDP)、フルニソリド、モメタゾンフロエート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニド、ブデソニドおよびその22R−エピマーとの組み合わせ物、抗コリン作動性アトロピン様誘導体、例えば臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化チオトロピウムとの組み合わせ物または呼吸疾患の管理のために有用な薬物、例えばメチルキサンチン、抗ロイコトリエンおよびホスホジエステラーゼ阻害剤との組み合わせ物において使用することができる。
【0052】
HFA調合物における有効成分の濃度は、好ましくは1回もしくは2回の動作において送達される治療量に依存する。
【0053】
前記調合物ではTA2005が提供され、そして薬物濃度はw/vとして示される。(w/w)として対応するパーセンテージは媒質の密度を測定することによって計算することができる。
【0054】
本調合物は適当な定量バルブを固定したカニスター(canister)中に充填できる。本発明者らは、調合物が25μl〜100μlの容量、例えば50μlまたは63μlを送達可能な定量バルブによって作動されることを好む。100μlがまた適当である。
【0055】
TA2005の濃度は、1動作当たり0.5〜6μgを送達するために0.0005%〜0.024%w/v、好ましくは1動作当たり1〜4μgを送達するために0.001%〜0.016%w/v、より好ましくは1動作当たり1または2μgを送達するために0.001%〜0.008%w/vに変化できる。例えば、1および2μg/用量では、63μl定量容量が使用される場合、1動作当たり送達されるTA2005塩酸塩の最終濃度はそれぞれ0.0016%および0.0032%w/vである。
【0056】
TA2005について意図した用量用法は1日に2回もしくは1回、好ましくは1日に1回であり、この場合適当な1日用量は8μgまでの範囲であり、有利には0.5〜6μg、好ましくは1〜6μg、より好ましくは2〜4μgの範囲である。
【0057】
見かけのpH範囲は有利には2.5〜5.0、好ましくは2.8〜4.0である。好ましくは塩酸、硝酸、リン酸の群から選ばれる強い鉱酸、より好ましくは塩酸が見かけのpHを調節するために使用される。
【0058】
所望の見かけのpHに達するために添加される酸の量は、欧州特許第1157689号で報告されるモデル媒質中で予め決定でき、そしてそれは有効成分の種類と濃度および助溶媒の量に依存する。
【0059】
HFA134aおよび15%w/wエタノール中0.001%〜0.008%w/vTA2005では、0.1MHClの、調合物の総重量において0.01%〜0.05%、好ましくは0.01%〜0.03%の濃度が好ましくは添加される。
【0060】
水の存在は、調合物が他の有効成分、例えばステロイドをさらに含有する場合には特に有利である。
【0061】
これらの場合、調合物の総重量において5.0%w/wまでの、好ましくは0.05%〜3%w/w、なおより好ましくは1%〜2%w/wの水の量が存在してもよい。
【0062】
本発明の調合物は、製薬学的エアゾル調合物を送達するのに適当なカニスター、例えばプラスチックかまたはプラスチック被覆したガラスびん、または好ましくは金属缶、例えばアルミニウム缶中に充填される。調合物はまた、陽極処理アルミニウム、ステンレススチールから作成されるか、または不活性な有機コーティングでライニングされた内部表面の全ての部分を有するカニスター中に充填されてもよい。好適なコーティングの例は、エポキシ−フェノール樹脂、ペルフッ素化ポリマー、例えばペルフルオロアルコキシアルカン、ペルフルオロアルコキシアルキレン、ペルフルオロアルキレン例えばポリ−テトラフルオロエチレン(Teflon)、フッ素化エチレン−プロピレン、ポリエーテルスルホンおよびコポリマー フッ素化エチレン−プロピレンポリエーテルスルホン、である。他の適当なコーティングは、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィドもしくはそれらの組み合わせ物であってよい。
【0063】
テフロンでライニングされた内部表面をもつカニスターがTA2005調合物のためには好適である。
【0064】
安定性をさらに改良するために、丸くした端の縁、好ましくは丸められた首もしくは丸められた縁、一部もしくは完全に丸くした縁をもつ缶が、WO02/72448の教示にしたがって使用できる。
