説明

β2受容体アゴニストとしてのフェニルアミノエタノール誘導体

本発明は、式(1)の化合物ならびにこのような誘導体の製造方法、このような誘導体の製造において使用される中間体、このような誘導体を含む組成物およびこのような誘導体の使用に関する。本発明に従う化合物は、多数の疾患、状態および症状、特に、炎症性、アレルギー性および呼吸器系の疾患、状態および症状に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式:
【化1】

のβ2アゴニスト、このような誘導体の製造方法、このような誘導体の製造において使用される中間体、このような誘導体を含有する組成物およびこのような誘導体の使用に関し、ここでR1、R2、Q1、Q2、Q3およびQ4は以下に示される意味を有する。
【背景技術】
【0002】
アドレナリン受容体は、巨大なG−タンパク質に結合した受容体のスーパーファミリーのメンバーである。アドレナリン受容体のサブファミリーは、それ自体が、αおよびβのサブファミリーに分かれ、βサブファミリーは、少なくとも3つの受容体サブタイプ:β1、β2およびβ3から成る。これら受容体は、哺乳動物の種々の系および器官の組織において異なる発現パターンを示す。β2アドレナリン作用性(β2)受容体は、主に、平滑筋細胞(例えば、血管、気管支、子宮または腸管平滑筋)で発現され、一方、β3アドレナリン作用性受容体は、主に、脂肪組織で発現され(従って、β3アゴニストは、肥満症および糖尿病の処置にて有用である可能性があり得る)、そしてβ1アドレナリン作用性受容体は、主に、心臓組織で発現される(従って、β1アゴニストは、主に、強心薬として使用される)。
【0003】
気道疾患の病態生理学および処置は、文献に幅広く概説されており(参考のために、Barnes,P.J.Chest,1997,111:2,pp 17S−26SおよびBryan,S.A.et al.Expert Opinion on investigational drugs,2000,9:1,pp 25−42を参照のこと)、従って、いくつかの背景情報を提供するために、簡潔な要約のみをここに挙げる。
【0004】
グルココルチコステロイド、抗ロイコトリエン、テオフィリン、クロモン、抗コリン作用薬およびβ2アゴニストは、喘息および慢性閉塞性気道疾患(COPD)のようなアレルギー性ならびに非アレルギー性の気道疾患を処置するために現在使用されている薬剤類を構成する。これらの疾患についての処置ガイドラインとしては、短期および長期の作用性吸入β2アゴニストの両方が包含される。短期作用性急速発症β2アゴニストは、気管支拡張を“救助する(rescue)”ために使用され、一方、長期作用性形態は、持続的な軽減を提供し、そして維持療法として使用される。
【0005】
気管支拡張は、気道平滑筋細胞上に発現されるβ2アドレナリン受容体のアゴニズムによって媒介され、これは、弛緩、従って、気管支拡張を生じる。従って、官能性アンタゴニストとしてのβ2アゴニストは、ロイコトリエンD4(LTD4)、アセチルコリン、ブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミンおよびエンドセリンを含む全ての気管支収縮物質の効果を予防し、そして逆転させ得る。β2受容体が気道に非常に広範に分布されるので、β2アゴニストもまた喘息において役割を果たす他のタイプの細胞にも影響を及ぼし得る。例えば、β2アゴニストが肥満細胞を安定化し得ることが報告されている。気管支収縮物質の放出の阻害は、アレルゲン、運動および冷気によって誘発される気管支収縮をβ2アゴニストがどのようにブロックするかであり得る。さらに、β2アゴニストは、ヒト気道においてコリン作用性神経伝達を阻害し、これにより、コリン作用性−反射性気管支収縮の軽減を生じ得る。
【0006】
気道に加えて、β2アドレナリン受容体もまた他の器官および組織において発現され、従って、本発明に記載されるもののようなβ2アゴニストは、神経系、早期分娩、うっ血性心不全、うつ病、炎症性皮膚疾患およびアレルギー性皮膚疾患、乾癬、増殖性皮膚疾患、緑内障(これらに限定されない)のような他の疾患の処置において、ならびに胃液酸度の低下に利点を有する状態(特に、胃潰瘍および消化性潰瘍)において適用性を有し得ることも立証されている。
【0007】
しかし、多数のβ2アゴニストは、高全身的暴露により促進されるそれらの低い選択性または副作用が原因でそれらの使用が制限され、そして主に、気道外で発現されるβ2アドレナリン受容体での作用を介して媒介される(筋肉振戦、頻拍、動悸、不穏)。従って、このクラスにおける改良剤が必要である。
【0008】
従って、例えば、潜在性、選択性、作用の継続期間に関して、適切な薬理学的特性および/または薬効学的特性を有する新規なβ2アゴニストがなお必要である。これに関連して、本発明は新規なβ2アゴニストに関する。
【0009】
EP 0654534 B1およびEP0939134 B1は、式(XI):
【化2】

の化合物の製造方法を開示する。
【0010】
これらの化合物は、特異的β3活性を有する抗肥満薬および抗糖尿病薬として開示される。
【0011】
米国特許第5,561,142号は、式:
【化3】

の選択的β3アゴニストを開示する。
【0012】
EP0236624は、心臓の副作用に対する良好な選択性と相まって抗肥満活性および/または抗高血糖活性を有する式:
【化4】

の化合物を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般式(1):
【化5】

の化合物または適切な場合、その薬学的に受容可能な塩および/またはその異性体、互変異性体、溶媒和物もしくは同位体バリエーションに関し、
ここで、CH2−C(=O)NH−ベンジル−Q1−Q2−Q3−Q4基が、メタ位またはパラ位にあり、そして
−R1およびR2が、HおよびC1−C4アルキルから独立して選択され;
−Q1が−(CH2n−であり、ここでnが0および1から選択される整数であり;
−Q2が−NH−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−NH−C(=O)−NH−および−SO2NH−から選択される基であり;
−Q3が単結合または場合によってOHで置換されているC1−C4アルキレンであり;
【0014】
−Q4が、
【化6】

から選択され、ここでは、Q3に対する結合点を表し、そしてR3、R4、R5、R6およびR7が、H、C1−C4アルキル、フェニル、フェノキシ、OR8、SR8、ハロ、CN、CF3、OCF3、COOR9、SO2NR89、CONR89、NR89、NHCOR9およびCH2−NHC(=O)NH−R9から独立して選択され;
ここでR8およびR9が、HまたはC1−C4アルキルから独立して選択される。
【0015】
式(1)の化合物がβ2受容体のアゴニストであり、これらが、特に、吸入経路を介して投与される場合、β2介在性疾患および/または状態の処置のために有用であり、そして良好な効能を示すことが現在見出されている。
【0016】
本発明において、用語「効能がある(potent)」とは、式(1)の化合物がβ2受容体に対してアゴニスト効能を示し、本明細書に記載される細胞ベースのアッセイによって測定される場合、10nM未満であることを意味する。
【0017】
好ましくは、本発明の化合物は、効能がありかつ選択性であるβ2受容体のアゴニストである。より好ましくは、本発明の化合物は、β2受容体に対してアゴニスト効能を示し、β3受容体に対する場合よりも少なくとも約100倍、β1受容体に対する場合よりも少なくとも約500倍高い。
【0018】
ここで上記一般式(1)において、C1−C4アルキルおよびC1−C4アルキレンは、1、2、3または4個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖基を表す。これはまた、それらが置換基を有するか、または他のラジカルの置換基として生じる場合、例えば、O−(C1−C4)アルキルラジカル、S−(C1−C4)アルキルラジカルなど、適用される。適切な(C1−C4)アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。適切なO−(C1−C4)アルキルラジカルの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシおよびtert−ブチルオキシなどが挙げられる。
【0019】
最後に、ハロは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択されるハロゲン原子を表し、特に、フッ素または塩素を表す。
【0020】
式(1):
【化7】

の化合物[ここで、CH2−C(=O)NH−ベンジル−Q1−Q2−Q3−Q4基が、メタ位またはパラ位にある]は、慣用的な手順を使用して、例えば、以下の例示的な方法によって製造され得る[ここで、他に示されない限り、R1、R2、Q1、Q2、Q3およびQ4は、式(1)の化合物について以前に定義される通りである]。
【0021】
式(1)の化合物は、式(2):
【化8】

の化合物[ここで、CH2−C(=O)NH−ベンジル−Q1−Q2−Q3−Q4基が、メタ位またはパラ位にあり、PGが、適切なアルコール保護基(典型的に、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)またはトリメチルシリル(TMS)のようなアルキルシリル基、好ましくはTBDMS)を表す]の脱保護によって製造され得る。
【0022】
脱保護は、T.W.Greene,A.Wiley−Interscience Publication,1981による「Protective Groups in Organic Synthesis」のような標準的なテキストブックに記載される方法に従って行われ得る。典型的な手順において、PGがTBDMSを表す場合、式(2)の化合物は、約40℃にて、18〜42時間、水性メタノール中10〜20当量のギ酸アンモニウムで、または室温〜約65℃にて、18〜100時間、テトラヒドロフラン中酢酸水溶液で処理される。
【0023】
式(2)のアミド誘導体は、式(3):
【化9】

の酸[ここで、CH2−C(=O)OH基が、メタ位またはパラ位にある]を式(4):
【化10】

のアミンとカップリングすることによって製造され得る。
【0024】
カップリングは、一般的に、過剰な酸受容体としての前記アミン中、慣用的なカップリング剤(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩またはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)と、場合によって、触媒(例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物または1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)の存在下、場合によって、第三級アミン塩基(例えば、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンまたはN−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で行われる。反応は、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンまたは酢酸エチルのような適切な溶媒中、10℃〜40℃の温度(室温)にて、1〜24時間、行われ得る。
【0025】
典型的な手順において、式(3)の酸は、N,N−ジメチルホルムアミド中、室温にて、18時間、過剰な式(4)のアミン(1.1〜1.2当量)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.1〜1.3当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.1〜1.3当量)およびトリエチルアミン(2〜3当量)で処理される。
【0026】
前記式(4)のアミンは、市販のものであっても、市販の物質から当業者に周知の慣用的な方法(例えば、還元、酸化、アルキル化、保護、脱保護など)によって製造されてもよい。
【0027】
式(3)の酸は、式(5):
【化11】

の対応するエステル[ここで、CH2−C(=O)ORa基が、メタ位またはパラ位にあり、Raが、適切な酸保護基、好ましくは、(C1−C4)アルキル基(メチルおよびエチルが挙げられるが、これらに限定されない)である]から、分子の残りを修飾することなく、エステルから酸を製造するための当業者に周知のいずれかの方法に従って、製造され得る。例えば、エステルは、場合によって、溶媒または溶媒混合物(例えば、水、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン/水)の存在下、20℃〜100℃の温度にて、1〜40時間、酸性水溶液または塩基水溶液(例えば、塩化水素、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム)で、処理することによって加水分解され得る。
【0028】
典型的な手順において、式(5)のエステルは、テトラヒドロフラン水溶液中、室温にて約16時間、過剰な水酸化リチウム(2当量)で処理される。
【0029】
式(5)のエステルは、式(6):
【化12】

の化合物[ここで、CH2−C(=O)ORa基が、メタ位またはパラ位にあり、PG2は、適切なフェノール保護基、典型的にアルキル基、典型的にメチル基またはベンジル基、好ましくはベンジル基である]の脱保護によって製造され得る。
【0030】
脱保護は、T.W.Greene,A.Wiley−Interscience Publication,1981による「Protective Groups in Organic Synthesis」のような標準的なテキストブックに記載される方法に従って行われ得る。
【0031】
典型的な手順において、PG2がベンジルである式(6)の化合物は、溶媒としてエタノール中、炭素上10%パラジウムの存在下、60psiのH2にて、約16時間、室温にて水素化される。
【0032】
式(6)のエステルは、式(7):
【化13】

のアミン[ここで、CH2−C(=O)ORa基が、メタ位またはパラ位にあり、Raは以前に定義される通りである]を式(8):
【化14】

の臭化物と反応させることによって製造され得る。
【0033】
典型的な手順において、式(7)のアミンを、場合によって、溶媒または溶媒混合物(例えば、ジメチルスルホキシド、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル)の存在下、場合によって、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、N−ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウム)の存在下、80℃〜120℃の温度にて、12〜48時間、式(8)の臭化物と反応させる。
【0034】
好ましくは、式(7)のアミン(2当量)および式(8)の臭化物を、90℃にて、溶媒の非存在下、約16時間反応させる。
【0035】
式(8)の臭化物は、分子の残りを修飾することなく、エステルからアルコールを製造するための当業者に周知のいずれかの方法に従って、式(9):
【化15】

のエステルを還元することによって製造され得る。
【0036】
典型的な手順において、式(9)のエステルを、還流状態にて2時間、テトラヒドロフラン中ボランジメチルサルファイド錯体で還元させる。
【0037】
式(8)のアルコールは、文献(Tetrahedron Letters 1994 35(50),9375)に十分に記載される方法に従って、(R)または(S)エナンチオマーのいずれかとして製造され得る。
【0038】
1またはR2のいずれかがHを表さない場合、式(7)のアミンは、式(10):
【化16】

の対応する保護化アミン[ここで、CH2−C(=O)ORa基が、メタ位またはパラ位にあり、Raは以前に定義される通りであり、そしてRbおよびRcが、HNRbRcがキラルアミンとなるようないずれかの適切な置換基を表す(例えば、Rbは水素であってもよく、Rcは、α−メチルベンジルであってもよい)が、ただし、NとRbおよびNとRcとの間の結合は、テキストブックT.W.GREEN,Protective Groups in Organic Synthesis,A.Wiley−Interscience Publication,1981に見られるもののような窒素保護基を開裂するための標準的な方法論を使用して、容易に開裂されて、式(7)の遊離アミンを得る]から(R)または(S)エナンチオマーのいずれかとして製造され得る。
【0039】
典型的な手順において、式(10)のアミンは、過剰なギ酸アンモニウムの存在下、エタノール中、室温にて、約2時間、炭素上20%水酸化パラジウムで処理される。
【0040】
式(10)のアミンは、式HNRbRcのアミンを式(11):
【化17】

のケトン[ここで、CH2−C(=O)ORa基が、メタ位またはパラ位にあり、そしてRa、RbおよびRcは以前に定義される通りである]と反応させることによって単一のジアステレオマーとして製造され得る。
【0041】
典型的な手順において、式(11)のケトンと式HNRbRcのアミンとの反応は、キラル中間体を導き、これを次に、適切な還元剤(例えば、式NaCNBH3のナトリウムシアノボロヒドリドまたは式Na(OAc)3BHのナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)により、場合によって、乾燥剤(例えば、モルキュラーシーブ、硫酸マグネシウム)の存在下、場合によって、酸触媒(例えば、酢酸)の存在下還元し、ジアステレオマー混合物として式(10)のアミンを得る。反応は、一般的に、テトラヒドロフランまたはジクロロメタンのような溶媒中、20℃〜80℃の温度にて3〜72時間行われる。次いで、得られた生成物は、塩酸塩に変換され、そして適当な溶媒または溶媒混合物(例えば、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジイソプロピルエーテルまたはジイソプロピルエーテル/メタノール)から選択的に結晶化され、単一のジアステレオマーとして式(10)を得る。
【0042】
特に、式(11)のケトンは、式(12):
【化18】

のハロゲン化アリール[ここで、CH2−C(=O)ORa基が、メタ位またはパラ位にあり、Raは以前に定義した通りであり、そしてHalは、ハロゲン原子(臭素およびヨウ素が挙げられるが、これらに限定されない)を表す]をエノレートまたはエノレート同等物とパラジウム媒介カップリングすることによって製造され得る。
【0043】
典型的な手順において、式(12)のハロゲン化アリールは、適切なパラジウム触媒(式Pd(OAc)2/P(o−Tol)3)のパラジウムアセテート/トリ−オルト−トリルホスフィン)の存在下、非極性溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン)中、イソプロペニルアセテートを式Bu3SnOMeのトリ−n−ブチルスズメトキシドで処理することによって、インサイチュで発生させたスズエノレートと反応させる。好ましくは、反応は、80℃〜110℃の温度にて、6〜16時間行われる。
【0044】
式(12)のハロゲン化アリールは、分子の残りを修飾することなく、酸からエステルを製造するための当業者に周知のいずれかの方法に従って、式(13):
【化19】

の対応する酸[ここで、CH2−C(=O)OH基が、メタ位またはパラ位にあり、Halは以前に定義した通りである]をエステル化することによって得ることができる。
【0045】
典型的な手順において、式(13)の酸を、塩化水素のような酸の存在下、10℃〜40℃の温度(室温)にて、8〜16時間、式RaOH(ここで、Raは以前に定義された通りである)のアルコール性溶媒と反応させる。
【0046】
式(13)の酸は市販品である。
【0047】
式(7)のアミン(ここで、R1およびR2は両方がC1−C4アルキルである)は、以下のスキームに従って製造され得る:
【化20】

(ここで、CH2−C(=O)OH基が、メタ位またはパラ位にあり、そしてR1、R2およびRaは以前に定義された通りである)。
【0048】
典型的な手順において、式(14)のエステルを、上記の方法を使用して、「活性化」アルキル(R2MgBr、R2MgClまたはR2Liのような有機金属アルキル)と反応
させ、式(15)の対応する第三級アルコールを得る。
【0049】
式(14)のエステルは、International Journal of Peptide and Protein Research 1987,29(3),331に開示される方法に従って、対応する二酸前駆体(市販されている)から製造され得る。
【0050】
次いで、前記の式(15)の第三級アルコールを、酸(例えば、硫酸または酢酸)の存在下アルキルニトリル(例えば、アセトニトリル、クロロアセトニトリル)で処理し、保護化中間体を得、これを次に、テキストブックに記載されるもののような窒素保護基を開裂するための標準的な方法論を使用して開裂させる。次いで、得られたアミノ酸を、本明細書中に記載される方法を使用してエステル化し、式(7)のアミンを得る。
【0051】
また、式(2)の化合物[ここで、Q1は−(CH2nを表し、そしてnは0であり、そしてQ2は−C(=O)NH−を表す]は、式(16):
【化21】

の酸[ここで、CH2−C(=O)NH−CH2−フェニル−COOH基は、メタ位またはパラ位にあり、そしてRa基はメタ位またはパラ位にある]を、式(17):
2N−Q3−Q4 (17)
のアミンとカップリングすることによって製造され得る。
【0052】
式(16)の酸を、慣用的なカップリング剤(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩またはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)を用いて、場合によって、触媒(例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物または1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)の存在下、場合によって、第三級アミン塩基(例えば、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンまたはN−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下、式(17)のアミンと反応させる。反応は、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンまたは酢酸エチルのような適切な溶媒中、10℃〜40℃の温度(室温)にて、1〜24時間、行われ得る。
【0053】
典型的な手順において、式(16)の酸を、N,N−ジメチルホルムアミド中、室温にて、18時間、式(17)のアミン(1当量)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.1当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.1当量)およびトリエチルアミン(3当量)で処理する。
【0054】
式(17)のアミンは、市販のものであっても、市販の物質から当業者に周知の慣用的な方法(例えば、還元、酸化、アルキル化、保護、脱保護など)によって製造されてもよい。
【0055】
式(16)の酸は、式(18):
【化22】

の対応するエステル[ここで、CH2−C(=O)NH−CH2−フェニル−COORa基が、メタ位またはパラ位にあり、Raは、適切な酸保護基、好ましくは、(C1−C4)アルキル基(メチルおよびエチルが挙げられるが、これらに限定されない)である]から、分子の残りを修飾することなく、エステルから酸を製造するための当業者に周知のいずれかの方法に従って製造され得る。例えば、エステルは、場合によって、溶媒または溶媒混合物(例えば、水、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン/水)の存在下、20℃〜100℃の温度にて、1〜40時間、酸性水溶液または塩基水溶液(例えば、塩化水素、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム)で、処理することによって加水分解され得る。
【0056】
典型的な手順において、式(18)のエステルを、テトラヒドロフラン水溶液中、室温にて約7時間、過剰な水酸化リチウム(2当量)で処理する。
【0057】
式(18)のエステルは、式(2)の化合物の合成についての上記の方法と類似の方法によって、式(3)の酸と式(19):
【化23】

のアミンとをカップリングすることによって製造され得る。
【0058】
式(19)のアミンは、市販品である。
【0059】
式(7)のアミン(ここで、R1およびR2は両方がHである)を、以下のスキームに従って製造し得る:
【化24】

(ここで、R1、R2およびRaは以前に定義された通りである)。
【0060】
典型的な手順において、式(20)の酸は、エステルの存在下、対応するアルコール(21)に選択的に還元される。これは、アシルイミダゾールまたは混合無水物の形成によって行われ、その後水素化ホウ素ナトリウムまたは別の適切な還元剤で還元され得る。
【0061】
前記の式(21)の第一級アルコールは、次いで、メシラート、トシレート、臭化物またはヨウ化物のような脱離基に変換され、そして適切なアミン求核試薬で置換される。好ましい求核試薬は、アジ化物イオンであり、次いでこれは水素化を介して第一級アミンまたはトリフェニルホスフィンに還元され得る。代替の求核試薬としては、アンモニアまたはベンジルアミンもしくはアリルアミンのようなアルキルアミンが挙げられ、その後アルキル基の開裂によってアミンを得る。
【0062】
これまでの上記の式(1)の化合物の製造方法のいくつかの工程について、反応することが望ましくない強力な反応性官能基を保護し、その結果、前記保護基を開裂させる必要があり得る。このような場合において、任意の適合性のある保護ラジカルが使用され得る。T.W.GREENEによって記載されている方法(Protective Groups in Organic Synthesis,A.Wiley−Interscience Publication,1981)またはP.J.Kocienskiによって記載されている方法(Protecting groups,Georg Thieme Verlag,1994)のような保護および脱保護の特定の方法が使用され得る。
【0063】
上記の全ての反応および先の方法において使用される新規出発物質の製造は慣用的であり、そしてそれらの実施または製造のための適切な試薬および反応条件ならびに所望の生成物を単離するための手順は、本明細書中の文献前例ならびに実施例および製造を参照して当業者に周知である。
【0064】
1が(CH2nであり(ここでnは0である)、かつQ2が−SO2NH−またはC(=O)NH−である、式(1)の化合物が好ましい。
【0065】
1が(CH2nであり(ここでnは1である)、かつQ2が−NH−C(=O)−または−NH−C(=O)−NH−である、式(1)の化合物が他に好ましい。
【0066】
上記の式(1)の化合物において、以下の置換基がさらに好ましい:
好ましくは、R1およびR2が両方CH3である。
好ましくは、R1およびR2が両方Hである。
好ましくは、R1がHであり、かつR2がCH3である。
より好ましくは、R1がHであり、かつR2がCH3である。
【0067】
好ましくは、Q3が結合、CH2−、−(CH22−、−C(CH32−CH2−、−CH(CH3)−CH(OH)−または−CH2−CH(CH3)−である。
【0068】
好ましくは、Q4は、
【化25】

(ここで、R3、R4、R5、R6およびR7が、H、C1−C4アルキル、フェニル、フェノキシ、OR8、SR8、ハロ、CF3、OCF3、COOR9、SO2NR89、CONR89、NHR89、NHCOR9およびCH2−NHC(=O)NH−R9から選択され;そしてR3〜R7の少なくとも2つがHを表す)である。
【0069】
より好ましくは、Q4は、
【化26】