【0065】
カニスターは定量バルブを用いて閉じられる。定量バルブは1動作当たり調合物の一定量を送達し、そしてバルブを通して噴射剤の漏れを防ぐガスケットを組み入れるように設計されている。
【0066】
ガスケットはすべての適当な弾性材料、例えば低密度ポリエチレン クロロブチル、黒色および白色ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ブチルゴム、ネオプレン、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーのポリマー)およびTPE(熱可塑性エラストマー)を含む。EPDMおよびTPEゴムが好適である。EPDMゴムは特に好適である。適当なバルブはエアゾル工業において周知の製造者、例えばValois,France(例えば、DF10,DF30,DF60)、Bespak plc,UK(例えば、BK300,BK356,BK357)および3M−Neotechnic Ltd,UK(例えばSpraymiser)から市販されている。Valois,FranceのDF31バルブもまた適当である。バルブシール、特にガスケットシール、およびまた定量チャンバー周囲のシールは、好ましくは、特に内容物がエタノールを含有する場合には、調合物の内容物に不活性であり、そしてそれへの抽出に耐える材料から製造される。
【0067】
バルブ材料、特に定量チャンバーの製造材料は、好ましくは、特に内容物がエタノールを含有する場合には、調合物の内容物に不活性であり、そしてそれによる歪みに耐える材料から製造される。定量チャンバーの製造に使用するための特に適当な材料はポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)およびアセタール、特にPBTを含む。
【0068】
定量チャンバーおよび/またはバルブ軸の製造材料は、薬物沈着を防ぐためにフッ素含有物質によりフッ素化 部分的にフッ素化または含浸されてもよい。
【0069】
製薬学的エアゾル製造の当業者には周知の慣用の大量製造法および機械が、充填したカニスターの商業生産のための大規模バッチの製造に用いることができる。かくして、例えば、1つの大量製造法では、定量バルブがアルミニウム缶上にクリンプされて空のカニスターが作成される。薬物がチャージ容器に添加され、エタノール、場合によっては水および液化噴射剤の混合液がチャージ容器を通して製造容器に加圧充填される。次いで、調合物の一定分量が定量バルブを通してカニスター中に充填される。
【0070】
その他の方法では、調合物が蒸発しない十分に冷たい条件下で、液化調合物の一定分量が開口したカニスターに添加され、次いで定量バルブがカニスター上にクリンプされる。
【0071】
その他の方法では、可溶化剤に溶解された薬物の一定分量が空のカニスター中に分配され、定量バルブがクリンプされ、次いで噴射剤がバルブを通してカニスター中に充填される。この方法は空気からの湿気の吸収を避けるために不活性雰囲気下で、例えば窒素を吹き込むことによって実施される。
【0072】
各充填したカニスターは、便利には、使用前に適当なチャンネリング(channeling)デバイス中に固定されて、患者の肺に薬物を投与するための定量用量吸入器を形
成させる。適当なチャンネリングデバイスは、例えば、バルブ・アクチュエーター(actuator)および薬物が定量バルブを経て充填カニスターから患者の口に送達できるシリンダー状またはコーン様通路、例えばマウスピース・アクチュエーターを含む。
【0073】
典型的な配置では、バルブ軸は膨張チャンバーへと導入するオリフィスを有するノズルブロックに据え付けられる。膨張チャンバーはマウスピース中に伸びる出口オリフィスを有する。範囲0.15〜0.45mm、特に0.2〜0.45mmのアクチュエーター(出口)オリフィスの直径が、一般には適当である、例えば0.25,0.30,0.33もしくは0.42mm。また0.22mmが適当である。ある種の調合物では、同時係属出願欧州特許第1130521.6号に記述されたように0.10〜0.22mm、特に0.12〜0.18mmの範囲の直径をもつレーザーで穴を空けたアクチュエーターオリフィスを利用するのが有用である。
【0074】
そのような微細オリフィスの使用は、また、クラウド世代の期間を増大し、そしてその速度を低下する。これらの変化は患者のゆっくりした吸気とクラウド世代との整合を容易にする。
【0075】
本発明の各試験調合物の気体力学的粒径分布は、European Pharmacopeia 2nd edition,1995,part V.5.9.1.pages15−17に記述される操作にしたがって、Multistage Cascade Impactorを用いて特性決定することができる。この特定の場合には、Andersen Cascade Impactor(ACI)は28.3l/minの流速における運転を利用した。各ACIプレートへの薬物の沈着が高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定された。平均送達用量はACIにおける累積沈着から計算された。平均呼吸可能用量(微細粒子用量)は、1回の実験当たりの動作数で割った、≦4.7ミクロンの粒子に対応するフィルター(AF)に対するステージ3(S3)における沈着から得られ、一方、平均「超微細」用量は≦1.1ミクロンの粒子に対応するフィルターに対するステージ6における沈着から得られた。
【0076】
本発明の調合物の投与は、喘息および慢性閉鎖性肺疾患(COPD)のような呼吸疾患の、軽度、中等度もしくは重度の、急性もしくは慢性症候の処置のために、または予防処置のために指示されてもよい。炎症および粘液の存在の結果としての末梢気道の閉鎖を特徴とする他の呼吸疾患、例えば慢性閉鎖性気管支梢炎および慢性気管支炎もまたこの種の調合物の恩恵を受けることができる。
【0077】
本発明は次の実施例に関して具体的に説明される。
【実施例1】
【0078】
超微細TA2005HFA調合物
有効成分の1動作当たり1μgの名目用量を送達するための調合物は次の組成により製造された:
【0079】
【表1】

【0080】
この調合物(120動作/カニスター、30動作の平均)は、テフロンで被覆された内部表面をもつアルミニウムカニスターに充填(2段階圧力充填)され、そして63μl定量チャンバーを有する定量バルブを固定された。0.22mmのオリフィス直径をもつアクチュエーターが使用された。結果は2個の缶の平均値として得られた。
【0081】
同様にして、有効成分の1動作当たり2,3または4μgの名目用量を送達できる調合物が製造された。気体力学的粒径分布は、ACIによって国際公開第03/074024号16頁10〜18行にしたがって測定され、そして各調合物の送達特性は、次ぎのパラメーター、i)名目用量:1回の動作当たりの理論的用量;ii)送達用量:全ACIステージ中に沈着した活性粒子の量;iii)呼吸可能用量(微細粒子用量):4.7ミクロン未満のサイズの活性粒子の量(S3−AF);iv)呼吸可能なフラクション(微細粒子フラクション):呼吸可能用量と送達用量との比;v)「超微細」用量:1.1ミクロンに等しいかそれ未満の活性粒子の量(S6−AF);vi)「超微細」フラクション:「超微細」用量と呼吸可能用量との比、という用語において決定された。
【0082】
本発明の調合物は、動作において1.1ミクロン未満の直径をもつ粒子の非常に高いパーセンテージを生じる。有効成分のパーセンテージと助溶媒の量に依存するある種の調合物では、80%以上の超微細フラクションが達成できる。
【0083】
調合物における1.1ミクロンに等しいかそれ未満の直径をもつ粒子のそのような高いフラクションの存在にもかかわらず、治療用量において薬物は良好に許容された。
【0084】
1動作当たり4μgを送達できる調合物における安定性研究は、5℃において直立で缶を保存することで開始された。
【0085】
9カ月後、TA2005アッセイは95%以上であり、したがって「Stability Testing of new Active Substances(and Medical Products)」に言及するICH指針Q1Aの要件に合致する。
【実施例2】
【0086】
TA2005と22R−ブデソニドを含んでなる超微細HFA調合物
1動作当たりTA2005 1μgおよび22R−ブデソニド 80μgの名目用量を
それぞれ送達するための調合物が次の組成により製造された:
【0087】
【表2】

【0088】
この調合物(120動作/カニスター、30動作の平均)は、テフロンで被覆された内部表面をもつアルミニウムカニスターに充填(2段階圧力充填)され、そして63μl定量チャンバーを有する定量バルブを固定された。
【0089】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