(ここで、R3、R4、R5、R6およびR7が、H、C1−C4アルキル、フェニル、フェノキシ、OR8、ハロ、CF3およびOCF3から選択され;そしてR3〜R7の少なくとも2つがHを表す)である。
【0070】
本明細書以下の実施例部分に記載されるような式(1)の化合物が特に好ましい、すなわち:
N−(4−tert−ブチルベンジル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−(2−エトキシベンジル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N[4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]ベンズアミド;
N−(3,4−ジクロロベンジル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N−(4−フェノキシベンジル)ベンズアミド;
【0071】
N−(1,1−ジメチル−2−フェニルエチル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−[2−(4−エチルフェニル)エチル]−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−[2−(4−エトキシフェニル)エチル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
N−[2−(1,1’−ビフェニル−4−イル)エチル]−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)ベンズアミド;
【0072】
N−(1,1’−ビフェニル−3−イルメチル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
4{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N−[2−(3−メトキシフェニル)エチル]ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド;
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N−[(2S)−2−フェニルプロピル]ベンズアミド;
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル]ベンズアミド;
4−エトキシ−N−(4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンジル)ベンズアミド;
N−(4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンジル)−1−ナフトアミド;
【0073】
N−(4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンジル)−2,2−ジフェニルアセトアミド;
N−(4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンジル)−4−フェノキシベンズアミド;
N−{4−[(ベンズヒドリルアミノ)メチル]ベンジル}−2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセトアミド;
N−{3−[(ベンジルアミノ)スルホニル]ベンジル}−2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセトアミド;
2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}−N−{4−[({[(3−フェノキシベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)メチル]ベンジル}アセトアミド;および
N−(3,4−ジメトキシベンジル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド。
【0074】
本発明の1つの局面に従って、−CH2−C(=O)NH−ベンジル−Q1−Q2−Q3−Q4基がメタ位にある、式(1)の化合物が一般的に好ましい。
【0075】
式(1)の化合物はまた、場合によって、薬学的に受容可能な塩に変換されていてもよい。特に、式(1)の化合物のこれら薬学的に受容可能な塩としては、その酸付加塩および塩基性塩(二塩を含む)が包含される。
【0076】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシレート、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カムシレート、クエン酸塩、サイクロミン酸塩、エジシル酸塩、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンゼート、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、リン酸水素塩、イセチオ酸塩、D−およびL−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、2−ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パーモエート、リン酸塩/水素、リン酸塩/二水素リン酸塩、ピログルタミン酸塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、D−およびL−酒石酸塩、1−ヒドロキシ−2−ナフトエートトシレートおよびキシナホ酸(xinafoate)の塩が挙げられる。
【0077】
適切な塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩が挙げられる。酸と塩基とのヘミ塩(hemisalt)がまた形成され得、これらとしては、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩(hemicalcium salt)が挙げられる。適切な塩についての総説について、Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wiley−VCH,Weinheim,Germany(2002)を参照のこと。
【0078】
式(1)の化合物の薬学的に受容可能な塩は、1回またはそれ以上の3つの方法によって製造され得る:
(i)式(1)の化合物を所望の酸または塩基と反応させる工程によって;
(ii)式(1)の化合物の適切な前駆体から酸または塩基に不安定な保護基を除去するか、または所望の酸または塩基を使用して、適切な環状前駆体(例えば、ラクトンまたはラクタム)を開環する工程によって;または
(iii)適切な酸または塩基と反応させるか、または適切なイオン交換カラムによって、式(1)の化合物の一方の塩を他方に変換させる工程。
【0079】
典型的に、3つ全ての反応は溶液中で行われる。得られた塩を沈殿させ、そして濾過によって回収し得るか、または溶媒のエバポレートによって回収し得る。得られた塩のイオン化度(degree of ionisation)は、完全にイオン化された塩からほとんどイオン化されていない塩まで異なり得る。本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方で存在し得る。用語「溶媒」は、本発明の化合物および1つまたはそれ以上の薬学的に受容可能な溶媒分子(例えば、エタノール)を化学量論の量で含む分子錯体を記載するために、本明細書中で使用される。前記溶媒が水である場合、用語「水和物」が利用される。
【0080】
前述の溶媒和物と対照的に、薬物およびホストが化学量論または非化学量論の量で存在するクラスレート(薬物とホストとの包接錯体)のような錯体は、本発明の範囲に包含される。化学量論または非化学量論の量で存在し得る、2つまたはそれ以上の有機物成分および/または無機物成分を含有する、薬物の錯体もまた包含される。得られた錯体はイオン化されていても、部分的にイオン化されていても、または非イオン化されていてもよい。このような錯体の総説について、HaleblianによるJ Pharm Sci,64(8),1269−1288(Augast 1975)を参照のこと。
【0081】
式(1)の化合物についての本明細書中以降の全ての言及は、その塩、溶媒和物および錯体、ならびにその塩の溶媒和物および錯体に対する言及を包含する。
【0082】
本発明の化合物は、全ての多形体およびその晶癖を含む以前に定義される通りの式(1)の化合物、以下に定義される通りのそのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)ならびに式(1)の同位体標識化合物を包含する。
【0083】
適応があれば、式(1)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」もまた本発明の範囲に包含される。従って、それら自体の薬理学的活性をほとんどまたは全く有し得ない式(1)の化合物の特定の誘導体は、体内または体上に投与される場合、所望される活性を有する式(1)の化合物に、例えば、加水分解によって変換され得る。このような誘導体は、「プロドラッグ」と言われる。プロドラッグの使用に対するさらなる情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」,Vol.14,ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)および「Bioreversible Carriers in Drug Design」,Pergamon Press,1987(E.B Roche編,American Pharmaceutical Association)に見出され得る。
【0084】
本発明に従うプロドラッグは、例えば、H Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier,1985)に記載されるような「前駆部分(pro−moiety)」として当業者に公知の特定の部分で、式(1)の化合物中に存在する適切な官能基を置換することによって製造され得る。
【0085】
本発明に従うプロドラッグのいくつかの例としては、以下が挙げられる:
(i)式(1)の化合物がカルボン酸基(−COOH)を含む場合、そのエステル、例えば、式(1)の化合物のカルボン酸基の水素が、(C1−C8)アルキルによって置き換えられている化合物;
(ii)式(1)の化合物がアルコール基(−OH)を含む場合、そのエーテル、例えば、式(1)の化合物のアルコール基の水素が、(C1−C6)アルカノイルオキシメチルによって置き換えられている化合物;および
(iii)式(1)の化合物が第一級または第二級アミノ基(−NH2または−NHR、ここでRはHではない)を含む場合、そのアミド、例えば、場合によって、式(1)の化合物のアミノ基の1つまたは両方の水素が、(C1−C10)アルカノイルによって置き換えられている化合物。
【0086】
前例および他のプロドラッグ類の例に従う置換基のさらなる例は、前述の参考文献に見出され得る。
【0087】
さらに、式(1)の特定の化合物は、それ自体が他の式(1)の化合物のプロドラッグとして作用し得る。式(1)の化合物の代謝物(すなわち、薬物が投与される際に生体内に形成される化合物)もまた本発明に範囲に包含される。本発明に従う代謝物のいくつかの例としては、以下が挙げられる:
(i)式(1)の化合物がメチル基を含む場合、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH3→−CH2OH):
(ii)式(1)の化合物がアルコキシ基を含む場合、そのヒドロキシ誘導体(−OR→−OH);
(iii)式(1)の化合物が第三級アミノ基を含む場合、その第二級アミノ誘導体(−NR12→−NHR1または−NHR2);
(iv)式(1)の化合物が第二級アミノ基を含む場合、その第一級アミノ誘導体(−NHR1→−NH2);
(v)式(1)の化合物がフェニル部分を含む場合、そのフェノール誘導体(−Ph→−PhOH);および
(vi)式(1)の化合物がアミド基を含む場合、そのカルボン酸誘導体(−CONH2→COOH)。
【0088】
1つまたはそれ以上の不斉炭素原子を含む式(1)の化合物は、2つまたはそれ以上の立体異性体として存在し得る。式(1)の化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含む場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体の可能性がある。化合物がエネルギー障壁を含む場合(例えば、ケトオル構造(keto orstructural)異性体が、低オキシム基または芳香族部分を介して相互交換可能である)、互変異性体(「互変異性(tautomerism)」)が生じ得る。これは、例えば、イミノ基、ケト基もしくはオキシム基を含む式(1)の化合物中のプロトン互変異性または芳香族部分を含む化合物中のいわゆる原子価互変異性の形態を取り得る。単一化合物が1つより多い異性体を示し得ることが理解される。
【0089】
1つより多いタイプの異性体および1つまたはそれ以上のその混合物を示す化合物を含む、式(1)の化合物の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性形態が本発明の範囲に包含される。対イオンが光学活性(例えば、d−乳酸塩もしくはl−リジン)またはラセミ体(例えば、dl−酒石酸塩もしくはdl−アルギニン)である酸付加塩または塩基性塩もまた包含される。
【0090】
シス/トランス異性体が、当業者に周知の慣用的な技術(例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶)によって分離され得る。
【0091】
個々のエナンチオマーの製造/単離についての慣用的な技術としては、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用する、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成またはラセミ化合物(または塩もしくは誘導体のラセミ化合物)の分解が挙げられる。
【0092】
あるいは、ラセミ化合物(またはラセミ前駆体)を、適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)と、または式(1)の化合物が酸性部分もしくは塩基性部分を含む場合、酒石酸もしくは1−フェニルエチルアミンのような酸もしくは塩基と反応させ得る。得られたジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって分離され、そして一方または両方のジアステレオ異性体が当業者に周知の方法によって対応する純粋なエナンチマーに変換されてもよい。
【0093】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、クロマトグラフィー、典型的に、0〜50質量%のイソプロパノール(典型的に2〜20質量%)および0〜5質量%のアルキルアミン(典型的に、0.1%のジエチルアミン)を含む炭化水素(典型的に、ヘプタンまたはヘキサン)からなる移動相を有する非対称樹脂でのHPLCを使用して、鏡像異性的に富化された形体で得られてもよい。溶出液の濃度により、富化混合物が生産される。
【0094】
立体異性集合体は、当業者に公知の慣用的な技術によって分離され得る−例えば、E.L.Eliel(Wiley,New York,1994)による「Stereochemistry of Organic Compounds」を参照のこと。
【0095】
本発明の1つの局面に従って、以下の式:
【化27】

の(R,R)立体異性体(ここで、R1が水素であり、そしてR2がC1−C4アルキル、好ましくはメチル、そしてQ1、Q2、Q3およびQ4が上で定義される通りである)が、一般的に好ましい。
【0096】
本発明は、全ての薬学的に受容可能な同位体標識した式(1)の化合物を包含し、ここで1つまたはそれ以上の原子が、同一の原子番号を有するが、原子量または質量数が自然界において主流である原子量または質量数と異なる原子によって置き換えられている。
【0097】
本発明の化合物に含有されるのに適切な同位体の例としては、2Hおよび3Hのような水素の同位体、11C、13Cおよび14Cのような炭素の同位体、36Clのような塩素の同位体、18Fのようなフッ素の同位体、123Iおよび125Iのようなヨウ素の同位体、13Nおよび15Nのような窒素の同位体、15O、17Oおよび18Oのような酸素の同位体、32Pのようなリンおよび35Sのような硫黄の同位体が挙げられる。
【0098】
特定の同位体標識した式(1)の化合物(例えば、放射性同位体を組み込んでいる化合物)は、薬物および/または基質組織分布研究に有用である。放射性同位体のトリチウム(すなわち、3H)および炭素−14(すなわち14C)は、それらの取り込みの容易さおよび即座の検出方法を考慮してこの目的に特に有用である。
【0099】
重水素(すなわち2H)のようなより重い同位体による置き換えは、より大きい代謝安定性から得られる特定の治療的利益(例えば、インビボでの半減期の増加または必要投薬量の減少)を提供し得、従って、ある状況において好ましくあり得る。
【0100】
11C、18F、15Oおよび13Nのような陽電子放出同位体による置換は、基質受容体の占有を調べる陽電子放出断層撮影(PET)の研究に有用であり得る。
【0101】
同位体標識された式(1)の化合物は、一般的に、当業者に公知の慣用的な技術によって、または以前に利用された同位体標識されていない試薬の代わりに適切に同位体標識された試薬を使用して、添付の実施例および製造例に記載されるのと類似の方法によって製造され得る。
【0102】
本発明に従う薬学的に受容可能な溶媒和物としては、結晶化の溶媒が同位体置換され得るものが挙げられる(例えば、D2O、d6−アセトン、d6−DMSO)。
【0103】
式(1)の化合物、その薬学的に受容可能な塩および/または誘導体形態は、有用な薬学的に活性な化合物であり、β2受容体が関与するかまたはこの受容体のアゴニズムが有益となる多数の障害(特に、アレルギー性気道疾患および非アレルギー性気道疾患)の治療または予防に適切であるだけでなく、以下に限定されないが、神経系、早期分娩、うっ血性心不全、うつ病、炎症性皮膚疾患およびアレルギー性皮膚疾患、乾癬、増殖性皮膚疾患、緑内障のような他の疾患ならびに胃液酸度の低下に利点を有する状態(特に、胃潰瘍および消化性潰瘍)の処置においても有用である。
【0104】
上記のような式(1)の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩および誘導体形態は、本発明に従って、動物に(好ましくは、哺乳動物に、特に、ヒトに)、治療および/または予防のための調合薬として投与され得る。これらは、それら自体、互いを含む混合物で、または通常の薬学的に無害な賦形剤および/または添加物に加えて、活性成分として有効量の少なくとも1つの式(1)の化合物、その薬学的に受容可能な塩および/または誘導体形態を含有する医薬品の形態で投与されてもよい。
【0105】
式(1)の化合物、その薬学的に受容可能な塩および/または誘導体化形態は、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥して、結晶質または非晶質の固形プラグ、粉末またはフィルムを得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥がこの目的に使用され得る。
【0106】
式(1)の化合物、その薬学的に受容可能な塩および/または誘導体化形態は、単独または他の薬物と組み合わせて投与され得、一般的に、1つまたはそれ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を伴う製剤として投与され得る。用語「賦形剤」は、本明細書中で、本発明の化合物以外のいずれの成分をも記載するために使用される。賦形剤の選択は、特定の投与モードに大きく依存する。
【0107】
本発明の化合物は経口投与され得る。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下を包含し得、化合物が口から直接血流に入ることによる口腔投与または舌下投与が利用され得る。
【0108】
経口投与に適切な製剤としては、錠剤;微粒子、液体または粉末を含有するカプセル;トローチ剤(液体充填を含む);咀嚼物(chew);多粒子およびナノ粒子;ゲル;固溶体;リポソーム;フィルム;胚珠(ovule);スプレーのような固形製剤;ならびに液体製剤が挙げられる。
【0109】
液体製剤としては、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。このような製剤は、ソフトまたはハードカプセル内の充填剤として利用され得、そして、典型的に、キャリア(例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切なオイル)ならびに1つまたはそれ以上の乳化剤および/または懸濁化剤が含有される。液体製剤はまた、例えば、小袋からの固体の再構成によって製造され得る。
【0110】
本発明の化合物はまた、Liang and ChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986(2001)に記載されるものような即溶解性、即崩壊性の投薬形態で使用され得る。
【0111】
錠剤投薬形態について、用量に依存して、薬剤は、投薬形態の1質量%〜80質量%、より典型的に、投薬形態の5質量%〜60質量%で製造され得る。薬物に加えて、一般的に、錠剤は錠剤分解物質を含む。錠剤分解物質の例としては、ナトリウムスターチグリコレート、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般的に、錠剤分解物質は、投薬形態の1質量%〜25質量%、好ましくは、5質量%〜20質量%で含まれる。
【0112】
一般的に、バイダーを使用して、錠剤に結合特性を与える。適切なバインダーとしては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然ゴムおよび合成ゴム、ポリビニルピロリドン、予めゲル化されたデンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤はまた、乳糖(一水和物、噴霧乾燥した一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウム二水和物のような希釈剤を含み得る。
【0113】
錠剤はまた、場合によって、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80のような界面活性剤ならびに二酸化ケイ素およびタルクのような流動促進剤を含んでもよい。存在する場合、界面活性剤は錠剤の0.2質量%〜5質量%で含まれ得、そして流動促進剤は、錠剤の0.2質量%〜1質量%で含まれ得る。
【0114】
一般的に、錠剤はまた、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物のような滑沢剤を含む。一般的に、滑沢剤は、錠剤の0.25質量%〜10質量%、好ましくは、0.5質量%〜3質量%で含まれる。
【0115】
他の可能な成分としては、酸化防止剤、着色剤、香味剤、防腐剤および風味マスキング剤が挙げられる。
【0116】
例示的な錠剤は、約80質量%までの薬物、約10質量%〜約90質量%のバインダー、約0質量%〜約85質量%の希釈剤、約2質量%〜約10質量%の錠剤分解物質および約0.25質量%〜約10質量%の滑沢剤を含む。
【0117】
錠剤ブレンドは、直接圧縮されるか、またはローラーによって圧縮され、錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部は、湿式造粒、乾式造粒もしくは溶解造粒されるか、溶解凍結されるか、または押し出されて、錠剤化され得る。最終的な製剤は、1層またはそれ以上の層を含んでもよく、そしてコートされていても、されていなくてもよい;これはカプセル化されてさえいてもよい。
【0118】
錠剤の製剤は、H.Lieberman and L.LachmanによつPharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1(Marcel Dekker New York,1980)に開示されている。
【0119】
ヒトまたは動物に使用するための摂取可能な経口フィルムは、典型的に、急速な溶解性または粘着性(mucoadhesive)であり得る水溶性または水膨潤可能な柔軟な薄膜投薬形態であり、そして典型的に、式(1)の化合物、フィルム形成ポリマー、バインダー、溶媒、湿潤剤、流動化剤、安定剤または乳化剤、粘度変性剤および溶媒を含む。製剤のいくつかの成分は、1つより多い機能を果たし得る。
【0120】
式(1)の化合物は、水溶性または不溶性であってもよい。典型的に、水溶性化合物は1質量%〜80質量%、より典型的に20質量%〜50質量%の溶質を含む。溶けにくい化合物は、より大きな割合の組成、典型的に88質量%までの溶質を含んでもよい。あるいは、式(1)の化合物は、多粒子ビーズの形態であってもよい。
【0121】
フィルム形成ポリマーは、天然の多糖類、タンパク質または合成親水コロイドから選択され得、そして典型的に、0.01質量%〜99質量%、より典型的に30〜80質量%の範囲で存在する。
【0122】
他の可能な成分としては、酸化防止剤、着色剤、香味剤および調味料、防腐剤、唾液刺激剤(salivary stimulating agent)、冷却剤、共溶媒(co−solvent)(オイルを含む)、軟化剤、充てん剤、消泡剤、界面活性剤ならびに風味マスキング剤が挙げられる。
【0123】
本発明に従うフィルムは、典型的に、剥離可能な基底剤または紙上にコートされた水性の薄膜をエバポレート乾燥することによって製造される。これは、乾燥室またはトンネル(典型的に組合わせたコートドライヤー)中で、または凍結乾燥もしくはバキュームによって行われ得る。
【0124】
経口投与用の固体製剤は、即時放出および/または改良された放出をするように配合され得る。改良された放出製剤としては、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム化された放出が挙げられる。
【0125】
本発明の目的のために適切な改良された放出製剤は、米国特許番号6,106,864号に記載される。高エネルギー分散、浸透圧およびコート化粒子のような他の適切な放出技術の詳細は、Verma et al(2001)によるPharmaceutical Technology On−line,25(2),1−14に見出される。制御放出を達成するためのチューインガムの使用は、WO 00/35298に記載されている。
【0126】
本発明の化合物はまた、血流に、筋肉にまたは内臓に直接投与され得る。非経口投与に適切な手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が挙げられる。非経口投与に適切なデバイスとしては、ニードル注射(極微針を含む)、ニードルを有さない注射および注入技術が挙げられる。
【0127】
非経口製剤は、典型的に、塩、炭水化物および緩衝化剤(好ましくは、pH3〜9)のような賦形剤を含有し得る水溶液であるが、いくつかの適用について、これらは、滅菌非水溶液として乾燥形態としてより適切に配合され、発熱物質を含まない滅菌水のような適切なビヒクルとともに使用され得る。
【0128】
滅菌条件下での、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準製薬技術を使用して、容易に達成され得る。
【0129】
非経口溶液の製造に使用される式(1)の化合物の溶解度は、溶解度増強剤の取り込みのような適切な製剤技術の使用により、増大させてもよい。
【0130】
非経口投与用の製剤は、即時放出および/または改良された放出をするように配合され得る。改良された放出製剤としては、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム化された放出が挙げられる。従って、活性化合物の改良された放出を与える移植デポ剤として投与するために、本発明の化合物は、固体、半固体またはチキソトロープ液として配合され得る。このような製剤の例としては、薬物コート化ステントおよびPGLAポリ(dl−乳酸−コグリコール酸)(PGLA)ミクロスフェアが挙げられる。
【0131】
本発明の化合物はまた、皮膚または粘膜に、すなわち真皮または経皮的に、局所投与され得る。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、粉剤、包帯剤、発泡体、フィルム、スキンパッチ、ウエハー、移植片、スポンジ、繊維、救急絆およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームもまた、使用され得る。典型的なキャリアとしては、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透増強剤が取り込まれてもよい−例えば、Finnin and MorganによるJ Pharm Sci,88(10),955−958(October 1999)を参照のこと。
【0132】
局所投与の他の手段としては、エレクトロポレーション、イオントフォレーゼ、フォノフォレシス、ソノフォレシスおよび極微針注射またはニードルを有さない注射(例えば、PowderjectTM、BiojectTMなど)による送達が挙げられる。
【0133】
局所投与用の製剤は、即時放出および/または改良された放出をするように配合され得る。改良された放出製剤としては、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム化された放出が挙げられる。
【0134】
本発明の化合物はまた、典型的には、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末の形態(単独であるか、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンド中の混合物として、または例えば、ホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合された混合成分粒子として)で、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような適切な高圧ガスを使用するか使用することなく、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、微細なミストを生ずるためにエレクトロヒドロダイナミックスを使用するアトマイザー)またはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、鼻腔内または吸入によって投与され得る。鼻腔内使用について、粉末は、生物接着剤(bioadhesive agent)(例えば、キトサンまたはシクロデキストリン)を含んでもよい。
【0135】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノールまたは活性化合物の分散、可溶化または延長放出のための適切な代替薬剤を含む本発明の化合物の溶液または懸濁液、溶媒として高圧ガスおよびソルビタントリオレート、オレイン酸もしくはオリゴ乳酸のような任意の界面活性剤を含む。
【0136】
乾燥粉末または懸濁製剤に使用する前に、薬物生成物は、吸入によって送達するのに適切なサイズ(典型的に、5ミクロン未満)に微粒にする。これは、スパイラルジェット微粉砕、流動床ジェット微粉砕、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化または噴霧乾燥のようないずれかの適切な粉砕方法によって達成され得る。
【0137】
吸入器(inhaler)または吸入器(insufflator)に使用されるための、カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから製造される)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物の粉末ミックス、ラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトールまたは硫酸マグネシウムのような性能変性剤(performance modifier)を含むように配合され得る。ラクトースは、無水物であっても、一水和物の形態(好ましくは後者)であってもよい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
【0138】
微細ミストを生じさせるためのエレクトロヒドロダイナミックスを使用するアトマイザー中で使用するのに適切な溶液製剤は、一作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含み得、そして作動体積は、1μl〜100μlで変更され得る。典型的な製剤は、式(1)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用され得る代替の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0139】
メントールまたは左旋性メントール(levomenthol)のような適切な風味剤またはサッカリンまたはサッカリンナトリウムのような甘味剤が、吸入/鼻腔内投与について意図された本発明のこれらの製剤に添加されてもよい。
【0140】
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えば、PGLAを使用して即座放出および/または改良された放出をするように配合され得る。改良された放出製剤としては、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム化された放出が挙げられる。
【0141】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投薬単位は、定量を送達するバルブによって測定される。本発明に従う単位は、典型的に、式(1)の化合物の0.001mg〜10mgを含有する定量または「パフ」を投与するために用意される。合計日用量は、典型的に、0.001mg〜40mgであり、この量は、単回用量または、さらに通常は、1日を通しての分割用量で投与され得る。
【0142】
式(1)の化合物は、吸入による投与に特に適切である。
【0143】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、ペッサリーまたは浣腸の形態で、直腸または経膣的に投与され得る。カカオバターが慣用的な坐剤基剤であるが、種々の代替物が、適当な場合、使用され得る。
【0144】
直腸/膣投与用の製剤は、即座放出および/または改良された放出をするように配合され得る。改良された放出製剤としては、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム化された放出が挙げられる。
【0145】
本発明の化合物はまた、典型的に、等張性pH調節滅菌生理食塩水中で微細化された懸濁液または溶液の滴の形態で、眼または耳に直接投与され得る。眼および耳の投与に適切な他の製剤としては、軟膏、生体分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生体分解性(例えば、シリコーン)の移植片、ウエハー、レンズおよび微粒子またはニオソームもしくはリポソームのような小胞系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸のようなポリマー;セルロース性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース);またはヘテロポリサッカリドポリマー(例えば、ゼラチンガム)は、ベンズアルコニウムクロライドのような防腐剤とともに組み込まれ得る。このような製剤はまた、イオントフォレーゼによって送達され得る。
【0146】
眼/耳投与用の製剤は、即座放出および/または改良された放出をするように配合され得る。改良された放出製剤としては、遅延放出、徐放、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム化された放出が挙げられる。
【0147】
本発明の化合物は、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体のような可溶性高分子実体またはポリエチレングリコール含有ポリマーと組み合わせて、いずれかの前述の投与モードを使用するために、それらの溶解度、溶解速度、風味マスキング、バイオアベイラビリティおよび/または安定性が改善され得る。
【0148】
薬物−シクロデキストリン錯体は、例えば、ほとんどの投薬形態および投与経路について一般的に有用であることが見出されている。包接錯体および非包接錯体の両方が使用され得る。薬物との錯体化に関する代替法として、シクロデキストリンが、補助添加剤、すなわち、キャリア、希釈剤または可溶化剤として使用され得る。α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンがこれらの目的のために最も一般的に使用され、これらの例としては、国際特許出願番号WO91/11172、WO94/02518およびWO98/55148に見出され得る。
【0149】
例えば、特定の疾患または状態を処置する目的のために、活性成分の組合せを投与することが所望され得るので、2つまたはそれ以上の医薬組成物(そのうちの少なくとも1つが本発明に従う化合物を含む)が組成物の同時投与に適切なキットの形態で慣用的に組み合わされ得ることは、本発明の範囲内である。
【0150】
従って、本発明のキットは、2つまたはそれ以上の別々の医薬組成物(そのうちの少なくとも1つが本発明に従う式(1)の化合物を含む)を含み、そして容器、分包ボトルまたは分包ホイル小包のような前記組成物を別々に保持するための手段を含む。このようなキットの例としては、錠剤、カプセルなどの梱包に使用される公知のブリスターパックが挙げられる。
【0151】
本発明のキットは、異なった投薬形態を(例えば、非経口)投与するのに、異なった投薬間隔で別々の組成物を投与するのに、または互いに反する別々の組成物を漸増するのに特に適切である。コンプライアンスを支援するために、典型的に、キットは投与の説明書を備え、そしていわゆる記憶補助を提供し得る。
【0152】
ヒト患者に投与するために、本発明の化合物の合計日用量は、もちろん、投与モードに依存するが、典型的に、0.001mg〜5000mgである。例えば、静脈内日用量は、0.001mg〜40mgを必要とするだけかもしれない。合計日用量は、単回用量または分割用量で投与され得、そして医師の判断で、本明細書中で与えられる典型的な範囲から外れてもよい。
【0153】
これらの投薬量は、約65〜70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づく。医師は、乳児および高齢者のような体重がこの範囲から外れる被検者についての用量を容易に決定することができる。
【0154】
懸念の回避のために、本明細書でいう「処置」とは、治療的、緩和的よび予防的処置が包含される。
【0155】
本発明の別の実施形態に従って、式(1)の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物をまた、患者に同時投与される1つまたはそれ以上の追加の治療剤との組み合わせとして使用して、以下に限定されないが、(i)気管支収縮、(ii)炎症、(iii)アレルギー、(iv)組織破壊、(v)息切れ、咳のような徴候および症状が挙げられる病態生理学的に関連した疾患プロセスの処置のようないくつかの特定の所望される治療結果を得ることができる。第2およびさらなる追加の治療剤はまた、式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物、または当該分野で公知の1つまたはそれ以上のβ2アゴニストであり得る。さらに典型的に、第2およびさらなる治療剤は、異なるクラスの治療剤から選択される。
【0156】
本明細書で使用される場合、式(1)の化合物および1つまたはそれ以上の他の治療剤に関して用語「同時投与」、「同時投与される」および「組合せ」は、以下を意味することを意図し、そして以下を参照し、そして包含する:
・このような成分が前記患者に実質的に同時に前記成分を放出する単一投薬形態に一緒に配合される場合、処置が必要な患者への式(1)の化合物と治療剤とのこのような組合わせの同時投与;
・このような成分が前記患者によって実質的に同時に摂取される別個の投薬形態に互いに別個に配合され、その際、前記成分が前記患者に実質的に同一時間に放出される場合の、処置が必要な患者への式(1)の化合物と治療剤とのこのような組合わせの実質的同時投与;
・このような成分が各投与の間のかなりの時間間隔で前記患者によって連続時間で摂取される別個の投薬形態に互いに別個に配合され、その際、前記成分が前記患者に実質的に異なる時間に放出される場合の、処置が必要な患者への式(1)の化合物と治療剤とのこのような組合わせの逐次投与;および、
・このような成分が制御様式で前記成分を放出する単一投薬形態に一緒に配合され、その際、これらが前記患者によって同時および/または異なる時間で、同時投与、連続投与および/または重複投与される場合の、処置が必要な患者への式(1)の化合物と治療剤とのこのような組み合わせの逐次投与、
ここで、各部分は、同一または異なる経路により投与され得る。
【0157】
式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物と組合わせて使用され得る他の治療剤の適切な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)インヒビターまたは5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、
(b)LTB4、LTC4、LTD4およびLTE4のアンタゴニストを含むロイコトリエンアンタゴニスト(LTRA)、
(c)H1アンタゴニストおよびH3アンタゴニストを含むヒスタミン受容体アンタゴニスト、
(d)充血除去剤使用のためのα1−およびα2−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経様作用薬、
(e)ムスカリン様M3受容体アンタゴニストまたは抗コリン作用薬、
(f)PDEインヒビター(例えば、PDE3インヒビター、PDE4インヒビターおよびPDE5インヒビター)、
(g)テオフィリン、
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)非選択性および選択性のCOX−1インヒビターまたはCOX−2インヒビター(NSAID)の両方のCOXインヒビター、
(j)DAGR(コルチコイド受容体の解離性アゴニスト)のような経口および吸入グルココルチコステロイド、
(k)内因性炎症実体(endogenous inflammatory entity)に対して活性なモノクロナール抗体、
(l)抗腫瘍性壊死因子(抗−TNF−α)剤、
(m)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子インヒビター、
(n)キニン−B1−受容体アンタゴニストおよびB2−受容体アンタゴニスト、
(o)免疫抑制剤、
(p)マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)のインヒビター、
(q)タチキニンNK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニストおよびNK3の受容体アンタゴニスト、
(r)エラスターゼインヒビター、
(s)アデノシンA2a受容体アゴニスト、
(t)ウロキナーゼのインヒビター、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物(例えば、D2アゴニスト)、
(v)NFκβ経路のモジュレータ(例えば、IKKインヒビター)、
(w)p38MAPキナーゼ、sykキナーゼまたはJAKキナーゼインヒビターのようなサイトカインシグナル伝達経路のモジュレータ 、
(x)粘液溶解薬または鎮咳薬として分類され得る薬剤、
(y)抗生物質、
(z)HDACインヒビター、および
(aa)PI3キナーゼインヒビター。
【0158】
本発明に従って、式(1)の化合物と以下:
−H3アンタゴニスト、
−ムスカリン様M3受容体アンタゴニスト、
−PDE4インヒビター
−グルココルチコステロイド、
−アデノシンA2a受容体アゴニスト、
−p38MAPキナーゼまたはsykキナーゼのようなサイトカイン反応経路のモジュレータ、または
−LTB4、LTC4、LTD4およびLTE4のアンタゴニストを含むロイコトリエンアンタゴニスト(LTRA)
との組合せが好ましい。
【0159】
本発明に従って、式(1)の化合物と以下:
−グルココルチコステロイド、特に、プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタソンジプロピオネート、ブデソニド、フルチカソンプロピオネート、シクレソニドおよびモメタソンフロエートを含む全身性副作用の低い吸入グルココルチコステロイド;または、
−特に、イプラトロピウム塩、すなわち、臭化物;チオトロピウム塩、すなわち、臭化物;オシトロピウム塩、すなわち、臭化物;ペレンゼピン;および、テレンゼピンを含むムスカリン様M3受容体アンタゴニストまたは抗コリン作用薬;
との組合せがさらに好ましい。
【0160】
本明細書でいう全ての「処置」とは、治療的、緩和的よび予防的処置が包含されることが理解されるべきである。以下の記述は、式(1)の化合物が賦され得る治療適用に関する。
【0161】
式(1)の化合物は、β2受容体と相互作用する能力を有し、それにより、β2受容体が全ての哺乳動物の生理機能において果たす本質的な役割のために、さらに以下に記載されるような広範な治療適用を有する。
【0162】
従って、本発明のさらなる居面は、β2受容体が関与する疾患、状態および症状の処置に使用される式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物に関する。より詳細には、本発明はまた、以下からなる群から選択される疾患、状態および症状の処置に使用される式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物に関する:
・いずれかのタイプ、病因または病原の喘息、特に、アトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE−媒介喘息、気管支喘息、特発性喘息、真性喘息、病態生理学的障害によって生ずる内因性喘息、環境因子によって生ずる外因性喘息、未知または不明瞭な原因の特発性喘息、非アトピー性喘息、気管支炎喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業性喘息、細菌、真菌、原生動物またはウイルス感染によって生ずる感染性喘息、非アレルギー性喘息、初発喘息(incipient asthma)、ぜん鳴乳幼児症候群(wheezy infant syndrome)および細気管支炎からなる群から選択されるメンバーである喘息、
・慢性または急性の気管支収縮、慢性気管支炎、末梢気道閉塞症および気腫、
・いずれかのタイプ、病因または病原の閉塞性または炎症性の気道疾患、特に、慢性好酸球性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、COPDに付随するかまたは付随しない慢性気管支炎、肺気腫または呼吸困難を含むCOPD、不可逆的進行性気道閉塞によって特徴付けられるCOPD、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物治療の結果として生じる気道過敏性の悪化および肺高血圧に付随する気道疾患からなる群から選択されるメンバーである閉塞性または炎症性の気道疾患、
・いずれかのタイプ、病因または病原の気管支炎、特に、急性気管支炎、急性喉頭気管の気管支炎、アラキジン酸誘発気管支炎(arachidic bronchitis)、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、乾性気管支炎、感染性喘息気管支炎、増殖性気管支炎(productive bronchitis)、ブドウ球菌性または連鎖球菌性の気管支炎および水疱性気管支炎からなる群から選択されるメンバーである気管支炎、
・急性肺障害、
・いずれかのタイプ、病因または病原の気管支拡張症、特に、円柱状気管支拡張症、小嚢性気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、細気管支拡張症(capillary bronchiectasis)、嚢状気管支拡張症、乾性気管支拡張症および濾胞性気管支拡張症からなる群から選択されるメンバーである気管支拡張症。
【0163】
本発明のなおさらなる局面はまた、β2アゴニスト活性を有する薬物を製造するための式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物の使用に関する。特に、本発明は、β2介在性疾患および/または状態、特に、上で列挙した疾患および/または状態を処置するための薬物を製造するための式(1)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物の使用に関する。
【0164】
結果として、本発明は、有効量の式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物を用いてヒトを含む哺乳動物を処置するための特に興味深い方法を提供する。より詳細には、本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるβ2介在性疾患および/または状態、特に、上で列挙した疾患および/または状態を、処置するための特に興味深い方法を提供し、有効量の式(1)の化合物、その薬学的に受容可能な塩および/または誘導体化形態で前記哺乳動物に投与する工程を包含する。
【実施例】
【0165】
以下の実施例は、式(1)の化合物の製造を例示する:
実施例1〜12
【化28】