1.液化HFA噴射剤、助溶媒、および場合によっては調合物の総重量において5%までの量の水の溶液中に、式:
【化1】

[式中、
はメチルであり、Rは水素であるか、またはRおよびRはメチレン架橋(CHを形成し、
nは1もしくは2であり、
、R、RおよびRは各々独立して、水素、ヒドロキシ、C−C直鎖もしくは分枝状アルキル、1個以上のハロゲンおよび/またはヒドロキシによって置換されたC−C直鎖もしくは分枝状アルキル、ハロゲン、C−C直鎖もしくは分枝状アルコキシである]の2(1H)−キノリノン誘導体長期作用β−アゴニスト、それらの立体異性体、生理学的に許容しうる塩および溶媒和物から選ばれる有効成分を含有する、加圧式定量用量吸入器によって投与される製薬学的エアゾル調合物。
【0090】
2.吸入器の動作において送達される1.1μmに等しいかそれ未満の粒子のフラクションが、国際公開03/074024号パンフレットの16頁10〜18行の記述で言及される方法にしたがって、ステージS3−AFの含量に対するAndersen Cascade ImpactorのステージS6−AFの含量と定義して30%以上かそれに等しい、1.に記載の製薬学的調合物。
【0091】
3.超微細フラクションが50%以上である、1.〜2.に記載の製薬学的調合物。
【0092】
4.有効成分が8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン、その生理学的に許容しうる塩または溶媒和物である、1.〜3.に記載の製薬学的調合物。
【0093】
5.有効成分が8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩である、1.〜3.に記載の製薬学的調合物。
【0094】
6.有効成分が0.0005〜0.024%w/vの間に含まれる濃度において存在する、5.に記載の製薬学的調合物。
【0095】
7.有効成分が0.001〜0.008%w/vの間に含まれる濃度において存在する、5.に記載の製薬学的調合物。
【0096】
8.pHが2.5〜5.0の間に含まれる、いずれか先行に記載の製薬学的調合物。
【0097】
9.pHが2.8〜4.0の間に含まれる、いずれか先行に記載の製薬学的調合物。
【0098】
10.pHが塩酸を添加することによって調節される、8.および9.に記載の製薬学的調合物。
【0099】
11.噴射剤がHFA134aおよびHFA227を含む群から選ばれる1種以上のヒドロフルオロアルカン[HFA]を含有する、いずれか先行に記載の製薬学的調合物。
【0100】
12.助溶媒が、低級アルキル(C−C)アルコール、ポリオール、ポリアルキレングリコール、(ポリ)アルコキシ誘導体およびそれらの組み合わせ物の群から選ばれる、いずれか先行に記載の製薬学的調合物。
【0101】
13.助溶媒がエタノールである、12.に記載の製薬学的調合物。
【0102】
14.15%w/wエタノール、0.01%〜0.05%w/wHCl 0.1MおよびHFA134aをさらに含んでなる、6.に記載の製薬学的調合物。
【0103】
15.不活性な有機コーティングでライニングされた内部金属表面の一部もしくは全部
を有するカニスター中に充填された、いずれか先行に記載の製薬学的調合物。
【0104】
16.カニスターがエポキシ−フェノール樹脂、ペルフルオロアルコキシアルカン、ペルフルオロアルコキシアルキレン、ペルフルオロアルキレン例えばポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレン、ポリエーテルスルホンおよびコポリマー フッ素化エチレン−プロピレンポリエーテルスルホンから選ばれる不活性な有機コーティングでライニングされている、15.に記載の製薬学的調合物。
【0105】
17.不活性な有機コーティングがポリテトラフルオロエチレン(Teflon)である、16.に記載の製薬学的調合物。
【0106】
18.ステロイド、例えばベクロメタゾンジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニド、ブデソニドおよびその22R−エピマー、または抗コリン作動性アトロピン様誘導体、例えば臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムおよび臭化チオトロピウムの種類から選ばれるさらなる有効成分をさらに含んでなる、いずれか先行に記載の製薬学的調合物。