フッ化アンモニウムの水溶液(15当量、20mg.ml-1)を、製造例37、39〜43、45、46、48、49、52および54(1当量)からの保護化化合物のメタノール溶液(45〜100ml.mmol-1)に添加し、そして反応系を40℃にて18時間撹拌した。反応混合物を減圧下エバポレートし、そして残留物をBiotage(R)シリカゲルカートリッジを使用するカラムクロマトグラフィーによって、溶出液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(97:3:0.3〜93:7:0.7)を使用して精製した。生成物をエーテルで摩砕し、固体として表題の化合物を得た。
【0166】
【表1】

【0167】
【表2】

【0168】
【表3】

【0169】
【表4】

【0170】
実施例13〜18
【化29】

フッ化アンモニウム(10〜15当量)を、メタノール(40〜44ml.mmol-1)および水(17〜25ml.mmol-1)中の製造例38、44、51、50、47および53(1当量)からの保護化化合物の溶液に添加し、そして反応系を40℃にて18時間撹拌した。反応混合物を減圧下エバポレートし、そして残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって、溶出液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5〜90:10:1)を使用して精製した。生成物をエーテルまたはペンタンで摩砕し、固体として表題の化合物を得た。
【0171】
【表5】

【0172】
【表6】

【0173】
A−tlc分析の18時間後、出発物質の残りを示したので、追加のフッ化アンモニウム(5〜6当量)を添加し、そして反応系を40℃にてさらに18時間撹拌した。
B−化合物は、Biotage(R)シリカゲルカートリッジおよび溶出液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0:0〜95:5:0.5)を使用して精製した。
【0174】
実施例19〜23
【化30】

実施例13〜18に記載される手順に従って、上記の一般式の化合物を製造例31、33、32、34および30の化合物から製造した。
【0175】
【表7】

【0176】
【表8】

【0177】
A−tlc分析の18時間後、出発物質の残りを示したので、追加のフッ化アンモニウム(5〜6当量)を添加し、そして反応系を40℃にてさらに18時間撹拌した。
【0178】
実施例24
N−{3−[(ベンジルアミノ)スルホニル]ベンジル}−2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセトアミド
【化31】

フッ化アンモニウム(134mg、3.61mmol)を、水(4ml)およびメタノール(7ml)中の製造例36からの化合物(132mg、0.18mmol)の溶液に添加し、そして反応系を40℃にて18時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、そして残留物をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(93:7:0.5)を使用して、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色のゴム状物を得た。これをエーテルで摩砕し、そして混合物を減圧下エバポレートし、白色固体として表題の化合物(55mg)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.06(d,3H),2.55−2.60(dd,1H),2.67−2.73(m,2H),2.84−2.89(m,1H),2.93−2.98(m,1H),3.53(s,2H),3.98(s,2H),4.40(s,2H),4.59−4.63(m,3H),6.69(d,1H),6.98−7.03(m,2H),7.08(s,1H),7.13−7.24(m,8H),7.44(d,2H),6.67−7.72(m,2H)。
LRMS:m/zES+618[MH+
微量分析の実測値:C,64.50;H,6.47;N,6.54。C343936S+0.85H2Oは、C,64.51;H,6.48;N,6.64%を要する。
【0179】
実施例25
2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}−N−{4−[({[(3−フェノキシベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)メチル]ベンジル}アセトアミド
【化32】

上の実施例に記載される手順に従って、白色固体として、54%の収率で表題の化合物を、製造例55からの化合物(157mg、0.192mmol)から製造した。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.05(d,3H),2.52−2.57(dd,1H),2.65−2.71(m,2H),2.82−2.93(m,2H),3.48(s,2H),4.22−4.30(m,6H),4.61(s,3H),6.66−6.70(d,1H),6.83(d,1H),6.92−7.33(m,18H)。
LRMS:m/zES+703[MH+
微量分析の実測値:C,70.04;H,6.81;N,7.82。C424646+0.95H2Oは、C,70.07;H,6.71;N,7.78%を要する。
【0180】
実施例26
N−(3,4−ジメトキシベンジル)−4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンズアミド
【化33】

テトラヒドロフラン(2ml)、水(2ml)および酢酸(6ml)中の製造例35からの化合物(170mg、0.23mmol)の溶液を65℃にて18時間撹拌し、室温にてさらに72時間撹拌した。反応混合物を減圧下エバポレートし、そして残留物をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5〜90:10:1)の溶出勾配を使用してシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られたゴム状物をエーテルで摩砕し、白色固体として表題化合物(61mg)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.06(d,3H),2.55−2.61(dd,1H),2.66−2.75(m,2H),2.82−2.98(m,2H),3.52(s,2H),3.80(s,6H),4.40(s;2H),4.48(s,2H),4.61(m,3H),6.69(d,1H),6.89(s,2H),6.96(s,1H),7.01(d,2H),7.08(s,1H),7.13(m,1H),7.19(m,2H),7.30(d,2H),7.77(d,2H)。
LRMS:m/zES+618[MH+][α]D=−17.20(c=0.10,MeOH)
【0181】
製造例1
メチル2−(ベンジルオキシ)−5−((1R)−2−ブロモ−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)ベンゾエート
メチル2−(ベンジルオキシ)−5−[(1R)−2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル]ベンゾエート(Tett.Lett.1994,35(50),9375)(71.05g、195mmol)、イミダゾール(18.52g、272mmol)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(32.23g、214mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.44g、3.6mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(270ml)を、室温にて、窒素雰囲気下、24時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、そして残留物を酢酸エチル(500ml)と水(500ml)との間で分配した。有機相を分離し、そして2N塩酸(2×500ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×500ml)、飽和塩化ナトリウム溶液(500ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして溶媒を真空で除去し、無色の油状物として表題化合物(91.0g)を得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ−0.08(s,3H),0.11(s,3H),0.90(s,9H),3.39−3.48)m,2H),3.91(s,3H),4.82−4.85(m,1H),5.19(s,2H),7.01(d,1H),7.30−7.51(m,6H),7.81(brs,1H)。LRMS:m/zES+501,503[M+Na]+
【0182】
製造例2
[2−(ベンジルオキシ)−5−((1R)−2−ブロモ−1−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)フェニル]メタノール
ボランジメチルスルフィド錯体(約10M溶液の42.4m1、424mol)を、製造例1(91.0g、189mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1600ml)に滴下した。次いで、得られた混合物を還流状態にて2時間加熱し、次いで、0℃まで冷却し、メタノール(270ml)でクエンチした。混合物を室温にて16時間撹拌し、次いで溶媒を真空で除去した。残留物をジクロロメタン(500ml)と水(500ml)との間で分配した。水相を分離し、そしてジクロロメタン(500ml)で抽出し、そして合わせた有機溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液(500ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして溶媒を真空で除去した。残留物をシクロヘキサン:酢酸エチル(容量で100:0〜80:20に変える)で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色の油状物として表題化合物(68.7g)を得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ−0.07(s,3H),0.11(s,3H),0.90(s,9H),3.40−3.48(m,2H),4.74(s,2H),4.81−4.84(m,1H),5.12(s,2H),6.94(d,1H),7.25−7.29(m,3H),7.36−7.42(m,5H)。
LRMS:m/zES+473,475[M+Na]+
【0183】
製造例3
(3−ブロモ−フェニル)−酢酸メチルエステル
アセチルクロリド(0.7mol、9.3mmol)を、窒素下、0℃の(3−ブロモ−フェニル)−酢酸(20.0g、93mmol)のメタノール溶液(500ml)にゆっくりと添加し、そして反応系を室温まで5時間かけて徐々に温めた。溶媒を減圧下除去し、そして残留物をジクロロメタンに溶解させ、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、そして減圧下濃縮し、無色の油状物として表題化合物(20.6g)を得た。
1HNMR(CDCl3,400MHz)δ:3.59(s,2H),3.70(s,3H),7.17−7.24(m,2H),7.37−7.45(m,2H)
LRMSzm/zES+253[M+Na]+
【0184】
製造例4
[3−(2−オキソ−プロピル)−フェニル]−酢酸メチルエステル
製造例3からの臭化物(15.0g、65.0mmol)、トリブチルスズメトキシド(28.3ml、98.0mmol)、イソプロペニルアセテート(10.8ml、98.0mmol)、酢酸パラジウム(II)(750mg、3.30mmol)およびトリ−オルト−トリルホスフィン(2.0g、6.5mmol)の混合物を、トルエン(75ml)と一緒に100℃にて、窒素雰囲気下、5時間撹拌した。冷却した後、反応系を酢酸エチル(150ml)および4Mフッ化カリウム水溶液(90ml)で希釈し、そして混合物を15分間撹拌した。混合物をArbocel(R)に通して濾過し、そして有機相を分離し、そして減圧下減量した。残留物をジエチルエーテル:ペンタン:ジクロロメタン(容量で、0:100:0〜25:75:0〜0:0:100)の溶媒勾配で溶出する、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、淡黄色油状物として表題化合物(12.6g)を得た。
1Hnmr(CDCl3,400MHz)δ:2.15(s,3H),3.61(s,2H),3.69(m,5H),7.10−7.13(m,2H),7.19(d,1H),7.30(dd,1H)。
LRMS:m/zES+224[M+NH4+
【0185】
製造例5
{3−[(2R)−2−((1R)−1−フェニル−エチルアミノ)プロピル]−フェニル}−酢酸メチルエステル塩酸塩
製造例4からのケトン(8.5g、41.2mmol)、(R)−α−メチルベンジルアミン(4.8m1、37.2mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(11.6g、56mmol)および酢酸(2.2mol、38mmol)のジクロロメタン溶液(400ml)を、室温にて48時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200ml)を添加することによって、反応混合物をクエンチし、そして沸騰が止むまで撹拌した。有機相を分離し、そして水相をジクロロメタン(100ml)で抽出した。合わせた有機溶液を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、そして減圧下濃縮した。ジクロロメタン:メタノール:88アンモニア(容量で、99:1:0.1〜95:5:0.5)で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによる精製によって、淡黄色油状物として4:1のジアステレオマー混合物(主にR,R)(8.71g)を得た。メタノール中、過剰な1M塩化水素で処理し、その後、3回の連続的な結晶化(ジイソプロピルエーテル/メタノール)によって無色の結晶性固体として表題化合物(5.68g)を得た。
1Hnmr(CD3OD,400MHz)δ:1.18(d,3H),1.68(d,3H),2.60−2.66(m,1H),3.15−3.26(m,1H),3.25−3.30(m,1H),3.30(s,3H),3.62(s,2H),4.59(q,1H),7.00(m,2H),7.17(m,1H),7.27(m,1H),7.50(m,5H)。
LRMS:m/zES+312[M+H]+
【0186】
製造例6
メチル{3−[(2R)−2−アミノプロピル]フェニル}アセテート
製造例5からの化合物(7.69g、22mmol)およびギ酸アンモニウム(6.94g、110mmol)のエタノール溶液(40ml)を、炭素上20%水酸化パラジウム(Pd(OH)2/C、2.00g)の存在下、75℃まで加熱した。90分後、反応混合物を室温まで冷却し、Arbocel(R)に通して濾過し、そして濾液を真空濃縮した。残留物をジクロロメタン(100ml)と0.88アンモニア(100ml)との間で分配し、そして有機相を分離した。水相をジクロロメタン(100ml)で抽出し、そして合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして真空で減量し、無色の油状物として表題化合物(4.78g)を得た。
1HNMR(400MHz,CD3OD):δ1.06(d,3H),2.57−2.67(m,2H),3.05−3.12(m,1H),3.63(s,3H),3.67(s,3H),7.11(m,3H),7.25(m,1H)。
LRMS:m/zES+208[M+H]+
【0187】
製造例7
メチル(3−{(2R)−2−[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−[ベンジルオキシ]−3−ヒドロキシメチル−フェニル)−エチルアミノ]−プロピル}−フェニル)−アセテート
製造例2からの臭化物(12.5g、27.7mmol)および製造例6からのアミン(11.5g、55.4mmol)のジクロロメタン溶液(130ml)を90℃まで加熱し、ジクロロメタンをエバポレートした。得られた溶解物を90℃にてさらに16時間放置した。反応混合物を室温まで冷却し、そしてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(容量で、98:2:0.2〜97:3:0.3)で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色の油状物として表題化合物(12.1g)を得た。
1HNMR(400MHz,CD3OD):δ−0.19(s,3H),0.00(s,3H),0.83(s,9H),1.05(d,3H),2.55−2.68(m,3H),2.80−2.95(m,2H),3.58(s,2H),3.66(s,3H),4.67(d,2H),4.74(t,1H),5.12(s,3H),6.92(d,1H),7.00(d,1H),7.03(s,1H),7.07−7.13(m,2H),7.15−7.19(m,1H),7.29−7.39(m,4H),7.46(m,2H)。
LRMS:m/zES+578[M+H]+
【0188】
製造例8
メチル(3−{(2R)−2−[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−フェニル)−エチルアミノ]−プロピル}−フェニル)−アセテート
製造例7からの化合物(5.27g、9.12mmol)および炭素上10%パラジウム(1.00g)のエタノール懸濁液(50ml)を水素雰囲気下(60psi)、室温にて16時間撹拌した。触媒をArbocel(R)に通して濾過して除去し、そして濾液を真空濃縮した。残留物をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(容量で、96:4:0.4〜95:5:0.5)で溶出するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、淡黄色油状物として表題化合物(1.99g)を得た。
1HNMR(400MHz,CD3OD):δ−0.20(s,3H),−0.01(s,3H),0.82(s,9H),1.06(d,3H),2.55−2.69(m,3H),2.86−2.96(m,2H),3.59(s,2H),3.67(s,3H),4.62(d,2H),4.70(t,1H),6.68(d,1H),6.98−7.03(m,3H),7.10(d,1H),7.19(m,2H)。
LRMS:m/zES+488[M+H]+
【0189】
製造例9
(3−{(2R)−2−[(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−フェニル)−エチルアミノ]−プロピル}−フェニル)−酢酸
製造例8からのエステル(7.04g、14.43mmol)のテトラヒドロフラン溶液(40ml)を水酸化リチウム(1M水溶液の28.9ml、28.9mmol)で処理し、そして反応系を室温にて16時間撹拌した。塩酸(1M水溶液の28.9ml、28.9mmol)を添加し、そしてテトラヒドロフランを真空で除去した。残りの水層を静かに注ぎ、そして残留物をさらに水(10ml)で洗浄した。残留物をメタノール(30ml)に再溶解し、そして溶媒を真空で除去し、無色の発泡体として表題化合物(5.95g)を得た。
1HNMR(400MHz,CD3OD):−0.13(s,3H),0.06(s,3H),0.86(s,9H),1.22(d,3H),2.72−2.77(dd,1H),2.93−2.98(dd,1H),3.09−3.13(dd,1H),3.23−3.28(dd,1H),3.43−3.48(m,1H),3.48(s,2H),4.64(d,2H),4.97(m,1H),6.78(d,1H),7.02(d,1H),7.11(d,1H),7.13(s,1H),7.18−7.25(m,2H),7.32(s,1H)。
LRMS:ES+m/z474[M+H]+
微量分析の実測値:C64.15,H8.25,N2.84;C2639NO5Si+0.7H2Oは、C64.22,H8.37,N2.88%を要する。
【0190】
製造例10
メチル4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}ベンゾエート
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.44g、9.28mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(60ml)中の製造例9からの酸(4.0g、8.22mol)、メチル4−(アミノメチル)ベンゾエート(1.54g、9.28mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.25g、9.28mmol)およびトリエチルアミン(3.53g、25.3mmol)の混合物に添加し、そして反応系を室温にて64時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、そして油性残留物を、ジクロロメタン(50ml)と重炭酸ナトリウム溶液(50ml)との間で分配し、そして層を分離した。水溶液をさらにジクロロメタン(3×75ml)で抽出し、合わせた有機層を水(30ml)およびブライン(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下エバポレートした。残りのオレンジ色油状物を溶出液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物(3.03g)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:−0.18(s,3H),0.02(s,3H),0.84(s,9H),1.04(d,3H),2.53(m,1H),2.60−2.70(m,2H),2.82−2.94(m,2H),3.52(s,2H),3.86(s,3H),4.42(s,2H),4.61(d,2H),4.66(m,1H),6.64−6.70(d,1H),6.86−7.02(brd,2H),7.04(s,1H),7.17(d,1H),7.20(m,2H),7.24−7.36(d,2H),7.86−7.92(d,2H)。
LRMS:m/z621[M+H]+
【0191】
製造例11
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}安息香酸
水酸化リチウム水溶液(9.76mol、1M、9.76mmol)を、製造例10からのエステル(3.03g、4.88mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20ml)に添加し、そして反応系を室温にて7時間撹拌した。混合物を氷中で冷却し、そして1M塩酸(9.76mol、1M、9.76mol)の添加によって中和した。テトラヒドロフランを真空除去し、そして残りの水溶液を静かに注いだ。残留物をメタノールと共に共沸させ、白色固体として表題化合物(2.96g)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:−0.17(s,3H),0.07(s,3H),0.86(s,9H),1.17(d,3H),2.66−2.72(dd,1H),2.98−3.03(dd,1H),3.13(dd,1H),3.24(m,1H),3.40(m,1H),3.55(s,2H),4.40(s,2H),4.67(d,2H),4.97−5.00(m,1H),6.79(d,1H),7.09−7.15(m,3H),7.20−7.36(m,5H),7.87−7.89(d,2H)。
LRMS:m/z607[M+H]+
【0192】
製造例12
tert−ブチル(4−{[(3,4−ジメトキシベンジル)アミノ]カルボニル}ベンジル)カルバメート
N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中の4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−安息香酸(1.0g、4mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(920mg、4.8mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(600mg、4.4mmol)、3,4−ジメトキシベンジルアミン(730mg、4.4mmol)およびN−エチルジイソプロピルアミン(2.5ml、14mmol)の混合物を、室温にて18時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、そして残留物を酢酸エチルに溶解した。この溶液を1N塩酸(2×)、重炭酸ナトリウム溶液(2×)および塩化ナトリウム溶液で洗浄した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして減圧下エバポレートし、無色の固体として表題化合物(1.6g)を得た。
1HNMR(CDCl3,400MHz)δ:1.44(s,9H),3.84(s,6H),4.35(s,2H),4.58(d,2H),4.98(brs,1H),6.42(s,1H),6.81(d,1H),6.88(m,2H),7.36(d,2H),7.76(d,2H)。
LRMS:m/zAPCl+401[M+H+
【0193】
製造例13
tert−ブチル(4−{[(4−フェノキシベンゾイル)アミノ]メチル}ベンジル)カルバメート
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(722mg、4.65mmol)を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(628mg、4.65mmol)、4−フェノキシ安息香酸(996mg、4.65mmol)、tert−ブチル4−アミノメチルベンジルカルバメート(1.0g、4.23mmol)およびトリエチルアミン(1.79mol、12.7mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(50ml)に添加し、そして反応系を室温にて18時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、そして残留物を酢酸エチル(50ml)と水(20ml)との間で分配し、そして層を分離した。水溶液を酢酸エチル(5×50ml)でさらに抽出し、そして合わせた有機溶液を水(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下エバポレートした。粗生成物をジクロロメタン:メタノール(100:0〜98:2)の溶出勾配を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物(647mg)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.44(s,9H),4.19(s,2H),4.54(s,2H),7.00(d,2H),7.05(d,2H),7.16−7.24(m,3H),7.30(d,2H),7.40(m,2H),7.84(d,2H)。
LRMS:m/z455[M+Na+
【0194】
製造例14
tert−ブチル{4−[(1−ナフトイルアミノ)メチル]ベンジル}カルバメート
製造例13に記載される手順に従って、1−ナフトエ酸およびtert−ブチル4−アミノメチルベンジルカルバメートから、79%の収率で薄茶色固体として表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz)δ:1.37(s,9H),4.10(d,2H),4.50(d,2H),7.21(d,2H),7.31−7.39(m,3H),7.53(m,3H),7.62(d,1H),7.93−8.02(m,2H),8.17(m,1H),9.05(m,1H)。
【0195】
製造例15
tert−ブチル(4−{[(4−エトキシベンゾイル)アミノ]メチル}ベンジル)カルバメート
4−エトキシベンゾイルクロリド(702mg、3.80mmol)のジクロロメタン溶液(5ml)を、氷冷したtert−ブチル4−アミノメチルベンジルカルバメート(1.0g、4.23mmol)およびトリエチルアミン(1.60mol、11.4mmol)のジクロロメタン溶液(45ml)に滴下した。添加が完了すると、反応系を室温まで温め、18時間撹拌した。反応系を重炭酸ナトリウム溶液(25ml)で洗浄し、そして水溶液をジクロロメタン(4×50ml)で再抽出した。合わせた有機溶液を水(2×25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下エバポレートした。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール(99:1)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物(656mg)を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz)δ:1.30−1.36(m,12H),4.03−4.09(m,4H),4.40(d,2H),6.95(d,2H),7.15(d,2H),7.22(d,2H),7.33(m,1H),7.83(d,2H),8.82(m,1H)。
【0196】
製造例16
N−[4−(アミノメチル)ベンジル]−4−エトキシベンズアミド塩酸塩
製造例15からの化合物(656mg、1.88mmol)のジオキサン中4M塩酸溶液(4.71ml、18.8mmol)を、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を減圧下エバポレートし、白色固体として表題化合物を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz)δ:1.32(t,3H),3.95(m,2H),4.03−4.09(q,2H),4.43(d,2H),6.95(d,2H),7.32(d,2H),7.40(d,2H),7.84(d,2H),5.37(m,3H),8.95(m,1H)。
LRMS:m/zAPCl+285[M+H+
【0197】
製造例17〜18
一般式:
【化34】