【0107】
19.方法が、
(a)1種以上の助溶媒中における1種以上の有効成分の溶液の調製;
(b)場合によってはあらかじめ決められた量の水の添加および/または溶液のpHの調節;
(c)該溶液によるデバイスの充填;
(d)バルブのクリンピング(crimping)およびガス処理(gassing);(e)ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含有する噴射剤の添加;
を含む、1.〜18.の調合物の製造方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化HFA噴射剤、助溶媒、および場合によっては調合物の総重量において5%までの量の水の溶液中に、ブデソニドとの組合せで、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2(1H)−キノリノン塩酸塩を含有する、加圧式定量用量吸入器によって投与される製薬学的エアゾル調合物。
【請求項2】
吸入器の動作において送達される1.1μmに等しいかそれ未満の粒子のフラクションが、ステージ3(S3)からフィルター(AF)のステージの含量に対するAndersen Cascade Impactorの6(S6)からフィルター(AF)のステージの含量と定義して、30%以上かそれに等しい、請求項1に記載の製薬学的調合物。
【請求項3】
超微細フラクションが50%以上である、請求項1〜2に記載の製薬学的調合物。
【請求項4】
pHが2.5〜5.0の間に含まれる、いずれか先行請求項に記載の製薬学的調合物。
【請求項5】
pHが2.8〜4.0の間に含まれる、いずれか先行請求項に記載の製薬学的調合物。
【請求項6】
pHが塩酸を添加することによって調節される、請求項4および5に記載の製薬学的調合物。
【請求項7】
噴射剤がHFA134aおよびHFA227を含む群から選ばれる1種以上のヒドロフルオロアルカン[HFA]を含有する、いずれか先行請求項に記載の製薬学的調合物。
【請求項8】
助溶媒がエタノールである、いずれか先行請求項に記載の製薬学的調合物。
【請求項9】
15%w/wエタノール、0.01%〜0.05%w/wHCl 0.1MおよびHFA134aをさらに含んでなる、いずれか先行請求項に記載の製薬学的調合物。
【請求項10】
不活性な有機コーティングでライニングされた内部金属表面の一部もしくは全部を有するカニスター中に充填された、いずれか先行請求項に記載の製薬学的調合物であって、カニスターがエポキシ−フェノール樹脂、ペルフルオロアルコキシアルカン、ペルフルオロアルコキシアルキレン、ペルフルオロアルキレン例えばポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレン、ポリエーテルスルホンおよびコポリマー フッ素化エチレン−プロピレンポリエーテルスルホンから選ばれる、上記製薬学的調合物。
【請求項11】
不活性な有機コーティングがポリテトラフルオロエチレン(Teflon)である、請求項10に記載の製薬学的調合物。
【請求項12】
方法が、
(a)1種以上の助溶媒中における1種以上の有効成分の溶液の調製;
(b)場合によってはあらかじめ決められた量の水の添加および/または溶液のpHの調節;
(c)該溶液によるデバイスの充填;
(d)バルブのクリンピング(crimping)およびガス処理(gassing);(e)ヒドロフルオロアルカン(HFA)を含有する噴射剤の添加;
を含む、請求項1〜11の調合物の製造方法。

【公開番号】特開2010−215637(P2010−215637A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106449(P2010−106449)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【分割の表示】特願2003−572545(P2003−572545)の分割
【原出願日】平成15年2月27日(2003.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
2.テフロン
【出願人】(591095465)キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ (12)
【Fターム(参考)】