の以下の化合物を、製造例16に記載されるのと類似の手順に従って、対応する保護化アミンから製造した。
【表9】

【0198】
製造例19
4−(アミノメチル)−N−(3,4−ジメトキシベンジル)ベンズアミド塩酸塩
飽和が達成されるまで、塩化水素を氷冷した製剤12からの化合物(1.6g、4.0mmol)のジクロロメタン溶液(30ml)に通して泡立てた。次いで、溶液を室温にて2時間撹拌した。溶液を減圧下エバポレートし、残留物をエーテルで十分に摩砕し、そして得られた固体を濾過して除去し、そして乾燥させ、表題化合物(1.04g)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:3.82(s,6H),4.19(s,2H),4.52(s,2H),6.92(s,2H),6.99(s,1H),7.68(d,2H),7.96(d,2H)。
LRMS:m/zAPCl+301[M+H+
【0199】
製造例20
ベンジル[4−(アミノメチル)ベンジル]カルバメート
ベンジルクロロホルメート(10.48ml、74mmol)のジクロロメタン溶液(250mol)を、氷冷した4−アミノメチルベンジルアミン(10g、74mmol)およびトリエチルアミン(9.77ml、74mmol)のジクロロメタン溶液(480ml)に、90分かけて添加した。混合物を減圧濃縮し、そして残留物を酢酸エチル(450ml)と1M水酸化ナトリウム溶液(300ml)との間で分配した。得られた混合物を濾過し、層を分離し、そして有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下エバポレートした。残留物を温めた酢酸エチルに溶解し、溶液を氷浴中で冷却し、得られた固体を濾過して除去し、そして濾液を減圧下エバポレートし、白色固体として表題化合物(7.44g)を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz):3.63(s,2H),4.18(s,2H),5.01(s,2H),7.12−7.39(m,9H),7.77(s,1H)。
LRMS:m/zES+271[M+Na+
【0200】
製造例21
ベンジル(4−{[(ジフェニルアセチル)アミノ]メチル}ベンジル)カルバメート
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.39g、2.03mmol)を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(270mg、2.03mmol)、トリエチルアミン(0.52ml、3.70mmol)、製造例20からのアミン(500mg、1.85mmol)およびジフェニル酢酸(450mg、2.03mmol)のジクロロメタン溶液(7ml)に添加し、そして反応系を室温にて18時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(10ml)と水(10ml)との間で分配し、そして層を分離した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮した。残留物を熱ジクロロメタンで摩砕し、固体を濾過して除去し、そして濾液を減圧下エバポレートし、白色固体として表題化合物(291mg)を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz)δ:4.17(d,2H),4.22(s,2H),4.98(s,1H),5.02(s,2H),7.04−7.39(m,19H),7.75(m,1H),8.70(m,1H)。
LRMS:m/zES-463[M−H]
【0201】
製造例22
N−[4−アミノメチル]ベンジル]−2,2−ジフェニルアセトアミド
エタノール(15ml)および酢酸エチル(数滴)中の製造例21からの化合物(200mg、0.43mmol)および炭素上10%パラジウム(40mg)の混合物を、50℃にて、60psiにて、3時間水素化した。反応混合物をArbocel(R)に通して濾過し、そして濾液を減圧下エバポレートした。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール(98:2〜90:10)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物(87mg)を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz)δ:3.63(s,2H),4.24(s,2H),5.00(s,2H),7.08−7.37(m,14H),8.70(s,1H)。
【0202】
製造例23
4−{[(ジフェニルメチル)アミノ]メチル}ベンゾニトリル
エタノール(200ml)中のパラ−シアノベンジルブロミド(13.72g、70mol)、ベンズヒドリルアミン(13.79g、70mmol)および炭酸カリウム(16.8g、70mmol)の混合物を、還流下5時間撹拌した。混合物を冷却し、得られた沈殿物を濾過して除去し、そして濾液を減圧下エバポレートした。残留物を80〜100ペトロール/イソプロパノールから再結晶化させ、油状物として表題化合物(14.5g)を得た。
融点75〜75℃。
【0203】
製造例24
[4−(アミノメチル)ベンジル](ジフェニルメチル)アミンジ塩酸塩
製造例23からの化合物(10.43g、35mmol)のテトラヒドロフラン溶液(100ml)を、水素化リチウムアルミニウム(2.66g、70mmol)のテトラヒドロフラン溶液(80ml)に20分間かけて滴下した。添加が完了したら、反応系を還流下5時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。水(2.7ml)、次いで2M水酸化ナトリウム溶液(2.7ml)、その後さらに水(8.1ml)を、撹拌しながら慎重に添加した。得られた混合物を濾過し、濾液を減圧下エバポレートし、残留物をクロロホルムに溶解し、そして溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下エバポレートした。残留物をエーテル塩酸で処理し、そして生成物をイソプロパノール/メタノールから再結晶化させ、表題化合物(3.6g)を得た。
微量分析の実測値:67.50,H,6.40;N,7.55。C21222+2HClは、C,67.20;H,6.45;N,7.46%を要する。
【0204】
製造例25
N−ベンジル−3−シアノベンゼンスルホンアミド
ベンジルアミン(1.17g、10mmol)を、3−シアノベンゼンスルホニルクロリド(2g、10mmol)およびトリエチルアミン(3.45ml、25mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30ml)に添加し、そして混合物を室温にて18時間撹拌した。混合物を水(30ml)で希釈し、そして酢酸エチル(50ml)で抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下エバポレートし、固体として表題化合物(2.53g)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:4.17(s,2H),7.17(m,5H),7.62(dd,1H),7.88(d,1H),8.02(m,2H)。
LRMS:m/zAPCl+271[M+H+
【0205】
製造例26
3−(アミノメチル)−N−ベンジルベンゼンスルホンアミド塩酸塩
水素化ホウ素ナトリウム(3.23g、100mmol)を、氷冷した塩化コバルト(2.22g、17.2mmol)および製造例25からのニトリル(2.33g、8.5mmol)のメタノール溶液(120ml)に数回にわけて20分かけて添加し、そして添加が完了したら、反応系を室温にて4時間撹拌した。塩酸(3N、15ml)の添加によって反応系をクエンチし、次いで0.88アンモニア(20ml)を添加した。混合物を減圧濃縮し、そして残留物をシリカゲル上に予め吸着させた。これをジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(97:3:0.5〜90:10:1)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、油状物を得た。油状物をメタノール塩酸(1M)で処理し、そして溶液を減圧下エバポレートし、白色固体として表題化合物(2.42g)を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:4.09(s,2H),4.19(s,2H),7.20(m,5H),7.61(m,1H),7.68(m,1H),7.86(m,1H),7.94(s,1H)。
LRMS:m/zAPCl+277[M+H+
【0206】
製造例27
tert−ブチル(4−{[(1H−イミダゾール−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}ベンジル)カルバメート
テトラヒドロフラン(60ml)中のN,N−カルボニルジイミダゾール(1.51g、9.31mmol)およびtert−ブチル4−アミノメチルベンジルカルバメート(2g、8.45mmol)の混合物を、室温にて18時間撹拌した。反応系を減圧濃縮し、そして残留物を酢酸エチル(30ml)と水(30ml)との間で分配し、そして層を分離した。水溶液をさらに酢酸エチル(2×30ml)で抽出し、そして合わせた有機溶液を減圧下エバポレートした。粗生成物を溶出液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色の油状物として表題化合物を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:1.44(s,9H),4.20(s,2H),4.51(s,2H),7.05(s,1H),7.25(d,2H),7.32(d,2H),7.62(s,1H),8.26(s,1H)。
LRMS:m/zES+353[M+Na+
【0207】
製造例28
tert−ブチル{4−[({[(3−フェノキシベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)メチル]ベンジル}カルバメート
トルエン(20ml)中の製造例27からの化合物(500mg、1.51mmol)、3−フェノキシベンジルアミン(EP0313397、pg16)(345mg、1.59mmol)およびトリエチルアミン(0.64ml、4.53mmol)の混合物を、60℃にて18時間撹拌した。冷却した混合物を減圧濃縮し、そして得られた残留物を溶出液としてメタノールを使用するIsolute(R)SCIゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色固体として表題化合物(342mg)を得た。
1HNMR(DMSO−d6,400MHz)δ:1.38(s,9H),4.17(s,2H),4.20(s,4H),6.82(dd,1H),6.90(s,1H),7.00(m,2H),7.14(m,4H),7.22−7.40(m,6H)。
LRMS:ES-460[M−H]-
【0208】
製造例29
N−[4−(アミノメチル)ベンジル]−N’−(3−フェノキシベンジル)ウレア塩酸塩
製造例28からの化合物(451mg、0.98mmol)のジオキサン中の4M塩酸溶液(2.44ml、9.77mmol)を、室温にて4時間撹拌した。反応混合物を減圧下エバポレートし、白色固体として表題化合物を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:4.07(s,2H),4.29(d,2H),4.35(s,2H),6.93(m,3H),7.08(dd,1H),7.26(d,2H),7.31(d,1H),7.34−7.42(m,6H)。
LRMS:m/z362[M+H]+
【0209】
製造例30〜34
【化35】

1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.1〜1.3当量)を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.1〜1.3当量)、製造例9からの酸(1当量)、適切なアミンまたはアミン塩(1.1〜1.2当量)およびトリエチルアミン(2〜3当量)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(8〜40mlmmol-1)に添加し、そして反応系を室温にて18時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、そして残留物をジクロロメタンと飽和重炭酸ナトリウム溶液との間で分配した。層を分離し、水層をジクロロメタンでさらに抽出し、そして合わせた有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下エバポレートした。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)を使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た。
【0210】
【表10】

【0211】
【表11】

【0212】
製造例35
4−{[({3−[(2R)−2−({(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセチル)アミノ]メチル}−N−(3,4−ジメトキシベンジル)ベンズアミド
製造例30〜34に記載の手順に従って、製造例9および19からの化合物から、71%の収率で白色発泡体として表題化合物を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:−0.19(s,3H),−0.01(s,3H),0.83(s,9H),1.03(d,3H),2.56(dd,1H),2.64(m,2H),2.90(m,2H),3.54(s,2H),3.80(s,6H),4.40(s,2H),4.50(s,4H),4.62(m,1H),4.70(m,1H),6.68(d,1H),6.90(s,2H),6.99(d,2H),7.05(s,1H),7.12−7.21(m,3H),7.31(d,2H),7.77(d,2H)。
LRMS:m/zAPCl+756[M+
【0213】
製造例36
N−{3−[(ベンジルアミノ)スルホニル]ベンジル}−2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセトアミド
製造例30〜34に記載の手順に従って、製造例9および26からの化合物から、53%の収率で白色固体として表題化合物を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:−0.19(s,3H),0.00(s,3H),0.83(s,9H),1.04(d,3H),2.53(dd,1H),2.70(m,2H),2.85−2.98(m,2H),3.52(s,2H),3.97(s,2H),4.40(s,2H),4.61(q,2H),4.72(m,1H),6.69(d,1H),6.99(m,2H),7.05(s,1H),7.13−7.23(m,8H),7.44(m,2H),7.69(m,2H)。
LRMS:m/zES+732[M+
【0214】
製造例37〜54
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.1当量)を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.1当量)、アミン(RNH21当量)、製造例11からの酸(1当量)およびトリエチルアミン(3当量)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(12〜40mlmmol-1)に添加し、そして反応系を室温にて18時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、そして残留物をジクロロメタンと水との間で分配し、そして層を分離した。水溶液をジクロロメタンでさらに抽出し、そして合わせた有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下エバポレートした。粗生成物をジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(100:0:0〜95:5:0.5)の溶出勾配を使用してシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た。
【0215】
【表12】

【0216】
【表13】

【0217】
【表14】

【0218】
【表15】

【0219】
【表16】

【0220】
製造例55
2−{3−[(2R)−2−({(2R)−2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}−N−{4−[({[(3−フェノキシベンジル)アミノ]カルボニル}アミノ)メチル]ベンジル}アセトアミド
製造例37〜54に記載の手順に従って、製造例11からの酸および製造例29からのアミンから、41%の収率で透明なゴム状物として表題化合物を得た。
1HNMR(CD3OD,400MHz)δ:−0.20(s,3H),0.01(s,3H),0.82(s,9H),1.03(d,3H),2.49−2.58(m,1H),2.60−2.72(m,2H),2.82−2.94(m,2H),3.50(s,2H),3.80(s,2H),4.34(s,4H),4.60(d,2H),4.67(m,1H),6.67(d,1H),6.90−7.36(m,19H)。
LRMS:m/zES+839[M+Na+
【0221】
式(1)の化合物のインビトロ活性
強力なβ2アゴニストとして作用し、従って、平滑筋弛緩を仲介する式(1)の化合物の能力は、モルモットの気管ストリップの電場刺激−収縮に対するβ2アドレナリン作用性受容体刺激の効果を測定することによって決定され得る。
【0222】
モルモットの気管
雄のDunkin−Hartleyモルモット(475〜525g)を、CO2窒息および大腿動脈からの放血によって殺し、そして気管を単離する。各動物から4つの標本を得、喉頭の直下で解剖を開始し、そして2.5cm長さの気管を採取する。気管筋の反対の軟骨を切断することによって気管片を開き、次いで、横断面3〜4個の軟骨環幅(cartilage rinds wide)を切断する。木綿糸を使用して、上方および下方の軟骨帯に通して縛り、得られたストリップ標本を5mlの器官浴(organ bath)に懸濁させる。3μMインドメタシン(Sigma 17378)、10μMグアネチジン(Sigma G8520)および10μMアテノロール(Sigma A7655)を含有する改良クレブスリンガー緩衝液(Sigma K0507)中で20分間、ストリップを平衡化し、緊張を解き、37℃に加熱し、そして95%O2/5%CO2でガスに曝し(gassed)、初張力1gを加える。標本をさらに30〜45分間平衡化させ、その間、それらを15分間隔で2回(1gまで)再緊張させる。張力の変化を記録し、データ収集システム(Pfizerで注文設計した)につないだ標準アイソメトリック・トランスデューサを介してモニターする。張力平衡に続き、以下のパラメータを使用し、電場刺激(EFS)に組織を供する:実験の長さを通して継続的に、2分毎に10秒慣らし、0.1msパルス幅、10Hzおよびまさに最高電圧(25ボルト)。気管中の神経節後のコリン作用性神経のEFSは、平滑筋の単相性収縮を生じ、そして単収縮高さを記録する。器官浴は、本発明に従うβ2アゴニストが添加される場合を除いて、実験を通して、蠕動ポンプシステム(ポンプ流速7.5ml/分)により、上記のクレブスリンガー緩衝液で絶えずかん流させ、次いで、ポンプを浴に累積投与する間停止し、最大応答がウオッシュアウト期間に到達した後、再度開始する。
【0223】
効能(potency)および有効性(efficacy)の評価のための実験プロトコル
EFSに対する平衡に続き、蠕動ポンプを停止し、そして標本を、300nMイソプレナリン(Sigma 15627)の単回用量で「感作し(prime)」、収縮性EFS応答の阻害に関して最大応答を達成させる。次いで、イソプレナリンを、40分間かけてウオッシュアウトする。感作およびウオッシュアウト回収に続き、濃度の半対数増分を使用して、浴に累積ボーラス添加することによって、全ての組織(イソプレナリン曲線1)について、イソプレナリンに対する標準曲線を取る。使用される濃度範囲は、1e-9〜1e/3e-6Mである。イソプレナリン曲線の末端において、標本を、再度40分間洗浄し、イソプレナリン(内部対照として)または本発明に従うβ2アゴニストのいずれかに対する第2の曲線を取り始める。β2アゴニスト応答は、EFS応答の阻害割合として表される。β2アゴニストについてのデータは、曲線1のイソプレナリンによって誘発される最大阻害割合として阻害を表すことによって正規化される。本発明に従うβ2アゴニストについてのEC50値とは、最大効果の半分を生ずるのに必要とされる化合物の濃度をいう。次いで、本発明に従うβ2アゴニストについてのデータは、比(EC50β2アゴニスト)/(EC50イソプレナリン)によって定義されるイソプレナリンに対する相対力として表される。
【0224】
β2介在性官能基活性の確認
しかし、試験化合物のβ2アゴニスト活性は、本発明に従うβ2アゴニストに対する曲線を構築する前に、上記プロトコルを使用して確認され、標本を、300nM ICI 118551(選択的β2アンタゴニスト)でプレインキュベートすると(最低45分間)、試験化合物用量反応曲線の右方への移行においてβ2介在性効果の場合を生ずる。
【0225】
別の代替法に従って、式(1)の化合物のβ2受容体についてのアゴニスト効能はまた、β2受容体についての最大効果の半分(EC50)を生ずるのに必要である本発明に従う化合物の濃度の測定により決定され得る。
【0226】
化合物の製造
化合物の10mM/100%DMSO(ジメチルスルホキシド)ストックを4%DMSO中で必要なトップ用量(top dose)に希釈する。このトップ用量を使用して、4%DMSOの全てに10点の半対数希釈曲線を構築する。イソプレナリン(Sigmma、I−5627)を実験毎および各プレート上のコントロールウェルに標準として使用した。データは、%イソプレナリン応答として表した。
【0227】
細胞培養
ヒトβ2アドレナリン作用性受容体(Kobilka et al.,PNAS 84:46−50,1987およびBouvier et al.,Mol Pharmacol 33:133−139 1988 CHOhβ2から入手)を組換え発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%ウシ胎仔血清(Sigma、F4135、Lot 90K8404 Exp 09/04)、2mMグルタミン(Sigma、G7513)、500μg/mlゲネチシン(Sigma、G7034)および10μg/mlプロマイシン(Sigma、P8833)を補完したダルベッコMEM/NUT MIX F12(Gilbco、21331−020)で培養した。細胞を播種し、試験用の約90%の細胞密集度を得た。
【0228】
アッセイ方法
25μl/ウェルの化合物の各用量を、基礎コントロールとして1%DMSOおよび最大コントロールとして100nM イソプレナリンを含むcAMP−Flashplate(R)(NEN,SMP004B)に移した。25μl/ウェルPBSの添加により、これを1:2に希釈した。細胞をトリプシン処理し(0.25%Sigma、T4049)、PBS(Gibco、14040−174)で洗浄し、そして刺激緩衝液(NEN、SMP004B)に再懸濁し、1×106細胞/ml CHOhB2を得た。化合物を、50μl/ウェル細胞で1時間インキュベートした。次いで、0.18μCi/ml125I−cAMP(NEN、NEX−130)を含有する100μl/ウェル検出緩衝液(NEN、SMP004B)の添加により、細胞を溶解し、そしてプレートを室温にてさらに2時間インキュベートした。Flashplate(R)に結合した125I−cAMPの量は、Topcount NXT(Packard)を使用して、1分間有効性を正規カウントして定量化した。用量反応データは、%イソプレナリン活性として表し、そして4つのパラメータS状フィットを使用して適合させた。
【0229】
従って、上の実施例1〜26に例証される本発明に従う式(1)の化合物は、1nM以下のβ2cAMP EC50値を示すことが見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

〔式中、CH2−C(=O)NH−ベンジル−Q1−Q2−Q3−Q4基は、メタ位またはパラ位にあり、そして
1およびR2は、HおよびC1−C4アルキルから独立して選択され;
1は−(CH2n−であり、ここでnは0および1から選択される整数であり;
2は−NH−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−NH−C(=O)−NH−および−SO2NH−から選択される基であり;
3は単結合または場合によってOHで置換されているC1−C4アルキレンであり;
4は、
【化2】

から選択され、ここで*は、Q3に対する結合点を表し、そしてR3、R4、R5、R6およびR7は、H、C1−C4アルキル、フェニル、フェノキシ、OR8、SR8、ハロ、CN、CF3、OCF3、COOR9、SO2NR89、CONR89、NR89、NHCOR9およびCH2−NHC(=O)NH−R9から独立して選択され;
ここでR8およびR9は、HまたはC1−C4アルキルから独立して選択される〕
の化合物、または適切な場合、その薬学的に受容可能な塩および/またはその異性体、互変異性体、溶媒和物もしくはその同位体バリエーション。
【請求項2】
1が(CH2nであり(ここでnは0である)、かつQ2が−SO2NH−またはC(=O)NH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が(CH2nであり(ここでnは1である)、かつQ2が−NH−C(=O)−または−NH−C(=O)−NH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3が結合、−CH2−、−(CH22−、−C(CH32−CH2−、−CH(CH3)−CH(OH)−または−CH2−CH(CH3)−である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
4が、
【化3】

であり、ここでR3、R4、R5、R6およびR7が、H、C1−C4アルキル、フェニル、フェノキシ、OR8、SR8、ハロ、CF3、OCF3、COOR9、SO2NR89、CONR89、NHR89、NHCOR9およびCH2−NHC(=O)NH−R9から選択され;そしてR3〜R7の少なくとも2つがHを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
1およびR2が、HおよびCH3から独立して選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の(R,R)立体異性体。
【請求項8】
CH2−C(=O)NH−ベンジル−Q1−Q2−Q3−Q4基がメタ位にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
実施例1〜26からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
医薬品として使用するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物。
【請求項11】
以下:
・いずれかのタイプ、病因または病原の喘息、特に、アトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE−媒介喘息、気管支喘息、特発性喘息、真性喘息、病態生理学的障害によって生ずる内因性喘息、環境因子によって生ずる外因性喘息、未知または不明瞭な原因の特発性喘息、非アトピー性喘息、気管支炎喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業性喘息、細菌、真菌、原生動物またはウイルス感染によって生ずる感染性喘息、非アレルギー性喘息、初発喘息、ぜん鳴乳幼児症候群および細気管支炎からなる群から選択される一つである喘息、
・慢性または急性の気管支収縮、慢性気管支炎、末梢気道閉塞症および気腫、
・いずれかのタイプ、病因または病原の閉塞性または炎症性の気道疾患、特に、慢性好酸球性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、COPDに付随するかまたは付随しない慢性気管支炎、肺気腫または呼吸困難を含むCOPD、不可逆的進行性気道閉塞によって特徴付けられるCOPD、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物治療の結果として生じる気道過敏性の悪化および肺高血圧に付随する気道疾患からなる群から選択される一つである閉塞性または炎症性の気道疾患、
・いずれかのタイプ、病因または病原の気管支炎、特に、急性気管支炎、急性喉頭気管の気管支炎、アラキジン酸誘発気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎、乾性気管支炎、感染性喘息気管支炎、増殖性気管支炎、ブドウ球菌性または連鎖球菌性の気管支炎および水疱性気管支炎からなる群から選択される一つである気管支炎、
・急性肺障害、
・いずれかのタイプ、病因または病原の気管支拡張症、特に、円柱状気管支拡張症、小嚢性気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、細気管支拡張症、嚢状気管支拡張症、乾性気管支拡張症および濾胞性気管支拡張症からなる群から選択される一つである気管支拡張症から選択される疾患、障害および症状を処置するための薬物を製造するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくは組成物の使用。
【請求項12】
有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、誘導体化形態もしくは組成物を用いて該哺乳動物を処置することを包含する、β2アゴニストを用いるヒトを含む哺乳動物の処置方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物と以下:
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)インヒビターまたは5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、
(b)LTB4、LTC4、LTD4およびLTE4のアンタゴニストを含むロイコトリエンアンタゴニスト(LTRA)、
(c)H1アンタゴニストおよびH3アンタゴニストを含むヒスタミン受容体アンタゴニスト、
(d)充血除去剤使用のためのα1−およびα2−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経様作用薬、
(e)ムスカリン様M3受容体アンタゴニストまたは抗コリン作用薬、
(f)PDEインヒビター(例えば、PDE3インヒビター、PDE4インヒビターおよびPDE5インヒビター)、
(g)テオフィリン、
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)非選択性および選択性のCOX−1インヒビターまたはCOX−2インヒビター(NSAID)の両方のCOXインヒビター、
(j)DAGR(コルチコイド受容体の解離性アゴニスト)のような経口および吸入グルココルチコステロイド、
(k)内因性炎症実体に対して活性なモノクロナール抗体、
(l)抗腫瘍性壊死因子(抗−TNF−α)剤、
(m)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子インヒビター、
(n)キニン−B1−受容体アンタゴニストおよびキニン−B2−受容体アンタゴニスト、
(o)免疫抑制剤、
(p)マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)のインヒビター、
(q)タチキニンNK1受容体アンタゴニスト、タチキニンNK2受容体アンタゴニストおよびタチキニンNK3の受容体アンタゴニスト、
(r)エラスターゼインヒビター、
(s)アデノシンA2a受容体アゴニスト、
(t)ウロキナーゼのインヒビター、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物(例えば、D2アゴニスト)、
(v)NFκβ経路のモジュレータ(例えば、IKKインヒビター)、
(w)p38MAPキナーゼインヒビター、sykキナーゼインヒビターまたはJAKキナーゼインヒビターのようなサイトカイン反応経路のモジュレータ、
(x)粘液溶解薬または鎮咳薬として分類され得る薬剤、
(y)抗生物質、
(z)HDACインヒビター、および
(aa)PI3キナーゼインヒビター
から選択される治療剤との組合せ。

【公表番号】特表2007−529499(P2007−529499A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503433(P2007−503433)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000611
【国際公開番号】WO2005/090288
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】